岡部「俺は狂気の大魔王! 鳳凰院凶真だッ!!」 (149)

~魔王の城~



岡部「側頭部から緩やかな曲線を描きつつ天にそびえ立つ双角」

岡部「床すれすれをたなびく漆黒の衣、口内に収まりきらない巨大で鋭い白牙」



岡部「ふぅむ、姿見の鏡に移るこの形貌……どこからどう見ても偉大なる大魔王にしか見えんな、クッククク……」

まゆり「ねーねーオカリンオカリン」

岡部「おいこらまゆり? 俺はオカリンなどではない。前にも言っただろう?」

まゆり「んー?」

岡部「俺は大魔王である、と。いいか? 今度から俺のことは鳳凰院凶真と呼ぶのだぞ」

まゆり「うんー、よく分からないけど、分かったー」

岡部「うむ。それでこそ我が人質だ」

まゆり「でね? オカリンもおでん缶、食べるー?」

岡部「ちっとも分かってない!」



岡部「俺は狂気の大魔王! 鳳凰院凶真だッ!!」

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岡部「さて、諸兄にこの大魔王軍に所属するメンバー、ラボメンを紹介しておこう!」

岡部「まずはラボメンナンバー001! ラボ創設者にして狂気の大魔王、この俺、鳳凰院凶真」

まゆり「オカリンのほうがかわいいのにー」

岡部「黙れっ、岡部倫太郎は世を忍ぶ仮の名だ」

岡部「そしてラボメンナンバー002! コスプレづくりが趣味の紅一点、エルフの椎名まゆり!」

まゆり「トゥットゥルー、まゆしぃでーす」

岡部「そしてラボメンナンバー003! スーパーハカーっ、オークの橋田至!」

ダル「ハカーじゃなくてハッカーだろ常考」

ダル「つか、ラボメンってなんぞ? 僕ら魔王軍なわけっしょ?」

岡部「ふっ、知りたいか? 知りたいのだな? よかろう、ならば教えてやる」

ダル「やっぱ別にいいや」

岡部「大魔王軍──英語にするとLucifer's army big organization──略してLabo──ラボ──」

岡部「すなわちっ!! ラボメンとは、この狂気の大魔王、鳳凰院凶真の軍属であることを意味するのだっフゥーハハハ!!」

ダル「それ文法的におかしくね? つか、armyってそれ自体に軍の組織的な意味があったような」

岡部「ええいうるさいっ! 細かいことを気にするでない! 語感こそがすべてなのだ!」

ダル「あーはいはい、オカリンの英語力に期待するだけ無駄ってことですね分かります」

岡部「ぐぬぬっ……」


岡部「俺だっ、ああ、どうやら魔王軍にスパイが紛れ込んでいるようなのだ。俺の威厳を地に落とそうとする不届きな輩だ」

岡部「分かっている、必ずや尻尾をつかんでその身を灰燼と帰してやろうではないか」

まゆり「ねーねー、誰と話してるのー?」

ダル「テレパシーで話す友達もいないだろうからただの独り言だと思われ、厨二病乙!」

岡部「黙れ!」


ダル「おっ」

岡部「どうした、魔水晶など覗き込んで。また外界の様子でも探っていたのか?」

ダル「だから魔水晶じゃねっつに、これパソコンな」

岡部「呼び名に拘るようではまだまだだな、ダルよ」

ダル「今日のお前が言うなスレはここですかっての」

岡部「ごたくはいい、一体どうした」

ダル「いやね? 使い魔たんたちを使って、かわいい3次元のおにゃのこを空からスネークしようとしてたんだけどさ」

岡部「くっ、この外道め……」

ダル「今日は王宮にいる高貴なお姉さま方をヲチしようとしてたわけよ」


ダル「いつもすました顔で王の側に立ちっぱの彼女らが王の御前を離れた途端、いけない感情に見を悶えさせ……」

ダル「やがて溢れでる欲望の渦に絡め取られながらおもむろにその衣服を脱ぎだし……はぁはぁ……」

まゆり「ダルくんえっちだねー」

岡部「下らんな……実に下らん。人間風情に欲情するとは魔王軍としてまだまだだな」

ダル「分かってないなオカリン、オークっつったら人間の女騎士をとらえて”くっ殺”だろ常考」

岡部「だから俺は狂気の大魔王、鳳凰院凶真だ!」

ダル「あーだからその大魔王を打ち倒すべく、王宮から勇者が旅立ったらしいお」

岡部「なに? 勇者だと?」

まゆり「ええー、オカリンやられちゃうのー?」

ダル「あ、まゆ氏まゆ氏、今の”やられちゃうのー?”ってのもっかいよろ。できれば怯えた感じで」

まゆり「やられ……ちゃうの?」

ダル「あーいいよぉ……上目遣いで涙ぐみながら言ってくれればさらにおけだよぉ……」

岡部「言わすなHENTAIが!!」

岡部「しかし、勇者か……」

まゆり「どんな人だろうねー、勇者さん」

ダル「ぶかぶかの鎧や兜に身を包んだ幼女をキボン。そしたら僕が真っ先に出て行って対峙するお」

ダル「そんでもって激しい戦闘の末、息を乱しながら彼女は剣を振り回し、”ま、魔王の居場所を教えろー……!”と容赦無い眼で僕を貫くんだお」

岡部「俺はHENTAIであるお前をラボメンにしたことを激しく後悔しているところだ」

ダル「HENTAIじゃなくてHENTAI紳士!!」

岡部「だが勇者か、面白い」

岡部「世の支配構造を変革し、この世界に恐怖と混沌をもたらすこのラボに楯突こうなど、100年早い!」



 ピカッ、ガシャーン



まゆり「おおーー、オカリンのポーズと一緒に雷が落ちたねー」

ダル「説明おつ!」

岡部「フゥーハハハハッ!」

今日はここまで
まったりやっていきますお


岡部「ううーむ……」

まゆり「オカリーン、そんなにそわそわしてどうしたのー?」

岡部「そわそわなどしておらん。俺は今、偉大なる魔王への一歩をどう踏み出すか思案中なのどぅあ」

まゆり「オカリン楽しそうだねえ、えっへへ」

ダル「大方勇者が現れたらなんて言おうか考えてるんだと思われ」

まゆり「あー、そっかー」

ダル「仰々しい厨二病なセリフを思い浮かべてるに違いないお」

まゆり「勇者さんバナナ食べるかなー、それとも唐揚げがいいかなー」


岡部「よく来たな勇者よ……、さあ我を楽しませよ……ううむ、ありきたりすぎるか」

ダル「楽しませる? 性的な意味で?」

岡部「勇者よ、なにゆえもがき生きるのか? これは少し哲学的な話にシフトしそうだな、やめておこう」

まゆり「まゆしぃはねー、唐揚げとバナナと、後おでん缶のためだよー」

岡部「もし、我の味方になれば世界の半分を貴様にくれてやろう!」

岡部「ふぅむ。いいではないかぁー、だがそうなるとその前に世界を手に入れねばならんな」

ダル「オカリンに世界をどうこうできるとは思えない件について」

岡部「だぁーそこ、いちいちうるさいぞ!!」

岡部「いや待て、確かに世界を手に入れるとなると骨が折れる。ここは開発中の魔王ガジェットたちの性能と特徴をつかんでおくか」

まゆり「おおー、ガジェットちゃんたち持ってくるのー?」


岡部「ダル! 魔王ガジェットたちをここへ!」

ダル「だが、断る」

岡部「おいダル貴様っ、この俺に忠誠を誓ったのではなかったのかっ」

ダル「えーだからって休憩中も命令するとかマジ鬼畜だお、ブラックだお!」

岡部「ええい、お前は年がら年中休憩中ではないか!」

ダル「あーはいはい、持ってくればいいんでしょ、持ってくれば。あーめんど」

岡部「うぬぬ、いちいちぶつくさと……」




ダル「うひー。おもー。オークだからって力があると思うなよ!?」

岡部「いや威張るところかっ」

まゆり「魔王ガジェットちゃんたち、いつ見ても不思議な形してるねえ」

岡部「クッククク、この鳳凰院凶真の庇護のもと誕生した兵器たちだからな、実に禍々しい形をしている」

ダル「ま、開発したのはほとんど僕だけどね、キリッ」

岡部「この剣と魔法が支配する世の中で、科学の大量破壊性にいち早く目をつけ武器として使用する。実に悪逆非道ではないか」

まゆり「ええー……物を壊したりするのはまゆしぃ、反対だなー……」

岡部「これらの武器──いや、兵器はもちろんそれ自体に大量殺戮兵器としての性能は十二分に備わっているが、それだけではない」

岡部「交渉の道具としても使えるのどぅあ」

岡部「これらの大量破壊兵器を用いて必ずやこの世界を恐怖に陥れてやろうではないかフゥーハハハハッ」

???「興味深い物、作ってるんですね」

岡部「!? 誰だっ! 貴様は!」


紅莉栖「はじめまして、牧瀬紅莉栖です」

まゆりー「わー、女の子のお客さんだー」

ダル「え? マジで? おおう、すげー、マジだ! こんな陰気臭いところにおにゃのこ、それも美少女が来るとかありえなさすー!!」

紅莉栖「えっと、ここに鳳凰院凶真さんいますよね?」

岡部「おい、無断で入るな。後靴を脱げ」

紅莉栖「あ、失礼……」

岡部「貴様……ここが大魔王の根城と知ってて来たのか?」

紅莉栖「ええ、もちろん。あなたは……?」

岡部「知りたいか? 知りたいのだな? ならば教えてやろーう……」

紅莉栖「なんだかとても腹が立つんですけど……」

ダル「これはオカリンの通常運転だからスルーでおけ」

紅莉栖「はぁ」

岡部「俺は狂気の大魔王、鳳凰院凶真だ!!」 



 ブワッ



岡部(決まった。舞い上がる黒衣が最高にクールだ)


紅莉栖「鳳凰院──そう、あなたが……」

まゆり「本名はねー、岡部倫太郎って言うんだよー」

岡部「おいこらまゆりっ!」

ダル「鳳凰院なんちゃらとか長ったらしい名前よりオカリンの方が言いやすいだろ常考」

紅莉栖「なら私もちゃんと自己紹介しなくちゃいけないみたいですね」

岡部「む? なんだ貴様改まって……」

紅莉栖「改めまして私は牧瀬紅莉栖。一応、勇者やらせてもらってます」

まゆり「ええー!?」

ダル「は?」

岡部「なにぃっ!?」

紅莉栖「聞こえなかった? ならもう一度言ってあげようかしら?」

紅莉栖「勇者牧瀬紅莉栖です」

岡部「貴様がっ……勇者っ……!!」

岡部「クリスティーナか!!」

紅莉栖「ティーナじゃねーし!」


ダル「あおおーっ!」

岡部「どうしたダル、いきなり尻の穴に物が詰まったような叫び声を上げて」

ダル「ウホッ、ってそんな冗談は今はいいお、思い出したんだよオカリン!」

岡部「何をだ」

ダル「牧瀬紅莉栖、17歳で雷系の魔法を極めた天才少女だお!」

岡部「なぁにぃ? こんな人間の小娘がぁ?」

ダル「いやまじまじ、やばいってオカリン、牧瀬紅莉栖を怒らせたら雷が落ちるって!」

まゆり「ピカピカガシャーンって、なっちゃうのかなー?」

岡部「うぬぬぬっ……おっ、思ったより随分早い到着だったではないか勇者よ……」

ダル「どう見てもびびってます本当にありがとうございました」

岡部「いっ、いいだろう。この魔王の実力……その眼にとくと刻みつけるがいいー……」

紅莉栖「無駄な争いをするつもりはないです」

岡部「なに……?」


紅莉栖「あなたがエルフの少女を人質にしてここに幽閉しているのは分かっているんです」

岡部「む……」

まゆり「んー? もしかして、まゆしぃのことー?」

紅莉栖「えっと、あなたがまゆりさん……? 私が来たからもう安心してちょうだい。絶対あなたを救い出してあげるから」

紅莉栖「鳳凰院凶真さん、単刀直入に言わせてもらいます。大人しくその娘を解放しなさい」

岡部「別に幽閉などしておらん」

まゆり「そうだよー」

紅莉栖「え……?」

紅莉栖「かわいそう。ブレインウォッシュで思考を操られているのね……。狂気の大魔王を自称するだけあって汚いな魔王さすがきたない」

岡部「ええいっ! なにをぶつぶつと言っている!」

紅莉栖「こうなったら力づくでも連れて帰る必要がありそうね。その前に──」

紅莉栖「大魔王鳳凰院凶真! 私はあなたを倒します!」

岡部「──!」


岡部「クックククク……。面白い。実に面白い……」

紅莉栖「何がおかしいんです」

岡部「いやなに、やはり運命とはこうあるべきだと、思っていたのだよククク……フハハ」

まゆり「おおー、オカリン楽しそうだねー」

岡部「フゥーハハハハハッ」

紅莉栖「……っ! ちょ、うっさい……」

岡部「いいーだろう勇者クリスティーッンナよ、この鳳凰院凶真の狂気に当てられてただですむと思うな? 貴様はこれから煉獄を垣間見ることになる。ものの数分後にはたったひとりでここに乗り込んできたことを後悔するであろう……」

紅莉栖「この人話長くて嫌なんですけど、どうにかなりません……?」

ダル「無理だと思われ」

岡部「まずはダルッ! 邪悪なる悪魔にして、狡知にも長ける科学の申し子よっ! その叡智を持ってして目の前の愚かなる勇を蹴散らしてみせよ!」

ダル「悪いけど僕パス」

岡部「そこは快諾するところだろっ!!」


ダル「だってー、牧瀬氏っつったら底なしの魔力で雷落としまくる最恐勇者なんだぜ? その評判は雷をも凌ぐ早さで魔族界隈に広まってるっつーの」

岡部「ダルよ、お前が勝てばあの生意気そうな女は好きにしても良い。貴様が普段妄想しているであろうあんなことやそんなこともやりたい放題だぞ?」

ダル「マジで!? ぐふ……ぐふふ」

紅莉栖「ちょ! こっちみんな!!」

岡部「クックク、勇者よ、今貴様はこの男の脳内であられもない姿になっているぞ」

紅莉栖「な、何言っている! この城ごと吹き飛ばすわよHENTAI!!」

ダル「はっ──」

ダル「で、でも勝ち目もないのに挑むのは愚者の行いそのものだお。焼豚になるのはマジ勘弁」

岡部「おいダル! 貴様それでも俺の手下か!」

ダル「任されたのはガジェットの開発だけだっつーの。だからオカリン。炭になってこいよ」

岡部「くっ……」


紅莉栖「相談はもうおしまい? だったら早くかかってきなさい?」

岡部(ひぇぇ、顔は笑ってるけどなんかパリパリって放電してやがる!)

岡部「と、というか貴様! 1階はどうした! 1階には凶悪なるオーガ。ミスターブラウンが行く手を阻んでいたはずだ!」

紅莉栖「オーガ……? ああ、彼なら二つ返事で通してくれましたけど」

岡部「なにぃっ!?」

紅莉栖「あいにく俺は売り物の調整で忙しい。通るなら通んなって言ってましたけど」

岡部(あのタコ坊主ぅぅぅ!!)

岡部「い、いいいいいだろう! きっ、貴様にはこの魔王直々に相手をしてやろう。こ、光栄に思うのだな」

紅莉栖「ビビりすぎ……」

岡部「ふふ、貴様にはこの、魔王ガジェットたちの実験台になってもらおう!」


岡部「ガジェット1号機! ビット粒子砲!」

紅莉栖「道具……?」

岡部「いかぁにもぉ! だがこれは道具と言うには生ぬるい! 言わば兵器!」

岡部「その威力を身をもって知るがいい!!」

岡部「ぽちっとな」



 ドゴォォォォン



紅莉栖「…………え?」

岡部「ひぇっ……」

まゆり「わわわー、壁に穴が空いちゃったよー!?」

岡部(い、威嚇のためわざと外したのだが……)



 ビュゥゥゥゥ



岡部(直径1Mはあろうかという穴が空いてしまった。そこから風が吹きすさんでいる)


岡部(いやっ、こ、これ威力やばすぎるだろっ)

紅莉栖「や、やるじゃない……。さすがは魔王といったところかしら……」

紅莉栖(ちょ、直撃してたらただじゃすまなかったわね……)

岡部「おいダルゥ! これは一体……!」

ダル「これは一体って、オカリンの注文通りだろ常考」

ダル「短筒に光魔法を限界まで注入。極限まで圧縮された光子エネルギーを線状に変形して射出することによって威力を増幅する。オカリンが言ったとおりに作ったんだぜ?」

岡部「こいつ……天才か」

岡部(簡単に扱っていいシロモノではない。だが……)

岡部「ふ、ふはは……」

岡部「フゥーハハハ!!」

岡部「見たか勇者クリスティーナよ……」

岡部(言いつつ、さらに銃口を勇者に向ける)

紅莉栖「くっ……」


岡部「ククっ、無様だな。先程までの威勢はどこへいった勇者よぉ……」

岡部(ああ、なんだこれ。最高に気分がいいぞ?)

岡部「この魔王の力を刮目して怖気づいているのか? ん?」

岡部(壁に穴が空いてしまったのは痛手だが)

紅莉栖「お、怖気づいてなんか……」

岡部「気丈に振る舞わずともいい。正直になればいいのだ。この魔王に畏怖の念を抱いている、と」

岡部(これこそ俺の求めていたもの)

紅莉栖「シット……!」

岡部「その細剣でかわしきれるかな?」

ダル「あ、オカリンオカリン、言い忘れてたけど」

岡部「む?」


ダル「それ使えるの一回っきりな? その短筒に入る程度の魔力供給量だと威力と回数を両立するのは無理なんよ」

岡部「は?」

ダル「回数を増やすと威力が蚊も殺せないほどになるんでな。光子の量調節するのもマンドクセってなったんで一回こっきりの使用なんだわ」

岡部「いやいや、まてまて、ということは……」

ダル「1ヶ月禁欲してぶっぱしたはいいけど、もう一度充填するまでしばらくお待ち下さいっつーか、もはや使い物にならんっつーか」

岡部「すでにガラクタということではないかー!」

紅莉栖「ふふ……」

岡部「うっ……」

紅莉栖「なぁーんだ……。そういうことだったのね」

岡部「ひっ……」

岡部(気のせいか先ほどよりも一層ビリビリしてるぅー!)

今日はここまで
手足キンキンにひえるお


紅莉栖「覚悟なさい……」

岡部「というかダル! 一回きりしか使えんのであればなぜ数作らん!? これでは役に立たんではないか!」

ダル「いやだって、オカリンそんな指示してないし。つーか考えてもみろって。このラボの財政状況でそんな無駄に数作れるわけないだろ常考」

岡部「くっ……いつの時代も先立つモノは金……か。世知辛い世の中になったものだ」

紅莉栖「なに1人で納得してるのよ。来ないならこっちから行くわよ」

岡部「くっ! こうなったら! いでよっ、2号機タケコプカメラー!」

岡部「これは高精度CCDキャメーラ(使い魔)を搭載した竹とんぼ(切れ味抜群セラミック材質)を飛ばし敵をホーミング。さらに刃に切り刻まれるのを間近でスネークできるという極悪なシロモノだぁっ!」

岡部「食らえいっ! そしてその身に刻むが良い!」

ダル「あ、オカリン、2号機用の使い魔たんは今所用ででかけてるお」

岡部「なにっ?」

ダル「つまるところ、コントロール不可な件」



ギュウウウウン



岡部(俺は高く高く舞い上がる竹とんぼ、もといタケコプカメラーを眺めていた)

岡部(気づけば勇者クリスティーナが恐るべき殺気を放ちこちらをにらんでいた。

紅莉栖「ふざけとるのかおのれは……」

岡部「いっ、いやまて。これはほんのウォーミングアップだ。これから貴様の顔を恐怖にゆがめてやろう」

岡部「3号機!! もしかしてオラオラですかーッ!?」

ダル「それただの嘘発見器な。高確率で嘘を見分ける優れものだけど、実戦じゃ役に立たん罠。まあ、僕はオカリンの言いつけ通り作っただけなんだけど」

岡部「4号機!!! モアッド・スネークッ!!」

ダル「水系最強魔法をも凌ぐ超威力かつ広範囲。TSUNAMIが起きる。ただしこんなとこで使ったら巻き込まれる」

岡部「ごっ、5号機ぃっ!! またつまらぬものを──」

ダル「それ使用者の魔力に威力が左右されるんだが、オカリン程度の魔力じゃカス威力、お察しくださいな件」

岡部「6号っ──」

ダル「高密度・高威力の光の剣。けれど持続時間はお察し下さい。約6秒ほどで中折れ注意な」

岡部「7っ──」

ダル「人一人入れるくらいの光学迷彩ボールだけど……オカリンかくれんぼでもするんー? でもここで使ったってばればれだお」

岡部「はち──」

ダル「中範囲の強力な電撃を操る事ができる。けど使うとものすごい振動が城全体に響き渡るわけだが。結果1Fのブラウン氏がげきおこぷんぷん丸。これ実証済みな」


岡部「…………」

紅莉栖「…………」

まゆり「わぁー、ダル君すごいのたくさん作ったんだねー」

岡部「だぁーっ! これではまったく役にたたんではないかーっ!」

岡部「どれもこれも中途半端な性能のものばかり作りおってぇ……貴様それでもウィザード級のハカーか!」

ダル「全部オカリンの構想通り作ったんだぜ? 性能がお察しなのは現代科学じゃこれが限界ってこと。というかむしろここまで作った僕をほめてほしいのだぜ。それとハカーじゃなくてハッカーだし、そもそもハッカーかんけーし」

岡部「ダル! やっぱりお前がいけ! そこの高飛車な勇者を打ちのめせ!」

ダル「だが断るっつってんだろおらー!」

岡部「ぐぬぬぬぬぅ……」

紅莉栖「ここまでくると逆にかわいそうになってくるわね。というか哀れね」

岡部「そこっ! 勝手に哀れむな!」

紅莉栖「頼りにしていた道具が思っていたような効果が出ないと分かった時、どう思った?」

紅莉栖「ついでに言えば従えるべき手下にいとも容易く頼みを断られてどんな気持ち? ねえ今どんな気持ち?」

岡部「うぐぐぐぐぐ……」

紅莉栖「科学とかなんとか言ってるけど、所詮はただのお遊びも同然じゃない。科学を口にするなんて100年は早いわね」

岡部「ぐぬぬぬぬぬっ……おのれ言わせておけばぁぁっ」


岡部「こうなったら……」

岡部「ガジェット8号機っ! 電話レンジを強引に実戦投入してやるっ!!」

ダル「お、オカリンマジ? それ使ったらブラウン氏が乗り込んで来るんだお?」

岡部「背に腹は変えられん。というかむしろ、いざとなったらあのタコ坊主を抱き込んでしまえばよいのだぁ……」

ダル「そう上手くいくん? 問答無用でオカリンの脳天にゲンコツ直撃までオチが読める気がするんですが」

岡部「無謀と笑いたくば笑え……俺は狂気の大魔王……」

岡部「鳳凰院凶真だっ!!」



ブワッ



まゆり「ねーねーオカリン。電話レンジちゃん使うなら、ついでにからあげあっためても、いいかなー」

岡部「まゆりよ……ここは自重してくれ」

紅莉栖「あーもう。来るならさっさとしなさいよバカ岡部」

岡部「なっ──」

岡部「貴様、この俺を岡部といったな……?」

紅莉栖「悪い? つーか戦う気がないなら一方的な虐殺をさせて頂くまでだが」

岡部「うぐぐぐ……クリスティーナめ……そこまで言うならいいだろう! この俺を岡部と呼んだことを後悔させてやろう……!」

ダル「オカリンの小物臭が半端無くて全俺が泣いた」

岡部「いけ! 電話レンジよ! その身に宿す雷神の息吹を持ってして全てを焼き尽くすのだっ!!!」



ゴゴゴゴゴゴゴ



まゆり「わわー! 地震ー!?」

ダル「違うおまゆ氏、これが電話レンジ起動時の振動」


まゆり「ゆゆゆれれれるるるよよよーー」

ダル「オウフ、これは胃の中がシェイクされすぎて吐き気が……うおぇっぷ」

ジジジジジ

岡部「きたっ! 放電現象! フゥーハハハハハ!!」

紅莉栖「!?」

岡部「轟けっっ! 止むことを知らぬ雷雲が鳴り響く地獄に駆け巡るいかずちよっっっ!!」

紅莉栖「くっ」

岡部(天変地異のごとく振動を巻き起こしながら、触れるものすべてを切り裂くと錯覚するほどの鋭さを持ちつつその稲光は勇者に向かっていった)

岡部(クリスティーナは一瞬にして黒こげになった)


岡部(と思っていた)

岡部(が、しかし──)

紅莉栖「…………」

岡部(電話レンジはすべてのエネルギーを放出したかのように静まった。放電現象はすでに止んでいる)

岡部(電撃はどこにいったのやら、跡形もなく消え去ってしまったかのように辺りは静まり返っていた)

岡部(気づけば紅莉栖が右の手のひらをこちらに向け、腕を掲げて立ち尽くしていた)

岡部(右の手首に左手がそえられており、手のひらからは煙が出ている)

岡部(こっ、これではまるで……)

紅莉栖「ふぅー、危なかった……」

岡部「きっ、貴様何をしたぁっ!」

紅莉栖「魔法で同程度の電流をぶつけて相殺したのよ」

岡部「なん……だと……」


岡部「そんなことが……可能なのか? 人間風情の魔力で……?」

紅莉栖「側頭葉に蓄積された記憶に関する神経パルス信号の解析」

岡部「は?」

紅莉栖「だから、人間の脳内を行き来する電気信号を科学的に解析した結果、魔力との融合性が非常にマッチしていることが判明したのよ」

紅莉栖「人の頭の中を走るただの微弱な電気信号が、魔法の力を何倍、いえ、何十倍にも増幅する」

紅莉栖「私はその微弱ながらも強力な電波信号のパターンを解析し、どうイメージすれば魔力が増幅するかを完璧にパターン化したのよ」

岡部「日本語でおけだ……」

紅莉栖「オーケイ。だったら三行で説明してやる」

紅莉栖「脳の電気信号操る」

紅莉栖「魔法出す」

紅莉栖「威力が跳ね上がる」


紅莉栖「言わば科学と魔法の融合。あんたがやってるお遊び科学と違って、なかなか侮れないわよね、科学というのも」

ダル「失敬な。僕のはお遊びじゃないお。それを扱うオカリンが悪いんだお!」

岡部「くっ、よく分からんが色々とまずいのだけは悟った」

ダル「だから言ったんだお……」

紅莉栖「さて、小便はすませたか? 神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタふるえて命ごいをする心の準備はOK?」

岡部「おのれぇ……好き放題言いおって……。ええい、こうなったら……」

岡部「フゥーハハハ、勇者クリッスティーッナよっ! いまさらだが、ここにはひとぉりで訪れたのか?」

紅莉栖「は? なによそれ。また話そらすわけ? いい加減覚悟決めて黒こげになるか、人質を解放するか、どちらか選びなさい」

岡部「大事なことだ勇者よ……貴様もしや、仲間を集めずにぼぉっちでここまで辿りついたのか……」


紅莉栖「なっ──」

岡部「その反応、もしやと思ったが、やはり……」

紅莉栖「ち、違うわよ! べっ、別に仲間とか私の実力なら必要ないし……」

岡部「自分の心に正直になれ? さあ、言ってみるが良いー。私は一人旅はしたくありませんでしたが、だーれも一緒についてきてくれる人が、いませんでした、と」

紅莉栖「ちょ、何勝手に想像してる! いい加減にしないと、本当にこの城ごとふっとばすわよ!」

岡部(わー。ちょっといじりすぎたか?)

岡部「ま、まあ待て勇者よ。貴様も1人でこの魔王に挑んで惜しくも惜敗、とあらば甚だ不本意であろう」

紅莉栖「はぁ?」

岡部「そこで、提案がある」

岡部「この場はいったん引き分けとし、後日改めて死闘を繰り広げるという方向で是非検討してもらいたい」

紅莉栖「なにいってんだこいつ」


岡部「フゥーハハハ、再びまた相まみえるときまでに、四天王を召集しておくから、貴様も存分に仲間をかき集めてくるが良い!!」

紅莉栖「そんなのどうでもいいから今すぐ死ね。氏ねじゃなくて死ね」

岡部「わー話を聞いていたかウェイウェイウェイ!!」

天王寺「こら岡部!!」

岡部「おわー! みみみ、ミスターブラウンではないかぁっ!」

紅莉栖「!?」

天王寺「てめえ、また城揺らしやがって!! 揺らすなっつーのに何べん言わせんだ殺すぞタココラ」

紅莉栖(1階にいたオーガね……。さっきは遠目で後ろ姿しか見てないけど、間近で見るとすごい迫力じゃない……)

岡部「わーっ、待て待て待て、今のは確かにこの俺の仕業だがそれ以前についてはダルの実験のせいだから俺はかんけいな──」

天王寺「なぁに?」

ダル「ぼ、僕はオカリンの指示に従っただけだお……」

紅莉栖(てゆっか、おっきぃ~。身長いくつあるのよあれ)


天王寺「おら、やっぱりてめーが悪いんじゃねーかよ」

岡部「いやっ、ほんとに待て! いや待ってください! これについては深いわけがありましてですね!」

天王寺「あぁーん? 言ってみろや。返答次第ではお前を殺す」

岡部「ごほん。そ、それでは説明いたしましょう」

岡部「あの高飛車で傲慢そうで偉そうな女をご覧いただきたいー」

天王寺「あ? あの嬢ちゃんがどうしたって?」

紅莉栖(ひっ、お願いだから睨まないでー)

岡部「やつは勇者クリスティーナ。電撃魔法を操る歴代の猛者である」

天王寺「それがどうしたってんだよ」

岡部「今の振動……この電話レンジで電撃を発生させるための下準備、いや初動というべきか……」

天王寺「あ? ってことはつまり……」

岡部「そう。やつの電撃と、俺の電撃。どちらがいかに優れたものであるか、それを決定づけようとしていたのだ……」

天王寺「あの嬢ちゃんも、今の揺れに加担してるってことか?」

紅莉栖(わぁっー、ちょっとちょっと何言ってくれちゃってんのバカ岡部!)


岡部「どうだミスターブラウン。歴史に名を刻む偉大な実験であろう?」

紅莉栖(あんなの相手にしてたら分が悪いわ、ここはひとまず──)

紅莉栖「そ、そうね! 岡部の電話レンジ! 振動はすごかったけど、威力も大したものだったし、あれなら実用性があると思う! うん!」

天王寺「つーかやっぱりてめーも悪いんじゃねーか!」

岡部「ひぃっ!?」

天王寺「さっきの揺れでせっかくのラーメンがパァだ。おめーら俺の昼食を台無しにしやがって」

岡部「わわわわわ、その振り上げた拳は世界のための平和のために振り下ろすべき──」



ゴッチン



岡部「あだーっぅ──」

まゆり「わーっ……いたそー……」

ダル「オカリン、安らかに眠れ……」

岡部「あぐぐぐぐ……」


天王寺「さて、お次は嬢ちゃん、おめーの番だが詫びの1つでも入れる時間はくれてやる──」

天王寺「ん? いねーじゃねーか……」

岡部(なっ──)

ダル「あらー」

まゆり「ほんとだー、いつの間にー」

岡部(あ、あいつめ、恐れをなして逃げおったな?)

岡部「ふ、ふふふ、フゥーハハハ! どうだぁ、これが四天王の恐ろしさなのどぅあ」

天王寺「うるっせぇ!」

岡部「あだっ……いたい、痛いです!」

天王寺「あの嬢ちゃんが姿をくらませたから、今のはその分な」

岡部(そんな横暴な……)

天王寺「今度揺らしたら本当にその頭つぶすかんな、いいか、わかったな」

岡部「はい……今日はもう揺らしません……」

天王寺「ったく……」


岡部(ぶつくさいいながらミスターブラウンは1階への階段を下って行った)

岡部「…………」

まゆり「オカリーン、だいじょーぶー?」

岡部「くっ」

岡部「クククッ……」

ダル「お、おう……?」

岡部「恐れいったかクリスティーナよ……」

岡部「これぞオペレーションブラウン。みぃごとに作戦はその効果を果たしたなフハハ」

ダル「オカリン、涙拭けよ」

岡部「また来るが良い勇者よ。その度に貴様は絶望することになる。この俺狂気の大魔王鳳凰院凶真の恐ろしさにな」

まゆり「こうなったオカリンはもう話を聞かないのですー」

岡部「フゥーッハッハッハッハ──」

岡部(あだだ……頭がいたい……自分の笑い声で頭痛がする)

今日はここまで
雨すげー


その夜。御茶ノ水タウンの酒場にて。



紅莉栖「はぁ……」

紅莉栖(あのままオーガとの戦闘になってたらどうなってたかしら)

紅莉栖(普通の人間や一介の魔族程度なら一瞬にしてケシズミに出来る自信はあるけど……)

紅莉栖(あのオーガ相手だときっと私の電撃魔法一発だけじゃ通用しない。そうなればアウト)

紅莉栖(問答無用の徒手空拳で殴られてゲームオーバーね……)


紅莉栖「はぁ……」

紅莉栖「という訳で仲間を探しに酒場まで来たんだけど」


ガヤガヤ


紅莉栖(くっ、孤高の勇者を貫いてきたから仲間なんてどう誘えばいいのか分からないじゃない!)

紅莉栖(ああもうっ! ここにきてあの厨二病の言ったとおりになるなんて悔しい!)

紅莉栖(思い出したらまた腹が立ってきた)



紅莉栖「私は決してぼっちなんかじゃないんだからな!!」


ザワッ


紅莉栖「あっ」



ザワザワ


紅莉栖「し、失礼しました……」

紅莉栖(あんのバカ岡部のせいで恥までかいたじゃない全く……)

紅莉栖(あーもうこうなったらヤケ酒ね)

???「ニャフフ」

紅莉栖「ん?」

紅莉栖「ええっと、あなたは……いきなり相席なんて……一体どういう──」

フェイリス「ひとり酒は酔いが回りやすくなるニャン。ここはフェイリスと一緒に飲むニャ」

紅莉栖「そう、お気遣いありがとうございます。でも今はひとりで飲みたい気分なので……」

フェイリス「そんニャつれないこと言わずに~。ほらほら、どうぞ、ニャ」

紅莉栖「ちょっと、何勝手についでるのよ。っていうか大体あなた一体誰なの?」


フェイリス「フェイリスはフェイリスニャ」

紅莉栖「いや、そういうことじゃなくて……」

フェイリス「クーニャンは仲間を、探してるのニャ?」

紅莉栖「クーニャンってなんぞ……」

フェイリス「牧瀬紅莉栖だからクーニャンニャ」

紅莉栖「っていうか、何で私の名前……」

フェイリス「クーニャンは有名人だから誰が知っててもおかしくないのニャ」

紅莉栖「ふむん、そっか……」

フェイリス「話を戻すのニャけど、仲間を探してるのニャ?」

紅莉栖「べっ、別にぼっちとか、そんなんじゃないんだからな!」

フェイリス「ニャニャ? フェイリスはそんニャこと一言もいってないニャ」

紅莉栖「うっ」(墓穴を掘ってしまった)


フェイリス「どうかニャ? フェイリスはギアナ高地で修行を積んだ徳の高い魔術師だニャ。仲間にしておいて損はないと思うのニャけど」

紅莉栖「はあ」

フェイリス「大魔王に挑むのニャら、それ相応の準備は必要ニャ」

紅莉栖「どうして……それを……」

フェイリス「フェイリスは王宮直属の十二魔術師の1人でもあるニャ。王宮は今その話題で持ちきりニャ」

フェイリス「孤高の勇者、1人きりで大魔王鳳凰院凶真に挑む、ってニャ」

紅莉栖「だからぼっちじゃないといっとろーが!」

フェイリス「フニャア……大きい声出さないでほしいニャ~。耳に響くニャア」

紅莉栖「あ、ご、ごめんなさい……」

???「その話、聞かせてもらったよ!」

フェイリス「むむっ!」

紅莉栖「?」


鈴羽「あたしも仲間に入れてよ」

フェイリス「フェイリスたちの精霊会議を盗み聞きするニャンて……何者ニャ!」

紅莉栖「いつの間にそんな名前になったおい……」

鈴羽「聞くつもりはなかったんだけど、耳に入っちゃってね。にっくき大魔王鳳凰院凶真の名前がね」

紅莉栖(自分で言っておいて自分で歯を食いしばってるわこの人……)

紅莉栖(また変な人が来ちゃったわね。あーもう飲んじゃお)

鈴羽「ねえお願い。あたしも一緒に連れて行ってよ。あたしは体術には自信がある。数多くの武術も、浅くではあるけどかじってるし、きっと大魔王討伐に役に立つからさ」

フェイリス「ニャフフ、フェイリスたちの仲間に入りたいのなら、血の盟約を交わす必要があるのニャ」

紅莉栖(あんたはいつ仲間になったんだ)

鈴羽「血の……盟約……?」

フェイリス「そうニャ。これから旅を共にするにあたって、信頼関係は必須。それを呪いという形で強制的に築くのニャ」

紅莉栖(旅っつっても、岡部の城はここから1日もあれば着くわけだが)


鈴羽「具体的には……どうすればいいの?」

フェイリス「ちょっと待つニャ」


ゴソゴソ


フェイリス「これを……飲むニャ」

鈴羽「これは……」

フェイリス「古来より伝わりし古の媒体液だニャ。これを飲めば3人の結託はその魔力によりずっと強いものに生まれ変わるのニャ」

紅莉栖(毒々しい赤ね。絶対飲みたくない)

鈴羽「な、中々刺激的な色してんじゃん……」

フェイリス「大丈夫。死にはしないニャ」

鈴羽「じゃ、じゃあいくよ!」


ごくごくごく


紅莉栖(うわぁ、半分もいったー!)

鈴羽「…………」


鈴羽「おいしい……」

紅莉栖「えっ」


ごくごく


鈴羽「ぷはぁーっ! いける! いけるよこれ!」

フェイリス「ニャニャ! 呪いの媒体液をいとも容易く飲み干すニャんて! スズニャン! 恐ろしい子!」

鈴羽「もういっぱい!!」

紅莉栖「そんなに……おいしいの?」

フェイリス「ニャフフ、クーニャンも興味が湧いてきたかニャ?」

紅莉栖「そ、そんなわけ……」

フェイリス「はい。まだまだ充分にあるのニャ」

紅莉栖「うぅ……」(毒々しい赤。どう見ても血液です。本当にありがとうございました)


フェイリス「じゃ、かんぱーい!」

鈴羽「かんぱーい!」

紅莉栖「呪いの道具で乾杯ってどうなんだ」

フェイリス「細かいことはいいから、早く飲むニャ!」

紅莉栖「え、ええ……」


ちびちび


フェイリス「お味はどうかニャ?」

紅莉栖「おいしい……」

フェイリス「でしょでしょー!」

紅莉栖「けどこれ。お酒じゃない! ただのレッドアイでしょ!」

鈴羽「うぇーい!」

フェイリス「細かいことはいいのニャ! ほらほら、一気にいくのニャ」

紅莉栖「ちょちょちょっと! 押さないでよぼごぉ」




時は流れ。



紅莉栖「あーーーーもうーーーーーやってらんないわよーーーー」

鈴羽「あっはっは、牧瀬紅莉栖ひとりで酔っ払いすぎー! 顔歪んでんじゃーん!!」

紅莉栖「ひとり? だから私はぼっちじゃないといっとろーがっっっ」

鈴羽「墓地!? あはは! 牧瀬紅莉栖っておもしろーいー!」

紅莉栖「ちーーーっともおもしろくないわよう、もうーーー」

フェイリス(ちょっと飲ませすぎたニャ……。2人ともべろんべろんで面倒だニャ)

フェイリス(でも酒場の店主との契約ノルマは達成、2人とも予想以上に飲める口だったのニャ)

フェイリス(ニャフフ、フェイリスは商才もあるのかもしれないニャ。これを機に転職でもしようかニャ)

紅莉栖「あ゛ーーもう! あんのバカ岡部からまゆりさんを助けだすだけっていう簡単な話なのに、四天王とか、オーガとかでしゃばってきて。もうバカなの!? 死ぬの!?」

鈴羽「あはははははは」

???「…………ぁの」


フェイリス「さてさて、フェイリスはそろそろお暇しようかニャ。仲間探しはまた明日ニャ。はい、2人ともお水飲むニャ」

紅莉栖「ああーー悔しいーーー。あいつの話に乗せられてまた後日とかもうやだーーーー」

鈴羽「ごくごくごく。ぷはーー! このお酒もおいっしいねー!!」

フェイリス「スズニャンそれはお水ニャ」

???「…………あの」

紅莉栖「あの時の私に言ってやりたい! すぐに方をつけろと! 温情をかけるなと! 迂闊な真似をするなと!」

鈴羽「うおえっぷ……飲みすぎた……」

フェイリス「ほらほら。吐くならお手洗いに行くニャ」

???「あのっ」

紅莉栖「んんん?」


るか「えっと……あの……」

鈴羽「あうあうあう」

フェイリス「どうしたニャ?」

るか「えと、その……ボク、漆原るか、と言います……で、あの……」

フェイリス「見たところ、神職っぽい格好をしているみたいニャけど、そんなルカニャンがこんなところで何をしてるのニャ?」

るか「それはその……お姉ちゃんを迎えに来ていたんですが……」

フェイリス「クーニャンクーニャン、悪いのニャけど、スズニャンを介抱してあげてニャ」

紅莉栖「ええ、なんで私がーー」

鈴羽「き゛も゛ち゛わ゛る゛い゛よ゛ー」

紅莉栖「ああもう。早くこっちきなさい……」

鈴羽「ひゃい……」


フェイリス「で? 何か用ニャ?」

るか「……まゆりちゃんを助ける為に、大魔王に戦いを挑むって話が聞こえてしまって……」

フェイリス「ニャニャ! フェイリスたちの精霊会議を聞いていたのかニャ!?」

るか「すっ、すみませんすみません! ボク、盗み聞きとか、そんなつもりはぜんぜんなくて!」

フェイリス「で、それがどうかしたのかニャ?」

るか「えっと、ボクとまゆりちゃん、実はお友達なんです……」

フェイリス「友達? でもクーニャンから聞いたところによると、マユシィはエルフなのニャ」

フェイリス「昔からエルフって言えば魔族はおろか、人間からもずーっと迫害される立場にあったニャ」

フェイリス「大魔王が現れてからここ数年は、弱いものいじめしてる場合じゃないって、みんな気づいて、一致団結してきたみたいニャけど……」

フェイリス「それでもエルフは人里には極力出てこないし、人間をはじめとして他の種族を極端に恐れる種族のままニャ。それが友達だなんて……」

フェイリス「もしかして、ルカニャンも、その……エルフなのかニャ?」


るか「いえ……。彼女は……その、エルフで、ボクは人間ではあるんですけど……」

るか「なんだか、まゆりちゃんとは不思議と波長があって……、お互い隠れてですけど、遊んだり、話したりしていたんです……」

るか「ボクも、人間社会の中で、あまりしゃべる方では、ないですから……。境遇が少し、似ていたのかもしれません……」

フェイリス「フニャア、種族を超えた友情! 美しい、美しいのニャ!」

るか「あ、で……話はそれましたけど、もしフェイリスさんたちが大魔王の城に行くなら、ボクも連れて行ってもらえないかなーと、思いまして……」

フェイリス「ニャフ、それはつまり、フェイリスたちのパーティに加わるということかニャ?」

るか「はい……よければ、ぜひ……ボクもまゆりちゃんを助けるために、力になりたいんです……!」

フェイリス「フェイリスは別にいいのニャけど、大魔王に挑むには危険が伴うニャ」

るか「ボク、多少ですけれど、治癒魔法には心得があります……。それくらいでよければ……力に、なれます……!」

フェイリス「ニャニャ! 貴重なヒーラーかニャ! それは大歓迎だニャ!」


フェイリス「もう共に戦う同志集めはこれで十分かニャ」

るか「あ、でも、パーティに加わえていただくためには、血の盟約……というのが必要なんですよね……?」

フェイリス「ニャフフ、良く理解しているのニャ……、ルカニャンには早速これを……」


うぇぇぇぇっ……!
わぁぁぁっ、もう! 吐くならここ!


フェイリス&るか「…………」



フェイリス「血の盟約は、別に必要ないニャ。もう品切れニャ」

るか「は、はい。そういっていただけると、助かります……」



こうしてフェイリス。鈴羽。るかが紅莉栖のパーティに加わったのであった。




で、翌日。



岡部「フハハ。よくきたな勇者たちよ」

まゆり「わー、大所帯、だねぇ~」

ダル「び、美女がいっぱい……全員おにゃのこのパーティとか百合すぐる、サイコー!!」

紅莉栖「不本意だけど、あんたの言ったとおり仲間を集めてきたわ。今日は覚悟なさい」

岡部「いい意気だ勇者よ。だぁが、ン拒否するゥ。この大魔王を相手するにはまだ、はやぁい!」

紅莉栖「なんですって!?」

岡部「言ったであろう! こちらも同様に、四天王を召集しておく! と!!」


フェイリス「ニャニャ! 四天王!?」

紅莉栖「ちょっとフェイリスさん、なに目を輝かせてるのよ……」

岡部「まずは一人目ぇっ!!」

岡部「闇の奈落より這いい出し、漆黒の魔闘家!」

4℃「ククッ、俺は黒に染められ闇の貴公子」

岡部「よんどしー!」

4℃「シドだっつってんだろがぁ!」

岡部「名前などどうでもいい! さっさと勇者一行を倒すのだ!」


4℃「ったく、人づかいのあれぇ魔王様だぜ……だがそんなヘビーなワーキングにも関わらず、この俺、闇の孔雀4℃は跳躍を止めない」

4℃「さながらそれは、愚民どもを天から見下ろす闇の始祖鳥」

4℃「矮小なる大地で蠢く虫けらどもをあざ笑う、堕天使」

紅莉栖「なんかこいつうざったいわね」

フェイリス「激しく同意ニャ」

るか「言ってる意味が……よくわかりません……」

4℃「フッ、人間風情がこの高等なラングウェッジを理解できると思うなよ?」

岡部「俺にもよくわからん」

鈴羽「うぅ、気持ち悪い……」

4℃「!? くっ……この俺を目の前にして気持ち悪いだと!?」

4℃「言うことにことかいて、このブリリアントな俺の格好がキモイだとぉ!?」

紅莉栖「そこまでは言ってないと思うんだが……」


鈴羽「うぅー、かんっぜんに二日酔いだよ……」

4℃「ちくしょう、テメェら、なめやがって……。いいだろう、御託はいい。さっさと掛かってきな。千の言葉より残酷な俺という説得力を魅せつけてやるぜ」

紅莉栖「御託を言っていたのはどっちだ」

岡部(おぉ、クリスティーナの手に電流が。あれはかなり苛ついているな)

4℃「3秒だ。野郎を倒すのも女をオトすのもな。来いよ、何処までもクレバーに翻弄してやる」

紅莉栖「ええいいちいちうっさい。いくわよ! サンダー!!」

4℃「ぐっ!」


紅莉栖「サンダラ!」

4℃「うおっ! きっ、効くじゃねぇか……。だがまだまだだ。この瞬間、世界の中心は間違いなく俺!」

紅莉栖「サンダガ!」

4℃「くっ、こざかしいっ!」」

フェイリス「フェイリスも加勢するニャ! 奥義! グランドジャッジメント! ニャ!」

紅莉栖(想像以上に強力な炎系魔法! フェイリスさん、できるっ!)

4℃「ちょ、まっ」

ダル「おおー! あの猫耳メイド、フェイリスたんって名前なのか、まじマブー!」

紅莉栖「ここで一気にきめる! ライデイン! ギガデイン! ミナデイン!!」

4℃「ぐぁぁぁぁーっ」

紅莉栖「これで止め!! サンガー!!」



ぷすぷすぷす


まゆり「ああーっ! 4℃さんがー、もっとー、まっくろにー!」

4℃「えっ、エレガントに舞い……クレイジーに酔う……」

4℃「こ、この俺はストリートで死ぬために生まれてきたのかも……しれ……ない……」


どさっ


4℃「」

紅莉栖「どう見ても魔王の城です、本当にありがとうございました」


岡部「うぐぐぐぐ……」

紅莉栖「さて、一人目は余裕の撃破だったわけだが? 言っとくけど容赦する気はないから」

岡部「おっ、おのれいクリスティーナ!」

紅莉栖「だからティーナじゃねーし!」

岡部「いいだろう! 二人目!!」

岡部「いでよ! セイレーンの、シャイニーーーーーング!」

岡部「フィンガーーーー!!」

萌郁「…………」

紅莉栖「はっ! な、なんて禍々しい気なの……」


萌郁「…………シャイニングフィンガーじゃない……桐生、萌郁……」

フェイリス「ニャニャ! あのセイレーンからはとてつもない魔力を感じるニャ!」

るか「はい……神職のボクですら、体が震えて止まらないくらいの気を纏って、います……」

鈴羽「うー……吐き気が……」

紅莉栖「なんかこう、鬱々しいオーラが……半端無いわね……油断したらこちらまで冥界まで引き落とされそうになるんじゃないかしら……」

萌郁「…………」

萌郁(FBFBFBFBFBFB……)


紅莉栖「うぅっ、なにこれっ……」

るか「あ、頭が……痛い……です!」

フェイリス「ニャウゥウ!!」

鈴羽「うぅっ、ぶりかえしてきたぁぁ……き゛も゛ち゛わ゛る゛い゛、は゛き゛そ゛ー」

萌郁(FBFBFBFBFBFB……)

紅莉栖「こいつ直接脳内に……!」

萌郁(FBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFB)


紅莉栖「あぁっ……!」

フェイリス「ウニャアアァ! 頭がぁっ!」

るか「わっ、割れるぅぅ!」

鈴羽「あうあうあう」

萌郁(FBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFB)

紅莉栖「こっ、このままじゃ……やら……れるっ──」

岡部「だぁっー!!! やめんか指圧師ぃ! ストップストーーーーップ!!」

萌郁「…………ん」


紅莉栖「はぁっ……はぁっ……」

フェイリス「と、止まったニャ……?」

るか「うぅっ……まだ、くらくらします……」

鈴羽「」

萌郁「どうして、止めるの」

岡部「ええい、指圧師よ。貴様なぜ俺にまで精神攻撃を加える!!」

萌郁「…………」

岡部「標的は奴ら勇者どもだ! あの4人だけで良いのだ!」

萌郁「だって……」

萌郁「的、絞れない……もの」

岡部「なにぃぃっ!?」


岡部「って、はっ──」

岡部「よく見ればまゆりとダルも悶絶してるではないかぁっ!」

まゆり「あううー、オカリーン、まゆしぃはふらふらなのですー」

ダル「ああぁぁあー、えろいおねーさんの耳元囁きボイスいいよぉ……もっと囁いてくれておkだよぉ……」

岡部「ぐっ、おのれ……これでは意味がないではないかぁ!」

萌郁「そんなこと、言われても……」

岡部「うまく作用する人物1人だけに集中できんのか、例えばあの高慢ちきな小娘の勇者だけ、とか……」

紅莉栖「あんたね……」


萌郁「やって、みる」

萌郁(やっほー、牧瀬さーん。萌郁だよー☆聞いてる聞いてるー?)

萌郁(歳は20、フリーター。誕生日は6月6日だよー、覚えやすいでしょー?)

萌郁(身長は167! 体重は、最近太っちゃったから内緒><)

萌郁(牧瀬さんってスレンダーだから羨ましい! ちょっと分けてあげたいな♪)

紅莉栖「あああああぁぁっ!!」

るか「牧瀬さん!?」

フェイリス「クーニャン!?」


萌郁(牧瀬さん、聞こえてるよね? 私の話聞いてくれてるよね?)

紅莉栖「くっ……」

萌郁(聞こえてるみたいだね☆じゃあ続き♪)

萌郁(えっと、最近ホント太っちゃって、この間も胸のボタンがはじけとんじゃったんだよー、もう信じられなーい)

紅莉栖「いやぁぁぁぁあぁ!!」

萌郁(あ、そうだ。着れなくなっちゃった服上げるからサイズ教えて? ええっと、牧瀬さんの体型だと……)

萌郁(うん、私が中学生の頃の服だったら、ぴったりかな♪)

紅莉栖「ごっふぅぅっっ」

フェイリス「ニャニャ!! クーニャンが吐血したニャ!!」


萌郁(あとあと押し入れの中に使ってない下着がいっぱい──)

岡部「ええいスタップ、スタアアアーーップ!!!」

萌郁「…………なに」

岡部「もういい、もうよせ……」

萌郁「今度は、ちゃんと、牧瀬さんだけに、集中して思念を届けた、はず」

岡部「…………ああ、そのようだ」

岡部「だが俺にも聞こえてぞ!?」

萌郁「…………っ」

岡部「お、女同士だからといって、その……胸の話や下着の話なんぞしよって……」

紅莉栖「」

岡部「き、聞いてるこっちが恥ずかしいではないかぁー」


萌郁「…………やだ、聞こえてた……の」

萌郁「はず……かしい……!」

岡部「お、おい指圧師……?」

萌郁「いやぁぁぁーーーっ!!」

まゆり「はれー……行っちゃったー」

ダル「ちょ、オカリン。おにゃのこ泣かすとかマジサイテーキワマリナイキチクハラヲキレー」

岡部「いやいや、俺はただ、忠告をだな……」

紅莉栖「くっ」

紅莉栖「せ、セイレーン……恐ろしい敵だったわ……」

るか「ま、牧瀬さん、今回復魔法、かけます……」


ぽわぽわ


紅莉栖「サンクス、助かる」

岡部「くっ、おのれ回復魔法とは、卑怯な……」

今日はここまで
間が空いてしまい申し訳ない!


岡部「だが次の四天王はそう簡単には突破できまい」

紅莉栖「とか言って、あいつは四天王の中でも最弱……的なポジションなんだろ?」

紅莉栖「流れ的に筋肉バカといったところか……」

岡部(だいたいあってる)

岡部「ククッ、が、はたして力量の方はどうかな? さあ出番です。ミスタアアアアブラウウウウウン!!」

まゆり「おー、ブラウンてんちょーさん?」

ダル「うそ!? マジ!? ブラウン氏がオカリンの言うことを素直に聞くとは思えない件」

紅莉栖「やっぱり……昨日のオーガね」

フェイリス「ニャニャ、この耳がひくひくするほどのプレッシャーは一体、なんニャ!」

るか「すごく……大きいです……」

鈴羽「」


岡部「フッ、この大魔王に掛かれば、暴虐の神であるミスターブラウンを懐柔するなど赤子の手をひねるようなものよ」

天王寺「おう岡部、言ったとおり若い娘がいっぱいいるじゃねえかよ」

ダル「おおう、人間の娘なんぞに興味のなさそうなふりして……ブラウン店長のむっつりー」

天王寺「うるっせぇ! 俺だって、男だからよ。たまにはわけー娘たちと、話がしてえのよ」

岡部「クク、というわけだ。破壊衝動のみを己が内に秘めてるかと思いきや……」

綯「お父さん……不潔……」

ダル「おお、綯ちゃん氏!?」

天王寺「な、綯!? おいおい、お前の出番はまだだろう?」

まゆり「もしかしてー、綯ちゃんも四天王さんの1人なのかなー?」

岡部「察しがいいなまゆりよ。その通りである」

綯「私だってしてんのーの1人だよ?」


天王寺「いやだから、人間たちなんて俺がぜーんぶ、まとめて相手してやるから、綯はうちでゆーっくり待ってればいいんだよ……」

岡部「戦力になるとは言いがたいが、ミスターブラウンが倒れれば次は小動物の出番。となれば、彼のことだ。親バカっぷりを発揮してその戦闘力は何倍にも膨れ上がる。圧倒的火力を食らおうが、即死魔法を食らおうが不屈の精神で蘇るであろう。それを見越してのことだッ!!」

天王寺「さあおめーら。おっぱじめようじゃねーか……体と体の会話<ぶつかり合い>ってやつをよ」

紅莉栖「くるっ……!!」

岡部(おぉ、なんというすばやい動きだミスターブラウン)

天王寺「おらよっ!!」


ドドーン


紅莉栖「くっ」

フェイリス「ニャアアウウ!」

るか「わ、わわーーーっ!」

鈴羽「」

岡部(ミスターブラウンのゲンコツ攻撃によりパーティは四散。各自ばらばらにふっとんだ)

岡部(直接被弾はしてないものの、その衝撃は計り知れないだろう。ちなみに床はえぐれてる)

岡部(ううむ。なんという馬鹿力)


まゆり「すっ、すごーい……」

ダル「ブラウン氏、敵に回したくない男だぜ……」

天王寺「へへっ、逃げまわってるだけじゃつまんねぇだろ?」

紅莉栖(こっちにくる! それならっ)

天王寺「おら、根性見せろや!!」

紅莉栖「最大出力! 超電撃魔法! サンダジャァァ」

岡部「うおおっ」

ダル「ひえええっ」

天王寺「むむっ!!」


ドドドーーーン


紅莉栖「はぁっ……はぁっ……」

岡部(揺れる魔王城、視界を防ぐ大量の煙、迫り来る熱量)

岡部(俺はひょっとしてとんでもないやつを相手に回していたのかもしれない)


フェイリス「や、やったかニャ!!?」

るか「すごい……」

鈴羽「うおぇ……、胃がかき乱される……」

岡部(やばい。なんという出力だ。あれではミスターブラウンもひとたまりもないであろう……)

綯「おっ、おとーさーん!!」

岡部(やがて晴れていく煙。そして恐らくその先にはミスターブラウンが黒焦げに──」

綯「ううう……」

天王寺「…………」

岡部「って!」

天王寺「ふぅっ……やるじゃねえか。今のは痛かったぜ」

天王寺「強力な電気か……生まれた時から浴びてたぜ。家庭の事情でね」

紅莉栖「なっ──!?」

るか「う、うそ……」

フェイリス「ニャニャ!? 魔王軍のMSは化物かニャ!!?」


天王寺「いや、まったくすげぇ威力だ。だがあいにくよ。俺は常に商品であるブラウン管をいじくってて、感電しまくってんだよ」

紅莉栖「はっ、はぁ!?」

天王寺「へへっ、残念だが電撃には耐性がついてんのよ、俺はよ」

岡部(んなあほな)

紅莉栖「そ、そんな……もうどうしようもないじゃない……」

るか「牧瀬……さん……しっかりしてください……」

紅莉栖「もうだめよぉ……おしまいよぉ……」

フェイリス「諦めるのはまだ早いニャン!!」

フェイリス「ここはフェイリスの大魔法、メイドインヘブンで!!」

フェイリス「ニャウウウウ──天に召されるニャア!!!」

天王寺「おっと、そうはいくかよ」


シュバッ


フェイリス「ニャニャ!?」

岡部(速い、一瞬で猫耳メイドの背後に回った。なんという瞬発力)


天王寺「クセになってんだ、音殺して歩くの」

ダル「ぱねぇー! ブラウン氏まじぱねえーっす!!」

フェイリス「こ、こいつ……で、できる……ニャ!」

天王寺「さあてと、その首、へし折られたくなけりゃさっさと降参しな」

フェイリス「ニャウウ……」

るか「うぅっ……フェイリスさん……」

紅莉栖「ど、どうしようもないわ……」

岡部「クク……」

岡部「ククククク……」

まゆり「オカリン?」

岡部「フゥーハハハハ!!」


岡部「見たか勇者一行よ!! これが大魔王鳳凰院凶真直属の四天王、ミスターブラウンの実力でーある!!」

岡部「やがて世界は混沌と化し、世界の支配構造は崩壊するであろう。待っているのは完全なるクァオス!!」

岡部「すべてはシュタインズゲートの選択である!!」

天王寺「ったく、うるっせぇよ……。で、どうすんだ? 猫の嬢ちゃんよお」

フェイリス「ニャウー」

紅莉栖「くっ」

鈴羽「ちょーっとまーったぁー!!」

天王寺「あん?」

鈴羽「うぷっ……」

天王寺「おいおい、顔色わりーけど、大丈夫か?」

鈴羽「し、心配いらない……ただの二日酔いだから……」

天王寺「はぁ……ったく。でも向かってくるなら手加減はできねえ男だ。俺は」

るか「鈴羽さん!」

鈴羽「大丈夫。心配しないで。あたしはこんなところでつまずいてはいられない!」

鈴羽「大魔王の部下と、鳳凰院凶真を打倒して、必ず平和を取り戻してみせる!!」

ダル「オカリーン、すっごく嫌われてね? なにしたん?」

岡部「う、うううむ……。心当たりはないのだが……ま、まあ知らぬ内にこの狂気のオーラに当てられているのだろう……」

まゆり「まゆしぃはがっかりなのです……」

天王寺「外野がうるせえが、気合は買ってやる。こいよ」

フェイリス「ひぇぇ、退散退散ニャ……」

岡部(天王寺はプロレスのような構えで左右の手のひらを相手に見せている。脚は開き気味。隙が見えない)

岡部(一方戦士──鈴羽、といったか──の方は、重心をこれでもかと低くし、両足に力を込めている)

岡部(さながらそれは猫が獲物に襲いかかる前の予備動作のような)

岡部(お互いの視線が交錯する。これは間違いなく達人同士の戦い──!)

ダル「オカリンオカリン」

岡部「貴様もひしひしと感じるか、奴らのへぇあんぱないオーラを」

ダル「あの鈴羽って娘。スパッツエロくね?」

岡部「…………お前に期待した俺がバカだった」


鈴羽「…………」

天王寺「…………」

鈴羽「…………」

天王寺「…………」

紅莉栖「……見ているこっちがガチガチに緊張するわね」

るか「はい……とても……。目をそらせません……」

フェイリス「視線が交錯して火花を散らしてるのニャ!!」

天王寺「…………」

鈴羽「……──!」

天王寺(……くる!?)

鈴羽「うぷっ……うぇぇ……」

天王寺「…………ああーん?」


鈴羽(と見せかけて──)

鈴羽「でぇぇやぁぁーー!!」

天王寺「チッ!」

岡部「おお、なんというスタイリッシュな飛び蹴り!」

ダル「でも奇襲にも関わらずブラウン氏、しっかり両腕でガードしたお!!」

鈴羽「なんのっ!」

天王寺「うぐっ!」

岡部「蹴りを受け止められたと思いきやその場で体を翻し、背面蹴り!」

ダル「ああっと! 上にガードしたまま、がら空きのボディに鈴羽たんのかかとが突き刺さるー! ブラウン氏思わず悶絶ーー!」

天王寺「しゃぁらくせえ!」

ダル「氏、負けじと掴みにかかる! その巨大な触手とも言うべき指で、か細いおにゃのこの体をとらえ──その先は語るのも憚られる! おにゃのこは切なそうな子をあげながら、体をねじり、あえぎ──」

天王寺「うるっせぇ橋田! 誰の手が触手だ! 誰の手が!!」

鈴羽「隙ありっ!!」

岡部「おぉぉっ、ふところに入り込んだ鈴羽の猛ラッシュ! 拳の連打がもはや見えないレベルだぁ!」

天王寺「ぐぐぐっ、軽い、軽いぜ!」


フェイリス「援護するニャ! ファイヤーエンチャント! スズニャンの拳に炎属性!」

天王寺「なにっ!? うわ、あつっ! あちちちちっ!」

紅莉栖「フェイリスさん! GJ!」

天王寺「てめえ!」

鈴羽「うわっと!」

ダル「ブラウン氏、右フックを鈴羽たんの顔面めがけて放つもかわされる! 大振りすぐる! テレフォンパンチってレベルじゃねーぞ!」

天王寺「ったく、さっきから外野がうるせえ」

鈴羽「ギャラリーがいた方が盛り上がるじゃん」

天王寺「ギャラリーって言うより、ガヤなんだよ、あいつらは。つか二日酔いは大丈夫なのかよ。けろっとしてやがるがよお」

鈴羽「なんか体動かして汗流したら楽になっちゃった。もう万全だから安心してよ」

岡部「今鈴羽はトントンッ、と軽いステップを踏みながら間合いを取っている」

ダル「対してブラウン氏はすり足でじりじりと鈴羽たんに近寄って間合いを図りながらにじみ寄っている。その姿はさながら、縛られて動けないロリの服を脱がそうとするHENTAI紳士のごとく」

天王寺「橋田、後で覚えてろよおめえ」

ダル「ヒェッ」



で、数十分後。


岡部「鈴羽はヒットアンドアウェイで攻撃をかわしつつも確実にミスターブラウンの体に得意の武術を叩き込んでいた」

ダル「ブラウン氏はその1つ1つに身を捩らせ快感の表情を浮かべながら受け止めていた」

天王寺「ぎろり」

ダル「おおうふ……まゆ氏、バトンタッチ……」

まゆり「ええー、まゆしぃが実況するのー?」

ダル「僕はもうだめだお……がくっ」

鈴羽「はぁっ……はぁっ……かた……すぎ、だよぉ……」


天王寺「やるじゃねえか、だがよお。もう限界だ。てめえの拳は軽すぎんだよ。何千発、何万発当てようがそれじゃ俺は倒せねえ」

鈴羽「そんな……あたしはっ……はっ──」

天王寺「コレで終わりだっ!」

鈴羽「くっ──」

天王寺「おらっ!」


ゲシッ、ドカーン、ガラガラ


まゆり「わわー! 止まっちゃったスズさんの体に店長さんのキックがー!!」

岡部「おぉっ、動揺させてその隙に容赦無い蹴り! ガード越しだがただの人間ではひとたまりもあるまい。汚いなミスターブラウンさすがきたない」

天王寺「うるせえ、てめえも粉々にすんぞ岡部!」

岡部「それはよしていただきたい!」

まゆり「あうあうあー、スズさんが壁に埋まっちゃったよぉぉ……」


天王寺「さて、もう立つこともあるめえよ。どうする? 後の3人はよ」

紅莉栖「うぅ、阿万音さんがダメならもうおしまいじゃない……」

フェイリス「悔しいけど、フェイリスたちには、もうどうこうできなさそうだニャ……」

るか「ボクたち……食べられちゃうんでしょうか……」

ダル「食べられちゃう?」

岡部「そこに反応するなHENTAI!!」



一方その頃。


鈴羽「うぅ……」


かべのなかにいる


鈴羽(体中が……ばらばらだ)

鈴羽(もう立てそうもないや……あはは)

鈴羽(母さん、ごめん……ここであたしは力尽きちゃうかもしれない)

鈴羽(父さん、ごめん……せっかくタイムマシン作ってくれたのに……)


力が欲しいか。


鈴羽(えっ?)



力が──欲しいか──


鈴羽(力……)


欲しければ願うのだ。


鈴羽(願うって……一体どうすれば……)


そう──


鈴羽(そう?)


パパの力に萌え萌えキュン、と。


鈴羽(はぁ?)



はやくしろー、どうなってもしらんぞー!


鈴羽(ええい! パパの力に萌え萌えキュン!!)


そのときふしぎな事が起こった!
なんと、光とともに鈴羽が埋もれていた瓦礫の山から飛び出てきたのだ!


岡部「なぁぁっ!!?

ダル「おおおう!?」

まゆり「わわー!」

紅莉栖「うおっ、まぶし」

フェイリス「ニャアア! 目を開けてられないニャ!」

るか「ううっ……目がくらむ……」

天王寺「なんだと!?」

綯「まぶしー」


鈴羽「力が、みなぎる……」

天王寺「てめえ……俺の蹴りを食らってまだ立ち上がってくるたぁ……」

天王寺「ただの人間じゃねえな」

鈴羽「…………」

天王寺「ただの人間だったら、腕で受けようが壁にたたきつけられた時点で内臓破裂は免れねえ。少なくとも全身骨折状態。そんな風に歩くこともできねえだろう」

鈴羽「あたしは混血。そう聞いてる」

天王寺「混血だぁ?」

鈴羽「父さんとは幼いころに別れちゃったから、詳しくは知らないけど。人外の父さんと、人間の母さんとのハーフだっていう話を母さんから……」

天王寺「へえ、おもしれえじゃねぇか!」

鈴羽「なんだか知らないけれど、今の一撃であたしの人外としての血が目覚めたみたいでね。力がみなぎるんだ」

天王寺「それじゃ第2ラウンドと行こうか」

鈴羽(とはいっても、すでに立ってるのがやっとではあるんだけど、さ……やるしかないよね!!)


るか「鈴羽さん! 回復魔法です!!」


ぽわり


鈴羽「!! 助かるよ漆原るか!」

鈴羽(そうだ。忘れてた。こっちには頼もしいヒーラーがいるんだ!)

鈴羽「ようし!」

フェイリス「スズニャン、再び援護するニャ!!」

フェイリス「目を見てまぜまぜドレインストローエンチャントニャ!!」

紅莉栖「日本語でおk」

フェイリス「相手の目を見て攻撃を加えているうちはその攻撃のダメージを自分の体力に換えることができるのニャ!!」

紅莉栖「なにそのチート」


鈴羽「いっくよー!!」

天王寺「おらああ!」

岡部「ううむ! 先ほどよりも激しい打ち合い!!」

まゆり「てんちょーさんが楽しそうでなによりだよー」

岡部「だが、鈴羽も余裕が出てきたのかその足取りは軽い! 攻撃が当たらない! いや、あたっても平然としている!」

まゆり「スズさんが攻撃する度に、スズさんの体がぽわぽわーって、なるねー」

岡部「あれは恐らく、攻撃のダメージが回復力として変換されているのだろう」

岡部「ゆえに奴の心理は攻撃を食らっても大丈夫だという余裕が生まれる。その余裕が回避力を余計に高める! なんというシナジー効果だ!」


紅莉栖「こっ、これじゃあ私が何もできないみたいじゃない!」

鈴羽「なら足止めをお願い、牧瀬紅莉栖!!!」

紅莉栖「あ、足止めえ!?」

岡部「そう言ってバックステップ。ミスターブラウンから距離を取る鈴羽。ごそごそと何かを取り出そうとしている」

天王寺「何をしようとしてんのかわかんねえけどよ! そう簡単に倒れねえぞ俺はぁ!」

まゆり「店長さんみなぎってるのですー」

紅莉栖「あああーもう! じゃあ!」

紅莉栖「重圧魔法! ベタン!!」


ミシミシミシ


天王寺「うおおおっ……」

岡部「な、なんだ? 空間が歪んでいる! 重力か!?」

紅莉栖「光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる女性騎士をなめないで!」

岡部「うわぁ……」


天王寺「…………効かねぇなあ」

紅莉栖「そんな……。パパから教わった魔法なのに……足止め程度にしかなんないなんて」

鈴羽「それで十分だよ牧瀬紅莉栖!!」

岡部「鈴羽が自信満々で取り出したもの、それは黒光りする筒状の……」

鈴羽「ハンドガンだよ!!」

岡部「なん……だと……?」

鈴羽「2036年の科学の粋を集めた武器、今ここでその力を発揮してやるー!!」


バーンバーン!
バーンバーン!
バーンバーン!


天王寺「がはっ……」

鈴羽「どうだ! まいったかー!」


天王寺「なんじゃあこりゃあ!!」

まゆり「わわー! 店長さんが血を吐いて倒れたよー!!」

綯「おとーさーん!!」

ダル「うわー、ぱねぇっす……」

岡部「ま、まさかミスターブラウンの装甲を貫く兵器があったとは……」

紅莉栖「最初からそれ使えよ……」

フェイリス「スズニャン、無敵ニャー!!」

るか「すごい……」


岡部「うぬぬぬ!!」

ダル「あああ……ブラウン氏がこてんぱんにした後、僕が鈴羽たんを引き取って、デュフフ、思う存分楽しませてもらうのだぜって言って脅して、鈴羽たんは”くっ、殺せ”って、射るような目で僕を見つめ……」

ダル「そんな妄想をふくらませていたのにぃぃぃ」

岡部「それは色々とまずいからよすのだダルよ……」

鈴羽「さあ鳳凰院凶真、次は君の番だよ!!」

岡部「ヒェッ」

ダル「ちょ、オカリンやばいって、ブラウン氏で叶わないんなら僕ら葉っぱも同然だお……」


岡部「だ、だがしかぁし!!」

岡部「まだ、もう1人いることを忘れてもらっては困る!」

岡部「さあ亡き父親の仇をとるため立ち上がるのだシスタアアアアアブラウウウウウウン!!」

まゆり「ええー!? 綯ちゃんまで戦わせるのー!? ダメだよオカリーン!」

岡部「いや、しかしだな……」

綯「…………」

紅莉栖「つかそんな小さな女の子に何ができるのよ」

フェイリス「ニャフフ、10年後ならともかく、今の彼女じゃフェイリスたちには通用しないのニャ」

るか「ボクも、あんな少女とは戦いたく、ないです……」

鈴羽「おとなしくしていた方が身のためだよ!」


綯「…………あはは」

岡部(不気味に嗤った綯はその場でゆらりと立ち上がった。うつむき加減のため表情はよく見えない)

岡部(けれどなんだこの違和感は。この少女から発せられるプレッシャーがどんどん増している)

岡部(半端じゃ無いくらいの胸騒ぎがする。やばい。心臓が警鐘を鳴らしている)

今日はここまでだお
花粉がつらい


綯「殺してやるよ……」

紅莉栖「くっ!?」

綯「岡部倫太郎……」

岡部「え?」

綯「父さんの復讐だ」

岡部「は? え!?」

岡部「いやいや待て待て! やるならあいつらの方だろう!」

綯「お前にかかわらなければ父さんは死ななかった」

綯「綯だからお前を殺す」

岡部(完全なる逆恨みではないか!)


綯「お前は痛みに叫び、泣き、ションベンを撒き散らし、そして命乞いをして死ぬんだよ」

岡部「ひぇぇぇぇっ!?」

綯「さあ、殺してやるよ岡部倫太郎」

岡部「ウエイウエイウエイ!!!」

天王寺「おい綯、落ち着けって」

綯「!?」

岡部「!? 生きていたのかミスターブラウン!」

紅莉栖「うそ……」

鈴羽「な、なんだってー!」

天王寺「ああ、ちいとばかし気を失ってたみてーだな。それより綯! 女の子がそんな物騒な言葉使っちゃだめだぞ?」

綯「う、うん!!」


天王寺「よーうし、いい子だ。さ、お父さんと一緒に帰ってソフトクリーム食べようなー」

綯「ソフトクリームやったー!」

天王寺「おう岡部!」

岡部「ははははい!」

天王寺「てめえ……」

岡部「ななななんでしょう!」

天王寺「なかなか楽しめたぜ、今日みてえにたぎる展開あったら、また呼べや」

岡部「……は?」

天王寺「じゃあ俺は帰るからよ、後はよろしくやってろや」

岡部「……はぁ」

天王寺「あ、後揺らすなよ! 揺らしたら家賃アップだからな!!」

岡部「は、はい!」

ダル「おぉ、去り際にもちゃんと警告していく。大家の鏡」

まゆり「さすが店長さんだねぇ」

天王寺「よし、いくぞ綯」

綯「はーい」



紅莉栖「いっちゃった……」

岡部「……ふぅ」


ダル「いやあ、どうなることかと思ったお」

まゆり「綯ちゃん、とっても怒ってたねー……」

岡部「いやっ、怒ってたってレベルじゃないだろあれっ」

岡部「まあしかし、何はともあれ、これで一件落着だな」

紅莉栖「まてい」

鈴羽「そうだよ! まだ決着はついてない! 鳳凰院凶真!」

岡部「くっ、覚えていたか、おのれ有耶無耶にして解散するつもりが……」

紅莉栖「さあ、大人しく人質を解放しなさい!!」

岡部「だーから……」

るか「ま、まゆりちゃん!! お願い、こっちにきてっ……」

まゆり「んー……?」

るか「まゆりちゃん、ボクだよ……るか、だよ……」

まゆり「あー! るかくんだー!」


まゆり「なつかしいねえ、えっへへ。あの頃はよく、お話したよねー」

るか「まゆりちゃん、元気みたいで、ボク、うれしいよ……」

紅莉栖「さあ、あなたの友だちもこう言ってる! あなた洗脳されてるのよ! 解いてあげるからこっちに来なさい!」

岡部「洗脳などしておらんっ!」

まゆり「んー、でもでも、まゆしぃは自分の意志でー、ここにいるんだよー?」

フェイリス「ニャニャ! やっぱり洗脳ニャ!? 汚いニャ魔王さすがきたない」

岡部「いやだから、洗脳などしておらんと言ってる……」



鈴羽「だまされないで!!!!」



ダル「おおう、すごい迫力、鈴羽……恐ろしい子!」

フェイリス「ニャニャァ、スズニャンの大声で耳がキンキンするニャ……」


鈴羽「みんなダメだよ。そこにいる男を信用しちゃあ」

岡部「くっ、さっきからお前……」

鈴羽「こいつは平気で嘘をつく。そういう奴なんだよ」

岡部「だー! さっきからなんなのだ! 俺に恨みでもあるのかっ」

鈴羽「あるよ……」

岡部「なにぃ……?」

鈴羽「だって、あたしは未来から来たんだから」

Ω ΩΩ「!?」

鈴羽「その男──鳳凰院凶真が支配する未来から……」

Ω ΩΩ「な、なんだってー!?」

鈴羽「あたしはタイムトラベラーだよ、2036年から跳んできたんだ」


岡部「な、なな、タイムトラベルだとぅ!?」

紅莉栖&ダル「kwsk!」

ダル「えっ?」

紅莉栖「えっ?」

鈴羽「2036年の世界は大魔王、鳳凰院凶真が支配している」

岡部「お、俺がぁ!?」

ダル「ちょ、オカリンにそんな力があるとは思えんぞなもし」

紅莉栖「は、激しく同意。こんな胡散臭い男に世界をどうこうできるわけがない」

まゆり「オカリンがさりげなくけなされてて、まゆしぃは悲しいのです……」

鈴羽「人々は殺され、意思を捻じ曲げられ、家畜のように暮らしてる。歯向かうものは容赦なく殺される」

鈴羽「そんな未来を変えるために、あたしは来たんだ……」

岡部「いやいや、俺が? なぜ!?」


ダル「オカリン、昨日世界を手に入れるとか言ってたけどまじだったわけ? 冗談じゃなしに!?」

岡部「いや、その、え?」

岡部(うわあ、なんか気づけば周りの視線が険しい物になってる。完全にアウェイだ)

紅莉栖「存在を消しておいたほうが、世の中のためね」

フェイリス「ニャニャ、クーニャンがすごいプレッシャーを放ってるニャ!」

岡部「わあああ、よせぇ! ウェイ!」

まゆり「まってー!」

紅莉栖「まゆりさん……?」

まゆり「オカリンはそんな悪い人じゃないよー!」

岡部「まゆり……?」


鈴羽「だめだよ! 離れて!」

まゆり「みんなオカリンをやっつけちゃだめだよー!」

鈴羽「君はこの男に騙されてるんだ!!」

まゆり「オカリンはまゆしぃを人質にしてたすけてくれてるんだよー!」

岡部「お、おいまゆり……」

るか「まゆりちゃん、大魔王の洗脳を解くからこっちに! おねがい!」

まゆり「ちがうの! オカリンはホントは人間さんなんだよー!」



Ω ΩΩ「え?」

岡部「…………」


るか「え、えっとどういうことでしょうか?」

フェイリス「魔王が……人間だったのニャ……」

岡部「うぬぬ……」

岡部(こうなってしまっては仕方ない)

岡部「不本意だが、真の姿を見せてやろう」

岡部(俺はそう言って側頭部の二本の角を取り外し、八重歯に取り付けた大牙をもぎとった)



Ω ΩΩ「はずれるんかい!」


岡部「何を隠そう、本来俺は人間である」

まゆり「魔王さまコスはねー、まゆしぃが作ったんだよー」

ダル「オカリン……まじかよ、つかなんでなん? なんで魔王のふりなんか……」

岡部「…………」

鈴羽「話さないつもり……?」

まゆり「オカリンは、まゆしぃを人質にして、人間さんとか、魔族さんのいじめから救ってくれたのです……」

るか「え、ええ?」

紅莉栖「What?」

岡部「…………まゆり」

まゆり「ううん、いいの。オカリンが誤解を受けたままだと、まゆしぃは悲しいのです」

まゆり「あれは、すごく昔のことで、まゆしぃがまだちっちゃかった頃のことで──」


まゆり「エルフのまゆしぃはよわい存在で、他のつよい人たちからいじめられたり、からかわれてたりしたのです」

まゆり「そんな中でもまゆしぃたちエルフにもに優しくしてくれる人はいたのです。たとえば、るかくんとか」

まゆり「だからまゆしぃは人間さんのことが好きだったのです」

るか「まゆりちゃん……」

まゆり「でね? るかくんだけじゃなくて」

まゆり「実はオカリンも、ずっとずっとまゆしぃのことを気にかけててくれたのです」

フェイリス「そ、そうだったのかニャ」

鈴羽「…………」

まゆり「オカリンはまゆしぃがいじめられるたび、泣かされるたびに助けに来てくれてたんだけど」

まゆり「オカリンもあんまり強くなくて、まゆしぃをかばっていっぱい怪我とか、しちゃうことが続いたのです……」

まゆり「だからオカリンは、自分を狂気の大魔王として、他者から恐れられる存在になろうとしたのです……」

まゆり「そしてエルフであるまゆしぃを人質にして、他の人たちの気持ちを自分に向けさせて、弱い者いじめしてる場合じゃないよって、思わせようとしたのです……」


るか「確かに、大魔王が表れて人間社会が恐怖のどん底に落とされてからは他の種族も結束を強めて、魔王を倒そうと、仲違いすることもなくなりましたけど……」

紅莉栖「で、でもさっきも言ったようにこの男に世界を陥れる器量があるとは思えない……」

紅莉栖「現時点において大魔王はいかなる存在をも凌駕する力と、魔力を持っている、そう世間は認識している。それはなぜ?」

ダル「それは僕がついてたからだろ常考」

紅莉栖「は!?」

フェイリス「まさか、そこのオークが鳳凰院凶真を影で操る大魔王だったのニャ!?」

ダル「ち、違うっつに!」

紅莉栖「じゃあ説明しなさいよ!」

ダル「僕は凄腕のハッカーなのだぜ? 情報操作はお手の物。いくらオカリンが無能だろうと、僕の手にかかれば巨像の大魔王をつくり上げることなど、朝飯前だお」

岡部「無能とかいうなっ」


鈴羽「で、でもあたしは実際にそこの男が世界を恐怖に陥れてるところを見たっ!」

岡部「いや、まあその……世界を恐怖に陥れるというか……混沌とした未来を創りあげたいというか……」

鈴羽「この戦いで人質である椎名まゆりが命を落とした後、鳳凰院凶真はその力をもってして世界を崩壊に導くんだよ!」

Ω ΩΩ「え?」

まゆり「ええー? まゆしぃ死んじゃうの!?」

岡部「おいおい! その話は本当なのか!!?」

鈴羽「本当だよ……」

鈴羽「魔王を倒すべく立ち上がった勇者の一撃。それは確実に魔王を貫き消滅させるはずだったんだけど」

鈴羽「洗脳された人質がかばうことで魔王は生き長らえた」

鈴羽「その後なんだよ、世界が恐怖に歪んだのは!」

紅莉栖「ななな……私が……まゆりさんを……?」

ダル「牧瀬氏こえーっす……」

鈴羽「だからあたしは……そんな未来を変えるために……」

鈴羽「鳳凰院凶真を倒す!!」

【1:124】 岡部「俺は狂気の大魔王! 鳳凰院凶真だッ!!」

這い這い

永久髪の毛

プリズム水面ムリダロ

ストパン死


岡部「わー待て待て!」

鈴羽「待たない!!」

紅莉栖「す、ストーップ!!!!」

鈴羽「…………っ」

岡部「おっ、おわぁぁ……! ク、クリスティーナよ! ふぁ、ファインプレーだ! そのままこいつを拘束しろ」

紅莉栖「あんたの指図は受けないわよ」

鈴羽「なに、なんで止めるの牧瀬紅莉栖」

紅莉栖「今阿万音さんがあいつを倒そうとすれば未来はきっと変わらない。変えられない」

鈴羽「っ、どうっ……して!」

紅莉栖「考えても見なさい。魔王を攻撃しようとして、人質を殺しちゃったんでしょ? 未来の私は」

鈴羽「…………あ」


紅莉栖「そう、ここであいつに攻撃を加える事は、人質であるまゆりさんがあいつを庇うことにつながる、そしてそれは……」

紅莉栖「まゆりさんの死につながり、やがて魔王は怒り狂う」

紅莉栖「それはきっと、あなたが辿ってきた未来に、つながってしまう」

鈴羽「じゃ、じゃあどうすれば──!」

紅莉栖「簡単なことよ」

フェイリス「どうするニャ?」

紅莉栖「なにも、しなければいい」

るか「なにも……しない?」

紅莉栖「そう、今のあいつには世界をどうこうする怒りも悲しみも、実力すらもない」

岡部「一言多い!」


紅莉栖「なら、このまままゆりさんが生存するルートなら、未来を変えられる。いや、変わる!」

ダル「な、なるほどぉ」

まゆり「んー、よくわかんないけど、まゆしぃはこのまま何もしなければいいのかなー?」

紅莉栖「そういうこと。私たち勇者一行は魔王討伐もせず」

紅莉栖「現魔王軍も、世界に対して何もしない。それで解決するのよ」

鈴羽「で、でもっ!」

鈴羽「それじゃああたしがここにタイムトラベルしてくる理由もなくなって、それはパラドックスになる!!」

紅莉栖「ふむん……」

鈴羽「世界が魔王の脅威に晒されなければ、父さんたちはレジスタンスを作ることはなく成る。タイムトラベル理論も完成されない!」

鈴羽「ならここにいるあたしという存在は、矛盾した存在に成る!!」

紅莉栖「確かに」

岡部「ククッ……」

Ω ΩΩ「?」


岡部「ククククク……」

まゆり「オカリン?」

岡部「フゥーーーッハハハハハ」

ダル「話についてこれなくてついに狂ったん? まさに狂気の大魔王」

岡部「ええい外野はうるさい!」

紅莉栖「お前がうるさい」

岡部「ふっ、低能どもよ。俺は悟りの境地に達した」

鈴羽「回りくどい、早く結論を言ってよ」

岡部「くっ。揃いも揃って……」

岡部「いいか。何もしなければタイムパラドックスが起きる……それならば」

岡部「世界を騙すのだ!!」

Ω ΩΩ「世界を……騙す!?」

岡部「俺は狂気の大魔王! 鳳凰院凶真だッ!!」

↑に飛ばせよな

CHAOSチャイルドOP見てません真実です

ンタバレ~ナイル内容大河ドラマ&妄想ネキ

ダルのボイス洗脳改井女性?


岡部「世間には、まゆりが死んだと観測させ、その後俺が世界を恐怖に塗り替える」

岡部「振りをする!!」

鈴羽「そんな……無茶な……できるはずが……」

紅莉栖「いや、できる……できるかもしれない」

岡部「察しが良いな、我が助手よ」

紅莉栖「誰が助手だ誰が!!」

岡部「そう、俺にはマイ・フェイバリットライトアームがいる!!」

鈴羽「マイ・フェイバリットライトアーム? なにそれ」

岡部「余の片腕である!」

岡部「ダルよ!! 貴様なら、世界を騙すなど、造作もないはずだ!!」

ダル「え?」


岡部「俺が実際になんの行動もしていなくとも、貴様のウィザード級のスーパーハカーぶりを発揮すれば、世界は騙される」

ダル「ハッカーな」

岡部「そう、俺が世界を恐怖に染めている、と!! 騙している、と!!」

Ω ΩΩ「な、なるほど!!」

ダル「実際には僕が騙してるわけだが」

岡部「そんなことはどうでもいい!!」

岡部「そうだな。手始めに……」

岡部「あそこに転がっている我が四天王が1人、よんどしーを助手の魔法で黒焦げにし、まゆりが死んだと見せかける!!」

4℃「」

紅莉栖「だから助手じゃないといっとろーが!」


岡部「まゆりの両親には申し訳ないことをするが、必要な犠牲である……さあいけっ!!」

紅莉栖「あーもう、ったく、上から目線で指図しやがって……。仕方ないわね」

紅莉栖「サンダラ!!」

4℃「ぐぁぁぁぁぁっ」


ぷすぷすぷす



ダル「おぉ、立派な黒焦げ死体ができあがったお。判別できるレベルじゃねーぞ!」

るか「ふ、不憫です……」

フェイリス「4℃の悪事の数々は人間界にも広まっていたニャ! 因果応報ニャ!」

紅莉栖「まっ、火力は抑えてやったから。ぎりぎりいきてるかもね。魔族なら半年もあれば全快するでしょ」

岡部「ククッ、よろしい。後はダルッ。この俺の姿を全世界にしらしめるのだ」

ダル「へいへい、オーキードーキー」

岡部(言って、再び魔王の格好をした俺は横たえられた4℃のそばにいく。ここから先は世界を騙す、演技力が試される)

岡部(ふっ、普段から仰々しい物言いをするよう心がけている俺には造作もないこと!)




岡部「くっ……我が人質を……」

岡部「椎名まゆりをこんな姿にしおってぇ……」

岡部「ゆるさん……ゆるさんぞぉぉぉっ!」

岡部「この俺、狂気の大魔王鳳凰院凶真が必ず世界を恐怖のどん底に陥れてせしめようではないかぁぁ!」

岡部「まずは勇者一行をいたぶり、虐げ、暴虐の粋を見せつけてやろう!!」

岡部「この魔王を怒らせたことを後悔するのだな!」

岡部「くくく」

岡部「ふはは」

岡部「フゥーーーッハハハハハ!!」

紅莉栖(よくもまあ、あんな口からでまかせがでるもんだ)

4℃「」

~魔王の城~



岡部「側頭部から緩やかな曲線を描きつつ天にそびえ立つ双角」

岡部「床すれすれをたなびく漆黒の衣、口内に収まりきらない巨大で鋭い白牙」



岡部「ふぅむ、姿見の鏡に移るこの形貌……どこからどう見ても偉大なる大魔王にしか見えんな、クッククク……」

まゆり「ねーねーオカリンオカリン」

岡部「おいこらまゆり? 俺はオカリンなどではない。前にも言っただろう?」

まゆり「んー?」

岡部「俺は大魔王である、と。いいか? 今度から俺のことは鳳凰院凶真と呼ぶのだぞ」

まゆり「うんー、よく分からないけど、分かったー」

岡部「うむ。それでこそ我が人質だ」

まゆり「でね? オカリンもおでん缶、食べるー?」

岡部「ちっとも分かってない!」



岡部「俺は狂気の大魔王! 鳳凰院凶真だッ!!」

↑ヒゲ礼樹飲み物独り芝居タリテルタリテル事件座

斎藤様【未婚】シグナムの自演エラー娘ホイホイ

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ダル「おk、配信完了。世界中の鏡という鏡に今の映像が映り出されているはずだお」

まゆり「おお、ダルくんすごーい!」

鈴羽「ホントにこんなんで大丈夫なのかなー?」

岡部「信じられないのであれば貴様らは引き続き勇者一行として、この俺たちを観測し続けるがいい」

岡部「この俺が、真に世界を支配してしまわないかをな!」

鈴羽「そうだね……」

鈴羽「君が本当に狂ってしまった時は全力で止めないといけないから、このままあたしたちはレジスタンスとして、勇者のパーティとして君を観測し続けるよ」

岡部「フッ、構わん。この俺には人質であるこいつと」

岡部「そしてマイ・フェイバリットライトアームがいるのだからな!」

ダル「オカリンオカリン、悪いけど僕、レジスタンスにつくのだぜ」

岡部「なにっ!? 裏切るつもりか貴様!」


ダル「だって! オカリンとまゆ氏の仲に割って入れん僕はぼっちなわけっしょ? そんなん絶対に許さない。絶対にだ」

岡部「おいおい貴様何を……」

ダル「だから僕はおにゃのこがいっぱい所属してる勇者一行に加わるお! あ、大丈夫。引き続き世界へのハッキングは続けるからそれで許して」

岡部「ま、まて貴様! この俺の右腕をやめるということはだなあ!」

紅莉栖「あーーもう!!」

岡部「む……?」

ダル「ん……?」

紅莉栖「だ、だったらさ……もうみんな一緒に居ればいいじゃない!」

まゆり「おおー。それいいねえ。えっへへぇ」

岡部「なぁにぃ? 貴様もやはり助手として俺に力を貸したいと、そう申すのだな?」

紅莉栖「べっ、別にあんたのためじゃないんだからな!」

紅莉栖「あんたが変なことしたり、ぽろっと本当のこと言ったりしないように、近くで見張ってやるって、そう言ってるだけ!」

岡部「ふぅむ! 俺としても、ラボメンが増えるのはやぶさかではない」

岡部「よろしい! ならば貴様らにもラボメンナンバーを授ける!」

るか「え、ええ!?」


フェイリス「ニャニャ!? あの裏の世界では高レートで取引される、ラボメンナンバーをただで授けてくれるのニャ!?」

るか「そ、そうなんですか!?」

鈴羽「望むところだよ! もっとも近いところで、監視し続けてやるから!」

紅莉栖「はぁ……もう、なんでもいいわよ」

ダル「やったー、おにゃのこのラボメンが増えたー!」

まゆり「やったー、女の子のラボメンが増えたー」

岡部「ラボメンは世界の支配構造を覆す──」

岡部「いや、世界を騙すためにこの俺のために尽力するのだフゥーーーハッハハ!」





こうして狂気の大魔王鳳凰院凶真率いる魔王軍は、勇者たちと共に世界を騙していくことを決めたのであった。

SERNだとか、300人委員会だとかと戦う日々に明け暮れたりもしたがそれはまた別のお話。

騒がしくも笑いの耐えることのないラボは平和に続いていくのであった。



                    おわり。











萌郁「解せない……」

これでこのSSはおしまいです
一時期間が空いたりとすんませんでしたァ!
見てくれてる人あんまいなかったな~、シュタゲSSがまた活気づくのを祈ってる!


乙乙
キャラの再現度高くて楽しかった

>>141

見てくれてどもです!

>>142

そういってもらえるとうれしいす!

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