コナン「ネオジオン軍総帥殺人事件」 (16)
目暮警部「殺害されたのはシャア・アズナブルさん。殺人現場は戦艦・レウルーラのモビルスーツデッキか」
高木刑事「はい。第一発見者はナナイ・ミゲルさんです」
高木「艦内の見回りの最中に、デッキで腹を貫かれ死亡しているシャアさんを発見したようです」
ナナイ「大佐……どうして、大佐ぁぁぁ! ウッウッ……」
コナン(宇宙での航行中の艦内で殺されたとなると、やはりこれは内部の犯行か……)
小五郎「警部殿。しかし、このままではデッキ内での密室殺人ということになってしまいます」
目暮「確かにそうなるな。死体を発見する前、このデッキには鍵が掛かっていたとナナイさんは証言しているし」
小五郎「つまりです。犯人は、デッキの鍵を所持しているナナイさんかライル艦長のどちらかということになる!」
ライル「そんな!」
ナナイ「私が大佐を殺すわけないでしょ!!」
小五郎「さてそれはどうですかね、ナナイさん。あなた、本当はシャアさんを恨んでいたんでしょ?」
ナナイ「何を根拠に!」
小五郎「聞きましたよ。あなた被害者のシャアさんに想いを寄せていたのでしょう?
しかし、当のシャアさんは未だにハマーンさんやララァさんなど死人の影を追い回し
最近ではクェスさんにまで目移りしてあなたなど眼中になかった……。
そのことで業を煮やして、つい殺してしまったんじゃないんですかぁ~?」
ナナイ「ふざけないでください! そんな思い込みで大佐を殺す程、私は愚かじゃないわ!!」
小五郎「それとライル艦長も怪しいですな」
ライル「私こそ大佐を殺す動機なんて……」
小五郎「実はさっきギュネイさんから聞いたんですよ。よく作戦会議などでシャアさんと揉めていたそうじゃないですか」
ライル「それは一種の論争と言うもので」
小五郎「しかも作戦が失敗すると、シャアさんは決まってライルさんにあたっていたとか。
『お前のせいでアクシズが落とせなかったんだ! この無能艦長!!』ってね」
ライル「そ、それは……」
目暮「ふむ、つまり二人とも動機は充分にあるという訳だな」
クェス「どうでもいいけど、私たちは容疑者の内に入らないんでしょ??」
ギュネイ「そうだな。俺とクェスは大佐が殺された時間、ロンデニオンに居たというアリバイがある。
だから、この事件と俺たちとは無関係だろ? もう解放してくれよ」
コナン(この人、自軍の総帥が殺されたというのに顔色一つ変えてないな)
ナナイ「そうだわ。きっと、大佐を殺したのはギュネイよ!」
ギュネイ「なっ……。いきなり何を言うんですか、所長!」
ナナイ「あなたには大佐を殺す決定的な動機があるでしょ!!」
コナン「!」
小五郎「何ですって!?」
目暮「ナナイさん、詳しい話をお聞かせ願えますか」
ナナイ「はい。実はギュネイはクェスに気があるみたいなんですが、
当のクェスは大佐に惚れていたんです。なので、ギュネイが
気を引こうと頑張っても、クェスの大佐を想う心は変わらないままでして。
そのことが面白くないギュネイは、よく酒の席でこう言っていましたわ。
『あの男、クェスをたぶらかしやがって。絶対いつか殺してやるっ!』と……」
目暮「ホォー。ギュネイさん、それは本当ですかな?」
ギュネイ「くっ……。だからなんだっていうんだよっ!? 俺にはアリバイがあるんだぁ。
今、問題なのはそんなつまらんことじゃないだろ!!」
小五郎「確かにそうですな。シャアさんの死亡推定時刻、あなたとクェスさんは丁度
ロンデニオンで連邦士官の方々に目撃されているし。それに、サイド1から
この宙域に浮かぶレウルーラまでは、どんなモビルスーツで飛ばしても
最低1時間以上はかかる。やはりこの二人に犯行は不可能ですなぁ……」
ギュネイ「それみろ!」
目暮「ウーム。じゃあ、犯人は一体誰だというんだ……」
コナン(仕方ねぇな、ここはいつもの手でおっちゃん達にヒントを……)
目暮「それが問題なんですよギュネイさん」
ギュネイ「!?」
コナン「あれれ~?」
小五郎「こら、このガキ。現場を勝手にウロチョロするなっ!」
コナン「殺人現場のデッキの隅にこんな大きな白い音叉が落ちてるよ~」
目暮「ん?」
小五郎「本当だ、音叉の形に似てるな……。なんですかね、こりゃ?」
ギュネイ「あっ、こいつは!」
高木「どうしたんですか、ギュネイさん。これに見覚えがあるんですか?」
ギュネイ「ああ。これはフィン・ファンネルだ!」
小五郎「ふぃんふぁんねる?」
ギュネイ「νガンダムの武装の一つだよ。そんなのも知らねーのか」
高木「νガンダムって、まさか! ロンド・ベル隊に配備されてるっていう、あの最強のガンダムのことですか!?」
ギュネイ「最強かどうかは知らんが、まあそれのことだよ」
目暮「このフィン・ファンネルがνガンダムの武装だというのかね?」
ギュネイ「ああ、間違いねえ。俺も何度かνガンダムとは戦ったことがあるから、よーく覚えてるんだ!」
小五郎「しかし、どうして連邦のモビルスーツの武装が、敵艦のデッキに落ちてるんだ……?」
コナン「……」
コナン(ったく、相変わらず鈍いなおっちゃんは)
コナン「そういえばさあ、フィン・ファンネルって戦う時どうやってどうやって使ってるのぉ?」
小五郎「はぁ?」
コナン「だって、こんな音叉みたいもので敵を倒せるなんて思えないよー。きっと何か使い方があるんでしょ?」
目暮「どうなんですか?」
ナナイ「ええ。ファンネルは一般的にニュータイプの大佐や、強化人間のギュネイたちのようなパイロットだけが使える特殊な武装で、
コクピットの中から、複数の遠隔誘導端末を巧みに操って敵軍のモビルスーツに攻撃する方法が主流です。
いわば遠隔操作のできるビーム兵器のような物でしょうか……」
小五郎「遠隔操作に……ビーム兵器……。そうか、わかったぞぉ!! シャアさんを殺害した犯人がっ!!」
目暮「本当かね、毛利クン!?」
小五郎「警部殿、なぜここにフィン・ファンネルが落ちていたのかわかりますか?」
目暮「さあな……。置き忘れか何かじゃないのか?」
小五郎「いいえ、違います。犯人はこのフィン・ファンネルを使ってシャアさんを殺し、密室を作り上げたんです!!」
目暮「な、なんだってぇ!? どういうことかねっ、もっと詳しく説明してくれ」
小五郎「先程、ナナイさんがおっしゃっていたようにフィン・ファンネルは、
ニュータイプの人物だけが遠隔操作可能のビーム兵器という代物です。
つまり犯人は、このモビルスーツデッキに忍び込み、あらかじめフィン・ファンネルを一基
落としておいたんですよ。そして、近くの宙域でνガンダムに乗って待ち伏せ、デッキ内に
シャアさんが入って来たのと同時に、デッキ内のフィン・ファンネルを巧みに操り、シャアさんの腹をビームで貫いた……。
これなら、デッキ内に入ることなくシャアさんを殺害することが可能という訳です!!」
目暮「おおっ! なるほどぉ!」
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