765プロ事務所内
P「律子」
律子「はいはい、なんでしょうかプロデューサー」
P「この企画書、ちょっと目ぇ通しといてくれへん?」
律子「これは・・・劇団765プロ・・・なんですか、これ?」
P「今度うちのアイドル達でやる冠番組あるやろ?」
律子「えぇ、はい」
P「その中のコーナーで、こういうのをやって欲しいって打診されたんや」
律子「ともかく読んでみない事には何とも言えないですね・・・ちょっと確認します」
P「頼むわ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1363787522
本作におけるPは関西弁を話します
普通の標準語Pをご希望の方の観覧は推奨いたしません
律子「なるほど、内容に関しては把握しました」
P「うちのアイドル達で日本を含む世界各国の昔話や童話を演じる、いわゆる寸劇やな」
律子「それを番組内のコーナーでやって欲しいと、つまりはそういうことですね?」
P「そういうことや」
律子「んー・・・断る理由も特には無いですけど、これっていいんでしょうか?」
P「いい、とは・・・どういう事や?」
律子「うちには当然ながら演劇の仕事をしているアイドルもいますが、そういう仕事の経験も無い子もいます」
P「せやな」
律子「たかが寸劇とは言え、たどたどしい演技なんかを視聴者の方に見せてもいいのかどうか・・・」
P「お前はそういうところで変に真面目やからなぁー、大丈夫やって・・・多分問題ないやろ」
律子「た、多分って・・・」
P「別にドラマや舞台をやるわけやないんや、演技力なんてもんは二の次でええやろ」
律子「そういうものでしょうか」
P「それよりかは面白おかしく役柄を演じるアイドル達を見る方が視聴者にはウケがええんとちゃうかな」
律子「確かに、それはそうかもしれませんけど・・・」
P「とりあえずやってみようや、アカンかったらそん時はそん時でまた考えようぜ」
律子「そうですね」
P「そんなわけでこの後、軽くリハーサル的なものをやってみようと思うんやが」
律子「はぁ・・・リハーサルですか・・・って、えっ?」
P「まあアイドル達の演技力が最低限備わってるかどうか、そういうのを確認する機会も含めてな」
律子「いや、別にリハーサルをする分には問題ないんですけど・・・この後ですか?」
P「せやで」
律子「いやいやいや、無理でしょ・・・スケジュールどうするんですか」
P「抜かりはない!この日の為に事前に調整済みや!」
律子「うわっ、ホントだ・・・午後のスケジュール全員白紙になってる・・・」
P「どうや、これで問題ないやろ」フフン
律子「こんなところで無駄に労力使わないでくださいよ・・・まったく」
午後 都内某スタジオ
あずさ「プロデューサーさん、一体どうしたんですか?こんな所に呼び出したりなんかして」
亜美「そうだよー、午前のお仕事終わってすぐにこんな所に直行させるなんて、人使い荒すぎだよー」
伊織「よくもまぁ、この伊織ちゃんをここまでコキ使えるわね!反省しなさい!」
P「一番乗りは竜宮小町か」
律子「竜宮の朝の現場はここから近かったですからね」
P「残りの面子も仕事終わり次第、ここに直行って形にはしてるけど・・・これではちと少ないな」
律子「さすがに3人で出来る劇なんて無いですよね」
P「3人?何言うてるんや、4人やぞ」
律子「・・・はい?」
P「お前もやるんやぞ」
律子「・・・は?いやいやいや、なんで私も数に入ってるんですか!」
P「これも先方からのリクエストでな、是非律子にも一緒にやって欲しいとの事なんや」
律子「えぇ・・・マジですか?」
P「マジや」
律子「・・・はぁ、分かりましたよ分かりました・・・先方からのリクエストとなれば、やらざるを得ませんね」
P「さっすがりっちゃん、話がわかるぅー」
律子「殴りますよ」
P「最近ますますバイオレンスに磨きがかかってきたな・・・」
律子「誰のせいだと思ってるんですか!誰の!」
伊織「ちょっとあんた達!私たちを無視するなんていい度胸してるじゃないの!」
亜美「そうだよおっちゃーん、何で亜美達、こんな所に集められてるわけー?」
あずさ「出来れば事情を説明してくれるとありがたいんですが・・・」
律子「あぁ・・・そういえば皆は事情を知らないのよね・・・」
P「それじゃあ説明するから、よく聞いといてくれやー」
—説明中—
律子「という事だそうよ」
P「まあそんな訳で、午後からの予定はこのリハーサルのみになってるから」
伊織「・・・わざわざそんな事の為だけに全員のスケジュール空けたっていうの?」
P「せやで」
あずさ「あ、あらあらー・・・」
亜美「今や売れっ子のアイドル12人のスケジュールをよく調整できたね・・・」
P「まあな」ドヤァ
律子「どんな裏ワザ使ったらそんな芸当が出来るっていうのよ・・・」
P「それは、とっぷしぃくれっとです」
律子「ダメ、殴りたいわ・・・伊織、今すぐ角材持ってきてちょうだい!」
P「律子はもうちょっと俺に対して優しくなれよ・・・」
伊織「それで、結局どうするよの?4人で演じられる昔話なんてあるの?」
P「せやなぁ・・・とりあえず今いる人数で出来るところまでやってみよか」
律子「まぁ、他の子もいつ来るか分かりませんし、時間も勿体ないですからね」
あずさ「それで、どの昔話をやるかっていうのは、もう決めてあるんでしょうか?」
P「うん、一応幾つか候補は用意してるな・・・とりあえず最初はこれいっとくか」
「桃太郎」
亜美「おぉー、桃太郎かー!まあ昔話の定番といったらこれだよねー」
P「せやな、やっぱり定番どころから始めた方がええと思ってな、これなら内容も分かりやすいし」
律子「配役とかはどうするんですか?」
P「その辺はもう全部決めてある・・・あとはこれ、台本な」
律子「用意良すぎでしょ・・・って、何よこの配役・・・」
伊織「ちょっと、なんのよこれ!こんなの納得いかないわ!」
あずさ「私もこれはちょっと・・・プロデューサーさん、あんまりですー」
律子「私もこれは流石に・・・えっと、本気で嫌なんですけど」
P「そう言うなや、人数の都合上仕方なかったんやから」
亜美「亜美はこれでいいよ!これめっちゃ面白そうじゃん!」
P「亜美はええ子やなぁー、他の劇でもええ役どころ都合したるからなぁー」
律子「ぐぬぬ・・・」
P「それじゃあ始めよか、とりあえずナレーションは俺がするから」
律子「はぁ・・・仕方ありませんね、ちゃっちゃとやって終わらせちゃいましょう」
伊織「むっきぃー!あんた、後で覚えてなさいよ!」
————
———
——
P「昔々あるところに、おじいさんとあばあさんが住んでいました」
あずさ「えっと・・・お、おばあさんですよー」
律子「はいはい、私がおじいさんですよ・・・何でこの私がおじいさんなんですか・・・まったく」ブツブツ
P「仕方ないやろ、今いる面子やったら年齢的にお前ら二人が最年長になるねんから」
律子「ちょっとナレーション!いちいち入ってこないでもらえます!?」
P「ひぃっ」
律子「さっさと進める!」
P「・・・おじいさんは山へ芝刈りへ」
律子「」ブォン!ブォン!
P「律子・・・小道具とは言え、鉈をそんなに勢い良く振り回すのは危ないで・・・」
律子「何か!文句でも!?」
P「・・・いえ、ありません」
律子「はやく進めてください!そして早く終わらせましょう!」
P「ええっと・・・おばあさんは川へ洗濯へ」
あずさ「ええっと・・・川はどこかしら」
P「ですが何時まで経ってもおばあさんは川へと辿り付けませんでした」
あずさ「あ、あらあらー・・・ここは一体どこかしら」
律子「ちょっと待ったぁぁぁ!!」
P「律子、役者がいちいちナレーションにツッコミ入れんなや」
律子「いやいや何ですか今の流れ!川へ辿り着けないってどういう事ですか!」
P「あずさが演じる以上は、こういうオマケ要素も必要かなぁ、と思って」
律子「確かにちょっと面白かったですけど・・・じゃなくて!これじゃ何時までたっても先に進まないでしょう!」
伊織「あんた達もいつまで漫才やってるのよ!こんなんじゃ私の出番が来ないじゃないの!」
亜美「おっちゃーん、出番無くて退屈だよー・・・早く話を進めてよー」
P「分かった分かった・・・ええと、紆余曲折の末、おばあさんはようやく川へ辿り着きました」
あずさ「それじゃあ洗濯をしましょうかしら・・・あら?」
P「すると川の上流から大きな桃がどんぶらこー、どんぶらこー、と」
あずさ「あらあらー・・・これは大きな桃ね、家に持って帰っておじいさんと食べましょうかしら」
P「おばあさんは流れてきた大きな桃を、自分の家へと持って帰る事にしました」
あずさ「おじいさん、ただいま帰りましたよー」
律子「はい、お帰りなさい、おじいさん」
P「おばあさんは持ち帰った大きな桃をおじいさんに見せました」
あずさ「おじいさん、見てくださいよー!こんなに大きな桃が川から流れてきたんですよぉ」
律子「へー、それはすごいですねー、早く食べましょうか」
P「・・・律子、お前ちょっと棒読みすぎるやろ・・・」
律子「おぉ!これは大きな桃じゃのう!はやく食べるとしようか、ばあさんや・・・これでいいっすか?」
P「・・・おばあさんは食べやすいよう切り分ける為に、まず桃を包丁で真っ二つにしました」
あずさ「えいっ」
ザクッ
P「すると驚いた事に、桃の中から小さな赤ん坊が出てきたではありませんか」
亜美「おぎゃー!おぎゃー!」
P「やっべ・・・今のちょっと可愛かったわ」
亜美「ちょっとおっちゃん!?中断しないで先に進めてよ!」
律子「いや、今のは確かに可愛かったですね、破壊力がやばいです・・・」
亜美「りっちゃんまで!?何気に恥ずかしかったんだから、早く先に進めてよー!」
P「・・・ええっと、桃の中から子供が出てきた事に二人は驚きました」
あずさ「まぁ、桃の中から赤ん坊だなんて、驚きだわー」
律子「そうですね、おばあさん」
P「これも何かの縁、子宝に恵まれなかった二人は、赤ん坊に『桃太郎』と名づけ育てる事にしました」
亜美「おぎゃーおぎゃー・・・うぅ、恥ずかしいよぅ・・・」
P「やがて幾年か過ぎ、桃太郎は強く、たくましく、立派に成長しました」
あずさ「桃太郎もこんなに立派に育ってくれて、嬉しいですねぇ、おじいさん」
律子「そうですね、おばあさん」
P「ですが時を同じくして、最近この辺りで鬼が悪さをしているという噂が飛び交うようになっていました」
あずさ「まぁ、鬼だなんて・・・こわいですねぇ、おじいさん」
律子「そうですね、おばあさん」
P「・・・なぁ、律子、お前さっきから同じ台詞ばっかり言うてへんか」
律子「・・・いけませんか?」
P「・・・そんなにおじいさん役、嫌やったんか」
律子「申し訳ないと思うならさっさと進めてください、それでさっさと終わらせてください」
P「桃太郎は意を決し、鬼を退治しに行く事にしました」
亜美「おじいさーん!おばあさーん!ここまで育ててくれてあんがとねー!ちょっと鬼さん退治してくるよー!」
あずさ「あらあら、そんな・・・危ないですよ、ねえ、おじいさん?」
律子「そうですね、おばあさん」
亜美「ごめんねー、二人とも・・・でも、悪い鬼を放っておくなんて出来ないよ!」
P「おばあさんは旅に出る桃太郎の為に、特性のきび団子を作り、それを桃太郎に持たせました」
あずさ「桃太郎、これを持っていくのよ・・・きっと何かの役に立つと思うからね
亜美「おぉー!おばあさんあんがとね!それじゃ行ってくるよ!」
P「桃太郎はおばあさんの作ったきび団子を手に、鬼退治の旅へと出発しました」
律子「・・・はぁ、やっと出番が終わったわ」
P「こら律子、ナレーションの途中やねんから入ってくんなって」
律子「あぁすいません、安心しきったせいか、思わず声に出てしまって」
P「お前・・・そんなにおじいさん役嫌やったんかいな・・・」
律子「当たり前でしょう!これでも私だって乙女なんですから・・・何が悲しくておじいさんの役なんか・・・」
P「おおぅ・・・律子からめっちゃどんよりした空気が出てる・・・」
あずさ「ぷ、プロデューサーさん・・・とりあえずお話、進めちゃいましょうか?」
P「お、おう・・・せやな」
伊織「っていうか早く進めなさいよ!私の出番がいつまで経ってもこないじゃない!」
P「道中、桃太郎の前に一匹の犬が現れました」
亜美(犬)「えーっと・・・わんっわんっ!そこのあなた、一体どこに行こうというんだいー?」
P「犬の問いかけに対し桃太郎は」
亜美(桃)「やあ犬さん!これからちょっと鬼ヶ島に行って悪い鬼を退治しようと思ってねー!」
P「桃太郎の返答に対し、犬はこう答えました」
亜美(犬)「それじゃあそのお腰につけたきび団子を一つくれたなら、旅のお供をしようじゃないか!」
P「犬のこの申し出に対し、桃太郎は」
亜美(桃)「おっけー!それじゃあこのきび団子で旅のお供をしてくれるという契約をしようじゃないか!」
P「こうして桃太郎の旅のお供に犬が加わりました」
—以下、中略—
亜美(桃)「さあ皆、張り切って鬼ヶ島に行くよー!」
P「桃太郎の下には3匹のお供が集まりました」
亜美(犬)「わんっ!わんっ!わぉーん!」
P「犬に」
亜美(猿)「うっきぃー!うきっうきっ!うっききぃー!」
P「猿に」
亜美(雉)「ぎぃー!ぎぃー!・・・雉の泣き声ってこんな感じだったっけ?」
P「うん、大体あってると思う」
亜美(犬・猿・雉)「わんっ、わんっ!うっきぃー、うききっ!ぎぃー、ぎぃぃぃぃー!」
律子「・・・亜美、楽しそうですね」
P「せやな、一人で4役こなすくらい亜美やったら出来ると思ったけど」
あずさ「見事にこなしてますねぇ・・・真美ちゃんもそうですけど、これって何気に凄い特技ですよね」
律子「案外声を使ったお仕事とか向いてるんじゃないでしょうか?」
P「せやなぁ・・・そのへんもちょっと考えてみるかなぁ」
亜美「ねーねー、早くお話進めてよー・・・亜美、これめっちゃ楽しいよ!」
P「あぁ、分かった分かった」
伊織「っていうか・・・お願いだから早くしてよ、私の出番全然来ないじゃないのよぅ・・・」
P「桃太郎とお供の3匹はやがて鬼ヶ島へと辿りつきました」
亜美(桃)「さぁーいくよ皆!悪い鬼さん達を退治しちゃおうぜー!」
P「鬼達は近くの村から盗んだ宝物やごちそうを並べて、宴の真っ最中でした」
亜美(桃)「ぬかるな野郎ども!さぁ鬼達をこらしめてやれー!」
P「今ここに、桃太郎一行対鬼の軍団の戦いの火蓋が切って落とされたのです・・・!」
亜美(犬)「わんっ、わんっ!がぶっ!」
P「犬は鬼のおしりにかみつき」
亜美(猿)「うっきぃー!うっききききぃー!」
P「猿は鬼の背中をひっかき回し」
亜美(雉)「ぎぃー!ぎぃー!ぎぃぃぃぃー!」
P「雉はクチバシで鬼の目をつつきました」
亜美(桃)「ふふん、鬼さん達の実力はそんなもんかーい?」
P「桃太郎も刀を振り回しての大暴れです」
亜美(桃)「どうだ、参ったか鬼どもめー!」
P「桃太郎達の獅子奮迅の活躍により鬼の子分達は次々と倒されていきました」
亜美(桃)「ふふーん、鬼さん達も大したことないねぇー」
P「しかし桃太郎が倒したのは鬼の子分に過ぎませんでした」
亜美(桃)「はっ・・・この気配は・・・まさか!」
P「そして桃太郎達の前に、ついに鬼の親分が現れたのです」
伊織「きたわね!この伊織ちゃんが鬼役だなんて正直納得いかないけど、やるとなった以上は全力で取り組むわよ!」
P「おっ、伊織張り切ってんなー」
伊織「当然よ!ここまで焦らされたんだもの、どうせだからとことんやってわるわ!」
P「それは楽しみやなー、期待してるでー」
伊織「任せなさい!迫真の演技で皆の度肝を抜いてやるわ!」
ガチャ
響「はいさーい!みんな、遅れてごめーん!」
貴音「申し訳ございません、少々仕事が長引いてしまいまして」
P「おっ、貴音に響かー、お疲れさーん」
伊織「・・・えっ?」
響「なぁなぁプロデューサー、一体これは何をやっているんだー?」
貴音「ふむ、舞台のせっとですか・・・演劇の練習か何かでしょうか?」
P「まあとりあえず二人にも説明しとくか、実はなー」
—説明中—
貴音「なるほど・・・そういう事でしたか」
響「へぇー!寸劇かー、中々面白そうだなー!」
あずさ「とりあえず今は桃太郎をやってる途中だったのよ」
響「えっ、そうなんだ・・・じゃあ自分達、急に入ってきたりして、邪魔だったんじゃないのか?」
律子「確かに、今ので完全に流れが止まっちゃったわね」
伊織「・・・」
貴音「そうでしたか・・・それは大変申し訳ない事をしてしまいました」
P「いやいや気にすんなって、まさか扉の前に入室禁止って書くわけにもいかんしな」
亜美「ねーおっちゃーん、どうするのー?続きやるのー?」
P「んー・・・とりあえず人も増えて配役の幅も広がった事やし、とりあえず中断にしよか」
伊織「・・・えっ?えっ?」
律子「そうですね、幾らなんでも4人で劇をやるなんて無謀でしたものね」
あずさ「今度は若い人の役がいいわねー」
亜美「ちぇー、この役楽しかったのになぁー・・・まぁいいかー、十分楽しんだし」
伊織「えっと・・・中断?あの・・・私まだ・・・」
P「とりあえず小休止しよか、俺は考え練り直すからその間皆はお菓子でも食べとってくれや」
亜美「おぉー、いいのー?おっちゃん太っ腹だねー」
律子「喜ぶのはいいけど、あんまり食べ過ぎるんじゃなわよー?」
亜美「ぐぬぬ・・・」
あずさ「うふふ、亜美ちゃんったら」
響「ねーねープロデューサー!自分達お弁当買ってきたから食べてていい?」
P「あー、ええよ」
響「よかったー、仕事終わってすぐに来たからお腹ペコペコなんだよねー」
貴音「響、早く食べましょう、わたくしの胃袋はもう限界でございますよ」
響「わ、分かったからそんなに鬼気迫った表情しないでよ・・・」
あずさ「それじゃあ私は気分転換にお散歩でもしてこようかしらー」
律子「それはダメです!あずささんはここにいてください!迷子になられたら困りますから!」
あずさ「もうー、律子さんったらひどいじゃないですかー」
伊織「・・・」
亜美「いおりんどったのー?さっきからずっとだんまりだけど」
律子「そういえばそうね・・・伊織、具合でも悪いの?」
あずさ「伊織ちゃん大丈夫?・・・なんだかお顔が真っ赤よ」
響「大丈夫かー?ひょっとしてお腹でもいたいのか?」
貴音「あるいはお腹が空いたのでしょうか?響のお弁当でよければお分けしますが・・・」
響「なんで自分のなんだ!?」
伊織「むっきぃー!あんた達いい加減にしなさい!」
律子「伊織!?」
亜美「うわー!いおりんがキレたー!」
伊織「ちょっと!そこのボケ関西弁!」
P「えっ、俺?」
伊織「そうよアンタよ!何よこれは!一体どういうことなの!」
P「えぇ・・・伊織一体どないしたんや・・・」
伊織「どうしたもこうしたも、この私の出番の前に中断なんてどういうつもりよ!」
P「それは、まぁ・・・続ける空気じゃなくなってしまったしなぁ・・・」
響「ひょっとして自分達が入ってきたせいかな・・・」
貴音「伊織、わたくし達のせいで中断してしまって、申し訳ございませんでした・・・」
伊織「いやっ・・・えっと・・・ふ、二人が悪いわけじゃないのよ?」
響「でも自分達がスタジオに入ってこなければ・・・」
貴音「そうですね、流れが止まることも無かったでしょう・・・」
伊織「ち、ちが・・・二人は何も悪くないわよ!全てはこのプロデューサーの責任なのよ!」
P「なんで俺だけやねん!」
伊織「アンタが中断するって言ったんじゃないのよ!」
P「なんて理不尽な・・・」
律子「そもそも伊織、あなた鬼の役嫌がってなかった?」
亜美「そうだよ、いおりん、嫌な役なんだったら、やらずに済んで良かったんじゃないのー?」
あずさ「そうよ、私と律子さんなんておじいさんとおばあさんだったのよ?」
律子「・・・言わないでください、あずささん」
伊織「そりゃ確かに嫌だったわよ、このスーパーアイドル伊織ちゃんを鬼の役にするだなんて侮辱もいいとこよ」
P「やったらやらずに済んで良かったやないか・・・何もそんな怒ることないやろ・・・」
伊織「だって、他の皆はちゃんと台詞言えたじゃない!私だけよ、一言も台詞言ってないの!」
P「えぇぇー・・・そんな事で怒ってるんかいな・・・」
伊織「そんな事って、大事な事よ!私だって一言くらい台詞言いたかったわよ!」
P「分かった分かった・・・次の劇では良い役どころ都合するから機嫌直してくれや」
伊織「そんなの当然よ!この伊織ちゃんをオチに使った罪は重いわよ!」
響「お、オチって・・・」
律子「ちょっとプロデューサー!それだったら私にも次はちゃんとした役を充てるべきですよ!」
P「えぇっ!?」
律子「当たり前じゃないですか、私だっておじいさんなんていう屈辱的な役をやらされたんですよ!」
あずさ「だったら私もですよー、最年長だからっておばあさんなんてひどいですー」
P「お前ら二人まで・・・」
伊織「ちょっと二人は黙っててよ!今は私の処遇について話しているんだから!」
律子「伊織だけひいきなんてダメに決まってるじゃない」
あずさ「そうよ、伊織ちゃん・・・自分だけなんてズルイわー」
亜美「まぁ亜美はちゃんと良い役貰えるっておっちゃんと約束したしねー」
P「こら亜美!余計な事言うなや!」
伊織「亜美はもう主役やらせてもらったんだからいいじゃない、十分でしょ!」
亜美「えぇー・・・でも約束は約束だしねー」
P「亜美、これ以上事態を悪化させるような発言はやな・・・」
亜美「それともおっちゃんは、約束を破るようなケチな男だったのかなー?」
P「ぐぅぅ・・・その言い方はちょっとズルイんとちゃうか・・・」
響「なんだかよく分からないけど、自分もどうせなら良い役やりたいぞー!」
P「こら響、こんなタイミングで乗っかってくるな!」
貴音「そうですね・・・わたくしも、どうせ演じるならやはり主役級の役柄が良いかと・・・」
P「貴音まで!?お前らちょっとは空気ってもんをやな・・・」
伊織「ちょっとアンタ!この伊織ちゃんを無視するなんて良い度胸ね!」
律子「プロデューサー!」
あずさ「プロデューサーさーん」
亜美「おっちゃん!」
響「プロデューサー!」
貴音「ぷろでゅーさー」
P「お前ら・・・もう勘弁してくれー!」
桃太郎編 終劇
とりあえず勢いで立てた、これ以降の内容についてはあまり考えていない
相変わらずぐだぐだな内容だけど見てる人が一人でもいてくれたら嬉しく思います
おもしろかたあるよ〜
つづきがよみたいです〜
乙
前作面白かったから期待
ありがとう!
読んでくれる人がいるうちは頑張れるよ!
再開します
P「はぁ・・・ひどい目にあったわ」
律子「それで、次は何をやるんですか?」
P「せやなぁ・・・とりあえず響と貴音の実力を確認するっていう意味で、今回は二人をメインにするか」
伊織「ちょっと、それどういうことよ!」
P「ええっと・・・伊織は次で挽回しよな?」
伊織「・・・必ずよ?」
P「・・・はい」
響「自分達がメインかー!それは嬉しいなー、なっ、貴音?」
貴音「そうですね・・・何を演じるか、にもよりますが・・・良い役柄であればよいのですが」
P「とりあえず次も日本の昔話でいってみよか・・・次は、これや」
「一休さん」
あずさ「あらあらー、一休さんですか・・・懐かしいですねー」
律子「昔はアニメなんかもやってましたもんね」
P「うん、これも結構有名どころやし、説明せんでも内容は分かるやろ」
亜美「アニメなんかやってたんだ・・・亜美、全然知らないや」
P「あぁー、確かに最近は全然アニメの再放送もしてないしな、知らんのも無理はないか」
貴音「なるほど、とんちで有名な一休宗純の物語ですね」
響「一休宗純・・・?宗純ってなんだ、貴音?」
貴音「響はご存知ありませんか?一休さんの戒名ですよ」
響「へぇー・・・それは知らなかったな」
貴音「一休さんは実在した一休宗純という室町時代の僧を元とした作品なのです」
響「そ、そうなんだ・・・」
貴音「この一休宗純、後小松天皇の落胤という説が有力視されている、やんごとなき血筋の人間なのですよ」
律子「あぁー、それうんちく垂れ流す番組とかでよく聞くわねー」
響「ええっと・・・ら、らくいん?」
貴音「父親に認知されず生まれた、私生児という意味です・・・」
響「そ、そうなのか・・・一休さんは実は複雑な家庭事情の持ち主だったんだね」
P「まあ、複雑の一言で片付くレベルのややこしさではないけどな・・・」
貴音「しかしながら、この実在した方の一休さんは童話などに登場する一休さんとはまるで異なる人物なのです」
あずさ「あらー・・・そうなの?」
貴音「はい、自由奔放で且つ、奇行の目立つ変人・・・非常に問題の多かった人物だそうです」
響「奇行かぁ・・・」
貴音「とても重要な文書を平然と火中に放り込んだり」
律子「うわぁ・・・私だったらぶっ飛ばしてるわね」
貴音「さらには戒律で禁じられている飲酒、食肉などの行為も平然と行っておりました」
伊織「俗に言う生臭坊主ってやつね・・・ムチャクチャね」
貴音「ですが彼のこういった奇行の裏側には当時の仏教の形骸化を懸念したものではあったのではないかとも」
P「・・・あー、貴音」
貴音「はい・・・なんでございましょうか?」
P「物知りなのは感心なんやが・・・亜美と響がオーバーヒートしてる」
亜美「」
響「」
貴音「も、申し訳ございません・・・二人とも、大丈夫ですか?」
亜美「うぅ・・・お姫ちーん・・・亜美には何を言ってるか、ちんぷんかんぷんだよぅ・・・」
響「貴音ぇ・・・自分にも何がなんだかさっぱりだぞぉ・・・」
伊織「そんなに頭悩ますような内容でも無いでしょうが・・・もう少し歴史を勉強しなさい」
律子「同感ね」
P「ちょっと話が脱線してしまったな、とりあえず始めよか」
律子「今回の配役はどうするんですか?」
P「今回はアニメの一休さんを参考にやってみようと思う・・・はい、これ台本な」
亜美「あれ、おっちゃーん・・・亜美の分は?」
伊織「私も台本貰ってないんだけど?」
P「スマンな、今回はお前ら二人はちょっとお休みや」
亜美「えー!そんなのって無いよー・・・ぶぅー、つまんなーい」
伊織「出番すら無いってわけね・・・まぁいいわ、次こそちゃんとした役やらせなさいよ!」
P「分かった分かった」
響「おぉー!これはやり甲斐があるなぁー・・・よーし、頑張るぞー!」
貴音「なるほど・・・中々に演じるのが難しそうな役どころですね」
あずさ「あらあらー・・・これ、どんな感じの人だったかしら・・・」
律子「・・・はぁ」
P「・・・あー、律子さん?」
律子「いえ、いいです・・・何が言いたいかは分かってますんで」
P「お、おう・・・スマンなぁ・・・他に役を充てる人がおらんかったんや」
律子「分かってます・・・分かってますけど・・・前回に続いてこれですか・・・はぁ」
P「おおぅ・・・またしても律子の周囲にどんよりとした空気が・・・」
あずさ「ぷ、プロデューサーさん・・・早く始めましょうか、ねっ?」
P「せ、せやな!始めよう、そうしよう!」
律子「・・・はぁ」
————
———
——
P「時は室町時代、禅寺の安国寺という所に一休さんという小坊主がおりましたとさ」
響「はいさーい!自分、一休だぞー!今日も元気にがんばるさー!」
P「この一休さん、世間ではとんちの名人として名を馳せており、その頭脳を駆使して様々な問題ごとを解決していました」
響「ふふーん、いつも完璧な自分に任せておけば、なんくるないさー!」
P「そんな一休さんの元にある日、幕府の高官である蜷川新右衛門という人物が・・・」
あずさ「あらあらー、安国寺はどこかしら」
P「訪れる予定でしたが、新右衛門さんは何故かいつまで経っても安国寺へと辿り付けませんでした」
あずさ「あ、あらあらー・・・困ったわねぇ」
律子「ちょっと待ったー!」
P「なんやねん、いちいち横槍入れてくんなやー」
律子「さっきもありましたよね、この流れ!わざわざもう一回やる必要ないでしょ!」
響「えっ・・・さっきの桃太郎でも同じ事やってたのか・・・」
P「やっぱりあずさが演じる以上、こういうオマケ要素は必要やって・・・絶対その方がウケるって」
律子「そ、それはそうかもしれませんけど・・・あずささんが道に迷ったら永遠に目的地に着かないじゃないですか!」
あずさ「り、律子さーん・・・それはいくらなんでもひどいですよー!」
P「確かにそれは一理あるな・・・」
あずさ「ぷ、プロデューサーさんまで・・・あんまりですー!」
伊織「また始まったわね、漫才が」
響「うぎゃー!遊んでないで早く話を進めてよー!」
貴音「お三方、お戯れはその辺りにして、そろそろ話を進めてはいただけませんか?」
P「・・・ええっと、紆余曲折の末、新右衛門さんはようやく安国寺へと辿り着く事が出来ました」
あずさ「ふぅ・・・やっと着いたわね・・・えっと、一休さーん!一大事ですよー!」
P「この新右衛門さん、実は一休さんの周辺を監視するお目付け役なのですが、同時に一休さんの友人でもあります」
響「うげっ・・・新右衛門さんじゃないか・・・」
P「ですが新右衛門さんがこのように一休さんを訪ねてくる場合、必ずと言っていいほど問題ごとを抱えてくるのです」
響「新右衛門さん・・・今日は一体何の用なんだ・・・?」
P「一休さんの問いかけに対し、新右衛門さんは答えました」
あずさ「実は、将軍様が一休さんととんちで勝負したいって言ってるんですよー」
響「将軍様がー!?またかぁ・・・あの人も懲りないなぁー」
P「時の将軍足利義満、一休の出自の秘密を知る彼はその立場上、常に一休の動向を警戒せざるを得なかった」
響「毎度毎度、あの人もいい加減諦めたらいいのになー」
P「ですが将軍様は、それとは別に、とんちの名人である彼に知恵比べで勝ちたいと常に思っておりました」
響「何度やったって完璧な自分に勝てるはずないさー!」
P「将軍様は度々一休さんを呼び寄せては無理難題を吹っかけるのですが、いつも負けてばかり」
あずさ「まぁまぁそう言わずにー、私の顔を立てると思って、お願いよぉー」
P「人の良い一休さんは、大事な友人である新右衛門さんの頼みを無下に断る事も出来ませんでした」
響「うぅ・・・しょうがないなぁ・・・新右衛門さんがそこまで言うなら行ってやるさー」
P「渋々ながらも一休さんは将軍様の所へ行く事になりました」
響「ふんふんふーん♪あの橋を渡れば、もうすぐ将軍様の所に着くぞー」
P「一休さんが橋を渡ろうとしたその時、一休さんの背後からふいに人影が現れました」
律子「・・・あー、一休さんじゃありませんかぁー」
響「うげっ、桔梗屋さんじゃないかー!」
P「桔梗屋さんは幕府御用達の問屋で、非常に強欲でお金に目がない人物でした」
律子「一休さん・・・この橋渡るんですかー・・・?」
P「この桔梗屋、度々あこぎな商売をしては一休さんに懲らしめられており・・・」
律子「・・・そうはいきませんよー、ここに立てかけれた看板をよく見てくださーい」
P「あの・・・律子さん?」
律子「・・・なんすか?」
P「ちょっと棒読み過ぎません?あとテンション低すぎません?」
律子「・・・いけませんか?」
P「桔梗屋、そんなに嫌やったんか?」
律子「一休さんをやるにあたって、桔梗屋なんて割り当てられて嬉しい人間がいると思います?」
P「あー・・・せやな」
律子「作中トップクラスの嫌な人間じゃないですか・・・なんなんですかホントにもう・・・」
P「あの・・・ごめんなさい」
律子「いいんですよ気にしてませんしぃー・・・適材適所っていいますもんね、ははは・・・」
伊織「渇いた笑いっていう表現が今ほどしっくりくる状況は無いわね・・・」
亜美「うあー・・・りっちゃん恐いよぅ・・・」
あずさ「り、律子さん・・・その、元気出してくださいね?」
響「うぅぅ・・・律子ぉ・・・しっかりしてよー・・・」
律子「いえいえ大丈夫ですから・・・気にしてませんからー」
貴音「ぷ、ぷろでゅーさー・・・話を進めた方がよろしいかと・・・」
P「ええっと・・・律子さん、先に進めてもよろしいでしょうか?」
律子「あー・・・はい、どうぞどうぞー」
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