智絵里「こ、これ以上紗枝ちゃんにPさんの匂いを嗅がれたら……た、大変なことに!」 (45)

――外宇宙、アウズブラ級大型宇宙航行艦『アウズブラ』(ブリッジ)


「レーダーでの環境測定、一覧の出力と再展開の準備はどうなっている?」

「解析中です、6分後に展開できます。一次計測後に再度レーダーを展開、索敵班には作業通達を展開済みです」

「よし、ではレーダー再展開可能後、目標惑星の調査を行う。降下部隊は格納庫で待機だ」

「環境測定が完了次第、スーツの環境設定を合わせて目標惑星に向けて降下を開始する」

ピピピッ! ピピピッ!

「艦長、通常レーダーに反応があります」

「む、どうした?」

「これは……何かが高速で艦に接近しています! レーダー反応は3!」

「速度的には小惑星でもないのか? モニターに映せ」

「了解、モニター出します……ヒッ!?」

「なっ!? なんだコイツは――」


――
――――

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1480007745



――星間航行技術が発達してから数十年、人類が外宇宙での惑星探査中に初めて宇宙生命体と遭遇した映像記録は、ここで途切れていた。




――極僅かの映像記録から該当する生命体の外見を知った国際連合軍は、人類にとっては未知となる宇宙生命体を『キラー・ビー』と呼称した。




――だが、映像記録に残っていた外見的特長以外、彼等のことは何も分からないままだった。調査隊は全滅し、遺族へは無念の感情を伝えることしかできなかった。


――数年後、木星圏、巡航行船『エイル』(客席)

「あらお嬢さん、もしかして今日は1人で船に乗ったのかしら?」

「はい。地球で働いている父と母に会いに行くので」

「そうなの……1人だと色々大変でしょう? 私も夫と一緒に地球にいる息子に会いに行くところなの。ご両親は、どんなお仕事をしているのかしら?」

「どちらも軍で働いています。ここから火星圏のギチトーに着いた後は、父の友人が迎えに来てくれるみたいなので……」

「それなら火星圏から地球までは安心ね。ここから地球までは距離もあるから、お嬢さん1人っていうのは難しいものね」

「そうですね。あまり、他の方のご迷惑にはなりたくはありませんが……」

「偉いのね。それなら、ギチトーに着くまでは――」

ガコンッ!!

ビビビビビッ! ビビビビビッ!

「わぁっ!?」

「な、何!?」

「なんだ、どうした!!」

「あ、あああ……アレ、そ、外!!」

「外……」

「ヒィッ!?」


ズドォォォンッ!!!!


――数年後、キラー・ビーは人類が住む宙域で目撃された。木星圏宙域を航行していた巡航行船、エイルは大破。記録上、乗員乗客は全員死亡とされた。



キラー・ビーによる攻撃から、国連本部はキラー・ビーを敵対因子と判断。軍事産業複合企業「オート・クレール社」に宇宙用戦闘機の開発を発注した。
その後、初の宇宙用戦闘機「グレイプニール」が完成。プロトタイプ1号機は発注を受けてから4ヶ月という短い期間で生産された。

人類はグレイプニールを用いて木星軌道を航行中の巡航行船「エイル」を再度襲撃したキラー・ビーに対して応戦、これを退けることに成功。
戦闘結果によりグレイプニールの実用性が認められ量産される。以降、人類と外宇宙からの侵略者であるキラー・ビーとの長い争いが始まった。


――――
――

――数年後、土星圏宙域、アウズブラ級大型宇宙航行艦『ユミルS-01』(メインブリッジ)

黒井「馬鹿か貴様は」

大佐『馬鹿なことを言っているつもりはないんだがねぇ、黒井大佐……だが、どうだ? 悪い話じゃないだろう?』

黒井「ナンセンス、私の艦に貴様のところにいる糞ガキを置く趣味など無い」

大佐『そうか……仕方が無い』

黒井『ふんっ! 分かったのなら通信は……」

大佐『これなーんだ?』

ガタッ!!

黒井「き、き、き……貴様!! な、何だそれは!?」

大佐『うーん、何時の飲み会の記録画像だったな……麗奈君から転送されてきたものなんだが』

黒井「きっ、き……くっ、う、お……」プルプル

大佐『それにしてもお前がなぁ……いくら酔っ払ってしまったとはいえ、飲み屋の若い娘の尻に頬ずりするとはねぇ……セレブなお前が、ねぇ』

黒井「……貴様――」

大佐『さて、珍しいものだし広報に配布紙面のネタにでも使ってもらおうかね』

黒井「貴様ぁぁあああああああ!!!!」ガタガタガタガタッ!!!!

大佐『まぁ、交渉成立ということでどうだね。人事には私のほうから話しておこう』

大佐『なあに、私も彼には期待していてね。土星圏でのキラー・ビーたちとの戦闘も激しいし、経験を積ませておこうかと思っているだけだよ』

黒井「んんっ! んっ! っと……だが私はやはり気に食わん」

大佐『どうしてだい?』

黒井「お前は新人と言うが、偶然私が木星圏に立ち寄った際に奴の初出撃を見たが……何が新人だ」

大佐『新人だよ、間違いない。そういえば、臨時でナシヤマの迎撃隊の指揮をしていたね。彼の初出撃だったか……』

黒井「ふん、新人だろうがなんだろうが、とにかく生意気な奴だ。私は気に入らん」

大佐『初出撃からすまし顔で戻ってくる新人なら、確かにお前は気に食わなく思うだろうな。ただ、彼は素直でいい子だよ』

大佐『まあ、しばらくの経歴はデータベースのほうを見てくれ。面倒かもしれんが、これも仕事だと思って頼む』

黒井「……さっきの記録画像は消去しておけよ、必ずだ!」

大佐『分かったわかった。それじゃ、私は失礼するよ』

ピッ!

黒井「……ふん、気に入らん」

黒井「何が新人の教育だ……こちらの事情が分からん貴様でもないだろう」


……
…………

――木星圏宙域コロニー『ナシヤマ』、強襲戦闘艦『ヴェールJN-06』(格納庫)

少佐「貴様等ぁー!! 何をモタモタしている!」


ピピッ! ピピッ!


「……」ピッ……ピッ……

「……っ!」ピッ……ピピッ……


少佐「3次元飛行を行うキラー・ビーに対抗するには、グレイプニール各所に搭載された大小のスラスターを用いての立体機動戦闘が必要不可欠だ!」

少佐「立体機動からの直線加速への切り替え、背面取り、すべてを無駄なく行わねば奴等の粒子砲の的になるだけだ!!」


P「……」ピッ、ピッ……ピピッ! ピピッ! ピピッ! ピピッ!


少佐「死にたくなければ次の出撃までにマニューバを身体に叩き込んでおけ!!」

JN-06艦長「まったく少佐、あまりそう部下を苛めるなよ」

少佐「艦長……いえ、これくらいは当然です。後方の私たちもこれくらいせねば、土星圏で戦っている者たちに申し訳ない」

JN-06艦長「とはいえ、私たちもこちらの宙域に出没している蜂との戦闘はある。今月の出撃は3回、多い月だと5回はあるだろう」

少佐「……出撃数の話しをしてしまえば、尚更です。土星圏のユミルは随時、宙域を哨戒しています……戦闘も、我々とは比べるまでもなく」

JN-06艦長「そうだな……まあ、この話はやめにしよう。P少尉を借りてもいいか?」

少佐「奴をですか? 構いませんが……ああ、あの件ですか。正式通達が?」

JN-06艦長「うむ、私としても彼を指名されたのは惜しいのだがな……ともあれ、これも軍の決定だ」

少佐「……はっ、了解です。稼働中のシミュレーターが完了次第向かわせますので」


……
…………

――数十分後、ヴェールJN-06(艦長室)

パシュンッ!

P「失礼します」


JN-06艦長「来たかね。どうだい、訓練のほうは?」

P「特に問題はありません。スコアも下がらなかったので」

フォン……

JN-06艦長「ふむ、キミのスコアは……確かこの記録シートだったか。なるほど、第1世代……G1のシミュレーターでここまでのスコアを出すのか」ピッ、ピッ……

P「はっ……いえ、表示上されているスコアは更新できていませんので……」

JN-06艦長「このシミュレーターに記録されている上位スコアは、全宙域にいるパイロットが出しているオンラインスコアだよ」

JN-06艦長「まったく、訓練を終えて配属されてから2年目のキミが、スコアボードに名前を載せているのは驚きだよ……もっとも」ピピッ!

JN-06艦長「最上位のスコアを更新できないのは、仕方が無いがね。ここまで行くと本当の化け物揃いの領域だよ」

P「精進します」

JN-06艦長「さて、そんな話をするために来てもらったわけではない。以前、少し話したとは思うが……土星圏の異動の件だ」

P「土星圏……ユミルへの異動ですか?」

JN-06艦長「CSL-654、アウズブラ級大型宇宙航行艦ユミル……そのS-01への異動が決まった。何か質問はあるかね?」

P「グレイプニールはS-01にある物を使用することになるのでしょうか?」

JN-06艦長「いや、キミが使っているG1を持っていく。シャトルに乗せて運ぶ予定だ。他には?」

P「それ以外は特に……まあ、行ってみないと分からないことのほうが多いでしょうし」

JN-06艦長「若いね。土星圏はここよりもキラー・ビーたちとの戦闘が激しい。普通なら行きたくはないと思うだろうが」

P「まあ……そうですね。どうせ宇宙に出るなら蜂と戦うよりは、ゆっくりとグレイプニールに乗って遊覧飛行でもしたいですが」

JN-06艦長「ははは。とはいえ、時期的には少し残念ではあるがな」

P「残念?」

JN-06艦長「つい先日、共有データベースのアルヴィスが更新されていた。土星圏で展開している広域光学レーダーが蜂の巣を観測している」

P「わざわざそうおっしゃるということは……中規模以上の蜂の巣ですか」

JN-06艦長「ちらほら見かけるようになったらしい。中規模以上の巣となれば一仕事だ。キミも、異動直後から前線任務に充てられるだろう」

P「前線か……とはいえ、仕方がありません。私の仕事は前線任務ですし」

JN-06艦長「そうだな……まあ、頑張ってほしい。私も大佐も、キミには期待しているからね」

P「大佐ですか。しばらくは直接会っていませんが……了解です。こちらでの担当の引継ぎは済ませておきます」

JN-06艦長「頼むよ。詳細については通達を転送しておく」

P「はい。では失礼します」


……
…………

――土星圏宙域、ユミルS-01(艦長室)

麗奈「で、アンタ、あの大佐から押し付けられた新人どうする気?」

黒井「知らん」

麗奈「適当ねぇ……ま、アタシほとじゃないけど。誰か適当につけてやりなさいよ」

黒井「っとに、私は忙しいんだ。適当な奴に任せてしまうか……」

ピピッ!

『黒井大佐、哨戒任務時の定期集計データの件でお話しが……』

黒井「ん? 入れ」ピッ!

『失礼します』


パシュンッ!

黒井「どうした、高垣中尉」

楓「はい……ええと、S-02からの連絡もあったんですが……前回の戦闘で逃したキラー・ビーの群れが、あちらで対処していた蜂の巣と合流したようで……」

黒井「ふんっ、それくらい向こうで対処しろと伝えておけ」

楓「ですが……その、今回の集計データ、そのときのキラー・ビーとの戦闘データを入れていますので、対応数が合わなくなるので……」

黒井「全く面倒な……であれば向こうの艦長とは話しておく。データは送っておけ、承認しておく」

楓「分かりました、では……」

黒井「待て高垣中尉、この前話したものとは別にもう1つ仕事をくれてやる」

楓「お仕事……ですか?」ピクッ

黒井「近々ウチに新入りが1人来る。適当に物を教えてやれ」

楓「はあ……分かりました。では」フワッ

パシュンッ!


麗奈「……アンタさぁ」

黒井「なんだ」カタカタカタッ

麗奈「よりにもよってアイツに頼むの……」

黒井「何の問題がある。中尉は能力もあるし仕事については問題ない」

麗奈「そういう話しじゃないけど……新入りって男?」

黒井「ああそうだ。アイツのところにいた気に食わん奴だ」

麗奈「ウチの艦の男たちにシメられなきゃいいけど……」


……
…………

――ナシヤマ、ヴェールJN-06(Pの部屋)

大佐『どうだね? 木星圏から土星圏の異動については』

P「まあ願ったり叶ったりというか……ありがとうございます」ピッ、ピッ……

大佐『キミの評価は艦長からも聞いているよ。まぁとんでもない新人が来たってねぇ』

P「大げさですよ。昔から散々シミュレーターで乗り回していただけで、実戦はこうして軍に入隊してからなんですから」カタカタカタッ

大佐『大げさじゃなかったら私もわざわざこんな人事回さないんだがね……』

P「ん、なんですか?」

大佐『ああいや、何でもないよ。ところで、さっきから手元で何をやっているんだね?』

P「G1の調整データの作成ですよ。あとで整備班に渡そうと思って……最近、もう少し速度が出ないかと悩んでいるんですけどね」

大佐『G2かOPF……はいまのキミに支給するのはちょっと難しいねぇ。いや、実力が伴っているなら私はいいと思ってるんだがね』

P「どうせならOPFがいいです。G2は鈍足過ぎてダメです。あれじゃG1をバージョンアップしてOPFを作り直すのも仕方がありません」

大佐『第2世代は不評だから仕方が無いか……まあ、何はともあれ向こうでも頑張りたまえ』

P「了解です」

……
…………

――2週間後、土星圏宙域コロニー『ホクドウ』、ユミルS-01(メインブリッジ)

黒井「まったく、S-03の出航が遅れたせいでこちらの作業も……」ブツブツ

「はぁ~い黒井大佐、そんなときはスッキリ爽快フルーティーな味わいのスペシャルウサミンドリンクは如何でしょうか?」スッ

黒井「むっ」ピクッ

「ほらほらぁ、ホクドウに戻ってきて食堂も一般食が食べれるようになったんですから、もうちょっと気楽にいきませんと、ね?」

黒井「……ふんっ、中尉の言うことも一理あるか。たまには庶民の考えに倣ってみるのも悪くない」

パシュンッ!

麗奈「ほらちょっとアンタ、艦長席でニヤニヤしてんじゃないわよ」

黒井「ぶぅっ!? だ、誰がニヤニヤしているというのだ! 誰が!」

麗奈「アンタよアンタ。んで、これ編成どうすんのよ。グレイプニールの編成もそうだけど、ヴェールも、中破した2番は入れ替えなんでしょ?」

黒井「現在哨戒任務に当たっているヴェールを積む予定だ。グレイプニールの編成は駒が揃ってからだ」

麗奈「あ、そう。それじゃアタシはもうちょっとシミュレーターで遊んでるわ」

パシュンッ!

「……入れ替えで新しいヴェールが入るんですか?」

黒井「今回の長期哨戒任務での戦闘で、それなりに修理しなければならなくなったから仕方が無い。中規模以上の蜂の巣との戦闘が増えてきている現状もある」

黒井(まったく……この忙しいときにアイツは……)


……
…………

――土星圏宙域、ヴェールSN-05(ブリッジ)

「艦長、間もなく艦が安全航路にはいります。短距離索敵用レドームを解除します」

SN-05艦長「これでホクドウに戻るまでは安全か……皆、よくやった」

「でも戻ったらS-01に配備だもんねー」

「ホント、いつ休暇取れっていうんだか」

SN-05艦長「まあ、貧乏くじを引かされてしまったというところか。すまんがもうしばらくは頑張ってくれよ」

「人使い荒いもんねー」

美優「そ、そうですね……」

ピピッ! ピピッ!

美優「レーダーが……?」ピクッ

ピピッ! ピピッ!

「ちょっと三船少尉、見せて……艦長、蜂です!」

SN-05艦長「何ぃ? このタイミングでか!」

「数は……F型が7、ホーネットはいません。蜂の巣は無し!」

SN-05艦長「ようやく一息つけるところで7匹か……コンディションレッド! 総員戦闘態勢!」

「グレイプニール小隊の出撃準備を行います。パイロットは発進準備願います」

「オートメーション機能により戦闘信号を自動発信します。現宙域を安全航路圏から除外、周囲を航行中の民間船に警報を出します」

美優「レ、レーダーは……せ、先頭のF型と、艦との距離は4100……元々、宙域にいたキラー・ビーのようです」カタカタカタッ

SN-05艦長「蜂共め……!」ギリッ!


……
…………

――同時刻、土星圏戦闘宙域後方

P「……暇」

整備士「暇って……そんなこと言わないでくださいよ。こっちだって暇なんですから」

P「いや、だってさ……どこのコロニーにも寄らないで真っ直ぐホクドウ向かってるし……整備士、何か面白い話しない?」

整備士「突然言われても……それよりちゃんと運転してくださいよ」

P「助手席に座ってる奴は、運転手が退屈しないように盛り上げる仕事があるんだぞ」

整備士「いやいや――」


ピーッ!

P「ん、どうした整備士?」ピクッ

整備士「ちょっと待ってください……どうやら自動発信されている信号を受信したみたいです。安全航路圏でキラー・ビーとの戦闘が開始されているようです」

P「何? てことはここら辺での戦闘か?」

整備士「そうみたいです。前方のほうでヴェール艦がキラー・ビーと交戦、周囲の民間船は速やかに退避せよとのことです」カタカタカタッ!

P「俺たちには関係ないな。よし整備士、運転代われ」

整備士「えっ、もしかして出撃するんですか?」

P「当たり前だろ。安全航路付近で戦闘なんて、逃げ遅れた民間船が出たら大変なことになる。戦闘宙域の状況は確認できるか?」フワッ

整備士「ちょっと待ってください。レーダー情報……キラー・ビーが7匹、グレイプニール小隊が3!」

P「12機での戦闘か……土星圏は精鋭揃いとはいえ蜂1匹に対して2、3機で当たるとすれば少し数が足りんな……」

整備士「恐らく哨戒任務の帰還途中での戦闘だと思います。出撃できるグレイプニールに余裕がなかったんでしょうね」

P「急いだほうがいいな。このままG1に乗る。後部ハッチを開いてくれ」

整備士「えええっ!? パイロットスーツは?」

P「急いでると言っただろ。ほら、早くしてくれよ」パシュンッ!


……
…………

――戦闘宙域

蜂「……!」ズドォォンッ!!

『ぐおおおおおおっ!?』

ドガアアアアアアンッ!!

『ヨコヤマー!』

『ちくしょう! よくもヨコヤマを!』

『落ち着け! コンビネーションマニューバを組みなおす。プランはY03だ!』

『了解!』


蜂「……!」ギュンッ!


『ちぃっ! 立体機動になんぞに!』

『お前たち、ヴェールから援護射撃がくるぞ、散開!』

……
…………

――ヴェールSN-05(ブリッジ)

SN-05艦長「主砲フォトンメーザー砲ティルウィングを装填、グレイプニールと小隊と距離が離れすぎている。艦を少し前進させろ」

「迎撃用ミサイル、アルヴァルディ全弾発射しました……着弾確認、F型残り5匹です」

SN-05艦長「くぅっ……出せるグレイプニールは無いのか!」

美優「せ、整備班からも……いますぐ出せる機体はないと……」

ピーッ! ピーッ!

「F型の1匹がグレイプニール小隊を抜けてこちらに接近!」

SN-05艦長「オートメーション機能で対空近接機関砲ブリンガーを自動掃射させろ! 取り付かせてはいかん!」

「ブリンガー1番と4番自動掃射!」

ドガガガガガガガッ!!

蜂「!」ヒュカカカッ!

「ダメです! 避けられました!」

蜂「……!」ギュオオオオオオッ……

「F型、粒子砲の発射態勢を取っています!」

SN-05艦長「艦の向きを変えろ! 右に回れ!」

美優「ひっ……!」

ズドォォォォンッ!!!!


蜂「……」ブ……ブブ……

ドガアアアアアンッ!!


SN-05艦長「なに……?」

「え……F型撃破……後方から第1世代グレイプニールが1機……」

SN-05艦長「み、味方か?」

ピッ、ピッ、ピッ……

美優「そ、そのまま艦を通り過ぎて……戦闘宙域に行きました……」

SN-05艦長「どこの部隊の者だ? 誰か通信を出せっ」

……
…………

――戦闘宙域

P「くそっ、こっちに来る前に貰ったリニアライフル、さっきの1発でエネルギー切れかよ……試作品なんて使うもんじゃねえな……」

ピピピッ! ピピピッ!

P「なんだ整備士か? いま戦闘中だから少し待ってくれ」ピッ!

プツッ……

P「っと……そうはいっても前線の味方には通信しておかなきゃな。どこかチャンネルが拾えるか……」カタカタカタッ!

『……から来るぞ、気をつけろ!』

P「繋がった! そこで戦闘しているグレイプニール小隊、聞こえるか!」

『何だ!?』

P「通りすがりだが援軍に来た。そちらはもう3小隊編成でマニューバを取っているようだから、こちらは単独で戦闘を行う」

『待て貴様、どこの所属だ! 部隊は!』

P「ああいや、実は異動のためにこっちに来たばかりで……まあいいや、とりあえず終わったらまた通信します」

『おい待て! 1人でのマニューバは……』ピッ!

P「さて……」ガシャンッ!


蜂「!」ギュンッ!

蜂「!」ギュンッ!

蜂「!」ギュンッ!

P「宙域の蜂は6匹、2匹は手前の2小隊が潰そうとしているか……奥の4匹は残りの1小隊が引きつけている」カタカタカタッ!

P「軌道予測ルート算出、3小隊のマニューバプランのデータ入力完了。よし……!」ギュオオオオオオッ!!!!

P「そこで追い掛け回されているGN小隊! 誰でもいいから蜂1匹にミョルニルを撃ってくれ!」ピピピッ!

『何だと!? こっちはいまそれどころじゃ……!』

P「このまま引きつけ役をやるよりは早く終わるぞ」

『くっ……ターゲット、3連装ミサイルランチャー、ミョルニル発射!』

ボシュシュシュッ!!

蜂「!?」ギュンッ!

P「1匹足並みが崩れた! そこだ!」ギュオオオオオオッ!!

ガションッ!

P「高プラズマ粒子砲グラム……発射!」ズドォンッ!!

蜂「!」ドガアアアアアンッ!!

P「1匹!」

『あの機体、そのままこっちに突っ込んで……』

蜂「!」ギュンッ!

蜂「!」ギュンッ!

蜂「!」ギュンッ!

P「今更気付いたか! だがもう遅いぞ!」ヒュカカカッ!

蜂「!」ブブゥゥゥンッ!!

P「その立体機動は想定している! ドラウプニル!」ガションッ!

ドガガガガガガガッ!!

蜂「……」ブブ……

ドガアアアアアンッ!!

P「2匹……!」ギュンッ!

……
…………

――ヴェールSN-05(ブリッジ)

SN-05艦長「なんだあのG1は……小関大尉が乗っているのか?」

「いえ、小関大尉は現在はホクドウにいるはずなので……」

SN-05艦長「通信はどうなった?」

美優「それが……向こうから切ってしまったようで……」

SN-05艦長「だ……誰が乗っているんだ……?」

「艦長、GNS-001と002小隊がF型2匹を撃破しました! あと……援護にきたG1のほうでもF型4匹、撃破しています。コンディショングリーンです」

SN-05艦長「5匹……この短時間で、たった1機で5匹のF型を撃破したのか、あの機体は……!」

美優「通信、通信……繋がらないかしら……」ピピピッ、ピピピッ……

ピッ

……
…………

――戦闘宙域

P「終わった、か」ピピッ!

P(蜂が7匹……土星圏ではこれくらいの戦闘は日常茶飯事ってことか……)

ピピピッ!

『お前凄いな! 突然出てきて何しに来たと思ったら……!』

P「いえ、緊急時でしたから……」

『礼もしたいし、うちの艦に寄ってってくれないか? こっちは仲間を回収してからになってしまうが……』

P「それなら、こちらにはシャトルが1隻あります。一緒でも大丈夫ですか?」

『構わんよ。後で艦で会おうか』

ピッ!

P「ホクドウに着く前に土星圏のヴェールに拾ってもらったか。まあ、それはそれでいいか……」

ピピピッ!

P「ん、ヴェールからの映像通信……?」

ピッ!

フォンッ……

美優『あの……』

P「はい」

美優『……』

P「……はい?」

美優『あ……あっ、すみません……その、艦を助けて頂いて、その……』

P「安全航路圏での戦闘ですし、民間船が巻き込まれる前にと思ったので援護にきました」

美優『……えっと、所属……は、どちらの……?』

P「私ですか? 私は……」

P(所属、か……さっきも聞かれたけど一応通知で来ていた配属先でいいか……)


P「……国際連合防衛本部宇宙軌道防衛軍所属、第6防衛隊のP少尉です」



……
…………

しまった……投下したいスレタイの内容と実際の投下内容を完全に間違えたまま投下してしまった……(スレタイの内容を投下したかった)
ツールに頼りすぎた末路か……すみません、このスレはだいぶ間違えたスレになったので削除依頼出します。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年11月25日 (金) 18:24:42   ID: sibD01My

スレタイ間違えたとか以前に内容がヒドイ
本来の内容もこれじゃ期待できない

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