岡部「ハッ!ここは…1975年か?」 (69)

1975年7月

病院の一室

岡部「イタタ…頭が割れるように痛い」

岡部「確か俺は…何千回もラボメンの皆とサイクリングに行って…」

岡部「鈴羽と一緒にタイムマシンに乗って…そうだ、鈴羽、鈴羽は?」

岡部「…ナースコールだ、この時代から既にあったのか」ピー

看護婦「!!先生ー!!3番の患者が目覚めました!」

医者「岡部倫太郎君…か、意識ははっきりしてるようだね」

岡部「先生、鈴羽は無事ですか?」

医者「一緒に運ばれてきた女性の事かね?彼女なら無事だ。安心したまえ」

岡部「そうですか…安心しました」

医者「ただ、記憶の方がまだ曖昧でね…記憶喪失という状態だ」

岡部「…そうですか…ところで今は1975年でしたっけ?」

医者「西暦かね?今は昭和50年だから…そうだな、1975年だ」

岡部「そうですか、そうでしたね…」

刑事「では名前は岡部倫太郎さん、年齢は十八。住所は思い出せない、と」

医師「彼も部分的な記憶喪失状態にあるみたいですね、もう一人の女性は橋田鈴羽、齢は同じく十八とのこと」

刑事「では岡部さん、これからいくつか質問をしますけど大丈夫ですか?」

岡部「…はい」

刑事「まず、あなた方が倒れてた傍に人工衛星のような物があったのですが、見覚えありませんか?」ピラッ

岡部「…いえ、わかりません」

刑事「…どんなわずかな事でもいいのですが、思い出せませんか?」

岡部「…はい、すいません」

刑事「では次に、あなたと橋田鈴羽さんはどういう関係なのですか?」

岡部「…大切な友人であり、仲間です」

刑事「では次に、こちらの白衣はあなたのですかな?」

岡部「…はい、そうですが」

刑事「この中に妙な機械が入っていたのですが見覚えは?」

岡部 (しまった!携帯電話…!)

刑事「玩具にしては精巧すぎる」

岡部「…それは俺と鈴羽が作った玩具です。俺達はそういった玩具を作るサークルでして…」

刑事「?サークル?輪が何か関係あるのかね?」

医者「サークルとは同好会のことですよ刑事さん」

岡部「…そうです。俺達は玩具を作る同好会仲間です…」

刑事「ふむ、ではこちらの千円札も作ったのかね?」ペラッ

刑事「財布に入ってたんだが、こんな精巧なものは初めて見たよ」

岡部「…はい、野口英世を尊敬してまして…」アセダラダラ

岡部 (ふぅ、何とか切り抜けたな)

岡部 (指紋と血液は取られたが、俺はまだこの時代にいないのだ、判る訳あるまい)

岡部 (しかし病室なのにクーラーもないのか、天井も蛍光灯じゃなくて電球だ)

岡部 (…早くIBN5100を入手して柳林神社に奉納せねば…)

医者「岡部君、橋田鈴羽さんが君に会いたがってる。会ってあげなさい」

岡部「わかりました」

鈴羽「ははは、こんにちは。で、君だれ?」

岡部「岡部倫太郎だ」

鈴羽「うーんごめん。あたし君の事全然思い出せないんだよねー?なんかごめんね?」

岡部「いや、今はいいんだ。そのうち思い出すだろう。だから安心して休んで欲しい」

鈴羽「ありがと、優しいね君。でもなーんか印象が違うんだよなー?もっと高笑いしてた様な…?」

岡部「鳳凰院凶真はしばらく封印だ」

鈴羽「ほうおう院…?なにそれ」

岡部「そのうち話す」

1975年8月

アパート

岡部「あれから一ヶ月、民生委員の協力を経て現在は生活保護を受け取っている」

岡部「家庭裁判所に戸籍を貰うまでは仕事などできんからな」

岡部「しかし2万ドル、つまり600万円もするIBN5100を入手できるのだろうか…」

鈴羽「岡部倫太郎ー!蛙取ってきたよー!」バタン

岡部「あ、ああすまないバイト戦士よ」

岡部「…調べてみたところこの時代の大卒初任給は9万円程か」

鈴羽「新聞広げて何調べてんの?」

岡部「いい仕事が無いか調べてる、俺達は事情があって大金を稼がなけりゃならんのだ」

鈴羽「そうすれば美味しいものが食べれるね!マクドナルドのハンバーガーとか」

岡部「あ、ああ…あれは高級品だからな…いつか銀座に連れてってやる」

岡部 (鈴羽は最初ゲテモノ料理を俺にふるまおうとしたが)

岡部 (釣竿を与えてやったら川魚を取るようになった)

岡部 (…ブルーギルって案外美味いんだな)

岡部 (それにヨモギやナズナなどの食べられる野草もこの時代には多い)

岡部 (…2036年では辛い思いをしたんだな、鈴羽)ウルウル

鈴羽「フンフ~ン♪」トントン

鈴羽 (料理って楽しいな)

岡部「池袋の実家に来てみたが…相変わらず八百屋をしてるな」

岡部「!あれが親父か?まだ小学生だ!」ササッ

祖母「ちょっとあんた!そこで何してるんだい?」

岡部 (しまった見つかった!ここは…誤魔化すしかない)

岡部「ふむ失礼グラァーンドマダム。余りにマダムがお綺麗なために隠れてしまいました」

祖母「あらお上手ね、お兄さんも中々男前よ。白菜安くしとくけど買ってかない?」

岡部「では一つ頂こうか、最近野菜が足りてなかったからな」

岡部父「おにーさん、珍しい服きてるね」

岡部「ふふ、これは白衣といってだな。坊主もその素晴らしさに気付く日が来るだろう」

1975年12月14日昼

工事現場

岡部「うー寒い寒い」

鈴羽「岡部ー、缶コーヒー買って来たよー」ポイッ

岡部「ああすまない」

ラジオ「…ザザ 日本全国を騒がせた三億円事件も今月10日に時効を迎え…」

鈴羽「岡部はだらしないなー、力仕事したことないみたい」

岡部「仕方ないだろう、俺は知的労働タイプなのだ。この時代にはヒートテックもないしな」

鈴羽「ヒートテック?」

現場監督「おい新人、今日は終わりだ。上がって良いぞ。それから給料、年末だし色付けといたから」

岡部「ありがとうございます」

現場監督「それで鈴羽ちゃん温めてあげな」

作業員A「さーて、俺達は中山(競馬場)だな」

作業員B「俺はフジノバーシアから流すぜ」

岡部「…有馬記念!」

鈴羽「岡部、どうしたの?」

岡部「俺達も中山に行くぞ!」

アパート

岡部「フ…ファーハハハ!あっという間に全財産10万円が130万円になったぞ!」

鈴羽「凄ーい岡部!聖徳太子がこんなに!」

岡部「しかしこれではまだ足りん、最終目標は2万ドル、すなわち600万円だ」

鈴羽「そんなに貯めて何に使うの?」

岡部「IBN5100というコンピューターを入手するのだ」

鈴羽「ふーん…よく解んないけど大事なものだった気がする」

岡部「…だがこの130万円をどうやって増やすかな」

1975年12月31日

ラジオ「…ザザ…では次は沢田研二さんで『時の過ぎ行くままに』です…ザザ』

鈴羽「コタツ暖かーい、出たくなーい」

岡部「年末だからな、今日くらいは良いだろう」

鈴羽「ねえ岡部、あたし考えたんだけどさ」

岡部「何だバイト戦士よ」

鈴羽「あたし達玩具を作る仲間だったんだよね?じゃあこの125万円で玩具作って売らない?」

岡部「…そうだな、バイト戦士!アイディアは俺に任せてくれ!」

鈴羽「わーい楽しみー」

1976年2月

岡部「できたぞ未来ガジェット十号機!その名も『F1イレイサー(仮)』だ!」

鈴羽「これ?単なる車型の消しゴムみたいだけど」

岡部「ふっ、これを見てもそんなことが言えるかな?」スッ

鈴羽「ボールペン?」

岡部「ボールペンのバネを利用して…ヤッホウ!」バチーン

鈴羽「わっ!凄い!走ったー!」キラキラ

岡部「これをコレクター魂を揺さぶる為12種類色違いで用意する」

鈴羽「これは子供が喜ぶと思うよー」

岡部「さらぁに!これをこの未来ガジェット十一号機『ガチャガチャ・マシーン(仮)』で売るのだ!」

鈴羽「なにこの機械?回転レバーがついてるけど」

岡部「50円玉をここにいれて、回すとな…」ガチャガチャ カタン

岡部「とまあこんなふうに玩具がカプセルに入って出てくるのだ」

鈴羽「すごーい、よくこんなん作れたね」

岡部「まぁそれなりに金はかかったがな…実用新案も提出したのであとは製造してくれる工場を見つけねば」

鈴羽「工場か…本格的になってきたね」

1976年8月

岡部「なかなかガチャガチャの売れ行きが良いみたいだ、資金は400万円に増えた」

鈴羽「次は何を作る?」

岡部「そうだな…チョロQでもつくるかな」

鈴羽「チョロQ?どんな玩具なの?」

岡部「車の模型にゼンマイを仕込んでだな…まあ実際作ったほうがいいか」

1976年9月

岡部「ファーハハハ!できたぞ!未来ガジェット十二号機!『チョロッとQ(仮)』だ!」

鈴羽「ちっちゃな車だね、これもボールペンで押すの?」

岡部「ふふふ、そのような必要はない、少し後ろに戻して離してやると…」キリキリ

岡部「このように走り出すわけだ」ギュイン ガツン

鈴羽「わー!これおもしろーい!」キラキラ

岡部「これもガチャガチャに入れて売ろう。そうすれば売り上げはもっと伸びるはず」

1977年3月

岡部「あれから半年…チョロQは全国的に大ヒットした…」

岡部「まさか5000万円も手に入るとは思わなかった…」

鈴羽「マクドナルドのハンバーガーうまー」ムシャムシャ

岡部「とりあえず秋葉原に行ってIBN5100を入手せねば」

鈴羽「岡部の稼いだお金なんだから好きに使うといいよ!」

岡部「すまない、今度温泉あたりに美味いものでも食べに行こう」

秋葉原

岡部「さて、久しぶりに秋葉原に来てみたが…」

岡部「萌えの街どころかパソコンの街ですらない」

岡部「これは迂闊だった、コンピュータなどどこに売っているのだ」

店主「あんちゃんあんちゃん、コンピュータを探してるのかね?」

岡部「はいそうです…IBN5100というコンピュータを」

店主「俺にはわからねぇが…地主さんとこの若旦那ならわかるかもな」

岡部「!その方の名前はわかりますか!?」

店主「下の名前はわからねぇが、秋葉さんとこの若旦那だ。紹介してやるよ」

岡部「有難うございます!」

秋葉邸

幸高「秋葉幸高と申します、よろしく」

岡部「岡部倫太郎です、よろしくお願いします(間違いなくフェイリスの父親だ…)」

幸高「そんなに改まらなくていいですよ、僕はまだ高校生なんですし」

岡部「いえ、そんなことは。秋葉さんは外国のコンピュータを集めているとか」

幸高「はい、IBN5100は持っておりませんが。岡部さんもコンピュータに興味が?」

岡部「ええまあ、私の親友にハッカーがいましてね」

幸高「そりゃ凄い!いつか話を聞かしてください!」

岡部「ええ、そのうちに」

アパート

岡部「ファーハハハ!今帰ったぞ鈴羽よ!」

鈴羽「あー岡部岡部ぇ、この記事見てよ」

岡部「ん、何々…?大学入試センターが発足、共通一次が廃止か…これがどうした?」

鈴羽「岡部、あたし大学ってとこに行ってみたい」

岡部「…そうだな、当面の生活費は手に入ったし先のことを考えるならその方が良いか」

鈴羽「岡部も大学行ったらもっと凄い発明できるかもよ?」

岡部「ではまずは大検を取らないとな」

1978年2月

大学入試会場

岡部「…また大学の入試を受ける事になるとはな」

隣の席の男「あ、消しゴムが、消しゴムが無い」

岡部「…なんだ消しゴムを忘れたのか?ほら半分やる」

隣の席の男「すまね、この恩は忘れね」

岡部「…えらい訛ってるな、遠くから来たのか」

章一「オラは牧瀬章一、青森からだ。おめは?」

岡部「(牧瀬…?まさかな)俺は岡部倫太郎だ」

章一「そか、二人とも受かったらよろしくな」

1983年7月

アパート

岡部「ファーハハハ!それではこれより第4220回円卓会議を始める!」

幸高「今日は何の議題ですか?凶真さん」

岡部「いつもの未来ガジェットプランニング…と言いたい所だが、今日はタイムマシンについてだ!」

章一「タイムマシンか…思えば私が物理学者になりたいと思ったのもウェルズの小説がきっかけだったな」

鈴羽「タイムマシンがあればアタシ達の身元もわかるかもね」

岡部「いや、今日はラボメンの皆に重大な発表をせねばならんのだ。まずは皆これを見てくれ」スッ

幸高「…ただの十円玉じゃないですか…えっ!昭和六十三年!?」

岡部「それにこの千円札、見てくれるか」

章一「これは…野口英世か、しかし精巧すぎる」

岡部「極めつけはこれだ、これは携帯電話といってだな、現在の技術では製作不可能な代物だ。解析してくれてもいい」

幸高「凶真さん、あなたはどこでこんなものを…」

章一「まさかあなた達は…」

岡部「ああそうだ、俺は2010年から、鈴羽は2036年から来た未来人、タイムトラベラーだ」

2010年8月

ラボ

ダル「阿万音氏もオカリンもどこいったんだお」

紅莉栖「電話も全然つながらないわ…タイムリープマシンで飛んで確かめようかしら」

プルルルル スチャ

紅莉栖「もしもし?え?パパ!?嘘、どうして?」

紅莉栖「え?今更…!ううん、こっちも悪かったわ。ごめんなさい」

紅莉栖「うん…(グスッ)ありがと、また一緒に行きましょ」

ダル(牧瀬氏が泣いてるお)

紅莉栖「え?フェイリスさんのお父さんも一緒に?いいけど。え?凶真さん?なんでパパが知って…」

バタンッ

岡部「ファーハハハ!クリスティーナよ!久しぶりだな!」

ダル「え?え?誰?」

紅莉栖「…岡部?なんで髪白く染めてんの?」

鈴羽「やっほー、アタシもいるよー」ヒョイ

ダル「??阿万音氏まで白髪になってしわしわになってるお!」

天王寺「凶真さん、荷物ここにおいときますよ」ドシン

岡部「うむご苦労だ裕吾君。報酬はいつもの口座に振り込んでおく」

天王寺「いいですよ、俺とあなたの仲じゃないですか。ではこれで」

ダル「IBN5100だお…」

紅莉栖「岡部、説明してもらおうか」

岡部「その前にもう一人紹介したい者がいる、京華、入ってきなさい」

京華「こんにちは、初めまして」

紅莉栖「」

ダル「うっは!黒髪美人ktkr! お姉さん、私橋田至と申しまして…」キリッ

岡部「その娘はお前の実の孫だ」

ダル「ハイ!?」

ダル「そんなことがあったなんて…にわかには信じられないお」

紅莉栖「そうよ!このHENTAIの娘が…鈴羽さんで、孫が岡部の娘…だなんて」

岡部「だが事実だ」

京華「あの…お祖父ちゃんと呼んでもいいですか?」

ダル「そ…そういう時はグランパと呼びなさいぃ!」

鈴羽「相変わらずだなぁ、父さん」クスクス

紅莉栖「むぅー、納得いかない!」

岡部「お前にはすまないと思っている、何も相談せず1975年に飛んだ訳だからな」

紅莉栖「そういうことじゃないっつーの!…バカ」

岡部「しかし章一がドクター中鉢で紅莉栖の父親だったとはな!世間は狭いものだ」

まゆり「トゥットゥルー♪あれ?今日は年上の人が多いね?」

鈴羽「まゆりちゃん、久しぶり。これからあなたを救ってみせるからね」

まゆり「あれ?ひょっとして鈴羽ちゃんのお母さん?」

ダル「じゃあIBN5100のセッティングを始めるとするお」

ダル「データベースに…あれ?オカリン?『牧瀬紅莉栖が、何者かに刺されたみたいだ…』なんて文面無いお」

岡部「何?そんなはずは!?」

紅莉栖「ちょっと何それ!?初耳なんだけど」

岡部「俺はあのときラジ館8階で血にまみれた紅莉栖を…!!!」

岡部「まさかこの世界線から移動したら紅莉栖が死ぬのか?」

紅莉栖「なにそれ怖い」

岡部「紅莉栖!教えてくれ!お前は何の為にあの日ラジ館に行こうとしたんだ?」ユッサユッサ

紅莉栖「揺らさなくっても教えるってば、あの日はパパがタイムマシン論文を発表しようとしてたの」

岡部「うむ知ってるぞ、その論文は実は俺たちも関わっていたんだ」

紅莉栖「それであの人工衛星が墜落したっていうから発表は中止に…パパと和解するチャンスだったのに」

岡部「そうか、章一…中鉢もずっと娘には会いたがっていたんだぞ」

紅莉栖「私も一生懸命論文書いたんだけどなー」

鈴羽「何の論文?」

紅莉栖「私もタイムマシン論文よ、パパと共同発表すれば和解できると思ったの」

ダル「オカリンオカリン、僕の携帯を調べたらこんなメールが入ってたお」

岡部「これは…」

From オカリン

中鉢の発表は
期待はずれだ
これから戻る

岡部「これがエシュロンに引っ掛かったのか…俺が1975年に戻った事で過去が変わったのか」

岡部「β世界線に戻っても大丈夫そうだな。ダル、消去を頼む」

ダル「わかったお」

紅莉栖「待って!」

岡部「どうした」

紅莉栖「β世界線って…ディストピアが構築されてない世界よね?」

岡部「そうだ」

紅莉栖「でもそしたら…鈴羽さんがここに来た事も、京華さんの存在も…消えちゃうんじゃ?」

岡部「何!?」

京華「えっ私消えちゃうの?」

岡部「そんな…こんな結末なのかよ」

まゆり「トゥットゥルー♪まゆしぃにはいい考えがあるのです」

ダル「まゆ氏、良い考えってどんなの?」

まゆり「未来ガジェット研究所で独自にタイムマシンを作って2036年に鈴羽ちゃんを2010年に送り出すのです♪」

鈴羽「あたしを?でもあたしはディストピアが構築されない事を覚えてるんじゃ?」

まゆり「鈴羽ちゃんは記憶喪失になったんでしょ?だからディストピアが構築されているふりをするだけでいいのです」

岡部「…つまり最初の俺達を騙す訳か」

紅莉栖「理論的には…不可能じゃないわね」

京華「私もできれば消えたくない…」

ダル「僕も京華には消えて欲しくないお!」ハァハァ

岡部「鈴羽、お前は今幸せか?俺なんかに付いてきてくれて?」

鈴羽「やだなぁ、幸せに決まってるじゃない!」

ダル「娘の幸せを願うのは親の務めだろjk!」

紅莉栖「あの論文ならタイムマシンも可能なはずよ、目の前にタイムリープマシンだってあるし」

まゆり「まゆしぃも未来のために頑張るのです」

ダル「では、取り消しのdメール送信するお」

紅莉栖「放電現象始まったわ!」バチバチ

岡部「送信!」

鈴羽・京華「!」ギュッ

岡部「リーディングシュタイナー発動!」

岡部「…ここは、ラボか!?」

岡部「鈴羽!みんな!いないのか?」

岡部「…俺の顔は!?白髪の初老!」

ガヤガヤ ガヤガヤ ガチャッ

京華「お父さん大丈夫?」

フェイリス「凶真さん、具合でも悪いのかニャ!」

まゆり「買出しいってきたよー♪」

萌郁「…京華ちゃん、一緒に野菜剥こうね…」

るか子「お師匠様!腕によりをかけてつくるので期待してください!」

鈴羽「しかし皆でカレーなんて久しぶりだねー、昔はハンバーガーがご馳走でさー」

紅莉栖「鈴羽さんの料理の腕前は筋金入りですものね」

鈴羽「ふふ、初老の女性を舐めちゃいけないよ」

ダル「重いおー、デブだからって力があるわけじゃないんだぞ」

紅莉栖「しっかりしなさい!力仕事は男子の仕事でしょ!?」

若者岡部「ええい、俺は知的労働タイプなのだ」

初老岡部「…なん…だと」

若岡部「あー重かった!こんなにジャガイモが必要か?」

老岡部「」

若岡部「あれ、お師匠。どうしたんですか、固まって」

老岡部「お前は…岡部倫太郎か?」

若岡部「ふっふっふ、俺は岡部倫太郎ではない、世界の支配構造を変革するマッドサイエンティスト…」

若岡部「鳳凰院凶也だっ!!ビシッ

紅莉栖「はいはい、テンプレ乙」

ワイワイガヤガヤ

老岡部「何がどうなっているのだ…」

鈴羽「あなた、ちょっといい?」

老岡部「ああ、説明を頼む…」

ブラウン管工房前

どうやらこの世界ではディストピアの構築が行われない事
もう一人の俺は過去に飛ばず俺を俺と知らずに師匠とみなしている事
俺の名前は鳳凰院凶真で固定化されてる事
dメールやタイムリープマシンは存在するものの一度も使用してない事などを教えられた

鈴羽「これを2036年のあなたは、シュタインズゲート世界線と名付けたの」

凶真「…そうか、皆も死なずに仲良くやっているし…本当に良かった」

鈴羽「でも紅莉栖ちゃんには本当の事を話しておいたわ、タイムマシン作れないと困るものね」

凶真「だがリーディングシュタイナーを持たないお前がどうやって」

鈴羽「京華よ、あの子もリーディングシュタイナーを持ってるの」

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