アルミン「えっ、僕の好きな人?」(219)

この話は、

サシャ「コニー! 勝負しましょう!」コニー「勝負?」
ユミル「劇場のチケット?」ベルトルト「あっ!」
(逆視点:ベルトルト「このチケット、どうしよう……あれ!?」)

と、時系列的に繋がっています。
初めましての方は、

ライナー「サシャとコニーが、バカ夫婦その2になった」

ベルトルト「僕とユミルが、かりそめの恋人同士になった」

とだけご理解ください。
では投下します。


アルミン「い、いきなり何を聞くんだよ、コニー」

コニー「いやだってさ、俺がサシャと付き合う前に相談のってもらった時、言ってただろ?」

コニー「好きな人のこと考えると、幸せだ、とかなんとか」

アルミン「あ……」

コニー「あれって、アルミンも好きな奴いるからそう言ったんだろ?」


アルミン「い、いや、僕が言ったのは一般論だよ。だから今は、特に好きな子とかはいない、かな」

コニー「ふーん、そうなのか」

アルミン「う、うん」

コニー「まぁいいや。変なこと聞いて悪かったな」

アルミン「ううん。コニーはその後どう? サシャとうまくいってる?」

コニー「ん……まぁな」テレッ


ライナー「まぁな、じゃ駄目だろうコニー!」バターン!

コニー「なっ、ライナー!?」

ライナー「お前な、サシャはあの食欲を差し引けばかなりいい女だぞ? 顔もいいしスタイルもいい」

コニー「そ、そんなことはわかってるよ」

ライナー「いーやわかってない。お前はどうも慢心が過ぎる。うかうかしてたら他のやつにとられるかもしれないんだぞ?」

コニー「へ? とられる?」

ライナー「そうだ。お前がもたもたしてる間に、こっそり他の奴がサシャを横取りするかもしれない」

コニー「そ、そんな奴がいるのかよ!?」


マルコ「またライナーがコニーに兄貴風吹かせてるの?」

アルミン「うん。もう慣れたねこの風景」

ベルトルト「ライナー……何をやってるんだ君は」ハア

ジャン「ちくしょう、俺もミカサと……!」ボソボソ

エレン「お前ら何で固まってんだ? もう消灯時間になるぞ」

ジャン「……」イラッ

エレン「何だよジャン。人の顔睨みつけて」ムッ

ジャン「うるせぇうらやましい!!」クワッ

エレン「はぁ!?」


マルコ「そこまでにしよう。もう本当に寝ないと。みんな今日疲れてるでしょ?」

アルミン「そうだよ。早く寝ないと教官が来ちゃうよ」

コニー「やべっ、ベッドに戻らねぇと。ありがとなライナー!」

ライナー「おう、またな」

ベルトルト「灯り消すよー」

フッ…


アルミン「……」

アルミン(好きな人、か……)

アルミン(……)

アルミン(本当はいるなんて、言えないよな……)



食堂

ミカサ「エレン、アルミン、おはよう」

アルミン「ミカサおはよう」ガタン

エレン「ふぁ……ねみ」ドスン

ミカサ「エレン、ちゃんと寝れてないの?」ガタン

エレン「そんなんじゃねぇけど、疲れが抜けねぇんだ」

アルミン「昨日の立体機動訓練、エレンすごく飛ばしてたもんね」

ミカサ「エレンは無理をしすぎ。体が追いついてない」

アルミン(まぁ、無理をさせてるのはミカサなんだけどね……エレンがミカサと張り合おうとするから)

期待

アルミンssが上位を独占してるぞ。今日はアルミン日和かな?(ニッコリ)

超期待


ライナー「アルミン、ここいいか?」

アルミン「え? あ、うんいいよ」

ライナー「サンキュ」ガタン

エレン「おー、ライナー、ベルトルト」

ベルトルト「おはよう。今日って何から始まるんだっけ?」ガタン

アルミン「固定砲の整備点検かな」

エレン「あー、あれめんどくさいんだよな」ハア

ミカサ「でも、いきなりハードな訓練をやるよりはまし。エレンが疲れてるのなら尚更」

アルミン「そうだね」フフッ

ユミル「おい、ここのテーブル、まだ空いてるか?」


アルミン「!」

ベルトルト「うん、まだ余裕あるよ」

ユミル「んじゃここでいっか」ガタン

アルミン(ユミルがこっちに来た……てことはもしかして)

ユミル「おーい、クリスタ!」

アルミン「!!」ドキン


クリスタ「あっユミル! もう、どこ行っちゃったのかと思った」

ユミル「席探してたんだよ。ほら」ガタン

クリスタ「ありがと」ストン

アルミン(クリスタ……)

ライナー「おぉ、クリスタ! おはよう」

クリスタ「おはよライナー。皆も」

アルミン「お、おはよう!」


ライナー「クリスタが来ると、テーブルが一気に華やかになったな」

クリスタ「そっ、そんなことないよ」テレッ

ユミル「おいライナー」ギロ

ライナー「何だ? 俺は思ったことをそのまんま言っただけだぜ?」

ベルトルト「でも、女子の中でクリスタだけをとりあげるのは、ユミルやミカサに対して失礼じゃないかな」

ユミル「そこはどうでもいいんだよベルトルさん。私が言いたいのは、私の目の前で勝手にクリスタ口説いてんじゃねぇってことだ」


ライナー「全く、手厳しいこって」

クリスタ「もう! やめてよユミル。ごめんねライナー」

アルミン「……」

エレン「アルミン? どうした、食べないのか?」

アルミン「え? う、ううん! 食べる、食べるよ」

普通にアルクリか

エレアルかな~と思った

おれはアルミカかなと思った

幼馴染のブラコンお姉ちゃんに惹かれる、みたいな


兵舎廊下


アルミン「……」テクテク

アルミン「……はぁ」

アルミン(最近、気がつくとクリスタのことばっかり目で追いかけてる)

アルミン(僕よりずっとちっちゃくて、華奢な体つきで、お人形みたいに整った顔立ちで)

アルミン(……最初はただ、凄く可愛い子がいるな、って、そう思っただけだったのに)

アルミン(今は、彼女が可愛いからつい見てしまうとか……そういう感じではない気がする)

アルミン(だって――)

クリスタ「アルミン!」


アルミン「えっ!?」ハッ

クリスタ「どうしたの? もうみんな外に出ちゃってるよ?」

アルミン「え……あっ!」

クリスタ「アルミンがぼーっとしてるなんて珍しいね。何かあった?」

アルミン「いっ、いや、何でもないよ」

クリスタ「そう? ならいいんだけど。今日も頑張ろうね!」ニコッ

アルミン「!」ドキン


アルミン(……そうだ、クリスタは)

アルミン(可愛いだけじゃない。誰よりも優しくて、僕なんかにも気を使ってくれる)

アルミン(本当にこんな子がいるんだって思えるくらい、非の打ち所がなくて――)

アルミン「……」

アルミン(確かに、クリスタのことを考えると幸せになる。でも一方で、不安な気持ちを押さえられない)

アルミン(僕なんかが、好きになっちゃいけなかったんじゃないか?)

アルミン(僕なんかには絶対に、届かぬ花なんだから)

アルクリは天使の戯れだよな
(二人と重婚しよ)


午前
固定砲整備点検


エレン「地味だよなーこの作業」キュッキュッ

コニー「まぁ楽なのはいいけどさ」カチャカチャ

ミーナ「きゃっ! 火薬がこぼれた!」バサー

トーマス「え!? おいおいミーナ!」

サシャ「あっ! 芋がこぼれました!」ゴロゴロ

コニー「お前は盗むんじゃねぇよ!」

ワーワーギャーギャー


アルミン(エレン達、楽しそうだな)クスッ

アルミン(あ、奥にクリスタが見える)

アルミン(――ライナーと、一緒か)ズキッ


『うかうかしてたら他のやつにとられるかもしれないんだぞ?』


アルミン「……」

アルミン(別に僕は、クリスタを自分のものにしたいとか、そういうんじゃないと思う。けど)

アルミン(……なんだろう。この気持ち)


ミカサ「アルミン?」

アルミン「え? 何、ミカサ」

ミカサ「浮かない顔してる。何かあったの?」

アルミン「えっ、そ、そう? 何にもないよ」

ミカサ「ならいいけど、何かあるなら素直に言って。アルミンは昔から、悩みを抱え込みやすいから」

アルミン「……ありがとう、ミカサ」

アルミン(気持ちは嬉しいけど、女の子のミカサに話すのは、ちょっと照れ臭いかな……)

アルクリいいなあ

和む

(重婚しよ)

クリスタはアルミンよりおrライナーと結婚したほうがいいぜ

>>28 ホモゴリラは動物園に帰って、どうぞ

いやアルミンこそライナーと結婚すへきだろ
重婚でもいいな

アル→クリなのは珍しいな
アルクリss自体そう多くないけど大体逆だったりするし

>>32
そう言われればそうかもな
俺的にはこのアル→クリの方が何か好きだ

逆にクリ→アルってあまり見たことないな

なんにせよこれは期待

この会話の噛み合わなさよ

アルクリはいかにも青春て感じがする

アルクリ大好き

>>34
まあアルクリがメインじゃないssだったら大体がアル→クリだけどね


午後
資料室


アルミン「……」パラ…

アルミン「……はぁ」パタン

アルミン(だめだ。集中できない。頭の中でライナーの言葉と、クリスタの笑顔がぐるぐる回ってる)

アルミン(このままじゃ駄目だ……やっぱり、誰かに相談しようかな)

アルミン(それじゃあ、エレンに? でも、エレンは正直こういったことには疎いから、相談相手には向かない気がする)

アルミン(なら、前に相談にのってあげたコニー? でもコニーは自分が成功しているし、僕の複雑な気持ちを打ち明けても、わかってもらえないかもしれない)

アルミン(僕にもわからない僕の気持ちを汲み取って、助言してくれそうなのは――)

ガチャッ

マルコ「あっ、先客がいたみたいだね」

>>39訂正


午後
資料室


アルミン「……」パラ…

アルミン「……はぁ」パタン

アルミン(駄目だ。集中できない。頭の中でライナーの言葉と、クリスタの笑顔がぐるぐる回ってる)

アルミン(このままじゃいけないな……やっぱり、誰かに相談しようかな)

アルミン(それじゃあ、エレンに? でも、エレンは正直こういったことには疎いから、相談相手には向かない気がする)

アルミン(なら、前に相談にのってあげたコニー? でもコニーは自分が成功しているし、僕の複雑な気持ちを打ち明けても、わかってもらえないかもしれない)

アルミン(僕にもわからない僕の気持ちを汲み取って、助言してくれそうなのは――)

ガチャッ

マルコ「あっ、先客がいたみたいだね」


アルミン「!」

マルコ「やぁアルミン。君も座学の課題、調べに来たの?」

アルミン(そうだ、マルコなら)

アルミン「ねぇマルコ……相談があるんだ」

マルコ「相談? 僕に?」

アルミン「うん。いいかな?」

マルコ「もちろん。アルミンの相談にのるなんて初めてかな。僕にできることがあるなら何でもするよ」

アルミン「ありがとう。あの、実は――」





マルコ「へぇ……全然気づかなかったな。アルミンがクリスタのこと、そんな風に想ってたなんて」

アルミン「あ、あのマルコ、このことは」

マルコ「もちろん誰にも言わないよ」

アルミン「ありがとう」

マルコ「じゃあアルミンは、クリスタと付き合いたいって思ってるの?」

アルミン「つ、付き合う!? クリスタと!? そ、そんな畏れ多いよ! 僕とクリスタじゃ釣り合わないしっ」

マルコ「じゃあ、ライナーとクリスタだったら、釣り合うと思う?」


アルミン「――え?」

マルコ「ライナーはあのミカサに次ぐ成績をキープしているから、本当に優秀な兵士だよね。回りからの人望も厚い、僕らの兄貴分だ」

マルコ「そのライナーなら、クリスタと釣り合うと思う?」

アルミン「……」ズキッ

アルミン「……思う、よ。思うけど」

マルコ「けど?」

アルミン「……」

マルコ「ごめんね、意地悪なことを聞いて。でも、今のでアルミンが本当はどう思っているのか、わかってきたよ」


アルミン「どういうこと?」

マルコ「アルミン今、クリスタとライナーの姿を思い浮かべたよね」

アルミン「うん」

マルコ「辛くはなかった?」

アルミン「……辛い、かも」

マルコ「胸が痛くなかった?」

アルミン「痛いかも」

マルコ「本当にクリスタが好きなんだね」

アルミン「なんか恥ずかしいな」カアア

青春だな


マルコ「じゃあ、恥ずかしいついでに聞いて欲しいんだけど、アルミン」

アルミン「何?」

マルコ「君は十分、魅力のある男だよ」

アルミン「へ?」

マルコ「君はクリスタに負けず劣らず、誰に対しても物腰柔らかで優しい。とても頭が良くって、みんなから一目置かれてる」

マルコ「運動能力にコンプレックスがあるみたいだけど、自分に言い訳せず、芯が強くて絶対にめげない」

マルコ「そんな君が、クリスタと釣り合わないわけないじゃないか」

アルミン「マルコ……」

マルコ…


マルコ「別に何も、今すぐ想いを伝えろって言うわけじゃないけどさ」

マルコ「このまま何もしないで悩むよりは、自分の気持ちに正直になって、行動した方がいいんじゃないかな」

アルミン「!」

アルミン(気持ちに正直に……僕も、コニーにそう言ったっけ)

アルミン(言った本人が出来ないなんていうのは、格好悪いよね)

アルミン「……ありがとう。マルコ」

このマルコ、どこに売ってますか?

やめてくれ…マルコは、もう…

マルコは俺が守る!さぁ、俺の立体機動装置をもっていけ!

マルコは死んだよ

マルコ…

続きまだかな?



男子寮


ライナー「だからな? 女は褒められるのが好きなんだ。一日一回は褒めることだな」

コニー「ふんふん……」メモメモ

ガチャッ

ライナー「お、アルミンにマルコ、戻ったか」

マルコ「ただいま。ライナー、またコニーをからかってるのかい?」

ライナー「何言ってる。俺はただこいつがサシャとうまくいくように、アドバイスしてやってるだけだ」


コニー「別に今だって、うまくいってないわけじゃないけどな」

ライナー「このまま続けていくってのは案外大変なんだぜ?」

マルコ「まるで経験したような口ぶりだね」

ライナー「おっと、これ以上は黙っておくか」

アルミン「……」

ライナー「うん? アルミンどうした、人の顔じっと見て」


アルミン「あのさ、ライナー」

ライナー「何だ?」

アルミン「最近、コニーの相談に乗ることが多いみたいだけど」

アルミン「その……自分のことはどうなの?」

ライナー「自分のこと?」

コニー「そっそうだ! お前、俺にばっかいろいろしゃべらせてばっかでずるいじゃねぇか」

ライナー「まぁ、特に進展がある話はないからな」

ライナー「しかし、やはり同期ではクリスタが一番かわいいよな。おまけに最近、特に俺に優しくなってきたような気がするんだ」

トリ消えてたけど>>57は1です。


コニー「そうなのか?」

ライナー「そう見えないか?」

コニー「俺には正直わかんねぇな」

ライナー「まぁそうだろうな」

コニー「何だよその言い方」ムゥ

ライナー「お前はサシャに一途でいればいいんだよ」

アルミン「ねぇ、ライナー」

そういえばライクリのSSあんまり見かけないけど何で?


ライナー「うん? 何だ」

アルミン「クリスタのことが好き?」

ライナー「おいおい、急に改まって聞くなよ。照れるだろ」

アルミン「好きなの?」

ライナー「あぁ」

アルミン「そっか……」


ライナー「アルミン?」

アルミン「あのさ、ライナー」

アルミン「僕、頑張るね」ニコッ

ライナー「――!」


コニー「ん? 何を頑張るって?」

アルミン「内緒」

コニー「え?」

ライナー「……」

アルミン「そろそろ僕、ベッドに入るね。おやすみ」スタスタ

コニー「え、お、おい、アルミン?」

マルコ「……ふふっ」


マルコ「さて、僕も自分のベッドに行こうかな」

ライナー「なぁ、マルコ」

マルコ「何だい?」

ライナー「お前は知ってたのか」

マルコ「ついさっき聞かされてね」

ライナー「てことは、お前らは共闘体制なのか」

マルコ「うーん、どうかな。結局はアルミン次第だし。でもアルミンの相談に乗った以上、君の協力はできないね」

ライナー「そうか」


コニー「なぁ、何の話をしてるんだ? お前ら」

ライナー「強大な連合軍に立ち向かう兵士の話だ」

コニー「はぁ?」

マルコ「大げさだよライナー」

ライナー「ちっとも大げさじゃないさ」

コニー「だから一体なんの話なんだっつの」

ライナー「さて、そろそろお開きにするか」

マルコ「そうだね。おやすみ」

コニー「おい!」

>>60
11巻46話読めば多分その理由が分かるよ

ライナーちょっとね・・



翌朝
男子寮


エレン「ふぁ……おはよアルミン」

アルミン「おはようエレン」

エレン「ん? アルミン、なんか今日すっきりした顔してないか?」

アルミン「そうかもね」

ライナー「アルミン。昨日のことなんだが」


アルミン「なぁに?」

ライナー「その、アルミンからあんな風にキッパリ言われるとは思ってなくてな。昨日は何も言えなかったが」

ライナー「……だが、ああ言われた以上、俺も手加減はしないぞ?」

アルミン「まるで勝負事みたいだね」

ライナー「勝負だろう、これは。欲しいものをどちらが手に入れるかのな」

アルミン「僕は彼女を賞品みたいに扱いたくはないな」

ライナー「そんなつもりで言ったんじゃないが……だが実質そうだろう?」


アルミン「……」

ライナー「だからといって、お前と険悪な仲にはなりたくないんだ。兵士としての誇りにかけて、決して貶めるような真似はしない」

アルミン「それは、勿論僕もそのつもりだよ」

ライナー「そいつはよかった。これで俺たちは仲間であると同時に、好敵手になったわけだ。まぁお手柔らかにな」

アルミン「……そっちもね」

ジャン「お前ら何こそこそ話してんだ? 早く食堂行くぞ」

コニー「そうだ、忘れないうちにサシャを褒めなきゃな! 行くか!」


食堂


サシャ「あ、コニー! おはようございます!」

コニー「おはよサシャ。えーっと、えーっと」

サシャ「?」

コニー「きょ、今日も元気だな!」

サシャ「へっ? は、はい」

コニー「よし、これで一回だよな」ウンウン

サシャ「えっと、何のことでしょうか」


アルミン(コニー……何か間違ってる気がするなぁ)

アルミン(――あ、クリスタがいる。よし……)

アルミン「ク、クリスタ。その、隣」

ライナー「クリスタ、隣空いてるか?」

アルミン(!)

クリスタ「あ、ライナーおはよう。うん、いいよ」ガタン


アルミン(駄目だ……緊張しちゃって、どうしてもまともに声をかけられない)

クリスタ「アルミン? どうしたの?」

アルミン「えっ?」ハッ

クリスタ「まだ起きたばっかでぼーっとしてるの? 座りなよ」クスッ

アルミン「あ、う、うん! おはよう、クリスタ」ガタン

アルミン(やっぱり優しいな……斜め前の席だけど、会話するには十分だ)


ライナー「今日はユミルと一緒じゃないんだな」

クリスタ「ユミル、今朝は朝食当番だから」

ライナー「そういや、昼食当番は俺たちの班だったな。よろしくなクリスタ」

クリスタ「うん! がんばって美味しいもの作ろうね」

ライナー「クリスタが作るんだ。美味しくなるに決まってるさ」

クリスタ「そんな、買いかぶり過ぎだよ。私なんて」

アルミン(……あれ、会話に入れない)ズーン

マルコ「おはよう。まだ席空いてるかな?」


ライ・アル「「!」」

クリスタ「わっ、マルコ! おはようっ」

マルコ「おはよう。そんなにびっくりした? クリスタ」

クリスタ「だって、後ろから来るなんて思わなかったから」

マルコ「ごめんごめん。アルミン、そっち空いてる?」

アルミン「うん!」

マルコ「よかった」スタスタ ガタン

流石の協調性


クリスタ「マルコ遅かったね。当番じゃなかったよね?」

マルコ「ちょっと資料室に行ってたんだ」

アルミン「最近入りびたりだね」

マルコ「今日の座学がどうしても心配でさ」

ライナー「そういや今回は、かなり重い課題が出たな。馬術と立体機動の切り替えに関してだったか」

クリスタ「わたし、自信ない……なんか上手くまとまらなくて」


アルミン「……ねぇクリスタ。よかったら座学の前に、課題見てあげようか?」

クリスタ「えっ、本当? いいの?」

アルミン「うん。勿論」

クリスタ「わぁっ、すっごく助かる! ありがとうアルミン!」パアア

アルミン「どういたしまして」ニコッ


ライナー「……流石だな」ジィー

マルコ「視線を向ける相手が違くないかい? ライナー」モグモグ

ちょっと五日間ほど忙しくなるので更新が遅くなりそうです。すみません。
読んでくださってる方、支援してくださった方ありがとうございます。

今更だけどライナーは報われてもいいと思う。でもSSで言えば相手はクリスタに限らなくてもいいと思うんだ。

乙待ってるよ
丁度別マガと11巻発売するな

わたし、>>1を待ってるね…?

マルコかっこよすぎ

いいねぇ

あたしゃ死なないよ


午前
座学始業前


アルミン(ノートはしっかりまとまってる。字も汚くない。説明もできる)

スゥー… ハァー…

アルミン(よし!)

ガラッ

クリスタ「あ、アルミン。こっちだよ」

アルミン「待たせてごめんね」タタッ

クリスタ「ううん、私が教えてもらうんだし。はい」ガタン

アルミン「あ、ありがと」ストン

アルミン(クリスタの隣! 初めて座った……)


クリスタ「あっ、それ課題のノート?」

アルミン「うん。僕もうまくまとめられたかわからないけど」スッ

クリスタ「わっ、凄い! アルミン字キレイだね!」

アルミン(近い!)ドキン

クリスタ「うーん……でもやっぱり、難しいな……ねぇ、ちょっと聞いてもいい?」

アルミン(クリスタ……いい匂いがする……)ドキドキ

クリスタ「アルミン?」

アルミン「えっ、あっ、ごめん!」

きたー!

待ってました


クリスタ「ここのとこ、聞きたいんだけと」

アルミン「あっ、うんいいよ。えっとね――」





アルミン「――だから、この場合は馬を乗り捨てて、ただちに立体機動に移る方が効率がいいんだ」

クリスタ「そっか! 凄いアルミン! とってもわかりやすい!」

アルミン「ありがと」

アルミン(うまく説明できてよかった……途中クリスタの肩が当たって声が上擦っちゃったけど)

クリスタ「あっ、人が増えてきた。もうすぐ始まるね」

アルミン「うん」

アルミン(今日はこのまま、クリスタの隣で座学の授業を受けるのか)

アルミン(幸せだなぁ……)

今日はもう終わり?

>>90
もう1、2レス頑張れなくもないですが、ちゃんと練りたいので今日はここまでにします。
お待たせしてすみません。見てくださってありがとうございます。

見てます
期待

期待


座学始業


教官「では、課題内容の確認をする。レンズ訓練兵」

クリスタ「は、はっ!」ガタン

アルミン(クリスタ、頑張れ!)

教官「……この場合、馬での並走を続けるべきか、立体機動に移るべきか」

クリスタ「ただちに立体機動に移るべきです」

教官「理由は?」

クリスタ「えっと……」チラッ「第一に――」


終業後


アルミン「クリスタ、お疲れ様」

クリスタ「いきなり当てられて緊張しちゃった」エヘヘ「でも、ちゃんと答えられてよかった! アルミンのおかげだよ」

アルミン「ううん、クリスタが頑張ったからだよ。僕は何もしてないさ」

クリスタ「そんなことない。アルミンが教えてくれなかったら、どうなってたかわかんないもん。本当にありがとう!」

アルミン「そ、そんな」テレッ

クリスタ「あっ、私お昼の当番だからもう行くね。また後でね!」フリフリ

アルミン「うん。またね」

パタパタパタ…


アルミン(ほんと、天使だよなぁ)ホワー

アルミン(……昼食当番、ライナーとだっけ)

アルミン(……)

アルミン(いや、やめよう。そりゃ羨ましいは羨ましいけど、僕だって座学の時間中、ずっとクリスタを独り占めしてたわけで――ひっ、独り占め!?)カアア


アルミン(じゃなくて! とにかくライナーだってクリスタと一緒にいたいって思ってるはずなんだから……)


『お前と険悪な仲にはなりたくないんだ。兵士としての誇りにかけて、決して貶めるような真似はしない』


アルミン(……)


どうしてそんなことが言えるんだ

僕だって君のように堂々としていたい

対等の勝負を持ちかけてきた、君の邪魔をしたくない

なのに


『アルミン!』


心を彼女に独占されて

後ろめたい気持ちが膨らんでいく



食堂


アルミン「……」ジィ…

ミカサ「アルミン、どこを見ているの?」

アルミン「えっ、あっ、いや、別に」アセアセ

エレン「何だ、厨房の方か? アルミンは食事当番まだだよな?」

アルミン「う、うん。まぁ馬小屋掃除の当番にはなってるんだけどね」

ミカサ「午後の馬術の後?」

アルミン「そうそう」


コニー「あっ、馬鹿サシャお前! 俺のパンまで食うな!」

サシャ「え~駄目ですかぁ?」ウルッ

コニー「や、やめろ! その目だけはやめろっ!」

エレン「向こうのテーブル騒がしいな」

ミカサ「いつものこと」

アルミン「……」

エレン「でもあの二人、付き合い始めてから成績伸びたよな。コニーなんか、前は座学かなりギリギリだったのに」

ミカサ「……好きな人がいるから頑張れる、というのは、あると思う」


エレン「そういうものなのか?」

ミカサ「そういうもの」ジッ…

エレン「何だよ? 人の顔じっと見て」

ミカサ「何でもない」

アルミン「……」

エレン「アルミン?」

アルミン「あっ、ごめん!」


エレン「どうしたんだよ、ぼーっとして」

アルミン「う、ううん、何でもないんだ」

ミカサ「アルミン、嘘はよくない」

アルミン「えっ」ギクッ

ミカサ「昨日もぼんやりしてた。やっぱり何か悩みがあるんでしょう?」

アルミン「……」

ミカサ「アルミン、ちゃんと話してほしい」

胸をギュッとしめつけられる感覚を感じる。


アルミン「……その、羨ましいなぁ、って」

エレン「羨ましいって? 何が?」

ミカサ「……コニーと、サシャ?」

アルミン「うん。さっきミカサが言ってたことにも関係するんだけど」

アルミン「あの二人が最近調子いいのは、やっぱり、お互い好き同士だからなんだろうなぁって」

アルミン「相手も自分を想ってくれているっていう、安心感っていうか」

アルミン「……そういうのがあるから、コニーもサシャも、お互いを高め合えるんじゃないかなって」


エレン「そうなのか? ハンナとフランツなんてただイチャイチャしてるだけで、お互いを高め合ったりなんかしてないと思うけど」

ミカサ「二人の性格と付き合い方によると思う。ついでにいうと、もう一組の方も大分タイプが違う」

エレン「もう一組って?」

ミカサ「ベルトルトとユミル」

エレン「えっ、あの二人付き合ってたのか!?」

ミカサ「そう見えないのも無理はない。あの二人はかなり淡白だから。でも、休日はどうやら一緒に出掛けているみたい」

エレン「あーでもそっか、道理で最近ベルトルトの奴、時々顔つきが穏やかになったり、休日が近づくとそわそわしだしたりしてたのか」


ミカサ「だから、付き合い始めてからどんな関係になるかは、当人同士次第だと思う。そこにはお互い想い合っているという安心感も、きっと関わってくる」

ミカサ「アルミンがコニー達を羨ましいと思うなら、アルミンもあの二人みたいな関係を誰かと作っていけばいいだけ」

ミカサ「違わない?」

アルミン「ミカサ……」

アルミン「うん。そうだね。ありがとう」

アルミン(お互いに想い合う関係……)

アルミン(クリスタと、そんな関係になれたらいいな……)

続きまだかな?


ガチャッ

ガヤガヤ

エレン「おっ、当番の奴らが戻って来たな」

アルミン「!」

アルミン(クリスタ……どこに)

コニー「おー、お疲れ! お前ら」

ライナー「おう」

サシャ「今日のスープ、とっても美味しかったです!」

クリスタ「ありがとう、サシャ」

アルミン(……!)


アルミン(クリスタ……ライナーの隣にいる)

ジャン「なんか今日、いつもに増して疲れた気がするぜ」

マルコ「クリスタの味付け、すごく手が込んでたね」

クリスタ「えっ、ごめんね! 大変だった、よね」

マルコ「違うよ。それだけいいものができたってことだよ」

ライナー「全くだ。いつもは味気ないここの料理も、今日はクリスタのおかげで食うのが楽しみだぜ」

クリスタ「ほっ、本当? ありがとう!」パアッ

アルミン「――!」


アルミン(クリスタがライナーに褒められて、満面の笑みを浮かべている……)

アルミン(あぁ、駄目だ。また僕は)

アルミン(こんな嫌な気持ちになりたくはないのに)

コニー「お前ら早く座れよ。まだ飯食ってないんだろ?」

ジャン「そうだな。マルコ、ここで食わねぇ?」

マルコ「いいけど、ここじゃ全員入らなくないかな」

ライナー「だったら俺とクリスタは、ベルトルト達のテーブルに行けばいいさ」

アルミン(!!)ドクン

ライナー「いいだろ? クリスタ」

クリスタ「うん。いいよ」


ライナー「じゃ、また後でな」

クリスタ「みんなお疲れ様。午後も頑張ろうね」ニコッ

マルコ「……またね、二人とも」

コニー「クリスター! 午後の馬術よろしくなー!」

サシャ「美味しいご飯をありがとうございましたー!」ブンブン

アルミン「……」ジィ…

アルミン(ダメダメ、考えない考えない!)ズズッ

アルミン(――あ、ほんとだ。スープ、美味しいな……)

ズズッ…


午後
馬術訓練終業後


ミーナ「あー! 疲れたー!」

アニ「あんた今日、随分馬使い荒かったね」

ミーナ「違うよー。馬の方が落着きなかったの!」

エレン「お疲れ、ミカサ。アルミンは?」

ミカサ「馬小屋に向かっていった。掃除当番だから」

エレン「あ、そういやそうだったな」


馬小屋


アルミン「よっ……と」バシャッ

アルミン(おかしいな。なんで僕一人なんだ? 馬小屋掃除)

アルミン(普通二人で馬小屋って掃除するのに)

アルミン(僕一人でやるんじゃ大変だよ……)フゥ

馬「バフッバフッ」ブルブル

アルミン「あっ、ごめんね。水かかっちゃった?」ポンポン


ギイイ

アルミン「えっ?」

アルミン(扉が開いた? もしかして、当番の人が遅れてきたのかな)

アルミン(でも、誰だったっけ?)

パタパタパタ

ヒョコッ

クリスタ「あっ、アルミン!」

アルミン「えぇ!? クリスタ!?」ドキーン!


アルミン「な、何で――クリスタ、当番だったっけ?」

クリスタ「ううん、違うの。私、馬術訓練の後はいつもここに寄るんだ」

アルミン「え? どうして?」

クリスタ「ここにいるみんなに『お疲れ様』って言いにね」ポンポン

馬「ヒヒーン」ペロペロ

クリスタ「アルミンは、掃除の当番?」

アルミン「うん。もう一人は、何故かいないんだけど……」

クリスタ「もしかして、トーマスだったんじゃない?」

アルミン「えっ、あっ、そっか! トーマス、確か熱出して――」


クリスタ「じゃあ、アルミン一人で掃除してるってこと?」

アルミン「そういうことになるね。でも大丈夫だよ」

クリスタ「ううん、一人じゃ大変だよ。私、手伝ってあげる」

アルミン「え、でも悪いよ!」

クリスタ「いいの。この子たちのお世話もしたいし。やらせて?」

アルミン「クリスタ……」

アルミン(ここに来た理由もそうだけど……本当に、優しいな)

アルミン「……ありがとう。それじゃあ、お願いしてもいい?」


クリスタ「もちろん! 一緒に頑張ろ?」ニコッ

アルミン(可愛い……)ポー

クリスタ「……? アルミン?」

アルミン「あっ、いや、うん、頑張ろうね!」バシャバシャゴシゴシ





アルミン「あとはこの干し草を敷いて……っと」バサッ

アルミン「よし! 終わった!」

クリスタ「お疲れ様! アルミン」

アルミン「クリスタ、本当にありがとう」


クリスタ「ううん、今朝の座学の、お礼だと思って?」

クリスタ「もう寮に戻らないとね。途中まで一緒に行こっか」

アルミン「うん!」パアッ

ギイイ

テクテク

クリスタ「もう日が暮れるね」

アルミン「そうだね……」チラッ

アルミン(クリスタ――手が小さいな)


アルミン(夕陽に照らされて、白い肌に赤みが差して)

アルミン(金髪が風に揺れて輝いて)

アルミン(長い睫毛の一本一本が、目元に影を作っていて)

アルミン(そして――)

クリスタ「わぁ、空が綺麗! ねぇ見て、アルミン!」パアア

アルミン(あぁ……)



お願いだ、クリスタ。

僕の隣に、ずっといてくれ。


クリスタ「こんなに綺麗な茜色、私初めて見たかも!」


僕だけに、その表情を見せて。


クリスタ「日が沈むまで、ずっと見ていたいなぁ」


他の誰のものにもならないで。


クリスタ「でも、それだと夕食の時間に間に合わないかもしれないよね」エヘヘ


僕だけの、君でいて。



クリスタ「アルミン……?」


首をかしげて僕を見上げる、その仕草も愛らしい。

手を伸ばせばすぐ届きそうなほど近くにいるのに、こんなにも、遠い。


アルミン「クリスタ……」


この気持ちは何なんだろう

今すぐ打ち明けてしまいたい

今すぐ叫んでしまいたい

この、胸が張り裂けるような衝動。


アルミン「……」

アルミン「多分、時間はまだ大丈夫だと思う。だから……ちょっとゆっくり歩いて、もう少しだけ見てようか。空」

クリスタ「うんっ! ありがとう!」

アルミン「いいんだ。だって僕も――」

アルミン(……もう少し、クリスタと一緒にいたいから)

ちょっと小休止。
あんまり見直すと恥ずかしくなりそうだからこのへんは勢いで書いてます。
忙しい時期抜けたのでペース上げていきます。
読んでくださってる方、支援してくださった方ありがとうごさいます。


続きを期待しているよ

乙 見ていてもこっ恥ずかしいほどの青春だなwww

ゲスミンじゃないだと…

自分もこういうの書いたことあるからわかるw

ゲスミンなんて絶滅したよ



資料室


ガチャッ

マルコ「やぁ。待っていたよ」

アルミン「やっぱりここにいたんだね」

マルコ「男子寮じゃ誰が来るかわからないからね。秘密の相談には適してない。そうだろう?」

アルミン「……」

マルコ「浮かない顔してるね」


アルミン「わからないんだ」

マルコ「何が?」

アルミン「自分の、気持ちが……」

アルミン「昨日僕はこの場所で、自分の気持ちに正直になるって決めたのに」

アルミン「自分の望むがままに行動しようとすると、今まで気づかなかった黒い気持ちが見えてきて」

アルミン「僕がこんな気持ちを持っているなんて、信じられなくて……」


マルコ「それは、どんな気持ちなの?」

アルミン「クリスタに……ライナーと一緒にいて欲しくない。いや、ライナーだけじゃない。他の男でも一緒だ」

アルミン「僕はライナーに、これはクリスタを取り合う勝負だって言われた。そう思うのは気が引けたんだ。クリスタを物みたいに扱うみたいで」

アルミン「だけど、いざライナーがクリスタの隣にいようとするのを見ると……彼を妨害してでも、クリスタを取り戻したいと思うようになって」

アルミン「それはまるで、僕が嫌っていた物扱いじゃないか」

アルミン「それに、ライナーは座学で僕とクリスタが一緒にいるとき、決して邪魔しようとしなかった。それどころかわざわざ、僕らから遠い席に座った。それも僕にはわかって

いた」

アルミン「彼は、正々堂々勝負するつもりでいるんだ。それをわかっていたっていうのに、僕は――」


マルコ「……」

アルミン「何だんだろう、これ……こんな気持ち、初めてなんだ」

アルミン「これが自分だなんて思いたくなくて。こんな自分に素直になろうなんて、思えなくて」

アルミン「だって、この気持ちのままに行動したら……僕は自分でも許せなくなるくらい、身勝手な人間になる」

アルミン「僕の中に、こんな僕がいたなんてね――もしかしたら、これが本当の僕なのかも、なんて」

マルコ「ねぇアルミン、僕思うんだけど」

マルコ「それ、決して恥ずかしいことじゃないんじゃないかな」


アルミン「え?」

マルコ「簡単にアルミンの気持ちを包括してしまうのは気が引けるけどさ」

マルコ「アルミンが今持ってる、その、つまり……独占欲とか、嫉妬とかっていう感情って」

マルコ「誰かを好きになったら、少なからずみんな心のどこかに生まれるんじゃないかな」

アルミン「そう、なのかな……」

マルコ「だったら、聞いてみるかい?」

アルミン「え? 誰に?」

マルコ「実はね、今日、助っ人を呼んでみたんだ。本人には何も伝えてないけどね」

ガチャッ

コニー「おーいマルコ! 座学教えてくれ!」


アルミン「コニー?」

コニー「ん? アルミンもいるのか? もしかしてアルミンも、俺に勉強教えてくれるのか!」

アルミン「勉強?」

マルコ「最近、コニーに勉強を教えてあげてるんだ」

アルミン「そっか、コニーが最近、座学の成績を伸ばしてるのって……マルコが教えてたからなのか」

コニー「サシャに聞くのはやっぱ、男としてのプライドが許さないからな!」

マルコ「だろうね。サシャと一緒に憲兵団に入りたいんだもんね」

コニー「おい言うなよマルコ!」カアッ


マルコ「ごめんごめん。でも、ほんとに凄いと思ってるんだ。あれだけ勉強嫌いだったコニーが、ここまで頑張るようになるなんて予想もつかなかったから」

コニー「まぁ、そうだよな。俺もそうだし」

アルミン「確かにコニーの今の成績なら、憲兵団入りも夢じゃないよね」

マルコ「サシャもそうだよ。立体機動は勘頼りだったところがあったのに、今は結構俊敏な動きもするようになったよね」

コニー「あいつ俺より背高いくせに、教えたらすぐ小回りの効いた動き出来るようになったんだぜ? なんか不公平だよな」

マルコ「でも安心したよ。二人が順調なようで。告白の時はあれだけ見せつけてくれたのに、上手くいってなかったら悲しいし」

コニー「見せつけてねぇよ! お前らが勝手に覗き見してたんだろ!!」


アルミン「……あのさ、コニー」

コニー「うん?」

アルミン「前コニーに言ったこと、覚えてる? サシャと付き合う前に、サシャが好きだってことを最初認めなかった君に言ったこと」

コニー「んー、あぁ、『サシャが好きなら素直になれ』ってことか?」

アルミン「そう、そんな感じ……素直になってみて、何か後悔するようなことはなかった?」

コニー「後悔?」

アルミン「その、例えば、誰かに迷惑をかけたりとか、傷つけたりとか……しなかった?」

コニー「あー……なんかあったかも」

アルミン「! どんな?」


コニー「その……今思い返すと馬鹿らしいんだけど、ジャンがさ」

マルコ「ジャン?」

コニー「あー……お前ら、これ絶対誰にも言うなよ?」ポリポリ

コニー「サシャが気になってから、どうもジャンとサシャが、仲良さそうに見えてきたんだ」

コニー「気持ちを自覚してからは、余計にそれが気になって……ジャンに、サシャを取られたくないって思ったかな」

アルミン「!」

マルコ「でもそれと、ジャンに迷惑かけたってのとは、どう繋がるんだい?」


コニー「俺、馬術の訓練の時、ジャンとサシャと同じ班になったんだ。ジャンに負けたくなくて、サシャの前でカッコつけようとして――無茶な動きをした」

コニー「そしたら、馬が制御できなくなって、落ちそうになったんだ。それをジャンが、体を張って助けてくれた」

マルコ「そっか、あの日ジャンが負傷して医務室に行ったのは、そういう――」

コニー「ホントに馬鹿だよな、俺。勝手な思い込みで、ジャンに怪我させちまったんだ。大事にならなくてほんとよかったけどさ」

アルミン「――コニーは、ジャンに嫉妬して、その結果ジャンに怪我させちゃったこと、後悔してるの?」

コニー「んー……後悔っていうか、なんかちょっと違うかも」

アルミン「えっ?」


コニー「だってよ、別に俺は、ジャンに怪我させたことは悪いって思ってるけど、ジャンに嫉妬したことは別に悪いって思わないからな」

コニー「そりゃ、反省はしなきゃいけないし、実際してるんだけど……でもさ」

コニー「あの後、ジャンの見舞い行って、全部ぶちまけて謝ったんだ。そしたら」

マルコ「そしたら?」

コニー「一発はたかれて、『バーカ』って言われた。それだけ」

マルコ「へぇ。優しいじゃないか」


コニー「だからまぁ、嫉妬こじらせてジャンに迷惑かけたのは反省してるけど、後悔してるっていう感じでは、ないかもな」

コニー「それに、今でも嫉妬することはあるし。それでサシャを傷つけることも、たまにある」

アルミン「そうなの?」

コニー「まぁ、お互い様なんだけどな」

アルミン「そっか……」

コニー「何だ? いきなりそんなこと聞いてきて」


アルミン「ありがとう、コニー。お礼に君に助言をひとつあげる」

コニー「ん?」

アルミン「明日も、サシャを褒めるつもりなんだよね」

コニー「おう」

アルミン「だったら、いつもだったら言えないような、照れくさいセリフを言ってみて」

コニー「は?」

アルミン「自分で言うのは恥ずかしいけど、サシャが聞いたら絶対喜ぶセリフを、言ってあげてよ」


コニー「……どういうことだ?」

アルミン「続きは、座学の勉強進めながら話そうか」

コニー「おっ、協力してくれるのかアルミン! 助かるぜ!」

マルコ「じゃあもしかして、僕は用済みかな?」

アルミン「とんでもない。マルコも一緒にやろうよ」

コニー「マルコの解説は解りやすいからな!」

マルコ「ふふ。ありがとう。じゃあ始めようか」





コニー「お疲れ! ありがとうな二人とも!」

アルミン「ううん、僕もいい復習になったよ」

マルコ「僕もだよ。またやろう」

コニー「おう! ……って、もうこんな時間かよ。入浴時間もあるし、そろそろ行くか」

マルコ「僕は資料を片づけてからにするよ。先に行ってて」

アルミン「僕も、一冊貸出許可もらっていきたいから」

コニー「そっか、じゃあまた後でな!」

ガチャッ パタン


アルミン「……ありがと、マルコ」

マルコ「僕は何もしてないよ」

アルミン「ううん、そんなことないよ。コニーから話が聞けててよかった」

マルコ「にしても、アルミンがコニーにあんなこと言ってたなんてなぁ。僕が言ったことにそっくりじゃないか」

アルミン「まさか他人への助言が自分に返ってくるとは思わなかったよ」

マルコ「ねぇアルミン。アルミンはこのまま自分に素直になったら、何を後悔すると思ったの?」

マルコ「ライナーやクリスタを傷つけること? それとも――クリスタを好きになったこと?」


アルミン「……」

アルミン「両方、かな」

アルミン「でも、もうそんな必要ないって気づいたよ」

アルミン「身勝手だけど……身勝手なままでも、いいと思った。この気持ちも僕だから」

マルコ「ライナーもあまり表に出さないだけで、きっと似たような気持ちを持ってると思うよ」

アルミン「そうだね。僕の中で、クリスタを好きだから生まれた感情なら、それは全部、僕なんだ――」

本日(というか今夜)はここまで。
明日か明後日には完結させたいと思います。こんなに長くなるとは……そしてこんなにアルミン視点が難しいとは……

読んでくださっている方、支援してくださった方ありがとうございます。最後までお付き合いいただけたらと思います。

乙 最後まで、楽しみにしてるよ

乙 待ってる


翌朝
男子寮


コニー「……」

ジャン「コニー? どうしたんだお前」

コニー「いっ、いや、何でもねぇ! 何でもねぇんだ!」アセッ

エレン「何か顔赤くないか? 大丈夫かよお前」

コニー「だっ、大丈夫だって! 心配すんなよ!」ダラダラ


ベルトルト「……コニー、なんか企んでる?」

コニー「えっ」ギクッ

アルミン「ふふっ、昨日の夜ずっと考えてたみたいだね」

マルコ「コニー、何を言うかはもう決まった?」

コニー「うっせ! 行くぞっ!」

ライナー「何じゃれ合ってんだ? お前ら」


食堂


サシャ「おはようございます! コニー!」

コニー「お、おう、サシャ、えっと」

サシャ「?」

コニー「えっと、あの、その……」

コニー「っだー! やっぱ無理だ! てかなんでこんな所で言おうと思ったんだ俺!!」ジタバタ

サシャ「コニー? どうしたんですか?」キョトン


コニー「いや、そりゃ、どんなこと言ったらいいかは分かるけど、分かるけどでも!」

サシャ「コニー、ちょっと落ち着いてください」ギュッ

コニー「!」ドキン

サシャ「手、凄く熱いですよ。顔も赤いですし、汗も出てます」

コニー「……」

サシャ「熱があるんじゃないんですか? 具合悪いんですか?」


コニー「……ありがとな、サシャ」

サシャ「えっ、何がですか?」

コニー「心配してくれて」

サシャ「そんなの、当たり前じゃないですか。彼女なんですから」

コニー「そう、だよな……俺、お前が彼女で、ほんとによかったよ」

サシャ「えっ!?」

コニー「ありがとな、サシャ。大好きだ」

サシャ「――!!」カアア


ジャン「って、何こんな公衆の面前でいちゃついてんだこの馬鹿共が!!」バシーン!

コニー「痛ってぇ!」

サシャ「……」ポケー

ユミル「おーい、サシャー? あー駄目だこりゃ、完全に別世界に行っちまってら」

ベルトルト「……君も行きたいの? ユミル」

ユミル「絶対やめてくれベルトルさん」

ベルトルト「じゃあ後でね」

ユミル「おい」


ライナー「何やってるんだあいつらは」

マルコ「元はと言えばライナーが焚き付けたんじゃないか」

アルミン「まぁ、とどめをさしたのは僕らだけどね」

ライナー「何を吹き込んだんだお前ら」

アルミン「内緒だよ……それにしても」

マルコ「うん?」

アルミン「……何でもない」

ライナー「いや待て。わかる。わかるぞアルミン。ジャンじゃないが、俺も全力で叫びたい気分だ。『羨ましい』ってな」


アニ「……あんたたち、そんなとこで立ち止まってたら邪魔なんだけど」

ライナー「ん、あぁ、アニ。悪かっ――」

ミーナ「何かお手洗い行ってる間に、随分騒がしくなってない?」

クリスタ「本当だ。何かあったのかな?」

アル・ライ((!))


マルコ「おはよ、皆」

クリスタ「おはよう!」ニコッ

アルミン「クリスタ!」

ライナー「隣に!」

アル・ライ「「座って(くれ)!!」」

クリスタ「え、ええ!?」

ミーナ「ちょっ、何これ」イラッ

アニ「……馬鹿ばっか」ムスー


午前
立体機動訓練


教官「本日は5人1班で、立体機動による疑似的な巨人掃討訓練を行う! 班分けは事前に指示した通りだ!」

エレン「あれ、事前に班分けなんてあったか?」

アルミン「もう、しっかりしてよエレン。掲示があったじゃない。エレンは僕と同じ班になってたでしょ?」

エレン「そ、そっか。悪りいな、アルミン」アセッ

教官「なお、ワグナー他数名が急病により訓練に参加できなくなったため、それに伴う班変えはこれから行う」

コニー「トーマス、まだ熱下がらないんだな」

サシャ「後でお見舞いに行きましょうか」


教官「まず、アルレルト!」

アルミン「え、は、はっ!」バッ

教官「貴様はワグナーの代わりに、ブラウン班に入ってもらう!」

アルミン「はっ!」

エレン「離れちまったな、アルミン」

アルミン「どうやら欠員補充のために、僕らの班が解体されるみたいだね」

教官「次、イェーガー!」

エレン「はっ! ――みたいだな」ボソッ


アルミン(ブラウン班ってことは、ライナーの班ってことだよね)

アルミン(あれ、てことは――)

クリスタ「アルミン! こっちこっち!」

アルミン「ク、クリスタ!」

ライナー「おー、アルミンが来たか」

アルミン(そうだ……今日の班分け、ライナーとクリスタが一緒だったんだ)

アルミン(しかも――)チラッ

マルコ「頑張ろうね」

ユミル「足引っ張るなよ?」

アルミン(……わーお。なんて面子だ)


教官「それでは訓練を始める! 一列目、行け!」

ミカサ「行こう」バシュッ

ミーナ「うん!」バシュ

ジャン「おい、いきなり前に出るんじゃねぇ!」バシュウ

エレン「分かってるよ! ったくまさか、お前の班に入るとはな……」バシュッ

ライナー「俺たちも行くぞ」バシュッ

ユミル「よし」バシュウ

ビュオオオオ

ヒュウウウ


アルミン「くっ……」ヒュオオオ

クリスタ「アルミン、大丈夫?」

アルミン「だ、大丈夫だよ」

アルミン(みんな速すぎる……そりゃそうだよね。僕以外みんな上位陣だ)

アルミン(本来ここにいるはずだったトーマスだって、立体機動は得意だ。でも僕は)

ユミル「おい! 陣形が乱れてるぞ! 何やってんだ!」

クリスタ「ユミル、そんな言い方駄目だよ!」

マルコ「アルミン、大丈夫。力抜いて。もっと腰を預ける感じでいいんだ」

ライナー「目標接近! 体制を整えるぞ!」


ユミル「はん、あれが目標かよ。毎回思うが、お粗末なハリボテだよな」

マルコ「2体あるってことは、二手に分かれて討伐しろってことだね」

ライナー「俺とユミルは正面のデカイやつをやる! マルコ、クリスタ、アルミンは右のを!」

クリスタ「了解!」バシュウウ

マルコ「行こうアルミン!」バシュッ

アルミン「うん!」ビュオオ


マルコ「クリスタ、そのまま回り込んで右足の部分を削いで! 僕は左足を!」

クリスタ「わかった!」

マルコ「アルミン、君は樹上に行って、僕らが両足を斬りつけたら、うなじの部分を削いでくれ」

アルミン「ええっ、ぼっ、僕が!?」

マルコ「大丈夫、絶対に出来るから!」

アルミン「うっ――うん!」


バシュウウ スタッ

アルミン(落ち着いて……二人が斬りつけてからのタイミングを、しっかり見極めないと)

マルコ「クリスタ、行くよ!」

クリスタ「うんっ!」

ザシュ! ザシュッ!

グラァ

アルミン(今だっ!)バッ

ビュオオオオ

ザンッ!!

アルミン「やった!」


ボロッ

アルミン「え?」

アルミン(首の部分が壊れて――落ちて――)

マルコ「まずい! 右に!」

クリスタ「きゃああっ!」

アルミン「クリスター!!」バシュウウ

ビュオッ!

アルミン(え――人影?)

ゴシャアアア


ユミル「クリスタ! 大丈夫か!」バシュッ

クリスタ「私は平気、でも」

ライナー「――怪我はないか? クリスタ」ポタッ

マルコ「ライナー、腕から血が!」

ライナー「ん? あぁ、大したことじゃないさ。枝でちょっと切っただけだ」

アルミン「ライナー! クリスタ! 無事なの!?」

ライナー「心配いらない」


クリスタ「ごめんなさい! 私のせいでっ」

ライナー「何言ってるんだ。班長が班員を守るのは、当然のことだ」

ライナー「それに、対人格闘でミカサやエレンにしょっちゅう投げられるせいで、慣れてるからな。生傷作るのは」ハハッ

アルミン「……ごめん。僕がもっとうまくやれていれば」

マルコ「いや、見たところ、内側が腐敗していたみたいだ。アルミンのせいじゃないよ」

クリスタ「そうだよアルミン。私が足を削いだ後に、ちゃんと安全な所にいなかったのがいけなかったの」

アルミン「そんな……」ズキッ


ユミル「要するに、ただの事故だろ? 誰が悪いとか考えるだけ無駄だ。おいライナー」

ライナー「何だ?」

ユミル「私のクリスタがこんなに心配してやってるんだ。その腕、とっとと治せよ」

ライナー「言われなくてもそのつもりだ」

クリスタ「ライナー、ほんとにごめんね」

ライナー「謝らなくていい。クリスタの元気のない顔は見たくないからな」

クリスタ「……ありがとう」

ライナー「お前もだアルミン。そんなしょげた顔をするな」ポン

アルミン「……うん」



医務室前廊下


アルミン「……」

マルコ「アルミン? 中に入らないの?」

アルミン「クリスタが、一緒にいるから」

マルコ「そっか……」

アルミン「多分手当だけだから、すぐ出てくるとは思うけど」


マルコ「アルミン、まだ、ライナーの怪我、自分のせいだと思ってる?」

アルミン「ううん、それは……それで落ち込んでるんじゃないんだ。ただ」

アルミン「……クリスタに、あんなこと言わせるつもりじゃなかったから」


『私が足を削いだ後に、ちゃんと安全な所にいなかったのがいけなかったの』


アルミン「それに、やっぱりライナーって、凄いよね。僕よりずっと遠くにいたのに、一瞬でクリスタのもとに飛んできてさ」

アルミン「頼りがいがあって、優しくて……普通に考えたら、ライナーの方が僕よりずっと――」

マルコ「アルミン、それじゃあ振り出しに戻っちゃうじゃないか。言っただろ? 君は十分魅力のある男だって」


アルミン「でも……このままじゃ、遅かれ早かれ、クリスタはライナーに惹かれていくんじゃないかなって、思ったんだ」

アルミン「僕とライナーとじゃ明らかに、勝負できる手札の数が違うんだから」

アルミン「今はまだ良くても、このままだと僕の手札が尽きて、クリスタをライナーに取られてしまう。そんな終わり方は……嫌なんだ」

マルコ「……」

アルミン「でも、どうしたらいいのか……わからないんだ」

マルコ「いや、今もう自分で答え出したんじゃないかな、アルミン」

アルミン「へっ?」


マルコ「つまりさ、このまま持久戦に持ち込むと、手札が尽きていずれ負けてしまう、ってことだろう?」

アルミン「うん」

マルコ「てことは、手札が残っているうちに短期決戦に持ち込めば、まだ勝機はある、ってことだよね」

アルミン「うん……えっ?」

マルコ「ついでに言うと、最後の手札の前に出す手札も、そこそこ強いものの方がいいね。切り札はここぞって時までとっておくものだ」

マルコ「さて、それじゃあここでいう、最後の手札、になるものと言えば?」


アルミン「え……ちょ、まさか、まさか!? マ、マルコ! 何考えてんの!?」ガクガク

マルコ「わわっ、揺らさないでアルミン! あと声大きいよ! 聞こえちゃうから!」

アルミン「ご、ごめん、でも、それって」


アルミン「――告白するって、ことだよね?」

どんだけ指揮官能力発揮してんだよマルコwww


マルコ「そうだよ?」ケロッ

アルミン「そうだよじゃなくてえええ!!」ガクガクユサユサ

マルコ「ごめんごめん。僕は長期戦でもいいと思うんだけど、アルミン自身が不安そうだからさ」

アルミン「そ、それはそうだけど、そもそも本格的にアピールしだしたの、昨日からだしっ」

マルコ「確かに、アルミンが自らって意味では昨日からだけど、クリスタがアルミンの良さを知る機会も、その前からずっとあったわけでしょ?」

マルコ「僕たちはここでずっと一緒に、訓練生活を送っているんだから。クリスタだってきっとアルミンのいいところ、多かれ少なかれ分かってるはずだよ」

アルミン「……」

マルコ「選ぶのはアルミンだよ。長期戦に持ち込むか、短期決戦に賭けてみるか」


アルミン「……」

アルミン(正直今のまま告白するのは、怖い……でも)

アルミン(このまま長引けば、不利になるのは僕の方だ。確かに勝機があるとすれば、今――)

アルミン(でもっ、だからっていきなりすぎるよ!)

ガチャッ

マルコ「あっ、ライナー、どうだい?」

アルミン「!」ハッ


ライナー「お前ら来てくれたのか。心配ない。もう大丈夫だ」

クリスタ「訓練にも支障はないみたい。本当によかった……」

ライナー「ありがとな、クリスタ。ついててくれて」

クリスタ「ううん。私を庇ってくれたんだから、このくらい当然だよ」

ライナー「お前の手当てのおかげで早く治りそうだ」

クリスタ「そんな」テレッ

アルミン「……」

ライナー「じゃあ、後でな。俺はいったん寮に戻る」

クリスタ「またね、ライナー」

タッタッタッタッ


クリスタ「私はもう食堂に行くけど、二人は?」クルッ

アルミン「……ごめんクリスタ。まだ僕ら、ちょっと話したいことがあるんだ。すぐに行くから、先に行っててくれる?」

マルコ「アルミン?」

クリスタ「わかった。じゃあ食堂でね!」タタタッ

マルコ「……もしかして、決めたの?」

アルミン「うん……やっぱり僕、クリスタが好きだ。誰にも渡したくない」

アルミン「だから――」

アルミン「もたもたしていて後悔する前に、ちゃんと想いを伝えたい」


マルコ「そっか……応援するよ。頑張って」

アルミン「ありがとう」

マルコ「いつ言うの?」

アルミン「なるべく早く……出来れば、今夜にでも」

マルコ「怖気づかなくなってきたね」

アルミン「まさか。内心バクバクだよ。だけど何でかな、盤上での作戦立案や軍略だと思ってみると、感情と切り離して考えられるから」

マルコ「アルミンらしいね……よし、僕らもそろそろ食堂に行こうか。午後の訓練の後、行動に移そう」

アルミン「そうだね。行こう」

やるんだな!?




男子寮


エレン「ふー、さっぱりしたー」ガチャッ

アルミン「わっ、エ、エレン!」ビクッ

マルコ「早かったね、エレン」

エレン「何言ってんだ? お前らの方が早かっただろ。風呂出るの」

アルミン「そ、そうだけど」

エレン「ん? なんでそんなちゃんとした格好なんだアルミン? もう寝るだけじゃないのか?」

アルミン「いや、あの、これは、その」アタフタ


マルコ「んーとね……エレン」

エレン「何だ? マルコ」

マルコ「アルミンは、その……そう、教官に、大事な話をしに行かなきゃいけないんだ」

エレン「大事な話?」

マルコ「訓練方式について、ある提案をしに行くんだ。だから着替えてるんだよ。寝間着姿のまま教官室には行けないからね」

マルコ「だけど、自分なんかが意見していいのかって、不安になってるんだ。元気づけてあげてくれないかな?」

エレン「何だって、おいアルミン!」ガシィ!

アルミン「わっ」グラァ


エレン「お前が何を言いに行くのか知らねぇけどさ」

エレン「教官だって、お前の頭の良さを認めてる。成績って形でだけじゃなく、ちゃんとお前のことわかってるはずだ」

エレン「お前は、自分が何をすべきかはっきり見えてる奴だ。そんなお前の提案なら、教官だって無下に断ったりしない。きっと話を聞いてくれる」

エレン「だからさ、アルミン」

エレン「自信もって行けよ!」バシッ!

アルミン「――!!」


マルコ「流石だね、エレン」ニコッ

アルミン「……エレン、ありがとう」

エレン「おう!」

アルミン「マルコ。行ってくるね」

マルコ「行ってらっしゃい。待ってるね」

エレン「頑張れよ!」グッ


女子寮前


ガチャッ

ミカサ「――アルミン?」

アルミン「ミカサ……あの」

ミカサ「もしかして、人を呼びに来た?」

アルミン「……うん」

ミカサ「……」


ミカサ「呼んでくる」

アルミン「え、でも、まだ誰だか言ってないのに」

ミカサ「クリスタ」

アルミン「!」

ミカサ「違う?」

アルミン「どうして……」

ミカサ「昨日の食堂での様子で、なんとなく」

アルミン「ちょっと見過ぎだったかな」

ミカサ「アルミンだから、分かったのかもしれない」

アルミン「そっか。ミカサになら仕方ないか」


ミカサ「外に出るならクリスタも着替えたいと思う。少し待っていて」

アルミン「わかった。ありがとうミカサ」

ミカサ「このくらい、お安い御用」パタン


ガチャッ

クリスタ「ごめんアルミン、お待たせ!」

アルミン「ううん、急に呼び出しちゃってごめんね」

クリスタ「そんな、全然大丈夫だよ」

アルミン「ありがとう……少し、歩いてもいい?」

クリスタ「うん!」


兵舎裏


クリスタ「わぁ、もう星がたくさん出てる。綺麗~」

アルミン「本当だね」

クリスタ「この前も一緒に空を見たよね。夕焼け空」

アルミン「うん。とても綺麗だった」

クリスタ「私、こうやって空を見上げるの、すっごく好きなの。落ち着くっていうか」

アルミン「ねぇ、クリスタ」


クリスタ「なぁに?」

アルミン「空を見る時――その時は、ずっと僕と一緒にいてくれないかな?」

クリスタ「えっ?」

アルミン「晴れの日も、雨の日も、満月の浮かぶ夜も、太陽の昇り来る早朝も」

アルミン「君と一緒に見ていたい。君の隣で、見たいんだ」


クリスタ「アルミン……」

アルミン「君みたいな素敵な子にこんなこと言うのは……なんだかおこがましい気がするけれど」

アルミン「でも、僕にだって――」


『本当にクリスタが好きなんだね』


アルミン「誰にも負けない、気持ちがあるんだ」

頑張れアルミン


アルミン「クリスタ、僕は、君が好きです」

アルミン「君の隣にいたいです。君と、恋人になりたいです」

アルミン「僕と――付き合ってくれませんか?」


ドクン ドクン ドクン

ドクン…


クリスタ「……アルミン、私――」





男子寮入口前


マルコ「……!」ハッ「アルミン!」

アルミン「マルコ、わざわざ出てきてくれたの?」

マルコ「居ても立っても居られなくなって」

アルミン「そっか」

マルコ「それで……どうだった?」

アルミン「うん、あのねマルコ、僕――」












アルミン「振られちゃった」ニコッ

ああ…

うわあああああああああああん


マルコ「えっ……そんな、クリスタ、何て」

アルミン「好きな人がいるんだって」

マルコ「えぇ!? じゃあまさか、もうクリスタは、ライナーを」

アルミン「分からない。誰かとまでは教えてくれなかった」

マルコ「そっか……」

アルミン「マルコ、本当にありがとうね」

あああぁぁるみぃぃぃぃん~~~~!


マルコ「そんな、僕は――結局、君をけしかけただけで」

アルミン「違うよマルコ。君は本当に、僕の力になってくれたんだ」

アルミン「確かに、結果は望んでいた形ではなかったけれど……それでも僕は、本当にたくさんのものを手に入れたから」

アルミン「だから――っ」ポロッ

アルミン「……!」

アルミン信者憤死の会場はここですか


マルコ「アルミン……」

アルミン「ははっ……駄目だな僕は。泣かないって、決めた、のに」グスッ

マルコ「アルミン」ポンッ

マルコ「――頑張ったね」

アルミン「ふ……うっ……」ポロポロ

アルミン「うぁ……ああ……うぁあああっ……!」

マルコ「……」ギュッ…


―――――――
――――
――


マルコ「落ち着いた?」

アルミン「うん……ありがとう」

マルコ「向こうの水道で、顔洗ってきた方がいいかも」

アルミン「そうするよ。マルコ、先に戻ってて」

マルコ「一人で平気かい?」

アルミン「大丈夫だよ。ちょっと風に当たってくる」

マルコ「わかった」ガチャッ

パタン…

アルミン「……」


「……ありがとう、マルコ」

君のおかげで僕は、自分に自信を持てた。自分を変えられた。

どれだけ君に救われたかわからない。

だけど。

「……ごめんね」

そんな君相手に僕は、

ひとつだけ、嘘をついた。



『アルミン、私――好きな人が、いるの』

『……』

『だから、アルミンの気持ちには応えられない』

『……そっか』

『ごめんね』

『ううん。僕がクリスタを好きなように、クリスタもその人のことが好きなら、応援したいって僕は思うよ』

『……ありがとう』


『ねぇ、最後に……教えてくれないかな。クリスタの、好きな人』

『……』


彼女の幸せを、祈ってあげたい。

君も、僕を変えてくれた一人だから。

だから――


『あのね、アルミン』

『私――』




「――クリスタを、幸せにしてあげてね。マルコ」




終わり

乙 なかなか切ない落ちだったな

終わりです。ハッピーエンドじゃなくてすみません。男の子アルミンが書きたかったので。
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

乙!


おまけ(以下転載禁止)

~舞台裏 アニとミーナ~


ミーナ「……ねぇ、これどういうこと?」

アニ「何が」

ミーナ「なんで私の扱いがっ、毎度毎度都合のいいモブ役なわけ!?」

アニ「私だって今回はモブ扱いだよ」

ミーナ「アニは前作前々作とちゃんとした役所やってんじゃん!」

アニ「べつにいいじゃん。次はいっぱい出番あるみたいだよ?」

ミーナ「そうそれ!! それが一番イヤ!!」ビシィ

ミーナ「せっかくマルコにアタックするチャンスなのに!なんでクリスタの当て馬なのおおおお!!??」ジタバタ


アニ「まだ当て馬と決まったわけじゃないよ」

ミーナ「でも次クリスタ主役なんでしょ!? じゃあ勝ち目ないじゃん!」

アニ「そんなこと……」

ミーナ「ないって言ってえええええ!!」

アニ「ごめん」

ミーナ「なんで!? なんでよ!! 今やマルコの相手役といえば私って、SSでは定着してきてたじゃない! なのにこの仕打ち!」

アニ「……数合わせの面もあるかも」ボソッ

ミーナ「何か言った!?」

アニ「なんでもないよ」


ミーナ「もー! とにかくっ、次の話では今までの鬱憤晴らさせてもらうんだから!」

ミーナ「絶対話の大筋捻じ曲げてでも、マルコとくっついてみせるんだから!! そして末永く幸せに!! キャー!!」

アニ「んー……ちょっと厳しいかも、それ」

ミーナ「へっ?」

アニ「いや、だって、あんたとマルコはさ……」

ミーナ「何?」キョトン

アニ「……何でもないよ」


~アニ・ミーナ舞台裏終了~


~舞台裏2 ユミルとクリスタ~


クリスタ「今回長かったなぁ~。疲れちゃった」

ユミル「おいおい、このくらいで疲れててどうするんだ? 次はいよいよ主役だぞ、クリスタ」

クリスタ「しかも、これより長くなる予定なんだよね……心配」

ユミル「今回、本編完結までの総レス数が200超えたのにはびびったな。カットしたセリフやシーンもあるってのに」

クリスタ「でもレス数が伸びたのは、見てくれた人がいっぱい支援してくれたからってのもあるよね! ありがとう皆!」ニコッ

ユミル「おーおー、天使様の笑顔がまぶしいぜ」


ユミル「……というか、クリスタ」

クリスタ「なぁに?」

ユミル「お前、マルコが好きだったなんて話聞いてないぞ!」ガシッ!

クリスタ「わああっ、頭やめて頭! もう次の話の大枠も来てるのに、今更何言ってるのよっ!」バタバタ

ユミル「だからだよ! 今まで私に全く相談もしてなかったじゃないか!!」

クリスタ「だ、だって……」

ユミル「だって何だよ」

クリスタ「うっ……それは、今は言えないの! わかった?」プンスカ

ユミル「ちっ」


クリスタ「はぁ~あ。私、ちゃんと立ち振る舞えるのかなぁ。心配」

ユミル「私の天使なんだから出来るだろ。むしろ他の奴らが心配だ。次はシリーズ総決算に向けての話だからな」

クリスタ「かなり時間軸広がるんだっけ」

ユミル「年単位でな」

クリスタ「今まで三日間で恋して告白してたのが嘘みたいだね」

ユミル「お前今の顔結構ヤバイぞ」

クリスタ「ということで、次の話もよろしくねっ♪」

ユミル「無理矢理エンジェルスマイルでまとめやがった」



~ユミル・クリスタ舞台裏終了~


~舞台裏3 マルコ~


マルコ「ふぅ……とりあえず、今回の僕の出番は終わりか」

マルコ「ん、あれ? これ、次の話?」パラパラ

マルコ「へぇ、次もまた、僕の出番多いんだ。大変だけど、頑張ろう」

マルコ「って……あれ?」


マルコ「僕の台詞……なんで、トロスト区掃討戦の後からないんだろう?」



~マルコ舞台裏終了~

おまけ舞台裏もこれですべて終了です。

本編のしんみり空気に自分が耐え切れなくなってやった、自己満宣伝でした。
それでも容赦なく850年まで書く気でいるので、辛いシーン苦手な人はすみません。前もって言っておきます。でも読んでほしい(チラッ

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

ん?次クリスタが主役なら相手はマルコ....
ってことは.....?

まあ何はともあれ乙

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