ウルトラマミ (426)

(小さい頃……。
テレビに出てくる魔法少女達は、
私の憧れだった)

(悪者達から人々を守る、
強くて優しい、正義の味方)

(誰かのために命を懸ける、
華麗なヒロイン……)

(残念ながら、私が思い描いていたのとはちょっと違う形になってしまったけど……
私も、彼女達のようでありたい)

(……ううん。
そうでなきゃ駄目なの)

(きっと、それが……
私の最後の……、生きる意味だから……)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1358518526

 交通事故にあった巴マミさんが、もしもインキュベーターではなく、別の宇宙人に救われていたとしたら……なSSです。

 基本的にマミさん以外のまどか☆マギカキャラは本編準拠の設定にする予定です。

 なお、こちらのお話はまどかSS談義スレで話題に出たネタを頂いて作成しました。

 

【第一話】


キュゥべえ「助けて……」

まどか「ほ、ほむらちゃん…!?」

ほむら「そいつから離れて」

まどか「だって、この子怪我してる……。
    だ、駄目だよ、酷いことしないで!」

ほむら「貴女には関係無い」

まどか「だってこの子、私を呼んでた。聞こえたんだもん! 助けてって」

ほむら「そう」

まどか「え……? えぇ?」

さやか「まどか、こっち!」

まどか「さやかちゃん!」

ほむら「こんな時に……。
    いや、これは……何?」

さやか「何よあいつ。今度はコスプレで通り魔かよ!
     つーか何それ、ぬいぐるみじゃないよね? 生き物?」

まどか「分かんない。分かんないけど……、この子、助けなきゃ!」

さやか「あれ? 非常口は? どこよここ!?」

まどか「変だよ、ここ。どんどん広くなってる……」

さやか「あーもう、どうなってんのさ!」

まどか「やだっ。何かいる……」

さやか「えっ、何だよこいつら!?」

まどか「さやかちゃん、逃げようよ!」

さやか「逃げるったって、あたし達もう囲まれちゃってるよ!」
    それにこいつら、どんどん近付いてきてる……」

まどか「そんな……」

さやか「冗談だよね? 私、悪い夢でも見てるんだよね? ねえ、まどかぁ!」

まどか「いやぁぁぁー!」

まどか「あれ? 私達……、助かった、の?」

さやか「そうみたいだね……。ていうかこれ、何?」

—そして、私がおそるおそる目を開けると、目の前には—

まどか「えーっと……、大きな手、かな?」

さやか「うわ! よく見たら……、でっ、でっかい宇宙人!?」

—いつのまにか大きな巨人さんが現れていて、そこにいたお化けみたいな何かをやっつけてくれたようでした—

まどか「もしかして、この巨人さんが私達を助けてくれたんじゃないかな?」

さやか「えっと……、そうなんですか?」

—すると、巨人さんは私達に向かって頷きました—

まどか「私達の言葉、通じてるみたいだね」

—そして、その巨人さんは、お化けに向かって振りおろしていた手をあげて、そのまま私達に向かってかざしました—

さやか「こいつ! やっぱりあたし達を……!?」

まどか「違うよ、さやかちゃん。私達を守ろうとしてくれてるみたいだよ」

—巨人さんは、私達に向かってキラキラ光った膜のようなものを張って包みこんでくれました—

さやか「あっ、疑っちゃってゴメン……」

—その後巨人さんは、残っていたお化け怪物達の方を見ると、手から何かを出して一気にやっつけちゃいました—

まどか「凄い……」

—そして、お化け達がいなくなると、周りの景色が崩れていって、巨人さんもいつの間にか姿を消していました—

—そして私達は、元々いたはずの場所に戻っていました—

さやか「あれ、どうなってるの……?
    さっきの、夢じゃないよね?」

まどか「う、うん。だって、私も確かに見てたもん」

マミ「あなた達、大丈夫?」

さやか「は、はい!」

—いつの間にか、そこには私達と同じ制服を着た女の人がいました—

まどか「あの、あなたは……?」

マミ「私は巴マミ。あなた達と同じ、見滝原中の三年生。
   そして、その……、魔法少女よ」

まどか・さやか「魔法少女?」

マミ「そういえば、あなた達のお名前を教えてくれるかしら?」

さやか「ええっと、あたしは美樹さやかで、こっちは……」

まどか「鹿目まどかです」

マミ「美樹さんに、鹿目さんね。二人とも、二年生?」

さやか「は、はい……。それでマミさん、魔法少女って—」

マミ「あら、キュゥべえを助けてくれたのね」
   その子は……、私の知り合いなの」

まどか「あの、私呼ばれたんです。頭の中に直接この子の声が……」

マミ「ふぅん……、なるほどね。
   そうだわ。その子をちょっと私の方へ貸して貰えるかしら?」

まどか「あっ、はい……」

—マミさんがその子に向かって手をかざすと、怪我が全く無くなっていました—

さやか「わぁー、凄い……!」

キュゥべえ「ううーん」

マミ「お目覚めかしら……、キュゥべえさん?」

キュゥべえ「巴マミ、一体君は—」

マミ「二人とも、怖い目にあって疲れちゃったでしょう?
   今日はもう帰った方がいいんじゃない?」

まどか「で、でも……」

マミ「詳しい事情は、明日、私の家で話してあげます。だから、今日は二人とも帰った方がいいわ」

さやか「……分かりました、マミさん。
    まどか、今日は帰ろう?」

まどか「えっ、さやかちゃん?」

さやか「それじゃあ、マミさん。さようなら……」

まどか「あの、さやかちゃん」

さやか「何、まどか?」

まどか「……あのまま、帰っちゃって良かったのかな?」

さやか「あの人にも何か事情があるみたいだし……
    明日説明してくれるって言ってたんだから、ここは言うこと聞いて帰った方が良くない?
    それに、キュゥべえの怪我を直してくれたんだから、多分悪い人じゃないと思うよ?」

まどか「そ、そうだね」

さやか「それじゃあ、帰ろうよ。
    あっ、もしも怖いんなら、あたしがちゃんと家まで送ってってあげるからさ」

まどか「そ、そんなことないよ!」

さやか「それじゃあ、ここに置いてちゃってもいいのかなー?」

まどか「も、もう! さやかちゃんの意地悪!」

さやか「冗談だってば。ほら、帰ろう?」

まどか「う、うん……」

マミ「さてと……。
   そこのあなたも、そろそろ出てきたらどう?」
 
ほむら「気付いていたのね、巴マミ……」

マミ「あら、私の名前を知っているの?」

ほむら「さっき、あなたがそこで名乗っていたでしょう?」

マミ「ああ、そういえばそうだったわね……。
   ところで、あなたの名前は?」

ほむら「暁美……、ほむらよ」

マミ「暁美さん、ね。
   ところで暁美さん、あなた、魔法少女なのよね?」

ほむら「ええ、それが何か—」

—巴マミは、私の方まで近づいてくると、いきなり抱きしめてきた—

ほむら「と、巴マミ!?」

マミ「ごめんね。また、間に合わなかった……」

今日は終了です。

切断技が豊富な人がいいなぁ…だったらウルトラタッチで二人変身も出来るのに…

>>14
恭介「さやかお願いだよ!信じてくれよ!!」

さやか「またまたぁ、冗談がうまいんだから」

こうですか?

皆さん、レスありがとうございます。

まず、最初に断っておきますが、現在考えている話(本編)でマミさんを助けた方は、ウルトラ“マン”ではありません。

また、他のウルトラ戦士の皆さんは一応登場させるつもりではいますが、おそらく『帰ってきたウルトラマン』以降の客演的な感じになる予定です。

ただ、正直ちょっと迷っていて、ウルトラシリーズの誰が助けに来たとしても、それぞれで違った魅力があって面白くなりそうなので(光の国系統だけでなく、デュナミストなマミさんや超古代文明から復活した光の巨人とか)、本編が一段落したら、別に話を作ったりなど何か出来ればいいなと思っています。

>>14
ウルトラタッチも確かに魅力的ですが、マミさんが主役だと、二人での変身シチュエーションを考えるのがちょっと難しいです……
その代わりに、>>15の二人を使って、本編とは関係ない設定の番外編として考えた小ネタを、出来れば今日の夜に投下しようと思います(もしかしたら明日になるかもしれませんが)。

最後になりますが、本編の更新については少々お待ち下さい。

【番外編:もしも見滝原に超獣が現れていたとしたら】

 ミサイル超獣ベロクロンが出現し、破壊の限りを尽くしていた。

さやか「恭介!」

恭介「さやか、か……」

さやか「恭介、何で避難しないの!?」

恭介「僕にはもう生きてる意味なんかないんだ……」

さやか「何を言ってるの? 危ないから早く逃げようよ!」

恭介「君は逃げればいいじゃないか。僕はここに残るよ」

さやか「どうして、そんなこというの……?」

恭介「だって、バイオリンが弾けない人生なんか、何の意味も無いじゃないか!
ここに残ってそのまま待っていれば、全て終わる……。
この苦しみからも、解放される」

さやか「……だったら、あたしも残る!」

恭介「何を言ってるんだ、さやか?」

さやか「恭介を見捨てることなんて出来るわけないでしょう!?」

恭介「さやかは僕と一緒に死ぬつもりなのかい?
そんな馬鹿なことは止めといた方がいい」

さやか「そんな風に言うんだったら、恭介もここに残るなんて言わないで」

恭介「嫌だ! もう僕なんか放っといてくれよ! このまま死なせてくれ!」

さやか「馬鹿っ!」

恭介「さやか、離して……」

美樹さやかは車椅子に上条恭介を乗せると、病室を離れ出した。

恭介「どうせもう間に合わないよ……」

さやか「そんなこと、やってみないと分からないよ!」

 しかし、ベロクロンは既に病院の間近まで迫っており、病院を破壊し始めた。

さやか「そんな……、きゃあああーーー!」

恭介「(ごめん、さやか……)」

その時、突然空から赤と緑の光の球体が出現し、二人を包んでいく。

そして、ウルトラ5兄弟が姿を現した。

エース「私はウルトラ兄弟の5番目。ウルトラマンエースだ」

4兄弟「ウルトラマンエース!」

ウルトラマンエースと名乗った巨人が掛け声と共に手を高く掲げると、まばゆい光が放たれ、倒れている二人の手に指輪が現れた。

エース「銀河連邦の一員たるを示す、ウルトラリングを今お前たちに与えた。
    そのリングの光る時、お前達は私の与えた大いなる力を知るだろう」

—二人変身—

さやか「恭介ーっ!」

恭介「さやか!」

二人「ウルトラタァーーーッチ!!」

—ギーゴン戦—

仁美「素敵な音色ですわ〜!」

ほむら「どうしたの? ウルトラマンエース!」

杏子「あいつ、動きが止まってやがる……」

マミ「多分、あの音の影響で身動きが取れないんじゃないかしら?」

ほむら「なるほど……」

まどか「(さやかちゃん……、がんばって!)」

さやか「(これは本物じゃない……。あたしが本当に聞きたかったのは、こんな演奏じゃない!)」

さやか「(スクワルタトーレ!)」

杏子「弦を切った!」

仁美「あら、私は一体何を……?」

まどか「仁美ちゃん!」

マミ「おそらく、弦が切れたことで音の効果も無くなったみたいね」

さやか「(これで、トドメだぁーっ!)【メタリウム光線】」

みんな「やったー!」

 ということで、前からやってみたかったさやか対ギーゴンの戦いを、少しだけですが番外編という形で話を考えてみました。

なお、本編の続きについては何とか一週間以内に投下したいと思います。


エース対バイオリン超獣はおれも考えてたなあ。あれ、執念にとりつかれた母親とかが怖いんだよなあ
ただ、あまりネタバレ的なことは書かないほうがいいですよ。先行きを自分で固定してしまうことになるし、なにより「もうみんな知ってるんだから」と、書く気がなくなります

更新が遅くなってすみません。

本日は、とりあえず、今一文だけ投下した後、時間を開けてから夜の11時頃に再び投下する予定です。

>>25
アドバイス、ありがとうございます。
確かに、これから書く話の概要を事前に書いてしまうことのメリットはあまり無いですね。
それに、ちょうど公式の方でもネタバレを禁止するという方針を取り始めたようですし、こちらもその精神に従って、今後の展開については出来る限り伏せるようにしたいと思います。

ほむら「えっと、そろそろ離して貰えるかしら?」

マミ「あっ、ごめんね。いきなり抱きついちゃって……」

ほむら「いえ、そのことは別に構わないのだけど……」

キュゥべえ「巴マミ」

—キュゥべえが話しかけてくると、今まで私に向かって話しかけていた時とはまるで別人のように、巴マミの表情は険しくなっていた—

マミ「インキュベーター……。
   また、さっきの子達を魔法少女に勧誘しようとしていたわね?」

キュゥべえ「それが、僕の仕事だからね」

マミ「そうでしょうね。
   だけど……、これ以上、あなた達の思い通りにはさせないんだから」

ほむら「(どういうこと……。あの巴マミが、インキュベーター達と敵対している!?
     それに—)」

マミ「暁美さん」

ほむら「……」

マミ「暁美さん?」

ほむら「あっ、ごめんなさい。ちょっと考え事をしていたの。
    それで、何かしら?」

マミ「この後、お時間は空いてる?
   ちょっと、私の家で話したいことがあるのだけど……」

ほむら「(出来れば私としては、インキュベーターがまどか達に契約を迫ることのないように監視をしておきたい。
     でも、この巴マミのことも気になる……)」

キュゥべえ「お取り込み中のようだね。それじゃあ僕はここで失礼させてもらうとするかな」

マミ「待ちなさい。あなたも一緒に来てもらうわよ」

キュゥべえ「やれやれ。昨日警告したばかりだというのに、君はまだ僕達の邪魔をするつもりなのかい?」

マミ「私はあなた達がここから手を引くまで続けるつもりよ」

ほむら「あの……」

マミ「暁美さん、キュゥべえも一緒に来ることになるのだけど、構わないかしら?」

ほむら「(まだ、行くとは言ってないのだけど……)」

マミ「それとも、やっぱり二人だけの方がいい?」

ほむら「いえ、私としては、その方が好都合なので」

マミ「なるほどね……。それじゃあ、私の家に向かいましょうか」

まどかってなんかネクサスと雰囲気似てんだよな
最後まで主人公変身しないししたらしたで強いし

色々とネタバレになってしまうのであまり詳しくは言えませんが、想定外の出来事により、本編の大幅な書き直しを迫られる事態になってしまったので、本格的な更新は来週以降になります。

というわけで、申し訳ありませんが、今日はまたもう一文だけ投下して終わります。

>>28
実は、1がまどか☆マギカにハマったきっかけの一つが、ネクサスとの類似点やゼロによるツイッターなどのおかげだったりします。

—私とインキュベーターは巴マミに導かれて、彼女のマンションへと向かっていた—

マミ「(この反応は……!)」

ほむら「どうしたの? 急に立ち止まったりして……」

マミ「暁美さん。ちょっと悪いんだけど……、先に私の家の前まで行って待ってて貰えるかしら?
   場所は、多分キュゥべえに聞けば分かるはずだから」

ほむら「私は別に構わないけど……、何かあったの?」

マミ「ちょっと一仕事、片付けてくるわね!」

ほむら「ああ、ちょっと!」

—そして巴マミは、そのままどこかに向かって走り去っていった—

ほむら「……キュゥべえ」

キュゥべえ「何だい? 暁美ほむら」

ほむら「巴マミが何をしに行ったのか、心辺りはある?」

キュゥべえ「おそらく、魔女退治に行ったんじゃないかな?」

ほむら「それなら、私も一緒に—」

キュゥべえ「彼女は自分の力を使ってかなり遠くへ行っているだろうから、追いかけるのは難しいんじゃないかな?
      君の得意としている魔法が、長距離移動に適したものだとしたら話は別だけどね。
      まぁ、もしそうだったとしても、おそらく彼女は反対すると思うよ。
      君が魔女と戦うのを出来る限り避けさせたいだろうからね」

ほむら「それは……、グリーフシードの取り分が減るから?」

キュゥべえ「それはおそらく違うんじゃないかな。そもそも、彼女には必要ないだろうし」

ほむら「一体、どういうこと?」

キュゥべえ「それは、彼女が戻って来てから直接聞くといい」

今回投下出来るのは少しだけになりますが、とりあえず再開します。

—私とインキュベーターがマンションに着いてから10分程待っていると、巴マミがマンションの入り口に現れた—

マミ「待たせちゃってごめんね、暁美さん」

ほむら「おじゃまします」

マミ「独り暮らしだから遠慮しないで。ろくにおもてなしの準備もないんだけど」

ほむら「(ケーキと紅茶……)」

マミ「どうしたの、暁美さん?
   ……もしかして、お口に合わなかったのかしら?」

ほむら「いえ、ちょっと昔のことを思い出してしまって……。
    それに、とても美味しい」

マミ「ありがとう」

ほむら「それで、話したいことって何?」

マミ「暁美さん。その、魔女退治のことなんだけど……。
   どうか、これからは全て私に任せて欲しいの」

ほむら「全て?」

ほむら「それはつまり……。見滝原から手を引け、ということ?」

マミ「いえ、そういう意味ではないわ。
   あなたもこの街で生活していかなければならないでしょうし、出て行けなんて言うつもりはない。
   それに、私はあなたと協力していきたいとも思っている」

ほむら「それじゃあ、どういうつもり?」

マミ「私はただ、あなたに危険なことをして欲しくないだけなの」

ほむら「でも、私達魔法少女にはグリーフシードが—」

マミ「もちろん、私が手に入れたグリーフシードは全部あなたに譲ってあげる」

ほむら「それじゃあ、あなたが自分で使う分はどうするの?」

マミ「私はね、グリーフシードを使う必要はないの」

ほむら「……キュゥべえもそう言っていたけど、一体どういうこと?」

マミ「それについてはまだ詳しく説明することは出来ないのだけど……。
   そうね……、私はキュゥべえと契約した魔法少女ではない、とだけ言っておくわ」

ほむら「何ですって?
    キュゥべえ、彼女の言っていることは本当なの?」

キュゥべえ「ああ、訂正するほど間違ってはいないね」

ほむら「そうね……。キュゥべえは嘘をつかないから、そこは本当なのでしょうね。
    でも、もしもあなたが先程の約束の方を守らなかったら、私はグリーフシードを全く得られないわね。
    しかも、あなたはろくに事情を話そうとはしない。
    それで、あなたのことを信用しろっていうの?」

マミ「お願い、私を信じて」

ほむら「……」

マミ「……暁美さん?」

ほむら「私はまだあなたを全面的に信用することは出来ない。
    それに、そうでなかったとしても、あなた一人だけでこの街の魔女達に対処出来るとも思えない。
    だから、全てをあなたに任せる、というわけにはいかない。
    だけど、とりあえずは、出来る限りあなたに譲るようにします」

マミ「ありがとう。
   今はまだ、それでも構わないわ」

マミ「そういえば、暁美さん」

ほむら「何?」

マミ「さっき、結界の中で私が戦っているところは見たかしら?」

ほむら「いえ……、私があなた達を見つけた時、結界はもう無くなってて、あなたも既に変身を解除していたし……」

マミ「そう、それならいいの。
   それと暁美さん……、明日のことなんだけどね。
   先程けあなたと同じクラスの鹿目さんと美樹さん達に事情を説明しようと思っているのだけど……」

ほむら「あなたまさか、あの子達を魔法少女に勧誘するつもり!?」

マミ「そんな、私はあの子達を魔法少女に勧誘するつもりなんてないわよ。
   むしろ、もう魔法少女を増やしたくないと思っているし……」

ほむら「……そう。早とちりしてしまってごめんなさい」

マミ「いえ、気にしないで。
   それでね、ちょっとあなたに手伝って欲しいことがあるの」

ほむら「何かしら?」

マミ「明日、私が二人に話そうと思っている内容の中には、キュゥべえには聞いて欲しくないこともあって。だから—」

ほむら「つまり、私にキュゥべえの監視をしておいて欲しいということね?」

マミ「そういうことね。飲み込みが早くて助かるわ」

キュゥべえ「……」

マミ「それじゃあ、今日はよろしくね」

ほむら「え?」

マミ「暁美さん、泊まっていってくれるのでしょう?」

ほむら「どうして、私が泊まる必要があるの?」

マミ「もちろん、今からキュゥべえの監視をするためよ。
   私達と違って睡眠はあまり必要ないみたいだし、夜通しで見張っておかなくちゃね。
   これまでは、全部私一人でやっていたから寝てしまったこともあったけど、暁美さんがいてくれれば助かるわ。
   というわけで、3時間ごとの交代制でいいかしら?
   睡眠時間が少なくなるのは大変だろうけど、今日だけは我慢してね」

ほむら「ちょっと待って」

マミ「何かしら?
   もしかして、3時間時間じゃ足りない? それなら、多少私の時間を—」

ほむら「いや、それは構わないのだけど……。
    ていうかあなた、今までこいつと一緒に暮らしていたの?」

マミ「監視をする為に、仕方なくよ」

ほむら「……本当に?」

マミ「どういう意味?」

ほむら「……いえ、何でもないわ」

マミ「……そう。
   それじゃあ、まずは当番を決めちゃいましょうか。暁美さんはどちらからがいい?」

ほむら「……とりあえず、先輩のあなたに任せておくわ」

キュゥべえ「巴マミ」

マミ「何かしら? インキュベーター」

キュゥべえ「君は僕をその場から遠ざけておけばいいと思っているみたいだけど、僕達がその気になれば、この星のどこからだとしても、君達の話を盗み聞きすることくらいは、造作もないことなんだよ?」

マミ「そんなこと、分かっているわ。
   私が本当に話を聞かせたくない相手は、あなたじゃない」

キュゥべえ「ふーん、なるほどね」

マミ「もしも、私のいない間に何か余計なことを暁美さんに言ったりしたら……。
   今度こそ、ただでは済まさないわよ」

キュゥべえ「もちろん、言うつもりはないよ。彼女に聞かれない限りはね」

マミ「……そうならないよう、祈っておくことね」

今回の投下分は終了です。


そういえばこのssって杏子との関係はどうなっているんだ?
マミさんが魔法少女でない以上は関係も色々変わっていくだろうし

再開します。
ちなみに、前回の分は後で見直したらミスが多いですね……。

>>39
そのことについては、まだ秘密にしておきます。
でも一つだけ言っておくと、1はロッソ・ファンタズマが大好きです!

【第二話】

マミ「おはよう、暁美さん」

ほむら「……おはよう、巴マミ」

マミ「そういえば暁美さん、意外とこういう不規則な生活にも慣れているみたいね。
   つい最近まで、入院してたんじゃなかったの?」

ほむら「……そういうあなたは、まだ眠たそうね。
    いつもやっていたんじゃなかったの?」

マミ「眠たそうに見えるのは元々です! 悪かったわね。
   それに、朝はちょっと弱いのよ……」

ほむら「そう。まぁ、そんなことはどうでもいいわ。
    それより、あの子達の説得をあなたに任せて、本当に大丈夫なのよね?」

マミ「任せてちょうだい!
   魔法少女にならないよう、ちゃんと説得してみせるから」

ほむら「……頼んだわよ」

マミ「あら……、もうこんな時間なのね。
   そうだわ、朝食はここで食べていくわよね?
   少しだけ待っててくれればすぐに用意しちゃうから」

ほむら「いえ、一旦家に帰っておきたいし、遠慮しておくわ」

マミ「そう……、分かったわ。それじゃあ暁美さん、また後でね」

ほむら「ええ、また後で」

 学校の屋上

さやか「まどかはさ。昨日のこと、どう思う?」

まどか「昨日のって、あのお化けみたいなのとか、巨人さんのこと?」

さやか「うん。正直あたしは、まだ夢なんじゃないかと—」

まどか「!」

さやか「(転校生……)」

まどか「(ほむらちゃん……)」

さやか「昨日の続きかよ」

ほむら「いいえ、そのつもりはないわ」

さやか「じゃあ、一体何の用さ?」

ほむら「巴マミから頼まれた伝言を、あなた達に伝えにきただけよ」

まどか「マミさんに?」

ほむら「ええ」

さやか「それで、内容は?」

ほむら「あなた達を家に招待したいそうよ。昨日のことについて説明するつもりだとか」

さやか「それには、あんたも来るの?」

ほむら「いえ、私は別に用事があるから、同席するつもりはないわ」

さやか「なら、喜んで行くよ」

ほむら「そう。それじゃあ、放課後に校門の前で待っていて」

まどか「あの、ほむらちゃん」

ほむら「何かしら?」

まどか「ほむらちゃんは、マミさんと仲良くなったの?」

ほむら「仲良くというほどではないけれど、昨日二人で話をした結果、これから協力していくことを約束したわ」

さやか「ふん、一体どうやって取り入ったんだか」

ほむら「別に何もしてないわ。……それより、昨日の話は覚えてる?」

まどか「うん……」

ほむら「ならいいわ。私の忠告が無駄にならないよう、祈ってる」

まどか「ほむらちゃん。
    あの……、あなたはどんな願いごとをして魔法少女になったの?」

ほむら「……」

まどか「あっ……」

さやか「感じ悪い奴……」

 マミの家

まどか「マミさん。すっごく美味しいです」

さやか「めちゃ旨っすよ」

マミ「ありがとう。
   それじゃあ、そろそろ本題に入りましょうか。
   まずは、あなた達から質問してもらうという形にするわね。
   二人とも、何か聞きたいことはある?」

さやか「じゃあ、まずはあたしから……。
    マミさん、昨日は自分のことを魔法少女だって言ってましたよね。
    でも、魔法少女って何ですか?」

マミ「魔法少女はね、魔法を使って魔女を狩る者達のことよ。
   まぁ、私の場合は厳密に言うと、魔法というよりも超能力を使っているから、本来ならエスパー少女、と言った方がいいかもしれないけどね」

まどか「え、エスパー?」

マミ「そうよ。
   だから、私はエスパーマミ! なんてね」

さやか「?」

まどか「何ですか、それ?」

マミ「そっかぁ、私達の世代なら、普通は知らないわよね……。
   ごめん、忘れてちょうだい……」

まどか「は、はい……」

さやか「それよりマミさん、魔女って何なの? 魔法少女とは違うの?」

マミ「魔女というのはね、呪いから産まれた、恐るべき存在のこと。
   魔女は絶望をまき散らして、不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみといった災いの種をこの世界にもたらしている。
   それにね、理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。
   形のない悪意となって、人間を内側から蝕んでゆくの」

さやか「そんなヤバい奴らがいるのに、どうして誰も気付かないの?」

マミ「魔女はね、常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないの。
   ちなみに結界というのはね、昨日あなた達が迷い込んだ迷路のようなところのことよ。
   だから、あなた達は結構危ないところだったのよ?
   あれに飲み込まれた人間は、普通は生きて帰れないから……」

まどか「……」

マミ「怖がらせちゃったかしら? ごめんなさいね。
   でも、大事なことだから我慢してね」

まどか「はい、大丈夫です……」

さやか「それじゃあ、昨日私達を襲ってきたのが魔女ってことかな?」

マミ「いえ、あなた達を襲ったのはおそらく使い魔だと思うわ」

まどか「使い魔?」

マミ「魔女の手下みたいなものね」

さやか「あれで手下なの?
    それじゃあ、親玉の魔女は……」

マミ「ええ、とても恐ろしい存在よ」

まどか「マミさんは、そんな怖いものと戦っているんですか」

マミ「そう、命懸けでね」

まどか・さやか「……」

まどか「そうだ、さやかちゃん。あのことについても聞いておこうよ」

さやか「あー、そうだね。それを真っ先に聞いておくべきだったね」

マミ「あのことって?」

まどか「私達、マミさんが来る前に、巨人さんに助けてもらったんです」

マミ「……巨人?」

さやか「うん。何か赤と銀色のでっかい宇宙人みたいなやつが急に現れて、使い魔達を一気にやっつけちゃったんです。
そういえば、マミさんは見ませんでした?」

マミ「……いえ、見てないわ。
   そう。てっきり、使い魔は暁美さんが倒してくれたんだと思っていたのだけど、違ったのね……」

さやか「転校生? あいつがそんなことをするわけないじゃないですか。
    大体、あいつはキュゥべえを殺そうとして、まどかにまで手を出そうとした、とんでもないやつですよ?
    マミさんも気をつけた方がいいんじゃないかな?」

マミ「……きっと、彼女にも何か事情があったのよ」

さやか「事情があったら、他人を襲っても問題ないっていうんですか?」

マミ「いえ、そうじゃないけど……。
   でも、鹿目さんを襲ったというのは本当?
   もしかしたら、キュゥべえだけを狙っていたのかもしれないわ」

まどか「キュゥべえを?」

マミ「そういえば、キュゥべえのことをまだ説明してなかったわね。
   彼は、他の星から来た種族なの」

さやか「他の星ってことは、あいつも宇宙人なの!?」

マミ「人と言っていいのかは分からないけどね。
   そして、彼の仕事はね、この星の人間の少女達と契約して、魔法少女を産み出すことなの」

さやか「契約って?」

マミ「キュゥべえは、彼自身が選んだ女の子達に願い事を何でも一つ叶えてあげると約束し、その代わりに魔法少女になって、魔女と戦ってもらうという内容で契約を結んでいるの」

まどか「そうなんですか……。
    でも、ほむらちゃんも魔法少女なんですよね。
    それなのに、どうしてキュゥべえにあんな酷いことをしていたのかな?」

マミ「もしかしたら、新しい魔法少女が産まれることを阻止しようとしていたのかもしれないわ」

まどか「どうしてですか? 魔法少女の仲間が増えるのは、いいことだと思うんだけど……」

さやか「そうだよ。同じ敵と戦っているなら、仲間は多い方がいいんじゃないの?」

マミ「それが、そうでもないの。むしろ競争になることの方が多いのよね」

まどか「そんな……、どうして」

マミ「魔女を倒せば、それなりの見返りがあるの」

マミ「だから、時と場合によっては手柄の取り合いになって、ぶつかることもあるのよね」

さやか「つまりあいつは、キュゥべえがまどかに声掛けるって最初から目星を付けてて、それで朝からあんなに絡んできたってわけ?」

マミ「その可能性も否定は出来ないわ。
   でも、私にはどうもそれ以外の事情で彼女が動いているように思えるの」

さやか「どんな事情が?」

マミ「そうね……。
   ……二人とも、ここからの話は、誰にも言わないって約束出来る?」

まどか「は、はい!」

マミ「美樹さんは?」

さやか「もちろん、あたしも今日聞いたことを誰かに話したりするつもりはないです」

マミ「それじゃあ言うわね。
   実はね、魔女は……」

 魔女の結界の近く

ほむら「巴マミ。今日は私も一緒に着いていこうと思うのだけど、いいかしら?」

マミ「え、ええ。別に構わないわよ」

ほむら「ありがとう。それと、一つ聞いてもいいかしら?」

マミ「な、なぁに? 暁美さん」

ほむら「どうして、この子達がここにいるの?」

さやか「……な、何だよ、転校生。あんたはマミさんに付いていくっていうのに、あたし達は駄目ってわけ?」

ほむら「私は魔法少女よ。あなた達とは違うわ」

マミ「(テレパシー:暁美さん! そんな風に言ったら—)」

ほむら「(テレパシー:ごめんなさい。今のは失言だったわね。
           でも、どうしてこの子達を連れて来たの?)」

マミ「(テレパシー:ごめんなさい。一通り説明したら帰ってくれると思ったのだけど……。
          一度だけでいいから、魔女退治の様子をどうしても見たいって言われて、つい……)」

ほむら「(テレパシー:ついじゃないわよ!
            あなた、やっぱり自分の活躍を誰かに見せたかったの?)」

マミ「(テレパシー:そんなつもりは……。
          それに、やっぱりってどういうこと?」

ほむら「(テレパシー:いいえ、何でもないわ。
           でも、あなたに説得を任せたのは失敗だったのかしら……?)」

マミ「(テレパシー:そんな……)」

まどか「あの……。ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら「いえ、着いてきてしまったのならばもう仕方ないわ。
    二人とも、私と巴マミのそばを絶対に離れないでちょうだい」

まどか「……うん」

ほむら「美樹さやか。あなたは?」

さやか「とりあえずは、あんたの言うことに従っておくよ」

ほむら「そうしてもらえると助かるわ」

 マミの家(回想)

さやか「それって本当なんですか?」

マミ「ええ、実際にこの目で見たことがあるから間違いないわ」

まどか「でも、どうしてキュゥべえはそんな酷いことを……」

マミ「おそらくだけど、彼は酷いとすらも思っていないでしょうね」

さやか「そんなことって……」

まどか「……もしかして、ほむらちゃんはそのことを知ってて?」

マミ「それはまだ分からないわ。でも、彼女がそのことを知っている可能性はあると思う」

さやか「どちらか分からないから、今回あいつをここに呼ばなかったんですか?」

マミ「ええ、その通りよ。
   もしも私の推測が間違っていたら、彼女に強いショックを与えることになるでしょうから」

さやか「でも、どうしてあいつが魔法少女の真実を知っているかもしれないと思ったんですか?」

マミ「暁美さんと昨日話した時、あの子はあなた達が契約することに反対していた。
   でも、必死で話しているあの子の表情を見ていたら、私利私欲の為に阻止しようとしているようには全く見えなかったのよね。
   少なくとも私には、本気であなた達のことを心配しているように思えた。
   だから、彼女を信じてみようと思ったの」

さやか「理由はそれだけですか?」

マミ「ええ、それだけよ」

まどか「でも、もしもマミさんの考えが間違っていたとしたら……」

マミ「ええ。もしかしたら、あの子がとても演技上手で、私の油断を誘って縄張りを奪おうとしている可能性だってあるかもしれないわね。
   でも、だからこそ、それを見極める為にも私は暁美さんと一緒に行動してみようと思っているの」

さやか「あいつが悪い奴だったとしたら、マミさんだって危ないよ!」

マミ「私のことは心配しないで。こう見えても結構強いんだから!」

さやか「でも……。
    ……そうだ、あたしをマミさんの魔女退治に連れていってくれませんか?」

マミ「え?」

まどか「さやかちゃんだけでなく、私も一緒に連れていってください」

マミ「二人とも、何を言っているの?」

さやか「私達で、転校生のことを見極めます。
    危ない場所ならあいつの本性も見抜きやすいだろうし、万が一あいつが裏切ろうとした時は、マミさんに忠告だって出来るから」

まどか「それに、マミさんの言っていることが正しかったとしたら、誰かがほむらちゃんについててあげる必要があると思うんです。もちろん、マミさんにも」

マミ「!
   でも、あなた達、私の話を聞いていたの?
   魔女の結界はとっても危ないところなのよ……。
   あなた達が行くべきところではないわ!」

さやか「もちろん分かってます。だけど、マミさんがあたし達を守ってくれるんですよね?」

マミ「それは、そうだけど……」

さやか「それじゃあ、よろしくお願いしますね」

まどか「私もよろしくお願いします」

マミ「全く、困った後輩達ね……。
   分かったわ。二人とも絶対に私のそばを離れないでね!」

どうしてもマミさんに“エスパーマミ”と言わせたいがために色々と内容をいじってしまったせいで、結果的にちょっとキャラ崩壊してしまった、ような……?

あと、本当は今回の投下でゲルトルート戦まで行くつもりだったのですが、ちょっと無理だったので次回の分に回します。

 

>>49
ゆとりのすくつ(何故かry)でエスパーマミなんて言ってわかるわけないじゃない!!


マミさんのお父さんは色々羨ましいことをしてたんですね!
とか言いたいけどエスパーマミって何の事だか分かんないや!!

藤子F不二雄の作品としか知らない


>さやか「感じ悪い奴……」
さやか・・・君の対応も充分感じ悪いぞ


>さやか「感じ悪い奴……」
さやか・・・君の対応も充分感じ悪いぞ

ゆとりなので、エスパーマミがわかりません

クリィミーマミならわかります

むかし、少年ビッグコミックで何回か見て以来だ。なつかしいな>エスパー魔美

よく見ると、>>42の最後でやらかしてました……。
というわけで、こんな感じに訂正します。

——————————————————————————————

まどか「ほむらちゃん。
    あなたも、その……、魔法少女、なんだよね?」

ほむら「ええ、そうよ」

まどか「ほむらちゃんはさ、どうして魔法少女になったの?」

ほむら「……」

まどか「あっ……」

さやか「感じ悪い奴……」

——————————————————————————————

なお、続きは11時位から再開予定です。

>>50>>51>>52>>56
1も本当はゆとりなんです、信じて下さい!
マミさん&佐倉さんの名前の元ネタ(の疑いあり)ということで少し知ってるだけなんです!!

>>53、4
書いた本人も一瞬そう思っちゃいましたけど、本当はさやかちゃんもいい子です。

>>55
そちらはアイドルマミさんの(多分)元ネタですよね。
改めて考えると、作品中唯一の?正統派魔法少女なだけあって、巴マミさんには先輩方のオマージュ要素が多いですね。

ちょっと遅くなりましたが、再開します。

—そして、私と巴マミ、まどかと美樹さやかの4人は、魔女の結界のある場所へと向かっていた—

マミ「間違いない。ここよ」

さやか「あ、マミさんあれ!」

—私達が辿り着いた廃墟ビルの屋上には女性が立っており、今にも飛び降りようとしていた—

まどか「きゃあ」

—私は変身しようとしたものの、巴マミの方が素早く動いていた—

マミ「ハッ!」

—巴マミは、制服姿のままで手から能力を発動させ、飛び降りようとしていた女性を受け止めていた—

さやか「ま、間に合った……」

—しかし、巴マミが手から発したのは、私が良く知っているリボンではなく、まるで、テレビ等に出てくる超能力者達が使うような、何らかの念動力のようなものだった—

マミ「(魔女の口づけ……、やっぱりね)」

まどか「この人は?」

マミ「大丈夫。気を失っているだけ。
   それじゃあ、行くわよ……、Metamorfosi【変身】!」

ほむら「……」

—私は、黙って魔法少女の姿に変身した—

マミ「どうしたの、暁美さん?」

ほむら「……何でもないわ。早く行きましょう」

マミ「今日こそは、逃がさないわよ」

—巴マミが変身した時の魔法少女の衣装は、私が知っているものと似てはいたものの、細部が異なっており、胸元のリボンや頭のソウルジェムが無く、何より、服の色も変わっていた—

マミ「暁美さん。この子達のこと、お願い出来る?」

ほむら「ええ、任せて」

—また、使っている武器もいつものマスケット銃ではなく、バナナのような形をした長い刃物のようなものになっていて、そのまま切りつけたり、時折ブーメランのように投げつけて使用していた—

マミ「ハッ!」

—そして、その戦い方も私が知っている巴マミのものとは全く違っていた—

マミ「フッ!」

—そういえば、違うのは戦い方だけではなかった。赤い衣装に、黒いリボンで留めて背中まで垂らした髪型……。そう、どちらかといえば、まるで—

マミ「もうすぐで結界の最深部よ。
   みんな、準備はいい?」

まどか・さやか「はい!」

マミ「暁美さん?」

ほむら「……ええ、私も大丈夫よ」

—そして私達は、そこにいた魔女の姿に驚かされることになった—

ほむら「!」

さやか「グロいし……、でかい!」

—薔薇園の魔女は、いつもの3倍……、いや、5倍ほどの大きさまで巨大化していた—

まどか「いつも、あんなのと戦ってるんですか?」

マミ「いえ、私もあんな大きい魔女とは……、きゃあっ!」

まどか「マミさん!」

ほむら「まどか、さやか、私から離れないで!」

まどか・さやか「は、はい!」

—私は、薔薇園の魔女に向かって機関銃【89式小銃】を放った—

ほむら「(やはり、こんなものじゃほとんど効き目が無いわね……。RPGなら少しは効くかしら?
     でも、まどか達もいるから爆発する武器は駄目か。……それじゃあ、一体どうすれば— )」

—しかし、対抗策を考えている暇も無く、薔薇園の魔女は私に向かって触手で攻撃してきた—

ほむら「ぐっ!」

まどか「ほむらちゃん!」

—薔薇園の魔女は、残されたまどか達に迫ろうとしていた—

さやか「まどか、ここはあたしに任せて、あんただけでも逃げて!」

まどか「そ、そんなこと出来る訳ないよっ!」

さやか「いいから早く!」

まどか「でも!」

—しかし、そこに薔薇園の魔女の使い魔が現れ、まどか達の逃げ道を絶ってしまっていた—

さやか「ああ!」

ほむら「(そんな……。こんなところで、私は……)」

—その時、私は結界の上の方に人が立っているのを見付けた—

ほむら「(あそこに立っているのは……、巴マミ!?)」

—巴マミは、片足だけを立てた状態で、魔女の方を見下ろしていた—

ほむら「(生きていたのね……。それにしても、あんなところで一体何を—)」

—やがて巴マミは、深呼吸をした後、服から何かを取り出して、右手に構えた—

マミ「大いなる光の使者よ、私に力を貸して……。
   行くわよ、Trasformazione 【変身】!」

—そして、巴マミがそう叫んだのと同時に、辺り一面が眩い光に包まれていき—

ほむら「(あ、あれは……!)」

—そこに現れたのは、赤と銀の巨人だった—

今回の分はここで終了です。


ウルトラマンの衣装というかコスプレしたら
マミさんエロそうだなーって変身シーン読んでて思った

今回投下出来るのはちょっとだけになりますが、再開します。

>>66
マミさんなら、どんなコスプレをしたとしても……

まどか「あ、あの時の巨人さんだ!」

さやか「来てくれたんだね!」

ほむら「(きょ、巨人……?)」

—とも…その巨人は、赤と銀色の体色に身長は30 m程度で、良く見ると、女性的な体型をしていた—

—巨人が魔女に向かってファイティングポーズを取ると、薔薇園の魔女は巨人に向かって巨大な椅子を投げつけた—

—巨人はその攻撃をかわすと、手の先から光弾を発射して椅子を破壊した—

—しかし、薔薇園の魔女の使い魔が巨人に近寄っていき、撹乱させた隙に魔女は巨人の触手で攻撃すると、そのまま拘束して吊るしあげた—

—だが、巨人は頭頂部の飾りを外して念力で動かすと、魔女の触手を切断し、華麗に着地した—

—そして、巨人は腕を十字に組んだようなポーズを取ると、必殺光線【アルティマ・シュート】を放った—

—薔薇園の魔女は、その攻撃によって粉砕されていた—

まどか・さやか「やったぁ〜!」

—そして、巨人はどこかへと飛び去っていった—

ほむら「(一体、どうなっているというの……!?)」

マミ「みんな〜!」

さやか「マミさん!」

まどか「マミさん、大丈夫でしたか?」

マミ「ええ、おかげさまでね」

まどか「よ、良かった〜」

マミ「それより、あなたたちこそ大丈夫だった?」

まどか「はい! 今日もこの前の巨人さんが来て、助けてくれたんです」

マミ「そう……、良かったわね」

さやか「いや〜、マミさんにも見せたかったですよ!
    あんな強い化け物を、スパッと一瞬でやっつけちゃって—」

マミ「……」

さやか「あっ、マミさん。ゴメン……」

—巴マミは一瞬だけ悲しそうな表情を浮かべていたが、美樹さやかはどうやらそれを見逃さなかったのか、慌てて謝罪していた—

マミ「……いえ、美樹さんは別に気にしなくていいのよ」

ほむら「(テレパシー:巴マミ!)」

マミ「(テレパシー:あ、暁美さん、わざわざテレパシーを使うなんてどうしたの?)」

ほむら「(テレパシー:とぼけないで。あれは一体どういうことなの!?
           あの巨人は、あなたなのでしょう?)」

マミ「(テレパシー:暁美さん、あなたは見てしまったのね……。
          分かったわ、帰ってから説明してあげるわね)」

—そして、巴マミはそこにあったグリーフシードを少しの間見つめた後、それに向かって手を合わせ、それから拾い上げた—

 マミの家

ほむら「さっきのことについて、説明して貰える?」

マミ「ええ、いいわよ。でも、ちゃんと説明するには私の過去についても話さないといけないわよね……。
   だから、ちょっと長い話になってしまうのだけれども、構わない?」

ほむら「ええ、問題ないわ」

マミ「それなら、説明を始めるわね。そうね……。
   ……あれは、もう二年くらい前のことになっちゃうのかな? 私は—」

 今日の分はこれで終了です。

 というわけで次回はマミさんの過去編になりますが、投下は三連休のどこかを予定しています。

セブンにしては特徴が合わない点があるし、まさかウルトラウーマンジャンヌか?

連休中に間に合わなくて申し訳ありません。

遅い時間になってしまいましたが、再開します。

【マミの過去】

マミ「じゃあ私、買いに行ってくるね。
   行って来ま〜す!」

マミ「お買い物に行ったのに、お醤油買って来なかったなんて、
   お母さんも忘れっぽいんだから」

マミ「(気のせいかしら……。誰かが見てる?
    違う……、後ろからついてきてる……)」

マミ「(どうしよう、怖い……。
    走って逃げようかな? でも、追いつかれたら……)」

マミ「(ここは、思い切って……)」

マミ「(きゃーーーーーー!!!
    ちかーーーーん!!)」

キュゥべえ「ひ、酷いなぁ、大声出すなんて……。
      僕はただ君に……」

キュゥべえ「あれ? 走ってどこかに行っちゃったみたいだね」

マミ「それじゃあ、また明日ね」

女子「あれ、今日は急ぐの?」

女子「帰りに、マミに買い物付き合ってもらおうと思ってたのにー」

マミ「ごめんごめん、今日はちょっと用事があるの」

女子「えーなにぃ? とうとうマミに彼氏が出来た?

女子「ひどーい、友情を犠牲にして男をとるんだ!」

マミ「ちょっと、勝手に話つくらないで。
   今日は、両親と食事に行くだけ」

マミ「お父さんとお母さんが車で迎えに来てくれてるの。
   だから今日はここで。また明日ね!」

マミ「えっと……、もう着いてるはずだけど……」
あ、あそこね。お父さん、お母さん、おまたせ!」

マミ「皆で外食なんて、久しぶりね。今日行くお店って、あの有名なお店でしょ?
   人気店だし行ってみたかったんだ。楽しみー」

マミ「(優しいお父さん、お母さん。学校の友達……。
私、幸せ……。この幸せが、ずっと続けばいいのに……)」

マミ「あっ、お父さん前!」

マミ「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」

キュゥべえ「あれ、巴マミがいない?
      さっきまでは、ここにいたはずなんだけどな……」

キュゥべえ「なるほど、そういうことか。
      どうやら、来るのが遅かったみたいだね……」

巴マミは交通事故に遭って瀕死の重傷を負った。

死線を彷徨うマミを新しい世界に導いたのは……、ウルトラの兄弟達。

そして今、ウルトラの母が!

ウルトラの母「ウルトラの兄弟達よ。ウルトラの妹、ウルトラマミが今誕生する姿を見るがよい。おまえ達は皆こうして生まれたのです……」

ウルトラの母「見よ、ウルトラの命の誕生を!」

というわけで、マミさんを助けたのはウルトラ兄弟&ウルトラの母でした!

ちなみにこの設定は、皆さんご存知ハヌ…ウルトラマンタロウの誕生シーン(第一話における描写)を参考にマミさんとウルトラの命が融合したという形になっており、それに伴ってマミさんが変身したのも“ウルトラマミ”という半オリキャラなウルトラ戦士ということになります。

また、マミさんの過去編はまどか☆マギカポータブルのマミさんルートを基にしていますが、参考としてゲームの該当部分を見直している内に改めてマミさんが可哀相に思えてきてしまい、何だか書いてて悲しくなってきちゃった為に描写は少なめになっています。

そして、今回は最後にタロウ風の次回予告で投下を終えたいと思います。

>>73
実は、ジャンヌではなくアムールの方で一体化させるという展開も考えていたのですが、諸事情によりこちらの形にしました。

遂に明かされたマミの過去。

暁美ほむらとも共闘を重ねていき、もう何も怖くないと思い始めるマミ。

しかし、恐るべき強敵シャルロッテの出現にマミは大苦戦!

そして、マミのピンチにあのウルトラ戦士も登場か!?

さあ、来週のウルトラマミ。みんなで見よう!

すみません。 >>81 にミスがありました……

2行目は“もう何も恐くない”に訂正です。

再開しますが、とりあえず今回は導入部分のみの投下です。

【第三話】

マミ「……こうして、私はウルトラの光の力を手に入れたの」

ほむら「そういうことだったのね……。
    でも、私や鹿目まどか達の前で魔法少女のふりをしていたのは何故?」

マミ「皆に私の正体を知られるわけにはいかなかったし、同じ魔法少女として接した方があなたにも信用してもらえるんじゃないかと思ったの。
   それに……」

ほむら「それに?」

マミ「いえ、何でもないわ。それより—」

—その時、巴マミは何かを察知したように頭を上げて、その表情を険しくさせた—

ほむら「……魔女が、現れたんですね」

マミ「ええ、その通りよ。
   私が行ってくるから、暁美さんは—」

ほむら「待って、私も一緒に行きます」

マミ「やっぱり、私は信用出来ないのかしら?」

ほむら「いえ、信用出来ると判断したからこそ、あなたの戦いをちゃんと見ておきたいと思って」

マミ「暁美さんは、こんな私を信用してくれるというの?
   いきなり巨人に変身しちゃうだなんて、気味が悪いとか思ったりしない?」

ほむら「そんなこと、全く思わないわ。
    それよりも、私はあなたと一緒に戦っていきたい。
    出来れば、仲間として」

マミ「!
   ……本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?」

ほむら「ええ、もちろんです。
    というわけで、巴さん。これから、よろしくお願いしますね」

マミ「……ええ。暁美さん、よろしくね!」

—それから私達は、本格的に共闘していくことになった—

ほむら「……この魔女と使い魔達は、暗闇の中では力を増幅させることが出来るけど、その分、光にはとても弱い。
    つまり、今のあなたにとっては敵では無いわね」

マミ「ええ、分かってるわ。任せて!」

—巴さんはそれだけ言うと、まばゆい光を放って巨人に変身した—

—その時に生じた光によって使い魔達は一瞬で消え去ってしまい、同じくその光によって痛手を負った魔女は、その場から逃げ去ろうとしていた—

ほむら「巴さん!」

—巴さんはうなずくと、腕をクロスさせて必殺光線【アルティマ・シュート】を放った—

—そして、暗闇の魔女は巴さんの光線技を浴びて消滅していた—

—巴さんは変身を解除すると、私の方に近付いてきた—

マミ「暁美さんのおかげで、最近の戦いはとても楽になったわ」

ほむら「そう言って貰えるのは光栄だけど、ほとんどの魔女はあなた一人で倒してしまえるじゃない」

マミ「でも、暁美さんのアドバイスはとても役に立ってるのよ?
   あなたの分析は、まるでその魔女と戦ったことがあるみたいにいつも的確だしね。
   それにこういう時はね、隣に誰かがいてくれるだけで心強いものなのよ」

ほむら「……そうですか。
    私なんかで良ければ、いつでもあなたのそばにいます」

マミ「……ありがとう、暁美さん」

今日の分はこれで終わりですが、次回(今週中の予定)にシャルロッテ戦まで行きます。

 もう週が変わってしまいましたが、再開します。

—数日後、いつものように私達は、魔女の結界が出来た場所へと向かっていた—

ほむら「そういえば、巴さん。
    あなたに、聞いておきたいことがあるのだけど……」

マミ「何かしら?」

ほむら「ここ最近で私達がこの街で遭遇してきた魔女達は、今までに私が倒してきた魔女とは違って、何というか……。    まるで、あなたの変身後の大きさに合わせたかのように巨大な魔女が多いように思えるけど、ここでは前からそうだったんですか?」

マミ「いえ、魔女があんなに大きくなっているのを見たのは、私もあの時が初めてよ」

ほむら「そうですか……。
    それなら、そのことの原因について何か巴さんに心当たりはありますか?」

マミ「私もはっきりとは分からないのだけど……、おそらくは、彼の仕業に違いないんじゃないかしら?」

ほむら「なるほど、そうですね……」

—その時、私達の会話に合わせたかのようなタイミングで、インキュベーターがやって来た—

キュゥべえ「やぁ、巴マミ。
      それに、暁美ほむら」

マミ「まさに噂をすれば、というところね。
   で、何の用かしら、キュゥべえさん?」

キュゥべえ「今日は君達に、役に立ちそうな情報を持って来たんだよ」

ほむら「へぇ、一体何の情報?」

キュゥべえ「今、近くに現われている魔女の居場所に関する情報だよ」

マミ「あいにくだけど、私達は既に魔女の結界を見つけて向かっているところなの。
   わざわざ来てくれたのに申し訳ないけど、どうやら無駄足だったんじゃない?」

キュゥべえ「いや、待ってくれ。
      君達が見つけた魔女は、一体だけだろう?」

ほむら「もしかして、この近くで一度に二体の魔女が現れた、ということ?」

キュゥべえ「そういうことになるね。
      まぁ、正確に言うともう一体の方は、まだグリーフシードが孵化しかけている途中の段階だったはずだけどね」

マミ「……そう。
   でも、同時に二か所で魔女が現れるというのは別に珍しいことではないと思うのだけど、あなたがわざわざ知らせにくるということは、何かあるのかしら?」

キュゥべえ「察しがいいね、巴マミ。
      今回の魔女の結界には、君達の知り合いが取り込まれているんだ」

ほむら「何ですって!?
    まさか……」

キュゥべえ「おそらく君の考えている通りだと思うよ、暁美ほむら。
      二つの結界の中には、それぞれ、鹿目まどかと、美樹さやかがいるんだ」

マミ「何てこと……。
   インキュベーター、卑怯な真似をしてくれたわね」

キュゥべえ「彼女達が結界の中にいるのは僕のせいではないよ。
      美樹さやかは自分からグリーフシードを見張っておきたいと言い出したんだし、鹿目まどかが巻き込まれたのも単なる偶然だ。
      第一、本当に君達を陥れるつもりだったとしたら、このことは伝えにこないでおくと思うけどね」

マミ「また、そんな戯言を……」

ほむら「巴さん、ここは二手に分かれましょう。
    私はこの先にある近くの結界に向かうから、巴さんは遠くの方へ行って下さい」

マミ「それなら、近い方の結界に二人で行って魔女を倒してから、もう一つの結界に向かった方がいいんじゃないかしら?」

ほむら「それだと、もう片方を助けられないかもしれないし、どちらかを見捨てるというわけにはいかないでしょう?
    それに、あなたなら遠い場所でも急いでいけるはず」

マミ「でも……、もしも魔女が巨大化していたら、あなた自身も危ないわ!」

ほむら「私なら大丈夫です。
    たとえ魔女を倒せないとしても、時間を稼ぐことくらいは出来るはず。
    あなたが戻って来るまでは何とか粘って見せるわ」

マミ「……分かったわ。
   暁美さん、気をつけてね」

ほむら「ええ、あなたもね」

キュゥべえ「それじゃあ、僕もこっちへ向かうとするよ」

マミ「そうはさせないわ。あなたは私と一緒に来て、魔女の結界まで案内して貰うわよ」

キュゥべえ「やれやれ、ここは君に従っておくとするよ」

ほむら「(この魔女は……)」

—私が向かった方の結界には、私が初めて魔女に遭遇した時と同じように、芸術家の魔女の使い魔がいて、結界の中に巻き込まれた少女に襲いかかろうとしていた—

まどか「きゃあああ!」

—ただ一つ、その時と異なっていたのは、襲われているのが私ではなく、まどかに変わっていたことだった—

ほむら「まどか!」

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

ほむら「もう大丈夫。
    私は……、あなたを助けに来たの」

まどか「あ、ありがとう……。
    でも、気をつけてね」

ほむら「ええ、分かってるわ。
    あいつを倒すから、あなたは少し離れた場所で待っていて」

まどか「うん、分かったよ。
    えっと……、あっちの方でいいのかな?」

ほむら「いや、少し待って……。
    やっぱり私が安全な場所まで誘導するから、あなたは付いてきてくれる?」

まどか「うん、ほむらちゃんの言う通りにするね」

—私はまどかの手を引いて比較的安全な場所まで誘導すると、すぐに時間停止の能力を発動させた—

ほむら「(そういえば、私がこの魔女と初めて遭遇した時は魔法少女のまどかと巴さんが助けてくれたんだったよね。
     そっか、あの時とは立場がまるで反対になったんだ……)」

—私は使い魔達に向かって拳銃【ベレッタM92FS】を撃ち、魔女には自分で作った時限爆弾を取り付けた後、時間停止を解除した—

—そして、能力の解除と同時に魔女が爆破され、結界も崩壊していった—

まどか「あれ、もう魔女をやっつけちゃったの?」

ほむら「ええ」

ほむら「(……私は、これでまどかを守れる私になれたと言えるのかな?
     いや、ここまでの過程がどんなに良かったとしても、あいつを倒せなければ意味が無いよね……。
     だから、巴さんが謎の力を持っていて、しかも友好的でいてくれる今回のチャンスを生かさないと!)」

まどか「あっ、そうだ!
    私、ほむらちゃんにお願いしたいことがあるの!」

ほむら「何かしら?」

まどか「あのね、さやかちゃんが病院で、その、グリーフシードを見つけてね—」

ほむら「(インキュベーターが言っていた、もう一つの魔女の方ね)」

まどか「だからね、急いで助けに—」

ほむら「そっちも心配しなくて大丈夫よ。そちらには巴さんが向かっているでしょうから」

まどか「あっ、そうなんだ。
    それなら……、大丈夫かな?」

ほむら「いや、待って……。
    病院?」

まどか「う、うん。さやかちゃんは病院にいるんだけど……」

ほむら「(そういえば、この魔女はこれまでと変わらない大きさだった。
     と、いうことは……)
     まさか!?」

まどか「あの、ほむらちゃん?」

ほむら「やっぱり、私達も急いで病院の方に向かいましょう。
    ……巴マミが、危ないかもしれない」

マミ「インキュベーター」

キュゥべえ「何だい? 巴マミ」

マミ「最近、魔女が巨大化しているのはあなたの仕業よね。
   あなた達の計画に邪魔な私を倒す為に仕組んだのかしら?」

キュゥべえ「君を倒す為に、というのは間違いではないけど、魔女を巨大化させたのは、僕がやったことではないよ」

マミ「あなたの他に、誰があんなことをするというの?」

キュゥべえ「僕の協力者、といったところかな」

マミ「……協力者? それは一体誰なの?」

キュゥべえ「申し訳ないけど、さすがにそれを言うわけにはいかないよ。契約違反になってしまうからね」

マミ「……契約違反、ね。でも、必ず突きとめてみせるわ」

キュゥべえ「そうかい。ああ、さやかはこの扉の先にいるはずだよ。
      どうやら、まだ魔女は孵化してないようだね」

マミ「そう。それなら、早く美樹さんを助けてあげて、暁美さんのところに戻らないとね!」

とりあえずここまでですが、続きは今日中に投下予定です。

遅くなりましたが、再開します。

さやか「あれが、今回の魔女……」

—あたしの目の前に現れた魔女は、まるで何かのマスコットキャラクターなんじゃないかと一瞬勘違いしてしまう程に、とても可愛らしい姿をしていた—

さやか「(あれなら、あたしでも倒せちゃうかも……?
     いや、魔女は見た目で判断しちゃ駄目ってマミさんに言われてたよね……)」

—魔女を見つめながらどうしようかとあたしが迷っていたその時、突然大きな音が鳴り響いた—

さやか「うわ、一体何!?」

—驚いたあたしが思わず顔を上げると、そこには、前にあたしとまどかを助けてくれた巨人が飛んでくるのが見えた—

さやか「何かと思ったら、あの時の巨人!」
    また、あたしを助けに来てくれたの?」

—巨人はあたしに向かってうなずいた後、そのまま魔女の方へと近付いていった—

さやか「頑張れー!」

マミ「(Lume Spirale)」

—その巨人は体を回しながらうずまきみたいな光を出して、魔女を捕まえていた—

マミ「(もう何も恐くない。
    ……だって、私はもう独りじゃないもの!)」

—そして、巨人は魔女に向かって手の先から出した光のビームを何回か当てた後、そのまま腕を十字に組んで、いつもの必殺光線【アルティマ・シュート】を撃っていた—

さやか「やったぁ!」

—でも、今回の魔女にはその光線技があまり効いてなかったみたいで、攻撃を受けた後に、その可愛らしい小さな体の中から、いきなり大きな蛇みたいなのが飛び出して来て、そのまま巨人の体に巻き付いていた—

さやか「(もしかして、これがこの魔女の本当の姿だったの!?)」

—そして、巨大化したその魔女は、巨人の胸元に付いている黄色く光っている丸い何かに噛みつこうとしていた—

さやか「や、やめろー!」

—直感的にそれを食べられたらまずいと判断したあたしは、思わず魔女に向かって叫んでいた—

—魔女があたしに気付いたことで締め付けが少しだけ弱くなり、その隙に巨人は逃げようとしていたけど、魔女はすぐに巨人の方に意識を戻していた—

マミ「(やっぱり、このままでは逃げられない。ここは、仕方ないわね……)

—そして、そこにいたはずの巨人の姿が急に消えていき—

さやか「えっ、どういうことなの!?」

—巨人の代わりに姿を現したのは、まぎれもなく、マミさんだった—

さやか「ま……、マミさん!?」

マミ「美樹さん、そこを動いては駄目!」

—あたしが隠れていたことに気付いてしまった魔女は、どちらを先に襲うかを考えているかのように、マミさんとあたしを交互に見比べていた—

マミ「はっ!」

—マミさんが手を胸の前で交差させると、何か念力のようなものがマミさんの全身から放たれて、魔女の動きを封じていた—

マミ「ここは私が引き留めるから、あなたはその隙に逃げて!」

—でも、マミさんが使っている技は体力をかなり消耗するみたいで、見るからに辛そうな表情をしているのが、あたしにも一目で分かる状態だった—

さやか「(このままじゃ、マミさんが……)」

—その時あたしは、前にも使い魔との戦いでマミさんが使っていた、バナナみたいな形をした刃物が目の前に落ちていることに気付いた—

—そして、あたしは思わずその武器【マミ・スラッガー】を拾うと、剣を持つ時のような感じに構えていた—

マミ「美樹さん、何をしているの? 早く逃げて!」

さやか「マミさんを見殺しになんて、出来ない!
    こうなったら、あたしも一緒に戦います!」

マミ「美樹さん……」

—あたしの予想外の行動に驚いたマミさんが思わず一瞬だけ念力を解除した隙に、自由になった魔女があたしに近付いてきた—

さやか「う、うわぁー!」

—あたしはとっさに刃物を投げたけど、魔女はわずかにひるんだだけで、そのままあたしの方へと迫ってきて—

マミ「美樹さん、危ない!」

—マミさんはあたしを突き飛ばすと、あたしをかばうようにして、魔女との間に割って入った—

—そして、あたし達の目の前には、巨大化した魔女がマミさんを丸呑みにしようとしているかのように、口を大きく開けて待ちかまえていた—

さやか「マミさん!」

—でも、マミさんがその魔女に食べられてしまうことはなかった—

?「マミ、大丈夫か?」

マミ「えっ、その声は……、まさか!?」

今回の分はここで終わりです。

二週間近く間が空いてしまいましたが、再開します。

マミ「た、タロウお兄ちゃんなの?」

タロウ「良かった、無事に間に合ったようだな!」

—あたし達の目の前には、変身した時のマミさんと似たような感じの巨人が立っていた—

?「タロウだけではないぞ、マミ」

マミ「えっ?」

さやか「うわっ、6人に増えた!?」

マミ「お、お兄ちゃん達、皆来ちゃったの?
   それも、6重合体までしちゃって……」

エース「マミのことが、心配だったからな!」

ゾフィー「私は、あまり甘やかし過ぎるのは良くないと言ったのだが……」

セブン「ゾフィーは少し厳し過ぎるのではないか?」

新マン「セブン兄さんは、あまり人のことを言えないのでは……」

マン「マミ、とにかくここは私達に任せるんだ」

マミ「う、うん……」

—そして、その巨人達は魔女に向かって一斉に攻撃を開始した—

マン「シャッ!【八つ裂き光輪】」

セブン「デュワッ!【アイスラッガー】」

新マン「ダァッ!【ウルトラスパーク】」

エース「フゥーン!【バーチカルギロチン】」

さやか「うわぁ、凄っ……!」

ゾフィー「よし、最後は私が……」

マミ「待って、ゾフィーお兄ちゃん」

ゾフィー「どうした? マミ」

マミ「とどめの一撃は、私に撃たせて欲しいの。
   ……この子を救えなかったことに対する、私なりのけじめとして」

タロウ「ゾフィー兄さん、ここはマミの意思を尊重してあげましょう」

ゾフィー「……そうだな。
     マミ、お前の好きなようにするといい」

マミ「……ありがとう」

—そして、マミさんはもう一度変身すると、いつものように光線技を撃って、その魔女にとどめをさしていた—

マミ「……」

新マン「マミ、大丈夫か?」

マミ「……うん。
   私は大丈夫だから心配しないで、ジャックお兄ちゃん」

新マン「……そうか。ならいいんだ」

エース「何かあったら、すぐに俺達に言うんだぞ。マミ」

マミ「うん、分かった」

ゾフィー・マン・セブン「マミ」

マミ「えっと……、なぁに? お兄ちゃん達」

マン「宇宙に今、不穏な空気が流れている」

セブン「とてつもない脅威が、迫ってきているのだ」

ゾフィー「私達は、これからその対処で忙しくなるだろう。
     だから、このように助けにくることは難しくなるかもしれない」

新マン「その代わりといってはなんだが……。
    私達から、マミに渡しておきたいものがある」

マミ「これは?」

セブン「ウルトラブレスレットだ。もちろん、お前に合わせて作ってある。
    これを身につけていれば、あらゆる敵と互角に戦っていけるだろう」

マミ「……ありがとう。
   お兄ちゃん達も、頑張ってね」

マン「ああ。地球のことは、マミに任せたぞ!」

マミ「うん、任せて!
   ……この星は、私がしっかり守ってみせるから」

エース「その意気だぞ、マミ!」

セブン「忘れるな。直接は来れなくとも、私達は常にお前と共にあることを」

タロウ「そうだ、マミ。お前は一人じゃないのだから」

マミ「……うん。お兄ちゃん達、それじゃあまたね!」

—巨人達が帰っていくと、マミさんは少し戸惑っているような表情をしながらあたしの方を見た—

マミ「美樹さん……」

さやか「ま、マミさん」

マミ「美樹さんには、みっともないところを見せちゃったわね……」

さやか「そ、そんな気にすることないって!
    ……それに、妹しちゃってるマミさんもなかなか可愛かったし」

マミ「もう……。美樹さんたら、年上をからかわないの!」

さやか「あ、アハハ……」

さやか「それにしても、マミさんがあの巨人だったなんてね……」

マミ「……」

さやか「でも、変身したマミさんでも苦戦しちゃうってことは、それだけ魔女達がヤバいってことだよね。
    やっぱり、あたし—」

マミ「美樹さん」

—その時、突然マミさんが真剣な表情になると、あたしの方に近付いてきた—

さやか「ま、マミさん?」

—やがて、マミさんの顔はあたしの顔とほとんど接触しそうな距離まで迫って来ていて—

さやか「(えっ!? 何だか、ちょっと顔を近付け過ぎじゃない……?)」

マミ「ごめんね」

—そう言うと、マミさんはあたしの口に向かって—

さやか「!!」

—そして、あたしの意識はそこで途絶えた—

とりあえずはここまでですが、今日中に少しだけ続き(第三話の終了部分まで)を投下予定です。

ウルトラ兄弟が支援に来るとか負ける要素が無いww
でもエースは放送コードという天敵のせいで必殺技のギロチンが実質撃てないから支援出来ないなww

誰が来るのかと思ってたら、兄弟全員とはwwww
とりあえず、読んでたら自然に聞こえてきたんでコレ置いてきますね

ttp://www.youtube.com/watch?v=i_9nChWnrjQ

再開します。

>>114
でも、宇宙に不穏な空気が……。

>>115
6兄弟のBGM、ありがとうございます!

ほむら「巴さん!」

マミ「あら、暁美さん。そんなに慌てて、どうしたのかしら?」

ほむら「いえ、ちょっと嫌な予感がしたので……。
    でも、その様子だと、大丈夫だったみたいですね」

マミ「まぁ、ちょっと苦戦しちゃったけど、私はご覧の通り心配ないわ。
でも、美樹さんは倒れていたから心配だったんだけど、気絶してただけで大きな怪我とかは無いみたいだしね。
   そういえば、鹿目さんは大丈夫だった?」

ほむら「ええ。私が助けた後、危ないから家に帰ってもらいました」

マミ「そう。まぁ、その方がいいわよね」

さやか「あれ、あたし……」

マミ「どうやら目が覚めたみたいね。
   大丈夫? 美樹さん」

さやか「うん。って……、げっ! 転校生。
    どうしてここに? 」

マミ「暁美さんは、美樹さんを心配してここに来てくれたのよ」

さやか「えっ、そうなの?」

ほむら「(テレパシー:巴さん?)」

マミ「(テレパシー:いいからいいから、そういうことにしておきましょう?」

—巴さんは、テレパシーでそう伝えると、私に向かってウインクしていた—

さやか「そうだったんだ。何かごめんね、転校生」

ほむら「いえ、別に気にしなくていいのよ」

マミ「美樹さん。
   そういう時は、もっと適切な言葉があるんじゃないかしら?」

さやか「そうだね、マミさん。
    ……ありがとう、転校生」

マミ「(テレパシー:暁美さん?)」

ほむら「……ええ、どういたしまして」

マミ「うふふ……。
   二人とも、良く出来ました!」

さやか「あっ、そういえば……、マミさん?」

マミ「なぁに? 美樹さん」

さやか「あたし、魔女が孵化する前までの記憶は何となく残ってるんだけど、その後のことは全然覚えてないんだよね……。
    マミさん、どういう状況だったのか教えてくれるかな?」

マミ「えっとね……。
   どうやら、美樹さんは魔女に襲われた時にショックで気絶してしまったみたいね。
   だけど何とかぎりぎりで私が間に合って、その後に暁美さんも来てくれたのよ」

さやか「なるほど……。
    でも、あたしの記憶だと、今回の魔女ってそんなに怖くなかったような気がするんだけど……」

マミ「……その、今回の魔女はね、変身するタイプだったのよ。
   可愛らしい姿で油断させてから、不意をついて攻撃する感じだったわ」

さやか「へぇー、そんな感じだったんだ……」

ほむら「……」

キュゥべえ「やぁ、みんな。大丈夫だったかい?」

ほむら「……キュゥべえ」

さやか「あんた、今までどこにいたのよ?」

キュゥべえ「いや、僕は—」

マミ「もしかして、結界の中ではぐれちゃった?
   まぁ、いいわ。早くここを離れましょうか」

さやか「あっ!」

マミ「どうしたの、美樹さん?」

さやか「あの……。
    あたし、ちょっとまだヤボ用があるんで二人は先に帰っちゃって下さい」

マミ「分かったわ。
   それじゃあ行きましょうか、暁美さん」

ほむら「ええ」

マミ「キュゥべえ、もちろんあなたも一緒に来てもらうわよ」

キュゥべえ「仕方ないね、君達の言う通りにするよ」

短いですが、今回はここまでです。

ちなみに、マミさんはまどか☆マギカの主要キャラクターの中でも一人だけ年上な為、普段はお姉さん役を引き受けなければならないことが多いように思いますが、たまには誰かに甘えるところも見てみたかったので、今回は6兄弟全員に登場して頂き、敢えて妹キャラなマミさんを書いてみました。

なお、次回(第四話)は来週あたりに投下予定ですが、これ以降は少しオリジナルな展開が増えていくと思います。

マミさんはウルトラ年齢でいくつぐらい?

乙っした!
兄弟達、マミさんが可愛くて仕方ないんだろうなぁ

ユリアンやらベスやら母みたいな同僚とかお姉さんじゃなくて

中学生相当の年齢の「妹」だからじゃね?

>>121
色々矛盾が出そうなので厳密な設定は考えていませんが、マミさん自体は一応中学生なので、少なくともゼロ(5900歳:高校生くらい)よりは下です。

>>122>>123
皆の妹分なので、ついつい甘やかしちゃう感じです(アムールやタロウの件を考えると、ゾフィー隊長は少し厳しめっぽいですが)。

とりあえずは導入部分のみですが、再開します。

【第四話】

さやか「あっ……」

看護師A「あら、上条君のお見舞い?」

さやか「えっ? あっ、ええ……」

看護師A「ああ、ごめんなさいね。
     診察の予定が繰り上がって、今ちょうどリハビリ室なの」

さやか「あ、そうでしたか。
……どうも」

看護師B「良く来てくれるわよね、あの子」

看護師A「助かるわ、難しい患者さんだしね……。
     励ましになってくれてるといいんだけど」

看護師B「事故に遭う前は、天才少年だったんでしょ。
     バイオリンの」

看護師A「歩けるようになったとしても、指の方はね……。
     もう二度と楽器を弾くなんて、無理でしょうね」

さやか「(……何で恭介なのよ。
     私の指なんて、いくら動いてたって、何の役にも立たないのに
     何で私じゃなくて、恭介なの?
     もしも私の願い事で、恭介の体が治ったとして、それを恭介はどう思うの?
     ありがとうって言われて、それだけ?
     それとも、それ以上のことを言って欲しいの?)」

さやか「あたしって、嫌な子だ……」

さやか「……何を聴いてるの?」

恭介「亜麻色の髪の乙女」

さやか「ああ、ドビュッシー?
    素敵な曲だよね……」

恭介「……」

さやか「あ、あたしってほら、こんなだからさぁ……。
    クラシックなんて聴く柄じゃないって皆が思うみたいでさ。
    たまに曲名とか言い当てたら、すっごい驚かれるんだよねぇ。
    意外すぎて尊敬されたりしてさ。
    ……恭介が教えてくれたから。
    でなきゃあたし、こういう音楽、ちゃんと聴こうと思うきっかけなんて、多分一生なかっただろうし……」

恭介「……さやかはさぁ」

さやか「なぁに?」

恭介「さやかは、僕をいじめてるのかい?」

さやか「えっ?」

恭介「なんで今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ。
   嫌がらせのつもりなのか?」

さやか「だって恭介、音楽好きだから……」

恭介「もう聴きたくなんかないんだよ!
   自分で弾けもしない曲、ただ聴いてるだけなんて!
   僕は……、僕は、ああ!!」
   
さやか「きょ、恭介!?」

恭介「こんなもの、もういらない! 」

さやか「や、やめてっ!」

恭介「こんな手、どうなってもいいんだ!」

さやか「やめて、恭介! やめてっ!
    お願い、やめてーっ!」

恭介「うっ、うう……」

さやか「恭介……。
    手から……、血が……。
    待ってて、今ナースコールを!」

恭介「いいんだ! もう、いいんだ……。
   動かないんだ……、もう、痛みさえ感じない。
   こんな手なんて……、もう、どうなってもいいんだ」

さやか「……」

恭介「ごめん、さやかに言っても……。
   さやかは何も悪くないのに……」

さやか「ううん、大丈夫……。
    恭介の気持ち……。分かる、つもり……」

恭介「ごめん……。
   ちょっと。一人にしてくれない、かな……」

さやか「うん、分かった……」

前回の終了時にオリジナル要素が増えると書いたばかりなのに、ほぼアニメ本編と同じ内容で、しかも短くてすみませんが、今回はここまでです。

なお、次回の投下は出来れば水曜中か、少なくとも次の日までには行う予定です。

再開します。

まどか「(さやかちゃん、今日はちょっと元気が無かったな……。
でも、これできっと—)」

まどか「あれ……。あそこにいるのは、仁美ちゃん?」

—わたしは少し離れたところで歩いている仁美ちゃんを見つけたので、声をかけました—

まどか「仁美ちゃーん! 今日はお稽古事—」

まどか「(あれ……、あの時の人と同じ?)」

—仁美ちゃんの首筋には、前にわたしがマミさん達の魔女退治に付いて行った時に見た、魔女に魅入られていた女の人にもあった、魔女の口づけがありました—

まどか「仁美ちゃん!
    ねぇ、仁美ちゃんってば!」

仁美「あら、鹿目さん……。ご機嫌よう」

—魔女に魅入られてしまった仁美ちゃんの様子は、明らかにいつもとは違っていました—

まどか「ど、どうしちゃったの?
    ねぇ、どこ行こうとしてたの?」

仁美「どこって、それは……。
   ここよりもずっといい場所、ですわ」

まどか「仁美ちゃん……」

仁美「ああ、そうだ。鹿目さんもぜひご一緒に。
   えぇそうですわ、それが素晴らしいですわ」

まどか「(どうしよう、これって魔女の……。
     そうだ、ほむらちゃんかマミさんに連絡を……。
     あぁ駄目だ、こんな時に携帯の電池が切れてるなんて!)」

まどか「(でも、仁美ちゃんをこのままにしておけないし……。
     こわいけど、ここは……)」

ほむら「(ソウルジェムが激しく反応している……。
     おそらく、近くに魔女が—)」

まどか「きゃあああー!
    誰か、助けてぇーっ!」

ほむら「(あの声は、まどか!?)」

—私は、悲鳴が聞こえてきた町工場の中へと大急ぎで入っていった—

ほむら「鹿目さん!」

—そして、そこで私が目にしたのは—

今回はこれだけですが、今週中にまた続きを投下します。

ほむら(良かった。巴さんが先に来てくれてたんだ……)

—結界の中では、光の巨人に変身した巴さんがハコの魔女と戦っていた—

まどか「あっ、ほむらちゃん!
    また私を助けに来てくれたんだね……。ありがとう!」

ほむら「ええ。
    それより鹿目さん、怪我はない?」

まどか「うん、大丈夫。
    ちょっと危なかったけど、ギリギリで巨人さんも来てくれたしね」

—やがて、巴さんがいつものように必殺光線【アルティマシュート】を放つと、魔女は一瞬にして倒されていた—

—少し経ってから、魔法少女の姿に戻った巴さんが私達の元にやってきた—

マミ「鹿目さん、暁美さん。大丈夫?」

まどか「はい! 今日も巨人さんが来てくれて、魔女をやっつけてくれたんです」

マミ「そう、私もいつかその人を見てみたいわ」

ほむら「……」

—その時、突然誰かの電話の着信音が鳴り響いた—

マミ「あら、私の携帯ね。
   えっと、美樹さんからの着信だわ。
   もしもし……。ええ、鹿目さんなら一緒にいるわよ?
   ……分かったわ。鹿目さん、美樹さんが代わって欲しいそうよ」

まどか「もしもし……。うん、わたしだよ。
    あっ、ごめんね。携帯の電池が切れちゃってて……。
    うん。そうだよ、私からマミさんにお願いしたの。
    えっ、今からこっちに?」

ほむら「どうしたの?」

まどか「さやかちゃんがね、今すぐに私達と話したいからこっちに来たいんだって」

マミ「えっと……。
   それなら、私の家に来てもらった方がいいんじゃないかしら?
   ここに来てもらうってのは……、ちょっとね」

まどか「そうですね……。
    あっ、さやかちゃん?
    やっぱりマミさんの家に向かってもらえるかな?
    私達もすぐに行くから。
    うん、それじゃあまた後でねー」

マミ「それじゃあ、急いで私の家に向かいましょうか」

まどか「はい。
    あっ……」

ほむら「どうしたの?
    鹿目さん」

まどか「えっと、あの……。
    仁美ちゃん達は、このままでも大丈夫かな……?」

ほむら「魔女も倒したし、もう心配ないとは思うけど……。
    それに、警察とかが来た時に私達が残っていたら、ちょっと厄介なことになりそうだし」

まどか「あっ、そうだよね……」

ほむら「志筑さんのことが心配なら、警察の人が来るまで私が見張っておきましょうか?」

まどか「あ、うん……。
    お願い出来るかな?」

ほむら「ええ、大丈夫よ」

まどか「ほむらちゃん、ありがとう……」

ほむら「気にしなくていいわ。
    私は後から行くから、あなたは巴さんと先に行っててちょうだい」

まどか「うん、分かった。
    ほむらちゃん、また後でね!」

とりあえずはここまでですが、次回の更新はまた数日中に行う予定です。

ずっと更新出来なくて申し訳ありませんでしたが、再開します。

 上条恭介の病室(回想)

さやか(昨日は、恭介を凄い怒らせちゃったからなぁ……。
    早いとこ、仲直りしないとね……)

さやか「恭介……、入っていいかな?」

恭介「やぁ、さやか!」

さやか(あれ……、今日は何だか機嫌がいいみたい。
    何か、良いことでもあったのかな……?)

さやか「恭介、今日は何か嬉しいことでもあったの?」

恭介「うん、そうなんだよ!
   実はね……。
   僕の手が、治ったんだ!」

さやか「へぇ、そうなんだ……。
    って、ええっ!?」

恭介「正確に言うと、手だけじゃなくて体全体がすっかり良くなってるんだ。
   ただ、一体どうして急に治ったのかについては全く理由が分からないんだってさ。
   だからもう少しだけ精密検査をする必要があるらしいんだけど……。
この感じなら、退院までにそれほど時間がかからなくて済みそうだしね」

さやか(どういうことなの!?
    一体、誰が恭介の手を治したっていうの……?)

恭介「さやか、どうしたんだい?」

さやか「……いや、あたしもちょっとびっくりしちゃって。
    良かったね、恭介!」

恭介「うん!」

さやか「それにしても、どうして急に怪我が治ったんだろうね……。
    恭介、何か心当たりとかはないの?
    例えばさ、昨日は普段と比べて何か変わったことがあったとかさ……」

恭介「うーん、変わったことかぁ……。
   そういえば、昨日はさやかの先輩がお見舞いに来てくれたよ」

さやか「!
    ……その先輩って、どんな人だった?」

恭介「ええっと……、名前は巴さんだったかな?
   優しそうで大人っぽくて、綺麗な人だったよ」

さやか(やっぱり、マミさんが……)

恭介「そういえば、体の調子が良くなったのは巴先輩が帰った直後からだったような気もする……。
   それなのに、僕はずっと投げやりな態度で接してしまって申し訳ないことをしちゃったかな……?
   そうだ、出来ればもう一度—」

さやか「……ごめん、恭介!
    あたし、ちょっと他に用事を思い出しちゃったから今日はもう帰るね。      
    でも、また今度来るから!」

恭介「ああ、うん。分かったよ」

とりあえず、今回はここまでです。



遅くなりましたが、再開します。

 マミのマンション

—わたし達がマミさんの住んでいるマンションの前に着いた時、さやかちゃんはもうずっと前に来ていたようでした—

まどか「あ、さやかちゃ—」

さやか「マミさん。
    ……恭介の怪我、治してくれたのマミさんなんだよね?」

マミ「ええ、そうよ。
   鹿目さんに頼—」

さやか「本当に、ありがとうございます」

—さやかちゃんはそう言うと、マミさんに向かってその場で土下座しました—

マミ「美樹さん!?
   こんなところで、やめてちょうだい」

さやか「本当に、本当にありがとうございます!」

—マミさんが止めても、さやかちゃんはしばらくの間、立ち上がろうとはしませんでした—

—それからしばらくして、わたしは、落ち着いたさやかちゃんと一緒に帰っていました—

さやか「……まどか」

まどか「なぁに? さやかちゃん」

さやか「どうして、マミさんにあんなこと頼んだの?」

まどか「えっ?」

さやか「ごめん、ちょっと聞き方が悪かったかな……。
    別に変な意味じゃなくてさ、ただ単に何でかなーって思って」

まどか「ええっと……、わたしね、上条君のことでさやかちゃんが落ち込んでるんじゃないかと思ってたんだけど……。
    それでね、マミさんなら酷い怪我でも治せるんじゃないかと思ったから頼んでみたの」

さやか「……そっか」

まどか「ごめんね。さやかちゃんに何も言わないで勝手なことしちゃって」

さやか「ううん、いいんだよ。
    まどかはあたしのために頼んでくれたんでしょ?
    ありがとね」

—そう言ったさやかちゃんは、何故かどことなく暗い表情をしているように見えました—

まどか「あの、さやかちゃ—」

さやか「あ、それじゃあたしはここで。
    まどか、またね」

まどか「う、うん。
    さやかちゃん、また あした」

まどか(気のせいかな?
    さやかちゃん、何だか様子がおかしかったような……?
    あっ、そうだ!
    ほむらちゃんに早く連絡しないと……)

キュゥべえ「惜しかったなぁ。
      上条恭介の怪我の件は、美樹さやかを契約させるにはいいチャンスだと思ってたんだけど……。
      まさか、鹿目まどかがあんな行動に出るなんてね」

キュゥべえ「ただ……。
      確かに君の言う通り、彼女にはまだ利用価値がありそうだね」

キュゥベえ「いいだろう。
      これからしばらくは、君のやり方でやってみるといい」

短いですが、今回はここまで。

次回の投下は、週末を予定しています。

一ヶ月近くもお待たせしてしまって、ごめんなさい!

これからまた再開します。

なお、今回の投下からは話数表記を無くします(若干振り分けがしにくいのと、あまり意味が無いようにも思ったので)。

マミ(テレパシー:暁美さん、そちらの様子はどんな感じ?)

ほむら(テレパシー:こっちは使い魔だけみたいだし、私一人でも大丈夫だと思います。
    ですから、巴さんはそちらの魔女の方に集中して下さい)

マミ(テレパシー:そう、分かったわ)

ほむら(テレパシー:よろしくお願いしますね。
    私も、こちらが片付いたら合流するつもりなので)

マミ(テレパシー:ええ、待ってるわね!)

ほむら(テレパシー:それでは、また後で)

マミ(よし! それじゃあ私も—)

?「あの……。
  巴さん、ですよね?」

マミ「えっ?
   あら、あなたは—」

マミ「—美樹さんのお友達の、上条君よね?」

恭介「はい! お久しぶりです」

マミ「お久しぶり。
   ええっと……、上条君は、どうしてここに?」
 
恭介「さっき、たまたま巴さんが遠くに歩いているのを見かけたんです。
   それで、ちょうど前にお見舞いに来てくれた時のお礼を言っておきたいなと思ってたところだったので……」

マミ「ああ、そうだったの……。
   そうだわ、お怪我の方はもう大丈夫?」

恭介「はい! それはもうすっかり。
   何というか……、事故に遭ったことすらも悪い夢だったんじゃないかと思えてきちゃいますよ」

マミ「……そっか。
   上条君も、事故にあって怪我をしたんだったよね……」

恭介「えっ……、も?」

マミ「あら、私言ってなかったかしら?
   私もね……、前に交通事故に遭って酷い怪我を負ったことがあったの」

恭介「そうだったんですか……。
   もしかしたら、お見舞いに来てくれた時は結構やけになってたので、ちゃんと聞けてなかったのかもなぁ。
   そういえば、あの時は失礼な態度をとってごめんなさい」

マミ「いえ、別に気にしなくていいわ」

恭介「あっ、そうだ!
   巴さんにちょっと聞いておきたいことがあって」

マミ「あら、何かしら?」

恭介「えっと、僕の—」

マミ「!
   上条君、危ない!」

恭介「えっ?」

恭介(!?
   いつの間にか、周りの景色が変わってる……。
   それに、あの化け物は……?)

マミ「上条君、絶対に私のそばを離れないで!」

恭介「巴さん!?
   あなた、一体何をしようと—」

マミ「いいから、今は私の言う通りにして!」

恭介「は、はい!」

—巴さんは、いつの間にかテレビなんかで出てくる魔法少女みたいな赤い衣装に着替えていて、僕の周りをバリアみたいなもので覆い囲んだ後、手にブーメランのような長い刃物を構えて、化け物達に立ち向かっていった—

マミ「ハァーーッ!」

—そして、巴さんが沢山いる化け物達に向かってその武器を飛ばすと、触手みたいな体に動物のような顔がついている小さい方の化け物達が一掃され、その後、今度は親玉らしき真っ黒な女の子みたいな姿をした化け物の方にそのまま向かっていき、その化け物を真っ二つにした—

恭介(やったかな?)

—でも、その化け物はまだ生きていたみたいで、体を変形させると、巴さんを触手で攻撃した—

マミ「きゃっ!」

恭介「巴さん!」

—でも、普通の人なら間違いなく無事では済まないような傷を受けたにも関わらず、巴さんはすぐに立ち上がって武器を拾い直し、また戦う意思を見せていた—

マミ「まさか、さっきの攻撃に耐えるなんてね……。
   だけど、これはどうかしら?
   Grande Coltelleria!」

—そして、巴さんは持っていた武器を巨大化させると、再び化け物に向かって飛ばして、今度こそ、トドメを刺していた—

恭介「巴さん、大丈夫ですか?」

マミ「ええ、私は大丈夫よ。
   心配しないで」

恭介「良かった……」

マミ「……」

恭介「巴さん」

マミ「なぁに、上条君?」

恭介「今の巴さんの姿を見て確信しました。
   巴さんには不思議な力がある。
   そして……、僕の腕を治してくれたのも、巴さんですよね?」

マミ「……ええ、そう。
   鹿目さんに頼まれたの。
   美樹さんのお友達が大変だから、助けてあげて欲しいって」

恭介「やっぱり……。
   それと、巴さんはさっきみたいな化け物といつも戦ってるんですか?」

マミ「…………うん」

恭介「巴さん。
   何だか悩んでるように見えるんですけど、どうしたんですか?」

マミ「いや、その……。
   上条君は、私のことを気味が悪いとか思ったりしないの?」

恭介「えっ、どうしてですか?」

マミ「だって、私……。
   さっきみたいに変な技とか使えちゃうんだよ?
   それに—」

恭介「僕の手を治してくれた恩人に対して、そんな風に思うわけないじゃないですか。
   それに、巴さんが化け物達と戦ってくれるおかげで、僕達は平和に暮らせてるんですよね。
   だから、僕はあなたを素晴らしい人だと思いますし、感謝してもしきれないですよ」

マミ「上条君……」

マミ「……ありがとう、上条君。
   あなたみたいな人がいてくれるから、私は誇りを持って戦えるわ」

恭介「いえ、そんな……」

マミ「だけど……、ごめんね」

—僕の方に近付いてきた—

恭介「巴さん?」

—そして、その時巴さんが真剣な表情になって、いきなり自分の顔を僕の顔に接触してしまいそうなくらいに近づけてきて—

恭介「!!」

—そして、僕の意識はそこで途絶えた—

ほむら「巴さん、遅くなってごめんなさい!」

マミ「……暁美さん」

ほむら「あれ、誰か人が倒れてる……。
    あなたは……、上条君!?
    えっと……、上条君は魔女に襲われてたんですか?」

マミ「ええ、この前の美樹さんの時と同じような感じね。
   でも、彼も気絶しているだけで大丈夫よ」

ほむら「そうですか……」

恭介「あれ、僕は一体どうしてここに……?
   ……えっと、そこにいるのは暁美さんと……。
   はじめまして、になるのかな?」

ほむら(えっ?)

マミ「……そうそう、自己紹介しないとね。
   私は巴マミ。あなたと同じ見滝原中の3年生。
   暁美さんとは、お友達なの」

恭介「あっ、あなたは先輩の方でしたか……。
   お二人は、どうしてここに?」

マミ「私達はお茶会の約束をしていたんだけど……。
   私の家に向かっている途中で、倒れているあなたを見かけたの」

ほむら(テレパシー:あの、巴さん?)

マミ(テレパシー:ここは私に話を合わせてくれるかしら?)

ほむら「(テレパシー:……分かりました)
     そ、そうなんですよー!
     たまたま上条君を見かけて、心配だったので……」

恭介「そうだったんですか、ありがとうございます。
   いくらなんでも病み上がりなのに無理し過ぎたのかなぁ……?
  (暁美さん、何だかいつもと雰囲気が違う、ような……)」

—そして、私達は上条君を家まで見送ることにしました—

恭介「あっ、僕の家はここです。
   ここまで気を使わせちゃって、何だか悪いなぁ……」

マミ「いえ、気にしないで」

恭介「それじゃあ、僕はここで。
   さようなら」

ほむら「あっ、どうも……」

とりあえず、ここまでです。

続きは今日中か明日(土日のどちらか)に投下する予定です。

今からまた、少しだけですが投下します。

—それから、私は最初から予定していた通り、巴さんの家に来ていました—

マミ「暁美さん、今日は私に話しておきたいことがあるって言ってたわよね?」

ほむら「はい」

マミ「それなら、その内容について教えてくれるかしら?」

ほむら「分かりました。
    でも、その前に一つだけ確認しておきたいことがあるんです」

マミ「ええ、分かってるわ。
   暁美さんが言っているのは、さっきの上条君のことよね?」

ほむら「ええ、そうです。
    巴さんは……、前に上条君とは会ったことがあるはずでしたよね?
    でも、さっきの上条君は巴さんのことを全く知らない様子でした。
    ……巴さん、もしかして上条君の記憶を消したんじゃないですか?」

マミ「ええ、その通りよ」

ほむら「どうして、そんなことを?」

マミ「……私が魔女と戦っているところを、上条君が見てしまったのよ。
   たとえ、あなた達のクラスメイトの人だとしても、私やあなたの正体を知られてしまうのは良くないでしょう?」

ほむら「……なるほど。
    そういうことだったら、納得がいきました。
    確かに、無関係な一般人に魔法少女や魔女絡みのことを知られてしまうのは良くないですよね。
    それにもしかしたら、そのことが原因で何らかの危険に巻き込んでしまうこともあるかもしれませんしね……」

マミ「ええ。
   私もそう思ったから、上条君の記憶を消したの」

ほむら「……それじゃあ、そろそろ本題に入りますね。
    今から二週間後、この街にワルプルギスの夜が来ます」

マミ「!
   それは本当なの!?」

ほむら「はい、間違いなく来るはずです」

マミ「……そう。
でも、暁美さんはどうしてそのことを知っているの?」

ほむら「ごめんなさい。
それについては、言えないんです」

マミ「あら、どうして?」

ほむら「あの、別に巴さんのことを信用していないとかではないんです。
    ただ、私の秘密をキュゥべえに知られるわけにはいかないので……」

マミ「なるほど、確かにキュゥべえなら、私達の話を盗み聞きすることも出来そうだしね。
   分かった、そういうことならこれ以上の詮索はしないでおくわね」

ほむら「ありがとうございます」

ほむら「それで、巴さんにお願いしたいのは……」

マミ「私に、ワルプルギスの夜と戦って欲しいのよね?」

ほむら「ええ、その通りです。
    私と一緒に、ワルプルギスの夜と戦って欲しいんです。
    ……巴さん、私に協力してくれますか?」

マミ「ええ、もちろんよ!
   私の使命は……、この街、いえ、この星のみんなを守ることですもの!」

ほむら「ふふっ。
    さすがに巴さんは、私とはスケールが違いますね」

マミ「ちょっと、それはどういう意味なの!?」

ほむら「いえ……、あの、別に変な意味じゃなくって……。
    その、なんというか、巴さんはやっぱりすごいなって思ったんです。
    ……これまでの私は、“たった一人”を守ることしか考えてなかったから。
    でも、“今の巴さん”と一緒なら、この世界だって救えそうな気がしてきます」

マミ「暁美さん……。
   ……そうね。
   “二人”なら、きっとどんなことだって出来るはずよね……」

—そう言った時の巴さんの表情は、何故か少しだけ暗くなっていたように思えた—

ほむら「……巴さん、どうしたんですか?」

マミ「……ううん、何でもないの。
   それよりも、暁美さん?
   あなた、初めて会った時とはずいぶんと雰囲気が変わったわね」

ほむら「えっ!?
    ……そ、そうですか?」

マミ「ええ、何というか……。
   張り詰めていたような感じが無くなって、優しくなったように見えるわよ」

ほむら「そ、そんな……。
    それなら、もっと気を引き締めなくちゃ……」

マミ「あら、どうして?
   私は今の方が可愛くていいと思うわよ?」

ほむら「も、もう、巴さんたら!
    何言ってるんですか//////」

マミ「うふふ」

ほむら「あっ!
    そういえば、巴さん?」

マミ「あら、なぁに?」

ほむら「巴さんは、どうやって上条君の記憶を消したんですか?」

マミ「……ええっと、私達はね。
   自分の唇を誰かの唇に接触させることで、その人の脳と神経に働きかけて、記憶を消すことが出来るのよ」

ほむら「へぇー、そうなんですか……。
    って、ええっ!?
    それって、上条君とキスしたってことですか?」

マミ「……ええ、そうだけど。
   どうしたの? そんなに驚いちゃって」

ほむら「だって、その……。
    そんなに簡単にしちゃうなんて……」

マミ「……記憶を消す為には、仕方なかったのよ。
   それにね、別に誰かの記憶を消すのは初めてのことじゃないし……」

ほむら「そ、それじゃあ……、巴さんはいつもそんなことをしてるって言うんですか?」

マミ「いつもって程ではないけど……。
   たまに、あまり都合の良くないことを誰かに見られちゃった時にね」

ほむら(あれっ?
    それなら、どうして私の時は記憶を消さなかったのかな……)

ほむら「あっ、もうこんな時間!
    そろそろ、私は帰りますね」

マミ「あら、そう」

—巴さんは、私を見送る為に立ちあがろうとしていた—

ほむら「それでは、また—
    えっ、巴さん!?」

—でも私が帰る前にあいさつしようと振り向いた時、巴さんはふらついて倒れそうになっていた—

ほむら「巴さん、大丈夫ですか!?」

マミ「ええ、私は大丈夫。
   ちょっと立ちくらみがしただけだから、心配しないで」

ほむら「本当ですか?」

マミ「ええ、本当に私は大丈夫だから。
   むしろ、後輩のあなたにかっこ悪いところを見せちゃったかな……?」

ほむら「いえ、そんなことは……」

マミ「それじゃあ、暁美さん。
   また明日ね!」

ほむら「えっ、はい。
    また あした……」

一旦、ここまでで止めます。

次回の投下は、今日の夜か明日までには行う予定です。

少しだけですが、再開します。

 ファーストフード店(さやかの回想)

さやか「……それで、話って何?」

仁美「恋の、相談ですわ」

さやか「え?」

仁美「私ね、前からさやかさんやまどかさんに秘密にしてきたことがあるんです。
   ずっと前から……私、上条恭介君のこと、お慕いしてましたの」

さやか「そ、そうなんだ……。
    あはは……、まさか、仁美がねえ……。
な〜んだ、恭介の奴も隅に置けないなあ」

仁美「……さやかさんは、上条君とは幼馴染でしたわね」

さやか「あーまあ、その……。
    腐れ縁って言うか何て言うか」

仁美「本当にそれだけ?」

さやか「……」

仁美「私、決めたんですの。
   もう自分に嘘はつかないって。
   ……あなたはどうですか?
   さやかさん、あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか?」

さやか「な、何の話をしてるのさ……」

仁美「あなたは、私の大切なお友達ですわ。
   だから、抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですの。
   上条君のことを見つめていた時間は、私よりさやかさんの方が上ですわ。
   だから、あなたには私の先を越す権利があるべきです」

さやか「仁美……」

仁美「私、明日の放課後に上条君に告白します。
   丸一日だけお待ちしますわ。
   さやかさんは後悔なさらないよう決めてください。
   上条君に気持ちを伝えるべきかどうか」

さやか「あ、あたしは……」

—そして仁美は、あたしに向かって軽く頭を下げた後、そのまま帰ってしまった—

—仁美と別れた後、そのままあたしは当てもなく街をうろついていた—

さやか(仁美はああ言ってくれたけど、本当に、あたしの気持ちを恭介に伝えてちゃってもいいのかな……?
    でも、どう考えたってあたしなんかより仁美みたいな子の方がいいに決まってるよね……。
    あたし、どうしたらいいんだろ……?)

—あたしがそんな風に考えていたその時、少し離れたところに見覚えのある制服姿の男女が二人で話しているのをあたしは見つけてしまった—

さやか(あれは、恭介と……、マミさん?
    二人とも、こんなところで何をしていたんだろ……)

—その時あたしは、自分の中に一つの疑念が生まれていくの感じていた—

さやか(あっ、そういえば恭介の奴、マミさんにお見舞いに来てくれたお礼がしたいって言ってたっけ……。
    多分たまたまパトロール中のマミさんを見かけて声を掛けたって感じかな?)

—すぐに目の前の状況に対するそれっぽい理由を見つけ出して自分を納得させようといたあたしだったけど、次にあたしが目にした光景は、今のあたしにとっては、もっとも見たくない類のものだった—

さやか「!!」

—その時あたしが目撃したのは、マミさんが恭介にキスをしている光景だった—

—目の前の光景を直視出来なかったあたしは、逃げだすようにその場から走り去っていた—

さやか(そんな、一体どういうことなの……?
    まさか、マミさんもだなんて……)

—そしてあたしは、自分の中にマミさんに対しては絶対に抱いてはいけないはずの感情が生まれていくのを感じていた—

さやか(駄目だよ……。
    マミさんは、あたし達の命を助けてくれた人なのに……
    恭介の腕を治してくれた恩人なのに……)

—その時のあたしは、マミさんのことを憎いと思ってしまっていた—

さやか(あたし、本当に悪い子だ……。
    マミさんのことを、こんな風に思っちゃうなんて……。
    こんなんじゃ、もうマミさんに合わせる顔が無いよ……)

?(だったらさ……、そんなやつ、殺しちゃえば?)

さやか「えっ?」

短いですが、今日はここまで。

次回の投下は出来れば明日中に行いたいと思っていますが、もしかしたら来週になるかもしれません。

遅い時間ですが、再開します。

 まどかの部屋(朝)

まどか「はぁ〜、もう朝だぁ……。
    早くママを起こしに行かなくっちゃ!」

まどか(あっ、メールが来てる。
    さやかちゃんからだ。
    そっか、今日はお休みするんだ……。
    それなら学校が終わってからお見舞いに行こうかな……?)

 さやかの家(放課後)

まどか「え、昨日から帰ってないんですか?
    ……えっと、わかりました。
    はい、失礼します」

まどか(さやかちゃん、一体どこにいるんだろ……?)

まどか「とにかく、さやかちゃんを探さなきゃ!」

 公園(放課後)

上条「……志筑さんって、帰る方角はこっちなんだっけ?
   今まで帰り道に見かけたことってないような……」

仁美「ええ。
   ……本当は、全然逆方向ですわ」

上条「え……、じゃあ、今日はどうして?」

仁美「上条君に……、お話したいことが—」

さやか「やぁ、二人とも」

仁美「さ、さやかさん!?」

恭介「あっ、さやかじゃないか。
   ……何だか元気そうに見えるけど、今日はどうして学校を休—」

さやか「恭介」

—そして、さやかはいきなり僕にキスしてきた—

恭介「さ、さやか!?
   どうして、いきなりこんなことを……」

さやか「別に、あたしの気持ちを伝えたかっただけだよ。
    というわけで仁美?
    悪いけど、こういうことだから」

—それを聞いた志筑さんは、そこから逃げるように走り去っていった—

恭介「あっ、志筑さん!」

—僕は、そのまま志筑さんを追いかけようとしたけど、それを邪魔するようにさやかは僕の左手を掴んできた—

恭介「痛っ」

さやか「……恭介、どこに行くつもり?」

恭介「どこって……。
   志筑さんを追いかけに行くに決まってるじゃないか」

さやか「どうして?
    仁美のことなんて、どうだっていいでしょ。
    それよりさ、あたしとどこか行こうよ」

恭介「何言ってるんだい、さやか。
   志筑さんは君の友達だろ?
   心配じゃないのかい?」

さやか「だから、別にどうだっていいってば」

恭介「……さやか、今日の君は何だか変だよ」

さやか「……そうかな?」

恭介「ああ。
   僕の知ってるさやかは、友達のことをそんな風に言う子じゃなかったはずだよ」

さやか「……」

恭介「とにかく、僕の手を離してくれないか」

—さやかは、少し躊躇った後に僕の手を離した—

恭介「それじゃあ、僕は志筑さんを探してくる。
   さやかはここで待ってて」

さやか「……」

—そして、僕は志筑さんが向かった方向へと走り出した—

まどか「あっ、さやかちゃん!」

さやか「……まどか」

まどか「……さやかちゃん。
    どうして、今日は嘘をついて学校を休んだりしたの?
    それに、昨日は家にも帰らなかったんでしょ?
    みんな、心配してたよ。
    わたしと一緒に、帰ろう?」

さやか「……うるさい」

まどか「えっ?」

さやか「うるさいって言ったのよ」

まどか「さ、さやかちゃん?
    どうしちゃったの?
    今日のさやかちゃん、ちょっと変だよ……」

さやか「変?
    あたしの、どこが変だって!?」

—さやかちゃんはそう言った後、いきなりわたしの首を絞めようとしてきました—

まどか「さやかちゃ……。
    どうして……?」

さやか「大体、あんたが……、あんたさえ余計なことをしなければ……」

まどか「さ、さやかちゃ……」

—そして、だんだんとわたしの意識は薄れて—

とりあえず、ここまでです。

続きはまた本日中か明日(土日のどちらか)に投下します。

今回も投下出来るのは少しだけですが、再開します。

—美樹さやかに首を絞められているまどかを見つけた私は、すぐに魔法少女に変身すると、時間停止能力を発動させて二人の元に近付いていき、そのまま体当たりして突き飛ばし、その影響で投げ出されたまどかの体が地面にぶつかる前に何とか受け止めた—

ほむら「どういうつもりなの、美樹さやか!
    まどかを、殺す気!?」

さやか「……」

ほむら「この子を傷つけるというのなら、私は……」

—私は、盾から拳銃【ベレッタM92FS】を取り出すと、威嚇の意味を込めて美樹さやかに向けて構えた—

さやか「……へぇー。
    もしかして、それであたしを殺そうっての?」

ほむら「そうだといったら?」

さやか「……やれるもんなら、やってみなよ」

—私は、美樹さやかの足元に向けて銃弾を放った—

ほむら「私は、本気よ」

さやか「だったら、さっさとあたしを撃ちなよ」

ほむら「あなた……、一体何を考えているの?」

さやか「あたしは、あんたみたいなやつに従いたくなんかないだけだよ。
    そうやって銃で脅せばあたしが言うことを聞くとでも思ってるんでしょ?」

ほむら「……」

さやか「図星みたいだね。
    それで、次はどうするの?」

—私がこの状況に対してどのように対処すべきか考えていたその時、遅れてきた巴さんが私達の間に割って入った—

マミ「暁美さん!」

ほむら「……巴さん」

マミ「暁美さん、美樹さんに銃を向けるなんて一体何を考えているの!?
   鹿目さんは……。
   気絶しちゃってるけど、大きな怪我はないみたいね……」

ほむら「いや、私は……」

—私は、銃を下ろしてこの状況の説明をしようとした—

マミ「言い訳は後で聞きます。
   それより……、美樹さん?
   あなたも怪我をしちゃってるじゃない。
   大丈夫?」

さやか「……るさい」

マミ「えっ?」

さやか「うるさいって言ってるんだよ、この偽善者女!」

マミ「み、美樹さん!?
   一体どうしちゃったの?」

さやか「別に、あたしは思ったことをそのまま言ってるだけだよ。
    あんたなんか、そうやって誰も彼も救った気になって自己満足に浸ってるだけの偽善者だって」

マミ「……美樹さん。
   いくらなんでも、言っていいことと悪いことがあるんじゃないかしら?」

さやか「へぇー、こんな程度で怒っちゃうんだ?
    やっぱりあんたは偽善者だね。
    でも、別にあんたは悪くないよ。
    あんたなんか信じちゃった、あたしが馬鹿だったんだから……」

ほむら「……」

マミ「……美樹さん。
   何があったのかは分からないけど、悩みがあるなら私に話して頂戴。
   さっき私に言った酷い言葉は、とりあえず聞かなかったことにしてあげるから」

さやか「うるさいうるさいうるさい!
    やめろ、あたしに近付いてくるんじゃない!!」

マミ「美樹さん……」

さやか「あんたなんか、あんたなんか……。
    あたしが、殺してやる!」

ほむら「!
    巴さん、離れて下さい!!」

マミ「えっ?
   !!!」

—美樹さやかの体はだんだんと大きく変化していき、次第に、恐るべき姿へと変貌をとげていた—

—そして、美樹さやかが変化したその姿は、まるで、私が良く知っている魔女のようだった—

今日はここまでです。

次の投下は、また週末の予定です。

再開します。

ほむら(一体、どうなっているの!?
    魔法少女ですらないはずの美樹さやかが、魔女になったなんて……)

—私は、この状況に対する答えを求めるように、隣にいた巴さんの方を見た—

マミ「そんな……。
   どうして、美樹さんが?」

—でも、巴さんにとっても今回のような事態が起こるのは予想外かつ初めてのことだったらしく、驚愕の表情を浮かべて固まっていた—

まどか(あれ、わたし……)

—目を覚ましたわたしが見たのは、さやかちゃんが、まるで魔女のような恐ろしい姿に変化していく光景でした—

まどか「……えっ、嘘でしょ?
    さやかちゃんが、そんな……」

—まどかが意識を取り戻したことに気付いた私は、動揺していた気持ちをすぐに切り替え、
 まどかを守る為に拳銃を構え直した—

—同じく、巴さんも気持ちを切り替えたようで、身に着けていた腕輪を槍状に変形させると、“目の前の化け物”に向けて構えた—

—そして、巴さんが槍を構えて攻撃を開始しようとしたその時、まどかが私達の前に立ちはだかった—

マミ「鹿目さん!?」

まどか「お願いします、さやかちゃんを殺さないで下さい!」

マミ「……鹿目さん。
   あなたの辛い気持ちは分かるわ。
   でもね……、美樹さんは、もう……」

まどか「でっ、でも……」

—そしてまどかは、すがるように私の方を見た—

ほむら(テレパシー:巴さん、ここは一旦退きましょう)

マミ(テレパシー:暁美さん、何を言っているの?
   魔女を放っておくというのがどういうことか、あなたなら分からないはずは無いでしょう?)

ほむら(テレパシー:もちろん、分かってます。
    でも、この子の性格を考えると、目の前で親友が殺される光景を見てしまえば、それが原因でキュゥべえとの契約を考えてしまうかもしれません。
ですから……)

マミ(テレパシー:……そうね、分かったわ。
とりあえず、一旦私の家に行きましょうか)

—それから、巴さんの家に向かった私達は、今回の件について駄目元でインキュベーターに聞いてみることにしていた—

マミ「……キュゥべえ。
   美樹さんは、どうして魔女になったの?」

キュゥべえ「そうか。
      まずは、そこから訂正しなくてはいけないね。
      正確に言うと美樹さやかが変化したのは、魔女ではないんだ」

ほむら「あれが魔女でないというのなら、一体なんだというの?」

キュゥべえ「そうだね……。
      あれは、別の街で“魔女モドキ”と呼ばれていた存在に近いと言えるんじゃないかな」

ほむら「……魔女、もどき?」

とりあえず、今日はここまで。

次回はまた土日のどちらかで投下する予定です。

乙っす
段々核心に迫ってきたのかな?


まさかかずマギの設定が絡んでくるとは

あまり書き溜め出来なかったのでまた投下分は少しだけになりますが、再開します。

>>231
現時点では全体の半分ぐらいですが、後半では……。

>>232
かずみ☆マギカの要素をどこまで絡めるのかについてはまだ秘密にしておきますが、外伝系の作品を知らないという方にも出来るだけ分かりやすいようにはしていきたいと思っています。

マミ「……その、魔女モドキは、魔女とは違うのよね?」

キュゥべえ「うん、その通りだよ」

マミ「それなら、魔女モドキは一体どういう存在なの?
   魔女との違いを、“詳しく”教えなさい」

—“魔女もどき”という、これまでに全く聞いたことの無い単語が出てきて戸惑っていた私だったが、同じく初めて聞いたらしい巴さんがインキュベーターに問いただそうとしているのを見て、再び気持ちを切りかえた—

キュゥべえ「魔女モドキはね、イーブルナッツと呼ばれているグリーフシードに良く似た物を契約していない普通の人間に埋め込むことで誕生する、まさに、魔女の模倣品というべき存在だ」

ほむら(イーブルナッツ?)

—再び聞いたことの無い単語が出てきた為、私は思わず顔をしかめていた—

マミ「イーブルナッツというのは何?」

キュゥべえ「イーブルナッツは、魔法によって魔女の力、すなわちグリーフシードを模倣して作られた物で、見た目もグリーフシードに良く似ている。
      ただ、グリーフシードに似ているとは言っても、ソウルジェムの浄化能力は持っていないんだ。
      あくまでも、ただの模倣品でしかないからね。
      それどころか、魔法少女に使った場合は魔女化を促進させる効果がある」

マミ「!」

—その時、突然巴さんが表情を変え、心配そうに私の顔を見た—

ほむら「巴さん、どうしたんですか?」

マミ「いえ、その……。
   暁美さん、大丈夫?」

ほむら「ええ、別に私は大丈夫ですけど……」

—そう言った後、私は巴さんが急に私のことを心配始めた理由に気がついた—

ほむら(そういえば、“今回の巴さん”には私が魔女の正体について知っていることをまだ教えて無かったんだった……。
    “私”の方が真実を知らされて心配されるなんて、何だか変な感じ……)

ほむら「巴さん」

マミ「なぁに、暁美さん?」

ほむら「……私は、どんな“真実”を聞いても受け入れる覚悟があります。
    ですから、私の事は気にしないで下さい」

マミ「……ええ。
   分かったわ、暁美さん」

キュゥべえ「説明を続けさせてもらってもいいかい?」

マミ「ええ、そうしてちょうだい」

キュゥべえ「魔女モドキには、他にも魔女と違う点が沢山ある。
      例えば、普通の人の姿に戻って、擬似魔女形態の姿と使い分けて行動出来る者もいる。
      それと、本物の魔女と違ってソウルジェムで探知することは出来ないんだ」

ほむら「何か、弱点のようなものはあるの?」

キュゥべえ「特に弱点と呼べるものは無いけど、本物の魔女と同じように攻撃を加えてある程度のダメージを与えることによって倒すことが出来るはずだよ」

マミ「……それで、倒した場合、魔女モドキはどうなるのかしら?」

キュゥべえ「魔女モドキを倒せば、その素になっていた人間とイーブルナッツが分離される」

マミ「……つまり、その人は死んでしまうということね」

キュゥべえ「いや、必ずしもそうなるわけではないよ。
      与えたダメージの程度にもよると思うけど、通常は生きたまま元の状態に戻ることがほとんどだよ」

マミ・ほむら「えっ?」

マミ「……それじゃあ、美樹さんを助けることが出来るの?」

キュゥべえ「あくまでも、今まで僕が話していたのは以前に“ある街で遭遇したことのある魔女モドキ”についての話だ。
      確かに、今回美樹さやかが変化したのはその時の魔女モドキに似ていると思うけど、全く同質のものであるとは言いきれないよ」

マミ「それでも……。
   まだ、助けられる可能性が少しでも残っているなら……。
   それだけで、十分よ」

ほむら「……」

キュゥべえ「他に、何か聞いておきたいことはあるかい?」

マミ「いいえ、別にもう無いわ」

キュゥべえ「それなら、僕はこれでもう失礼させてもらうとするよ。
      後は、君達の好きにするといい」

マミ「ええ、そうさせていただくわ」

マミ「それじゃあ、これから美樹さんを助ける為の計画を立てましょうか」

ほむら「はい」

マミ「それにしても、美樹さんが魔女になってなくて良かったわ」

ほむら「……そうですね。
    助かる可能性があると分かればまど……鹿目さんも安心してくれるはずでしょうし」

マミ「そういえば、鹿目さんがなかなか戻ってこないわねぇ……。   
   大丈夫かしら……?
   !」

ほむら「……まさか!」

—私は、まどかがいるはずのトイレの方に向かった—

ほむら「鹿目さん?」

—私はトイレの扉を何度もノックしたが、全く返事が無かった—

ほむら「……鹿目さん、開けるわよ?」

—そして、私がノブを回すと鍵は掛かってなくて、さらに思い切って扉を開けてみると、やはりまどかはいなかった—

ほむら(遅かった……)

マミ「暁美さん、鹿目さんは—」

ほむら「巴さん、出来るだけすぐにここを出てまどかを追いかけましょう!」

とりあえず、ここまでです。

出来れば続きは今日中に投下したいと思っていますが、間に合わなかった場合はまた週末になります。

再開します。

—わたしは、トイレに行くふりをしてこっそりマミさんのお家から出ると、さやかちゃんを探す為に走っていました—

まどか(ほむらちゃんとマミさん、二人ともさやかちゃんのことを諦めようとしてた……。
    だったら、わたしが何とかしなくちゃ!)

まどか(でも、どうしよう……。
    二人に黙って出てきちゃったけど、さやかちゃんがどこにいるのか全然分からないや……)

—わたしがどこに行こうか迷って立ち止まっていると、キュゥべえが近付いて来ました—

キュゥべえ「やぁ、まどか」

まどか「キュゥべえ……。
    ……さやかちゃんがどこにいるか、心当たりは無いよね?」

キュゥべえ「君にはまだ説明してなかったけど、実はさやかが変化したのは魔女モドキと言って、普通の魔女とは異なる存在なんだ。
      だから、申し訳ないけど僕達の力では居場所を正確に検知することは出来ないんだ」

まどか「そうなんだ……」

キュゥべえ「ただ、一つだけ言えるのは、魔女モドキは魔女に比べると格段に知性が残っているから、魔女よりも行動目的もはっきりとしていることが多くて、行動のパターンにも何らかの規則性のようなものが見られることがある。
      そして、大体のケースでは、魔女モドキになる前に執着していた人や物などを探して行動することが多い。
      だから、さやかが以前から執着していたものが何であったのかを知っているなら、次にどこへ向かおうとするのかについては容易に推測出来るんじゃないかな」

まどか「あの……、ごめん、キュゥべえ。
    執着って、どういう意味なんだっけ?」

キュゥべえ「執着とは、人が何か一つのことに心をとらわれて、そこから離れられないことだと言われている。
      だから、今のケースに照らし合わせて簡単に説明し直すとすれば、さやかが心から欲していたものが何なのかが分かれば、さやかの行きそうな場所も分かるかもしれないということだよ」

まどか(さやかちゃんが、本当に欲しいもの……)

恭介(志筑さん、どこに行っちゃったんだろう……?)

—志筑さんを追いかけていた僕は、病み上がりとは言え、情けないことに追いつく事が出来ず見失ってしまっていた—

恭介(どうすればいいかな……?
   あっ、あそこにいるのは……)

—そして僕は、凄く急いだ様子で走っている鹿目さんを見つけた—

恭介「鹿目さーん!」

まどか「かっ、上条君!?」

恭介「鹿目さん、ちょうどいいタイミングで会ったね。
   実は、志筑さんが—」

まどか「そうだっ!
    上条君、わたしと一緒に来て!!
    さやかちゃんが、大変なの!!!」

恭介「ああ……、ちょっと、鹿目さん!?」

キュゥべえ(テレパシー:まどか。
            もしかして、上条恭介をさやかのところに連れていくつもりなのかい?)

まどか(テレパシー:……うん、そうだよ)

キュゥべえ(テレパシー:でも、彼は一般人じゃないか。
            危険なところに連れて行って、何かあったら君はどうするつもりなんだい?)

まどか(……大丈夫。
    もしもの時は、わたしが……)

今日はここまでです。

最近の投下分では、ウルトラ要素があまり無くてすみません(一応、理由はあるのですが)。

なお、続きはまた週末に投下します。


まどかが突っ走ってる・・・・・・

少しだけ続きが出来たので、これから投下します。

>>249
服装は違いますが、>>243はOP(コネクト)で走っているシーンの再現的な感じで書きました。

—そしてわたしは、上条君と一緒にCD屋さんの近くまで来ていました—

恭介「ここは……、さやかがよく来てるCDショップだよね?
   でも、今日は定休日で店が閉まっているみたいだけど……。
   鹿目さんは、どうしてこんなところに?」

まどか「ごめん、後でちゃんと説明するから。
    上条君は、ここで少し待ってて」

恭介「あっ、鹿目さんっ!」

—それから少し経って、わたしは“元の姿のさやかちゃん”がお店の近くに近付いて来るのを見付けました—

まどか「さやかちゃーん!」

さやか「……まどか」

まどか「さやかちゃん!
    ……元に、戻ったんだよね?」

さやか「……うん、そうだよ」

まどか「よ、良かったぁ〜!
    あっ、そうだ。
    さやかちゃん、ちょっとここで待っててね」

さやか「わかった」

まどか「……上条君、ちょっとこっちに来て」

恭介「鹿目さん、こんどは何—」

—わたしは、上条君を連れてさやかちゃんのところに戻ろうとしました—

まどか「さやかちゃ—
    !」

恭介「さ、さやか……?
   !」

さやか「きょ、きょうすけ……!?」

—そしてわたしと上条君は、半分だけお化けみたいになっているさやかちゃんを見てしまいました—

まどか「そ、そんな……。
    さや—」

恭介「く、来るな!」

さやか「えっ?」

恭介「こっちへ来るんじゃない、化け物!」

さやか「ば、ばけもの……」

恭介「お前は誰だ!?
   お前はさやかなんかじゃない!
   う、うわああああああああああああああ!!」

まどか「かっ、上条君、違うの!
    さ、さやかちゃんは—」

恭介「鹿目さん、君はこいつに騙されてるんだ!
   早くここから逃げよう!!」

まどか「上条君、わたしの話を聞いてってってば!」

さやか「……そうだよ」

まどか「えっ?」

さやか「そうだ、あたしはもうばけものなんだ。
    だから……」

—さやかちゃんはそう言うと、手を伸ばして上条君の体を掴みました—

まどか「さ、さやかちゃん!?」

恭介「やめろっ!
   離せっ、この化け物!!」

さやか「……あたしはばけものなんだから、もうなにをしたってかんけいないよね」

—そして、さやかちゃんは上条君を掴んだまま、今度は完全に魔女のような姿になっていました—

まどか(どうしよう……。
    このままじゃ、上条君が……)

キュゥべえ「やはり、こうなってしまったか」

まどか「キュゥべえ……!」

キュゥべえ「でも、心配することはないよ。
      まどか、君ならこの事態を簡単に解決することが出来る。
      そのための力が、君には備わっているんだから」

まどか「……そうだよね。
    さやかちゃんの為なら、わたし—」

「それには及ばないわ」

今日の分はここまでです。

続きはまた明日の同じ頃に投下する予定です。

再開します。

—私達は、もう少しでインキュベーターと契約する寸前だったまどかを何とか見つけ、ギリギリのところで阻止することが出来た—

ほむら(間に合った……)

まどか「ほむらちゃん……、マミさん!」

マミ「間一髪、ってところね」

まどか「……あの、マミさん。
    わたし……」

マミ「無茶し過ぎ、って怒りたいところだけど……、今はやめておくわね。
   暁美さん、準備はいい?」

ほむら「ええ、いつでも大丈夫です」

—私は、盾の中から狙撃銃【レミントンM24】を取り出しながら答えた—

まどか「!」

マミ「……大丈夫よ、鹿目さん。
   私達は、美樹さんを見捨てようなんて思ってないわ。
   むしろ、助けるつもりでここに来たの。
   そうよね、暁美さん?」

ほむら「ええ、その通りよ」

まどか「えっ、そうなんですか?
    でも、どうやって……」

ほむら「今、それを詳しく説明している時間は無いわ。
    あなたは黙って見ていて」

まどか「……」

マミ「暁美さん、そんな言い方は無いでしょう?
   ごめんね、鹿目さん」

まどか「いえ、わたし……」

マミ「とにかく、私達に任せてちょうだい!」

—巴さんはそれだけ言うと、魔女もどきの方へ向かっていった—

まどか「あっ、マミさん!
    もう行っちゃった……」

 十数分前

—巴さんの家を出た私は、ソウルジェムを出して反応が無いかを確かめていた—

ほむら(一応駄目元でやってみたけど……。
    インキュベーターの言ってた通り、ソウルジェムで魔女もどきを探知することはやっぱり出来ないのね……)

マミ「暁美さん、私に任せて!」

—巴さんはそう言うと、目を閉じて何らかの力を使い、魔女もどきの反応を探っているようだった—

マミ「こっちよ、暁美さん!」

ほむら「え、ええ……。
    それなら、早くそちらへ向かいましょう」

ほむら「……巴さん」

マミ「なぁに、暁美さん?」

ほむら「さっきのは……。
    どうやって、美樹さやかの居場所を見つけたんですか?」

マミ「私は、美樹さんのマイナスエネルギーを感知したの」

ほむら「マイナスエネルギー?」

マミ「マイナスエネルギーというのは、人の心の闇から生まれる負のエネルギーのことよ。
   ちなみに、魔女の力もこれと似たものから出来ている。
   だからね、私が普段魔女を探す時には、マイナスエネルギーの反応と近いものを探って見つけているの。
   でも、今回の場合は普通の魔女のものとは違う反応だったから、ちょっと時間がかかっちゃったけどね」

ほむら「なるほど……。
    それじゃあ、その力を使って美樹さやかの体内にあるイーブルナッツの反応を探ることは出来そうですか?」

マミ「ええ、おそらくそれも出来ると思うわ」

ほむら「それなら、好都合です。
    ……キュゥべえから聞いた情報が確かなら、イーブルナッツだけを上手く取り除くことが出来れば、美樹さやかを元に戻せる可能性が高い。
    ですから、巴さんがイーブルナッツを見つけてくれさえすれば、その後で私が取り除きます」

マミ「ええ、それがいいと思うわ。
   それじゃあ、私は派手に動いて美樹さんの注意を引きつけておくわね」

ほむら「お願いします」

—そして、巴さんが魔女もどきに近づいたのを確認した私は、魔女もどきに向けて狙撃銃を構えた—

まどか「待って、ほむらちゃん!
    さやかちゃんの中には、上条君がいるの!!」

ほむら「……どういうこと?」

まどか「あのね……。
    さっき、わたしが……」

ほむら「……ごめんなさい、後で聞くわ。
    巴さん、イーブルナッツの位置は?」

マミ「それがね、イーブルナッツのある位置は……、美樹さんの胸のあたりなの。
   そして、上条君がいるのもほとんど同じところで、少ししか距離が離れていない。
   つまり、もしも狙いがずれてしまったら……」

ほむら「……大丈夫、私は外しません。
    巴さん、お願いします」

マミ「……ええ、分かったわ」

—そして私は、巴さんからのテレパシーを受けて視覚情報を共有し、イーブルナッツのある場所を特定した—

ほむら(よし、これで……)

—でもその時、それまでほとんど動かずに大人しくしていた魔女もどきが、急に暴れ出した—

短いですが、今日はここまで。

続きはまた明日中に投下する予定です。

まずは少しだけですが、投下します。

恭介(あれ、僕は……?)

さやか「目が、覚めたんだね」

恭介「……さやか、かい?」

さやか「そうだよ、恭介」

恭介「さやか、ここは一体どこなんだい……?」

さやか「別に、恭介は何も気にしなくていいんだよ。
    ここなら、誰にも邪魔されることなんて無いんだから……」

恭介「……さやか、君は—」

さやか「ごめん、ちょっと邪魔が入っちゃったみたい。
    待ってて、すぐに片付けちゃってくるから!」

恭介「あっ、さやか!」

—巴さんに気付いた魔女もどきは、右手に持っている大きな剣を振りおろした—

マミ「くっ!」

—巴さんは腕輪を盾状に変形させてその剣撃を何とか受け止めたが、そのまま魔女もどきは、ただひたすらに激しく剣を振り下ろし続けていた—

さやか「あははは、しねっ!
    おまえなんか、しんじゃえ!」

—どうやら、美樹さやかの魔女もどきは巴さんに恨みがあるらしく、それが原因で暴れ出したようだった—

ほむら(……大丈夫、別に焦る必要は無い。
    私の魔法を使えば、時間は—)

さやか「きょうすけは……、おまえになんかわたさない!」

マミ「美樹さん、何を言って—
   !
   もしかして……。
   美樹さん、あれは違うの!」

さやか「しねぇー!」

マミ「きゃあっ!」

まどか「マミさんっ!」

ほむら「まどか、そっちへ行っちゃ駄目っ!」

—まどかは、魔女もどきの攻撃をまともに食らって倒れた巴さんの元へ駆け寄り、巴さんをかばうように魔女もどきの前に立ちはだかった—

まどか「さやかちゃん、もう止めてっ!」

さやか「うるさい、じゃまをするな!」

—さらに魔女もどきは、まどかに向かって攻撃してきた—

まどか「!」

まどか(あれっ……。
    わたし、何ともない……?)

ほむら「ぐっ……、ううっ!」

まどか「!
    ほ、ほむらちゃん!?
    どうして……」

—ほむらちゃんは、わたしをかばったことで大怪我を負ってしまったようでした—

ほむら「……まどか。
    怪我は、無いみたいね……」

まどか「何言ってるの、ほむらちゃん?
    早く手当てしないと……」

ほむら「……私は大丈夫よ。
    それよりも、巴さんが……」

まどか「えっ!?
    さやかちゃん、駄目っ!」

すみませんが、一旦中断します。

この続きは深夜の0時〜1時頃に投下する予定です。

また再開します。

—そして、魔女もどきが巴さんに止めを刺そうと手を近づけた瞬間、盾状になっていた腕輪が再び変形し始め、今度は光の鎖となって魔女もどきの体を拘束した—

ほむら(……あの腕輪、とても便利なのね。
    私も、ちょっと欲しいかも……)

—そして、魔女もどきが拘束されている今が攻撃のチャンスと判断した私は、再び狙撃銃を構えようとした—

ほむら「痛っ!」

—しかし私の腕は、魔女もどきから受けた攻撃によって使い物にならなくなっていた—

ほむら(私の魔力では、これほどの傷をすぐに治すことは出来ない……。
    こんな状態では時間停止能力を使ったとしても、精密射撃を行うのは難しい……。
    でも、一体どうすればいいのかしら……?)

まどか「……ほむらちゃん、大丈夫?」

ほむら「ええ、私は—
    !」

まどか「どうしたの、ほむらちゃん?」

—その時、私は“ある考え”を思いついていた—

ほむら「……鹿目さん。
    あなたに協力して欲しいことがあるの」

まどか「ほむらちゃん……。
    うん、わたしに出来ることなら何でも言って!」

ほむら「まずは、状況を整理しておくわね。
    美樹さやかがああなってしまったのは、彼女の体内にあるイーブルナッツという物質のせいなの。
    つまり、それを取り除くことが出来れけば、美樹さやかを元に戻せるかもしれない」

まどか「えっ、ほんとに?」

ほむら「あくまでも可能性があるというだけで、100%とは言えないのだけど」

まどか「それでも……。
    さやかちゃんを元に戻せる可能性があるなら、やってみるべきだとわたしも思う」

ほむら「……そうね。
    ただ、残念ながら私の腕は今、まともに使えそうに無いの。
    だから……、言葉通り、“あなたの手”を貸して欲しい」

まどか「えっ?
    それってつまり、わたしがさやかちゃんを—」

ほむら「ええ、おそらくあなたの想像している通りで間違いないわ。
    それに、あなたも美樹さやかのことを助けたいのでしょう?」

まどか「うん」

ほむら「だったら、協力してくれるわね?」

まどか「でっ、でも……。
    わたし、銃とかって使ったこと無いし……」

ほむら「それについては、心配しなくてもいいわ」

—そして私は、腕の痛みをこらえて何とか盾に手を入れると、中から“ある武器”を出した—

まどか「それは……。
    弓と、矢?」

ほむら「ええ、そうよ。
    あなたなら、こちらの方が扱いやすいと思って」

まどか「確かに、銃よりは使いやすいと思うけど……。
    でも、本当にわたしなんかが出来るのかな……?」

ほむら「お願い。
    今、美樹さやかを救うことが出来るのは……。
    鹿目さん、あなただけなの」

まどか「わたしが、さやかちゃんを……」

ほむら「それに……。
    私は、あなたのことを信じてる。
    だから、あなたも自分のことを信じて」

まどか「ほむらちゃん……。
    ……うん、分かった。
    わたし、やってみる!」

—そして、まどかが弓を構えたのを確認した私は、まどかの手に軽く触れて、時間停止の魔法を作動させた—

まどか「これは……!
    ほむらちゃん、どうなってるの?」

ほむら「心配しないで。
    これは、私の魔法の力よ」

まどか「えっ、凄ーい……」

ほむら「私の手を離したら、貴女の時間も止まってしまうから気をつけて」

まどか「うん、分かった……」

ほむら「……大丈夫よ、“まどか”。
    あなたなら、絶対に出来るわ」

まどか「ほむらちゃん……」

—そして、私はゆっくりと狙いを定めると、まどかに矢を放つタイミングを指示した—

ほむら「今よ!」

まどか「えいっ!」

—そして、まどかが矢を放ったのとほぼ同時に、私は時間停止の魔法を解除した—

とりあえず、ここまでです。

なお、今日中にもう一度続きを投下する予定です。

帰ってきたニュー新マンジャック兄さんの本体をマミさんが使ってる!!

再開します。

>>280
最近の投下分ではブレスレットしか活躍させられなくてすみません……。

さやか(何だろう、この暖かい感じは……)

—あたしは、自分の胸にとても暖かい、光のような何かが注ぎ込まれているのを感じていた—

まどか「さやかちゃん?」

さやか(まどか?)

—そして、まどかの声を聞いたあたしは、とりあえず起きてみることにした—

マミ「……美樹さん!」

さやか(マミさん……?)

まどか「さやかちゃんっ!」

—まどかはあたしの名前をもう一度叫ぶと、いきなり抱きついて来た—

さやか「……あの、まどか?
    どうしたのさ、急に……」

ほむら「……あなた、何も覚えてないのね。
    でも、その方がいいのかしら……」

さやか「えっ?
    転校生、どういうこと—」

恭介「さやか……?」

さやか「きょ、恭介……!?」

—恭介を見た瞬間、あたしは自分がやってしまったことを全て思い出していた—

さやか「あ、あたし……」

—そしてあたしは、思わずそこから逃げ出してしまっていた—

恭介「さやか、待ってくれ!」

恭介「鹿目さんに、暁美さん。
   それと、巴先輩。
   この状況は、一体どうなってるんですか?
   説明して下さい!」

まどか「いや、その……」

ほむら「……」

マミ「……上条君。
   詳しい事情は、後でちゃんと話すわ。
   だから、今は美樹さんを追いかけてあげて」

恭介「えっ?」

マミ「お願い、上条君」

恭介「……分かりました。
   さやかを連れ戻してからもう一度話を聞きに来ます」

まどか「あっ、私も……」

マミ「鹿目さん。
   ここは……、上条君に任せておきましょう」

まどか「えっ、でも……」

マミ「ううーん、そうねぇ……。
   私と暁美さんは今、二人とも怪我人でしょ?」

まどか「えっ、はい……?」

マミ「だから、ちょっと誰かに頼りたいかなぁー、なんて」

まどか「あっ……、分かりました!
    マミさん、何かして欲しいことはありますか?」

マミ「ありがとう。
   でも、先に暁美さんを治療したいから、ちょっと手伝ってくれるかしら?」

まどか「はい!」

ほむら「……巴さん。
    私よりも、自分の怪我を先に治して下さい」

マミ「私の怪我はそんなに大したこと無いから、あなたは気を使わなくていいのよ」

ほむら「でも……」

マミ「いいからいいから。
   とりあえず、怪我を見せてくれる?」

ほむら「あっ、はい……」

恭介「さやか!」

さやか「恭介……。
    ……どうして、あたしなんかを追いかけてくるのさ?」

恭介「さやかに、聞いておきたいことがあるからだよ。
   それに、巴先輩にも追いかけてくれって言われたし……」

さやか「……マミさんに?」

恭介「うん、そうだよ」

さやか「そっか、そうなんだ……」

恭介「さやか。
   それが、どうかしたのかい?」

さやか「……別に、何でもないよ。
    それより、あたしに聞きたいことって何なの?」

恭介「ああ、そうだね。
   さやか、君は—」

仁美「お二人とも、見つけましたわ」

さやか「ひ、仁美!?」

恭介「あっ、志筑さん。
   そういえば、君を探してたんだよ。
   今まで、どこにいたんだい?」

仁美「私がどこにいたかなんて、気にする必要はありませんわ。
   それより、“美樹”さん?」

さやか(えっ?
    やっぱり、さっきのことで怒ってるのかな……?)

さやか「……ひ、仁美」

仁美「あら、何でしょう?」

さやか「さっきのことで、怒ってるんだよね?
    ごめん!
    あたしが、どうかしてた……」

仁美「ふふっ。
   “美樹”さん、別にあなたは何も気にしなくていいんですのよ。
   というより、これからは何も考えられなくなる、と言った方が正しいのかしら……?」

恭介「……志筑さん?」

さやか「……あの、仁美?
    一体、どうしちゃったの?」

仁美「どうしたとは、何がでしょう?」

さやか「その……。
    あまり言いたくないんだけどさ、何か変だよ?」

仁美「別に、私は何もおかしくなんてありませんわ。
   むしろ、とってもいい気分ですのよ。
   だって私、もう何も我慢しなくていいんですもの」

さやか(えっ、この冷たくて嫌な感じは……。
    まさか!)

—そして、仁美はあたしの時と同じように、あたし達の目の前で魔女のような恐ろしい姿に変化していった—

今日はここまで、と言いたいところですが、一文だけ抜け落ちていた箇所があるので、最後にそこの分だけ投下して今回は終わります。

なお、この続きは明日か明後日に再開予定です。

>>282の前の内容です

——————————————————————————————

まどか「—マミさん。
    マミさんっ!」

マミ「……鹿目さん?
   私……、あっ!
   美樹さんは!?」

ほむら「巴さん」

マミ「暁美さん、その怪我はどうしたの!?
   今すぐ私の力で—」

ほむら「私の怪我の治癒は、後回しでも大丈夫です。
    それより、あの二人を先にお願いします」

マミ「……ええ、分かったわ。
   上条君は……、特に怪我は無いみたいね。
   美樹さんも、この程度の怪我ならすぐに治せるわ」

まどか「よ、良かったぁ〜!」

——————————————————————————————

少し遅くなりましたが、再開します。

さやか「ひっ、仁美!?」

恭介(……これは、さっきのさやかの時と同じ!?
   ということは、あれは夢なんかじゃなかったのか……)

仁美「さぁ、上条君。
   私と一緒に、素晴らしい世界へ旅に出ましょう!」

恭介「……嫌だ」

仁美「何とおっしゃいましたの?」

恭介「嫌だって言ってるんだ!
   そうか、分かったぞ……。
   お前達は、仲間なんだな!」

さやか「きょ、恭介……。
    何を言ってるの……?」

恭介「もう、お前達なんかには騙されないぞ!
   この、化け物め!!」

さやか「そ、そんな……」

仁美「……そうですか。
   上条君は、私を拒むんですのね……」

さやか「……仁美?」

仁美「手に入らないというのなら、いっそ……」

恭介「う、うわあああ!!!!!」

—でもその時、僕をかばうように誰かが化け物の前に立ちはだかった—

恭介「お、お前……。
   一体、何のつもりなんだ!?」

—僕の目の前には、“さやか”が立っていた—

さやか「……仁美、ちょっとでいいからあたしの話を聞いてよ。
    誰かを殺したいっていうんなら、あたしにしなよ。
    でも、恭介だけは見逃してあげて」

恭介「!」

仁美「……」

恭介(もしかして、君は……。
   本当に、さやかなのか……?)

さやか「……あたしはさ、あんたに恨まれちゃっても仕方ない事をしたと思う。
    ううん、仁美だけじゃないんだ。
    大切に思ってたはずの人達みんなに、酷い事をしちゃったんだよね。
    だから正直、もうみんなに会わせる顔が無いかなって思っちゃうし、もういっそのこと、ここで死んじゃった方が—」

—でも、あたしが自分の死を覚悟したその時、恭介があたしの前に立っていた—

さやか「……きょ、恭介っ!?
    なっ、何してんのさ!?」

恭介「……さやかは、殺さないでくれっ!」

仁美「……」

さやか「そ、そんなことしないでよ!
    あたしなんて、もう死んじゃった方が—」

恭介「……さやか。
   確かに、さやかは悪い事をしたのかもしれない。
   でも、みんなに謝りもせずに逃げるなんて駄目だよ。
   それに、これ以上自分のことを悪く言うのはもうやめてくれ。
   それと……、僕はさやかに酷い事を言ってしまったよね。
   その事については、本当に悪いと思ってる。
   ごめん!」

さやか「恭介……」

中途半端なところですみませんが、続きはまた明日に投下します。

再開します。

—そして、あたし達が覚悟を決めたその時—

マミ(テレパシー:美樹さん、今すぐ右に避けて!)

さやか「……えっ、マミさん!?」

マミ(テレパシー:早く!)

さやか「は、はい!
    恭介っ!!」

恭介「えっ?」

—そして、あたしがマミさんの指示通りに動いてみると、いきなり飛んできた光る輪っかみたいなものが仁美の体に巻き付いて、動けないようにしていた—

マミ「お待たせっ!」

さやか「ま、マミさん……」

マミ「暁美さん、イーブルナッツの位置は志筑さんのお腹のところよ!」

ほむら「ええ、了解です」

さやか「マミさん!?
    まさか、仁美を……」

マミ「安心して、私達は志筑さんを死なせたりはしないわ。
   ……暁美さん、お願い!」

—そして、転校生が構えたスナイパーライフルから放たれた銃弾が仁美に直撃すると、仁美の体は元の姿に戻っていた—

さやか「仁美っ!」

仁美「……さやかさん?」

さやか「ごめん!」

仁美「……」

さやか「ごめん、ほんとにごめん!」

仁美「……何のことですの?」

さやか「えっ、仁美?」

仁美「さやかさんは、私に謝る必要なんてありませんわ。
   むしろ、謝らなきゃならないのは私の方です。
   ごめんなさい、さやかさん」

さやか「仁美……」

仁美「……上条君にも、ご迷惑を掛けてしまいましたわね。
ごめんなさい、上条君」

恭介「志筑さん……。
僕の方こそ、酷い事を言ってごめん」

仁美「上条君……」

—その後あたしは、一人ずつみんなに謝ることにした—

さやか「あの、みんな……。
    本当に、ごめんなさい!」

—そして、みんなに一通り謝った後—

さやか「……マミさん」

マミ「何かしら?
   美樹さん」

さやか「ちょっと、二人だけで話したいかなって」

マミ「ええ、分かったわ」

さやか「……マミさん。
    本当に、ごめんなさい!」

マミ「どうしたの、美樹さん?
   謝罪なら、さっきみんなの前でもしてくれたじゃない」

さやか「マミさんには特別酷い事をしちゃったし、もう一度謝りたかったんだ。
    それにさ、もう少しでマミさんを本当に殺しちゃうところだったし……」

マミ「……それは、悪い魔力の影響を受けてしちゃったことなんだし、仕方ないわよ。
   もう充分謝ったんだし、みんな無事で済んだんだからいいじゃない。
   だから、この話は終わりにしましょう?」

さやか「いや、でも……」

マミ「ねっ?」

さやか「……はい。
    ただ……、その、もう一個だけマミさんに言っておきたいことがあって……」

マミ「あら、なぁに?」

さやか「……恭介のこと、よろしくお願いします」

マミ「えっ?」

マミ「あの、美樹さん?
   それはどういう意味なのかしら?」

さやか「……実はあたし、見ちゃったんです。
    マミさんが、恭介とキスしてるところ」

マミ「やっぱり、見てたんだ……。
   でもね、美樹さん—」

さやか「あたし、相手がマミさんなら諦められます。
    まぁ、あんなに迷惑かけちゃった後で言っても説得力無いかもしれないけど。
    でも、どっちにしろあたしにはもうそんな資格—」

マミ「美樹さん!」

さやか「あっ、はい!」

マミ「美樹さん、勘違いさせちゃったことについては謝るわ。
   ……でもね、私と上条君はそういう関係じゃないの」

さやか「えっ?
    だって—」

マミ「確かに、私は上条君に、その、キスしちゃったけど……。
   あれは、そういうつもりでしたんじゃないの」

さやか「じゃ、じゃあ!
    どういうつもりでしたって言うの!?」

マミ「実は私、キスをした相手の記憶を消すことが出来るの」

さやか「えっ?」

マミ「それでね、あの時は、私が魔女と戦っているところを上条君が見てしまったの。
   でも、私は魔女や私達のことを知られるのは避けたかった。
   だから、上条君の記憶を消す為にキスをしたの」

さやか「……」

さやか「……そ、そんな。
    あたしに気を使ってるんじゃ—」

マミ「本当のことよ、美樹さん。
   信じて」

さやか「……分かった」

マミ「……でも、理由があったにしても、美樹さんの好きな人にキスをしちゃうなんて良くなかったよね。
   ごめんなさい、美樹さん」

さやか「……いや、あたし。
    恭介とはただの幼馴染だってば。
    だから、謝ら—」

マミ「美樹さん」

さやか「うっ、えっ?
    何、マミさん」

マミ「わたしは、本当のことを言ったわ。
   だから、あなたも本当のことを言って」

さやか「いや、その……」

マミ「上条君のこと、好きなんでしょう?」

さやか「……うん」

マミ「……だったら、彼に気持ちを伝えるべきよ」

さやか「えっ、でも……」

仁美「私のことなら、気にしなくてもいいんですのよ」

さやか「ひ、仁美?」

マミ「志筑さん?」

仁美「ごめんなさい、盗み聞きなんてはしたない真似をしてしまって。
   そのことについては、謝りますわ。
   でも……、一つだけ言わせて下さい。
   巴さんもおっしゃった通り、さやかさんは、上条君にちゃんと気持ちを伝えるべきですわ」

さやか「仁美……」

仁美「さやかさん。
   あなたが上条君をかばって、上条君がさやかさんをかばった時、私は気付いたんです。
   お二人の間には、確かな絆があることを。
   だから、私はきっぱりと諦めがつきましたわ!」

さやか「でも、仁美……」

仁美「ですから、私のことなんか気にしないで早く気持ちを伝えて来て下さい!」

さやか「えっ、あっ、仁美!」

さやか「ちょっと待って!」

仁美「……さやかさん、まだ決心がつかないのですか?」

さやか「いや、そうじゃなくて……。
    何て言うか、その……。
    ……ありがとう、仁美。
    それじゃあ、行って来るね!」

仁美「行きったようですわね……。
   それと……。
   暁美さんも、そろそろ出てきたらいかがでしょうか?」

マミ「えっ?」

ほむら「あっ……」

マミ「もう!
   暁美さんまで、私達の話を聞いてたの?
   そういうのは、関心しないわよ」

ほむら「……ごめんなさい、巴さん」

仁美「私からも、もう一度お詫び申し上げますわ。
   はしたない真似をしてしまって、申し訳ありません」

マミ「あっ、その……。
   分かってくれたのなら、もういいわ」


ほむら「……それより、巴さん。
    今、泣いてませんでした?」

マミ「えっ?
   何言ってるの、暁美さん。
   気のせいじゃないかしら?」

ほむら「えっ、でも……。
    !
    もしかして、巴さん……」

仁美「……暁美さん。
   それ以上は、いけませんわよ」

ほむら「えっ?」

マミ「……あの、志筑さん?」

仁美「何でしょうか?」

マミ「この後、お時間は空いてるかしら?
   もし良かったら、私の家でお茶会でもどうかと思って」

仁美「あの、私……」

マミ「忙しかったら、無理にとは言わないわ」

仁美「いえ、大丈夫ですわ」

マミ「本当に?」

仁美「ええ。
   ……今日くらいは、お稽古事を休んだって構いませんわ!」

マミ「ありがとう。
   それじゃあ二人とも、私の家に行きましょうか!」

ほむら「えっ?」

マミ「あら、暁美さん。
   何か用事でもあるの?」

ほむら「いや、その……。
    ええっと、鹿目さんも誘った方がいいんじゃないかと思って……」

マミ「あら、そうね……。
   私ったら、鹿目さんを数え忘れちゃうなんて……」

ほむら「それじゃあ私、鹿目さんを呼んできますね!」

今日中にキリのいいところまで進みたかったので、少し駆け足な感じで書いて投下したのですが、そのせいであまり推敲出来てないため、いつも以上に分かりにくい文章になってしまった、ような……。

その為、ここの部分は後で書き直すかもしれませんが、とりあえず今回までの分でさやか(魔女モドキ)編については終わりです。

最後に、次回は出来れば普段通りに週末あたりで投下したいと思っていますが、もしかしたら少し遅れるかもしれません。

前回までの投下分をもう一度読み返してみたところ、やっぱり描写が不足しているのと文章の繋ぎや内容そのものが雑なせいで、各キャラクターの心情の移り変わりや話の展開が分かり難いと改めて感じたので、少し補足的な説明をしてから続きを投下します。

マミさん:自分と同じ事故被害者ということにシンパシーを感じたのと、正義の味方としての在り方を肯定してくれたことで上条君に好感を抱いてしまいましたが、当然さやかの想い人であるということも知っていたので、自分に芽生えかけた想いを断ち切る意味も込めて上条君の自分と関わった時の記憶を敢えて全部消しました。

しかし、さやかの魔女モドキ戦ではそのことが裏目に出てしまい、動揺した瞬間にあっさりと倒されてしまいました。

そして、最後はさやかの背中を押しましたが、やっぱり少しだけ未練が残っていた為に思わず泣きかけていたところをほむらに指摘されて焦ってしまったものの、それを仁美がフォローしてくれたことに感謝してお茶会に誘った、というような状況です。

仁美:魔女モドキになってから時間があまり立ってなかったこともあって、さやかの時よりも比較的理性が残っており、お互いをかばいあう二人を見て、その間に自分の入る余地は無いとわずかに思い、正気に戻った後では、さやかに恭介を譲る決意を固めました。

また、女の勘でマミさんの気持ちにも何となく気付いた、という感じです。

さやか:魔女モドキ化した影響で隠していた本音をぶちまけてしまうことになりましたが、
正気に戻った後は自分の嫌な面を認めるのが嫌だったこともあって、恭介をかばって善人と思われたまま死んだ方がましと考えたものの、
恭介が自分をかばい返してくれたことや、マミさんが自分に殺されかけた後でも変わらずに助けてくれたことで少し考えを改め、何とか恭介への想いを絶ち切ろうとしてみましたが、
逆にマミさんと仁美が背中を押してくれたことによって、やっと本当の気持ちを恭介に伝える覚悟を決めた……、というところで今回の内容に続きます。

それでは、少しだけですが再開します。

まどか「あっ、ほむらちゃん!」

ほむら「鹿目さん。
巴さんからお茶会のお誘いがあったんだけど、あなたはこの後大丈夫?」

まどか「あっ、うん。
ちょっと遅い時間だけど、うちのパパとママならちゃんと連絡すれば大丈夫だと思う」

ほむら「そう。
    それなら、この先で巴さん達が待ってるから」

まどか「あれっ、ほむらちゃんは行かないの?」

ほむら「私は、まだちょっとやることがあるの。
    その用事を済ませてから行くつもりだから、鹿目さんは先に行ってて」

まどか「うん、分かった。
    それじゃあほむらちゃん、また後でね」

ほむら「ええ」

恭介「それじゃあ、そろそろ僕も帰ろうかな」

ほむら「待って、上条君」

恭介「何だい、暁美さん」

ほむら「美樹さんが、あなたに話したいことがあるみたいなの。
    だから、彼女が来るまでここで待っててあげて欲しい」

恭介「さやかが?
   うん、分かった」

さやか「……あの、恭介」

恭介「……さやか。
話したいことって何だい?」

さやか「えっと……、あのね、あたし……。
    あたしね……ずっと前から恭介のこと……。
    恭介のこと……、好きだったんだ」

恭介「!」

さやか「……ごめんね。
    迷惑なら、そう言ってくれていいよ。
    あたし、恭介には今日のことも含めて一杯迷惑かけちゃってるし、振られるのも覚悟した上だから……」

恭介「……ううん、迷惑なんかじゃないよ。
   というか、やっぱりそうだったんだ……」

さやか「……ええっ!?
    恭介、あたしの気持ちに気付いてたの?」

恭介「……正直に言うと、今日までは全然分かってなかったんだ。
   でもね、その……、さやかが今日、僕に向かってキスしたよね。
   あの時、やっと……」

さやか「いやっ、あれは忘れて!」

恭介「……大丈夫。
   巴さん達が説明してくれたから、もう分かってるよ。
   あれはさやかが悪いものの影響を受けてた時のことだったんだろ?
   それに、僕もさやかに酷い事を言ってしまった。
   だから、その時のことはお互い気にしないことにしよう?」

さやか「う、うん……」

恭介「ただ、そのおかげでさやかの気持ちにやっと気付くことが出来た」

さやか「……」

恭介「……それに、さやかにはすっごく感謝してるんだ。
   今までも、一番苦しいときに僕の支えになってくれてたし……。
   今回も、必死で僕をかばおうとしてくれたよね?
   あの時、分かったんだ。
   僕はさやかに、どれほど大切に思われてるか……。
僕もさやかのこと、大切に思ってるよ。
   だから、君の想いに僕も応えたい」

さやか「恭介……」

さやか「ありがとう……。
    あたし……、あたし、告白するだけで一杯一杯で……。
    嬉し過ぎて……、もう、どうしたらいいのか分からないや……」

恭介「僕も、今まで自分のことだけで一杯一杯で……。
   さやかに、何もしてあげられなかった。
   これからはバイオリンの練習で忙しくなることも多くなっちゃうけど、それ以外はなるべく二人で過ごそう。
   二人の時間を大切にしようね」

さやか「うん。
    恭介、これからは毎日一緒に登校しようね!」

恭介「ああ、もちろんだよ」

さやか「えっと、それからね—」

ほむら(……よかった、うまくいったみたいね。
    これで、美樹さやかの運命は変えられたわ……。
    後は、“ワルプルギスの夜”を倒すだけ。
    でも、“今回の巴さん”と一緒なら、きっと倒せるはず。
    だから、今度こそまどかのことを救ってみせる!)

キュゥべえ「残念だけど、魔女モドキを使った作戦は失敗だったようだね」

キュゥべえ「……それで、次はどうするつもりだい?」

キュゥベえ「なるほど、確かにそれはいい考えかもしれないね」

これで、今度こそさやか編については終わりです。

それと一区切りついたので、このSSで没にした要素についてちょっと書きます。

実は当初、この章では80先生を登場させる予定でした。

中学校が舞台で魔女と怪獣の発生原因が似ている等、設定的に通ずるものがありますし、恋愛絡みのエピソードということもあって是非とも出したかったのですが、既に他の方が書いた先行作品のSSで同じ組み合わせ(まどかと80)が出ていることや、この段階で誰かを救援に来させるとこれ以降の展開に不都合が生じると思ったこともあり、止めました。

その結果、ここでのウルトラ要素はほとんどブレスレットだけになってしまいましたが……。

なお、次回以降の内容についてですが、お話としては起承転結の転に当たる部分になるので、ワルプルギスの夜に向けて今までよりも少しダークな展開にしていきます(投下予定は明日の夜か土曜日のどちらかです)。

乙っす。
80先生とのクロスは、コメディ色が強かった気がするのでシリアスなのも見てみたかった気が。
でもキャラが増えすぎても描写がややこしくなるだろうし、判断の難しいところやね。

少しだけ投下します。

>>331
現状の6人+1匹でもちゃんと扱い切れてなかった感があるので、せっかく80先生を出したとしても、持て余してしまってた可能性が高いかもしれません……。

 マミの家

マミ「はい、暁美さん」

ほむら「ありがとうございます、巴さん」

—巴さんからグリーフシードを受け取った私は、自分のソウルジェムを浄化していた—

ほむら「終わりました」

—そして私は、使い終わったグリーフシードを再び巴さんに返した—

マミ「……」

ほむら「……巴さん?」

マミ「あっ、ごめんね」

ほむら「……」

ほむら「……巴さん。
    私が使い終わった後のグリーフシードは、どうやって処理してるんですか?」

マミ「!
   ……どうして、そのことが気になったのかしら?」

ほむら「前から、聞こうとは思ってたんです。
    ちなみに、巴さんと会う前の私は、それをキュゥべえに渡して処理させていました。
    おそらく、他の魔法少女達も普通はそうしているはずです。
    でも、この前キュゥべえに聞いてみたら、『僕は、巴マミからはグリーフシードを受け取っていない』って言ってました。
    ということは、巴さんが自分で処理しているはずですよね?
    穢れを吸った後の危険なグリーフシードを、巴さんがそのまま放置しておくとは思えないですし……」

マミ「……ごめんなさい。
   いくら暁美さんでも、それを教えることは出来ないわ」

ほむら「……どうしてですか?」

マミ「この前、私はあなたにワルプルギスの夜についての情報源を聞こうとしたわよね。
   その時の暁美さんの答えと同じ理由よ」

ほむら「そうですか……」

ほむら「それと、もう一つだけ聞いてもいいですか?」

マミ「ええ、どうぞ」

ほむら「その、今巴さんが使っている髪飾りとリボン。
    それは、どこで手に入れたんですか?」

マミ「えっ?」

マミ「それは……」

ほむら「教えてください、巴さん」

マミ「……ええ、分かったわ。
   実は私、暁美さんの前にも別の魔法少女の子と一緒に戦っていたことがあったの。
   その子はね……、家族思いの、とても優しい子だったわ。
   それに、変身した私の姿を見ても、あの子は怖がらずに受け入れてくれた。
   そして、これはその子のか—
   ……その子から、もらったものよ」

ほむら(やっぱり……)

ほむら「ちなみにその子は今、どうしてるんですか?」

マミ「……」

ほむら「……巴さん?」

マミ「……その子は、もう—
   !」

ほむら「!」

マミ「暁美さん、この近くでマイナスエネルギーの反応が出たわ!
   すぐに行きましょう!!」

ほむら「あっ……、はい」

とりあえず、ここまで。

この続きは今日の夜に投下します。


>>61で出た設定か、すっかり忘れてたがやっぱり…

また少しだけになりますが、投下します。

>>340
初期設定ではマミさんのイメージカラーが黄色ではなく赤だったそうなので、それを再現してみました(すっとぼけ)

ほむら「ここですね」

マミ「……この結界は、魔女じゃなくて使い魔ね。
   暁美さん、私に任せて!」

—巴さんはそう言うと、いつものようにバナナのような形をした長い刃物を取り出し、使い魔に向けて構えた—

マミ「ハッ!」

—しかし、巴さんが使い魔に向けて放ったその武器による攻撃は、いきなり飛んできた“何か”によって阻まれた—

??「ちょっと、ちょっと。
   何やってんのさ、アンタ達」

マミ・ほむら「!!」

??「見てわかんないの?
   ありゃ魔女じゃなくて使い魔だよ。グリーフシードを持ってるわけないじゃん」

マミ(まさか、そんな……!
   でも、この声は—)

??「ああ、そういやそうだった。
   アンタ等も、やれ人助けだの正義だの、その手のおチャラケた冗談かましてる類のバカな奴らだっていう噂だったっけねぇ……」

ほむら「……あなたは—」

杏子?「そうだな……、一応アンタ達にも名乗っといてやるか。
    ……あたしの名前は、佐倉杏子。
    “初めまして”、巴マミ。
    それと、暁美ほむら」

マミ「……えっ!?」

とりあえず、今日はここまで。

次回の投下はまた明日に行う予定です。

再開します。

マミ「……佐倉さん。
   あなた、何を言っているの……?」

杏子「は?」

マミ「私のこと……。
   忘れちゃったっていうの?」

杏子「アンタの方こそ、何言ってんのさ?
   アタシの知り合いには、アンタみたいな正義の味方気取りのバカなんかいないつーの」

マミ「そんな……」

—今の巴さんは、美樹さやかが魔女もどきになった時よりも動揺しているようだった—

杏子「……まぁ、そんなことはどうでもいいよ。
   アンタ達には、これから死んでもらうことになるんだからさぁ!」

—佐倉杏子はそう言うと、自身の武器を構えた—

マミ「!」

—しかし、“今私達の目の前にいる佐倉杏子”が使おうとしていたのは、“私がよく知っている佐倉杏子”が使っていた槍ではなかった—

—また、武器以外の戦闘スタイルは似通ってはいたものの、そのスピードは桁違いに速く—

ほむら「!」

—私は、時間停止の魔法を作動させる前に佐倉杏子によって吹き飛ばされていた—

ほむら「ぐっ!」

杏子「ハンッ!
   ……まずは、アンタから先に死んでもらうとするか。
   暁美ほむら!」

—そして、佐倉杏子は私に向かってその武器を振り下ろそうとしていた—

—でもその攻撃は、巴さんの構える盾によって阻まれていた—

マミ「この子は……、殺させない!」

—そして、巴さんは盾状にしていた腕輪を今度は槍に変形させた—

杏子「へぇ……。
   よりにもよって、このアタシに槍で勝負を挑むとはねぇ……。
   上等じゃねぇか、かかって来な!」

—しかし、巴さんは明らかに防戦一方であり、佐倉杏子の激しい攻撃に圧倒されているようだった—

杏子「ハッ!
   動きは悪くはないけど、どうも槍の扱い方がいまいちだねぇ……。
なんなら、アタシがレクチャーしてやろうか?」

マミ「……」

杏子「特別に授業料は安くしといてやるよ。
   アンタの命だけでいいからさぁ!」

マミ「きゃあっ!」

杏子「終わりだよ」

—私は、何とか力を振り絞って起き上がると、時間停止の魔法を使った—

杏子「なっ!?
   テメェ、何しやがった!」

—私は、巴さんの手を掴んだ後、再び時間停止の能力を作動させた—

マミ「あっ、暁美さん!?」

ほむら「……安心して下さい、これは私の魔法の力です。
    それと、私から手を離したら巴さんの時間も止まってしまうので、気をつけて下さい」

—そして、私は閃光手榴弾【M84】を投げた後、その場を立ち去った—

杏子「逃がすか—
   って、なっ!
   ……逃げられちまったか」

—それから私達は、巴さんの家に避難していた—

マミ「そんな……、ありえない、ありえないわ……。
   だって、あの子はもう……」

—巴さんは、うわ言のように同じ言葉を繰り返していた—

ほむら「……巴さん。
    一体、何が—」

マミ「だって、佐倉さんは、佐倉さんは……。
   私が、この手で……。
   ……この手で、殺してしまったんだもの!」

ほむら「!?」

とりあえず、ここまでです。

なお、今日(月曜)中にもう一度更新する予定です。

再開します。

ほむら(どういうこと……?
    どう考えても、佐倉杏子は生きているように見えたけど……)

マミ「ありえない、ありえないわ……」

ほむら(本当はすぐにでも事情を聞きたいところだけど、今は少しそっとしておいてあげた方がいいよね……)

マミ「そうだわ!」

—巴さんは、急にそう言って立ちあがると、何かを探し始めていた—

マミ「……無い、やっぱり無いわ!
   ということは、まさか……」

ほむら「あの、巴さ—」

キュゥべえ(テレパシー:暁美ほむら)

ほむら(テレパシー:……何の用?)

キュゥべえ(テレパシー:杏子から、君達に伝えて欲しいことがあると言われて来たんだ。
            入っていいかい?)

ほむら(テレパシー:……いや、外で話したいからそのまま待ってなさい)

キュゥべえ(テレパシー:分かった)

キュゥべえ「あれ、君一人かい?」

ほむら「……ええ、そうよ。
    それで、佐倉杏子からの伝言の内容は?」

キュゥべえ『鹿目まどかは預かった。
      返して欲しければ、すぐにさっきの場所まで戻ってこい』

ほむら「なっ、何ですって!?」

まどか「あっ、あの……」

杏子「何だよ?」

まどか「いえ、やっぱり何でもないです……」

杏子「文句があるんならさ、はっきり言ってくれない?
   まぁ、勝手に連れ去られたってのに、文句がねぇはずもないだろうけどさー。
   とにかく、何か聞きたいことがあるっていうなら、さっさと話しなよ」

まどか「じゃ、じゃあ……。
    ……あなたは、どうしてこんなことをしたの?
    わたし、何か—」

杏子「別に、アンタに恨みがあってこんなことしてるわけじゃないよ。
   アンタはね、あくまでアイツらをおびき寄せる為のエサさ」

まどか「それじゃあ、ほむらちゃんと“マミさん”に—」

杏子「……止めろ」

まどか「えっ?」

杏子「……何でもない」

まどか「……」

杏子「……それと、アイツらにも恨みなんてねぇよ。
   アタシは、言われたことをやってるだけさ」

まどか「……それって、誰に—」

???「まどか!」

杏子「ハンッ、思ったより来るのが早かったねぇ……。
   って、誰だテメェ?」

まどか「……えっ、さやかちゃん!?」

さやか「安心して、まどか。
    あんたのことは、すぐにあたしが助けてあげるからさ!」

今回は、ここまでです。

次回の投下は、また週末に行う予定です。

まどか「……さやかちゃん、どうして—」

さやか「何言ってんのさ、まどか。
    困ってる親友を助けに来るのは当たり前のことでしょ?
    それにさ、あんたにはこの前のことで沢山迷惑かけちゃったしさ……」

まどか「さやかちゃん……」

杏子「フン。
   なるほどね、アンタはコイツのオトモダチってわけか……。
   でも、どうしてここが分かった?」

さやか「お前がまどかを連れていこうとするところを、あたしは見てたんだよね。
    途中まで追いかけて見失っちゃったけど、その後はキュゥべえに聞いたんだよ」

杏子「チッ!
   アイツ、余計なことを……」

さやか「というわけで、まどかを返してもらうよ!」

杏子「あのさぁ、まさかとは思うけど……。
   アンタ、そんなバット一本だけでこのアタシと戦うつもりじゃあないよねぇ?」

さやか「……そうだよ。
    だったら、何だって言うのさ!?」

杏子「ハァ……。
   悪いけど、アンタみたいなトーシロどころか魔法少女ですらない一般人のバカに構ってる暇は無いんだよねぇ。
   だからさ、とっと帰ってくんない?」

さやか「嫌だね。
    それとさ、そんなこと言うんだったら、どうして一般人のまどかのことを巻き込もうとするわけ!?」

杏子「ハンッ。
   詳しいことは言えないけど、ワケありでさ。
   コイツだけは、特別なんだよね」

さやか「……何よそれ。
    そんなんであたし達が納得出来ると思ってんの?」

杏子「別にテメェが納得しようがしまいがアタシには関係ねぇんだよ。
   いいからそのまま帰れって」

さやか「そんなわけには行くかぁー!」

—さやかちゃんは、私を誘拐しようとした女の子に向かってバットをぶつけようとしたけど、その女の子はさやかちゃんのバットをあっさりと避けていました—

杏子「……おいおい、本当にやるつもりかよ」

さやか「当たり前だっての!」

杏子「ったく……。
   仕方ねぇ、ちょっとだけ遊んでやるよ。
   そうだねぇ……、コイツを食い終わる前までにアタシを一回でも当てられたら、アンタの勝ちってことでいいや。
   なんなら、ハンデとしてアタシからは手を出さないってことにしてやってもいいぜぇ?」

さやか「なっ、ナメるんじゃないわよ!」

—それから、さやかちゃんはその子に向かって何度もバットを振ったけど、一度も当てることが出来ず—

杏子「はい、時間切れー!
   ……それじゃあ、アンタの負けね」

—そして、その子はそう言うと、さやかちゃんの体を思いっきり蹴飛ばしていました—

さやか「ぐあっ!」

まどか「さやかちゃん!」

杏子「フン。
   そのままそこで寝てなよ」

さやか「まどかは……」

杏子「チッ、まだ意識が残ってやがったか。
   まぁいいや、もう一発食らわして眠らしてやるよ」

まどか「!
    さや—」

さやか「……まどかのことは、今度こそあたしが守るんだあああ!」

杏子「なっ!?」

—その時、さやかちゃんが全力で振ったバットの一撃が、その子に直撃していました—

まどか「さやかちゃん!」

さやか「はは……、まどか。
    あんたのことは、ちゃんとあたしが守るからね」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「でも、流石に疲れちゃった。
    まどか、ちょっと肩を貸してくれる?」

まどか「うん、もちろんだよ!」

さやか「ありがと—
    !」

まどか「……さやかちゃん?
    !!」

杏子「……ウゼェ。
   やっぱり、テメェには死んでもらうしかないみたいだねぇ!」



さやか「がっ!」

まどか「さやかちゃんっ!」

キュゥべえ「さやかのことを助けたいのかい?」

まどか「キュゥべえ……!」

—いつの間にか、キュゥべえがわたしの近くにいました—

まどか「お願い、キュゥべえ。
    あの子を止めて」

キュゥべえ「僕にはどうしようもない。
      ……ただ、どうしても力づくでも止めたいというのなら、方法がないわけじゃないよ」

まどか「!」

杏子「終わりだよ」

まどか「わたし……」

ほむら「それには及ばないわ」

※訂正:二回も同じ台詞を言うのはちょっと不自然なので、 >>257の方は

「その必要はないわ」

に変更します。

とりあえず、ここまで。

この続きはまた、今日中に投下する予定です。

もう月曜になってしまいましたが、再開します。

さやか「えっ、あたし……。
って、転校生!?」

まどか「ほむらちゃん……」

杏子「フンッ!
まーたテメェの仕業か。
   相変わらず、妙な技を使いやがるねぇ……」

ほむら「……佐倉杏子。
    鹿目まどかを誘拐するなんて、一体どういうつもり?」

杏子「コイツをおとりに使えばアンタ達は必ず来るはずだって聞いてたんだけど、どうやらソイツは間違ってなかったみたいだねぇ……。
   ただ、巴マミのやつが見当たらないが、アンタ一人で来たのか?」

ほむら「……ええ、私一人よ」

—私は機関銃【89式小銃】を盾から取り出すと、佐倉杏子に向けて構えた—

杏子「へっ!
   そうこなくっちゃね。
   よし、かかってきなよ!!」

ほむら「そういえば、こうやってあなたと戦うのは久しぶりね……」

杏子「ハァ!?
   ……アンタとは、さっき初めて会ったばかりじゃなかったか?」

ほむら「……そうね、そうだったわ。
    それじゃあ、最初から全力で行かせてもらうわ!」

—そして私は、佐倉杏子が動き出す前に時間停止の魔法を作動させた—

—さらに私は、佐倉杏子の足に向けて機関銃を掃射した後、時間停止を解除した—

杏子「なっ、うっ!」

ほむら(……佐倉杏子は、私と同じように治癒魔法が苦手だったはず。
    だから、これで動きを止め—)

—でも、佐倉杏子は足に数十発の銃弾を受けたのにもかかわらず、すぐに立ち上がると、右手に装備された鍵爪状の長い刃が付いた武器を使って攻撃してきた—

ほむら「!」

—私は何とか盾を使ってその攻撃を受け止めると、右手で再び銃を構えようとしたが—

杏子「ハッ、させるかよ!」

—佐倉杏子は銃を真っ二つに切り裂き、そのまま私の心臓を狙うように攻撃してきた—

—私は、とっさに体をそらしてその突きをかわそうとしたが、素早い攻撃を完璧に避けきることは出来ず、肩を刺されてしまっていた—

ほむら「うっ……」

—佐倉杏子は、トドメを刺そうとさらに攻撃してきたが、私は隠し持っていた小型の拳銃【シグザウエルP230】を撃って何とか後退させ、さらにそのわずかな隙を使って閃光手榴弾【M84】を取り出して投げつけた—

杏子「ハンッ、二度も同じ手にひっかかるかっての!」

ほむら「だったら、これはどうかしら?」

杏子「なっ、いつの間に……」

—そして私は、再び時間停止の魔法を使って佐倉杏子の背後に回り込むと、対魔法少女用に改造を施したスタンガンを使って攻撃した—

杏子「ぐっ……」

—さらに私は、散弾銃【レミントンM870】を佐倉杏子の胸のあたりに向けて構えた—

ほむら「そのまま、動かないで」

杏子「……何のつもりだ。
   アタシを殺すんじゃないのか?」

ほむら「それについては、この後のあなたの出方次第で決めるつもりよ」

杏子「……ソイツはどういう意味だ?」

ほむら「一週間後、この街にワルプルギスの夜が来る。
    そして私は、出来ればあなたにもその討伐に参加して欲しいと考えているの。
    だから、もしも私に協力してくれるというのなら、あなたの命は助けてあげてもいいわ」

杏子「くっ、あはははは!
   アンタ達のバカな正義の味方ごっこにアタシも協力しろって?
   そんな無愛想なツラをしてるわりには、意外と面白い冗談も言えるんだね、アンタ」

ほむら「……私は、真面目に話しているのだけど」

杏子「へぇー。
   マジでそんな甘いこと言ってたんだ、アンタ」

ほむら「それじゃあ、あなたの答えは私に協力するつもりは無いということでいいのかしら?」

杏子「そうだといったら?」

—私は、脅すように散弾銃を構え直した—

杏子「フンッ、上等じゃねぇか。
   やれるもんなら、やってみなよ!
   でも、そんなちっこい銃じゃあ多分アタシには全く効かないと思うけどねぇ!!」

ほむら「あなた、何を—
    !」

—そして、佐倉杏子は—

まどか「えっ、これって……」

さやか「……黒い、巨人?」

今回はここまでです。

それと、もしかしたら今日中にもう一度更新するかもしれません。

今日は少しだけになると思いますが、投下します。

—そして私は、体の色が黒くなっていることを除けば、巴さんが変身した時と似たような姿の巨人へと変身した佐倉杏子の手によって、まるで子供が人形を持つ時のように掴まれてしまっていた—

ほむら「くっ、離しなさい……」

杏子「フン、なるほどね。
   こんな風にとっ捕まったままだと、あの妙な技も使えないってわけか……」

—私はその拘束を解く為に散弾銃を撃ったが、ほとんどダメージは無いようだった—

杏子「だからさぁー、さっき言っただろ?
   そんな豆鉄砲で何回攻撃したところで、アタシには全く効かないってさぁ!」

ほむら「くっ……、うあああっ!!」

まどか「ほむらちゃん!」

さやか「転校生!」

?「そこまでよ!」

—その言葉と共に、突然、何かが飛んできて佐倉杏子の手に当たったことで、その拘束から解かれた私はそのまま落下しそうになったものの、地面に激突する前に念力のような力で受け止められていた—

まどか・さやか「ま、マミさん!」

ほむら「と、巴さん……」

杏子「フン、やっと来たか。
   来るのが遅いつーの!」
   
マミ「佐倉さん、あなたはいつからそんな卑怯な手を使うようになったのかしら?
   私は、そんな風に教えたつもりは無いのだけど……。
   ……とにかく、ちょっとお仕置きが必要みたいね」

杏子「……ったく、アンタはアタシの何を知ってるってんだよ。
   本当にウザいやつだな」

マミ「佐倉さん……」

マミ「……佐倉さん。
   あなたの相手は、美樹さんでも暁美さんでもない。
   この、私でしょ?」

杏子「ハン、この前は中途半端なところで邪魔が入ったからねぇ……。
   今度こそ、決着をつけようじゃねぇか!」

マミ「……そうね。
   私は、もう逃げない。
   今度こそ、あなたのことを救ってみせるわ。
   来なさい、佐倉さん!」

杏子「ハッ、このアタシをアンタが救うだって?
   笑わせてくれるじゃんか……。
   出来るもんならやってみなよ!」

—そして巴さんは、少しの間ためらった後、“私達”の目の前で巨人の姿に変身していた—

今回はここまでです。

それと説明描写を入れるのを忘れてしまいましたが、これから二人が戦う場所は杏子ちゃんが変身する時に用意した“魔女の結界にも似ているような特殊な空間内”という設定です。

乙っす

>—そして巴さんは、少しの間ためらった後、“私達”の目の前で巨人の姿に変身していた—

ま、まだ最終回じゃないよね!?

かなり間が開いてしまい申し訳ありませんが、再開します。

>>388
まだ最終回ではありませんが、平成ウルトラ風に言うとすれば、最終三部作の一話目に入ったところ(ちなみに本来のまどか☆マギカで言えば第九話あたり)です。

さやか「ま、マミさんが……」

まどか「巨人さんだったの!?」

ほむら(巴さん……)

杏子「何だよ、アンタ。
   まだコイツらには、教えてなかったのか?」

マミ「……」

杏子「フン、なるほどね……。
   要するに、アンタは自分が“化け物”だってことがばれるのが嫌だったわけだ」

マミ「っ……!」

杏子「ハン。
   やっぱりね……」

杏子「……どうしたんだよ。
   だってアンタはもう、どう考えたって“普通の人間”とは言えないだろ?
   だからさ、とっとと認めちゃいなよ。
   アタシと同じ、ただの“化け物”だってことをさ」

マミ「やめて……」

杏子「……アンタらも、これで分かっただろ?
   コイツはもう、アンタらみたいな“人間”とは違う存在なのさ……」

ほむら「……」

まどか「そんなことないもん!」

杏子「は?」

まどか「マミさんは……、化け物なんかじゃないよ!
    ……マミさんは、かっこよくて、とっても素敵で、いつだって私達、いや、みんなの為に頑張ってくれてる凄い人で、私にとっては憧れの先輩だし……。
    それに、たとえマミさんがどんな姿だったとしても、私には関係ない!!」
     
マミ「鹿目さん……」

さやか「ははっ。
    あたしの言いたかったこと、まどかに全部言われちゃったな……」

まどか「えっ?」

さやか「……マミさん。
    マミさんにいっぱい迷惑かけちゃったあたしなんかが言っても説得力無いかもしれないけど……。
    あたしもさ、マミさんのことをすごく尊敬してるし……、絶対に、マミさんのことを化け物扱いなんかしたりしないから」

マミ「美樹さん……」

杏子「はっ、何かしらけちまったねぇ……」

マミ「……あら、佐倉さん。
   これから私と戦うっていうのに、そんな調子で大丈夫かしら?」

杏子「は?」

マミ「今の私は、いつもとは一味違うわよ!」

—そう言い放った巴さんの顔は、確かに、普段とは比べ物ならないほどの自信に満ち溢れているようだった—

マミ「Orlo Miracolo ed Infinita!【ミラクルマミスラッガー】」

—巴さんが放った刃物状の武器は、光を放って無数に分裂すると、佐倉杏子に向かって飛んでいった—

マミ「佐倉さん、あなたの実力はその程度なの?
   さっきまでの強気はどこへいったのかしら……」

杏子「チッ……!」

—佐倉杏子は、右手に構えた武器でその攻撃を何とか全て弾くと、闇のエネルギー弾を放って巴さんを攻撃しようとした—

マミ「ハッ!」

—でも、巴さんはブレスレットを盾に変形させると、その攻撃を簡単に受け止めていた—

マミ「諦めなさい、佐倉さん。
   そんな闇の力に頼っている今のあなたでは、私には勝てないわ!」

杏子「笑わせんじゃねぇぞ……。
   このアタシが、テメェなんかに負けるわけねぇんだよ!」

—佐倉杏子がそう言って飛び上がると、巴さんも負けじと飛び上がって追いかけていき、元師弟の二人による、激しい空中戦が始まった—

—やがて、二人がしばらく空中で殴り合いの応酬を繰り広げた後、互いに向けて必殺技を放つと、強力な光線が反発し合い、激しい爆発が起こった—

杏子「……」

マミ「あら、佐倉さん……。
   油断している場合かしら?」

杏子「なっ!?」

—巴さんは隙をついて佐倉杏子の背後に回り込むと、強烈なキック【黄金の美脚】を放って佐倉杏子の体を吹き飛ばした—

杏子「グッ!」

マミ「……ちょっとやり過ぎちゃったかしら?」

—そして、巴さんは盾状にしていたブレスレットを今度は槍に変形させ、倒れている佐倉杏子に向けて構えた—

マミ「分かってるんでしょう?
   もうあなたに勝ち目は無いわ。
   だから……、降参しなさい」

杏子「チッ……」

とりあえず、ここまで。

この続きはまた本日(火曜)中に投下する予定です。

マミ「……お願い、佐倉さん。
   私は、もうこれ以上あなたを傷つけたくないの。
   だから—」

杏子「……やっぱり甘ちゃんだな、アンタ。
   そんな調子じゃ、足元すくわれちまうよ?
   こんな風にさぁ!」

マミ「えっ?」

まどか・さやか「えっ!?」

—佐倉杏子は、まどか達に向かっていきなり攻撃をしかけた—

マミ「ハッ!」

—巴さんはすぐに槍をまた盾に変形させてまどか達を守ろうとしたけど、その行動をさせることこそが、佐倉杏子の狙いだった—

杏子「おいおい、隙だらけだぜ……。
   先輩!」

マミ「クッ!」

杏子「ハン、アンタもこれで終わりだ!」

ほむら「!」

—そして佐倉杏子は、巴さんの胸に付いている、どことなくソウルジェムにも似ているような半球状の形をした、おそらく弱点と思しき発光体に向けて攻撃を加えようとしていた—

まどか・さやか・ほむら(えっ?)

マミ(あれ……。
   私、生きてる?)

杏子「チッ、外しちまったか……」

—佐倉杏子は、かなりの至近距離にいたのにもかかわらず、どういうわけか、巴さんへの攻撃を外してしまったようだった—

ほむら(どう考えても、佐倉杏子がこの距離で攻撃を外すとは思えない……。
    むしろ……、ワザと外した?
    でも—)

杏子「こうなったら、あの技を使うしかねぇな……」

ほむら「!」

マミ(こ、これは……)

まどか「えっ!?」

さやか「ふ、増えた!?」

—佐倉杏子は、瞬時に何体もの分身を作り出すと、巴さんの周りを囲い込んでいた—

杏子「驚いたか?」

マミ「ロッソ・ファンタズマ……」

杏子「さぁーて、どれが本物のアタシか……。
   見つけられるものなら、見つけてみなよ!」

一旦中断しますが、続きはまた本日(水曜)中に投下します。

ここ自体が落ちていた為に予定よりも遅くなってしまいましたが、再開します。

ほむら(確か、佐倉杏子は家族を失ってから幻惑魔法を使えなくなっていたはず……。
    でも、この感じだと家族が無事であるようにも思えないけど……。
    とにかく、やっぱり“この佐倉杏子”はどこかおかしい……)

—そして、幻惑魔法の力で7人に分身した佐倉杏子は、そのまま巴さんの周りを囲んだ—

マミ(ロッソ・ファンタズマのキレが、私と一緒にいた頃よりも良くなっている……。
   おかげで、どれが本物の佐倉さんなのかが全く分からないわ……)

—巴さんは、どれが本物なのかを見分けることが出来ずに苦戦しているようだった—

杏子「へっ、これでも喰らいな!」

—佐倉杏子の放った闇のエネルギー弾が、巴さんに直撃した—

マミ「きゃあっ!」

杏子「おいおい、そんな声出してる場合かよ?」

—佐倉杏子は、その後もさらにエネルギー弾を何発も放ち続け、容赦なく巴さんを追い詰めていた—

杏子「ほらほら、早く見つけないとアンタの体が持たないんじゃないの?」

マミ「くうっ……」

ほむら(このままでは、巴さんが……。
    よし、こうなったら私が何とかするしかないわね!)

—そして私は、再び時間停止の魔法を発動させると、盾の中から対戦車兵器【RPG-7 & AT-4】をいくつか取り出し、
 まどか達に被害が及ぶことの無いように弾道を計算してから、分身した佐倉杏子達に向けて放った—

杏子「チッ……」

—そこにいた佐倉杏子達の内の6人は被弾しても全く反応を示さなかったけど、一人だけは明らかに違っていた—

ほむら「巴さん、本物は後ろです!」

杏子「邪魔すんじゃねぇよ!」

—佐倉杏子が、今度は私に向かって闇のエネルギー弾を放ってきた—

マミ「暁美さん、危ない!」

—巴さんは、私をかばって再び攻撃を受けてしまい、遂に倒れこんでいた—

マミ「うっ!」

杏子「……フン。
   アンタさ、本当に甘ちゃんだよね。
   まぁいいや、いい加減こんな茶番はもう終わりにしてあげるからさ!」

—佐倉杏子はそういうと、再び必殺光線の構えを取り始めた—

ほむら「!」

—そして、佐倉杏子が光線技を撃とうとしたその時、突然“分身達”の内の一人が私達の前に立ちはだかり、“もう一人の佐倉杏子”の腕を掴んだ—

杏子(本体?)「なっ……。
        テメェ、一体どういうつもりだ!」

杏子(分身?)「そんなこと、絶対に許さない……。
        “マミさん” ……、この“あたし”が守ってみせるんだ!」

杏子(本体?)「ハァッ!?
        テメェ、分身の分際でこのアタシに逆らうつもりなのか?
        調子こいてんじゃねぇぞ!」

ほむら(一体、どうなってるのかしら……!?)

とりあえず、ここまで。

続きはまた、本日中に投下します。

マミ「さ、佐倉さん……?」

—私達はしばらくの間、二人の杏子が仲間割れしているという光景を黙って見つめていることしか出来なかった—

杏子(善)「はっ!」

杏子(悪)「チッ、離せっ!」

杏子(善)「マミさん、今のうちに早く!」

マミ「えっ?」

杏子(善)「あたしがこいつを食い止めている間に、あたしごとをやっつけちゃってよ!」

マミ「何を言ってるの!?
   そんなこと出来るわけ無いでしょう!」

杏子(善)「いいから、早く!」

杏子(悪)「ハッ、テメェの狙いはそれか。
      だがな……、テメェの思い通りにはさせねぇよ!」

杏子(善)「くうっ!」

—佐倉杏子は、もう一人の佐倉杏子にエネルギー弾を放ち、一瞬で消し去ってしまった—

マミ「佐倉さん!」

杏子「残念だったな……、生意気な分身にはもう消えてもらった。
   今度は、テメェらの番—
   うっ!」

ほむら「?」

—私達を攻撃しようとしていたはずの佐倉杏子が、突如として急にもがき苦しみ出した—

杏子(善)「マミさん、今度こそこいつを!」

マミ「さ、佐倉さん!?」

杏子(悪)「て、テメェ……。
      アタシの中から出てけ!」

杏子(善)「嫌だね!
      誰がお前なんかに従うもんか!!」

マミ(やっぱり、佐倉さんの中にはまだ“正義の心”が残っていたのね……)

マミ(だったら、私は—)

杏子(善)「マミさん、早く!」

マミ「……嫌よ」

杏子(善)「ええっ!?
      ……マミさん、何言ってんのさ?」

杏子(悪)「ハン、仲間割れか?」

マミ「そうじゃないわ」

杏子(善)「じゃあ、どうしてさ?」

マミ「言ったでしょう?
   今度こそ、私があなたのことを救ってみせるって」

杏子(善)「マミさん……」

—巴さんはそう言うと、佐倉杏子の背後に回り込み、後ろから抱きしめるようにして押さえつけた—

杏子(悪)「なっ!
    テメェ、一体どういうつもりだ!?」

マミ「私の光で、あなたのことを救ってみせるわ!」

杏子(悪)「何!?
やめろ、やめろぉぉぉぉぉー!」

—そして、突如として巴さんの体から眩い光が放たれていき、やがて、佐倉杏子の全身を包みこんでいった—

また一旦、中断します。

この続きの投下は今日の夜か、遅くても明日中に行います。

—やがて、佐倉杏子の全身を包んでいた光の流れが収まった後、二人は“元の姿”に戻っていた—

マミ「うーん……」

ほむら「巴さ—
    !」

マミ「暁美さん、どうしたの?」

杏子「……マミ?」

マミ「あら、佐倉さ—
   ええっ!?」

杏子「いきなりどうしたのさ—
   って、あんたはそんな格好で一体何考えてんのさ!」

マミ「そういうあなたこそ、服はどうしちゃったのよ!?」

杏子「は?
   ああっ、何で!?」

まどか・さやか「ま、マミさん……」

マミ「はっ!
   いや、二人とも見ないで!!」

—巴さん達は、大量の魔力と光エネルギーを一気に使ってしまったことの影響なのか、何も身に纏っていない状態になっていた—

 数分後

ほむら「二人とも、そろそろ落ち着いたかしら?」

マミ「ええ、私はもう大丈夫よ」

ほむら「あなたの方は?」

杏子「ああ、あたしはもうとっくに落ち着いてるよ」

ほむら「それじゃあ、まずは状況を整理しておきましょうか」

杏子「……別に必要ないよ。
   あたし、さっきまでの記憶も全部残ってるからさ……」

ほむら「そう……。
では—」

杏子「だからさ……、まずは先に一言謝らせてよ。
   あんた達には、色々と迷惑かけちゃったからさ……」

マミ「佐倉さん……」

ほむら「ええ、構わないわ」

杏子「それじゃあ、一回しか言わないからな?
   あの、その……、あたし—」

マミ「!」

—でもその時、突然私達の周りに新しく魔女の結界が出来あがろうとしていた—

—そして、そこに現れたのは、私が今までに一度も見たことの無い魔女だった—

杏子(!
   こいつは……)

マミ「みんな、下がって!」

—巴さんは真っ先に魔女に立ち向かおうとしたものの、先程までの戦いの影響でエネルギーが不足してしまっているのか、変身することが出来ずに倒れこんでいた—

マミ(そんな……、こんな時に!)

杏子「……はっ、情けないねぇ。
   あんたの方こそ、下がってなよ」

—佐倉杏子はそう言うと、自分と私達との間に縛鎖結界を作り出していた—

マミ「さ、佐倉さん!?」

ほむら「“杏子”、一体どういうつもりなの?」

杏子「“この魔女”には、ちょっとばかし借りがあってね……。
   だからさ、悪いけどあんた達に手出しさせるわけにはいかないよ」

マミ「何言ってるのよ、佐倉さん!
   そんなに傷だらけのあなたを一人で戦わせられるわけないじゃない!!」

杏子「ていうかさ、それならあんただって人のこと言えないだろ?
   そんなボロボロの状態で来られても、却って足手まといだっつーの」

マミ「そんな……。
   でも、私……」

杏子「どのみち、おそらくあたしはもう長くない……。
   だからさ、最後くらいはカッコつけさせてよ」

ほむら「あなた、まさか……」

杏子「それにさ……。
   あたしはもう、大切な人が死んでいくのを見たくないんだよね……」

マミ「そんなの、私だって同じよ!
   あなたが死んでいくところなんて、“また”見たいわけなんてないじゃない!!」

杏子「ああ、そいつは悪かったね……。
   でもさ、だったらさっさとこの結界から出て行けばいいじゃん」

マミ「ふざけないで!
   とにかく、早くこの結界を消してこっちへ戻ってきなさい!!」

杏子「ったく、今さらそんなの無理に決まってんじゃん。
   ていうかさ、やっぱり頑固で融通が利かないところは変わってないんだね……」

ほむら「……」

杏子「……そうだ、あんた達!」

まどか・ほむら・さやか「……何かな(かしら)?」

杏子「あのさ、マミさんのことは……、あんた達に任せる。
   だから、よろしく頼んだよ」

まどか・ほむら・さやか「……うん(ええ)、分かったよ(わ)」

杏子「……じゃあね」

—そして佐倉杏子は、私達から離れて魔女のところへ向かっていった—

マミ「待って、佐倉さん!
   ……駄目よ、駄目ぇぇぇぇぇっ!!」

—必死で抵抗しようとする巴さんに対して、私達は三人がかりで抑えようとしたけど、
 実際には、私どころかまどか一人でも問題ないと思えるほどに、その力は弱々しくなっていた—

杏子「早く行きな!」

—そして私達は、その結界を後にした—

杏子「……ったく、まさかあたしもあの時の生き残りがいたなんて思ってもみなかったけどさ……。
   相変わらず、てめぇもとことん喰い意地の張ったやつだよね……」

杏子「……あいつらを喰い損ねたのが、そんなに悔しいのかい?
   それとも何、まさかとは思うけど……。
   前にあたしが倒した仲間の敵討ちをしに来たって言うんじゃないよねぇ?」

杏子「まぁ、そんなことはどうでもいいか。
   いい加減さ、お互いこれで終わりにしようぜ?
   安心しなよ、一撃で仲間のいる地獄にきっちりと送ってあげるからさぁ!」

杏子(父さん、母さん、モモ。
   もうすぐ、あたしもそっちに行くよ。
   いや、やっぱりあたしは行けないのかな……)

—そしてあたしは、ソウルジェムに残っていた魔力を集中させた—

杏子(……さよなら、マミさん)

—私達が脱出してから数分後、激しい爆発音が鳴り響き、それから魔女の結界は一瞬で消滅していた—

さやか「あっ……」

まどか「杏子ちゃん……」

ほむら「……」

(そして私は……、今回もまた、大切な人の命を繋ぎ止めることができなかった……)

とりあえず、今回はここまでです。

もしかしたら、時間があれば日曜中にもう一度更新するかもしれません。

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