矢車想「IS学園…今の俺には眩し過ぎる」 (66)

矢車「はぁー……」

山田「あ…あのー矢車くん?」

矢車「あっ?」ギロッ

山田「ひっ!?…いや、自己紹介…次君の番なんだけど、いいかな?」

矢車「………」ガタッ

生徒達『!?』ビクッ

矢車「矢車想だ…」

山田「えーっと、他には何かあるかな?」

矢車「以上だ…」

山田「あ、はい…」

ザワザワ…

生徒A「あの人が男性で唯一ISを動かせるっていう…」
生徒B「ちょっと怖い…何か気難しそうだし」
生徒C「でも結構イケメンじゃない?服装もワイルドでカッコいいっていうか!」
生徒D「っていうか何あのカッコ!?何で制服じゃなくてあんなボロボロのコート着てるの!?」
生徒E「センスヤバッ!」プークスクス

ガターンッ!

生徒達『!!?』ビクゥッ

矢車「今…誰か俺のこと笑ったか?」ツカツカ

生徒E「えっ!?」

矢車「お前かァ!?」ガシィ

生徒E「ひ、ひいぃぃッ!!」

生徒D「き、気に触ったのならごめんなさい!別にこの子も悪気があった訳じゃあ…」

矢車「どうせお前も俺のことバカにしてんだろ?あっ?」

生徒D「そ…そんな事は!」

山田「や、矢車くん落ち着いて!」

矢車「笑えよ…」

山田「えっ?」

矢車「笑えよお前ら!どうせどいつもこいつも俺のこと見下してんだろッ!?」ガン!ガン!ガン!

生徒E「ひいいぃぃぃッ!」ガクガク

生徒D「やめてぇー!」

矢車「笑えーッ!」

千冬「何をやってるんだ馬鹿者ッ!?」ドゴォ

矢車「ぐわぁぁぁぁぁッ!!」ドサッ

千冬「入学早々何アホな事をやってるんだ貴様ぁッ!?」

矢車「………」

千冬「第一お前制服はどうした!?何故そんな薄汚いボロ布を着ている!!」

矢車「今の俺に、あの純白の制服は眩しすぎる…」

ドゴォッ!

~休み時間~


矢車「はぁー…」ヒリヒリ

箒「お…おい!」

矢車「あっ?」

箒「お前、矢車想…だよな?」

矢車「そういうお前は…篠ノ之箒か?」

箒「お、覚えていてくれてたのか!?いや、そんなこと今はどうでもいい!」グイッ

矢車「何だ?」

箒「いいからこっち来い!」

~屋上~


矢車「…6年ぶりだったな、確か」

箒「あ、あぁ…」

矢車「それで、俺に話って何だ?」

箒「そ…想」プルプル…

矢車「あっ?」

箒「想!一体どうしたというのだ今日のお前は!?」

矢車「………」

箒「初日早々奇抜な衣装で登場したかと思ったら、今度は加害妄想を振り撒き皆を困らせたりと問題行動の連続!」

箒「想ッ!6年前のお前はあんな事をする奴ではなかった筈だ!!」

矢車「6年も経てば人も変わる」

箒「お前の場合は変わりすぎだ!一体全体お前に何があったというのだッ!?」

矢車「………」

~6年前の矢車さん~

『やぁ箒!丁度今麻婆豆腐が出来上がったところなんだ。食べてくか?』

『やっぱり剣道の腕前は箒の方が上だな!』

『箒…離ればなれになっても、俺達はずっと仲間だ!』
───

箒「昔のお前はもっと社交的で、リーダーシップがあって、仲間想いで…」

箒(そ…尊敬出来る奴だった…)

箒「それなのに…何故だッ!?どうしてこんなにやさぐれた!?」

箒「貴様の真髄だったパーフェクトハーモニーは何処へ行った!!?」

矢車「パーフェクトハーモニー……フッ」

箒「な…何が可笑しい!?」

矢車「もう、パーフェクトもハーモニーも無いんだよ……」

箒「クッ!正気に戻れ矢車想ーッ!!」ブンッ!

矢車「………」スッ…

パシッ

箒(なッ!受け止めた!?)

矢車「相変わらず良い太刀捌きだな…箒。お前去年剣道の全国大会で優勝したんだってな?」

箒「えっ?何故それを…?」

矢車「箒、お前はいいよなァ…輝かしい栄光をその手に掴むことが出来て…」

箒「そ…想?」

矢車「お前には理解出来ないさ…地位も名誉も何もかも奪われ、地獄に突き落とされた脱落者の苦しみなど…!」

箒「な…何もかも…奪われた?」

矢車「そう…奪われた!何もかもッ!そして今の俺がいる!」

矢車「地獄の底で喘ぎ、苦しみ…もう二度と、日向の道を歩けない陰の存在として生まれ変わったこの俺がな…!」

箒「そ…想…お前さっきから何を言っているんだ…?」ワナワナ…

箒「本当に……一体何がお前をそこまで変えたッ!?」

矢車「所詮全ては過去の事…お前が知る必要はない…」

箒「想…お前…何故……」

箒(わ…私の知ってる矢車想は…こんな…こんな!)ワナワナ…

箒「…クッ!!」ダッ

矢車「………」

矢車(何も変わってないな…あいつ)

~放課後~

矢車(あれから箒とは全く会話をしてないが…まぁそれもいいだろう)

矢車(あいつは俺みたいなろくでなしと一緒にいるべき人間ではない…)スタスタ

矢車「部屋はここか」ガチャ

矢車(流石に広いな…二人部屋だから当たり前か)

矢車「………」

ガチャ…

箒「ふぅ…」ホカホカ

箒「…ん?誰だ!?…って想!お前こんな所で何を!?」

矢車「箒…?お前と相部屋だったとはな」ガサゴソ

箒「ほ…本当に何をやっているんだお前…?段ボールなんか集めて…」

矢車「今の俺に、こんな小綺麗で設備の整った部屋は眩しすぎる…」

箒「はぁ…?」

矢車「外で暮らす」

箒「はああぁぁぁッ!!?」

箒「やめろー!!これ以上人の道を踏み外すなーッ!!」グイグイ

矢車「放せ箒、これはもう決定事項だ。それにお前も、男と一緒の部屋で暮らすなんて嫌だろ?」

箒「それとこれとは話が別だ!お前の性格がどんなに変わろうが構わん!
  だがなせめて最低限人間らしい生活は送れッ!」

箒「寮を出てホームレスになるなど断じて許さん!!」

矢車「放せ…」

箒「断るッ!」

矢車「ハァー…」ドン

箒「うっ!」ドサッ

矢車「それでも出ていくと言ったら?」

箒「……力強くで止める」スッ

箒(ここで止めなければ、想が今以上に遠い存在になってしまう!)

矢車「………」

矢車(綺麗な目をしているな…一点の曇りも知らない真っ直ぐな目だ…)

矢車(今の俺にとってそれは、あまりにも眩しすぎる。だが…)

矢車「はぁー……分かった。暫くはこの部屋で我慢する」

箒「ほ…本当か!?」

矢車「どうせ俺は地獄の住人…休息を得る場所でさえ自由に選べない運命だ…」
矢車「俺はその闇の運命に身を任せる…ただそれだの事だ…」

箒(やっぱり何を言っているのかさっぱり分からん…)

矢車「それと…」ヌギッ

箒「えっ?」

矢車「いつまでもそんな格好してたら、風邪引くぞ」バサッ

箒「なっ!!?」カァー…

~翌日~

千冬「──という訳で、クラス代表を一人決める。自薦他薦は問わん。誰かやりたい奴はいるか?」

箒(クラス代表…かつての想なら率先してやったであろう役職だが…)チラッ

矢車「………」

箒(今の体たらくでは興味すら示さないか…)

生徒A「はい!」スッ

千冬「どうした?誰か推薦したい人物でも…」

生徒A「矢車くんを推薦します!」

生徒達『はああぁぁぁッ!!?』

生徒B「ちょッ!どうしてよりにもよって矢車くん!?」

生徒A「だって男がクラス代表って、何だか面白そうだし!」

生徒C「面白そうって…昨日あんな事があったばかりでしょ!?」

生徒E「でも、あれは矢車くんに茶々入れた私にも非はあったし…」

箒(いやいや…あれは誰がどう見ても想の奴に問題があったぞッ!)

生徒E「それに私も矢車くんがクラス代表で賛成かな。」

生徒E「あの千冬先生にも物怖じしない態度は色んな意味で凄いし!」

ザワザワ…

箒(全く何を考えているんだあいつらは!?昔の想ならまだしも、今のやさぐれた想にそんな大役勤まる訳が…)

箒(昔の想なら…)

箒(まてよ…これはある意味チャンスなのではないか!?)

箒(今のあいつはとことん落ちぶれたどうしようもないネガティブ野郎だ…)

箒(だが、クラス代表という責任感のある立場に就けば、自ずとその重圧から身も心も引き締まり、
  少しはマシな性格に鍛え上げられる筈だ!)

箒(そしてあわよくば…またあの頃の想に戻って…)

箒「わ、私も!矢車想を推薦します!」

山田「えっ!篠ノ之さんまで!?」

ザワザワ…

箒(うっ!…予想通り最悪の反応…だがッ!)

箒「し…しかし!こう見えても昔のこいつは、学年の成績はいつもトップで
  委員長なとの責任のある役職もそつなくこなす優等生でした!」

箒「クラス代表としての素質は十分にあると思いますッ!」

箒(それももう6年も前の話だが…)

山田「ほ…本当なの矢車くん?」

矢車「…昔の事だ」

ザワザワ…

生徒「えー…あの矢車くんが?」
生徒「何か意外ー」

千冬「こら!お前達静かにしろ!」

箒(よし!これで他に立候補がいなければ想が代表に…)

千冬「他に立候補者、推薦したい者はいないか?ないなら無投票当選という事に…」

セシリア「納得がいきませんわッ!!」バンッ!

千冬「オルコット…?」

セシリア「皆さん正気ですか!?あんな奇人変人大変態をクラスの代表にするだなんて…」

セシリア「そんな事になったらこのクラスの…いやこのIS学園のいい恥さらしですわ!」

矢車「恥さらし…」

セシリア「クラス代表に最も相応しいのは、このイギリス代表候補生で専用機持ちのセシリア・オルコットに決まってますわ!」

矢車「エリートってヤツか?お前はいいよなァ…」ガタッ

セシリア「何ですって?」

矢車「イギリスの代表候補生で専用機持ち…正に人生の勝ち組ってやつだ…」

矢車「それに比べて俺は…どうせ俺なんか…」

箒「お…おい想!」

セシリア「早くも負けを認めますの?まぁ元々勝ち目のない勝負ですしね。当然の判断ですわ」

矢車「はぁー……」

セシリア「全く、こんな根暗で薄汚い変質者をクラス代表にしたいだなんて…」

セシリア「そこにいる方達と篠ノ之さんは非常に可笑しな思考回路をお持ちのようですね。フフッ」

ガターン!!

矢車「 今 俺 の 幼 馴 染 み を 笑 っ た な ァ ー ! ! 」

生徒一同『!!?』ビクゥ

矢車「副担任……この学園では、IS同士の決闘は許されているのか?」

山田「えっ!?あ、はい!一応練習試合という形になりますが問題無いかと…」

セシリア「あら、御友人を詰られたのがそんなに気に入らなかったのかしら?」
矢車「黙れ…」

セシリア「まぁいいでしょう。イギリス代表候補生であるこのわたくしの実力を学園にアピールするいい機会ですしね…」

セシリア「決闘、受けて立ちますわ!」

セシリア「もっとも、相手があなたのようなズブの素人では速攻で決着が付いてしまうので、
     対したアピールにはならないでしょうけども」

矢車「口の減らない高飛車女が…」

セシリア「た…高飛車女ぁッ!!このイギリス代表候補生に向かって何て口の利き方ッ!」

セシリア「もう許しませんわ!!あなた、負けたら私の奴隷にしてやりますわ!!」

矢車「フッ…お前にも、俺と同じ地獄を味わってもらう…」

千冬「…決りだな。それでは矢車とオルコットには、
   7日後にクラス代表を掛けて試合を行ってもらう。いいな?」

セシリア「勿論ですわ!」

矢車「………」

~その日の晩、自室にて~

箒「まさかこの様な展開に発展してしまうとは…」

矢車「俺みたいな奴を推薦しといて、何も問題が起こらないとでも思っていたのか?」

箒「いや多少の反対意見は覚悟の上であったが…そんな事より、どうするつもりだお前?」

矢車「あっ?」

箒「お前がセシリアにふっ掛けた決闘についてだ!」

箒「相手はあのイギリス代表候補生だぞ。ISに関しては全くの素人であるお前が、そう易々と勝てる相手では…」

矢車「はぁー……」

箒「おい聞いてるのか!?」

矢車「…セシリアだったか?あいつはいいよなぁ…イギリスの代表候補生にして専用機持ち…」

矢車「いかにも勝ち組人生を送ってきたって感じの人間…俺のように日向の道を歩けないろくでなしとは真逆の存在…」

箒「ケンカをふっ掛けといて今さら何を…」

矢車「だがな。俺みたいな陽の当たらない世界で生きる闇の住人にも、“それ相応の力”というものがある」カチャ

箒(ベルト…?)

矢車「こいつが今の、俺の力だ…」パカッ

ピョーン ピョーン ピョーン

矢車「何もかも失った俺に、たった一つ残された力…」パシッ

箒「な、何だそれは!?機械のバッタ…?」

箒(一体何処から入ってきたんだ…?)

矢車「こいつは、俺のISを起動させる為の専用ツールみたいな物だ」フキフキ…

箒「俺のISって…それって専用機の事か!?何故お前がその様な代物を!?」

矢車「前にも言った筈だ。俺のつまらない過去などお前が知る必要はない…」

箒「クッ!あーもう分かった分かった!これ以上お前の過去に何があったかは詮索はしない!」

箒「どうせロクでもない話なんだろう!?」

矢車「あぁ…」フキフキ…

箒「……そ、そういえば…あの時のアレは…」

『 今 俺 の 幼 馴 染 み を 笑 っ た な ァ ー ! ! 』

箒「私の為に怒ってくれたのか…?」

矢車「もう寝るぞ…」ガサゴソ

箒「コラッ!無視するな馬鹿者!」

────

箒(それからの7日間、あいつはISの操縦訓練も何もする事なく、ただただ自堕落な生活を送っていた…)
箒(私が剣道の練習に誘っても、そっぽを向いて何処かへ消えてしまう始末だ…)

箒(本当にあいつは勝つ気があるのか?まさかあそこまで啖呵を切っておきながら、逃げ出す気ではないだろうな!?)

箒(いや!いくら人が変わったようにやさぐれたとはいえ、あいつは人間としてそこまで落ちぶれてはいない筈だ!)

箒(私は信じてるぞ、矢車想…)

~決戦当日、アリーナにて~

矢車「………」ザッザッザッ

箒(想ッ!私は来ると信じてたぞ!)

セシリア「まぁ、このイギリス代表候補生を前によくも逃げずに…誉めて差し上げますわ!」

矢車「はぁー…」

セシリア「逃げなかった事に免じて、あなたに最後のチャンスを差し上げますわ!」

矢車「あっ?」

セシリア「今この場で土下座の一つでもしてくれれば、あなたの犯した非礼の数々、許して差し上げてもよろしくてよ?」

矢車「…断る」パカッ

ピョーン ピョーン ピョーン

パシッ

矢車「変身…」カシャ

──HENSHIN──

キュイキュイキュイーン

矢車「はぁー……」

──CHANGE! KICK HOPPER!──

箒「あれが想の専用機…」

千冬「そうだ。あれこそが矢車想の専用IS“キックホッパー”だ」

箒「知っているのですか!アレが何なのか!?」

千冬「私は担任だぞ?生徒の所有するISくらい知ってて当然だ」

山田「ところで、あれって本当にISなんですか…?やけに細身でスーツっぽいというか、何というか…」

千冬「軽装備といってくれ、山田君」

~試合開始~

セシリア「先手必勝ですわ!」バシュンバシュン

矢車「フッ……」ピョーン ピョーン

セシリア「わたくしの射撃を初見でかわした!?」

千冬「キックホッパーは瞬発力に長けている機体だ。」

千冬「機動性能なら矢車の方に分がある」

セシリア「ちょこまかと!見た目も動きもバッタそのものですわ!気持ち悪い!」バシュンバシュンバシュン

セシリア(しかしこれなら…)ヒュンヒュンヒュン

矢車「んっ?」

セシリア「ブルー・ティアーズ!」バシュバシュバシュバシュ

矢車「チッ…自立機動兵器か」ピョーン

セシリア「そこですわッ!」バシュン

矢車「クッ!」バチィ…

セシリア「かすっただけ…運が良かったようですね!しかしッ!」バシュバシュバシュバシュ

矢車「ほう…」スイッ スイッ


セシリア「いつまでも避けられる攻撃ではありませんわ!」シュバババ

矢車「………」

セシリア「察するにあなたのISは近接戦闘用!故にこのまま一定の距離を保ちながらオールレンジ攻撃を与え続ければ…」

矢車「………」ピョーン ピョーン

セシリア「あなたは私に手も足も出せないッ!」

矢車「…チッ!」ピョーン

セシリア「先程までの勢いは何処へ行ったのかしら?全く口ほどにもありませんわね」バシュバシュバシュバシュ

矢車「貴様…」

山田「矢車くん劣勢ですね…さっきから逃げの一手で、反撃すら出来ないなんて」

箒「想…」

千冬(さあ、どうする矢車想?)

セシリア「クッ!さっきからちょこまかと逃げてばかりで!」バシュバシュバシュバシュ

矢車(……そろそろ攻め時か)ザッ…

セシリア「動きを止めた?チャンスですわ!」

矢車(来る…)

セシリア「ブルー・ティアーズッ!」シュパパパ

山田「矢車くんの周りに、一斉にブルー・ティアーズが展開されました!」

箒「何をやっているんだ想ッ!完璧に包囲されたぞ!」

千冬「………」

セシリア「これでおしまいですわ!全機一斉射げ」

矢車「ライダージャンプ…」カシャ

──RIDER JUMP!──

ピコ…ピコ…ピコ


セシリア「き?」

ドシュンッ!

箒「と…跳んだ!」

バシュバシュバシュバシュン

矢車「遅い…」スッ

セシリア「そんなッ!ブルー・ティアーズの一斉射撃を避けるだなんて!?」

山田「は…速いッ!!ほんの一瞬でオルコットさんの頭上よりも高い所まで跳躍しましたよ!」

セシリア(わたくしのブルーティアーズでも捉えられない程のスピードで跳躍を!?何なんですのこのISは!?)

矢車「ライダーキックッ!」カシャ

──RIDER KICK!──

矢車「セェヤァッ!」

ドゴォッ!ドゴォッ!ドゴォッ!

セシリア「ブ、ブルー・ティアーズがッ!」

箒「次々と蹴り飛ばされていくッ!」

山田「これでオールレンジ攻撃は完全に封じられましたね…」

千冬「いや、それだけではない!見ろッ!」


矢車「セェアッ」ドゴォッ!


千冬「奴は蹴りの反動を利用して更なる加速を機体に加え、最速のスピードでオルコットのいる方へと進んでいるッ!」

山田「そんな…ブルー・ティアーズを踏み台にして!?」

矢車(この一蹴りで、一気に距離を積める…)

矢車「ハァッ!」ドゴォッ!

セシリア「こ、こっちに来ましたわ!げ、迎撃をッ!!」

矢車「セェヤーッ!」

セシリア(間に合わないッ!?)

ドゴォーッ!

箒「強烈な蹴りがセシリアの機体にッ!」

バリバリバリバリ…

セシリア「クッ!しかし!たった一度の蹴りでやられる程、このブルーティアーズは甘くは…」

矢車「セイッ!」ドンッ!

箒「蹴りの反動を利用して再び跳躍した!?」

セシリア(二発目が来る!?)

矢車「セイャッ!!」

ドゴォッ!ドゴォッ!ドゴォッ!

セシリア「きゃッ!!」

千冬「三発目、四発目、五発目…正に蹴りのラッシュだ!」

千冬(この攻撃には、流石のオルコットの機体も耐えられまい)

バチィ…

セシリア「シールドがッ!!」

矢車「ハァッ!」

ドゴォアッ!

セシリア「きゃぁぁぁッ!」

ドーンッ!

箒「セシリアが地面に叩き落とされたッ!」

山田「あわわ…」

千冬「勝負あったな」

ブーッ!

『勝者、矢車想』

セシリア(ま…負けた?イギリス代表候補生であるこのわたくしが!!あんな変人に!?)

ツカツカツカツカ…

矢車「イギリスの代表候補生も、ざまぁねぇな……」

セシリア「クッ…!あなた…わたくしを侮辱しに来たの?」

矢車「フッ……」ガシッ

セシリア「えっ?」

グイッ!

矢車「………」ジィー

セシリア(えっ!?ちょ!!か、顔……近い…)

矢車(この女の目…敗北を味わい、絶望に打ちひしがれたいい目をしている…)

矢車「セシリア…いい顔になったな」

セシリア「えっ?何を…」

矢車「俺の妹になれ」

セシリア「えっ!?は、はぁ!?…」

矢車「………」ジッ

セシリア「…はい」

箒「想ーッ!」ダッダッダッ

矢車「箒…」

箒「やったな想!これでお前がクラス代表で決定だ!」

矢車「あっ…?いつ俺がそんな事やると言った?」

箒「え…な、何を言っているッ!?お前がセシリアに挑んだのは…クラス代表になる為じゃなかったのか!?」

矢車「今の俺に、“代表”なんて役職は眩し過ぎる…」スタスタスタ…

箒「そ…想ッ!どこえ行く!?」

矢車「どうせ俺はもう、日向の道を歩けない…」

矢車「俺は深い暗闇の中で一生足掻き続ける…それが地獄の住人である俺の運命だ…」スタスタスタ…

箒「ま、まて想ッ!また何を訳の分からない事を言っている!?」ダダッ

箒(私は諦めないぞ!いつか再び、あいつがあの頃の矢車想に戻るその日までッ!)

セシリア「や…矢車…お兄様…」ポー

~それから暫くして~

生徒A「では!矢車くんのクラス代表決定を祝して!」

生徒達『おめでとー!!』

生徒B「いやー、まさか矢車くんがあんなに強いだなんて思ってもみなかったよ!」

生徒C「代表候補生を倒しちゃうなんてね!」

矢車「………」

生徒D「あれ?そういえばセシリアは…」

箒「そう言えば随分前から姿が見えないが……って、えッ!」

セシリア「はぁ…どうせわたくしなんか…」ザッザッザッ

箒「せ…せせセシリアッ!どうしたんだその格好ッ!?」

生徒A「まるで矢車くんみたい…」

矢車「フッ…似合ってるぜ…相棒」

セシリア「ふふ…お兄様こそ…」

箒「おおおお兄様ッ!!?」

箒「どういう事だ想ゥーッ!」

矢車「同じ地獄を味わった者同士…互いにキズを舐めあっているだけだ…」

箒「き…キズを舐め合うって…何だそれはッ!」

セシリア「ふふ…何がイギリス代表候補生よ…もうわたくしは、日向の道を歩けない…」

矢車「そうだ…俺達みたいなろくでなしは、光を求めてはいけない…」

矢車「もし少しでも手を伸ばそうもんなら…待っているのは痛いしっぺ返しだけだ」

セシリア「お兄様…フフフッ…」

矢車「そう…この学園には、俺達のようなろくでなしや落ちこぼれが山ほどいる…」

矢車「そいつらも、纏めて地獄に送りつける…」

セシリア「同じ地獄の住人を増やすのね?お兄様…」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月09日 (日) 09:01:39   ID: QT4N-UDn

じ、地獄兄妹・・・

2 :  SS好きの774さん   2014年11月29日 (土) 19:26:32   ID: nHTe3OqD

なんだこれwww

3 :  SS好きの774さん   2015年03月23日 (月) 01:40:04   ID: kaNYj3Td

何でか最後までまとめられてないな

4 :  SS好きの774さん   2019年07月15日 (月) 01:12:16   ID: Xx0fhizO

洗脳されとるww

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