シンジ「遭難した…」 (75)
アスカ「はぁ〜!?嘘でしょ!?」
マリ「ありゃ。ケータイ、圏外だ」
アスカ「もう!これだから嫌だったのよ、こんな山奥であんたたちとハイキングなんて」
レイ「…諜報員」
アスカ「あ、そうよ!あの黒服たち!いっつも私たちのこと見張ってんでしょ?どうせ今も」
カヲル「…、そういえば、妙だな。今日は気配を感じないね」
レイ「ええ」
シンジ「…すいません!ミサトさんのとこに連れてってくれませんか!すいません!」
………。
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シンジ「……だめかぁ…」
アスカ「チッ、大事なときに限って役に立たないなんて使えない奴らね。パイロットに何かあったら困るのは自分たちのくせに」
マリ「今日は途中まで葛木一佐が一緒に居たから安全だろうと思ったんだけどにゃー。まさかこんなことになっちゃうとは」
アスカ「あーもう、そうよ…大体ミサトがはぐれたりするから…、……。ミサトが」
レイ「…」
シンジ「あの…」
アスカ「な…なによ」
マリ「姫ぇ。私たちみーんな姫の後ろに着いてきたんだよー?」
アスカ「……。……何が言いたいのよ」
カヲル「…果たして、はぐれたのは本当に葛木一佐の方だったのか…」
アスカ「!! なっ…なによ…私が悪いっての!?」
カヲル「…君を責めてるわけじゃない。どこまでも似通った見慣れない景色だ、無理もないさ」
シンジ「アスカ、落ち着いて。喧嘩は良くないよ」
レイ「…今は、現在の状況確認と安全確保が最優先事項」
マリ「ん。不思議ちゃんの言うとーり。とりあえず… …さて、どうしよ?」
カヲル「あまり無闇に動き回らない方が良いんじゃないかな。もう捜索隊も動いているだろう」
マリ「パイロット全員の所在がつかめないなんてこの上ない異常事態、今頃ネルフは大騒ぎだろね」
アスカ「…。私たちがいない間に使徒が来ない事を祈るしかないわね」
レイ「……」
シンジ「? 綾波?」
レイ「…そこ」
シンジ「…うわ、なんだこれ?…洞窟?」
カヲル「シンジくん、気をつけて。無闇に入ると危ないよ」
アスカ「平気でしょ。そんなに奥までは続いて無さそうだし。…よっ、と」
アスカ「…うん。かなり薄暗いけど割と広いわよ。もし一晩明かす事になってもここなら全員寝られるんじゃない?」
シンジ「ほんとだ。ここなら雨が降っても大丈夫そうだね」
マリ「んじゃー次は周辺散策だね。なんか面白いものないか探してみよー」
アスカ「ちょっとコネメガネ!あんたさっきそこのホモが言ってた事ちゃんと聞いてた?」
マリ「ん、聞いてたよ。だから無闇に動き回るのは私だけ!いってきまーっす」タッタッタッ
シンジ「真希波さん!」
マリ「へーきへーき、ちゃーんと戻ってくるからお座りして待ってて、わんこくん!」
シンジ「ああっ…… …行っちゃった…」
カヲル「本当に自由奔放だね、彼女は。悪い事では無いけれど」
レイ「…碇くん」
シンジ「あ。綾波、何?」
レイ「これ…何かしら」
シンジ「……? なんだろう、…動物の毛?」
アスカ「げー、何これぇ?良く見たらあっちこちに固まってんじゃない、きったないわねぇ」
カヲル「動物…? ………」
シンジ「どうしたの?カヲルくん」
カヲル「…、なんだか嫌な予感がするんだ。ここに寝泊りするのは避けた方がいいかもしれない」
アスカ「…何?この辺りになんか危ない動物がいるってこと?」
カヲル「その可能性は十分あると思うよ」
シンジ「危ない動物って、例えばどんな…、」
レイ「…熊」
アスカ「くまぁ?…クマってあの…前に授業で習った、あの“クマ”?」
カヲル「熊という生き物は確かセカンドインパクトで滅んだはずだよ」
アスカ「そうよ。熊なわけないじゃない」
レイ「ごめんなさい。…この間読んだ本に載っていたから、つい」
アスカ「都市伝説の本でも読んでたんでしょ、どーせ」
短いけど書き溜めてないので一旦きります
クマー
期待
はいフラグが立ちましたー
そんなのいない=います
こう言うの好き
期待だがホモにだけはするなよ
そうなンですゥ
今日の分投下しにきました。
当分ちまちま進行になると思う申し訳ない。
>>10
一瞬ダチョウ倶楽部的なフリかと思ったがホモどころか恋愛要素ほぼ無いSSになると思うのでご安心を。
※逆にイチャラブやらエロやら求めている人には向かないSSになるかもしれない。
ってこれ先に書いとくべきだったな、すいません。
シンジ「昔は山の中には熊以外にも危ない動物がたくさんいた、って習ったよね」
アスカ「でも、そのほとんどが絶滅したんでしょ?」
カヲル「そういった危険な動物が居なくなった事で、別の動物が山の王になっている可能性もあるよ。…それはもしかしたら、普段から僕たちが目にしている身近な動物かもしれない」
シンジ「身近な動物かぁ…、…えっと、例えば…?」
レイ「…。犬」
シンジ「犬?」
カヲル「…シンジくん。下がって」
アスカ「…?」
???「グルルルル………」
アスカ「!? なっ、何よこいつ!?」
野犬「バウバウ!」ダッ
アスカ「なんでこっちに来るのよぉ!きゃあああああ!」
シンジ「!! 危ない!アスk———…」
レイ「…」タッ
ドンッ!
アスカ「痛っ… …はっ!エコヒイキ!?」
野犬「ウ゛ー… グルルルル」
レイ「……くっ…」
シンジ「綾波っ」
野犬「ウ゛ウウウ……」
シンジ「くそっ…!綾波から…離れろ!!」
カヲル「…生身で敵いそうな相手ではないけど、やるしかなさそうだね」
マリ「やっほーただいまー。ね、みんな聞いてよーあっちの方にさ… …ん?何か取り込み中?」
シンジ「ま、真希波さん…!」
アスカ「あんたタイミング悪すぎよ!!」
野犬「グルルル… ………バウバウ!」ダダッ
アスカ「やばい!コネメガネの方に…っ」
レイ「逃げて…8号機の人!」
野犬「ガウ!」
マリ「…」
シンジ「真希波さん!逃げ———」
マリ「ほいっと」
プシューッ
野犬「キャイン!」
野犬「キャン!キャン!キャン!!」タッタッタッ
カヲル「………逃げて行ったね」
マリ「いやー、びっくり。たまたま催涙スプレー持ってて良かったよ」
シンジ「なんでそんなもの…」
マリ「自分の身に何かあってエヴァに乗れなくなったらヤだからね。こんくらいの防犯はしとかないと」
シンジ「はっ…そうだ!綾波!大丈夫?!」
レイ「平気」
アスカ「平気ってあんた…血が……」
シンジ「噛まれたの?」
レイ「私は平気。…でも」
カヲル「制服が汚れた事を気にしてるのかい?…今回は仕方ないさ」
マリ「ちょっと見せて。…んー、傷はそんな深くは無さそだね、不幸中の幸い」
マリ「でも一応、傷口洗ったり消毒したりした方がいいかも」
レイ「…大丈夫」
マリ「ちっさい傷でも甘く見ない方がいーよ。ほら、向こうに川があったから行こ」
シンジ「この洞窟、さっきの犬の住処だったのかな…」
カヲル「そうだろうね。野犬は群れで行動すると聞くから、いつまでもここに留まるのは良くないかもしれない」
マリ「んじゃ、ちょうどいいや。川の近くにちょっと開けた場所があったから、みんなであの辺りまで行こーよ」
—数十分後。
シンジ「…、ほんとだ。この辺りはちょっと木が少なくて周りが良く見えるね」
マリ「さ、あっちの川まで一緒に行こー、不思議ちゃん」
レイ「平気。1人で行けるわ」
カヲル「単独行動はおすすめしないよ」
レイ「平気」
マリ「んんん…まぁ、1本道だったけど…ほんとに大丈夫?」
レイ「大丈夫」スタスタ
シンジ「綾波…」
アスカ「……」
マリ「さーて、それじゃあ不思議ちゃんが帰ってくるまで今晩の宿作りといきましょーか」
シンジ「へ?」
マリ「テントだよ、テント。もしもの時に備えて準備しといたんだー」
マリ「ちゃんと2つあるから、わんこくんたちのと私たちのと、手分けして張ろーよ」
シンジ「妙に荷物が多いと思ったらそんなものまで持ってきてたんだ…」
アスカ「……」
シンジ「でも僕、テントなんて張った事ないや…」
カヲル「大丈夫だよシンジくん。僕にまかせて」
アスカ「……」
マリ「姫ー。手伝ってよー」
シンジ「すごいや。カヲルくん、本当に何でもできるんだね」
カヲル「こんなのはただの知識に過ぎないよ」
アスカ「……」
マリ「姫ぇー?」
アスカ「…。ちょっと、そこのホモとバカシンジ。コネメガネを手伝って」
シンジ「え?手伝ってって、それはいいけどアスカは…」
アスカ「散歩してくる」スタスタ
シンジ「な、何言ってるんだよアスカ!アスカも手伝えよ!」
マリ「ほっといてあげよーよわんこくん。多分姫、川の方に行ったんだと思うよ」
シンジ「川…?」
カヲル「彼女の事、気にしていたみたいだったからね。…さあ、そっちのテントも手伝おう」
シンジ(…彼女…って、……もしかして…綾波?)
—川。
レイ「……」バシャバシャ
アスカ「……」
レイ「何」
アスカ「…何って、何よ?」
レイ「何しに来たの」
アスカ「別に。散歩してたらここに来ちゃっただけよ」
レイ「そう」
アスカ「………」
レイ「…」バシャバシャ
アスカ「あんた、いくら人気の無い山の中だからって良くそんな風に何の躊躇いも無く下着姿になれるわね。ありえない」
レイ「なぜ?」
アスカ「あんたも一応女でしょ?向こうにバカシンジやナルシスホモだっているのに」
レイ「制服汚れたから、洗濯してるだけ」
アスカ「…そういえばあんた、昨日ミサトに『こんな気候とはいえ山の中は危ないから長袖の服着てきてね』って言われなかったの?」
レイ「そういう指示は受けたわ」
アスカ「なら、なんでいつも通り学校の制服着てきてんのよ。…まぁ、あのホモもバカみたいに制服姿だったけど」
レイ「……」
アスカ「ふん。何よ、シカト?」
レイ「何」
アスカ「…? だ、だから、何って…何よ」
レイ「何か言いたいの、私に」
アスカ「はぁ? べ…別に」
レイ「そう」
アスカ「……」
レイ「…」バシャバシャ
アスカ「…。ねぇ」
レイ「…」
アスカ「傷、痛むの?」
レイ「平気」
アスカ「…〜〜〜っ…平気平気ってあんたねぇ、あんな大きな犬に噛まれたのよ?痛いんでしょ、ほんとは」
レイ「平気」
アスカ「………っ」
レイ「あなたをかばったわけじゃない」
アスカ「!」
レイ「私が勝手に行動しただけ。この傷はその結果」
レイ「…あなたは、気にしなくていい」
アスカ「…! …何よ…、この私に恩着せるつもり?」
レイ「違うわ。私の傷とあなたは、関係ないもの」
アスカ「…。エコヒイキ。もう洗濯済んだでしょ、制服貸しなさい」
レイ「?」
アスカ「私が向こうに持ってって干しておくから」
アスカ「…あと、どうせ替えの服なんて持ってきてないんでしょ。ここに私の服、置いておくから着なさい。汚してもいいから」
レイ「…」
アスカ「傷に塗る薬は持ってるの?」
レイ「出発前に赤木博士が持たせてくれた消毒液と包帯があるわ」
アスカ「…そう。それじゃ、傷の手当てくらいは私がするから」
レイ「いい。1人で、平気だから」
アスカ「こういう時は黙って従いなさいよ。…私、先に向こうに戻るわ」
レイ「そう」
アスカ「………」スタスタスタ
アスカ「エコヒイキ」
レイ「何」
アスカ「…悪かったわね。…それから、ありがとう」
レイ「…。ええ」
一旦切り
乙でした
乙!
野生の犬に噛まれるのって結構やばかった気がする
おつん
こういうサバイバル系の好き
カヲル君が違う方のテント張ったら笑ったのに(ぁ
綾波とアスカが仲良くてぽかぽかする
アスカ(………)
アスカ(あいつも笑うのね)
アスカ(…当たり前か)
アスカ(…………)
アスカ(………、なんでかしら)
アスカ(あの子の笑顔、ちょっとだけバカシンジに似てた…)
—夜営地
マリ「お。お姫様おっかえりぃー」
アスカ「ただいま。テント張れた?」
マリ「見てのとーり、ばっちり。半分は男子組が手伝ってくれたよん」
アスカ「ふーん、そう。あんたたちもたまには役に立つじゃない」
ガサガサッ
シンジ「あ。綾波お帰り………、って、あれ?その服…」
アスカ「薬、出しなさい。包帯もね」
レイ「ええ。お願いするわ」
シンジ「………」
レイ「碇くん。何?」
シンジ「え? あ、いや…なんでもないよ」
レイ「そう」
アスカ「………よし、と。これでオッケー」
レイ「…」
アスカ「言っとくけどお礼なんて要らないわよ。たかが応急措置だし」
レイ「…ええ。それじゃあ」スタスタ
アスカ「ふぅ…」
シンジ「…ねぇ、アスカ」
アスカ「何?」
シンジ「今綾波が着てる服って確かアスカの…」
アスカ「…そうよ。もう着ないから、くれてやったの」
シンジ「え?でも、確か一番気に入ってるって言って———…」
アスカ「はぁ? …いつの話してんのよ、ったく」
マリ「姫ー。ちょっと来てー」
アスカ「はーいはい、今行くわよ」タッタッタ
シンジ(………)
シンジ(いつって…、昨日、そう言ってたじゃないか)
シンジ(…ふふ。……なんか、アスカらしいや)
アスカ「晩ご飯?」
マリ「そ。夕飯なしじゃさすがにきついっしょー」
アスカ「でも、食料どうすんのよ。お菓子くらいならリュックに入ってるけど…」
マリ「そこはだいじょぶ!ほらっ」
アスカ「ん?にんじん、たまねぎ、じゃがいも、ミネラルウォーター、…カレールー」
マリ「お米と飯盒炊爨キットもあるよん」
アスカ「あんたのリュック四次元ポケットにでも繋がってんの?」
シンジ「けど、すごいや。これがあればカレーができるよ」
アスカ「…ちょっと待って、肉が無いじゃない」
マリ「あ!めんご!買い忘れだわ」
アスカ「ええー!?肉のないカレーなんて元気出ないじゃないの!」
シンジ「で、でもほら、綾波は肉苦手だしさ、ちょうど良かったんじゃないかな」
アスカ「むぅ…。…仕方ないわね…」
マリ「さーて。材料は有れど夕飯にありつく為にはもう一個重要なことがあります。…なんだと思う?」
レイ「…料理できる環境が無いと、何も作れないわ」
カヲル「とりあえず、今必要なのは火かな」
マリ「ぴんぽーん!夜は真っ暗になっちゃうだろーし、できれば明け方くらいまで火は燃やしておきたいところだにゃ」
シンジ「夜中に急に動物に襲われたら困るもんね…」
アスカ「でも野生動物が火を怖がるのって、大概デマなんでしょ?」
カヲル「周りが見えるのと見えないのでは大違いさ。灯りがあった方が随分安全だと思うよ」
アスカ「…ま、それもそうね」
シンジ「火か…。まずは何したらいいんだろう」
マリ「マッチなら持ってるから、薪でも集めて来よーよ」
レイ「薪。…森の中に、ある?」
カヲル「木は多いからね。あるんじゃないかな」
マリ「んじゃ行こっか。日が傾いちゃわないうちにさ」
アスカ「ちょっと待った」
シンジ「何?」
アスカ「2つのグループに分かれましょ。片方は薪集め、もう片方は料理の下準備」
カヲル「確かにその方が効率は良さそうだね」
アスカ「じゃ、バカシンジとホモはここで料理の準備で、私とコネメガネとエコヒイキが薪集めって事で」
シンジ「へ?」
アスカ「私の決定に文句無いでしょ。行くわよ、コネメガネ、エコヒイキ」
マリ「はいはーい」
レイ「…」
シンジ(普通男女の役割が逆だよ…)
マリ「飯ごうでご飯炊くなら石とか太い木の棒なんかも取って来た方が良さそーだよね」
アスカ「そうね。探してみましょ」
マリ「…あ〜、きっと重いんだろにゃー…考えただけでゲンナリ」
アスカ「………」
マリ「? 姫?」
アスカ「…やっぱチェンジ」
シンジ「?」
アスカ「ホモ、こっち」
カヲル「僕かい?」
アスカ「で、エコヒイキは向こう」
レイ「…」
アスカ「これでいいわ。行くわよ」
—森の中
マリ「それにしても姫、粋なことするよね」
アスカ「何の話よ」
マリ「またまたぁ。そこの色白くんと不思議ちゃんをトレードしたのって、不思議ちゃんのためでしょ?」
アスカ「はぁ?」
カヲル「怪我をしている彼女に重い物を持たせたくなかったんだね」
アスカ「はあぁ? …ち…違うわよ、良く考えたら女だけで森の中散策するなんて危ないから、」
マリ「んふ。まーぁいっか、そういう事にしとこ」
アスカ「…バ…バッカじゃないの!そういう事にしとくもなにも、そういう事なのよ!それ以外に理由なんて無いわ」
カヲル「誰かを思いやる気持ち。…隠す必要は無い感情だと思うけどな」
アスカ「あんたいい加減にしなさいよ。もしまた危ない動物が出てきたら今度は男のあんたを生贄にしてやるから」
カヲル「はは」
マリ「…にひひ」
アスカ「………っもう!あんたたちダブルで鬱陶しい!人の顔見てニヤついてんじゃないわ!」
アスカ「ほら、無駄なお喋りしてないでとっとと薪拾って戻るわよ!あんたたちのペースに付き合ってるとほんとに日が暮れちゃう!」
カヲル「仰せのままに、」
マリ「お・ひ・め・さ・ま♪」
アスカ「………ッ…! この、ウルトラバカコンビ!」
—野営地
シンジ「えーっと…、…野菜、ちゃんと火が通るかな…」
レイ「碇くん」
シンジ「あ、ごめん。何?」
レイ「私、何をすればいい?」
シンジ「うん、野菜洗ってきたから、にんじん切ってもらえるかな?」
レイ「うん」
シンジ「多分、少し小さめに切った方がいいと思う」
レイ「わかった」
シンジ「…綾波、手は痛くない?」
レイ「平気。弐号機の人、手当が上手だったから」
シンジ「あはは。それ、ちょっと意外だった。アスカもあんなに丁寧に包帯巻けるんだなって…」
レイ「…」
シンジ「…あ。今の、アスカには内緒ね」
レイ「ええ」
シンジ「これでよし。………細かく切っても5人分だと量が増えるから火の通りが少し心配だけど…」
レイ「もう、いいの?」
シンジ「うん、ありがとう綾波。助かったよ。あとはみんなが帰ってくるのを待ってからにしよう」
レイ「……」
シンジ「?」
レイ「碇くん」
シンジ「うん」
レイ「…なんだか、嬉しそう」
シンジ「えっ? …そ、そうかな…」
レイ「ええ。とても」
シンジ「………。…うん、そうだね。嬉しいよ」
レイ「なぜ?」
シンジ「…楽しいから」
レイ「楽しい?」
シンジ「うん。…僕たち、エヴァパイロットとしてじゃなく、こんな風にただの友達みたいにみんなで集まってワイワイしたこと、そういえば今まであんまり無かったなって」
レイ「……」
シンジ「成り行きとはいえ綾波たちとキャンプできるっていうのが嬉しいっていうか…えっと…」
レイ「……」
シンジ「…、ごめん。そんなのんきな事言ってる場合じゃないのに」
レイ「いいの」
レイ「私も。…私も、ぽかぽかしてる」
シンジ「ぽかぽか?」
レイ「そう。エヴァに乗らなくても今、私、みんなと繋がってる」
レイ「…ぽかぽかする」
一旦切ります。遅筆ですみません
乙!
いいね 乙
シンジ「ぽかぽかって…、嬉しいってこと、かな」
レイ「…………。よくわからない、…けど、多分そう」
シンジ「そっか…。綾波も同じだったんだ。嬉しいな」
レイ「ぽかぽかする?」
シンジ「あはは…うん、ぽかぽかする」
レイ「そう…」
シンジ「……」
レイ「……」
シンジ「…。………ずっとこんな風に、みんなで…」
レイ「……」
シンジ「…」
レイ「碇くん…?」
シンジ「…ううん、…ごめん。なんでもないんだ」
—森の中
アスカ「………うう…」
アスカ「…おもーい!」
アスカ「はぁ…思ってたより骨が折れるわね、これを運ぶってのも」
マリ「まーしょーがないよ。薪がこんなに見つかっただけでもオッケーとしなきゃ」
アスカ「…わーってるわよ…。……くっ…」
カヲル「つらそうだね」
アスカ「…チッ…あんたの方がいっぱい持ってんのになんでそんなに余裕そうな顔してんのよ。気に入らないわね」
カヲル「そう、ごめんね。少し手伝おうか?」
アスカ「………放っといて!」スタスタ
マリ「あーあー… …姫〜待ってよー」スタスタ
カヲル「彼女も相変わらずだな。男女の体力に差があるのは仕方が無い事なのに」
カヲル「…ん?」
カヲル「あの木の上にあるのは…。木の実か」
(フッ……)
カヲル「よっ…と」ブチッブチッ
カヲル「…こんなものかな」
カヲル「リリンも空を飛べたらこういう時楽なのに」
—野営地
アスカ「ぜぇ、ぜぇ………」
マリ「たっだいまー」
シンジ「アスカ、真希波さん、お帰り。あれ?カヲルくんは…」
マリ「多分遅れて来るんじゃないかにゃー。姫が急に急ぐからちょっとはぐれちゃったんだよね」
シンジ「そっか、大丈夫かな…」
アスカ「ぜぇ…はぁ…、……ち、ちょっとはあたしらの心配もしなさいよバカシンジ…」
シンジ「ご、ごめん!こんなにあったんだね、薪。お疲れ様」
レイ「これ」
アスカ「はぁ、はぁ…え?ああ…水?たまにはあんたも気が利くじゃない」
シンジ「少し休んでてよ、アスカ。ご飯の準備は僕がするから」
アスカ「…ん…そうさせてもらうわ」
マリ「私も待ってていいのかにゃ?」
シンジ「うん、いいよ。薪ありがとう」
レイ「碇くん」
シンジ「ん?」
レイ「私も、手伝うから」
シンジ「うん。ありがとう」
マリ「んじゃあ……ほい、これマッチね」
シンジ「………、なんとか火は点いたか…。でもこんなんでご飯ちゃんと炊けるのかな…」
レイ「…きっと、大丈夫」
シンジ「…そうかな…、…うん。そうだよね」
アスカ「まあ非常事態だし。ちょっとくらい硬かったり焦げてても文句言わないわよ」
シンジ「あれ?アスカ、休んでてもいいのに」
アスカ「水飲んだら少し落ち着いたからいいのよ。まだ明るいうちからテントでダラダラしてんのも暇だし」
マリ「えー、一緒にダラダラしようよ姫ぇ」
アスカ「あーもーうっさいわねぇ…、離れなさいよ」
マリ「つれないにゃ〜…」
シンジ「あはは…」
レイ「…」
カヲル「やあ、遅くなったね」
レイ「おかえりなさい」
カヲル「うん」
シンジ「カヲルくん」
マリ「おっかえり〜。置いてっちゃってごめんにゃ」
カヲル「平気だよ。…それよりシンジくん、これ」
シンジ「? …木の実?」
カヲル「うん。食後のデザートくらいにはなるんじゃないかと思って」
シンジ「わざわざ取ってきてくれたんだ…。ありがとう」
アスカ「食べられんの?これ」
カヲル「1つ食べてみるかい?」
アスカ「ん。……………へぇ、案外いけるじゃない。甘いのね」
マリ「なになに?私にもひとつ!」
アスカ「ちょっ…ひとつって言いながら大量に持って行こうとしてんじゃないわよ!」
—夕方。夕飯
アスカ「んんんん〜………、…まぁまぁね」
シンジ「ごめん…」
マリ「でもこの環境で立派にカレー作っちゃうわんこくん、すごいと思うよー?」
シンジ「心配してた通りなかなか火が通らなかったから大変だったよ…」
カヲル「大丈夫だよ。ご飯もちゃんと炊けているし」
レイ「ええ」
アスカ「やっぱり肉が無いのが一番の原因ね」
マリ「だーからその点はごめんってばー」
カヲル「…、日が傾いてきたね。夕日が綺麗だ」
マリ「ほんとにね。こんな状況じゃなかったらもっと素直に喜べたんだけど」
シンジ「………」
アスカ「どうしたのよバカシンジ、呆けちゃって」
シンジ「へ?…あ、いや…ううん」
マリ「ねーねー。提案なんだけどさ、夜になったら交代で見張り番しようよ。火も一晩中点けとく予定だし」
カヲル「そうだね」
マリ「順番、暗くなる前に相談して決めとく?」
アスカ「賛成」
カヲル「それじゃあ向こうで決めようか。シンジくん、ごちそうさま」
マリ「ごちそーさま!」
シンジ「うん」
シンジ「……食器は後で川で洗った方がいいかな」
レイ「碇くん」
シンジ「?」
レイ「カレー、おいしかったわ。とても」
シンジ「綾波…」
レイ「ありがとう」
シンジ「僕の方こそ。手伝ってくれてありがとう」
アスカ「……バカシンジ」
シンジ「え?」
アスカ「さっきはああ言ったけど、悪くは無かったわよ」
シンジ「へ…?」
アスカ「…カレーのことよ!」
シンジ「あ、そうか…。ありがとう、アスカ」
アスカ「……。先に言わないでよ」
シンジ「?」
アスカ「…なんでもない。見張り番決めに行くわよ。片付けは後でみんなでやればいいんだし」
シンジ「いいの?」
アスカ「? いいも何も当たり前でしょ。私だって後片付けまでシンジ1人に押し付けようなんて考えてないわよ」
シンジ「………」
アスカ「ほら、行くわよ」
シンジ「…うん!」
—夜
カヲル「すっかり暗くなってしまったね」
シンジ「うん…。結局助け、来なかったね」
カヲル「大丈夫だよ。明日になればきっと助けが来るさ」
アスカ「そうよ。私たちがいなくなったら世界中みんなが困るんだから」
マリ「ところでさぁ、色白くん寒くないの?そんな格好で」
カヲル「僕?平気だよ」
アスカ「そういえばちょっと冷え込んできたわね…。やっぱ山だからなのかしら」
カヲル「そうだろうね。雨が降っていないのは不幸中の幸いだけど」
アスカ「…エコヒイキ」
レイ「何」
アスカ「あんたにあげた服、長袖とはいえそんなに厚くないでしょ?寒いんじゃない?」
レイ「…平気よ」
アスカ「ほんとにぃ?」
シンジ「あ、そうだ。僕上着持ってきてるから、もし寒かったら…」
レイ「碇くん。私は平気」
アスカ「バッカみたい。痩せ我慢してないで、使えるもんは使えばいいじゃない」
レイ「あなたの方こそ」
アスカ「は?」
レイ「寒そうに見える」
アスカ「!」
マリ「そういえば姫も薄手の服だよにゃー」
アスカ「よ、よっけーなお世話……っくしゅん!」
マリ「ほらほらぁ」
シンジ「アスカ、風邪引くよ。…ほら、これ使って」
アスカ「………。…ありがとう」
シンジ「……それでさ、ペンペンとミサトさんが…———」
アスカ「でも、あれは元はと言えばバカシンジが…———」
マリ「いいにゃ〜。同い年で共同生活って楽しそう」
カヲル「本当にね。僕もシンジくんと暮らしてみたいな。きっと楽しいだろうね」
アスカ「ったく…あんたら他人事だから言えるのよ、そんなこと」
シンジ「あ。そういえばこの間学校でトウジとケンスケが…———」
アスカ「はぁあ?あんたら3バカは相変わらず…———」
レイ「…鈴原くん、確かその時…————」
カヲル「シンジくんはそれに巻き込まれて…———」
マリ「へー。ねぇねぇそのわんこくんの友達と姫の友達ってさー…———」
………。
シンジ「…あれ。もうこんな時間か…」
マリ「話してると結構あっとゆーまだね」
アスカ「…げっ、私の携帯バッテリー切れてんじゃない!サイアク」
カヲル「最初の見張り番は僕だから、みんな先に休んでいて」
レイ「……」
カヲル「次の見張りは君だけど、時間になったらどう伝えにいったら良いかな」
レイ「…。交代の時間には起きるから」
カヲル「そう。わかった」
マリ「それじゃーよろしくねん♪」
アスカ「ふあぁ…。テントって寝心地悪そー…。しょうがないけど」
シンジ「よろしく、カヲルくん」
カヲル「うん、まかせて。おやすみ」
—数時間後
カヲル「…」
レイ「交代」
カヲル「ああ…、もうそんな時間なのかい?」
カヲル「それじゃあ、後は宜しく」
レイ「…。どこに行くの?」
カヲル「少し、ね。君は気にしなくていい」
レイ「…そう」
レイ「………」
レイ(…火)
レイ(暖かい……)
今回はここまで。また夜中に来れたら投下に来ます
—数時間後。女子テント内
レイ「8号機の人」
マリ「んん…むにゃ」
レイ「8号機の人」
マリ「…………うう…ん…、…あー…、不思議ちゃん? …交代の時間かにゃ」
レイ「ええ」
マリ「そっか、了解…。ん〜…っ…よし、切り替えよっと。めがねめがね…」
レイ「これ」
マリ「お。ありがとー!むふふ…可愛い顔が良ーく見える♪」
レイ「……」
マリ「あはは、相変わらずつれないにゃ〜」
ジジジーッ…
ガサゴソ
マリ「どっこいしょ…っと。あー、あったか〜い♪」
レイ「……」
マリ「…およ?どうしたの不思議ちゃん、君の番はもう終わったっしょ?」
レイ「…。ええ、ちょっと」
マリ「森に行くの?危ないからやめといた方がいいんじゃないかにゃ」
レイ「平気」
ガサッ
ガサガサガサ………
マリ「あーらら、行っちゃったよ」
マリ(…こんな場所で夜遊びだなんて意外と活動的なのかね、あの子)
—森の中
カヲル「〜♪ …〜♪」
レイ「………」
カヲル「〜♪ ………、やぁ。君か」
レイ「…何をしてるの」
カヲル「空を見ていたのさ。今夜は月も星も、とても良く見える」
レイ「空を見て、どうするの」
カヲル「どうもしないよ。ただ少し、考え事をしてたんだ」
レイ「考え事?」
カヲル「うん、…大した事じゃないよ」
レイ「…そう」
カヲル「…」
レイ「…」
カヲル「君は彼の事をどう思ってるの?」
レイ「彼?」
カヲル「シンジくんさ」
レイ「…。なぜ、私にそんな事聞くの」
カヲル「…特に理由は無いよ」
レイ「……」
カヲル「答えるのが嫌かい?」
レイ「違うわ。…どう答えたらいいのか、わからないだけ」
カヲル「それなら、いいよ。無理に答える必要も無い」
レイ「…、…ぽかぽか」
カヲル「?」
レイ「碇くんといると、…ぽかぽかする」
カヲル「ぽかぽか?」
レイ「そう。胸の奥の方。…ぽかぽかする。だから、私も碇くんに、ぽかぽかして欲しい」
カヲル「君と一緒に居る時、シンジくんにも同じ気持ちになってほしいってこと、…かな」
レイ「…。わからない。でも、碇くんにはいつも、…いつでも、ぽかぽかしていて欲しい、と思う」
カヲル「そう。僕と似てるね」
レイ「…あなたは碇くんのこと、どう思ってるの」
カヲル「多分、君と似たようなものじゃないかな」
レイ「…あなたも、碇くんにぽかぽかして欲しいと思ってるの?」
カヲル「僕は彼を幸せにしたいと思ってる。それだけだよ」
レイ「幸せ?」
レイ「…幸せ、って、何?」
カヲル「さあ、僕にもわからないな。きっと人によって幸せの定義は違うから」
レイ「……」
カヲル「僕はまだ、彼の望む本当の幸せがどういうものなのか、わかっていないんだ」
レイ「………、あなたは」
レイ「あなたは…、きっと碇くんのためならなんでもする。その覚悟があるのね」
カヲル「…。それは君も同じだろう?」
レイ「…。なぜ、そんなことが言えるの?」
カヲル「君は僕と同じだから」
レイ「…」
レイ「あなたが何を考えているのか、…私には、よくわからない」
カヲル「そうだね。結局他人の心なんて、誰にもわからないものさ」
レイ「………」ガサッ
カヲル「向こうに戻るのかい?」
レイ「ええ」
カヲル「そう。1人で平気?」
レイ「平気」
レイ「…」ピタッ
レイ「あなたが何を考えているのか、知らない」
レイ「でもあなたは、…何かとても難しい事を考えている、気がする」
レイ「……」
レイ「碇くんを…」
レイ「…碇くんを、悲しませる選択だけはしないで」
カヲル「…」
レイ「…」
カヲル「綾波レイ」
レイ「…何?」
カヲル「…同じ台詞を、そのまま君に返すよ」
レイ「……私が死んでも…代わりはいるもの」
カヲル「本当にそうかな?」
レイ「?」
カヲル「“碇シンジくん”にとっての“綾波レイ”は、きっと、君しかいないよ」
レイ「…………」
レイ「…おやすみなさい」
カヲル「うん。おやすみ」
レイ(……)テクテク
レイ(エヴァ。使徒。戦い。街。雨。朝。夕日)
レイ(ぽかぽか。幸せ。笑顔。碇くん。碇司令。パイロットのみんな)
レイ(笑顔。幸せ。優しさ)
レイ(碇くんの笑う世界)
レイ(私のまわりに居る人が、笑う世界)
レイ(碇くんの望んでいる世界)
レイ(私の、望んでいる世界)
レイ(………)
—野営地
マリ「……」
ジジジーッ…
ガサゴソ
マリ「? …あれ、姫」
アスカ「……」
マリ「まだ交代の時間じゃないよ?」
アスカ「…。寒くて目が覚めただけ」
マリ「そっか」
アスカ「…テント、誰も居なかったけど、エコヒイキは?」
マリ「あー、森に行っちゃってさ。引き止めたんだけど、“平気”って」
アスカ「はぁ!?…大丈夫なの、あいつ?」
マリ「んー…、もしあと10分待っても帰ってこなかったらみんな起こして探しに行こっかなと」
アスカ「………そう」
マリ「……」
アスカ「……」
マリ「姫、なーんか元気無いね?」
アスカ「別に」
マリ「……」
アスカ「……」
マリ「ねぇ、姫。ずっと気にしてたっしょ」
アスカ「…何をよ」
マリ「不思議ちゃんの怪我のコト」
アスカ「…」
マリ「姫1人で責任感じること無いと思うよ?…ま、あの場に居なかった私が言えた事じゃないけどさ」
アスカ「…。…あいつ、私をかばったのよ」
マリ「…うん」
アスカ「バカよね。碇司令の命令聞き人形のくせに、誰の指示でもなく私なんか助けちゃってさ」
マリ「ん〜…でもさー、普通誰でも助けるっしょ。仲間が危ない目に遭ってたら」
アスカ「そのせいで自分が傷ついても?」
アスカ「…もし、そのせいでエヴァに乗れなくなったらどうするとか、そういう事考えないのかしら」
アスカ「バカシンジを助けるんならまだわかるわ。あいつ、バカシンジに対しては他とはちょっと違う気持ち抱いてるみたいだし」
アスカ「でも、なんで…私なんか」
マリ「…。姫は…、もし目の前で友達が危ない目に遭ってたら、どうする?」
アスカ「……知らない。わからないわよ、そんなこと」
マリ「…多分、だけどさ…。いくらなんでも黙って放置、なんてことはないんじゃないかにゃあ」
アスカ「…………」
マリ「…ほら、姫ってけっこー面倒見いいし」
アスカ「…」
マリ「エヴァに乗ってない時にまでそんな風に気を張る必要ないよ。姫はまだ中学生なんだから」
アスカ「もう…えらっそーに説教しないでよ。…あんただって同い年くらいでしょ」
マリ「………ん」
マリ「ま、元気出してね姫」
アスカ「…別にそんなに落ち込んでるわけじゃないし」
マリ「そ?それならいいんだ。…交代の時間になったらもっかい呼びに行くから、テントで休んでてよ」
アスカ「…うん」
マリ「おやすみー」
ジジジーッ…
ガサゴソ
マリ「………」
マリ「…んー、年頃の女の子の心はなかなか難しいにゃ…」
今夜はここまで
乙 おもしろい
乙でした
組み合わせ色々で原作でもこういう掛け合い見たいわ
—数分後。
マリ「…」
ガサガサッ
マリ「ん」
レイ「……」
マリ「おっかえりぃ。どこ行ってたの?」
レイ「…。森の向こう」
マリ「ふぅん…なんで?」
レイ「……Mark.06の人が向こうにいたから、少し話してきた」
レイ「…それだけ」
マリ「へえぇ〜?こんな夜中に逢引だなんて、おふたりとも意外と隅に置けないねぇ♪」
レイ「…」
マリ「…」
レイ「…」
マリ(…うーん、やっぱ姫やわんこくんじゃないとからかい甲斐が無いにゃ…)
レイ「次の見張り、弐号機の人?」
マリ「え?あ、ああ…うん」
レイ「もう時間ね」
マリ「そいえば、そーだね。さーて、お姫様を起こしに行きますか…」
レイ「待って」
マリ「?」
レイ「私が代わる」
マリ「へ?でも…」
レイ「いいの。…おやすみなさい」
マリ「…う…うん? それじゃ、おやすみ」
—数時間後。男子テント内
ジジジーッ…
ガサゴソ
カヲル「シンジくん」
シンジ「…すー、すー……………う…ん…、…?」
カヲル「お客さんだよ」
シンジ「え?」
レイ「…碇くん」
シンジ「わぁ?!あ、綾波」
レイ「交代」
シンジ「あ…そっか、最後の見張り番、僕だったっけ。わざわざありがとう、綾波」
レイ「ええ」
シンジ「じゃあカヲルくん、行ってくるよ」
カヲル「うん。気をつけて」
ガサゴソ
ジジーッ……
シンジ「…もう結構明るくなってるね」
レイ「…眠れた?」
シンジ「うん、大丈夫」
レイ「そう。…私は、テントに戻るから」
シンジ「うん」
—数十分後
ジジジーッ……
ガサゴソ
シンジ「?」
アスカ「…ふあぁ…。…まぁ、慣れない環境にしては良く眠れたほうかしら」
シンジ「アスカ!どうしたの」
アスカ「あんたの前、私の番だったのに、エコヒイキが勝手に代わってたみたいなのよ」
シンジ「あ…やっぱり。僕の前ってアスカだったよね、変だと思ったんだ」
アスカ「私に“元気が無いように見えたから”…って。余計なお世話よ、ほんと」
シンジ「そっか…綾波がそんな事言ってたんだ」
アスカ「……自分だって怪我してるくせに。どいつもこいつもお人好し」
シンジ「? 何か言った?」
アスカ「何でもない」
アスカ「…それにしても暇ねぇ。ゲームでも持ってくれば良かった」
シンジ「もうちょっと寝てきてもいいよ?」
アスカ「いいのよ、もう目冴えちゃったし。それに私、見張りしてない分みんなより長く寝てるし」
アスカ「これ以上優遇してもらうなんて、なんかフェアじゃないでしょ」
シンジ「フェアって、別にそんな事誰も気にしないと思うけど…」
アスカ「私が気になるのよ」
シンジ「そ、そういうものなんだ…」
シンジ「…あっ」
アスカ「何?」
シンジ「…薪、無くなっちゃった」
アスカ「そう。まぁ大丈夫でしょ、もう大分明るくなってきたし」
シンジ「朝ごはんの準備、どうしよう?」
アスカ「今日助けが来る保障も無いしね…。食料は温存しといた方がいいと思うわ。朝ごはんは私のお菓子を全員で分けるって事で」
シンジ「お菓子…か。何持ってきたの?」
アスカ「ポッキーとクッキーとポテチ」
シンジ「え。ポテチってまさか………コンソメ?」
アスカ「そ」
シンジ「ひ、酷いよアスカ!それ僕が買っておいたやつじゃないか!」
アスカ「るっさいわねー、食べずに済んだらちゃんと返すわよ」
シンジ「ほんとかなぁ…」
アスカ「何よ、私が嘘つくとでも言いたいの?」
シンジ「そ…そういうわけじゃないけど…」
アスカ「…」
シンジ「…」
アスカ「…静かね」
シンジ「そうだね…」
アスカ「山の朝って、気持ちいいのね」
シンジ「うん…」
アスカ「…」
シンジ「…」
アスカ「何、黙り込んじゃって」
シンジ「え?あ、いや…」
アスカ「そういえば昨日も、みんなで夕日見てたときにぼーっとしてたわよね」
シンジ「えっと……」
アスカ「山の景色にでも見惚れてたの?」
シンジ「それもあるんだけど…、…みんなで一緒にいて、みんなでご飯なんて食べて、話してることが…なんかすごく嬉しくて」
シンジ「今回みたいな形じゃなくて、今度はその…、またみんなで、こんな風に遊びに来れたらいいなとか…思ったりして」
シンジ「……うまく言えないや」
アスカ「………。はぁ…、あんたってほんとにバカね。こんな状況なのに、どんだけのんきな脳みそしてんのよ」
シンジ「そ、そうだよね。…ごめん」
アスカ「……」
アスカ「まぁでも、悪くはないんじゃない?」
シンジ「え?」
アスカ「私たちはエヴァのパイロット。やることはきちんとやんなきゃいけないから、当分は無理だけど」
アスカ「使徒をみーんな倒しちゃってその後もし暇になったら…またどっか出かけてもいいかもね」
アスカ「あんたたちうるさいしめんどくさいけど…、たまになら付き合ってやってもいいわ」
シンジ「本当? …そっか、楽しみだな…。次はトウジやケンスケも呼びたいや」
アスカ「…じゃあ、ヒカリやミサトもね」
シンジ「人数が増えるのは嬉しいけど、ちょっと男女比率が偏りすぎな気が……」
アスカ「何よ?あんたたち男は、こーんな美女たちに囲まれるんだからいい事しか無いじゃない。素直に喜べばいいのよ」
シンジ「え、えええ…」
アスカ「…でも、忘れんじゃないわよ。こんなのはきちんと私たちの仕事を終えてからの話だからね」
シンジ「………。うん」
アスカ「…そろそろエコヒイキたちを起こしてくるから、あんたもホモを起こしに行って」
シンジ「うん」
アスカ「………シンジ」
シンジ「?」
アスカ「私も、また遊びに来れるの…ちょっとだけ楽しみにしてるから」
シンジ「!」
アスカ「…そのためにも今まで以上に気合入れて訓練するのよ!実戦で足引っ張んないでよね」
シンジ「あはは…、うん、わかってるよ」
—朝食
マリ「んまーい♪」ポリポリ
アスカ「食べ過ぎないでよね、そんなに量無いんだから」ポリポリ
レイ「……」サクサク
マリ「私も何かお菓子持ってくれば良かったかにゃー」ポリポリ
アスカ「何よ、ここにあるお菓子だけじゃ不満?」
マリ「ん〜…ほら、こう甘いものが多いとちょーっと辛いものも食べたくならない?ビーフジャーキーとかさ」
アスカ「あんたの嗜好って妙に渋いわよね…。ジャーキーは無いけど、ポテチでも食べる?」バリッ
シンジ「ああっ」
カヲル「どうしたんだい?シンジくん」
シンジ「……う、ううん…なんでも…ないよ…」
アスカ「もう、そんな顔しなくたっていいじゃない。後で買って返すわよ」
シンジ(そう言われて返ってきたこと、今まであんまり無いんだけどな…)
…ガサッ
レイ「…………?」
シンジ「あれ…どうしたの綾波、もういいの?」
レイ「…。何かいるわ」
アスカ「!? …まさか、また動物が………」
マリ「えー、…今度こそ熊だったりして。なーんて」
アスカ「へ、変なこと言うのやめてよね!」
………ガサッ
カヲル「…近いね、こっちに向かってる」
シンジ「え……」
ガサ、ガサガサガサ
———ガサッ!!
アスカ「きゃあああああああ!」
シンジ「うわあああああああ!」
???「みんな!」
アスカ「え…」
シンジ「………ミ…ミサトさん!」
ミサト「良かった…!」
リツコ「5人とも、無事ね?」
ミサト「…もしもし、こちら葛城。パイロット5名、山の中腹あたりで無事に保護したわ。他の捜索隊にも問題ないと伝えて頂戴」
カヲル「どうやら助かったみたいだね」
レイ「ええ」
シンジ「よ…良かった…」
アスカ「もう、見つけに来るのが遅すぎよ!」
ミサト「…ほんっとにごめんなさい。反省してるわ…」
リツコ「みんな体調に問題は無い?」
マリ「零号機パイロットが負傷しました。他のメンバーはだいじょぶです」
リツコ「レイ、怪我をしたのね。大丈夫?」
レイ「浅い傷です。問題ありません」
アスカ「…ちゃんと見てやって。野犬に噛まれたの」
リツコ「あら…それは大変ね。腫れはあまり無さそうだけど…戻ったらすぐに検査をしましょう。消毒は?」
レイ「済んでいます。弐号機パイロットが、適切な処置をしてくれました」
リツコ「……そう。良かったわね。ありがとう、アスカ」
アスカ「別に礼なんていらないわ。私が勝手にやっただけだから」
アスカ「そんなことより、ミサトたちとも無事に合流できたわけだし、とっとと帰りましょ」
ミサト「そうね…、向こうに車を待たせてあるから、行きましょう」
リツコ「…………ところで、シンジくんもアスカもいつまでそうやって抱き合ってるつもり?」
シンジ「え?…あ!」バッ
アスカ「……!!!?ち、ちちち違うわ、これはその…っ」バッ
ミサト「あらあら?」
アスカ「ニ、ニヤつかないでよミサト!てっきり熊が出たのかと思ってびっくりしただけだから!」
—車内
ミサト「…それにしても、大した怪我もなくみんな無事に保護できて本当に良かったわ…」
リツコ「本当にね」
ミサト「ねぇシンちゃん、昨日私とはぐれちゃってからみんなは———……あれ?」
リツコ「…みんな相当疲れてるのよ。負傷したレイ以外は戻ったらすぐにハーモニクステストが待っているんだし、寝かせておいてあげなさいな」
ミサト「…そう、ね」
リツコ「それにしてもみんな、普段あんなにいがみ合ってるのに」
ミサト「ね。今はまるでちっちゃい子供みたいにくっ付き合って眠っちゃって。…普段からこうなら手がかからないのに」
リツコ「………それより、ミサト?」
ミサト「な…何?」
リツコ「子供たちも静かな事だし、今のうちに始末書の内容でも考えておいた方が良いんじゃなくて?」
ミサト「…そうねぇ…」
リツコ「今回のこと、始末書とボーナスカットくらいで済んで良かったわ。碇司令のご厚意に感謝しないとね?」
ミサト「わかってるわよぅ。あーあ、今月もビール節約しなきゃダメね」
リツコ「くすっ…。まったく、あなたはいつもそればっかりなんだから」
終劇
お付き合い頂きありがとうございました。
合間のレス、とてもありがたかったです。
俺得自己満でしか無さそうだけど、こんな感じのグダグダダラダラしたネタをまたいくつか形にしたいと思っているので、次にスレたてた時もし好みに合えばまたお付き合い頂けたら嬉しいです。
それでは。
乙
面白かった
面白かったよ
ありがとう
面白かったよ!おつおつ!
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