エレン「遭難した」(55)
エレアニです
ちょいエロあり
原作10巻までのネタバレあり
エレン「行軍訓練?」
アルミン「うん。今さっき掲示板に貼られたらしいんだけど104期生全員で参加みたいなんだ」
エレン「またいきなりな話だな。前回はちょうど一年ぐらい前だったか?」
アルミン「そうだね1年ぐらいかな?」
ミカサ「エレン口の周りに食べかすついてる」フキフキ
エレン「自分でできるっつーの! ……で、アルミン。また湿地帯へ行軍するのか?」
アルミン「いや去年とはまた違う所に行くらしくて、巨大樹の森のもうすこし北のカラネス区あたりまで行くみたいなんだ」
エレン「去年より筋力も持久力もついたけど、自分がどこまでやれれるのか楽しみだな」ワクワク
ミカサ「エレンはすぐ無茶をする。絶対に危険な事はしないで、自分のペースでやってほしい」
エレン「わかってるってミカサ」
ライナー「おいエレン、次の行軍訓練はどちらが先に目的地に着くか勝負しようぜ」
エレン「いいぜ! 絶対負けねぇからな。1週間分のスープを賭けてもいいぜ」
ミカサ「エレン! 今言ったばかりなのに……」
ライナー「ハハッ。良い意気込みだな。」
エレン「準備が大事だからな、早めに部屋に戻って立体機動装置の整備しなくちゃ!」
ミカサ(エレンにはもう聞こえてない……。私がしっかり見てなくちゃ。)
マルコ「おーいみんな聞いてほしいんだけど、次の行軍訓練は5人で1つのグループを作って皆バラバラに目的地まで行くみたいなんだ」
マルコ「少しでも実戦に近い形での訓練にしたい……という事なんだ。」
マルコ「救いなのが装備の総重量が軽いって事ぐらいかな、あともうメンバーは決まってるみたい」
ザワザワ マジカヨ オレクリスタトオナジガイイ
ミカサ「ねぇ。私はエレンと同じ班?」
マルコ「いやミカサはベルトルトの班だね」
ミカサ「そんな……」ガックリ
マルコ「エレンは……、アニ、サシャ、コニー、クリスタと同じ班みたいだよ」
ミカサ「変更はできないの?」
マルコ「キース教官が決めた班だから無理じゃないかなぁ……」
マルコ「それぞれの班に成績の良い悪い人をバランス良く組み合わせたみたいだし」
ミカサ「アニ、ちょっといい?」ダダダダダ
アニ「なんだい静かに食事したいんだけど」
ミカサ「行軍の途中、エレンが無茶をしようとしたらアニが止めて」
アニ「なんで私なんだい、あんたがやれば良いじゃないか」モグモグ
ミカサ「私はエレンの側にいられないみたいだから。それにエレンを止めるのはアニが適役」
アニ「はぁ……。あの死に急ぎ野郎の側にいるだけで寿命が縮むってもんだよ」
アニ「なんで私なんだい?他の奴に頼みなよ」
ミカサ「エレンは尊敬してる人の言うことしか聞かない。夢中になると他の人の意見に耳を傾けなくなるのは私がよく知ってる」
アニ「ふーん……(あいつ私の事を尊敬してるのか)」ゴクゴク
ミカサ「それに、アニがあのグループで一番年上だから」
アニ「わかったよ。けど私は自分が一番大切なんだ。他の人の事なんかどうでもいいと思って生きてきた」
アニ「自分の安全が確認できている時に、ほんの少しで良いんだったらあいつの面倒をみてやるよ」
ミカサ「わかった。お願い」(エレンに何かあったら……)
アルミン「アニも大変だね……」ボソッ
アニ(誰とも関わりなく静かに訓練生を終えたいんだけどね……無理みたいだよ)
アニ(ミーナは良く話しかけてくるし、エレンは対人格闘でいつも組手させられるし)
アニ(馴れ合いは御免だね……)
――行軍演習当日
キース「いいか貴様らよく聞け! 今回の長距離行軍訓練によって各班の状況判断能力を養ってもらう!」
キース「実際に巨人と戦闘の際には、多対一で有利に戦闘をすすめる為に……」ナンタラカンタラ
コニー「で、誰が先導する?」
サシャ「そうですね~私は後ろのほうが良いです」
クリスタ「私もかなぁ」
エレン「なら俺がやるよ。他の班に負けないぞ!」
アニ「あんた元気だね……。こんな天候だっていうのに」
クリスタ「ひどい大雨だよね、昨晩は月が見えてたのにいきなり降ってきちゃって」
サシャ「大切な食料が濡れちゃいます! 皮袋に二重にして携帯しましょう!」ゴソゴソ
クリスタ「天候も悪いし、視界も霧がすごいくて悪いって予想だし気をつけて行こうね!」
エレン「ああ! ライナーの班には勝つぞ!」
クリスタ(大丈夫かな……。エレンに私の話聞こえてないよ。)
コニー「おいライナー見ろよ。カミソリ負けして顔が血だらけだぜw」ケラケラ
アニ(……この班嫌だな)
――行軍開始から8時間経過――
コニー「ハァ、ハァ、エレンそろそろ休憩しないか?足が限界だ」
エレン「そうだな。もうだいぶ進んだし、他の班よりリードしてそうだしな」フゥ
コニー「ありがとな! でもこんなに寒いとは思わなかったぜ……」
サシャ「えぇ寒いです……。けど大福で囲まれて死ねるのも良いですね……」ガタガタ
クリスタ「サシャしっかりして! それは大福じゃなくて雪だよ!」
アニ「ひどい寒さだね……事前に知らされてないにもほどがあるよ」
クリスタ「異常気象ってやつなのかな」
エレン「そうだな。フード付きのマントで何とか風はしのげるけど」
クリスタ「うん。でもどんどん吹雪が強くなるよ……このままじゃ」
エレン「あまり長居はしないほうが良さそうだな」
サシャ「お腹すきました……。あぁ、こんな所においしそうなおにぎりが……」ハムゥ
コニー「おいやめろよ俺の頭だぞ」
クリスタ「それにサシャも空腹で元気が無いし」
エレン「もう少ししたら出発しよう。アニ大丈夫か?」
アニ「まだ私は平気だよ。でも疲労よりも凍傷が心配だね」
エレン「本当だ!アニの手こんなに冷たくなってる」ギュ
アニ「っ!? もういいだろ、離して」バッ
エレン「ん……あぁ。悪い」
アニ(びっくりした……本当にコイツは油断ならないね。まぁ嫌じゃないけどさ」ドキドキ
エレン「アニ、手足の摩擦をしっかりしといたほうが良いぞ」
アニ「ん。わかったよ」
コニー「携帯用レーションも凍りつく前に食っちまったほうが良いかもな!」
サシャ「パァン……パァンはないんですか!?」
クリスタ「サシャ!パンはここには無いよ! もう少ししたら温かいもの食べれるから頑張ろ!」
サシャ「温かいスープよりパァンが良いです……けどしょうがないですね」
――数分後――
コニー「すげえ吹雪だ……視界が悪すぎて方向がわかんねぇ」
サシャ「う~。雪に足を取られちゃいますね」
クリスタ「こんなに足場が悪いとは思わなかったよ。もうブーツがボロボロ……」グスン
サシャ「体力の低下も早くなりますね……これはちょっと緊急事態じゃないんでしょうか?」
エレン「よし、俺はまだ十分動けるから少し先まで見てくるよ!」
エレン「目的地までの方向もわかんねぇしな! 何かわかったらすぐ戻ってくるからよ!」
クリスタ「エレンひとりじゃ危ないよ! とっても視界が悪いんだよ!?」
エレン「そうだな……じゃあアニ! 一緒に来てくれないか?」
アニ「……わかったよ。 けど絶対無茶しないですぐ戻るよ? いいね」
エレン「おう! じゃあ他の3人はゆっくり進んでてくれ」
クリスタ「大丈夫かなぁ……」
サシャ「戻ってきますよね……」
コニー「おいフラグ立てんなw ここで遭難とか洒落になんねーぞ!」
クリスタ「よし私達も進もう!」
―――――
―――
―
アニ「エレン! ちょっと飛ばしすぎだよ!」バシュ
エレン「ん、あぁ。アニならついてこれると思ってな」バシュ
アニ「ガスの残りは大丈夫なんだろうね?」ヒュッ
エレン「平気だって。それにモタモタしてたらライナーの班に負けちまう!」ヒュッ
アニ「あんた、まだ勝負がどうとか言ってるのかい」
エレン「あぁ。男同士の勝負なんだ」バシュ
エレン(それに、今回の行軍をトップの成績で終えて教官にアピールしたいしな)
エレン(あと……アニ達にも良い思いさせてあげたいしな)
アニ「わからないね……。少なくとも私達の命が危険にさらされてるかもしれないんだよ」
アニ「それなのに勝負って……。あんたはもっと自分の命を大切にしたほうが良いよ」バシュ
エレン「大丈夫だって。立体起動はちょっと自身あるんだぜ?……それに」グラッ
アニ「エレン!危ない!」
エレン「しまった……落ちる!」
アニ「……くっ」キャッチ
エレン「アニ! だめだこのままじゃ2人とも落ちる!」
アニ「もう間に合わないね……覚悟を決めなきゃ」
バキバキバキ ドサァ
――――その頃クリスタ達は――――
クリスタ「吹雪もおさまってきたし、なんとか無事に抜けられたみたいだね」
コニー「あぁ、一安心だな」フゥ
サシャ「そういえばエレン達もどってきませんね……あれからだいぶ時間もたってますよ」
クリスタ「私達のが先にさっきのエリアを通過しちゃったって事!? どうしよう……」
サシャ「てっきり二人共、このあたりで待ってるのかと思いました……」
コニー「まずいぞ……二人共無事でいてくれりゃ良いが。お!?誰かきたぞ」
ライナー「ようお前達の班とここで会うとはな」バシュ
コニー「ライナー! おいエレン、エレンとアニ見かけなかったか!?」
ライナー「エレンとアニ?俺たちの班は巨大樹の森あたりから迂回してきたから見かけなかったぞ?」
コニー「そうか……実はな……」ゴニョゴニョ
ライナー「エレンとアニが行方不明だって!? はぐれてからどれくらい時間たったんだ!?」
コニー「もう2時間になる……。 戻って探しにいかなくちゃ!」
ライナー「おいまてコニー! 伝令聞いてないのか? あのエリアは悪天候と足場が悪いから通行してはならないんだ!」
コニー「なんだよそれ! 俺たちそんな伝令聞いてないぞ!」
クリスタ「ライナー、どういうこと?」
ライナー「お前たちの班だけあの場所を通ってきたからだろう。……俺たちの2班だけが今トップみたいだしな」
ライナー「それに後から続いてる班にも今頃伝令が伝わっている頃だ……」
クリスタ「でもエレンとアニが今頃道に迷っているかもしれないの!」
ライナー「(天使……)いや、戻ってはダメだ。お前たちまで命の危険にさらす事になってしまう」
サシャ「教官から言われてましたもんね……いかなる状況であろうとも来た道を戻ってはならないって……」
コニー「クソッ! 仲間の命が危険かもしれないって時に助けに行くこともできないってのかよ!」
ライナー「それが今回の訓練の狙いでもあるんだろう。仲間を見捨てて目的を達成する事を優先させるという……な」
ライナー(でも俺だってこんなの気に入らねぇぞ……エレン、アニ……)
ライナー「だからクリスタ、泣かないでくれ。あいつらなら大丈夫だ」キャワワ
クリスタ「うん……。二人共強いから平気だよね……?」グスッ
ライナー「あぁ。絶対大丈夫だ。俺の班がお前たち3人をサポートをするから先に進もう」
サシャ「エレンとアニなら平気ですよクリスタ! 成績優秀ですし!」
――――――――――――
――――――――
――――
――
アニ(……くっ、体のあちこちがズキズキする……)
アニ(あれから結構時間がたったようだね……)
アニ(あんな高い所から落ちたのか、死ななくてツイてるようだけど……)
アニ(この寒さじゃそんな事も言ってられないか)ビュオオオオ
アニ(とりあえず起き上がろう……くっ!?)ズキーン
アニ(左足と右肩を痛めたみたいだね……これじゃ身動きできないじゃないか)
アニ(エレンは……横でまだ気を失ってるみたいだ)
アニ「エレン、エレン起きてよ」ユッサユッサ
エレン「…………アニ?うぅ、無事みたいだな、ここは!?」
アニ「あんた覚えてないのかい。あそこから仲良く落ちたんだよ」ユビサシ
エレン「そうだった……本当にごめん。俺のせいで」
アニ「謝るなら生きて帰ってからにしな。あんた怪我は?」
エレン「いや大丈夫みたいだ。あんな高さから落ちたのにな、アニのおかげだよ。ってアニ!?」
アニ「うん……どうやら手足を痛めたみたいでね、骨は折れてないけど動けないよ」
アニ「それに辺りは暗くなってきたし、吹雪も止みそうにないし……私はここで終わりかもね」
アニ「……何してんだい?」
エレン「いいから俺の背中に乗れよ!」
アニ「でも……もう無理だよ」
エレン「ごちゃごちゃ言ってるヒマがあるんなら早く乗れ! アニが怪我したのは俺のせいなんだからッ!」
エレン「アニが助けてくれなかったら、俺はもっと下まで転がり落ちていただろう!アニは命の恩人なんだ!」
アニ「大げさだね。私は保護者さんにアンタの面倒を頼まれてただけだよ」ハァ
エレン「保護者? わけわかんないこと行ってないで早くしろ!」
アニ「うん……」ギュ
エレン「ハァ……ハァ……」ザッザッ
アニ「…………」ギュゥゥゥゥ
エレン(アニ、思ってたよりも軽いな……)ザッザッ
アニ「エレン、重かったらあんたまで潰れちゃう。降ろしていいよ」
エレン「何言ってんだ。仲間を置いて行けるわけないだろ!」
アニ「仲間……か」
エレン「仲間だろ! 俺は怪我してる仲間をみすみす置いてなんて行けない!」
アニ「あんた、なんでそこまでするの? 実戦で怪我してる仲間がいたらほっとかないと巨人に食われるだけだよ」
エレン「アニ……。俺は自分が危険であったとしてもな、仲間を助けるよ」
エレン「人間の命ってのは一つしかないんだ。死んだ人は生き返らないんだ! 死んだ母さんはもう……二度と生き返らないんだ!」
エレン「アニだって、俺の大切な仲間だ。対人格闘を教えてくれるアニが好きだし尊敬してる!」
エレン「それに、アニに死なれたら俺が困るんだよ!」ダッダッ
アニ「馬鹿だね……」ギュッ
エレン「っ! アニっ! 首しまってるって!」
アニ「ふふっ//」ギュー
エレン「それに……その、背中に柔らかいものが当たってるぞ//」
アニ「しょうがないじゃん。……変態」
エレン「ああもうくそっ//」ダッダッ
アニ「でも、あんた余裕ぶってるけど本当は限界なんでしょ? 足」
エレン「…………」ダッダッ
アニ「私に心配かけないようとして、話題逸らせてるんじゃないの?」
エレン「俺なら大丈夫だ……」ダッダッ
アニ(はぁ。まったくどうしようもないバカだよ……」
エレン「……アニ、どうやら俺たちはまだ神様から見放されてないみたいだぞ」
アニ「どうしてこんな所に小屋が? まぁ、ひとまずは助かったみたいだね」
アニ「それよりあんた神様なんか信じてるんだね」
エレン「あぁ、信じてるぞ。ミカサには子供っぽいって言われるけどな」
アニ「あんたは子供だよ」クスクス
エレン「笑うなよ! 俺はもう大人だ!」プンスカ
エレン「とにかくあの小屋にはいろうぜ!」
エレン「誰もいないようだな」
アニ「人が長い間住んでないみたいだね、でもなんとか雨風はしのげそうだよ」
エレン「アニ! 暖炉があるぞ! 助かった……寒くて死にそうだ」ガタガタ
エレン「くそっ! 湿っててなかなか火がつかねぇ!」
アニ「装備もほとんど無くしちゃったし……。それにしても寒いね」ブルブル
エレン「よし、火がついたぞ!」
アニ「…………」ガタガタ
エレン「アニ! 凍傷になりかけてんぞお前……」
アニ「…………」クチビルマッサオ
エレン「まず濡れた服を乾かさなくちゃ」ババッ
アニ「パンツは履いといて……」ジトー
エレン「アニも服乾かせよ。低体温症になっちまう」
アニ「私はこのままでいい」
エレン「何言ってんだバカ! 生きて帰るって約束してくれ!」
アニ「わかったよ。……でも手足が痛くて、思うように動かせないからあんたが脱がして」
エレン「!?」
アニ「私の服はあんたが脱がしてよ」
エレン「わ、わかった……。後ろ向いててくれアニ……」モジモジ
エレン「…………」ヌガシヌガシ
アニ「…………」
エレン「アニ、なんか話てくれ。その……恥ずかしいんだ」
アニ「わ、私だって恥ずかしいよバカ! それにその、あんまり体みないで」
アニ「女性らしい体じゃないから……筋肉ばっかでね」
アニ(何恥ずかしがってんだろう私。コイツの前だから? いつもと違う状況のせい?)
エレン「そんなことないぞ。アニの体はスラっとしてて肌も綺麗だし……な//」
エレン「それに胸だって大きいじゃないか//」
エレン(正直目のやり場に困る)
アニ「へぇ、今まであたしの事そんな目で見てたんだね」
エレン「いや! 俺たちぐらいの年頃なら誰だってそうだぞ」
アニ「誰だって? じゃあアルミンとかもそうなのかい? 女に興味あるようには見えないけど」
エレン「アルミンなんか104期生の女子全員のスリーサイズ知ってるぜ! 誰の尻の形が良いとかずっとライナーやベルトルトと話してるし」
アニ「アルミンが……そう。意外だね」
アニ「まったく男どもは何話してんだか」ドンビキ
エレン「よし、アニ……そのズボン脱がすから少しお尻あげてくれ」
アニ「はいよ」スッ
エレン「じゃあ服は暖炉の側に置いて乾かしておくぞ。アニはどれくらい携帯食持ってる?」
アニ「ビスケット7枚に、チョコ3つ……これは凍っちゃってる。あとシリアルバー2本」
エレン「結構もってるな」
アニ「エレンは?」
エレン「ゴメン……全部落とした」
アニ「はぁ。命の大切さとか熱心に話してる割には、自分が一番死に近いんじゃないのかね。死に急ぎ野郎くん?」
エレン「返す言葉もございません……アニ様」
アニ「しょうがないね。あとは飲料水の確保だね、雪を集めてきて暖炉の火で溶かすんだよ」
アニ「燃料もいつまでもつかわからないしね」
エレン「はい! アニ姉さん!」バタン
アニ(まったく……あの男は裸で外に飛び出しちゃったよ)クスクス
アニ(まぁすぐ戻ってくるだろうけど。なんだろうこの気持は)
アニ(遭難したっていうのに、全然不安にならない)
アニ(それにエレンといるとなんだか落ち着く……)
アニ(変だね。私らしくない)
エレン「さっむぅー!!」バタバタ
アニ(ほらね、帰ってきた)クスクス
数分後
エレン「落ち着いてきたな。あいつら……無事だろうか」
アニ「クリスタがしっかりしてるから平気だろうね」
エレン「そうだと良いんだけどな。ここがどこかも分からないし、食料だってもう無い」
エレン「今日はとりあえず寝て……明日また移動を開始しよう」
アニ「それがいいと思う。明日になれば捜索だって出てるはずだろうし」
エレン「アニ……怪我の具合どうだ?」
アニ「ちょっと患部が貼れてきたみたい。捻挫だね」
エレン「ごめんな……手当とかなにもできなくて」
アニ「良いよ。治療道具も無いんだし、それにあんたは私を背負ってここまできてくれたじゃないか」
エレン「いや俺をかばったアニが怪我したんだし、全部俺のせいだよごめん……」ペコリ
エレン「体力も残しておきたいし、もう寝ようか」
アニ「うん……」
エレン「小屋の中探したんだけど、小さな毛布一枚しかなかった。これアニ使ってくれ」
アニ「あんたはどうすんのさ」
エレン「俺はフード付きマントがあるからこれで寝るさ」
アニ「そのマント濡れてんじゃないの? 駄目、こんな気温でそのまま寝たら死んじゃうよ」
エレン「じゃあどうしたらいいんだ? いっしょに寝るか……?」チラ
アニ「そのほうが良いと思う」
エレン「!? おいアニ!」
アニ「? くっついて寝たほうが暖かいし、暖炉だって火事になるから消さなくちゃいけないだろう?」
アニ「今、座ってるだけでも凍えそうなんだからそれしかないよ」
エレン「でも……いいのか? 男なんかと一緒に寝るって」
アニ「いいよアンタなら。……それに助けてもらったし嫌じゃないよ」
エレン「やった!」グッ
アニ「そんなに嬉しいの? 変な事はしないでね」ハァ
アニ「床は固いから……私のマント乾かしといたからこれを敷いて」
アニ「これでよし。おいで」バサッ
エレン「アニ……本当にお姉さんみたいだな」モゾモゾ
アニ「そんな離れてちゃ一緒に寝る意味ないじゃないか。もっとくっつきなよ」グイ
エレン「……おう。その、抱きしめちゃってもいいのか?」
アニ「うん。寒いからはやく」
エレン「…………」ギュ
アニ「エレンの体も冷たいね。でもこうしてれば暖かくなるからさ」ギュー
エレン(アニの体小さいなやっぱり。柔らかいし気持ちいい。この状況……男として幸せすぎる)
アニ「なんだか気持ちいいね」ボソ
エレン「えっ?」(やべ、声に出てたか?)
アニ「……抱き合うのがこんなに気持ちいいなんて知らなかったよ。それにとても落ち着く」
エレン「あ、アニも同じこと思ってたんだな//」
アニ「ん」
エレン「アニは大男を蹴り飛ばせる事ができる強さを持っているのに、こんなに小さくて柔らかくて気持ちいい」
アニ「…………」
エレン「あまり他の人との関わりを持ちたくないようにしてるのに、実際話してみると良いところばかりあるし」
エレン「本当は誰よりも優しい所があるよ……アニは」
アニ「そう……」
エレン「俺には今のアニが偽りのものであって、本当の性格を隠しているようにも見えるんだ」
エレン「初めて会ったときは冷たい奴だなと思ったけど、今はそういうふうに思ってる」
エレン「本当は誰よりも暖かい心の持ち主なんだと……
アニ「たしかに、私は他人と慣れ合うのが好きじゃないよ」
アニ「人と接するのが怖いんだ。自分が壊れてしまいそうで……ね」
エレン「なんだよそれ……アニらしくねぇぞ」
アニ「あんたにはわかんないよ……」
エレン「おかしいぞお前、そんな弱音吐くような奴じゃなかっただろ!」
エレン「俺の尊敬してるアニはな……誰よりも強くて、自分の意思を絶対に曲げない強い人だったんだよ!」
エレン「だからそんな事言うなよ! 弱音吐くアニなんて見たくねぇよ! いつもの強いアニでいてくれよ……なぁ」ハァハァ
アニ「…………」フゥ
アニ「ありがと……。でも私はあんたに尊敬されるような人間じゃないよ」
エレン「それでも弱音なんて吐くなよ……」ギュウゥゥ
アニ「わかったから。もう言わないよ。あんたはホント子供だね」フフ
エレン「子供じゃねぇよ!」
アニ「痛いよ。そんなに強く抱きしめないで」
エレン「悪い……気が付かなかった」
アニ「ふふ。なんか全部どうでも良くなってきちゃった。それにだいぶ暖かくなってきたね」
アニ「人間の体温ってすごいもんだ」ギュー
エレン「……アニさん、その、胸があたってます」テレテレ
アニ「しょうがないじゃん。大きいんだから」ニヤリ
エレン「アニ、その……キスしたいんだけど……」
アニ「なんで?」
エレン「なんでって……、裸で抱き合ってたら男はしたくなるんだよ!」
アニ「それだけ?」
エレン「あと……アニだから、かな//」
アニ「ふーん。キスって恋人同士でもない男女がするんだ?」ジー
エレン「」
アニ(エレン可愛い……)
エレン「無事に皆の所に戻れたら恋人になってくれ!」
エレン「お前が好きなんだよ!」
アニ「私もアンタの事、好きだよ……」
エレン「」チュー
アニ「」チュー
エレン「アニ、もう一回したい。いいか?」ハァハァ
アニ「私だってしたいよ//。落ち着いて」
エレン「アニとっても良い匂いだ……」
アニ「変なこと言わないでよ。私の手足が怪我で動かないのをいい事に……困ったもんだね」
アニ「今はキスだけだよ。汗かくと冷えちゃうからね、今は緊急事態なんだよ//」
エレン「おう……」チュー
・・・・・・・・・・・・・・・・
エレン「寒くないか?」
アニ「ん……あったかい//」
アニ(もう、目的とかどうでも良くなった。故郷の為に背負ってきたもの、全部捨てよう)
アニ(お父さん、ごめんね。私は一人の人間として幸せになりたい)
アニ(仲間の前で、この人の前で、敵になるのは嫌だよ)
アニ(きっと許してくれるよね? お父さん)
アニ(ライナーとベルトルトには無事に帰れたら説明しよう。きっとわかってくれる)
アニ(あいつらだって見てればわかるよ、どっち側で戦いたいなんて……ね)
アニ(エレン、私を変えてくれてありがとう)
翌朝
ミカサ「エレン! どこも怪我してない!? 大丈夫!?」
アルミン「本当に心配したよエレン!」
コニー「無事に辿りついてよかったなお前ら! 居なくなって大変だったんだぞ!」
エレン「皆心配かけたな……ホント悪いと思ってる。無事にここまでこれて良かったよ……」ホッ
ミカサ「無茶はしないでって言ったのに! あんなに吹雪いてたのにどこにいたの?」
エレン「あぁ、なんとか小屋見つけてな。そこで火をおこして暖をとったんだ」
クリスタ「立体起動が得意なエレンでも事故を起こしちゃうなんてね……助かってよかったね!」パァァ
エレン「手足が凍傷になりかけたて危なかったぜ。アニが知恵を貸してくれなかったら今頃……あれアニは?」
サシャ「アニなら救護室にいましたよ~?」
エレン「いつのまに……、ちょっと行ってくる!」ダッ
ミカサ「エレン?」
アルミン(アニと何かあったのかな……また胃の調子が)キリキリ
アニ「という事なんだ、ライナー、ベルトルト」
アニ「本当に悪いと思ってる。でももう決めたんだ」
ライナー「……俺たちも、あいつらと長く過ごしてきたせいで、もう何が正しいのかわからなくなってきてたんだ」
ベルトルト「本当に皆といると楽しいよね。辛い訓練なんて忘れてしまうくらい……」
ライナー「俺とベルトルトはきっかけが欲しかっただけなのかもしれない。アニ安心しろ、俺達もお前と同じ気持だ」
ベルトルト「僕達は同じ故郷の仲間じゃないか。3人で協力して、人類の為に戦おう!」
アニ「ライナー、ベルトルト……本当にいいのかい?」
アニ「ライナー、ベルトルト……本当にいいのかい?」
アニ「私は……ただ自分の幸せの為だけに……」
ライナー「もういいじゃないかアニ、女が自分の幸せの為だけに人生を捧げて何が悪いんだ?」
ベルトルト「ライナーも本当に変わったよね、昔はこんな事言わない人だったのに」クスクス
ライナー「いいだろ別に、俺だってクリスタを守るために生きていくのに吹っ切れたぜ」
ベルトルト「ちょw それでライナーが幸せなら良いけどさ」
アニ「本当にありがとう。二人共」
エレン「なんの話してたんだ……?」
ライナー「おや、鉄の女と言われたアニの心を溶かしたエレンがやってきたぜ」ニヤニヤ
ベルトルト「だね。エレン、アニから聞いたよ。僕達は応援するよ」
エレン「お前ら……ありがとな! アニ、具合はどうだ?」
アニ「2、3日安静だって」
エレン「そうか、ひどくないみたいで良かったな」
ライナー「エレン、浮気なんかしてみろ……本当に怒ったアニはあの時の比じゃないぜ」ケラケラ
エレン「まじか。浮気なんかしないけどな俺」
アニ「あんたにその気がなくても、相手が積極的だったらどうなのさ?」
エレン「ないって! アニだけだから!」
ベルトルト(これから毎日大声でこんな事言い合うんだろうなぁ)ヤレヤレ
ミカサ「エレン! ……今の話どういうこと? アニだけって何? 説明して」
エレン「ミカサ……あのな、実は俺とアニ……」
アニ「エレン、ミカサには私から言わせて。ミカサ、私とエレンは付き合う事になったから」
エレン「おい……」
アニ「エレンが私の事好きだって告白してきたの。私も好きだったのがわかったから、付き合う事になった」
アニ「エレンの家族のミカサだからこそ、私の口から言いたくてね」
ミカサ「エレン……本当なの?」
エレン「あぁ本当だ……、後で皆にも話すつもりだったんだが、俺からアニに告白したんだ」
エレン「初めて女の子を好きになったんだ、こんな気持ガマン出来なくて告白しちまった」
エレン「もちろん訓練生として、節度ある付き合いをしていくつもりだ」
ミカサ「わかった。エレンがそこまで言うのなら、私は応援する」
ミカサ「正直アニが羨ましい……けど、エレンが選んだ人なら信じる。もう何も言わない」
アニ「ミカサ……」
ミカサ「けどもしエレンを泣かすような事があったら、私はアニを許さない」
エレン「逆じゃねーか! 俺がアニを泣かすような……だろ! いや、泣かすような事なんてしないけどな」
アニ「わかった。心得とく」
ライナー(ひとまず安心だな。アニ、頑張れよ)
ベルトルト(ライナー、エレンが浮気したら腹いせにアニに蹴られるのはたぶんキミだよ……)
ベルトルト「ライナー、ミカサも、ちょっとキース教官にたのまれた仕事するのに手伝ってはくれないかな?一人だとキツイんだ」
ライナー「わかった。いくぞミカサ」
ミカサ「」バタン
アニ「ベルトルトの奴……気をきかせてくれたんだね」
エレン「あとでお礼しなくちゃな」
エレン「アニ、手をにぎってもいいか?」
アニ「手を握るだけでいいの?」
エレン「昨日から思ってたんだけどさ、アニって結構意地悪だよな」ギュ
アニ「そうかい?」グッ
エレン(!?)
アニ「」チュ
おわり
信用第一、
良い品質、低価 格は
私達の勝ち残りの切り札です
http://to4.cn/cRC
http://to4.cn/cRD
http://to4.cn/cRE
http://to4.cn/cRF
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません