黒井「私の業務内容が聞きたいか?」 (29)
【ある日の夜、事務所】
P「はぁ……残業とかついてない……」
P「音無さんも帰ったし、一人って寂しいなぁ……」
P「これで終わりだし、さっさと――」
プルルルル……
P「電話?社長からか」
P「もしもし社長?どうしましたか?」
P「え?黒井社長と飲んでる?で、俺も来ないか……と」
P「はい、はい。分かりました。すぐそちらに向かいます」
ブツッ……
P「人が残業してる時に飲み会とは、いいご身分――いや、身分はいいけども」
P「まあ、黒井社長から経営の話を聞けるみたいだからいいか」
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【料亭】
P「社長、お待たせしました」
高木「いやいや。来てくれて嬉しいよ。ささ、中へ」
P「はい。それにしても、黒井社長と飲むなんて珍しいですね」
高木「まあ、旧知の仲だからね。飲み会もするさ」
P「そういえばそうですね。えーと、この部屋ですか?」
高木「うむ。ああっと、すまないが私は少しお手洗いに行ってくるよ」
高木「しばらく席を外すが、まあゆっくりしてくれたまえ」
P「はい、分かりました」
ガラッ
P「黒井社長。本日はお招き頂き、ありがとうございま――って酒臭っ!」
黒井「……うん?高木の奴はどこだ?」
P「社長はお手洗いに行きましたが……」
黒井「チィ……逃げたか……まあいい」
黒井「貴様は確か、765のへっぽこプロデューサーだな?」
P「へっぽこは余計ですが、そうです」
黒井「私の業務内容が聞きたいか?」
P「ええ。叶うのならば、是非とも――」
黒井「私の業務内容が聞きたいか?」
P(あ、これスケープゴートだ)
P(社長め……月夜ばかりと思うなよ)
――――――――――――――――――――
高木「へっくしゅ!」
高木「誰かが噂しているな……彼だろうか?」
高木「まあ、お金は10万ばかり置いてきたし、楽しんでくれているだろう。あっはっは!」
――――――――――――――――――――
黒井「私の業務内容が聞きたいか?」
P「黒井社長、それ三回目――」
黒井「馬鹿め!誰が喋っていいと言った!」
P(うぜぇ……)
P「す、すみませ――」
黒井「馬鹿め!同じ事を二度言わせるな!」
P「…………」
黒井「…………」
P「…………」
黒井「だんまりでは話が進まんではないか!」
P「どうしろって言うんですか!?」
黒井「私の業務内容が聞きたいか?」
P「すみません黒井社長。私はこれで――」
黒井「私の朝は一杯のコーヒーから始まる」
P(勝手に語り始めた……)
黒井「一杯のコーヒーから始まる」
P「はぁ……」
黒井「一杯のコーヒーから――」
P「知りませんよ!」
黒井「ここで貴様の小さな脳みそに質問だ。光栄に思え」
P「……何ですか?」
黒井「返事が小さい!」
P「何ですか!?」
黒井「やかましい!そんなに大声で言わなくても聞こえるわ!」
P(うぜええぇぇぇえええ!)
黒井「では質問だが、私はコーヒーに何を入れると思う?」
P「どうせブラック――」
黒井「馬鹿め!ブラックに決まっているだろう!」
P「今そう言いましたよ!」
黒井「私の朝は一杯のブラックコーヒーから始まる」
P「話を聞いてください!」
黒井「では話を聞いてやろう。何だ?」
黒井「ポーン。タイムアップです。私の朝は――」
P「だから話を聞けと言うに!」
黒井「羽虫のようにうるさい奴だ……聞いてやるから早く言え」
黒井「ポーン。タイムアップです。私の朝は――」
黒井「おい。言おうとする気概ぐらい見せろへっぽこが」
P「あなたがタイムアップ宣言したんでしょう!?」
黒井「ピーチクパーチクうるさい奴だな……タイムアップが嫌なのか?」
P「嫌ですよ!」
黒井「分かった分かった。タイムアップは言わないから話してみろ」
P「その――」
黒井「ポーン。時間切れです。私の朝は一杯の――」
P「そうなると思いましたよ!」
黒井「ふむ……展開を予想する程度の脳みそはあると見える」
P「人間ですからね」
黒井「人間だったのか!?」
P「人間ですよ!」
黒井「見れば分かるわ!馬鹿にしているのか!」
P「馬鹿にしているのはそっちです!」
黒井「私の朝は――」
P「どうせ一杯のコーヒーでしょう?」
黒井「たまに一杯の泥水から始まる……」
P「それ苛められてますよ!」
黒井「冗談はさておき」
P「冗談しか言ってないじゃないですか」
黒井「私の朝は――」
P「もうコーヒーでお腹タプタプなんですけど」
黒井「何時に始まると思う?偶数で答えろ」
P「え?偶数?じゃあ……6時?」
黒井「馬鹿め!正解は7時だ!」
P「ちょっ!?それずるくないですか!?」
黒井「答えが偶数であると言った覚えはない」
P「うぜぇ……」
黒井「ところで765の三流プロデューサーよ」
P「三流は余計ですが、何ですか?」
黒井「貴様の好きな数字は何だ?1から12の中から答えろ」
P「やっぱり1――」
黒井「ちなみに私の好きな数字は7だ」
黒井「7と言えば、私の朝は7時から始まる」
P「どうでもいい!」
黒井「そもそも貴様は何をしに来たのだ?」
P「俺は黒井社長の話を――」
黒井「そうか。私の使っているワックスは――」
P「そういう話じゃありません!」
黒井「さっきから騒々しい奴だな。私の朝は一杯のコーヒーから始まる」
P「無理やり会話にねじ込むのやめてくれません!?」
黒井「ああ、思い出した。私の業務内容の話だったな」
P「ええ、そうです」
黒井「聞きたいか?」
P「いえ特に――」
黒井「聞きたいか?」
P「別に――」
黒井「聞きたいか?」
P「分かりました聞かせてください!」
黒井「そこまで言うのなら仕方ないな」
P「うっぜぇ……」
黒井「私の業務は朝7時のコーヒーから始まる」
P「何でそこからなんですか!」
黒井「面倒臭い奴だ。黙って聞け」
P「はいはい分かりましたよ」
黒井「『はい』は一回!」
P「はい!」
黒井「『はい』と言えば、私は先日ハイキングに――」
P「業務の話をしてください!」
黒井「馬鹿め!誰が業務以外の話をしていると言った!」
P「ハイキングの話じゃないですか!」
黒井「馬鹿め!これはハイキングに見せかけたスカウトだ!」
P「カモフラージュの意味は!?」
黒井「『カモフラージュ』言えば、私は出先で鴨南蛮そばを――」
P「昼食の話はどうでもいいですってば!」
黒井「馬鹿め!これは昼食ではなく夕食だ!」
P「心底どうでもいい!」
黒井「ところで質問だが、私は夕食に何を飲んだと思う?」
ツイツイッ
P「ちょっ……鼻先に箸を持ってくるのやめてください」
黒井「ほら、早く答えろ」
ツイツイッ
P「ですから、箸をどけてください!」
ツイツイ……ツンッ
黒井「チッ……箸が汚れたではないか」
P「あなたの所為でしょうが!」
黒井「まあいい。それで、私が夕食に飲んだ飲み物は何だと思う?」
P「どうせコーヒーなんでしょう?」
黒井「馬鹿め!黒ウーロン茶に決まっているだろう!」
P「黒ければ何でもいいんですか!?」
黒井「雑巾の絞り汁は嫌だ……」
P「反応に困ります」
P「話が進まないので、俺から質問しますけど」
黒井「会話も満足にできんとは……のろまな奴も居たものだな」
P「あなたですよあなた!」
黒井「貴様、担当アイドルの芸をパクッて恥ずかしくないのか?」
P「芸って程でもないでしょうが!」
黒井「そうか。天海春香にそう伝えておく」
P「すみませんでした!」
黒井「謝るのだけは一人前だな。いや、コメツキバッタみたいだから人ではないか」
P「誰がコメツキバッタですか」
黒井「ちなみに私はパン派だ」
P「誰も米の話なんてしてませんよ!」
黒井「ふむ?では貴様のスーツについているそれは何だ?」
P「え?あっ!何で米がこんな所に!?」
黒井「馬鹿め!私がつけたに決まっているだろう!」
P「なら謝ってくださいよ!」
黒井「嫌だ。私はコメツキバッタではないのでな」
P「何でこんなのが社長やってられるんだろう……」
黒井「グズでマヌケなプロデューサーよ。私に質問があるのではなかったのか?」
P「あなたはいちいち人を貶さないと会話できないんですか……」
黒井「では聡明で敏腕なプロデューサーと――」
P「やめてください気持ち悪い」
黒井「身勝手な奴め……」
P「あなたにだけは言われたくないですよ!」
黒井「喉が渇いたな。貴様、何が飲みたい?」
P「あ、俺はビールでお願いします」
黒井「馬鹿め!貴様に選択の自由などない!」
P「じゃあなんで選ばせたんですか!?」
黒井「私の朝は一杯のコーヒーから始まる」
P「返事に困ったら誤魔化すのやめてくれません?」
黒井「ええいうるさい!さっさとビールでも飲め!」
P「お、黒井社長も意外と――って、これ麦茶じゃないですか!」
黒井「さっきペットボトルで振っておいた」
P「小学生みたいな事を……」
黒井「私は少年の心を失わない男だった」
黒井「そんな私の朝は一杯のコーヒーから始まる」
P「少年関係ないじゃないですか!」
黒井「ところで、私の休日は一杯の――」
P「コーヒー」
黒井「ではない特別なものから始まります。一体なんでしょう?」
P「クイズの引っ掛け問題みたいに話さないでくださいよ!」
黒井「馬鹿め!引っ掛かったのは貴様の責任だ」
黒井「それよりもさっさと答えろ」
P「一杯だけにイカから始まるとか下らない事を――」
黒井「成程。貴様の笑いのセンスの低さはよく分かった」
黒井「事務所で如月千早に慰めて貰うといい。大爆笑だぞ」
P「それ傷抉ってますよね!?」
P「ああもう……それで、質問を聞いてくれるんですか?聞いてくれないんですか?」
黒井「ふん……話してみろ」
P「実は、仕事に身が入らない時があるんです。黒井社長はどうしてるんですか?」
黒井「私か?私の朝は一杯の――」
P「コーヒーでしょう!?もういいですよ!」
黒井「黙って聞け!今は真面目な話だ」
P「す、すみません……」
黒井「いいか?私の朝は一杯のコーヒーから始まる」
P「はぁ……」
黒井「そして、私の午後はアフタヌーンティーにて始まる」
P「……どうせ夜は酒でも飲むんでしょう?ただのおっさんじゃないですか」
黒井「馬鹿め!夜は歯を磨くに決まっているだろう!臭い奴だな!」
P「俺だって歯ぐらい磨きますよ!」
黒井「その割には臭うが」
P「それはあなたの加齢臭です」
黒井「貴様、どんどん発言が辛辣になっているぞ……」
黒井「そうだ。仕事が辛いなら我が961プロに来るといい」
P「……何を企んでいるんですか?」
黒井「企むとは人聞きの悪い。ただ、条件がいくつかあるだけだ」
P「それは?」
黒井「我が社で働くにあたって、守って貰いたい961の項目がある」
P「中途半端ですねぇ!」
黒井「特に765番目の、私の5時間に及ぶコーヒーの試飲会には是非参加して貰いたい」
黒井「以上だ」
P「以上って言うか異常な量ですね」
黒井「何なら項目数の好きな位を四捨五入しても構わんぞ」
P「どこでやっても大して変わらないじゃないですか……」
P「はぁ……もう帰ってもいいですか?」
黒井「好きにしろ。私も帰る」
P「ここは黒井社長が持つんですか?」
黒井「見くびるなよ。この程度の会計、セレブにとっては――あ」
P「『あ』って何ですか、『あ』って」
黒井「財布忘れた。てへぺろ☆」
P「うっぜぇぇぇぇえええ!」
――END――
以上で完結となります。お楽しみ頂ければ幸いです。
タイトルで分かる方もいらっしゃるかと思いますが、元ネタは『ソウルイーター』のエクスカリバーからです。
中の人が一緒です。
クロスとも言えないクロスもどきみたいな作品ですが、読んで頂けたのならば感謝を。
クオリティ低くてすみません。
おもしろかった
乙
ものすごいキャリフォルニア臭がした
乙
7あたりからエクスカリバーじゃねーかと思ったらやっぱりエクスカリバーだった
ヴァカめ‼
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