ある悪の幹部「ここは、どこだ…?」 (6)

壮年男性「ここですか?…まあ、俗にいう異世界転生への入り口だったりしますけど。」

悪の幹部「…と言うことは、俺は…」

壮年男性「ええ、貴方は正義のヒーローに浄化されてしまった挙句、貴方の味方にも裏切られて親玉に力を吸収され、消滅してしまいました。」

悪の幹部「………。」


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壮年男性「ですが…今まで、本当によく頑張りましたね。」

悪の幹部「えっ…?」

壮年男性「貴方だって、本当なら自分が悪の軍団の幹部、しかも病原菌として生まれてしまうことは、運命とは言え不本意だったはずです。」

壮年男性「そしてあなたは生きるべく、人類の敵として悪事をせざるを得なかった。」

壮年男性「だけど貴方は身内に裏切られ、自分が散々苦しめた正義の魔法少女に助けを求めたけど、嫌いという理由で拒絶され…」

壮年男性「最後には敵も味方も誰も信じられなくなり、暴走して力尽き、親玉のエネルギー源として吸収されて死んでいった…」

壮年男性「…本当に、大変だったことでしょう。」

悪の幹部「でも…」

壮年男性「大丈夫です…むしろこれまでの苦しみから解放されたと思って、次の転生先でも前向きに進んでいきましょうよ。もっとも、自ら命を絶つ者もいるのでこの限りではありませんが…」

悪の幹部「………。」

壮年男性「…私も応援してますよ。」

悪の幹部「………。」

悪の幹部「………ありがとうございます、何だか、俺も少し救われたと思います…!」


壮年男性「此方こそ。それでは……来世でも頑張ってくださいね。」

悪の幹部「はい、それじゃあ、行ってきます……!」

Fin

散々苦しめてきた挙げ句改心する気無いって言われたらそりゃ誰も助けないよ…

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