男「TUKEMONO全国大会っ!」(190)

~公園~

男「全国大会まであと一週間だ!頑張ろうな、女ぁ!!」ワシャワシャ

女「……ええ」ワシャワシャ



DQN「……さーて、今日も今日とてカツアゲすっか……って」

DQN「何だ、あいつら……?」


男「うぉぉぉぉ!!!」ワシャワシャ

女「……」ワシャワシャ

DQN「おいテメーラぁ!」ザッ

男「……むっ?何だお前は」

DQN「いや、こっちのセリフだっつーの。何やってんだよ、公園のど真ん中で」

男「TUKEMONO全国大会に向けて、基礎トレーニングだ!なっ、女!」

女「……」コクン

DQN「…は? 漬物全国大会ぃ……?」

男「なんだ、おまえ。TUKEMONOを知らないのか?」

DQN「いや、漬物は知ってるけどよ。全国大会なんてあったか……?」

男「……ふっ。TUKEMONOはスポーツだ。大会も設けられている」

DQN「す、スポーツぅ!? 漬物が!?」

男「あ、さては…おまえ、田舎者だな? ぷぷっwwwwwwwwww」

DQN「……あ?つべこべ言わず教えろよ」ギロッ

男「……すまん。これがルールブックだ。よければ一緒にやらないか?」スッ

DQN「どーも……ったく、最初っから説明しろってんだ」ペラッ

DQN(どんなスポーツなんだぁ……?)

ーTUKEMONO公式ルールブックー

・必要なもの
【ツボ】
【野菜(種類は自由)】
【ぬかや塩など、漬けるのに必要なもの】

・ルール

1.二人で行う
2.ツボの前で正座した後、スタートの合図で漬ける
3.漬物が完成したら手を挙げる

なお、勝敗は、作る過程や完成品の見栄え、味などを踏まえ、第三者の審判が判断するものとする。

~~~~


DQN「……」パタンッ

DQN「……しょうもねー……w」

男「……なんだと?」ピクッ

DQN「いや、漬物を作るだけだろ? ……しょうもねーわーw」

男「……貴様……」ピキピキ

DQN「大体、漬物って時間かけて作るもんじゃねーの? こんなので美味い漬物なんて出来ねーよ」

DQN「アホらし。これがスポーツ?なめてんのか?」

男「立派なスポーツだが?全国大会で優勝すれば賞金100万だしな」

DQN「……あっ!?!?100万!?!?こんなので!?!?」

男「……」

DQN「カツアゲなんかより、よっぽど儲かるじゃねーか……!」

女「……ふん。あんなみたいなヤツに優勝はムリよ」

DQN「は? 簡単だし。つーか、俺にはどーしても金が必要なんだよ」

男「ほう……じゃあ、始めるか?このスポーツを……」

DQN「ああ!やるに決まってんじゃねぇか!」

男「……では、まず……このスポーツの厳しさを知ってもらおうか」

男「実戦でな」

DQN「お、いきなり実戦か。おもしれぇ」

男「ツボも余っている。では、さっそく俺が……」

女「……待って、男」

男「……む?」

女「私が相手するわ」

男「お、おまえが……!?」

女「ええ。さっきからコイツには怒りを覚えているの」

DQN「おうおうおう!さっさと始めようぜぇ!?」

男「……手加減しろよ。ショックで諦立ち直れなくなるかもしれん……」ボソッ

女「……はいはい」ボソッ

DQN「……なに話してんだゴラァ」

男「……ゴホンッ。では、今から……」

男「DQN対女の試合始める!審判は俺だ!」

~5分後~

男「……二人とも、正座できているな?」

女「ええ」

DQN「はやくしろよ」

男「……それでは。スタートっ!!」

DQN「しゃー!!!」

女「……」ワシャワシャ

DQN(えーと……まずはツボにぬかを詰め込んで……野菜を入れればいいんだよな)

DQN(……いや、待てよ。漬物だろ?時間を使わないと出来ないんじゃ……)

女「……できたわ」スッ

DQN「……は?」

男「手加減しろと言ったのに……」

DQN「ちょ、待ちやがれ!!こんな短時間で出来るワケねーだろうが!?」

男「いや、紛れもなく漬物だ」

DQN「んなワケねーだろ! 漬けんだぞ!?」

男「つべこべ言わず、お前も手を動かせ。完成するまでの時間も評価に入るんだぞ?」

DQN「チッ……絶対、味は俺の方が上だ……」ワシャワシャ

女「……」フッ

DQN(あの女むかつくうううう)

~一時間後~

DQN「……よし。一応、味は付いたな……完成だ」スッ

男「ふっ、遅かったな。では……味見させてもらおう」

男「女の漬物……」モグモグ

男「DQNの漬物……」モグモグ

男「……ふむ」

DQN(ぜってー俺の勝ちだ!あんな短時間で味なんか……)

男「やはりというか……勝者は女だ」

DQN「……はっ?」ポカン

女「……ふんっ」

DQN「いやいやいや、まてまてまてまてまてまてまて」

男「まぁ、初心者には信じられんだろうな……」

DQN「ひいきして審判してんじゃねーぞゴラァ」

男「TUKEMONO選手として、そんなことは誓ってせん。試しに女の方を食べてみるがいい」

DQN「……チッ……」モグモグ

DQN「……は?」

DQN「な、なんで……なんで、こんなにうめぇんだ……?」

女「実力の違いよ」フッ

DQN「な、なんだよそれ! …… こんなに差が出来るもんなのか……?」ガクガク

男「落ち着け。初心者だから仕方ない。そう落ち込むな」

DQN(く、食った瞬間……圧倒的な何かが……!)

DQN「う、うそだ!!こんなの……! 」

男「……事実なんだよ」

DQN「っ……」

女「強いものは早く美味しく作る。弱いものは凡作しか作れない」

女「そういう世界なのよ」

DQN「……あーアホらし。やめるわ。帰るわ、勝手にやっとけ!」バッ

男「あっ、待て!!ここで諦めちゃ駄目だ!!」

DQN「うっせー……!!」ダダダダダ

男「……あーあ。行ってしまった。お前のせいだぞ……」

女「こんなの、誰もが通る道じゃない。それでヘコむ方が悪いわ」

男「やりすぎだ……おまえは強すぎるんだからさ……手加減しろよ」

女「中途半端な覚悟で始められてもイライラするだけだし。別にいいじゃない」

男「はぁ……仲間が増えると思ったのにな……」

女「……男には私がいればいいのよ。さ、基礎トレーニングしましょう」ワシャワシャ

男「はいはい……」ワシャワシャ

~病院~

DQN(くそっ……さっきのは何だったんだよ……!)

DQN(食った瞬間……グワッと来て……圧倒的な差を見せつけられたような……)

DQN(なにか、恐ろしいものを見せつけられたような……そんな感覚が……)

DQN母「……なんだい、DQN。えらく不機嫌だねぇ?」

DQN「あ? ……んなこたねーよ」

DQN母「すまないねぇ、父さんは単身赴任、私は倒れちゃって……若いのに一人ぐらしさせちゃって」

DQN「その話は嫌いだっつってんだろーが。ババァは休んでりゃいいんだよ」

DQN母「でも、高校に行きながらバイトして……大変でしょう?」

DQN「………っ」

DQN(高校にも行ってねーし、カツアゲで稼いだ金で遊んでるなんて言えねぇ……)

DQN母「……あんたには、本当に苦労をかけてると思ってる。ごめんね……」

DQN「……うっせーな……苦労なんざ……」

DQN母「忙しい中、無理してお見舞いに来ないでいいのよ?」

DQN「…………」

DQN「へーへー。んじゃ、今日は帰るわ」スクッ

DQN母「あぁ。私みたいに体を壊すんじゃないよ」

DQN「……」ガラガラ…バタンッ



DQN(……ババァの体を治すための手術費用、100万)

DQN(さすがにカツアゲで稼げる金じゃねーし……)

DQN(……それに、ババァにウソつくのも、もう疲れた……)

DQN「…………正直こえーけど」

DQN「……やるしか、ねーのかな……TUKEMONOを……」

~翌日、公園~

男「うぉぉぉぉぉ!!!!」ワシャワシャ

女「……」ワシャワシャ

DQN(……やってるな……)

DQN(……あと6日で、強くなれるか分かんねーけど)

DQN(ここで諦めたら男じゃねぇ……ただのビビリになっちまうからなぁ……!)

DQN(……クソババァ。待ってろよ)

DQN「……よーし……」

DQN「おい、テメーらぁ!!!!」

男&女「!」

男「……おおっ!!来てくれたか!!」

女「……うそ……叩きのめしたはず……」

DQN「たりめーだ!!俺にコツを教えやがれ!!」

DQN「強くなって、見返してやるよ!」

男「よしっ、よく言ってくれた!! さっそく一緒に練習するぞ!!」

DQN「おう、サンキュー!!」

女「……こいつ……何者……」


・・・・
・・・
・・

~10時間後~

DQN「はぁ……はぁ……」ワシャワシャ

男「……よし、今日の練習はここまで!」

DQN「あぁ~……疲れたぁ~~……!」バタッ

女「……ふん、この程度で音を上げるなんて」

DQN「うっせーよバーカ」

男「DQN、お前は天才だ!! 俺、追い越されそうだよ!」

DQN「へへ、だろ?」


男「もう、教えることは……」

女「待って、男。こいつには、TUKEMONOにおいて、決定的に足りてないものがあるわ」

男「むっ? 」

DQN「あ? 素直に認めろよな」

女「……あんたの漬け方。『アレ』が足りてないわ」

男「……! ……女、それは無茶だ。あと6日なんだぞ?」

女「でも、こいつも全国大会に出るつもりなんでしょう?ムリにでも習得しておかないと、絶対勝てないわよ」

DQN「な、なんの話してんだお前ら」

男「……いや、教えてもムダだ。忘れてくれ」

DQN「??」

女「あら、男。隠すの?」

男「だ、だって……」

DQN「おい、隠し事してんのか!? 強くなれるコツがあるから教えやがれ!!」

男「……わかった。一応、教えよう」

DQN「一応……ムカつく言い方だな」

男「DQN。お前は手つき、フォームなどは、既に完成してると言ってもいい。素晴らしい才能だ」

男「ただ……その先。全国で勝つには、もう一つ、身につけなければいけないものがある」

男「それは『愛』だ」

DQN「愛……?」

男「そうだ。愛を込めて漬けた時、それは最高の調味料となる」

男「自分の個性が野菜に浮かぶんだ」

DQN「…………なるほどな」

男「まぁ、信じられないだろうg……え?」

DQN「……そうか……どうりで……」

DQN「昨日、俺と女が勝負した時。女は『愛』を込めてたんだな?」

女「……そのとおり。『愛』は、強烈なインパクトを与えるの」

女「だから、感じ取ったはずよ。私とあなたの圧倒的な差を」

DQN「チッ。そういうカラクリかよ」

DQN「……でも、これで分かった。『愛』を込めりゃいいんだな?」

女「はー……甘いわね」

DQN「あぁ!?」ギロッ

男「……『愛』は、そう簡単に習得出来るものではない。鈍い人だと、一生かけても習得出来ない」

男「俺は5年、天才の女でさえも3ヶ月かかった」

DQN「……マジ?」

男「……残念ながら、あと6日では無理だ」

DQN「……」

男「今は、基礎トレーニングに集中する時。なに、予選突破ぐらいなら……」

DQN「……それじゃ意味ねぇ。優勝しねぇと意味ないんだよ!!!!!」ガァッ

男「」

女「……あきらめなさい。そんなに金が欲しいワケ?」

DQN「ああ、欲しいね!金がいるんだ、金がよぉ!!!! 」

女「……」フッ

DQN「……待ってろ。明日までには習得してやる。クソが……」

女「……愚かな男……」





~大会前日~

DQN「はぁ、はぁ……」ドンッ

女「……ウソでしょ」

男「しゅ…………………」

男「習得したぞ、こいつ…………信じられん……………………」

DQN「……へっ」

DQN「俺の覚悟……俺の愛をなめてんじゃねーぞ、クソが」

女「……どうやら、相当見くびってたみたいね」

女「あなたの才能を…………」ガクガク

DQN「へっ……女は三ヶ月だったか?すまねぇな、5日ほどで習得しちまったよ」

女「…!」ギリッ

男「……素晴らしい成長だ、DQN。『愛』は、いわば必殺技のようなもの」

男「必殺技の名前を叫びながら『愛』込めると、さらに効果的だ」

DQN「え……それって恥ずかしくねぇか。自分で考えた名前なんだろ?」

男「まぁな。だが、相当レベルの高い戦いになると、必要になる技術だ」

DQN「本当に変わるのかよ……恥ずかしいっつーの」

男「……少し見てろ」

DQN「?」

男「……」ワシャワシャ

DQN「……」

男「発動っ!! 『太陽の恵み』っ!!」

ワッシャァァァァァァァァ!!!!!!

DQN「…… なんだこれ!? 野菜が輝いてる!? 」

シュウウウウ………

DQN「お、治まった……」


男「……俺の必殺技の一つを使ったんだ。少し食べてみろ」コトッ




DQN「……」パクッ

DQN(な、なんだこれ……口の中で野菜が喜んでやがる……)

DQN(頭の中にありありと浮かぶ太陽……大自然……)

DQN「う、うますぎる……!」

男「だろう? 『愛』さえ、習得してしまえば、必殺技は簡単に身につく」

男「明日の大会で使えるよう、準備しておけ」

DQN「……ああ」

女「…………」

女(男…自分の必殺技を見せてまで教え込むなんて……)

女(やはり、気づいたのね……)

女(DQNが、1000年に1人の逸材だということ……!)

~10時間後~

男「……よし!今日はここまで!!」

DQN「へへ……必殺技も出来たし、万全だ」

男「二人とも!!明日はいよいよ全国大会だな!!!!!」

男「互いに全力を尽くし、優勝めざして頑張ろうではないか!!」

女「……ええ」

DQN「おう!!!!」

男「では、今日は解散!明日の6時、会場で会おうっ!!!」

DQN「おう!!!!」

女「……」



・・・・
・・・
・・

~翌日、会場~

DQN「えーと……お、いるいる。おーい!」

男「おお、DQN。会えてよかった」

女「……」

DQN「俺、初めてだからよく分かんねーんだけど。どうすりゃいい?」

男「ま、とにかくエントリーしてこい。あそこの受付で名前を言えば、ナンバープレートを渡されるから」

DQN「オッケー」

~5分後~

DQN「……ふぅ。俺は73番だってよ」

男「お疲れ。あとはアナウンスが来るのを待つだけだ」

DQN「アナウンス?なんの?」

男「予選はA・B・C・Dの4つのブロックで別れていてな。それぞれのブロックから4人を出して、本選が始まるんだ」

男「アナウンスは、選手の番号とブロックの名前を呼ぶ。呼ばれたブロックにいけば、予選に参加出来るというワケだ」

DQN「なるほどな……俺達は違うブロックになるといいな」

男「む?なぜだ?」

女「……本選で戦いたいから。そうでしょう?」

DQN「そーいうこと!」

女「……まぁ、いずれにしろ」

女「勝つのは私。予選で当たっても本選で当たってもそれは変わらない」

DQN「ほんとムカつくやろーだな……」


男「……ふふ、楽しみになってきた。早く戦いたい……」ウズウズ


ピッ


「これから番号とブロック名を読み上げます。選手の皆さんはよく聞いて、それぞれのブロックへ向かって下さい」

男&女「!」

DQN「……うっし、やってやるぜ」

「………36番、Aブロック」

男「36は俺だな。Aブロックか」

「……37番、Bブロック」

女「私はBブロック……」

「……73番、Dブロック」

DQN「俺はDブロック……すげー、見事に別れたじゃん」


男「ふふ……お前ら、予選で負けるなよ?」

女「当然よ……」

DQN「おうよ。つか、優勝も俺のもんだ!!!!」

男「では、本選で会おう。いったん解散!!」バッ

女「……負けない……」スッ

DQN「やってやるぜ……!」ダッ


DQN「……」スタスタ

DQN(待ってろよ、クソババァ)

DQN(絶対、優勝してやっから。それで、手術して……)

DQN(また、一緒に暮らそうぜ)

DQN(そしたら、カツアゲもやめる。高校にだって、ちゃんと通ってやるよ!)

DQN「……よっしゃぁ!!!ここかDブロックはぁ!!!」








「102番、Cブロック」

「以上で、アナウンスは終了です。各自、健闘を祈ります」


ピッ

~3時間後、本選出場選手の控え室~

ガチャ…バタンッ

女「……あら」

DQN「おう、お先」

男「ふぅ……負けたのかと思ったぞ?」

女「まさか。私が負けると思う? 試合の進行に遅れが出ていただけよ」

男「はは、冗談だよ。俺はお前を信じていた」

女「っ……あっそ………///」

DQN「……あれあれ? 顔赤いけどぉ?」

女「ーー!! うっ、うるさっ…」

ガチャ

男女DQN「!」

バタンッ

仮面「………」

男女DQN「……」

DQN「うわ、仮面してるwwwきめぇww」

男「こら!」バシッ

DQN「って!何するんだよ!」

男「TUKEMONO全国大会では、仮装をする人も多いんだよ!笑う方が恥ずかしいし、選手に失礼だ!!」

DQN「……別に殴ることないじゃねーか……」

女「……とりあえず、アナウンスがあるまでは大人しく黙ってなさい」

DQN「へーへー……」

~10分後~

「36番、37番の選手。本選を始めます。リングに上がって下さい」

男「……!!!」

女「……男と、対戦……」

男「……」

女「……手加減しないわよ、男?」スクッ

男「ーー! ……もちろんだ!俺も全力を尽くすっ!!行くぞっ!!」スクッ

DQN「おー二人とも頑張ってこいよー」



ガチャ…バタンッ

~本選のリング~

ワァァァァァァァ!!!!!!

実況「さぁ、始まりました、TUKEMONO全国大会本選!!!!」

実況「最初の対戦カードはぁ!!!」

実況「36番、男選手とぉ!!」

実況「37番、女選手だぁ!!」

ワァァァァァァァ!!!!

男「……」

女「……」

実況「審判を務めるのはこの人!!この大会で5回も優勝を経験した本物のTUKEラー!!」

実況「TUKEMONO委員会の会長です!!!」

会長「あー、どうも」

実況「会長、今年の大会をどう見ますか!?」

会長「あー、まぁね。予選から非常にレベルが高くてね、期待できるね、うん」

実況「ーーーはい、ということで!!!いよいよ、この時がやってまいりました!!!」

実況「TUKEMONO全国大会本選、一試合目!!!」

実況「始めっっっ!!!!」

カーン!!!!


男「……うぉぉぉぉ!!」ワシャワシャ

女「……」ワシャワシャ

ちょい休みます
いらんかったら落として……

あとTUKEMONOはスレタイミス
今さら引き返せないぜ(^p^)

すんません

しゅ

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

~5分後~

実況「5分が経過しましたが、動きはありません!両者、ひたすら混ぜています!」

男「……」ワシャワシャ

女「……」ワシャワシャ

男(……おかしい)

男(女なら、すでに完成していてもおかしくない時間……なのに)

男(見たところ、3割も漬け込みが進んでいない。遅い、遅すぎる)

男(……いや、気にしてはならない。目の前の漬け物に集中するんだ)ワシャワシャ

女「……」ワシャワシャ

男「……」ワシャワシャ

女「……」ワシャワシャ

男(……!! …今だ!!!)ガッ

実況「おっとぉ!?男選手がツボを持ち上げたぁ!!」

男「……発動!!!!」

男「『天界で遊ぶ野菜達』」ドンッ

女「…!」

フワッ

実況「野菜が空中に浮かんだーー!!!」

ワァァァァァァァ!!!!!

女(……あんな技……私も見たことがない。男のやつ……この時のために温存していたのね)

実況「野菜が浮かび上がって……どんどん上昇してゆくぅ!」

男「はぁ、はぁ……うぉぉぉぉぉ!!」

しえ

男「……発動っっっ!!!」

女「……何ですって!?」

女(一つの戦いで二つも必殺技を発動するつもり……!?)

男「『帰りを喜ぶ野菜達』」

ドドドドドドドドドドッッッッッッッッ

実況「いったん空中に浮かんだ野菜がツボの中に吸い込まれてゆくーー!!!!」

女(……ここまで腕を上げていたなんて……驚きだわ)ワシャワシャ

男「はぁ、はぁ……完成だ」スッ

ワァァァァァァァァ!!!!!

実況「驚異のスピード!!女選手よりも早く完成させました!!!」

女「……ふん」ワシャワシャ

~15分後~

女「……」ワシャワシャ

実況「まだ、完成しない女選手!かな。男選手に遅れを取っています!」

会長「あー、まずいね。ま、味が1番の採点ポイントだけども。ここまで遅れをとると、点に響くね、うん」

実況「ーーはい、ありがとうございました!!さぁ、どうするつもりだ女選手ぅ!?」

男(女はスピード1番の武器としているのに……)

男(ここまで遅れるなんて……調子悪いのか……?)

女「……」ワシャワシャ

男(ーーーいや、違う!!あの手つき……調子は良好!!!!)

男(何故、さっさと完成させないんだ……!?)

>>80
ごめん実況変なこと言ってる

投下し直す

~15分後~

女「……」ワシャワシャ

実況「まだ、完成しない女選手!男選手に遅れを取っています!」

会長「あー、まずいね。ま、味が1番の採点ポイントだけども。ここまで遅れをとると、点に響くね、うん」

実況「ーーはい、ありがとうございました!!さぁ、どうするつもりだ女選手ぅ!?」

男(女はスピード1番の武器としているのに……)

男(ここまで遅れるなんて……調子悪いのか……?)

女「……」ワシャワシャ

男(ーーーいや、違う!!あの手つき……調子は良好!!!!)

男(何故、さっさと完成させないんだ……!?)

~15分後~

女「……」ワシャワシャ

ブーブーブーブー!!!

実況「会場の皆さん、ブーイングはご遠慮願います!!」

会長「いや、これ、ほとんど勝負決まってるね。遅れれば遅れるほど、どんどん、点数は下がるワケだしね」

実況「ーーはい、ありがとうございました!!」

女「……」ワシャワシャ

男(見たところ、ようやく9割と言ったところか。遅すぎる……まさか、時間稼ぎ……?)

女「……!」ピタッ

男「っ!?」

実況「…これは!女選手、手を止めてしまった!?どうしたんだぁ!?」

女「……ふふ、ふふふ……」

ブーブーブーブー!!!

実況「これは……もしや……」

会長「……だとしたら、最低だね、うん」

男(……いや)

男(女は、諦めて勝負を放棄するようなヤツじゃない……)

男(リタイアなんてしない……必ず何かしてくる……!)

女「……」

女「……さぁ、野菜達よ。時は来た」

男「!」ピクッ

女「ーーーー発動」

女「『KING・OF・TUKEMONO』」

男「……な、なんだ……!?」

ザワザワザワザワザワザワ

実況「……こっ、これは……ツボと中身が変化していくーーーっ!?!?」

会長「こりゃ、たまげた。あの子、勝負を、捨ててなかったんだねぇ」

実況「ーーそういうことですね!」

男(こ、こんな技……聞いたことがない!!)

男(ツボまで変化させる必殺技なんて……!!!)

女「……この技が終わる頃には」

女「このツボと野菜は王室御用達の最高級品にまで昇華しているはずよ」

男「だが、今さら完成させたところで……僕の勝ちじゃないか!?」

女「あら、それはどうかしらね」

男「ーーっ……!」


シュウウウウウウ………

女「……完成」スッ

実況「こ、これは……キラキラと野菜達が輝いているっっ!!!」

会長「……美味しそうだけどねぇ。時間かかりすぎだねぇ」

実況「ーーーですが、試食をしてからでは、勝敗は決められません。会長、お願いします!」

男(……女……何を考えてる?)

女「……ふん」

会長「ま、一応ね。ほとんど、男選手の勝ちだとは思うけどね」

会長「それじゃ、先に完成した男選手の作品から味見することにしようかね」

実況「では……お願いします!」

会長「……」パクッ

会長「……ふむ……」シャクシャク

会長「これは……すごい。野菜達が喜んでるね。口の中で自由に野菜達の良いところを出してるかのような……」

会長「まるで、生きてるような。活発な野菜達と自然のイメージがありありと浮かんでくるね……」

会長「素晴らしい!!早いだけでなく、味も絶品だっっっ!!!!」

実況「おーーっと!!!かなり高得点のようですね!!!」

ワァァァァァァァァァ!!!

男(……これで、勝利は確定したはずのに)

男(何か違和感があるな……)


実況「えー、では。次は女選手の作品です」

会長「……まぁ、一応、いただくことにしようかね」

会長「……」パクッ

会長「……」シャクシャク

会長「…………」ゴクン

会長「………………………」

実況「お、おっと?どうしました、会長?」

ザワザワザワザワザワ

会長「……あー、もうね」

会長「判定、いこう。ズバッと言っちゃうよ」

実況「ーーあの、感想は!?」

会長「感想なんていらないね。はやく判定いこう」

男(ど、どういうことだ……?)

女(……)

実況「わ、わかりました。では、言っていただきましょう!」

実況「勝者は、男選手か!?それとも女選手か!?」

会長「ーーー勝者」











会長「女選手」

男「……」

女「……ふふっ」

実況「……」

シーン………………



男「な……………………」

男「なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!?!?!?」

実況「こ……これは、どういうことでありましょう!女選手、勝ってしまいました!!!!」

会長「……」ボー

実況「ど、どういうことですか会長!?」

ブーブーブーブーブー!!

男「どういうことだ!!俺の勝利は確定だったろう!!!!」

会長「……女選手が作った野菜に」

会長「逆らえなかった……ただ、それだけだ……」

女「ふふ……そういうことよ」

実況「な、何が起こったのでありましょう!?会長の口の中で!!」

男「ぐっ……納得いかねぇ……!!」

女「ふふ……」

実況「ーーとにかく、勝者は女選手、という形でこの試合は終了になります!!」

実況「次の試合は、10分後!次の試合が終わりしだい、決勝の組み合わせが決まります!」

実況「では……勝者!女選手ぅぅー!!!」


ブーブーブーブー
ヒイキダー
オカシイゾー


男「くっ……終わってしまった……」ガクッ

女「……」




・・・・
・・・
・・

~控え室~

ガチャ

仮面「……」

DQN「お、ちーっす。女が勝つとは思わなかったぜ」

男「……ああ、俺も負けるとは思わなかった。女、何をしたんだ?」

女「……私の必殺技の名前、忘れた?」

男「『KING・OF・TUKEMONO』だろう?」

女「ええ。翻訳してみなさい」

男「ーー野菜の王、だろう?適当に付けた名前じゃないのか?」

女「そう、野菜の王。この必殺技は、名前そのままの意味なの」

男「??」

女「鈍いわね。王よ? 王には……誰も逆らえないでしょう!?」

男「……ま、まさか、おまえ!?」

女「そう。この技はね、成功した時点で、試食するもの全てを従わせることが出来る技なのよ」

男「ーーまさに、王……そうか……試合の時、感じた違和感……それは」

男「圧倒的な威圧感……だったのか」

DQN「お、おいおいメチャクチャな技だな!?ぜってー勝てねぇじゃんよぉ!」

女「そう、勝てると分かっているから……どれだけ時間をかけても良かったのよ」

女「大会の前にも言ったでしょう?」

女「勝つのは私だって」キッ

男(つ……強すぎる……まさに、王!負けることそのものが、ありえない存在……!)

DQN「な、なんてヤツだよ……」

女「ま、私の場合は女王ね」

仮面「…………ぷっ」

男女DQN「!?」

仮面「……野菜の王? 間違ってるよ……TUKEMONOは漬け物」

仮面「野菜はvegetable……ベジタブルだろう?」

DQN(いきなり喋り始めたきめぇぇぇwww)

女「……あなた、なれなれしいわね。誰?」

仮面「……」

DQN(そしていきなり黙り始めるきめぇぇぇwww)

ピッ

「73番と102番の選手、リングに上がってください」

DQN「…っと、俺の出番か。ちょっくら行ってくるぜ」

仮面「……」スクッ

男「ああ、俺の分まで頑張るんだぞ!!」

女「まぁ、勝つのは私だけど。頑張りなさい」

DQN「おうよ!!!!」

ガチャ……バタンッ

~本選のリング~

ワァァァァァァァァ!!!!

実況「さぁ、波乱の試合が終わりまして、いよいよ次の試合です!!」

実況「次の対戦カードはぁ!!」

実況「73番、DQN選手とぉ!!」

実況「102番、仮面選手だぁ!!!!仮面選手は、 匿名希望での出場です!!」

ワァァァァァァァ!!!!

DQN「うーし…」コキッコキッ

仮面「……」

実況「会長、この試合h……会長、寝ないでください!!!」

会長「…あ、ごめん、ごめんね」

ブーブー

実況「ーーで、この試合はどうなると思われますか!?」

会長「うーん、この二人は、今大会が初出場のダークホースって聞いたし。まぁ、レベルが高い試合になるのは間違いないけど」

会長「ちょーっと予想つかないね」

実況「ーーはぁ…。ありがとうございました!!ということで、いよいよ!!!」

実況「TUKEMONO全国大会二試合目!!!!」

実況「始めっっっっ!!!!」


カーン!!!!!

DQN「っしゃぁぁぁぁぁ!!!!!」ワシャワシャ

仮面「……」ワシャワシャ

実況「DQN選手、すごい勢いだ!! 早さは仮面選手より一枚上手のようです!」

実況「仮面選手は、一定のリズムで混ぜていますね……会長、どうですか?」

会長「……すー……すー……ん。何の話?」

実況「ーー会長は試食だけお願いすることにしましょう!!」

会長「え、ヒドイね、おい」

DQN「どらぁぁぁぁ!!!!」ワシャワシャ

仮面「……」ワシャワシャ

実況「ーーすごい!!DQN選手、いっきに完成する勢い!!」

DQN「うぉぉぉぉ!!!いっくぜぇぇぇ!!!!!」

DQN「ーーーー発動!!!!」

DQN「『D・Q・N!荒れ狂う竜巻』」

グルグルグルグルグル……ワッシャァァァァ

実況「こ、これは!? ツボの中身が回っているーーーっ!?」

ワァァァァァァァ!!!

DQN(俺は負けられねぇ!!絶対に!!)

仮面「ーーーー発動」

DQN(…お。相手も必殺技発動か……!)

仮面「『古代からの贈り物』」

シュルシュルシュルシュル………

DQN「ーーなっ………」

実況「な、なんと仮面選手!ツボを包帯で包んでしまった!!」

ザワザワザワザワザワザワ

実況「何が意図なんでありましょうかーっ!?」


DQN「……よし、かんs…」スッ

仮面「……完成」スッ

DQN「っ!? なっ……」

DQN(差をつけてたはずなのに……ほぼ同時に完成させやがった……何をしたんだ……!?)

ザワザワザワザワザワ

実況「な、なんと!? 同時に完成です!判定は、美しさと味ということになりますか!?」

会長「………すー……」

実況「起きろクソジジー!! 判定しろバーカ!!!」

会長「……ん。いやいや、起きてたよ。 すごいスピードだねぇ」

実況「あ、起きてましたか」

会長「そうだよ。ワシはTUKEMONOに関してはボケとらん。じゃあ判定いこうか」

実況「……スミマセンデシタ……」

DQN「……」ドキドキ

仮面「……」

DQN(ババァのために……負けられねぇ。スピードで圧倒したかったけど……)

DQN(味だって、手を抜いたワケじゃねぇ。大丈夫、大丈夫……)

仮面「……」

実況「えー、ほぼ同時に完成しましたが。どちらから判定しましょうか?」

会長「んじゃ、DQN選手の方からね。美しさは、ほぼ、一緒かな、、うん」

実況「では!!!DQN選手から判定お願いします!!!!」

会長「はい、いただきます」

DQN(……)

DQN(マジ、頼む…………!!!!)

会長「……」パクッ

会長「……ふむ」

会長「すごく荒い味……かと思いきや、後味はスッキリ。よく野菜の味をまとめている」

会長「そして、深い味。これは、まさに……」

会長「ーー番長。人望もあり、部下から尊敬され、器のでかい番長……そんな味だね」

実況「ーーーえーっと」

会長「あ。おいしいよ。ワシが食べてきた中でもトップクラスだね」

実況「おいしいそうです!!!!」


ワァァァァァァァ!!!!!!

DQN「……」ホッ

仮面「……」

実況「では、次は仮面選手の方、おねがいします!!!」

会長「うん、そうだね。味で決めるしかないしね、この勝負」

実況「お願いします!!!」

会長「実は、味だけの勝負って珍しいんだよね。ほとんどの勝負は美しさやスピードで差が出たりして……」

実況「お願いします!!!!」

会長「……ま、そうだね。んじゃ……」

会長「いただきます」

会長「……」パクッ

会長「……ふむ……」

会長「これは……まるで、古代から漬けてきたような深い味だね」

会長「……短時間でこの深さ……長く漬けたかのような味、歯ごたえ……」

会長「どうやったのかな……」

実況「ーーーえーっと」

会長「あ。おいしいよ。ワシが食べてきた中でもトップクラスだね」

実況「おいしいそうです!!!!!」

ワァァァァァァァ!!!!

DQN(さっきも同じようなこと言ってたじゃねーかクソジジー

仮面「……」

実況「ーーでは、いよいよ!!!」

実況「判定していただきましょう!!!!」


ワァァァァァァァ!!!!

DQN(頼む頼む頼む頼む頼む)

仮面「……」

会長「…うーん…」

実況「勝者は……」

実況「DQN選手か!? それとも、仮面選手か!?」

会長「………うーん………」

実況「ーーどうしました?」

ザワザワザワザワザワ

会長「あのね。スピードも一緒、美しさも一緒でね……」

会長「味も、まったく一緒のレベルなんだよ。まったくね」

実況「は、はぁ……まったく?」

会長「そう、まったく。だから……ワシとしては、この勝負……」










会長「ーー引き分け、だね」

DQN「……」

仮面「……」

実況「……」

シーン……


実況「いや、困りますよ。引き分けは」

ちょい休憩
いらんかったら落としてください

会長「いや、ウソはつけん。まったく一緒。優劣は付けられないね」

ザワザワザワザワザワ

実況「……ど、どうしたことでしょうか……引き分けになりますと……」

実況「女選手の優勝ということになるんでしょうか……?」

DQN「ーーああ!? それだけは許さねぇ!!勝者を決めろよクソジジー!」

会長「そうは言ってもねぇ。本当のことを……」

DQN「おい!!!!!!!」

ブーブー


仮面「……皆さん」







仮面「ーー僕の負けでいいですよ。リタイアします。ありがとうございました」

会長「あ、そう?すまんね」

DQN「て、テメー……いいのか?」

仮面「ああ。久々にTUKEMONOが出来て楽しかったから」

DQN「……すまねぇ。ありがとよ」

仮面「……それに」

仮面「僕が来たのは、お前と同じ目的なんだよ」

DQN「……?」


実況「……仮面選手、なんとリタイア宣言!!」

実況「勝者は、DQN選手です!!!」


ワァァァァァァァァ!!!!!!

実況「10分後、いよいよ決勝戦!!!DQN選手対女選手の試合になります!!」

実況「勝者ぁ……DQN選手ぅぅぅーーー!!!!!!」


ワァァァァァァァ!!!
イイシアイダッタナー
メイショウブダナ


DQN「……よかった……」ホッ

仮面「……」

~控え室~

ガチャ

DQN「……」

仮面「……」

男「おめでとうDQN!!!誇りに思うよ!!!!」

女「……おめでとう」

DQN「ま、まぁ。うれしいけどよ。本当は引き分けだったからな……」

仮面「……気にしなくていい」

DQN「……おまえ、何者だ? どっかで聞いたことがあるんだよ……」

DQN「お前の声を」

仮面「……ふっ。気づかれてたか」

DQN「ああ。何年も前……でも、俺の中に深く刻まれてる声だ」

仮面「……覚えててくれて、うれしいよ」スッ

DQN(……仮面を……!)




DQN父「……久しぶりだな、DQN」

DQN「…………てめー…………」

DQN「親父か……? だいぶ老けてるけど……親父だな!?」

DQN父「ああ。僕が単身赴任で家を出てから……7年ぶりか?」

DQN「…………」

DQN父「ずいぶんと成長したな。でも、目で分かったよ」

DQN「てめー……ババァはな……倒れて……入院してんだぞ……どこで何してやがった……」

DQN父「……母さんのことは、本人から電話で聞いていたよ。仕事だから、仕方なかったんだ……」

DQN「……で、今さら帰ってきたってか」

DQN父「ようやく、一段落ついたからな」

DQN「……だから親父も、この大会のこと聞いて、100万を……」

DQN父「ああ、僕は昔、TUKEラーをやってたからな」

DQN「……なんでリタイアしたんだよ。ベテランなんだろ?」

DQN父「……DQN、お前に可能性を感じたんだ」

DQN「可能性?」

DQN父「お前と僕はほぼ同じ実力だった。でもな……」

DQN父「お前には、僕にはない爆発力を感じる。僕が決勝に行くより、見込みがあると思ったんだ」

DQN父「ーー女選手に勝てるとしたら、お前だけだ。頑張ってこい!」

女「ーーあら、なめられたものね。私に勝てるとでも思っているのかしら」

DQN父「ああ、思っている。DQNならやってくれる!」

女「ーー理想論ね」

DQN「……女ぁ!!俺は、絶対に勝つ!!」

DQN「親父の期待に答えるためにも、ババァのためにもな!!!」

女「……」フッ

女「話から察するに、あなた達は母のために出場したのでしょう?」

DQN「……」

女「ーーでもね。私は手加減が下手なの。TUKEMONOに関してはね」

男「お、女……」

DQN「別に、手加減しろなんて言ってねぇ」

女「……ふん」

DQN「TUKEラーとして、正面から戦う!!そんでもってババァも助ける!!」

DQN父「よくいった……!」

女「……面白いわ。叩きのめしてあげる」

DQN「上等だゴラァ!!!!」

ピッ

「37番と73番の選手。リングに上がってください」

DQN&女「……!」

DQN父「ーーいってこい、DQN!!お前の全てをぶつけるんだ!!!」

DQN「おうっ!!!!」

男「二人とも頑張れ!!!!後悔のない試合しろよ!!!!」

女「……」フッ

ガチャ……バタンッ

~本選のリング~

ワァァァァァァ!!!
ハヤクシロー
イツマデマタセルツモリダー

実況「……すぅーっ……」

実況「さぁーーーーーーやってまいりましたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

実況「決勝戦でーーーーーーすぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!」

ワァァァァァァァァァ!!!!!
ウオーーーー!!!!!!


実況「対戦カードはぁぁぁんんん!!!!」

実況「37番、女選手とぉぉぉんんん!!!!!」

実況「73番、DQN選手だぁぁぁ!!!!!!」

ウワァァァァァァ!!!
イヨイヨカー
ワァァァァァァァ!!!!


女「……」フッ

DQK「しゃぁぁ!!!」コキッコキッ

実況「会長ぉぉぉ!!!!非常に楽しみな試合ですねぇぇ!?」

会長「……すー……すー……」

実況「ーーっしゃ!!!では、会場の皆さん!!!始めましょう!!!!」

実況「TUKEMONO全国大会決勝戦んんんんんんん!!!!!!!」

実況「始めっっっっっ!!!!!」

カーン!!!!!

DQN「っらぁぁぁぉ!!!」ワシャワシャ

女「……」ワシャワシャ

オンナガンバレー
DQNガンバレー

実況「おっとぉ、二人とも1回戦と変わらぬスタート!!」

実況「DQN選手は勢いよく混ぜ込み…」

実況「女選手は、冷静にゆっくりと混ぜ込んでいきます!!」

会長「……ふぅ。つまらない試合だね」

実況「あっ、会長!? どうしました!?」

会長「いやね? これは『勝ちの決まった試合』だから。やってもムダ」

DQN「…!」

ダマッテロー
ブーブー

実況「ど、どういうことでしょうか、会長!?」

会長「『女選手が勝つことは決まっている』……そういうことだね」

実況「ーー女選手が勝つと?」

会長「ああ、間違いなく。もう、決まってるんだよ。どれだけ抵抗しても、これは変わらない」

ブーブー!!!
ブーブー!!!
ワカラナイダロー!!

会長「ったく、事実を言ったまでなんだけど」

実況「ーーありがとうございました!!」

女「……」ワシャワシャ

DQN「……チッ」

DQN(……んなこと、分かってんだよ……)

DQN(女の技は『勝つ』って技だ。そもそも、勝てやしねぇ)

DQN(俺に、勝ち目なんて、あるわけねぇ……わかってるんだよ)

DQN(だけど、やるしかねぇ……諦められねーんだよ……!)

DQN(ーーとりあえず、あの技の前ではスピードは意味ねぇ)

DQN(最高傑作を作る。俺には、これしか出来ねぇんだ……!)

DQN「うぉぉぉぉ!!!」ワシャワシャ

女「……」ワシャワシャ


実況「ーー両者、ひたすら混ぜます!!混ぜまくります!!!!」

女(ーーDQN……どうやら、スピードは捨てたようね)

女(ーーでも。どれだけ良い作品を作ったところで、意味はないわ)

女(私は、『勝つ』んだから……!)


女「……」ピタッ

DQN「……!」

実況「おっとぉ!!!女選手、これはまさか……!?」

ワァァァァァ!!!


女「……さぁ、野菜達よ。時は来た」

女「ーーーー発動」

DQN(来るっ……!!)

DQN(あの、反則技…!)









女「『KING・OF・TUKEMONO』」









実況「……出たーーー!!!!!ツボと、ツボの中身が変化してゆくぅ!!!」

女「……」フッ

DQN(くっ…目の前で見ると、威圧感がさらにすげぇ……!)

DQN(従わなくちゃならねぇようなオーラ!!王の風格!!!)

DQN(これが、『KING・OF・TUKEMONO』……っ!!!)


シュウウウウウウ……

女「……完成」スッ


ワァァァァァァ!!!!!

実況「一回戦でも使用されましたこの技!!さぁ、DQN選手どうするつもりなのか!?」

会長「あーあ。ムリ、ムリだって。諦めた方がいいねぇ」

女「……」フッ

DQN「……」ガクガク

DQN(くそっ……勝てねぇ……やっぱり……)

DQN(目の前で見せつけられて分かった……これは挑んじゃ駄目なもんなんだ……)

DQN(リタ……イア……してぇな……)

DQN「……っ」ワシャワシャ

実況「ーーおっと? 明らかにペースダウンしましたか、会長?」

会長「気づいたんだろうねぇ……敏感そうだき、あの子」

実況「ーーと言いますと?」

会長「『そもそも勝てない』ことに、だよ」

DQN(ぐっ……自分でも分かる……)

DQN(明らかに、戦意喪失……これじゃ最高傑作を作るどころか)

DQN(『愛』が足りなくて劣化した作品が出来ちまう……)



実況「ーーちょっ!? あなた、誰ですか!? マイクを奪わないで下さい!!」

「す、すみません。ちょっと、ちょっとだけ」

ザワザワザワザワザワ

DQN「……あ? この声……」

DQN父「おい、DQN!!!情けない試合してんじゃない!!!!!」

DQN「お、親父……」

DQN父「大丈夫!!お前なら、勝てる!!!!女選手に!!」

DQN「そ、そんなこと言ったってよぉ……」

DQN父「僕はお前を信じてる!!そして……」

DQN父「母さんだって、病気と戦ってるんだ!!お前が諦めてどうする!!!」

DQN「……」

DQN父「ーーここから先は、もう声はかけない!!後悔だけはするな!!」




DQN父「あ、じゃあ、返しますね。ありがとうございました」

実況「あ、はい」

会長「……まったく……」

女「……」フッ

DQN「……」

DQN「ーーああ、くそっ……」

DQN「勝てねぇのに…絶対勝てねぇのに……」

DQN「ババァのこと思い出しただけで……燃えてくるなんてよぉ……」

DQN「とんだマザコンだぜ俺は……!」ワシャワシャ

女「ーーなっ……!」

ワァァァァァ!!!!!


実況「DQN選手!!最初の勢いが復活しましたっ!!諦めていないっ!!」


女(ふふ……面白いわ)

女(ここから、どうするつもりよ……?)

DQN(ーーそうだ……『愛』は、何も野菜への『愛』じゃなくてもいいんだ!)

DQN(ただ、どんな『愛』でもいい。形はどうであれ……野菜に『愛』を、ぶつければ!!!)

DQN(野菜に『愛』は伝わるはずだ……!!)

DQN「ーー見てろよ、女ぁ!!!これが俺の最後の技だっっ!!!」ワシャワシャ

女「……ふっ。見せてみなさい、あなたの『愛』を……!」

DQN「ーーー発動っっっっ!!!」

ザワザワザワザワザワ

実況「な、何をするつもりでしょうかぁ!?」

会長「何してもムダなのにねぇ……」







DQN「『カーチャン』」







DQN父(ーーーーDQN)

DQN父(本当に、立派に成長したな……)



ドンッッッッッ!!!!!!!

シュウウウウウウウ

DQN「ーー出来たぜ。これが俺の最高傑作だ」スッ

実況「ーー何が起きたのでありましょうか!? 輝いたと思ったら……」

実況「何の変哲もない漬け物が出現しました! ただの、漬け物……」

ザワザワザワザワザワ
ブーブー


実況「と、とにかく完成したようです!!判定、お願いします!!」

会長「……はいはい……」

実況「では、先に完成した女選手の方からですか?」

会長「まぁ、そうなるね」

実況「では、同じ味でしょうが……お願いします!!」

会長「いただきます」


女「……」

女(私が負けるワケない……)

会長「……」パクッ

会長「……あー。もう、ダメだね。勝負は決まった」

実況「ーーーまた、感想はナシですか」

会長「まぁ、説明出来るもんじゃないね、この味は」

ザワザワザワザワザワザワ

女「……」フッ


実況「ーーわかりました。では、次はDQN選手の判定お願いします!!!」

会長「まぁ、食べないと勝敗は下せないワケだしねぇ……いただきます」

DQN(………)

DQN(ーーーマジ、頼む!!!!!)

会長「……」パクッ

会長「……!」ピタッ

会長「…………………」

実況「ーーー会長?」


会長「……………」

実況「会長。会長?」

会長「……………」

会長「………………………」






会長「マズイね」

DQN「ーーーは??????」

実況「ーーーーーーマズイ……?」

会長「いや、この作品がスゴイものだってのは分かる。おそらく、すごい『愛』を込めたんだろうねぇ」

会長「ただ、この『愛』の味は……野菜への『愛』じゃない。野菜に向けていいものではないね」

会長「簡単に言うと……一人よがりな作品になっちゃってるんだよねぇ」

ザワザワザワザワザワ

DQN「そ、そんな……っ!!!!ウソだろ!?!?俺、負けちまうのかよぉ!?!?」

実況「ーーーでは、判定は?」

会長「……女選手の勝ちだね」


ワァァァァァ!!!!!

DQN「ま、待て……待ってくれ……!」

実況「ーーわかりました。では、今年度のTUKEMONO全国大会の優勝者は!!!」





実況「女選手です!!!!!!!」


女「……」フッ

DQN「お、おい……ウソだよな……?」

ワァァァァ……ワァァァァァ……

・・・・
・・・
・・






~大会終わり、公園~

DQN「くそっ……ひぐっ……すまねぇ親父……っ」ポロポロ

DQN父「……いや、お前はよく頑張った。100万は、僕が稼ぐ」

DQN「ど、どうせ無理だろ……ただでさえ、きつい上に……」

DQN「ババァの入院費用で、金なんて消し飛んで行くじゃねーか……」ポロポロ

DQN父「……」

男&女「……」

DQN「くそっ……俺がもっと強けりゃ……っ」ポロポロ

DQN父「いや、私がもっと稼いでいれば……」

女「ーー男のクセに、いつまでもメソメソと……情けないとは思わないの?」

DQN「……うっせぇ……どうしても……100万が必要だったんだよ……」ポロポロ

女「……」


女「……そんなに欲しいならくれてやるわ、こんな紙切れ」パンッ

DQN「……あ!? 」

女「……持っていきなさい」

DQN「い、いいのかよ!? マジ!?」

女「ええ……本来なら」

女「あの勝負、私の負けよ。味が一人よがりだとしても」

女「完成度は、私を上回っていた。『愛』の量がケタ外れだったわ」

男「……確かにな」

DQN「……」

女「……それに、この一週間。ここまで短期間で上達するには相当の覚悟が必要だったはず」

女「覚悟の強さでも、私は完敗よ。この100万は、あなたが受け取るべきだわ」

DQN「……おまえ、良いヤツだな!!」

女「……」フッ

DQN「マジ、いつか借り返すから!! 親父、病院行こうぜ!!日取り決めねーと!!」ダッ

DQN父「ーー女さん。本当にありがとう」

女「いえ……別に」

DQN父「では……」ダッ


女「……」

男「……」

男「……なぁ、女」

女「……なに?」

男「俺、お前のこと……やっぱ好きだ」

女「……し、知ってるわよ、そんなこと……///」

男「これからも、ずっと……優しいお前でいてくれよ」

女「……///」コクン



・・・・
・・・
・・





~七年後、アメリカにてTUKEMONO世界大会~


男「ーー今度こそ、負けられないな」

女「ーーどうせ、また私が優勝よ」

DQN「ーーおいおい、今度の優勝は俺のもんだっつーの」




ピッ

「1053番と2069番の選手。リングに上がってください」

DQN「おっ、俺と男か!!いっちょやるぜ!!!」

男「……よし、行ってくるよ、女」

女「ーーが、頑張りなさい///」

DQN(夫婦だからってイチャつきやがって……ボコボコにしてやる)

~世界大会リング~

実況「ーーさぁ、これから……」

DQN「……」チラッ

DQN(あーあ。やりにくいなー……チッ、こんなところにまで応援に来やがって)

DQN父「がんばれーDQN!!!」

DQN母「……ふふ。ファイトーー!!!」

DQN(……ほんと、元気になってよかったな……カーチャン)


実況「ーーー始めっ!!!!」

カーン!!!!!



おわり!

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