苗木「じょうずな絶望とのつきあいかた」 (1000)


ネタバレネタバレアンドネタバレ


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江ノ島「いい加減あいつをどうにかしてどうかさせちゃわないとなー」

戦刃「……あいつって?」

江ノ島「苗木だよ苗木ィ!」ズギャーン

戦刃「な……苗木君は笑顔が素敵で誰にでも優しくてかわいいだけのごく普通の男の子だから盾子ちゃんが気にするような相手じゃないよ!」

江ノ島「ハイハイお姉ちゃんが絶望の魔の手からだーい好きな人を守りたいって気持ちはよく解ったよ」

戦刃「……」

江ノ島「でも実際問題あいつの【超高校級の幸運】はアタシのジャマになりそうなんだよね」

ネタバレしかないじゃないですかー

これは絶望ちゃんとのいちゃラブで間違いないんだな?


戦刃「盾子ちゃんの……ジャマ?でも他の期にも超高校級の幸運はいるけど……」

江ノ島「そうやって矛先ずらしてでも苗木を救おうとする姿勢は好印象かもねーお姉ちゃん」

戦刃「そんな……」

江ノ島「なわけねーだろ!あのお人好しが他を犠牲に生き残るなんてこと望むかバーカ!」ズギャーン

戦刃「……」

江ノ島「というかさ、他の超高校級の幸運なんて雑魚なんだよ雑魚。苗木だから問題なわけ」

戦刃「苗木君だから……?」

江ノ島「あいつによって運用される超高校級の幸運がジャマなんだよ。超高校級の幸運を持った苗木という存在がジャマって言った方が正しいのかな。つまり苗木が目障り。ハイ終わり」

戦刃「苗木君はそこまで特別なの?」

江ノ島「いやぜーんぜん。でもあいつの人格と才能がおっそろしく噛み合うことがあるんだよね。そしたら絶望的にウザいことになる」

江ノ島「才能ってのは人格によって運用されるわけだけどさ。幸運って才能は人格に染まり易いはずなんだ。だって幸運って人それぞれ違うし」

戦刃「苗木君の人格……」

江ノ島「あいつの幸運はさ、あいつ自身の前向きさを受けて【希望につながる幸運】なんだよ」

戦刃「苗木君の幸運が……希望を?」

江ノ島「そ。アタシの大嫌いで大好きな希望にね。あいつ自身は『人よりほんの少しだけ前向きなのが取り得』とか言っちゃってるけどあんなんポジティブなんてレベルじゃないっつーの病気だよ病気!あの病的な前向きさに染まった幸運は間違いなく希望を手繰り寄せてくれちゃうわけ。緻密に築き上げられた美しく芸術的な絶望をひっくり返してくれちゃうわけ!」


戦刃「じゅ、盾子ちゃん……なんでそんなに詳しく苗木君の幸運とかが解るのかな……?」

江ノ島「軽度の絶望的嫌がらせを120通り程企画し彼の幸運の性質を分析させて頂きました」クイッ

戦刃「ひゃ、ひゃくにじゅう……!?」

江ノ島「私の計算によると半数以上は死の絶望を堪能すべき内容でした」

戦刃「全然軽度じゃないよ……!?」

江ノ島「にも関わらずね。彼は絶望するどころか幸運と諦めの悪さで巻き込まれた事件を端から解決してきたんだよ。ついでに希望をバラ撒きつつ……ね」ゴゴゴゴゴ

戦刃「……不運なのか幸運なのか解らないよ……」

江ノ島「アタシという絶望に狙われることは不運でもなんでもなくただの必然さ。希望の匂いのあるところ全てに這い寄る影が絶望なのだからね。しかし問題なのは彼が私が用意した絶望を全て乗り越えることが出来ているという点なんだよね……。これを幸運と呼ばずして何と呼ぶのかな」

戦刃「超高校級の……幸運……」


江ノ島「しかもぉー、いちいち希望を見せつけてくれちゃうからぁー、わたしもぅ心がポッキリ折れそうになっちゃったんだぁー。希望に絶望しちゃうってやつ?」キャピルン

戦刃「私の知らないうちに盾子ちゃんがピンチに……!?」

江ノ島「でもねぇー気づいちゃったんだぁ。わたしぃ苗木クンの希望に絶望してぇー……」


江ノ島「その絶望が……かっ、カイカンになってきちゃったんだよねぇ……」ダラダラ

戦刃「……」

戦刃「……え……?」


江ノ島「つまりさぁ、苗木に接近して絶望を与え続ければ、カワイイ苗木クンの絶望顔も見られてなおかつその絶望をぶっ飛ばされ私も絶望できるという永久機関が完成する!しかも希望という途轍もなく胸くそ悪いものがくれる絶望は飽きることもない!ってことに気づいちゃいました!今!」

戦刃「今!?……ていうか苗木君がジャマだって話じゃなかった……?だったよね……!?」

江ノ島「そんなものはもうどうでもよいのじゃ。私様は常に未来に絶望しておるのだからな」ドドン

戦刃「……過去現在未来全てに絶望してるんじゃ……」


江ノ島「では参ろうか、絶望的希望、希望的絶望の旅路へと」ハッハッハ……

戦刃「ま、待って盾子ちゃん……」

江ノ島「あ!」

戦刃「え……!?」ビク

江ノ島「……キャラを使い切れてませんでした……。絶望的です……。」ジメジメ

戦刃「……」

江ノ島「それじゃ改めてレッツゴー!うぷぷぷぷぷぅー!」ウププ

戦刃「かわいい……」


○●

昼休み

江ノ島「苗木はどこだー!」

戦刃「……盾子ちゃん、あれ」


西園寺「だいたいあんたんとこのせいで……!」

九頭龍「あの件とうちの組とは関係ねーって何度言ったら解んだコラァ!」

不二咲「うぅ……喧嘩はもうやめようよぉ」

苗木「そうだよ……最後に生き残れたのもみんなで力を合わせたからじゃないか!」


江ノ島「やーん絶望的サイズカルテットぉ!かわいすぎりゅううう!!セットでテイクアウトしたい!」

西園寺「げっ!一人SM女とその奴隷!」

江ノ島「……ショックです……私がこんなにも残念な奴隷を召し抱えるサディスト兼マゾヒストと認識されていたなんて……」ジメジメ

戦刃「……西園寺さん私は奴隷じゃないよお姉ちゃんだよ」キリッ

九頭龍「希望ヶ峰危険人物トップ2が何しにきやがった!」

戦刃「……ねえ盾子ちゃん、知らぬ間に私達公開指名手配犯になってるんだけど……。さっきの黒幕っぽいお話はなんだったのかな」

江ノ島「さぁ?何のこと?ま、どうでもいいけどさ、激レアかつ激カワな組み合わせだよねー期も違うし。一体どうしたのかなー」

戦刃(白々しいよ……盾子ちゃん……!)

きたい


不二咲「それが色々あって……」

江ノ島「色々ぉー?わたしぃ、その話すーっごい気になるなぁ!苗木君、教えてくれる?」キャピルン

西園寺「ウザ」イラッ

戦刃「盾子ちゃん知ってるんじゃ……もごっ!?」江ノ島「うおぉぉぉぉい苗木ィィ!!もったいぶってねーでとっとと話せよ、なァ!?」ズギャーン

苗木「え、ええと、事の発端は……ボクが霧切さんと連続殺人事件に巻き込まれた孤島から帰ってきた翌日だったかな。ボクと西園寺さんと不二咲クンは希望ヶ峰の【超高校級の才能】を狙う犯罪組織に誘拐されちゃったんだ」


戦刃「……盾子ちゃんどういうことかな……苗木君がサラッとクローズドサークルの生還者になってるよ……?しかもノンストップで誘拐されてる……!」

江ノ島「やー災難だったねー」

苗木「もう慣れっこだから……。霧切さん曰わく死神が常に僕の背後でタップダンスしてるらしいし」ハハ

九頭龍「あいつの【死神の足音】が聞こえるっつーのマジだったんだな……」

西園寺「まったく苗木おにぃに関わると命がいくつあっても足りなそうだよー」

江ノ島「更なるステップアップを誓うよ。タップダンスだけにね」ウププ

戦刃(苗木君……死神目の前にいるよ……)


苗木「それで、ボクらを誘拐した犯罪組織なんだけど……どうも九頭龍組ともめてる海外マフィアと繋がりがあったみたいでね。九頭龍クンが助けに来てくれたんだ」

九頭龍「ヘッ、苗木には暮威慈畏大亜紋土とのゴタゴタを納めんのに世話になったからよ。組としてもこの件は見過ごせねえし、特別サービスってやつだ」

西園寺「社会のゴミが何をかっこつけてんだか。あんたが希望ヶ峰の生徒だからこっちにとばっちりが来たのかもしれないのにさぁ」

九頭龍「ったくよォ……テメーだけは助けたことを激しく後悔してるぜオレは」

西園寺「エラそーに言ってるけどさ。わたし達が放り込まれた部屋から脱出できたのは手錠ブッちぎった苗木おにぃのおかげだし、建物自体から脱出できたのは不二咲おにぃがシステム系統を狂わせたりわたしが見回りの股ぐら踏み潰したりしたおかげなんだよ?」

戦刃「苗木君は手錠を引きちぎったの……!?」


苗木「いやボクの手錠だけ鎖の一部分がかなり傷んでてさ。がんばったら意外と簡単に切れたんだ」

不二咲「銃弾が当たったような痕があったね……」

江ノ島「呆れるほど往生際の悪い幸運だなー」

西園寺「とにかく、わたし達が助かったのは別にあんたのおかげじゃないんだよ解ったかクソチビ!」

九頭龍「テメーにチビとか言われたくねえよ!」

苗木「西園寺さん……それは違うよ」

西園寺「何?苗木おにぃ。こいつがクソチビなのは純然たる事実でしょ」

苗木「いや背のことじゃなくてさ。……確かにボクらが生還できたのはボクら自身の努力のおかげでもあったけど、見回りが少なかったのは九頭龍組の襲撃のおかげだし、出た後に襲われたボクらを助けてくれたのは九頭龍クンだったじゃないか」

苗木「ボクらが助かったのはボクらみんなが希望に向かって力を合わせたからだよ!」


江ノ島「……」ダラダラ

戦刃(ヨダレ垂らしてる……)

西園寺「……まったくもー苗木おにぃは相変わらずクサいんだから」

苗木「ゴ、ゴメン」

九頭龍「けどこいつの言う希望ってヤツには妙に納得させられちまうんだよな……」

不二咲「そうだね。なんというか……僕も弱いだけじゃないんだって希望が持てるよ」

戦刃(そっか……)

江ノ島「フ……フフ……」ダラダラ

戦刃(盾子ちゃんは【これ】に絶望したいんだ……)


苗木「……あ、ありがとう」

西園寺「あれれー照れてるの?苗木おにぃ照れちゃってるのー?」クスクス

苗木「え、ええと……とにかく、こんな感じのことがあって、さっき不二咲さんと話してたら丁度九頭龍クンと西園寺さんがケンカしてるのを見かけて……」

江ノ島「今に至る、と。いやーありがとうごちそうさま」

苗木「ご、ごちそうさま?」

江ノ島「じゃ、こいつ頂いてくから」

苗木「……え?」


江ノ島「それではチビッコの諸君プラスお姉ちゃん!さよーならー!」
ボンッ
モクモク……

戦刃「スモークグレネード!?」

不二咲「けほけほっ」

西園寺「苗木おにぃはわたしの奴隷なのにーっ!」

九頭龍「つーか普通に去れや!迷惑過ぎんだろ!」

ほのぼの(^_^;)

○●

江ノ島「二人っきり……だね?」

苗木「江ノ島さんに連れ去られたから
なんだけどなー……」

江ノ島「ねえ……どうしよっか?どうしたい?……そっ、そんな!苗木君ったら……でも、いいよ?苗木君だったら」

苗木「……何も言ってないけど……」

江ノ島「うん……一緒に堕ちよう?このままドロドロに……」ギュッ

苗木「う、わああ!ちょっと何すんの!?」

江ノ島「さあ行こう……?甘美なる絶望の楽園へ!」ギュゥゥ

苗木「何それ、ちょ、近い!近いよ!この人目がおかしい!」


戦刃「盾子ちゃん!ダメ!」

苗木「戦刃さん!」

江ノ島「ちぇっ。やーっぱあんな玩具じゃ撒けなかったか」

戦刃「盾子ちゃん……やめて」

江ノ島「何でかなー?お姉ちゃん如きに青少年の健全な交遊を邪魔する権利はない筈なのになー」

苗木「ものすごく不健全っぽいこと口走ってた気がするんだけど……」


戦刃「なんでもするから……」

江ノ島「ん?なんでもって?」

戦刃「せっ……」

江ノ島「せ?」

戦刃「……切腹する……」

江ノ島「……いや、されても……。というかそれ別の人のお家芸だから」

戦刃「じゃあどうすれば……」

江ノ島「お姉ちゃんがどっか行ってくれたらやめるよ」

戦刃「……わかった!ありがとう盾子ちゃん!」シュバッ タタタタタ……


江ノ島「……続き、しよっか」ギュ

苗木「戦刃さん!少しは疑おう!?信じるために疑おう!?」

江ノ島「真っ暗闇に溶けちゃおーよ……一緒にさ」

苗木「ま、待ってよ!江ノ島さんは何がしたいの!?こんな急に……ボクなんかに抱きついて」

江ノ島「何ってアタシに言わせるのー……?苗木って意外に」

苗木「冗談はやめてよ!……どうしたんだよ一体っ!」


江ノ島「……」パッ

苗木「……江ノ島さん……!」

江ノ島「あーあ。苗木はアタシを受け入れてくれないんだ?」

苗木「江ノ島さん……?」

江ノ島「絶望を受け入れてくれないんだ?」

苗木「絶望……?」

江ノ島「これだから、希望は。希望ってヤツは愛だの絆だのを語る癖して絶望を受け入れることは決してない」


苗木「……どういうこと?キミは一体……何なの?」

江ノ島「私は絶望だよ。“超高校級の絶望”だってば」

苗木「超高校級の……絶望……?確かにいつも絶望絶望言ってるけどキミは“超高校級のギャル”でしょ?」

江ノ島「そんなちっぽけな才能なんてアタシという存在の髪の毛一本程度を示してるに過ぎないんだよね。アタシは生まれた時から全てに絶望していて絶望が全てだった超高校級の絶望なの。自分の絶望、他人の絶望、アタシにとってそれが全て」

苗木「全然、訳が解らないよ……」


江ノ島「入学してから苗木の身に起きている“不運”……アレ実は苗木の絶望を見るためにアタシが仕組んだことだったりして」

苗木「……え?」

江ノ島「あ、別に証拠とかはないよ?今の今までバラすつもりなかったし。証拠残すほどマヌケじゃないし」

苗木「急に、何を……大体何が目的でそんなこと」

江ノ島「だーかーらー、絶望だってば」

苗木「……ほんとにそれだけのために……?キミが色んな事件を仕組んだって言うの?」


江ノ島「それだけって心外だなー。アタシにとっては全てなんですけど?あと、アタシは事件を仕組んだ訳じゃないよ?アンタが関わった事件の数々は起こるべくして起こったものなんだから。アタシはただ……絶望の匂いのするところにアンタを放り込んだだけ。アンタを“関わらせただけ”なんだよねー」

苗木「そんな、こと……!そんなことできるはずがないよ!それじゃあキミはっ……事件が起こるのを予知できるみたいじゃないか!」

江ノ島「“できるみたい”じゃなくてできるんだってそれくらい」

苗木「ッ!?大体、なんでボクなの!?なんでボクなんかを……」

江ノ島「苗木が好きだから」

苗木「……は……?」



江ノ島「苗木の前向きさが苗木の凡庸さが苗木の瞳が苗木の童顔が苗木の髪が苗木の格好が苗木の行動が苗木の言弾が苗木の幸運が苗木の……希望が」

江ノ島「全部大好きで大っ嫌いで希望と絶望の溝が深く深くアタシ右と左に真っ二つに割れちゃいそうなくらいもうたまらないの!苗木の絶望を希望してるの!苗木の希望に絶望したいの!」


苗木「……え、江ノ島さんは……ボクのこと好きだから……絶望させたい、ってこと……!?」

江ノ島「よかったー。さすが渾身の告白。アタシの愛は伝わったみたいだね。で、お返事は?」

江ノ島「こっちがせっかく大胆な告白してんだからさー、そっちにも意気込みを訊きたくなんじゃん?絶望的な感情の吐露をお聞かせ願いたいなー」

苗木「……ボクは」

苗木「ボクはやっぱり……わからないよ。絶望が全てなんて……でも」

江ノ島「でも?」

苗木「……側にいることはできるよ。こんな奴にうろちょろされても迷惑かもしれないけど」


江ノ島「は?何それストーカー宣言?まさかアタシのこと可哀想だとか思っちゃってんの?」

苗木「それは違うよ。……キミが絶望そのものだとしても、目を背けて生きてくことなんてできないから。……ついでにいつかキミも希望を希望として希望してくれないかな、って希望をボクは持ってたりして……だからボクは、江ノ島さんの側にいようと思う」

江ノ島「なにそれ意味わかんない」

苗木「はは、ボクも言っててよくわかんなくなってきたよ」

江ノ島「……あーやだやだ。やっぱりアンタは気持ち悪いわ。ヘドが出そう」

苗木「そっか……」

江ノ島「でも、絶望的」


苗木「え?」

江ノ島「そこまで言ったからには……絶望(アタシ)に、付き合ってくれるんだよね?」

苗木「……もちろん。でもボクは絶望を絶望のままほっとくことはできないよ?」

江ノ島「わーってるわよ。そうじゃなきゃ面白くないじゃない」


江ノ島「じゃ、よろしく希望クン」

苗木「うん、よろしく……絶望さん」


江ノ島「じゃ、さっそく行こっか!絶望新婚旅行~!」

苗木「……え?いやちょっと新婚旅行って……え!?」

江ノ島「いやーまさか苗木君がわたしのプロポーズを受けてくれるとは思いませんでしたー。もぅ超カンゲキです!」キャピルン

苗木「プロポーズ!?」

江ノ島「うぷぷ……ぼーいーすーれーこーだー!」ウププ
ポチッ

『……ボクは、江ノ島さんの側にいようと思う……付き合ってくれるんだよね?……もちろん……』

流石、妹様


苗木「わああああ!?」

江ノ島「あーシビレたなー。シビレちゃったなー。苗木きゅんのセリフ……希望がビンビンだったなー」ダラダラ

苗木「え、江ノ島さん……!?」

江ノ島「というわけで末永くヨロシクね!【アタシの】絶望的希望君!」

苗木「そ、それは違うよっ!!」


CASE1 閉廷

きゅんきゅんくるな
続きに期待

乙ー

case1ってことは続きがあるんだよねwktk

ほぅ…期待そして、乙

こんなに最っ高なSSは久しぶり、正に絶望的希望だわ

松田くんの存在はどういう扱いになるのか

絶望的に期待

松田くんは私様のお兄さん的な立ち位置なのでそういうことは気にする必要性がありません
むしろ、苗木君にまとわりついてくるアイドルと探偵をどうにかすべきだと思います

あー

うんよし


江ノ島「ねーどこいこっかー?新婚旅行!」

苗木「結婚どころか付き合ってもいないよ……」

江ノ島「……」カチッ

『……ボクは江ノ島さんの側に』

苗木「わかったよ!わかったからっ……!!」



霧切「……」ギロ

舞園「……」ギラ

戦刃「……盾子ちゃん……苗木君……」ブツブツ


苗木「……教室で流すのやめてっ!!お願いだから!!」バッ

江ノ島「やーん!【苗木君が襲ってくる】ー!【ケダモノ】ー!いくら【そういう関係】だからって同意がなきゃDVだよー!」

苗木「何もかも違うよ!!」


石丸「君達っ!イチャつくのは止めたまえ!不純だぞ!」

江ノ島(あ、やっぱり出てきた)

苗木「い、石丸クン!これには深いワケが……」

江ノ島「ねーよ!バァーカ!」ズギャーン

江ノ島「大体ー。ふじゅんふじゅんって言ってたらぁー、世の中に子ども生まれなくなっちゃうよー?」キャピルン

江ノ島「……この世の終わりです……ディストピアです……」ジメジメ

江ノ島「そんな失楽園的絶望もアタシとしては望むところだけどね……」ゴゴゴゴゴ

江ノ島「よくぞ申した……!そなたを私様直属の絶望大使に任命しようではないか……!」ドドン

江ノ島「それとも絶望博士がいいかな?絶望大佐がいいかな?うぷぷぷぷぷ」カッチョイー

江ノ島「今ならガラガラヘビかイカかオオカミどれに改造されるか選べます非常にお得です」クイッ


石丸「なっ……!はぁ……?」

苗木(七変化でまくし立てられるとわけわかんなくなるよな……)

江ノ島「で、どうすんの?絶望怪人になる気がないんだったらとっとと消えて欲しいんだけど」

苗木「そんな話だっけ……?」

石丸「ぬっ、ぐっ……し、しかし……無言の圧力というか、耐え難いオーラというものがあってだな……!」チラ


霧切舞園「……」 怨


苗木「ひいっ……!」

江ノ島「すごいすごい!絶望的に凶々しいオーラ!」


霧切「苗木君……」

舞園「新婚旅行ってどういうことですかぁ……?」

苗木「え、江ノ島さんが勝手に言ってるんだよ!結婚どころか江ノ島さんとは付き合ってないんだから……」 

『……付き合ってくれるんだよね?……もちろん……』

苗木「江ノ島さんっ!?」

霧切「……」ギリッ

舞園「……」ハァー……


苗木「こ、これはそういう会話じゃなくて……というか」

苗木「教室で騒いだことは謝るよ、ごめん。けどなんでそんなに怒ってんのかな……?」

江ノ島「絶望的だなコイツ……」ボソッ

舞園「怒ってる?やだなぁ苗木君。私は全然普通ですよ」

霧切「生まれてこの方怒りなんて感情に身を任せたことはないわ」

苗木(う、ウソだ……)


霧切「ただほんの少しお話を伺いたいだけよ」

苗木(事情聴取モードじゃないか……!)

霧切「今日の昼休みあなた達二人は何をしてたのかしら?」

苗木「え?」

霧切「答えなさい」


苗木「えっと、ボクは不二咲さん九頭龍クン西園寺さんとお昼ご飯を食べた後……」

舞園「かわいい組み合わせですね」

苗木「……。その後は江ノ島さんといたよ」

江ノ島「……私は残念なむくろ姉さんとご飯を食べました……」ジメジメ


戦刃「……」ビクッ


江ノ島「その後は苗木クンと一緒だよっ♪」キャピルン

霧切「なぜか二人とも過程を飛ばしているけれど……江ノ島さん、あなたは発煙弾を使い苗木君を連れ去ったらしいわね」

霧切「そこまでして苗木君を誘拐して一体何をしたのかしらね!」ビシッ


苗木「あの発煙弾は江ノ島さんの気紛れだと思うけどな……ものすごくハタ迷惑だけど」

苗木「とにかくボクらは別に何も……」

霧切「どうなの江ノ島さん?」

苗木「ええー……」

江ノ島「……ここまで追い詰められちゃあしょうがないなー……」

苗木「え?」

江ノ島「そーう!この度苗木とアタシはお付き合いすることになりましたー!」


苗木「江ノ島さん!?」

江ノ島「苗木!しばらく秘密にしときたいって言ってたのにごめんね!」

苗木「ち、違うよ!ほんとにボクと江ノ島さんは……」

霧切「……アノシマデカワシタカイワハ……」ブツブツ

舞園「……ステージバクハジケンデタスケテクレタトキノエガオハ……」ブツブツ

苗木(誰もボクの言うことに耳を傾けてくれない……!)

苗木(本当のことを話そうにも、あの江ノ島さんとのやりとりは話さない方が良さそうだし……)
江ノ島(とか思ってんだろーなー。甘いなー苗木は。ペロペロしたくなるほど甘いなー)


十神「いい加減認めてこの乱痴気騒ぎに収拾をつけろ苗木」スッ

苗木「十神クン……!なんでキミが!」

十神「真偽はともかくお前がうろたえる様は存外に愉快だからな」ニイッ

苗木(くっ!なんていい性格をしているんだ!)

苗木(……それにしても石丸クンはともかく、霧切さんと舞園さんがこんなに他人の異性交遊に厳しく口出ししてくるタイプだったなんて……!一体どうすれば……)

個別ストーリーが気になるレベル


江ノ島「……というわけで!アタシ達これからデートへ行って参りまーす!」

苗木「え?」

霧切「……!」

舞園「行かせませんよ」ユラッ

江ノ島「ほーら!逃げるよ苗木!」ガシッ

苗木「こ、ここで誤解を解かないと、大変だよ!」

江ノ島「あれを説き伏せるコトダマがあんの?」

舞園霧切「……」ズズズズズ……


苗木(……)

不二咲の証言
戦刃の証言
ボイスレコーダー

苗木「クソッ!不利なコトダマしかないっ!」ダッ

江ノ島「バイバーイ!愛の逃避行~!」ダッ

霧切「待ちなさい」ダッ

舞園「逃がしません」ダッ

……

桑田「……なあ」

山田「……皆までお言いめされるな、桑田礼恩殿」

「苗木爆発しろ」

CASE2 閉廷

CASE2短かったので夜にCASE3上げます

正直最後には希望絶望になれば何でも良い

全員出てくる場合気になるのは豚神の扱い

期待

素晴らしい

とっとと書け太郎


絶望×希望=???


江ノ島「ねえ……」

苗木「何?江ノ島さん」

江ノ島「なんでついてくんのかなー?ストーカー?」

苗木「ストーカーじゃないよ。ボクらつき合ってるんでしょ?」ニコニコ

江ノ島(うわあ……完全に根に持ってるよ前の騒ぎのこと)

苗木「……ってのは冗談で、もちろん約束を守るためだよ」


江ノ島「えー……なんだっけ約束って」

苗木「またそんなこと言って……。とにかくボクは側でキミを見張らせてもらうから」

江ノ島「んもうしょうがないなー苗木は!そんなに盾子ちゃんが好きなら腕組んで歩こうか!」グイッ

苗木「ちょ、ちょっと江ノ島さん!」

江ノ島「当ててんのよ!」ギュウ

苗木「まだ何も言ってないけど!?」

江ノ島「苗木が何言うかくらいお見通しだから!ほれほれどうよ?世の男どもが焦がれる超高校級のギャルのおっぱいはー!」ギュウウウ

苗木「やめてってば!……あ、あれ?」


江ノ島「……ん?あ、不二咲と左右田センパイじゃん。最近よく二人でいるの見るよねーデキてんのかな?」

苗木「それは違うと思うよ……。でもほんと何してんだろうね」

江ノ島「そんなんさあ……アイツらの才能考えりゃ大体予想つくでしょ」

苗木「不二咲さんは【超高校級のプログラマー】で左右田クンは【超高校級のメカニック】だから……そうか!何かのマシンを共同開発してるのかもね」


左右田「マジでアイツどこ行ったんだよ……。もう少しなのに約束の時間すっぽかしやがって」

不二咲「うーん……彼がいないと進行できないよねやっぱり……あ!江ノ島さんに苗木君」


苗木「やあ。二人とも」

江ノ島「やっほー!誰かお探しみたいだねー?」

左右田「うっせー!オメーらには関係ねー!とっとと失せろ!」

苗木「な、なんでいきなり怒ってるの左右田クン」

左右田「聞いたぞ!オメーら付き合ってるんだってな!」

江ノ島「やっぱり嫉妬かー……絶望的にちっちぇー人間だなー」

苗木(もう広まってる……)


左右田「黙ってろ!いいか!?オレらはな。崇高な目的のための集いなんだよ!オメーらバカップルに付き合ってるヒマはねーんだ!」

苗木「崇高な目的って……やっぱりすごいマシンとか作ってるの?」

不二咲「ええと……」

左右田「企業秘密だ!極秘ミッションなんだよ」

江ノ島「ずいぶんとケチくさいなー」


苗木「秘密なら無理に訊こうとは思わないけど……誰か探してるんだったらボクも手伝おうか?」

左右田「いらねーよ!オメーらはイチャイチャしてろ!永久にイチャイチャしてろ!オレの目の届かないところで!」

江ノ島「もちろん左右田センパイに言われなくてもイチャイチャさせてもらうけどさー。お探しの人って……松田くんでしょ?」

不二咲「!」

左右田「な、なんで解んだよ?」

江ノ島「いやーなるほどねー。そりゃ面白い企画だよねぇー。ヒトの領分を越えかねないすんばらしー大発明ってわけだ」


左右田「……そ、そうだ!オメー松田と付き合ってるんじゃなかったのかよ!二股かよ!?」

江ノ島「松田くんは幼なじみだしダーリンだけどー……ほら松田くんってアタシのこと愛しまくってんじゃん?アタシを絶望させてくれないからなー。その点苗木の希望はヘドが出そうなくらいオイシイから参っちゃうよねぇ」

左右田「オイ、苗木。オレはコイツの言ってることがさっぱりわかんねーぞ」

苗木「さ、さあ……?ボクにもさっぱりだよ」

左右田「つまりオメーはアバズレってことだな!」


江ノ島「見事に思考を放棄したねー。ま、そういうことでいいよ。複雑怪奇な女の子の感情はモテないモブ男くんには解らないだろうし」

苗木(キミの感情の複雑怪奇さは一般的な女の子のそれとはレベルが違う気がするけどなぁ……)

左右田「あああぁぁぁ!行くぞ不二咲!オレ達には使命がある!こんなとこで時間をムダにできねーんだ!」チクショウ……!

不二咲(うわあ泣いてる……)
不二咲「う、うん……またね二人とも」


苗木「うん、じゃあ、その、がんばってね」

江ノ島「左右田センパイ、あの王女様絶望的に脈ナシだけどがんばってねー」ウププ

左右田「うがああああぁぁぁ!」ダッ

不二咲「ま、待って左右田君!」タタタ……



江ノ島「……さて、作品のありか調べてぶっ壊そうか」

苗木「ダメだからね」

江ノ島「解ってるって。ちゃんと完成を待ってからぶっ壊すから大丈夫」

苗木「ダメだからね!」


○●

希望ヶ峰校外周辺

苗木「ねえ、江ノ島さん。どこ行く気なの?」

江ノ島「うーん、どこ行こっか?せっかくの初デートだし、アミューズメントなお城でも行く?ほら、回るベッドのアトラクションがある」

苗木「うん、よく解らないけどやめとこうそこは」

江ノ島「わがままだなー。というかただの監視者ならアタシの行く場所に口出しできないはずだけど?」

苗木「キミが滅茶苦茶やるのをほっとかないって言ったでしょ。それより付き合ってるなんて広めて……たとえほんとは付き合ってなくても松田くんに悪いよ。誤解を解く気はないの?」


江ノ島「だーから左右田センパイに言った通りだって。もう諦めなよ。アンタとアタシは付き合ってんの。それとも苗木はアタシと恋人なんてイヤ……?」

苗木(うっ……!だ、ダメだ!この不安げな視線も意図的にやってるのかもしれない)

苗木「ボクは江ノ島さんのことよく知らないし……だからこそこういうことしてるんじゃないか」

江ノ島「品定めさせろってワケね」

苗木「そ、そんな偉そうな立場にいるつもりはないけど」

江ノ島「じゃ、とりあえずはこのままでいっか。どっちにしろさ、付き合ってるってことにしとけばアタシの監視もしやすいじゃん?」


苗木「そりゃそうかもしれないけど……」

江ノ島「ハイ決まり!いぇーい!ちゃーんと見張ってないと見失っちゃうぞ!」ダッ

苗木「え!?ちょっと江ノ島さん急に逃げないでよ!ああもう!」ダッ

江ノ島「ほらほら捕まえてみろー!」タタタタタ

苗木「江ノ島さん……!あんな靴なのに速い……!」タタタタタ


江ノ島「……おろ?」ピタッ

苗木「あだっ!」ドン ドサッ

江ノ島「ありゃ、大丈夫?」ウププ

苗木「……急に止まんないでよ……どうしたの」
苗木(江ノ島さんぶつかっても直立不動で微動だにしなかったな……ボクって一体……)ズーン

江ノ島「あーいや、またしても知り合い。ほらあそこの公園」

苗木「あ、あれは……!」


大神「……どうした。もう終わりか?」ゴオオオオ

日向「ま……まだだ……!まだ俺はやれるぞ!」ボロッ

大神「よくぞ言った。やはりお主には見込みがある」

日向「うおおおおお!!」バッ

大神「ふんッ!」ドゴッ

日向「ぐおぅ!」ドサッ


江ノ島「あっ、逝った」


苗木「ま、まずいよ!目がぐるんってなってたよ!……大神さん!!」

大神「む、苗木と江ノ島か」

苗木「こんなとこで何を……いやそれより日向クンが!」

大神「日向のことなら心配いらぬ。こやつは見た目より頑丈だ。そのうち目覚める」

苗木「大丈夫なように見えない一撃だったけど……。なんでこんな決闘みたいな真似をしてたの?」

大神「決闘……?我は日向に頼まれ稽古をつけていただけだが」

江ノ島「虐殺じゃなくて?」


大神「そろそろ起こさねば……」スッ

苗木「あれ、大神さんどこへ……?」


大神「……」

苗木(バケツ持ってきた!まさか……!)
苗木「お、大神さん!?」

大神「日向、そろそろ目を醒ませ」

バシャッ

日向「ん……」

江ノ島「ひゃー、ボクシングジムかっての」


苗木「日向クン!」

日向「……苗木?そっちは……?」

江ノ島「超高校級のギャル江ノ島盾子ちゃんでーす!」

日向「ええと、俺は……」

江ノ島「あ、いいよ知ってるから。日向創でしょ?予備学科暴動事件の時に同じ予備学科より本科と仲良くしてたから殺されかけたところを苗木に助けられた」

日向「なんでそこまで知って……痛っ!」


苗木「大丈夫!?……何でこんな無茶な稽古を……」

日向「そうだ!大神待たせて悪い……続きを……!」ヨロ

苗木「無理だよ!大神さんも止めてよ!」

大神「む、しかし……」

日向「大神に俺が頼んだんだ。気を失ったら水ぶっかけてでも起こして再開してくれってな」


江ノ島「うへえ……意外と熱血キャラ?」

日向「俺は時間を無駄にするわけにはいかないんだ……!」

苗木「ど、どうして……」

日向「明日は……」

苗木「……明日?」

日向「明日は、西園寺の日本舞踊の稽古だ」

苗木「え?」

日向「明後日は腐川の文学指導……草稿千枚の課題が終わってない!」

苗木「ええと……」

日向「その後にも予定が詰まってる!次大神と予定が合うのは十日は先だ!一回をダラダラやるわけにはいかないんだよ!」

江ノ島「なるほどなるほど。凡夫なりに涙ぐましい努力してるわけだ」

江ノ島「でもそんなん無駄だよ。無駄な努力だよ。才能ってのは生まれ持つもんじゃん。いくらがんばってもアンタが超高校級の才能を得られるわけじゃないんだからさ」

日向「そうかもしれない。でもどうでもいいんだよそんなことは」


江ノ島「は?」

日向「俺はただ多くの超高校級の才能から学びたいものがあるだけで超高校級の才能が欲しいわけじゃない」

江ノ島「そうやって半端なスキルを寄せ集めて希望になろうっての?」

日向「俺は未来に向かって全力で進むだけだ!希望とか絶望とかは関係ない!」

江ノ島「希望でも絶望でもない……何よそれ……何なのよおおぉぉぉぉ!!」



苗木「……あの、もういいかな?江ノ島さん」

江ノ島「うん、なんかスッキリした」


苗木「日向クンの志は解ったけどさ。あんまり無茶苦茶に稽古を受けるのはダメだよ。教えてくれる人にも失礼じゃないかな」

日向「うっ……確かに。悪い大神。武道や他の皆の稽古を軽んじてるわけじゃないんだ」

大神「解っている。日向の稽古に対する真摯さは我に伝わっている。だが苗木の言う通り無理は禁物だな。お主はただの弟子ではなく友人なのだから」

日向「……ああ!」

江ノ島「ねーもう行こ飽きた」クイクイ

苗木「……まあ、稽古のジャマになりそうだしね。……じゃあがんばってね!」

大神「……さらばだ」

日向「じゃあな!今度お前たちも色々教えてくれよ!」


○●

江ノ島「教えるったって何を教えりゃいいのかねー?ギャルメイク?」

苗木「江ノ島さんはともかく、ボクには教えられることなんてないよね……」

江ノ島「なーにしょんぼりしてんの!苗木は絶望経験豊富なんだから色々語ることはあるじゃん!」

苗木「誰のせいで経験豊富になったとと思ってんのさ……。少なくとも幸運については語ることなんてないよ。ツイてないしボク」

江ノ島「それギャグで言ってんの?」

苗木「……なんかうろうろしてるうちに暗くなってきちゃったね」


江ノ島「うーん……」キョロキョロ

苗木「どうかした?」

江ノ島「いやなーんでも」

苗木「……帰ろっか」

江ノ島「え?【お城に泊まる】んでしょ?」

苗木「……それは違うよ……」

○●

戦刃「……」

戦刃「…………」

戦刃「……見失っちゃった……」


CASE3 閉廷

乙乙


松田と苗木で両手に花か、この江ノ島マジ勝ち組

次回のCASE4はむくろ姉さんがどこほっつき歩いてたのかをおまけのつもりで書いたものなんで苗ノ島じゃないです。


単純な絶望希望で良いんだが?
松田とか…

絶望希望で松田くんって欠かせなくないか
というか江ノ島の恋愛やんなら外せないっていうか

んなカプ厨的な固定概念あるなら最初から松田で書けば良いだろwwww

いやその発想はおかしい

いや分からんでもないぞ
松田を絡めないと希望絶望に出来ないなら、普通に松田絶望で十分だしな

松田を絡めないとっていうか江ノ島が本格的に絶望に転んだのは松田関係してるわけだし
その辺の扱いをどうするのかは必要じゃね?
松田嫌いだから出すなっていうなら分からんでもないけど
そもそもそんなん書いてる人の自由だからいちいち口出しすんなって話だ

長文自治厨も同類
構うんじゃねーよ

誤爆か?


戦刃「……」コソコソ


江ノ島「……」

苗木「……」


戦刃「……」コソコソ


江ノ島「ねえ……」

苗木「何?江ノ島さん?」

更新きた
待ってます


江ノ島「なんでついてくんのかなー?ストーカー?」


戦刃「……っ!」ビクッ
戦刃(わ、私のことじゃないよね……?)
戦刃(……もうちょっと距離を離そう……)コソコソ


苗木「ストーカーじゃないよ。ボクら付き合ってるんでしょ?」



戦刃「……!!」
戦刃(やっぱり付き合ってるの……!?)ザッ

ドンッ ドシャッ

罪木「ひゃああ!」

戦刃「……あ……!ご、ごめんなさい……」

罪木「ひぅう……とんでもないです私こそごめんなさいぃぃ……!私がぼさっとしてたのがいけないんですぅ!」

なるほど
そういうことか


戦刃「私がよそ見してたから……」
戦刃(あ、あれ……盾子ちゃん達いない……)

罪木「ううう……いえ……最終的に全面的に圧倒的に私が悪いんですぅ……どうか許してくださぁい……」ヨロ

戦刃「足……」

罪木「え……?」

戦刃「ケガしてる……」

戦刃「……」ヒョイ

罪木「え?え!?あのぅ……なぜ、お、おおお姫様だっこを……?」


戦刃「保健室に運んで手当てする……私のせいでしたケガだから……」

罪木「えええ!?だ、大丈夫です!こう見えても私、超高校級の保健委員だなんて呼ばれてたりして……自分でも手当てくらいなら可能でして、あの、その、こんなケガもしょっちゅうですし!」

戦刃「でも痛そう……」

罪木「へ?」

戦刃「ケガしてる人を見捨てなくてもいい……ここは戦場じゃないから……」

罪木「は、はわわわわわ……」ズキューン

罪木「うええええぇぇぇぇん!!」ビエー

何でだろうこの2人だと凄い和む


戦刃「!!……ご、ごめんなさい……何か悪いことしちゃった……んだよね……?私、盾子ちゃんみたいに頭が良くないから……」

罪木「そっ、そんな!違うんです!私こんな、心配されて、やさしくされて、こんなの初めてで、感動して……ごめんなさいぃぃぃ!」ビエエエエン

戦刃(良かった……悪いことしたわけじゃないんだ……)ホッ

戦刃「……このまま運んでくね」

罪木「あ、あの、お気持ちは嬉しいんですが、すごくすごく嬉しいんですが、ほんとに運んで頂かなくても……。わ、私みたいな鈍重なブタを運ぶのは大変でしょうし……!」

戦刃「あなたはヒトに見えるけど……ブタだったの……?その場合私はどう対応すれば……」

なんだろう
無限の可能性をみた

残姉ちゃん…


罪木「ち、違いますぅ!ごめんなさい忘れてくださぁい!……え、ええとつまり、重くないんですか……?ずっと私を抱えたままお話ししてますけど……」カァァァ

戦刃「ミニガンに比べれば全然……」

罪木「はぅぅ……!ありがとうございますぅ……!」
罪木(ミニガンってきっとちっちゃい銃ですよね)エヘヘ

戦刃「とにかく、運んでく……。いいよね……?」

罪木「ひゃ、ひゃいぃ!ふつつか者ですがよろしくお願いしますぅ!」

>>113奇遇だな。俺もだ

俺もう絶望があればいいや


○●

保健室

罪木「運んで頂いた上に手当てまでして頂けるなんて感激ですぅ……」グス

罪木「しかもとってもお上手で……」

戦刃「私は超高校級の軍人だから……応急手当てくらいはできるよ」

罪木「はわぁ……そうだったんですか」

戦刃「……えと、じゃあ、お大事に……」スッ

罪木「ま、待ってくださいぃ!」

>>116>>117
同志よ
これが絶望の可愛さか


戦刃「どうしたの……?」ビクッ

罪木「あ、あのその、お、お名前をお尋ねしてもよろしいでしょうか!?あ、人に名前を訊く時は自分からですよね私ったら愚鈍ですみませぇん!……わ、私は罪木蜜柑といいます……」

戦刃「……私は戦刃むくろ」

罪木「戦刃さん……」ポーッ

罪木「……はっ!?すみませぇん!勝手にお名前を口にして!『戦刃さん』とお呼びしてよろしいでしょうか?」

戦刃「大丈夫……」

なんだろう···和むなぁ


罪木「ありがとうございますぅ!……それで、あのぅ……」

戦刃「……何?」

罪木「お、お、おおお、お友達に、なって頂けないでしょうか……?」

戦刃(……おともだち……?)
戦刃「お友達……!?」

罪木「は、はい……!」

戦刃「……」


罪木「や、やっぱり嫌ですよね、こんなグズと友達になんて」グス

戦刃「そんなこと……ない」

罪木「ひぇ?」

戦刃「わ、私みたいな3Zでいいなら……友達になる……よ……?」

罪木「あ、あああありがとうございますぅ!!さんぜっとって意味は解りませんが、その、よろしくお願いしますぅ!」ビエエエエン

戦刃「……泣かないで」ヨシヨシ

罪木「うえええええん!ごめんなさいぃぃぃぃ!!」

わーお

3Zとか
吹いたわ


○●

戦刃(思いがけず友達ができたけど盾子ちゃん達見失っちゃった……)

戦刃「罪木さん……」

戦刃「……」フフッ

パシャッ

戦刃「!?」バッ

小泉「あはは、いきなりごめんね?むくろちゃん今すっごい良い笑顔だったから思わず」

戦刃「小泉さん……」
戦刃(油断してた……銃撃だったら死んでた……!)

戦刃(油断してた……銃撃だったら死んでた……!)
むくろちゃんが可愛くてもう胸が痛い

絶望のお陰で希望が見えました


小泉「アタシのこと覚えててくれたんだ?」

戦刃「写真を撮ってくれるけど、その度に私がうまく笑えなくて注意されるから……」

小泉「口うるさいせいで覚えられたわけね……」アハハ……

戦刃「ごめんなさい……」

小泉「アタシの方こそごめん。写真のこととなるとどうしてもね……」ウーン

小泉「それにしても……うん、いい笑顔だよ。ほら!」スッ

戦刃「これ……私?」


小泉「もちろん!ねえねえ、なんかいいことがあったの?」

戦刃「友達……」

小泉「友達?」

戦刃「……」

小泉「あ、あれ?ちょっとどうしたの?急に下向いて……」

戦刃「……小泉さんとは……友達になれないと思って……」

小泉「ええっ!?そんな……どうして……?」


戦刃「小泉さんのお母さんって、戦場カメラマンだよね?」

小泉「あ、知ってるんだ?」

戦刃「私は、超高校級の軍人だから……」

小泉「……」

戦刃「小泉さんのお母さんはきっと戦争の悲惨さとかを伝える、すごく立派な人なんだと思う……」

戦刃「でも私は……小さい頃からミリタリーが好きでフェンリルに入って、大勢の人を殺したような人間だから……」

小泉「……だから?」

戦刃「小泉さんは……【私みたいな人間は嫌い】でしょ……?」

小泉「その推理はピンボケだよっ!」

見た目は知らんが完全に雪歩だったね


戦刃「え……!?」

小泉「こんなやさしい笑顔ができる子を嫌うわけないじゃん!」

戦刃「そ、それだけ……?」

小泉「それだけでいいのっ!」

戦刃「でも……」

小泉「お母さんは戦場の真実を追い求めてるけど……」

小泉「だからって超高校級の軍人さんを嫌う理由にはならないよ」


戦刃「小泉さんは私がどんなことしてきたか知らないから……」

小泉「昔のむくろちゃんがどんな思いでどんな戦いをしてたかは解らないけど」

小泉「今のこの写真の中のむくろちゃんは、ほら。こんなに柔らかく微笑んでるじゃん。それが全て」

小泉「だからほら笑って。そんでさ、友達になってよ!」

戦刃「……小泉さん……!」パァッ

パシャッ!

小泉「そう!その調子っ!」


○●

小泉「なるほどねー。蜜柑ちゃんと友達になれたことが嬉しかったんだね」

戦刃「うん……」カァァァ

小泉「すごいなぁ、それも蜜柑ちゃんの方から友達になってほしいって言うなんて……」

小泉「アタシの場合、蜜柑ちゃんに話しかけると、ひたすらものすごい勢いで謝られて取り付く縞がないのに」

戦刃「気持ちは解る……かも。私も人と話すの得意じゃないから……」

小泉「それにしても、むくろちゃんでも人とぶつかっちゃうことあるんだね。サッとかわせそうなのに」

戦刃「よそ見してたから……」


小泉「ダメだよちゃんと周り見て歩かなきゃ!一体何を見てたの?」

戦刃「それは……!!そうだった……!小泉さん、盾子ちゃんと苗木君知らないかな……?」

小泉「盾子ちゃんと苗木……?それならむくろちゃんと会うちょっと前に学園の外に出てくの見たよ。方向的に公園の方かなぁ?遠目だったけど二人とも、えーと、個性的だから目に入ったんだよね」

戦刃「ありがとう小泉さん……!」

小泉「……ね、あの二人が付き合ってるのってほんとなの?」

戦刃「……それは……解らない。ごめんね」


小泉「ううん、アタシはただ好奇心で訊いただけだから。……それにしても盾子ちゃんってよく解らないのよね」

戦刃「えっ……?」

小泉「これでも超高校級の写真家だからさ、写真に納められた人の顔から色々読み取ろうとしてるんだけど……」

小泉「盾子ちゃんの笑顔からは何も読み取れないのよ」

小泉「いや表面的にはすごく自然でいい笑顔に見えるんだけどなぜかしっくり来ないんだよね……。なんでだろ……?」ウーン

戦刃「……」

戦刃「……わ、私もう行かなきゃ……」アセアセ


小泉「あ、ごめん!またいい写真、撮らせてよね!」

戦刃「う、うん……!がんばる……。あ、そうだ、ええっと……」

小泉「どうしたの?」

戦刃「もし、小泉さんがお母さんみたいに戦場とか、危ない場所に踏み込むことになったら……私があなたを守るね」ニコ

小泉「ふぁ……!……今のところ、そういう予定はないけど……あ、ありがと」ポー

戦刃「それじゃ……」タッ

小泉「う、うん、またね!」

……

小泉「……あの笑顔は反則でしょ……」ドキドキ


○●

希望ヶ峰学園校外周辺>公園

戦刃「……い……いた……!」ゼェゼェ

戦刃「あれ……?大神さんと……日向君……?」

戦刃(二人の訓練に盾子ちゃん達が居合わせた、ってことかな……)

戦刃(……もうちょっと近づかないと……)コソコソ


ソニア「や、やめなさい無礼者っ!」


戦刃「……!?」ピク


○●

希望ヶ峰学園校外>路地裏

ガラの悪い男1「いーじゃん、ちょーっと一緒に遊ぼうって誘ってるだけじゃん」グイグイ

ガラの悪い男2「そーそ、ちょっとちょっと」ヘラヘラ

ソニア「結構です!やめてくださいっ!」

ガラの悪い男1「ツレないなぁ……」

戦刃「……その人を離して……!」ババーン


ガラの悪い男1「あ?なんだコイツ」

ガラの悪い男2「お友達?」

ソニア「ち、違います!彼女はわたくしと関係ありません!」

戦刃「彼女嫌がってるからその……離れないと痛い思いさせちゃう……と思う」

ガラの悪い男1「なんだこのアマ何言ってんだ?」

ガラの悪い男2「そっかそっか君も仲間に入れて欲しいんだね!」

ガラの悪い男1「おいおい」

ガラの悪い男2「仲間外れはカワイソーだろ?」

ガラの悪い男1「ま、とりあえず大人しくなってもらおーぜ」スタスタ

ガラの悪い男2「うっはキチク」ヘラヘラ

戦刃(武装なし……強いのかなこの人達)


ガラの悪い男1「おら!」ヒュッ

戦刃「……」パシッ

ガラの悪い男1「あ?離せオイコラ!」

戦刃「……」グググ

ガラの悪い男1「ってえええ!離せええええ!」ブン

戦刃「……」グイッ

ガラの悪い男1「あ?」

ドグシャアッ

ガラの悪い男1「ぶべっ」

戦刃(どうしよう……受け身取れるようにやったのに顔面からいっちゃった……大丈夫かなこの人……)

苗木くんが全く出てきてない件
とりあえず続けて見てるから


ガラの悪い男2「てっめぇぇぇぇ!」バッ

戦刃「見えすぎ……」ヒュッ

バキャッ

ガラの悪い男2「うぎゃあ!」ドシャア ガクッ


戦刃「……大丈夫?」

ソニア「は、はい!」パァァ

ソニア「わたくしはソニア・ネヴァーマインドと申します!この度は助太刀ありがとうございます!」キラキラ

戦刃「私は、戦刃むくろ……超高校級の軍人」

残念だけど戦闘力はオーガと唯一渡り合えるレベルだもんな


ソニア「まあ!やはり希望ヶ峰の方でしたか!しかも軍人さんとは……あの素晴らしい近接格闘もガッテンです!」

ソニア「実はわたくしも希望ヶ峰の生徒でして、超高校級の王女などと呼ばれてます」

戦刃「王女様……!?」

ソニア「はい!」

戦刃(確かにすごく王女様っぽい……)ジーッ
戦刃「……でも、王女様なのに護衛はいなかったの?」

ソニア「あ、それは、ええと……」

ソニアの付き人「……ソニア様!ここにおられましたか!勝手にいなくなられては……!これは一体……!?」


ソニア「この戦刃さんがわたくしがチーマーにカラまれているところを助けて下さったのです!」

戦刃(チーマーだったのかなあの人達……)

ソニアの付き人「なんと……!お二人共お怪我は?」

戦刃「……二人とも大丈夫……です」

ソニアの付き人「……その様ですね。この度はソニア様をお助け頂きありがとうございました戦刃様」

戦刃「……た、大したことしてないから」

ソニア「是非お礼をさせてください!この後ご予定は?」

戦刃「……予定……はっ!?」

戦刃「ごめん、なさい……急いでるんだった……」

残姉目標忘れまくり可愛い


ソニア「そうでしたか……。ではお礼はまた今度ですね」

戦刃「お礼なんていいよ……」

ソニア「いえ、あんな華麗に素敵に助けて頂いた以上、戦刃さんの希望を叶えなくては気が済みません!わたくしにできることならなんなりとお申し付けを!」

ソニアの付き人「そ、ソニア様!」

戦刃「じゃあ……友達になって」

ソニア「お友達、ですか?」キョトン

戦刃「やっぱりダメかな……?」

希望と絶望イチャイチャ期待したのに…残姉かよ…はぁ様子見しとくか

○●

戦刃「……」ハァハァゼェゼェ

戦刃「……」キョロキョロ

戦刃(大神さんと日向君に訊いた方面を探したけど見つからない……)

戦刃「……」

戦刃「…………」

戦刃「……見失っちゃった……」


○●

ソニア「狂嵐の神喰らう魔狼のような方でした……!」キラキラ

ソニアの付き人(……最近ソニア様の言動がおかしい……)

ソニア「あんな方とお友達になれるなんて今日はイケイケですね!」

ソニアの付き人「……ソニア様」

ソニア「なんですか?」


ソニアの付き人「ソニア様は、護身術をお勉強なさっているはずですが?」

ソニア「……それは……戦刃さんがあまりにもかっこよかったので……」


CASE4 閉廷

友達が増えたよ!やったね残姉!

今までの投下間隔だとしんどい上にミスが出るのでこんくらいの投下間隔にします。

あと適当な思いつきで書き殴っているので色んなキャラが出ると思います。
次回は苗ノ島メインです。

うん、俺もう絶望があればいいや

どれも面白い

希望も絶望もいらない
むくろさえいればいいんだ

乙ー

絶望もいいな

どれもおもしろいな
とりあえずソニアさんは早急に田中から離れた方がいい

>>159
左右田涙拭けよ

スレタイが笛木に見えた

苗木く…誰だお前!




「うぷぷぷぷぷ、さあ……」



「絶望的に悶えてもらおっかなぁーん!」



○●

苗木「やっと週末かぁ」
苗木(江ノ島さんに振り回されっぱなしでこの一週間は長く感じたなぁ)

苗木「といっても……むしろ休日の方が油断できないよな。でもプライベートにまで踏み込むのもなぁ」ウーン

苗木「とりあえず食堂で朝ご飯食べよっと」ガチャ

ガバッ

苗木(だ、誰かに組み付かれた!?)
苗木「む、むぐっ!!」バタバタ

苗木(なんかかがされっ……!意識が……)
苗木「む……ぐ……」ガクッ

来たか


○●

苗木「う……」

苗木「どこだ……ここ……知らない」
苗木(……和室?)

江ノ島「おっはよーう苗木ー!」ガバッ

苗木「え、江ノ島さん!?ちょっと離れっ……!」グググ

江ノ島「なーに、もー!そんなに拒絶されたら寂しいなー」


苗木「すぐ抱きつくのやめてよ……。あれ?そのかっこ……浴衣?」

江ノ島「じゃーん!どうどう?絶望的にカワイイっしょー?」

苗木「う、うん……」
苗木(ミスマッチな感じがするけどそれが逆に……ものすごい破壊力だ……!)

苗木「じゃなくて!」

江ノ島「ん?」

苗木(和室に浴衣……)
苗木「ここってまさか……!」

江ノ島「温泉宿だけど?」


苗木「何してんの!?変な薬かがせたの江ノ島さんでしょ!」

江ノ島「ピンポーン!大正解!苗木クンを昏睡させたクロは江ノ島盾子ちゃんなのでしたー!」

苗木「無茶苦茶だよ!ていうかどうやってボクをここまで運んだの!?怪しまれなかったの!?」

江ノ島「あれに入れて」スッ

苗木(……旅行鞄……!)ガーン

江ノ島「……大変です……苗木クンが自分のちんまりとした体躯に絶望してしまいました……」ジメジメ

江ノ島「元気出せよオイ!オレらの温泉旅行はまだ始まったばかりだろォーが!!」ズギャーン

江ノ島「因みに受付は腹話術で突破しました」クイッ

妹様も苗木きゅんもカワイイな


苗木「なんでわざわざこんなことしたのさ……普通に誘ってくれれば……」

江ノ島「普通に二人っきりで温泉宿の同室に泊まろうって誘ったってノッてくんないじゃーん?もしかしてノッてくれた?」

苗木「う……。そういえばなんで温泉宿なの?」

江ノ島「そりゃあ……」スル

苗木「ちょっ!何浴衣はだけさせてんの!?」

江ノ島「温泉宿といったら秘密の愛の巣でしょ?しっぽりいこうよしっぽり」ジリジリ

苗木「ぼ、ボク帰るよ……!」

江ノ島「あれ?あれあれあれあれあれ?アタシから逃げるの?絶望から目を逸らすの?」

苗木「……!」

絶望さいこうれふ
ぶひぃ

完全に苗木の扱いに慣れてるwwww


苗木(ああ約束した以上、江ノ島さんから目を離すわけにはいかない……!けどここに留まれば絶望的な誘惑が……!)

江ノ島(さあ言ってやったよー殺し文句。あの約束がある限りアンタは蜘蛛の巣にかかった羽虫みたいに絶望(アタシ)から逃れられないんだよ。……ま、アタシも希望(アンタ)に縛られることになるんだけどね)

苗木「……解ったよ付き合うよ……」

江ノ島「さっすが苗木!誠という名に恥じぬ誠実っぷりー!」

苗木「でも、絶対に、何もしないから!」

江ノ島「何もせずにいられるかなー?この盾子ちゃんをま、え、に、し、て♪」スル

苗木(諦めちゃダメだ。負けるなボク)


江ノ島「ま、とりあえずさー!お風呂入ろっか!」

苗木「……お風呂?」

江ノ島「トーゼンっしょここ温泉宿なんだから……」ガラッ

江ノ島「じゃじゃーん!部屋の混浴露天風呂ー!男女のイケナイ温泉旅行には必須だよねー!あ、こっからお風呂見えるけど脱衣所はこっちね」

苗木「ま、まさか……!」

江ノ島「こりゃもう一緒に入るしかない!」

超高校級の萌えコンビ


苗木「じょ、冗談じゃないよ!入浴まで見張る気はないって!そんなに入りたいなら江ノ島さんだけ入りなよ!」

江ノ島「わたしコワい映画見ちゃってぇー、一人でお風呂入れないよぉ。苗木クンおねがーい一緒に入って!」キャピルン

苗木「絶対ウソでしょ!小学生じゃないんだから!」

江ノ島「苗木って男のロマンが足りないんじゃなーい?じゃあもう解った!ぱふぱふしてあげるから、ね?」

苗木「ね、じゃないよ!余計ダメだよ!」

江ノ島「四の五の言わず私様の湯浴みに付き合うのじゃ。……仕方がない、【そこまで望むなら】私様の身体で身体を洗ってやろうではないか……!」ドドン

苗木「そんなこと望んでないよ!色々アウトだよ!」

江ノ島「アレもダメ、コレもダメってさー。苗木クンってもしかして不能なの?萎えた木なの?」ウププ

苗木「最低な言いがかりだよ!」


江ノ島「しょーがないなーもー!苗木の貞操観念の強さには恐れ入ったよ!じゃあさ、お互いタオル巻いて入る!触らない!これならいいっしょ!」

苗木「え……いや、でも」

江ノ島「いいよね?」

苗木「う……解ったよ……絶対外すのナシだからね」カァァァ

江ノ島「おーけーおーけー!よしけってーい!」
江ノ島(うぷぷ、チョロい)

江ノ島「んじゃ、先入っててよねー」

苗木「は、はあ……」

江ノ島「ほら、こういうお風呂イベントは女の子が来るのをドキドキハァハァしながら待つのが醍醐味ってもんっしょ!あ、それとも脱がし合いっこする?」

苗木「わ、解ったよ先入ってる!……約束、守ってよ?」

江ノ島「はいはーい!」


○●

露天風呂

ちゃぷ……

苗木「ふう……気持ちいいなぁ……」

苗木「……」

苗木「何でこんなことしてんだろボク……」ボー

ガラガラッ

苗木「!!」

江ノ島「待たせちゃったかな……?」スッ

苗木「あ……!いや……全然」フイッ

苗木(さっ……殺人的ぃっ……!!)カァァァァァ


苗木(凄まじい曲線美っ……!髪下ろしてバスタオル巻いた姿……!江ノ島さん普段から露出の多い格好だけどこの状況頭がおかしくなりそうだ……!!)ドキドキドキドキ

江ノ島「体流すからもうちょっと待ってねー♪」
江ノ島(うぷぷぷ楽勝……)

ザーッ

苗木(見ちゃダメだ見ちゃダメだ見ちゃダメだ……)

苗木(ううっ……シャワーの音が永遠のように感じる……!)

キュッ……

苗木(止まった……!)


江ノ島「お待たせー!」チャプ

苗木「う、うん……。!!?」

江ノ島「ん?どうかした?」

苗木(髪、結ってる……!!う、うなじぃぃ!!それに顔もほんのり上気して……!!これほんとに超高校級のギャルのスッピン!?普段より更に綺麗に見えるんだけど!!)ポカーン

江ノ島「おーい、もしもーし?」

苗木「……はっ!」


江ノ島「おいおいもしかしてのぼせちゃったー?」

苗木「そ、そうみたい……だから、そろそろ出ようかな」ハハハ

江ノ島「だーめ!じゃあさ、こうしようよ」

苗木「え?」

江ノ島「先にお風呂から出るかダウンした方が負け。苗木が勝ったらお風呂上がってすぐ一緒に帰ってあげる。この宿に泊まることなく」

苗木「だ、ダウンって……。ボクが負けたら?」

江ノ島「一緒のお布団で寝てもらいます!」

苗木「!!」

絶望的だな(歓喜)

いいぞもっとやって


苗木(こ、これは間違いなく悪魔の誘惑だ……!しかも状況はかなり不利……ボクのが長く湯に浸かってる上に江ノ島さんの猛烈な色気が……でも、この禁欲温泉旅行を続けてたらおかしくなりそうだし……)

苗木「……」

江ノ島「さあさあどうする!?」

苗木「……ボクが勝ったらほんとに帰るからね」

苗木(不利な状況は男子のハンデと思うしかない!)

江ノ島「よぉーし!いざ勝負ー!」

この絶望を乗り越えた後の希望はそりゃすごいでしょうね(期待)


○●

苗木「江ノ島さん……」

江ノ島「んー?」

苗木「近く、ないかな……?」

江ノ島「バスタオル取らないのとお触りナシがルールでしょー?別に問題ないじゃん?」

苗木「くっ……!」

苗木(ダメだ!こんなことで屈しちゃ!これは絶望との戦いだ!希望を失っちゃダメだ!)キッ

江ノ島「……?」トロン

苗木「……!!」

苗木「……」
苗木(……希望ってなんだろう……そもそも欲に負けることが絶望なのかな……欲望と希望って何も違わないんじゃないかな……?希望って彼女の唇とかバスタオルの下にあるんじゃ……?)グルグルグルグル

な・・・苗木っち・・・

苗木ェ……


苗木「……!」ブンブン

江ノ島(あ、首振った。まるで犬っころだなー)

苗木「負けないからね……!」

江ノ島「え、あーうんはいはい」
江ノ島(うわー全く負ける気しないわー)

苗木「……」

苗木(それにしても、近い……近すぎる!)

江ノ島「ふんふんふーん♪ふんふんふ、ふふふふ、ふふふー、ふふーん♪」

苗木(江ノ島さんから沸き立つ気にあてられてきた……!下手な麻薬とかより中毒性があるんじゃ……)クラクラ

セレスさんのお仕置きを耐えた妹様が風呂なんかで暑いと言うわけがないwww


苗木(しっかりしろ!ダウンしても負けなんだ……!ここは両刃の剣だけど話をして意識を保とう)

苗木「江ノ島さんは、さ……」

江ノ島「何?」

苗木「ボクなんかに監視みたいなことされてイヤじゃないの?」

江ノ島「なーに言ってんの。イヤだったらあんな告白しないってば」

苗木「でも、ボクなんかどこがいいのか……」

江ノ島「あのさー、マジに告白の内容忘れちゃった?渾身の告白を忘れられるとか絶望的!」

苗木「いや、覚えてるよ……忘れるわけない」


苗木(一言一句……)
(江ノ島「苗木の前向きさが苗木の凡庸さが苗木の瞳が苗木の童顔が苗木の髪が苗木の格好が苗木の行動が苗木の言弾が苗木の幸運が苗木の……希望が」)

江ノ島「全部大好きで大っ嫌いで希望と絶望の溝が深く深くアタシ右と左に真っ二つに割れちゃいそうなくらいもうたまらないの!苗木の絶望を希望してるの!苗木の希望に絶望したいの!」

苗木「なっ……!!」

江ノ島「思い出したー?」フフーン

苗木(江ノ島さんは……絶望を希望してて、希望に絶望する……)

苗木「……ボクの答えは覚えてる?」


江ノ島「キミが絶望そのものだとしても、目を背けて生きてくことなんてできないから。ついでにいつかキミも希望を希望として希望してくれないかな、って希望をボクは持ってたりして、だからボクは江ノ島さんの側にいようと思う」

江ノ島「でしょ?無駄な希望だよねー」ケラケラ

苗木「ボクは諦めないからね」

江ノ島「わーかってるって」

苗木「……ボクは絶望が絶望のままでも……絶望も希望も抱えて前に……」

苗木(前、に……) チャプン……

苗木「……」ブクブクブクブク……

江ノ島「……勝ちぃー♪」 


○●

苗木「う……あ……」パチ

江ノ島「おはよう苗木クン。もう夜だけど」パタパタ

苗木「江ノ島さん……そっか、ボクのぼせて……」

江ノ島「そ!負けー!」ズビシー

苗木「うっ……」
苗木(ってことは江ノ島さんと同衾!?まずすぎる……!!)ゾッ

苗木「……ずっと扇いでくれてたの?」

江ノ島「苗木の昇天しかけた顔は意外と飽きなくてさー。水も飲ませてあげたんだよ?」

苗木「あ、ありがとう……」

江ノ島「口移しで」

苗木「なんてことしてんの!?」


○●

苗木「う……あ……」パチ

江ノ島「おはよう苗木クン。もう夜だけど」パタパタ

苗木「江ノ島さん……そっか、ボクのぼせて……」

江ノ島「そ!負けー!」ズビシー

苗木「うっ……」
苗木(ってことは江ノ島さんと同衾!?まずすぎる……!!)ゾッ

苗木「……ずっと扇いでくれてたの?」

江ノ島「苗木の昇天しかけた顔は意外と飽きなくてさー。水も飲ませてあげたんだよ?」

苗木「あ、ありがとう……」

江ノ島「口移しで」

苗木「なんてことしてんの!?」

大事なことなので

素晴らしい絶望だな


江ノ島「だって容器からじゃ飲ませにくいんだもーん」

苗木「そんなわけが……」

江ノ島「浴衣も着せてあげたし!」

苗木「そういえば……!」
苗木(女の子に着替えさせて貰ったのかボク……タオル……脱がされて……!)ズーン

江ノ島「ねえそろそろご飯来るけど食べれる?」

苗木「……」

苗木「大丈夫だけど……」

江ノ島「口移しする?」

苗木「しないでいいよ!」


○●

苗木(う、すごい豪華……お金いくらなんだろ怖いな)

江ノ島「いっただっきまーす!」

苗木「……いただきます」

苗木「そういえば、今の仲居さんもそうだけど誰にも何にも言われないね」

江ノ島「なんも後暗いことないじゃん」パクパク

苗木「あるでしょ!どう見ても未成年の男女が二人同じ部屋に泊まるってまずすぎるよ!」


江ノ島「あー……だって苗木は苗ノ島誠ってことになってるし」

苗木「……え?」

江ノ島「アタシは苗ノ島盾子でーす!」

苗木「えと……つまり」

江ノ島「苗木はアタシの弟」

苗木(やっぱり……)

江ノ島「なーに落ち込んでんの!こんな素敵なお姉ちゃんがいるんだぞー!残念じゃないぞー!呼んでみ?お姉ちゃんってさー!」

苗木「やだよ!」


江ノ島「ほら、お姉ちゃんが食べさせてあげる!あーん!」

苗木「やめてよもう……」

江ノ島「いいからいいから!あーん!」

苗木「あ、あーん、むぐ」

江ノ島「いいこいいこー!」ナデナデ

苗木(ううう……恥ずかしい……)カァァァ

苗木「!!」

苗木「げほっ!!かはっ!!えっ、江ノ島さんっ……!!」

江ノ島「ひゃひゃひゃひゃひゃ!ワサビ爆弾大成功!」


苗木「こんな酷い姉いないよっ!!」

江ノ島「苗木は姉というものを知らないからなー……世の中には残念な姉がいるんだよねー」

苗木「戦刃さんは……いい人だよ」

江ノ島「……誰もむくろ姉さんのことだなんて言ってませんが……」ジメジメ

苗木「……」

江ノ島「もースネないでよカワイイなー!」ナデナデ

苗木「頭なでんのやめてよ!」カァ


江ノ島「ほら、お姉ちゃんにも食べさせて!あーん!」

苗木「……」

江ノ島「あーん!」ズイッ

苗木「解ったから!やるから顔に迫ってこないで!」


苗木「……はい、あーん……」

江ノ島「あーん……むぐむぐ」

苗木「はぁ……」


○●

江ノ島「じゃあお腹もいっぱいになったしお風呂行こっか!」

苗木「ま、また!?」

江ノ島「今度は大浴場の方ね!」

苗木(な、なんだ……それなら江ノ島さんも一緒に入ろうとか言い出せないな)

苗木「じゃあ、先入ってて。ボクトイレ行ってから行くから」

江ノ島「あいあいさー!」ピュー

先にシャワー浴びてこいよ?(難聴)


○●

大浴場男湯

苗木(よし、ちゃんと男湯女湯分かれてた)

苗木(あんまり人いないな……)キョロキョロ

ガッ!!

苗木「ぐっ!!」

苗木(誰だ!?首根っこ掴まれた!!岩陰に引きずり込まれる!!)

苗木「むぐ……!」

バシャシャ


江ノ島「やっぱりアタシでしたー!」

ですよねー(期待)


苗木「ぷはっ!何やってんの!」

江ノ島「しーっ!」

苗木「……こ、ここ男湯だよ?」

江ノ島「知ってるけど?」

苗木「なんでいんの!!」

江ノ島「女湯から柵越えて来ちゃった!」キャッ

流石、妹様!俺達の期待を裏切らない


苗木(逆ならまだしも女湯の方から男湯へ来る人間がかつていただろうか……)

江ノ島「そりゃいたんじゃない?」

苗木「読心したの!?」

江ノ島「絶望ですから」

苗木「訳わかんないよ!」

江ノ島「それじゃ、またお姉ちゃんと一緒に入ろうねー!」

苗木「それ、まだ続けるの……?」


苗木(やっぱりまずいなぁ……さっきと同じようにタオル巻いてるけどさっきと同じように……まずい。というかボクもまだタオル巻いてて良かった……)

江ノ島「ん?何?アタシの裸が見たい?しょーがないなー苗木クンは」スッ

苗木「そんなこと言ってないよほんとにタオル取ろうとしないで!」

江ノ島「はいはい、さっきと同じルールね」

苗木「……ボクもう上がるよ」

江ノ島「えー!せっかくアタシが男女の隔たりを越えてきたのに!もうちょっと浸かろうよー!どっぷりとさー!」

苗木「……さっきみたいな勝負はしないからね」

そこに痺れる憧れるぅぅ!!


○●

部屋

江ノ島「いやーさっぱりしたね!」

苗木「温泉浸かってるのに冷や汗が止まらなかったよ……」

江ノ島「お?布団敷いてあんじゃーん!」ニヤッ

苗木「ふ、二つ敷いてあるよね」

江ノ島「一つはいらねェーなァ!」ズギャーン

苗木「ほんとに一つの布団で寝るの……!?」

江ノ島「苗木クンは約束、守ってくれるよね……?」キャピルン

苗木「解ってるよ……」
苗木(覚悟を、決めよう……!)

入籍の覚悟か・・・

苗木盾子って何か良いよね


○●

苗木「……」モゾモゾ

江ノ島「苗木ー?」

苗木「……何?江ノ島さん」

江ノ島「なんでそっち向いてんのー?」

苗木「いや、だって……」

江ノ島「アタシのこと見てくれると思ったんだけどなー。苗木は絶望に目を向けてくれると、思ったんだけどなー」

苗木「……」
苗木「……っ」クルッ モゾモゾ


江ノ島「やっぱり苗木は見てくれた」


苗木「……!!」
苗木(江ノ島さんの顔が真ん前に……!)


江ノ島「苗木ー!」ムギュ

苗木「う、むぐっ、江ノ島さん、まずいって!」

江ノ島「絶望的に愛してるよん苗木!」

江ノ島「朝までに絞殺しちゃうかも!」

苗木「そんなこと、させないよ……!」

苗木「江ノ島さんに、ボクを殺させたりしない……!」

江ノ島「うんうんそれでこそ苗木だよねー」

いいね


江ノ島「ねえ、絶望に抱かれて眠る気分ってどんな感じ?」

苗木「え?」

江ノ島「自分を殺すかもっていう奴と同じ布団で眠るんだよ?」

苗木「……」

苗木「……普通だよ」

苗木「普通に暖かいし……柔らかい。だからその、困っちゃうよ」


江ノ島「ぷ」


江ノ島「ぷひゃひゃひゃひゃひゃ!そっかそっか!じゃあ殺すのはやめといて一晩中困らせちゃおーっと!」モゾモゾ

苗木「ちょ、やめ!やめて!」モゾモゾ

モゾモゾ……


○●

苗木(結局あの夜は布団の中で抵抗し続けて一睡もできなかった……)
苗木(今も温泉旅行の負荷が後遺症となって残ってる……)

苗木「……」ボー

桑田「お、お前休日中に魂どっかやったのか?」

苗木「大丈夫だよ……大丈夫」フラ

葉隠「どう見ても大丈夫じゃねーべ……」

江ノ島「おっはよー苗木ー!楽しかったねー!お、ん、せ、ん、りょ、こ、う!」

桑田「苗木……!!ついにいくとこまでいっちまったのかよ!?」


江ノ島「【一緒にお風呂入った】しー!【同じ布団で熱い一夜を過ごした】もんねー?」

苗木「それはちが……うぐぅぅっ……!」

葉隠「どうしたんだべ苗木っち!?いつもみたいに論破するべ!」

苗木「ぐぅっ……ぐぐぐぐっ……ぐうぅっ」ドサッ

葉隠「苗木っちーーー!!!」



戦刃「……盾子ちゃん、なんで私を誘ってくれないの?」

江ノ島「えー兄弟姉妹で旅行とかキモいじゃん」


CASE5 閉廷

長くなるの予告し忘れてました。
次回はまたゴチャゴチャした感じです。

乙ー

絶望も希望もいいな

絶望的なイチャイチャですね


いろいろ言われてるけど
ぜひ残姉の話もはさんで書いて欲しい

また楽しみにしてるぜ

やはり希望と絶望のイチャイチャが絶望的に良い


絶望に抱かれた苗木と希望を抱いた江ノ島とか深いな

苗木くんを抱くのは私ですよ?

枕営業してそうなアイドルは苗木君にふさわしくないわ
苗木君に抱くのは私よ

ageんなコミュ障

枕しないと仕事ないなら超高校級にはなってないといつも思うんだけどな舞園さん

残姉かわええ

待ってる


苗木(江ノ島さんどこ行ったのかなー。戦刃さんまで電話に出ないし……)キョロキョロ

苗木(振り回されるのも大変だけど目を離すのも怖いんだよなー。今までこんなことなかったし)ハァ

??「……どうしたの?」

苗木「!?」
苗木(知らない女子だ……)

??「……迷子?」


苗木「いや、えっと、人を探してるんだ」

??「……そっか」

苗木「……うん」

??「……」

苗木「……」

??「……じゃあ、手伝おっか?」

苗木「え?悪いよ!」


??「……大丈夫、まかせて。ここのマップは頭に入ってるから」

苗木(マップ?)
苗木「えーと、じゃあお願いしようかな?キミは……?」

七海「……私は七海千秋。超高校級のゲーマー、だよ」

苗木「ボクは苗木誠。抽選で選ばれただけだけど、一応、超高校級の幸運ってことになってる。……よろしく」

七海「……」

七海「……うん、よろしく」

苗木(なんだかのんびりした子だな)ハハ

嫁キター

七海が出てくるって事は現実じゃないの?

誰の嫁だよ


七海「なんて人を探してるの?」

苗木「江ノ島さん……江ノ島盾子っていってクマの髪飾りでツインテールにした……」

七海「うん、あの人だね。わかった」

苗木「……江ノ島さんのこと知ってるんだ?そっか、彼女超高校級のギャルだしね」

七海「この学園の生徒のことならみんな知ってるよ?」

苗木「え?」


七海「……実は苗木くんのことも知ってたんだ」

苗木「そう……なんだ?七海さんって、編入生?今まで見かけなかったけど……」

七海「……うん、77期のクラスに編入したばっか」

苗木「編入したばっかで学園の生徒について知ってるなんてすごいね……」
苗木(あれ?それになんで77期のクラスなんだろ)

七海「……」

七海「……そうかな?」

苗木「う、うん」

七海「……そうなんだ」


苗木「えと……じゃあ手分けして……」

七海「待った。……その前に電話番号訊いてもいい?」

苗木「そうだったね!連絡できないと……」ピッ

七海「……」ピッ

苗木「それじゃ、行こっか。ボクはあっちを探すね」

七海「……じゃあ、私はあっち」

苗木「よろしく頼むよ」

七海「……うん。しゅっぱーつ」

いや七海が登場する伏線はすでに貼ってある


○●

苗木「大和田クン」

大和田「苗木か。どうしたよ」

苗木「江ノ島さんを探しててさ」

大和田「オイオイついに逃げられたか?」

苗木「そういうわけじゃないと思うんだけど……」

大和田「解んねーぞ。あの女恐ろしく気まぐれだからな」

苗木「確かにね……。それで、江ノ島さん見なかった?」

大和田「ん?ああ。知らねーなあ」


苗木「そっか……」

大和田「わざわざ足使って聞き込みしなくても色んなやつに電話しまくって訊きゃいいじゃねえか」

苗木「そうだけどそこまでするとなんか大事みたいだからさ」

大和田「大事だろ女に逃げられるなんてよ」ハハハ

苗木「……もう!大和田クン!」

大和田「わりぃわりぃ!オレはお前らのこと応援してるぜ。そうだ、今度集会にツラ出せよ。うちの奴らが会いたがってたぜ」

苗木「う、うん……考えとく。じゃあ」

大和田「おう」


○●

花村「江ノ島さん?あーいいよね。まさに禁断の果実だよねぇ……どこがとは言わないけどさぁ!」

花村「あのワガママボディーをなすがままなんて羨ましいよ苗木くん!」

苗木「いや、ええと」

花村「江ノ島さんの影に隠れがちだけど戦刃さんもなかなかだよね。あのしなやかな筋肉をなぞるように舐め回したいよね!」

苗木「えーと……その、江ノ島さんなんだけどね、どこかで見なかった?」

花村「うーん、知らないなぁ……ところで苗木くんってカワイイ顔してるね……?」

苗木(逃げよう)


○●

苗木「はぁ……」

舞園「どうしたんですか?」イキキル

苗木「!?」ビクッ

苗木「や、やあ舞園さん」
苗木(どうしよう……舞園さんにも訊いてみようかな)

舞園「うーん……ごめんなさい。放課後江ノ島さんは見てません」

苗木「な……!」

舞園「エスパーですから!」

苗木「なんか、嬉しそうだね……」
苗木(……ボクって思ってること顔に出やすいのかな)


舞園「苗木君」

苗木「は、はい!」

舞園「この間は取り乱してごめんなさい」ペコ

苗木「え?い、いや良いんだよ。ボクと江ノ島さんが騒いでたのが悪いんだし。ちょっと怖かったけど」

舞園「勘違いなんです」

苗木「え?」


舞園「私、あの事件で苗木君が助けてくれた時、私を励ます為に笑った苗木君の顔が忘れられなくて」

舞園「勘違いしちゃったんです。この笑顔は私だけのものなんだって」


苗木「え、えっと……」

舞園「……ほら行ってください!江ノ島さん探さないと」

苗木「え?う、うん……じゃあ、またね」タッ

舞園「はい!また」

……

舞園「……でも、いつかほんとに私だけのものにしてみせます。江ノ島さん、私諦めませんよ!」

うーん絶望的


○●

霧切「いい度胸ね苗木君」ニューワールドオーダー

苗木「あはは……」
苗木(やっぱり霧切さんに尋ねたのは失敗だったかな?)

苗木「それで、見てないかな江ノ島さん?」

霧切「……」フゥ

霧切「彼女なら生物学棟の近くで見かけたわ」

苗木「え……ほんと!?ありがとう霧切さん!それじゃ行って……」

霧切「待って」

苗木「え?」


霧切「話があるわ」

苗木「……やっぱり、江ノ島さんと騒ぐのが気に障ってた?」

霧切「真剣な話よ」

苗木「……何?」

霧切「あなたは江ノ島盾子に近付き過ぎている。彼女に関わるのはやめなさい」

苗木「え……?」

霧切「故あって私は江ノ島盾子について調査したの」

霧切「江ノ島盾子は生まれながらに絶望を希望する超高校級の絶望、非常に危険な存在よ。深く関われば、あなたが絶望に堕ちることになるかもしれない」


苗木「……」

霧切「……混乱も質問もない。やはりあなた彼女の本質を知っているのね」

苗木「うん……知ってる」

霧切「知っててつき合っているというの?」

苗木「……実はそれはちょっと違うんだ」

苗木「ボクは江ノ島さんとつき合ってるわけじゃなくて、側で彼女という絶望に目を向けるっていう約束をしたんだよ。奇妙かもしれないけど、そういうことになったんだ」

霧切「……絶望の目付役とは命知らずなことね。ある意味恋人という立場より危険よ。絶望を直視し続けるなんて」

霧切「それにあなたには向いていない。江ノ島盾子が超高校級の絶望ならあなたは超高校級の希望といっていい存在……相容れることはないわ」

苗木「それは違うよ」


霧切「……え?」

苗木「強い希望じゃなきゃ絶望を受け入れられないと思うんだ」

苗木「自分のこと超高校級の希望だなんて大それた風には思っていないけど、前向きさだけは自信があるからさ」

苗木「珍しく、ボクじゃなきゃダメだ、って言える気がするんだ」

苗木「だから行かなきゃ、絶望は意外と寂しがりやだからさ」ニコ

霧切「……っ!」

霧切「本当にあなたは……全く、全くもうっ……!」


苗木「……霧切さん?」

霧切「……行って」

苗木「え?」

霧切「絶望は寂しがりやなんでしょ?早く、行って」

苗木「……うん、それじゃ」タッ

霧切「ええ……」

……

霧切(絶望の目付役、ね)

霧切(本来は私の役目……だと思っていたけれど。私では力不足だったのかもしれない)

霧切(……なら、私がすべきことは……)


○●


「……確かにね」


「苗木の幸運に気付いて執着してなかなかったら、この学園を、この世界をメチャメチャにしてただろうね」


「あなたもぶっ殺してたんじゃない?」


「……ねえオセロのコツって知ってる?白黒ひっくり返す」


「……そりゃアタシにとっちゃそんなもん無関係に楽勝よ。でも一般的にはコツってやつがあんのよ」


「……できるだけ取らないことだよ」


「正確に言うと前半に取りすぎないこと。前半自分色で染め過ぎると後で自分が置ける場所がなくなって負けんの」


「きっとそんなこと知らないオセロ初心者みたいにさ、世界中絶望に染め上げて……」


「苗木の希望にひっくり返されてただろうね」



「ま、そんな刺激的なIFの世界に思いを馳せるより、この絶望的にぬるーい世界を楽しもっかー」


「……苗木が絶望をくれる今の状況はなかなかに心地いいよ。ヘドロに浸かってるみたいにさ」


「……希望として希望のまま、絶望を絶望のまま直視しようなんて普通真似できなくない?あなたはアタシを救おうだなんてトンチンカンなことしようとしたしね」


「……いーんだって。むしろアタシが電話に出ないもんだから学園中を探してると思うと愛おしくて愛おしくて殺意が湧いちゃうよ」


「……簡単にはやれないよ。苗木の超高校級の幸運は特別だからね。お寝坊さんだけど」


「……アタシの予想だと、つまり絶対来るけど会ってく?あっ、元彼みたいな立場で辛いか!」


「……ま、確かに恋人でも友達でも家族でもないしね。じゃあ会う?」


「……あっひゃひゃ!眩しいときたか!解らないでもないけどさー!」


「……ところで完成したんでしょアレ。勿体ぶらず見せてよ。今のあなたの希望なんでしょ?ぶっ壊したいなー」


「……は?来てる?こっちに?」


○● 

ピリリリリリ
苗木(七海さんからだ!)
苗木「もしもし?七海さん?」

江ノ島『やっほー!』

苗木「江ノ島さん!?」

江ノ島『第一回盾子ちゃんを探せ!の勝者は七海千秋さんでしたー!いぇーい!』パフパフ

七海『……もしもし?この通り江ノ島さん見つけたよ。生物学棟入口にいるから』

苗木「ありがとう!」

七海『それと……』

苗木「え?」

七海『私の勝ち』ドヤ!

苗木「……うん」

七海『じゃ、待ってるね』プツッ


○●

苗木「江ノ島さん!」

江ノ島「うわぁんにゃえぎー!会いたかったよー!」ガバッ

苗木「会いたかったんなら電話に出てよ!」サッ

江ノ島「もう苗木ったら電話出なかったくらいで大げさー!愛が重いー!もしかして束縛系だったりする?」

苗木「……ボクに約束守らせてよ」

江ノ島「しょーがないじゃーん。アタシだってプライベートな用事があったりなかったりなかったりあったりするんだからさー」

苗木「急にいなくなったら何するか解んないじゃないか……。それで何かあったら絶望の目付役としては失格だよ」

江ノ島「絶望の目付役?そんなしょっぱい名前があったの?」


苗木「……とにかくさ、その、ちょっとだけ心配もしたんだから……勝手にいなくなんないでよね」

江ノ島「な、苗木のツンデレ……!ああ気持ち悪い!その優しさ気持ち悪くてきもちいよぉぉぉ!」ダラダラ


七海「……感動の再会ってやつかな?」ヒョコ

苗木「……七海さん、手伝ってくれてありがとう」

七海「……うん、どういたしまして」

江ノ島「出会ってから速攻でTEL聞いちゃうなんて苗木やるねー!」バシバシ

苗木「キミのおかげだよ……!」



不二咲「千秋ちゃーん!」タタタ


江ノ島「来た来た」ウププ

苗木「不二咲さん?どうしてここへ」 

不二咲「苗木君と江ノ島さんも一緒だったんだね」

七海「……お父さん」

苗木「え?今なんて」

不二咲「もう、勝手にどっか行っちゃダメだよぉ!」

七海「……ごめんなさい、お父さん」

苗木「お父、さん……!?」


不二咲「僕らには居場所が解るけど追っかけるの大変だったんだから……」

苗木「ちょ、ちょっといいかな?不二咲さんがその……七海さんのお父さんみたいな感じに聞こえたんだけど」

七海「……」

七海「……そうだよ?」

苗木「えええええ!?」

江ノ島「衝撃!勢いで産ませたはいいが自分と同年代!!」


不二咲「ち、違うよぉ!……千秋ちゃんは、僕と左右田君と松田君で共同開発した“限りなく人間に近いアンドロイド”なんだ」


苗木「アンド、ロイド……?七海さんが……?」チラ

七海「……zzz」スピー

苗木「全くそうは見えないよ……ていうかアンドロイドって寝るの……?」

不二咲「定期的なスリープは必要なんだけど……人工知能の性格のせいか居眠りが多いんだよねぇ、この子」アハハ……

江ノ島「アンドロイドは電気椅子の悪夢を見るか実験していい?」

苗木「絶対させないからね。……説明されてもまだ信じられないよ。人間としか思えない……」

不二咲「僕のプログラムと設計技術に左右田君の機械工学技術、更に松田君の人工神経知見を合わせて本当に限りなく人間に近い存在になったんだ」

江ノ島「まあ松田くんならこれくらいチョロいだろーね」


苗木「そういえば、77期のクラスに編入したって言ってたけど……」

不二咲「千秋ちゃんのプログラムデータは外部から干渉出来ないようになってるから心配するのは物理的な破損だけでいい。だから左右田君のいるクラスに編入してもらったんだ。人格は僕の作ったアルターエゴだから僕のことをお父さんって呼ぶけど」

不二咲「超高校級のゲーマーにしたのはその才能が再現し易かったのと人工知能の性格に適合したからだね」

苗木「超高校級の才能まで持たせるなんて……!やっぱり超高校級が三人も集まるとすごいことになるんだね」

江ノ島「男三人寄り集まってシコシコシコシコ女の子のお人形作ってたなんて気持ち悪」

苗木「え、江ノ島さん!」


江ノ島「ま、どうせ左右田センパイが男じゃ創作意欲が湧かねーとか言ったんでしょー?」

不二咲「な、なんで解ったのぉ?」

江ノ島「図星かよ……マジ絶望的だなあのモブ男」

不二咲「うぅ、えっとぉ、とにかく、これから千秋ちゃん、生徒として希望ヶ峰で過ごすから仲良くしてあげてね」

苗木「もちろんだよ」

江ノ島「インベーダーゲームやろっかなー?パックマンやろっかなー?それともテトリスかなー?どうしよう苗木?」

苗木(珍しく普通なこと言ってるけどなぜか不穏な気配がする……)
苗木「ぜ、全部やればいいんじゃない?」

江ノ島「そーだね!うぷぷぷぷ」


不二咲「そろそろ千秋ちゃん連れてくね。……ほら、起きて千秋ちゃん、行くよ」トントン

七海「……うん」ネミー

不二咲「よし、行こっか」

七海「……お父さん」

不二咲「何?千秋ちゃん?」

七海「……手、つないでもいい?」

不二咲「……ふふっ、いいよ。はい」ギュ

七海「……」ギュ

不二咲「それじゃまたね二人とも」

七海「バイバーイ」フリフリ


……

苗木「……見た目はちぐはぐな組み合わせだけど、ほんとの親子みたいだったね」

江ノ島「ん?んんんー?まさか苗木……【子ども作りたくなっちゃった】!?しょーがないなそれじゃこれから一発」

苗木「それは違うよっ!!……あれ?そういえば戦刃さんは?一緒じゃないの?」

江ノ島「あー、お姉ちゃんならケータイ落としたとか言って探し回ってるよ?ほんと残念だよねー」

苗木「そうだったの?だから電話出なかったんだ……。手伝ってあげないと!」

江ノ島「その必要はない」

苗木「……え?」

江ノ島「うぷぷぷぷぷ……」スッ

苗木「……早く返してあげなよ」


○●


戦刃「……ない……」


CASE6 閉廷

残姉ちゃんまじかわいい

次回苗ノ島の予定です。

おっつおっつ

千秋のオシオキはパックマンから逃げてガラスにぶつかるところが凄い切ない

2は1と比べるとキャラもお仕置きも印象にあまり残らんかったなぁ

1と違って現実味が無いのが多いからな
いやまぁ1が現実味あるかっていうとあれだけど

妹様まじかわいい


江ノ島「なっえぎー!」

苗木「……今日はどこ連れ回す気?」

江ノ島「やーだ苗木ったら倦怠期?せーっかくいいもの作ったのに!」

苗木(嫌な予感しかしない……)

江ノ島「見たい?見たい?見たい見たい見たい?」

苗木「えーっと……」

江ノ島「しょうがないなーっ!こっちだよほら行くよ!さっさと行くよ!ガンガン行くよ!イッちゃうよぉぉぉ!?」グイグイ

苗木「ちょ、解ったから引っ張んないで!」ヨロッ

面白いわ

きたきた


○●

江ノ島「とーちゃーく!」

苗木「ここって……教室じゃないか」

江ノ島「そ。空き教室!」ガラッ

苗木「これは……!」

江ノ島「じゃーん!すごいっしょー?」

苗木(教室いっぱいを使った……)

苗木「……スゴロク?」


江ノ島「ピンポーン!正解者には絶望ガールからキッスのプレゼントー!んぅー……」ズイッ

苗木「ちょ、やめ……!大丈夫なの?空き教室勝手にこんなんしちゃって」グググ

江ノ島「誰も何もしてない教室をどうしようと誰も何も言わないって!」

苗木「そういう問題じゃないでしょ!」

苗木「……それにしてもよくこんな大きなスゴロク作ったね」

江ノ島「がんばったっしょー?罵倒してぶっ壊して!」

苗木「……そんなことしないけど。でもどうすんのこれ?」

江ノ島「やるんだよ決まってんじゃーん!」

苗木「だよね……」

更新が楽しみだ


苗木「でもこのスゴロク、マスに何も書いてないよ?」

江ノ島「それめくれるようになってんだよねー。そのマスで何が起こるかはどっちかが止まるまで解んないってわけよー!」

苗木「なるほど……」
苗木(ただ『1マス進む』とか『一回休み』とかじゃないんだろうな……)


苗木(うん。このスゴロクは……ヤバい)


苗木(ボクの全経験が告げている。このスゴロクをやってはいけないと)

苗木「……悪いけど他の人を誘ってやってくれないかな。ボクこういうのはちょっと……」

江ノ島「えー他の人じゃ意味ないんですけどー!これアタシと苗木のためだけのスゴロクなんだから!」

苗木「怖すぎるよ!」


江ノ島「ねえまさかほんとに逃げ出したりしないよね?アタシは一応絶望としてアンタに勝負を挑んでるんだけど」

苗木「勝負……」

江ノ島「そ、希望と絶望の勝負。証明してみせてよ。苗木の希望はアタシが作ったスゴロクなんかに負けないってさ」

苗木「……解ったよ。約束があるしね」

江ノ島「うぷぷぷ決まりだね」

苗木「でもマスに無茶な指示が書いてあったら……」

江ノ島「その点は心配いらないって!大丈夫大丈夫!じゃ、はいこれ!」スッ

苗木「……なにこのぬいぐるみ?ウサギ?」

江ノ島「モノミだよ!ぶさいくっしょー?アタシはこのモノクマ!」ジャン!


江ノ島「一応このぬいぐるみがコマってわけ」

苗木「ああ、そういうこと。でもコマ使うならこんな大きなスゴロク作ることないんじゃ……」

江ノ島「解ってないなー苗木クンは。こういうのは気分が大事なの!大袈裟にやってこそだよ!」

苗木「そ、そう……」

江ノ島「……はいサイコロ!苗木から振っていいよ!」スッ

苗木「ボクから?ってサイコロもデカっ!」

江ノ島「何が出るかな?何が出るかな?」

苗木「……いくよ」ハァ
苗木(鬼が出るか、蛇が出るか……)


苗木「……」ポイッ

コロコロコロコロ

江ノ島「6!」

苗木「よし!」
苗木(ツイてる!早くゴールして終わらせられるかもしれない!)

江ノ島「じゃそこのマスのシートめくってめくって!」

苗木「うん……」ペリリ

『相手のおでこにキス。パスするなら3マス戻る』

苗木「……」

苗木「……は?」

素晴らしい


江ノ島「やったー!ほらほらちゅーしてちゅー!」サッ

苗木「し、しないよ!パス!」

苗木(はぁ……結局3マス進んだだけか)ポトッ

江ノ島「ちょいとちょいと!何もうモノミ置いてんの?そこもめくんなきゃ!」

苗木「え?」ペリリ

『相手に10秒ハグ。パスするならふりだしに戻る』

苗木「……」

苗木「えええええ!?」

最高じゃないか!


江ノ島「ほら苗木ー!アタシの胸に飛び込んでおいで!」

苗木「ねえ、江ノ島さん」

江ノ島「ん?どしたー?」

苗木「このスゴロクのマスって全部こんなんなの?」

江ノ島「色んなアクションあるから安心してよ。あ、もっとどぎついのが良かった?」

苗木「……」

江ノ島「で、ハグは?ほらおいでおいで!」バッチコーイ

苗木(さっきのキスはともかくハグはハグで恥ずかしい……!でも進まないことには終わらないし……)

幸せそうだな、闇金以上に後が怖い


苗木(やる……しかない)トボトボ

苗木「……」

苗木「っ」ギュ……

江ノ島「きゃはー!真っ赤なお顔で目つむって背伸びして抱きついてくる苗木きゅんかわいすぎりゅう!たまんない!」ギュウ

苗木「うぎゅう!」

江ノ島「ほらほら苗木の方がハグするんだよ?もっと強く抱き締めて!」

苗木「う……ううっ」ギュ

江ノ島「ひゃあん最っ高だよ苗木ぃーん!」ギュ


苗木「……も、もう10秒経ったよ!」バッ

江ノ島「ありゃ残念」

苗木(うう……一回目なのにもう死ぬほど恥ずかしい)
苗木「なんなのこのスゴロク!ひどいよ!」

江ノ島「えーどこがひどいのよ。ちゃんとプレイヤーに配慮して拒否権も用意してあんじゃん」

苗木「う……」

江ノ島「じゃアタシの番ね!」ポイッ

コロコロコロコロ

江ノ島「6!」


苗木「え?6って……」
苗木(さっきボクが止まった……)

『相手のおでこにキス。パスするなら3マス戻る』

苗木(き、キス!!)

江ノ島「うーん、オープン済みのとこってのはちょっとシラケるけど、ま、しょうがないか。ほら前髪上げて」

苗木「え、えと……そうだ!江ノ島さんはパスしても戻んなくていいよ!」

江ノ島「何言っちゃってんの?ルールは絶対だよ」

苗木「うっ……アクションを受ける側に拒否権は……?」

江ノ島「考慮しておりません」クイッ

苗木「穴だらけのプレイヤー配慮だ!」

ハグしたいとはスケべめ


江ノ島「いいからさっさと前髪上げろよ!なァ!!」ズギャーン

苗木「うう……」スッ
苗木(解ってはいたけどやっぱりルールにかこつけて色々するのが目的みたいだ……)

江ノ島「……」ジリジリ

苗木(江ノ島さんの顔が近づいてくる……!目つぶろう)ギュッ

江ノ島「……んっ」チュッ……

苗木「っ!!」

江ノ島「……っぷぅ……」


苗木「……」

江ノ島「……終わったんだけどいつまで固まってんの?あ、もしかしてアンコール?」

苗木「ち、違うよっ!」


江ノ島「なーんだ。ほら次は苗木だよ」

苗木「うん……」ポイッ

コロコロコロコロ

江ノ島「2!」

苗木(モノクマの一つ後ろか……)ペリリ

『相手の頭を10秒なでる。パスするならふりだしに戻る』

苗木(パスした時のペナルティがキツいけど、まだやりやすい内容だ……こういうのもあるんだよかった)

江ノ島「パスする?」

苗木「いや、やるよ!」


江ノ島「やったー!なでなでしてー♪」スッ

苗木(……恥ずかしいことは恥ずかしいな……やっぱり)カァ

苗木「……」ナデナデ
苗木(江ノ島さんの髪……柔らかいな……)

江ノ島「んふふーなかなかうまいじゃーん」

苗木「頭なでるのにうまいとかあるのかな……」ナデナデ

江ノ島「きもちわるくてきもちいー」

苗木「……ほんと面倒な個性だよ……そろそろ10秒経ったよね」


江ノ島「よっしじゃあアタシのターンってわけだ」ポイッ

コロコロコロコロ

江ノ島「3!」 

江ノ島「さてさて何が出るでっしょーう、か!」ペリリ

『ポッキーゲーム。負けた方が5マス戻る。引き分けの場合移動なし』

江ノ島「いーじゃんいーじゃん!パーティーゲームの定番だね!二人きりだけど!」

苗木「こんなんまであんの!?」
苗木(ていうかボクの場合負けたらふりだしじゃないか!)

江ノ島「いはひょうふ!」スッ

苗木「いつの間にかくわえてる!?」

おいおい
江ノ島ちゃん可愛すぎるぞ


江ノ島「ほははへひほほっひふはへへ」ツンツン

苗木「……」パク

江ノ島「よーひ、ほん!」

江ノ島「……」ポリポリポリポリポリ

苗木「!!」
苗木(は、速っ!)



苗木「っ!!」


江ノ島「はい!苗木ふりだしー!」

苗木「勝ちとか負けとか考えてなかったでしょ明らかに!!もう少しでキスしてたよ!!」

江ノ島「勢いで押す作戦に決まってんじゃーん!負けたんだから戻ってねー!」

苗木「ひどすぎる……」トボトボ


○●

苗木(進んでは戻ってを繰り返してるから結局なかなか進まない……)

苗木(江ノ島さんはもうすぐゴールしそうだな……)

苗木(江ノ島さんがゴールすればこのスゴロクは終わる、けど……)

苗木(その場合絶望の勝ちってことになるのかな)

苗木「……」

江ノ島「んじゃ行くよー!」ポイッ

コロコロコロコロ

江ノ島「4!」

江ノ島「何が出るかなーっと!」ペリリ


『相手と10秒手を恋人繋ぎ。パスする場合10マス戻る』

苗木(よかった。こっちとしてもあんまりきつくないマスだ……)

江ノ島「パス」

苗木「えっ」 

江ノ島「……」ペリリ

『相手の耳に甘噛み。パスする場合5マス戻る』

苗木(ま、まずい……!)

江ノ島「パス」

苗木「!?」

江ノ島「よっと」ペリリ

『相手を10秒お姫様だっこ。パスする場合は7マス戻る』

コレは終わらせない気かwwww

むしろ狙ってるマスに止まれるまで頑張ってるのかも


江ノ島「この辺でいいかなー」

苗木「えっ?」

江ノ島「ご機嫌麗しゅー!苗木姫!」ヒョイ

苗木「うわっ」

江ノ島「……」ニイッ

苗木「!?」

江ノ島「カワイイなー……ずっとこうして眺めてたいなー……」

苗木「え、江ノ島さん……!」

江ノ島「……」

江ノ島「まあでも10秒ってルールだしね」パッ

苗木「うわあぁっ!!」ドサッ

苗木「っつ……いきなり落とすなんてひどいよ江ノ島さん」

ゴールまでの6マスは全部一箇所に収束して戻り、戻り続けたあとの内容が妹様の本命とか


江ノ島「うぷぷ」グルグルグルグル

苗木「!」

苗木「……」

苗木(……やっとボクはこのスゴロクの絶望的な事実に気がついた)

苗木(自由にできるパスの選択とその場合後退するというペナルティ、それはボクを進ませないためだけにあるのではなく)

苗木(江ノ島さんが好きな時に戻るためにある)

苗木(つまり……)



苗木(江ノ島さんはこのスゴロクをゴールする気がない)


苗木(このスゴロクはボクがゴールしないと終わらない……!)

なんだってー(棒)


江ノ島「気づいたみたいだね。いいよその表情きゅんきゅんきちゃうよ」

苗木「江ノ島さん……やっぱりキミはゴールするつもりがないんだね……」

江ノ島「言ったでしょ?希望と絶望の勝負だってさー。絶望にゴールなんてないんだよ。うぷぷ……永遠に続くスゴロクなんて楽しそう……」

苗木「っ……!」


江ノ島「やめたい?逃げてもいいよ?」

苗木「え……?」

江ノ島「ま、その場合失望するだけだけど」

苗木(失望……希望でも絶望でもなく、失望)

江ノ島「どうする?」

耐久イチャイチャ勝負するしかない(迫真)



苗木「……江ノ島さんはさ」

江ノ島「ん?」

苗木「ボクがやめるって言うと思ってるの?約束を忘れて……絶望(キミ)に負けを認めて」

江ノ島「……」


江ノ島「えへ♪全然」


苗木「……全くもう」

苗木「じゃ、続けるよ」ポイッ

コロコロコロコロ

江ノ島「3」

苗木「……」ペリリ

『相手の頬にキス。パスするなら3マス戻る』

江ノ島「やる?やらない?」


苗木「……やるよ」
苗木(前に、進むしかない!)


江ノ島「いやったー!苗木クンがその気になってくれたみたいで盾子ちゃんは非常に嬉しいです!」

江ノ島「じゃ、ここにさっそくお願いしまーす!」プニプニ

苗木「っ……」カァ
苗木(覚悟は決まった、けど、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいっ……!)

江ノ島「ほら早くー」


苗木「……」

苗木「……っ!」チュ


江ノ島「はぁん!」ビクン


苗木「ちょっ、変な声出さないでよ!」バッ

江ノ島「だってぇー!苗木の方からキスしてくれるなんて最っ高にゾクゾクしちゃうって!も、もう、自分が抑えられるか……!!」ダラダラ

苗木「……」
苗木(覚悟、し直す必要があるかもしれない……)

○●

苗木「……」ボー
苗木(江ノ島さんがキスのマスばっか狙ってる……。今日だけでどんだけキスされたんだボク……)

苗木(でも、もう少し……もう少しでゴールだ……!)

江ノ島「あー苗木にこんなにいっぱい希望に満ちた愛情表現をして貰えるなんて……!絶望で身がねじ切れちゃいそう!」

苗木「いいから、次、江ノ島さん……」

江ノ島「おっけー!苗木の愛に応えなくっちゃね!」ポイッ

コロコロコロコロ

江ノ島「1!」

苗木「まだ開いてないマスだね」

江ノ島「さー何が出るかな!」ペリリ

苗木くんがどんどん調教されてる気がする

だがそれがいい


『ゴールまで相手と手を恋人繋ぎ。パスするなら4マス戻る。他のマスの指示に従うのに必要な時以外で手が離れた場合双方4マス戻る』

苗木「何これなんか前のマスがパワーアップしてるんだけど!?」

江ノ島「いやーやっぱクライマックスでパワーアップってお約束じゃん?」

苗木「こんな非常識なスゴロクでお約束なんていらないよ……」

江ノ島「まあまあ!手繋いでるだけじゃん!はいっ!」ギュ

苗木「うん……」

苗木(すべすべしてて柔らかい……)カァァ

江ノ島「あったかいなぁ……気色の悪い希望が伝わってくるみたい……!」ダラダラ

苗木「っ……つ、次はボクの番だね」
苗木(時々握る手に力を加えてくるのが……!これは直接的な内容よりもキツいかもしれない……!)


江ノ島「うぷぷどーぞ?」

苗木「行くよ!」ポイッ
苗木(あと少しでゴール……!)

コロコロコロコロ

江ノ島「3!」

苗木(何が来ようと……乗り越えてみせる!)ペリリ



『ゴールまで相手を「お姉ちゃん/お兄ちゃん」と呼ぶ。パスするなら10マス戻る』

苗木「……そこまでお姉ちゃんって呼ばれたかったんだ【江ノ島さん】……」

江ノ島「お・ね・え・ちゃ・ん!!」

苗木「お……お姉ちゃん……」カァ

江ノ島「あー!あー!あー!もーたまんないぃっ!!お持ち帰りしちゃうよマジでっ!お姉ちゃんと一緒に帰ろうねー!」ブンブン

苗木「ちょ、腕振り回さないで、お姉ちゃん……」

○●

江ノ島「はい、苗木の番」

苗木「……」
苗木(やっと……ここまできた。あと4マスだ。4以上の目が出れば終わりだ)

苗木「いけっ!」ポイッ

コロコロコロコロ



江ノ島「5」

苗木「よし、やった!!」

江ノ島「ちぇー、これで終わりかー!でもいっぱい楽しませてもらったし、まあまあ満足かな」

苗木「それじゃ……」

江ノ島「ほら、ゴールのマスめくって!」

苗木「え……?ゴールにも何か書いてあんの?」ゾ

江ノ島「もっちろんよー!ほら早く早く!」

期待

ずっと更新押してる


苗木「……」ゴク

苗木(まさか……)

苗木「……」ペリリ

苗木「……!」

苗木(ゴールのマスに大きく書かれていたのは……)



『苗木だいすき これからも絶望をよろしく』



苗木「……」ポカーン

江ノ島「えっへっへー!実はこれがやりたかっただけだったりして!きゃっ恥ずかし!」

江ノ島「今日はなかなか楽しかったよん苗木ー!んじゃ、まったあっしたー!」ガララッ タッタッタ……

なんて可愛いんだ

カワイイ

妹様カワイイ

たまんねえべ


苗木「……」

苗木(不意打ちだった)

苗木(ボクはてっきり無茶な要求と共に『パスするならふりだしに戻る』と添えてあるような、そんな罠があるんじゃないかと思っていた)

苗木「……」

苗木「……」

苗木「……もしかして」



苗木「……これボク一人で片づけるの?」


○●

苗木(はぁ……やっと終わったよ……)トボトボ



朝日奈(あ!あの後ろ姿……)

タッタッタ

朝日奈「苗木!こんなとこで何してんの?」


苗木「朝日奈さん?」クルッ

朝日奈「!!」

バチンッ

苗木「!!??」ヒリヒリ

朝日奈「ごめん、思わず……」

苗木「あ、朝日奈さん……ボクなんか悪いことしたかな……」ヒリヒリ



朝日奈「……鏡、見てくれば?」


CASE7 閉廷

これはとてもいいSSやな



最後のはキスマークがついてたってことかな?

顔中キスマーク(口紅有り?)か・・・

ノーカットでスゴロクを描く力はありませんでした。想像力でカバーしてください。
次は苗木クンも江ノ島さんも出てこないスレタイ詐欺の回です。

そういえばキスマークってなかなか消えないってどっか聞いたような……



盾子ちゃんかわいすぎるよ

素晴らしい…乙

乙です
見ててほっこりする

ギャルなんだから口紅してたんだろうな
顔中キスマークとか裏山

口紅なくても強く吸い込まれれば跡つくぞ?

実際は内出血なんですけどね

アニメ的にわかりやすいキスマークといえば口紅だわな
そうじゃないのはただの痣だし
そもそも性に疎いっぽいドーナツが痣の方のキスマークわかんのかなw

そういえば、残姉ちゃんは
ずっと携帯探してるのかな・・・

これを見て妹様派になりました



戦刃「……」チャッ

バンッ

 バンバン

バンバンバンバンバン……

……


……

『NEW RECORD!!』

戦刃(……よし)

戦刃「6(む)9(く)6(ろ)……と」バン バン バン バン

七海「……あなただったんだ」

戦刃「!?」バッ カチャッ

七海「……」

戦刃「……」

七海「私に向けてるそれ、ライトガンだから弾は出ない……と思うよ?」

戦刃「あっ……」ガチャン


七海「……」

戦刃「……」

七海「……ここにあるガンシューだけね。なかなかハイスコアが取れなかったんだ」

戦刃「……え?」

七海「いっつも上にいる『696』って人がすごすぎて」

七海「やっと新記録出してもやっぱり『696』さんにすぐ塗り替えられちゃって……誰なんだろ?……って思ってたんだ」

戦刃「……!」

戦刃「……もしかして……あなたは『773』さん?」

天使の邂逅


七海「……うん。『773(ななみ)』。ほんとは七海千秋っていうんだ」

戦刃「……私は戦刃むくろ……よろしく」

七海「……」

七海「うん、よろしく」

戦刃「……私もあなたに負けないようにがんばってた」

七海「……そっか」

戦刃「……」

七海「……」

戦刃「……」

七海「……プレイ」

戦刃「えっ……」

七海「見てもいいかな?」


○●

戦刃「七海さんは……」 バン バン

七海「……何?」

戦刃「希望ヶ峰の生徒なの……?」バンバン

七海「……そうだよ?私は超高校級のゲーマー……ってことになってる。戦刃さんも希望ヶ峰の生徒だよね」

戦刃「……うん。超高校級の軍人」バンッ

七海「本物の軍人さんかー。難易度高いなぁ。……いつもここに通ってるの?」

戦刃「盾子ちゃんが……私の妹が、『ついてくるな』って言う日は暇だから……これで時間潰してる」 バンバンッ

戦刃「今日も……空き教室で何かするみたいだったから手伝うって言ったけど、いいって」バンバンッ


七海「……盾子ちゃんって、江ノ島ささん?」

戦刃「盾子ちゃんを知ってるの……?」

七海「……うん。苗木くんが江ノ島さん探してた時、それ手伝ったんだ」

戦刃(……いつのことだろ……)

七海「かわいい妹さんだね」

戦刃「……うん!自慢の妹!」

戦刃「私なんかと違ってすごくかわいい。姉妹なのに全然似てなくて……」


七海「……そうかな?声とか顔立ちとか、結構似てるとこあると思うけど」

戦刃「えっ……」

七海「戦刃さん」


デデーン

『GAME OVER』


戦刃「あっ……」

七海「ごめんね、教えようと思ったんだけど」

戦刃「ううん……」

七海「……次はさ」

戦刃「……?」

七海「2人プレイしようよ」

ほう

ここが天国か


○●

七海「やっぱりすごいね。スコア適わないや」

戦刃「そんなこと……七海さんもすごいよ」
戦刃(初めて2人プレイした……)

七海「パターンは頭に入ってるんだけどなー」ウーン



「イヤッフゥゥゥゥゥ!!イエェェェェス!!」



戦刃「!?」ビクッ

七海「……音ゲーコーナーの方からだね。ちょっと見に行ってみよっか」

戦刃「うん……」


○●


ザワザワ

澪田「イヤッハァァァァァ!!」ジャカジャカジャカジャカ



戦刃「あの人……ゲーム画面を背にしてギターのゲームしてる……!」

七海「……やっぱり澪田さんか」

戦刃「知り合いなの……?」

七海「クラスメートなんだ」

戦刃「あの人も希望ヶ峰……」



澪田「フゥーッ!」ジャーン
……
ザワザワ パチパチパチ

澪田「センキューっす!」ビシー



七海「澪田さーん」

澪田「千秋ちゃんじゃないっすかー!奇遇っすね!……おやおや?そちらはどなた?」

七海「戦刃むくろさん。今日知り合ったんだけど……同じ希望ヶ峰学園の生徒で超高校級の軍人さん」

戦刃「……よろしく」

澪田「その大人しそうな雰囲気で軍人……いいっすねー……千秋ちゃんを凌ぐ萌えキャラの匂いがプンプンするっすよ……?」フッフッフ

戦刃「……」クンクン

澪田「澪田唯吹の澪に、澪田唯吹の田に、澪田唯吹の唯に、澪田唯吹の吹で……澪田唯吹でーす!」


澪田「よろしくお願いするっすー!!」ガシッ ブンブン

戦刃「う、うん……よろしく」

七海「……澪田さん、音ゲーやるんだね」

澪田「超高校級の軽音楽部っすから!ま、本物の楽器触んのとはまた違うんすけど……。別腹ってやつっすね!」

七海「……」

七海「……でもこのゲーセンでやってるとこ初めて見たよ?」

澪田「いやーそれが……あの通りやり始めるとキマりまくっちゃうんで……出禁になんないように行くゲーセン変えてるんすよねー」

七海「そうなんだ……」

戦刃「よく解らないけど大変なんだね……」

澪田「見ないで!その憐れみの視線の純粋さが痛いっす!ダブルで!」


澪田「しかし千秋ちゃんはゲーマーさんっすけど軍人さんのむくろちゃんもゲーセン来るんっすね」

七海「……戦刃さんね、ガンシューすっごいうまいんだよ」

戦刃「……そんな、たいしたことない」カァ

澪田「あー、なるほど!是非お手並み拝見したいっすね!」

戦刃「いいけど……」

澪田「やっふー!そんじゃ唯吹も秘技、二挺拳銃(トゥーハンド)を披露しちゃうっすよ!」

七海「それじゃ、れっつごー」


○●

澪田「……」

澪田「二挺拳銃(トゥーハンド)の免許はむくろちゃんに皆伝っすね……」

澪田「もう唯吹の教えることは何もないっす!思う存分一人二人プレイを楽しむがいいっす!!」

戦刃「あ、ありがとう……?」

七海「……すごいけど、二人プレイは二人でやった方が楽しいよ」

戦刃「……うん」

澪田「早くも免許ポイ捨てっすか!?もちろん一人の時にやるんすよう!」


戦刃「でもこれだと簡単過ぎじゃない……?」

澪田「いやーそう思うのはむくろちゃんだからじゃないっすかね……?あれー?自信なくなってきちゃったなー……」

澪田「こうなったら仕方ない……音ゲーの方のダブルプレイで名誉挽回っす!」ビシー

七海「……待った。その前に対戦しようよ」

澪田「よかろう、受けて立つっす!フフフ、ハンデは目隠しでいいっすか」

七海「むぅ……いらないよそんなの」


戦刃「……二人ともがんばって」

澪田「……聞いたっすか千秋ちゃん?唯吹には負けられない理由ができたっすよ!?手加減してもらえるとか思わないでほしいっす!」ムッキー!

七海「……それはこっちも同じだよ?」

澪田「では……むくろちゃんとのプリクラツーショット権を賭けていざ勝負っす!」

戦刃「えっ」

七海「いいよ?」

戦刃「えっ……!?」

かわいい

天使&天使&天使

可愛い娘しかいない


○●

澪田「いやー……ここまでやるとは思わなかったっすよ。流石千秋ちゃんっす」

七海「……」

七海「あと少しだったんだけどなぁ……やっぱりすごいね澪田さん」

澪田「宣言通り一切手加減しなかったっすからね!120パーセント唯吹っす!」エッヘン

戦刃「……大人気ないよ」

澪田「想像以上に冷たい一声!!」タハー

澪田「むくろちゃんががんばってって言ってくれたんじゃないすかー!」

澪田「それにぶっちゃけ超高校級のゲーマーさんに手加減とかできないっすよう!」


戦刃「……確かに私も七海さん相手じゃガンシューティングで手加減できない」

澪田「じゃないすかー!?千秋ちゃんはマジにすごいゲーマーっすよ……」

七海「……」

七海「あーあ……プリクラ撮りたかったな」

澪田「なーに言ってんすか。プリクラなら三人で撮るっすよ?」

七海「……私入ってもいいの?負けたのに」

澪田「あれはその場のノリっすよー!唯吹は別にギャンブラーじゃないんすから」

澪田「みーんなで撮るっす!友情の証に!」


戦刃「友情……」

澪田「ゲーセンでこんだけ一緒に遊べばもうお友達っすよ!」

七海「……」

七海「……そうだね」フフッ

戦刃「……」パァッ

澪田「ほらほら早く行くっすよ!センターは唯吹っす!」グイグイ

七海「わっ」

戦刃「ま、待って」

ここが天国か

悶える


○●

澪田「いやー!今日はソロかと思ったら思わぬお友達に出逢えて超楽しかったっす!」

戦刃「……うん」

七海「私も」

澪田「そんじゃー!この後ご飯……はだめっすかねやっぱ」ハハ

戦刃「……?」


日向「あ!おい!澪田!」タッタッタ


澪田「およ?」

戦刃「日向君……?」


七海「……」

日向「戦刃も一緒だったのか。……っと、君は?」ドキ

七海「……七海千秋。超高校級のゲーマー……ってことになってる。よろしく」

日向「……俺は日向創。よろしく。希望ヶ峰の予備学科なんだけど……おい澪田」

澪田「まったくどうしちゃったんすか創ちゃん?そんなにぷりぷりしちゃって」

日向「お前俺に会ってもまだ思い出さないのか!?今日はお前が音楽教えてくれる約束だったろ!?」

澪田「あ、あれー……?そうだったっすかね……?」

日向「そうだったんだよ!さっきまでずっと待ち合わせ場所にいたんだぞ!なんで電話出ないんだよ!ちょっと心配になっただろ!」

澪田「そりゃあさっきまでゲーセンにいたっすから……」アハハ…

日向「ゲーセン!?」


澪田「……こ、この埋め合わせはいつかするっすー!」ピュー

日向「あ!おい待て今からでも……ったく!戦刃!また今度よろしくな。それと七海……ゲーマーだったよな?」

七海「うん」

日向「……今度ゲームについて教えてくれ。じゃあ!」タタタタ……

七海「……」

七海「……なんか、変わった人だね」

戦刃「……悪い人ではないよ」


七海「……」


七海「……うん、そんな気がする」

そういえば残姉ちゃんの中の人は二挺拳銃( トゥーハンド)やったな


○●

江ノ島「うぷぷ……感度良好」
江ノ島(やーっぱり苗木のやつモノミとモノクマ捨てられずに持ち帰ってるよ。カメラと盗聴器入ってるとも知らずに……)

江ノ島「……爆弾でも入れとけばよかったかなー」

ガチャ

戦刃「盾子ちゃん……」

江ノ島「ちょっと、勝手に入ってくんなっつったでしょーが!」

戦刃「ご、ごめんなさい……話があって」

江ノ島「何よ?アタシ忙しいんだけど?」ジト



戦刃「……わ、私達の似てるところについて話し合ってみない……?」


江ノ島「……次そんな薄ら寒い台詞吐いたら口縫い合わすから」


CASE8 閉廷

苗ノ島の反動かのんびりした話になりました。
次回は江ノ島さんメインの78期女子会です。

うっす

乙期待
ちーたんが入ってくるか否かが問題だな>女子会

ガンダム乙乙

天使だらけだった

女子会とか期待値MAX

澪田ってなんだかんだでいいやつだよな
ぼ、僕みたいなのと話してくれるし

名前のネタがアレだけどなw


江ノ島「……女子会?」

舞園「はい!狭いかもしれませんがクラスの女子で私の部屋に集まってやろうと思うんです!」

江ノ島(アホらしめんどくさ)

舞園「他の方はみんな来ますし江ノ島さんも来てくださいね」ニコ

江ノ島「他の方……?」ジロ


戦刃「……!」ビクッ


舞園「霧切さんと腐川さんを説得するのは大変だったんですよ?」フフ

江ノ島「マジでその二人もくんの?なーんかぐっちゃぐちゃしてんなぁオイ」

江ノ島「よかろう……!私様も出向いてやろうではないか……!」ドドン

舞園「ほんとですか!?よかったー!それじゃ七時に私の部屋に来てくださいね!」

江ノ島「りょーかーい」


○●

江ノ島「というわけで!今夜は寂しい思いさせちゃうけどごめんね!」

苗木「……毎晩一人だよ。誤解されるようなこと言うのやめてもらえるかな」

江ノ島「……本当に一人かな?」

苗木「怖いこと言わないでよ!」

江ノ島「執念、というか怨念っていうのかな……人間の強烈な思いの残滓が物や場所にこびり付いてることがあるんだよね……。殺人現場の血痕みたいにさ……」ゴゴゴゴゴ

苗木「ちょっと、ほんとに怖いからやめて!ボクの部屋は訳あり物件じゃないから!」

江ノ島「ま!誰が見てるか解らないから日々恥ずかしくない生活を送らないとねー!」

苗木「え……そういう話なの?」

待ってた(ガタッ


○●

江ノ島「こんばんはーっ!」ガチャ

戦刃「盾子ちゃん……!」

舞園「江ノ島さん遅いですよ?でもこれで揃いましたね!」

江ノ島「うっひゃあせっま」

大神「済まぬ……」

朝日奈「ちょっと、なんでさくらちゃんが謝るの?」

江ノ島「いやデカいからでしょ」


セレス「体躯の大きさの問題がなくとも一部屋に八人は流石に窮屈ですわね……」

江ノ島「じゃあ一人減らそっか!お姉ちゃん、バイバイ!」

戦刃「……」スクッ

舞園「戦刃さん本当に帰ろうとしないでください!」

江ノ島「んー……あ!狭いのになんか足りないと思ったら不二咲がいないのか!」

舞園「まあ……不二咲さんは一応男子ですから……」

江ノ島「ほとんどが不二咲の性別=ちーたんって認識に落ち着いてるけどねー」

舞園「……とにかく、狭いのはどうにもなりませんしもうお菓子食べちゃいましょう!ほらいっぱいありますよ!」


朝日奈「あー!このちっちゃいドーナツのお菓子好きなんだよねー!」

霧切「これだけの山のようなお菓子……一人で用意したの?」

江ノ島「ファンがくれたやつだったりして……」ウププ

舞園「違いますよ!……実はグループのメンバーで女子会をやろうということになって、みんなで前もってお菓子だけ買ったんですけど」

舞園「肝心の当日予定が合わなくなっちゃいまして……」

セレス「つまりは余り物……ということですわね」

舞園「……はい……」

腐川「あ、あたし達は残飯処理に呼ばれたわけね……」


朝日奈「ちょ、余り物でもなんでもいいじゃん!」

大神「……うむ。舞園に感謝して頂くとしよう」

戦刃「……おいしそう」ジーッ

江ノ島「ってかさー、この量……八人で丁度いいと思うんだけどアンタのグループどんだけ食うのよ?マジでアイドル?」

舞園「その日だけは体重を気にせず食べようと……」アハハ……

朝日奈「もういいからさ!早く食べよーよ!これ以上のおあずけは耐えられないよ!」

セレス「そうですわね」

セレス「一晩でこれを消費するのは骨が折れそうですし、さっさと食べ始めてしまいましょうか」


江ノ島「うォーし!頂きィ!」ズギャーン

舞園「どうぞ頂いちゃってください!」

江ノ島「……」モニョモニョ

江ノ島「あ、これおいしぃー!はい、セレスちゃんあーん!」キャピルン

セレス「……なぜわたくしに?」

江ノ島「いいからいいからー!」ズッ

セレス「むぐっ!?」

セレス「……」モニョモニョ

セレス「……」

セレス「まっじィ!!何食わせんだこのアマッ!!」


江ノ島「あれー?おかしいなー?おいしかったんだけどなー?」ニヤニヤ

霧切「……どんな味が?」

セレス「そうですわね……まさしく」


セレス「ゲロ、ですわね」


朝日奈「何食べたの!?」

江ノ島「……サワーペーパーヨーグルト味」ウププ

セレス「こんなにもクソまずい駄菓子が存在するとは知りませんでしたわ……江ノ島さん、覚えておいてくださいね」

江ノ島「……そんな……私はおいしいと思ったから食べさせたのに……絶望的な見解の相違です……」ジメジメ

戦刃「……盾子ちゃんかわいそう」

セレス「……戦刃さん、あなたはもう少し妹さんを疑うことを覚えなければいつか痛い目を見ますわよ。命を落とすレベルで」

江ノ島「他の方もじゃんじゃん食べてください。このままでは女子会参加者の摂取カロリーに偏りが出ることが予測されます」クイッ

腐川「と、というか今日ぐらいキャラ変えんのやめなさいよ……!余計人が増えたように感じるじゃない……!!」グギギ


○●

江ノ島「で!」

舞園「で?」

江ノ島「せーっかく女子会なのにバクバクバクバクお菓子食べるだけじゃつまんないんですけどー!」

朝日奈「えーそう?」

江ノ島「トーク!!圧倒的にトークが足りないって!このまま内容のない話ばっかじゃ女子会の意味ないじゃーん!」

舞園「まあ確かに……」

セレス「このままではお菓子品評会ですわね」

江ノ島「というわけで!最近の面白エピソードいってみよー!」

江ノ島「ハイ!朝日奈さん!」ウププ

朝日奈「え!?わ、私?」


朝日奈「面白エピソード……急に言われてもなー……」ウーン

舞園「最近起きた変わった出来事でもいいですよ?」

朝日奈「……あ……!」カァァ

セレス「……何かあったようですわね」

朝日奈「いや、あったといえばあったけど……なかったといえばなかったというか……」チラ

江ノ島「ん?」

朝日奈「この場で言ってもいいのかな……」

霧切「……珍しく歯切れが悪いわね」


腐川「さ、さっさと言いなさいよ……!このままじゃ気持ち悪いじゃない……!」

朝日奈「じゃあ、その前に江ノ島ちゃんに訊きたいことがあんだけど」

江ノ島「なになに?なんでも訊いてよ!」

朝日奈「江ノ島ちゃんは……苗木とその、付き合ってるんだよね?」

舞園「……!」

霧切「……」

戦刃「……」ソワソワ

江ノ島「もち!前大々的に発表したじゃーん!」


舞園「……苗木君に関係のあることなんですか?」

朝日奈「う、うん」

セレス「……あら、いきなり面白くなって参りましたわね」

江ノ島「いい加減とっとと話せよオイ!」ズギャーン

朝日奈「……あーもう、言うよ?」


朝日奈「この前普段あんまり行かない区画に用があって行ったんだけど……そこで苗木の後ろ姿を見かけたから声かけたの」

江ノ島(あーハイハイなるほど)

朝日奈「そしたら振り返った苗木の顔……キスマークだらけだったんだよ!」


舞園「!?」

霧切「……」フゥ

戦刃「……」カァ

朝日奈「私もうびっくりしちゃって、思わずビンタしちゃったんだけどさ」

江ノ島(うぷぷぷぷぷ、苗木のやつひっぱたかれたのかよぉぉぉ!)プククククク

舞園「み、見間違いじゃないでしょうか?苗木君がそんな……ねぇ?」ハハ

朝日奈「見間違いじゃないよ!はっきり口紅の跡が付いてたもん!いくつも!」

舞園「……」クラッ

助けて先生!舞園さんが息してないの!

乳ビンタ!


朝日奈「気付いてないみたいだったから鏡見てくればって教えたし……」

江ノ島「う……ぷぷっ」プクク

セレス「どうも苗木君と朝日奈さんの仲がギクシャクしていると思ったらそんなことが」

朝日奈「そりゃ気まずいじゃん……」

大神「しかし、その接吻の跡を付けたのが江ノ島ならば何も問題ないのではないか?」

大神「二人は付き合っているのだからな。……節度は別問題としてだが」

腐川「ど、どうなのよ……?」

江ノ島「いやそんなんアタシに決まってんじゃん」


朝日奈「やっぱりそうだったんだ!……びっくりしたとはいえ悪いことしちゃったな」

霧切「気に病むことはないわ」

セレス「ええ。キスマークだらけの顔でほっつき歩いてる苗木君に落ち度がありますわ」

セレス「……しかし想像以上に燃え上がってるようですわね」

江ノ島「もっちろんよー!苗木とアタシは同じコインの表と裏みたいに絶対切り離せない関係なんだから!」

霧切「……」

江ノ島「あぁ……あの日は最高だったなぁ……聞きたい?詳しく聞きたい?」

セレス「……遠慮しておきますわ。舞園さんが帰ってこれなさそうなので」

舞園「……」ボー


江ノ島「はいじゃあ次お姉ちゃん!」

戦刃「わ、私……?」

江ノ島「面白い話お願いねむくろちゃん!」キャピルン

戦刃「む、無理……」

江ノ島「つっかえないなーお姉ちゃんは!」

セレス「別に面白くなくても最近あった出来事でよろしいですわ」

戦刃「最近あったこと……それなら」

朝日奈「うんうん」


戦刃「最近部屋に差出人不明の……」

朝日奈「まさか、手紙……!?」



戦刃「包帯とか絆創膏が届く」


江ノ島「は?」

戦刃「……私は怪我とかしないしどうしようかと」

霧切「……何らかのメッセージかしら?」

セレス「……怖いですわね」


朝日奈「……怪我させてやるぞ!……ってこと?」

戦刃「そうなの……?」

腐川「も、もしくは何かの呪いとか……!あ、あんた誰かに恨まれてるのよ!」

戦刃「そんな……!それは困る……」


江ノ島「だーれがホラー仕立てにしろっつったよ!まあお姉ちゃんに期待なんかしてなかったけど」

戦刃「ごめんなさい……」

江ノ島「もう次行くよ次!はい腐川さーん!」ビシ

謎の包帯……いったい何蜜柑ちゃんだろう?

天使の人間関係が天国過ぎて


腐川「あ、あたし!?は、話すようなことなんてないわよ……!」

江ノ島「なんにもないってことはないでしょ生きてりゃさー!」

腐川「あ、あたしはこういうノリが一番嫌いなのよ……!」グギギ

江ノ島「なんかあんでしょ十神と!」

腐川「びゃ、白夜様と……?そういえばこの前……」

朝日奈「嫌な予感しかしないなぁ……」


腐川「白夜様があたしの落としたハンカチを踏んでくれたわぁ……!」


大神「……予感的中か」

腐川「あたしの(ハンカチの)純潔が白夜様によって踏みにじられる……!ああもう失禁しそうだったわ……!」ハァハァ

江ノ島「はい次はセレスちゃん!どーぞ♪」キャピルン

腐川「話振っておいて適当に流すんじゃないわよ……!」グギギ


セレス「わたくしですか……そうですわね。最近面白い方を見つけましたわ」

江ノ島「おー!いーじゃん!男?」

セレス「男性ですわ」

朝日奈「へー!」

セレス「……わたくしを唯一ギャンブルで負かす人物ですわ」

霧切「セレスさんをギャンブルで……?」

セレス「ええ」

腐川「何者なのよそいつ……まさか白夜様じゃないでしょうね……!」


セレス「……“超高校級の幸運”……」


舞園「それって……!」

江ノ島「あ、復活した」

セレス「もちろん苗木君ではありませんわ。苗木君の幸運は寝てばかりでギャンブル向きではないようですから」


セレス「名前は狛枝凪斗」

江ノ島「狛枝……聞いたことあるよーなないよーな……」ウーン

セレス「……狛枝君の幸運には山か谷しかないようで」

セレス「どんなギャンブルをしても結果はボロ勝ちかボロ負け」

霧切「……かなりピーキーな幸運ね」

セレス「わたくしの当面の目標は好調の彼に勝つことです。超高校級のギャンブラーである以上、ギャンブルにおいて常勝でなくてはなりません」

だけどセレスさん公式で劣化幸運扱い……


戦刃「……どんな人?」

セレス「聡明で朗らかですが恐ろしく自己評価が低い人物ですわ」

舞園「謙虚でいいじゃないですか」

セレス「彼は謙遜でなく本気で自身のことをどうしようもないゴミクズであると思っているようです」

朝日奈「え、ええー……」

江ノ島「ふーん……で、セレスはその狛枝って人が気になってるってわけだ!」

セレス「……興味深い、とだけ言っておきましょうか」

セレス「顔立ちは綺麗で背も高いのでわたくしのナイトとしては及第点ですが……彼からは時折、退廃的で危険な気配がしますし」


江ノ島「へーなるほどなるほど……うぷぷ。んじゃ次は大神」

大神「む、我か。……そうだな、最近想い人から文が届いた」カァ

舞園「あら!」

朝日奈「うわー!うわー!」

江ノ島「きたよきたよダークホースきちゃったよ!」

大神「……これだ」スッ

セレス「持ち歩いているのですか」

朝日奈「……見てもいいの?」

大神「構わぬ」

さくらちゃんかわいい


江ノ島「そんじゃはいけーん!」バッ


江ノ島「えーとなになに……?……鍛え上げ……?決着を……?拳を交えよう……」


「……」


江ノ島「果たし状だこれ!!?」


大神「誰も恋文とは言っておらぬであろう」
 
江ノ島「あ、そっかぁ!やーだぁー!さくらちゃんったらおっちゃめー!」キャピルン

江ノ島「そんな遊び心いらねェーんだよ!!」ズギャーン

大神「……済まぬ」シュン


江ノ島「次行くぞ次ィ!……舞園ォ!」

舞園「この前苗木君とお買い物に行きました!」

江ノ島「あっそ。はい次はー……」


舞園「ちょっと江ノ島さん!いいんですか!?あなたの彼氏さんとお買い物行ったんですよ私!」

舞園「気にならないんですか!とられちゃいますよ?宣戦布告ですよ!?」

江ノ島「買い物とか……どこへなりと行けばいーじゃん……」

江ノ島「どーでもいーよ苗木はどうせアタシから逃れられないしアタシもきっともう苗木から逃れられないんだからさ」

舞園「それってどういう……」ゾゾ

江ノ島「はい次は霧切さん!」


霧切「……私?」

江ノ島「いっつも尋問する側だからね!今日はみんなで好きなだけ話を訊いちゃおうよー!」

霧切「……何か、趣旨が変わっていないかしら?」

セレス「では、先程の趣旨に即して最近の出来事をお聞きしましょうか」

霧切「……面白いエピソードなんてないわよ」

霧切「最近あったことなんて城のある島に閉じ込められて殺人事件に巻き込まれたことくらいね」

江ノ島「何それちょー楽しそう!」

セレス「なかなか出来る体験ではありませんわね」


戦刃「……」

戦刃「それって……苗木君と巻き込まれた……?」

霧切「知っているの?」

戦刃「あ……えと、苗木君が前言ってたから……それから帰ってすぐに誘拐されたって」

戦刃(……苗木君が巻き込まれたのは盾子ちゃんのせいなんだけど)

霧切「彼は本当に死神に好かれているようね……」

霧切「……探偵たちが次々殺される……絶望的な状況だったけれど、運良く生き残ることができたわ」

江ノ島「うぷぷ……」


セレス「霧切さん以外にも探偵が?しかも殺されたのですか?」

霧切「ええ。探偵という存在そのものへの挑戦ともいえるような事件だったわ」


江ノ島「……もうさー!殺すとか殺さないとか女子高生が集まってする話じゃないって!」

腐川「自分が面白そうって乗っかったくせに……!」

霧切「だから言ったじゃない、面白いエピソードなんてないって」

江ノ島「もっとさー!あんでしょ?ないの?具体的に言うと異性とのイベントがさ!」

霧切「異性……」

霧切「そういえば、最近日向君が助手を引き受けてくれて助かってるわ。探偵について教授するという約束の傍らだけど」


江ノ島「日向って……日向創?」

霧切「ええ」

江ノ島「そういえばアタシもなんか言われてたなー」

舞園「日向君なら、私歌唱法とかダンスのステップとか教えてますよ?」

朝日奈「私も水泳教えてるよ!泳法とかトレーニング法とか!」

大神「我もだ。日向に稽古をつけている」


江ノ島「あ、それこの前見たなー。一方的な虐殺にしか見えなかったやつだ」


セレス「わたくしもテキサスホールデムのプレイングを叩き込んで差し上げましたわ」

腐川「あ、あたしも小説の表現やら文章構成やら教えてるわ……」

朝日奈「腐川ちゃんも教えてあげてんの?」

腐川「しょ、しょうがないでしょ……しつっこく頼んできたんだから……」

戦刃「……私も、射撃とかCQCとか」

江ノ島「アンタもかよ!?」

戦刃「た、頼まれたから……」


江ノ島「え?何?全員日向創になんか教えてんの?」


江ノ島「いやーすごい節操のなさだね。これはハーレム建設が目的かな?」

舞園「そんな感じじゃないですよ?」

朝日奈「うんうん。なんかずっと必死というか一生懸命だもん」

セレス「男性からも超高校級の技術を教わってるようですしね」

霧切「言わば“超高校級の弟子”ね」

江ノ島「予備学科なのに超高校級ってわけ解んないなー」

舞園「予備学科でもセンスはすごいですよ彼。課題もやり込んで来てくれますし」

セレス「いつ休んでるんでしょうかね。そのうちぶっ倒れるのではないでしょうか」


江ノ島「……で!」

霧切「……で?」

江ノ島「その日向クンとはなんかあったの?」

霧切「いいえ」

江ノ島「なんっもねェーのかよォ!」ズギャーン

朝日奈「色んな人から教わってるから忙しいみたいだしトレーニング以外で一緒に過ごすことないもんね」


江ノ島「だーっ!もーっ!」


江ノ島「ここにいる面々は女子力が足りないよ足りなさ過ぎだよ!そんなんじゃこっちとしても面白みに欠けるよ!」

霧切「……面白み?」



江ノ島「よし!今度みんなで旅行に行こう!クラスの野郎どもも一緒に!」


舞園「……クラス旅行ですか。いいですね!」

腐川「あ、あたしはいやよ……!白夜様がそんな馬鹿騒ぎに来るわけないもの……白夜様以外の猿共と旅行なんてまっぴらだわ……!」

江ノ島「そこはがんばって連れ出さなきゃー!そこをクリアすればほら、愛しの十神とランデブーよ?」

腐川「びゃ、白夜様と……ランデブー……!?」

セレス「……わたくし近頃思っているのですが、腐川さんは潜在的にはポジティブなのでは?」


江ノ島「とにかく!男女で旅行!これは必須イベントだよねー!旅行の浮ついたテンションで一日一緒にいれば男なんて隙だらけよ!」


江ノ島「ほら、こんな感じに!」スッ


戦刃「……!!」

舞園「こ、これは……!?」

霧切「苗木君の寝顔…!?」

江ノ島「ふふーん!どーよ超カワイイっしょー?」


セレス「男子が騒いでたことは本当だったようですわね。江ノ島さんと苗木君が温泉旅行に行ったという」

朝日奈「温泉旅行!?二人一緒に!?」

大神「……思い切ったことをするものだ」

腐川「ふ、不潔よ!」

江ノ島「温泉なんだからちゃんとお風呂入ってるってば」

腐川「そういうことじゃないわよ……!あたしへの当てつけ……!?」グギ

舞園「え……江ノ島さん……」

朝日奈「あ、舞園ちゃんがヤバい」


江ノ島「ん?どしたどしたー?」ウププ


舞園「その画像ください!!」

朝日奈「舞園ちゃんがヤバい!」


舞園「ていうか、ありますよねもっと色々……!洗いざらい出してください!」

セレス「わたくしも頂きたいですわ。色々と使えそうなので」

江ノ島「うぷぷぷぷ、しょーがないなー」

戦刃「盾子ちゃん、私も……」

江ノ島「この画像三人用なんだよねー!色んな意味で残念でした!」

戦刃「……そうだったんだ……」ショボン

霧切「そんなわけないでしょう。ちゃんと平等に配布すべきよ」

大神「いや、それはそれでどうなのだ霧切よ……」


○●

苗木「ねえ江ノ島さん……」

江ノ島「何ー?」

苗木「なんか、今朝から女子の視線に危険なものを感じるんだけど、気のせいかな……?」

江ノ島「さあ?気のせいじゃない?」

苗木「江ノ島さん……」

江ノ島「何ー?」

苗木「さっき偶然舞園さんのケータイの画面が見えてさ……」

江ノ島「うん」



苗木「なぜかタオル一枚で寝てるボクの写真が待ち受けだったんだけど心当たりないかな……?」


江ノ島「さあ?気のせいじゃない?」


CASE9 閉廷

次はCASE10ということもあり一区切りつけようと思ってますが、
一文字も書いてないので時間かかると思います。
あと絡みとかの要望書いて頂けたら後々採用するかもしれません。

もっと希望絶望のいちゃラブくれ


拡散されちまったか……

シリアス系も見たいかな


終わった後苗木と他の女子との絡みが見れたらみたい
特に罪木ちゃん

もっと絶望させてくださいお願いします。

乙です
男の馬鹿な絡みもみたい


苗ノ島でイチャイチャするだけで僕は満足です


江ノ島が苗木をいじりたおしてくれればよし

苗木以外の野郎どもが苗ノ島についての感想を語り合う飲み会みたいな話が読みたいです

個人的にはいじられる江ノ島さんもみたい

苗木くんの攻めが見たいです

女子会ならぬ男子会も気になる。
苗木は抜きでもありでも気になる。

苗木と妹様が大げんかして最初は清々するって妹様が言ってたけど、結局寂しくなって残姉や他の女子に泣きつくのを見てみたいかも

男子会したら左右田が泣くオチが見える

番外編日向ハーレム(男女問わず)でもええんやで

いやいや、もうスレタイ通りの希望×絶望を
濃く頼むよ

男子会は面白そうかも

>>442
それはいらないです

やっぱ苗木攻めかとにかくかわいい妹様を…

日向はいらんなあ

花嫁(苗木)をお姫様抱っこする花婿(妹様)

苗木君の希棒の出番はありますか?

絶望型苗木

日向が超高校級の幸運に改造される展開があるなら分かるけど、
そうでないなら単なる賑やかしというか邪魔っけな存在になっちゃってるね



「うぷぷぷぷぷ」


「松田くんったらこーんな研究してたなんてねー!」


「ま、失敗作みたいだけど、だーいじょうぶ!アタシが面白おかしくしてあげるよー!」


「どうなるか楽しみだなーっ!」


○●

戦刃「盾子ちゃんおはよ……」



江ノ島「おはよーお姉ちゃん!いやー今日もかわいいね!」ニコッ


戦刃「……」

戦刃「……!?」


江ノ島「天気もいいし!希望の朝ってやつだねー!」

記憶喪失じゃなくて人格改竄?

反転薬か嘘つき薬かもしれない


戦刃「!?じゅ、盾子ちゃん……」

江ノ島「何ー?」

戦刃「な、何かあった……?それとも私何か悪いことした……?」

江ノ島「へ?お姉ちゃんこそどうしたのよ訳解んないこと言っちゃってさー」キョトン

戦刃「私のこと、かわいいって言ったり……き、希望の朝とか……」


江ノ島「トーゼンっしょー!アタシがこよなく愛するものはお姉ちゃんと希望だからね!」


戦刃「……」ゾ


江ノ島「ちょっと、リアクションがないと恥ずかしいよ……!」カァ

戦刃「ご、ごめんなさい……」

江ノ島「もう、早く食堂行こーよ!朝ご飯朝ご飯!」

苗木が絶望になってたりして


○●

食堂

江ノ島「うーん」キョロキョロ

戦刃「どうしたの……?」

江ノ島「あ、いや苗木がいないなって思ってさー」

戦刃「……そういえば」

江ノ島「……ごめん!アタシ苗木の部屋行ってくるね!お姉ちゃん食べてていいよ!」タッ

戦刃「え……?」


○●

江ノ島「苗木ー!苗木ー!」ドンドンドンドン

ガチャ……

江ノ島「あ、やっと出た!」


苗木「……なんなの江ノ島さん?」



苗木「休日だってのに朝から不快な顔を見せつけて絶望を提供してくれるなんて……気を利かせてくれなくてもいいのに」

口が悪くなってるな、松田君も混じってる?


江ノ島「もう……またそんなこと言ってー!アタシは、ほら、苗木を見張んなきゃいけないからさー!」

苗木「キミは絶望的にバカだね。部屋から出てこない人間なんて見張る必要ないじゃないか」

江ノ島「え、だって……」

苗木「ま、その救いようのないバカさ加減もまた希望か。まったくヘドが出るね」

江ノ島「う、うう……バカバカって言わないでよ!とにかくさっさと出てきなってー!」

苗木「解ったよ。諦めるよ」


苗木「諦めの良さがボクの取り柄だからさ」


苗木「じゃちょっと待っててよ」

江ノ島「うん!」



戦刃(……な、何あれ……どうなってるの……!?)コソコソ

戦刃(盾子ちゃんだけじゃなく苗木君もおかしいよ……!)

狛枝みたいなしゃべり方してそう

期待


○●

江ノ島「……」

江ノ島「…………」

江ノ島「……遅いよ!何やってんの苗木ー!」ドンドン

ガチャ

苗木「江ノ島さんまだいたんだ?」

江ノ島「いたよ!苗木が出てくんの待ってたよ!」

苗木「いや気が変わってさ。今日は一日いかに何もしないで時間を殺せるか挑戦してみようと思ったんだ」

江ノ島「何よその無意味な試み!?アタシを放置して勝手な挑戦しないでくんない!?」


苗木「ギャンギャンギャンギャンわめかないでよ。ほらエサならあげるから」ポイッ

江ノ島「わーいホネだー!っておかしいでしょ!アタシは犬じゃないっての!ていうかなんでそんなもん持ってんの!?」


苗木「うわ、絶望的なノリツッコミ……」

江ノ島「……及第点っしょ……」カァァ


江ノ島「……とにかくさっさと出てきてよー!アタシがアンタの絶望にとことん付き合ってやるんだから!」

苗木「キミ話聞いてた?ボクは今日何もしないことに忙しいんだよ」

なんだろう……二人ともカワイイ


江ノ島「ほんとにやる気なの!?というかさっき諦めるとか言ってたのに!」

苗木「諦めたのはキミの頭の悪さをだよ」

江ノ島「またバカにする!」ウルッ

苗木「あれ?泣くの?」

江ノ島「な、泣かない!泣かないし、諦めない!」ゴシ

苗木「じゃ、キミが諦めるのを諦めて、行こっか」


苗木「……首輪つける?」

江ノ島「犬じゃないってば!」

ネットリ


○●

食堂

江ノ島「お待たせお姉ちゃん!」

戦刃「……全然、待ってない……」アセアセ


苗木「……そうだね、さっきまでボクらを見てたもんね」


戦刃「!?」

苗木「バレバレだよ。戦刃さんそれでも軍人?まあ、超高校級の才能なんてこんなもんか」

戦刃「な、苗木君……?」


苗木「何?残念な軍人さん」


戦刃「ざ、残念……」ガーン


○●

江ノ島「ちょっとお姉ちゃん虐めないでよね!」

苗木「キミさ、いい加減学習したら?ボクを連れ回すってことはこういうことなんだよ」

江ノ島「何かっこつけてんのよ!苗木が口に気をつければ済む話じゃん!」

苗木「言葉や行動に気を払ってもさ。ボクは結局絶望を希望してるからボクの幸運が他人の絶望をもたらすんだよ」

苗木「自分自身の絶望は運んでこないところがまた絶望的だよね」

江ノ島「……苗木がどんだけ絶望的でもアタシがなんとかする。そのためにアタシがいるんだから!」

苗木「そうなの?」

江ノ島「そうなの!」

苗木「ふーん、まあがんばってよ。キミの気色悪い希望はボクに絶望をくれるからさ」

江ノ島「ぐぬぬ」


○●

桑田「なあ山田」

山田「なんですかな?」

桑田「なんか今日変じゃね?あの二人」クイッ

山田「まあ確かに……」

山田「今更二人仲良く一緒におられることに違和感はないですがねー……なーんか様子がおかしいような」

桑田「おし、ちっと探りいれてみようぜ」

山田「えー僕としては嫌な予感がするんであんまり関わり合いになりたくないんですが……」

桑田「うっせ!行くぞブーデー!」

山田「仕方がありませんな……」



桑田「うーっす。どーなんだよお前らその……最近は」

山田(不自然極まりない入りですな)

江ノ島「最近?絶好調だけど?むしろ生まれた時から希望に満ち溢れてるけど!」

苗木「よくそんな頭のネジが緩いのをアピールするような台詞が吐けるね」

江ノ島「う、うっさいなー!」

桑田「おい、山田、やっぱこいつら変だぞ」ヒソヒソ

山田「……ですな。なんだか二人とも気持ち悪いですぞ……」ヒソヒソ

桑田「もう少し話してみるか」ヒソヒソ


桑田「……俺は二人がどーなのか訊いたんだけどな。もしかして上手くいってねーとか?」ハハ

江ノ島「二人……?あ、あーそりゃあ、えーと普通よ普通!」

苗木「こんな売女と……むぐ」江ノ島「とにかくっ!普通だってば!」


山田「なんか売女とか聞こえましたが……」ヒソヒソ

桑田「オイオイ苗木が言わなそうな台詞ナンバーワンだろ何があったんだ」ヒソヒソ

山田「普通に考えると江ノ島盾子殿が何かしたんでしょうが……」ヒソヒソ

山田「彼女の方も何やらおかしいですからな……」ヒソヒソ


江ノ島「ねー、さっきからヒソヒソヒソヒソ何話してんのー?」ム


山田「な、なんでもありませんぞ!」

桑田「お、おー!なんでもねーって!」

江ノ島「怪しいなーっ?」ムム

桑田(お前に言われたくねーよ!)

苗木「江ノ島さん……ほんと空気読めないよね察してあげなよ」

江ノ島「えっ!?」


苗木「ほら、そこの二人は【そういう関係】なんだよ」


山田「そ、そういう関係とはもしや……?」

桑田「……は?ふざけんじゃねーって!何を察してくれちゃってんだよ!」

苗木「人種差別するつもりはないけどボク自身はそういう趣味ないし遠くから応援させてもらえないかな?」スス

桑田「アホか!何マジに後ずさりしてんだ殺すぞムカつくんだよ!!」


江ノ島「え、えーと、どゆこと?」

山田「なぜか無垢な方がいたーッ!?ほんとになぜなんでしょうかね!?」


苗木「ボクもう行くよ。その、ストレートには言えないけど、あまり同じ空気を吸いたくないっていうか……」

桑田「ストレート過ぎるだろっ!170キロは出てるっつーの!」

山田「僕は二次元にしか興味ありません。これだけははっきりと真実を伝えたかった」

何この『』付けて喋り出しそうな


苗木「じゃ」タッ

江ノ島「あ、待ってよー!よくわかんないけど、がんばってね二人とも!」タッ


桑田「がんばらねーよ!何もがんばることねーから!」

山田「がんぼ」桑田「うっせーアホ!!」ゴン

山田「あだだ……」ポロッ

桑田「お……丁度いいもんが……」ヒョイ

山田「ぼ、僕のぶー子ちゃんカメラ!やめてくだされ一体何しでかすおつもりで!?」


桑田「おらあっ!」ブンッ ヒュッ

山田「ぎえええええ!!」ガビーン




江ノ島「苗木ケータイ落ちたよ!そこ!」

苗木「解ってるよ気づかないはずないでしょ」スッ


ガラッ


十神「何を扉の前で膝をついている苗木。邪魔だぞ」

ヒュン

ゴシャアッ



十神「……」ドサッ

桑田「あ」

腐川「びゃ、白夜様ぁぁぁぁ!!」

山田「ぶー子ちゃあああん!」



霧切「……」


○●

霧切『戦刃さんに頼まれた通り尾行しているけれど……やっぱりおかしいわねあの二人』

戦刃「……うん、何があったのかな……」

霧切『とても演技とは思えないし、それをする意味もない……考えられるのはなんらかの超高校級の技術ね』

戦刃「超高校級の技術……」

霧切『心当たりがあるわ。私は尾行を続行するから戦刃さんはそちらをあたってくれる?』

戦刃「心当たりって……?」

霧切『超高校級の神経学者よ』


○●

苗木「いや、いいものが見れたね。ツイてたよ」

江ノ島「どこがよ!桑田とか近々十神に訴えられそうでしたけど!?」

苗木「自業自得じゃないか」

江ノ島「そうかもしれないけど……」

苗木「大体ボクは何もしてないよ」

江ノ島「でも、苗木は」

苗木「そうだね。ボクは困ったことに何もしなくても望み通りになる“絶望的幸運”だから」

苗木「これはボクの望んだことなのかもしれないね」


苗木「運だけでなんでも上手くいくなんてほんと絶望的な人生だよ」

江ノ島「それは違うよ!」

苗木「ん?」

江ノ島「苗木の人生には、アタシっていう希望がいるじゃんっ!」フフン

苗木「……」

苗木「そうだったね。それがまた絶望的だね」

江ノ島「どういう意味よそれーっ!」

苗木「いや、キミの希望のきちんとした評価だよ」


苗木「キミの希望は、ボクにとって最悪だ。だからこそ最高に絶望できる」

江ノ島「……天の邪鬼。素直に希望を希望すればいいのに」

苗木「それが出来てたら幸福になれただろうね。幸運じゃなくてさ」

江ノ島「そういう風にアタシがしてあげるよ!アタシにはそういう未来だって見出せるはず!」

苗木「キミの“希望的観測”か」

江ノ島「アタシは人とか物のいいところを見つけるのが超得意だからねー!」

苗木「ボクのような絶望に希望を見出すって?」

江ノ島「楽勝だってー!ほら、苗木がどんなに絶望的な絶望でもいいところはあるよ!」


江ノ島「髪のはね方がカワイイとこでしょ!あと背がちっちゃくてカワイイとこでしょ!あとあと童顔でカワイイとこでしょ!あとあとあと……」

苗木「もういいよ」


江ノ島「アタシのこと好きでいてくれるところ!」


苗木「……」

苗木「希望ってやつは傲岸だねまったく」

江ノ島「……でもほんとでしょ?」

苗木「……絶望的なことにね」


○●

セレス「……あら、お二人ともまた仲がよろしいようで」

江ノ島「あ、セレス!どこ行くの?」

セレス「娯楽室へ向かうところです」

江ノ島「もしかして例の彼?」

セレス「……狛枝君のことなら今日は約束していませんが、やはりあそこが落ち着くので」

江ノ島「よし、アタシ達も行こう!」

苗木「なんでそうなるかな」

江ノ島「苗木をぎゃふんと言わせてやる!」

苗木「あのさ、他のことならともかくギャンブルでボクに勝てると思ってるの?」

セレス「あら、今日の苗木君は随分と自信家のようですわね」

苗木「自信というより確信だよ。ボクから見たら他人のツキなんて砂粒みたいなものだし」

セレス「……言いますわね。では、わたくしも手合わせ願いましょうか」


○●

娯楽室


苗木「もうやめようよ。つまんないって」

セレス「……ここまで負け込むのはツイてる時の狛枝君以来ですわね」

セレス(……やはりおかしいですわね。性格も……才能の性質まで変わっているとは)

セレス「苗木君、一体何があったのですか?」

苗木「何もないけど?ただ絶望的にツイてるだけだよ」

苗木「超高校級のギャンブラーであるキミ以上にさ」

セレス「くっ……」


苗木「やっぱり超高校級の才能なんてクソの役にも立たないんだよ」


江ノ島「そんなことないよ!アタシだって何回か勝てそうだったもんねー!」

苗木「何度勝てそうなことがあっても全部結果は同じだよ」

江ノ島「いや!あれはマジに勝てそうだった!あれをああしてもう一ひねりすれば勝てるね!」

苗木「……」

江ノ島「んじゃ次何やろっかー!なーんか楽しくなってきちゃったよー!」

セレス「江ノ島さん……」

苗木「……じゃあ、次からは罰ゲームを設けよっか」

江ノ島「え?それ、やだ」


○●

生物学棟

戦刃「……」

戦刃(松田君、ここにいるかな……)

七海「戦刃さん」

戦刃「!」ビクッ

戦刃「七海さん……?どうしてこんなところに」

七海「……人に会いに来てね。戦刃さんは?」

戦刃「私も人に会いに……」

七海「……」

七海「……もしかして、江ノ島さんに何かあった?」

戦刃「え、なんでそれを……?」

七海「私が会った人、超高校級の神経学者なんだ」


戦刃「!……松田君に会ってたの!?」

七海「……うん。彼は私にとって大切な人の一人だから」

戦刃「え……?」

七海「それでね、松田くんが言ってたんだ。研究データの一部が盗まれた形跡がある、堂々とこんなことするのは江ノ島さんしかいない、って」

戦刃「その……盗まれた研究データって……?」

七海「……」

七海「……人格修正の研究、だよ」

戦刃「人格修正……!?」

七海「……うん」

七海「……詳しいことを話す前に、何が起きたのか聞いてもいいかな?」

戦刃「……」コク

戦刃「それが……」


○●

苗木「さ、行くよ江ノ島さん」 

江ノ島「……」

苗木「返事は?」

江ノ島「……う、うん」

苗木「違うでしょ?」


江ノ島「……うう……わん!」


セレス「申し訳ありません江ノ島さん。わたくしでは苗木君を止められませんでしたわ」

苗木「いやセレスさん江ノ島さんを生け贄にしたよね?ドベになって罰ゲーム喰らわないように」


江ノ島「ええ!?ひどいよセレス!」

苗木「江ノ島さん」


江ノ島「わ、わん」ジワッ


苗木「犬として鳴いてほしいのであって人間みたいに泣けなんて言ってないよ?」


江ノ島「泣いてなんかないって!」ゴシ

苗木「いいからさ、なんで人語話してるのかな」


江ノ島「やっぱりやだよおかしいよこんな罰ゲーム!」

苗木「あれ?江ノ島さん約束破るの?」

江ノ島「うぅ……わん」

苗木「それでいいんだよ。じゃあ散歩にでも行こうか」

江ノ島「……わん」


セレス「ごきげんよう」

セレス(わたくしらしくないやり方でしたがこれで女子会の時の件は忘れてあげましょう)


○●

舞園「あら、苗木君江ノ島さん!」

苗木「舞園さんか。ほら江ノ島さん」

江ノ島「……」

舞園「?」

苗木「どうしたの?ほら挨拶しないと」


江ノ島「……わ、わん」ボソッ

舞園「えっ」


苗木「ほら舞園さんよく聞こえなかったみたいだよ?」

江ノ島「わんっ!」ウルウル

舞園「……あの、苗木君……これはその、どういう……?」

苗木「江ノ島さんはボクの犬なんだよ」

舞園「い、犬……?」

苗木「ほら行くよ」スタスタ

江ノ島「……わん……」トボトボ



舞園「苗木君……ああいうのが……」


○●

江ノ島「もう十分でしょっ!?」

苗木「何勝手に喋ってんのかな」

江ノ島「もう終わりでいいじゃん!今日ずっとやるなんて言ってないしっ!」

苗木「すぐやめるとも言ってないんだけど……しょうがないな」

苗木「いいよ、話して。もっとも話す言語が人語になったところで頭は犬と変わらないけどさ」

江ノ島「失礼過ぎるよ!」

苗木「犬に?」

江ノ島「アタシにっ!!」


江ノ島「犬よりは頭いいよアタシ!」

苗木「言ってて悲しくならないの?」

江ノ島「悲しいよ滅茶苦茶ーっ!」ウルッ

苗木「また泣くの?勘弁してよこのくらいで」

江ノ島「泣いてないってば!」ゴシゴシ

江ノ島「泣いてないし負けないから!」

苗木「はいはい」

江ノ島「……お腹すいた。食堂いこ?」

苗木「まだ昼には早いけど?やっぱり犬以下なんじゃないの」

江ノ島「苗木のせいで疲れたのようっさいなーっ!」


○●

七海「……なるほど」

戦刃「それで、盾子ちゃんが盗んだ松田君の研究の詳細は……?」

七海「……それはね、さっき言った通り人格を修正する修正する装置なんだけど」

七海「これは、人格の修正対象となる人物の他にもう一人必要なんだ」

戦刃「もう一人……?」

七海「うん。修正の指針を決定づけるために人格データを参考にする人物が……つまりモデルが必要なの」

七海「装置はモデルの人の人格データを参考にして対象の人格を書き換えるんだ」

七海「簡単に言うと、人格修正を受けた人はモデルの人と類似した人格になるってことだね」

戦刃「そんなことができるんだ……」

七海「江ノ島さんは装置のモデルが必要、ってとこに着目して……」

七海「装置が一対になった、相互に人格を参考にして相互に人格修正を行うものを作ったんじゃないかな?」

戦刃「ええと、それってつまり……」

七海「キャラクターの交換装置、だね」


○●

江ノ島「よし!ご飯も食べたしデート行こデート!」

苗木「なんでそうなるのかな?」

江ノ島「ほらアタシ達一応付き合ってるってことになってるし!」

江ノ島「希望ってさ、きっとデートにあるよ!苗木には希望を味わってもらわないとねー!」

苗木「絶望的に短絡的だね」

苗木「一応訊くけどどこ行くつもり?」

江ノ島「公園!」

苗木「今時公園デートって……キミほんとに超高校級のギャル?」


江ノ島「だ、だって……じゃあどこ行くのよ?……え、映画館とか遊園地とか……まだ早いじゃん」

苗木「どういう基準なのかな?」

江ノ島「もーっ!とにかく行くよ!」

苗木「いやだよ」

江ノ島「いやだって言ったって連れてくから!」

苗木「そういうのはデートって言わないよ。連行って言うんだよ」

江ノ島「じゃあ連行する!」


苗木「そんなものに希望も何もないよ」

江ノ島「もー!じゃあ同意してよー!何が不満なのよー!」

苗木「何が嬉しくてキミなんかと公園なんかに行かなきゃいけないの?」

江ノ島「なんかなんかって……なんか失礼だよ!」

苗木「公園に?」

江ノ島「アタシにもっ!!」

江ノ島「とにかく行くまでうるさくつきまとうからね!」

苗木「解ったよ……諦めるよ」


○●

戦刃「……だから盾子ちゃんが希望を抱いてて、苗木君が絶望に……」

七海「……完全な性格交換じゃないけどね。話を聞く限りだと記憶も都合の良いように修正されてるみたいだし」

戦刃「それで……どうすれば元に戻るの……?」

七海「……」

七海「寝て起きた頃には元に戻る……と思うよ?」

戦刃「そ、そうなの……?」

七海「……脳とかをいじるんじゃなくて、催眠術に近い仕組みだからね」

七海「元々この装置はどうがんばっても修正が一日と維持できない上に、二度目以降の修正が効かないからお蔵入りになった……らしいよ?」

戦刃「……よかった」ホッ


七海「……だから、教えに行かなきゃね」


戦刃「えっ……?」

七海「霧切さんが尾行してるんだったら、居場所は解るね」

戦刃「待って、七海さん……教えるって……?」

七海「だって、このままじゃ今の江ノ島さん達は何も知らないまま消えちゃうんだよ?」

戦刃「消え……る……?」

七海「元に戻るって、そういうことだよ」

戦刃「そっか……そうだよね……でも、そんなこと、知らない方が……」

七海「何の覚悟もできないまま消えるなんて、ダメだよ」

七海「向き合うことで、できることもきっとあるのに」

戦刃「……そうだね……」

七海「……私から言う?」

戦刃「ううん……私が言う」


戦刃「お姉ちゃんだから」


○●

公園

江ノ島「えへへー!手繋いで歩くのっていいよね苗木ー!希望に溢れてるよねー!」ギュ

苗木「ボクはこの手首切り落としたいけどね」

江ノ島「またまたそんなこと言っちゃってー!」

苗木「……ねえ、もう座ろうよ。いつまでグルグルグルグル公園歩いてるのさ」

江ノ島「じゃあベンチに座ろっかー!定番だね!」


……


苗木「あのさ」

江ノ島「んふふー何?」

苗木「近い。不快」

>>1
更新速いのは嬉しいが身体壊さない程度にしなさいよ?

この苗木君にネットリ声で延々と罵られたい

才能が入れ替わるネタ面白いな
これだけでスレ立てて欲しいくらい好きだわ


江ノ島「ひどいっ!デートなんだからいいじゃん!距離置いたら逆に変だよ!」

苗木「連行でしょ?」

江ノ島「デートだよ!同意したじゃん!」

苗木「諦めただけだよ」

江ノ島「一緒じゃん!」

苗木「違うよ。諦めて行くデートなんてないでしょ」

苗木「ボクは諦めて連行されたんだよ」


江ノ島「なんでそんなっ……」ウルッ

苗木「また泣くの?キミ一日に何回泣くの?」

江ノ島「泣いてないっ!一回も泣いてないっ!」ゴシゴシ


江ノ島「……」

江ノ島「……」ポスッ

苗木「なんで寄っかかってくるのかな」

江ノ島「……こうすれば、アタシの希望が伝わると思って」


苗木「キミの希望って?」

江ノ島「……ずっとこうしてたい」

苗木「はた迷惑な希望だね」



戦刃「盾子ちゃん……苗木君……」

七海「……」


江ノ島「お姉ちゃん……と七海?」

苗木「……」

盾子ちゃんの悪口を言ったら「僕以外の人間がバカにするのは許さない」とか言って怒りそうな苗木きゅん


○●

江ノ島「……お」

江ノ島「お、お姉ちゃん……何の冗談……?」

戦刃「……本当のことなの」

江ノ島「な、苗木っ!」

苗木「本当だろうね」

江ノ島「!?」

苗木「これで今までの他の人とのやりとりでの違和感の説明がつくからさ」


苗木「本当だろうね」


江ノ島「……っ!」ダッ


戦刃「……盾子ちゃん!」


苗木「……やれやれだよ」ス

七海「……行くの?」

苗木「絶望した彼女の顔を見逃すわけには行かないからね」

七海「……それだけ?」

苗木「何を希望してるのかな?……いいよ、もう少し話そうか」

苗木「……彼女はボクのような絶望には希望が寄り添わなきゃダメだと思っているようだけど」

苗木「希望にも絶望が必要なんだ」

七海「……」

七海「よくわかんないよ?」


苗木「うん、それがボクにもよくわかんなくって」


○●

苗木「……手間をかけさせてくれるね。江ノ島さんのくせに」


江ノ島「……苗木」

江ノ島「……わっけわかんないよね」

江ノ島「本当のアタシは絶望マニアで苗木は希望を信じるお人好しなんだってさ」

苗木「虫酸の走る話だね」

江ノ島「アタシ達の記憶はすり替えられて修正されたものなんだってさ……」ジワッ

江ノ島「もう少ししたら、全部元に戻って……」ポロッ……


江ノ島「戻るってっ!アタシ達どーなんのよっ!」ポロポロ


江ノ島「全部なくなっちゃうの!?苗木とアタシ……!アタシ達がっ……ニセモノだからっ……」ポロポロ


苗木「……すばらしく絶望的だよね。今こそさ」


苗木「全てを諦めようよ。全部投げ出して、涙に沈んで」


江ノ島「……」グス

江ノ島「……っ」ゴシゴシ

苗木「おや」



江ノ島「泣かないし諦めない」


苗木「へえ、大した立ち直りの早さだね」


江ノ島「……」


江ノ島「……どんだけ絶望的でもアタシは苗木のこと好きだから……!この気持ちは絶対なくしてやんないもん!」


苗木「逆に元気づけちゃったかな。……まあそれでこそボクの大嫌いで大好きな希望だよ」

江ノ島「……苗木……」

苗木「何?」



江ノ島「アタシのこと好き?」


苗木「愛してるよ。絶望的に」


江ノ島「なら……」スッ


チュッ……


江ノ島「えへへ。どーよ希望のキッスは」

苗木「……最高だよ。吐き気を催すくらい」


○●

苗木「うう……なんだこれ朝から頭痛い……」

苗木(江ノ島さんがまたなんかしたみたいだけどなんにも覚えてない……)


江ノ島「おっはよー!苗木っ!」


苗木「お、おはよう江ノ島さん」

江ノ島「さーて今日は何しよっかー?何する?」

苗木「たまには大人しくしてようよ……」

江ノ島「無理無理!苗木とやりたいことまだまだたーっくさんあんだからさー!」


苗木「振り回されるこっちの身にもなって……よ……?」

江ノ島「ん?どしたの?」

苗木「え、江ノ島さん……」


苗木「なんで泣いてるの……?」


江ノ島「は?」ツーッ


江ノ島「……」



江ノ島「泣いてなんか、ないって」ゴシ


CASE10 閉廷

俺も泣いた

図らずもいくつかの要望を取り入れた感じになりました。
変則回じゃいまいち締まらないかと思いますがこれでとりあえず一区切りです。
スレ落ちる前には再開しようと思いますがひとまず中断します。


最高に面白かった
ゆっくり休んでくださいな


最高に面白かった
ゆっくり休んでくださいな

乙ー

なんか感動した
希望妹様も絶望苗木も最高だな。

今一番のSSだな

希望妹様かわい過ぎる!!!!!
乙でしたぞ!

このSSのおかげで妹様がさらに好きになったわ。ありがとうそしてお疲れ様

乙です。最後の妹様の涙でこっちまで目頭が熱くなりました。

乙!
面白いな

復活まってますぞ!

復活まってますぞ!

case10がヤバい
次スレたてるならそれで一本頼む!

復活してくれ~

邏帙i繧上@縺?°繧餌ge繧薙↑

乙!妹様かわいすぎる
復活まで舞ってる

一気に読んじゃった乙



「うぷぷぷぷ」


「……って笑ってる場合じゃないわこれ」

「……しんど」


キタァァァァァッ!!


苗木「おはよう!戦刃さん」

戦刃「……苗木君、おはよ」

苗木「あれ?江ノ島さんは?」

戦刃「それが……」

ヴーッ ヴーッ

苗木「ごめん、メール……江ノ島さんからだ……!」


『苗木のことばっか考えてたらお熱出ちゃった?責任取って看病して?』


苗木「おはよう戦刃さん!」

戦刃「……苗木君、おはよ」

苗木「あれ?江ノ島さんは?」

戦刃「それが……」

ウ゛ーッ ウ゛ーッ

苗木「ごめん、メール……江ノ島さんからだ……!」


『苗木のことばっか考えてたらお熱出ちゃった♪責任取って看病して!』


苗木(江ノ島さんが熱……!?それでいなかったのか)


苗木(なんか、画像添付されてる……)

苗木「ぶっ!」


戦刃「どうしたの苗木君……?」

苗木「い、いや、なんでもないよ!なんでも」サッ

戦刃「そ、そう……?」

苗木「……」ドキドキ

苗木(……添付されていたのは)


苗木(髪を下ろし、顔を赤らめ、肌に汗の玉を浮かばせ、パジャマをはだけさせ、体温計をくわえ、潤んだ瞳で見つめて、自撮りした江ノ島さんの写真だった……!)


戦刃「苗木君……?」

苗木「え、江ノ島さんは今日病欠なんだね!メールに書いてあったよ!」

戦刃「うん……」

戦刃「私が看病するって言ったんだけど、苗木君が来るからいいって……」ショボン

苗木(勝手なこと言ってるなぁ江ノ島さん……)


戦刃「苗木君!盾子ちゃんを……盾子ちゃんをおねがい!」ウルウル


苗木「う、うん……!放課後になるけど……」


戦刃「ありがとう苗木君!」パァァ

苗木「……任せてよ」ハハ

苗木(……江ノ島さんの思い通りなんだろうなぁ……)

苗木(目に涙を溜めた戦刃さんの頼みを断れるわけないよ……)


苗木(……まあ、なんだかんだ言っても心配だしどうせ行くんだけど)


苗木「ボクってやっぱりチョロいのかなぁ」ハァ

舞ってた


○●


江ノ島「あーだる……絶望的に体がおっもいわー……」ボー


江ノ島(アタシがこんなザマ晒すことになるなんて……明らかに属性交換マシンのせいだろーなー)

江ノ島(苗木の希望を突っ込まれたアタシは何らかの負荷を残してくれちゃったみたいね)

江ノ島(まあ、面白いことになったみたいだけど)


江ノ島「せっかくがんばって準備したってのになーんも覚えてないなんて絶望的」


江ノ島(予測上は夢をぼんやり覚えてるようなレベルで記憶が残るはずだったってのに)

江ノ島(他のキャラ属性ならともかく、希望と絶望の属性交換はアタシの予測を越える内容だったわけか)

江ノ島(それにしても苗木の方は体調崩さないなんて生意気だなー)


江ノ島「これは是非ともベタベタチュッチュして移してやんないと!」ウププ

待ってましたああああ!


○●


コンコン

苗木「江ノ島さん?」

苗木「……」

苗木「……寝てるのかな?そっとし

ガチャッ
ガシッ
グイッ
バタンッ



苗木「いきなり部屋に引きずり込まないでよ!!」

江ノ島「なーえーぎー!遅いって遅過ぎるって!アタシほったらかして何やってたのよー?」ギュウウウ

苗木「普通に授業だよ!放課後行くって返信したでしょ!?」ウググ


江ノ島「返信?15秒以内に来ない返信なんて見ないって!」

苗木「せっかち過ぎるよ!もうちょっと待ちなよ!」

江ノ島「待つのに飽きちまうんだよ!」ズギャーン

江ノ島「それよりメールと言えばさぁー、わたしの写メ、どうだったぁ?」キャピルン

苗木「え?ええっと……その、あんなきわどい写真送られると困っちゃうっていうか……」カァァ

江ノ島「あれあれ?秘する美ってやつを追求したつもりだったんだけどなー。もっと色々丸出しなショットをお望みだった?なら写メと言わずここですっぽんぽんになろっかー?」スッ

苗木「そういうことじゃないって!脱ごうとしないで!」

病人なのに全くおとなしくない妹様さすがだ

俺はずっとこの日を待ち詫びていた。貴様等もそうだろう


江ノ島「んもーう!遠慮しなくていいのにー!」スリスリ

苗木「んうっ!?頬ずりしないでよ!……ってあっつ!!ヤカンみたいにあっついよ!」

江ノ島「ンフフフフ、苗木への熱い想いで燃え尽きるほどヒートしちゃったーん!」ダラダラ

苗木「寝てないとダメだって!死んじゃうよ!冷やしてもないし何してんの!?」

江ノ島「このアタシがじっと静養なんてするわけないじゃーん!むしろどんどん悪化させて行きたいですね!」

苗木「どんな抱負!?」


苗木「ここまで大変なことになってるとは思わなかったよ!……ちょっともうほんとに寝てて!色々持ってくるから」

江ノ島「持ってくるって何を?……はっ!?……さ、先にシャワー浴びて待ってるね……?」

苗木「浴びなくていいから!!」

江ノ島「あっ……!苗木はそういうののが好みなんだ……?」

苗木「好み!?」

江ノ島「シャワーも浴びず色んなモノ使ってドロドログチャグチャシたいなんてマニアックだよ苗木ーっ!」グルグルグルグル


苗木「さっきから何の話してるの!?ボクが持って来るのは冷やすものとか食べ物だからね!」

江ノ島「冷やすものとか食べ物で!?」

苗木(か、会話が成立しない……!)

苗木「とにかく、熱出てんのにシャワーとか浴びなくていいから!横になって待っててよ?」

江ノ島「うんっ!楽しみに待ってるよん苗木ー!」

苗木(何をだろ……)

待ちわびたぞ


○●


ガチャ

苗木「江ノ島さん?大人しくしてた?……って」


苗木「なんで下着だけになってんのっ!?」ワッ


江ノ島「いやあっつくてさー……」ダラダラ

苗木「だからってそんなかっこして床に寝っ転がってたら余計悪化するよ!早くそこに脱ぎ散らかしたパジャマ着なよ!」

江ノ島「あー意味ない意味ない。それビチョビチョだから。苗木にあげる」

苗木「いらないよ!だったら新しいの出して着てよ!」

江ノ島「無理ー。動けないし」グデー

素晴らしい……


苗木「……じゃあボクが出すからどこにあるか教えて」

江ノ島「そこ」ユラユラ

苗木(どこ……!?)

苗木(このやたらファンシーなタンスの引き出しのどれかなんだろうけど)

苗木「江ノ島さん、どの引き出し?上から何番目?」

江ノ島「上から六番目でー、右から六番目ー」

苗木「そんな場所ないんだけど!?このタンス四段四列しかないし!」


江ノ島「あー違ったー。一番右の下から二段目」

苗木「ここだね?」

江ノ島「そーそー多分そー」

苗木「……」スッ


苗木「!?」

苗木「こっ、ここ下着入れるとこだよ!!違うよ!」


江ノ島「あれー?おっかしいなー」

苗木(スケスケのとかただの紐にしか見えないのがあった……)カァァ

江ノ島「一枚持ってく?」

苗木「いらないよ!」


苗木「……悪いけどパジャマ見つかるまでタンスの引き出し順番に見させてもらうよ」

江ノ島「いやーん、えっちー!」

苗木「江ノ島さんがパジャマの場所ちゃんと教えてくれないからじゃないか!ボクはキミに早くパジャマ着てもらいたいんだよ!」

江ノ島「苗木がそこまでパジャマフェチだったとはねー。いいよどんどん見ちゃってよー」

苗木「もう……!」


苗木(うう、なんでボク女の子のタンス漁ってんだろ……)スッ スッ

苗木「……」スッ スッ


苗木「……あった!ほらこれ着て!」


江ノ島「苗木そんなんがいいの?」

苗木「いや、適当に選んだんだけど」

江ノ島「やーだー!苗木がアタシに着て欲しいの選んでくれなきゃやーだー!」

苗木「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

江ノ島「じゃあちゃんと選んでよね!」

苗木「解ったよ……」ゴソゴソ


苗木「……これが、いいな」

江ノ島「ふんふん、赤黒チェックのフリルスカート付きね。意外と攻撃的なカラー選ぶじゃん」

苗木「……江ノ島さんには、それが似合うと思って」

江ノ島「アタシならなんでも似合うに決まってんだけど、ま、“苗木が似合うと思う”のが重要か!」


江ノ島「今年の流行は“赤と黒(ルージュ・ノワール)”にけってーい!」


苗木(ぼ、ボクの選択で流行が決まっちゃったのか……!?)

ふむ、和むな


江ノ島「でさ」

苗木「……何?」


江ノ島「それ着る前に体拭いてくんない?ベトベトで気持ち悪くてさー」

苗木「体くらい自分で拭けるでしょ!?ほらタオルも持ってきたから!」


江ノ島「いや余裕たっぷりなフリしてベラベラしゃべってるけどさー、ぶっちゃけ本気で動くのしんどいんだよね。ベッドの上にも上がれないわこれ」

苗木「案の定悪化してるじゃないか!」

江ノ島「苗木クンおねがーい!」キャピルン


苗木「男子が女子の体拭くなんて正気の沙汰じゃないよ……!何より病状が悪くなってるしやっぱり罪木さん辺りを呼んで……」

江ノ島「苗木以外の看病は拒否するから。苗木が誰か呼んだら最後の力で逃げ出して行方眩ませるよ」

苗木「そんな無茶苦茶な……!ここにはキミを助けられる才能の持ち主がいっぱいいるのにボクなんかっ……!」ギリ

苗木「このままじゃほんとに死んじゃうかもしれないよ!!」


江ノ島「苗木がいれば大丈夫」


苗木「え……?」


江ノ島「他の誰もいらない。苗木がいれば、大丈夫」


苗木「……っ!」



苗木「……」

苗木「……キミに隙ができるほど病態が悪化したら、罪木さんを呼ぶから」


江ノ島「ありがと苗木」ニコ


苗木「っ……!ありがと、じゃないよもうっ……!」

たまりませんな


にしてもなにこれ甘過ぎww



イイぞ


苗木「……まずベッドの上に上げないと。……よっと」ヒョイ

江ノ島「苗木にお姫様だっこされる日が来るとはねー。背の割に力あるんだ?」

苗木「……人並みにはね」

苗木(江ノ島さんの方こそ想像よりずっと軽い……!モデルだからってよりこれは弱ってるからなんじゃ……?)

江ノ島「そんな泣きそうな顔しないでよー興奮しちゃうじゃない……!」ヘラ

苗木「……降ろすよ」ポスッ


苗木(……確かに汗がすごい。江ノ島さんを抱えた手がしっとり塗れてる)

妹様が濡れてるとな




ふぅ…


江ノ島「んじゃ、拭いてくれる?」

苗木「その前にこれ飲んで、スポーツドリンク」キュポン

苗木「ちょっと不格好だけど、ストロー差しとくね」スッ

江ノ島「ん……」チュー

苗木「……ちゃんと飲んでてよ?ボクタオル濡らしてくるから」

……

江ノ島「ぷはー」

苗木「……じゃあ拭くよ」

江ノ島「うんよろしくー」


苗木「……」ピト


江ノ島「ひゃあぁん!」ビクン


苗木「ちょっ!?変な声出さないでよびっくりした!」

江ノ島「びっくりしたのはこっちなんですけどー!ちべたいんだもん!」

苗木「しっかり絞ったけど冷水で濡らしたから……」

苗木「火照ってると思って。ごめん」

江ノ島「もー!……ま、いいや続けて」

苗木「うん……」コス コス


苗木「……」コス コス

苗木(江ノ島さんの肌……すごいきれいだな……)コス コス

苗木(こうして近くでよく見ると血管が透けて見える……)コス コス


苗木「……終わったよ」

江ノ島「背中だけじゃん。前は?」

苗木「自分でやってよ!何言ってんの!?」

江ノ島「苗木こそ何言ってんのよ?動けないってさっき話したでしょー?」

苗木「いくらなんでも前拭くぐらいできるでしょ!?」


江ノ島「無理ー腕起こすのもつらーい」

苗木「うう……!」

苗木(江ノ島さんのうねるようなラインの身体を……)

苗木(前からっ……!?)

苗木(……でも早くやって服着せないと……こんなかっこのままじゃまずい!躊躇してる場合じゃない!)


苗木(……看病するって決めただろ!)


苗木「……」

苗木(目瞑ってやろう)ギュッ

江ノ島「そーんなぎゅってお目々閉じられたら飛びっきり熱烈なやつをお見舞いしたくなっちゃうなー」

江ノ島「それにそれ、どこに手が滑るか解んないんじゃなーい?」

苗木「……」パチ


江ノ島「ちゃんとアタシを見て、やんないと」


苗木「……っ!拭くよ!?」

江ノ島「カモン苗木!」


苗木(お腹から拭こう……)スッ

苗木(クソッ……!なんてくびれ……!ヘソ……!)コス コス

江ノ島「アハハ!くすぐったいって!」

苗木「我慢してよ……」コス コス


苗木(うう……なんだこれ!どっからどう見ても変態じゃないか!)コス コス


苗木(次は首回りと肩……)コス コス

苗木(首細いなぁ……)コス コス

苗木(……鎖骨に少し汗が溜まってる……鎖骨……鎖骨……)コス コス

苗木(左右田クン……今ならキミの骨格フェチが理解できるかもしれないよ……)コス コス


苗木「……」

苗木「……もういいよね?」

江ノ島「は?まだ手も足も胸も股も拭けてないじゃん」

苗木「手足はともかく胸とか、ま、股って!それだけは絶対やらないからね!」

江ノ島「しょーがないなー。じゃせめて手と足はしっかりやってよねー」

苗木「ぐっ……解ったよやるよ……」


苗木(なんか手と足も拭くことになってしまった……)

下乳ってこういうときちゃんと拭かないと汗疹とかできて大変らしいね
特に巨乳の人たちは

つまり残姉ちゃんは気にしなくていいってことですね
わかります


苗木(腕から……)コス

苗木(肩から指先まで病的な綺麗さだ。それに細い)コス コス

苗木(いっつもすごい力で組み付かれるけど、どこにあんな力があるんだろ)コス コス


苗木(よし、次は足……)

苗木(長い……羨ましいな。それにやっぱり綺麗だ。流石モデル)

苗木(臑から……)コス コス

苗木(ふくらはぎ……太もも……うっかり柔らかさを味わったら帰ってこれなくなりそうだ……ここじゃないどこかから)コス コス


苗木(力を込めず……無心に拭く!)コス コス

>>577
今そっちに右手の甲にタトゥーいれた集団が向かったぞ


苗木「……よし!終わり!」

江ノ島「なーんか不完全燃焼だけど、ま、苗木が一生懸命身体ベタベタ触ってくるなんていう虫唾が走る体験ができたしいっか」


江ノ島「そんじゃー……」

苗木「……パジャマ着せろって言うんでしょ?」

江ノ島「解ってんじゃーん!よろしく!」

苗木「……流石にちょっとは協力してもらわないと着せられないよ?」

江ノ島「はいはーい」

苗木「袖、通すよ」スッ スッ

江ノ島「テキパキしてんなー。介護士みたくなってきたんじゃない?」


苗木「早く着せなきゃ悪化しそうだからね。ボタン閉じるよ」

苗木(……ってクールに言ったけど、何も感じないかと言えば嘘になるよな)ドキドキ

苗木(さっきからほぼ密着して作業してるし……)ドキドキ

苗木(ボタン閉じるのだって手が震えて大変だ……!江ノ島さんの胸がどうがんばっても視界に入ってくるし!)ドキドキドキドキ


苗木(……胸元のボタンまで来てしまった)

江ノ島「どーしたのよ?早く着せたいんじゃないの?」ニヤニヤ

苗木「う、うん」

苗木(……ボクは介護士だ……これは仕事……無心……無心……)


江ノ島「いやーすごいね苗木。白目むいてボタンはめてるけど、それ見えてんの?」

流石は俺の認めた苗木だ。

風邪うつってね?



苗木「……よし。次ズボン。ちょっと足上げるよ」スッ スッ

江ノ島「ますます介護士然としてきたなーつまんないの」

苗木「つまんないって……ボクからかうよりもう少し自分の心配してよ頼むから……」スッ

江ノ島「アタシがこんなことになるなんて滅多にないんだから苦しまなきゃ損じゃん?」

苗木「もう……はい、ちょっとがんばって腰上げて……」

江ノ島「えー……しんど。こう?」クイッ

苗木「うん……」


苗木(見るな見るなパンツを見るな)


苗木(……お尻触んないように気をつけて……)スッ スッ


苗木「……やっとパジャマ着せられたよ」ハァー

江ノ島「おめでとう苗木!」

苗木「……まだ看病らしいこと全然してないけどね」

苗木「というわけで、はい、枕これに替えるよ。氷枕」

江ノ島「げっ、ゴツゴツしてて寝にくそ……」

苗木「我慢してよ熱がすごいんだから」


苗木「あと、おでこと首の周りに冷却シート貼るよ。冷たいだろうけど我慢してね」

江ノ島「はーい!」



苗木「……」ペタ

江ノ島「ぎゃっはァ!」ズギャーン

苗木「……」ペタ

江ノ島「きゃんっ!」キャピルン

苗木「……」ペタ

江ノ島「ひゃう……」ジメジメ


苗木「いちいちキャラ変えてリアクションしなくていいよ!」

江ノ島「いやマジに冷たかったからさー。出てきちゃった内なるアレが」


苗木「なんなのさそれ……」サッ

苗木「……とにかく、暑いだろうけどそのまま布団被っててね」スクッ


江ノ島「どこ行くの?」クイ


苗木「え?おかゆ作ってきたから皿を借りようと……そんな、袖掴まなくったって逃げたりしないよ」


江ノ島「そっか」モゾ


苗木(……)


苗木「……その様子だとどうせ何も食べてないんでしょ?」

江ノ島「えへへバレたー?」

苗木「食欲無くても食べなきゃ弱っちゃうよ。おいしいか解んないけど絶対食べてもらうからね」

江ノ島「心配しなくても苗木の手料理を食べないわけがないじゃーん。鍋持ってきてたから期待してたんだよねー!楽しみだなー」

苗木(ここまで期待されると……江ノ島さん舌肥えてそうだし出しにくい……)

苗木(……)

苗木(でもマズかったらマズかったで喜びそうだな……)


……


苗木「お待たせ」

江ノ島「へー!おいしそうじゃん!あーん!あーん!」

苗木「……やっぱり?」

江ノ島「あったり前よー!食、べ、さ、せ、てっ!」

苗木「……」クイ

苗木「……まだ熱そうだね」フー フー


江ノ島「苗木がフーフーしてくれてる!」

江ノ島「私様に希望の息がかかったものを食せというの?たまらないわね!」ドドン

苗木「しゃべってないでほら、あーん」スッ

江ノ島「あーん、んむっ……」

苗木「熱くなかった?どう?」

江ノ島「……イケんじゃーん!おいしいおいしい!ほんのり酸っぱくってさ!」

苗木「梅肉刻んで入れたからさ。良かった……口に合ったみたいで」

江ノ島「絶望的にマズいのを期待したのに……苗木は優しいし……ああ……この希望に絶望……!そんなのを享受してる自分に絶望……!」ダラダラ

江ノ島「もっと頂戴!もっとアタシを絶望させてっ!」

苗木(だ、段々と江ノ島さんの絶望メカニズムが解ってきたな……)


○●


江ノ島「ふー!ごちそうさま!」

苗木「……おそまつさま」

苗木(……食欲は問題なさそうだな)ハハ


江ノ島「苗木、そこのタッパーは何?」

苗木「え?ああ、これリンゴ切ってきたんだけどもう食べる?」

江ノ島「食べる食べる!デザートまで用意してるとはねー!」

苗木「ここまで食欲あるとは思ってなかったからデザートのつもりで持ってきたんじゃないけどね……」パカ

江ノ島「おかゆにリンゴ……いやーベタだね苗木クンは!ベタベタだね!」ウププ


苗木「悪かったねベタで……丁度家にあったからさ」サクッ

苗木「一応小さめに切ったけどよく噛んで食べてよ?はい、あーん」スッ

江ノ島「あーん!あむっ……」シャクシャク

江ノ島「ふむふむ……」ゴクッ

江ノ島「この糖度はこの辺りで市販されているリンゴではありませんね」クイッ

苗木「あ、解る?実はおばあちゃんちから送られてきたリンゴでさ。その辺のよりおいしいんだ」

江ノ島「いやー苗木から差し出される禁断の果実に脳味噌とろけそうだよん……」ダラダラ

苗木(立場が逆だった方が禁断の果実っぽかったろうな……)


江ノ島「おばあちゃんといえばそろそろ苗木の家族に挨拶に行かないとねー!」

苗木「いやボクら付き合ってもいないのになんで!?」

江ノ島「またそれー?もう観念しなよアタシらもう完全に恋人じゃん?このラブラブっぷりはさ!」


苗木「ボクは、キミをもっと知らないと……」


苗木「受け入れることと、流されることは違うでしょ?」


江ノ島「……」

江ノ島「あーあ、なっえぎはクソ真面目だなー!」


江ノ島「でもそれ正解」


苗木「え……?」


江ノ島「ただただアタシのなすがままに流されれるルートに入ればアンタは間違いなく破滅するってこと」


苗木「……」

江ノ島「苗木はいいこと言うね。受け入れることと流されることは違う」

江ノ島「でも、これも苗木の言う通り受容には理解が必要なのよね。絶望を理解なんてできるの?」

苗木「……してみせるよ」

江ノ島「へーえ?」


苗木「だって、たとえ絶望でも誰にも理解されないなんて寂しいじゃないか」


江ノ島「……うぷぷ」

江ノ島「うぷぷぷぷぷ」

江ノ島「あーっはっはっは!流石苗木!それでこそ苗木だよ!」


江ノ島「でもそのズレた発言がまだまだアタシを理解できてない証拠だね!」

江ノ島「アタシにとってこの世の誰にも理解されない孤独感すら心地良い絶望なんだって!」


苗木「でもその絶望が打ち破られた時、キミは更に絶望するんだよね?」


江ノ島「……」

苗木「どうせならボクは、そっちの方でキミを絶望させるよ」

江ノ島「苗木ー……」


江ノ島「安請け合いすると、死ぬよ?」


苗木「死ぬ思いするのは慣れたから」

苗木「キミのおかげでさ」


江ノ島「ふーん……じゃ好きにすれば?」モゾ

苗木「そうさせてもらうよ」


苗木「……とにかく今はそれ治さないとね!しっかり眠らないと」

江ノ島「んなこと言われても眠れないよー」

苗木「目閉じてればいつか眠くなるって」


江ノ島「だって寝たら苗木どっか行っちゃいそうなんだもん」


苗木「……」

苗木「行かないよ、どこにも」

素晴らしい
夜も遅いが頑張ってくれ


江ノ島「ほんと?」

苗木「うん。側にいるから」


江ノ島「……手」

苗木「て?」

江ノ島「手、握ってて」

苗木「……これでいい?」ギュ

江ノ島「……うん」ギュ


苗木「ほら、目閉じて」

江ノ島「うん」モゾ


苗木「……おやすみ」ナデナデ


江ノ島「……ぜつぼう……てき……」

やばい、妹様かわいすぎる


○●


江ノ島「おっはようさーんっ!」バーン

苗木「……おはよう、みんな」ファァァ……

江ノ島「アタシが熱で寝込んでたってのに誰一人お見舞いに来なかった薄情なクラスメイトの諸君ご機嫌いかが!?」


朝日奈「え?江ノ島ちゃん熱出してたの!?」

葉隠「江ノ島っち無断欠席多過ぎて昨日のが病欠とか知らんかったべ……」

江ノ島「苗木にはメールしたのになー?」

苗木「いや、ええと、誰にも訊かれなかったから……」

江ノ島「……そうですよね……誰も私のことなんて気にかけるわけありませんよね……」ジメジメ

葉隠「だーから無断欠席多いから普通に昨日の欠席も勝手にどっか行ったもんだと思うって……」


桑田「っつーか!なんでお前ら一緒に来てるわけ?」

江ノ島「そりゃー苗木がつきっきりで看病してくれたからねー!」バシバシ

苗木「江ノ島さん死にそうだったからね……」ファーァ……

苗木(あの熱がこんなすぐ下がるとは思わなかったなぁ……)


朝日奈「へー!流石彼氏!いいなー!私なんか寝込んだって誰もドーナツ食べさせてくれないよー」

葉隠「口ん中カラッカラになるべ……」

石丸「うむ!江ノ島君が無事で何よりだ!あとは戦刃君だな!」ズンッ

江ノ島「は?お姉ちゃん?」


石丸「今朝いつも通り僕が一番に教室に来て予習していると、フラフラとした足取りで戦刃君が来て……」

戦刃『熱出たみたい……今日……休む……』フラフラ

石丸「とだけ告げてまたフラフラと去っていったぞ!」

苗木「今度は戦刃さんが!?」

石丸「姉妹で熱を出すとはシンクロニシティというやつだな!」ハッハッハ

江ノ島「いや共時性とちげーし」

江ノ島「ってか……」


江ノ島「熱出す要素ないでしょっ!?バカだし!移るほど一緒にいなかったし!」


江ノ島「そこは苗木でしょ!訳解んないっての!!残念過ぎぃっ!」


○●


戦刃「……暑い……」ボー

罪木「し、しっかりしてくださいぃ……」


CASE11 閉廷


残念すぎてかわいいな

苗木が看病する側の話になりました。
次は男子会の予定です。

乙でしたー!

乙ー

妹様は絶望的にカワイイな!
だが残姉は残念カワイイ!!そして、さりげない罪木w

乙です。妹様が可愛すぎて生きるのが辛いw

絶望的に萌死ぬぅぅぅ



かわゆすなあw


男子会か、女子より下の話になりそうだ


面白いなあああ!!!


面白いなあああ!!!

ごめん連投しちゃった

ID被りなのか自演なのか

自演けえ

自演でも許す

面白いから自演でもええんやで

>>1の最後の書き込みとID違うじゃん

盾子ちゃんのかわいさの前ではどうでもいいけど

ほんとだ>>604
ID被りかドジっ子か

ごめん…連投野郎は俺です、>>1さんじゃありません
まさかこんなことになっていたとは

>>1 もこの状況でテンパっただろうなw

ID被りなんてよくあるからな

何故か何度も読み返してしまう



十神「次お前と対話する場所は法廷だったはずだが」

山田「そうですぞ!僕のぶー子ちゃんカメラ一体どうしてくれるんですかね!」

葉隠「何が楽しくて男七人で桑田っちの部屋に鮨詰めになんなきゃなんねーんだべ」



桑田「だーっ!!うっせーっ!!」


桑田「オレだってヤローどもとギュウギュウ詰めなんて嫌だっての!」

桑田「女の子とイチャイチャしたいっての!」

桑田「けどその為には情報交換の場が必要だって気づいたんだよ!」


十神「桑田にしては奇跡的な閃きだな」

桑田「だろっ!?天才的だろ!?」

山田「いやバカにされてると思うんですが……」


葉隠「しっかし石丸っちや十神っちが来るとはな……」

十神「……時には下々に目を向けねば足下を掬われると学んだからな」

石丸「クラスメイトで親交を深めるため一緒に語り合うことも大切だ!最近知ったことなのだがな!」

葉隠「というか桑田っちがよく声かけたべ」

桑田「オレは仲間外れってやつが練習の次に嫌いだからな!」

不二咲「あのぉ……苗木君がいないんだけど……」


桑田「はぁ!?アイツ彼女持ちじゃねーか!この会合に出席する権利ねぇよ!」

大和田「仲間外れは嫌いじゃなかったのかよオメェ」

葉隠「十秒持たず矛盾したべ」

桑田「うっせーよ!裏切ったのはアイツの方だろ!」


山田「けどモテたいのなら実際に彼女がいる苗木誠殿の意見聞いた方がいいんじゃないですかねぇ……」

石丸「なるほど、成功者の意見には多大な価値があるからな!」

十神「俺はここにいていいのか?世界各地に許嫁がいる成功者だが」ククク

葉隠(意外にノリノリだべこの二人……)


桑田「マジかよ十神オメー出てけよ!」

十神「断る。お前如きが俺を動かせると思うな」

桑田「帰るつもりねぇのにここにいていいのかとか訊くんじゃねぇよアホ!」

不二咲「あのぉ、今からでも苗木君呼ばない?可哀想だよ……」

桑田「ダメだ!アイツの意見は参考にならない気がする!」

葉隠「妙なとこで頑なだべ……」


桑田「いっつもいっつもイチャイチャイチャイチャしやがって……羨ましいんだよチクショー!」

大和田「結局ヒガミじゃねーか」


桑田「じゃあ訊くけどさ!オメーらなんとも思わねーの!?超高校級のギャルだぞ!」

桑田「なんだあのエロさ!反則だろ!」


大和田「ま確かにあのムネはな……」

葉隠「ぶっちゃけ江ノ島っちや朝日奈っちのは垂涎もんだべ……」


十神「フン、お前らはあんな品のないモノがいいのか」

石丸「うむ!僕は戦刃君や腐川君のように慎ましやかな方が好みだ!」

葉隠「ま、まさかの貧乳派か!?オメーら!」


桑田「いやいや!やっぱ舞園ちゃんくらいがベストだって!うん!」

大和田「オメェ江ノ島がエロいっつったろ!」

桑田「確かに江ノ島はエロいと思うけどもベストな大きさだなんて誰も言ってねぇぞ!」

葉隠「山田っちはどう思うべ!?」


山田「皆さん何も解っておりませんな……」


山田「巨乳には夢が詰まっている……貧乳は夢を配っている……」



山田「おっぱいに貴賤なしっ!!」バッカモーン

来てたか


石丸「な、なるほど……!」

葉隠「謎の説得力だべ……!」

十神「なんとも愚かな争いだったな……」


不二咲「でも……」

不二咲「大神さんの胸筋もいいよねぇ……」ポワ


「えっ……」



桑田「ま、まあ……話を戻すけどさ」


不二咲「……っ」カァァ



桑田「やっぱ……羨ましいだろ?苗木」

葉隠「そりゃちっとは羨ましいって思うけども……」

大和田「江ノ島は正直中身がぶっトび過ぎててなぁ……」

山田「僕はぶっとんだ女の子大歓迎ですけどもね!彼女が二次元でないのが悔やまれますな!」

桑田「オメーは黙ってろブーデー!」

山田「ひどいですぞ!デブにも発言の権利を!」プンスカ



葉隠「……真面目な話だけども」



葉隠「江ノ島っちと付き合い出してから苗木っちが悟り開いたような顔になってきてると思うんは俺だけか?」



「……」


朝日奈さんは俺がもらって行きますね


不二咲「で、でもやっぱりいいよね、彼女がいるって」

不二咲「この前も二人手繋いで歩いててさ。いいなぁって」

不二咲「苗木君が手を引かれてる感じだったけど」


葉隠「不二咲っち……俺は知ってっぞ。不二咲っちもこの前女の子と手繋いで歩いてたべ!」

桑田「なにぃーっ!?」


不二咲「そ、それは多分、娘っていうか……」

桑田「娘ぇ!?」


不二咲「あ、アンドロイドなんだよぉ!僕が開発に携わった!」


葉隠「不二咲っち……そりゃいくらなんでも苦し過ぎねーか?アンドロイド開発って、彼女作るよりすげえことなってんぞ?」


十神「アンドロイド開発のことなら真実だぞ」

葉隠「え?」


十神「希望ヶ峰で用意できない資材は俺が手配したからな。完成品もこの目で見た」

桑田「え、えー、つーことは……」

葉隠「……ま、マジなんか?あれアンドロイドなんか!?人間にしか見えんかったべ!むっちゃかわいかったぞ!?」

桑田「不二咲ーっ!頼むオレにも作ってくれ!こうバインバインなやつを!」

十神「馬鹿が。量産できるものじゃない。あれは奇跡的に資材が揃い、奇跡的に技術者の知見が噛み合い、奇跡的に試作が成功したまさに希望ヶ峰の奇跡と言っていい代物だ」


十神「それに……あれは最早“個”だ。量産していいものでもない」

不二咲「十神君……」


大和田「諦めるこったな」

桑田「ぐうう……」

石丸「しかしなんという技術だ……流石は希望ヶ峰学園!」

山田「リアルにロボ子ちゃんが誕生するとは……良い時代になったものですな!」


大和田「そういや苗木達の話に戻んだけどよ」


大和田「こないだ夕日でも見ようと屋上に行ったらよぉ。苗木がいたもんだから近寄って声かけたんだよ。んでよく見たら……」


大和田「苗木が膝枕してたんだよ、江ノ島を」 


桑田「は?苗木が?江ノ島を?」

葉隠「普通逆だべ……」


大和田「エロ本読んでんの見つかった中坊みてえに慌てつつも、膝には江ノ島が寝てっから動けない、っつー苗木の様がおかしくってよ」

大和田「江ノ島起こしてからかってやろうとしたら……」

桑田「……したら?」



大和田「……すっげぇ眼で睨まれた。思わずブルっちまったぜ」


桑田「苗木にビビるなんてあり得ねーだろ」

十神「……苗木は怒らせたら一番面倒なタイプだ」

葉隠「普段温厚な奴ほど……って言うしな……」ハハ


石丸「二人の仲睦まじさを示す場面なら僕も遭遇したぞ!」

石丸「以前雨が降った日、二人が相合い傘で歩いていた!」


葉隠「あの二人が相合い傘……」


桑田「確実に江ノ島が傘持つ方じゃん!ダサくね!?」

十神「お前はそうやって自己を防衛する方針なのか」



石丸「いや!指を絡ませて二人で持っていたぞ!」



桑田「ちくしょぉぉぉぉ!!」ガンッ


桑田「なんでそんな時だけ目聡いんだオメーはぁぁぁぁぁ!!」ガンッガンッ


石丸「す、すまない……!」

大和田「オメェは悪かねえよ」

不二咲「く、桑田君!そんな頭ぶつけたら壁が壊れちゃうよぉ!」アワワ

葉隠「桑田っちの頭の心配はしねーんか?」ハハ

LOVELOVEじゃねーか


桑田「っつーか!別に苗木と江ノ島の話を聞きたいわけじゃねぇんだよ!」バッ

桑田「他の女子の情報をよこせよ!」


葉隠「これはトップシークレットだけども朝日奈っちはドーナツが好きだべ!」

桑田「知ってるっつの!どの辺がシークレットだよ!?」

山田「セレス殿に踏まれるとヘヴンが見えますぞ!」

桑田「オメーだけだブーデー!」

不二咲「そ、そういえば霧切さんの手には鬼が封印されてる……って田中君が言ってたよぉ……」ブルブル

桑田「不二咲!オメーは騙されてる!」

十神「……そんなに聞きたいか?」ズーン

桑田「あっ……腐川はいいっすわ」


桑田「オメーら使えなさ過ぎんだろ!もういいから愛しのあの子の情報よこせ!」

葉隠「愛しのあの子……?」

桑田「わっかんだろ!?むしろなんで解んねぇんだ!最初に『ま』がつく四文字の子だよ!」



ま???


石丸「そうかっ!解ったぞ!」シャキーン


まだらい


石丸「斑井先輩だな!」

桑田「誰だそいつ!?この流れでなんで先輩出てくんだアホォ!女なら紹介してください!」


山田「フフン僕は解っておりますぞ桑田礼恩殿」シャキーン


ま法少女


桑田「ルール違反だろ無理矢理漢字ねじ込むんじゃねぇブーデー!」



葉隠「もしかすっと……!」シャキーン


まてりあ


桑田「なんで宝玉に焦がれてんだよ!せめて人間にしろティ○ァとかエ○リスとか!」



十神「つまり……」シャキーン

桑田「うっせー!もういい!もう大喜利はいいんだよ!」

仲良好きww



まいぞの


桑田「舞園ちゃんに決まってんだろ!」



不二咲「あ!舞園さんならこの前苗木君と買い物してるとこ見かけたよ!」ニコ

桑田「ちくしょぉぉぉぉぉ!!」ガンッ



葉隠「……不二咲っちってほんとは桑田っちのこと嫌いなんか?」

不二咲「そ、そんなことないよぉ」


桑田「ちくしょう……!なんで苗木ばっかりモテんだ……!」


山田「ふふ、それは違いますぞ桑田礼恩殿」

桑田「は?」


山田「我らがクラスメイトで真に女の子にモテまくっているのは苗木誠殿ではなーい!」ドン


桑田「ま、マジかそれ!?」



怪しい人物を指摘しろ!


桑田「やっぱ十神だろ!?金持ちだし!追っかけいるし!」

十神「俺はモテるモテないとかいう次元にいる人間ではない。……それといちいちあのデスストーカーのことを思い出させるな……!」


葉隠「んじゃあ不二咲っちだべ!男女問わず人気あっからな!」 

不二咲「そ、そんなぁ……僕モテてないよ」

山田「なるほど……着眼点はよろしいですな」


桑田「もったいぶらずに言えよ!」

山田「いいでしょう!僕らのクラスで女の子にモテている人物、それは……」



山田「戦刃むくろ殿です!」バーン


桑田「……はぁ?戦刃ぁ?」

大和田「戦刃は女じゃねーか」


山田「おや?皆さん百合というものをご存知ない?」

葉隠「花だべ」

山田「ちっがーう!美的イメージはそうですけども!」


不二咲「そのぉ……女の子同士……ってことだよね?」モジ

山田「そのとぉーっり!流石は性の壁を超越した電子の妖精っ!」

不二咲「……」カァ

十神「要はレズビアンか」

山田「僕は百合とレズビアンに明確な線引きはしておりませんが……僕個人の漠然としたイメージは百合は恋愛的関係の要素が強く、レズビアンは肉体的関係の要素が強い、と言ったところですな」


大和田「わーったからよ。で?戦刃はマジで女にモテてんのか?」


山田「そりゃあもう!他クラスの女子からモテモテですがな!」

山田「いつも違う女の子がしがみついてますがな!」


葉隠「おいおいマジか?あの戦刃っちが?んなとこ見たことねーぞ?」

桑田「オメーが勝手に言ってるだけじゃねぇか。証拠はあんのかよ?」


山田「フフフ……」スッ


不二咲「デジカメ……!?」

葉隠「山田っちのカメラ壊れたんじゃなかったんか?」


山田「ぶー子ちゃんカメラはきっちり壊れましたとも!桑田礼恩殿のせいで!これはただの無価値なデジカメですよ!ぶー子ちゃんプリントされてないでしょう!」グワッ

十神「……」

桑田「わ、悪かったって……!んで、それに撮ったんだな?」

石丸「と、盗撮ではないか!?」 

山田「あーいや別に隠し撮りしたわけではないので許してくれませんかね……」

大和田「……いいからとっとと見せろや」

山田「承知いたした!」ピッピッ



山田「これですぞ!戦刃むくろ殿の衝撃写真!」バッ



桑田「こいつは……」

不二咲「戦刃さんが女の子をお姫様抱っこしてる……!」

山田「お姫様抱っこですぞお姫様抱っこ!これはもう確定でしょう!」

十神「何が確定だ。この抱えられている奴は足を怪我しているだろう。それを戦刃が運んでやっている。それだけだ」

石丸「よく見ると確かに怪我をしているな!なんという道徳的、模範的行動だ……!」グッ


山田「皆さんにはお解りになりませんか!?この抱えられてる子の熱っぽい視線!」

大和田「あぁ言われてみっと……」

葉隠「熱っぽいっつーかなんかヤバい目で戦刃っち見てる気がするべ……」


桑田「で!?」

山田「はい?」


桑田「他の写真は?いつも女とっかえひっかえしてんだろ?」


山田「ありませんぞ。他は目撃しただけですからな!」

桑田「はぁ!?それじゃモテモテの証拠になんねぇだろが!」


山田「別に僕はストーカーやパパラッチじゃありませんし」


桑田「急に真面目腐りやがって……!」

葉隠「まあ、この子撃墜したってのは認めてやってもいいべ」


桑田「クソ……!本題と全然関係なくなってきてっけど……呼び出して直接訊き出そうぜ!」スッ

十神「やめておけ」

桑田「気になんだろ!?」

十神「……俺は知らんからな」


○●


戦刃(……桑田君……直接訊きたいことってなんだろ)

戦刃(……クラスメイトだし……仲良くしなきゃ)


戦刃「……」コンコン

戦刃「……桑田君?」


ガチャ

桑田「おう、いや悪ぃなわざわざ」ハハ

戦刃「……桑田君、訊きたいことって……」



ワッ


桑田「いや訊きたいことってのはさ!戦刃って、その、女子にモテてんの!?」

山田「この写真の子とはどのような……!」

十神「……」

葉隠「つかこの子ぶっちゃけ誰だべ!?」



戦刃「ひぃっ……!」ビクゥ


不二咲「こ、こうやってかっこよくお姫様抱っこするのってやっぱり筋力がいるのかな!?」

石丸「戦刃君!僕は感動したぞ!怪我をした同じ学園の仲間を助ける君の姿に!」

大和田「思い出した!この女保健委員じゃねーか!?な?戦刃そうだろ!?」



戦刃「ごっ……」ウルウル


戦刃「ごめんなさいっ……!」ダッ

キラッ……

バタン

なーかしたーなーかしたー


「……」


「……」


桑田「……戦刃、泣いてたな」

山田「……ええ……」

大和田「……よく考えりゃ、こえーよな……いきなり男がこんだけ押し寄せて質問責めにするなんてよ……」



不二咲「……女の子だもんね」


ズーン……


桑田「なんか……モテない理由解った気ぃするわ……」


大和田「……女泣かすなんて最低だ……!」グググ

石丸「誠心誠意謝るしかないな……」

葉隠「……明日、一斉に行かねえようにすんべ……」


十神「……だから言っただろうが」


十神(……全員ぶちのめされると踏んでいたんだがな)


……


桑田「頭、冷やそうぜ」

葉隠「だべ。ちっと変なテンションになってたからな……」

不二咲「うん……」


桑田「ってわけで……クールダウンにこいつだ!」バッ

不二咲「ビデオ?」

大和田「オイオイいかがわしいもんじゃねえだろうな……」

山田「このタイミングでアダルトな内容でしたら流石に神経を疑いますぞ……」

桑田「流石にオレもそこまで頭ん中ピンク色じゃねーって!ホラー映画だよ!ホラー映画!」

大和田「ホラーだぁ?」

十神「……くだらん」


桑田「まあ待てって。……この映画、ヒロインは我らが舞園ちゃんと江ノ島なんだよ!!」


山田「な、なんですとー!?」

葉隠「舞園っちはともかく、江ノ島っちまで出てんのか!?」

桑田「これは見るっきゃねーだろ!舞園ちゃんの勇姿をよ!」

不二咲「……でも二人が映画で共演してるなんて初めて知ったよぉ」

不二咲「舞園さんと江ノ島さんの共演だなんて、もっと話題になりそうなのに……」

山田「考えてみるとアイドルが出演するホラー映画って大体が駄作なような……もしかして大コケして話題にならなかったとかー……?」

桑田「ちっげーよ!実はこの映画Vシネとして作られたんだけどさ……」


桑田「お蔵入りになっちまったんだよ!公開する前に!」


不二咲「え……?」

葉隠「な、なんでだ?」


桑田「スタッフが次々不幸に見舞われたことが原因、らしいぜ」


葉隠「の、呪われてんのか!?」

十神「なぜお前がそんなものを持っている」

石丸「そうだ!発売されていないものなのだろう!?」

桑田「え?そりゃーまあ、色々アレしてな、うん」


桑田「とにかくこれは見るしかねえだろ!?な?な?」

葉隠「つっても作った人ら呪われてお蔵入りになったもんなんだろ……?占わなくても嫌な予感するべ」

桑田「んだぁ!?ビビってんのか!?」

葉隠「んじゃ訊くけど桑田っちはそれ見たんか?」

大和田「まさか丁度今日手に入れたもんじゃねぇだろうしな?」

桑田「お、オレはせっかくだからオメーらと上映会しようと思って、見るの我慢してやってたんだよ!」

葉隠「……ビビって見れなかったんだべ」


桑田「うっせーアホ!オメーらこそ男のくせにビビり過ぎだろ!どんな内容だろうとこんだけの人数で見りゃなんともねーって!」


不二咲「ぼ、僕見るよ!」

大和田「不二咲!?無理すんなよ!」

不二咲「ホラー映画くらい……どうってことないよ!」

不二咲「クラスメイトの活躍見たいから!」

大和田「不二咲……!うっし!俺も付き合うぜ!」


十神「……奴らがどれほどの大根役者か見てやるとするか」フン

葉隠「十神っちまで!?」


山田「ふむ……Vシネマのホラーといえば……色々期待が膨らみますな!」

不二咲「え……どういうこと?」

葉隠「……不二咲っちは知らんでいいべ」


葉隠「石丸っちはええんか!?これ非合法ビデオだべ!」

桑田「ひ、非合法じゃねーよ!合法だっての!不幸にもお蔵入りになっただけで!」

石丸「ならばセーフだな!」

葉隠「それでええんか風紀委員!?」


石丸「不二咲君が奮い立たせた勇気を無駄にしたくはない!」

不二咲「石丸君……!」

葉隠「……ほんと丸くなったべ」


桑田「で?葉隠どーすんだよ?」ニヤニヤ

葉隠「……わーったよ!見りゃいいんだべ!?どうなっても知らんからな!」


……


○●


江ノ島「おっはよー!」ガラッ


桑田「!?」ビクッ


苗木「おはよう、江ノ島さん」

江ノ島「あれー?なーんか苗木以外の男子元気なくなーい?なくなくなくなーい?ねー桑田クン?」ヒョコ

桑田「ぎゃああぁぁぁぁあ!!寄るんじゃねーっ!!」ダッ


苗木「く、桑田クン!?」


江ノ島「……ねー不二咲、桑田どうしちゃったの?」ヒョコ

不二咲「きゃあぁぁあ!?ごっ、ごめんなさいっ!ごめんなさいごめんなさい……!」シクシク


大和田「わ、悪ぃな、え、ええ江ノ島。不二咲行くぞ!」グイッ

不二咲「ごめんなさいごめんなさい……」トボトボ……


江ノ島「ひっどーい!他のみんなも目逸らすしさー!」チラ


葉隠「……」

山田「……」

石丸「……」

十神「……」


江ノ島「もー!みんなして人をそんなお化けみたいに!もしかしてこれってイジメ!?」プンプン


江ノ島「いいもーんアタシには苗木がいるからさっ!」ギュッ

苗木「み、みんな……?」


苗木(なんだか、よく解んないけど……) 



苗木(ボクの知らないところで、江ノ島さんがみんなに謎の絶望を与えたみたいだ……)


CASE12 閉廷


いったいなにがあったんだ……

次回希望ヶ峰武闘会
また苗ノ島メインじゃないです

つまり残姉メインですね
わかります

おつ

乙乙

おっつおっつ

乙です。希望ヶ峰武闘会ってことはさくらちゃん、残姉、弐大、終里は出てきそう。あと意外にも日向も出てきたりして。さくらちゃんたちとの特訓の成果を見せる的な感じで。

Vシネ見たことないんでイマイチネタが分からないww
本気で怖かったてことなんかな

濡れ場とかお色気的な要素があるんじゃないかと思ってたけど実際どうなんだろ

続きがはよ読みたい




澪田「あー、マイクテス!……マァイクテェーッス!!」ギャーン


澪田「おーしバッチシっす!」フフン

澪田「えーいよいよ希望ヶ峰学園主催の希望ヶ峰武闘会の開幕っす!」

澪田「このクレイジーなイベントは希望ヶ峰学園全校放送でお送りするっす!」


澪田「実況はご存知超高校級の軽音楽部のーっ?澪田唯吹の澪にー」
江ノ島「澪田唯吹ちゃんでーす!解説はこのアタシ!超高校級のスーパーノヴァビッグバンカリスマギャル!江ノ島盾子でお送りしまくっちゃいまーす!」バーン

澪田「ブェッへ!ひどいっすよ盾子ちゃん唯吹の名乗りをキャンセルするなんて!変身途中に攻撃してくる敵よりひどいっす!」


江ノ島「なげぇんだよ飽きるんだよオメェの名乗りはよぉ!」ズギャーン

澪田「もっともなご意見っ!」グボェ

澪田「盾子ちゃん新しい名乗り考えんの手伝ってもらってもいいっすか?」エヘヘ


苗木「ちょっと澪田さん!実況でしょ!?横道に逸れてるよ!」

澪田「そうでした!たった今軌道修正に一役買ったのは特別ゲストォ!」


苗木「超高校級の幸運の……苗木誠です。よ、よろしくお願いします」オドオド

江ノ島「あれれ苗木クン緊張しちゃってるのぉー?開幕前に色々ほぐしてあげよっかー?」キャピルン

苗木「だ、大丈夫だよ……!」


澪田「あのー、いちお釘刺しとくっすね。イチャイチャすんじゃねーっすよ!?」ムッキー

江ノ島「えーそれフリ?」

苗木「しないよ!イチャイチャなんて!」

澪田「ほんとっすかー?誠ちゃんしっかり頼むっすよ?」

苗木「う、うん……」

苗木(なんか、釈然としないな……)


苗木「というかこの場で訊いていいのか解んないんだけど……」

澪田「なんすかー?」

苗木「なんでボクがゲストなのかな?」


江ノ島「希望ヶ峰学園生徒で特別ゲストの厳正な抽選を行った結果苗木クンが大当たりでした」クイッ

澪田「さっすがは超高校級のラッキーボーイ!おめでとうございまむ!」

苗木(絶対ツイてないよこれ……)


澪田「とゆーわけで!実況唯吹、解説盾子ちゃん、ツッコミ誠ちゃんでお送りするっす!ヨロシクぅ!」ビシー

苗木「つ、ツッコミって……二人とも真面目に実況解説してくれるんだよね!?信じてるからね!?」


澪田「……」

江ノ島「……」


苗木「黙り込まないでよ!」ガーン


澪田「じゃーまずは希望ヶ峰武闘会の説明をさせて頂くっす!」

苗木(スルーされた!?)ガガーン

澪田「えー希望ヶ峰武闘会は簡単に言うと素手または近接武器のバトルロワイアルっす!」

澪田「名前でトーナメント方式とか思っちゃったあなた!少年マンガの読み過ぎっす!」

江ノ島「それも一昔前のねー」

澪田「暗黒武術」
苗木「いいから早く続けて澪田さん!開始まで時間ないよ!」


澪田「あのー、誠ちゃんもしかして怒ってるっすか……?ごべんなざい!ふざけ倒してごべんなざい!」

江ノ島「おこなの?苗木クンおこなの?」ウププ

苗木「いいから早くっ!」

澪田「了解であります!」ビシッ


澪田「希望ヶ峰武闘会の敗北条件は2つっす。降参するか、気絶するか。そんだけーっ!」ブハーッ


苗木「……これ希望ヶ峰主催のイベントなんだよね?無茶苦茶危険じゃない?」

江ノ島「え、そーお?どうせなら死ぬまでやり合うコロシアイの方が面白いと思うんだけどなー」

苗木「洒落になんないよそれ……」


澪田「コロシアイはともかく、参加者は怪我とか自己責任ってのに同意してるみたいだしいいんじゃないっすかー?」

苗木「そ、そうなんだ……」

苗木(だとしても色々アウトだと思うんだけど……)

江ノ島「まあ、優勝賞品はそれ相応のものだからね……。危険に見合ったたった一つの希望……うん、流石は希望ヶ峰学園だよね」ゴゴゴゴゴ

澪田「イエス!優勝賞品はなんと……」


澪田「希望ヶ峰学園が可能な範囲で希望を叶えることっす!」


苗木「何度聞いても無茶苦茶な内容だなぁ……」


澪田「んでー!使用可能な武器は希望ヶ峰学園が提示したものの中から選べるっす」

澪田「っても飛び道具や刃物、金属類はこの中にないっす。バールのようなものの活躍の場がないとは残念っすね!」

江ノ島「えー槍とかナイフとか使えないのー?」

苗木「二人ともどんだけ流血沙汰にしたいのさ!」

江ノ島「まあこの現代とは思えないルールじゃあどのみち流血沙汰だろうけどねー」


澪田「んでんでー!戦いの舞台はなんと希望ヶ峰学園旧校舎!」

江ノ島「このイベント以外で全く一切合切絶望的に役に立たない建物だね」ウププ


澪田「んじゃー出場選手を一部ごしょうかーい!」

澪田「唯吹の知ってる子だけっすけどね!」テヘリン♪


澪田「まずは終里赤音ちゃん!はいカメラちゃん映して映して!」


終里『おっしゃー!』ピョンピョン


澪田「おー!気合い十分っすねー!このメチャ健康的ボディの子が超高校級の体操部、終里赤音ちゃんっす!武器はナッシング!素手で戦うみたいっすね!」

澪田「体操部って肩書きっすけど生粋のバトルマニアっす!もういっつも『バトる』か『メシ』しか言わないくらいバトルマニアっす!」

江ノ島「うげ、何そのストレートに頭の悪いキャラ……」ボソ


澪田「続いてクールビューティー辺古山ペコちゃん!超高校級の剣道家っす!使用武器は木刀!」


辺古山『……』


苗木「落ち着いてるね。目閉じて……瞑想ってやつかな?」

江ノ島「お腹痛いだけだったりして」

澪田「ペコちゃんああ見えて実はかわいいもの好きっすからモフモフしたものを思い浮かべてるかもっすね……ギャップ萌えェ!!」

澪田「っと、さりげなく唯吹の豆知識が飛び出しちゃったっす!実況の鑑っすね!」ギャハー

苗木「澪田さん、次は?」


澪田「続きましては超高校級のボディーガード!斑井一式ちゃんっす!」


斑井『……』


江ノ島「うわ気持ち悪……」ボソ

苗木(……聞かなかったことにしよう)

澪田「爬虫類系男子の一式ちゃんは素手で参戦っす!以上!」

苗木「え?終わり?」

澪田「唯吹と同じクラスっすけどー、ぶっちゃけ一式ちゃん生徒会で忙しい身なんであんまりお話したことないんすよねー。早春ちゃんとも今度一緒に遊びたいっすね!」

江ノ島「生徒会ねー。何やってんだか」


澪田「以上が唯吹のクラスメイトである77期のみんなっす!がんばるっすー!」 

苗木「実況がこんなあからさまに応援していいのかな……」


澪田「で!77期じゃない唯吹のお友達も参戦するっす!その名も戦刃むくろちゃん!」


戦刃『……』


澪田「いやー今日もかぁーいいっすねー!」

江ノ島「アレがー?世の中色んな趣味の人がいるもんだね」

苗木「アレ呼ばわり!?江ノ島さんの双子のお姉さんでしょ……」

澪田「むくろちゃんは超高校級の軍人さんっす!カッケェー!!カワイイだけじゃなくカッケェー!」


苗木「あの武器は……木刀?杖?」

江ノ島「あれは木銃ですね」クイッ

澪田「もくじゅう?なんすかそれ」

江ノ島「着剣小銃による白兵戦を模したスポーツである銃剣道……そこで武器として用いられる、木を小銃の形に削り出したものです」

江ノ島「要するになんとなく長物の銃の形をした木です。勿論弾は出ません。銃剣道は剣道よろしく防具を付けて、あれでひたすらどつき合います」

苗木(江ノ島さんがちゃんと解説してる……)

江ノ島「ま、防具があろうとなかろうとお姉ちゃんにあれで突かれたら普通一発で昇天だろうけどね」

苗木「だ、大丈夫なのそれ……」

澪田「とんだ即殺天使っすね……」


江ノ島「ま、あんなんでもアタシのお姉ちゃんだからねー。戦闘に関してはほんと頼もしい限りだよ」

江ノ島「ってお姉ちゃんへの愛憎を語り出したらお姉ちゃんが優勝してこのイベント終わるまでしゃべり続けちゃいそうだからこの辺にしとこっか」

澪田「おやおや?盾子ちゃんはむくろちゃんが優勝すると予想してるんすね」

江ノ島「あったりまえじゃーん!こんなほぼなんでもありの戦いでお姉ちゃんが負けることなんて有り得ないよ」

澪田「ずいぶん強気な予想っすねー!ま、むくろちゃんは78期っすからそのまま盾子ちゃんと誠ちゃんに78期のクラスメイトの紹介をお願いするっす!」

江ノ島「りょうかーい!」

苗木「って言ってもあと二人だけどね」


江ノ島「まずはぁー大和田紋土クン!超高校級の暴走族だよ!」キャピルン


江ノ島「うん、雑魚っぽぉーい!速攻で負けそう!終わり」

苗木「ちょ、ちょっと江ノ島さん!」

澪田「確かにあの髪型……すぐやられそうっすね」フムフム

澪田「とか言ったらプッツンされちゃうっすかね!?」

江ノ島「単車のねぇゾッキーになんの価値があんだよ!?……って単車どころか武器もねぇよ!ステゴロとかナメ過ぎじゃね!?ナメ腐ってね!?」ズギャーン


苗木「お、大和田クンは暴走族のリーダーだよ?ケンカには強いはずだよ!」

江ノ島「どうかなー?ここはガキ大将が立つ舞台じゃないと思うんだけどなー?」

澪田「まあまあ、紋土ちゃんについてはそのくらいでいいっすから、ラストお願いするっす!」


江ノ島「最後はこの方、私様も認める最強の人間……!超高校級の格闘家、大神さくら!」ドドン


大神『コォォォォ……』ドドドドド


苗木「き、気合い入ってるね」

澪田「大丈夫っすかね!?殺意の波動に目覚めてないっすか!?」ウゲゲ

江ノ島「うんうん、久々の強敵の気配に高ぶっているようだね」ゴゴゴゴゴ


苗木「当たり前かもしれないけど素手、だね……」

江ノ島「超高校級の格闘家だからねー!見た目通りのパワーと見た目以上のスピード……まさに最強!」

苗木「江ノ島さんは戦刃さんが勝つって予想してたけど、大神さんも優勝候補だよね」

江ノ島「まーね。でもお姉ちゃんは勝つよ。なぜならお姉ちゃんだから」

苗木「そ、そっか」


澪田「えーっとー、出場選手はまだいるんすけど、唯吹達が知ってる子は以上っす」

澪田「あと希望ヶ峰武闘会には外部から募集した参加者もいるっす。いっぱいいた方が盛り上がるっすからね!」

江ノ島「はぁ、なんというか、ご愁傷様?」

苗木「江ノ島さん……!」

外部からの参加者・・・これはケンイチロウフラグか?


澪田「えー、そろそろゴングっす!

澪田「お二人も気合い入れ直すっすよ?重ね重ね言わせてもらうっすけどくれぐれもイチャイチャすんじゃねーっすよ!?」

苗木「し、しないよ」

江ノ島「つまんないのー」



キーンコーンカーンコーン



澪田「うっきゃあぁぁぁ!今!開始のチャイムが鳴り響いたっす!」


澪田「希望ヶ峰武闘会、開幕!」


○●


戦刃『……』


戦刃『……!』


斑井『おら!』ガバッ

戦刃『……』ヒョイ


斑井『……へえ、やるじゃねーか』


澪田「むくろちゃん早速一式ちゃんと遭遇っす!一式ちゃんの不意打ちをなんなく回避!」

江ノ島「あんなの不意打ちに気づかなくても攻撃見てから避けれるってー」

苗木「そうなの?すごいな……」


澪田「早速希望ヶ峰のカードっすけど、盾子ちゃんはこの戦いどう見るっすか?」


江ノ島「一蹴」


苗木「え?」


戦刃『……』ダッ ヒュン


ドグシャアッ


斑井『ぶぐっ』

ドサッ

戦刃『……』シュタッ


戦刃『……』

戦刃『……弱』ボソ


澪田「お、終わったーっ!?盾子ちゃんの予想通りまさに一蹴!空中回し蹴り一発で終わっちゃったっすー!むくろちゃん武器も使っていない!」


苗木「超高校級のボディーガードを一撃で……!」

江ノ島「あんなの何人いてもお姉ちゃんには適いっこないって。きっとお姉ちゃんの噛ませ犬になる為に生まれてきたんじゃない?」

澪田「あのー盾子ちゃん?お忘れかもしれないっすけどこれ全校放送っすからね?」

澪田「って、唯吹も忘れてたっすけどね!」ブェッヘ

苗木「忘れないでお願いだから!」


澪田「これで一式ちゃんは残念ながら敗退というわけっすけども、盾子ちゃんズバリ敗因は?」

残姉ちゃん強かわ

斑井ェ・・・お前はここでもこんな扱いかいww


江ノ島「全て。って言いたいけど解説だしもうちょっと詳しく語ってやろっかなー」

江ノ島「体格に頼り過ぎ。多少瞬発力があってもあの覆い被さるような攻撃じゃあ隙が多過ぎだって」

江ノ島「雑魚を取り押さえるのには有効なんだろうけど相手がお姉ちゃんじゃなくてもある程度強かったらカウンター貰って終わりじゃない?」

江ノ島「今回はカウンターどころか完全にお姉ちゃんのスピードに着いていけてなかったみたいだしー、勝ち目ゼロ?」

澪田「なるほどなるほど」フムフム


江ノ島「まああの見た目じゃ負けは運命づけられてるよね!」ウププ

苗木「江ノ島さん、全校放送だって……!」


○●


澪田「希望ヶ峰以外の参加者が次々脱落する中……またも希望ヶ峰同士が睨み合いっす!」



大和田『……』ビキビキ

弐大『……』ビリビリ


澪田「いやーこうして二人並ぶとマジ漫画みたいっすねー」

苗木「二人ともすごい迫力……」


大和田『……大和田紋土だ』ビキビキ

弐大『……弐大猫丸じゃあ』ビリビリ


江ノ島「はっ!なんっか急に名乗り合ってんだけど!ウケる!とっとと始めろよ!」ズギャーン

今気づいたけど、弐大の紹介なくない?


大和田『……行くぞオラァァァァァ!!』ダッ

弐大『来いやぁぁぁぁ!!』バッ


澪田「睨み合っていた二人がついに衝突ーっ!紋土ちゃんが猫丸ちゃんに向かって突っ込んでいったっすー!」


大和田『うぉらぁ!』ボゴッ

澪田「紋土ちゃんが先制攻撃っす!猫丸ちゃんの顔面にいったーっ!」

弐大『むぅっ……!どぉりゃあ!』ドゴッ

澪田「猫丸ちゃん突き刺さった拳を払いのけもせず殴り返したー!」

大和田『ぐっ……!うおおおお!』

ドガッ

バキッ

ボグッ

ボキャッ

>>690>>691の間


弐大『うおおおおおおお!!』


苗木「なんか叫んでる……」

澪田「お次は弐大猫丸ちゃん!見るからに強そうっすね!でも超高校級のマネージャーっす!素手で参戦!」

江ノ島「どこかで見たような外観ですね……」ジメジメ

苗木「超高校級の番長って感じだよね……」

澪田「まあでも見た目通りメチャ強いっすからご安心を!ちなみに猫丸ちゃんのマッサージはマジでヘヴンっす!速攻でシャカリキ状態になるっすよ!」

苗木「その辺の技術は流石、超高校級のマネージャーだよね」

>>708の次

澪田「猛烈な殴り合いっす!双方ノーガード!互いの顔にお腹に拳が次々叩き込まれるぅーっ!」

江ノ島「なんつー泥臭い戦いだよ」

苗木「この二人ならこうなるよね……」

澪田「これは互角の戦いっすね!」

江ノ島「互角ー?全然互角じゃないってばよく見なよ」


弐大『うおりゃあ!』ボゴッ

大和田『おああっ!』ゴッ

弐大『ふんっ!』ドゴッ


大和田『……っ』ゼェゼェ


弐大『おらぁ!どうしたんじゃ打ってこんかい!』ボゴッ

大和田『ぐっ……!』ヨロ


澪田「紋土ちゃんが押されてるっす!互角に見えたのにどうしてー!?」

江ノ島「だから互角じゃなかったってハナっからさー」

江ノ島「弐大センパイの方は最初から大和田のパンチじゃビクともしてなかったよ」

苗木「そ、そんな!」

江ノ島「身体の鍛え方を熟知してるマネージャーと喧嘩屋もどきのゾクじゃタフネスが違うからね」


弐大『こんの……』

弐大『根性なしがぁぁぁっ!!』ボグァッ


大和田『ぐぼぇっ!!』フワッ

ドサッ……


澪田「猫丸ちゃんのアッパーが入ったー!紋土ちゃんの身体が宙に浮く強烈な一撃っす!立ち上がれない!」


大和田『……ち……くしょ……』

大和田『強く……なりてえ……』ガクッ

弐大『……だったらワシが嫌って程鍛えてやるわい』


澪田「勝負ありっす!番長VSリーゼント対決の勝者は弐大猫丸ちゃんでしたーっ!」

苗木「なんか壮絶な戦いだったね……」

江ノ島「勝敗は決まってたけどねー」


○●


終里『ふっ!』ビュン

戦刃『……っ!』サッ


終里『っと』シュタッ


戦刃『……』


澪田「おーっとー!?むくろちゃんと赤音ちゃんがエンカウント!赤音ちゃんの跳び蹴りをむくろちゃん紙一重でかわしたっす!」


終里『……よう。お前戦刃むくろだろ?』

戦刃『私を知ってるの……?』

終里『手にオオカミのイレズミ……ソニアが言ってたぜ。めちゃんこつええ超高校級の軍人がいるってな』ヘヘッ

戦刃『ソニアさんが……』ポー


苗木「あれ、なんだか戦刃さんぼーっとしてない?」

江ノ島「お友達が自分の話してたみたいなんで悦に浸ってんでしょ。スイッチ入ったと思ったんだけどなー」チッ

澪田「むくろちゃん!唯吹もむくろちゃんの話しまくってるっすよ!」


終里『でもほんとにつええのか?見た感じ細っこいし、なんかぼーっとしてっし。さっきのかわしたのは認めてやっけど』

戦刃『……』


戦刃『……試してみればいい』スッ


江ノ島「あ、スイッチ入った」

澪田「むくろちゃんが木銃構えたっす!」

苗木「い、戦刃さん怒っちゃったの?」

江ノ島「いや強いって言ってくれたお友達の期待に応えなきゃ、ってとこじゃない?」

江ノ島「その友達の友達ぶちのめすことに抵抗ないところがほんと残念だよねー」


終里『……ま、それもそうか。ダラダラくっちゃべるなんて性に合わねーことしちまったぜ』

終里『行くぞ!』ゴッ

戦刃『……いつでも』


終里『……ふっ!』ダッ


終里『だだだだだ!!』シュシュシュシュシュ

戦刃『……』ヒョイッ ヒョイッ


澪田「赤音ちゃん猛ラッシュ!むくろちゃんはそれを右へ左へかわし続ける!」


戦刃『……』バッ……

戦刃『……っ!』ビシュッ


ガッ


終里『ぐっ!』


ガシャーン


澪田「むくろちゃんの強烈な一突き!赤音ちゃん間一髪でガードするも、吹っ飛んで教室へ突っ込んだっす!」

江ノ島「ガードした腕死んだねー」

苗木「……腕どころか、あれじゃ全身ただじゃすまないよ!」


終里『ってて……!なにすんだ!』バーン

澪田「立ち上がったー!流石っす赤音ちゃん!」

苗木「す、すごいタフさ……」


戦刃『……』


戦刃『……降参して』


終里『……は?』

終里『何言ってんだお前……?』


澪田「これは……むくろちゃんが赤音ちゃんに降伏要請っす!」

苗木「い、戦刃さん……!?」ゾッ


戦刃『その、あなたはもう……解ったから』

終里『解っただぁ?こっちはわけ解んねーぞ!』


戦刃『右腕……使えないよね』

終里『だからなんだよ?こっからだろ?勝った気でいんじゃねーぞ!』


戦刃『……次は左腕』


終里『……は?』


戦刃『その次は右脚……そのまた次は左脚』

戦刃『……あなたの意識を奪うのは大変そうだから、まず身体を壊してくしかない』


戦刃『……できればやりたくない。降参して』

終里『っざけんじゃねー!』ガシッ ブンッ

澪田「赤音ちゃんが教室の机を投げつけたーっ!」



戦刃『……』ダッ

ヒュン  ガシャンッ


澪田「むくろちゃん地を這うような姿勢で駆け出した!机はむくろちゃんの頭上を通過!」


終里『返り討ちにしてやる!』シュッ

戦刃『……』ヒョイ……ビシュッ


ズガッ


終里『ぐっ……!』タタッ

澪田「赤音ちゃん左腕を突かれてしまった!」

この腑抜けがッッッ. 敵に勝利を哀願するとは. なんという軟弱ッッッ. 消え失せいッッ


戦刃『……降参して』

終里『ふざけんな……!』


戦刃『子どものケンカじゃないんだから……』ユラ

戦刃『いくら身体能力がすごくても、ベースの固まってない敵の相手なんて簡単だよ……』



戦刃『だって人を壊すのにものすごい力なんていらないから……ただ壊す方法を知ってれば』



終里『……っ!?』ゾゾゾ

終里(なんだこれ……!?オレが……ビビってんのか……!?)


澪田「あのー、なんかむくろちゃんがダークな感じになってるんすけどー……」

江ノ島「お姉ちゃんは元々あんな感じだよ。基本的に空気読めずに思ったことそのまま言うから、戦闘に関しては平気でおっそろしー台詞吐くよ」

苗木「……確かにああいう一面もあるけど、普段の大人しくて優しい戦刃さんが偽者ってわけじゃないからね」

江ノ島「その大人しくて優しいって一面は誰かさんのおかげで形成されたっぽいんだけどねー」ハァ


戦刃『……もう一度言う。降参して』ジリ

終里『だ、誰がするかよ……!』


戦刃『……仕方ないなぁ』ボソ


終里『……っ!』ゾクッ



戦刃『……あ』ハッ


終里『……は?』


戦刃『……なにあれ……』スッ

終里『……っ!?』バッ



戦刃『……』ダッ……クルッ……


終里『……何もねーじゃ』
戦刃『……』ブンッ


 ゴ ン ッ 


終里『……きゅう』ドサッ


澪田「む、むくろちゃんまさかの古典的トラップ!!よそ見した赤音ちゃんの頭を木銃の銃床(ストック)部分でぶん殴ったーっ!」


戦刃『……うまくいった』フゥ


澪田「赤音ちゃん気絶!むくろちゃんの勝利っす!」

苗木「な、なんていうか……」

江ノ島「これこそ子どものケンカでしょーよ……なにこの残念なカード」



江ノ島「……まあ、ビビらせまくってたからうまくいったんだろうけど、んなこと計算してないんだろーなー」


○●


澪田「えー、出会ってしまったというか、出会うべくして出会ったというか……」

澪田「猫丸ちゃんとさくらちゃんのご対面っす!」


弐大『……』バチバチバチ

大神『……』ドドドドド


弐大『……弐大猫丸じゃ』

大神『……大神さくら……だが』

大神『口先での語り合いに興味はない……!』スッ

弐大『がっはっは!それは失礼した!ならばとっとと、拳で語るとするかのう!』スッ


澪田「両者構えたっす!」

江ノ島「完全に画ヅラが格ゲーだよこれ」



弐大『……のう大神』

大神『……口先で語らぬと言ったはずだが』


弐大『一撃じゃ』

大神『……フン、いいだろう』


苗木「……一撃?」


弐大『……』

大神『……』



 ド ン ッ 



澪田「うひゃあぁぁあ!!」

苗木「どわぁっ!?」

安元で一撃だとどこぞのマッキー思い出すな



弐大『ふ……』

弐大『……見事……!』ドサッ


大神『そちらこそ……な』グラッ


澪田「な、何が起きたっすかぁ!?気づいたらクロスカウンターみたくなってて猫丸ちゃんが倒れたっす!」

苗木「衝撃で周りのガラスとか割れてるよ!」


江ノ島「ほんとに一撃で終わっちゃったよ……」

澪田「盾子ちゃん解説プリーズ!」

江ノ島「解説も何も見た通り、クロスで必殺パンチ打ち合って大神が勝ったってだけだって」

苗木「初めは果たして決着がつくのかって思ったけど……強い人同士の戦いが長引くとは限らないのか……」


○●


戦刃『……』タタタタタ

外部参加者『ひいい!』タタタタタ


澪田「えー人数も残り数人となった現在。むくろちゃんは逃げる最後の外部参加者を追っかけてるっす」

江ノ島「鬼ごっこじゃないんだからさー……」


外部参加者(畜生!ここまできたら逃げ切ってやる!)タタタタタ

戦刃(逃げ足速い……けど、もうすぐ潰せる)タタタタタ


澪田「おーっと!外部参加者廊下を曲がった!」

苗木「これ実況する意味あんのかな……」



外部参加者『ぎゃあああ!!』



戦刃『!』ピタッ


澪田「外部参加者の断末魔ーっ!むくろちゃんも曲がり角の先を警戒してストップっす!」


コツッ……コツッ……コツッ……コツッ……



辺古山『……』スッ

戦刃『……!』


澪田「ペコちゃんだーっ!曲がり角の先にいたのは超高校級の剣道家、辺古山ペコちゃんだったっすー!」


辺古山『今の男は……お前の獲物だったか?』

戦刃『……多分』

辺古山『済まない。打ちのめしてしまった』

戦刃『……別にいい』

辺古山『そうか、では……』スッ


辺古山『私達の勝負といこうか』ギン

戦刃『……!』スッ


澪田「流石ペコちゃん!シビれるっすねー!」

苗木「ぼ、木刀だけど真剣を持ってるみたいに感じる……!」

江ノ島「木銃対木刀かー!銃剣道対剣道の異種戦ってやつだ!」


辺古山『……斬る』

戦刃『……』



バッ



ビシュッ
ヒュンッ
ガキィッ
バシュッ
シュンッ
……


澪田「め、目にも留まらぬ攻撃の応酬ーっ!それぞれの武器がマジで見えねーっす!」

江ノ島「ここまでくると刃があろうがなかろうが喰らったら死ぬよね、うん」

苗木「銃剣道は見たことないけど……少なくともボクの知ってる剣道の試合はこんなんじゃないよ……!」

むくろん強すぎ

流石は武器有りならオーガと渡り合える人


辺古山『基本的に刺突しかできない木銃でここまで出来るとは……やるな』ヒュンッ ビシュッ

戦刃『……あなたも』シュッ シュバッ


辺古山『……』シュバババ

戦刃『……』シュバババ


澪田「も、もーついてけねーっす!」

苗木「は、速過ぎる」

江ノ島「えー?二人ともよく見てないとー、ほら」

DBかwwwwwwww

まさにヤムチャ視点


辺古山『……』スッ……

戦刃『!』


江ノ島「辺古山センパイがタイミングずらしたよ」

苗木「い、戦刃さん……!」


辺古山『……』ギロ

辺古山『………フッ!』シュッ


ガキィッ


戦刃『くっ……!』ギリギリギリ……

澪田「と、止めたっす!むくろちゃん間一髪でペコちゃんの胴打ちを止めた!」


苗木「でもあの止め方じゃ反撃できないよ……!」

江ノ島「それはどうかなー?」


戦刃『……』ガシィッ グイッ

辺古山『なっ……!?』ガクンッ


澪田「むくろちゃんなんと木刀を掴んでペコちゃんを引き寄せっ……!?」


戦刃『……っ!』ググッ……

ブンッ

辺古山『なんだと!?』ヒュオッ


澪田「ブン投げたァーっ!?」


ドシャァァ

辺古山『ぐっ、く……!』


戦刃『……』スチャッ


辺古山『!?』

戦刃『……』


澪田「むくろちゃん立ち上がろうとしたペコちゃんに木銃を突きつけたーっ!これは……」


辺古山『完敗だ……降参する』


澪田「ペコちゃん降参!むくろちゃんの勝利っすー!」

苗木「な、なんて無茶苦茶な……」

江ノ島「だから言ったじゃーん。なんでもありのお姉ちゃんは強いってさ」


戦刃『……』ホッ

辺古山『……敗者の身で図々しいかもしれないが……名前を訊いてもいいか?』

戦刃『……戦刃むくろ。あなたは?』

辺古山『辺古山ペコだ』

戦刃『……かわいい名前。羨ましい』ボソ

辺古山『えっ……』

戦刃『えと……じゃあまたいつか』

辺古山『……ああ、また手合わせしてくれ』


○●


澪田「えー、我らが77期は全滅しちゃったっす!」

澪田「で、予想通りというかなんというか、残ったのは78期のこのお二人っす!」

澪田「戦刃むくろちゃんと大神さくらちゃーん!」


戦刃『……』

大神『……』


苗木「クラスメイトの対決かぁ……」

江ノ島「あらん苗木?もちろんお姉ちゃんを応援してくれるよねー?」

苗木「い、いやだからどっちもクラスメイトだし!」

江ノ島「あーあ、可哀想なお姉ちゃん。こんな舞台でも苗木に応援してもらえないなんて」

澪田「唯吹はむくろちゃん応援するっすよ!お友達っすからね!」

苗木「澪田さんは少しは私情抑えなよ……」


大神『やはり、お主が最後の壁か……』

戦刃『……大神さん……』


大神『……来い』ドドドドド

戦刃『うん……』コク

戦刃『……』スッ


戦刃『……っ』ダッ


大神『はぁぁぁ!』グッ

ブォンッ

戦刃『!?』バッ

ブォンッ
ゴォッ
ギュアッ

戦刃『くっ……!』サッ サッ


澪田「さくらちゃん猛攻!滅茶苦茶はえーっす!それにこのヤバい風切り音!当たればミンチ確実っす!」

原作で見たかった対決だ


澪田「しかしむくろちゃん避ける避ける避けまくりっす!踊るような華麗な回避!しかし攻撃に転じることができない!」


苗木「え、江ノ島さんは……戦刃さんが勝つって予想してるんだよね?」

江ノ島「うん。アタシが予想してるってことは、お姉ちゃんの優勝は決定事項だよ」

苗木「戦刃さんはこれ、どうするの……?」

江ノ島「……」


江ノ島「これをなんとかしちゃうのがお姉ちゃんなんだよなー」


○●


戦刃「はぁ……はぁ……」バッ サッ

大神「ふん!」ゴォッ ブォンッ

戦刃(避けるので……精一杯……辺古山さんとの戦いでの消耗も……このままじゃ……)タタッ

大神「はぁぁぁぁ!」ゴォォッ

戦刃(このままじゃ……負ける……?)サッ



(江ノ島「お姉ちゃん!希望ヶ峰武闘会出るんだよね?」)

(江ノ島「ま、せいぜいがんばんなよ!アタシと苗木も実況席で見てるからさー!」)



戦刃(見てる……盾子ちゃんと、苗木君が……!)バッ


大神(目に力が宿った……!来るか戦刃よ!)ブォンッ


戦刃(……負けたくない!)ズサッ

大神(だが我とて負ける気はない!)ブンッ


戦刃(大神さんに小細工は通用しない……!)ヒュッ


戦刃(通じ得るとすれば……自分を弾丸にした全身全霊の突撃だけ!)バッ


大神(覇気が溢れ出てきている……早く決めるべきか!)ゴォォッ


チカッ


大神「!?」

大神(不覚っ……!弐大の一撃のせいかっ!)クラッ


戦刃(今っ……!)グググッ……


ダ ン ッ


ビュンッ

大神(速い……!?)

戦刃「……っ!!」ヒュッ……


ズ ゴ ォ ッ


○●


澪田「いったぁぁぁぁ!!むくろちゃんの電光石火の一突きがさくらちゃんに突き刺さったぁぁぁ!!」


戦刃『……』ハァ ハァ


大神『……』


戦刃『……っ』カクン


苗木「お、大神さん倒れてないよ……!」

澪田「逆にむくろちゃんは力を出し切って膝を折っちゃったっす!これは勝負ありっすか……?」

江ノ島「……そーだね」



江ノ島「お姉ちゃんの勝ちー!」ウププ



苗木「え……?」



大神『……』


澪田「さ、さくらちゃん……立ったまま気絶してるっす!!」


苗木「え、ええー!?」

江ノ島「苗木はお姉ちゃんの戦闘能力とアタシの分析能力を舐めてたみたいだねー!」


○●


澪田「優勝者インタビューっ!!」ハイッ

澪田「というわけで!希望ヶ峰武闘会の優勝者は……戦刃むくろちゃんっすー!おめでとーっ!」ムギュッ

戦刃「あ、ありがとう澪田さん……」ムグ


澪田「ちょーっと今は魂出かかってるっすけどなんと結局無傷で優勝!マジすげーっす!」

江ノ島「ま、お姉ちゃんなら当然だよねー!」

苗木「おめでとう……怪我がなくてよかったよ……」

苗木(他の人達も無事みたいだし本当に良かった……)ホッ


戦刃「二人とも……!」


澪田「でー!」バッ

戦刃「な、何?澪田さん……」ビクッ


澪田「希望ヶ峰学園が優勝者の希望を叶えてくれちゃうわけっすけどー!」

澪田「むくろちゃんは一体何を願うっすか!?マイクに向かって一二の三!」ズイッ


戦刃「え……?」

戦刃(どうしよう……白兵戦のシミュレーションがしたかっただけだから何も考えてない……)

ズコー


戦刃「わ、私は……」チラ

江ノ島「……」フイッ

戦刃(盾子ちゃん……自分で考えていいってこと……?)


戦刃(……)

戦刃(そういえば盾子ちゃん78期のみんなで旅行に行きたいって言ってたな……)

戦刃「……わ、私はななじゅう……」


澪田「ななじゅう?」キョトン

戦刃「……!」


戦刃「……」



戦刃「……私は、77期と78期のみんなと、りょ、旅行に行きたいです……」


CASE13 閉廷

残念ちゃんマジ天使

やっぱり天使か

次回苗ノ島ですが特殊な回です。イチャイチャはないかもしれないです。

シリアス展開か?

素晴らしい

乙乙

やはり天使か
おつおつ

天使

残姉ちゃんの元に続々とパンツが集まってくるな

乙ー
旅行はやっぱりジャバウォック島なのかな?

さくらちゃんが今の姿になったのって猫丸が原因なんだっけ

やはり最後は最強天使決定戦になったか


江ノ島「なーえぎ♪」


苗木「う……ん……」

江ノ島「もーぅ、起きないとちゅーしちゃうぞー?」キャピルン

苗木「え……のしまさん……?」


江ノ島「んぅー……」ズイッ


苗木「江ノ島さん!?ちょっと近い近い!何してんの!?」

江ノ島「何してんのっておはようのちゅーしようとしただけだけど?」

苗木「なんでいるの!?」

江ノ島「そ、それはほら……もう!【昨夜はお楽しみ】だったじゃない!……女の子にこんなこと言わせないでよね!」ポッ

苗木「それは違うよ!何顔赤らめてんのさ!昨夜からずっとボクは部屋に一人だよ!というか……」


江ノ島「ん?」


苗木(なんで江ノ島さんボクの上に乗っかってんの……!!これは……色々とマズい!)


苗木「どいて……くれる……?」カァァァ

江ノ島「えー?なんでー?」ススス

苗木「ちょっと何スカートたくし上げてんの!?解っててやってるでしょ!?どいてお願いだから!」ワッ

江ノ島「赤くなっちゃってかわいいなー!もー!そんなん見たらもっと過激なイタズラしたくなっちゃうなー」ムギュ

苗木「!!!」

苗木(覆い被さって……!!流石にこれはもうアウトだよ!!)


苗木「わああ!」ジタバタ

江ノ島「あーちょっとー!」


ドサッ ゴンッ


苗木「いってー……!」

江ノ島「ぶひゃひゃひゃひゃ!ベッドから落ちて頭ぶつって今時絶望的にありえないんですけど!」


苗木「誰のせいだと思ってんの……!もう、いいから出てってよ!どうせ教室で会うんだから」

江ノ島「は?出る?」

苗木「え?うん……ボクも用意とかあるし」



江ノ島「無理無理出れないし」



苗木「……」

苗木「え……?」

江ノ島「ほら」スッ

苗木「!?」


苗木(玄関のドアが鉄の壁に……!?)


苗木「な、なにこれ……?」

苗木「おーい!!誰か!!」ドンドンドンドン

江ノ島「無駄だよ。その隔壁本当のドアの前にあるし」

苗木「まさか……江ノ島さんが……!?」


江ノ島「ピンポーン大正解!苗木クンを閉じ込めたっていうか苗木クンと閉じこもったクロは江ノ島盾子ちゃんなのでしたー!」ウププ


苗木「な、なんでこんなこと!?」

江ノ島「『なんでこんなこと』?いいセリフだね……。アタシという絶望を過小評価していたのかな……?」ゴゴゴゴゴ

苗木「え……!?」


江ノ島「苗木と共に絶望の中死ぬなんて理想のバッドエンド!」


苗木「な、何言って……」


江ノ島「大好きな人が絶望に染まっていくのを間近で眺めながらこの部屋を棺桶に没する……最高の絶望じゃない?」


苗木「え……江ノ島……さん……?」



江ノ島「一緒に死のっ♪」ニコッ



苗木「!!!!」


苗木「……本気……?」

江ノ島「決まってんでしょ」

苗木「……っ!」


苗木(これが、江ノ島さんの絶望と向き合うということなのか……!?)


江ノ島「いいよぉ……最っ高にカワイイよその表情……!」ダラダラ


江ノ島「とは言っても……ただ死ぬまで閉じこもってもつまんないよね。一縷の希望の道を用意しておくことがアタシ流の絶望です!」


苗木「希望の道?」

江ノ島「うんうん!その希望に縋る眼差し!人間様に尻尾を振る犬っころみたいでグッドだよ!」

苗木「いいから教えてよ!希望の道って!?」


江ノ島「この部屋には水も食料もないけどさ、色んな課題が仕掛けられてんの。それらを順当にクリアしてけば脱出できるってわけ。つまり……」



江ノ島「朝のご奉仕イベントかと思った?残念!脱出ゲームでしたー!の巻ぃー!」


苗木「だ、脱出ゲーム!?」

江ノ島「そ!もしかしてやったことない?」

苗木「あるけど……」

苗木(自分が実際にそんなふざけた状況に放り込まれるなんて……!)

苗木(……って思ったのは何度目だろ)

苗木(そうだ……!今まで何度も絶望的で現実離れした事件に巻き込まれてきたけど、諦めなければなんとかなったじゃないか!)


苗木「ボクは……!」


苗木(人より少しだけ前向きなのが取り得なんだから!)


苗木「希望がある限り諦めない!」


江ノ島「ひゃあん待ってましたぁ!ヨダレがブリュブリュだよぉ!」ダラダラ


江ノ島「あ、でもアタシに希望を抱かないでね。脱出の解答とか死んでも言わないから。苗木が希望を抱えて絶望に沈んでいくのを眺めるのに飽きるとは思えないし」


苗木「うん……」


江ノ島「絶望的に愛してる」


苗木「……うん……」

苗木(生きてここから出る!江ノ島さんだって死なせない!)




苗木(まずは部屋を調べよう)


苗木(ざっと見回してあるのは……)

苗木(まず、机とその上のノートPC)

苗木(そして部屋の隅にダイヤル式の金庫)

苗木(ボクの寝てたベッド)

苗木(かなり怪しい……壁に埋め込まれた液晶画面のパネルとその下の赤いスイッチと青いスイッチ)

苗木(時計があるけど……ガラス盤がないしずっと12時を指したまま止まってる。ほんとは今何時なんだろう)

苗木(シャワールームへの入り口に鍵穴がある。開かない)ガタガタッ

苗木(そして窓があるであろう位置に打ちつけられた分厚い鉄板……)


江ノ島「どうどう?」

苗木「うん……まず、ここがボクの部屋じゃないってことは解ったよ」

江ノ島「ピンポーン!ま、流石のアタシでも苗木が寝てる間に劇的リフォームをすんのは難しいからねー!」

江ノ島「コツコツ作ったこの部屋に寝てる苗木を持ってきたってわけ!」

苗木「持ってきたって……物みたいな扱いしないでよ」ハァ


苗木「……それと訊きたいことがあるんだけどさ」

江ノ島「答えられる範囲でお答えします」クイッ


苗木「天井の無数の小さい穴から白いガスみたいなのが出てるんだけど、あれは何?」


江ノ島「気づいた?苗木クン気づいちゃった?安心してよ毒ガスじゃないからさ」ウププ

江ノ島「っつーかアレが何なのかももう気付いてんだろ!?」ズギャーン


苗木「……」


苗木「……この部屋が少し寒いことと関係してる?」


江ノ島「はーい!関係アリアリでーす!」


苗木「まさか……!」


江ノ島「はい……この部屋は時間経過と共に室温が下がっていくようになっています……」ジメジメ


江ノ島「誰も死因が餓死だなんて言っちゃいないだろ?」ゴゴゴゴゴ

江ノ島「モタモタしていられないわね、人間……!」ドドン

江ノ島「凍え死んじゃわないためにも、さ!」キャピルン


苗木「タイムリミットはボクらが凍え死ぬまで……!?」

江ノ島「うん!がんばってね!」

苗木「くっ……!」

江ノ島「あ!室温が下がっても仕掛けは停止しないようになってるから安心して!」


江ノ島「いやー一日持たないんじゃないかなー。ただの餓死よりは全然早いね!」


苗木(まずい、思ったより早足な絶望みたいだ……!)


苗木「……江ノ島さん」

江ノ島「なになにー?」

苗木「これ、布団」バサ

江ノ島「ん?」

苗木「……被ってて」



江ノ島「……今の話聞いて真っ先に取る行動がそれって……やるじゃない!流石はアタシの絶望的希望!」


江ノ島「ほんっと苗木は最高ね!凍死間近になったら二人であっため合おうね!」


苗木「……その前に脱出するよ……!」

江ノ島「うぷぷ……楽しみだね」


苗木(時間は……ない……!)


苗木「……そうだ」

苗木(……ボクもベッドのシーツを纏っておこう)バサッ


チャリン


苗木「……?これ……メダル?」


江ノ島「おっと苗木クン一つ目のアイテムはっけーん!モーノークーマーメーダールー!」ウププ

苗木「モノクマメダル?」

苗木(……確かに江ノ島さんの髪飾りとかスゴロクの時のぬいぐるみと同じクマだ)

苗木「……これ何に使うの?」

江ノ島「そんなの言えるわけないじゃーん!」


苗木「まあ、そうだよね……」

苗木(何かに使うってことは確かだな)

苗木(シーツを纏って……調査続行)バサ


苗木(机の引き出し……)

苗木「一つだけ鍵がかかってる……」ガタガタッ

江ノ島「定番だよねー!定番過ぎてイラっとするよね!」

苗木(他の引き出しは……?)スッ

苗木「!これ……ナイフ……?」

江ノ島「これまた定番だねー!」


江ノ島「すぐに死にたくなったりアタシを殺したくなったら使って♪」


苗木「……その用途で使うことはないよ」

江ノ島「そお?ま、気が変わったらいつでも刺してよー!苗木に刺されるのってどんな感じなんだろ……!」ダラダラ


苗木「……」


苗木(もう一つの引き出しは……)ガタ

苗木「メモ帳と鉛筆かぁ……」

苗木(これで考えをまとめろってことかな)チラッ

江ノ島「ん?何苗木?ちゅーして欲しい?」

苗木「いや、違うよ……」

苗木(やっぱり江ノ島さんの顔色伺ったって何も解んないよな……)


苗木「……」

苗木(モノクマメダルにナイフ、それにメモ帳と鉛筆……)

苗木(とりあえず、次は机の上のPCだな。ケーブルが壁に繋がってるけど……)

苗木「あ……点いた!」


『パスワードを入力してください』


苗木「まあ……そんな気はしてた」


江ノ島「ちなみに入力回数は五回までだよ。五回間違えたら諦めて死のうね」

苗木「当てずっぽうはダメってことね……」

苗木「でもパスワードなんてまだ解んないし……次は」

苗木(壁の液晶パネル……)

苗木(下の赤と青のスイッチ……どっちをいくら押しても何も表示されないな……まだ使わないってことか)カチッ カチッ

苗木(あとは金庫……だけどこれの番号もヒントが何もないしなぁ)


苗木「……」

苗木(終わり……!?)

苗木(いや……!もっとよく探そう!ベッド下は……)

苗木「!やっぱり何かある」ンショ


苗木「ドライバー……」

苗木(でもこれで開けられるようなねじ穴なんてないぞ……)

江ノ島「ん?どしたのドライバー見つめて固まっちゃってさー。穴という穴に突っ込んでグチュグチュしたくなった?」

苗木「気分悪くなるようなこと言わないでよ!」


モノクマメダル
ナイフ
メモ帳
鉛筆
ドライバー


苗木(とりあえずはこの中のどれかを使って次に進める……のか?)

苗木(下手にナイフやドライバーで仕掛けをいじくったら何が起こるか解らないしな……)ブルッ

苗木「というか……」ハァ

苗木「もう息が白くなってきてる……!?」ゾクッ

江ノ島「まだなーんの課題もクリアしてないのにね?ちょっと焦った方がいいんじゃなーい?」

苗木「……っ」

苗木(考えろ……!)


苗木(……江ノ島さんはナイフを見つけた時定番って言ってたな)

苗木(ならこのナイフの使い方も定番のものから考えよう)

苗木(……ものを切り裂く)

苗木(この部屋で切り裂けるようなものは……)

く ふ


苗木(……ベッド周りの布類)バッ


苗木(ベッド自体は中に何かある感じじゃない。少なくとも大きなものは入ってない)バフッバフッ 

苗木(そもそもこの大きいベッドの中に……見つかりにくい小さなものを隠すなんてフェアじゃない気がする)


苗木(より怪しいのは……)バフッ

苗木「やっぱり……!」


苗木(この枕……強く押すと中に固い何かを感じる!)


苗木「このナイフで……!」ザッ ビリッ……

苗木「……」ゴソゴソ


苗木「これは……鉄の箱?」

苗木(……!ねじで閉じられてる!ドライバーで開けられるぞ!)カッ クルクル

苗木「……よし」パカッ

苗木(中には……)


苗木「……鍵!」

おおテンプレテンプレ

盾子ちゃん脱出ゲーム好きだな


江ノ島「うんうん……とまあ、消化試合というか、デモンストレーションというか、脱出ゲーム界の重鎮を登場させたかっただけというか」ゴゴゴゴゴ

江ノ島「やったね苗木クン!ド定番のネタをクリアーだよぉー?」キャピルン

苗木「解ってるよ……まだはじまったばかりってことでしょ」


苗木(とにかく、鍵……)チャッ

ガチャッ

苗木(机の引き出しが開いた!)

苗木「……なんだこれ……」


モノクマ辞典 


江ノ島「プリティーな辞書っすね」ウププ

苗木「……」パラ


アポ apo
どうしようもなく絶望的なアホ。転じて桑田礼恩のこと。


苗木「なんだこの辞典……!?」

苗木(他にもわけの解らない造語だらけだ……でもごく普通の単語や専門用語っぽいものも混じってる……説明は全部適当だけど)パラパラ

アポが何をしたっていうんだ

唐突な桑田disりやめろwwwwwwww


苗木(無茶苦茶な辞書だ……!)

苗木「これ、江ノ島さんが作ったんだよね」

江ノ島「うんっ!」

苗木「わざわざこの為だけに?」

江ノ島「うんっ!」

苗木「そ、そう……がんばったね……」

江ノ島「わーい苗木クンに誉められちったー!」キャピルン


江ノ島「でも苗木クンモノクマ辞典を使って課題クリアする方法解ったのかなぁー?盾子ちゃんしんぱーい!」

苗木「ぐっ」

苗木(こんな無駄に膨大な情報量の本から何を汲み取ればいいんだ……!?)パラパラ

苗木(どこにも印を打ってある箇所とかないし……)パラパラ

苗木「!……あとがき……?」

苗木(……辞書に?)


あとがき

モノクマ辞典を見るときは、部屋を暗くして近くで見てね!


苗木(子ども向け番組冒頭のフレーズと真逆のこと書いてある……)


苗木(しかもあとがきで言うってのがまた……あとがきで書く内容でもないし……)


苗木「ん……?」


苗木「部屋を……暗くして……?」


苗木「!」バッ

パチン

江ノ島「やん苗木ー!急に電気消しちゃって何するつもりよー!」


苗木「……!」パラパラ

苗木「やっぱり……!」

苗木(蛍光塗料で印が打ってある……!)

苗木(単語じゃなく、アルファベットをいくつか丸で囲ってる!単語を引くのに使うんじゃなかったんだ!)

苗木(アルファベットを順に並べると……)

s
t
a
r
t

苗木(『start』……!おそらくこれがPCの……)パチン


苗木「……」カタカタ


『パスワード解除』

『ようこそ希望様』


苗木「よし!」

江ノ島「やーっとスタートだね」

苗木「……やっと……はじまり……」


苗木(とにかく、これでPCが調べられるぞ!)


苗木(……当たり前だけど、ネットに接続できないどころかほとんど何もないな……)カチッ カチッ

苗木(デスクトップに二つモノクマのアイコンがあるだけ……一つ目は……)カチッ

ピピッ

『壁のギミックのスイッチ入力が可能になりました』


苗木「壁の液晶に光が点いた!」


苗木(もう一個のモノクマは……)カチッ


『パスワードを入力してください』


苗木(こっちはまだダメか……でも)

苗木(次の課題はあの壁のパネルのはずだ!早速見てみよう)


苗木(壁の液晶画面に映ってるのは……)


『Which?』


苗木「こ、これだけ……?」

苗木(下のスイッチを見る限り赤か青かどっちかのスイッチを押して答えろってことだよな……)カチッ

『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ
『Which?』ピピッ
カチッ

『Result...』ピピッ

『×』ブブーッ


『Which?』ピピッ


苗木「な、なんだこれ……」

苗木(これを解くには……別のヒントがいるみたいだな……)

江ノ島「うぷぷぷぷ……がんばってね!あと六回も入力できるからさ!」


○●


苗木「……」フルフル

江ノ島「だいぶ冷え込んできたねー?」

苗木(……部屋を再度探し回ったけど新しいものは何も見つからない……)フルフル


江ノ島「この脱出ゲームの停滞感……ほんとにただのゲームならただイライラするだけだけど」

江ノ島「実際にこうして閉じ込められたらこの停滞感はすなわち絶望!最高よねー!」

苗木「ボクは……!絶望しないよ!」

苗木(諦めない……!)


苗木(とはいえ、モノクマ辞典にも……ヒントらしいものは見つからない)パラパラ


霧切響子 Kyoko Kirigiri
超校高級の探偵。言いたいことは自分で言え。


苗木(ほんと適当な説明文だな……)ハァ

苗木「……!」

苗木(そういえば……!)バッ

江ノ島「お?」

苗木(霧切さんに前教えてもらった……!メモ帳に以前のメモ内容の筆圧が残ってる可能性があると……!)

苗木(鉛筆でメモ帳の一番上のページを塗りつぶしてみよう!)サラサラサラサラ

苗木「!これは……!」


♂♀
あいうえお


苗木(ヒントだ!)


江ノ島「やるねー苗木!そんな浮気調査みたいな真似どこで覚えたのよー?」ニヤ

苗木「……」

苗木(……江ノ島さんは……“ボクが知ってることを知ってる”のか……?)

苗木(……いやそれより考えないと。これはおそらく壁のパネルのヒントだ)

江ノ島「ほらほら早くー!それもうほぼ答えなんだからさ」

苗木(♂♀……今まで赤と青のスイッチの意味が解らなかったけど……)

苗木(赤が女性(♀)、青が男性(♂)ってことか……?)

苗木(でも、あいうえお……?)

苗木(流石にモノクマ辞典に『あいうえお』なんて単語ないな……)パラパラ


苗木(もしかして……あいうえお順……?)


苗木「もしかして!」

江ノ島「わっ、びっくりした!」

苗木「……」カチッ ピピッ カチッ ピピッ……

『Result...』ピピッ

『×』ブブーッ


苗木「やっぱりそうだ……!」スラスラスラスラ

江ノ島「間違ってんじゃん。……ま、次は答えられそうねー!」


苗木(『Which?』と出る回数は……16回!)



苗木(これは……78期のクラスメイトの数だ!)


苗木(『あいうえお』はあいうえお順にクラスメイトを並べて順番通りに回答しろってことだ)

苗木(そして『♂♀』……男性と女性をスイッチで分ける。つまり……)カチッ ピピッ……


○=赤スイッチ
●=青スイッチ

○朝日奈
○戦刃
●石丸
○江ノ島
○大神
●大和田
○霧切
●桑田
●十神(×セレス)
●苗木
●葉隠
○腐川
●不二咲
○舞園
○安広
●山田


『Result...』ピピッ


『○』ピンポーン


苗木「やった!」

苗木達って77期生じゃなかったっけ?

間違ってたらすまんが

78であってる

78期生であってるぜ、77期生は別のやつら



『かずをたせ はりでさせ』ピピッ


苗木(画面に新しいヒントが!?)

江ノ島「ま、それはかるーくクリアしてよね」


苗木(数を足せ……?針で刺せ……?いや)


苗木(この部屋にある針は、動かない時計の針だけだ。つまりこれは『針で指せ』)


苗木(問題の足す数は多分さっき並べたクラスメイトの名前に含まれた数字……)

苗木(十神クンの『十』に不二咲さんの『二』、それに山田クンの下の名前の『一二三』、これらを足すと……)

苗木(10+2+123=135、もしくは10 +2+1+2+3で18)
 
苗木(まずは135……一時三十五分に時計の針を動かそう……)カチカチカチカチ

苗木「よし……」


苗木「……」

苗木「……」

苗木「やっぱり、違ったのかな」

ガチリ カチャッ パカッ……

苗木(時計が扉みたいに開いた!?)



『かずをたせ はりでさせ』ピピッ



江ノ島「ま、それはかるーくクリアしてよね」

苗木(数を足せ……?針で刺せ……?いや)


苗木(この部屋にある針は、動かない時計の針だけだ。つまりこれは『針で指せ』)


苗木(問題の足す数は多分さっき並べたクラスメイトの名前に含まれた数字……)

苗木(十神クンの『十』に不二咲さんの『二』と『千』、それに山田クンの『一二三』、これらを足すと……)

苗木(10+2+1000+123=1135、もしくは10+2+1000+1+2+3で1018)
 
苗木(まずは1135……十一時三十五分に時計の針を動かそう……)カチカチカチカチ


苗木「よし……」

苗木「……」

苗木「……」

苗木「やっぱり、違ったのかな」

ガチリ カチャッ パカッ……

苗木(時計が扉みたいに開いた!?)

>>796>>797
Thanks


苗木(時計の奥には……)

苗木「また、鍵……!これはシャワールームのだな」

江ノ島「ま、それしかないもんね」

苗木「……行ってみよう」


カチ ガチャ


苗木(鏡と浴槽のある、普通のシャワールームだ……)

苗木「……」キュ

苗木(水は出ない……か)

苗木(浴槽にも水はない……けど)

苗木「このカード……次の課題か」


苗木(カードには……

ダイヤル番号
○Iし○具○音○AS
○には同じ一字

と書き殴られている……)


苗木(ってことは金庫の番号のヒントか)

苗木(これだけで……解るのか……?)


苗木「……」


○●


苗木「……」ガチガチガチ


苗木(寒い)


苗木(寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い)


苗木(身体が末端から傷んでいく。動くのが億劫になっていく)

苗木(思考が寒さに浸食される。精神が凍てついていく)


苗木(眠い)


苗木(眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い)

苗木(自分が徐々に喰われていくのを感じる)

苗木(絶望に)


苗木(いくら考えても何も解らない)

苗木(いくら探しても何も見つからない)

苗木(一度停滞し切った状況は進みそうにない)

苗木(……このまま……死?)ハァ……ハァ……


江ノ島「苗木」ポスッ


苗木「!?」ゾクッ

江ノ島「寒いね苗木……」スリ

苗木「キミが……仕掛けたことじゃないか……」

江ノ島「そうね」

苗木「……」


江ノ島「……ねえ」

苗木「……何……?」


江ノ島「あっためて」ギュ……


苗木「……!?」

江ノ島「身体が動くうちにさ」

苗木「ダメ……だ」

江ノ島「どうして?」

苗木「絶望に……負けるわけには……」


江ノ島「最後に好きな人の身体を求めるのはいけないことなの?」

レベル高すぎぃ!
さすが苗木君や狛枝並だ


苗木「え……?」

江ノ島「むしろ絶望の中最後に灯せる希望なんじゃないかな」

江ノ島「線香花火みたいにさ」

苗木「希望……?最後……?」ゾゾゾ


江ノ島「それともやっぱり苗木はアタシのこと嫌い?」

江ノ島「そりゃそうだよね、アタシのせいで死にそうなんだし」

苗木「そんなこと……」


江ノ島「嫌いでもいい」


江ノ島「ただ欲望を発散するためだけでも……最後にアタシを使ってよ」ヒソ



江ノ島「絶望(アタシ)を抱いて」



苗木「……」グル……グル……


苗木「えの……しまさ……」フラ


コッ パサ


苗木(……何か、足に当たった……?)チラ

苗木(……モノクマ辞典……)



希望と絶望 hope and despair
光と闇。太陽と月。生と死。シロとクロ。幸運とギャル。諦めの悪さと飽きっぽさ。
絶望を受け入れられるのは強い希望だけ。



苗木「!!」



江ノ島「さあ燃やそう?【最後の希望】を」

苗木「……それは……」



苗木「それは違うよ!!」 




苗木「欲望に任せて何もかも諦めて……投げ出すなんて……そんなの希望じゃない!!」


苗木「まだボクは生きてる!生きてる限り、絶対に諦めない!」


苗木「……」

苗木(ここで負けるような希望じゃ……江ノ島さんを本当に受け入れることなんてできない……!)



江ノ島「……あ……あああ……」



江ノ島「はあぁぁぁぁぁぁぁぁあん」


江ノ島「そうよね苗木はやっぱりそうでなくっちゃー!絶望にガタガタ震える苗木も最高にかわいかったけれどやっぱ苗木にはその気持ち悪い希望がないとね!」ダラダラ


江ノ島「その希望で絶望を打ち破って欲しい……!その希望が壊れるところが見たい……!」

江ノ島「ああ!アタシほどの存在がたった二つのものを一緒に手に入れることができないなんて!」

原作並に熱い展開


江ノ島「でも……ねえどうするの?課題……解けるの?」

苗木「考える。最後まで考え抜く」ヨロ


苗木「それに……シャワールームのカードの課題なら……たった今閃きがあったよ」フラフラ

苗木(『ダイヤル番号 ○Iし○具○音○AS ○には同じ一字』と殴り書きされたカード……なんでシャワールームに置いてあったのか……なんで漢字とアルファベットが混ざってるのか……)ブルブル

苗木(希望と絶望……この二つの対称性が教えてくれた)

苗木「答えは……」スッ


『○Iし○具○音○AS』


苗木「鏡にある」


『ZA○音○具○JI○』


苗木(『○Iし○具○音○AS』これは鏡文字だったんだ……!)

苗木(これを全部ひらがなにすると……)サラサラ


『ざ○ね○ぐ○じ○』


苗木(『○には同じ一字』……入れて意味が通りそうなのは……)



『ざんねんぐんじん』



苗木「……」

苗木「……」パラパラ


残念軍人 one woman army
→戦刃むくろ


苗木「やっぱ……そうなの?」

江ノ島「そりゃそうでしょ」


苗木「……気を取り直して」

苗木(これはダイヤル番号のヒントだから……)フルフル

苗木(『1938696』……と)カチカチカチカチ……


ガチャ

苗木(開いた……!)

ああ、Nあるほどww

すげーww

普通にわからんかった

すごいな、これで普通に脱出ゲーム一本作れそう


苗木(中身は……)ブルブル


苗木(それぞれ『空気』『エス』『鍬』と書かれたカードが三枚に……)

苗木(『p』と書かれたカードが三枚)

苗木(これがおそらくPCの二つ目のプログラムのパスワード……!)


苗木「はは」


苗木「あはははは!」


江ノ島「ん?おかしくなっちゃった?」


苗木「簡単だよ!江ノ島さん」


江ノ島「へーえ……?」


苗木「これは」クラ

苗木(い、意識が……)ハァ ハァ


苗木(限界が……近い!意識をなくせばそのまま……死ぬ)

苗木(身体が動くうちに……頭が回るうちに……!)ズル


苗木「……答えは、モノクマ辞典にある……!」パラパラ

苗木(それぞれのカードの単語をモノクマ辞典で引くと……)


空気 air
汚染されたらすごく困る。


エス es
無意識に存在し快楽原則に基づきリビドーを解放する……とかなんとか偉いヒゲの爺様が言っていた。


鍬 hoe
桑ではない。


苗木「……重要なのは説明文じゃなく……英訳」

air es hoe

苗木「次にそれぞれに『p』を加える……」

pair pes phoe


苗木「ただこのままじゃ意味が解らない……『p』のカードはそのまま使えばいいわけじゃないんだ……」

苗木「『p』のカードの見方……そして入れる位置……」


苗木「『hoe』に『p』を入れるとしたら」


hope


苗木「『hope』……希望で見えるものがある……!」


苗木「『p』のカードはひっくり返せば『d』になる」

苗木「『hope』以外を意味が通るようにすると……」


pair pes hope

pair des hope

des pair hope



despair hope



苗木「『despair hope』これが……」カタッ……カタッ……


『パスワード解除』


苗木「二つ目のプログラムの起動パスワード……!」


『おめでとうございます希望様』

『モノモノマシーンを出現させます』


苗木「モノモノマシーン……?」


ガシャンッ


苗木「なっ……!?」

苗木(部屋の真ん中の床からカプセル自販機が……!)


江ノ島「おめでと苗木……」ギュ

苗木「江ノ島さん……」

江ノ島「安心してよ。出てくるものは一つだから……さ」

苗木「……うん」

脱出スイッチか…

ここでもう一個謎解きが出てくるのが超高校級の絶望な気もする


苗木(モノクマメダル……まさか最後に使うとは)チャリン

ガチャガチャ

ガララ

ポンッ

苗木「これは……スイッチ……?」

江ノ島「そ。脱出スイッ……チ……」

苗木「え、江ノ島さん……!しっかりして!」



江ノ島「……なえぎ……すき……だいすき……」


苗木「くそっ……!」ハァ ハァ


苗木「開けぇぇっ!」ガチッ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


苗木「はぁ……はぁ……」ズル……ズル……



苗木「えの……しま……さん……」ズル……


○●


苗木「……ん……」

苗木「……こ……こ……は……?」パチ


苗木(……保健室?)

苗木(ボク……声が……掠れて……)


罪木「な、苗木さぁぁん!目が覚めたんですね!?」


苗木「つ……つみき……さん……?」

罪木「うぅ……良かった……良かったです……」ウエエエン

苗木「罪木さんが看てくれたんだね……ありがとう……」

罪木「とんでもないですぅぅ……私にはこれしかできませんから……」

苗木「……そうだ!江ノ島さんは!?彼女は……!?」

罪木「え、江ノ島さんは苗木さんより比較的状態が良くて……別室で戦刃さんが看てくださってます……」

苗木「そっか……」


苗木(江ノ島さん……)グッ


苗木「運んでくれたのは戦刃さん……?」

罪木「はい……」

罪木「戦刃さんお二人をずっと探していたらしく……」

罪木「旧校舎でお二人が倒れているのを見つけた……とだけ……」

苗木「……そっか」


苗木(江ノ島さんはきっと戦刃さんに居場所を教えてない……戦刃さんがどうにか部屋を這い出したボクらを見つけてくれたのは……ツイてたとしか言いようがないな)


罪木「あのぅ……お、お訊きしてもよろしいでしょうか……?」

苗木「えっ、何……?」

罪木「そのぅ……お二人ともなぜか低体温症だったようなのですが……どうして……?」


苗木「……」



苗木「部屋のクーラーが効き過ぎててさ」


CASE14 閉廷



さすがにあそこから絶望はなかったか
安心した

苗木クンが死にかけるエピソードとして必要なのでかなり前からやると決めていたのですが、脱出ゲームあまりやらないので難産でした。

一応次回で最後です。

乙です。二人とも絶望的な状況を越えれてよかった。
と言うか、CASEが進むたびに内容に凄さが増してくるなぁ


次が最終回か、期待して待ってるぜ

イイハナシダナーみたいな感じになってるけど
これ、妹様の悪ふざけみたいなもんだよね

さすがある意味究極に重い女な妹様

素晴らしいよ……希望が溢れている……

最高のイチャイチャをよろしく頼む

最高のイチャイチャをよろしく頼む

二連投すいませんでした

クオリティの高い脱出ゲームだったわ乙

続き楽しみ

pair esp hope → ペア 舞園 苗木 → これがボクの答えだ『苗木さやか』
と思ったけど別にそんな事なかった

>>836
よくそんな考えが生まれたな




「うぷぷぷぷ」



「希望と絶望と幸運とギャルとー、あと……」


「あと……」




苗木「あれ……?」


苗木「どこだここ……?教室……?」

苗木(なんで、誰もいないんだ……?)

苗木「とりあえず、出よう……」ガタッ

苗木「あれ?」


ガタガタッ


苗木「開かない……!どうなってるんだ!?まさかまた、江ノ島さんが……!?」


「まあゆっくりしてきなよ」


苗木「だ、誰?」バッ

苗木「!?」


「……誰?何言ってるの」



「ボクはキミだよ」



苗木「……!」

苗木(そこには……ボクとまったく同じ姿形をした奴が教卓に腰掛けていた)

苗木(ただ違ったのは……)


苗木(目の前の世界を見ているというよりも、その世界の裏側の暗闇を睥睨しているような……絶望色の瞳だった)


苗木「な、なんだよ……!なんなんだよお前!?」

苗木?「だからボクはキミだよ。苗木誠だよ」


苗木?「まあ、より正確に言えば、ボクはキミであり、キミの知る“彼女”でもあるんだけど」


苗木「か、彼女……?」

苗木?「絶望的に察しが悪いね。キミみたいのがボクの“ベース”だなんて死にたくなるよ。ありがとね、絶望させてくれて」

苗木(……こいつ……)

苗木「彼女って……江ノ島さんか……?どういうことだよ、お前が、ボクであり、江ノ島さんであるって……?」

苗木?「彼女の絶望を持ったキミ……それがボクなんだよ」

苗木「……わけが解らない……」

苗木?「まあ事情を全く知らないキミに全て説明するなんて面倒だからしないけど」

苗木(ほんと、なんなんだよ……妙に腹が立つぞこいつ……)


苗木(それにしても……)

苗木「……目の前にボクがいるなんて、夢でも見てるのか……!?」



苗木?「今度は察しがいいね。そう、夢だよ」



苗木「は、はぁ!?」

苗木?「まったくこんな形でしか出てこれないなんて絶望的だよね」

苗木「もう……わけが解んないよ……」

苗木?「気にしなくていいんだよ、夢なんだから」


苗木「……ボクに何の用があるんだよ」

苗木?「何を言ってるの?キミがボクに用があるんでしょ?」

苗木「ますますわけが解らないよ……」


苗木?「あの時……キミが彼女を看病した時……彼女はこう言ったよね」


江ノ島「安請け合いすると、死ぬよ?」


苗木「!?江ノ島さん!?」

江ノ島「……」スゥッ……

苗木(き、消えた……!)


苗木?「それから何があった?」


苗木「……」

苗木「部屋に閉じ込められて……命懸けの脱出ゲーム……」


苗木?「そう。仕掛けた彼女自身も一緒に閉じこもる……キミが脱出のため部屋の謎を解かなければ彼女も死ぬ、ほとんど心中だね」

苗木?「彼女の宣言通り、キミは実際死にかけたってわけだ」

苗木「……でも、ボクは生きてる。ボクも江ノ島さんも、生きてる」

苗木?「知ってるよ。ともかくキミは彼女が直接生み出した死の絶望に触れることで絶望への理解が深まったはずだよね」


苗木「……だから、なんだよ」 

苗木?「そして更に望んだはずだ」

苗木「何を……!?」



苗木?「上手な絶望との付き合い方を知りたいってさ」



苗木「!!」


苗木「……」

苗木「……どうすれば、いいんだよ……」

苗木?「簡単だよ」


ぐら


苗木?「ボクに尋ねればいい」


ぐらぐらぐら


苗木?「仕方ないから、手を貸してやるよ」


ぐらぐらぐらぐら



苗木「絶望であるボクが」



ぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐら




ゴンッ



苗木「いってーっ!」バッ


江ノ島「アハハハハハ!苗木頭ぶってやんの!」


苗木「う……江ノ島さん」


江ノ島「こーんな絶世の美女が隣にいるのに居眠りなんかするからよー!」


苗木(そうか……)

苗木「飛行機の中だったな……」


苗木(78期と77期の合同旅行……その行き先)


苗木(ジャバウォック島への)


○●


狛枝「いやあ、無事に着いて何よりだよ」


狛枝「ボクの乗った飛行機の乗員乗客全員が何事もなく再び地を踏めるなんて奇跡だね!」


日向「相変わらずだな……お前どんなテンションで飛行機乗ってたんだよ」

狛枝「やあ予備学科の日向クン。なんでここにいるのかな?」

日向「だから松田にチケット押しつけられたんだよ!飛行機乗る前も話したろ!」

狛枝「そうだっけ?ごめんごめん。特徴のない人と話してもどうも記憶に残らなくてさ……」

日向「なあセレス、こいつ殴っていいか?」

セレス「お好きにどうぞ。永劫ランク外の狛枝君はわたくしの所有物ではありませんし」



江ノ島「あー、あれが狛枝センパイね。思い出した思い出した」

苗木「狛枝クンを知ってるの?」

江ノ島「それはもう有名ですから。希望ヶ峰のお偉方にもウザがられてる問題児である、と」クイッ

苗木「江ノ島さんと戦刃さんも有名だけどね……」ボソ

江ノ島「ありゃアタシも色んな意味でムリねー」



葉隠「はーっ、やっと着いたベ。とっとと宿行こーぜ。コテージだったか?一息吐きたいべ」

桑田「だな。青い顔してるのもいるしよ」


左右田「うええっぷ……ゾニアざん……」ヨロヨロ


不二咲「だ、大丈夫左右田君……?」

山田「まるで怨念に突き動かされるゾンビですな……」

九頭龍「ヒヤヒヤして全然落ち着かなかったぜ……!帰りは左右田の隣はぜってー嫌だからな……!」

大和田「おいソニアってのはあの女だろ」

左右田「!」バッ



ソニア「田中さん!こちらが“狂嵐の神喰らう魔狼”、戦刃むくろさんです」

戦刃「ま、マロー……?」

田中「ふん……戦刃むくろか。良い真名だ……!この田中眼蛇夢の前では露と霞むがな!」

戦刃(自己紹介……だよね……?)

戦刃「ど、どうも……?」

ソニア「流石は田中さん!堂々たる自己紹介です!」グッ



左右田「うおおっ……!うおおっ……!」シクシク


大和田「ヤベェこいつ吐くぞ!?泣きながら吐くぞ!?」

九頭龍「左右田テメー持たせた袋どこやりやがった!?誰か袋……いや逃げろ!!」ダッ

桑田「カンベンしてくれよ空港で吐くなっての!!」ダッ

不二咲「ひいぃっ……!」タッ



田中「む、き、貴様……それはなんだ……!?」ググ

戦刃「え……?え……?」オド

ソニア「戦刃さん、田中さんは戦刃さんの右手の刻印がなんなのかお尋ねになってます!」

戦刃「これ……?これは……えっと……」


田中「まさか……“罪の紋章”か!?馬鹿な……一体どれほどの業を……!?」

戦刃「……そう……これは私の罪……」ズーン

田中「なん……だと……!?」


小泉「ちょっと田中その辺にしときなよ……!ソニアちゃんも」

ソニア「も、申し訳ありません戦刃さん……!田中さん、どうやらわたくし達は戦刃さんの触れられたくない過去に触れてしまったようです……」

田中「……ごめんなさい」ボソッ



左右田「うぐぐおおおおお」ダッダッダッダ

九頭龍「左右田ふざんけんじゃねーぞ!なんで俺を追ってくんだぁぁ!」トタタタタ

辺古山「冬彦ぼっちゃん……斬りましょうか?」トトトト

九頭龍「やめろ確実にぶちまける!」トタタタタ



小泉「写真撮ろうよ写真!」

澪田「あーっ!唯吹もむくろちゃんと一緒に写りたいっす!」ハイッ

罪木「わ、私もご一緒していいでしょうか……?お、お願いします背後霊のように大人しくしてますのでぇ……!」

西園寺「お前が背後霊演じたら洒落にならないんだよ!」

七海「……私もいいかな?小泉さんが写る時は私が撮るからさ」

小泉「千秋ちゃん」

七海「……小泉さんも写りたいでしょ?戦刃さんと一緒に」

小泉「あ……ありがと。じゃあお願いするね」


澪田「むくろちゃんの隣は頂くっす!」ギュ

戦刃「え……?」

罪木「み、澪田さん近過ぎですよぉ……!」ギュウ

戦刃「……!?」

七海「……じゃあ私は後ろから」ポフッ

戦刃「な、七海さん……!?」

西園寺「わたしは小泉おねぇが写る時だけでいいや!おねぇ!手つないで写ろー!」

小泉「はいはい」フフッ

ソニア「田中さん!破壊神暗黒四天王のみなさんを召喚して映りましょう!」キラキラ

田中「刻が来てしまったか……」フム

ソニア「田中さん?」


田中「どうやら俺は此処を去らねばならぬようだ……!エデンは永遠の楽園でなかったのだ……!」シュバッ タタタタタ


ソニア「田中さーん!どうしてしまわれたのでしょう……?」

西園寺「女だらけだから逃げたんでしょ。あのヘタレ動物園」クスクス


戦刃「……」

戦刃「……あつい……」



江ノ島「なにあれ激しく気に入らないんですけど!」

苗木「もしかして、やきもち?」

江ノ島「……アタシが?男より女にモテる残念なお姉ちゃんに?ないないありえないって!」

苗木「……そっか」

江ノ島「んー?何ニヤニヤしてんのかな苗木ー?」ムッ


終里「なーもう早く行こうぜ腹減ったっての!」

弐大「いつまでもここにおっても仕方ないしのぉ……」

石丸「待って頂きたい先輩方!この場が収束してから皆で行くべきです!」

終里「あーもう解ったよ!左右田のやつぶん殴ればいいんだろ!?」

石丸「なっ……!?暴力はいけない!」

終里「じゃあどーすんだよ!いい加減腹減って腹立ってきたぞ!」

弐大「……のぉ石丸よぉ、どうせこれは修学旅行でなしにただの旅行なんじゃ、各々好きにすればええじゃろぉが」

石丸「ぐっ……この状況……生徒会の先輩がいれば収められるのか……!?」


偽十神「その生徒会が忙しいから生徒会のメンバーがいないんだろうが。しっかりしろ」


石丸「と、十神君……!そうだな!他力本願では駄目だ!」

十神「おい」


終里「そっか、生徒会ん奴らはいないんだっけ」

弐大「松田も日向のやつにチケットをくれてやったらしいしのぉ!……ん?あと誰かキャンセルした奴がおった気がするんじゃが……」

石丸「ううむ……僕も77期の先輩方のリストには目を通し、誰が出席で誰が欠席なのか確認したはずなのだが。十神君は知らないか?」

偽十神「お前らはそんなことも覚えていないのか。……まあ、あいつの場合は影が薄いのが才能だから仕方ないか」

十神「おい……!」

花村「いいんじゃないかな?その人、ぼくとキャラ被ってるような気がするし!」ヒョコ

終里「ま、確かに誰でもいいか。それより花村、お前宿ついたらメシ作ってくれよな!」

花村「フフ、いいのかい?ぼくはやるからには本気でやるよ?大丈夫?アヘアヘ言わせちゃうよ!?」

石丸「超校高級の料理人の作る料理が味わえるとは!……いや、よく考えたら学園の食堂で味わえたな!」

花村「あれあれちょっとー?ありがたみのなくなること言わないでよ!」


十神「石丸!お前ふざけているのか……!?」バッ

石丸「なっ……!?十神君が二人!?」

十神「なぜそうなる……!?」ググ

朝日奈「おーっす!……って十神が二人いるよ!?どういうことさくらちゃん!?」

大神「我にも皆目見当がつかぬ」

十神「お前ら……!」


霧切「賑やかね」

舞園「やっぱり2クラス一緒だとすごいですね!」

十神「霧切、舞園、この馬鹿どもをどうにかしろ……!」

舞園「え?」

霧切「一体どうしたというの」


石丸「霧切君舞園君!十神君が二人いるのだ!」

朝日奈「どうなってんのこれ!?」

偽十神「フン」


霧切「これはどういうことかしらね舞園さん」

舞園「さ、さあ……?」

十神「こいつらこの豚と俺の区別がついていないんだよ腹立たしい……!」


霧切「十神君が二人いるわ」

舞園「謎ですね霧切さん!」

十神「貴様らわざとやっているだろう……!」グ


腐川「あ、あんた達目ぇ腐ってんじゃないの!?」

十神「腐川……」

腐川「白夜様!あ、あたしは解ってますからね!こ、こここんな豚と白夜様全然違うもの……!」


十神「いつから後ろにいた……!?」ゾ


腐川「そ、それは……ずっと……!」

十神(こ、こいつストーキングスキルが上がっているだと……!)ゾゾゾ


花村「やあ78期のお嬢様方。今夜ぼくと……パーァリィしないかい?世界一の夜食を振る舞うよ?」

舞園「あら、私もお料理ちょっとはできますよ。トンカツとか得意です」



江ノ島「いやー、楽しみだねー!どうなんのかなーこれ!」

苗木「ほんと……」



うぎゃあああ左右田が狛枝に突っ込んだぞ!


ゲロじゃあああああああ!!



苗木「どうなるんだろうね……」ハハ……


○●


苗木のコテージ


苗木「ふぅ……やっと一息吐けるな……」


ガチャ


江ノ島「たっだいまー!」


苗木「え、江ノ島さん!?ただいまって意味わかんな……なんで荷物持ってきてんの!?」

江ノ島「え?ここに泊まるからだけど?」キョトン

苗木「自分のコテージあるでしょ!?」

江ノ島「だーってアタシのコテージ苗木が置いてなかったんだもん」

苗木「ボクは家具か何か!?」


江ノ島「苗木がいないと寂しいんだもーん!いーじゃんこれまで何度も一緒に夜を過ごしてきたんだからさー!」

苗木「その度にろくな目に遭ってないよ!」

江ノ島「おねがーい!」サッササッサ

苗木「言いながら荷物広げないでよ……!」

苗木(こ、これは……江ノ島さん絶対引き下がらないぞ……)


苗木「みんなにバレたらどうすんのさ……!」

江ノ島「べっつにいいだろ付き合ってんだからよぉ!」ズギャーン

苗木「いやそういうことになってるけど」

江ノ島「わかったわかったできるだけバレないようにするからー!石丸あたりにバレたらうるさそうだしね!」


苗木「……絶対だよ……!」

江ノ島「はいはーい!」

苗木(結局……押し切られてるし……まずいよなぁ)ハァ


苗木(できるだけコテージ以外で過ごそう……)


江ノ島「あ、この後レストランで花村センパイがお昼作ってくれるってさ」

苗木「えっ……レストランってすぐ近くのだよね?あそこ公共のレストランじゃないの?」

江ノ島「なんかおっけーみたいよ?」

苗木「希望ヶ峰パワーか……」


江ノ島「で、その後は……」ゴソゴソ


江ノ島「じゃん!海ー!ねー苗木どの水着がいいかなー?」バーン


苗木「ど、どの水着もビキニなんだね……」

苗木(こんなの着て近くにいられたらヤバいよ……!)


江ノ島「でー?どれがいい苗木ー?」

苗木「え?……その……白と黒のが似合うんじゃない……?」カァ


江ノ島「よーし、じゃ早速……」スッ


苗木「待って!なんで脱ごうとしてんのストップ!」ワワッ

江ノ島「え?着てこうと思って」


苗木「コテージルール追加!ボクの目の前で着替えるのはやめて!」


江ノ島「えーめんどくさ……」

苗木「ボクのこと本気で置物か何かだと思ってるのかな……?」


○●


ザザーン

苗木「わあ……」

苗木(流石、南の島……って感じだ。綺麗な海……)

不二咲「きれいだねぇ……」

苗木「うん……」

九頭龍「こんな海初めて見たぜ。かき氷の青いのぶちまけたみてーだな」

苗木「ブルーハワイだね。ここはハワイじゃないけど」ハハ

九頭龍「あーそれだそれ。俺は抹茶派だけどな」

不二咲「僕はコーラが好きだなぁ」


桑田「海もいいけどさ、女子はまだかよ!?具体的に言うと舞園ちゃんはまだかよ!?」

左右田「そうだ!ソニアさんを出せ!」


苗木「相変わらずだなぁこの二人は……」

九頭龍「解ったからテメーら二人並ぶな!左右田が二人になったみたいで頭痛くなるぜ……!」

不二咲「こっちは桑田君が二人になったように感じるよぉ……」



大和田「日向オメェ意外とガタイいいんだな」

日向「そ、そうか?まあ伊達に弐大や大神に鍛えられてないからな」

石丸「日々の努力の賜物というわけだな!」

花村「ふむふむなかなかおいしそうだね……」

日向「おい……冗談だよな……!?」


偽十神「中身は鍛えているのか?内面が充実していなければ真の強さとは言えんぞ」ズン

日向「その辺はお前や……苗木に教わったよ。感謝してる」

偽十神「フン。人間は喉元過ぎれば熱さを忘れる生き物だ。精進を怠れば沈むぞ」

日向「ああ、解ってるって」

山田「もちろん僕の同人活動のノウハウも内面の充実に一役買っているんでしょうなぁ?」

日向「えーっと……まあ、多分、そうだな」

田中「未だ魔獣一匹従えられぬようでは真の覇道へはまだまだ遠いぞ!」フフン



狛枝「ねえ十神クン……少し痩せた?」

十神「殴るぞ綿菓子頭……!」




葉隠「来た来た来たーっ!」

弐大「メスじゃあああああああ!!」



江ノ島「はろー!お待たせ野郎ども!」

小泉「なーんか最低な叫び声が聞こえたんですけど……」

西園寺「わぁ下卑た童貞どもの視線が気持ち悪いよぉ!」



江ノ島「苗木ー!どうどう!?苗木が選んだ水着!」タタッ

苗木「あ、いや、いいと、思うよ……すごく」カァ

苗木(目のやり場に困るよ……!)カァァァ


江ノ島「もー!もうもうもうもうもーっ!カワイイなー顔赤くしちゃって!苗木もそのフード付きラッシュガード似合ってるよ!」ギュム

苗木「ありがと、でもそのかっこで抱きつくのはほんとにやめて!」グムゥ

江ノ島「今更水着くらいどうってことないじゃーん!もう色々さらけ出しちゃってんだしさー!」

苗木「ちょっ……誤解招くようなこと叫ばないでよ!!」


九頭龍「相変わらずだなテメーらは。ベタベタベタベタと……」ハァー


辺古山「冬彦ぼっちゃん」スッ


九頭龍「!お、おーペコ……テメーも水着、なんだな……?」


辺古山「はい、海ですからこの格好が適当かと……やはり似合っていませんか?」

九頭龍「い、いや似合ってるぜ」カァ

辺古山「勿体無いお言葉、ありがとうございます」


江ノ島「だーれがベタベタベタベタだってー?」ウププ

九頭龍「う、うるせえ!……ペコ!この旅行中くらい俺なんざほっといて好きに遊んどけ!」

辺古山「それなら好きにさせて頂こうと思いますが……私はぼっちゃんの側が好きなので……」

九頭龍「……あーもう好きにしろ!」

辺古山「仰る通りに」フフ


七海「お父さんボードゲーム持ってきたよ。……一緒にやろ?」

不二咲「うーん……千秋ちゃん、ボードゲームは今度にしない?」


舞園「苗木君!私の水着、どうですか!」

霧切「……」モジ

苗木「舞園さんに霧切さん……!二人ともよく似合ってるよ」

霧切「そ、そう」カァ

舞園「えへへ、ありがとうございます!」


舞園「なんだか江ノ島さんに比べてコメントに熱がない気がしますけれど……」ガクッ


桑田「苗木っ!オメー失礼なんだよ!誉める時には具体的にだ!」ズイッ

花村「かつシンプルにね!」ズイッ



桑田「舞園ちゃんのおっぱいサイコー!」

花村「霧切さんのお尻マーベラス!」



舞園「桑田君花村君、私男の人がどれだけ長く潜水できるかに興味があります。三時間潜ってられたら好きになっちゃうかもしれません」


桑田「うおぉ行くぞぉぉぉ!!」ザザザザザ

花村「負けないよ桑田くん!」ザザザザザ

ザパーン


霧切「……流石は舞園さんね」

江ノ島「どざえもん二つ入りまーす」

苗木「……早めに許してあげてくれないかな」




狛枝「セレスさんまで水着を着てくるとはびっくりだなぁ!ウィッグも付けてないし今日は海に入るんだね?」

セレス「……何か問題が?」ジロ

狛枝「まさか!問題どころか素晴らしいよ!」


狛枝「セレスさんの陶器のように白い肌と凝った造りの黒い水着が相俟って……まるで一つの芸術品だね」


セレス「よくそんな歯が浮くような世辞を吐けますわね」ハァ

狛枝「やだなぁ本心だよ。ボクにお世辞なんか言う能はないし」ハハ

セレス「いつまで経ってもあなたはよく解りませんわ」



苗木「それにしても女の子達遅かったね。何かあったの?」

江ノ島「いやそれがさー、女子に水着持ってきてない子やらスクール水着持ってきてる子やらがいたのよねー。せっかくだからその子らに水着見立てて来たってわけ!」

苗木「……何がせっかくだから、なのか解んないけど」

江ノ島「いやいや南の島だよ?トロピカルだよ?海入んない子やらスク水の子がいたらダメっしょー!」


江ノ島「ねー霧切?」

霧切「……私が持ってきた水着はスクール水着ではないわ」

江ノ島「いや紺のワンピースじゃ変わんないって!苗木もそんなんより今の霧切の水着のがいいと思わない?」

苗木「い、今の霧切さんの水着は似合ってると思うけど、解んないよ……」

江ノ島「まっさか苗木スク水派ーっ!?」

舞園「……私ちょっと着替えてきますね」

苗木「そういう訳じゃないよ!」



江ノ島「それよりさー苗木ー」

苗木「何?オイルとか塗れって言うんならいやだよ」

江ノ島「なんで解ったの苗木!以心伝心ってやつ?」

苗木(そもそも江ノ島さんを理解しようと今まで側にいたからなぁ)

苗木(……死にかけたりしてまで)


江ノ島「いーじゃん塗ってよー!このままじゃアタシ黒ギャルになっちゃうよ?」

江ノ島「あ、苗木そっちのがタイプだったりする?日焼け跡に興奮しちゃうー?」

苗木「違うってば!」


苗木「……江ノ島さんどうせもう日焼け止め塗ってあるんでしょ?」

江ノ島「苗木すごーい!アタシのことお見通し……!?」ハァハァ

苗木「なんでクネクネしてんの……」



七海「うーん、じゃあこれは……?」ゴソゴソ

不二咲「まだ何か持ってきてたの?」


七海「うん。……水鉄砲」ガチャガチャ


不二咲「水鉄砲はいいけど、なんでそんなにたくさん……?」

七海「みんなで遊ぼうと思って」


終里「いいじゃねーか!おい戦刃ぁ!オレとコイツで勝負だ!」ズンッ


戦刃「えっ……?」ビク


七海「……水鉄砲版サバイバルゲームだね」


澪田「あのー赤音ちゃん?思いっきりむくろちゃんのフィールドっすよ?」

終里「バカヤロウ!オレは勝つぞ!」


七海「……澪田さん、ゲームは楽しんでこそ、だよ」スチャ


澪田「ま、そーっすね!よーし唯吹の二挺拳銃が火……水?……を吹くっすよ!」

小泉「あたしもやろっかな。撮ってばっかってのも勿体無い気がするし」

罪木「ふゆぅ、怪我のないようにがんばってくださいぃ……」

西園寺「何言ってんの?お前もやるんだよ!わたしはやんないけどー」

罪木「ええええ無理ですよぉ!」ビエー


小泉「日寄子ちゃん無理強いは駄目だよ?」

西園寺「だってだってー!その変態がずっとニヤニヤ戦刃おねぇを見てるんだもん!」

罪木「そ、そんなことしてませんよぉ!」


戦刃「……大丈夫罪木さん。できるだけ……助けるから」


罪木「はぅ……!?わ、私、がんばってみますぅ!」

西園寺「……手のひら返しやがって気に入らないなー」ボソ

七海「おーい日向くん達もやろー?」フリフリ


日向「なんだよ?何が始まるんだ?」

七海「……水鉄砲ウォーズ」スチャ


日向「……要は水鉄砲で撃ち合うんだな?」


九頭龍「面白そうじゃねーか。オレも混ぜろよ」


日向「おー、九頭龍」

辺古山「……冬彦ぼっちゃん、危険では……?」

九頭龍「おいおい……本物のハジキならともかく水鉄砲だぞ?」

日向「実銃で遊ぶことなんて普通ないけどな」ハハ……



苗木「……とにかく変なこと考えんのはやめてよね」

江ノ島「ちぇー……ん?」


苗木「?……田中クンがすいか割りしてるね」


江ノ島「面白そうじゃん行こ行こ!」グイッ

苗木「わっ、ちょっと」ヨロ


ダダダダダ


舞園「ああっ、苗木君!」

霧切「……まるで嵐ね」



苗木「ソニアさん、左右田クン」

ソニア「苗木さん!今田中さんが妙技を見せてくださるそうです!」

左右田「目隠しした上で指示なしですいか割りすんだと。んなもんできるわけねーってのに」ハハ

江ノ島「へー!流石超高校級の飼育委員!」

苗木「……飼育委員関係あるの?」




田中「そこだ……!終極魔神禍断!!」ブンッ

バカーッ



苗木「ほ、ほんとに割った!」

ソニア「田中さんお見事です!」

左右田「えええ!?田中オメー指示もなしにどうやって……!?」


田中「ハッ!俺にこのような視覚封印など無意味に等しい!なぜなら俺には“エビルスフォースアイズ”があるのだからなぁ!」フハハハハハ

ヒョコ ヒョコ


江ノ島「そのハムスターちゃん達が“エビルスフォースアイズ”ね」

ソニア「破壊神暗黒四天王のみなさんが田中さんの“眼”になっていたのですね!すごいです!」

左右田「オイオイどういうことかさっぱりだぞ……」

苗木「……破壊神暗黒四天王が田中クンにすいかの位置を教えてたんじゃないかな」

左右田「はあぁぁ!?なんでもアリかこの学園は!?」

江ノ島「左右田センパイがそれ言っちゃう?」



朝日奈「わー!狛枝先輩泳ぐの結構速いんだねー!」


狛枝「海に投げ出される経験は豊富だからね!」ハハ


葉隠「や、笑い事じゃねーべ……」

大神「……不運に鍛えられているのか」

弐大「実際の危機体験から得られる経験値はどえれぇからのぉ」

狛枝「あ、それでもその分いいこともあるよ?ボクは一応超高校級の幸運だから」


狛枝「それよりセレスさん、泳がないの?」

セレス「……水着であるからといってなぜ泳がなくてはなりませんの?わたくしは軽く水浴びがしたかっただけですわ」

狛枝「うん……まあ、そうか。セレスさんともあろう者がまさかカナヅチってわけじゃないだろうし」


セレス「……」ピク


狛枝「あれ?図星だった?」

セレス「はぁ?……上等ですわ。25メートルでも50メートルでも泳いで差し上げましょうか」

狛枝「流石はセレスさんだよ!」ハハッ

狛セレとはまた新しい…

命懸けの修羅場の数は苗木とどっちが上なんだろうか・・・



ソニア「おいしいですね!」シャクシャク

田中「フン、悪くない……」シャクシャク

江ノ島「今度は苗木がやってよー!」シャクシャク

苗木「ぼ、ボク?ボクはそんな指示なしですいか割りなんてできないよ」シャクシャク

江ノ島「じゃあ指示ありでフツーにさ!」ププー

苗木「それなら……まあ……」

左右田「オイあんまポンポン割るなよ。食い切れなくなっから」シャクシャク

江ノ島「だーいじょぶだって!いざとなったら終里センパイ辺りに食べて貰えばいいんだからさ!」

>>884
苗木の方が人為的な危機な分辛いのが多いと思う
しかも脚本妹様なわけだし



十神「……」ザリッ

腐川「……」ザリッ


腐川「……」ザリッ

十神「……」ザリッ


霧切「あなた達は何をしているの?」

舞園「常に一定距離を保っていますね」


腐川「み、見て解んないの!?追いかけっこよ!砂浜の!邪魔すんじゃないわよ!」

霧切「なるほど、そうだったの」

舞園「こんなゆっくりで緊迫した追いかけっこは初めて見ましたがお邪魔なら悪いですし、行きましょうか」


十神「……!」ダッ


腐川「白夜様!?」ダッ


ザザザザザ
 ザザザザザ


霧切「……隙を見て逃げたわね」

舞園「まーた嵐のように去られちゃいましたね」アハハ


腐川「白夜様おおおお待ちをぉぉぉ!」ダダダダダ

十神「その舐めるようなおぞましい視線を向けるのをやめろ!!」ダダダダダ

腐川「な、なら目隠しでもなんでもいたし」


ドンッ


腐川「まぎゃっ」ドシャッ

罪木「ひゃああああ!」ドシャッ


腐川「き、気をつけなさいよ……!へ……へ……」ヒクヒク

罪木「うぅ……ごめんなさいぃ……私逃げるのに夢中で……」



「へぶしっ!」


罪木「あ、あれぇ……?私の水鉄砲どこぉ……!?」アワアワ



翔「ヘーイ、ムチムチボディのお嬢ちゃん。廊下は走っちゃダメよってきよたんがいっつも口をすーっぱくして言ってるっしょ?んー?」シャキン

罪木「ひっ!?ひぃぃぃぃ!!」ジワッ


翔「って!白夜様が一心不乱に疾走していらっしゃる!?しかもここ砂浜じゃん!恋人達の陸上競技場じゃん!こうしちゃいられねーわ全力追走!」ダッ



「苗木ーもっと右ー!そうそう、そんで上ー!」

苗木「上っておかしいでしょ!前後左右で教えてよ江ノ島さん!」


「あ、今度は苗木君がすいか割りしてるんですね」

「……苦戦しているようね」

苗木「その声……舞園さんと霧切さん?丁度良かった。二人も指示出しやってくれないかな?江ノ島さん真面目に指示出してくれないんだ」

「えー?ちゃんとやってるよー?」

「仕方ないわね」

「もっと前に進んでください!」


苗木「もっと前……」ジリジリ


「あー行き過ぎですもっと後ろ」

「違いますよ!もっと前です!」

「もっと右よ」

「左でしょう」

「もう少し左です!」

「いえずっと右です!」


苗木(ど、どの声が江ノ島さんだ!?わけわかんなくなってきたぞ……!)ジリジリ

今北産業

77期と78期
合同で修学旅行
苗木禿げろ

希望絶望
はいいとして
狛セレはなんかやだな


苗木「ここ!?ここでいいんだね!?振るよ!?」バッ

「苗木君!足元に」


ガッ


苗木(いてっ!なんか固い物踏んづけた!)


ズルッ   ヒュルン

ドサッ

苗木「いたた……!あれ?しまった!棒がすっぽ抜けた!」バッ

舞園「足元に水鉄砲が落ちてると注意しようとしたんですが……」


苗木「水鉄砲……?いやそれより棒は!?」



わあああ突然棒が降ってきて狛枝先輩の頭にいいい!


狛枝が沖に流されていくぞ!



苗木「……」サーッ

江ノ島「ツイてないねー。狛枝センパイも、苗木も」ウププ


○●


レストラン


苗木「ほんと、ごめんなさい……」

狛枝「いいっていいって!犬も歩けばって言うしね!ボクは泳いでたけど!」

狛枝「……それにこれくらい……軽い方だから」

苗木「そ、そう……」

狛枝「それよりもさ、夕食を楽しもうよ。昼食も絶品だったから希望が湧くよね!流石は花村クンだよ!」

苗木「うん……」


江ノ島「苗木ー!」フリフリ


苗木「えと……それじゃ」スッ


狛枝「苗木クン」

苗木「え、何?」ピタ


狛枝「夕食後……話があるんだけど、いいかな?」

苗木「いいけど……話って?」

狛枝「ま、それは聞いてのお楽しみってことで。じゃあ」スッ



やっぱうめー!

当然さ。ぼくを誰だと思ってるの

なぜ餃子がないのですか

ぎょ餃子!?い、いやー、餃子はちょっとここのトロピカルな雰囲気にマッチしないかなと

いいからとっとと作ってこい仔豚!

わっかりましたぁぁぁぁん

今から作れるんだ?流石は超高校級の料理人だね!

シェフって呼んでよね!

さっさとしてくださる?

はいぃただいまぁ!



苗木「……ボクも食べよ」


○●


苗木「……狛枝クン、話って何?」

狛枝「……苗木クン」


狛枝「キミは……江ノ島盾子と付き合ってるんだよね?」

苗木「え、ええと……」

狛枝「まあ本当に付き合ってるかどうかなんてどうでもいいんだ。ただ……」



狛枝「江ノ島盾子は超高校級の絶望……希望の敵だ」



苗木「!」


苗木「……狛枝クンは……知ってるんだね。江ノ島さんの正体を」

狛枝「ボクは希望ヶ峰学園の生徒を尊敬してるんだ。それ故に強い興味があってね。調べられるだけ調べるんだ。超高校級の超高校級マニアといったところかな」

狛枝「当然、超高校級のギャル江ノ島盾子についても調べたんだ。そこで彼女の正体を知った。……“幸運”にもね」

苗木「……幸運にも」

狛枝「まあ、元々彼女を見る度理由の解らない嫌悪感があったから、不思議に思って念入りに調べたんだけど」

狛枝「彼女について調べるうちに……彼女が差し出す絶望を次々打ち破っている存在を知った。誰だかは言わなくても解るよね?」

苗木「……」


狛枝「江ノ島盾子が“超高校級の絶望”ならまさにキミは“超高校級の希望”と呼べる存在だ!」

狛枝「それなのになぜ吐き気を催す絶望と並んで歩くことができるのかな?」


狛枝「希望と絶望は相容れないっていうのに」


苗木「……」

苗木「ボクは……」

苗木「ボクは……狛枝クン。キミが言ってることがよく解らないよ」

狛枝「……そんなに難しい話だったかな」


苗木「彼女は確かに超高校級の絶望だよ。そしてボクが仮に超高校級の希望だとして……なんでボクらが相容れないことになるのかな」

狛枝「……苗木クン。絶望は希望にとってただの踏み台で、踏み潰すべきものなんだよ?」


苗木「それは違うよ」


狛枝「……何が違うのかな?」


苗木「キミは……ちゃんと絶望と向き合ったことがないんだ」

苗木「絶望を乗り越える度……それを忘れ去ろうとしてるんだ」

苗木「キミだけじゃないのかもしれない……多くの人がきっとそうなんだね」

苗木「……寂しがりやになるわけだよ」


狛枝「……」

狛枝「キミは……」


狛枝「いや、こんな話をしにきたんじゃない……」

苗木「えっ……?」


狛枝「言いたいことは一つなんだ」ユラ




狛枝「キミがあの絶望をどうにかできなければボクがあいつを殺す」グルグルグルグル




苗木「そんなこと……させない……!」


狛枝「絶望を庇うの?彼女は希望ヶ峰学園に相応しくない。それどころかこの世界に存在してはいけないんだよ」


苗木「そんなことない!」

苗木「彼女がたとえどうしようもない絶望でも……それを受け止められる希望はあるはずだ!」

苗木「ただ絶望を殺すだけの希望はきっと脆い希望だよ……!」

狛枝「……見解の相違だね」


狛枝「ま、なんであれ半端な覚悟じゃ死ぬと思うよ?」

苗木「それは……もう身に染みて解ってるよ」

狛枝「……そう」


狛枝「あ、勘違いしないで欲しいんだけどボクはキミを応援してるからね?」

苗木「え……?」

狛枝「ボクと同じ運だけで希望ヶ峰学園に入学した“超高校級の幸運”でありながらキミは数々の絶望に打ち勝ち希望ヶ峰の生徒に希望を与えてきた」

狛枝「特別な才能を持ち合わせていないというのに、こんなに強く希望を輝かせられるなんて!キミは本当に超高校級の希望と呼ぶに相応しい存在だ!」

狛枝「だからボクはキミを信じてるよ?キミが絶望なんかに負けないって」

苗木「……」

狛枝「それじゃ、またね」


○●


苗木のコテージ


苗木(狛枝クン……)

苗木(……ボクがなんとかできなければ……か)モゾ


苗木「……なんとかって……なんだよ」ボソ


江ノ島「なーえーぎー……」

苗木「……何?江ノ島さん」



江ノ島「なーんで寝袋で寝てんのよー?せっかく一つしかないベッドで愛を育もうと思ったのにー!」


苗木「同衾なんてマズいでしょ……」

江ノ島「ていうかなんで寝袋なんて持ってきてんの?」

苗木「ボクは遠出してツイてた試しがないから出来る限りの用意はしてきたんだ。……まさかこんな風に役に立つとは思わなかったけど」

江ノ島「全然役立ってなーいー!邪魔よ邪魔ー!一緒に寝よーよー!」バフバフ

苗木「いやだよ!江ノ島さん寝る気も寝かせる気もないじゃないか!温泉宿のこと忘れてないからね!」

江ノ島「あーあ!もっかい熱出そっかなー!あの時は苗木添い寝してくれたのになー!」

苗木「ほんとに添い寝するだけならいいよ……でも違うでしょ?」

江ノ島「うん」

苗木「正直だね……」


江ノ島「いいよーだ!苗木がこっち来てくれないんならアタシがそっち行くから!」ゴロン

苗木「なんでベッドあるのに床で寝るの!風邪引くよ!」

江ノ島「丁度良い抱き枕があることだし!」ギュッ

苗木「うっ、しまった逃げられない!」モゾモゾ


江ノ島「あ、そうだ。これベッドに持ってけばいいんだ」ヒョイ

苗木「だから物みたいに扱うのはやめてって!」モゾモゾ

江ノ島「いやー、このミノムシ苗木クン抱き枕で今夜は快眠ねー!」エヘヘヘ


○●


レストラン


苗木(ほっぺが痛い……)


苗木「今日はどうするの?」

左右田「昨日はみんな海行ったけどまあ自由行動だろ」

大和田「先公がいるわけじゃねえしな」

左右田「ってわけで大和田。オレの作ったマシンの試運転してくんね?すんげーの作ったからよ!」

大和田「ほー、いいぜ!つーかこっち来て作ったのかよすげぇな!」


苗木「お、大和田クンやめといた方が……」

大和田「オメェ超高校級のメカニックのマシンだぞ!?乗るっきゃねぇだろうがよ!」

左右田「それでこそ超高校級の暴走族だぜ!」ヘヘッ

苗木(止められそうにないな……何事もないといいけど)ハァ


苗木「……あれ?江ノ島さんどこ行ったか知らない?」

苗木(朝は一緒に来たのに……)



左右田「江ノ島なら狛枝とどっか行ったぞ?」


苗木「どこにっ!?」バッ

左右田「し、知らねーよ!だから、どっかだよ!」


苗木「っ!」ダッ


左右田「な、なんだアイツ」

大和田「女取られるって焦ってんだろ」ハハ


○●


苗木「……」ハァ ゼェ


苗木(ただ狛枝クンとどこかに出かけただけ……それならいい)

苗木(でも……すごく嫌な予感がする!)


苗木「どこ行ったんだよ江ノ島さん……!」


(苗木?「ボクに尋ねればいい」)

(苗木?「仕方ないから手を貸してやるよ」)


苗木「……お前なら、解るのか?江ノ島さんの行動が」

苗木「……尋ねるったってどうすればいいんだよ……!」


(苗木?「絶望であるボクが」)


苗木「絶望……あいつはボクの……」

苗木「……」


○●


街外れ


狛枝「……」

江ノ島「……」


苗木「はぁ……はぁ……」ゼェ ゼェ

苗木「やっと……見つけた」


江ノ島「あれ?苗木じゃーん」

狛枝「やあ、苗木クン。……どうしてここに?」



苗木「……」


苗木「……絶望に尋ねたんだ」



狛枝「は……?」


苗木「段々解ってきた……絶望を理解したかったら……自分の内の絶望と向き合って問いかける……」


狛枝「……」

江ノ島「……ふーん」


苗木「……そんなことより、江ノ島さん……」

江ノ島「なになに?」



苗木「なんで、拳銃を持ってるの……!?」



江ノ島「ん?あー、これはさー!」ガチリ


苗木「!?」
苗木(撃鉄を上げて自分の頭に向けた……!?)


苗木「な、何やってんだよ!!」




……ガチンッ




江ノ島「……まあ、こういうちょっとしたお遊びだよ」ゴゴゴゴゴ


江ノ島「回転式の拳銃の長所はこれが出来ることと言っても過言ではないよね……」


苗木「ま、まさか……」


苗木「ロシアンルーレット……!?」


江ノ島「だいせいかーい!」

狛枝「弾倉に一発だけ弾丸を入れて自分に向け引き金を引く……運試しってやつだね」ハハッ


苗木「何……笑ってるの……?なんでこんなことしてるんだよ!?」


江ノ島「なんでって……お互いの存在が気に食わないからさー、自然と確実にどっちかが消える遊びをしようって流れになんじゃん?」

狛枝「ボクは遊ぶなんて楽しい感覚じゃないんだけどなぁ……本気でボクの遊び相手になってくれる人は一人しかいないし」ハァ


苗木「な……」

苗木「何言ってんだよ!二人とも!」バッ


狛枝「動かないでね」チャキ


苗木「!?」
苗木(もう一丁の拳銃!?)

狛枝「こっちは全弾装填されてるよ」


江ノ島「アタシ今やったから次狛枝センパイねー」スッ

狛枝「解ってるよ」チャッ


苗木(な、なんだ……これ……なんだよこれ!)


苗木「狛枝クン……!キミはボクを信じるって言ってたじゃないか!」

狛枝「ああ……ごめんね。気が変わったんだ」

苗木「そん……な……!」


苗木(どうする……!?)

苗木(普通の説得なんかこの二人には通じない)


苗木(どうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうする)



□▲☆■▽★△▼


カチャ

コトダマ
コトダマ
コトダマ
コトダマ
コトダマ
コトダマ


カチャチャチャチャチャチャチャ……


カチャチャチャチャチャチャチャ……



……バキン



コ  マ
コト
  ダマ
コ  
 ト マ
コ ダ 



□ ☆
 ▲ ■
    ▽★
      △
       ▼



苗木「……」

苗木「……二人とも」


江ノ島「ん?」

狛枝「何かな?」


苗木「このままじゃ二人はどちらかが死んじゃうんだよね?」


苗木「その前に、ボクは二人に勝負を挑みたいんだけど」


江ノ島「勝負?」

苗木「うん。キミ達が負けた時の罰ゲームは……お互いの存在を永遠に我慢してもらうこと」

狛枝「それは最悪だね」

江ノ島「で、苗木が負けたら?」


苗木「……ボクは……」



苗木「これからロシアンルーレットをする」


苗木「……ただし、六連装のその銃に、五発弾丸を装填して」

武器を持った相手ならコトダマを使わざるおえない


狛枝「……へえ」

江ノ島「つまり……罰ゲームは死……ってことですね……」ジメジメ


苗木「受けてもらうよ……?キミ達どちらかが死ぬ前じゃなきゃこの賭けに意味なんてないんだから」


狛枝「滅茶苦茶な言い分だね。ボクは別にキミに死んで欲しいわけじゃないんだけど……ま、それがキミの希望なら従うよ」

江ノ島「……苗木がここで死ぬ……こんなとこで?6分の5の確率で死ぬ……うぷぷ、うぷぷぷぷぷ」


苗木「……決まりだね。狛枝クン、装填してくれる?」

狛枝「やれやれ……追い詰められるとぶっ飛んだことをするって噂は本当だったみたいだね」カチャ カチャ

チキキキキ……ガチッ

狛枝「……」スッ


苗木「ありがとう」チャッ


江ノ島「最後に言い残すことは?辞世の句でも詠む?」


苗木「別にないよ。ここで死ぬつもりなんてないから」


狛枝「へえ……」



苗木「さあ……」チャキ



苗木「いくよ」ガチリ







……ガチンッ





苗木「……」

狛枝「……お見事」

江ノ島「あーあ、きっつい罰ゲームだなー」

狛枝「……まあ、仕方ないね。ボクらの負けだよ」



苗木「何言ってるの?」



狛枝「……?」

江ノ島「んー?」



苗木「ボクはキミ達二人に挑んだんだよ?」



苗木「今のは一人分じゃないか」



狛枝「……!」

江ノ島「苗木ー、まさか……」



苗木「大したことでもないよ。たかが36分の1……」

苗木「これで、二人分」ガチリ




ガチン




苗木「……ボクの勝ちだ」


狛枝「……完敗だね」

江ノ島「……いやーぶったまげたわマジで」


苗木「約束は……」フラ


苗木「守ってもらう……よ……」バタッ


狛枝「苗木クン?」

江ノ島「ぶっ飛び過ぎたみたいね」




江ノ島「……ま、アタシの勝ちだよねー?狛枝センパイ?」

苗木くんこわいよぉ


狛枝「……キミに負けた上にあんな約束をさせられるなんてツイてない」


狛枝「『苗木クンがここに来てロシアンルーレットをする』……当たればキミの勝ち。それ以外の展開ならボクの勝ち」


狛枝「でも、こんなことになるなんて思わなかったんじゃない?」

江ノ島「うん!やっぱり苗木って最高にクソ生意気で最高に苛立たせてくれて最高に愛おしいわよねー!」

狛枝「……さっさと苗木クン運ぼうか。キミと長く一緒にいると苗木クンとの約束を守れそうにないから」

さすが妹様


○●


苗木「……」

苗木「……また、誰もいない教室……」

苗木「また……夢?」



「そう!夢だよん!」



苗木「!?」バッ

苗木(!あいつじゃない……!?)



苗木「……江ノ島、さん?」


江ノ島?「はーい!」


苗木「なんか……違う気が……」
苗木(瞳に太陽みたいな輝きが宿っていてキラキラしてる……。絶望感が微塵も感じられない)

江ノ島?「ま、アタシはアンタの中にいた希望だからねー!」

苗木「あいつといいキミといい、勝手にボクの中に住み着かないでよ……」

江ノ島?「だからアタシは元からいたんだってば!あっちに出かけて、こっちに帰ってきたの!あっちにもちょーっと残ってるけど!」


苗木「……もう、いい加減さ……」

苗木「あっちとかこっちとかわけわかんないんだってば!ねえ何か知ってるんだったら教えてよ!」

江ノ島?「っ……」ジワッ


江ノ島?「ど、怒鳴んないでよぉっ……!」ウルウル


苗木(えええ!?泣いた!?)
苗木「ご、ごめん……!つい現実の江ノ島さん相手にしてる感覚で……泣かせちゃうとは」


江ノ島?「泣いてないっ!」ゴシ


江ノ島?「うう……こっちの苗木にまで……」ボソ

苗木「あの……江ノ島さん?」

江ノ島?「なによ!?」

苗木「えと……キミが出てきたのもあいつの時みたいに……何か意味が?」

江ノ島?「え?意味なんてないけど?」


苗木「ええ……」

江ノ島?「ちょっとあいつみたいな可哀想な子を見る目はやめてよっ!」

苗木「……ごめん。でもほんとに何の意味もなく……?」

江ノ島?「あいつが出てきたのにアタシも出てこなかったら不公平じゃん!」

江ノ島?「強いて言うなら存在アピール?」

苗木「存在アピール……?」


江ノ島?「希望(アタシ)のことも忘れないでよね!ってことよ!」ニカッ


ガラッ


苗木?「……行くよ」


江ノ島?「あ、苗木ー!」

苗木「お前……」

江ノ島?「迎えに来てくれたの?」

苗木?「いつまでもそこのボンクラをキミが下らない話で引き留めてたら困るんだよ」

苗木「ぼ、ボンクラ……!?」

江ノ島?「下らない話ってなによー!」


苗木?「いいから、さっさと行くよ」 

江ノ島?「はーい……あ、そうだ!そこの苗木!」

苗木「そこの苗木って……ボク?」



江ノ島?「公園がいいよ!」



苗木「え?」


江ノ島?「そんじゃーねー!」

苗木?「またバカなことを……」

江ノ島?「えーいいじゃん別に!」


苗木(……謎の言葉を残して、二人は教室の外……光の中に消えていった)

苗木(希望と絶望、手をとり合って)



○●


苗木「……」パチ


江ノ島「あ、起きた!」


苗木「江ノ島さん……」

江ノ島「おはよー!良い夢見れた?前に苗木に膝枕してもらったからお返ししてみましたー!」

苗木「……そう……ってそうじゃない!」バッ

江ノ島「どっちよ?」

苗木「ここボクのコテージ!?狛枝クンは!?」

江ノ島「苗木運んだ後セレスとどっか行ったよ?あの二人なんだかんだ一緒にいるよねー!お互い遊び相手が他にいないだけに」

ブーデー……


苗木「江ノ島さん!」

江ノ島「なになにどうしたのよー?」

苗木「どうしたのじゃないよ!さっきのはなんなの!」

江ノ島「何って……ロシアンルーレット?」

苗木「それは知ってるよ!なんであんなコロシアイしてんの!?」

江ノ島「コロシアイ……?」

苗木「どちらかが死んでどちらかが生き残る……コロシアイじゃないか!」


江ノ島「え?何言ってんの?」チャキ

苗木(さっきの銃!?)

苗木「あ、あぶな」


パァン


苗木「……っ」

苗木「……?」


江ノ島「音だけ」チャッ

苗木「……は?」


江ノ島「玩具でしたー!」


苗木「……え?」


苗木「ええええええ!?」


江ノ島「苗木ってば勝手に勘違いしてぶっ飛んじゃってー!あれはただのお遊びだよずっとそう言ってたじゃーん!」

苗木「だって……どっちかが確実に消えるとか言ってたじゃないか……!」

江ノ島「言ったっけそんなこと?」

苗木「言ってたよ!!」

江ノ島「でも苗木が来てくれて嬉しかったよー?」ギュ

江ノ島「やっぱり苗木の希望はアタシの絶望をかち割って……もっと素晴らしい絶望を取り出してくれるのね……!」

苗木「……はあ……なんなのボクって」

江ノ島「ほんっと苗木は騙されやすいよねー。気をつけた方がいいよ」


江ノ島(今の玩具とロシアンルーレットの時の銃が同じものとも限らないのにさ)


……


苗木「……花村クンの作るお昼、食べ損なっちゃったな」

江ノ島「まあ、また夜食べれるんだし元気出しなよ!」

苗木「……みんなは散り散りに自由行動してるの?」

江ノ島「そうだよー?だからぁ、わたし達もデートしちゃう、ってのはどうかなぁー?」キャピルン

苗木「……デートはともかく、散歩ぐらいならいいよ」

江ノ島「やったー!手繋いでこーねー!」ギュ グイッ

苗木「ちょ、ちょっと!」フラ

江ノ島「行くわよ人間。私様の手をとって歩けることを光栄に思いなさい」ドドン

苗木「……もう……」


○●


苗木「風がしょっぱいね」

苗木「それに綺麗な景色……」


江ノ島「うーん、つまんないとこよねー。更地にしたら楽しそう!」

苗木「またそんなこと言ってるよ……」

江ノ島「お?あれ霧切と七海じゃない?」

苗木「ほんとだ……何してんだろ」



霧切「犯人は解ったのだけれど……どうやって指摘するの?」

七海「……それは、犯人を指摘するシーンがあるルートに行かないとダメなんだ」


七海「この分岐ツリーが……」

霧切「なるほど……」


苗木「やあ。霧切さん、七海さん」

江ノ島「やっほー!」

霧切「……苗木君、江ノ島さん」

七海「……苗木くん、大丈夫だった?……熱中症で気を失ってたって聞いたけど」

苗木「だ、大丈夫。もう平気だよ」ハハ

霧切「……」


江ノ島「それにしても二人ともさー……この南の島まで来てゲーム!?しかも吹雪の山荘ものって!せめて嵐の孤島にしなよ!」


霧切「七海さんが熱心に語るゲームが面白そうだったから……」

七海「……霧切さんとゲームやるのすごく楽しいよ?」

苗木「確かに、楽しそうにしてたね」


七海「昨日も私のコテージで一緒に推理ゲーム徹夜でやってたんだ」

霧切「な、七海さん……」カァ

江ノ島「霧切がそこまで熱中するとはねー」ニヤニヤ

霧切「……続きが気になるんだもの」

江ノ島「へー、ちょっとそれ見せてよ」ズイッ


七海「……霧切さんはここまでで犯人が解ったんだって」スッ

江ノ島「ひゃー流石は超高校級の探偵。アタシと違ってメタ的な情報を含めた分析したわけじゃないんだろうしなー」

七海「確かに……無意識にメタ推理しちゃうよね」ウン

江ノ島「あ、霧切犯人解ったんならネタバレしてもいいよねー」

七海「む。それは無しですぞ。エンディング後も、その先も遊び尽くすまでがゲーム……だよ?」


霧切「苗木君」ヒソ


苗木「な、何?どうしたの?」



霧切「そろそろ……答えを出さなきゃいけないんじゃない?」



苗木「えっ……?」


霧切「江ノ島さん、苗木君」

江ノ島「ん?」


霧切「街の教会で面白いイベントをやっているみたいよ?行ってきたら?」


苗木「えっ……もしかして結婚式?」

霧切「行けば解るわ」

江ノ島「よーし行ってみよー!」グイッ

苗木「き、霧切さん達は!?」トトト

霧切「……気が向いたら行くわ」

七海「いってらっしゃーい」フリフリ


○●


教会


苗木「ウエディングドレスを着てパーティー!?」


江ノ島「すっごー!教会も不景気なのかなー?」

苗木「ブライダル会社やら服屋も連携してるイベントみたいだね」

江ノ島「このパーティー向けのライトなウエディングドレス借りられるんだってさー!」

苗木「へー……!」

江ノ島「新郎衣装も借りられるみたいよ?」


江ノ島「参加するしかないね苗木ー!」

苗木「……そうなると思ったよ」


江ノ島「苗木はいや?」


苗木「……」

苗木「いやじゃないよ」


江ノ島「行こっ!」ニッ

苗木「うん……!」


○●


苗木「……江ノ島さん、まだかな」

苗木(やっぱりウエディングドレスって着るの大変なのかな)



江ノ島「おっまたせー!」



苗木「……!」

江ノ島「じゃーん!どうどう?」クルクル

苗木「……」ポー


江ノ島「もー!そんなにぼーっとしてたらあっという間にケーキ入刀まで済んじゃうよー?」ホレホレ

苗木「ご、ごめん……!綺麗だよ」カァ


苗木(……)

苗木(純白のウエディングドレスを着た江ノ島さんは……輝いていて、煌めいていて、眩かった)


江ノ島「うぷぷ、苗木はタキシード似合ってないねー」

苗木「……ほっといてよ」

江ノ島「いやいや、苗木の場合似合ってないからこそいいんだよ?カワイイからねー!」

苗木「フォローになってないよ!」

江ノ島「すねないでよー苗木ほらダンスだよダンス!」グイッ

苗木「ぼ、ボク踊れないよ!」アワワ

江ノ島「こんなんノリなんだから、適当でいいんだってば!ほらワンツー、ワンツー」クイッ クイッ

苗木「っとと!」フラフラ

江ノ島「あははははは!」

苗木「……」ノタノタ



(霧切「そろそろ……答えを出さなきゃいけないんじゃない?」)



苗木(答え……何の、答え?)

苗木(……決まってる……江ノ島さんへの、答えだ)


苗木(最大の愛情表現としてボクに死の絶望を与えようとする江ノ島さん)

苗木(ボクの希望に絶望する江ノ島さん)

苗木(ボクを大嫌いだと言う江ノ島さん)

苗木(ボクを大好きだと言う江ノ島さん)


苗木(ボクに……告白した江ノ島さん)



苗木(ボクは……?)



苗木「江ノ島さん!」ガシッ

江ノ島「?どしたの」

苗木「来て!」グイ

江ノ島「え、あ、ちょっと苗木?ドレス着たまんまなんですけどー?」トタタ


○●


ジャバウォック公園


江ノ島「まっさか苗木に手を引かれる日が来るなんてねー!」

苗木「……」

江ノ島「で!こんなとこに連れ出して何するつもり?何してくれちゃうつもり?やだドッキドキ!」

苗木「……」

江ノ島「ねえ、ほんとどういうつもりよー?」



苗木「……」スタスタ

苗木「……っ」スゥーッ







苗木「江ノ島さぁぁぁぁん!!好きだぁぁぁぁぁぁっ!!!」







江ノ島「……」


江ノ島「ぷ」


江ノ島「あーっははははははははっ!!何よそれーっ!!」



苗木「……返事、しなきゃと思って……」


苗木「あの時“約束”をしたけど、“告白の返事”はちゃんとしてなかったからさ、ずっと」


江ノ島「それで絶叫?アホらしいっていうか苗木らしいっていうか」

苗木「う……」カァァ

ごめんクソワロタ


苗木「……どれだけ絶望的な目に遭っても、どれだけどうしようもない絶望でも、キミのこと好きだって解ったから」

苗木「だから……」



苗木「ボクと、付き合ってください……!」



江ノ島「……」

江ノ島「うぷぷぷぷ」





江ノ島「はいっ!喜んでっ!」





苗木「え……?」


江ノ島「末永く絶望させてね苗木ーっ!」


苗木「え?ほ、ほんとに……?」

江ノ島「元々こっちから告白したんだからOKするに決まってるじゃなーい!」

苗木「いや……ここで断られたら絶望的だと思ったから……」

江ノ島「ま、そうだよね。でも」

江ノ島「断った後の未来はそれなりに予測できるけど、OKした後の未来はあんまり予測できないのよねー」

江ノ島「何より苗木の愛がくれる絶望は飽きることなんてないし!」

苗木「……ボクの、愛」


江ノ島「それじゃ、さ」ズイッ

苗木「え、江ノ島さん?」





江ノ島「誓いのキス、してくれる?」



苗木「う……」

苗木「……うん」


苗木「……」




苗木「ボクはキミから全てを守る」

苗木「ボクは全てからキミを守る」



苗木「誓うよ」スッ




……チュッ……



エンダァァァァァァァァア!!!


苗木「……」

江ノ島「……」



苗木「……あの、江ノ島さ」江ノ島「ひゃああああぁぁぁぁぁん!!」



江ノ島「苗木にっ……!苗木からキスしてもらっちゃったよう!なんて希望!!なんて絶望!!」

江ノ島「唇から脣に希望が伝わってきて吐き気を催すほど最高の絶望!!」

江ノ島「苗木ーっ!苗木苗木苗木苗木!もっとキスして!もっと好きって言って!もっと……」


江ノ島「もっとアタシを、絶望を抱き締めて!」


苗木「……」ギュ

江ノ島「はぁん……!ここで苗木を刺したりしたらそれはそれで蕩けるような絶望が得られるんだろうね……」トロン

苗木「……そんなことさせないよ。絶望も希望も、抱えていく準備はできたつもりだから」



苗木「ボクはキミに殺されないし、キミもキミ自身に殺させない……!」



江ノ島「うんっ……そうだよ苗木。苗木だけなんだよ?アタシの絶望を抱き止められるのはさ……」ギュウ

苗木「……全部、受け止めてみせる。キミの絶望を」ギュッ


江ノ島「……苗木」

苗木「……何?」


苗木(そこでボクは、これまで何度も聞いた言葉をまた耳にし……)

苗木(……やっと受け止められた)






江ノ島「絶望的に愛してる!」






おめでとうございます。
スキル“絶望キャッチャー”を獲得致しました。


○●


空>機内


苗木「もう帰国かぁ」

苗木(あの告白の後にも色々あったなぁ……)


苗木(狛枝クンとセレスさんと十神クンと偽十神クンが麻雀して……)

苗木(……なぜか翌朝十神クンが裸体で発見されたり)

苗木(女子達でファッションショーしたり)

苗木(……戦刃さんはなぜか男装させられてたな)


江ノ島「名残惜しい?」ヒョコ

苗木「ちょっとだけね」ハハ

江ノ島「じゃあ恋人のアタシが寂しさを埋めてあげるよー!んぅー!」ズイッ

苗木「ちょ、そういうの、二人きりの時だけにして!」


江ノ島「苗木ったら照れ屋さんなんだからぁーん!そ、そんなカワイイと余計に、が、我慢できなくなっちゃうよぉ……!?」ダラダラ

苗木「め、目がヤバいよ江ノ島さん!」

江ノ島「いっただっきまーす!」グルグルグルグル

苗木「や、やめ……!」



「お前ら動くな!」



江ノ島「ん?いいとこなのにー……」


なんだなんだ?

ハイジャックかよ

クスクス、バカじゃないの?

よりによってオレらの乗ってる機ってなぁ……

そうそう、こういうのがないとね!


ハイジャック犯「静かにしろ!この機は俺達が乗っ取った」


ハイジャック犯「俺達はこの機に希望ヶ峰の生徒がいるのを知ってる。そいつらがどれだけ面倒な奴らかもよく知ってる」

ハイジャック犯「超高校級のガキどもよく聞け。俺達が定期的にコードを送信しなければこの機は爆発する。一人たりとも余計なことはするな」

ハイジャック犯「詳しくは言わんが、こっちはお前らと心中するのもアリだと思ってるってことだけは伝えておいてやる」



ハイジャック犯「そこのパーカー着たチビ!来い!お前は保険だ」



江ノ島「あーあ、苗木ってばツイてないねー?早速絶望?」ウププ

苗木「……まあ、なんとかするよ」スクッ


ハイジャック犯「どうした!?早くしろ!」



苗木「絶望と付き合うのは得意だから……!」



FINAL CASE 閉廷


このハイジャックは狛枝が呼び寄せたのか妹様の仕込みか…はたまた苗木の不幸か


エノシマ ジュンコ

名前  江ノ島盾子
身長  ???cm
体重  ??kg
胸囲  ??cm
特徴
超高校級の絶望


獲得情報
絶望を受け止め、彼女から全てを守り、全てから彼女を守ると誓う苗木。彼女もまた、その希望を受け入れた。

獲得スキル
絶望キャッチャー
 絶望に対して有効。希望をもって絶望の予測、理解、受容を行うことができる。




苗木「じょうずな絶望とのつきあいかた」 完

続くよな?

乙!
残姉ちゃんの交遊関係とかも気になりまくる

乙でした
この世界観というか設定も結構好きなので、気が向いたらまた何か書いてほしいかな

ありがとうございました。
またアイデアが湧いたら要望拾ったりして追加の話書きたいと思います。


すげー良かった

乙!面白かった

乙ー
良い話だった
2人のラブコメは言わずもがなだがW幸運含めたクロスオーバーも好み

ハイジャック犯の方が…ピンチじゃ?苗木が少しでも傷されたら…軍人、アイドル、ギャンブル、探偵…など黙ってくれないし、もっとも妹様からプレッシャー(絶望な恐怖)感じるけど…


まぁとにかく、乙

>>1乙です。そして、ありがとう...ありがとう...!


目次

>>2 CASE1 告白約束
>>46 CASE2 教室ドタバタ
>>67 CASE3 校外ぶらぶら
>>104 CASE4 残姉とお友達
>>163 CASE5 絶望温泉旅行
>>235 CASE6 ゲーマー登場
>>277 CASE7 絶望スゴロク
>>345 CASE8 残姉とお友達2
>>383 CASE9 残念な女子会
>>451 CASE10 絶望希望交換
>>536 CASE11 絶望看病
>>624 CASE12 アホな男子会
>>681 CASE13 希望ヶ峰武闘会
>>767 CASE14 絶望脱出ゲーム
>>838 FINAL CASE


自分用にしかならないかと思いますが見返すのに便利かと思い作ってみました。
失礼しました。


絶望苗木と希望江ノ島がまた出てきて嬉しかった

おもしろかった
後日談とかみたいなー
苗木と盾子ちゃんが下の名前で呼び合ったりせんかな


盾子ちゃん可愛いけどどうにか出来るのは苗木君ぐらいだと確信した

おとめ

ごめん誤爆

絶望的な位面白すぎるssだった
おまけもきたい

乙!
絶望と希望の物語すごいよかった


ここまでガッツリ江ノ島を攻略したSSは初めて読んだ
楽しませてもらいました

乙でしたー
ガチで面白かった
リアルタイムで追えなかったのは残念
次回作、もしくは後日談楽しみにしてます


楽しかった

おつ

乙!楽しかったです!


また頼む


面白かった

>>1000なら希望×絶望が盛大に結婚式

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年09月20日 (金) 23:12:04   ID: hKvdr6BE

ダンロン1のコロシアイを生中継で見てた人って結局誰だったのかな?

わかる方います?

2 :  SS好きの774さん   2013年09月22日 (日) 12:11:40   ID: 1sYUwA22

>>604の書き込みが拾われてないからここだけ見てたら完全に自演www

3 :  SS好きの774さん   2013年10月25日 (金) 23:30:14   ID: MRy7XhOl

超大作ありがとう

泣けてきたーーーーーーーーーーーーーーー

4 :  SS好きの774さん   2013年12月07日 (土) 01:36:22   ID: I3nmCT8e

これは面白かった! オススメタグをつけといたよ

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