箒「日本代表候補生、篠ノ之箒です。よろしくお願いします。」 (63)

※初投稿です。

箒が主役で一夏は殆ど出番なし。
キャラ改変あり。
独自設定あり。
投稿は不規則。

色々と稚拙な所があると思いますが、よろしくお願い致します。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376584756

簡潔に自己紹介を済ませて着席する。
私の苗字に反応してか、微妙なざわつきがあったもののそれはすぐに収まり自己紹介は進んでいく。

この自己紹介の度の何らかのリアクションにも慣れてしまったものだ。
むしろここはおとなしい方で、小学生時代などは___等と考えている内に、気が付いたらHRは今後の授業内容の説明に入っていた。

いかんいかんと、ほんの数秒目を瞑り雑念を追い払い、目を開けた瞬間には担任である織斑千冬先生の話に集中する。

どうやら本格的な授業は明日から始まり、本日はこれで解散となるらしい。
個人的には少しでも早く授業を始め、進めてもらいたいものだ。
が、文句を言っても仕方のないことだ。
既に思考は放課後の予定の構築に入っていた。


千冬「では、これにて本日は解散!号令!」



放課後___

「ねえねえ、篠ノ之さん!篠ノ之さんってもしかして篠ノ之博士の……」

箒「ああ、妹だ。」

予想通りクラスメイト数名に捕まり苗字の事を問われる、やれやれ。

「やっぱり!」

「ねえねえ、篠ノ之博士の事教えてよ!どんな人なの!?」

箒「すまない、私ももう大分会っていないから何とも言えないんだよ。」

当たり障りのない返事をしつつ心の中では、何度したかわからないやりとりに、それこそなんとも言えない気持ちになる。

箒「重ねてすまない、知り合いに挨拶に行くのでこれで失礼させてもらう。」

「あ、引き止めちゃってゴメンね。」

「バイバイ♪」

「また明日ね~。」

箒「ああ、また明日。」

それぞれ言葉をかけてくれる彼女達に対して軽く返事をしつつ手を振って答え、そのまま教室を出る。

(さてと……)

頭の中で構築した今後の予定を反芻する。

(まずは師匠と先輩に、挨拶に行かねばな)

そのまま目的地である職員室へと足を向けた。



職員室

箒「失礼します。」

(えっと、お二人は……)

ちょっと中を見渡すと、目的の人物は直ぐに、二人とも見つかった。
打ち合わせ中か何かだったのか。
一瞬声をかけていいものかどうか悩んだが、直ぐに済ませば問題無いだろうと結論付けた。

箒「お疲れ様です、師匠、先輩。」

千冬「コラ、ここではその呼び名ではなく先生と呼べ。」

山田「そうですよ~、郷に入っては郷に従った呼び方をしてくださいね~。」

担任の織斑千冬先生と副担任の山田真耶先生。
この二人こそ私の剣の師匠であり、代表候補の先輩なのである。
代表候補生になりたての頃は散々扱かれたものだ(遠い目)

千冬「で、どうした?一体何の用だ?悪いが剣の相手をしている暇は無いぞ。」

箒「ああ、いえ、こちらに来てからちゃんとご挨拶できていませんでしたから、改めてと思いまして。」

山田「相変わらず礼儀正しいですね、篠ノ之さん。」

箒「いえ、そのようなことは……それに……」

千冬「一夏の事か?」

一瞬で見破られてしまった。
相変わらずこの人の洞察力は凄い。
時折心を読まれているのではと思う事もある。

箒「はい。調子はどうですか?」

千冬「良くも悪くも変わらずだよ。」

箒「そう、ですか。」


一夏、織斑一夏は師し……織斑先生の弟にして、私の幼馴染だ。
数年前にある事件に遭い、それ以来……植物人間と化している。
一度、たった一度だけ千冬さんに懇願し会わせてもらった。
その日の光景は今でも脳裏に焼きついて離れない。
体は痩せ細り、様々な医療機器に繋がれた、幼馴染であり______初恋の人。
何も出来ない自分が許せなかった、悔しかった。

故に、強くなりたいと願った。

最初は医者になり、一夏を目覚めさせる!などと考えたりしたものだが、重要人物保護プログラムが邪魔をした。
篠ノ之束の妹である、ただそれだけの理由で私は進路選択の自由すら殆ど無かったのだ。
そんな中、見出したのがISの国家代表という道である。
目標は世界一の称号、それだけの強さを手に入れられれば、きっと離れ離れになった家族共また一緒に暮らせる。
自分の守りたいモノを全て守れる。
我ながら単純なものである。
しかしそれでもただひたすらに、愚直にとにかく突き進み、代表候補生としてここにいる。
あの日、自分の中に灯った小さな火は燻り続けている。
この火は、より熱く、激しく燃え上がる事はあれど、決して消えることは無い。


箒「失礼しました。」

その後二、三言会話し、IS練習用アリーナ使用許可を得てから、職員室を後にした。
専用機を手に入れてから、まだ日も浅い。
自らの愛機の力を完璧に引き出せるようになるために、とにかく練習である。
日々の鍛錬を疎かにする事無かれ、積み重ね続けることが大切、継続は力なり、だ。
しかしこうして多めに訓練の時間が取れると考えてみれば、本日の授業が無かったことも、まあ良かったのかもしれない。
等と考えながら、歩を進めていった。

本日は以上になります。

設定は面白そう
先行きに期待して様子見

期待したい

乙でした 男装する必要がないシャルをどう処理するのか楽しみ
あとお色気イベントはありますか?

医者目指すよりちょっと束にお願いする方が確実な上手間かからんよね

箒ちゃん好きだから期待


かっこいい箒ちゃん期待

箒がみんなのお姉様になってしまうのか?ww
期待

邊蛾妛

こんばんわだかおはようございますだかよくわからない時間ですが、投下します。

予想以上に期待の声を頂き、驚きと喜びが凄いです!

お色気イベントはもし入れる余裕があれば、というより書くことが出来たらってことで。

束さんでも植物人間解除は流石に無理かな~と思ってはいたんですが、あの人の頭脳チートですからね、もしかしたらしちゃうかもですね。


翌日


HR___


千冬「本日のHRはクラス代表、まあ要は学級委員のようなものだが。それを決める話し合いをする。ちなみにそれになった者は、一ヵ月後にあるクラス対抗戦に出てもらうことになるのでそのつもりで。自推、他推どちらでも構わんが、推薦された者に拒否権は無い。以上だ。」

一瞬の沈黙の後___

「はーい!それだったら篠ノ之さんがいいと思いまーす!」

「さんせーい!」

(え?)

と思わず声が出そうになるのを寸での所で堪える。

「専用機持ちだし!」

「クールでカッコイイし~」

「凛々しくてステキだし♪」

「もう抱いてってカンジ!!」

何やら照れくさいような、女としてその評価はどうなんだろうと思うような、嬉しいようなガッカリなような、正直複雑な心境である。
というか最後の誰だ。私にそんな趣味は無いぞ。

「いやいやそれだったらオルコットさんでしょ。」

「英国貴族のお嬢様にして代表候補生!」

「上品な口調と物腰にウットリきます……///」

「そんなあなたにもうメチャクチャにして欲しい//////」

だから最後の人は一体何なのかと。
まあそれは置いておいて何やら二つの派閥が出来上がってしまったらしく、なんやかんやと論争が起きている。
もう一人の渦中の人である、クラスメイトであり、英国の代表候補生でもあるセシリア・オルコットさんの方に視線を向けると、バッチリ目が合った。
お互い苦笑いである。というより苦笑いしか出てこない。
視線を外し、さてどうしたものかと考えていると、透き通る声がクラスに響いた。

セシリア「篠ノ之さん!」

箒「え?あ、はい。」

この状況下で考え事の最中、そんな良い声で呼ぶとは正に不意打ちである。
おかげで何とも間抜けな返事になってしまった。
クラスが静まり返る中、オルコットさんが私へと告げる。

セシリア「あなたに決闘を申し込みます!」

箒「へ?」

本日二度目の間抜けな返事であった。



その後はようやく重い腰を上げた千冬先生が、とんとん拍子で話を進め、本日の放課後にアリーナにて私とオルコットさんの決闘が決まったのだった。




昼休み___


「篠ノ之さん、よろしければお昼ご一緒にどうですか?」

と声をかけてきたのはセシリア・オルコットさんであった。
断る理由も無いので、二つ返事で席を立ち一緒に横並びで食堂へと向かった。

「お互い災難でしたわね。」

道すがら最初に声をかけてきたのはオルコットさん。

「全くだ。」

これには全面的に同意である。

「でもあそこで織斑先生がまとめて下さって助かりましたわ。」

「というよりあの人ならもっと簡単に話をまとめることが出来たと思うんだがな。」

正直途中、楽しんでいて止めなかったのではないかと邪推してしまう程に動かなかったからなぁ。。

「おそらく一番良い落とし所を見極めていたんですわ。」

「そういうものだろうか?」

「そういうものですわ。あのままでは仮に多数決などを取ったり、先生が決めたりしてもクラス内に不満が残るのは間違いないでしょうからね。そんな安易に決めてしまっては、ワタクシや篠ノ之さんを応援してくれた皆に悪いですから……ってどうされました。」

(ハッ!?)

同年代にしては大人びた考え方にポカーンとしてしまっていた。
いかんいかん、ちょっと今日は間抜けすぎる、もうちょっとしっかりしよう、私!

まあ少なくとも箒が医者になるよりは遥かに可能性高いだろうな

すいません前のレス、台詞前に名前を張り忘れました。




昼休み___


「篠ノ之さん、よろしければお昼ご一緒にどうですか?」

と声をかけてきたのはセシリア・オルコットさんであった。
断る理由も無いので、二つ返事で席を立ち一緒に横並びで食堂へと向かった。

セシリア「お互い災難でしたわね。」

道すがら最初に声をかけてきたのはオルコットさん。

箒「全くだ。」

これには全面的に同意である。

セシリア「でもあそこで織斑先生がまとめて下さって助かりましたわ。」

箒「というよりあの人ならもっと簡単に話をまとめることが出来たと思うんだがな。」

正直途中、楽しんでいて止めなかったのではないかと邪推してしまう程に動かなかったからなぁ。。

セシリア「おそらく一番良い落とし所を見極めていたんですわ。」

箒「そういうものだろうか?」

セシリア「そういうものですわ。あのままでは仮に多数決などを取ったり、先生が決めたりしてもクラス内に不満が残るのは間違いないでしょうからね。そんな安易に決めてしまっては、ワタクシや篠ノ之さんを応援してくれた皆に悪いですから……ってどうされました。」

(ハッ!?)

同年代にしては大人びた考え方にポカーンとしてしまっていた。
いかんいかん、ちょっと今日は間抜けすぎる、もうちょっとしっかりしよう、私!


箒「ああ、いやすまない、皆のことから先生の事までよく考えているなと思ってな。」

セシリア「貴族として当然のことですわ。」

事も無げにサラリと言ってのける。
その一言には傲慢さなどカケラも無く、それどころか高貴さを感じるものですらあった。
そしておもむろに私の前に立ち、向き直り、両手でスカートの裾をつまみ、軽くスカートを持ち上げて腰を曲げ、頭を深々と下げた。

セシリア「改めましてご挨拶を。英国の貴族にして代表候補生、セシリア・オルコットでございます。本日はよろしくお願いしますわ。」

高貴さここに極まれりとでもいうのだろうか、後光すら見えるようである。
しかしいつまでもその高貴さに圧倒されてはいられない。礼には礼をもって返さねば失礼というもの。

箒「ご丁寧にありがとうございます。日本国代表候補生、篠ノ之箒です。こちらこそよろしくお願い致します。」

お互いに顔を上げ、楽な姿勢になり、軽く微笑み合った瞬間。

「「くぅ~」」

と、まるで挨拶の終了を待っていたかのようなタイミングで、二人のお腹がなった。
セシリアの顔がみるみる真っ赤に染まっていく。

箒「くすっ、さあ、行こうオルコットさん!腹が減っては戦は出来ぬというからな!」

セシリア「!……はい!あ、あと、セシリアで結構ですわ。その代わりワタクシも名前でお呼びしてもよろしいかしら?」

箒「わかった!もちろんいいとも、セシリア」

セシリア「良かった♪嬉しいですわ。」

そのまま私たちは、午後の授業と放課後の決闘に向けての英気を養うために、再び食堂への道を歩き始めた。

本日は以上です。

乙!

今北乙!
箒ちゃんメインは期待せざるを得ない!

お色気イベというのは百合な展開?

皆さんこんばんわ。

>>25
やるとしたらそうなります。が、さっぱりその辺書ける気がしないんです。
期待せずに待っててください。


それでは投下します。


放課後___


私はアリーナへの道のりを、一歩一歩踏みしめていた。
着衣は既に更衣室でIS用インナースーツへと変えている。
私も専用機も準備万端である。
後は展開を済ませて、既にセシリアの待っているであろうアリーナに飛び込むのみとなったその時、不意に後ろから声をかけられた。


千冬「行くのか。」

織斑先生だ。まさかのお見送りである。

箒「はい。」

振り向きざま答える。

千冬「その機体の初陣、か。最初見た時は何やら運命めいたものを感じたものだ。」

遠い目をしている。普段からポーカーフェイスである織斑先生にしては珍しい。

箒「私もです。世界一を目指す私に、ピッタリの機体だと思っています。」

千冬「そうか、うむ、そうだな……。よし、行ってこい!」

箒「はい!」

さあ、いざ出撃である。
高らかに声をあげ、私の愛機を身に纏い、アリーナへと飛び出していく。

箒「往くぞ!白式!!」



アリーナの中央部では、すでにISを展開したセシリアが待ち構えていた。
その身に纏っているは蒼穹の甲冑。
プラチナブロンドの髪と、所々見える白い肌が相まって、さながら絵画のような美しさである。

一瞬見惚れてしまったが、直ぐに気を取り直し、セシリアの元まで一直線に飛んでいき、目の前に降り立つ。

セシリア「成り行き的なものもあるとはいえ、この決闘、ワタクシの誇りにかけて、負けませんわ。」

昼休みまでの高貴なお嬢様はどこへやら。
目前にいるのは、誇り高き決闘者。
その瞳からは威圧感すら覚えるほどである。
しかしそれに怯む訳にはいかない。

箒「私もだ。やるからには勝つ。」

真っ直ぐに、目を逸らさずに返答する。
そしてお互いに右手のみ、装甲を部分解除し、しっかりと握手を交わす。

千冬『挨拶は済んだか?それでは始めるぞ!双方配置に着いて構えろ!!』

スピーカーを通して織斑先生の声が響く。

一定の距離をとり、セシリアは大型のスナイパーライフルを、私は白式唯一の武装である雪片弐型を構える。
場内にピリピリとした空気が張り詰めていく。

千冬『決闘、開始!!』

織斑先生の合図と共に、試合開始のブザーが鳴った。

本日は以上です。

次回、バトルスタートです。

意外と箒の主人公役がはまってるね

みなさんこんばんわ。

投下します。

みなさんこんばんわ。

投下します。


箒「はっ!!」

ブザーと共にブースターを最大限に噴かせ、セシリアへと突撃する。

セシリア「正面からとは無謀ですわ、ね!」

大型のライフルからのビーム三連射。
しかしこんな素直な射撃には当たらない、当たってやれない。
紙一重で全て回避する。

セシリア「なっ!?」

この程度で驚かれては困る。
IS学園入学前から織斑先生と山田先生に鍛えに鍛え抜かれた、戦闘機動と射撃回避術。
正直、銃身の向きを見て予測、回避するとかフィクションの世界だと思っていた。
当時は無茶苦茶だと思っていたのだが、努力を積み重ねれば出来るもので、今となってはありがたい限りである。

箒「最初から全開で行かせてもらうぞっ!!」

セシリア「!!」

切り札は『二つ』だが、一つは今の私ではまだ上手く扱いきれない。
ならばもう一つの切り札で攻めまくる!
雪片弐型の『展開』は済んでいる、モニターに現れるは『 零落白夜 使用可能 』の文字。
抜刀の構えをとり、次の瞬間、フルパワーで零落白夜を発動。
展開した雪片からエネルギーの奔流が溢れ出す。
その勢いを乗せ、更なる加速をつけ、セシリアの左を抜けつつ、真横に一閃!

セシリア「きゃああああああっ!!」

そのまま数メートル離れた所で着地、『零落白夜』を解除し振り返る。

セシリア「……くっ、何ですの、今の威力は!?」


そう、これこそ切り札の一つ『零落白夜』。
相手のシールドを無視して、大ダメージを与える必殺剣だ。
ただし、自分のシールドエネルギーも削られる諸刃の剣でもある。

セシリア「その動き、その光の剣、その機体はまさか織斑先生の?」

おお、流石は一国の代表候補生。
たった一回の攻防で見抜かれてしまった。

箒「その通り、第一回モンデグロッソで我等が織斑先生の使った機体、『暮桜』が元となっている。」

セシリア「ただ一振りの刀のみで世界を獲ったという、あの伝説の……」

セシリアの表情が、本日何度目かの驚愕の色に染まる。
しかし次の瞬間には、その色は既に消えうせ、微笑すら浮かべている。

セシリア「駄目ですわね、どうにも込み上げて来るものがありますわ、抑え切れません。」

よく見ると身体もわずかながら震えているようだ。
恐怖ではあるまい、となると……。

セシリア「日本で言う所の武者震い、でしたか。」

やはり、か。

セシリア「先ほどの一撃、お見事でしたわ。そして、お詫び申し上げますわ。このブルー・ティアーズ相手に近接武器を構える所を見て、無意識のうちに心に弛みができてたようです。大変な失礼をしました。」

戦闘中にもかかわらず、丁寧に頭を下げるセシリア。
勿論、ここで斬りかかりに行くような、無粋な真似はしない。

セシリア「ですが!ここからはこちらも全力ですわ!」

目の色が変わり、その身体からは闘気が漲り、まるでオーラが迸るようである。
それに答えるように、更なる気持ちを込め、私も再び構えをとる。

セシリア「さあ、第二幕の開幕と参りましょう!!舞いなさい、そしてワタクシに勝利の栄冠を!ブルーーー・ティアーーーズッ!!」

以上です。

全力出す前にエネルギー切れんだろ…

待ってた、乙!

またもやこんな時間ですが投下します。


4基のユニットがセシリアのISから飛び出し、私の周りをそれぞれが旋回する。

箒(来るっ!)

相手のユニットが撃ってくるのと私が動き出すのは同時だった。

一発目、回避。

二発目、回避。

三発目、回避。

四発目、かすったが何とか回避。

箒「抜けた!」

しかし油断は出来ない、する暇など無い、すぐに二射目が来るだろう。
ただでさえ、この機体の特性はバレてしまっている。
『零落白夜』を当てることも、さっきのようには行かないだろう。
それでも、だからこそ、やることは変わらない。
とにかく動いて動いて動きまくって、避けて避けて避けまくって、必殺の一撃を叩き込む!

箒「それだけだっ!!」

声を上げ、空中に退避したセシリアに追撃する。

セシリア「やりますわね、ですが、まだまだこれからですわ!」

再びライフルからの三連射。
これは勿論かわす。
しかしここからは、さっきと同じようには行かない。
右に旋回。
次の瞬間には、先程までの進行方向に、後方から一筋の閃光が走る。
強烈なGに耐えつつ、逆方向に旋回し急上昇。
遅れて二つの閃光が、左右上方から挟みこむように、今いた位置を貫いていく。

箒(あとひt)

箒「ガハッ!」

あと一つの所で、真下から打ち抜かれ、動きが止まる。


セシリア「ここですわっ!!」

箒(いけないっ!!)

上下左右前後。
反射的に、おそらくユニットより高出力であろうライフルだけはかわす為に、身体に鞭打ち左に向けて加速。
案の定二発程食らったが、今度は最初からダメージ覚悟の突撃の為、動きを止められることは無く、一基のユニットを叩き落とす。

箒(まだっ!)

その勢いのまま逆方向に急旋回、加速と同時に雪片を『展開』し、構え、『零落白夜』を発動し再加速。
次を撃たせる前にもう一つのユニットを切り落とす。
それと同時に『零落白夜』即解除。
休む間も無く回避行動に移る。
身体は悲鳴を上げているが、止まるわけには行かない。
三、四発程食らっていて、『零落白夜』も二回使っている。
シールドエネルギーは半分以上減っている。
『零落白夜』も使えて後一回か二回。それ以上は問答無用でゲームオーバーだろう。
既に最初に与えたダメージのアドバンテージは無くなっていると考えていい。
頭は冴えている、ならまだやれる!

箒「ハッ!!」

気合を入れなおす意味も込めて、短く、それでいてデカイ声を腹から思い切り出す。
そのまま三基目のユニットに向けて、とにかく狙いを絞らせないように上下左右前後、ジグザグに動きながら、少しづつだが着実に接近する。
その間にも、もう一基のユニットとセシリアのライフルの光弾が何度も何度私の近くを通過していく。
第三者から見れば、肝が冷える思いと言いたい所だろうが、当事者には身体にかかるGの問題で、そんな暇も余裕も無いのが現実である。
それでもかわしにかわしにかわしにかわしにかわしまくって、ようやく訪れた一瞬の好機。
思い切り雪片を叩き付けて、三基目のユニットの破壊に成功する。


セシリア「かかりましたわね!!」

箒「っ!?」

気付いた時には遅かった。
最後のユニットがなんとそのまま真横から突っ込んできたのだ。
そしてそのまま零距離射撃。
勿論ユニット自体はそのまま自爆に近い形で爆散。
相手のユニットは全基破壊できたが、それ以上にこちらが受けたダメージがでかい。

箒「ぐっ……!!」

しかしまだエネルギーは残っている!終わってない!
爆風の勢いに逆らわずに加速、急旋回、急停止、急上昇!
一瞬の隙を突き、爆煙から抜け出し、セシリアの背後を取り、型も何も無く、無造作にがむしゃらに雪片を叩きつける。

セシリア「くっ、あああああああっ!!」

そこからなんとライフルで殴りかかるという、こちらもまたがむしゃらな反撃に、セシリアも出る。
それを見た瞬間に、こちらはそのライフルを思い切り雪片で切りつける。
見事に切られたライフルは、安全装置が働かなかったのか、思いっきり爆発し、私たち両方にダメージを与え、一定距離を吹っ飛ばし、地上に落とされた。

私もセシリアも即座に起き上がる。
というわけにはいかなかった。
傍から見ても、お互い後一撃のダメージで終わるだろうことがわかる状態だ。
何とか立ち上がり、息を整える。
次の一撃が勝負を決める。
セシリアの表情には心なしか余裕が見える。
そしていつの間にか、その右手には剣が握られていた。

箒(格闘戦?いや……)

しかし考えていても仕方が無い。
ここまできたら、あとはもう自分の直感を信じるのみ。
意図したわけではないが、この状況ならもう一つの『切り札』を使える。

箒(おそらくあの剣はブラフ!きっとなにかある!それがぶつかり合う時……)

そう、それが勝敗を決する時。

最終幕、開幕だ。

以上になります。

次回でセシリア戦完結です。

乙 完結の話も楽しみに待ってる

続きマダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン

皆さんこんばんわ。

お待たせしてしまい、申し訳ございません。

投下します。


お互いに無言。
私は左足を前に片手で突きの構えを、セシリアは自然体で立っている。
その硬直態勢が一分。
おそらくセシリアはこちらが突っ込んでくるのを待っている。
後の先を、カウンターを取るつもりなのだろう。
しかしこちらにとってそれは好都合。
最初のようにライフルで狙われている方が、今からすることを考えれば余程厄介だ。
こちらは突っ込むつもりなど無いのだから。
正直失敗の可能性もある。
それでも恐れない、ためらわない。
心の準備は出来た!
力強く、一歩を踏み出すんだ!!

箒「覚悟はできたか?」

セシリア「ご心配、痛み入りますわ。ですがその言葉、そっくりそのままお返ししますわ。」

箒「ふっ……では、見せてやる、ISを手にいれ、その上で鍛錬を積み重ね、たどり着いた境地を!往くぞ!!」

先ずその場で思い切り左足を踏み込む。
この時点でセシリアの動きは無し。
『雪片』を突き出すと同時に右足も前に出す。
そして左足を軸にして身体を半回転。
この時点でセシリアは異常を感じ取ったのか、慌てざまに何かを射出したようだがもう遅い。
そのままの勢いで、最初の体勢から『真後ろ』に向けて突きを放つ。
『音速』の突きを。


直後に私は身体を浮かし、『雪片』と一直線になるように懸命に身体を伸ばす。
それと同時に、

セシリア「きゃあああああああああ!!」

衝撃波がセシリアと、射出したミサイルを襲い、アリーナの端まで吹き飛ばした。

「勝者、篠ノ之箒」


無機質な機械音声が場内に響き渡った。
誰もが呆気にとられていた。
それほどまでに常識外の出来事だったのだ。
ISという力を纏っていたとはいえ、人が、その身体で『音速』の壁を突き破ったのだから。

セシリア「くっ……!」

セシリア(___!?確か箒さんが明後日の方向に突きを放ったと思ったら、その直後……!)

そこまで思考が追いついた時、セシリアに影がかかった。
顔を上げると、

箒「立てるか?」

ボロボロになった、それでいて尚凛々しい、篠ノ之箒が手を差し出していた。

セシリア「ええ。」

そのまま手をとり、立ち上がった。

セシリア「負け、ですわね。」

箒「そうだな。」

セシリア「悔しくない、と言ったら嘘になります。だからこそ、次にまた真剣勝負の機会がありましたら、負けませんわよ。ワタクシのライバル、篠ノ之箒さん!」

箒「ああ、その時は返り討ちにしてやるさ!セシリア!」

そして二人は笑いあい、繋いだままだった手をセシリアが取り直し、箒の右手を高らかに天に掲げた。

セシリア「クラス代表は箒さんに決まりですわ!皆さん、よろしいですわね!!」

一瞬の静寂の後、ここまで呆気にとられ続けていた皆が正気に戻り、

パチパチパチ!
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!!

溢れんばかりの拍手が会場を包み込んだ。

キター

本日は以上です。

次回、鈴登場です。

乙、かっこいい箒ちゃん最高や

皆さんこんばんわ。

これより投下します。

数日後、昼休みの学食___


箒「私はクラスの皆と一緒に昼食をとっていた。」

セシリア「いきなり何を言っているんですの?」

む?いかんいかん、考えていたことが無意識に口に出てしまっていたようだ。
というより何故こんな当たり前のことを考え、口走ってしまったのか自分でもよくわからない。

箒「いや、なんでもない。」

セシリア「大丈夫ですか?クラス代表戦も近いのに。」

箒「大丈夫だ。体調管理も一つの勤め。疎かにはせんさ。」

セシリア「ならいいのですが。」

「ところで聞いた?4組のクラスの代表の話。」

「聞いた聞いた!4組の代表候補生の子、クラス代表辞退したんだって?」

地味に責任を感じる話である。
自分の機体の作成が優先されなければ、もしかしたらあの子も……いや、今更どうにかなることでもない。
このことを考えるのはよそう。


「となるとやっぱり一番の強敵は2組か~。」

「だね。中国の代表候補生の子。」

「他のクラスには専用機持ちの代表候補生はいないしね。」

「篠ノ之さんやオルコットさんは2組の子について、何か知ってる?」

セシリア「お恥ずかしながら、皆さんが知ってる程度ことしかご存じないですわ。箒さんは?」

箒「いや、私も特には。名前ぐらいしか。」

と、言いはしたものの……実は知っている。
以前織斑先生に聞かされたことがあるのだ。
一時期日本にいたことがあるようで、その時に、私と同じ男の子を好きになって、私と同じように絶望に打ちひしがれ、そのまま祖国へと戻り、代表候補生になった子の事を。

箒「凰、鈴音。」

「呼んだ?」

箒「えっ!?」

驚いた。
まさか背後に本人がいようとは。
慌てて振り返り、目が合った。
小柄でブラウンのロングヘアー、そして、とても冷たく深い翠色の瞳を持つ少女と。

本日は以上です。

本来の日本の代表候補生の簪ちゃんはどうするの?

おっつおっつ

>>55
>>52で触れてるが候補生なら何人いても問題ないと思うが

みなさんこんばんわ。

>>55
はい、簪ちゃんは>>57の方がおっしゃっているように代表候補生のままです。
ただ、このあとどのような性格でどのように登場するか等はまだ決まってないです。

それでは投下します。


鈴「あなた、誰?アタシに何か用?」

続けて問われて、慌てて立ち上がり、心を落ち着かせながら答えた。
織斑先生の話を聞いてから、いつかは会うことになるだろうと思っていた。
しかし、このような唐突な出会いになるとは思わなかった。

箒「ああ、いや、私は1組のクラス代表、篠ノ之箒だ。特に用があるわけではないんだ、すまない。」

鈴「そう……。そう、あなたが織斑先生の言っていた……一夏の。」

その瞬間、無表情だった彼女の表情が僅かに曇った……気がした。
どうやら反応から察するに、既に私のことは聞き及んでいるらしい。
過去のことまで。

鈴「あらかた知ってるでしょうけど、2組のクラス代表、凰鈴音よ。鈴でいいわ、よろしく。」

スッと彼女の右手が差し出される。

箒「こちらこそ、箒でいい、よろしく頼む。」

こちらも右手で軽く握り返す。

鈴「それじゃあ、これで。」

箒「ああ、手間を取らせてしまって、すまなかった。」

鈴「別に……。」

そのまま静かに鈴は食堂を立ち去っていった。


「「「はぁ~~~~~~。」」」

箒(おや?)

箒「どうした?」

皆ぐったりしている。そんなに長い間話し続けていただろうか?
むしろあっさりしていた方だと思うのだが。

セシリア「ちょっと空気が重かったですわね。」

「いや~、なんか静かにズッシリしてたって言うか」

「当事者にはわからないものなのかね~?」

「あのー、凰鈴音さん?なんていうか~その~、ほらアレだよアレ。」

「いや、わかんないって!」

セシリア「冷静な、クールなタイプ、とでも言いましょうか。」

セシリア(ただ、ちょっとひっかかりますわね。なにやら鈴さんが一夏、と言った時に流れた微妙な間。なにやらお二人とも、直接的ではなくとも、間接的には見知っているような感じがしましたわね。)


「そうそう、それそれ!」

「無表情で何考えているのかもわかりづらそうだしね~。」

「でも、あれはあれでミステリアスで素敵じゃない?ああいう無表情な子が照れたり悶えたりする所とか想像したら……キャー!もう!!///ねえ、篠ノ之さんもそう思わない?」

箒「あ、ああ」

何やらセシリアは考え事をしているようで、他の皆は先程の鈴の話題で盛り上がっている。
さっきの私に対する質問は聞かなかったことにしておこう。
しかしそうか、そんな重い空気を出したつもりは無かったのだがなぁ。
まあ、それはそれでいい。
そんなことよりも今はもっと重大な問題が発生しているのだ。
一体どんな事かというとだ。

キーンコーンカーンコーン

「嘘!?予鈴!?」

「もうそんな時間!?」

箒「急げ!次の授業は織斑先生だ!遅れたら出欠簿脳天直撃の刑だぞ!!」

セシリア「死活問題ですわね!」

織斑先生の刑罰を喰らう事になるかどうかの瀬戸際だということなのだ!!

本日は以上です。

ちなみに自分イメージでは、この鈴ちゃんは髪をツインテールにはしてないです。

俺の嫁が……ツインテじゃ……ない……だと……!?











…………うん、鈴ならどんな髪型でもカワイイじゃないか

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