ウルトラマミさん (689)
(小さい頃……。
テレビに出てくる魔法少女達は、
私の憧れだった)
(悪者達から人々を守る、
強くて優しい、正義の味方)
(誰かのために命を懸ける、
華麗なヒロイン……)
(残念ながら、私が思い描いていたのとはちょっと違う形になってしまったけど……。
私も、彼女達のようでありたい)
(……ううん。
そうでなきゃ駄目なの)
(きっと、それが……。
私の最後の……、生きる意味だから……)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1375281006
・概要
交通事故にあった巴マミさんが、もしもインキュベーターではなく、別の宇宙人に救われていたとしたら……なSSです。
内容としては、前に建てていたスレ(ウルトラマミ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1358518526/))に投下していた文章に加筆修正+αを施した完全版的な感じのものです。
なお、こちらのお話はまどかSS談義スレで話題に出たネタを頂いて作成しました。
※注意事項
こちらのSSには、『まどか☆マギカ』の外伝作品である『かずみ☆マギカ』の重大なネタばれ要素が含まれる為、未見の方はご注意下さい。
また、お話の都合上、終盤で出てくるとある重要キャラクターにかなりの独自設定を付加していますので、併せてそちらの方もご注意下さい。
キュゥべえ「助けて……」
まどか「ほむらちゃん……!?」
ほむら「そいつから離れて」
まどか「だって、この子怪我してる……。
だ、駄目だよ、酷いことしないで!」
ほむら「あなたには関係無い」
まどか「だってこの子、わたしを呼んでた。
聞こえたんだもん!
助けてって」
ほむら「そう」
まどか「え……?
えぇ?」
さやか「まどか、こっち!」
まどか「さやかちゃん!」
ほむら「こんな時に……」
さやか「何よあいつ。
今度はコスプレで通り魔かよ!
つーか何それ、ぬいぐるみじゃないよね?
生き物?」
まどか「分かんない。
分かんないけど……。
この子、助けなきゃ!」
さやか「あれ、非常口は?
どこよここ!?」
まどか「変だよ、ここ。
どんどん広くなってる……」
さやか「あーもう、どうなってんのさ!」
まどか「やだっ、何かいる……」
さやか「えっ、何だよこいつら!?」
まどか「さやかちゃん、逃げようよ!」
さやか「逃げるったって、あたし達もう囲まれちゃってるよ!
それにこいつら、どんどん近付いてきてる……」
まどか「そんな……」
さやか「冗談だよね?
あたし、悪い夢でも見てるんだよね?
ねえ、まどかぁ!」
まどか「いやぁぁぁー!」
さやか「あ、あれっ?」
まどか「これは……?」
マミ「……危なかったわね。
でももう大丈夫」
―わたし達の目の前には、いつの間にか、まるでテレビに出てくる魔法少女みたいなかっこいい服を着た女の人が立っていました―
マミ「あら、キュゥべえを助けてくれたのね。
その子は……、私の知り合いなの」
まどか「あの、わたし呼ばれたんです。
頭の中に直接この子の声が……」
マミ「ふぅん……、なるほどね」
さやか「あの、あなたは……?」
マミ「そうそう、自己紹介しないとね……。
でも、その前に!
……ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら?」
―その女の人はそう言うと、いきなりどこからともなくブーメランみたいなものを取り出して、そこにいたお化けみたいな何かに向けて投げつけました―
マミ「ハッ!」
―そして、沢山いたはずのお化け達は、その女の人のブーメランの攻撃でみんなやっつけられていました―
まどか「す、すごい……」
―やがて、わたし達も元々いたはずの場所に戻っていました―
さやか「も、戻った!」
マミ「あなた達、大丈夫?」
まどか・さやか「は、はい!」
マミ「……私は巴マミ。
あなた達と同じ、見滝原中の三年生。
そして、その……、魔法少女よ」
まどか・さやか「魔法少女?」
マミ「そういえば、あなた達のお名前を教えてくれるかしら?」
さやか「ええっと、あたしは美樹さやかで、こっちは……」
まどか「鹿目まどかです」
マミ「美樹さんに、鹿目さんね。
二人とも、二年生?」
さやか「は、はい……。
それよりマミさん、魔法少女って―」
マミ「そうだわ!
その子をちょっと私の方へ貸して貰えるかしら?」
まどか「あっ、はい……」
―マミさんがキュゥべえに向かって手をかざすと、キュゥべえの怪我は全く無くなっていました―
さやか「わぁー、すご……!」
キュゥべえ「ううーん」
マミ「お目覚めかしら。
……キュゥべえさん?」
キュゥべえ「巴マミ、一体君は―」
マミ「二人とも、恐い目にあって疲れちゃったでしょう?
今日はもう、帰った方がいいんじゃないかしら?」
まどか「で、でも……」
マミ「……詳しい事情は、明日、私の家で話してあげます。
だから、今日は二人とも帰った方がいいわ」
さやか「……分かりました。
まどか、今日は帰ろう?」
まどか「えっ、さやかちゃん?」
さやか「それじゃあ、マミさん。
さようなら……」
読みにくい
まどか「さやかちゃん」
さやか「何、まどか?」
まどか「……あのまま、帰っちゃって本当に良かったのかな?」
さやか「うーん……、あの人にも何か事情があるみたいだし、明日説明してくれるって言ってたんだから、ここは言うことを聞いて帰ってあげようよ。
それにさ……、あたし達を助けてくれて、しかもキュゥべえの怪我まで直してくれたんだから、多分悪い人じゃないんじゃない?」
まどか「そっか、そうだね……」
さやか「それじゃあ、さっさと帰っちゃおう?
あっ、もしも怖いんなら、あたしがちゃんと家まで送ってってあげるからさ」
まどか「そ、そんなことないよ!」
さやか「それじゃあ、ここに置いてちゃってもいいのかなー?」
まどか「も、もう!
さやかちゃんの意地悪!」
さやか「冗談だってば。
ほら、帰ろう?」
まどか「う、うん……」
マミ「さてと……。
そこに隠れているあなたも、そろそろ出てきたらどうかしら?」
ほむら「気付いていたのね、巴マミ……」
マミ「あら、私の名前を知っているの?」
ほむら「さっき、あなたがそこで名乗っていたでしょう?」
マミ「ああ、そういえばそうだったわね……。
ところで、あなたの名前は?」
ほむら「暁美……、ほむらよ」
マミ「暁美さん、ね。
まずは一つだけ確認しておきたいのだけど……。
暁美さん、あなた……、魔法少女、なのよね?」
ほむら「ええ、それが何か―」
―巴マミは、私の方まで近づいてくると、いきなり抱きしめてきた―
ほむら「と、巴マミ!?」
マミ「ごめんね。
また、間に合わなかった……」
ほむら「あの……。
そろそろ、離して貰えるかしら?」
マミ「あっ、ごめんね。
いきなり、抱きついちゃったりして……」
ほむら「いえ、そのことは別に構わないのだけど……」
キュゥべえ「巴マミ」
―インキュベーターが話しかけてくると、今まで私に向かって話しかけていた時とはまるで別人のように、巴マミの表情は険しくなっていた―
マミ「インキュベーター……。
また、さっきの子達を魔法少女に勧誘しようとしていたわね?」
キュゥべえ「うん。
だって、それが僕の仕事だからね」
マミ「そうでしょうね。
でも……、これ以上、あなた達の思い通りにはさせないんだから……」
ほむら(どういうこと……。
“あの巴マミ”が、インキュベーター達と敵対している!?)
マミ「暁美さん」
ほむら「……」
マミ「暁美さん?」
ほむら「あっ、ごめんなさい。
ちょっと考え事をしていたの。
……それで、何かしら?」
マミ「この後、お時間は空いてるかしら?
ちょっと、私の家で話したいことがあるのだけど……」
ほむら(出来れば私としては、インキュベーターがまどかに契約を迫ることのないように監視をしておきたい。
でも、“この巴マミ”のことも気になる……)
キュゥべえ「お取り込み中のようだね。
それじゃあ、僕はここで失礼させてもらうとするかな」
マミ「待ちなさい。
あなたも、一緒に来てもらうわよ」
キュゥべえ「やれやれ。
昨日警告したばかりだというのに、君はまだ僕達の邪魔をするつもりなのかい?」
マミ「私はあなた達がここから手を引くまで続けるつもりよ」
ほむら「あの……」
マミ「暁美さん。
キュゥべえも一緒に来ることになるのだけど、構わないかしら?」
ほむら(まだ、行くとは言ってないのだけど……)
マミ「それとも、やっぱり二人だけの方がいい?」
ほむら「いえ、私としても、その方が好都合なので」
マミ「なるほどね……。
それじゃあ、私の家に向かいましょうか」
―そして、私とインキュベーターは巴マミに導かれて、彼女が住んでいるマンションへと向かっていた―
マミ「!」
ほむら「どうしたの?
急に立ち止まったりして……」
マミ「暁美さん。
ちょっと申し訳ないのだけど……、先に私の家の前まで行って待ってて貰えるかしら?
場所はキュゥべえに聞けば分かるから」
ほむら「私は別に構わないけど……。
……何かあったの?」
マミ「ちょっともう一仕事だけ、片付けてくるわね!」
ほむら「ああ、ちょっと!」
―そして巴マミは、そのままどこかに向かって走り去っていった―
ほむら「キュゥべえ」
キュゥべえ「何だい?
暁美ほむら」
ほむら「巴マミが何をしに行ったのか、心辺りはある?」
キュゥべえ「おそらく、魔女退治に行ったんじゃないかな」
ほむら「それなら、私も―」
キュゥべえ「彼女は自分の力を使ってかなり遠い場所に行っただろうから、君の得意としている魔法が長距離移動に適したものでなければ、追いかけるのは難しいんじゃないかな?
それに、おそらく彼女は反対すると思うよ。
君が魔女と戦うのを、出来る限り避けさせたいだろうしね」
ほむら「それは、グリーフシードの取り分が減るから?」
キュゥべえ「おそらくそれも違うと思うよ。
そもそも、彼女には必要ないだろうし」
ほむら「……一体、どういうこと?」
キュゥべえ「それは、巴マミが帰って来てから直接聞くといいよ」
ほむら「……」
―そして、私とインキュベーターがマンションに着いてから約10分後に、巴マミがマンションの入り口に現れた―
マミ「待たせちゃってごめんね、暁美さん」
ほむら「いえ……。
それでは、おじゃまします」
マミ「独り暮らしだから遠慮しないで。
ろくにおもてなしの準備もないんだけど」
ほむら(ケーキと紅茶……)
マミ「どうしたの、暁美さん?
……もしかして、お口に合わなかったのかしら?」
ほむら「いえ、ちょっと昔のことを思い出してしまって……。
それに、とても美味しいわ」
マミ「ありがとう」
ほむら「……それで、話したいことって何かしら?」
マミ「暁美さん。その、魔女退治のことなんだけど……。
どうか、これからは全て私に任せて欲しいの」
ほむら「それはつまり……。
この見滝原から手を引け、ということ?」
マミ「いえ、そういう意味ではないわ。
あなたもこの街で生活していかなければならないでしょうし、出て行けなんて言うつもりもないわ。
それに、私はあなたと出来る限り協力していきたいとも思っているしね」
ほむら「だったら、どういうつもりでそんなことを言うの?」
マミ「私はただ……、あなたに危険なことをして欲しくないだけなの」
ほむら「でも、私達魔法少女にはグリーフシードが―」
マミ「もちろん、私が手に入れたグリーフシードは全てあなたに譲ってあげる」
ほむら「それじゃあ、あなたが自分で使う分はどうするの?」
マミ「私はね……、グリーフシードを使う必要はないの」
ほむら「……キュゥべえもそう言っていたけど、一体どういうことなの?」
マミ「それについては、まだ詳しく説明することは出来ないのだけど……。
そうね……、私はキュゥべえと契約した魔法少女ではない、とだけ言っておくわ」
ほむら「……キュゥべえ、彼女の言っていることは本当なの?」
キュゥべえ「ああ、訂正するほど間違ってはいないね」
ほむら「そう……。
キュゥべえは“嘘”はつかないから、そこは本当なのでしょうね。
だけど、もしもあなたが先程の約束を守らなかったとしたら、私はグリーフシードを全く得られないわ。
しかも、あなたはろくに事情を話そうとはしない。
そんな状態で……、会ったばかりのあなたのことを信用しろっていうの?」
マミ「お願い、私を信じて」
ほむら「……」
マミ「……暁美さん?」
ほむら「……私は、まだあなたを全面的に信用することは出来ないし、そうでなくても、あなた一人だけでこの街の魔女達全てに対処出来るとは思えない。
だから、全てをあなたに任せる、というわけにはいかないけど、とりあえず、当面の間は出来る限りあなたに譲るようにします」
マミ「ありがとう。
今はまだ、それでも構わないわ」
マミ「それと暁美さん、明日のことなんだけどね。
学校の授業が終わったら、私の家であなたと同じクラスの鹿目さんと美樹さんに今回の事情を説明しようと思っているのだけど……」
ほむら「あなたまさか、あの子達を魔法少女に勧誘するつもり!?」
マミ「そんな、私はあの子達を魔法少女に勧誘するつもりなんてないわよ。
むしろ、もうこれ以上魔法少女を増やしたくないと思っているし……」
ほむら「……そう。
早とちりしてしまってごめんなさい」
マミ「いえ、気にしないで。
それでね、ちょっとあなたに手伝って欲しいことがあるの」
ほむら「何かしら?」
マミ「明日、私が二人に話そうと思っている内容の中には、キュゥべえには聞いて欲しくないこともあって。
だから―」
ほむら「つまり、私にキュゥべえの監視をしておいて欲しいということね?」
マミ「そういうことね。
飲み込みが良くて助かるわ」
キュゥべえ「……」
マミ「……それじゃあ、今日はよろしくね」
ほむら「え?」
マミ「暁美さん、泊まっていってくれるのでしょう?」
ほむら「どうして、私が泊まる必要があるの?」
マミ「もちろん、キュゥべえの監視をするためよ。
私達と違って睡眠はあまり必要ないみたいだし、夜通しで見張っておかなくちゃね。
今までは私一人でやっていたから寝てしまったこともあったけど、暁美さんがいてくれれば助かるわ。
というわけで、3時間ごとの交代制でいいかしら?
睡眠時間が少なくなるのは大変だろうけど、今日だけは我慢してね」
ほむら「ちょっと待って」
マミ「何かしら?
もしかして……、3時間じゃ足りない?
それなら、多少私の時間を減らしても―」
ほむら「いや、それは構わないのだけど……。
ていうかあなた、今までこいつと一緒に暮らしていたの?」
マミ「監視をする為に、仕方なくよ」
ほむら「……本当に?」
マミ「どういう意味?」
ほむら「……いえ、何でもないわ」
マミ「……そう。
それじゃあ、まずは当番を決めちゃいましょうか。
暁美さんは、どちらからがいい?」
ほむら「……とりあえず、先輩のあなたに任せておくわ」
キュゥべえ「巴マミ」
マミ「何かしら?
……インキュベーター」
キュゥべえ「君は僕をその場から遠ざけておけばいいと思っているみたいだけど……。
僕達がその気になれば、この星のどこからだとしても、君達の話を盗み聞きすることくらいは、造作もないことなんだよ?」
マミ「そんなこと、分かっているわ。
私が本当に話を聞かせたくない相手は、あなたじゃない」
キュゥべえ「ふーん、なるほどね」
マミ「もしも、私のいない間に何か余計なことを暁美さんに言ったりしたら……。
今度こそ、ただでは済まさないから」
キュゥべえ「もちろん、言うつもりはないよ。
彼女に聞かれない限りはね」
マミ「……そうならないよう、祈っておくことね」
とりあえず、今回はここまで。
何とか今週中に旧スレの投下分以降まで追いつけるようにしたいと思います。
乙っす
待ってたよ
面白そうなスレハケーン!
乙
マミ「おはよう、暁美さん」
ほむら「……おはよう、巴マミ」
マミ「そういえば暁美さん、意外とこういう不規則な生活にも慣れているみたいね。
つい最近まで、入院してたんじゃなかったの?」
ほむら「……そういうあなたは、まだ眠たそうね。
いつもやっていたんじゃなかったの?」
マミ「悪かったわね……、眠たそうに見えるのは元々です!
それに、朝はちょっと弱いのよ……」
ほむら「そう。
まぁ、そんなことはどうでもいいでしょう。
それより、あの子達の説得をあなたに任せて、本当に大丈夫なのよね?」
マミ「任せてちょうだい!
魔法少女にならないよう、ちゃんと説得してみせるから」
ほむら「……頼んだわよ」
マミ「あら、もうこんな時間なのね……。
そうだわ、朝食はここで食べていくわよね?
少しだけ待っててくれれば、すぐに用意しちゃうから」
ほむら「いえ、一旦家に帰っておきたいし、遠慮しておくわ」
マミ「そう……、分かったわ。
それじゃあ暁美さん、また後でね」
ほむら「……ええ、また後で」
おぉ、たってた
まつじぇ
学校の屋上
さやか「まどかはさ……、昨日のこと、どう思う?」
まどか「昨日のって、あのお化けみたいなのとか、マミさん達のこと?」
さやか「うん。
正直あたしは、まだ現実だったのかどうかすらも疑いたくなるような感じでさ―」
まどか「!」
さやか(転校生……)
まどか(ほむらちゃん……)
さやか「昨日の続きかよ」
ほむら「いいえ、そのつもりはないわ」
さやか「じゃあ、一体何の用さ?」
ほむら「巴マミから頼まれた伝言を、あなた達に伝えにきただけよ」
まどか「マミさんに?」
ほむら「ええ」
さやか「それで、内容は?」
ほむら「あなた達を家に招待したいそうよ。
昨日のことについて、詳しく説明するつもりだとか」
さやか「それには、あんたも来るの?」
ほむら「いえ、私は別に用事があるから、同席するつもりはないわ」
さやか「なら、喜んで行くよ」
ほむら「そう……。
それじゃあ、放課後に校門の前で待っていて」
まどか「……」
まどか「……あの、ほむらちゃん?」
ほむら「……何かしら?」
まどか「ほむらちゃんは、マミさんと仲良くなったの?」
ほむら「仲良くというほどではないけれど……、昨日二人で話をした結果、これから協力していくことを約束したわ」
さやか「ふん、一体どうやって取り入ったんだか」
ほむら「別に、何もしてないわ。
……それより、昨日の話は覚えてる?」
まどか「うん」
ほむら「ならいいわ。
私の忠告が無駄にならないよう、祈ってる」
まどか「あの、ほむらちゃん。
あなたも、その……、魔法少女、なんだよね?」
ほむら「ええ、そうよ」
まどか「ほむらちゃんはさ、どうして魔法少女になったの?」
ほむら「……」
まどか「あっ……」
さやか「感じ悪い奴……」
マミの部屋
まどか「マミさん。
すっごく美味しいです」
さやか「んー、めっちゃうまっすよ」
マミ「ありがとう。
それじゃあ、そろそろ本題に入りましょうか。
まずは、あなた達から質問してもらうという形にするわね。
二人とも、何か聞きたいことはある?」
さやか「じゃあ、まずはあたしから……。
マミさん、昨日は自分のことを魔法少女だって言ってたよね。
でも、魔法少女って何?」
マミ「魔法少女はね、魔法を使って魔女を狩る者達のことよ。
まぁ、厳密に言うと私が使っているのは魔法というよりも超能力だから、エスパー少女、と言った方がいいかもしれないけど」
まどか「え、エスパー?」
マミ「そうよ。
だから、私はエスパーマミ!
……なんてね」
さやか「?」
まどか「それって何ですか?」
マミ「……そっかぁ、私達の世代なら普通は知らないわよね……。
ごめん、忘れてちょうだい……」
まどか「は、はい……」
さやか「それとマミさん、魔女って何なの?
魔法少女とは違うの?」
マミ「魔女というのはね、呪いから産まれた、恐るべき存在。
魔女達は絶望を蒔き散らして、不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ、そういう災いの種をこの世界にもたらしている。
それにね、理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なの。
形のない悪意となって、人間を内側から蝕んでゆくの」
さやか「そんなヤバい奴らがいるのに、どうして誰も気付かないの?」
マミ「魔女はね、常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないの。
ちなみに結界というのは、昨日あなた達が迷い込んだ迷路のようなところのことよ。
だから、あなた達は結構危ないところだったのよ?
あれに飲み込まれた人間は、普通は生きて帰れないから……」
まどか「……」
マミ「ごめんなさい、怖がらせちゃったかしら?
でも、大事なことだから我慢してね」
まどか「はい、大丈夫です……」
さやか「それじゃあ、昨日あたし達を襲ってきたのが魔女ってことかな?」
マミ「いえ、あれは使い魔よ」
まどか「使い魔?」
マミ「魔女の手下みたいなものね」
さやか「あれで手下なの?
それじゃあ、ボスの魔女は……」
マミ「ええ、とても恐ろしい存在よ」
まどか「マミさんは、そんな怖いものと戦っているんですか」
マミ「そう、命懸けでね」
まどか・さやか「……」
さやか「そ、そういえば、マミさん?」
マミ「なぁに、美樹さん?」
さやか「マミさんは、キュゥべえとも知り合いなんですよね?」
マミ「……ええ、そうよ」
さやか「それじゃあ……、キュゥべえって、一体何なの?
別の世界から来た妖精とか、そんな感じ?」
マミ「そういえば、キュゥべえについてはまだ説明してなかったわね……。
実はね……、キュゥべえは、他の星から来た種族なの」
さやか「他の星ってことは……、あいつ、宇宙人なの!?」
マミ「人と言っていいのかは分からないけどね。
それと、彼の仕事はね、この星の人間の少女達と契約して、魔法少女を産み出すことなの」
さやか「契約って?」
マミ「キュゥべえは、彼自身が選んだ女の子達に願い事を何でも一つ叶えてあげると約束し、その代わりに魔法少女になってもらうという内容の契約を結んでいるの」
まどか「そうなんですか……。
でも……、ほむらちゃんも魔法少女なんですよね。
それなのに、どうしてキュゥべえにあんな酷いことをしていたのかな?」
マミ「もしかしたら、新しい魔法少女が産まれることを阻止しようとしていたのかもしれないわ」
まどか「どうしてですか?
魔法少女の仲間が増えるのは、いいことだと思うんだけど……」
さやか「そうだよ。
同じ敵と戦っているなら、仲間は多い方がいいんじゃないの?」
マミ「それが、そうでもないの。
むしろ、競争になることの方が多いのよね」
まどか「そんな……、どうして」
マミ「魔女を倒せば、それなりの見返りがあるの。
だから、時と場合によっては手柄の取り合いになって、ぶつかることもあるのよね」
さやか「つまりあいつは、キュゥべえがまどかに声掛けるって最初から目星を付けてて、それで朝からあんなに絡んできたってわけ?」
マミ「その可能性も、否定は出来ないわ。
ただ……、私にはどうも、彼女にはそれ以外の事情があるようにも思えるの」
さやか「どんな事情が?」
マミ「そうねぇ……。
……二人とも、ここからの話は誰にも言わないって約束出来る?」
まどか「は、はい!」
マミ「美樹さんは?」
さやか「もちろん、あたしも今日聞いたことを誰かに話したりするつもりはないです」
マミ「それじゃあ、言うわね。
実は―」
魔女の結界の近く
ほむら「巴マミ。
今日は私も一緒に着いていこうと思うのだけど、いいかしら?」
マミ「ええ、別に構わないわよ」
ほむら「ありがとう。
それと、一つ聞いてもいいかしら?」
マミ「何かしら?
暁美さん」
ほむら「どうして、この子達がここにいるの?」
さやか「……な、何だよ、転校生。
あんたはマミさんに付いていくっていうのに、あたし達は駄目ってわけ?」
ほむら「私は魔法少女よ。
あなた達とは違うわ」
マミ(テレパシー:暁美さん!
そんな風に言ったら―)
ほむら(テレパシー:ごめんなさい。
今のは失言だったわね。
でも、どうしてこの子達を連れて来たの?)
マミ(テレパシー:ごめんね。
一通り説明したら帰ってくれると思ってたのだけど……。
一度だけでいいから魔女退治の様子をどうしても見たいって言われて、つい……)
ほむら(テレパシー:ついじゃないでしょう!
あなた、やっぱり自分の活躍を誰かに見せたかったの?)
マミ(テレパシー:やっぱりって、どういうことかしら?)
ほむら(テレパシー:……いいえ、何でもないわ。
でも、あなたに説得を任せたのは失敗だったのかしら……?)
マミ(テレパシー:そんな……)
まどか「あの……。
ごめんね、ほむらちゃん」
ほむら「いえ、着いてきてしまったのならばもう仕方ないわ。
二人とも、私と巴マミのそばを絶対に離れないでちょうだい」
まどか「うん、分かった」
ほむら「美樹さやか。
あなたは?」
さやか「とりあえずは、あんたの言うことに従っておくよ」
マミの部屋(回想)
さやか「それって……、本当なんですか?」
マミ「ええ、実際にこの目で見たことがあるから間違いないわ」
まどか「でも、どうしてキュゥべえはそんな酷いことを……」
マミ「おそらくだけど、彼は酷いとすらも思っていないでしょうね」
さやか「そんなことって……」
まどか「……もしかして、ほむらちゃんはそのことを知ってて?」
マミ「それはまだ分からないわ。
でも、彼女がそのことを知っている可能性はあると思う」
さやか「だから、マミさんは今日あいつをここに呼ばなかったの?」
マミ「ええ、その通りよ。
もしも私の推測が間違っていたら、彼女に強いショックを与えることになるでしょうから」
まどか「でも……。
どうしてマミさんは、ほむらちゃんが魔法少女の真実を知っているかもしれないと思ったんですか?」
マミ「暁美さんと昨日話した時、あの子はあなた達が契約することに反対していたわ。
でも、必死で話しているあの子の表情を見ていたら、私利私欲の為に阻止しようとしているようには全く見えなかったのよね。
少なくとも私には、本気であなた達のことを心配しているように思えた。
だから、彼女を信じてみようと思ったの」
さやか「理由はそれだけ?」
マミ「ええ、それだけよ」
さやか「でも、もしもマミさんの考えが間違っていたとしたら……」
マミ「ええ。もしかしたら、あの子がとても演技上手で、私の油断を誘って縄張りを奪おうとしている可能性だってあるかもしれないわね。
でも、だからこそ、それを見極める為にも私は暁美さんと一緒に行動してみようと思っているの」
さやか「あいつが悪い奴だったとしたら、マミさんだって危ないよ!」
マミ「私のことは心配しないで。
こう見えても、結構強いんだから!」
さやか「でも……。
……そうだ、あたしをマミさんの魔女退治に連れていってくれませんか?」
マミ「え?」
まどか「さやかちゃんだけでなく、わたしも一緒に連れていってください」
マミ「二人とも、何を言っているの?」
さやか「あたし達で、転校生のことを見極めるよ。
危ない場所ならあいつの本性も見抜きやすいだろうし、万が一あいつが裏切ろうとした時は、マミさんに忠告だって出来るから」
まどか「それに、マミさんの言っていることが正しかったとしたら、誰かがほむらちゃんについててあげる必要があると思うんです。
……もちろん、マミさんにも」
マミ「!
でも……、あなた達、私の話をちゃんと聞いていたの?
魔女の結界はとっても危ないところなのよ。
あなた達が行くべきところではないわ!」
さやか「もちろん分かってるよ。
でも、マミさんがあたし達を守ってくれるんだよね?」
マミ「それは、そうだけど……」
さやか「それじゃあ、よろしくお願いしますね」
まどか「わたしも、よろしくお願いします」
マミ「全く、あなた達は本当に困った後輩達なのね……。
……ええ、分かったわ。
二人とも、絶対に私のそばを離れないでね!」
―そして、私と巴マミ、まどかと美樹さやかの4人は、魔女の結界のある場所へと向かっていた―
マミ「間違いない、ここよ」
さやか「あ、マミさんあれ!」
―私達が辿り着いた廃墟ビルの屋上には女性が立っていて、今にも飛び降りようとしているところだった―
まどか「きゃあ」
―私は変身しようとしたけど、巴マミの方が素早く動いていて―
マミ「ハッ!」
―巴マミは、制服姿のままで手から能力を発動させ、飛び降りようとしていた女性を受け止めていた―
さやか「ま、間に合った……」
―でも、その時巴マミが手から発したのは、私が良く知っているリボンではなく、まるでテレビ等に出てくる超能力者達が使うような、何らかの念動力のようなものだった―
マミ(魔女の口づけ……、やっぱりね)
まどか「この人は?」
マミ「大丈夫、気を失っているだけ。
それじゃあ、行くわよ!」
―巴マミは、結界に入る直前に魔法少女の姿に変身していた―
マミ「今日こそは、逃がさないわよ」
―でも、巴マミが変身した時の魔法少女の衣装は、“私が知っているもの”と似てはいたものの、細部が異なっており、胸元のリボンや頭のソウルジェムが無く、何より、服の色も変わっていた―
マミ「暁美さん。
この子達のこと、お願い出来る?」
ほむら「ええ、任せて」
―また、使っている武器も“いつものマスケット銃”ではなく、バナナのような形をした長い刃物になっていて、そのまま切りつけたり、時折ブーメランのように投げつけて使用していた―
マミ「ハッ!」
―そして、その戦い方も、“私が知っている巴マミ”のものとは全く違っていた―
マミ「フッ!」
―赤い衣装に、髪を黒いリボンで留めて背中まで垂らしたポニーテール……。
そう、どちらかといえば、この戦い方はまるで―
マミ「もうすぐで結界の最深部よ。
みんな、準備はいい?」
まどか・さやか「はい!」
マミ「暁美さん?」
ほむら「……ええ、私も大丈夫よ」
―そして私達は、結界の最深部にいた魔女の姿に、驚かされることになった―
ほむら「!」
さやか「グロいし……、でかい!」
―薔薇園の魔女は、いつもの3倍……、いや、5倍ほどの大きさまで巨大化していた―
まどか「いつも、あんなのと戦ってるんですか?」
マミ「いえ、私もあんな大きい魔女とは―
きゃあっ!」
まどか「マミさん!」
ほむら「二人とも、私から離れないで!」
まどか・さやか「は、はい!」
―私は、薔薇園の魔女に向かって軽機関銃【M249】を放った―
ほむら(やはり、こんなものじゃほとんど効き目が無い……。
だったら、RPGなら少しは効くかしら?
でも、まどか達がいるから爆発するのは駄目よね……。
では、一体どうすれば― )
―でも、私が対抗策を考えつく前に、薔薇園の魔女は触手で攻撃してきた―
ほむら「ぐっ!」
まどか「ほむらちゃん!」
―そして薔薇園の魔女は、残されたまどか達に迫ろうとしていた―
さやか「まどか、ここはあたしに任せてあんただけでも逃げて!」
まどか「そ、そんなこと出来る訳ないよっ!」
さやか「いいから!」
まどか「でも!」
―でも、そこに薔薇園の魔女の使い魔が現れ、まどか達の逃げ道を絶ってしまっていた―
さやか「ああ!」
ほむら(そんな……。
まさか、こんなところで私は……)
―その時、私は結界の上の方に人が立っているのを見付けた―
ほむら(あそこに立っているのは、巴マミ!?)
―巴マミは、片足だけを立てた状態で、魔女の方を見下ろしていた―
ほむら(生きていたのね……。
それにしても、あんなところで一体何を―)
―やがて巴マミが、深呼吸をした後、服から何かを取り出して右手に構えると、辺り一面が眩い光に包まれていき―
ほむら(あ、あれは……!)
―そこに現れたのは、赤と銀の光の巨人だった―
まどか「あれっ?
わたし達……、助かった、のかな?」
さやか「そうみたいだね……。
って、うわ!
よく見たら……、でっ、でっかい宇宙人!?」
ほむら(きょ、巨人……?)
―その巨人は、赤と銀の体色に身長は30m程度で、良く見ると、女性的な体型をしていた―
まどか「……もしかして、わたし達を助けに来てくれたのかな?」
さやか「えっと……、そうなの?」
―すると、巨人はまどか達に向かって頷いていた―
まどか「わたし達の言葉、通じてるみたいだね」
―そしてその巨人は、使い魔に向かって振りおろしていた手を上げ、そのまま私達に向かってかざした―
さやか「こいつ!
やっぱりあたし達を……!?」
まどか「違うと思うよ、さやかちゃん。
多分、わたし達を守ろうとしてくれてるみたい」
―巨人は、私達の周りに光の膜のようなものを張って包みこんだ―
さやか「あっ、疑っちゃってゴメン……」
―そして、巨人は魔女に向かってファイティングポーズを取った―
―薔薇園の魔女は、巨人に向かって巨大な椅子を投げつけた―
―巨人はその攻撃をかわすと、手の先から光弾を発射して椅子を破壊した―
―しかし、薔薇園の魔女の使い魔が巨人に近寄っていき、撹乱させた隙に魔女が触手で攻撃すると、そのまま巨人を拘束して吊るしあげた―
―でも、巨人は頭頂部の飾りを念力で外して動かすと、魔女の触手を切断して華麗に着地し―
―そして、巨人は腕を十字に組んだようなポーズを取り、必殺光線【アルティマシュート】を放った―
―その攻撃によって、薔薇園の魔女は一瞬で粉砕されていた―
まどか・さやか「やったぁ~!」
―やがて巨人は、どこかへと飛び去っていった―
ほむら(一体、どうなっているというの……!?)
マミ「みんな~!」
さやか「あっ、マミさん!」
まどか「マミさん、大丈夫でしたか?」
マミ「ええ、おかげさまでね」
まどか「よ、良かった~」
マミ「それより、あなた達の方こそ大丈夫だった?」
まどか「はい!
実はさっき、巨人さんが来て、わたし達を助けてくれたんです」
マミ「巨人?」
さやか「なんか、見た目はおっきな宇宙人みたいな感じだったかな……?
とにかく、いきなり来たから魔女の仲間か何かと思ったら、それが実はまさかの正義の味方だったみたいで!」
マミ「そう……、良かったわね」
さやか「いや~、それにしても、マミさんにも見せたかったなぁ!
あんな強い“化け物”を、スパッと一瞬でやっつけちゃって―」
マミ「……」
さやか「あっ、マミさん。
ゴメン……」
―巴マミは一瞬だけ悲しそうな表情を浮かべていたが、美樹さやかはどうやらそれを見逃さなかったようで、慌てて謝罪していた―
マミ「……いえ、美樹さんは別に気にしなくていいのよ」
ほむら(テレパシー:巴マミ!)
マミ(テレパシー:あら、暁美さん。
わざわざテレパシーを使うなんてどうしたの?)
ほむら(テレパシー:とぼけないで!
あれは一体どういうことなの!?
あの巨人は、あなたなのでしょう?)
マミ(テレパシー:暁美さん、あなたは見てしまったのね……。
分かったわ、帰ってから説明してあげるわね)
―そして、巴マミはそこにあったグリーフシードを少しの間見つめた後、それに向かって手を合わせ、それから拾い上げた―
マミの部屋
ほむら「さっきのことについて、説明して貰える?」
マミ「……ええ、いいわよ。
でも、ちゃんと説明するには私の過去についても話さないといけないから……。
ちょっと長い話になってしまうのだけど、構わない?
ほむら「ええ、問題ないわ」
マミ「それなら、説明を始めるわね。
そうねぇ……、あれはもう、二年くらい前のことになっちゃうのかな?
私は―」
とりあえず、ここまでです。
この続きは、今日の夕方くらいからまた投下する予定です。
乙っす
こうして改めて通しで読み直すのも楽しいな
【マミの過去】
マミ「じゃあ私、買いに行ってくるね。
行って来ま~す!」
マミ「お買い物に行ったのに、お醤油買って来なかったなんて……。
お母さんも忘れっぽいんだから」
マミ(気のせいかしら……。
誰かが見てる?
違う……、後ろからついてきてる……)
マミ(どうしよう、怖い……。
走って逃げようかな?
でも、追いつかれたら……)
マミ(ここは、思い切って……)
マミ「きゃーーーーー!
ちかーーーーん!!」
キュゥべえ「ひ、酷いなぁ、大声出すなんて……。
僕はただ、君に……」
キュゥべえ「あれ?
走ってどこかに行っちゃったみたいだね」
マミ「それじゃあ、また明日ね」
女子A「あれ、今日は急ぐの?」
女子B「帰りに、マミに買い物付き合ってもらおうと思ってたのにー」
マミ「ごめんごめん、今日はちょっと用事があるの」
女子A「えーなにぃ?
とうとうマミに彼氏が出来た?
女子B「ひどーい、友情を犠牲にして男をとるんだ!」
マミ「ちょっと、勝手に話つくらないで。
今日は、両親と食事に行くだけ」
マミ「お父さんとお母さんが車で迎えに来てくれてるの。
だから今日はここで。
また明日ね!」
マミ「えっと……、もう着いてるはずだけど……。
あ、あそこね。
お父さん、お母さん、おまたせ!」
マミ「皆で外食なんて、久しぶりね。
今日行くお店って、あの有名なお店でしょ?
人気店だし行ってみたかったんだ、楽しみー」
マミ(優しいお父さん、お母さん。
学校の友達……。
私、幸せ……。
この幸せが、ずっと続けばいいのに……)
マミ「あっ、お父さん前!」
マミ「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
巴マミは交通事故に遭って瀕死の重傷を負った。
死線を彷徨うマミを新しい世界に導いたのは……、ウルトラの兄弟達。
そして今、ウルトラの母が!
ウルトラの母「ウルトラの兄弟達よ。
ウルトラの妹、ウルトラマミが今誕生する姿を見るがよい。
おまえ達は皆、こうして生まれたのです……」
ウルトラの母「見よ、ウルトラの命の誕生を!」
マミ「……こうして、私はこの光の力を手に入れたの」
ほむら「そういうことだったのね……。
それと、もう一つ。
私や鹿目まどか達の前で、魔法少女のふりをしていたのは何故?」
マミ「みんなに、私の正体を知られるわけにはいかなかったし……。
同じ魔法少女として接した方が、あなたにも信用してもらえるんじゃないかと思ったの。
それに……」
ほむら「それに?」
マミ「いえ、何でもないわ。
それより―」
―その時、巴マミは何かを察知したように頭を上げて、その表情を険しくさせた―
ほむら「……魔女が、現れたんですね」
マミ「ええ、その通りよ。
私が行ってくるから、暁美さんは―」
ほむら「待って、私も一緒に行きます」
マミ「……やっぱり、私は信用出来ないのかしら?」
ほむら「いえ、信用出来ると判断したからこそ、あなたの戦いをちゃんと見ておきたいと思って」
マミ「でも……、暁美さんは、こんな私を信用してくれるというの?
いきなり巨人に変身しちゃうだなんて、気味が悪いとか思ったりしない?」
ほむら「そんなこと、全く思わないわ。
それよりも、私はあなたと一緒に戦っていきたい。
……出来れば、仲間として」
マミ「!
……本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?」
ほむら「ええ、もちろんです。
というわけで、“巴さん”。
これから、よろしくお願いしますね」
マミ「……ええ。
暁美さん、こちらこそよろしくね!」
―それから私達は、本格的に共闘を重ねていくことになった―
ほむら「この魔女と使い魔達は、暗闇の中では力を増幅させることが出来るけど、その分、光に弱い。
つまり……、今のあなたにとっては、もはや敵ではない」
マミ「ええ、分かってるわ。
任せて!」
―巴さんが強力な光を放って巨人に変身すると、その際に生じた光によって使い魔達は一瞬で消え去ってしまい、 同じく魔女の方も、痛手を負ってその場から逃げ去ろうとしていた―
ほむら「巴さん!」
―巴さんはうなずくと、腕をクロスさせて必殺光線【アルティマシュート】を放ち、暗闇の魔女は光線技を浴びて一瞬で消滅していた―
マミ「暁美さんのおかげで、最近の戦いはとても楽になったわ」
ほむら「そう言って貰えるのは光栄だけど、ほとんどの魔女はあなた一人で倒してしまえるじゃない」
マミ「でも、暁美さんのアドバイスはとても役に立ってるのよ?
あなたの分析は、まるでその魔女と戦ったことがあるみたいにいつも的確だしね。
それにね……、こういう時は、隣に誰かがいてくれるだけで心強いものなのよ」
ほむら「……そうですか。
私なんかで良ければ、いつでもあなたのそばにいます」
マミ「……ありがとう、暁美さん」
―そして数日後、いつものように私達は、魔女の結界が出来た場所へと向かっていた―
ほむら「……そういえば、巴さん。
ちょっとあなたに聞いておきたいことがあるのだけど……」
マミ「何かしら?」
ほむら「ここ最近、私達がこの街で遭遇してきた魔女達は、今までに私が倒してきた魔女とは違って、何というか……。
まるで、あなたの変身後の大きさに合わせたかのように巨大な魔女が多いように思えるのだけど……。
ここでは、前からそうだったんですか?」
マミ「いえ、魔女があんなに大きくなっているのを見たのは、私もあの時が初めてよ」
ほむら「そうですか……。
それなら、そのことの原因について何か心当たりはありますか?」
マミ「私もはっきりとは分からないのだけど……。
多分、彼の仕業に違いないんじゃないかしら?」
ほむら「なるほど、そうですね……」
―その時、私達の会話に合わせたかのようなタイミングで、インキュベーターがやって来た―
キュゥべえ「やぁ、巴マミ。
それと、暁美ほむら」
マミ「まさに噂をすれば、という感じね。
……それで、何の用かしら、キュゥべえさん?」
キュゥべえ「今日は君達に、役に立ちそうな情報を持って来たんだよ」
ほむら「一体、何の情報?」
キュゥべえ「今、この街に現われている魔女の居場所に関する情報だよ」
マミ「あいにくだけど、私達は既に魔女の結界を見つけて向かっているところなの。
わざわざ来てくれたのに申し訳ないけど、どうやら無駄足だったんじゃない?」
キュゥべえ「いや、待ってくれ。
君達が見つけた魔女は、一体だけだろう?」
ほむら「もしかして、この近くで一度に二体の魔女が現れた、ということ?」
キュゥべえ「そういうことになるね。
まぁ、正確に言うともう一体の方は、まだグリーフシードが孵化しかけている途中の段階だったはずだけどね」
マミ「……そう。
でも、同時に二か所で魔女が現れるというのは、別に珍しいことではないと思うのだけど……。
あなたがわざわざ知らせにくるということは、何かあるのかしら?」
キュゥべえ「察しがいいね、巴マミ。
今回の魔女の結界には、君達の知り合いが取り込まれているんだ」
ほむら「何ですって!?
まさか……」
キュゥべえ「おそらく君の考えている通りだと思うよ、暁美ほむら。
二つの結界の中には、それぞれ、鹿目まどかと、美樹さやかがいるんだ」
マミ「何てこと……。
インキュベーター、卑怯な真似をしてくれたわね」
キュゥべえ「彼女達が結界の中にいるのは、僕のせいではないよ。
美樹さやかは自分からグリーフシードを見張っておきたいと言い出したんだし、鹿目まどかが巻き込まれてしまったのも単なる偶然だ。
第一、君達を本当に陥れるつもりだったとしたら、このことは伝えにこないでおくと思うけどね」
マミ「また、そんな戯言を……」
ほむら「……巴さん、ここは二手に分かれましょう。
私はこの先にある近くの結界に向かうので、巴さんは遠くの方へ行って下さい」
マミ「それなら、近い方の結界に二人で行って魔女を倒してから、もう一つの結界に向かった方がいいんじゃないかしら?」
ほむら「それだと、もう片方を助けられないかもしれないし、どちらかを見捨てるというわけにはいかないでしょう?
それに、あなたなら遠い場所でもすぐに向かうことが出来るでしょうし」
マミ「でも……。
もしも魔女が巨大化していたら、あなた自身も危ないわ!」
ほむら「私なら大丈夫。
たとえ魔女を倒せないとしても、時間を稼ぐことくらいは出来るはず。
あなたが戻って来るまでは、何とか粘って見せるわ」
マミ「……分かったわ。
暁美さん、気をつけてね」
ほむら「ええ、あなたも」
キュゥべえ「それじゃあ、僕もこっちへ向かうとするかな」
マミ「それは駄目よ。
あなたは私と一緒に来て、結界まで案内して貰うから」
キュゥべえ「やれやれ、ここは君に従っておくとするよ」
ほむら(この魔女は……)
―私が向かった方の結界には、私が初めて魔女に遭遇した時と同じように芸術家の魔女の使い魔がいて、結界の中に巻き込まれた少女に襲いかかろうとしていた―
まどか「きゃあああ!」
―ただ一つ、その時と異なっていたのは、襲われているのが私ではなく、まどかに変わっていたことだった―
ほむら「まどか!」
まどか「ほ、ほむらちゃん!?」
ほむら「もう大丈夫よ。
私は……、あなたを助けに来たの」
まどか「あ、ありがとう……。
でも、気をつけてね」
ほむら「ええ、分かってるわ。
あいつを倒すから、あなたは少し離れた場所で待っていて」
まどか「うん、分かった。
えっと……、あっちの方でいいかな?」
ほむら「いや、少し待って……。
やっぱり私が安全な場所まで誘導するから、あなたは付いてきてくれる?」
まどか「うん、ほむらちゃんの言う通りにするね」
―私はまどかの手を引いて比較的安全な場所まで誘導すると、すぐに時間停止の能力を発動させた―
ほむら(そういえば、私がこの魔女と初めて遭遇した時は魔法少女のまどかと巴さんが助けてくれたんだったよね。
そっか、あの時とは立場がまるで反対になったんだ……)
―そして、私は使い魔達に向かって大型拳銃【デザートイーグル】を撃ち、魔女には自分で作った時限爆弾を取り付けた後、時間停止を解除した―
―能力の解除と同時に魔女は爆破され、すぐに結界も崩壊していった―
まどか「あれ、もう魔女をやっつけちゃったの?」
ほむら「ええ」
ほむら(……私は、これでまどかを守れる私になれたと言えるのかな?
いや、どんなに過程が良かったとしても、あいつを倒せなければ意味が無いよね……。
だから、巴さんが不思議な力を持っていて、しかも友好的でいてくれる、今回のチャンスを生かさないと!)
まどか「……あっ、そうだ!
わたしね、ほむらちゃんにお願いしたいことがあるの……」
ほむら「何かしら?」
まどか「あのね……。
さやかちゃんが病院で、その、グリーフシードを見つけてね―」
ほむら(インキュベーターが言っていた、もう一つの魔女の方ね)
まどか「だから、急いで助けに―」
ほむら「そっちも心配しなくて大丈夫よ。
そちらには、巴さんが向かっているでしょうから」
まどか「あっ、そうなんだ。
それなら、大丈夫かな?」
ほむら「いや、待って。
……病院?」
まどか「ほむらちゃん、どうしたの?」
ほむら(そういえば、この魔女はこれまでと変わらない大きさだった。
と、いうことは……)
ほむら「まさか!?」
まどか「あの、ほむらちゃん?」
ほむら「やっぱり、私も急いで病院の方に向かうことにするわ。
……巴マミが、危ないかもしれない」
ここまでで一旦中断します。
再開は今日の21時前後の予定です。
乙 ほむほむ学習しねぇなww
マミ「……インキュベーター」
キュゥべえ「何だい?
巴マミ」
マミ「最近、魔女が巨大化しているのはあなたの仕業よね。
あなた達の計画に邪魔な私を倒す為に仕組んだのかしら?」
キュゥべえ「君を倒す為に、というのはあながち間違いでもないけど……。
魔女を巨大化させたのは、僕がやったことではないよ」
マミ「あなたの他に、誰があんなことをするというの?」
キュゥべえ「僕の協力者、といったところかな」
マミ「……協力者? それは一体誰なの?」
キュゥべえ「申し訳ないけど、さすがにそれを言うわけにはいかないよ。
契約違反になってしまうからね」
マミ「……契約違反、ね。
でも、必ず突きとめてみせるわ」
キュゥべえ「そうかい。
ああ、美樹さやかはこの扉の先にいるはずだよ。
どうやら、まだ魔女は孵化してないようだね」
マミ「それなら、早く美樹さんを助けてあげて、暁美さんのところに戻らないとね!」
さやか「あれが、今回の魔女……」
―あたしの目の前に現れた魔女は、まるで、何かのマスコットキャラクターなんじゃないかと一瞬勘違いしてしまう程に、とても可愛らしい姿をしていた―
さやか(あれなら、あたしでも倒せちゃうかも……。
いや、魔女は見た目で判断しちゃ駄目だってマミさんにも言われてたよね……)
―魔女を見つめながらどうしようかとあたしが迷っていたその時、突然大きな音が鳴り響いた―
さやか「うわ、一体何なの!?」
―驚いたあたしが思わず顔を上げると、そこには、前にあたしとまどかを助けてくれた巨人が飛んでくるのが見えた―
さやか「何かと思ったら、あの時の巨人!」
キュゥべえ「さやか、大丈夫だったかい?」
―その時あたしは、キュゥべえが話しかけてきていることにも気付かずに、飛んできた巨人の姿に見入っていた―
さやか「また、あたしを助けに来てくれたの?」
―巨人はあたしに向かってうなずいた後、そのまま魔女の方へと近付いていった―
さやか「頑張れー!」
マミ(Lume Spirale!【キャッチリング】)
―その巨人は体を回しながらうずまきみたいな光を出して、魔女を捕まえていた―
マミ(もう何も恐くない。
……だって、私はもう独りじゃないもの!)
―そして、巨人は魔女に向かって手の先からだした光のビームをいくつか当てた後、そのまま腕を十字に組んで、いつもの必殺光線【アルティマシュート】を放っていた―
さやか「やったぁ!」
―でも、今回の魔女にはその光線技があまり効いてなかったのか、
攻撃を受けた後に、その可愛らしい小さな体の中からいきなり大きな蛇みたいなのが飛び出して来て、そのまま巨人の体に巻き付いていた―
さやか(もしかして、これがこの魔女の本当の姿だったの!?)
―そして、巨大化したその魔女は、巨人の胸元に付いている黄色く光っている丸い何かに噛みつこうとしていた―
さやか「や、やめろー!」
―直感的にそれを食べられたらまずいと判断したあたしは、思わず魔女に向かって叫んでいた―
―魔女があたしに気付いたことでしめつけが弱くなり、その隙に巨人は逃げようとしていたけど、魔女はすぐに巨人の方に意識を戻していた―
マミ(やっぱり、このままでは逃げられない。
ここは、仕方ないわね……)
―そして、そこにいたはずの巨人の姿が急に消えていき―
さやか「えっ、どういうこと!?」
―巨人の代わりに姿を現したのは、まぎれもなく、マミさんだった―
さやか「ま……、マミさん!?」
マミ「美樹さん、そこを動いては駄目!」
―あたしが隠れていたことに気付いてしまった魔女は、どちらを先に襲うかを考えているかのように、マミさんとあたしを交互に見比べていた―
マミ「はっ!」
―マミさんが手を胸の前で交差させると、何らかの念力のようなものがマミさんの全身から放たれて、魔女の動きを封じていた―
マミ「ここは私が引き留めるから、あなたはその隙に逃げて!」
―でも、マミさんが使っている技は体力をかなり消耗するみたいで、見るからに辛そうな表情をしているのが、あたしにも一目で分かる状態だった―
さやか(このままじゃ、マミさんが……)
―その時あたしは、前にも使い魔との戦いでマミさんが使っていた、バナナみたいな形をした刃物が目の前に落ちていることに気付いた―
―そして、あたしは思わずその武器【マミスラッガー】を拾うと、剣を持つ時のような感じに構えていた―
マミ「美樹さん、何をしているの?
早く逃げて!」
さやか「マミさんを見殺しになんて、出来ない!
こうなったら、あたしも一緒に戦います!!」
マミ「美樹さん……」
―あたしの予想外の行動に驚いたマミさんが思わず一瞬だけ念力を解除した隙に、自由になった魔女があたしに近付いてきた―
さやか「う、うわぁー!」
―あたしはとっさに刃物を投げたけど、魔女はわずかにひるんだだけで、そのままあたしの方へと迫ってきて―
マミ「美樹さん、危ない!」
―マミさんはあたしを突き飛ばすと、あたしをかばうようにして、魔女との間に割って入った―
―そして、あたし達の目の前には、巨大化した魔女がマミさんを丸呑みにしようとしているかのように、口を大きく開けて待ちかまえていた―
さやか「マミさん!」
短くて申し訳ないですが、もう一度休憩を挟んで、日付が変わった深夜の0時~1時の間に再開します。
―でも、マミさんがその魔女に食べられてしまうことはなかった―
?「マミ、大丈夫か!?」
マミ「その声は……。
まさか!?」
マミ「た、タロウお兄ちゃんなの?」
タロウ「良かった、無事に間に合ったようだな!」
―あたし達の目の前には、変身した時のマミさんと似たような感じの巨人が立っていた―
マミ「……どうして、ここに?」
タロウ「私達は、ちょうど“ある任務”でこの宇宙まで来ていたのだ。
そして―」
マミ「ちょっと待って!
……私達?」
?「ああ。
来たのはタロウだけではないぞ、マミ」
マミ「えっ?」
さやか「うわっ、6人に増えた!?」
マミ「……お、お兄ちゃん達、みんな来ちゃったの?
それも、6重合体までしちゃって……」
エース「お前のことが、心配だったからな!」
ゾフィー「私は、あまり甘やかし過ぎるのは良くないと言ったのだが……」
セブン「ゾフィーは少し厳し過ぎるのではないか?」
新マン「セブン兄さんは、あまり人のことを言えないのでは……」
マン「マミ、とにかくここは私達に任せるんだ」
マミ「う、うん……」
―そして、その巨人達は、お菓子の魔女に向かって一斉に攻撃を開始した―
マン「シャッ!【八つ裂き光輪】」
セブン「デュワッ!【アイスラッガー】」
新マン「デアッ!【ウルトラスパーク】」
エース「フゥーン!【バーチカルギロチン】」
さやか「うわぁ、凄っ……!」
ゾフィー「よし、最後は私が……」
マミ「待って、ゾフィーお兄ちゃん」
ゾフィー「どうした?
マミ」
マミ「とどめの一撃は、私に撃たせて欲しいの……」
ゾフィー「それには、何か理由でもあるのか?」
マミ「それは、その……。
……詳しいことは、言えないの。
でも、お願い」
タロウ「……ゾフィー兄さん。
ここは、マミの意思を尊重してあげましょう」
ゾフィー「……そうだな。
分かった、お前の好きなようにするといい」
マミ「……ありがとう」
―そして、マミさんはもう一度変身すると、いつものように光線技を撃って、その魔女にとどめをさした―
マミ「……」
新マン「マミ、大丈夫か?」
マミ「……うん。
私は……、大丈夫だから心配しないで、ジャックお兄ちゃん」
新マン「……そうか、ならいいんだ」
エース「何かあったら、すぐに俺達に言うんだぞ」
マミ「うん、分かった……」
ゾフィー・マン・セブン「マミ」
マミ「えっと……、なぁに?
お兄ちゃん達」
マン「宇宙に今、不穏な空気が流れている」
セブン「とてつもない脅威が、迫ってきているのだ」
ゾフィー「私達は、これからその対処で忙しくなるだろう。
だから、このように助けにくることはおそらく難しくなる」
新マン「その代わりといってはなんだが……。
私達から、マミに渡しておきたいものがある」
マミ「これは?」
セブン「ウルトラブレスレットだ。
もちろん、お前に合わせて作ってある。
これを身につけていれば、あらゆる敵と互角に戦っていけるだろう」
マミ「……ありがとう。
お兄ちゃん達も、頑張ってね」
マン「ああ。
この地球のことは、マミに任せたぞ!」
マミ「うん、任せて!
……この星は、私がしっかり守ってみせるから」
エース「その意気だぞ、マミ!」
セブン「忘れるな。
直接は来れなくとも、私達は常にお前と共にあることを」
タロウ「そうだぞ、マミ。
お前は一人じゃないのだから」
マミ「……うん!」
―巨人達が帰っていくと、人間の姿に戻ったマミさんが少し困ったような表情をしながらあたしの方を見た―
マミ「美樹さん……」
さやか「ま、マミさん」
マミ「あなたには、みっともないところを見せちゃったわね……」
さやか「そ、そんな気にすることないって!
……それに、妹しちゃってるマミさんもなかなか可愛かったし」
マミ「もう……。
美樹さんたら、年上をからかわないの!」
さやか「あ、アハハ……」
さやか「それにしても、マミさんがあの巨人だったなんてね……」
マミ「……」
さやか「でも、変身したマミさんでも苦戦しちゃうってことは、それだけ魔女達がヤバいってことだよね……。
やっぱり、あたし―」
マミ「美樹さん」
―その時、突然マミさんが真剣な表情になると、あたしの方に近付いてきて―
さやか「ま、マミさん?」
―やがて、マミさんの顔があたしのすぐ近くまで迫って来た―
さやか(えっ!?
何だか、ちょっと顔を近付け過ぎじゃない……?)
マミ「……ごめんね」
―そう言うと、マミさんはあたしの唇に向かって―
さやか「!!」
―そして、あたしの意識はそこで途絶えていた―
ほむら「巴さん!」
マミ「……あら、暁美さん。
そんなに慌てて、どうしたのかしら?」
ほむら「いえ、ちょっと嫌な予感がしたので……。
でも、その様子だと、何もなかったみたいですね」
マミ「まぁ、ちょっと苦戦しちゃったけど、私はご覧の通り大丈夫よ。
美樹さんの方は魔女に襲われた時のショックが強かったみたいで倒れてしまったけど、大きな怪我とかは無いみたいだしね……。
……そういえば、鹿目さんは大丈夫だった?」
ほむら「ええ。
私が助けた後、危ないから家に帰ってもらいました」
マミ「そうねぇ……。
それが良かったと思うわ」
さやか「あれ、あたし……」
マミ「目が覚めたみたいね。
大丈夫、美樹さん?」
さやか「うん……。
って、げっ、転校生!
……どうして、ここに? 」
マミ「暁美さんは、美樹さんを心配してここに来てくれたのよ」
さやか「えっ、そうなの?」
ほむら(テレパシー:巴さん?)
マミ(テレパシー:いいからいいから、そういうことにしておきましょう?)
―巴さんは、テレパシーでそう伝えると、私に向かってウインクしていた―
さやか「そうだったんだ。
何かごめんね、転校生」
ほむら「いえ、別に気にしなくていいのよ」
マミ「美樹さん、そういう時はもっと適切な言葉があるんじゃないかしら?」
さやか「そうだね、マミさん。
……ありがとう、転校生」
マミ(テレパシー:暁美さん?)
ほむら「……ええ、どういたしまして」
マミ「うふふ……。
二人とも、良く出来ました!」
さやか「あっ、そういえば……。
マミさん?」
マミ「なぁに?
美樹さん」
さやか「あたし、魔女が孵化した直後までの記憶は何となく残ってるんだけど、その後のことは良く覚えてないんだよね……。
マミさん、どういう状況だったのか教えてくれるかな?」
マミ「ええっとね……。
どうやら、美樹さんは魔女に襲われた時にショックで気絶してしまったみたいね。
でも、ぎりぎりで私が間に合って、その後に暁美さんも来てくれたのよ」
さやか「なるほど……。
でも、あたしの記憶だと、今回の魔女ってそんなに怖くなかったような気がするんだけど……」
マミ「……その、今回の魔女はね、変身するタイプだったのよ。
可愛らしい姿で油断させてから、不意をついて攻撃する感じだったわ」
さやか「へぇー、そんな感じだったんだ……」
ほむら「……」
キュゥべえ「やぁ、みんな。
大丈夫だったかい?」
マミ「あら、キュゥべえ」
さやか「あんた、今までどこにいたのよ?」
マミ「もしかして、結界の中ではぐれちゃった?」
キュゥべえ「いや、僕は―」
マミ「まぁいいわ、早くここを離れちゃいましょうか」
さやか「あっ!」
マミ「どうしたの、美樹さん?」
さやか「あの……。
あたし、ちょっとまだヤボ用があるんで、先に二人で帰っちゃって下さい」
マミ「分かったわ。
それじゃあ行きましょうか、暁美さん」
ほむら「ええ」
マミ「キュゥべえ、もちろんあなたも一緒に来てもらうわよ」
キュゥべえ「仕方ないね、君達の言う通りにするよ」
ここまでで一区切りついたので、このSSを書く際に悩んでいたことについて少し書きます。
実は今回の修正版では、ウルトラ兄弟及び光の国の要素を全て削除し、
一部を除いた平成ウルトラシリーズのように、マミさん以外のウルトラ戦士がいない宇宙の話にしようかと考えていました。
その理由としては、他のウルトラ一族がいると何となくイージーモードな雰囲気が漂ってしまう気がしたのと、
まどか本編の魔法少女達やウルトラセブンのダンのように、なるべくマミさんが“独り”で悩み続ける構図にしたかった、というのがあります。
なお、ウルトラなマミさんを既存のウルトラ戦士と融合させずに半オリキャラな存在にしたのも、同じ理由からです。
ですが、やっぱりウルトラ兄弟くらいは出したいという気持ちもあったので、“他の任務”の合間を縫って忙しい中助けに来た、という強引な設定で登場させました。
その為、今後はウルトラ兄弟を登場させる予定はありません。
最後に、次の投下についてですが、今日の朝を予定しています。
乙っす。
読み返してて思ったけど、ウルトラ兄弟でマミさんを一番心配しているのは、ジャック兄さんなんじゃないかと。
郷さんは坂田さん兄弟がいたけれど、マミさんには身近に頼れる人はいないし、おまけにまだ未成年だし。
ジャンヌとアムールでも出るのかとちょっと期待したけど他のはもう出ないのかww
再開します。
>>70
それはちょっと意識して書いていたので、気付いて下さって嬉しいです!
実は、マミさん役の声優さんが“新マン”好きであるという噂がある(Wiki情報ですが)ことや、どちらも外伝作品の話ですが、二人には少し似たようなエピソードがある
(マミさん:魔女との初戦で力及ばず撤退したが、そのせいで魔女に捕らわれていた子供を救えなかったことが大きなトラウマになり、やがては……。
ジャック兄さん:敵の罠によって人質の子供をスペシウム光線で誤射してしまったことで、やけ酒をするほどショックを受ける)などの理由から、少しだけ特別扱いしています。
なお、本編ではもうウルトラ兄弟を登場させないつもりでいますが、出来れば番外編か何かでもう少しその辺の要素を掘り下げられたらいいなとは思っています。
>>71
その二人は“ウルトラ兄弟”ではないので、もしかしたら……?
ちなみに最初は、アムールとマミさんが融合する話を考えていましたが、>>69に挙げた理由から止めました。
病院
さやか「あっ……」
看護師A「あら、上条君のお見舞い?」
さやか「えっ?
あっ、えぇ……」
看護師A「ああ、ごめんなさいね。
診察の予定が繰り上がって、今ちょうどリハビリ室なの」
さやか「あ、そうでしたか。
……どうも」
看護師B「良く来てくれるわよね、あの子」
看護師A「助かるわ、難しい患者さんだしね。
励ましになってくれてるといいんだけど」
看護師B「事故に遭う前は、天才少年だったんでしょ。
バイオリンの」
看護師A「歩けるようになったとしても、指の方はね……。
もう二度と楽器を弾くなんて、無理でしょうね」
さやか(……何で恭介なのよ。
あたしの指なんて、いくら動いてたって、何の役にも立たないのに。
何であたしじゃなくて、恭介なの?
でも……、もしもあたしの願い事で、恭介の体が治ったとして、それを恭介はどう思うの?
ありがとうって言われて、それだけ?
……それとも、それ以上のことを言って欲しいの?)
さやか「あたしって……、嫌な子だ」
さやか「……何を聴いてるの?」
恭介「亜麻色の髪の乙女」
さやか「ああ、ドビュッシー?
素敵な曲だよね……」
恭介「……」
さやか「あ、あたしってほら、こんなだからさぁ……。
クラシックなんて聴く柄じゃないって皆が思うみたいでさ。
たまに曲名とか言い当てたら、すっごい驚かれるんだよねぇ。
意外すぎて、尊敬されたりしてさ……」
恭介「…………」
さやか「……恭介が教えてくれたから。
でなきゃあたし、こういう音楽、ちゃんと聴こうと思うきっかけなんて、多分一生なかっただろうし……」
恭介「……さやかはさぁ」
さやか「なぁに?」
恭介「さやかは、僕をいじめてるのかい?」
さやか「えっ?」
恭介「なんで今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ。
……嫌がらせのつもりなのか?」
さやか「だって恭介、音楽好きだから……」
恭介「もう聴きたくなんかないんだよ!
自分で弾けもしない曲、ただ聴いてるだけなんて……。
僕は……、僕は、ああ!!」
さやか「きょ、恭介!?」
恭介「こんなもの、もういらない! 」
さやか「や、やめてっ!」
恭介「こんな手、どうなってもいいんだ!」
さやか「やめて、恭介! やめてっ!
お願い、やめてーっ!」
恭介「うっ、うう……」
さやか「恭介……。
手から……、血が……。
待ってて、今ナースコールを!」
恭介「いいんだ! もう、いいんだ……。
動かないんだ……、もう、痛みさえ感じない。
こんな手なんて……、もう、どうなってもいいんだ」
さやか「……」
恭介「ごめん、さやかに言っても……。
さやかは何も悪くないのに……」
さやか「ううん、大丈夫……。
恭介の気持ち……。
分かる、つもり……」
恭介「ごめん、ちょっと……。
一人にしてくれない、かな……」
さやか「うん、分かった……」
マミの部屋の玄関前
まどか「あの……、マミさん」
マミ「……あら、鹿目さん。
どうしたのかしら?」
まどか「あの、わたし……。
マミさんに、お願いしたいことがあるんです」
繁華街
まどか(さやかちゃん、今日はちょっと元気が無かったな……。
でも、これできっと―)
まどか「あ、仁美ちゃん……?
仁美ちゃーん!
今日は、お稽古事―」
まどか(あれ……。
これは、あの時の人と同じ印!?)
―仁美ちゃんの首筋には、前にわたしがマミさん達の魔女退治に付いて行った時に見付けた、魔女に魅入られていた女の人にもあった、魔女の口づけがありました―
まどか「仁美ちゃん!
ねぇ、仁美ちゃんってば!」
仁美「あら、“鹿目さん”。
ご機嫌よう」
まどか「ど、どうしちゃったの?
ねぇ、どこ行こうとしてたの?」
仁美「どこって、それは……。
ここよりもずっといい場所、ですわ」
まどか「仁美ちゃん……」
仁美「ああ、そうだ。
鹿目さんもぜひご一緒に。
えぇそうですわ、それが素晴らしいですわ」
まどか(どうしよう、これってまさか……)
まどか(そうだ、ほむらちゃんかマミさんに連絡を……。
あぁ駄目だ、こんな時に携帯の電池が切れてるなんて!)
まどか(でも、仁美ちゃんをこのままにしておけないし……。
こわいけど、ここは……)
ほむら(ソウルジェムが激しく反応している……。
どうやら、近くに魔女が―)
まどか「きゃあああー!
誰か、助けてぇーっ!!」
ほむら(あの声は……。
まどか!?)
―私は、まどかの悲鳴が聞こえた町工場の中へと入っていった―
ほむら「鹿目さん!」
―そして、そこで私が目にしたのは―
お昼頃にまた続きを投下します。
ほむら(良かった、巴さんが先に来てくれてたんだ……)
―結界の中では、光の巨人に変身した巴さんが巨大化したハコの魔女と戦っていた―
まどか「あっ、ほむらちゃん。
また私を助けに来てくれたんだね、ありがとう!」
ほむら「……ええ。
それより鹿目さん、怪我はない?」
まどか「うん、大丈夫。
ちょっと危なかったけど、ギリギリで巨人さんも来てくれたしね」
―やがて、巴さんがいつものように必殺光線【アルティマシュート】を放つと、魔女は一瞬にして倒されていた―
―少し経ってから、人間の姿に戻った巴さんが私達の元にやってきた―
マミ「鹿目さん、暁美さん、大丈夫?」
まどか「はい!
今日も巨人さんが来てくれて、魔女をやっつけてくれたんです」
マミ「……そう。
私もいつか、その人を見てみたいわ」
ほむら「……」
―その時、突然電話の呼び出し音が鳴り響いた―
マミ「あら、私の携帯ね。
ええっと、美樹さんからの着信だわ。
もしもし……。
ええ、鹿目さんなら一緒にいるわよ?
……分かったわ。
鹿目さん、美樹さんが代わって欲しいそうよ」
まどか「もしもし……。
うん、わたしだよ。
あっ、ごめんね。携帯の電池が切れちゃってて……。
うん、そうだよ、わたしからマミさんにお願いしたの。
えっ、今からこっちに?」
ほむら「どうしたの?」
まどか「さやかちゃんがね、今すぐにわたし達と話したいからこっちに来たいんだって」
マミ「そうね……、それなら、私の家に来てもらった方がいいんじゃないかしら?
ここに来てもらうってのは……、ちょっとね」
まどか「そうですね……。
あっ、さやかちゃん?
やっぱり、マミさんのお家に向かってもらえるかな?
わたし達もすぐに向かうから。
うん、それじゃあまた後でねー」
マミ「……それじゃあ、私の家に向かいましょうか」
まどか「はい。
あっ……」
ほむら「どうしたの?
鹿目さん」
まどか「えっと、あのね……。
仁美ちゃん達は、このままでも大丈夫かな……?」
ほむら「魔女も倒したし、もう心配ないとは思うけど……。
それに、警察の人が来た時に私達が残っていたら、ちょっと厄介なことになりそうだし」
まどか「あっ、うん。
そうだよね……」
ほむら「……志筑さんのことが心配なら、警察の人が来るまで私が見張っておきましょうか?」
まどか「えっと……、うん!
お願い出来るかな?」
ほむら「ええ、大丈夫よ」
まどか「ほむらちゃん、ありがとう……」
ほむら「気にしなくていいわ。
それじゃあ私は後から行くから、あなたは巴さんと先に行っててちょうだい」
まどか「分かった。
ほむらちゃん、また後でね!」
上条恭介の病室(回想)
さやか(昨日は、恭介を凄い怒らせちゃったからなぁ……。
早いとこ、仲直りしないとね……)
さやか「恭介、入っていいかな?」
恭介「やぁ、さやか!」
さやか(あれ……、何だか今日は機嫌がいいみたい。
何か良いことでもあったのかな……?)
さやか「恭介、今日は何か嬉しいことでもあったの?」
恭介「そうなんだよ。
実はね……。
僕の手が、治ったんだ!」
さやか「へぇー、そうなんだ……。
って、ええっ!?」
恭介「……正確に言うとね、手だけじゃなくて体全体がすっかり良くなってるんだ。
ただ、一体どうして急に治ったのかについては、全く理由が分からないんだってさ。
だからもう少しだけ精密検査をする必要があるらしいんだけど……。
この感じなら、退院までにもそれほど時間がかからなくて済みそうだしね」
さやか(どういうことなの!?
一体、誰が恭介の手を治したっていうの……?)
恭介「さやか、どうしたんだい?」
さやか「……いや、あたしもちょっとびっくりしちゃって。
良かったね、恭介!」
恭介「うん!」
さやか「……それにしても、どうして急に怪我が治ったんだろうね……。
恭介、何か心当たりとかはないの?
例えばさ、昨日は普段と比べて何か変わったことがあったとか……」
恭介「うーん、変わったことかぁ……。
そういえば、昨日はさやかの先輩がお見舞いに来てくれたよ」
さやか「!
……その先輩って、どんな人だった?」
恭介「ええっと、名前は……、巴さん、だったかな?
優しそうで大人っぽくて、綺麗な人だったよ」
さやか(やっぱり、マミさんが……)
恭介「そういえば、体の調子が良くなったのは巴先輩が帰った直後からだったような気もする……。
それなのに、僕はずっと投げやりな態度で接してしまって申し訳ないことをしちゃったかな……?
そうだ、出来ればもう一度―」
さやか「……ごめん、恭介!
あたし、ちょっと他に用事を思い出しちゃったから今日はもう帰るね。
でも、また今度来るから!」
恭介「ああ、うん。
分かったよ」
マミのマンション
―わたし達がマミさんの住んでいるお家の前に着いた頃には、さやかちゃんはもうずっと前から来ていたようでした―
まどか「あ、さやかちゃ―」
さやか「……マミさん。
恭介の怪我、治してくれたのマミさんなんだよね?」
マミ「ええ、そうよ。
鹿目さんに頼―」
さやか「本当に、ありがとうございます」
―さやかちゃんはそう言うと、マミさんに向かってその場で土下座しました―
マミ「美樹さん!?
こんなところで、やめてちょうだい」
さやか「本当に、本当にありがとうございます!」
―マミさんが止めても、さやかちゃんはしばらく立ち上がろうとはしませんでした―
―それからしばらくして、わたしは落ち着いたさやかちゃんと一緒に帰っていました―
さやか「……まどか」
まどか「なぁに?
さやかちゃん」
さやか「どうして、マミさんにあんなこと頼んだの?」
まどか「えっ?」
さやか「ごめん、ちょっと聞き方が悪かったかな……。
別に変な意味じゃなくてさ、ただ単純に何でかなーって思ってさ」
まどか「ええっとね……。
あのね、わたし、上条君のことでさやかちゃんが落ち込んでるんじゃないかと思ってたんだけど……。
それでね、マミさんなら酷い怪我でも治せるんじゃないかと思ったから、頼んでみたの」
さやか「……そっか」
まどか「ごめんね。
さやかちゃんに何も言わないで勝手なことしちゃって」
さやか「ううん、いいんだよ。
まどかはあたしのために頼んでくれたんでしょ?
……ありがとね」
―そう言ったさやかちゃんは、何故かどことなく暗い表情をしているように見えました―
まどか「あの、さやかちゃ―」
さやか「あ、それじゃあたしはここで。
まどか、じゃあね」
まどか「う、うん。
さやかちゃん、また あした」
まどか(……気のせいかな?
さやかちゃん、何だかちょっと様子がおかしかったような……?
あっ、そうだ!
ほむらちゃんに早く連絡してあげないと……)
キュゥべえ「惜しかったなぁ。
上条恭介の怪我の件は、美樹さやかを契約させるにはいいチャンスだと思ってたんだけど……。
まさか、鹿目まどかがあんな行動に出るなんてね」
キュゥべえ「ただ……。
確かに君の言う通り、彼女にはまだ利用価値がありそうだね」
キュゥベえ「いいだろう。
これからしばらくは、君のやり方でやってみるといい」
続きはまた、夕方頃に投下します。
マミ(テレパシー:暁美さん、そちらの様子はどんな感じ?)
ほむら(テレパシー:こっちは使い魔だけみたいですし、私一人でも大丈夫だと思います。
ですから、巴さんはそちらの魔女の方に集中して下さい)
マミ(テレパシー:そう、分かったわ)
ほむら(テレパシー:よろしくお願いしますね。
私も、こちらが片付いたら合流するので)
マミ(テレパシー:ええ、待ってるわね!)
ほむら(テレパシー:では、また後で)
マミ(それじゃあ、私も―)
?「あの……。
巴さん、ですよね?」
マミ「えっ?
……あら、あなたは―」
マミ「美樹さんのお友達の……、上条君よね?」
恭介「はい!
お久しぶりです」
マミ「お久しぶり。
ええっと……、上条君は、どうしてここに?」
恭介「さっき、たまたま巴さんが遠くに歩いているのを見かけたんです。
それで、ちょうどこの前お見舞いに来てくれた時のお礼を言っておきたいなと思ってたところだったので……」
マミ「そうだったの……。
あっ、お怪我の方はもう大丈夫?」
恭介「はい!
それはもうすっかり。
もう何というか、事故に遭ったことさえ悪い夢だったように思えてきますよ」
マミ「……そっか。
上条君も、事故にあって怪我をしたんだったよね……」
恭介「えっ……、も?」
マミ「あら、私言ってなかったかしら?
私もね……、前に交通事故に遭って酷い怪我を負ったことがあったの」
恭介「そうだったんですか……。
あっ、もしかしたらお見舞いに来てくれた時は結構やけになってたので、ちゃんと聞けてなかったのかもなぁ。
そういえば、あの時は失礼な態度をとってごめんなさい」
マミ「いえ、別に気にしなくていいわ」
恭介「あっ、そうだ!
巴さんにちょっとお尋ねしたいことがあって」
マミ「あら、何かしら?」
恭介「えっと、僕―」
マミ「!
上条君、危ない!!」
恭介「えっ?」
恭介(!?
いつの間にか、周りの景色が変わってる……。
それに、あの化け物みたいなのは、一体……?)
マミ「上条君、絶対に私のそばを離れないで!」
恭介「巴さん!?
一体、何を―」
マミ「いいから、今は私の言う通りにして!」
恭介「は、はい!」
―巴さんは、いつの間にかテレビなんかに出てくる魔法少女みたいな赤い衣装に着替えていて、
僕の周りをバリアみたいなもので覆い囲んだ後、手にブーメランのような長い刃物を構えて化け物達に立ち向かっていった―
マミ「ハァーーッ!」
―そして、巴さんが沢山いる化け物達に向かってその武器を飛ばすと、触手みたいな体に動物のような顔がついている小さい方の化け物達が一掃され、
その後、今度は親玉らしき真っ黒な女の子みたいな姿をした化け物の方にそのまま向かっていき、その化け物を真っ二つにした―
恭介(やったかな?)
―でも、その化け物はまだ生きていたみたいで、体を変形させると、巴さんを触手で攻撃した―
マミ「きゃっ!」
恭介「巴さん!」
―でも、巴さんはすぐに立ち上がると、また戦う意思を見せていた―
マミ「まさか、さっきの攻撃にも耐えちゃうなんてね……。
だったら……、これはどうかしら?
Tiro del giavellotto !【ウルトラマミランススロー】」
―そして、巴さんは左腕に身に着けていたブレスレットを槍のような形に変形させると、その化け物に向かって投げつけて、今度こそ、トドメを刺していた―
恭介「巴さん、大丈夫ですか?」
マミ「……ええ、私は大丈夫よ。
心配しないで」
恭介「良かった……」
マミ「……」
恭介「巴さん」
マミ「なぁに、上条君?」
恭介「今の巴さんの姿を見て確信しました。
巴さんには、不思議な力がある。
そして……、僕の腕を治してくれたのも、巴さんですよね?」
マミ「……ええ、そう。
鹿目さんに頼まれたの。
美樹さんのお友達が大変だから、助けてあげて欲しいって」
恭介「やっぱり……。
それと、巴さんはさっきみたいな化け物といつも戦ってるんですか?」
マミ「…………うん」
恭介「巴さん。
何か悩んでるように見えるんですけど、どうしたんですか?」
マミ「いや、その……。
上条君は、私のことを気味が悪いとか思ったりしないの?」
恭介「えっ、どうしてですか?」
マミ「だって、私……。
さっきみたいに変な技とか使えちゃうんだよ?
それに―」
恭介「僕の手を治してくれた恩人に対して、そんな風に思うわけないじゃないですか。
それに、巴さんが化け物達と戦ってくれるおかげで、僕達は平和に暮らせてるんですよね。
だから、僕はあなたを素晴らしい人だと思いますし、感謝しても、しきれないですよ」
マミ「上条君……」
マミ「……ありがとう、上条君。
あなたみたいな人がいてくれるから、私は誇りを持って戦えるわ」
恭介「いえ、そんな……」
マミ「だけど……。
ごめんね」
―巴さんはそう言った後、何故か僕の方に近付いてきた―
恭介「巴さん?」
―そして、その時巴さんが真剣な表情になって、いきなり自分の顔を僕の顔に接触してしまいそうなくらいに近づけてきて―
恭介「!!」
―そして、僕の意識はそこで途絶えた―
ほむら「遅くなってごめんなさい、巴さん!」
マミ「……暁美さん」
ほむら「あれ、誰か人が倒れてる……。
ええっと……、上条君!?
……上条君は、魔女に襲われてたんですか?」
マミ「ええ、美樹さんの時と同じような感じね。
でも、彼も気絶しているだけで大丈夫よ」
ほむら「そうですか……」
恭介「あれ、僕は一体どうしてここに……?
あっ、そこにいるのは、暁美さんと……。
はじめまして、になるのかな?」
ほむら(えっ!?)
マミ「……そうそう、自己紹介しないとね。
私は巴マミ、あなた達と同じく見滝原中の3年生よ。
暁美さんとは、お友達なの」
恭介「あっ、あなたは先輩の方でしたか……。
お二人は、どうしてここに?」
マミ「私達は、お茶会の約束をしていたんだけど……。
家に向かっている途中で、倒れているあなたを見かけたの」
ほむら(テレパシー:あの、巴さん?)
マミ(テレパシー:ここは私に話を合わせてくれるかしら?)
ほむら「(テレパシー:……分かりました)
そ、そうなんですよー!
たまたま上条君を見かけて、心配だったので……」
恭介「そうだったんですか、ありがとうございます。
病み上がりなのに、ちょっと無理をし過ぎたのかなぁ……?
(暁美さん、何だかいつもと雰囲気が違う、ような……)」
―そして、私達は上条君を家まで見送ることにしました―
恭介「あっ、僕の家はここです。
ここまで気を使わせちゃって、何だか悪いなぁ……」
マミ「いえ、気にしないで」
恭介「それじゃあ、僕はここで。
さようなら」
ほむら「あっ、どうも……」
―それから、私は最初から予定していた通りに、巴さんの部屋まで来ていました―
マミ「暁美さん。
今日は、私に話しておきたいことがあるって言ってたわよね?」
ほむら「はい」
マミ「それなら、その内容について教えてくれるかしら?」
ほむら「分かりました。
でも……、その前に一つだけ確認しておきたいことがあるんです」
マミ「ええ、分かってるわ。
暁美さんが確認しておきたいのは、さっきの上条君のことよね?」
ほむら「ええ、そうです。
巴さんは……、前に上条君とも会ったことがあるはずでしたよね?
でも、さっきの上条君は巴さんのことを全く知らない様子でした。
……もしかして、巴さんが上条君の記憶を消したんじゃないですか?」
マミ「ええ、その通りよ」
ほむら「どうして、そんなことを?」
マミ「……私が魔女と戦っているところを、上条君が見てしまったのよ。
たとえ、あなた達のクラスメイトで、美樹さんの幼馴染だとしても、私やあなたの正体を知られてしまうのは良くないでしょう?」
ほむら「……なるほど。
そういうことだったら、納得がいきました。
確かに、無関係な一般人に魔法少女や魔女絡みのことを知られてしまうのは良くないですよね。
それにもしかしたら、そのことが原因で何らかの危険に巻き込んでしまうこともあるかもしれませんしね……」
マミ「そうでしょう?
私もそう思ったから、上条君の記憶を消したの」
ほむら「……それじゃあ、そろそろ本題に入りますね。
今から二週間後、この街にワルプルギスの夜が来ます」
マミ「!
それは本当なの?」
ほむら「はい、間違いなく来るはずです」
マミ「……そう。
でも、暁美さんはどうしてそのことを知っているの?」
ほむら「ごめんなさい。
それについては、言えないんです」
マミ「あら、どうして?」
ほむら「あの、別に巴さんのことを信用していないとかではないんです。
ただ、私の秘密をキュゥべえに知られるわけにはいかないので……」
マミ「なるほど、確かにキュゥべえなら、私達の話を盗み聞きすることも出来そうだしね。
分かった、そういうことならこれ以上の詮索はしないでおくわね」
ほむら「ありがとうございます」
ほむら「それで、巴さんにお願いしたいのは……」
マミ「“私”に、ワルプルギスの夜と戦って欲しいのよね?」
ほむら「ええ、その通りです。
“私と一緒”に、ワルプルギスの夜と戦って欲しいんです。
……巴さん、私に協力してくれますか?」
マミ「ええ、もちろんよ!
私の使命は……、この街、いえ、この星のみんなを守ることですもの!」
ほむら「ふふっ。
さすがに巴さんは、私とはスケールが違いますね」
マミ「ちょっと、それはどういう意味なの!?」
ほむら「いえ……、あの、別に変な意味じゃなくって……。
その、なんというか、巴さんはやっぱりすごいなって思ったんです。
……これまでの私は、“たった一人”を守ることしか考えてなかったから。
でも、“今の巴さん”と一緒なら、この世界だって救えそうな気がしてきます」
マミ「暁美さん……。
……そうね。
“二人”なら、きっとどんなことだって出来るはずよね……」
―そう言った時の巴さんの表情は、何故か少しだけ暗くなっていたように思えた―
ほむら「……巴さん、どうしたんですか?」
マミ「……ううん、何でもないの。
それよりも、暁美さん?
あなた、初めて会った時とはずいぶんと雰囲気が変わったわよね」
ほむら「えっ!?
……そ、そうですか?」
マミ「ええ。
何というか……、張り詰めているような感じが無くなって、優しくなったように見えるわ」
ほむら「そ、そんな……。
それなら、もっと気を引き締めなきゃ……」
マミ「あら、どうして?
私は、今のあなたの方が可愛くていいと思うわよ?」
ほむら「も、もう、巴さんたら!
何言ってるんですか///」
マミ「うふふ」
ほむら「あっ!
そういえば、巴さん?」
マミ「あら、なぁに?」
ほむら「巴さんは、どうやって上条君の記憶を消したんですか?」
マミ「……ええっと、私達はね……。
自分の唇を誰かの唇に接触させることで、その人の脳と神経に働きかけて、記憶を消すことが出来るのよ」
ほむら「へぇー、そうなんですか……。
って、ええっ!?
それって、上条君とキスしたってことですか?」
マミ「……まぁ、そういうことになるのかしら。
でも、どうしたの?
あなたがそんなに驚いちゃうなんて、ちょっと珍しいわね……」
ほむら「だって、その……。
そんなに簡単にしちゃうなんて……」
マミ「……記憶を消す為には、仕方なかったのよ。
それにね、誰かの記憶を消すのは別に初めてのことじゃないし……」
ほむら「そ、それじゃあ……。
巴さんは、いつもそんなことをしてるって言うんですか?」
マミ「いつもって程ではないけど……。
たまに、あまり都合の良くないことを誰かに見られちゃった時にはね」
ほむら(あれ……?
それなら、どうして私の時は記憶を消さなかったのかな……)
ほむら「あっ、もうこんな時間!
そろそろ私も帰りますね」
マミ「あら、そう」
―巴さんは、私を見送る為に立ちあがろうとした―
ほむら「それでは、また―
っ、巴さん!?」
―巴さんは、ふらついて倒れそうになっていた―
ほむら「巴さん、大丈夫ですか!?」
マミ「ええ、私は大丈夫。
ちょっと立ちくらみがしただけだから、心配しないで」
ほむら「本当ですか?」
マミ「ええ、本当に私は大丈夫だから。
むしろ、後輩のあなたにかっこ悪いところを見せちゃったかな……?」
ほむら「いえ、そんなことは……」
マミ「じゃあ、暁美さん。
また明日ね!」
ほむら「えっ、はい。
また あした……」
ファーストフード店(さやかの回想)
さやか「……それで、話って何?」
仁美「恋の、相談ですわ」
さやか「え?」
仁美「私ね、前からさやかさんやまどかさんに秘密にしてきたことがあるんです。
ずっと前から……、私、上条恭介君のこと、お慕いしてましたの」
さやか「そ、そうなんだ……。
あはは……、まさか仁美がねえ……。
あ、な~んだ、恭介の奴、隅に置けないなあ」
仁美「さやかさんは、上条君とは幼馴染でしたわね」
さやか「あーまあ、その……。
腐れ縁って言うか何て言うか」
仁美「本当にそれだけ?」
さやか「……」
仁美「私、決めたんですの。
もう自分に嘘はつかないって。
……あなたはどうですか?
さやかさん、あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか?」
さやか「な、何の話をしてるのさ……」
仁美「あなたは、私の大切なお友達ですわ。
だから、抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですの。
上条君のことを見つめていた時間は、私よりさやかさんの方が上ですわ。
だから、あなたには私の先を越す権利があるべきです」
さやか「仁美……」
仁美「私、明日の放課後に上条君に告白します。
丸一日だけお待ちしますわ。
さやかさんは後悔なさらないよう決めてください。
上条君に気持ちを伝えるべきかどうか」
さやか「あ、あたしは……」
―そして仁美は、あたしに向かって軽く頭を下げた後、そのまま帰ってしまった―
―仁美と別れた後、あたしはそのまま当てもなく街をうろついていた―
さやか(仁美はああ言ってくれたけど……、本当に、あたしの気持ちを恭介に伝えてちゃってもいいのかな……?
でも、どう考えたってあたしなんかより仁美みたいな子の方がいいに決まってるよね……)
さやか「あたし、どうしたらいいんだろ……?」
―あたしがそんな風に考えていたその時、少し離れたところに見覚えのある制服姿の男女が二人で話しているのを見つけてしまった―
さやか(あれは、恭介と……、マミさん?
二人とも、こんなところで何をしていたんだろ……)
―その時あたしは、自分の中に一つの疑念が生まれていくのを感じていた―
さやか(あっ、そういえば恭介の奴、マミさんにお見舞いに来てくれたお礼がしたいって言ってたっけ……。
多分たまたまパトロール中のマミさんを見かけて、それで声を掛けたって感じかな……?)
―そんな感じですぐにその状況に対するそれっぽい理由を見つけ出して自分を納得させようとしたあたしだったけど、
次にあたしが目にした光景は、今のあたしにとってはもっとも見たくない類のものだった―
さやか(!!)
―その時あたしが目撃したのは、マミさんが恭介にキスをしている光景だった―
―目の前の光景を直視出来なかったあたしは、逃げだすようにその場から走り去っていた―
さやか(そんな、一体どういうことなの……?
まさか、マミさんもだなんて……)
―そして、あたしは自分の中に、マミさんに対して絶対に抱いてはいけないはずの感情が生まれていくのを感じていた―
さやか(駄目だよ……。
マミさんは、あたし達の命を助けてくれた人なのに……。
恭介の腕を治してくれた、恩人なのに……)
―その時のあたしは、マミさんのことを憎いと思ってしまっていた―
さやか(あたし、本当に悪い子だ……。
マミさんのことを、こんな風に思っちゃうなんて……。
こんなんじゃ、もうマミさんに合わせる顔が無いよ……)
?(だったらさ……。
そんなやつ、殺しちゃえば?)
さやか「えっ?」
当初の予定(今週中に旧スレの投下分に追いつく)を守れなくて申し訳ないですが、今日の分はここまで。
この続きに関しては、明日の深夜0時~1時頃に再開する予定です。
まどかの部屋(朝)
まどか「はぁ~、もう朝かぁ……。
早くママを起こしに行かなくっちゃ!」
まどか(あっ、メールが来てる。
さやかちゃんからだ。
ええっと、今日はお休みするんだ……。
それなら、学校が終わったらお見舞いに行こうかな……?)
さやかの家(放課後)
まどか「え、昨日から帰ってないんですか?
……えっと、わかりました。
はい、失礼します」
まどか(さやかちゃん、一体どこにいるんだろ……?)
まどか「とにかく、さやかちゃんを探さなきゃ!」
公園(放課後)
上条「志筑さんって、帰る方角はこっちなんだっけ?
今まで帰り道に見かけたことってないような……」
仁美「ええ。
本当は……、全然逆方向ですわ」
上条「え……、じゃあ、今日はどうして?」
仁美「上条君に……、お話したいことが―」
さやか「やぁ、二人とも」
仁美「さ、さやかさん!?」
恭介「あっ、さやかじゃないか。
……何だか元気そうに見えるけど、今日はどうして学校を休―」
さやか「恭介」
―そしてさやかは、いきなり僕にキスしてきた―
恭介「さやか!?
どうして、いきなりこんなことを……」
さやか「……別に、あたしの気持ちを伝えたかっただけだよ。
というわけで仁美?
悪いけど、こういうことだから」
―それを聞いた志筑さんは、そこから逃げるように走り去っていった―
恭介「あっ、志筑さん!」
―僕は、そのまま志筑さんを追いかけようとしたけど、それを邪魔するようにさやかは僕の左手を掴んできた―
恭介「痛っ」
さやか「……恭介、どこに行くつもり?」
恭介「どこって……。
志筑さんを追いかけに行くに決まってるじゃないか」
さやか「どうして?
仁美のことなんて、どうだっていいでしょ。
それよりさ、あたしとどこか行こうよ」
恭介「何言ってるんだい、さやか。
志筑さんは君の友達だろ?
心配じゃないのかい?」
さやか「だから、別にどうだっていいってば」
恭介「……さやか、今日の君は何だか変だよ」
さやか「……そうかな?」
恭介「ああ。
僕の知ってるさやかは、友達のことをそんな風に言う子じゃなかったはずだよ」
さやか「……」
恭介「とにかく、僕の手を離してくれないか」
―さやかは、少し躊躇った後に僕の手を離した―
恭介「それじゃあ、僕は志筑さんを探してくる。
さやかはここで待っててくれよ」
さやか「……」
―そして僕は、志筑さんが向かった方向へと走り出した―
まどか「あっ、さやかちゃん!」
さやか「……まどか」
まどか「……さやかちゃん。
どうして、今日は嘘をついてまで学校を休んだりしたの?
それに、昨日は家にも帰らなかったんでしょ?
みんな、心配してたんだよ。
わたしと一緒に帰ろう?」
さやか「……うるさい」
まどか「えっ?」
さやか「うるさいって言ったのよ」
まどか「さやかちゃん!?
一体どうしちゃったの?
今日のさやかちゃん、ちょっと変だよ……」
さやか「変?
あたしの、どこが変だって!?」
―さやかちゃんはそう言った後、いきなりわたしの首を絞めようとしてきました―
まどか「さ、さやかちゃん……。
どうして……?」
さやか「あんたさえ、あんたさえ余計なことをしなければ……」
まどか「さやかちゃ―」
―そして、だんだんとわたしの意識は薄れていって―
―美樹さやかに首を絞められているまどかを見つけた私は、すぐに魔法少女に変身すると、時間停止能力を発動させて二人の元に近付いていき、
そのまま体当たりして突き飛ばし、その影響で投げ出されたまどかの体が地面にぶつかる前に何とか受け止めた―
ほむら「どういうつもりなの、美樹さやか!
まどかを……、殺す気!?」
さやか「……」
ほむら「この子を傷つけるというのなら、私は……」
―私は、盾から拳銃【ベレッタM92FS】を取り出すと、威嚇の意味を込めて構えた―
さやか「……へぇー。
もしかして、それであたしを殺そうっていうの?」
ほむら「そうだといったら?」
さやか「……やれるもんなら、やってみなよ」
―私は、美樹さやかの足元に向けて銃弾を放った―
ほむら「私は、本気よ」
さやか「だったら、さっさとあたしを撃ちなよ」
ほむら「あなた……。
一体、何を考えているの?」
さやか「あたしは、あんたみたいなやつに従いたくなんかないだけだよ。
そうやって、銃で脅せばあたしが言うことを聞くとでも思ってるんでしょ?」
ほむら「……」
さやか「図星みたいだね。
……それで、次はどうするの?」
ほむら「っ……」
―私がこの状況に対してどのように対処すべきか考えていたその時、遅れてきた巴さんが私達の間に割って入った―
マミ「暁美さん!」
ほむら「……巴さん」
マミ「暁美さん、美樹さんに銃を向けるなんて一体何のつもりなの!?
鹿目さんは……、気絶しちゃってるけど、大きな怪我はないみたいね……」
ほむら「いや、私は……」
―私は、銃を下ろしてこの状況の説明をしようとした―
マミ「言い訳は後で聞きます。
それより……、美樹さん?
あなたも、怪我をしちゃってるじゃない。
大丈夫?」
さやか「……るさい」
マミ「えっ?」
さやか「うるさいって言ってるんだよ、この偽善者女!」
マミ「み、美樹さん!?
一体、どうしちゃったの?」
さやか「別に、あたしは思ったことをそのまま言ってるだけだよ。
あんたなんか、そうやって誰も彼も救った気になって自己満足に浸ってるだけの偽善者だって」
マミ「……美樹さん。
いくらなんでも、言っていいことと悪いことがあるんじゃないかしら?」
さやか「へぇー、こんな程度で怒っちゃうんだ?
やっぱり、あんたは偽善者だね。
でも……、別にあんたは悪くないよ。
あんたなんか信じちゃった、あたしが馬鹿だったんだから……」
ほむら「……」
マミ「……美樹さん。
何があったのかは分からないけど……、悩みがあるなら、私に話してちょうだい。
さっき私に言った酷い言葉は、とりあえず聞かなかったことにしてあげるから」
さやか「うるさいうるさいうるさい!
やめろ、あたしに近付いてくるんじゃない!!」
マミ「美樹さん……」
さやか「あんたなんか、あんたなんか……。
あたしが、殺してやる!」
ほむら「!
巴さん、離れて下さい!!」
マミ「えっ?
!!!」
―やがて、美樹さやかの体はだんだんと大きく変化していき、次第に、恐るべき姿へと変貌をとげていた―
―そして、美樹さやかが変化したその姿は、まるで、“私がよく知っている魔女”のようだった―
続きはまた朝に投下します。
ほむら(一体、どうなっているの!?
魔法少女ですらないはずの美樹さやかが、魔女になったなんて……)
―私は、この状況に対する答えを求めるように、隣にいた巴さんの方を見た―
マミ「そんな……。
どうして、美樹さんが?」
―でも、巴さんにとっても今回のような事態が起こるのは予想外かつ初めてのことだったらしく、驚愕の表情を浮かべて固まっていた―
まどか(あれ、わたし……)
まどか「!
……えっ、嘘でしょ?
さやかちゃんが、そんな……」
―まどかが意識を取り戻したことに気付いた私は、動揺していた気持ちをすぐに切り替えて、まどかを守る為に拳銃を構え直した―
―同じく、巴さんも気持ちを切り替えたようで、身に着けていた腕輪を槍状に変形させると、“目の前の化け物”に向けて構えた―
―そして、巴さんが攻撃を開始しようとしたその時、まどかが私達の前に立ちはだかった―
マミ「鹿目さん!?」
まどか「お願いします、さやかちゃんを殺さないで下さい!」
マミ「……鹿目さん。
あなたの辛い気持ちは分かるわ。
でもね……、美樹さんは、もう……」
まどか「でっ、でも……」
―そしてまどかは、すがるように私の方を見た―
ほむら(テレパシー:巴さん、ここは一旦退きましょう)
マミ(テレパシー:暁美さん、何を言っているの!?
魔女を放っておくということがどういう事態を招く可能性があるのか、あなたなら分からないはずは無いでしょう?)
ほむら(テレパシー:もちろん、分かってます。
でも、この子の性格を考えると、目の前で親友が殺される光景を見てしまえば、それが原因でキュゥべえとの契約を考えてしまうかもしれません。
ですから……)
マミ(テレパシー:……そうね、分かった。
とりあえず、一旦私の家に行きましょうか……)
―それから、巴さんの家に向かった私達は、今回の件について駄目元でインキュベーターに聞いてみることにしていた―
マミ「……キュゥべえ。
美樹さんは、どうして魔女になったの?」
キュゥべえ「そうか。
まずは、そこから訂正しなくてはいけないね。
正確に言うと、美樹さやかが変化したのは、魔女ではないんだ」
ほむら「あれが魔女でないというのなら、一体なんだというの?」
キュゥべえ「そうだね……。
あれは、別の街で“魔女モドキ”と呼ばれていた存在に近いと言えるんじゃないかな」
ほむら「……魔女、もどき?」
マミ「その……、魔女モドキは、もちろん魔女とは違うのよね?」
キュゥべえ「うん、その通りだよ」
マミ「それなら、魔女モドキとは一体どういう存在なの?
魔女との違いを、詳しく教えなさい」
―“魔女もどき”という、これまでに全く聞いたことの無い単語が出てきて戸惑っていた私だったが、
同じく、初めて聞いたらしい巴さんがインキュベーターに問いただそうとしているのを見て、私はそちらに意識を集中させた―
キュゥべえ「魔女モドキはね。
イーブルナッツと呼ばれる物体を、僕達と契約していない人間に埋め込むことで誕生する、まさに、魔女の模倣品というべき存在だ」
ほむら(イーブルナッツ?)
―再び聞いたことの無い単語が出てきた為、私は思わず顔をしかめていた―
マミ「イーブルナッツというのは何?」
キュゥべえ「イーブルナッツは、魔法によって魔女の力、すなわちグリーフシードを模倣して作られた物で、見た目もグリーフシードに良く似ている。
ただ、グリーフシードに似ているとは言っても、ソウルジェムの浄化能力は持っていないんだ。
あくまでも、ただの模倣品でしかないからね。
それどころか、魔法少女に使った場合は魔女化を促進させる効果がある」
マミ「!」
―その時、突然巴さんが表情を変え、心配そうに私の顔を見た―
ほむら「巴さん、どうしたんですか?」
マミ「いえ、その……。
暁美さん、大丈夫?」
ほむら「ええ、別に私は大丈夫ですけど……」
―そう言った後、私は巴さんが急に私のことを心配し始めた理由に気がついた―
ほむら(そういえば、“今の巴さん”には、私が魔女の正体について知っていることを教えて無かったんだった……。
“私”の方が真実を知らされて心配されるなんて、何だか変な感じ……)
ほむら「……巴さん」
マミ「……なぁに、暁美さん?」
ほむら「私は……、どんな“真実”を聞いても受け入れる覚悟が出来ています。
ですから、私の事は気にしないで下さい」
マミ「……そう。
分かったわ、暁美さん」
キュゥべえ「説明を続けさせてもらってもいいかい?」
マミ「ええ、そうしてちょうだい」
キュゥべえ「魔女モドキには、他にも魔女と違う点が沢山ある。
例えば、普通の人の姿に戻って、擬似的な魔女形態の姿と使い分けて行動出来る者もいる。
それとね、本物の魔女と違って、ソウルジェムで探知することは出来ないんだ」
ほむら「何か、弱点のようなものはあるの?」
キュゥべえ「特に弱点と呼べるものは無いけど、本物の魔女と同じように攻撃を加えてある程度のダメージを与えることによって倒すことが出来るはずだよ」
マミ「……それで、倒した場合、魔女モドキはどうなるのかしら?」
キュゥべえ「魔女モドキを倒せば、その素になっていた人間とイーブルナッツが分離される」
マミ「……つまり、その人は死んでしまうということ?」
キュゥべえ「いや、必ずしもそうなるわけではないよ。
与えたダメージの程度にもよると思うけど、生きたまま元の状態に戻るケースもあるそうだよ」
マミ・ほむら「えっ!?」
マミ「……それじゃあ、美樹さんを助けることが出来るの?」
キュゥべえ「今まで僕が話していたのは、以前に“ある街で遭遇したことのある魔女モドキ”についての話だ。
確かに、今回美樹さやかが変化したのはその時の魔女モドキに似ているとは思うけど……、全く同質のものであるとは言いきれないよ」
マミ「それでも……。
まだ、助けられる可能性が少しでも残っているなら……。
それだけでも、十分よ」
ほむら「……」
キュゥべえ「他に、何か聞いておきたいことはあるかい?」
マミ「いいえ、もう無いわ」
キュゥべえ「それなら、僕はこれで失礼させてもらうとするよ。
後は、君達の好きにするといい」
マミ「ええ、そうさせていただくわ」
マミ「それじゃあ、これから美樹さんを助ける為の計画を立てましょうか」
ほむら「はい」
マミ「それにしても、美樹さんが魔女になってなくて良かったわ……」
ほむら「……そうですね。
助かる可能性があると分かればまど……鹿目さんも安心してくれるはずでしょうし」
マミ「そういえば、鹿目さんがなかなか戻ってこないわねぇ……。
大丈夫かしら……?
!」
ほむら「……まさか!」
―私は、まどかがいるはずのトイレの方に向かった―
ほむら「鹿目さん?」
―私はトイレの扉を何度もノックしたけど、全く返事は無かった―
ほむら「……鹿目さん、開けるわよ?」
―そして、私がノブを回すと鍵は掛かってなくて、さらに思い切って扉を開けてみると、やはりまどかはいなかった―
ほむら(遅かった……)
マミ「暁美さん、鹿目さんは―」
ほむら「巴さん、出来るだけすぐにここを出てまどかを追いかけましょう!」
まどか(ほむらちゃんとマミさん、多分二人ともさやかちゃんのことを諦めようとしてた……。
だったら、わたしが何とかしなくちゃ!)
―そしてわたしは、トイレに行くふりをしてこっそりマミさんのお家を出て、さやかちゃんを探す為に走っていました―
まどか(でも、どうしよう……。
二人に黙って出てきちゃったけど、さやかちゃんがどこにいるのか全然分からないや……)
―そうやってわたしが迷っていると、キュゥべえが近付いて来ました―
キュゥべえ「やぁ、まどか」
まどか「キュゥべえ……。
……さやかちゃんがどこにいるか、心当たりは無いよね?」
キュゥべえ「そういえば、君にはまだ説明してなかったけど……。
実は、さやかが変化した魔女モドキというのはね、本来の魔女とは異なる存在だから、僕達の力では正確に検知することは出来ないんだ」
まどか「そうなんだ……」
キュゥべえ「ただ一つだけ言えるのは、魔女モドキは魔女に比べると格段に知性が残っているから、
魔女以上に行動目的がはっきりとしていることが多くて、行動パターンの規則性も比較的見つけやすい。
そして、大体のケースでは、魔女モドキになる前に執着していた人や物などを探して行動することが多い。
だから、さやかが以前から執着していたものが何であったのかを知っているなら、どこへ向かおうとするのかについても容易に推測出来るんじゃないかな」
まどか「あの……、ごめん、キュゥべえ。
執着って、どういう意味なんだっけ?」
キュゥべえ「執着とは、人が何か一つのことに心をとらわれて、そこから離れられないことだと言われている。
だから、今のケースに照らし合わせて簡単に説明し直すとすれば……。
さやかが心から欲していたものが何なのかが分かれば、さやかの行きそうな場所も分かるかもしれないということだよ」
まどか(さやかちゃんが、本当に欲しいもの……)
恭介(志筑さん、どこに行っちゃったんだろう……?)
―志筑さんを追いかけていた僕は、病み上がりということもあって追いつく事が出来ずに見失ってしまっていた―
恭介(どうすればいいかな……?
あっ、あそこにいるのは……)
―そして僕は、凄く急いだ様子で走っている鹿目さんを見つけた―
恭介「鹿目さーん!」
まどか「かっ、上条君!?」
恭介「鹿目さん、ちょうどいいタイミングで会ったね。
実は、志筑さんが―」
まどか「そうだっ、上条君、わたしと一緒に来て!
さやかちゃんが大変なの!!」
恭介「ああ……。
ちょっと、鹿目さん!?」
キュゥべえ(テレパシー:まどか。
もしかして、上条恭介をさやかのところに連れていくつもりなのかい?)
まどか(テレパシー:……うん、そうだよ)
キュゥべえ(テレパシー:でも、彼は一般人じゃないか。
危険なところに連れて行って、何かあったら君はどうするつもりなんだい?)
まどか(……大丈夫。
もしもの時は、わたしが……)
―そしてわたしは、上条君と一緒にCD屋さんの近くまで来ていました―
恭介「ここは……、確か、さやかがよく来てるCDショップだよね?
でも、今日は定休日で店が閉まっているみたいだけど……。
……鹿目さんは、どうしてこんなところに?」
まどか「ごめん、後でちゃんと説明するから。
上条君は、ここで少し待ってて」
恭介「あっ、鹿目さんっ!」
―それから少し経って、わたしは“元の姿のさやかちゃん”がお店の近くに近付いて来るのを見付けました―
まどか「さやかちゃーん!」
さやか「……まどか」
まどか「さやかちゃん!
……元に、戻ったんだよね?」
さやか「……うん」
まどか「よ、良かったぁ~!
あっ、そうだ。
さやかちゃん、ちょっとここで待っててね」
さやか「わかった」
まどか「……上条君、ちょっとこっちに来て」
恭介「鹿目さん、こんどは何―」
―わたしは、上条君を連れてさやかちゃんのところに戻ろうとしました―
まどか「さやかちゃ―
!」
恭介「さやか……?
!」
さやか「きょ、きょうすけ……!?」
―そしてわたしと上条君は、半分だけお化けみたいになっているさやかちゃんを見てしまいました―
まどか「そ、そんな……。
さや―」
恭介「く、来るな!」
さやか「えっ?」
恭介「こっちへ来るんじゃない、化け物!」
さやか「ば、ばけもの……」
恭介「お前は誰だ!?
お前はさやかなんかじゃない!
う、うわああああああああああああああ!!」
まどか「かっ、上条君、違うの!
さやかちゃんは―」
恭介「鹿目さん、君はこいつに騙されてるんだ!
早くここから逃げよう!!」
まどか「上条君、わたしの話を聞いてってば!」
さやか「……そうだよ」
まどか「えっ?」
さやか「そうだ、あたしはもうばけものなんだ。
だから……」
―さやかちゃんはそう言うと、手を伸ばして上条君の体を掴みました―
まどか「さ、さやかちゃん!?」
恭介「やめろっ!
離せっ、この化け物!!」
さやか「あたしはもうばけものなんだから、なにをしたってかんけいないよね……」
―そして、さやかちゃんは上条君を掴んだまま、今度は完全に魔女のような姿になっていました―
まどか(どうしよう……。
このままじゃ、上条君が……)
キュゥべえ「やはり、こうなってしまったか」
まどか「キュゥべえ……!」
キュゥべえ「……でも、心配することはないよ。
まどか、君ならこの事態を簡単に解決することが出来る。
そのための力が、君には備わっているんだから」
まどか「……そうだよね。
さやかちゃんの為なら、わたし―」
「その必要はないわ」
まどか「ほむらちゃん……。
マミさん!」
マミ「間一髪、ってところね」
まどか「……あの、マミさん。
わたし……」
マミ「無茶し過ぎ、って怒りたいところだけど……、今はやめておくわね。
暁美さん、準備はいい?」
ほむら「ええ、いつでも大丈夫です」
―私は、盾の中から狙撃銃【レミントンM24】を取り出しながら答えた―
まどか「!」
マミ「……大丈夫よ、鹿目さん。
私達は、美樹さんを見捨てようなんて思ってないわ。
むしろ、助けるつもりでここに来たの。
そうよね、暁美さん?」
ほむら「ええ、その通りよ」
まどか「えっ、そうなんですか?
でも、どうやって……」
ほむら「今、それを詳しく説明している時間は無いわ。
あなたは黙って見ていてちょうだい」
まどか「……」
マミ「暁美さん、そんな言い方は無いでしょう?
ごめんね、鹿目さん」
まどか「いえ、わたし……」
マミ「とにかく、私達に任せて!」
―巴さんはそれだけ言うと、魔女もどきの方へ向かっていった―
まどか「あっ、マミさん!
もう行っちゃった……」
マミのマンションの前(回想)
―巴さんの家を出た私は、ソウルジェムを出して反応が無いかを確かめていた―
ほむら(一応、駄目元でやってみたけど……。
インキュベーターの言ってた通り、ソウルジェムで魔女もどきを探知することはやっぱり出来ないのね……)
マミ「暁美さん、私に任せて!」
―巴さんはそう言うと、目を閉じて何らかの力を使い、魔女もどきの反応を探っているようだった―
マミ「こっちよ、暁美さん!」
ほむら「え、ええ……」
ほむら「……巴さん」
マミ「なぁに、暁美さん?」
ほむら「さっきのは……。
どうやって、美樹さやかの居場所を見つけたんですか?」
マミ「私は、美樹さんのマイナスエネルギーを感知したの」
ほむら「マイナスエネルギー?」
マミ「マイナスエネルギーというのは、人の心の闇から生まれる負のエネルギーのことよ。
ちなみに、魔女の力もこれと似たものから出来ているわ。
だからね、私が普段魔女を探す時には、マイナスエネルギーの反応と近いものを探って見つけているのよ?
ただ……、今回の場合は普段の魔女のものとは違う波長だったから、ちょっと時間がかかっちゃったけどね」
ほむら「なるほど……。
それじゃあ、その力を使って美樹さやかの体内にあるイーブルナッツの反応を探ることは出来そうですか?」
マミ「ええ、おそらくそれも出来ると思うわ」
ほむら「それなら、好都合ですね。
……キュゥべえから聞いた情報が確かなら、イーブルナッツだけを上手く取り除くことが出来れば、美樹さやかを元に戻せる可能性が高い。
ですから、巴さんがイーブルナッツを見つけてくれさえすれば、その後に私が取り除きます」
マミ「ええ、それでいいと思うわ。
それじゃあ、私は派手に動いて美樹さんの注意を引きつけておくわね」
ほむら「お願いします」
―巴さんが魔女もどきに近づいたのを確認した私は、魔女もどきに向けて狙撃銃を構えた―
まどか「待って、ほむらちゃん!
さやかちゃんの中には、上条君がいるの!!」
ほむら「……えっ?」
まどか「あのね……。
さっき、わたしが……」
ほむら「……ごめんなさい、後で聞くわ。
巴さん、イーブルナッツの位置は?」
マミ「それがね、イーブルナッツのある位置は……、美樹さんの胸のあたりなの。
そして、上条君がいるのもほとんど同じところで、少ししか距離が離れていない。
つまり、もしも狙いが少しでもずれてしまったら……」
ほむら「……大丈夫、私は外しません。
巴さん、お願いします」
マミ「……ええ、分かったわ」
―そして私は、巴さんからのテレパシーを受けて視覚情報を共有し、イーブルナッツのある場所を特定した―
ほむら(よし、これで……)
―でもその時、それまでほとんど動かずに大人しくしていた魔女もどきが、急に暴れ出した―
恭介(あれ、僕は……?)
さやか「目が覚めたんだね」
恭介「……さやか、なのかい?」
さやか「そうだよ、恭介」
恭介「さやか、ここは一体どこなんだい……?」
さやか「恭介は、何も気にする必要なんてないんだよ。
ここなら、誰もあたし達の邪魔なんて出来ないんだから……」
恭介「……さやか、君は―」
さやか「ごめん、ちょっとやることが出来ちゃった。
待ってて!
すぐに片付けちゃってくるから……」
恭介「あっ、さやか!」
―巴さんに気付いた魔女もどきは、右手に持っている大きな剣を振りおろした―
マミ「くっ!」
―巴さんは腕輪を盾状に変形させてその剣撃を何とか受け止めていたけど、さらに魔女もどきは、ただひたすらに激しく剣を振り下ろし続けた―
さやか「あははは、しねっ!
おまえなんか、しんじゃえ!!」
―どうやら、美樹さやかの魔女もどきは巴さんに恨みがあるらしく、それが原因で暴れ出したようだった―
さやか「きょうすけは……、おまえになんかわたさない!」
マミ「美樹さん、何を言って―
!
もしかして……?
美樹さん、あれは違うのよ!」
さやか「しねぇー!」
マミ「きゃあっ!」
まどか「マミさんっ!」
ほむら「まどか、そっちへ行っちゃ駄目っ!」
―まどかは、魔女もどきの攻撃をまともに食らって倒れた巴さんの元へ駆け寄り、巴さんをかばうように魔女もどきの前に立ちはだかった―
まどか「さやかちゃん、もう止めてっ!」
さやか「うるさい、じゃまをするな!」
―さらに魔女もどきは、まどかに向かって攻撃してきた―
まどか「!」
まどか(あれっ……。
わたし、何ともない……?)
ほむら「ぐっ……。
ううっ!」
まどか「!
ほ、ほむらちゃん!?
どうして……」
―ほむらちゃんは、わたしをかばったことで大怪我を負ってしまったようでした―
ほむら「……まどか。
良かった、怪我は無いみたいね……」
まどか「何言ってるの、ほむらちゃん?
早く手当てをしないと……」
ほむら「……私は大丈夫よ。
それよりも、巴さんが……」
まどか「えっ!?
さやかちゃん、駄目っ!」
―そして、魔女もどきが巴さんに止めを刺そうと手を近づけた瞬間、盾状になっていた腕輪が再び変形し始め、今度は光の鎖となって魔女もどきの体を拘束した―
ほむら(……あの腕輪、とても便利なのね。
私も、ちょっと欲しいかも……)
―魔女もどきが拘束されている今が攻撃のチャンスと判断した私は、再び狙撃銃を構えようとした―
ほむら「痛っ!」
―でも、私の腕は魔女もどきから受けた攻撃によって使い物にならなくなっていた―
ほむら(私の魔力では、これほどの傷をすぐに治すことは出来ない……。
こんな状態では、時間停止能力を使っても正確な射撃を行うのは難しい……。
一体、どうすればいいのかしら……?)
まどか「……ほむらちゃん、大丈夫?」
ほむら「ええ、私は―
!」
まどか「どうしたの、ほむらちゃん?」
―その時私は、“ある考え”を思いついていた―
ほむら「……鹿目さん。
あなたに、ちょっと協力して欲しいことがあるの」
まどか「ほむらちゃん……。
うん、わたしに出来ることなら何でも言って!」
ほむら「まずは、状況を整理しておくわね。
美樹さやかがああなってしまったのは、彼女の体内にあるイーブルナッツという物質のせいなの。
つまり……、それを取り除くことが出来れば、彼女を元の姿に戻せるかもしれない」
まどか「えっ、ほんとに?」
ほむら「あくまでも可能性があるというだけで、100%とは言えないのだけど」
まどか「それでも……。
さやかちゃんを元に戻せる可能性があるなら、やってみるべきだとわたしも思う」
ほむら「……そうね。
ただ、残念ながら私の腕は今、まともに使えそうに無いの。
だから……、言葉通りに、“あなたの手”を貸して欲しい」
まどか「えっ?
それってつまり、わたしがさやかちゃんを―」
ほむら「ええ、おそらくあなたの想像している通りで間違いないわ。
それに、あなたも美樹さやかのことを助けたいのでしょう?」
まどか「うん」
ほむら「だったら、協力してくれるわね?」
まどか「でっ、でも……。
わたし、銃とかって使ったこと無いし……」
ほむら「それについては、心配しなくてもいいわ」
―そして私は、腕の痛みをこらえて何とか盾に手を入れると、中から“ある武器”を出した―
まどか「それは……。
弓と、矢?」
ほむら「ええ、そうよ。
あなたなら、こちらの方が扱いやすいと思って」
まどか「確かに、銃よりは使いやすそうだけど……。
でも、本当にわたしなんかが―」
ほむら「お願い。
今、美樹さやかを救うことが出来るのは……。
鹿目さん、あなただけなの」
まどか「わたしが、さやかちゃんを……」
ほむら「それに……。
私は、あなたのことを信じてる。
だから、あなたも自分のことを信じて」
まどか「ほむらちゃん……。
……うん、分かった。
わたし、やってみるね!」
―そして、まどかが弓を構えたのを確認した私は、まどかの手に軽く触れて、時間停止の魔法を作動させた―
まどか「これは……!
ほむらちゃん、どうなってるの?」
ほむら「安心して。
これは、私の魔法の力よ」
まどか「えっ、凄ーい……」
ほむら「私の手を離したら、貴女の時間も止まってしまうから気をつけて」
まどか「うん、分かった……」
ほむら「……大丈夫よ、“まどか”。
あなたなら、絶対に出来るわ」
まどか「ほむらちゃん……」
―そして、私はゆっくりと狙いを定めると、まどかに矢を放つタイミングを指示した―
ほむら「今よ!」
まどか「えいっ!」
―そして、まどかが矢を放ったのとほぼ同時に、私は時間停止の魔法を解除した―
しばらくは流用部分ばかりで申し訳ありませんが、今日はここまで。
次回の投下は明日中に行う予定ですが、もしかしたらまた遅れるかもしれません。
遅くなりましたが、再開します。
まどか「―マミさん」
マミ(あれ、私……)
まどか「マミさん!」
マミ「……鹿目さん?」
まどか「マミさん、無事で良かった……」
マミ「鹿目さん……。
はっ!
そうよ、美樹さんは!?」
ほむら「巴さん」
マミ「暁美さん、その怪我はどうしたの!?
すぐに、私が治し―」
ほむら「私の怪我は、後回しでも大丈夫。
それよりも、あの二人を先にお願いします」
マミ「……ええ、分かったわ。
上条君は……、特に怪我は無いみたいね。
美樹さんも、この程度の怪我ならすぐに治せるわ」
まどか「よ、良かったぁ~!」
さやか(何だろ、この暖かい感じ……)
―あたしは、自分の胸にとても暖かくて心地の良い、光のような何かが注ぎ込まれているのを感じていた―
まどか「さやかちゃん?」
さやか(まどか?)
―まどかの声を聞いたあたしは、とりあえず起きてみることにした―
マミ「美樹さん!」
さやか「……えっと、マミさ―」
まどか「さやかちゃんっ!」
―まどかはあたしの名前をもう一度叫んで、いきなり抱きついて来た―
さやか「……あの、まどか?
どうしたのさ、急に……」
ほむら「……あなた、何も覚えてないのね。
でも、その方がいいのかしら……」
さやか「えっ?
転校生、あたしは―」
恭介「さやか……?」
さやか「きょ、恭介……!?」
―その時あたしは、恭介を見た瞬間に自分がやってしまったことを全て思い出していた―
さやか「あ、あたし……」
―そしてあたしは、思わずそこから逃げ出してしまっていた―
恭介「さやか、待ってくれ!」
恭介「鹿目さんに、暁美さん。
それと……、巴先輩。
この状況は、一体どういうことなんですか?
説明して下さい!」
まどか「あっ、その……」
ほむら「……」
マミ「……上条君。
詳しい事情は、後でちゃんと話すわ。
だから、今は美樹さんを追いかけてあげて」
恭介「えっ?」
マミ「お願い、上条君」
恭介「……分かりました。
さやかを連れ戻してから、もう一度話を聞きに来ます」
まどか「あっ、私も……」
マミ「鹿目さん。
ここは、上条君に任せておきましょう」
まどか「えっ、でも……」
マミ「うーん、そうねぇ……。
私と暁美さんは今、二人とも怪我人でしょ?」
まどか「えっ、はい……?」
マミ「だからね……。
その、ちょっと誰かに頼りたいかなぁー、なんて」
まどか「あっ……、分かりました!
マミさん、何かして欲しいことはありますか?」
マミ「ありがとう。
でも、先に暁美さんの怪我を治療してあげたいから、ちょっと手伝ってくれるかしら?」
まどか「はい!」
ほむら「……巴さん。
私よりも、自分の怪我を先に治して下さい」
マミ「私の怪我はそんなに大したこと無いから、あなたは気を使わなくていいのよ」
ほむら「でも……」
マミ「いいからいいから。
とりあえず、怪我の具合を見せてくれる?」
ほむら「あっ、はい……」
恭介「さやか!」
さやか「恭介……。
……どうして、あたしなんかを追いかけてくるのさ……?」
恭介「さやかに、聞いておきたいことがあるからだよ。
それに、巴先輩にも追いかけてくれって言われたし……」
さやか「マミさんに?」
恭介「うん、そうだよ」
さやか「そっか、そうなんだ……」
恭介「さやか、どうしたんだい?」
さやか「……別に。
何でもないよ。
それより、あたしに聞きたいことって何なの?」
恭介「ああ、そうだね。
さやか、君は―」
仁美「お二人とも、見つけましたわ」
さやか「ひ、仁美!?」
恭介「あっ、志筑さん!
そういえば、君を探してたんだよ。
今まで、どこにいたんだい?」
仁美「私がどこにいたかなんて、お気になさる必要はありませんわ。
それより……、“美樹”さん?」
さやか(えっ?
やっぱり、さっきのことで怒ってるのかな……?)
さやか「……仁美」
仁美「あら、何でしょうか?」
さやか「さっきは、ホントにごめん!
あたし、どうかしちゃってたんだよ……」
仁美「ふふっ。
別にあなたは、何も気にしなくていいんですのよ。
というよりも、これからは何も考えられなくなる、と言った方が正しいのかしら?」
恭介「……志筑さん?」
さやか「ひ、仁美?
一体、どうしちゃったの?」
仁美「別に私は、何もおかしくなんてありませんわ。
むしろ、とってもいい気分ですのよ!
だって私、もう何も我慢しなくていいんですもの」
さやか(この、冷たくて何か嫌な感じは……。
まさか!)
―そして仁美は、あたしの時と同じように、目の前で魔女のような恐ろしい姿になっていた―
さやか「!
仁美っ!?」
恭介(……これは、さっきのさやかの時と同じ!?
ということは、あれは夢なんかじゃなかったのか……)
仁美「さぁ、上条君。
私と一緒に、素晴らしい世界へ旅に出ましょう!」
恭介「……嫌だ」
仁美「何とおっしゃいましたの?」
恭介「嫌だって言ってるんだ!
そうか、分かったぞ……。
お前達は、仲間なんだな!!」
さやか「きょ、恭介……。
何言ってるの……?」
恭介「もう、お前達なんかには騙されないぞ!
この、化け物め!!」
さやか「そ、そんな……」
仁美「……そうですか。
上条君は、私を拒むんですのね……」
さやか「……仁美?」
仁美「手に入らないというのなら、いっそ……」
恭介「う、うわあああ!!!!!」
―でもその時、僕をかばうように誰かが化け物の前に立ちはだかった―
恭介「お、お前……。
一体、何のつもりなんだ!?」
―僕の目の前には、“さやか”が立っていた―
さやか「……仁美、ちょっとでいいからあたしの話を聞いて!
あのさ、誰かを殺したいっていうんなら……、あたしにしなよ。
でも、恭介のことは見逃してあげて」
恭介「!」
仁美「……」
恭介(もしかして、君は……。
本当に、さやかなのか……?)
さやか「……あたしはさ、あんたに恨まれても仕方ない事をしちゃったと思う。
ううん、実は仁美だけじゃないんだ。
大切に思ってたはずの人達みんなに、酷い事をしちゃったんだよね。
だからさ……、正直言うともうみんなに会わせる顔が無いかなって思っちゃうし……。
もういっそのこと、ここで死んじゃった方が―」
―でも、あたしが死ぬことを覚悟したその時……、恭介が、あたしの前に立っていた―
さやか「……きょ、恭介っ!?
なっ、何してんのさ!?」
恭介「……さやかは、殺さないでくれっ!」
仁美「……」
さやか「そ、そんなことしないでよ!
あたしなんて、もう死んじゃった方が―」
恭介「……さやか。
確かに、さやかは悪い事をしたのかもしれない。
でも、みんなに謝りもせずに逃げるなんて駄目だよ。
それに、これ以上自分のことを悪く言うのも止めてくれ。
それと……、僕はさやかに酷い事を言ってしまったよね。
その事については、本当に悪いと思ってる。
ごめん、さやか!」
さやか「恭介……」
ーそして、あたし達が今度こそ覚悟を決めた、その時―
マミ(テレパシー:美樹さん、今すぐ右に避けて!)
さやか「えっ、マミさん!?」
マミ(テレパシー:早く!)
さやか「は、はい!
恭介っ!!」
恭介「えっ?
あっ!」
―そして、あたしがマミさんの指示通りに動いてみると、いきなり飛んできた光る輪っかみたいなものが仁美の体に巻き付いて動けないようにしていた―
マミ「お待たせっ!」
さやか「ま、マミさん……」
マミ「暁美さん、イーブルナッツの位置は志筑さんのお腹のところよ!」
ほむら「ええ、了解です」
さやか「マミさん!?
まさか、仁美を―」
マミ「安心して、私達は志筑さんを死なせたりはしないわ。
……暁美さん、お願い!」
―そして、転校生が構えたスナイパーライフルから放たれた銃弾が直撃すると、仁美の体は元の姿に戻っていた―
さやか「仁美っ!」
仁美「……さやかさん?」
さやか「ごめん!」
仁美「……」
さやか「ごめん、ほんとにごめん!」
仁美「……何のことですの?」
さやか「えっ、仁美?」
仁美「さやかさんは、私に謝る必要なんてありませんわ。
むしろ、謝らなきゃならないのは私の方です。
ごめんなさい、さやかさん」
さやか「仁美……」
仁美「……上条君にも、ご迷惑を掛けてしまいましたわね。
ごめんなさい、上条君」
恭介「志筑さん……。
僕の方こそ、酷い事を言ってごめん」
仁美「上条君……」
―その後あたし達は、とにかくみんなに謝ることにした―
さやか・仁美「あの、みんな(みなさん)……。
本当に、ごめんなさい!」
―それからしばらくして、みんなに一通り謝った後―
さやか「……あの、マミさん」
マミ「あら、何かしら?
美樹さん」
さやか「ちょっと……。
二人だけで話したいかなって」
マミ「ええ、分かったわ」
さやか「……マミさん。
あの、本当に……、ごめんなさい!」
マミ「どうしたの、美樹さん?
謝罪なら、さっきみんなの前でもしてくれたじゃない」
さやか「マミさんには、特別酷い事をしちゃったし……、もう一度ちゃんと謝りたかったんだ。
それにさ、もう少しで本当にマミさんを殺しちゃうところだったし……」
マミ「……それは、悪い魔力の影響を受けてしちゃったことなんだし、仕方ないわよ。
それにもう充分謝ったんだし、みんな無事で済んだのだからいいじゃない。
だから、この話は終わりにしましょう?」
さやか「いや、でも……」
マミ「ねっ?」
さやか「……はい。
ただ、その……。
もう一個だけ、マミさんに言っておきたいことがあって……」
マミ「あら、なぁに?」
さやか「……恭介のこと、よろしくお願いします」
マミ「えっ?」
マミ「あの……、美樹さん?
それはどういう意味なのかしら?」
さやか「……実はあたし、見ちゃったんだよね。
マミさんが、恭介とキスしてるところ」
マミ「やっぱり、見てたんだ……。
でもね、美樹さん―」
さやか「あたし、恭介の相手がマミさんだったら、諦められるよ。
まぁ、こんなに迷惑かけちゃった後で言っても説得力無いかもしれないけど……。
でも、どっちにしろあたしにはもうそんな資格―」
マミ「美樹さん!」
さやか「えっ、はい!」
マミ「美樹さん、勘違いさせちゃったことについては謝るわ。
……でもね、私と上条君はそういう関係じゃないの」
さやか「えっ?
だって―」
マミ「確かに、私は上条君に、その、キスしちゃったけど……。
あれは、そういうつもりでしたんじゃないのよ」
さやか「いや、だって……。
じゃ、じゃあ!
どういうつもりでしたって言うの!?」
マミ「実は私、キスをした相手の記憶を消すことが出来るのよ」
さやか「えっ?」
マミ「それでね、あの時は……、私が魔女と戦っているところを、上条君が見てしまったのよ。
でも、私は魔女のこととか、魔法少女のことを知られるのは避けたかった。
だから、上条君の記憶を消す為にキスをしたの」
さやか「……そ、そんな。
あたしに、気を使ってるんじゃ―」
マミ「本当のことよ、美樹さん。
信じて」
さやか「……うん、分かった」
マミ「でも……。
ちゃんとした理由があったにしても、美樹さんの好きな人にキスをしちゃうなんて良くなかったよね。
……ごめんなさい、美樹さん」
さやか「……いや、その、あたし……。
別に恭介とは、ただの幼馴染だってば。
だから、そんな風に謝らなくても―」
マミ「美樹さん」
さやか「うっ、えっ?
なっ、何、マミさん」
マミ「わたしは、本当のことを言ったわ。
だから、あなたも本当のことを言って」
さやか「いや、えっと……」
マミ「上条君のこと、好きなんでしょう?」
さやか「…………うん」
マミ「だったら……、彼にちゃんと気持ちを伝えるべきよ」
さやか「えっ、でも……」
仁美「私のことなら、気にしなくてもいいんですのよ」
さやか「ひ、仁美?」
マミ「志筑さん?」
仁美「ごめんなさい、盗み聞きなんてはしたない真似をしてしまって。
そのことについては、謝らせていただきますわ。
でも、一つだけ言わせて下さい。
巴さんもおっしゃったように……、さやかさんは、上条君にあなたの本当の気持ちをお伝えするべきですわ」
さやか「仁美……」
仁美「……さやかさん。
あなたが上条君をかばって、上条君がさやかさんをかばい返した時に、私は気付いたんです。
お二人の間には、確かな絆があることを」
さやか「でも、それは……」
仁美「だから、私はきっぱりと諦めがつきましたわ!
ですから、細かいことなんか気にしないで早くあなたの気持ちを伝えて来て下さい!!」
さやか「えっ、あっ、仁美!」
ちょ、ちょっと待ってよ!!」
仁美「……さやかさん。
まだ、決心がつかないのですか?」
さやか「いや、そうじゃなくて……。
何て言うか、その……。
……ありがとう、仁美。
それじゃあ、行って来るね!」
仁美「もう、行かれたようですわね……。
ですから……。
暁美さんも、そろそろ出てきたらいかがでしょうか?」
マミ「えっ?」
ほむら「あっ……」
マミ「もう!
あなたまで、私達の話を聞いてたの?
そういうのは、関心しないわよ」
ほむら「……ごめんなさい、巴さん」
仁美「私からも、もう一度お詫び申し上げますわ。
はしたない真似をしてしまって、申し訳ありませんでした」
マミ「あっ、その……。
分かってくれたのなら、もういいのよ」
ほむら「……それより、巴さん。
今、泣いてませんでしたか?」
マミ「えっ?
何言ってるのよ、暁美さん。
気のせいじゃないかしら?」
ほむら「えっ、でも……。
!
もしかして、巴さん……」
仁美「……暁美さん。
それ以上は、いけませんわ」
ほむら「えっ?」
マミ「……」
マミ「……あの、志筑さん?」
仁美「何でしょうか?」
マミ「この後、お時間は空いてるかしら?
もし良かったら、私の家でお茶会でもどうかと思って」
仁美「あの、私……」
マミ「忙しかったら、無理にとは言わないわ」
仁美「いえ、大丈夫ですわ」
マミ「本当に?」
仁美「ええ。
……今日くらいは、お稽古事を休んだって構いませんわ!」
マミ「ありがとう。
それじゃあ二人とも、私の家に行きましょうか!」
ほむら「えっ?」
マミ「あら、暁美さん。
何か用事でもあるの?」
ほむら「いや、その……。
ええっと、鹿目さんも誘った方がいいんじゃないかと思って……」
マミ「あら、そうね……。
私ったら、鹿目さんのことを誘い忘れちゃうなんて……」
ほむら「それじゃあ私、鹿目さんを呼んできますね!」
まどか「あっ、ほむらちゃん!」
ほむら「……鹿目さん。
巴さんから、お茶会のお誘いがあったのだけど……。
あなたは、この後大丈夫?」
まどか「あっ、うん。
ちょっと遅い時間だけど……。
うちのパパとママなら、ちゃんと連絡すれば許してくれると思う」
ほむら「そう。
それなら、この先で巴さん達が待ってるから」
まどか「あれっ、ほむらちゃんは行かないの?」
ほむら「私は、まだちょっとやることがあるの。
その用事を済ませてから行くつもりだから、あなたは先に行ってて」
まどか「うん、分かった。
それじゃあほむらちゃん、また後でね」
ほむら「ええ、また後で」
恭介「それじゃあ、そろそろ僕も帰ろうかな」
ほむら「待って、上条君」
恭介「何だい、暁美さん?」
ほむら「……美樹さんが、あなたに話したいことがあるみたいなの。
だから、彼女が来るまでここで待っててあげて欲しい」
恭介「……さやかが?
うん、分かった」
さやか「……あの、恭介」
恭介「……さやか。
話したいことって、何?」
さやか「えっと……、あのね、あたし……。
あたしね……、ずっと前から恭介のこと……。
恭介のこと……、好きだったんだ」
恭介「!」
さやか「……ごめんね。
迷惑なら、そう言ってくれていいよ。
あたし、恭介には今日のことも含めて一杯迷惑かけちゃってるし……。
振られるのも、覚悟した上だから……」
恭介「……ううん、迷惑なんかじゃないよ。
というか、やっぱりそうだったんだ……」
さやか「……ええっ!?
恭介、あたしの気持ちに気付いてたの?」
恭介「正直に言うと、今までは全然分かってなかったんだよね……。
でもね、その……、さやかが今日、僕に向かってキスしたよね。
あの時、やっと……」
さやか「いやっ、あれは忘れて!」
恭介「……大丈夫。
巴さん達が説明してくれたから、もう分かってるよ。
あれは、さやかが悪いものの影響を受けてた時のことだったんだろ?
それに、僕もさやかに酷い事を言ってしまった。
だから、その時のことはお互い気にしないことにしよう?」
さやか「う、うん……」
恭介「ただ、そのおかげでやっとさやかの気持ちに気付くことが出来た」
さやか「えっ?」
恭介「……それに、さやかにはすっごく感謝してるんだ。
今までも、一番苦しいときに僕の支えになってくれてたし……。
今回も、必死で僕をかばおうとしてくれたよね?
あの時、やっと分かったんだ。
僕はさやかに、どれほど大切に思われてるか……。
僕もさやかのこと……、大切に思ってるよ。
だから、君の想いに僕も応えたい」
さやか「恭介……」
さやか「ありがとう……。
あたし……、あたし、告白するだけで一杯一杯で……。
嬉し過ぎて……、もう、どうしたらいいのか分からないや……」
恭介「僕も、今まで自分のことだけで一杯一杯で……。
さやかに何もしてあげられなかった。
これからはバイオリンの練習で忙しくなることも多くなっちゃうと思うけど……。
それ以外は、なるべく二人で過ごそう。
二人の時間を、大切にしようね」
さやか「うん。
恭介、これからは毎日一緒に登校しようね!」
恭介「ああ、もちろんだよ」
さやか「えっと、それからね―」
ほむら(……よかった、うまくいったみたいね。
これで、美樹さやかの運命は変えられたわ……。
後は、“ワルプルギスの夜”を倒すだけ。
でも、“今回の巴さん”と一緒なら、きっと倒せるはず。
そして、今度こそまどかのことを救ってみせる!)
キュゥべえ「残念だけど、魔女モドキを使ったのは失敗だったようだね……」
キュゥべえ「それで、次はどうするつもりだい?」
キュゥベえ「……なるほど、それはいい考えかもしれないね」
一旦休憩して、深夜0時~1時頃にまた投下します。
乙
乙っす。
負けるなマミさん。
80兄さんも、涙の味は知っているんだぜ。
マミの部屋
マミ「……はい、暁美さん」
ほむら「ありがとうございます、巴さん」
―私は巴さんからグリーフシードを受け取って、自分のソウルジェムを浄化していた―
ほむら「終わりました」
―そして私は、使い終わったグリーフシードを再び巴さんに返した―
マミ「……」
ほむら「……巴さん?」
マミ「あっ、ごめんね……」
ほむら「……」
ほむら「……巴さん。
私が使い終わった後のグリーフシードは、どうやって処理してるんですか?」
マミ「!
……どうして、そのことが気になったのかしら?」
ほむら「……前から、聞こうとは思ってたんです。
ちなみに、巴さんと会う前の私は、それをキュゥべえに渡して処理させていました。
おそらく他の魔法少女達も、普通はそうしているはずです。
でも、この前キュゥべえに聞いてみたら、『僕は巴マミからはグリーフシードを受け取っていないよ』って言っていました。
ということは、巴さんが自分で処理しているはずですよね?
穢れを吸った後の危険なグリーフシードを、巴さんがそのまま放置しておくとは思えないですし……」
マミ「……ごめんなさい。
たとえあなたにでも、それだけは教えることが出来ないの」
ほむら「……どうしてですか?」
マミ「この前、私はあなたにワルプルギスの夜についての情報源を聞こうとしたわよね。
その時の、暁美さんの答えと同じ理由よ」
ほむら「なるほど、そうですか……」
ほむら「それと……、もう一つだけ、聞いてもいいですか?」
マミ「ええ、どうぞ」
ほむら「……その、今、巴さんが使っている髪飾りとリボン。
その二つは、どこで手に入れたんですか?」
マミ「えっ?
それは……」
ほむら「教えてください、巴さん」
マミ「……ええ、分かったわ。
実は私、暁美さんの前にも他の魔法少女の子と一緒に戦っていたことがあったの。
その子はね……、家族思いの、とても優しい子だったわ。
それに、変身した私の姿を見ても、あの子は恐がらずに受け入れてくれた。
そして、これはその子のか―
……その子から、もらったものよ」
ほむら(やっぱり……)
ほむら「ちなみに……、その子は今、どうしてるんですか?」
マミ「……」
ほむら「巴さん?」
マミ「……その子は、もう―
!」
ほむら「!」
マミ「ここのすぐ近くで、マイナスエネルギーの反応が出たわ!
暁美さん、早く行きましょう!!」
ほむら「あっ……、はい!」
ほむら「ここですね」
マミ「この結界は……、使い魔のものね。
暁美さん、私に任せて!」
―巴さんはそう言うと、いつものようにバナナのような形をした長い刃物を取り出して構えた―
マミ「ハッ!」
―そして、巴さんが使い魔に向けて放った攻撃は、いきなり飛んできた“何か”によって阻まれた―
??「ちょっと、ちょっと。
何やってんのさ、アンタ達」
マミ・ほむら「!!」
??「見てわかんないの?
ありゃ魔女じゃなくて使い魔だよ。
グリーフシードを持ってるわけないじゃん」
マミ(まさか、そんな……!
でも、この声は―)
??「ああ、そういやアンタ達も、やれ人助けだの正義だの、その手のおチャラケた冗談かましてる類のバカな奴らだっていう話だったっけ……」
ほむら「……あなたは―」
杏子?「……そうだな、一応アンタ達にも名乗っといてやるか。
アタシの名前は、佐倉杏子。
“初めまして”、巴マミ。
それと、暁美ほむら」
マミ「……えっ!?」
マミ「佐倉さん……。
あなた、何を言っているの……?」
杏子「は?」
マミ「私のこと……。
忘れちゃったっていうの?」
杏子「アンタの方こそ、何言ってんのさ?
アタシの知り合いには、アンタみたいな正義の味方を気取ったバカなんかいないっつーの」
マミ「そんな……」
―巴さんは、美樹さやかが魔女もどきになった時よりも動揺しているようだった―
杏子「……まぁ、そんなことはどうでもいいよ。
アンタ達には、これから死んでもらうことになるんだからさぁ!」
―佐倉杏子はそう言うと、自身の武器を構えた―
マミ「!」
―しかし、“今私達の目の前にいる佐倉杏子”が使おうとしていた武器は、“私がよく知っている佐倉杏子”が使っていた、槍ではなかった―
―また、武器以外の戦闘スタイルは似通ってはいたけども、そのスピードは桁違いに速くて―
ほむら「!」
―私は、時間停止の魔法を作動させる前に佐倉杏子の攻撃で吹き飛ばされていた―
ほむら「ぐっ!」
杏子「ハンッ!
まずは、アンタから先に死んでもらうとするか。
……暁美ほむらっ!」
―そして、佐倉杏子は私に向かって武器を振り下ろそうとしていた―
―でもその攻撃は、巴さんの構える盾によって阻まれていた―
マミ「この子は……、殺させないわ!」
―それから巴さんは、盾状にしていた腕輪を今度は槍に変形させた―
杏子「へぇ……。
よりにもよって、このアタシに槍で勝負を挑むとはねぇ……。
上等じゃねぇか、かかって来な!」
―でも、巴さんは明らかに防戦一方であり、佐倉杏子の激しい攻撃に圧倒されているようだった―
杏子「ハァ……、アンタさぁ。
動きは悪くないけど、どうも槍の扱い方がいまいちだねぇ……。
なんだったら、アタシがレクチャーしてやろうか?」
マミ「……」
杏子「なぁに、特別にお代は安くしてやってもいいんだよ?
そうだねぇ……、アンタの命だけでいいからさぁ!」
マミ「きゃあっ!」
杏子「……なんだよ。
噂じゃかなり強いって聞いてたから、もっと骨のあるやつだと思ってたのにさ……。
まぁいいや、そろそろ終わりにするか!」
マミ「!」
―私は、何とか力を振り絞って起き上がると、すぐに時間停止の魔法を使った―
杏子「なっ!?
テメェ、何しやがった!」
―そして私は、巴さんの手を掴んだ後、再び時間停止の能力を作動させた―
マミ「あっ、暁美さん!?」
ほむら「……安心して下さい、これは私の魔法の力です。
それと、私から手を離したらあなたの時間も止まってしまうので気をつけて下さい」
―それから私は、閃光手榴弾【M84】を投げた後、その場から立ち去った―
杏子「逃がすか―
って、なっ!」
杏子「チッ、やっぱ逃げられちまったか……」
―その後私達は、巴さんの家まで避難していた―
マミ「そんな……、ありえないわ……。
だって、あの子はもう……」
―巴さんは、うわ言のように同じ言葉を繰り返していた―
ほむら「……巴さん。
一体、どういう―」
マミ「だって、佐倉さんは、佐倉さんは……。
私が、この手で……。
……この手で、殺してしまったんだもの!」
ほむら「!?」
とりあえずはここまでですが、本日中に杏子編を一気に終わらせて、今度こそ新規投下分まで進む予定です。
なお、次の投下は今日の朝頃から行う予定です。
ほむら(どういうこと……?
どう考えても、佐倉杏子は生きているように見えたけど……)
マミ「ありえない、ありえないわ……」
ほむら(本当はすぐにでも事情を聞きたいんだけど、今はそっとしておいてあげた方がいいよね……)
マミ「そうだわ!」
―巴さんは、急にそう言って立ちあがると、何かを探していた―
マミ「……無い、やっぱり無い!
ということは……」
ほむら「巴さ―」
キュゥべえ(テレパシー:暁美ほむら)
ほむら(テレパシー:……何の用?)
キュゥべえ(テレパシー:杏子から、君達に伝えて欲しいことがあると言われて来たんだ。
入っていいかい?)
ほむら(テレパシー:……いや。
私は外で話したいから、そのまま待ってなさい)
キュゥべえ(テレパシー:分かった)
キュゥべえ「あれ、君一人かい?」
ほむら「……ええ、そうよ。
それで、佐倉杏子からの伝言の内容は?」
キュゥべえ『鹿目まどかのことは、アタシが預からせてもらったよ。
返して欲しかったら、すぐにさっきの場所まで戻ってきな』
ほむら「なっ、何ですって!?」
まどか「あっ、あの……」
杏子「何だよ?」
まどか「いや、やっぱり何でもないです……」
杏子「文句があるんならさ、はっきり言ってくれない?
まぁ、勝手に連れ去られたってのに、文句が無いはずもないだろうけどさー。
とにかく、何か聞きたいことがあるっていうなら、さっさと言いなよ」
まどか「それなら……。
……あなたは、どうしてこんなことをしたの?
わたし、何か―」
杏子「……別に、アンタに恨みがあってこんなことしてるわけじゃないよ。
アンタはね、あくまでアイツらをおびき寄せる為のエサさ」
まどか「それじゃあ、ほむらちゃんと“マミさん”―」
杏子「……止めろ」
まどか「えっ?」
杏子「……何でもない。
それと、アイツらにも恨みなんてねぇよ。
アタシは、頼まれたことをやってるだけさ」
まどか「……それって、誰に―」
???「まどか!」
杏子「ハンッ、思ったより来るのが早かったねぇ……。
……って、誰だテメェ?」
まどか「……えっ、さやかちゃん!?」
さやか「まどか、安心して!
あんたのことは、すぐにこのあたしが助けちゃうからね!!」
まどか「……さやかちゃん、どうして―」
さやか「何言ってんだよ、まどか。
困ってる親友を助けに来るのは、当たり前のことでしょ?
それにさ、あんたにはこの前のことで沢山迷惑かけちゃったしさ……」
まどか「さやかちゃん……」
杏子「フン。
なるほどね、テメェはコイツのオトモダチってわけか……。
でも、どうしてここが分かった?」
さやか「お前がまどかを連れていこうとするところを、あたしは見てたんだよね。
それで途中まで追いかけて見失っちゃったけど、その後はキュゥべえに聞いたんだよ」
杏子「チッ!
アイツ、余計なことを……」
さやか「というわけで、まどかを返してもらうよ!」
杏子「……」
杏子「……あのさぁ、まさかとは思うけど……。
アンタ、そんなバット一本だけでこのアタシと戦うつもりじゃあないよねぇ?」
さやか「そうだけど……。
だったら、何だって言うのさ!?」
杏子「ハァ……。
悪いけど、アンタみたいなトーシロどころか魔法少女ですらない一般人のバカに構ってる暇は無いんだよねぇ。
だからさ、さっさと帰ってくんない?」
さやか「嫌だね。
それとさ……。
そんなこと言うんだったら、どうして一般人のまどかのことを巻き込もうとするわけ!?」
杏子「フン。
詳しいことは言えないけど、ちょっとワケありでさ。
コイツだけは特別なんだよね」
さやか「……何よそれ。
そんなんであたし達が納得出来ると思ってんの?」
杏子「別にテメェが納得しようがしまいがアタシには関係ねぇんだよ。
いいから早く帰れって」
さやか「そんなわけには行くかぁー!」
―さやかちゃんは、私を誘拐した女の子に向かってバットを当てようとしたけど、その女の子はさやかちゃんのバットをあっさりと避けていました―
杏子「……おいおい、本当にやるつもりかよ」
さやか「当たり前だっての!」
杏子「ったく……。
仕方ないねぇ、ちょっとだけ遊んでやるよ。
そうだねぇ……、コイツを食い終わる前までにアタシを一回でも当てられたら、アンタの勝ちってことでいいや。
なんなら、ハンデとしてアタシからは手を出さないってことにしてやってもいいんだぜ?」
さやか「なっ……、ナメるんじゃないわよ!」
―それから、さやかちゃんはその子に向かって何度もバットを振ったけど、一度も当てることが出来ず―
杏子「はい、時間切れー!
……それじゃあ、アンタの負けね」
―その子はそう言うと、さやかちゃんの体を思いっきり蹴飛ばしていました―
さやか「ぐはっ!」
まどか「さやかちゃん!」
杏子「……フン。
あんたはそこで寝てなよ」
さやか「まどかは……」
杏子「チッ、まだ意識が残ってやがったか。
まぁいいや、もう一発食らわして眠らしてやるよ」
まどか「!
さや―」
さやか「……まどかのことは、今度こそあたしが守るんだあああ!」
杏子「なっ!?」
―その時、さやかちゃんが全力で振ったバットの一撃が、その子に直撃していました―
まどか「さやかちゃん!」
さやか「はは、まどか……。
あたし、まどかのことをちゃんと守れたかな?」
まどか「うん、さやかちゃん……」
さやか「でも、流石に疲れちゃった。
ちょっと肩を貸してくれる?」
まどか「もちろんだよ!」
さやか「ありがと―
!」
まどか「……さやかちゃん?
!!」
杏子「……ウゼェ。
やっぱり、アンタには死んでもらうしかないみたいだねぇ!」
さやか「がっ!」
まどか「さやかちゃんっ!」
キュゥべえ「さやかのことを助けたいのかい?」
まどか「キュゥべえ……!」
―いつの間にか、キュゥべえがわたしの近くにいました―
まどか「お願い、キュゥべえ。
あの子を止めて」
キュゥべえ「僕にはどうしようもない。
ただ、どうしても力づくでも止めたいというのなら、方法がないわけじゃないよ」
まどか「!」
杏子「終わりだよ」
まどか「わたし……」
ほむら「それには及ばないわ」
さやか「えっ、あたし……。
って、転校生!?」
まどか「ほむらちゃん……」
杏子「フンッ!
まーたテメェの仕業か。
相変わらず、妙な技を使いやがるねぇ……」
ほむら「……佐倉杏子。
鹿目まどかを誘拐するなんて、一体どういうつもり?」
杏子「コイツをおとりに使えばアンタ達は必ず来るはずだって聞いてたんだけど、どうやらソイツは間違ってなかったみたいだねぇ……。
ただ、巴マミのやつが見当たらないが、アンタ一人で来たのか?」
ほむら「……ええ、私一人よ」
―私は自動小銃【AK-47】を盾から取り出すと、佐倉杏子に向けて構えた―
杏子「へっ!
そうこなくっちゃね。
よし、かかってきなよ!!」
ほむら「そういえば、こうやってあなたと戦うのも久しぶりね……」
杏子「ハァ?
……アンタとは、さっき初めて会ったばかりじゃなかったか?」
ほむら「……そうね、そうだったわ。
それじゃあ、最初から全力で行かせてもらうわ!」
―そして私は、佐倉杏子が動き出す前に時間停止の魔法を作動させた―
―さらに私は、佐倉杏子の足に向けて機関銃を掃射した後、時間停止を解除した―
杏子「なっ、うっ!」
ほむら(……佐倉杏子は、私と同じように治癒魔法が苦手だったはず。
だから、これで動きを止めて―)
―でも、佐倉杏子は足に数十発の銃弾を受けたにもかかわらず、すぐに立ち上がって右手に装備された鍵爪状の長い刃が付いた武器で攻撃してきた―
ほむら「!」
―私は何とか盾を使ってその攻撃を受け止めると、右手で再び銃を構えようとしたが―
杏子「させるかよ!」
―佐倉杏子は銃を真っ二つに切り裂き、そのまま私の心臓を狙うように攻撃してきた―
―私はとっさに体をそらしてその突きをかわそうとしたけど、素早い攻撃を完璧に避けきることは出来ず、肩を刺されてしまっていた―
ほむら「うっ……」
―そして私は、そのままトドメを刺す為に攻撃してきた佐倉杏子に対して、隠し持っていた別の拳銃【ワルサーP5】を左手で撃って何とか後退させ、その隙に再び時間停止の魔法を作動させた―
杏子「なっ、いつの間に……」
―そして私は、時間停止の魔法を使って佐倉杏子の背後に回り込むと、対魔法少女用に改造を施したスタンガンを使って攻撃した―
杏子「ぐっ……」
―さらに私は、散弾銃【レミントンM870】を佐倉杏子の胸のあたりに向けて構えた―
ほむら「そのまま、動かないで」
杏子「……何のつもりだ。
アタシを撃たないのか?」
ほむら「それについては、この後のあなたの出方次第で決めるつもりよ」
杏子「……ソイツはどういう意味だ?」
ほむら「一週間後、この街にワルプルギスの夜が来る。
そして私は、出来ればあなたにもその討伐に参加して欲しいと考えているの。
だから……、もしも私に協力してくれるというのなら、あなたの命は助けてあげてもいいわ」
杏子「くっ、あはははは!
アンタ達のバカみたいな正義の味方ごっこにアタシも協力しろって?
そんな無愛想なツラをしてるわりには意外と面白い冗談も言えるんだね、アンタ」
ほむら「……私は、真面目に話しているのだけど」
杏子「へぇー。
アンタ、マジでそんな甘いこと言ってたんだ」
ほむら「それじゃあ、あなたの答えは私に協力するつもりは無いということでいいのかしら?」
杏子「そうだといったら?」
―私は、脅すように散弾銃を構え直した―
杏子「フンッ、上等じゃねぇか。
やれるもんなら、やってみなよ!
ただ……、そんなちっこい銃じゃあアタシには全く効かないと思うけどさぁ!!」
ほむら「あなた、何を―
!」
まどか「えっ、これって……」
さやか「……黒い、巨人?」
次回の投下は今日の夕方くらいの予定です。
※訂正
>>206
機関銃→自動小銃
―いつの間にか私達は、体の色が黒いことを除けば、巴さんと似たような姿の巨人へと変身した佐倉杏子が作り出した魔女の結界にも似ているような特殊な空間の中に入り込んでいて、
そして私は、まるで子供が人形でも持っているかのように、佐倉杏子の大きな手に掴まれてしまっていた―
ほむら「くっ、離しなさい……!」
杏子「フン、なるほどね。
こんな風にとっ捕まったままだと、あの妙な技も使えないってわけか……」
―私はその拘束を解く為に散弾銃を撃ったけど、ほとんどダメージは無いようだった―
杏子「だからさぁー、さっき言っただろ?
そんなおもちゃみたいな銃で何度攻撃しようと、今のアタシには全く効かないってさぁ!」
ほむら「うっ……、うあああっ!」
まどか・さやか「ほむらちゃん(転校生)!」
マミ「そこまでよ!!」
―その言葉と共に、突然何かが飛んできて佐倉杏子の手に当たったことで拘束から解かれた私はそのまま落下しそうになったけど、地面に激突する前に念力で受け止められていた―
まどか・さやか「ま、マミさん!」
ほむら「と、巴さん……」
杏子「……フン、やっと来たか。
来るのが遅いっつーの」
マミ「……佐倉さん、あなたはいつからそんな卑怯な手を使うようになったのかしら?
私は、そんな風に教えたつもりは無いのだけど……。
とにかく、少しお仕置きが必要みたいね」
杏子「……ったく、アンタはアタシの何を知ってるってんだよ。
本当にうぜぇやつだね、アンタ」
マミ「佐倉さん……」
マミ「……佐倉さん。
あなたの相手は、美樹さんでも、暁美さんでもない。
この、私でしょ?」
杏子「ハン、確かにこの前は中途半端なところで邪魔が入っちまったからねぇ……。
今度こそ、きっちりと決着をつけようじゃねぇか!」
マミ「……そうね。
私は、もう逃げない。
今度こそ、あなたのことを救ってみせるわ。
来なさい、佐倉さん!」
杏子「ハッ、このアタシをアンタが救うだって?
笑わせてくれるじゃんか……。
出来るもんなら、やってみなよ!」
―そして巴さんは、少しの間ためらった後、“私達”の目の前で光の巨人の姿に変身していた―
さやか「ま、マミさんが……」
まどか「巨人さんだったの!?」
杏子「……何だよ、アンタ。
コイツらには、まだ教えてなかったのかい?」
マミ「……」
杏子「フン、なるほどね……。
要するにアンタは、自分の正体が“化け物”ってことがばれちまうのが嫌だったってわけか」
マミ「っ……!」
杏子「ハン。
やっぱりね……」
杏子「……どうしたってのさ。
だってアンタは、どう考えたってもう“普通の人間”とは言えないだろ?
だからさ、とっとと認めちゃいなよ。
アタシと同じ、ただの“化け物”だってことをさ」
マミ「っ、やめて……」
杏子「……アンタらも、これで分かっただろ?
コイツはもう、アンタらみたいな“普通の人間”とは違う存在なのさ……」
ほむら「……」
まどか「そんなことないもん!」
杏子「は?」
まどか「……マミさんは、化け物なんかじゃないよ!
マミさんは、かっこよくて、とっても素敵で、私にとっては憧れの先輩だし……。
いつだって私達、いや、みんなの為に頑張ってくれてる凄い人なんだよ。
それに、たとえマミさんがどんな姿だったとしても、私には関係ない!!」
マミ「鹿目さん……」
さやか「ははっ。
あたしの言いたかったこと、まどかに全部言われちゃったな……」
まどか「えっ?」
さやか「……マミさん。
マミさんにいっぱい迷惑かけちゃったあたしなんかが言っても説得力無いかもしれないけど……。
あたしもさ、マミさんのことをすごく尊敬してるし……。
絶対に、マミさんのことを化け物扱いなんかしたりしないから」
マミ「美樹さん……」
杏子「はっ、何かしらけちまったねぇ……」
マミ「……あら、佐倉さん。
これから私と戦うっていうのに、そんな調子で大丈夫かしら?」
杏子「は?」
マミ「今の私は、いつもとは一味違うわよ!」
―そう言った巴さんの顔は、確かに、普段とは比べ物にならないほどの自信に満ち溢れているようだった―
マミ「Orlo Miracolo ed Infinita !【ミラクルマミスラッガー】」
―巴さんが放った刃物状の武器は、光を放って無数に分裂すると、佐倉杏子に向かって一斉に飛んでいった―
マミ「佐倉さん、あなたの実力はその程度なの?
さっきまでの強気はどこへいったのかしら……」
杏子「チッ……!」
―佐倉杏子は、右手に構えた武器でその攻撃を何とか全て弾くと、闇のエネルギー弾を放って巴さんを攻撃しようとした―
マミ「ハッ!」
―でも、巴さんは腕輪を盾に変形させると、その攻撃を簡単に受け止めていた―
マミ「諦めなさい、佐倉さん。
そんな闇の力なんかに頼っている今のあなたでは、私には勝てないわ!」
杏子「笑わせんじゃねぇぞ……。
このアタシが、テメェなんかに負けるわけねぇんだよ!」
―佐倉杏子がそう言って飛び上がると、巴さんも負けじと飛び上がって追いかけていき、二人の巨人による激しい空中戦が始まった―
―やがて、二人はしばらく空中で殴り合いの応酬を繰り広げた後、互いに向けて必殺技を放つと、強力な二つの光線が反発し合い、激しい爆発が起こった―
杏子「……」
マミ「あら、佐倉さん……。
油断している場合かしら?」
杏子「なっ!?」
―巴さんは隙をついて佐倉杏子の背後に回り込むと、強烈なキック【黄金の美脚】を放って佐倉杏子の体を吹き飛ばした―
杏子「グッ!」
―それから、巴さんは盾状にしていた腕輪を今度は槍に変形させ、倒れている佐倉杏子に向けて構えた―
マミ「あなたも分かってるんでしょう?
もうあなたに勝ち目は無い。
だから……、降参しなさい」
杏子「チッ……」
マミ「……お願い、佐倉さん。
私は、もうこれ以上あなたを傷つけたくないの。
だから―」
杏子「……やっぱり甘ちゃんだね、アンタ。
そんな調子じゃ、足元すくわれちまうよ?
例えば、こんな風にさぁ!」
マミ「えっ?」
まどか・さやか「えっ!?」
―佐倉杏子は、まどか達に向かっていきなり攻撃をしかけた―
マミ「ハッ!」
―巴さんはすぐに槍をまた盾に変形させてまどか達を守ろうとしたけど、その行動をさせることこそが、佐倉杏子の狙いだった―
杏子「おいおい、隙だらけだぜ……。
先輩!」
マミ「クッ!」
杏子「ハン、アンタも今度こそこれで終わりだ!」
ほむら「!」
―そして佐倉杏子は、巴さんの胸に付いている、どことなくソウルジェムにも似ているような半球状の形をした、おそらく弱点と思われる発光体に向けて攻撃を加えようとしていた―
まどか・さやか・ほむら(えっ?)
マミ(あれ、私……)
杏子「チッ、外しちまったか……」
―佐倉杏子は、かなりの至近距離にいたのにもかかわらず、どういうわけか、巴さんへの攻撃を外してしまったようだった―
ほむら(どう考えても、佐倉杏子がこの距離で攻撃を外すとは思えない……。
むしろ……、ワザと外した?
でも―)
杏子「こうなったら、あの技を使うしかねぇな……」
ほむら「!」
マミ(こ、これは……)
まどか「えっ!?」
さやか「ふ、増えた!?」
―佐倉杏子は、瞬時に何体もの分身を作り出すと、巴さんの周りを囲い込んでいた―
杏子「驚いたかい?」
マミ「……ロッソ・ファンタズマ?
いえ、この場合はネロ・ファンタズマというべきかしら……」
杏子「さぁーて、どれが本物のアタシか……。
見つけられるものなら、見つけてみなよ!」
―そして、幻惑魔法の力で七人に分身した佐倉杏子は、そのまま巴さんの周りを囲んだ―
マミ(幻惑魔法の使い方が、私と一緒にいた頃よりも良くなっている……。
おかげで、どれが本物の佐倉さんなのかが全く分からないわ……)
―巴さんは、どれが本物なのかを見分けることが出来ずに苦戦しているようだった―
杏子「へっ、これでも喰らいな!」
―佐倉杏子の放った闇のエネルギー弾が、巴さんに直撃した―
マミ「きゃあっ!」
杏子「おいおい、そんな声を出してる場合かよ?」
―佐倉杏子は、その後もさらにエネルギー弾を何発も放ち続け、容赦なく巴さんを追い詰めていた―
杏子「ほらほら、早く見つけないとアンタの体が持たないんじゃないの?」
マミ「くっ……」
ほむら(このままでは、巴さんが……。
こうなったら、私が何とかするしかない!)
―そして私は、再び時間停止の魔法を発動させると、盾の中から対戦車兵器【RPG-7 & AT-4】をいくつか取り出して、
まどか達に被害が及ぶことの無いように弾道を計算してから、分身した佐倉杏子達に向けて放った―
杏子「チッ……」
―そこにいた佐倉杏子達の内の六人は、被弾しても全く反応を示さなかったけど、“一人だけ”は明らかに違っていた―
ほむら「巴さん、本物は後ろです!」
杏子「邪魔すんじゃねぇよ!」
―“本物”の佐倉杏子が、今度は私に向かってエネルギー弾を放ってきた―
マミ「暁美さん、危ない!」
―巴さんは、私をかばって再び攻撃を受けてしまい、遂に倒れこんでしまっていた―
マミ「うっ!」
杏子「……フン。
アンタってさ、本当に甘ちゃんだよね……。
……まぁいいや、いい加減こんな茶番はもう終わりにしてあげるからさ!」
―佐倉杏子はそういうと、再び必殺光線の構えを取り始めた―
ほむら「!」
―そして、佐倉杏子が巴さんに向けて必殺技を放とうとしたその時、
突然、“分身達”の内の一人が私達の前に立ちはだかり、“もう一人の佐倉杏子”の腕を掴んだ―
杏子(本体?)「なっ……。
テメェ、一体どういうつもりだ!」
杏子(分身?)「そんなこと、絶対に許さない……。
“マミさん”は ……。
この“あたし”が守ってみせるんだ!」
杏子(本体?)「ハァッ!?
テメェ、分身の分際でこのアタシに逆らうつもりなのか?
調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
ほむら(一体、どうなってるのかしら……!?)
マミ「さ、佐倉さん……?」
―私達はしばらくの間、二人の佐倉杏子が仲間割れしているという光景を黙って見つめていることしか出来なかった―
杏子(善)「はっ!」
杏子(悪)「テメェ……、離せっ!」
杏子(善)「マミさん、今のうちに早く!」
マミ「えっ?」
杏子(善)「こいつを食い止めている間に、あたしごとやっつけちゃってよ!」
マミ「何を言ってるの!?
そんなこと、出来るわけ無いでしょう!」
杏子(善)「いいから、早く!」
杏子(悪)「フン、テメェの狙いはそれか……。
だけどな、テメェの思い通りにはさせねぇよ!」
杏子(善)「ううっ!」
―佐倉杏子は、もう一人の佐倉杏子に闇のエネルギー弾を放ち、一瞬で消し去ってしまった―
マミ「佐倉さん!」
杏子「残念だったね……。
生意気な分身には、もう消えてもらったよ。
今度は、アンタらの番―
うっ!」
ほむら「?」
―私達を攻撃しようとしていたはずの佐倉杏子が、急にもがき苦しみ出した―
杏子(善)「マミさん、今度こそこいつを!」
マミ「さ、佐倉さん!?」
杏子(悪)「て、テメェ……。
アタシの中から出てけ!」
杏子(善)「嫌だね!
誰が、お前なんかに従うもんか!!」
マミ(やっぱり、あなたにはまだ“正義の心”が残っていたのね……)
マミ(だったら、私は―)
杏子(善)「マミさん、早く!」
マミ「……嫌よ」
杏子(善)「ええっ!?
……マミさん、何言ってんのさ?」
杏子(悪)「ハン、仲間割れか?」
マミ「そうじゃないわ」
杏子(善)「じゃあ、どうしてさ?」
マミ「言ったでしょう?
今度こそ、私があなたのことを救ってみせるって」
杏子(善)「マミさん……」
―巴さんはそう言うと、佐倉杏子の背後に回り込み、後ろから抱きしめるようにして押さえつけた―
杏子(悪)「なっ!
テメェ、一体どういうつもりだ!?」
マミ「私の光で、あなたの闇を浄化してみせるわ!」
杏子(悪)「何っ!?
やめろ、やめろぉぉぉぉぉー!」
―そして、突然巴さんの体から眩い光が放たれると、次第に佐倉杏子の全身を包みこんでいった―
約一時間後にまた再開します。
―やがて、佐倉杏子の全身を包んでいた光の流れが収まった後、二人は“元の姿”に戻っていた―
マミ「うーん……」
ほむら「巴さ―
!」
マミ「暁美さん、どうしたの?」
杏子「……マミ?」
マミ「あら、佐倉さ―
って、ええっ!?」
杏子「いきなりどうしたの―
って、あたし、何でこうなってんのさ!?」
さやか「マミさん、どうしたの?」
まどか「えっ、杏子ちゃん……」
マミ「駄目っ!
二人とも、見ないであげて!!」
―佐倉杏子は、大量のエネルギーを使った影響なのか、何も身に纏っていない状態になっていた―
―それから、数分経って―
ほむら「そろそろ、落ち着いた?」
杏子「ああ、あたしはもうとっくに落ち着いてるよ」
ほむら「それじゃあ、まずは状況を整理しておきましょうか」
杏子「……別に必要ないよ。
あたし、さっきまでの記憶も全部残ってるからさ……」
ほむら「そう……」
杏子「だからさ、まずは先に一言謝らせてよ。
あんた達には、色々と迷惑かけちゃったからさ……」
マミ「佐倉さん……」
ほむら「ええ、構わないわ」
杏子「それじゃあ、一回しか言わないからな?
その……、あたし―」
マミ「!」
―でもその時、私達の周りに新しい魔女の結界が出来あがろうとしていた―
―そして、そこに現れたのは、私が今までに一度も見たことのなかった魔女だった―
杏子(!
こいつは……)
マミ「みんな、下がって!」
―巴さんは真っ先にその魔女に立ち向かおうとしたけど、先程までの戦いの影響でエネルギーが不足してしまっているのか、変身することが出来ずに倒れこんでいた―
マミ(そんな……。
こんな時に!)
ほむら「!
巴さん、危ない!!」
マミ「!」
―鳥のような姿をしたその魔女は、ほとんど無防備状態の巴さんに襲いかかろうとしていた―
―でも、その魔女によって巴さんが傷つけられることはなかった―
マミ(えっ、私……)
杏子「うっ……グハッ!」
―佐倉杏子が、巴さんをかばって魔女の攻撃をまともに食らい、そのダメージの影響で吐血していた―
マミ「佐倉さん!」
―巴さんは、魔女によって投げ出された杏子の元に駆け寄ろうとしたけど、
佐倉杏子はその前に自分と私達との間に縛鎖結界を作り出して、誰も侵入出来ないようにしていた―
杏子「……はっ、情けないねぇ。
あんたの方こそ、下がってなよ」
マミ「佐倉さん、どうして……!?」
ほむら「“杏子”、一体どういうつもりなの?」
杏子「“この魔女”には、ちょっとばかし借りがあってね……。
だからさ、悪いけどあんた達にも手出しさせるわけにはいかないよ」
マミ「何言ってるのよ、佐倉さん!
そんなに傷だらけのあなたを一人で戦わせられるわけないじゃない!!」
杏子「ていうかさ、それならあんただって人のこと言えないだろ?
そんなボロボロの状態で来られても、かえって足手まといだっつーの」
マミ「そんな……。
でも、私……」
杏子「どのみち、おそらくあたしはもう長くない……。
だからさ、最後くらいはカッコつけさせてよ」
ほむら「あなた、まさか……」
杏子「それにさ……。
あたしはもう、大切な人が死んでいくのを見たくないんだよね……」
マミ「そんなの、私だって同じよ!
あなたが死んでいくところなんて、何度も見たいわけなんてないじゃない!!」
杏子「ああ、そいつは悪かったね……。
でもさ、だったらさっさとここから出て行けばいいじゃんか」
マミ「ふざけないで!
とにかく、早くこっちへ戻ってきなさい!!」
杏子「……ったく、今さらそんなの無理だって。
ていうかさ、頑固で融通が利かないところはやっぱり変わってないんだね……」
ほむら「……」
杏子「……そうだ、あんた達!」
まどか・ほむら・さやか「……何かな(かしら)?」
杏子「あのさ……、マミのことは、あんた達に任せる。
だから、よろしく頼んだよ」
まどか・ほむら・さやか「……うん(ええ)。
分かったよ(わ)」
杏子「……じゃあね」
―そして佐倉杏子は、私達から離れて魔女のところへ向かっていった―
マミ「待って、佐倉さん!
……駄目よ、駄目ぇぇぇぇぇっ!!」
―必死で抵抗しようとする巴さんに対して、私達は三人がかりで抑えようとしたけど、
実際には、私どころかまどか一人でも問題ないと思えるほどに、その力は弱々しくなっていた―
杏子「早く行きな!」
―そして私達は、その結界を後にした―
杏子「……ったく、あたしもまさかあの時の生き残りがいたなんて思ってもみなかったけどさ……。
相変わらず、アンタもとことん喰い意地の張ったやつだよね……」
杏子「……あいつらを喰い損ねたのが、そんなに悔しいのかい?
それとも何、まさかとは思うけど……。
前にあたしが倒した仲間の敵討ちをしに来たって言うんじゃないよねぇ?」
杏子「まぁ、そんなことはどうでもいいか。
いい加減さ、お互いこれで終わりにしようぜ?
安心しなよ、この一撃で仲間のいる地獄にきっちりと送ってあげるからさぁ!」
杏子(父さん、母さん、モモ。
もうすぐ、あたしもそっちに行くよ。
いや、やっぱりあたしは行けないのかな……)
―そしてあたしは、残っていたエネルギーを全て一点に集中させた―
杏子(……さよなら、マミさん)
―私達が脱出してから数分後、激しい爆発音が鳴り響くと、魔女の結界は一瞬で消滅していた―
さやか「あっ……」
まどか「杏子ちゃん……」
ほむら「……」
(私は……、今回もまた、大切な人の命を繋ぎ止めることができなかった……)
―魔女の結界が消滅するのを見届けた後、背後で誰かが倒れたような音がしたことに気付いた私は、すぐに音がした方向を見ようとした―
まどか・さやか「マミさん!」
ほむら「……えっ?
巴さん!」
―そして私が後ろを振り向くと、気を失った巴さんが地面に倒れこんでいた―
―まどかは、保健係をやっている為か、普段からこういう状況にも慣れているようで、真っ先に反応すると、巴さんの状態を見ていた―
さやか「まどか、マミさんはどんな感じ?」
まどか「すっごい熱……。
早く、病院に連れてってあげないと!」
ほむら「……それは駄目よ」
まどか「えっ!?」
さやか「なっ……。
何言ってんだよ、転校生!」
ほむら「……あなた達も、見てたでしょう?
先程のあなた達の言葉を否定するようで悪いけど、巴さんはもう普通の人間ではないの。
だから……、病院に連れていくというのは、色々と都合が悪い」
まどか「……」
さやか「……で、でも、それじゃあどうしろっていうのさ!
まさか、マミさんのことをこのまま放っておけっていうのかよ!?」
ほむら「そうは言ってないわ。
とりあえずは……。
そうね、私達で巴さんの家まで連れていってあげましょう」
まどか「……う、うん。
そうだね……」
ほむら「……巴マミが、目を覚まさない」
キュゥべえ「意外な展開ではないよ、予兆は随分前からあった」
ほむら「えっ?」
キュゥべえ「その様子だと、やっぱり君は気付いてなかったんだね。
まぁ、彼女も君達には感づかれないように気を付けていたみたいだし、無理もないのかもしれないけどね」
ほむら「どういうこと?」
キュゥべえ「巴マミは、この星のあらゆる場所にいる魔女達に対して、可能な限り一人だけで対処しようとしていた。
元々彼女は、魔女の討伐を自らに課せられた使命として捉えている傾向があって、多少の無理をしてでも自分が戦わなければならないと考えていたようだ。
そして、魔法少女が魔女になるということを知ってからは、さらに無理をするようになった。
おそらく、新しい魔法少女が産まれるのを阻止したかったのと、既に魔法少女になった者達の負担を減らして、魔女になるのを少しでも遅らせる目的でそうしていたんだろうね。
だが、当然彼女一人では、全ての魔女を倒すことなんて出来るはずもない。
いくら彼女が、並はずれた力の持ち主だとしてもね。
それでも彼女は、出来る限り一人で魔女と戦うようにしていた。
……それにね、君と組むようになってからも、別の街では一人で戦っていたようだよ。
でも、そうやって無理を重ねていれば、当然いつかは限界が来る。
それが、たまたま今だったというだけのことさ」
ほむら(……そういえば、最近の巴さんは巨人に変身しないことが多かった。
今考えると、それも出来る限りエネルギーの消費を抑える為だったのかしら……)
キュゥべえ「さらに今回は、彼女にとって大切な仲間が死んでいくのを阻止出来なかったことで、多大な精神的ダメージを受けたはずだ。
加えて、これまでの戦いの影響で肉体的にもかなり消耗している。
だから、再び戦える状態まで回復するのには、おそらくかなりの時間がかかるはずだろうね。
そうなると、彼女はもう脱落したも同然だろう。
つまり……、ワルプルギスの夜に立ち向かえるのは、君だけしか居なくなったということだ」
ほむら「っ……!」
キュゥべえ「もちろん、君一人では勝ち目なんてない。
この街を守るためには、誰かが魔法少女になるしかない訳だ。
当然僕としては、すぐにまどかが魔法少女になってくれるのが一番良いんだけど、別に美樹さやかや他の誰かでも構わないよ。
彼女程度の素質の魔法少女が何人か増えたところで、ワルプルギスの夜には簡単に勝てるわけも無い。
でも、その事実をまどかが知ってくれれば、それだけ彼女が契約してくれる可能性も大きくなるはずだ。
ましてや、まどかの性格から考えると、さやかのような親しい間柄の者が契約して、なおかつ君達が苦戦しているところを見れば―」
ほむら「やらせないわ。
……絶対に!」
やっと旧スレの投下分まで終わりましたが、本日はここまで。
新規の投下分に関しては、明日から投下する予定です。
丸一日遅れてしまいましたが、再開します。
【数年前】
マミ「ここに来るのも、久しぶりね……」
(私は、ある調査任務を帯びて、この“地球”へと帰って来ていた)
(……でも、実際には任務とは名ばかりであって、本当のところは、
緊急事態だったとはいえ、しばらくの間、光の国という見知らぬ星で暮らさざるを得なかった私を気遣ってくれたみんなが、
何とか私を生まれ故郷の星へ帰してあげたいということで、今回の派遣を決めたらしかった)
(だけど、私は……。
正直に言うと、本当は帰ってきたくなんてなかった。
なぜなら、ここに戻ってくるということは、嫌でも私の両親が亡くなったという事実を思い知らされることになるし、
あちらで新しい仲間と家族を得たことで、何とかそのトラウマを克服しかけていた私にとっても、
こちらでは独りぼっちであるということを、より強く意識させられることになるからだった)
マミ「……」
?「マミ」
マミ「えっと……、何でしょうか?」
?「任務の概要は、ちゃんと頭に入っているわね?」
マミ「もちろんです。
でも……」
?「“でも”、何かしら?」
マミ「やっぱり、私一人でちゃんとこの任務をこなせるかどうかが、少しだけ不安で……」
?「マミ、あなたなら大丈夫よ。
あなたは“あの子”とは違って優秀だし、今回の任務もそれほど難しいものではないはず。
だから、もっと自分に自信を持ちなさい」
マミ「……はい」
?「まぁ、確かにあなた一人をそちらに派遣させることに関しては、私も不安が無いわけではないのだけれど……。
……とにかく、何かあったらすぐに私に報告するのよ?」
マミ「分かってます、先輩」
?「そう……。
それじゃあ、頑張ってね」
マミ「はい、頑張ります!」
マミ(……はぁ。
私、本当にこれから一人でやっていけるのかな……?)
マミ(いや、弱気になってる場合じゃないよね……。
だって、みんなが私なら大丈夫って判断してくれたから、私はここに来ているのよ。
だから、ちゃんとみんなの期待に応えられるように、もっとしっかりしないとね!)
マミ(!
これは……、さっそくマイナスエネルギーの反応が出たみたいね。
よし、すぐに現場へ向かいましょう!)
―そして、その波動を追って別の街へと向かった私は、辿り着いた先で禍々しい雰囲気を持つ結界のようなものを見つけていた―
マミ(……ここね。
微弱なものではあるけれど、この中から、確かにマイナスエネルギーが発生している)
マミ(でも、少し変ね……。
少し似た感じの波長ではあるけれど、明らかにマイナスエネルギー以外のエネルギーの反応が感じられるわ……)
マミ(……まぁ、ここでずっと考えていても仕方ない、か。
とにかく、中に入ってみましょう)
短いですが、今日はここまで。
次回の投下は明日~明後日までのどこかで行う予定です。
乙っす、待ってた!
マミさんの方が優秀だと言う“あの子”ってもしや・・・・・・
乙
乙
また、予定よりも遅れてしまいましたが、少しだけ投下します。
―結界の中に入った私は、マイナスエネルギーを発している謎の生命体と、
それを黙って見つめている、可愛い衣装を着た女の子を見つけていた―
魔法少女「……なーんだ、ここにいるのは使い魔だけですかぁ……。
来たのは時間の無駄でしたかね……」
マミ(……女の子?
どうやらもう一つのエネルギー反応は、あの子から出ているものみたいね……)
魔法少女「いや、待って下さい……。
もしかしたら、ちゃんとグリーフシードを孕んでくれるかもしれませんねぇ……」
男性「うわぁ!
頼む、誰か助けてくれぇ!!」
―よく見ると、結界の中にはもう一人、そこで襲われかけている男の人がいた―
魔法少女「それじゃあ、私は外で待ってるとしますか!」
マミ(えっ、どういうこと……!?)
男性「誰か、誰か助けてくれぇ!」
マミ(……とにかく、あの人を助けないと!)
―そして私は、その人を助ける為に変身した―
男性「なっ、何が起こったんだ……」
マミ(良かった、間に合っ―)
男性「ひっ、今度はでかい化け物!」
マミ(えっ!?)
男性「ちくしょう、これでも食らえっ!」
マミ「……」
男性「ちくしょう、ちくしょう……」
―私は、黙ってすぐにそこを離れることしか出来なかった―
男性「はぁ、いなくなったか……」
魔法少女(!
使い魔の結界が……、消えた?
でも、他の魔法少女の魔力も特に感じられなかった……。
……とにかく、あの男に話を聞いてみるか……)
魔法少女「あの、おじさま?」
男性「なっ、何だ君は?
いっ、一体どうなってる!」
魔法少女(ちっ、めんどくさいな……)
魔法少女「……いいから、ここで起こったことを話して下さい【洗脳魔法】」
男性「……はい。
最初はこれくらいの小さい化け物が俺を襲ってこようとして……。
その後に、今度はでっけぇ宇宙人みたいな化け物が出てきやがったから、何とか俺がおっぱらってやったんだ……」
魔法少女(大きい化け物……、魔女のこと?
でも、他に魔力の反応等は無かったはず……)
魔法少女「……ありがとうございます。
あとは、適当に寝てて下さいね」
男性「……はい」
魔法少女(さぁーて、どうしましょうかね……)
キュゥべえ「やぁ、久しぶりだね」
魔法少女「キュゥべえ……」
キュゥべえ「君がここの使い魔を倒したのかい?」
魔法少女「いえ、私も今ここに来たんです。
それより……。
今、そこで寝ている男に話しを聞いてみたら、結界の中に大きな宇宙人みたいな化け物が現れたって言ってたんですけど……。
キュゥべえ、その化け物のことについて何か情報とかって無いですか?」
キュゥべえ「それは、人型の魔女のことじゃないのかい?」
魔法少女「でも、魔女の反応は特に無かったはずなんですよねぇ……」
キュゥべえ「うーん。
申し訳ないけど、魔女以外でそういう化け物が出たという前例は聞いたことがないんだよね。
だから、あいにくだけど僕にも助言のしようがない」
魔法少女「そうですか……」
キュゥべえ「ただ、今後何か情報を掴んだら、すぐに知らせるよ」
魔法少女「ええ、お願いしますね」
今回はここまで。
次回は明日の夜の予定です。
乙
散々だなマミさん……
ささにゃんか
再開します。
>>263
いきなり秘密がバレちゃいましたね……。
口調とかについては若干うろ覚え気味なのでちゃんと再現出来てるのかがちょっと怪しいですけど、その通りです。
ちなみに、知らない方もいると思うので少しだけ説明させて頂くと、>>257~>>260の魔法少女はオリキャラではなく、
まどか☆マギカの公式外伝作品であるおりこ☆マギカシリーズの番外編に登場する魔法少女、優木沙々というキャラクターがモデルです。
(詳細は→http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%84%AA%E6%9C%A8%E6%B2%99%E3%80%85)
ただ、時系列等の都合上、他のおりこ勢は登場させない予定です。
―私はその後も、見滝原とその周辺の街に現れる、
マイナスエネルギーを発生させている謎の生き物からみんなを助ける為に行動し続けていた、のだけれど―
マミ(はぁ……。
今日も、助けた人に恐がられちゃったなぁ……)
『化け物!』
マミ(……気にしては駄目。
私は、あの人達を助けることが出来た……。
だから……、それで充分じゃない)
マミ「よし、今日はそろそろ家に帰りま―」
キュゥべえ(テレパシー:巴マミ)
マミ「えっ!?
だっ、誰?」
キュゥべえ「良かった。
今でも僕の声は聞こえるみたいだね」
―いつの間にか私の足元には、ウサギや猫に似たような姿の、不思議な生き物が立っていた―
マミ「あなた……。
一体、何なの?」
キュゥべえ「うん、僕の姿もちゃんと見えているようで安心したよ。
ちなみに、僕の名前はキュゥべえ」
マミ「……キュゥべえ?
あっ、そういえば……。
……どうして、私の名前を知っているの?」
キュゥべえ「君のことは、魔法少女の候補生として調査していた時期もあったからね」
マミ「……魔法少女?」
キュゥべえ「魔法少女は、魔女を狩る者達のことだよ。
それより……。
最近、この街の周辺で使い魔を狩っているのは君だよね?」
マミ(今度は魔女?
それに……、使い魔?
うーん……。
もしかすると、あの、マイナスエネルギーの発生源だった生き物のことかしら?
……とにかく、この子に一度話を聞いてみる必要がありそうね……)
マミ「……ねぇ、キュゥべえさん?」
キュゥべえ「何だい?
巴マミ」
マミ「その、魔法少女や魔女のことについて……。
詳しい話を聞かせてもらえるかしら?」
―そして私は、自分の部屋にキュゥべえを招いて、魔女についての詳しい話を聞いていた―
マミ「……なるほど。
今まで、私が戦ってきたのが使い魔で……。
それよりも強い、親みたいな存在が魔女というわけね」
キュゥべえ「うん、そういう認識で問題ないと思うよ」
マミ「それじゃあ……。
魔法少女は、どういう存在なの?」
キュゥべえ「呪いから産まれるのが魔女だけど、魔法少女は願いから産まれた存在だ。
魔法少女は希望を振りまきながら、絶望を蒔き散らす魔女達と戦っている」
マミ「う~ん、ちょっと難しいけど……。
とにかく、魔法少女は魔女と戦う使命を帯びた、正義の味方ってことでいいのよね?」
キュゥべえ「確かに、そういう風にとらえることも出来るかもしれないね」
マミ「……そうなんだ。
ただ、私はこの一週間で何度も使い魔と戦ってきたけど……。
魔法少女の子が使い魔と戦っているところは、まだ一度も見たことが無いのだけど……」
キュゥべえ「まぁ、そうだろうね」
マミ「えっ?」
キュゥべえ「ほとんどの魔法少女は、使い魔と戦うことを出来る限り避けようとする傾向があるからね」
マミ「どうして!?
だって、使い魔だって人を襲ってるじゃない!
魔法少女の使命は、魔女と戦うことなんでしょう?」
キュゥべえ「確かにそうだけど……。
使い魔と戦っても、グリーフシードを得ることは出来ないからね。
だから、魔女に成長するまで放置するという子が多いよ」
マミ「何ですって!?
成長するまで放置するってことは……。
つまり、人を襲うように待ってるってこと?」
キュゥべえ「うん、その通りだよ」
マミ「どうして、そんなことをするの!?」
キュゥべえ「さっきも言った通り、グリーフシードを得る為だよ」
マミ「……それじゃあ、グリーフシードって一体何なの?
誰かを犠牲にしてまで欲しいと思ってしまう程、大切なものだとでもいうの!?」
キュゥべえ「それについては、個々人の価値観の違いもあるから何とも言えないけど……。
グリーフシードは、魔法少女にとって絶対に必要なものだからね。
グリーフシードが無ければ、魔力を回復することが出来ないから、魔女と戦っていくことも出来ないし……」
マミ「でも、そんなことって……。
……!」
キュゥべえ「どうしたんだい?」
マミ「マイナスエネルギーの反応が出たわ!」
キュゥべえ「マイナスエネルギー?」
マミ「あなたが使い魔と呼んでいた存在から出されている、負のエネルギーのことよ」
キュゥべえ「なるほど」
マミ「とにかく、すぐに現場に向かいましょう!
……それと、話の続きは帰って来てからまた聞かせてね」
キュゥべえ「うん、分かったよ」
―結界の中に入った私は、全身が錆びついた機械の部品のようなもので構成されている姿の魔女と遭遇していた―
マミ「……あれが、魔女?」
キュゥべえ「ああ、あれは魔女だね。
ただ……。
君が今までに倒してきた使い魔とは、比べようもないほど強いから、気をつけて!」
マミ「大丈夫。
負けるもんですか!」
―そして私は、すぐさまその場で変身すると、
その魔女に向かって必殺光線【アルティマシュート】を放った―
―でも……。
その時私は、取り返しの付かないミスをしてしまっていた―
子供「うわあああん」
マミ「えっ……、お、男の子!?
……駄目っ、間に合わない!」
―そして、私の放った光線は……。
その“魔女”を、一瞬で消し去っていた―
続きは明日中に投下します。
乙
マミ(わ、私は、なんてことを……)
キュゥべえ「マミ。
君が魔女を倒したから、そろそろこの結界も消えてしまうよ。
早くここから出た方がいいんじゃないのかい?」
マミ「……」
キュゥべえ「マミ、早く出よう」
マミ(……ごめんなさい、ごめんなさい……!)
―そして私は、その結界を後にした―
マミ「はぁ、はぁ……」
キュゥべえ「大丈夫かい、マミ?」
マミ「……私、私……」
キュゥべえ「初めて魔女と戦ったにしては、君は良くやったと思うよ。
今回は、たまたま運が悪かっただけさ」
マミ「でも、私がもっと気をつけていれば……」
キュゥべえ「どのみち、あの子供を助けることは出来なかったと思うよ。
僕達があの結界に侵入した時点で、既にほとんど魔女に取り込まれてしまっていた状態だったからね。
君がぎりぎりまで彼の存在に気付けなかったのも、それが原因だろう」
マミ「でも、でも……。
私は、あの子を死なせてしまった……」
マミの部屋
キュゥべえ「……マミ、そろそろ落ち着いた?」
マミ「……ええ」
キュゥべえ「良かった」
マミ「……ねえ、キュゥべえ」
キュゥべえ「何だい、マミ?」
マミ「魔女や使い魔は……。
いつも、ああやって人を襲って成長しているのよね?」
キュゥべえ「うん、そうだよ」
マミ「ということは、魔法少女の子達は……。
そのことを、知った上で放置しているというの?」
キュゥべえ「うん、そういうことになるね。
まぁ、契約したばかりの子の中には、そのことをまだ知らないという子もいるけど……」
マミ「……何とかその子達にも、使い魔を放置しないで倒すようにお願いすることは出来ないかしら……?
みんなで協力すれば、魔女達による被害を最小限に留められるはずでしょう?」
キュゥべえ「うーん、君から彼女達に呼びかけるというのなら、それは別に構わないけど……。
おそらく、そのように説得するのは難しいんじゃないかな?」
マミ「……どうして?」
キュゥべえ「ほとんどの魔法少女は、グリーフシードを得る為には多少の犠牲が出てしまうこともやむを得ないと考えている子が多い。
それどころか、中には積極的に人間を使い魔に襲わせたり、より条件の整った魔女の狩場を得る為に、魔法少女同士で縄張り争いをする子もいるくらいだ。
だから、君が考えているような規模の協力体制を作ることは、ほぼ不可能だろうね」
マミ「そんな……」
マミ(やっぱり、私なんかには無理だったのよ……。
……そうだわ!)
キュゥべえ「マミ、何をしてるんだい?」
マミ「これから、光の国にいる先輩に連絡して……。
今後のことを、相談しようと思って」
キュゥべえ「……光の国?」
マミ「私がここへ来る前に、住んでいた星よ」
キュゥべえ「それじゃあ君は……。
この星の出身ではないというのかい?」
マミ「いえ、確かにこの星が故郷なんだけど……。
色々あって、しばらくその星で暮らしていたの」
キュゥべえ「なるほど……。
それじゃあ、邪魔しないように僕はどこかへ行っていた方がいいのかな?」
マミ「いえ、あなたも一緒にいてくれた方が助かるわ。
その方が、今の状況を説明しやすいでしょうし……」
キュゥべえ「……分かった」
少し休憩を挟んで、深夜0時~1時頃に再開します。
?「マミ。
……要件は、何かしら?」
マミ「まずは……、報告から。
“この地球”で発生しているマイナスエネルギーは、“魔女”という生命体から発せられていることが分かりました」
?「魔女?
その、あなたが言っている魔女というのは、その星における伝説や俗信として語り継がれている魔女のこと?」
マミ「いえ、そういうおとぎ話などに出てくるような魔女とは違って……。
私が遭遇した“魔女”は、どちらかといえば“怪獣”に近い存在と言えます」
?「怪獣に?」
マミ「はい。
ただ、大きさ的にはせいぜい10m前後ですし、私でも簡単に倒せる程度の強さです。
それに、魔女に対抗する魔法少女という存在がいることも分かりました」
?「魔法少女?」
マミ「それについては、“彼”に聞いた方が分かりやすいかと思います」
?「彼?」
マミ「ええ、ここにいる彼です」
?「……あの、マミ?
悪いけど、私にはあなた一人しかいないように見えるのだけど……」
マミ「えっ?」
マミ(テレパシー:どういうこと、キュゥべえ?)
キュゥべえ(テレパシー:言い忘れていたけど、僕の姿と声は魔法少女としての素質がある者にしか認識出来ないんだ。
だから、おそらく彼女にはもう素質が無いんだと思うよ。
見たところ、君よりも年上みたいだしね)
マミ「……」
?「……マミ、どうしたの?」
マミ「……何でもないです。
では、報告を続けますね……」
?「え、ええ……」
―それから、数分後―
マミ「―以上で、報告は終了です。
ですが、先輩に一つ相談したいことがあって……」
?「あら、何かしら?」
マミ「あの、私……。
魔女との交戦中に……、大きな失敗をしてしまいました」
?「失敗?
それはどんな失敗なの?」
マミ「魔女を、攻撃する時に……。
誤って、子どもを光線で撃ってしまいました……」
?「……そう」
マミ「……あの、私!
やっぱり、ここで戦っていく資格なんて無いんじゃないでしょうか?」
?「……どうして、あなたはそう思うの?」
マミ「だって……。
私は、取り返しのつかないミスをしてしまいました。
こんな私が戦っても、また同じように誰かを犠牲にしてしまうかもしれない。
ですから、もっと他の誰かに任せた方が―」
?「ミスをすることなんて、誰にでもあるわ。
重要なのは……。
その失敗から何を学んで、この先、それをどういう風に生かしていくかということじゃないのかしら?」
マミ「えっ?」
?「マミ、あなたは任務から外れることでその件に対する責任を取ろうと思っているみたいだけど……。
私に言わせれば、それはただ逃げようとしているだけのようにしか思えない」
マミ「そんな!」
?「もちろん、その子を死なせてしまったことにあなたが心を痛めているというのは分かるし、自分に資格が無いと思ってしまう気持ちも理解出来る。
でもね……、私なら、二度とその子のような犠牲者を出してしまわないように、もっと強くなろうと努力する道を選ぶわ」
マミ「……」
?「もちろん、あなたがもう止めたいというのなら、強要はしない。
ただ……。
私個人としては、あなたがその任務を続けていくことで責任を果たすという方法を選んで欲しいと思っている」
???「私も、彼女の意見に同意だ」
マミ「!」
?「!!
あなたは……」
マミ「セブンお兄ちゃん!」
セブン「久しぶりだな、マミ。
……すまないが、マミと少し話しをさせてもらっても構わないかね?」
?「はい、もちろんです!」
セブン「ありがとう。
……マミ、お前は戦闘中に誤って子どもを死なせてしまったそうだな」
マミ「……はい」
セブン「確かに、それは取り返しのつかない失敗と言えるかもしれない。
だから、お前はそのことを大いに反省するとともに、その罪をずっと背負っていかなくてはならないだろう。
だが、そうやって罪を背負っているのはお前だけではない。
私も、自分のミスで大切な仲間や人々を救えなかったことは何度もある」
マミ「えっ、本当に!?」
セブン「ああ。
それに……、私だけではない。
お前の先輩達も皆、同じような失敗を犯してしまったことがある。
だが、我々はその失敗をバネにして、二度と同じような過ちを繰り返さない為に、強くあろうとしてきたのだ」
マミ「……」
新マン「セブン兄さんの言う通りだ」
マミ「!
ジャックお兄ちゃん……」
新マン「私も、マミと話をさせてもらってもいいですか?」
セブン「ああ、構わないが……。
でも、いいのか?」
新マン「ええ。
私も、いつかはマミに話したいと思っていたことですから」
セブン「ああ、分かった」
新マン「―私はとある宇宙人との交戦中、その宇宙人を倒すべくスペシウム光線を放った。
だが、私の考え方は甘かった。
その宇宙人が、人質の子どもを盾にするとは思ってもいなかったのだ。
その結果、私はその子を死なせてしまった」
マミ「!!」
新マン「その後私は、自棄になって自分の使命を放棄し、酒に溺れた。
だが、兄さん達が私を諫めてくれた……。
そして、再び同じような事態に陥った時、私は誓ったのだ。
二度と同じような悲劇は、繰り返すまいと」
マミ「……」
セブン「マミ。
今から言う言葉は、ウルトラマンからの受け売りだが……。
私達は、神ではない。
救えない命もあれば、届かない思いもある。
だが、大切なことは、最後まであきらめず、立ち向かうことだ」
新マン「たとえわずかな希望でも、それを信じて立ち向かう。
信じる心、その心の強さが不可能を可能にする」
マミ「……」
?「……マミ。
あなたは、どうしたいの?」
マミ「わ、私は……」
キュゥべえ「……マミ。
君の先輩達との話は、もう終わったのかい?」
マミ「……うん」
キュゥべえ「それで、今後はどうしていくことになったんだい?」
マミ「今まで通り、私が“この地球”に残って、魔女達と戦っていくことになったわ」
キュゥべえ「……そうか」
マミ「……」
マミ「……そうよ」
キュゥべえ「えっ?」
マミ「そうだわ!」
キュゥべえ「マミ、どうしたんだい?」
マミ「私、変身しないで戦えばいいのよ!」
キュゥべえ「……でも、君はその状態でちゃんと戦うことが出来るのかい?」
マミ「ええ。
変身しなくても、ある程度は身体能力を向上させることが出来るし、いくつか補助的な超能力も使えるから防御面でも問題ないわ。
それに、攻撃にはスラッガーを使えばいいわけだし……」
キュゥべえ「まぁ、君がどういう風に戦おうと僕は構わないけど……。
そうやって戦い方を変えることに、何か意味はあるのかい?」
マミ「分かってないわね、キュゥべえ。
変身しないで戦えば、エネルギーの消費は抑えられるし、小回りもきくから周囲の状況がより把握しやすいはず。
何より……、みんなに恐がられなくて済むじゃない!」
キュゥべえ「……なるほど。
他人からの評価のことはともかく、確かにエネルギーの消費を抑えるということは重要だね」
マミ「そうでしょう?
それに……」
キュゥべえ「まだ、他にも何か理由があるのかい?」
マミ「……いえ、何でもないわ」
キュゥべえ「そうかい」
マミ(それに……。
力を抑えて戦うことが出来れば、もうこの前みたいな失敗も無くなるはずよね……)
【一年後】
―そして私は、今日も魔女と戦う為に結界を探していた―
マミ(……うん、ここね)
マミ「……結界が歪んでる。
誰か、いるの……?」
杏子「相変わらず……。
なんてバカ力なヤツ!」
杏子「だけど、今回は……。
いつぞやの二の舞にはならないよ!」
杏子「さぁーて、あたしが二人ぃっ!
どっちが本物か、当ててごらんよ!!」
杏子「残念、それは偽物さ!
本物は……、こっちっ!!」
杏子「よしっ、もらったっ!
てゃああっっ!!」
杏子「ふぅ……。
やっと、リベンジ果たせたね。
……キュゥべえ」
キュゥべえ「!
杏子、まだだ!!」
杏子「!
うわっ……。
この、離せっ!!」
杏子(あっ、駄目だ……。
このままじゃ、あたし―)
マミ「……なるほどね。
幻惑の魔法、面白い力だわ……」
杏子「!?」
マミ「でも……。
魔女の方まで同じ能力だったのは、ちょっとツイてなかったわね……」
杏子(あの人は……。
魔法、少女……?)
マミ「……行くわよ、Grande Coltelleria !【ビッグマミスラッガー】」
―それが、佐倉さんと私の出会いだった―
というわけで、今回はここまで。
早く杏子ちゃんを出したいが為に若干駆け足で書いたので、色々と粗や矛盾だらけの文章になってるかもしれませんが、そこについてはご了承ください。
なお、本日中にもう一度投下する予定です。
乙なんだぜ
※やっぱり、時系列の流れが不自然に感じられる箇所がいくつかあったので、訂正。
>>265~>>286
最後を除いて、全ての出来事が一日の間に起きていることになっていましたが、
キュゥべえとの出会い→魔女との初戦闘、までの間の期間を使い魔との戦闘等で数日経過した後ということに変更し、
逆に、先輩達との会話→戦闘スタイルの変更、の流れは同日中の出来事ということに変えます。
>>287
【一年後】→【数か月後】
他にもまだおかしい箇所があるかもしれませんが、気付いた時点でその都度訂正します。
マミ「間に合って良かったわ……。
大丈夫?」
杏子「……うん、ありがと。
ところで、あんたは……?」
マミ「挨拶は後よ。
今はあの魔女を倒さなくちゃ!」
杏子「気をつけて!
あいつ、何度ぶったたいても簡単に復活しちゃうんだ」
マミ「あの魔女の本体は、おそらく大きな斧の方よ。
だから、身体の方を倒しても復活してしまうみたい」
杏子「……なるほど、そういうことだったんだ……」
マミ「……私は、魔女の身体と使い魔を一掃するわ。
あなたは、その隙に斧の方を破壊してくれる?」
杏子「……分かった!」
マミ「それじゃあ、行くわよっ!」
杏子「了解!!」
マミ「今よ!」
杏子「はあああぁぁっ!」
マミ「……」
杏子「や……、やったっ!」
マミ「うふふっ、お見事ね!」
マミ「―改めまして。
私は、巴マミ」
杏子「あたし、佐倉杏子。
隣町の風見野で魔法少女をやってるんだ。
さっきは……、ありがと。
あんたが来てくれなかったら、あたし、やられてたよ……」
マミ「どういたしまして。
うん、間に合って良かったわ……」
杏子「ほんと助かったよ。
ていうか、見滝原にこんなすごい“魔法少女”がいるなんて知らなかったな……」
マミ「……」
杏子「あれ?
あたし、何か失礼なことでも言っちゃった?」
マミ「……ううん、何でもないわ。
それより……、佐倉さんはどうして見滝原に?」
杏子「あー……。
その、あたし、さっきの魔女を追いかけてきたんだよね。
あの魔女、あたしが魔法少女になって初めて戦った相手なんだけどさ。
一度ヘマして、逃げられちゃったんだ。
自分の縄張りから踏み出すのは、行儀が悪いと思ったんだけど……。
どうしても、落とし前つけたかったから……」
マミ「そう……」
杏子「結局、それであんたに迷惑かけちゃったよね……」
マミ「そんな事、全く気にしなくていいのよ。
大事なのは、一人でも多くの人々の命を守ることなんだもの。
だから……。
やっぱり仲間同士で縄張り争いなんて、本当ならすべきではないはずよ」
杏子「……うん、そうかもね……」
杏子「……それじゃあ、お陰で魔女も倒せたし、あたしはこれで……」
マミ「待って」
杏子「何?」
マミ「あなた、結構魔力を消耗しちゃったでしょう?
これでソウルジェムの濁りを浄化しておいた方がいいわ」
杏子「?
でも、今日のあたしにそれを貰う資格は……」
マミ「二人で倒した成果でしょう?」
杏子「……いいの?」
マミ「ええ、もちろんよ!
はい、どうぞ」
杏子「……ありがと」
マミ「……ねぇ、佐倉さん
このあとなんだけど、まだお時間は平気かしら?」
杏子「うん、別にあたしは大丈夫だけど……。
何か?」
マミ「うふふ……」
マミの部屋
杏子「うわぁ……!」
マミ「どうぞ、召し上がって?
特製のピーチパイよ」
杏子「うん。
これ、ちょーおいしい!」
マミ「まだまだあるから遠慮しないでね。
私一人じゃ食べきれないし」
杏子「……あ、えっと……」
マミ「なぁに、佐倉さん?」
杏子「助けてもらった上に、ケーキまでご馳走になっちゃって……。
なんだかずうずうしいよね、あたしって」
マミ「いえ、招待したのはこっちなんだし、気にしないで。
それに私も、魔法少女の子と一緒にお茶できてとっても楽しいもの……」
杏子「……そっか。
なら、いいんだけど……」
杏子「……ねぇ、マミさん?」
マミ「どうかしたの?」
杏子「こういうのも……。
一目ぼれ、っていうのかな……。
なんて言うか、その……。
まず最初に、マミさんを見た時に……。
すごい、かっこいいと思ったんだ」
マミ「……」
杏子「それと、あたしは魔法少女としてはまだ半人前だからさ……。
こうやって、マミさんとお茶しながら色んな話を聞かせてもらって、ほんとに勉強になったよ。
何も考えずに。ただ闇雲に戦ってたあたしに比べて……。
マミさんは、今までの魔女の戦いを自己分析してちゃんと研究してるし、戦いに必要な心構えもしっかり持ってて……。
その上、実戦においても強くて頼りになる。
こんなにすごい人が隣町にいたなんて、あたし、ほんと驚いたよ!」
マミ「佐倉さん……」
杏子「だから、その……。
マミさんにお願い、っていうか……。
ずうずうしいついでっていうのもなんだけど……」
マミ「?」
杏子「……あたしを、マミさんの弟子にしてもらえないかな?」
マミ「えっ!?
で……、弟子?」
杏子「そう!
マミさんは、どこをとってもあたしの理想なんだ。
だから、迷惑じゃなかったらって……」
マミ「……」
杏子「……駄目、かな?」
マミ「……その、弟子っていうのとは違うのかもしれないけど……。
……私もずっと前から、魔法少女のお友達がいてくれたらなって、実は思ってたの」
杏子「それって……」
マミ「ええ。
私に出来ることなら、魔法少―
……先輩として、アドバイスさせてもらうわ」
杏子「!
ありがとう、マミさん!!」
マミ「いえ……。
それじゃあ、これからよろしくね!」
杏子「うん、あたしの方こそ、これからよろしくお願いします!
……マミ先輩!!」
マミ「!」
杏子「それじゃあ、また明日!」
マミ「……せ、先輩、かぁ///」
いい話だけど過去編だからマミさんの顔が曇るのは確定なんだよなこれ……
というわけで、今回はほぼTDSやまどかポータブルの内容をそのまま踏襲したような展開になってしまいましたが、ここまで。
それと、時間が確保出来れば、もしかしたら今日の夜にもまた更新するかもしれないです。
乙です
乙っす!
この展開で「BGM:未来」は合ってるけど辛い・・・
ジャック兄さんの話も、ここで語ってる内山漫画の経験もそうだけど
坂田兄妹の仇討ちに拘るあまり一時は敗北した事とか、金山さんの件で
人間の身勝手さに怒りを覚えた事とか、そうした経験を踏まえると
凄く深い話をマミさんは聞いた事になるよね。
意外と時間が確保できたので、再開します。
>>305
原作(『まどか☆マギカ』)の雰囲気を再現しようとすると、どうしてもマミさんの顔が曇っていくような展開になってしまうので……。
>>308
それらのエピソードに代表される『帰ってきたウルトラマン』本編での出来事も会話に盛り込むべきかどうかで少し悩んだのですが、
それだとジャック兄さんがかつて地球で戦っていたことになってしまい、ウルトラヒーローのことは人々には知られていないというこのSSの世界観と食い違ってしまう為、
敢えてそこら辺には触れずにぼかしてあります。
(一応、ここで主な舞台となっている“地球”とは“別の宇宙における地球”で戦っていた、という解釈で書いていますが、その描写についてはややこしくなるのでカットしました)。
(それから私達は、“二人”で協力して、魔女と戦うようになっていた)
(彼女のことは、こちらに来てから常に“独り”で戦ってきた私にとっては、とてもかけがえのない存在になっていった……)
杏子「うわぁぁぁっ!
あっ、行っちまった……」
マミ「大丈夫!?
佐倉さん」
杏子「あ、ああ……。
ごめん、あたしのミスで使い魔を逃がしちゃった……」
マミ「気に病むことはないわ。
また、探せばいいんだから。
あなたに怪我さえなければ、それが何より」
杏子「マミさん……」
マミ「……それに、ミスをすることなんて誰にでもあるものよ。
大切なのはね、それをしっかりと反省して、どうやって次に活かせるかを考えていくことだわ」
杏子「うん、そうだね……」
マミ「さ、遠くへ逃げないうちに急いで追いかけましょう!」
杏子(あたしのミスなのに……。
マミさん、なんて優しいんだ……)
杏子(何だかマミさん、あたしの本当の“お姉さん”みたいだな……)
杏子「……そういえば、マミさん?」
マミ「なぁに?」
杏子「マミさんは、いつもグリーフシードを全部あたしに譲ってくれるけど……。
自分の魔力は、どうやって回復してるの?」
マミ「えっ?」
杏子「だって、魔力を回復しなかったら魔法が使えないから、魔女とも戦えないでしょ?
でも、あたしの前でグリーフシードを使ったことは一度も無いし……。
かといって、こっそり一人で使ってるって様子でもなさそうだから、ちょっと不思議に思って……」
マミ「……」
杏子「あっ……!
もしかして、マズい事聞いちゃった?」
マミ「……いえ、丁度いいわ。
あなたには、いつか言っておかなくちゃいけないって思ってたし……」
杏子「えっ、何を?」
マミ「……実は、私ね?
あなた達のように、キュゥべえと契約した魔法少女ではないの。
だから、グリーフシードを使う必要も無いのよ」
杏子「……えっと、どういうこと?」
マミ「ごめんなさい、それ以上のことは言えないの」
杏子「……そっか」
マミ「……ごめんね、佐倉さん」
杏子「ううん、気にしないでよ。
そりゃ、誰だって他人に教えたくないことの一つや二つはあるもんだろうしさ……」
マミ「……あら。
ということは、あなたにも私に隠してることがあるのかしら?」
杏子「……それはナイショ」
マミ「そういう風に言うってことは、やっぱり隠し事があるってことよね……」
杏子「もう!
それはお互い様なんだからいいでしょ?」
マミ「そうね……。
この話は、もう終わりにしましょうか」
杏子「うん、そうだね……」
マミ「……さ、そろそろ今日も帰ってお茶にしましょう?」
杏子「……あのさ」
マミ「?」
杏子「今日は、マミさんの所じゃなくて……。
良かったら、ウチに来ない?」
マミ「!」
モモ「マミおねえちゃーん!
あそんで、あそんでー!」
杏子「こら、モモ!
夕食が終わったばっかりなんだから、あとにしな!!」
モモ「え~!」
佐倉(母)「すみませんね。
下の子は、お客様が来るといつもはしゃいでしまうんですよ」
マミ「賑やかでとても楽しいです。
それに、お食事まで頂いてしまって……。
何だか、すみません」
佐倉(母)「いえ、そんな……。
もう、杏子?
先に言っておいてくれれば、もっと豪華な食事にしたのに……」
杏子「いつもどおりがよかったの!
マミさんだって、来づらくなっちゃうでしょ?」
マミ「こんなに、明るくて楽しい食事は久しぶりで……。
……本当に、感謝してます」
佐倉(父)「喜んでもらえてよかった。
実は我が家も、お客さんを呼んでも恥ずかしくないような食卓になったのは、つい最近のことなんだよ」
マミ「……本当ですか?」
佐倉(父)「ああ。
私は教会で牧師をしていてね。
世の中の幸せのためにと説いてきた私の教えは……。
長年世間には受け入れてもらえず、家族に辛い思いをさせてしまっていたんだ」
マミ「……」
佐倉(父)「ところがある日、私の話を聞いてくれる人が現れ始めたのさ」
マミ「!」
佐倉(父)「……本当に、信じられない光景だったよ。
朝、目が覚めたら……。
私の話を聞かせて欲しいと、大勢の人が集まっていたんだ」
佐倉(母)「自分を信じ、幸せの種を蒔き続けていたのが……。
やっと、花開いたんだって、私は主人に言っているの」
マミ「……そうですか」
佐倉(母)「……そういえば、杏子がお友達を連れてくるなんて初めてよね?」
杏子「あーっ!
それはナイショだってば!!」
佐倉(父)「マミさん、杏子とこれからも仲良くしてやって下さいね」
マミ「……はい!」
杏子「ごめんねマミさん。
すっかり遅くなっちゃって……。
でもさ、ウチなんかでよければまた来てよね!」
マミ「ええ……」
杏子「?」
マミ「ねぇ、佐倉さん。
あなたが、魔法少女になった時の願いって……」
杏子「……うん。
あたしは、裕福になりたいとか願ったわけじゃないんだ。
ただ……、『父さんの話をみんなが聞いてくれますように』ってさ」
マミ「……」
杏子「誰一人、父さんの話を理解するどころか耳を傾けさえしなかったのが……。
ずっと、悔しくて。
あたしには、耐えられなかったんだ」
マミ「……そう。
あなたは、お父様のために……」
杏子「あの、マミさん?」
マミ「なぁに?」
杏子「他人の願いを叶えるのって、そんなにおかしい事?」
マミ「……ううん。
ただ、私はね……。
その願い事が、同時に自分の願いを叶えてくれるものだったとしたら、もっと素敵だなって思っただけよ」
杏子「……」
マミ「魔女との戦いは、当然危険を伴うし……、自分を、犠牲にしなくちゃならないこともある。
それが……、自分の願い事の対価なのだと思えれば、我慢も出来るんだろうけど……。
もしも、そうでないとしたら……」
杏子「……だったら、あたしは大丈夫だね。
あたしは、みんなの幸せの為に頑張ってる父さんを、小さい頃からずっと見てて……。
だから、あたしもみんなに幸せになってもらいたいって思ってた。
そして……、その実現の一歩が、父さんを幸せにすることだったんじゃないかな?」
マミ「……」
杏子「うん、そうだよ。
『みんなの幸せを守る』
それが、あたしの願いなんだ!」
マミ「そう……。
あなたなら、大丈夫よね」
杏子「それに……。
これで、あたしとマミさんの戦う理由は同じだよね?」
マミ「えっ?」
杏子「改めて、これからもよろしく!」
マミ「……ええ、よろしくね!」
【数週間後】
杏子「はい、一丁上がり!
やっぱりさ……。
あたしとマミさんのコンビなら、向かうところ敵なしだよね!」
マミ「もう……!
油断は禁物よ?」
杏子「分かってるって!
でも、今のあたし達ならさ……。
……“ワルプルギスの夜”だって、倒せるんじゃないかな?」
マミ「えっ……?
……“ワルプルギスの夜”?」
杏子「えっ、もしかしてマミさん……。
知らなかったの?」
マミ「ええ、ごめんなさい」
杏子「いや、謝らないでよ。
ただ、マミさんなら知ってると思ってたから、ちょっと意外だなって」
マミ「もう、私のことを買い被り過ぎよ。
……それで、“ワルプルギスの夜”って?」
杏子「……そいつはね。
魔法少女の間で噂されてる、超弩級の大物魔女なんだ」
マミ「!
……本当に、そんな魔女が存在するの?」
杏子「うーん、あくまでも噂だからね……。
でもさ、こう言っちゃあ大袈裟かもしれないけど……。
あたし達だったら、もしもそんな大物の魔女が来たとしても目じゃないって。
……きっとさ、世界だって救えるんじゃないかって、そう思うんだよね」
マミ「……ふふふ。
あなた、随分と大きく出たわね」
杏子「ちょっと調子に乗り過ぎちゃったかな?」
マミ「ううん、そんなことないわよ。
目標は、大きい方がいいんじゃないかしら?
うふふっ!」
杏子「でも、マミさん笑い過ぎじゃない?」
マミ「ふふっ、そうかしら?」
杏子「やっぱり笑い過ぎだって!」
マミ「あら、ごめんね」
杏子「もう……!」
マミ「……でも、本当にそうかもね」
杏子「?」
マミ「私達だったら、きっと倒せると思うわ」
杏子「マミさん……」
マミ「だから……。
もしもいつか、本当にその“ワルプルギスの夜”がやってくる時が来たとしたら……。
その時は、一緒にこの世界を守りましょう」
杏子「うん!
あたし達“二人”で、絶対に守ってみせようよ!!」
またもやほとんどTDS(『まどか☆マギカ』のスピンオフ漫画)をなぞっただけのような展開になってしまって申し訳ありませんが、とりあえずここまで。
なお、また少し休憩を挟んで、今日の21時~22時頃に再開する予定です。
乙です
展開はまあ仕方ないかと
【一週間後】
―あたしとマミさんは、いつものように魔女の結界を見つけて侵入していた―
杏子「よし、魔女はあそこだね!」
マミ(!?
こ、この魔女は……!)
杏子「……マミさん、どうしたの?」
マミ(間違いない、あの時の……!
でも、どうして……?
この魔女は、私が……)
杏子「?」
マミ「キュゥべえ!」
キュゥべえ「何だい?」
マミ「どうして……、この魔女が生きているの!?
この魔女は、前に私が倒したはずよ!」
キュゥべえ「おそらく、使い魔の生き残りが成長したものか……。
もしくは、君があの時そのままにしていたグリーフシードを誰かが使ってから放置して、それで再び魔女の姿に戻ったかのどちらかだろうね」
マミ「そんな……!
……今更、また出てくるなんて!!」
―今回の魔女は、どうやらマミさんが前に戦ったことのあるやつだったみたいで―
杏子「マミさん」
マミ「……」
杏子「マミさん!」
マミ「えっ?」
杏子「マミさん。
何か良く分かんないけど、早く倒しちゃおうよ!」
マミ「え、ええ。
そ、そうね……」
杏子「おし!
マミさん、早くいつもの技を!!」
マミ「分かったわ!」
―でも、マミさんは何故かその魔女に攻撃することをためらっているみたいだった―
杏子「……マミさん?」
マミ「!
きゃあっ!!」
杏子「マミさん!」
杏子「……マミさん、一体どうしちゃったのさ?
いつものマミさんらしくないよ……」
キュゥべえ「そうだね、普段の君ならあの程度の魔女を倒すことなんて造作も無いはずだよ」
杏子「キュゥべえはちょっと黙っててよ!」
キュゥべえ「分かった」
マミ「あの、私、私……」
杏子「……仕方ないね。
マミさん、今日はいったん退こう?」
マミ「えっ!?」
杏子「そんな調子で魔女と戦っても、返り討ちにされるだけだよ」
マミ「でも、私……」
杏子「あたしはパートナーとして、マミさんに言ってるんだよ。
それに……、たまにはあたしのアドバイスも聞いてくれたっていいでしょ?」
マミ「……うん、そうだね……」
杏子「それじゃあ、早くここを出よう」
マミ「ええ……」
【数日後】
杏子「……マミさん。
今日は、行けそう?」
マミ「ええ、私はもう大丈夫よ」
杏子「それじゃあ、まずは―」
マミ「!」
杏子「……マミさん?」
マミ(……誰かが、私を呼んでいる?)
杏子「マミさん?」
マミ「……ごめんなさい、佐倉さん。
私、ちょっと用事を思い出しちゃったから、行ってくるわね!」
杏子「ああ、ちょっと!」
杏子(あのマミさんが、魔女探索を中断しようとするなんて……。
一体、何の用事かな……?)
―そしてあたしは、こっそりとマミさんを追いかけていた―
杏子(……うーん。
マミさんは、何だってこんな人気の無いところに来たんだろう……?
やっぱり魔女を倒しにでも来たのかと思ったけど、特に魔女の痕跡なんかも無いみたいだしさ……)
マミ「……あ、あなただったんですか!?
私を呼んでいたのは……」
杏子(あれ……。
あのおじさん、マミさんの知り合いなのかな……?)
??「マミ……。
光の国以来だな」
マミ「どうして、ここに来たんですか!?」
??「お前と戦う為だ」
マミ「えっ……。
私と、あなたが?」
??「ああ、そうだ」
マミ「そんな……。
私はあなたと戦うことなんて出来ません!」
??「この前お前が“魔女”とやらに負けたように、俺にも勝てないからか?」
マミ「えっ!?
どうして、その事を……」
杏子「おい、おっさん!」
マミ「さ、佐倉さん!?」
杏子「アンタ、黙って聞いていればマミさんのことを好き放題言いやがって!
大体ね、別にマミさんはまだ負けたわけじゃないし!!」
マミ「あの、佐倉さん……。
私をかばってくれるのは嬉しいんだけど、それくらいに……」
??「マミ、この娘は誰だ?」
マミ「あの、その……」
杏子「あたしはね、マミさんの弟子だよ!」
??「ほう、弟子か……」
杏子「ていうか、マミさん。
コイツ、誰なのさ?」
マミ「この人の、名前は……」
ゲン「レオーーー!」
というわけで、本日の分はここまでです。
次回の投下日については、週末のどこかを予定しています。
乙
マミがんばれ、超がんばれ
乙っす!
獅子の瞳が輝いたーっ!!
マミさん頑張れ!
そういえばふと思ったんだけど
メビウスとかは出ないの?
そもそも、“ウルトラマミさん”のキャラクターコンセプト自体が、元のマミさんの人格に女性版メビウス(+ゼロ)的な要素を加えたウルトラ戦士、というイメージで書いている為、
今のところ、その二人のようにポジションが被ってしまう新人戦士枠の皆さんは出さないつもりです。
また、最初にこの話を考え始めた段階ではその二人のどちらかを参戦させるという案もあったのですが、
他の方が書かれている、ゼロやメビウスが主役のクロスSSの展開と被ってしまう可能性があることや、
これ以上先輩方を出すと活躍させ過ぎて色々とバランスが崩れかねないような気もしたので、止めました。
ただ、これまでにも書いている途中で思いついたアイディアを後から加えたりしている(当初は外伝作品のキャラクターや設定を反映するつもりはありませんでした)ので、
何か面白い客演のさせ方を思い付ければ、もしかしたら登場させるかもしれません。
なるほど
―あたしは、その男が全身真っ赤の宇宙人みたいな姿に変身したのを見て、しばらくの間呆然としていた―
レオ「ここなら、俺たち以外の誰かに見つかることは無いだろう。
さぁ、変身してかかって来い!」
杏子(なっ……!
……一体、何なんだよこいつ!?
ただ、普通の言葉で喋ってるし、どうやら魔女ってわけでもなさそうだよな……)
―そしてあたしは、何とか落ち着きを取り戻して魔法少女に変身し、槍を構えて攻撃しようと思ったんだけど―
マミ「……待って、佐倉さん。
ここは、私に任せてちょうだい」
杏子「えっ?」
―マミさんは、そう言った後も何故だか少しだけ迷っているような感じだったけど、
やがて、何かを決意したかのような表情を見せると、それから“変身”していた―
杏子(!
……マミさん、なの……!?)
レオ「やっと変身したか。
まずは、お前の方から攻撃してみろ!」
―私は、相手との距離を慎重に測りながら近付いた後、まずはキック【黄金の美脚】で攻撃した―
レオ「……動きは悪くないが、やはり一撃の重みが足らんな」
―続けて私は、右ストレートを放った後、さらに連続でパンチを何発も繰り出した―
レオ「今度は手数で勝負か。
だが……」
―でも、ウルトラマンレオは私の攻撃を全て受け流すと、遂に反撃してきた―
マミ「きゃっ!」
レオ「どうした?
その程度の連続攻撃では、俺は倒せん!」
マミ(……ウルトラマンレオは、宇宙拳法の使い手で、近接戦闘のスペシャリスト。
それに加えて、間違いなく腕力の差もあるわけだし、どう考えたって接近戦ではこちらが不利よね……。
だったら……、これしかない!)
―そして、私はスラッガーを構えると、ウルトラマンレオに向かって投げつけた―
―でも……、ウルトラマンレオはいとも簡単に私のスラッガーを弾き返してみせていた―
マミ(嘘!?)
―私は、素早く反対側に回って弾かれたスラッガーを拾った後、今度は思い切って直接的に攻撃しようとした―
レオ「……武器に頼れば、隙が生じる」
―そう言いながら、ウルトラマンレオはスラッガーを真剣白刃取りのような動作で受け止めていた―
レオ「……マミ、お前はそのスラッガーに頼り過ぎている。
そればかりに頼っていては、あらゆる敵と戦っていくことは出来んぞ」
マミ「……」
マミ(そんな、私の技が全て見切られてしまうなんて……)。
―その時ウルトラマンレオは、既に“必殺技”の体制に入っているようだった―
マミ(……そういえば、ウルトラマンレオは光線技があまり得意ではなかったはず。
こうなったら、私が先に“あの技”を使うしかない!)
―私は、必殺光線【アルティマシュート】を撃とうとした、のだったけれど―
マミ(……やっぱり、撃てない!)
―そして、ウルトラマンレオの“レオキック”が、私に迫ってきていた―
とりあえず、ここまで。
続きの投下はまた本日中を予定しています。
乙
予定よりも遅くなってしまいましたが、少しだけ投下します。
マミ(あれっ?
私……)
杏子「……マミさん、大丈夫!?」
マミ「え、ええ……」
ゲン「……やはり、今のお前は光線技が使えなくなっているようだな」
マミ「えっ?
……はい、その通りです。
でも、どうして……?」
ゲン「……俺は、別にお前を打ちのめす為に来たわけではない。
お前に“この宇宙の地球”を託せるかどうか、試めさせてもらっただけだ」
マミ「そうですか……」
ゲン「……兄さん達は許したそうだが……、俺は許さん!」
マミ「!」
杏子「アンタ、いきなり何を言い出すのかと思ったら……。
宇宙がどうとか……、地球を託す、だって?
一体何の話をしてんのさ!?」
ゲン「済まないが、君は少し黙っていてくれないか?
俺は今、マミと話をしている」
杏子「はん、そんなわけにはいかないよ!
あたしは、大切な師匠をここまで侮辱されて、黙ってられるほどいい子じゃないんでね」
マミ「佐倉さん……」
ゲン「……まぁ、いいだろう。
とにかく、マミ。
今のお前に、この星を任せることは出来んな」
杏子「は、だから何でさ?
今まであたしとマミさんは、二人で立派に魔女と戦って来たんだ!
まぁ、確かにこの前はちょっと失敗しちゃったけど……。
今度は、必ず―」
ゲン「それは、たまたま運が良かっただけだ。
確かに今までは無事で済んでいたようだが、もっと強い敵が現れたらどうなる?
万全の状態で戦えない者に、勝てるはずがない!」
杏子「こいつ!
言わせておけば―」
マミ「駄目よ、佐倉さん。
……ウルトラマンレオの、言う通りよ」
杏子「でも……」
マミ「ねっ?」
杏子「……分かった」
マミ「……」
ゲン「……その顔は何だ?」
マミ(えっ?)
ゲン「その目は!
その涙は何だ!?
そのお前の涙で……、この地球が救えるのか? 」
マミ「……」
ゲン「……まずは、その“魔女”とやらを倒してみろ。
さもなくば、お前には帰還してもらうことになる」
杏子「なっ……」
マミ「でも、私の任務は―」
ゲン「それは、他の誰かが引き継ぐことになるだろう」
マミ「……そうですか」
杏子「何だよそれ!?
そんなんで、あたし達が納得出来るわけ―」
ゲン「いいな、マミ?」
マミ「はい、分かりました……」
マミの部屋
杏子「……ったく。
あのおっさん、一体何様?
急に来たと思ったら、偉そうに色々言ってくれちゃってさ……」
マミ「……」
杏子「……あの、マミさん。
あたしの話、聞いてる?」
マミ「う、うん。
ちゃんと聞いてるわよ」
杏子「なら、いいんだけどさ……」
マミ「……あの、佐倉さん?」
杏子「ん、何?」
―気がつくと、マミさんの顔があたしの顔のすぐ隣にあった―
杏子「!
……ま、マミさん?」
マミ「……ごめんね」
―マミさんはそう言った後、あたしの唇に向かって―
杏子「!!」
とりあえず、ここまでです。
次回の投下は、出来ればまた今日中に行いたいと思います。
乙
記憶消してたのか……杏子助かったりしないかな、無理か、無理だよな自爆してるし……くぅ
乙っす
これは・・・ゲンと言うかレオもこの後の事を知ったら辛そうだ
また曜日が変わってしまいましたが、少しだけ投下します。
杏子「……ぷはっ。
ちょ、マミさん!
いきなり何すんのさ!?」
マミ「えっ、どうして……?」
杏子「『どうして』って、それはこっちの台詞だよ!
その……、キスしてくるなんて、一体どういうつもりなの!?」
マミ「……ごめんなさい」
杏子「いや、あたしは謝って欲しいんじゃなくて、事情を聞かせて欲しいんだけど」
マミ「ええっと、その……」
杏子「“お願い”だから、今度はちゃんと教えて」
マミ「……ええ、分かったわ」
―それからあたしは、マミさんの素性とか能力、ここへやってきた目的や、
さらには“光の国”のこと等、色々な事を説明してもらっていた―
杏子「うーん、話が壮大すぎてちょっとついていけないところはあるけど……。
まぁ、大体のことは理解出来たかな」
マミ「……そう」
杏子「でも、まだ肝心な事を聞かせてもらってないよ」
マミ「なぁに?」
杏子「どうして、あたしの記憶を消そうとしたの?」
マミ「どうしてって……。
あなたに、“私のもう一つの姿”を見られちゃったし……」
杏子「あたしがそれを知ったら、何か問題でもあるの?」
マミ「いや、だって……。
“本当のこと”を知られてしまったら、あなたに嫌われちゃうんじゃないかって思っ―」
杏子「あたしのこと、見くびらないでくれる?」
マミ「えっ?」
杏子「まぁ、確かにちょっとはびっくりしちゃったけどさ……。
例えあんたの正体が何であったとしても、あたしを助けてくれた命の恩人で、大切な師匠だってことに変わりは無い。
それにそんなこと言ったら、あたしだって魔法少女なんだよ?
一般人からしたら、あたしだってもう普通の人間とは言えないだろうし……。
いや、そんな細かいことはどうでもいいんだよ。
とにかく、あたしがそんなことでマミさんを嫌いになるわけないじゃん!」
マミ「さ、佐倉さん……」
杏子「ていうかさ、ちょっとくらいはあたしのことも信じてくれたっていいじゃんか……」
マミ「?
ちょっと良く聞こえなかったのだけど、何て言ったのかしら?」
杏子「いや、何でもない!」
マミ「あら、そう……」
杏子「それじゃああたし、今日はもう帰るからね!」
マミ「えっ、もう?」
杏子「じゃあね!」
マミ「あっ、もう行っちゃった……」
ウルトラマミさんはキス魔。
描写を入れ忘れてしまったので、少しだけ補足説明を。
マミさんが杏子ちゃんの記憶を消せなかった理由としては、“魔法少女の身体の構造と魂の在り処”が“普通の人間のもの”とは異なっていたから、ということと、
ゲーム版(まどかポータブル)の設定ではありますが、固有魔法が幻惑の力である為か、杏子ちゃんには精神系状態異常無効というスキルがあり、それが原因で効かなかった、という解釈にしています。
また、ウルトラ化した時の姿をほむらちゃんに見られてしまった時にマミさんが記憶を消そうとしなかったのも、
今回の件で魔法少女の記憶を消すことは出来ないと判断したから、ということになっています。
なお、次回の投下は、少なくとも今週中に行う予定です。
乙
記憶消えてなかった!やったー!
でもそうすると再会したときになんでマミさんが分からなかったんだろう
再開します。
>>353
一つだけヒントを書くとすれば、TDSにおける“誰かの結末”に近いと言えるかもしれません。
―あたしはマミさんの部屋を出てから家へ帰宅する途中で、
突然、使い魔の反応を見付けて、結界へと向かっていた―
杏子「よし、ここら辺かな……。
!」
―そしてあたしは、結界に“先客”が来ていたことに気付いた―
ゲン「……」
杏子(あれは、さっきの……。
……どうやら、使い魔と戦うつもりのようだね。
まぁ、お手並み拝見といきますか……)
―そして、そいつは―
ゲン「ハァッ!」
杏子(なっ!?
……あいつ、変身もせずに素手と蹴り技だけで使い魔を倒しやがった!)
杏子「……なかなかやるじゃんか、あんた」
ゲン「……見ていたのか」
杏子「まあね。
とりあえず、口だけ達者なトーシロではない、ってことは分かったよ」
ゲン「そうか」
杏子「うん」
ゲン「……」
杏子「……あのさ。
ちょっと、聞いておきたいことがあるんだけど……。
ゲン「何だ?」
杏子「あの、どうしてあんたは、あんなにマミさんに厳しくするのさ?」
ゲン「……そうだな。
マミには、俺と同じような思いをして欲しくないからだ」
杏子「えっ……。
それは、どういうこと?」
ゲン「かつて、俺は……。
邪悪な侵略者達の策略にはまり、大切な人達を守れなかった……」
杏子「……」
マミ(……あれは、佐倉さんと、ウルトラマンレオ!?
一体、二人で何の話をしてるのかしら……?)
ゲン「―だが……、俺はその経験から自分の弱さと愚かさを思い知り、人々を守るために戦っていくことの重大さと責任を、本当の意味で学ぶことが出来た。
そしてマミにも、その事を十分に分かっていてもらう必要がある」
杏子「あんたの言いたい事は、何となく分かったけどさ……。
でも、マミさんはそのことをちゃんと分かってるはずだよ!
それに、マミさんはもう充分辛い目にあってて―」
ゲン「確かに、マミはあの年で既に辛い経験を何度もしてきている。
だが、やがてはそれを乗り越えて行かなければ、さらなる困難に直面した時、対処出来なくなってしまうだろう。
だからこそ、あいつには強くなってもらわねばならんのだ!」
マミ(……)
杏子「……そっか。
やり方はちょっとあれな気もするけど、あんたはあんたなりにマミさんの事を考えてくれてたんだね……」
杏子「……そういやあたし、まだあんたに名前を教えてなかったよね?」
ゲン「?」
杏子「……あたしの名前は、佐倉杏子」
ゲン「……そうか。
ちなみに俺の名前は、おおとりゲンだ」
杏子「ゲン、か。
まぁ、よろしくね」
ゲン「ああ」
変な間が空いてしまいましたが、とりあえずここまでです。
乙
少し遅くなりましたが、再開します。
―結局あたしは次の日も、一人で魔女探索に向かうことにしていた―
杏子(これは……、この前と同じ魔力パターン!
間違いない、あの時の魔女だ……)
―そしてあたしは、すぐにその場で魔法少女に変身した―
杏子(……大丈夫。
こんな魔女、あたし一人でも簡単に―)
マミ「待って、佐倉さん」
杏子「なっ、マミさん!?」
マミ「佐倉さん、お願い。
この魔女とは、私一人で戦わせてくれない?」
杏子「えっ、でも……」
マミ「心配しなくても、ちゃんとグリーフシードはあなたにあげるから」
杏子「いや、あたしはそんな事を心配してるんじゃないってば!」
マミ「……分かってるわ。
でも、私はもう大丈夫だから」
杏子「……本当に?」
マミ「ええ、本当よ」
杏子「……分かった。
あんたを信じるよ」
マミ「……ありがとう」
―それからあたし達は、結界の中に入ってすぐに魔女を見付けた―
マミ「佐倉さん、あなたは使い魔をお願い!」
杏子「うん、分かった!」
―そしてマミさんは“もう一つの姿”に変身すると、銀の魔女の反応をじっくりと観察していた―
マミ(……今回は、誰かが捕らわれている様子も無いみたい。
だったら、今度こそこれで終わりにしてみせるわ!)
マミ「ハッ!【ミラクルマミスラッガー】」
―マミさんの放った無数の光の刃が、銀の魔女に向かって一斉に降り注いだ―
杏子「おし!」
マミ「ふぅ……」
杏子「いや……。
マミさん、そいつはまだ生きてる!」
―マミさんの攻撃は、表面のさびみたいなものを削りはしたけど致命傷を与えることは出来なかったらしく、
しかも、運の悪いことにさびが落ちた後の魔女は、素早い動きの出来るバイクのような形態に変化していた―
マミ「えっ……?
きゃあっ!」
杏子「マミさん!」
―そして、銀の魔女はマミさんを轢いた後、今度はそのままあたしの方に遅いかかってきた―
杏子「ちっ、離せよ!」
―マミさんがやられて動揺していたあたしは、とっさの判断が遅れてしまったせいで魔女に捕まっていた―
杏子「ううっ……!」
マミ(そんな……!
このままでは、佐倉さんが……)
続きはまた明日(金曜日)に投下します。
乙
そろそろ覚悟をした方が良さそうだな……
「最後まであきらめるな!」
マミ(えっ?)
レオ「イーヤァァー!」
―ウルトラマンレオが、一点を打ち抜くような正確な攻撃によって魔女の中から佐倉さんだけを切り離し、見事に救い出すことに成功していた―
杏子「あれ、あたし……」
レオ「大丈夫か、杏子?」
杏子「う、うん。
……ありがと」
レオ「よし。
……マミ、ダブルフラッシャーで片を付けるぞ!
出来るな?」
マミ「……はい!」
レオ・マミ「はぁっー・おりゃー!!【レオマミダブルフラッシャー】」
―そして、私とレオさんの二人で放った合体光線が、今度こそ、銀の魔女を完全に撃破していた―
杏子「おし……、やった!」
マミ「あの……、ありがとうございました!」
ゲン「礼を言われるほどの事でもない」
マミ「いえ、あなたのおかげで私は……。
本当の意味で、過去の失敗に向き合うことが出来ました!」
ゲン「そうか……」
杏子「それに……。
あたしも、あんたにはほんとに感謝してるんだ。
あんたが来てくれなかったら、多分あたし達二人ともやられてたかも……」
ゲン「……」
マミ「レオ先輩!
この地球は、私がきっと……!」
ゲン「ああ。
今のお前達になら、ここを託せそうだな」
マミ「ええ、約束します!」
ゲン「それから……、杏子」
杏子「ん、何?」
ゲン「マミのこと……、よろしく頼んだぞ!」
杏子「うん、任せてよ!」
―でも……、その後あたしがその約束をちゃんと守ることが出来たのは、ほんのわずかの間だけだった―
今回は、ここまで。
叛逆の新情報が発表される度にその要素を反映させたくなってきますが、新キャラとかを出したとしても色々と矛盾しそうですし、
せいぜいほむらちゃんの銃器くらいしか登場させられそうにないのが残念……。
なお、この続きは出来れば土日のどちらかに投下する予定です。
乙
杏子……
予定よりも遅れて申し訳ありませんが、ちょっとだけ投下します。
―ある日のこと、あたしとマミさんは早めに魔女を倒した後、マミさんの要望でデパートに買い物に来ていた―
マミ「お待たせしてごめんね、佐倉さん」
杏子「えっ、あっ、うん……」
マミ「どうしたの、佐倉さん?」
杏子「どうしたって、何が?」
マミ「あなた、何かを見てたでしょう?」
杏子「いや、その……」
マミ(ええっと、あそこにあるのは……。
ちょっとしたゲームコーナーのようね)
マミ「もしかして、佐倉さん。
あそこにあるゲームをやってみたかったの?」
杏子「……うん。
あたし、ああいうのってやったこと無かったからさ……」
マミ「……しょうがないわね。
ほら、これでやってきなさい」
―マミさんは、小銭をいくつかあたしに差し出した―
杏子「えっ、でも……。
ほんとにいいの?」
マミ「こういう時は、素直に先輩に甘えておくものよ」
杏子「ありがとう、マミさん!」
―そしてあたしは、目的のゲーム機に向かって走っていった―
杏子「あっ!
駄目か……。
おし、次こそは!!」
マミ「佐倉さん、私もこういうのはあまり詳しいわけではないのだけれど……。
もう少し、落ち着いてやった方がいいんじゃない?」
杏子「ごめん、マミさん。
今回はあたしの力だけで取りたいから、アドバイスはしないで!」
マミ「ふふっ、分かったわ」
杏子「いいぞ、そのまま行け……。
おし、やったっ!」
マミ「あら、取れたの?」
杏子「うん!
ただ、さっきマミさんから貰ったお金を全部使っちゃったけどね……」
マミ「あれはあなたにあげたお金なんだから、好きに使って構わないのよ」
杏子「ありがと、マミさん。
それじゃあ……、はい!」
―あたしは、クレーンゲームで取ったクマのぬいぐるみをマミさんに差し出した―
マミ「えっ?
これ……」
杏子「あたしは、あのゲームをしてみたかっただけだから……。
それに、マミさんも欲しそうにしてたでしょ?
だからさ、受け取ってよ!」
マミ「……うん。
ありがとう、佐倉さん。
大切にするわね」
短いですが、今日はここまで。
今回の件は、個人的にまどかポータブルの中でも一番好きなエピソードなので、こちらのSSでも取り入れてみました。
ちなみにマミさんのキャラに関しては、ミライ君のように地球の文化を何も知らない感じにしようかとも思いましたが、一応こちらのSSでは純粋な宇宙人ではない為、これ位の描写にしました。
なお、次回の投下はまた今週末を予定しています。
乙
クレーンゲームはボッタ
奴はあっという間に千円二千円を飲み込んでいく……
乙
こんなに幸せそうで仲睦まじい二人に何が…
杏子「!?」
―妹と一緒に部屋で寝ていたあたしは、いきなり魔女の反応を感知して目を覚ましていた―
キュゥべえ(テレパシー:杏子、大変だ!)
杏子(テレパシー:分かった、すぐ行く!)
杏子「何……、この臭い?
!?
そんなバカな!」
信者A「俺達には、神様の教えなんて必要なかったんだ。
そんなものに頼らなくても、簡単に幸せになれる方法を知ってるんだから……」
信者B「ええ、その通りですよ……」
杏子「なっ、何だよあいつら……」
キュゥべえ「これも魔女の呪いだよ」
杏子「ちっ……」
―そこにいた男の一人が、今にもマッチで火を付けようとしていた―
杏子(この教会ごと燃やすつもりだ……。
でも……、そんなことさせるもんか!)
―あたしは、幻惑魔法の力を使って男を動揺させた隙にマッチを取り上げた―
杏子「よし!
次は―」
杏子「……さてと。
そこのテメェ、もちろん覚悟は出来てるんだよな?」
杏子「あたしの父さんの大切な教会を、ふざけた呪いで汚しやがって……。
絶対に、タダじゃ済まさねぇ!」
―そしてあたしは、教会の中で魔法少女の姿に変身していた―
―あたしが使い魔達を倒しながら様子を伺っていると、すぐに鳥のような姿をした魔女がその姿を現した―
杏子「フン……。
なんだ、わざわざそっちから出向いてくれるなんて手間が省けるよっ!」
―あたしは槍の穂先で魔女の体を薙ぎ払おうとしたけど、予想よりもダメージが少なかったみたいで、
魔女はすぐに体勢を立て直した後、あたしの槍を噛んで無理やり押さえつけて動かし、そのままあたしを足場の無いところまで追いやった―
杏子「なっ……。
アイツ!」
―そして、その魔女は使い魔を差し向けてあたしを撹乱させた後、トドメをさそうと直接襲い掛かってきた―
―でも、あたしが咄嗟に発現させた複数の槍で魔女の体を一斉に貫くと、
流石にダメージが蓄積してきたのか、魔女もよろめき始めていた―
杏子「……ったく。
随分と食い意地張ったやつだよね……。
エサたちを喰い損ねたのが、そんなに悔しいかい?
だけどさ……、悪いけど、一人たりとも喰わせちゃやれないよ!」
―あたしは、マミさんとの修行によって上達させてきた幻惑の魔法による分身技【ロッソ・ファンタズマ】を発動させた―
杏子「……魔女なんかに、こんな場所で好き放題させてたまるかよ。
父さんの教会も、家族も、みんな……。
あたしの手で、守るんだから!」
―そしてあたしは、その鳥のような姿をした魔女にトドメをさした―
杏子「はぁー、やっぱあたし一人で魔女と戦うのはちょっときつかったぁ……。
まぁ、それよりも―」
杏子(……厄介なもの、残されたな。
いや、大丈夫。
まだ夜明けまで時間もあるし、騒ぎになる前に―)
佐倉(父)「……杏子?」
杏子「!
父さん……」
今回の投下分もTDSとほぼ同じ展開になっていますが、ここまで。
この続きは、また本日中に投下します。
乙
自分の娘くらい信じてやれよ聖職者……
マミ「……佐倉さん。
今日も来てくれなかったな……」
マミ(……大丈夫よね。
佐倉さんは、他の子達とは違ったもの……)
マミ「……よし。
今日も、頑張らなくっちゃね!」
ニュースキャスター「―それでは、次のニュースです。
昨夜未明、○○県風見野市の民家で火災が発生しているとの通報がありました。
駆けつけた消防隊員によって火は間もなく消し止められましたが、建物の一部を焼失。
民家からは、この家に住む一家三人の遺体が発見されました。
遺体で見つかったのは、佐倉―」
マミ「!」
ニュースキャスター「現場の状況から、警察は無理心中を図った可能性が高いとみて捜査を続け―」
マミ「佐倉……、さん?」
キュゥべえ「―厄介なことになったね、杏子」
杏子「……キュゥべえ」
キュゥべえ「魔法が使えなくなってしまったんだろう?」
杏子「どうして……?」
キュゥべえ「君がいらないと言ったからさ」
杏子「!」
キュゥべえ「君の願いが生み出した能力は“幻惑”だ。
おそらく君は、自らの願いを潜在意識で拒絶してしまったんだろう。
本来、魔法少女に与えられる魔法の属性は叶えた願いの内容と直結しているからね」
杏子「……」
キュゥべえ「能力を取り戻さない限り、今後の戦いにおいては大きなハンデとなるだろうね」
杏子「……はは、そっか。
全部、自業自得だ。
本当に、救いようないや……。
父さんと……、家族みんなを守りたくて、魔法少女になったのに……。
……こんなザマじゃあ、自分すらも満足に守れやしないじゃないか……」
マミ「佐倉さん!」
杏子「マミ、さ……」
マミ「すごく冷たい……、震えちゃってるじゃない。
それに、ひどい怪我だわ……。
魔女に、やられたのね?
すぐに治すからね……」
杏子「……」
マミ「無事でよかった。
ずっと顔見せてくれなかったから、心配してたのよ?」
杏子「……ごめん、マミさん。
あたしはもう、あんたとは……」
マミ「……ごめんね。
一人で辛かったでしょ……。
先輩、失格だよね?
本当なら、すぐにでも駆けつけてあげなくちゃいけなかったのにね……」
杏子「マミさん……」
マミ「……あなただけでも、生きていてよかった」
杏子「!
…………ぜんぶ、全部、あたしのせいなんだ……。
あたしが、みんなを死なせちゃったんだ……」
【数日後】
マミ「佐倉さん、今日の戦いは何?
……どうして、幻惑の魔法を使わなかったの?」
杏子「……あんなもん使わなくたって、魔女くらい倒せるんだよ」
マミ「え?
でも、分身技を使えばその傷だって負わずに済―」
杏子「どんな敵だって、真正面から突っ込んでぶっ叩きゃあいいんだよ!」
マミ「佐倉さん……」
杏子「あー、そうだ。
あんたに言っておきたかったことがあるんだよね」
マミ「?」
杏子「今後の戦い方の方針なんだけどさ……。
これからは、魔女も使い魔もみんな倒すんじゃなくて、魔女一本に絞ろうよ?」
マミ「!」
杏子「グリーフシードを落としもしない使い魔なんて、倒すだけ無駄さ。
ああ、そうか。
そりゃあ、あんたにはグリーフシードなんて必要ないから関係無いかもしれないけどさぁ……。
あたしは雑魚を狩るのに余計な魔力を使いたくないんだよね」
マミ「どうしたの、佐倉さ―」
杏子「地球の平和だか、正義の為だか知らないけどさ。
正直言って、これ以上あんたみたいなヒーロー様の道楽に付き合うのは面倒なんだよね。
やっぱり、あたしには性に合わないっていうかさぁ……」
マミ「……なにを言ってるの……?
確かに、あなた達魔法少女にとってグリーフシードが重要なものだということは聞いてるわ。
でも、だからといって魔女も使い魔も関係ないでしょう?
放っておいたら、犠牲が出るのよ!
私達が、やらなくちゃ―」
杏子「だからって、誰も彼も救うことなんてできっこないだろ!?」
マミ「……」
杏子「魔女に取り憑かれようが憑かれまいが、死にたがるヤツは死んじまうんだ。
……そんな奴ら、命張って助ける必要なんてあるのかよ?
だったら、放っといて使い魔に食わせてグリーフシードの元にしちまえばいいんだ!」
マミ「……佐倉さん。
ご家族のこと……、あなたの気持ちは私にも分かる。
だけど、そんな風に自暴自棄になっては駄目よ」
杏子「ハァ?
何が分かるんだよ……!
事故で家族を失ったのと……。
自分のせいで家族が死んだのじゃ、全然違うだろ?」
マミ「!」
杏子「あんたに言われた通り、あたしは最初から自分のためだけの願いを叶えるべきだったんだよ。
そうすれば、傷つくのは自分だけで済んだんだ……。
他人の都合もおかまいなしに身勝手な幸せを押し付けたから、家族みんなをあたしの不幸に巻き込んだんだ……」
マミ「……」
杏子「ざまあないよ。
全部あたしの魔法が引き起こしたんだ。
……あんただって、ハラの中じゃ当然の結果だろって、そう思ってんだろ……?」
マミ「そんな、こと……」
杏子「だからあたしは決めたんだよ。
……もう二度と、誰かの幸せのためだとか、他人の命を救う為だとか、そんな理由で魔法は使わない。
この力は……、自分の為だけのものにするんだ、って……」
マミ「さ、佐倉さ―」
杏子「だからもうあんたと一緒には戦えない。
コンビは解消だ、じゃあな」
マミ「待ちなさい!」
杏子「なっ!?
掴むな、離せっ!」
マミ「駄目よ。
今のあなたを放っておくことなんて、私に出来るわけないでしょう!」
杏子「うるさい!
魔法少女でも無いくせに、これ以上あたしに口出しすんな!!」
マミ「!」
杏子「……そうだよ。
そういやあんたは魔法少女どころか、この星の人間かどうかも怪しいんだったよねぇ……。
そんなヤツに、あたし達魔法少女のことをとやかく言われたくねぇんだよ!」
マミ「……」
マミ「…………そう、よね。
あなたの、言う通りだったわ……」
杏子「?」
マミ「私……。
……私達は、本来ならあなた達のような魔法少女の行動に干渉するべきでは無かったのよね……」
杏子「あ……」
マミ「分かったわ。
私は、今まで通りに魔女と使い魔を倒していくつもりだけど……。
これからは、あなたのやり方に口を挟んだりはしないし、もちろんあなたの縄張りにも手を出したりしないわ。
ただ……、その代わりにあなたもこの街にはもう来ないで。
お互い、相互不干渉ということにしましょう」
杏子「……」
マミ「それじゃあ……。
さよなら、佐倉さん」
杏子「…………クソ……」
―この後私は、この時に佐倉さんを引きとめておかなかったことを……。
一生、後悔する羽目になってしまった―
―それからも私は、独りで魔女と使い魔の退治を続けていた―
マミ「― finale !」
少女(す、すっごーい……!)
マミ「大丈夫?」
少女「……は、はい。
あの……、ありがとうございました!」
マミ「いいのよ。
……それより、急いでいたんでしょ?
お行きなさい」
少女「!」
マミ「気をつけてね」
少女「はい、お姉さんも!」
魔法少女「……ふぅーん。
あれが噂の、“グリーフシードを必要としない魔法少女”、ですかぁ……」
キュゥべえ「正確には、彼女のことは魔法少女と呼ぶべきでは無いと思うんだけどね」
魔法少女「それって、どういうことですかぁ?」
キュゥべえ「まず彼女は、僕と契約した魔法少女ではないし……。
彼女が使っている力も、君達魔法少女の魔力とは明らかに異なる性質のものなんだ。
まぁ、僕が見えると言うことは、今でも魔法少女の素質があるみたいだし、本人も魔法少女と名乗っているから―」
魔法少女「なあんだ。
別にそんなことはどうでもいいんですよぉ!
重要なのは、私の下僕としてふさわしい力があるかどうか、だけですから……」
とりあえず、今回はここまでです。
次回の投下はまた本日中か、遅くても月曜日までに行う予定です。
あと、一応言っておくと“魔法少女”と“少女”は別人です。
乙
ヘビィっすなぁ……マミさんの一部は元からヘビー級だけど
【数ヵ月後】
マミ「あら……」
魔法少女「マミさん。
お昼、いっしょしましょ!」
マミ「ええ、そうしましょうか」
魔法少女「……まったく、みんなひどい人達ですよね!
マミさんが頑張って魔女を退治してくれているから平和に過ごせているのに、あんなによそよそしい態度を取ってくるなんて……」
マミ「でも、それは仕方ないわ。
放課後は遊ぶ暇も無いから、お誘いとかがあっても断らざるを得ないし……。
それで付き合いが悪いと思われて、みんなと疎遠になっちゃうのも―」
魔法少女「でもっ!
マミさんは何も悪くないじゃないですか!!」
マミ「……」
魔法少女「わたし、マミさんのことはお姉ちゃんみたいに思ってるし……。
どんな理由があろうとそういう態度を取るのは許せません!」
マミ(お姉ちゃん、かぁ……)
魔法少女「マミさん、どうかしましたか?」
マミ「……いえ。
あなたのような、心強い味方がいてくれて良かったな、って思って……」
魔法少女「えへへー、まかせてくださいっ!
わたしは、マミさんの一番の味方ですからねっ!!」
マミ「……ありがとう」
マミ「……あら、もう時間ね。
そろそろ戻りましょうか?」
魔法少女「はいっ、マミさん!
…………。
……くふふっ」
【数週間後】
マミ「…………。
はぁ……。
いつまで隠れて見ているつもり?」
杏子「久しぶり……。
相変わらず、すかしてんじゃん」
マミ「あなたは、変わってしまったわね。
粗暴で利己的になってしまった……」
杏子「うるせーなぁ!
あんたに何がわかるのさ!!」
マミ「まさか、今ので怒ったの?
……図星をつかれたから?」
杏子「テメェ……!
あんまり、調子に乗ってんじゃねぇ!!」
マミ「……朝から力を使って悪目立ちするつもり?
あなたらしいわね。
……まぁ、たとえ誰かに見つかったとしても……、私とあなた、周囲の人はどちらを信用するかしら?」
杏子「……クソッ、面白くねぇ!」
マミ「……本当に、変わったわね」
杏子「……あんたが変わらなさ過ぎるんだよ」
マミ「…………」
杏子「まぁ、結局あたしとあんたじゃさ、合わなかっただけさ。
だから、別れた……、それだけじゃん」
マミ「……。
それで、何の用?
どうして、あなたがこの見滝原に?」
杏子「ふん、あたしがどこに居ようがあたしの勝手じゃん。
それが魔法少女ってもんなのさ」
マミ「……」
杏子「……わかってる……。
あたしはさ、ただ、見に来ただけ……」
マミ「?」
杏子「ふふん……、キュゥべえから聞いたぜ?
また一人お仲間が増えたらしいじゃん」
マミ「!」
杏子「せっかくだからさ、どんな奴か見物していこうと思ってさ。
巴マミと一緒にいることができる奴を」
マミ「彼女に近寄らないで」
杏子「何だよ……。
そんなに大事な奴だって言うのか?」
マミ「…………」
杏子「ふーん……。
あんたが一目置くくらいじゃん?
ぜひとも実力を見てみたいけどねぇ」
マミ「……もし、彼女になにかしてご覧なさい。
絶対に許さない。
たとえあなたであっても容赦しないわ」
杏子「……っ、くだらねーよ。
本当にくだらねぇ!
勘違いしてんじゃねぇ。
ちょっかい出す気なんてさ、ハナからねぇ」
マミ「……そう、ならいいの」
杏子「あんたに頼るくらいの弱っちい魔法少女なんて、わざわざ見るまでもねぇ」
マミ「じゃあ、用はそれで終わりね。
私急いでるから、ごきげんよう。
……佐倉杏子さん」
杏子「ちっ!
面白くねぇ……」
とりあえず、今回はここまで。
ここ最近の投下分では各種外伝作品(おりこ、かずみ、まどポ等)をそのままなぞったような展開が多くなってしまい申し訳ありませんが、次回以降からはちゃんと変えていく予定です。
乙
ここのマミさんならもう少し態度を柔らかくしてもらえないかと思ったが……やはりまだまだ中学生ということか
誰かもう一人くらい後見人として派遣されていれば違ったのかもだけど
>>411
マミさんは、自分及びその仲間に対して敵対する意思を見せた(と思われる)相手には結構容赦の無い人なので……。
それとこのSSでは魔法少女ではない為に各種魔法への耐性が本来よりも低くなっているので、洗脳魔法の影響をモロに受けちゃってたりします。
乙
杏子も杏子で、その場の勢いとはいえ
人間じゃないみたいなことまで言って強く拒絶しちゃったしなあ…
きつい
杏子(くそっ……、何やってるのさ、あたし……。
もう一度マミに会ったって、ロクなことにならないってわかってたはずだろ……。
……未練がましい真似してんじゃねぇよ)
【数分後】
杏子「!」
―その時あたしは、近くに結界が出現したことに気付いていた―
杏子(こいつは……、使い魔か。
だが……)
―幼い子供が一人、結界に巻き込まれているところを目撃してしまったあたしは、
何となく、いつものように立ち去ることが出来なかった―
杏子(ちっ……。
巻き込まれるところを直接見ちまった後で見捨てたら、流石にこっちの寝覚めも悪くなっちまうよな……。
しゃあねぇ、今日くらいは―)
魔法少女「うーん、反応があったのはここら辺ですよねぇ……」
杏子(……他の魔法少女が来たのか。
それなら、あたしの出る幕は―)
魔法少女「なーんだ、また使い魔ですかぁ……。
……帰っちゃおっと」
―そいつはそう言うと、踵を返してそのまま結界から離れていった―
杏子(なっ、アイツ……!
だが、まずはこっちを何とかするのが先か……)
―あたしは急いで結界の中に入ると、すぐに槍を使い魔に向けて投げつけて一瞬で倒した―
子供「あっ、ああ……」
杏子「さっさとこっから逃げな」
―その子供は無言のままうなずくと、その場から走り去っていった―
杏子(よし、次は―)
杏子「おい、そこのアンタ!」
魔法少女「えっ、もしかして私のことですかぁ?」
杏子「ああ、そうだよ。
……アンタ、何でさっきの使い魔を無視したりしやがった?」
魔法少女「はぁ?
いきなり何言って―
あっ!
もしかしてあなた、新人さんですかぁ?」
杏子「ふん、違うっつーの。
これでもアタシは、魔法少女としての経験はそこそこ積んでる方だしさ」
魔法少女「だったら……。
使い魔を逃がすことの意味くらい、いちいち言わなくても分かりませんかぁ?」
杏子「…………。
……もちろん、そんなことは分かってるよ。
だが、この街は―」
魔法少女「言っておきますけど、ここは私の縄張りなんですよ?
だから、私がどうしようと勝手じゃないですかぁ!」
杏子「は?
アンタ、何言ってんだ?
この街は、マミの―
!
……もしかして、アンタがマミのパートナーなのか?」
魔法少女(テレパシー:くふふっ……。
パートナー?)
杏子(こいつ、何で急にテレパシーを―)
魔法少女(テレパシー:アンタ、何言ってるんですかぁ?
巴マミはですね、ただの下僕に過ぎませんよぉ?)
杏子「!
テメェ!!」
―あたしは、思わずそいつの胸倉に掴みかかっていた―
魔法少女(テレパシー:くふふっ……、やっぱり手を出してきましたか。
でも―)
杏子「?」
魔法少女「やっ、止めて下さい~!
殺さないでぇ~」
杏子(なっ、いきなり何を―)
マミ「ハッ!」
杏子「!
マミ、いきなり何しやがんだ!!」
マミ「あなたこそ、どういうつもり?
その子に近寄らないで、って警告したはずよ」
杏子「なっ……!
違う、これは―」
マミ「言い訳なんて聞きたくないわ。
今すぐにここを立ち去りなさい。
そうすれば、今回だけは見逃してあげるわ」
杏子「ちっ、クソッ……!」
マミ「ふぅ……。
怪我は無い?」
魔法少女「……ええ、無いです」
マミ「そう、良かったわ……」
魔法少女「……」
魔法少女(テレパシー:……キュゥべえ。
さっきの女は、一体誰なんですか?
どうやら、巴マミの知り合いみたいでしたけど……)
キュゥべえ(テレパシー:彼女は風見野の魔法少女で、名前は佐倉杏子。
ちなみに巴マミとは、かつて師弟関係だったことがある)
魔法少女(テレパシー:なるほど、お弟子さんですかぁ……。
だから、あんなにしつこく突っかかってきたわけですね。
…………)
キュゥべえ(テレパシー:何か、考えがあるようだね。
どうするつもりだい?)
魔法少女(テレパシー:いえ。
ただ、危険分子は早めに排除しておいた方がいいかもしれないと思いましてねぇ……)
本日は、ここまで。
次回の投下はまた明日~今週中までに行います。
乙
仕方がない……仕方がないんだがドス黒い気分になるぜ……この世には神も仏もいないのかー
助けてゾフィーにーさーん!
本日は少しだけですが、投下します。
>>421
ゾフィー隊長とウルトラ兄弟の皆さんはこの時“別の任務”に赴いていた為、来れません……
―ひとまず風見野に戻ったあたしは、これからどう行動すべきかについて、
何とか考えを巡らせようとしていた―
杏子(……どう考えても、マミはあの魔法少女に騙されてる。
だが……、今のあたしがそれを伝えようとしたところで、信じてもらえるわけもないしな……)
杏子「クソッ、どうすればいいんだよ……!」
魔法少女「何をどうするんですかぁ?」
杏子「なっ……。
テメェは!」
―あたしの背後には、いつの間にか先程の魔法少女が現れていた―
杏子「……テメェ、一体何のつもりだ?
あたしの縄張りに直接乗り込んでくるなんて、いい度胸してんじゃねぇか……」
―あたしは魔法少女の姿に変身し、いつでも対処出来るように身構えた―
魔法少女「まぁまぁ、落ち着いて下さい。
今日はあなたと争う為にここへ来たわけではないんですよ」
杏子「何?
まさか、あたしに謝りに来たとでも言うつもりじゃないよねぇ?」
魔法少女「ええっと、そうですね……。
とりあえず、私の目を見て下さい」
杏子「!」
杏子「ふーん、なるほどねぇ……。
そうやって洗脳魔法を使って、あいつのことも操ったってわけ?」
魔法少女「!
なんで!?」
杏子「悪いけど、あたしはそういう魔法には耐性があるんでね。
残念でした!」
魔法少女「ちっ……!
……仕方ありませんね。
だったら、別の方法を使いますか……」
―そいつはそう言うと、魔法少女の姿へと変身した―
杏子「ふん、このあたしと戦うつもりか?」
魔法少女「いや、あなたと戦うのは私じゃありませんよぉ?
あなたと戦う相手は……、あなたが大切に思ってるこの人です!」
杏子「?
……まさか!」
―あたしの目の前には、瞳から輝きの失せたマミが立ちはだかっていた―
本当に短くてすみませんが、今日はここまで。
この続きに関しては、明日~金曜中のどこかで投下する予定です。
乙
魔法少女が外道すぎる
杏子「おいおい、嘘だろ……?」
魔法少女「私には、幻覚を見せる力はありませんからね……。
残念ですけど、本物ですよ?
……さぁ、行きなさい!」
―そいつがそう言うと、ブーメランのような形の刃物を持ったマミがあたしに襲い掛かってきた―
杏子「ちっ……」
―そして、あたしはマミと少しの間戦っていたけど、
今操られている状態のマミには、かつてあたしと一緒に戦っていた時の強さは全く感じられなかった―
杏子(……まるで、マミの影と戦ってるみたいだ。
本当のマミの強さは……、こんなもんじゃない!)
杏子「おい、マミ!
さっさと正気に戻りやがれ!!」
魔法少女「くふふふふっ。
そんな呼びかけだけで、元に戻ると本気で思ってるんですかぁ?
無理無理、無理ですってぇ!
杏子「だったら……。
こうするまでだよ!」
―あたしは槍の柄を多節棍状に変形させると、その鎖をマミの体に巻きつけて動きを封じた―
魔法少女「!」
―あたしはそのまま柄の方でマミを拘束しながら、素早い動きで移動して、槍の穂先部分をそいつの首の前に突き付けた―
杏子「死にたくないなら、さっさとこいつを元に戻しな」
魔法少女「ぐ……。
うぐぐ……」
魔法少女「も……。
申し訳ありませんでしたぁ~!」
杏子「は?」
魔法少女「降参です……。
あなた達の前には二度と現れませんから、許してください~」
杏子「……
まぁ、それはあいつを元に戻してから―
!」
―マミがあたしの拘束を力ずくで引き千切った後、残った柄の部分ごとあたしを振りまわして遠くへと投げつけた―
杏子「うっ!」
魔法少女「やりましたっ!
さぁ、今が反撃のチャンスですよ!!
さっさと“全力”で倒しちゃって下さい!!!」
―マミは虚ろな目をしたまま頷くと、服の中から“何か”を取りだした―
杏子(!
ここであいつが変身しちまったら……)
―あたしは魔力を使ってスピードを上乗せすると、何とか変身する前に全速力でマミに近付こうとした―
とりあえずここまでですが、ついでにちょっと補足説明。
現在投下中の“過去編”で登場している魔法少女のモデルは、>>264 にも書いた通りに優木沙々なのですが、
能力の拡大解釈を行っていること(このSS中では高度な洗脳魔法を披露させていますが、元の作品ではここまで汎用性の高い技という描写は無い)や、
時系列上の不整合性が生じてしまう可能性(初登場時のキュゥべえとの会話から察するに、そこそこ魔法少女歴は長いと思われますが、マミさんに匹敵するほどのベテランかどうかまでは不明)、
等を考慮して、場合によっては似ているだけで別の魔法少女、ということにも出来るように敢えて名前は特定させていません。
なお、次回の投下はまた本日中~明日以降を予定しています。
乙
―そしてあたしは、何とかマミの手から変身道具を奪うことに成功した―
杏子「ぐっ……、うう!」
―だが、あたしは接近した時にマミの攻撃によって深手を負わされてしまっていた―
杏子(ちょっと不用意に近付き過ぎちまったか……)
―あたしは、痛覚を遮断しながら何とかマミと距離を取り、そのまま物陰に隠れた―
杏子(……よし、これで何とか―)
―だが、その時マミが念力のような技を使ってくると、あたしは流石に堪えきれず、隠れていた場所から落下していた―
杏子「うっ……!」
杏子(畜生っ……。
どうしたら、マミを元に戻せ―
……そうか!
マミじゃなくて、あいつを直接攻撃すれば……)
―あたしはもう一度立ち上がると、その魔法少女に向かって突進しようとした―
魔法少女「!」
―だが、当然のごとくマミに行く手を阻まれてしまい、あたしは再びマミと戦わざるを得なかった―
杏子(やっぱり、さっきの怪我のダメージがでかいな……。
このままじゃ、あたしの方がやられちまう……。
どうすればいい……?)
魔法少女「よし、今ですっ!」
杏子(やばっ……!)
―あたしはマミに吹っ飛ばされ、盛大に尻餅をついて倒れこんだ―
杏子「!」
―そして、マミが持っている武器の刃が、あたしの体を真っ二つに切り裂こうとしていた―
―でも、その刃があたしの体を切断することはなかった―
魔法少女「!
なっ、何が起こったんですかぁ!?」
杏子「はん、ばーか」
魔法少女「!?」
杏子「あたしの固有魔法は、幻惑の力。
あんたはそいつにまんまと引っ掛かったってわけさ……」
―あたしは、ギリギリのタイミングで幻惑魔法をわずかに取り戻し、その力を使って何とか難を逃れることが出来た―
魔法少女「ちっ……!」
―さらにあたしは、そいつの頭から槍の柄でソウルジェムだけを弾き飛ばしてキャッチし、再び槍の穂先を首に突き付けた―
杏子「おーっと、それ以上動くんじゃないよ。
余計な真似をしたら、今度こそテメェを殺す」
魔法少女「ぐっ……」
杏子「よし、いい子だ。
死にたくなかったら、今すぐにこっから出てけ。
それと、二度とあたし達の前に姿を現すんじゃねぇぞ。
もしもそいつを守らなかったら、テメェの命は無いものと思いな。
分かったか!?」
魔法少女「はっ、はい!」
杏子「それじゃあ、さっさと失せなよ」
魔法少女「でも、私のソウルジェムは―」
杏子「こいつは、しばらくの間あたしが預かっとく。
心配すんなよ、あんたが反省してるようなら後でキュゥべえのやつにでも届けさせるからさ。
さぁ、早く行きなよ」
魔法少女「わっ、分かりました……」
マミ「ううーん……」
杏子「目、覚めたかい?」
マミ「えっ……?
……佐倉さん、なの?」
杏子「ああ、そうだよ」
マミ「どうして、ここに―」
―でも、佐倉さんは私のその問いに答えることが出来なかった―
マミ「!
佐倉さん!!」
本日は、ここまで。
なお、次回投下分(明日の予定)でこの“過去編”については終わりにして、再び >>245 の続きから進めて行きます。
乙
―佐倉さんが急に倒れたのを確認した私は、自分の動きのスピードを加速させ、
佐倉さんの体がそのまま地面にぶつかってしまう前に何とか受け止めていた―
マミ「佐倉さん!」
杏子「ま、マミ……」
マミ「ひどい怪我だわ……。
誰にやられたの!?」
杏子(……さっきまでの記憶、無いみたいだね。
まぁ、その方がいいよな……)
マミ「とにかく、すぐに治すから―」
杏子「もう、いいんだ」
マミ「えっ?」
杏子「もう、手遅れだよ。
だから、無駄なエネルギーを使わなくても―」
マミ「そんなことないわ!
このくらいの怪我、私なら治せ―」
杏子「……そっちじゃないよ。
ほら、これを見て」
―佐倉さんはそう言うと、自らのソウルジェムを私に持たせた―
マミ「!!」
―ひどく穢れが溜まったそのソウルジェムを見た瞬間、
私は、佐倉さんが言った言葉の意味を理解してしまった―
マミ「そんな……。
嘘でしょ?」
杏子「いや、おそらくあんたの考えてる通りで合ってるだろうね。
ったく、キュゥべえの奴もほんとひでぇ真似をしてくれたよな……」
マミ「で、でも!
まだ何か方法があるはず―」
杏子「もう、間に合わないよ。
……だから、マミ。
最後に一つだけ、あんたに頼みたいことがある」
マミ「……何?」
杏子「……あたしを、殺してくれ」
マミ「!
……何を言ってるの!?
そんなこと、出来るわけないじゃない!!」
杏子「……何言ってんだよ。
あんたなら簡単に出来るだろ?」
マミ「ふざけないで!」
杏子「別にふざけてなんかないって。
それに今すぐやらないと、あんたにもっと迷惑かけちゃうよ?」
マミ「迷惑なんて、いくらでもかけなさいよ!
だから、簡単に諦めちゃ駄目!!」
杏子「はは、参ったな……。
全く、あんたも無茶なことを言ってくれるよね……」
マミ「…………」
杏子「分かった、あたし―
……う、ううっ!」
マミ「佐倉さん!?」
杏子「あっ、ちくしょうっ……。
うあああーっ!!!」
杏子(ごめん、マミさん……)
(そして、佐倉さんは……。
……私の目の前で、“魔女”になってしまった……)
―私がしばらくの間呆然としていると、
いつのまにか、私の足元にキュゥべえが現れていた―
マミ「……キュゥべえ!
どうして……、佐倉さんは魔女になったの!?」
キュゥべえ「君との戦いで、彼女は魔力を大量に消費してしまったからだろうね」
マミ「……“私との、戦い”?
一体、何の話なの!?」
キュゥべえ「そうか、君にはさっきまでの記憶が無いんだね。
それじゃあ、簡単に説明させてもらうよ。
君はね、ある魔法少女の洗脳魔法の影響を受けて、今までほとんど自我を失っていたんだ。
そして、それを不満に思った杏子がその魔法少女と対立したことで、君と杏子は戦うことになった。
結局勝利したのは杏子の方だったから、君は元の状態に戻る事が出来たんだよ」
マミ「それじゃあ……。
佐倉さんが魔女になってしまったのは、私のせいだっていうの!?」
キュゥべえ「ある意味では、そうだと言えるかもしれないね。
君が見滝原周辺の魔女と使い魔をほとんど一人で倒し尽くしていたことも、少なからず影響しているだろうし」
マミ「……どういうこと?」
キュゥべえ「君が見滝原とその周辺の魔女と使い魔を倒し続けたことで、魔法少女と魔女の数のバランスが極端に崩れてしまったんだよ。
まぁ、君は風見野だけは避けていたようだけど……、それでも君の影響が全く無いわけはないだろうしね」
マミ(そんな……。
私の行動は、魔法少女のみんなを追い詰めているだけだというの……?)
マミ「いや、待って!
そもそも、どうして魔法少女が魔女になるの!?」
キュゥべえ「そもそも魔法少女は、いずれは魔女になる運命を背負った存在だからね」
マミ「……あなた、一体何を言ってるの!?
だったら、どうしてあの子達を魔法少女にしたの?
あなたの目的は、一体何だと言うの?
もしかして、人類を滅ぼして、この星を侵略しようとでもしているの?」
答えなさい!」
キュゥべえ「勘違いしないで欲しいんだが、僕らは何も、人類に対して悪意を持っている訳じゃないし、ましてや、侵略しようなんて、全く思ってないよ。
全てはね、この宇宙の寿命を伸ばすためなんだ」
マミ「“この宇宙”の……、寿命?
それが、魔法少女のこととどう関係があるというの!?」
キュゥべえ「君も他の星へ行ったことがあるのなら、知ってる可能性もあるのかな?
今、この宇宙全体のエネルギーは目減りしていく一方なんだよね。
だから僕達は、熱力学の法則に縛られないエネルギーを探し求めて来た。
そうして見つけたのが、魔法少女の魔力だよ」
マミ「?」
キュゥべえ「僕達の文明は、知的生命体の感情を、エネルギーに変換するテクノロジーを発明した。
ところが生憎、当の僕らが感情というものを持ち合わせていなかった。
そこで、この宇宙の様々な異種族を調査して、この星に住む人類という種族を見出したんだ。
人類の個体数と繁殖力を鑑みれば、一人の人間が生み出す感情エネルギーは、その個体が誕生し、成長するまでに要したエネルギーを凌駕する。
人間達の魂は、エントロピーを覆す、エネルギー源たりうるんだよ。
とりわけ最も効率がいいのは、第二次性徴期の少女の、希望と絶望の相転移だ。
ソウルジェムになった少女達の魂は、燃え尽きてグリーフシードへと変わるその瞬間に、膨大なエネルギーを発生させる。
それを回収するのが、僕達、インキュベーターの役割なんだ」
マミ「…………」
マミ「……あなた達の目的については、理解したわ」
キュゥべえ「そうか、良かったよ」
マミ「でも……。
今のあなた達のやり方を認めるわけにはいかないわ!」
キュゥべえ「どうしてだい?」
マミ「あなた達のやり方は、この星の人達を犠牲にすることが前提でしょう?
そんなやり方を許すなんて、私には―」
キュゥべえ「確かに犠牲と言えるかもしれないが、その代わりに素晴らしい物をもたらしてくれるんだし、
少しくらい犠牲が出ることも、別に構わないと思うんだけど……。
もちろん、人類にとってもメリットがないわけじゃないしね。
そもそも人類は、今現在で69億人、しかも、4秒に10人づつ増え続けている。
それなのに、どうして単一個体の生き死にでそこまで大騒ぎする必要があるんだい?
それに僕達はね、あくまで彼女達の合意を前提に契約しているんだよ?
それだけでも、充分に良心的なはずなんだが……」
マミ「でも、それは彼女達を騙してたようなものでしょう!?」
キュゥべえ「騙すという行為自体、僕達には理解出来ない」
マミ「……」
キュゥべえ「そういえば、“あの魔女”を倒さなくてもいいのかい?」
マミ「!」
キュゥべえ「まぁ、僕としては別に君がどうしようと構わないけどね。
……いや、やっぱり少し訂正するよ。
君が今まで通りに魔女と使い魔を倒し続けてくれれば、グリーフシードが枯渇していき、それだけ新しい魔女が生まれる可能性も増えるからね」
マミ「…………」
キュゥべえ「それで、君はどうするんだい?」
―そして私は、少し悩んだ後に変身すると、“目の前にいる魔女”に向かって、必殺光線を放った―
キュゥべえ「魔女を一撃で倒すとは、流石だね」
マミ「…………」
キュゥべえ「君が魔法少女でないというのが、本当に惜しいよ。
君ほどの力を持っていれば、それはきっと素晴らしい魔女になってくれただろうしね。
いや、今からでも遅くはないのか。
君が“普通の人間”とは異なる存在になったからと言って、魔法少女の素質が消えたわけではないんだし。
むしろ、新しい因果を背負ってくれたことで、より大きな素質を得ているはずだ。
どうだい、君も今から僕と契約を―」
マミ「……キュゥべえ」
キュゥべえ「何だい?」
マミ「今から、あなたは……。
私達……、いえ、“私”の敵よ」
キュゥべえ「それはどういう意味だい?」
マミ「これからは、あなた達が新しい魔法少女を生みだそうとするのを全力で阻止させてもらう。
そして、この星に存在する魔女も使い魔も、全て私が倒して、魔法少女が魔女との戦いで魔力を使わないようにさせる。
これ以上……、あなた達の思い通りには、絶対にさせない!」
キュゥべえ「でも、魔法少女は魔女と戦わなくても魔力を使うんだよ?」
マミ「その分は、私が倒した魔女のグリーフシードで補ってもらうわ」
キュゥべえ「だとしても、いずれは限界が来るよ。
そもそも、君一人でそんなことが本当に出来ると思っているのかい?」
マミ「……一人じゃないわ」
―私はそう言った後、佐倉さんの形見である黒いリボンと髪飾りを身につけ、
さらに、目の前にあったグリーフシードを拾った―
キュゥべえ「まだ使っていないグリーフシードだね。
出来れば、使用してから僕に渡してくれると助かるんだけど―」
マミ「あなたには、絶対に渡さないわ」
キュゥべえ「……」
マミ「それじゃあ、さよなら。
“インキュベーター”」
予定よりも少し遅れてしまいましたが、“過去編”についてはこれで終わりです。
色々と矛盾点や分かりにくい箇所があるかもしれませんが、その辺については後日訂正や補足説明を行う予定です。
なお、次回の投下はまた本日(日曜)中を予定しています。
乙
インキュベーターの母星にR1号撃ち込みたい気分で一杯です
もう月曜になってしまいましたが、まずは昨日の文章から抜け落ちていた箇所の追加を行います。
>>447
R1号を撃ってしまうと、インキュベーターが怪獣化してしまうおそれもあるので……。
>>439の途中
杏子「そうだ、マミ」
マミ「なぁに、佐倉さん?」
杏子「あたしの目を見てくれる?」
―佐倉さんはそう言った後、私に何らかの魔法を掛けたようだった―
マミ「……何をしたの?」
杏子「ちょっとした、おまじないみたいなもんかな……。
大丈夫、あんたに害はないはずだよ」
マミ「?」
>>439 ~ >>442の間
魔法少女(クソッ、佐倉杏子め……!
私をとことんバカにしやがって……)
魔法少女(どうにか、隙をついてソウルジェムを……。
なっ……、佐倉杏子が、魔女になった!?
……ヤバいっ、さっさとここから逃げ切って……)
魔法少女(!?
意識が―)
>>445の後
魔法少女(あれ、私……?)
キュゥべえ「意識が戻ったようだね」
魔法少女「キュゥべえ……!
さっ、さっきのは一体どういうことなんですか!?」
キュゥべえ「“さっきの”とは、一体何のことだい?」
魔法少女「だから!
佐倉杏子は、どうして魔女になったんですか!?」
キュゥべえ「そうか、君もまだ知らなかったのか。
別に魔法少女が魔女になるのは珍しいことではないよ。
そもそも全ての魔法少女は、やがては魔女になる運命を背負っている存在だからね」
魔法少女「なっ……!
う、嘘ですよね?」
キュゥべえ「いや、間違いなく本当のことだよ」
魔法少女「そんな……!
だっ、騙したのかっ!?」
キュゥべえ「騙すという行為自体、僕たちには理解出来ないんだ。
認識の相違から生じた判断ミスを後悔する時、何故か人間は、他者を憎悪するんだよね」
魔法少女「ふ、ふざけるなっ!
……い、いやだっ!
魔女になんかなりたくない!」
―彼女はそう言うと、自らの手でソウルジェムを砕いた―
キュゥべえ「……わけがわからないよ」
【数ヵ月後】(>>451の後)
マミ(反応があったのは、ここね。
……あら、あの子達は……?)
さやか「―何それ?
ぬいぐるみじゃないよね?
生き物?」
まどか「わかんない。
わかんないけど……。
この子、助けなきゃ!」
マミ(あれは、インキュベーター……!)
さやか「あれ、非常口は?
どこよここ!?」
まどか「変だよ、ここ。
どんどん広くなってる……」
さやか「あーもう、どうなってんのさ!」
まどか「やだっ、何かいる……」
マミ(とにかく、あの子達を助けないと!)
>>5に続く
順番が前後してしまいちょっと分かりにくくなってしまいましたが、今回はここまで。
次回の投下は、今度こそ本日(月曜)中に行います。
乙
魔法少女さんはある意味魔女並みに非道な真似をしてたけど本物の魔女にはなりたくないのか
わけがわからないよ
やることが魔女と大して変わらないのと、魔女そのものになること
同じようでまったく違うことよ
今回は、久しぶりに“ほむらちゃん視点”で始めます。
>>454
元ネタの作品(『おりこ☆マギカ』の別編)では、“醜い化け物にはなりたくない”的な感じで嫌がっていました。
(このSSでは入れ忘れてしまいましたが、今回の魔法少女のモデルである優木沙々が、魔女を“あんなモノ”と評する台詞があります)
>>455
魔女になってしまうと、元の人格の善し悪しには関係無く、本能的に人を襲ってしまうようになりますしね……。
【現在】
ほむら(もうすぐ、“ワルプルギスの夜”が来る。
佐倉杏子が死に……、巴さんもあんな状態では、戦力的には厳しいと言わざるを得ない。
だけど、今回はまどかだけでなく美樹さやかのことも契約させずに済んでいる……。
それだけでも、十分よね……。
だからこそ、私は最後まで諦めるわけにはいかない)
―私がそんな風に考えていたその時、突然私の家のチャイムが鳴らされた―
ほむら「?
こんな時間に誰?」
まどか「……こんばんは、ほむらちゃん」
ほむら「……鹿目さん!
どうして、ここが分かったの?」
まどか「えっと、早乙女先生に聞いたの……。
プリントを届けたいって言ったら、教えてくれたんだよ」
ほむら「……そう」
まどか「……入って、いいかな?」
ほむら「……ええ、どうぞ」
まどか「これが……、『ワルプルギスの夜』?」
ほむら「どうして、その名前を?」
まどか「マミさんから、聞いてたの。
凄く強い魔女をやっつけるために、ほむらちゃんと二人で戦うんだって。
だから、ずっとここで準備してたんだね」
ほむら「……」
まどか「街中が、危ないの?」
ほむら「今までの魔女と違って、こいつは結界に隠れて身を守る必要なんてない。
ただ一度具現しただけでも、何千人という人が犠牲になる。
相変わらず普通の人には見えないから、被害は地震とか竜巻とか、そういった大災害として誤解されるだけ」
まどか「なら、絶対にやっつけなきゃダメだよね……。
でも、戦える魔法少女はもうほむらちゃんだけしか残ってないよね?
だったら……!」
ほむら「一人で十分よ!
巴さんがいなくても、私一人でワルプルギスの夜を撃退出来る」
まどか「ほんとに?」
ほむら「ええ」
まどか「何でだろ……?
わたし、ほむらちゃんのこと信じたいのに……。
嘘つきだなんて思いたくないのに、全然大丈夫だって気持ちになれない。
ほむらちゃんの言ってることが、本当だって思えない」
ほむら「本当の気持ちなんて、伝えられるわけないのよ……」
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「だって、私は……。
私はまどかとは、違う時間を生きてるんだもの!」
まどか「えっ…?」
ほむら「……私ね、未来から来たんだよ?
何度も何度もまどかと出会って……。
それと同じ回数だけ、あなたが死ぬところを見てきたの……。
どうすればあなたが助かるのか、どうすれば運命を変えられるのか……。
その答えだけを探して、何度も始めからやり直して……」
まどか「それって……、え?」
ほむら「ごめんね。
わけわかんないよね……、気持ち悪いよね?
まどかにとっての私は、出会ってからまだ一ヶ月も経ってない転校生でしかないものね……」
ほむら「だけど私は……、私にとってのあなたは……。
同じ時間を何度も何度も……、何度も繰り返して……。
それでも救えなかった、私の大切な友達……」
まどか「……ほむらちゃん。
まさか……、ほむらちゃんはわたしのために魔法少女に……」
ほむら「……でもね、繰り返せば繰り返すほど、あなたと私が過ごした時間はずれていく。
気持ちもずれて、言葉も通じなくなっていく。
……たぶん私は、もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う」
まどか「ほむら、ちゃん……」
ほむら「……あなたを救う、それが私の最初の気持ち。
今となっては、たったひとつだけ最後に残った、道しるべ……。
わからなくてもいい、何も伝わらなくてもいい。
それでもどうか、お願いだから……。
まどか、あなたを私に守らせて」
まどか「…………」
短い上にまたもやほとんどアニメと変わらない展開で申し訳ありませんが、今日はここまで。
SSの投下はこれだけですが、代わりにちょっと“過去編”についての補足説明(というか言い訳)を行います。
まずは、このSS中での“マミさんの使い魔狩りが及ぼす影響”の解釈について。
“過去編”の元ネタの一つであるTDS(『まどか☆マギカ』の公式スピンオフ漫画)では、
“マミさんが使い魔を倒すことは、結果的にライバルの魔法少女がグリーフシードを得るチャンスを減らしていることになり、
悪意が無いとはいえ、マミさんが自分以外の魔法少女の魔女化を促進させることに一役買ってしまっているのでは?”
という可能性が示唆されています(見滝原が優れた魔女の狩り場であるのも、このことが理由の一つになっている、という説まであります)。
そして、このSSではその説を拡大解釈して、“マミさんが魔法少女の時以上の大いなる力を持った状態で、同じように使い魔を借り続けたら、どのような結果を引き起こす可能性があるのか?”
と考えた結果、原作以上の残酷な事態になってしまうこともありうるのではないかと思い、このような展開にしました。
また、ウルトラ化した状態のマミさんは魔力を必要としないので、本来ならばそれでまだバランスが取れるのかもしれませんが、
ここでは、マミさんを操っていた魔法少女がグリーフシードを独占していた為に他の魔法少女に行き渡らなくなった(グリーフシードを独り占め出来るので、使い魔狩りもある程度は自由にやらせていた)という解釈にしています。
もちろん、上記の解釈は極限まで悪い方に考えた場合の解釈なので、これが真実という風に断言することは出来ませんが、
もしもこの説が少しでも正しかったら、“マミさんが一般人を助ける為に頑張って使い魔を倒せば倒すほど、間接的とはいえ、その分だけ魔法少女が犠牲になってしまう”ということになり、
インキュベーター達は本当に酷いシステムを作ったものだな、と思わされます。
乙
インキュベーターは外道、間違いない
それともう一つは、“過去編”終盤での“真実を知った後のマミさんの選択”について。
このSSでは、ウルトラ化したマミさんに“全ての魔女と使い魔を、自分の手で殲滅させる”という、
一見すると、アニメ最終回におけるまどかと類似しているようにも思える選択をさせましたが、当然、これが最適解であるという風に思っているわけではありません。
もちろん、キュゥべえに“万能の神にだってなれるかもしれない”とまで評されるほどの素質を持ち、
実際に“神のような存在”にまでなってしまったまどかにとっては“悪くない選択”(脚本を担当した、虚淵さん自身による評価)だったのかもしれませんが、
ここでのマミさんは、ウルトラ化してはいても、あくまで神ではありませんし、
今後の展開のネタばれになってしまうのでまだ詳しくは書けませんが、“ウルトラマミさんの選択”には、重大な欠点があります。
それと、マミさんが“先輩達”に助けを求めようとしなかったことの理由については、ウルトラ兄弟達が“別の任務”で忙しいことに加えて、
杏子ちゃんとの離別時に“個人ではなく組織の一員である”ということを重視して行動した結果、
最悪の事態を引き起こしてしまった(もちろん、自分を拒絶した杏子ちゃんを許しきれなかったというのもありますが)ということや、
また、インキュベーターが侵略を目的とした宇宙人ではなく、半分騙したような形であるとはいえ、少女本人達の合意を得て契約を成立させている上、
目的そのものも悪い事ではない為、インキュベーターを簡単に断罪することは出来ないと判断し、
さらに、自分が規律違反を犯してしまう可能性(今後の展開で出てきます)も考慮して、
組織の一員としてではなく、巴マミ個人として、インキュベーター達と敵対するという選択を選んだ、という風にしています。
もちろん、ウルトラ兄弟や先輩達にちゃんと事情を話せば助けてくれた可能性もありますが、
極限まで追い込まれてしまったせいで、アニメ本編のほむらちゃんのように、“誰にも頼らない(頼れない)”状態の思考になってしまった、という感じです。
少し強引な解釈が含まれる上にかなりの長文になってしまいましたが、“過去編”の補足説明についてはこれで終わりです。
なお、次回の投下に関しては、また今週中を予定しています。
>>461
多くの人間にとって“外道”であることは間違いないと思いますが、同時に“人間の価値観が通用しない生き物”でもありますし、
第三者(ウルトラ戦士)がインキュベーターを断罪するというのは、もしかしたら難しいことなのかもしれません……
【次の日】
―私は、巴さんの容体を確かめるべく、彼女の住むマンションへと足を運んだ―
さやか「ん、やっぱりまどかも来たの?
あっ……」
ほむら「……。
あなたも、来てたのね」
さやか「あー、うん、そうなんだ。
なるべくマミさんと一緒にいてあげた方がいいんじゃないかと思って、あたしとまどかが交代で出来る限りここに来るようにしてたんだよね。
事情を知ってるのはあたし達しかいないし、他の誰かに頼むわけにもいかないでしょ?」
ほむら「そうね。
……ありがとう。
きっと、巴さんも感謝してるはずだわ」
さやか「いや、これくらい当然のことだよ。
マミさんには、いっぱい迷惑かけちゃったしさ……」
ほむら「……」
さやか「……」
さやか「……ねぇ、転校生?」
ほむら「何かしら?」
さやか「この街に、何かすっごいヤバい魔女が来るって聞いたんだけど、ほんとなの?」
ほむら「ええ、本当よ。
……鹿目さんに聞いたの?」
さやか「うん、そうだよ」
ほむら「そう……」
さやか「……」
ほむら「……」
さやか「あのさ。
ちょっと、あんたに相談したいことがあるんだけど……」
ほむら「……何のこと?」
さやか「ええっと、その……。
あたしも、あんたと一緒に戦うことって出来ないかな?」
ほむら「!
あなた、何を言ってるの?」
さやか「いや、その、『ワルプルギス』の何とかっていう魔女、ものすごく強いんでしょ?
だからさ、あたしが魔法少女になって、あんたと協力して戦えば、少しは―」
ほむら「絶対に駄目よ!」
さやか「えっ?」
ほむら「あなた、これまで一体何を見てきたの?
魔法少女になるというのは、たった一つの希望と引き換えに、全てを諦めなくてはならないのと等しいこと。
一度魔法少女になってしまったら、もう救われる望みなんてない。
あなたは今までさんざん私達のことを見てきたはずで、“今回”はちゃんと説明もしたのに……。
あなたには、それが少しも分からなかったの!?」
さやか「あたしだって、魔法少女になることが大変だってことくらい分かってるわよ!
でも―」
ほむら「それに、あなたみたいな初心者が仲間になったところで、まともな戦力になんてなるはずもない。
むしろ、足手まといになる可能性の方がずっと高い。
それなら、私一人で戦った方がマシだわ」
さやか「っ!
あんた、そこまで言う!?
あたしだって、あんたの―
!」
ほむら「だから、あなたは絶対に契約なんてしては駄目よ……」
さやか「…………」
さやか「……本当に、あんた一人で『ワルプルギスの夜』に勝てるんだよね?」
ほむら「……ええ、保障するわ」
さやか「……そっか、分かったよ」
ほむら「そう。
それなら、私はこれで―」
さやか「ねぇ、“ほむら”」
ほむら「!
……何かしら?」
さやか「あたしもあんたのこと、信じるからね……」
ほむら「…………そう」
さやか「……」
ほむら「……それじゃあ、私はもう帰るわ」
さやか「うん、またね……」
さやか(……バカ、無理してんのバレバレだっての。
でも、今回だけはあんたの言う通りにしておくよ……)
今回は、ここまで。
次回の投下はまた今週中のどこかで行う予定です。
クソだなクソSSにふさわしいクソみたいな終わらせ方ならクソはクソなりに評価してやる
下手に良い話にしようとこじらせたら評価はできんがな
乙
奇跡は起きるか、それとも……
ほむらの部屋【回想】
キュゥべえ「……時間遡行者、暁美ほむら。
過去の可能性を切り替えることで、数多の並行世界を横断し、君が望む結末を求めて、この一ヶ月間を繰り返してきたんだね。
どうりで、僕に君との契約の記憶がない筈だ」
ほむら「……」
キュゥべえ「ただね、君の存在が一つの疑問に答えを出してくれたよ。
何故、鹿目まどかが魔法少女としてあれほど破格の素質を備えていたのか?
今なら、納得いく仮説が立てられる」
ほむら「?」
キュゥべえ「魔法少女としての潜在力はね、背負い込んだ因果の量で決まってくる。
一国の女王や救世主ならともかく、ごく平凡な人生だけを与えられてきたまどかに、どうしてあれほど膨大な因果の糸が集中してしまったのか不可解だった。
だが……、ねぇ、ほむら。
ひょっとしてまどかは、君が同じ時間を繰り返すごとに……、強力な魔法少女になっていったんじゃないのかい?」
ほむら「……ッ!」
キュゥべえ「……やっぱりね。
原因は君にあったんだ。
正しくは、君の魔法の副作用と言うべきかな?」
ほむら「……どういうこと?」
キュゥべえ「君が時間を巻き戻してきた理由はただ一つ、鹿目まどかの安否だ……。
同じ理由と目的で、何度も時間を遡るうちに……、君はいくつもの並行世界を螺旋状に束ねてしまったんだろう。
……鹿目まどかの存在を中心軸にして、ね。
その結果、決して絡まるはずのなかった平行世界の因果線が、全て今の時間軸のまどかに連結されてしまったとしたら……。
彼女の、あの途方もない魔力係数にも納得がいく。
君が繰り返してきた時間……、その中で循環した因果の全てが、巡り巡って、鹿目まどかに繋がってしまったんだ。
あらゆる出来事の元凶としてね」
ほむら「……ッ」
キュゥべえ「お手柄だよ、ほむら。
君がまどかを最強の魔女に育ててくれたんだ」
ほむら「!!」
ほむら(そんな、私のせいで……。
まどかは、強力な魔法少女としての素質をもってしまったというの!?
キュゥべえが執拗にまどかを魔法少女にしたがったのは、私が原因……?)
ほむら(……大丈夫。
いくらまどかが強力な魔法少女になれるとしても、魔法少女そのものにしなければ関係ないわ……)
ほむら(私が……。
『ワルプルギスの夜』を倒せれば問題ない。
そう……、問題ない、筈……)
ほむら「……話は、それだけ?」
キュゥべえ「ああ、そうだよ」
ほむら「なら、早く帰って」
キュゥべえ「……分かったよ」
ほむら「いや、やっぱり待ってちょうだい。
一つだけ、あなたに確認しておきたいことがある」
キュゥべえ「何だい?」
ほむら「『ワルプルギスの夜』にも、巴さん用の“対策”をしてあるの?」
キュゥべえ「いや、何もしてないはずだ。
元々『ワルプルギスの夜』は、光の巨人の姿に変身した巴マミが万全の状態で戦ったとしても、間違いなく苦戦は免れないほどに強力な魔女なんだ。
そして、彼女があのような状態になって戦えないと分かった今、そんな小細工をする必要もないと思うしね」
ほむら「……そう。
それだけ聞ければ、もうあなたに用はないわ」
キュゥべえ「……」
キュゥべえ「……本当に、君一人で戦うつもりなのかい?」
ほむら「ええ、もちろんよ」
キュゥべえ「そうか。
ほむら、君の健闘を祈っておくとするよ」
ほむら「…………」
マミの部屋【現在】
まどか「……マミさん。
わたし、マミさんに話しておかなくちゃならないことがあるんです」
マミ「……」
まどか「“私”、魔法少女になります」
まどか「……多分、マミさんは反対ですよね?
でも……、私はやっと、本当に叶えたい願い事を見つけたんです。
だから、その為にこの命を使おうと思うんです」
マミ「……」
まどか「それと、もう一つだけ。
私、マミさんには、普通の女の子に戻って欲しいんです」
マミ「……」
【数分後】
まどか「……これからは、私がマミさんの代わりに戦います。
だから、マミさんは今までずっと頑張ってくれていた分まで、しっかりと休んでいて下さいね」
マミ「……」
まどか「それじゃあ、マミさん。
また あした、ここに来ますから」
マミ「…………」
今回はここまで。
次回の投下はまた本日中に行う予定です。
乙
誰か科特隊からペンシル爆弾を持ってきてー!
再開します。
まずは、前回の投下分の訂正から。
>>476
まどか「“私”、魔法少女になります」 →「“私”、魔法少女になろうと思ってるんです」
>>477
「だから、その為にこの命を使おうと思うんです」の部分をカット。
何だかまどかさんがワルプル来る前に速攻で契約してしまいそうな感じに思えたので、まだ少し迷ってるような感じに変更しました。
【数日後】
広報車「本日午前7時、突発的異常気象に伴う避難指示が発令されました。
付近にお住まいの皆様は、速やかに最寄りの避難場所への移動をお願いします。
こちらは、見滝原市役所広報車です。本日、午前7時―」
ほむら(……いよいよだわ。
結局、巴さんは今日になっても目を覚まさなかった。
残されたのは、私一人……。
それでも……。
私一人でも、戦うしかない!)
ほむら(まどか……。
あなたの運命を変えられるのなら……。
この命、捨ててもいい)
―でも、その時―
まどか「……ほむらちゃん」
ほむら「……まどか、どうしてあなたがここに!?
街の人は皆、避難した筈よ。
早く避難所に戻って!」
まどか「一人で戦うなんて無理だよ。
だから、私も一緒に―」
ほむら「絶対に駄目!!」
まどか「どうして……?」
ほむら「私は、運命を変えたいの。
あなたの、運命を……」
まどか「運命なんて変わらなくたっていい。
平凡で幸せな鹿目まどかのままでいられなくてもいい。
だから、私は―」
ほむら「私にとって、あなただけが唯一の希望なの」
まどか「……希望?」
ほむら「前に言ったわよね?
あなたは最後に残った、道しるべだって……。
あなたを守ることは、私自身の救いでもあるのよ。
だから、早く避難所に戻って」
まどか「だったら……。
お願い、約束して。
絶対、無事に戻って来てくれるって。
それが約束出来ないのなら、戦うのをやめて。
……一緒に、避難所に行こう」
ほむら「……わかった、約束する」
ほむら(ごめんなさい、まどか。
私は―)
まどか「わたし、祈ってるから……。
ほむらちゃんがわたしの元に帰って来てくれるよう、ずっとずっと祈ってるから」
ほむら(でも、これでいい。
まどか……。
あなたが魔法少女にならなければ、無事でいてくれさえすれば……)
ほむら(ついに……。
現れたわね、『ワルプルギスの夜』!
私一人だけしかいないけど、その分これまで以上の準備をしてあるわ。
だから、今度こそ……)
ほむら「今度こそ、決着をつけてやる!」
今日はここまで。
次回の投下は、また あしたの予定です。
乙
本日続きを投下する予定でしたが、ちょっと急用が出来たので延期します。
また、土日もパソコンが使えない可能性が高い為、おそらく次の投下は月曜以降になると思います。
前回の予告時よりもかなり遅れてしまいましたが、再開します(まずは、以前までの投下分の訂正から)。
>>225 での使用兵器を【RPG-7 & AT-4】から【M72 LAW】へ変更(前二つは対『ワルプルギスの夜』用に温存しました)。
>>484 から、ほむら「今度こそ、決着をつけてやる!」のセリフを削って後ろ(おそらく >>497 あたり)に移動します。
―私は、盛大なパレードのように行進していく使い魔達を無視し、そのまま『ワルプルギスの夜』のいる方向へと前進し始めた―
5
4
―やがて、私が『ワルプルギスの夜』の膨大な魔力の波動を察知して立ち止まると、
『ワルプルギスの夜』は、その圧倒的な魔力を使って周囲の瓦礫やビルを浮遊させ始めた―
2
1
―『ワルプルギスの夜』が自身の歯車を動かすと、浮遊させられていた瓦礫やビル等の全てが禍々しい炎で包まれた―
―そして、私は魔法少女の姿へと変身した―
ほむら「今度こそ、決着をつけてやる!」
―まず私は、盾の中から大量の対戦車兵器【RPG-7 & AT-4】を取り出して並べた後、すぐに時間停止の魔法を発動させ、
時間が止まっている隙にそれら全てを『ワルプルギスの夜』に向けて発射した―
―私が時間停止を解除したのと同時に全てのロケット弾が一斉に直撃し、その影響で横に移動した『ワルプルギスの夜』に対し、
続けて私は、あらかじめ設置しておいた迫撃砲【L16】による追撃を加えた―
―対戦車兵器と迫撃砲を使った連続攻撃を受けて『ワルプルギスの夜』が巨大な塔の付近まで移動したのを確認した私は、爆薬【C-4】を使ってその塔を破壊し、
それが倒れていく時の衝撃で押し潰そうとしたけど、相手の反撃によって塔は破壊されてしまっていた―
―その後も私は、そのまま焦らずに機械操作の魔法を使って燃料【危険物第四類】が満たされた状態のタンクローリーを操作し、
鉄橋の近くまで移動していた『ワルプルギスの夜』の頭部に直撃させた―
―さらに私は、水中に忍ばせておいた対艦ミサイル【SSM-1】と巡航ミサイル【トマホーク】を機械操作の魔法で起動させ、
先にSSM-1を直撃させた後、その衝撃で押された場所の途中にある送電線の切断時の電撃も加えさせながら『ワルプルギスの夜』を遠ざけ、それからトマホークを二発同時に発射した―
―そして、一連の攻撃によって『ワルプルギスの夜』がその地点へ到達するであろうと私が予測していた場所に配置していた大量の地雷が計算通りに作動し、
『ワルプルギスの夜』は、その爆発による焔に包まれた―
ほむら「…………」
―自分の攻撃が、『ワルプルギスの夜』に絶大なダメージを与えることが出来たはず、と思いこみ、すっかり油断していた私は、
その後、すぐにそれが間違いであったことを思い知らされる羽目になった―
ほむら「!
うっ……」
―私は、『ワルプルギスの夜』の使い魔達を利用した攻撃によって盛大に吹っ飛ばされていた―
ほむら(どうして……。
どうしてなの?
何度やっても、“あいつ”に勝てない……)
ほむら(また時間を戻して……、駄目。
同じ時間を繰り返せば、それだけまどかの因果が増えていく……。
私がやってきたことは結局、まどかを苦しめているだけ?)
―私のソウルジェムが、ゆっくりと穢れ出していた―
ほむら(いけない!
希望を捨てては……。
私まで、絶望しては……)
ほむら「私は……。
まだ、戦える!」
―でも、その時―
まどか「ほむらちゃーん!」
ほむら「あの声は……?」
まどか「はぁ、はぁ……。
ほむらちゃん!」
ほむら「!
まどか……?」
とりあえず、ここまで。
次回の投下は、また本日中に行う予定です。
乙
ここまでに原作と違う要素がない以上、この展開はある意味必然
ここからどう変わっていくかだな
まずは、少しだけ投下します。
>>505
ここまでは敢えて原作に近い展開にしていますが、これ以降の流れではかなり変わっていきます。
まどか「ほむらちゃん、ごめんね」
ほむら「まどか……?
まさか!?」
まどか「“私”、魔法少女になる」
ほむら「……あなた、何を言ってるの!?
私は、まだ戦えるわ!
だから―」
まどか「もういい。
もういいんだよ、ほむらちゃん。
私、やっとわかったの。
叶えたい願い事、見つけたの。
だからそのために、この命を使うね」
ほむら「やめて!
それじゃあ……。
それじゃ私は、何のために……」
まどか「ごめん、本当にごめん。
これまでずっと、ずっとずっと、ほむらちゃんに守られて、望まれてきたから、今の私があるんだと思う。
そんな私が、やっと見つけ出した答えなの。
信じて。
絶対に、今日までのほむらちゃんを無駄にしたりしないから」
ほむら「まどか……」
―そして、インキュベーターが覚悟を決めたまどかの前に進み出ていた―
まどか「…………」
キュゥべえ「数多の世界の運命を束ね、因果の特異点となった君なら、どんな途方もない望みだろうと、叶えられるだろう」
まどか「……本当だね?」
キュゥべえ「さあ、鹿目まどか。
その魂を代価にして、君は何を希う?」
まどか「“わたし―」
??「“その必要は無いわ!”」
短いですが、本日はここまで。
この続きに関しては、この後日付が変わって月曜日の0時頃にまた投下する予定です。
乙
ここか!ここで切るのか!
生殺しじゃないですかー!やだー!
乙!
よぉし、youtubeでピッタリなウルトラBGM探して待機するぜ!
予定通り、再開します。
>>512
今後の投下分では、毎回クリフハンガーと思って頂けるように話や区切り方を考えているつもりなので、
その試みが上手く行けば、もしかしたら連続で生殺し(中途半端な)状態になってしまうかもしれません……
>>513
今回と次回に渡って投下する予定の“ウルトラマミさん”VS『ワルプルギスの夜』のシークエンスは、
ウルトラマンティガのガタノゾーア戦のオマージュになっている為、一応BGMはティガ関連のものがおススメです。
(ただしティガの最終回ではなく51話のみで、さらに初代やセブン等、いくつかの歴代ウルトラマンの最終決戦の要素も少しずつ含んでます)
まどか・ほむら「その声は……。
マミさん(巴さん)!?」
マミ「二人とも、お待たせ!」
まどか「どうして―」
マミ「……そうね。
私は、暁美さんとの約束を守りに来たの」
ほむら「えっ?」
マミ「約束したでしょう?
私達“二人”で『ワルプルギスの夜』と戦う、って」
ほむら「巴さん……」
まどか「でも、マミさんは―」
マミ「私なら、もう大丈夫よ。
十分休んだし、ちゃんと戦えるわ」
まどか「……」
マミ「それじゃあ、行きましょう!
って言いたいところだけど……。
暁美さんは、ちょっと休んでいた方が良さそうね」
ほむら「私はまだ、戦えます」
マミ「もう、無理しないの。
後は先輩の私に任せなさい」
ほむら「でも―」
マミ「ねっ?」
ほむら「はっ、はい……」
キュゥべえ「巴マミ」
マミ「……キュゥべえ」
キュゥべえ「どうして君は、その二人に嘘をついてまで戦おうとするんだい?」
まどか・ほむら「えっ?」
マミ「キュゥべえ、余計なことを言わないで」
まどか「ちょっと待って下さい!
キュゥべえ、どういうこと?」
キュゥべえ「今の彼女は、とても一人で『ワルプルギスの夜』と戦える状態とは言えないんだよ」
マミ「黙りなさい」
まどか「やっぱり、マミさん……」
キュゥべえ「暁美ほむらに無理をするなと言っていたけど……。
無理をしてるのは、どう考えても君の方なんじゃないのかい?」
マミ「黙りなさい、と言ったでしょう!」
―マミさんがキュゥべえに向かって大声で怒鳴ったその時、ちょうど、息を切らした様子のさやかちゃんが私達がいる場所の近くまで来ていました―
さやか「わっ、びっくりした……。
って、マミさん!
やっぱり、ここにいたんですね……」
マミ「美樹さん……」
まどか「…………」
さやか「あの……。
あたし、何か邪魔しちゃいました?」
マミ「いえ、大丈夫よ」
さやか「なら、いいんだけど……」
マミ「……とにかく、みんな。
私は、大丈夫だから」
まどか「いや、駄目です!
やっぱり、私が―」
マミ「鹿目さん。
……あなたが私の代わりに戦うって言ってくれた時は、本当に嬉しかったわ」
まどか「!
だったら―」
マミ「“昔”の私だったら、あなたの申し出を受け入れていたかもしれない。
でも、“今”の私には、どうしても出来ないの」
まどか「……どうしてですか?」
マミ「私にも、本当に守りたいと思えるものが出来たから、かしら……」
まどか「でも、でも―」
さやか「まどか」
まどか「さやかちゃん……」
キュゥべえ「全く、本当に訳が分からないよ。
どうして君達は、そうやって勝ち目のない、無意味な戦いに挑もうとするんだい?」
マミ「勝ち目がないなんて、分からないじゃない……」
ほむら「……巴さん」
マミ「なぁに?
暁美さん」
ほむら「必ず、勝って下さい」
マミ「ええ、もちろんよ。
私は―」
ほむら「そして、絶対に私達の元へ戻って来て下さい」
マミ「…………」
ほむら「巴さん?」
マミ「……ええ、分かったわ。
それじゃあ、行ってくるわね!」
―そして、巴さんは光の巨人の姿に変身すると、
『ワルプルギスの夜』に立ち向かって行った―
今回は、とりあえずここまで。
何とか叛逆の公開前に完結させたいところですが、この後の展開で少なくともまだ二、三波乱は起こさせる予定なので、ちょっと難しいかも……。
なお、次回の投下はまた本日中か、次の日(火曜日)までには行う予定です。
乙
このままだと西の空に明けの明星が輝く頃に一つの光が宇宙へ飛んでいく展開になりそうで怖い
乙!
マミさん、ウルトラ五つの誓い「他人の力を頼りにしない」は
「もう誰にも頼らない」とは違う事を思い出して無理しちゃ駄目なんだぜ!!
―まず最初に巴さんは、光の鎖に変形させた腕輪で『ワルプルギスの夜』を拘束しようとしたけど、残念ながらその拘束は一瞬で破られてしまい、巴さんは驚いているようだった―
ほむら(そういえば、“私が最初に三人で『ワルプルギスの夜』と戦った時”も、巴さんの拘束技は全く通用しなかった。
そのことを、事前に伝えておくべきだったわ……)
―続けて巴さんは、『ワルプルギスの夜』に対して光弾を放ったけど、その攻撃もわずかに怯ませることが出来ただけで、ほとんどダメージは無いようだった―
―やがて、今度は『ワルプルギスの夜』の方が真っ黒な触手を伸ばして攻撃してくると、巴さんは私の時と同じように吹っ飛ばされていた―
まどか・さやか「マミさん!」
―巴さんはすぐに立ち上がろうとしていたけど、『ワルプルギスの夜』の触手から変形した使い魔が、巴さんの体に纏わり付き始めると―
マミ(何、これ……?
体の自由が、全く利かない!?)
ほむら(巴さん……!)
―『ワルプルギスの夜』は、そのまま動けなくなってしまった巴さんに対して、容赦なく攻撃を放ち続けていた―
マミ「ぐっ……!」
―そして、巴さんの胸元に付いている発光体の色が赤に変わると、さらに点滅し始めた―
ほむら(そんな……)
―そして、私が諦めかけていた、その時―
まどか「マミさん、がんばって!」
ほむら「!」
さやか「そうだ、そんな魔女なんかに負けないで下さい!」
まどか・さやか「マミさん!!」
―二人が応援し始めると、驚くべきことに、巴さんの体が僅かに動いた―
さやか「ほら、ほむらも」
ほむら「えっ?」
さやか「早く!」
ほむら「……ええ、分かったわ。
巴さん!」
―巴さんは、間違いなく先程よりも力強く頷いたように見えた―
―巴さんは、薔薇園の魔女と戦った時と同じように、頭頂部の飾り【マミスラッガー】を念力で動かして使い魔達を一掃し、再び立ち上がった―
さやか「よっしゃあ!」
―そして、巴さんはそのままその武器を使って『ワルプルギスの夜』を攻撃した後、
残っていたエネルギーを溜め、遂には必殺光線【アルティマシュート】を『ワルプルギスの夜』に向けて放った―
まどか・さやか「やったぁーー!!」
ほむら「いや、まだよ!」
まどか・さやか「えっ?」
―『ワルプルギスの夜』は、巴さんの必殺光線を受けてもなお、原形を留めた状態で浮遊していた―
まどか・さやか「そんな……」
―しかも『ワルプルギスの夜』は、これまで常に逆さまの状態だったその姿を、
遂に、“逆の向き”に動かしていた―
―そして、遂に“本気を出した”『ワルプルギスの夜』が、これまでとは比べ物にならない程の激しい攻撃を巴さんに加え始めた―
マミ「う、ううっ……!」
―“本気を出した”『ワルプルギスの夜』の怒涛の連続攻撃によって、
多大なダメージを受けてしまった巴さんは、“人の姿”に戻った状態でその場に倒れていた―
まどか「マミさん!」
―まどかが、真っ先に巴さんの元に駆け寄ろうとした―
ほむら・さやか「まどか、危ない!!」
まどか「えっ?
!」
―『ワルプルギスの夜』が巴さんにとどめを刺すべく放った巨大な火球が、まどかに迫っていた―
ほむら(お願い、間に合って……!)
―私は、既に時間停止能力の失われてしまった盾を使って、何とかその攻撃を防ぐ為に動こうとしたけど、
巴さんは、私よりも先に“自分の身体”を使って火球を受けとめようとしていた―
マミ「鹿目さんっ!」
ほむら「!」
まどか・さやか「マミさん!!」
本日は、ここまで。
ちなみに『ワルプルギスの夜』の使い魔に関しては、
公式ガイドブックに載っていた、アニメ本編では使われていない若干没ネタ気味の裏設定である“捕まえた相手の体を石のように重くする能力を持っている”という技が何となく面白いと思ったので、ちょっと使わせてみました。
なお、また少し休憩を挟んで、日付が変わった火曜日の深夜0時~1時頃に続きを投下します。
乙
>捕まえた相手の体を石のように重くする能力
子泣き爺みたいで面白いな
―でも、『ワルプルギスの夜』の火球攻撃が、私達を傷つけることはなかった―
マミ(私……。
まだ、生きてる?)
まどか・さやか「?」
ほむら(一体、何が―)
??「ったく、何やられちゃってんのさ……」
マミ・まどか・ほむら・さやか「!!!!」
杏子「やっぱり、あんたにはあたしがついててやんないと駄目みたいだね……。
マミ先輩?」
本当に短くてすみませんが、今回はここまで。
たった2レス分の為に時間を開けるのもどうかと思い、ちょっと迷う気持ちもありましたが、
やっぱり個人的には重要な場面だと思ったので、少しだけ引っ張っちゃいました。
それと次回の投下に関しては、今週中を予定しています。
>>535
公式ガイドブックに載っていたイヌカレーさん(魔女のデザインや設定の考案を担当された方)のコメントから推測すると、やはり子泣き爺がその設定の元ネタっぽい感じでした。
乙
杏子復活ッ!!杏子復活ッ!!
でもボス級の敵を前にして動き止められるとかえげつない能力だよな
全体麻痺ばら撒かれた後で超火力の攻撃とかコントローラ投げつけるレベル
今日はまた少しだけですが、投下します。
>>540
元々マミさんの戦闘スタイルも若干似たような感じなので(リボンによる拘束からの必殺技)、
自分が今まで使ってきたのと同じような戦法で攻撃されるという展開にすれば、何だか魔女からの意趣返しっぽくなって面白いかなと思い、採用しました。
その為、“ウルトラマミさん”にも拘束技(キャッチリング及びブレスレット変形による光の鎖)と必殺技(アルティマシュート)を持たせてあります。
マミ・まどか・ほむら・さやか「佐倉さん・杏子(ちゃん)!!」
杏子「待たせちまったね。
まぁ、何とかギリギリで間に合ったからいいか……」
マミ「ええ、ちょっと危なかったけどね。
それより、あなたの方こそ無事だったのね!」
杏子「ああ、あんたのおかげでね」
マミ「?」
杏子「……あんたがくれた“光”が、あたしを助けてくれたんだ。
だから、これはその恩返しだよ」
―杏子はそう言うと、手の先から出した光のエネルギーを巴さんに向かって照射していた―
マミ「力が……!
……ありがとう、佐倉さん」
杏子「礼を言わなきゃいけないのは、あたしの方さ。
それにさ、昔あんたと約束したじゃん?
一緒に『ワルプルギスの夜』を倒そう、ってさ……」
マミ「佐倉さん……」
杏子「というわけで、ほむら。
返事が遅れちまったけど、今からあたし達もあんたとマミのチームに加わるってことでいいかい?」
ほむら「ええ、もちろん―
ちょっと待って……。
“達”?」
杏子「ああ、ええっと……。
実はさ、その……、あたしの仲間にも、一緒に来てもらったんだよね」
マミ・ほむら「佐倉さん(あなた)の……。
仲間?」
???「チャオ、見滝原のみなさん!」
また一時間程休憩を挟んで、木曜日の深夜0時~1時頃に続きを再開します。
海香「初めまして。
私達はあすなろ市から来た魔法少女で、私の名前は御崎海香よ」
カオル「同じく、あたしは牧カオルでっす!」
かずみ「わたしは、昴かずみです!
みなさん、よろしくね!!」
さやか「御崎海香って、あのベストセラー作家の!?」
海香「ええ、そうよ」
カオル「やっぱ海香先生は有名なんだなー!」
マミ「あすなろ市、ね……」
まどか「マミさん、どうしました?」
マミ「いえ、私も遠足でそこに行ったことが―
!
そういえば、あなたはあの時の……」
かずみ「え、わたしですか?」
マミ「ええ、昴さん。
私のこと、覚えてない?」
かずみ「うーん……」
カオル(テレパシー:なぁ、海香。
もしかして、この人……)
海香(テレパシー:ええ、おそらくそうでしょうね)
カオル(テレパシー:どうする?)
海香(テレパシー:私に任せて)
海香「ちょっと、説明させて頂いてもいいかしら?」
マミ「ええ、どうぞ」
海香「あなたと前に会ったことがあるのは、かずみじゃなくて……。
おそらくこの子の“姉”だと思います」
マミ「あら、そうだったの……」
かずみ「……」
杏子「ちょっとちょっと。
悪いけど、そういう話は後にしてくんない?
いい加減、こっちもきつくなってきたんだけど!」
マミ「あっ、ごめんなさい……」
杏子「ったく、今は先にやるべきことがあるだろ?」
マミ「分かってるわ。
……ハァッ!」
―巴さんが再び光の巨人の姿へと変身し、そこには二人が並び立つことになった―
杏子「さぁ、久しぶりに名コンビを見せ付けてやろうじゃんか」
マミ「ええ。
行くわよ、佐倉さん!」
杏子「おう!」
とりあえず、ここまで。
ちなみに、今回出てきた三人を知らないという方もいるかもしれないので一応説明させて頂くと、
かずみ・海香・カオルは『まどか☆マギカ』のスピンオフ漫画である『かずみ☆マギカ』に登場する、見滝原とは別の街の魔法少女達で、マミさんや杏子ちゃんとは、間にある“少女”を通す形で接点があります。
(詳細は→http://dic.nicovideo.jp/a/%E9%AD%94%E6%B3%95%E5%B0%91%E5%A5%B3%E3%81%8B%E3%81%9A%E3%81%BF%E2%98%86%E3%83%9E%E3%82%AE%E3%82%AB)
なお、この続きはまた今週中に投下します。
乙
ここからは全部マミさんのターンだ!
ダブルライダーのこれでもう勝つる!な安心感に比べると
ダブルウルトラマンはやっとバトルスタートみたいな緊迫感が続くよな…
―まず巴さんと杏子は、それぞれ牽制用に何発か光弾を放って『ワルプルギスの夜』を攻撃していた―
マミ「……?」
ほむら(……何かかがおかしい。
先程までは、あれだけ激しく巴さんを攻撃していたはずなのに……)
―何故か『ワルプルギスの夜』は、やかましく笑い続けていることを除けば、ほとんど何もせずに浮遊していた―
杏子「何だ、思ったより大した事も無さそうだね……。
こうなったら、一気に決めさせてもらうよ!」
マミ「佐倉さん、待って―」
―近付いてきた杏子に対して、『ワルプルギスの夜』は“例の触手”で攻撃を仕掛けた―
杏子「はんっ、遅い!」
―杏子は触手の攻撃をかわしたけど、『ワルプルギスの夜』は、またもや触手を使い魔に変化させて襲わせていた―
杏子「うわっ!
何だよ、こいつら!?
体が、動かねぇ!!」
マミ「佐倉さん!
待ってて、今私が―
えっ、そんな……」
―杏子の身を案じて思わず隙を見せてしまった巴さんも、再び使い魔に捕まってしまっていた―
ほむら(ちっ……)
―私は、まだ残されている“切り札”を使って、二人を助けに行こうとしたのだけど―
海香「ちょっと、お待ちを。
ここは、私達が」
ほむら「……ええ、お願いするわ」
かずみ「よし、それじゃあ“あれ”で行くよ!
海香、カオル、力を貸して!!」
海香・カオル「うん・OK!!」
かずみ「合体魔法……」
かずみ・海香・カオル「メテオーラ・フィナーレ!!!」
マミ「!」
まどか・さやか「すごーい……!」
―三人の魔法少女達による強力な合体魔法が、『ワルプルギスの夜』の使い魔達を一掃していた―
カオル「使い魔は、あたし達に任せて!」
―巴さんと杏子は頷くと、『ワルプルギスの夜』に近付いていった―
マミ(佐倉さん、私達も合体攻撃をするわよ!)
杏子(……ああ、分かった!)
杏子「こいつを喰らいな……」マミ「Meteora doppietta !!【フライングダブルパンチ(メテオツイン)】」
―二人の合体攻撃をまともに喰らった『ワルプルギスの夜』は、遂に、大きく怯んでいた―
ほむら「(一瞬だけど、『ワルプルギスの夜』の笑いが止まっていた……)
巴さん、杏子!!」
―再び二人は頷くと、必殺技のチャージを始めた―
―そして、二人が同時に放った合体光線【KMスペシャル】が『ワルプルギスの夜』に直撃した―
とりあえず、ここまで。
技名等からバレバレだとは思いますが、今回の戦闘部分では“劇場版のティガ・ダイナ”のオマージュ要素がかなり入ってます。
なお、また少し休憩を挟んだ後、日付の変わった土曜の深夜0時頃に続きを再開します。
乙
一波乱あってもきっとマミさんは勝つさ
だってみんなの心がひとつになったんだから負けるはずがない
と懐かしい気持ちにかえって応援する自分がいる
一つだけ、投下し忘れていた分があったので。
>>555 の舞台裏
かずみ・海香・カオル「メテオーラ・フィナーレ!!!」
マミ(あの子達、いいセンスしてるじゃない……)
杏子(多分、この顔はまた何か変なこと考えてる感じだな……)
―でも、それでも『ワルプルギスの夜』は、まだ倒れてはいなかった―
杏子(ちくしょう、これだけ攻撃してもまだ生きてやがるのか……。
なんてしぶとい奴なんだよ!)
マミ(でも、確実にダメージを与えられているはず。
だから、もう一度攻撃すれば、もしかすると……)
マミ(……佐倉さん、今度はダブルフラッシャーよ!)
杏子(分かった!)
マミ(……いや、やっぱり待って!)
杏子(……何だよ急に)
マミ(『ワルプルギスの夜』の様子が、何だか変だわ……)
―『ワルプルギスの夜』の笑い声が、何だかノイズの入ったような、歪なものへと変化していた―
杏子(あたし達にやられて、弱ってきたからじゃねぇの?)
マミ(えっと、そうなのかしら……?)
杏子(とにかく、さっさと倒し―
!)
マミ(どうしたの、佐倉さん?)
杏子(あいつは……!)
―いつのまにか、『ワルプルギスの夜』の近くには、おそらく私達と同じくらいの年齢と思われる少女が立っていた―
マミ(あれは……、魔法少女!?
一体、あんなところで何を……。
それより佐倉さん、知ってる子なの?)
杏子(……記憶が無い時のあたしがあんた達を殺そうとしたのは、あいつにけしかけられたからなんだ!)
マミ(何ですって!?)
かずみ「!
あそこにいるのは……、そんな!!」
マミ(あれは……、魔法少女!?
一体、あんなところで何を……。
それより佐倉さん、知ってる子なの?)
杏子(……記憶が無い時のあたしがあんた達を殺そうとしたのは、あいつにけしかけられたからなんだ!)
マミ(何ですって!?)
かずみ「!
あそこにいるのは……、そんな!!」
最後に重複連投のミスをしてしまって申し訳ありませんが、今回はここまで。
ウルトラ化した状態のマミさん&杏子ちゃんの二人がかりの攻撃でも耐えきる等、若干『ワルプルギスの夜』を強くし過ぎちゃったような気もしますが、
元々“因果の特異点となった状態の鹿目まどか”以外の者には倒せないという説もあるみたいですし(ゲーム版では相打ちとはいえほむらちゃん一人で倒せたルートもありましたけど)、
とりあえずここでは、魔法以外の攻撃が主体だった為に与えられるダメージが半減していた、という設定にしたいと思います。
そして、いよいよ来週からの投下分にて、インキュベーターと組んで暗躍していた黒幕の正体や、その他にも色々な真相等を明かしていく予定なのですが、
そこには、>>2 の注意事項でも書いた通り『かずみ☆マギカ』の核心部分に関わるネタばれ要素が含まれている為、改めて、未見の方はご注意下さい。
また、同じく >>2 に書いてある、かなりの独自設定が付加された重要キャラクターとは、
実は“復活した杏子ちゃん”のことだったのですが、場合によってはその辺の設定を不快に思われる方もいらっしゃると思うので、
もしかすると純粋な杏子ちゃん好きの方にとっては、次回以降の内容が閲覧注意な感じになってしまうかもしれません。
さらに、敢えてまだ作品名は出しませんが、ウルトラシリーズの“ある過去作品”のネタばれ及びオマージュ要素も含まれます。
以上のことを踏まえた上で、それでも構わないという方のみ、この続きを読んで下さるようにして頂けると助かります。
なお、次回の投下は月曜日以降を予定しています。
乙
待ってる
遅くなりましたが、とりあえず少しだけ投下します。
海香「かずみ、どうし―
あれは!」
まどか「……もしかして、知ってる子なんですか?」
かずみ「……うん。
あの子は、私達と同じあすなろ市の魔法少女だよ。
でも―」
さやか「ていうかあいつ、この前あたしにイーブルナッツを植え付けたやつじゃん!」
ほむら「!
それは本当なの!?」
さやか「うん、間違いない」
カオル「ニコ……。
いや、イーブルナッツを使っていたというのなら、
カンナ、なのか?」
??「残念だが、“私”は、そのどちらでもない。
……この娘の体を借りているだけだ」
マミ「……それなら、あなたは一体誰なの?」
ザギ「……ダーク、ザギ」
短いですが、今回はここまで。
ダークザギが“まどか☆マギカの世界”に介入してくるという展開は、数年前に他の方が書かれていたまどか×ウルトラ系のSSでも既にあったようですし、
しかも最終決戦時の途中で登場する等、今のところはそちらの話と結構状況が被っちゃってるのですが、これ以降はなるべく違いが出るようにしていくつもりです。
なお、次回の投下はまた本日中(金曜日)を予定しています。
乙
まどマギとネクサスの多すぎる類似点から、QBのモデルはダークザギなんじゃないかと思ってる
乙
年頃の女の子体を借りて一体何をする気なの!?エッチ!!
とか最初に頭に浮かんだ俺はちょっと疲れてるのかもしれない
まずは1レス分だけですが、再開します。
ちなみにもう一度書いておきますが、今回と次回の投下分は、杏子ちゃん好きの方にとっては閲覧注意の内容かもしれませんので、ご注意下さい。
ほむら「……ダーク、ザギ?」
マミ「……もしかして、あなたがキュゥべえの言っていた“協力者”なの?」
ザギ「ああ、その通りだ」
マミ「……では、何故あなたはキュゥべえに協力して、私達皆を陥れるような行動をしてきたというの?」
ザギ「ふっ……」
マミ「答えなさい!」
ザギ「私とインキュベーターは、お互いの目的を達成させる為に協力していた。
だが……、巴マミ。
貴様の存在が、私達双方にとっての障害となっていた。
だから、お前を排除する為に、魔女達を巨大化させ、美樹さやかや志筑仁美を魔女モドキにし……。
そして、“その娘”を創り出して差し向けた」
マミ・杏子・ほむら「!!!」
ダークザギの一人称がネクサス本編と異なっていますが、今回は少女(『かずみ☆マギカ』の登場キャラクター:聖カンナ)に憑依している為、意図的に変えているという設定です。
また、放送短縮が決まる前の初期設定では凪副隊長の闇落ち時の姿だったという噂もありますし、“誕生の経緯”を考えると性別の概念とかも無さそうに思えるので、
このSSでは、女性にもなれる(=つまり、契約も可能?)という、若干強引な解釈をしています。
なお、今回も休憩を挟んで、また日付が変わった土曜の深夜0時~1時頃に続きを投下します。
杏子「……そいつは、どういう意味だ……!?」
ザギ「お前は、この私が創り出した、人形。
つまり、お前はただの道具だということだ」
杏子「ハァッ!?
……あたしが、“人形”?
テメェは、一体何を言ってやがんだ……!?」
ザギ「インキュベーター、詳しく説明してやってくれ」
キュゥべえ「分かったよ。
君はね、巴マミが保管していたグリーフシードの情報を使って、ザギが創り出した合成魔法少女。
もう少し分かりやすいように説明するとすれば、佐倉杏子のクローンというべきかな」
杏子「何、だと……!」
マミ「やっぱり、あのグリーフシードはあなた達が……。
でも、そんなの嘘だわ!」
キュゥべえ「今、僕達が言っていることは全て真実だよ。
大体、一度魔女になってしまった者が元の魔法少女に戻る事なんて、僕との契約による願い事以外の方法では出来るはずもない。
その事実を踏まえた上で考えれば、彼女が“本物の佐倉杏子”でないことくらいは、簡単に分かるだろう?」
マミ「でも、だって……。
佐倉さんには、私と一緒にいた時の記憶だってちゃんと残って―」
ザギ「確かに“オリジナルの佐倉杏子”の記憶が残っていたのは予想外だった。
だが、今のお前達の様子を見る限りだと、そのこともかえって好都合に働いてくれたようだな」
マミ「そんな……!」
マミ「でも、どうして―」
ザギ「もちろん、貴様を動揺させて精神的に追いつめる為だが……。
インキュベーターの方には、別の理由もあるそうだ」
ほむら「……それは、一体何の理由なの?」
キュゥべえ「僕達が考えた“新しいシステム”の根幹要素となる、合成魔法少女の量産に向けた、言わばテストのようなものかな」
ほむら「……合成魔法少女の、量産?」
キュゥべえ「彼女のような“合成魔法少女”の存在が、僕達の戦略に新たな道筋を示してくれたんだ」
かずみ・海香・カオル「!!!」
キュゥべえ「やっぱり、君達は気付いたようだね。
僕達が新しいシステムを思い付くことが出来たのは、君達プレイアデス星団のおかげだよ」
ほむら「……彼女達のおかげとは、一体どういうこと?」
海香「くっ……」
カオル「それは……」
かずみ「……海香、カオル。
別に、隠さなくてもいいよ」
海香・カオル「かずみ……」
かずみ「……元々わたしも、海香とカオルの友達だった子から生まれた、合成魔法少女。
そして、キュゥべえと契約することで“本物の魔法少女”になったんだ……」
まどか・さやか・ほむら「……」
キュゥべえ「そうして、君達プレイアデス星団がかずみを誕生させ、
やがて、かずみが契約して魔法少女になったおかげで、僕は新しいシステムを思い付くことが出来た。
それが、合成魔法少女の量産による、エネルギーの収集だ」
ほむら「……」
キュゥべえ「もちろん、合成魔法少女の生産というのは、決して簡単なものではないのだけど……。
ザギが協力してくれたおかげで、その問題もほぼ解決出来ていた。
そして、そのシステムが完成すれば、君達一人一人といちいち契約を結ぶ必要も無くなるし、僕達もより効率的にエネルギーを回収することが出来る。
君達人類にとっても、その方がいいんじゃないのかい?」
全員「…………」
ほむら「……だったら、そのシステムを見付けた後も、執拗にまどかへ契約を迫っていたのはどうして?」
キュゥべえ「彼女は特別だよ。
まどかとの契約によって得られるエネルギーの量は、それだけ魅力的なものだということさ。
確かにそのシステムが完成すれば、効率的なエネルギーの回収が期待出来るけど、あくまでまだ未完成でただの構想に過ぎないことだし、
僕達にとっても、得られるエネルギーがより多ければ、それに越したことはないからね」
マミ「……もしかして、あなたが新しい契約をしていなかったのも、そのことが関係していたというの……?」
キュゥべえ「うん、そういうことになるね」
マミ「それじゃあ、私がやってきたことは、ただの無意味な戦いだったというの?」
キュゥべえ「無意味なんかじゃないよ。
君に邪魔されたから、というのも、全く関係無いわけではないし、
現に、その影響で新しいシステムの実用化と導入の作業は遅れていたわけだしね。
ただ、君が魔女を狩ってグリーフシードを集めてくれていたことは、僕達にとっても好都合だった」
マミ「!」
―インキュベーターがそう言うと、その場に隠されていた大量のグリーフシードのビジョンが見えるようになった―
ほむら「一体、何をするつもりなの!?」
キュゥべえ「何って、今まで説明していたシステムの実行に決まってるじゃないか。
『ワルプルギスの夜』の魔力をザギの闇の力でグリーフシードと連結させ、合成魔法少女を量産させるんだよ」
ザギ「残念だが、それは違う」
キュゥべえ「ザギ、どういうことだい?」
ザギ「今回のエネルギーは、全てこの私が使わせてもらう」
キュゥべえ「それは、この前の契約の内容と違うじゃないか」
ザギ「元より、貴様との契約など守るつもりはない。
全ては、私が元の姿を取り戻す為の……。
いや、前以上の力を手に入れた上で復活する為の、道具だ!」
―ダークザギはそう言うと、目を赤く光らせ、凄まじい闇の力を発生させた―
今回は、ここまで。
色々と説明不足な点があると思いますが、後でまた補足説明を行う予定です。
なお、次回の投下は再び本日中(土曜日)になると思います。
乙
ゲスな企みの説明会かと思ったらゲスと外道の化かしあいだった
ザギ「……そういえば、巴マミ。
貴様には、一つだけ感謝しておくべきかもしれない」
マミ「?」
ザギ「私が“この世界”に来ることが出来たのは、貴様のおかげとも言えるからな」
マミ「何ですって!」
ほむら「……それは、どういうこと?」
ザギ「巴マミが時空移動をしたことによる影響が、私を“この世界”へと導いてくれた」
マミ「そんな……!」
マミ「……それじゃあ、あなたが“この世界”に来てしまったのは、私が原因だというの……?」
ザギ「ああ、その通りだ」
マミ「だったら……。
私は、“この世界”に戻ってくるべきではなかったのね……」
まどか「そんなこと、無いです!」
マミ「えっ?」
まどか「マミさんが、ずっとみんなの為に頑張って戦ってくれてたこと、私は知ってます。
だから、そんなこと言わないで下さい!」
マミ「鹿目さん……」
さやか・ほむら「あたし(私)もまどかと同意見だよ(わ)」
ほむら「あいつらの言葉に、騙されては駄目よ。
確かに、あなたが来たことの影響が、全て良い方向に働いたとは言えないのかもしれない。
でも、あなたがそれ以上に大勢の命を救ってきたことも、私も知ってるわ」
さやか「あたしも、マミさんがいてくれなかったら、今頃どうなってるか分かんないしさ。
だから、マミさんには本当に感謝してるんだ」
マミ「暁美さん、美樹さん……」
海香・カオル「私(あたし)達からも、一言言わせて下さい。
あなたがミチルを助けてくれなかったら、私(あたし)達は魔女に食われて死んでいたはず。
それに、この子と出会うことも出来なかった。
だから、私(あたし)達もあなたには感謝してます」
かずみ「……それに、ミチルもきっとそう思ってたはずだよ」
マミ「みんな……」
ザギ「フフッ……」
ほむら「何が可笑しいの?」
ザギ「急に何を言い出すかと思ったら、揃いも揃ってそんな現実逃避のような意味の無い話を始めるとはな。
もっと、今の現状に目を向けた方がいいんじゃないのか?」
全員「……」
ザギ「まぁいい。
下らない茶番は、ここまでだ!」
―ダークザギが、再び『ワルプルギスの夜』に近付いて行った―
マミ「!!」
ザギ「復活の時だぁあああーーー!!!」
今回はここまでですが、その代わりに“このSS”中の時系列の流れについて、少し書きます。
・マミさん、事故で瀕死の重傷を負うが、偶然他の任務で“まどか☆マギカの世界”へ来ていたウルトラ兄弟に助けられ、“光の国”(M78ワールドの世界)へ
↓
・ウルトラの母の“奇跡”によって、“ウルトラマミ”として生まれ変わる
↓
・ウルトラ化したマミさん、調査任務の為に“まどか☆マギカの世界”へ帰ってくる
↓(ダークザギ、ノアに敗北した後に再び力を失った状態で宇宙を彷徨っていたが、マミさんの時空移動のエネルギー波を感知し、その後を追う)
・マミさん、“魔法少女”(優木沙々?)及び、キュゥべえと遭遇
↓
・数か月後、魔女に苦戦中の杏子ちゃんとマミさんが出会い、ウルトラの力を隠して師弟関係に
↓
・さらに数か月後、佐倉家の一家心中をきっかけにマミさんと杏子ちゃんが離別
↓
・マミさん、“少女”(和紗ミチル)を助ける
↓(その後、あすなろ市では『かずみ☆マギカ』とほぼ同様の出来事が展開)
・マミさん、“魔法少女”に洗脳される
↓(かずみ達とラスボスの最終決戦時、ちょうどダークザギが“まどか☆マギカの世界”へ到着し、“魂”を失った状態のカンナの体を乗っ取ってインキュベーターと“契約”)
・杏子ちゃん、再び見滝原へ
↓
・マミさん、“インキュベーター”と敵対していく決意を固める
↓
・暁美ほむら、別の時間軸(平行世界)から到着
↓
・マミさん、薔薇園の魔女の結界の中で“後輩達”と遭遇
という感じの流れになっています。
それと、もしかしたら本日中にもう一度更新するかもしれません。
マミ(なんて凄い闇の波動なの……!
今までの相手とは、桁違いだわ……)
―ダークザギは、所々に『ワルプルギスの夜』と似たような特徴も併せ持った、闇の巨人の姿に変化していた―
キュゥべえ「……ダークザギ。
今の君が、本当の姿というわけかい?」
?「いや、今の私はもはやザギではない」
キュゥべえ「どういうことだい?」
?「魔女の力は、予想以上のものだった。
だから、改めて名前も変えさせてもらうとしよう」
ルシフェル「私の名は、ダークルシフェルだ」
杏子「……巴マミ」
マミ「……どうしたの?」
杏子「あんたの武器、ちょっと貸してもらうよ」
マミ「佐倉さん、あなたまさか―」
杏子「その呼び方は止めろ!
……あたしは、“佐倉杏子”じゃない」
マミ「っ……」
杏子「さぁて……。
テメェ、覚悟は出来てるよな?」
ルシフェル「……何のことだ?」
杏子「もちろん、このあたしにぶっ潰される覚悟に決まってんじゃん。
……テメェだけは、絶対に許すことなんて出来ねぇからさぁ!」
―“杏子”はそう言って槍【ウルトラランス】を構えると、ダークルシフェルに向かって突進していた―
本日は、ここまで。
ちなみに、“ダークルシフェル”の名称は、『ウルトラマンネクサス』における一連の事件の黒幕として登場する予定だった闇の巨人のものですが、
『ネクサス』が放映短縮になってしまった為、急遽、ダークザギがその役割を引き継ぐことになり、結果的には没となってしまったキャラクターです。
また、『ウルトラマンサーガ』の初期案でもラスボスとして登場予定だったらしいのですが、結局、こちらの話でも没になっています。
なお、その正体については、ビーストとウルティノイドが合体したものという説や、元々ノアと同一の存在だったものから分離した説、
ダークザギを超える存在(『ネクサス』DVD-BOXに付属のブックレットに掲載されている後日談小説での設定)等、色々異なる解釈や設定があるようですが、
このSSでは、『ワルプルギスの夜』と沢山のグリーフシードの魔力を取り込んだ、ザギの強化形態(ネクサスやネクストにおけるジュネッスやノアのような扱い)という設定にしています。
そして、次回の投下に関しては、火曜日を予定しています。
乙
自爆はあかん、あかんでぇ杏子ちゃん……
―でも、“杏子”が決死の覚悟で放ったその一撃は、ダークルシフェルにあっさりと受け止められてしまっていた―
杏子「くっ……!」
ルシフェル「まさか、お前がそんな風に無策で私を攻撃してくるとはな……。
どうした、幻惑の力は使わないのか?」
杏子(コイツ……!)
ルシフェル「……なるほど、記憶が戻ったことで再び力を失ったということか。
もっとも、その“記憶”はお前の物ではないのだが……」
杏子「……黙れ」
ルシフェル「何か言ったか?」
杏子「黙れっつってんだろうが!」
―そして“杏子”は、常人どころか魔法少女の感覚をもってしても簡単には認識出来ない程の速度で動いて、
何度も何度も攻撃を試みていたけど、残念ながら、全て避けられてしまっていた―
ルシフェル「……創造主である私にすらも歯向かおうとする、その反骨精神だけは認めてやろう。
だが、もう無駄なことはやめたらどうだ?
残念ながら、今のお前の力では、私を倒すどころか傷一つ負わせることも出来ないと思うが……」
杏子「ふざけるな!
テメェの指図なんか、絶対に受けてたまるかつーの!!」
ルシフェル「……仕方無いな。
だったら、こうするまでだ!」
杏子「!」
―ルシフェルはそう言うと、“杏子”の体を掴んで押さえつけた―
ルシフェル「お前の光も、この私が貰い受けるとしよう」
杏子「ぐっ……。
うわあああっ!」
マミ「佐倉さん!」
―光を失った“杏子”に対して、ルシフェルがとどめを刺そうと近づいていた―
ルシフェル「……せめてもの餞だ。
この私が、直接お前に手を下してやるとしよう」
杏子「ちっ、くそっ……」
―でも、ルシフェルが“杏子”に向けて放った闇のエネルギー弾は、突然飛んできた“盾”によって阻まれた―
ルシフェル「何……!?」
―続けて、無数の“ブーメランのような刃物”がルシフェルに襲いかかり、一時的なものではあったけど、確かにその動きを止めていた―
ルシフェル「ぐっ……」
―そして、“光”が“杏子”の体を覆い、安全な場所へと運んで行った―
マミ「怪我は無い?」
杏子「……どうして、アタシを助けたりしたんだよ……?」
マミ「えっ!?
何を、言ってるの……?」
杏子「……アタシは、今までずっと奴の手で踊らされていただけの、哀れな人形。
そしてもう、アタシの役目は終わったんだ。
だからアタシは、もう生きてる意味なんて無い!」
マミ「そんなこと無い!
あなたは―」
杏子「いいからもう、アタシのことはほっといてくれ!」
マミ「駄目よ!
待って、佐倉さ―」
杏子「アタシは、アンタの知ってる“佐倉杏子”じゃない!
それどころか、アタシは人間ですら無いんだ!!
だから……、アタシには、“佐倉”の姓を名乗る資格なんてないんだ……」
マミ「っ……」
杏子「だからもう、そうやって呼ぶのもやめてくれ!」
マミ「だったら……」
杏子「……だったら、何だってんだよ?」
マミ「……私と、同じ名字になってみる?」
杏子「………………!?」
杏子「なっ……。
アンタ、いきなり何言ってんのさ?
こんな状況で、冗談なんか言ってる場合かよ!」
マミ「あら、私は結構本気で言ってるのよ?
だって、あなたが私の“妹”になってくれたとしたら、とっても嬉しい事だもの……」
杏子「!
マミ……」
マミ「……私があなたを、絶対に一人ぼっちになんてさせないわ。
だから、もう生きてる意味が無いなんて言わないで」
杏子「分かったよ。
……マミ、さん」
ルシフェル「ふふっ……」
マミ「……何が、可笑しいの?」
ルシフェル「いや、急に何をしだすのかと思って黙っていたら、まさか、私の創った“人形”と家族ごっこを始めるとはな……。
つくづく、人間とは理解しがたいものだと―」
マミ「謝りなさい」
ルシフェル「何?」
マミ「この子に、謝りなさい!」
ルシフェル「何故だ?」
マミ「これ以上、この子のことを侮辱するのは許さない……。
今すぐに、謝って!
……さもないと―」
ルシフェル「さもないと、どうする?」
マミ「……私が、あなたを叩きのめすわ!」
ルシフェル「……貴様が、この私を叩きのめすだと?」
マミ「ええ、そうよ」
ルシフェル「笑わせるな。
本当に、そんなことが出来るとでも?」
マミ「……だったら、試してみる?」
ルシフェル「……いいだろう。
貴様がこの私に歯向かったこと、後悔させてやる!」
杏子「マミ!」
マミ「なぁに?」
杏子「いくらアンタでも、ソイツには勝てっこない!
だから、無茶な真似はやめてくれ!!」
マミ「私が戦わなかったら、この星の生命が全滅させられてしまうわ。
いえ、それだけじゃない。
他の星、他の世界だって―」
杏子「だとしても、あたしは“家族”を失いたくない」
マミ「……それは、私も同じよ」
杏子「だったら―」
マミ「……大丈夫。
“家族”は、お互いを心配させたりしないものよ。
だから、私は絶対に勝ってみせるわ!」
杏子「……本当に、勝てるんだな?」
マミ「……ええ、約束するわ」
杏子「分かった、行ってきなよ」
ルシフェル「別れの言葉は、済ませてきたようだな」
マミ「いえ、まだよ。
それに、あなたとのお別れの方が先になるんじゃないかしら?」
ルシフェル「随分と、自信があるようだな」
マミ「ええ、そうね。
今の私は、もう何も恐れるものは無いわ。
……行くわよ!」
―巴さんはそう言うと、両腕をXの形にクロスさせ、強化必殺光線【ネオアルティマシュート】を放った―
ルシフェル「フッ!」
―そして、光と闇の強大なエネルギー波が、盛大にぶつかり合った―
―そして、その争いを制したのは……、闇の力の方だった―
今回は、ここまで。
果たして、叛逆の公開前までに完結させることが出来るのだろうか……?
ちなみに、次回の投下はまた本日(水曜)中か、遅くても木曜日を予定しています。
乙
巴杏子……うむ、いいじゃないか。実にいい
帰ったら大きなケーキでパーティだ!
―ダークルシフェルの放った闇のエネルギー波が、光線【ネオアルティマシュート】を押し返してそのまま上半身に直撃すると、その衝撃で巴さんは倒れこんでいた―
マミ「ぐっ!」
―そして、巴さんの胸元に付いている発光体が放っている光の点滅速度も次第に早まっていき、
やがては、完全に消えてしまっていた―
杏子「マミぃぃぃっっっ!!!」
―杏子の悲痛な叫び声が、その場に響き渡っていた―
―既に動かなくなっていた巴さんに対して、ルシフェルがさらに追い討ちをかけるように胸元の発光体を足で踏み潰したことで、
“光”を完全に失ってしまった巴さんは、再び“人の姿”に戻っていた―
まどか「マミさん!」
―先程と同じように、まどかが巴さんの元に駆け寄ろうとしていたけど、今回は杏子の方が先に動いていた―
杏子「マミ!!」
―杏子は、冷たくなってしまった巴さんの体を強く抱きしめながら、沈痛な表情で泣き叫んでいた―
杏子「おい、冗談だろ……!?
ついさっき、あたしを一人にしないって約束したばっかりじゃんか……。
ふざけんじゃねぇぞ!
……あたしはもう、あんたがいないと駄目なんだ。
だから、さっさと目を覚ましやがれ!!」
まどか「杏子ちゃん……」
なん……だと……
ルシフェル「これでもう、邪魔者は全て消えた……。
あとは―
ぐっ!」
―どういうわけか、ダークルシフェルが急に苦しみ出していた―
ほむら(一体、何が起こったというの……?)
さやか「あいつ、いきなりどうしたんだろ?」
キュゥべえ「おそらく、無理に取り込んだ魔女達の力が、反発し始めたようだね」
ルシフェル「何!?」
キュゥべえ「いくら君の力が強大でも、流石に“伝説の魔女”を完全に制御することは出来なかったということさ」
ルシフェル「……だったら、こうするまでだ!」
まどか「えっ……、きゃあっ!」
―ダークルシフェルは、大きな手でまどかを掴んで持ち上げていた―
ほむら「まどか!」
―私は、急いで僅かに弾が残っていた自動小銃【89式小銃】を構えたけど、まどかに当たってしまう可能性を考えると、撃つことが出来なかった―
―ダークルシフェルは、まどかをその体に取り込むことで、再び魔女達の力を制御し始めていた―
キュゥべえ「なるほど、まどかの力を使って魔力を制御したというわけか。
でも、君一人でエネルギーを独占されると、流石に困るんだけど……」
ルシフェル「安心しろ。
私の“目的”を達成した後でも良ければ、もう一度お前達インキュベーターの計画に協力してやってもいい。
お前達には、まだ利用価値がありそうだからな」
キュゥべえ「そうか。
それでは、君の目的が成就することを祈っておくとするよ」
ほむら「…………」
とりあえず、ここまで。
今のペースだと、後二日で最後まで完結させるのはちょっと無理そうですが、
少なくとも、この“最終決戦”に決着がつくところまでは何とか進めたいと思っています。
なお、次回の投下はまた本日中の予定です。
乙
魔女化させなくてもエネルギーを取り込む事が出来るとか何気にすごいことしてんな
再開します。
>>621
少々強引な解釈になるかもしれませんが、既に“ダークルシフェル”自体が半分魔女化したのと同等の存在になっている為、
魔女や使い魔が人間を喰らってグリーフシードを孕む時と類似しているような変換作業を行った、という感じで考えています。
また、“因果の特異点となった状態の鹿目まどか”の素質からもたらされる魔力は、『ワルプルギスの夜』の持つ魔力を遥かに凌駕しているはずですが、
本来は魔法少女にならないと使えないはずのその力を自身の体に取り込むことで強引に引き出し、より強い力で魔女達を抑えつけている、という設定です。
ほむら(もう、これまでだというの……?)
―巴さんが倒され、杏子の“光”も奪われ、さらにはまどかまで奪われてしまったという絶望的な状況に陥ったことで、
私の心は、既に折れる寸前まで追い詰められていた―
ほむら(もう、私には時間を戻してやり直すチャンスすらも残されていない。
私は結局、まどかを救うことなんて出来なかった……)
―再び、私のソウルジェムが穢れを溜め込み始めていた―
ほむら(せめて、私がみんなに迷惑をかけてしまわないようにしないと……)
―私は、隠し持っていた拳銃【ワルサーP5】を左手に持ち、魔女になってしまう前に自らのソウルジェムを破壊すべく、狙いをつけた―
かずみ「あきらめるな!」
ほむら「えっ……?」
かずみ「間にあった……」
―昴かずみが、私の拳銃を奪い取り、ソウルジェムの破壊を阻止していた―
ほむら「……どうして、私の邪魔をしたの?
私が魔女になったら、あなた達にも迷惑がかかるでしょう!?」
かずみ「でも、あなたはまだ魔女になってない!」
ほむら「……もう、それも時間の問題だわ。
それにこのまま生きてたって、どうせ私は何も出来ないのよ」
かずみ「そんなこと無い!
わたし達はまだ、戦える!!」
ほむら「……どうしてあなたは、こんな状況でもまだ戦うことが出来るの?」
かずみ「……わたしはね、前に“大切な友達”と“約束”したんだ。
わたしはわたしの力の続く限り、その子が大好きだった人たちの笑顔を守るって。
だからわたしは、最後まであきらめたくない!」
ほむら「!」
かずみ「……生きようとする限り、わたし達は絶望なんてしない。
希望はまだ、必ずあるはずだよ!」
海香・カオル(かずみ……)
まどか「……かずみちゃんの、言う通りだよ」
ほむら「まどか!?
良かった、まだ生きてたのね!」
まどか「うん、ほむらちゃん」
ルシフェル「……貴様、私の闇を受けてもまだ、自我を保っていられるというのか!?」
まどか「私も“みんな”のこと、信じてるから……」
ほむら「まどか……」
ほむら「……そうね。
私が、間違ってたわ。
私もまだ、戦える!」
さやか「ほむら……!」
ほむら「大切なことを思い出させてくれて、ありがとう。
“かずみ”」
かずみ「!
どういたしまして、“ほむら”」
ほむら「……それじゃあ、改めて言うわね。
あなた達も、私と一緒に戦ってくれる?」
かずみ・海香・カオル「うん(ええ・ああ)
もちろん!!!」
ルシフェル「どうしてだ……?
何故お前達は、この状況で絶望せずにいられる!?」
まどか「みんなが、今までずっと希望を信じて戦ってきた、“魔法少女”だからだよ」
ルシフェル「……希望、だと?
そんな脆弱で不確かなもの、抱くだけ無駄だ!」
まどか「希望を抱くのが間違いだなんて、そんなの絶対に違うよ」
ルシフェル「何?」
まどか「……みんな、希望を信じて戦おうとしてくれてる。
だから私だって、もう絶望する必要なんて、ない!!」
―まどかがそう言い放った瞬間、ルシフェルの体から、桃色の“光”が発生していた―
タイムリミットの関係で若干駆け足気味でしたが、とりあえずはここまで。
『まどか☆マギカ』本編のキャラクターを差し置いて、ちょっとかずみを目立たせ過ぎちゃった気もしますが、
「あきらめるな!」という言葉は、『かずみ☆マギカ』でも“和紗ミチル”の台詞として出ていたので、どうしても“かずみ”にも言わせたくなり、こういう展開にしました。
なお、数時間程休憩を挟みますが、本日中にまだ少しだけ投下する予定です。
まどか「……そっか。
これが、マミさんの言ってた“光”なんだね……」
ルシフェル「……貴様、闇の力を“光”に変換したというのか!?」
―まどかの“光”が、巴さんの体に注がれていく―
さやか「ほむら!
あんたからも、“光”が……」
ほむら「えっ?」
―いつのまにか、私の体からも“光”が発生していた―
さやか「すっご……!」
ほむら「驚いてるようだけど、あなたからも“光”が出てるわよ」
さやか「あっ、ほんとだ……」
海香「私達からも、“光”が……」
―気がつけば、その場にいる全員から“光”が発生していた―
カオル「見ろ!
あそこにあるグリーフシードからも、“光”が……」
キュゥべえ「……バカな。
あのグリーフシードには、もうエネルギーなんて残ってないはずだ」
さやか「だったら、これはどう説明すんのよ?」
キュゥべえ「それは……」
かずみ「きっと、みんなもあのお姉さんに感謝してるんだよ……」
キュゥべえ「前も言ったけど、グリーフシードに感情なんて無いよ」
杏子「テメェは、少し黙ってろ」
―そして、私達から放たれた“七色の光”が、巴さんを中心にして集まっていき、やがて、一つの大きな“光”となっていた―
―そこには、輝く光の鎧を纏って復活した巴さんが立っていた―
というわけで、“ハイパーアルティメットグリッタールミナスシャイニングウルトラマミ、スプリームエスペシャリーコネクトブレイブ(仮)”誕生!!
ウルトラマミさんの最強形態の名称に関しては、思い付いたオマージュ要素をどれも使いたくなってしまった為にすごく悩んだのですが、最終的には全部採用しちゃいました。
なお、次回(明日)の投下分で、いよいよ“この戦い”に決着を付けます。
乙
仮を取ってもマミさんの厨二病ここに際まれりと納得されそうなネーミングだw
本日までに更新する予定でしたが、『叛逆の物語』を観た後のダメージが予想以上に大きかったので、すみませんが来週まで延期します。
賛否両論らしいからちかたないね
TV版の最後に更に付け足す時点で蛇足になるような気はしてはいたけど
今回は、今後の予定や方針等の報告のみですが、
その中には『叛逆の物語』の感想や話題も含まれている為、若干ネタバレ注意です(一応、直接的な表現は出来るだけ避けてありますが)。
前回のレスでも書いた通り、初日で『叛逆の物語』を鑑賞してきたのですが、
色々と想像以上の衝撃があった為に若干放心状態になってしまい、一時はこちらの話の中断までも考えてしまう程でした(もちろん、ちゃんと完結させますが)。
その為、実は『ウルトラマンサーガ』の世界観をベースにした“ウルトラマミさん”の続編なんかも考えていたのですが、見事なまでにそれの創作意欲を折られました。
ただ、その代わりに『叛逆の物語』の要素を反映させた、新しいウルトラクロスSSの構想が湧いてきたので、
(といっても、実際には“ウルトラマミ”よりも前に考えていた没ネタの復活というか再利用みたいな感じですけど)
今の話(ウルトラマミさん)を完結させたら、今後はそちらのスレに完全移行しようと思っています。
なお、“ウルトラマミさん”の物語に関しても、何とか今月中までには完結させます。
>>635
一応、総監督の新房さんのインタビューによると、あくまでも“TVシリーズ”と“劇場版”は別物、という解釈のようです(ただ、脚本の虚淵さんの方の解釈は不明ですが)。
また、“賛否両論”と言われている結末部分に関しては、個人的には嫌いではないというか、むしろそれもアリかもという感じもしました。
ただ、個人的にダメージが大きかったのは、このSSで取り扱っている“もしもの可能性”のほとんどが否定されたことで、
特に、このSSでマミさんをウルトラ化させた影響によって結構強引感が生じているのにもかかわらず、それでも無理やり反映させちゃう位に気に入っていた、
『TDS(The different story )』における、“マミさん&杏子ちゃんは元師弟関係で、しかも互いにとっては最後の家族” という設定が、
『叛逆の物語』で出てきた“新しい設定”に上書きされるような形で消されていた、ということだったりします。
(一応、見方によっては完全な否定ではない、という解釈も出来なくはないのですけど……)
どうせ二次創作だから、と言ってしまえばそれまでなのですが、やっぱりあそこまではっきりと否定されるてしまうのは、ちょっと辛いものがありました。
叛逆のあれって「あそこではそういうことになってる」ってだけだぞ
マミ杏の関係って二人ともあんまり深いところまでは他の人には話さなそうだから
知らなかったのかもしれないし、仮に知っていてもあの人にはそうじゃないほうが都合が良かったんだろう
自分はそう思ってる
>>638
私もそういう風に解釈してはいるのですが、
やはり、各種スピンオフ作品と比較しても格段に多くの『まどか☆マギカ』ファンが見るであろう『叛逆の物語』であのように描写されてしまうと、
単なる二次(あるいは三次)創作のSSだとしても、それ(マミ杏の絆)を強調して書くのは難しくなるかなと思ってしまったので……。
ただ、そこら辺に関する自分なりの解答も含めた上で、新しいSSを作っていこうとは思ってます。
そこまで気にしなくても大丈夫だと思うけどね
たぶん公式もそこら辺を深く考えていなくて師弟設定を反映するかどうかもわからんし
そもそも監督の新房が言うにはTV版のほむらと映画版ほむらは分岐しているらしいし
パラレルでもいいんじゃない?
今月中に完結させると言いましたが、よく考えたらもう今日しかないので少々厳しいかも……。
ただ、新しいSSの方を早く書きたい気持ちもあるので、出来る限り急いで終わらせられるように頑張ります。
>>640
そうですね、色々と気にし過ぎてたというか、“マミ杏”が好き過ぎてちょっと暴走しちゃってたかもしれません。
それに元々このSS自体が“マミさんウルトラ化”というかなり無茶な設定を採用しているくらいですし、今後はあまり力み過ぎないようにしていこうと思います。
というわけで、遅い時間ですが投下を始めます。
あと、マミさんの最強形態の名前についてですが、やっぱり少し長くし過ぎたかと思ったので、“アルティマミ”に変更しました。
―復活した巴さんは、先程の杏子の動きを遥かに凌駕するスピードで、ダークルシフェルに接近していた―
ルシフェル「貴様、一体何を―」
―そして巴さんは、相手の胸部にあるY字型の窪みに手を入れると、その付近に囚われていたまどかを救い出していた―
ルシフェル「やめろ、グワァァッッ!!」
―さらに巴さんは、華麗にムーンサルトキックを放ってダークルシフェルを盛大に吹っ飛ばしていた―
さやか「マミさん、すっごーい……!」
―その後巴さんは、救い出したまどかを私達に託し、一度だけ頷いた後、再び上空へと戻っていった―
マミ「今度こそ……。
一気に決めさせて、もらうわよ!」
―巴さんがそう言うと、纏っていた鎧が次第に変形を始め、やがて、最後には変身した巴さんの身体よりも大きい“大砲”のような形状に変化していた―
―そして、その“大砲”をダークルシフェルに向けると、“光”のエネルギーを溜め始めた―
ルシフェル「フン、そうはさせるか!」
―ダークルシフェルが、巴さんを迎え撃つべく、“闇”のエネルギーを溜め始めた―
さやか「ヤバっ、あれじゃあ先に撃たれ―」
―その光景を見た私は、巴さんの為に少しでも時間を稼ぐべく、まどかをさやかに任せて走り出した―
さやか「あっ……。
ほむら!?」
ほむら「……まどかのこと、頼んだわよ!」
―そして、ダークルシフェルは私の“準備”が完了するよりも早く、“必殺技”を放とうとしたが―
ルシフェル「ぐっ……」
さやか「なっ、何が起こったの!?」
キュゥべえ「おそらく、まどかの力を失ったことで再び魔女の力が暴走し始めたんじゃないかな?」
さやか「だったら、その内に―」
ルシフェル「……なめるなよ。
魔女の力くらい、私の手で制御出来る!」
―ルシフェルはそう言うと、もう一度強引にエネルギーのチャージを始めた―
かずみ「……それじゃあ、わたしも行ってくるね」
海香「だったら、私達も……」
かずみ「海香とカオルは、ここで二人を守ってあげて」
カオル「……分かった。
って、かずみ!」
かずみ「ん?」
海香「どうして、“それ”を……」
かずみ「えっ、何―
!」
―かずみの左手には、“本物の魔法少女”になった時に失われたはずの、“黒い十字架のような杖”が出現していた―
かずみ「……そっか。
“ミチル”もあのお姉さんに恩返しがしたいんだね……」
海香・カオル「……」
かずみ「……分かった。
今回は、二人で一緒に戦おう!」
―かずみは、右手に“自らの杖”を持ち、光の道を作り出す魔法を発動させた―
かずみ「スカーラ・ア・パラディーゾ!」
―そして、もう一方の手に持った“黒い杖”に魔力を溜めて“必殺技”を放った―
かずみ「リーミティ・エステールニ!!」
―かずみの放った光線は、ダークルシフェルに直撃して見事に闇のエネルギー波のチャージを中断させることに成功していた―
ルシフェル「ぐっ……。
貴様―」
ほむら「……どこを見ているの?
こっちよ」
―そして私も、対ワルプルギスの為に用意していた“最後の切り札”を使って、ダークルシフェルを攻撃した―
さやか「せ、戦闘機っ!?」
ほむら「……私の本気を、見せてあげるわ!」
―でも、私達が時間を稼げたのはわずかの間だけだった―
ルシフェル「目障りだ!」
かずみ「きゃあっ!」
海香・カオル「かずみ!!」
ルシフェル「貴様もだ!」
ほむら「くっ……!」
―そして、邪魔者を排除したルシフェルは、再び“巴さん”に向けて闇のエネルギー波を放った―
杏子(……ちくしょう!
あたしは、ただここで見てるしかないってのかよ……)
??(そんなこと、ないんじゃない?)
杏子(!
あんたは、まさか……)
杏子(……“本物”の、佐倉杏子なのか?)
(そういう言い方は、やめなって。
あんただって、“本物”だよ)
杏子(……)
(それに今はあたしの方こそ、もうただの幽霊みたいなもんだしさ……)
杏子(……それじゃあ、あんたはマジで“ロッソ・ファンタズマ”になっちまったってわけか)
(ははっ、そういやそういうことになるかもね)
杏子(……ふふっ)
(あっ、笑いやがったな!)
杏子(……いや、まさかあんたとこんな風に話せるなんて思ってなかったからさ。
でも、あんたがこうして来たってことは、ただおしゃべりしに来たってわけじゃないんでしょ?)
(ああ、そうだね。
単刀直入に言うと、マミを助ける為にあんたの力を貸して欲しいんだ)
杏子(まぁ、元よりあたしもそのつもりだったけどさ。
でも、どうやってマミを助ければいい?
今のあたしに、出来ることなんて―)
(それについては、いちいち言わなくったって、本当は分かってるだろ?)
杏子(……まぁね。
でも、“あの力”は―)
(心配すんなって。
あたし達“二人”で力を合わせれば、きっと大丈夫だよ)
杏子(……ああ、そうだな。
よし、それじゃあさっさとあいつを助けに行こうぜっ!)
(ああ!!)
―そして、“巴さん”に直撃したと思われていた攻撃は、実際には空を切っただけの結果に終わっていた―
ルシフェル「何……!?」
杏子「“あたし達”の得意技は、幻惑の力。
……あれ、そういやアンタも知ってたんじゃなかったっけ?」
ルシフェル「貴様……!」
杏子「……マミ、今だ!」
マミ「ええ、分かってるわ!
……これが、私達の“絆”が繋いできた、輝かしき“光”の力よ。
受けてみなさい、ティロ・フィナーレ!!」
とりあえず、ここまで!
ちなみに今回の戦闘部分については、ほぼ“ウルトラマンゼロの映画”のオマージュで構成されてます。
(ほむらちゃんの戦闘機の件は、アニメ本編での対ワルプルギス戦用の没ネタからですが)
なお、次回の投下もまた本日中を予定しています。
乙
本物と偽物の問題なんて本人達が納得するしかないから難しいね……
投下どうした?
前回の予告時から一週間も経ってしまいましたが、再開します。
>>657
ごめんなさい!
思った以上になかなか文章を考える時間を確保出来なかったのと、二ループ目以降の叛逆鑑賞による影響や、
ミライ君役の五十嵐さんの芸能界引退などのニュース等で色々とショックを受けたこともあり、今まで進められてなかったので……
まどか「ううーん……」
さやか「まどか!」
まどか「さやかちゃん……?」
ほむら「良かった、無事に目を覚ましてくれたのね……」
まどか「……ほむらちゃん!
その怪我、どうしたの?
それに、ソウルジェムが―」
―私のソウルジェムは、既に限界に近い状態まで魔力を消費していた―
さやか「あんた、何ボサっとしてんのよ!
早くソウルジェムを浄化しなってば!!」
―私は、黙って首を横に振った―
まどか「ほむらちゃん、まさか……!」
ほむら「……ええ、もうグリーフシードのストックは使い切ってしまったわ。
でも、安心してちょうだい。
私は、いつでも用意は出来てるから……」
―私はそう言って、二人に拳銃を見せた―
まどか・さやか「そんな……」
マミ「いえ、その必要は無いわ。
……というよりも、そんなの私が許しません!」
―ダークルシフェルを倒した巴さんが、いつの間にか私達の元に近付いてきていた―
ほむら「巴さん……」
マミ「待ってて、暁美さん」
―巴さんはそう言うと、両手を私のソウルジェムの前にかざし、驚くべき力を発揮させて穢れを浄化してしまっていた―
まどか・さやか「すごーい……!!」
―さらに巴さんは、その場にいた魔法少女達全員にも、同じことを行っていた―
キュゥべえ「……なるほどね。
グリーフシードから発せられたエネルギーによる影響も受けたことによって、君はソウルジェムの浄化能力までも得てしまったというわけか。
これでは、今まで通りのシステムで感情エネルギーを集めていくことは困難になってしまいそうだ……」
さやか「へっ、ざまぁみろってんだ!」
キュゥべえ「宇宙全体にとって深刻な不利益が生じてしまう可能性がある事態だというのに、そんな感想を抱くなんてわけがわからないよ。
ただ、元プレイアデス星団のみんなにとっては、非常に喜ばしいことだというのは分かるよ。
彼女のおかげで、君達の目指していた“ボク抜きの魔法少女システム”が完成することになるからね」
かずみ・海香・カオル「!!!」
マミ「……いえ、まだ“完成”とは言えないわ」
キュゥべえ「どういうことだい?」
マミ「今の私の力では、魔女になってしまった子を元の姿に戻してあげることは出来ない。
それにね、一度魔法少女になってしまった子を、その宿命から解放してあげることも出来ないの……」
キュゥべえ「まぁ、確かにそれは当然のことだろうね。
僕達ですら、契約による願い事以外でそんなことをする方法については、全く知らないわけだし」
マミ「……だとしても。
いつか必ず、“私”がその方法を見つけてみせるわ……」
ごめんなさい、本当に短くて中途半端ですがここまで。
ですが、今度こそ本日(木曜)中にもう一度投下します。
乙
最近とみに時間が立つのは早いなぁ……と感じる
キュゥべえ「……とにかく、君がこの星にいる限り、僕達のエネルギー回収のノルマを達成させることは難しそうだね。
だから、僕達はとりあえずこの星から撤退させてもらうとするよ」
ほむら「!」
―インキュベーターはそういうと、すぐさま私達の前から姿を消し、宇宙のどこかへと向かおうとしていた―
マミ「待ちなさい!」
―巴さんが、インキュベーターを追いかけて宇宙へと飛び立っていった―
キュゥべえ「……おや、君が僕達を追いかけてくるとはね。
一体、何のつもりだい?」
マミ「一つだけ、あなたに確認しておきたいことがあるの」
キュゥべえ「……何かな?」
マミ「……本当に、魔法少女や魔女になってしまった子を元に戻すことは出来ないの?」
キュゥべえ「ああ、もちろんだよ」
マミ「みんなを魔法少女にしたのは、あなただというのに?」
キュゥべえ「確かに、魔法少女と魔女にまつわるシステムは、僕達インキュベーターの作り出した技術によるものだ。
でも、人間から魔法少女へ、そして魔法少女から魔女へと変化するプロセスは不可逆なものだから、僕達の手でも逆の変化を起こすことは出来ないんだよ」
マミ「……そう」
キュゥべえ「でも、一つだけ方法が無いわけではないよ」
マミ「えっ!?
……その、方法は?」
キュゥべえ「君が魔法少女になって、その願い事で魔法少女や魔女達を元の人間に戻すという方法だよ」
マミ「!!」
マミ「……私が、魔法少女に?」
キュゥべえ「前にも言ったけど、君の魔法少女としての素質は、その新しい姿となった現在でも、未だに消えてはいない。
いや、むしろ君の潜在能力はね、今でも、ずっと増え続けているんだ。
なぜなら、君は鹿目まどかの持つ途方もない因果すらも受け継いでしまったからね。
だから、今の君が僕と契約してくれれば、どんな願い事だって叶えられるだろう」
マミ「……でも、あなたの目的は私を魔女にすることでしょう?」
キュゥべえ「うん、その通りだね」
マミ「……私が魔女になってしまったら、誰が私の事を止めるというの?」
キュゥべえ「前に君が言っていた、“先輩達”とやらにでも頼めばいいじゃないか」
マミ「それは……」
キュゥべえ「どうだい?
僕と契約して、この宇宙のために死んでくれる気になったかい?」
マミ「…………」
すみませんが、本日の分はここまで。
次回の投下は、金曜の夜~土曜あたりを予定しています。
乙
インキュベーターマジ外道
―私が“ある違和感”に気付いたのは、巴さんがインキュベーターを追いかけて宇宙空間に向かってから、少し経った後のことだった―
ほむら「……!」
まどか「どうしたの、ほむらちゃん?」
ほむら「私のソウルジェムが、無い……!」
さやか「ちょっとほむら、まさか無くしたってわけじゃないよね!?」
ほむら「もちろん、そうではないわ。
急に、消えて無くなったのよ……!」
杏子「……なんだと!?」
カオル「嘘だろ。
あたしのソウルジェムも、無い……!」
海香「私も……」
杏子「一体、何が起こってやがんだ……?」
マミ「……私が、キュゥべえにお願いしたのよ」
ほむら「巴さん……!
でも、どうしてあいつが急に―」
マミ「あなた達がこの星から撤退するというのなら、みんなを人間に戻してからにして、って頼んできたの。
どうやら、私との“約束”はちゃんと守ってくれたようね……」
まどか「良かったね、ほむらちゃん!」
ほむら「あっ、ええ……」
杏子「……マミ―」
マミ「そうだわ、みんな!
このあと、時間は大丈夫よね?」
さやか「マミさん、どうしたの?」
マミ「私の家で、ささやかな祝勝会でもしようかな、と思って。
あっ、でも鹿目さんと美樹さんは、一度ご家族と連絡を取らないと駄目よね?」
まどか「あっ、そうですね……」
さやか「それじゃあ、あたし達は一旦避難所に戻ろうか」
まどか「うん、そうだね」
マミ「他のみんなは、大丈夫?」
かずみ「わたし達は、大丈夫です」
ほむら「……私も、大丈夫」
マミ「それじゃあ、決まりね!」
杏子「……」
また短くなってすみませんが、これから『叛逆の物語』のフィルム戦争に参加してくるので、とりあえずはここまでです。
この続きの投下は出来れば土日中に行いたいと思っていますが、ちょっと時間が確保出来ない可能性もあるので、もしかしたら月曜以降になってしまうかもしれません。
乙
フィルム戦争とかきっと地獄の様相を呈してるんだろうなぁ……
マミ「……昴さん達、もうあすなろ市に着いたころかしら?」
杏子「心配しなくても、あいつらなら大丈夫だよ。
……それより、マミ。
あんたに一つ、聞いておきたいことがある」
マミ「あら、なぁに?」
杏子「……あんた、一体何をしたんだよ?」
マミ「えっ?
一体、何のこと―」
杏子「ごまかそうとしたって無駄だよ。
あのキュゥべえが、何のメリットもなしに魔法少女を元の人間に戻すわけないだろ」
マミ「……」
杏子「あいつと、何か取引でもしたのか?
……頼むから、教えてよ」
マミ「やっぱりあなたには、隠し事は出来そうにないわね……」
―マミはそう言うと、左手の指にある“指輪”をあたしに見せてきた―
杏子「!
そいつは―」
マミ「私、“魔法少女”になっちゃった……」
杏子「マミ、どうしてあんた―」
マミ「……みんなを助けるには、こうするしかなかったの。
それにね、どうせもう私には、どこにも居場所なんて無いもの……」
杏子「……そいつは、どういう意味だよ?」
マミ「私が“ここ”に来てしまったことは、あの“闇の存在”を呼びよせる結果を招いてしまった」
杏子「!
でも、そいつはあんたがわざとやったことじゃないだろ?
そんなことで、あんたが責任を感じる必要なんて―」
マミ「確かに、それだけならまだ許されるかもしれないわね。
ここへの派遣は私の一存で決めたことではないし、“彼”がやってきたことも、事前に想定出来たことではないから。
……でもね、私がやってしまったことは、それだけじゃないわ。
私は、独断でインキュベーター達と敵対することを決め、その過程で得たグリーフシードを、勝手に自分で保管していた。
その行為が、危険であると分かっていたはずなのに。
実際、もう少しでそれを利用されるところだったでしょう?
そして今、私は自らが宇宙の脅威になりかねない選択をしてしまったわ。
だから、ここだけでなく、あちらに戻ったとしても、みんなに許してもらえないかもしれない……」
杏子「そんな、嘘だろ……」
マミ「……だから、あなたに一つお願いしたいことがあるの」
杏子「……なっ、何だよ?」
マミ「あなたの手で、私を殺してちょうだい」
―マミは、腕輪を変形させた槍をあたしに差し出しながら、そう言ってきた―
杏子「……は?
あんた、いきなり何言ってんだよ……」
マミ「……もしも、私が魔女になってしまったとしたら、みんなに迷惑がかかるどころの話では済まないわ。
本当に、この星を滅ぼしてしまうかもしれない。
いえ、それどころか、もっと酷い―」
杏子「でも!
あんたが魔女にならなければ、それで済む話じゃないか!!」
マミ「……ええ、その通りよ。
だから私はあなたに―」
杏子「ふざけんな!
あたしは、そんなの絶対に嫌だぞ!!」
マミ「お願いだから、私の話を聞いて。
今の私は、いつ爆発するか分からない爆弾みたいな存在なの。
だからこそ、今のうちに―」
杏子「だったら、あたしとの“約束”はどうなるんだよ?
あんた、あたしを一人にしないって言ってただろ!?」
マミ「それは……」
杏子「それに昔、確かあんたは“あいつ”にもこう言ったんだろ?
『迷惑なんていくらでもかけていいから、簡単にあきらめるな』ってさ……」
マミ「……」
杏子「……マミ。
あんたのことは、このあたしが守ってやるよ。
それに、あんたが魔女にならない方法だって、いつか必ず見つけてみせる。
だからあんたも、そう簡単にあきらめるんじゃねぇよ。
希望を捨てたりなんか、しないでくれよ……」
マミ「……ええ、そうね。
私も、最後まで希望を捨てないことにするわ」
杏子「マミ……」
マミ「……ありがとう。
でも、やっぱり私はここを離れるわ」
杏子「!
あんた、まさか……」
マミ「安心して。
改めて色々と考えてみたら、一度はあちらに戻ってみるのも悪くないかなって思い直せただけよ。
だって、もしかしたらまだ許して貰える可能性だってあるかもしれないし……。
それに、あちらなら魔女化を防ぐ技術だって見つけられるかもしれない。
だから、必ず私はあなたの元に帰ってくるわ」
杏子「……そっか。
だったら、必ず帰ってこいよ。
“マミ姉さん”」
マミ「!
……ええ、絶対にそうしてみせるわ。
“杏子”」
とりあえず、ここまで。
実は『叛逆の物語』の鑑賞前に想定していた内容では、別にマミさんは契約したりせず、
普通にインキュベーター達と和解する的なエンド(一応、完全な和解ではなく、いつか分かりあえる日が来るかも的な終わり方ではありますが)を考えていました。
でも、『叛逆』の鑑賞を終えた後では、ネタばれになるので詳しい言及はしませんが、劇中のキュゥべえの“ある行動”を見るとそれは無いな、と思えてしまい、急遽展開を変更しました。
その為、またもや色々と不自然な点が生じているかもしれませんが、どうか、その点についてはご了承ください。
(例:戦い続けると誓ったのにも関わらず、魔法少女でなくなってしまったかずみ達に関するフォローが無いことや、
マミさんの言動が一部おかしいこと等々……)
なお、本日中にもう一度エピローグ部分を投下する予定です。
乙
まあインキュベーターとの和解はあり得ないよなと思う
あいつらはあいつらの利益になることしかしない上にそれにストップをかける感情なんてものがないんだから
【一か月後】
―巴さんが地球を去った後、私達は“魔女”の脅威にさらされることもなく、平和に暮らしていた―
―まだ“使い魔”に関しては残っていたようだったけど、どうやら、巴さんの“光”の一部を受け継いだ杏子が世界中を旅しながら討伐してくれているらしかった―
―そして私は、遂に手に入れること出来た“まどか達との平和な日常生活”を、十二分過ぎる程に謳歌していた―
まどか「ほむらちゃん。
今日も、一緒に帰ろう?」
ほむら「ええ、まどか」
―でも私は、今の“平和過ぎる日常”というものに対して、漠然としたものではあったけど、どういうわけか“不安”のようなものをずっと抱え続けていた―
まどか「……それでね。
今日はわたし、あそこのクレープ屋さんに行きたいなって思ってたんだけど……。
ほむらちゃんは―」
ほむら「……」
まどか「……あの、ほむらちゃん?」
ほむら「……ああ、ごめんなさい。
ちょっと考え事をしていたの」
―やがて、私のその“不安”は、思いがけない形で、現実のものとなるのだった―
まどか「そっか、それでほむ―」
ほむら「!」
―その時、突然地面が大きく揺れ出していた―
まどか「地震!?」
ほむら(いや、違う!
これは―)
―さらに揺れは大きくなり、やがて、私達の立っていた場所に地割れが生じて、私とまどかは分断されてしまった―
ほむら「まどか!」
まどか「ほむらちゃ―
!」
―そして、その地割れの中から姿を現したのは―
ほむら「!!
……か、怪獣!?」
―私達の目の前には、光の巨人になった時の巴さんよりも大きな“怪獣”が出現していた―
ほむら「まどか、ここから逃げて!」
まどか「で、でも……」
ほむら「早く!」
―それから私は、まだ一丁だけ護身用に隠し持っていた小型の拳銃を撃とうとしたのだけど―
ほむら「きゃっ……!」
―既に“魔法少女”では無くなってしまった私の身体能力では、まともに狙いをつけてその拳銃を撃つことすらも出来ず、反動で倒れこんでしまっていた―
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら(そんな……!)
―そして“怪獣”が、私に襲いかかろうと近付いてきた―
ほむら(もう、これで終わりね……)
??「あきらめるな!」
ほむら(この、声は―)
??「間一髪、ってところね。
でも、もう大丈夫」
まどか「マミさん!」
マミ「二人とも、久しぶりね」
ほむら「……お帰りなさい、巴さん。
また、あなたと会えて嬉しいわ」
マミ「!
……ありがとう、暁美さん」
まどか「わたしも、マミさんとまた会えてとっても嬉しいです!」
マミ「ええ、私もあなた達とまたこうして会うことが出来て本当に嬉しいわ。
また、みんなでお茶会をしましょうね。
でも、その前に!
ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら?」
まどか・ほむら「はい(ええ)!!」
マミ「それじゃあ、行ってくるわね!」
―巴さんはそう言うと、再び“光の巨人”の姿に変身して、その“怪獣”に立ち向かっていった―
THE END
というわけで、この話(ウルトラマミさん)については、これで終わりです。
最後に現れた“怪獣”の件を少しだけ補足説明すると、マミさんの契約によって“魔女”が存在しなくなったものの、
相変わらず“人の世の呪い”が消え失せたわけではなく、アニメ本編の円環世界のように歪みとして“魔獣”のようなものが生まれ始め、
さらにはダークザギが“この世界”に来たことの影響も重なって、より凶悪化した“魔怪獣”(スペースビースト+魔獣という感じ)が誕生してしまった、という設定で考えています。
その為、見方によっては、以前よりも事態が良くなっている(マミさんと杏子ちゃん以外の少女達には、過酷な運命を背負わさずに済む世界になった)とも言えますし、
ある意味では、より悪化している(“呪い”を具現化した存在が、より大きな脅威になってしまった)というように、
どちらにも捉えられるような終わり方にしたつもりです。
乙
見方によっては本当の戦いはこれからだってことか……
それと、最後に少しだけ、このSSの内容を考えてきた時の経緯や、没になった設定等のまとめを投下します。
このSSを始めたきっかけは、>>2の概要にも書いてある通りにまどか☆マギカのSS談義スレでちょっと話題に出たネタを見たことが始まりだったのですが、
現在の形になるまでには、何度も路線変更を重ねていたりします。
というのも、最初はもっと単純にウルトラ化したマミさんが活躍する話を考えていましたし、
ラスボスも、ダークザギではなくゴーストベリアル(ビートスター時のOVの没案に登場していたキャラクター)で、
さらにはウルトラマンゼロの参戦なんかも予定していました。
でも、ゼロファイトでベリアルがまさかの復活を遂げた為、
急遽、別のSS(ウルトラマミネクサス)用のネタとして考えていた要素を持ちこみ、結果的にダークザギが黒幕になりました。
ただ、今度は同じくザギがラスボスとして登場しているクロスSSが既にあることを知ってしまった為、差別化の為にルシフェルに進化させてみたり、
その過程で、外伝要素(『TDS』や『かずみ☆マギカ』等)を盛り込むというアイディアも出て来たりして、今の形になりました。
さらに、終盤では『叛逆の物語』を鑑賞したことによる影響もあって、かなりの変更を加えたりしています。
あと、今後の予定について。
当初はこの話の続編的な話を始める予定でしたが、『叛逆の物語』を見た影響で色々と心変わりしてしまったので、中止にしました。
ただ、その代わりと言うわけではありませんが、実は前にも少しだけ言及した通り、
『叛逆の物語』の要素を反映させた別のウルトラ&まどかクロスSSを既に始めていたりします。
なお、そちらの方にも“ウルトラマミさん”を登場させようかどうかでちょっとだけ悩んでいたり……。
以上で、こちらのスレについては終わりです。
今まで読んで下さった皆さん、本当にありがとうございました。
それでは、これからHTML化依頼を出してきます。
ここのマミさんの活躍を見たいんで続投は嬉しいかな
乙
まあこっちの方がらしくてよかったと思うよ
ウルトラシリーズだって結局どれだけウルトラ戦士達が頑張っても
宇宙から悪意は消えないわけだしね
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません