モバマスより小日向美穂(たぬき)の事務所のSSです。
独自解釈、ファンタジー要素、一部アイドルの人外設定などありますためご注意ください。
前作です↓
【たぬき】小日向美穂「名担当P!?」
【たぬき】小早川紗枝「古都狐屋敷奇譚」
【たぬき】小早川紗枝「古都狐屋敷奇譚」 - SSまとめ速報
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最初のです↓
小日向美穂「こひなたぬき」
小日向美穂「こひなたぬき」 - SSまとめ速報
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P「ウコンの力よし」
P「ヘパリーゼよし」
P「キャベジンよし、ハイチオールCよし」
P「トマトジュースよしッ、大粒ラムネよしッ、味噌汁の作り置きよしッ!」
美穂「ど、どうしたんですか、急に……?」
P「ああ美穂、今夜は飲み会でな。二日酔い対策をちょっと」
美穂「それにしたって凄い重装備ですね……。うちのお父さんだってここまでしないですよ?」
P「メンバーが楓さんと茄子さんとちひろさんなのだ」
美穂「あぁ~~…………」
美穂「ちなみに予定は、何時から何時までとか……?」
P「19時からお嬢様がたが満足するまで……」
美穂「ひえぇ」
P「というわけで美穂よ、俺は行く」
P「もし帰ってこなかったら、その時は……」
美穂「え、縁起でもないこと言わないでくださいよぉ!」
〇
―― 一軒目
P「じゃあ最初の一杯は……俺は生でいきますけど、どうします?」
楓「私も最初は生で♪ 茄子ちゃんは?」
茄子「では私も~♪」
ちひろ「あ、私カシスオレンジお願いします」
P「カシオレ(笑)」
ちひろ「何がおかしいんですか尻にエナドリ突っ込みますよ」
P「怖ッ。ま、確かに最初はビールってのも形骸化した慣習ですわな」
茄子「あぁ、あれってそれなりの理由があるらしいですよ?」
P「理由? どんな?」
茄子「ほら、最初のドリンクってみんな一度に注文するじゃないですか。そこでバラバラだと店員さんも大変だし、なかなか乾杯できなくなるからって」
茄子「だから大人数の飲み会では、最初は『とりあえず生!』なんですって」
楓「あら、人のたくさんいる飲み会ではそんな事情もあるんですねぇ」
楓「それにしても茄子ちゃん、よくご存じで。ぱちぱち~」
茄子「えへんっ」
ちひろ「つまり四人でカシオレを頼んでも全然問題ないということですはい私の勝ち」
P「負けましたサーセン。あ、注文お願いしまーす」
オマタセシマッシャー
楓「それでは音頭は言い出しっぺの私が……えー、こほん。おめでとうございまーす♪」
P「何がだよ!」チーン
茄子「今日の善き日を終えたことが、ということで~。かんぱ~い♪」チーン
ちひろ「かんぱーい、今日もお疲れ様ですー♪」チーン
楓「ここは軍鶏がおいしいんですって。ほら、ちょうど軍鶏鍋がオススメってメニューに」
茄子「あ、いいですねぇ鍋!」
ちひろ「最近めっきり寒くなりましたからねぇ」
P「じゃ鍋で攻めますか。すいませーん」
オマタッシャー
ちひろ「ん~っ、おいしい! 醤油ベースの割り下に、軍鶏の旨味がよく染み出て……」
P「にんにく風味がよく効いてますね。これは温まりそうだ」
茄子「やっぱり筋肉の締まりがいいんですかねぇ、身に歯ごたえがあって噛む度においしい♪」
楓「それで、追って飲むお酒が……」
一同「ぷはーっ!」
ちひろ「――それにしても、もう12月なんですね」
P「まったくで。あーやだやだ、時間の流れが早いってのは恐ろしい」
楓「今月もイベント尽くしですねぇ。師走も、どうぞよろしくお願いしわす……ふふっ」
茄子「おまかせくださいっ。年末年始こそ茄子の出番ですよ~♪」
茄子「それと……京都の件、お手伝いできなくてすみません」
P「ああ、いいんですよ。結果的になんとかなったわけだし」
茄子「何があったかは把握していたんですけど、どうしても出雲を離れられなくて……」
P「……ええと、ご実家で何かお仕事とかでしたっけ」
茄子「そうなんですよぉ。大事な会議があって、10月の半分が準備、11月まるまる使う感じで~」
P「ちなみにどんな会議なんです?」
茄子「あ、聞きたいですか?」
P「……や、やっぱやめときます」
楓「まあまあ、いいじゃないですか。それより今は目の前の軍鶏をもしゃもしゃ食べましょう♪」
ちひろ「そういう雲の上のなにがしかを気にするだけ疲れますよー。私もう慣れちゃいました」
P「つよ……何この人……。いやしかしほんとうまいな」
茄子「ねー。このお出汁でくたくたになった長ネギもまた……♪」シャクシャク
P「つみれうめー。出汁を吸った身がほろほろ崩れて、肉の旨味と一緒に口の中に広がる」ジュワァァ
ちひろ「この、玉ひもって言うんですか? 軍鶏の卵の黄身……ホクホクしてて、味も濃くて……」ホワホワ
楓「それで、合わせたお酒がまた……」
一同「くーっ!」
◆◆◆◆
―― 二軒目
楓「では二次会ということで、おめでとうございまーす」カチン
P「おめでとーっす」
ちひろ「もう何がおめでたいかもわかりませんね」
茄子「毎日ふわっとお祝いするくらいで人生ちょうどいいんですよ~」
P「なんたるポジティブ……」
ちひろ「見習いたい……」
P「……で、こっちが本物の電気ブランなんすね。色も味も偽と全然違うなぁ」
茄子「ああ、京都で偽電気ブラン飲んだんでしょう? いいな~、私も飲みたかったですよう」
ちひろ「偽って何なんですか。密造酒なんじゃ……?」
楓「まあ、たぬきのやることですから♪」クピクピ
P「ていうかスペアリブでかッ」
楓「これはこうやって、ナイフで切り分けて……」キコキコ
ちひろ「うん、おいしい! なんだろ、すごく上等なハムっていうか……燻製されてるけど、お肉の旨味は全然損なわれてない感じ」
茄子「こっちの豚肉の塩漬けもおいしいですよ~」
P「塩漬け……? というか、煮凝りっぽいというか」
楓「いわゆるアイスバインとは違うんですよね。塩漬けした豚肉をハーブと一緒に煮汁で固めた、フランスのテリーヌみたいな……はいどうぞ」
P「うめぇ!」
ちひろ(今自然にあーんしましたね)
茄子(しちゃいましたね~)
楓「他にはほら、人気のメンチカツなんか」
P「うぅむ肉々しい……! 酒も合うけどご飯も合いそうな感じですね。こんなに肉の旨味が強いとは」
ちひろ(今更つっつくものでもないんでしょうねぇ)
茄子(当たり前のことみたいですね~)
ちひろ「あ、すいませーん。ハチブドーの赤おねがいしまーす」
茄子「では私は、ハチブドーパンチをお願いします~」
P「電気ブランサワーを」
楓「オールドと、生をもう一杯♪」
ちひろ「……それにしても、度数40以上のお酒にチェイサーで生ビールってのも凄すぎですよね」
楓「このお店はそれが基本ですから。ビールなんてお水ですよ♪」
茄子「あ、ほら見てください。向こうじゃ飲みながら文庫本を読んでる方までいらっしゃいますよ~」
P「しかし、神谷バー……神谷かぁ」
楓「神谷。奈緒ちゃんも、成人したら一緒に飲みに行きたいですねぇ」
P「奈緒はどうなんだろうな、飲める方になるか無理な方になるか」
ちひろ「あと3年……ええと17歳は他には、美穂ちゃん、菜帆ちゃん、卯月ちゃん、美嘉ちゃん、奏ちゃん、茜ちゃん?」
P「美穂と菜帆はすげー強くなりそう、熊本の子だし」
茄子「わかりますわかります~。それで、奏ちゃんが案外弱かったり?」
P「ははは、ありそう。茜は酒より料理って感じになりそうですね」
ちひろ「美嘉ちゃんはそんなに飲む感じはしませんねぇ。強い弱いじゃなくて、ちゃんと自分でセーブしそうっていうか?」
P「そりゃ~~美嘉はそうですよ。自己管理が凄いんだ。あいつは凄い、うん、酒に飲まれるなんてあり得ない」ウンウン
楓「卯月ちゃんも強いですよ。私、保証しちゃいます」
ちひろ「あ、酒飲みとしてはそう見えます?」
楓「ええもう。もしくはものすごく弱いかです。そのどっちかですね、保証しちゃいます♪」
P「そんな極端な」
茄子「17歳の子達は三年後として、それより近いのは……」
ちひろ「イヴちゃんとフレデリカちゃん、志希ちゃんと周子ちゃん……」
P「……あヤッベ」
茄子「そんなことないですよ~♪」
楓「今のうちから肝臓を鍛えておかなきゃいかんぞう♪」
P「まずイヴとフレデリカの時点で曲者の予感しかしないんですが大丈夫なんですかね」
◆◆◆◆
―― 三軒目
P「ふいー……座敷は落ち着くなー……」
ちひろ「アットホームなお店ですね」
茄子「それじゃ、レモンサワーとホッピー、焼酎ということで~♪」カチャカチャ
楓「ここの焼き鳥はタレがすごくいいんですよ。一本どうぞ」
P「どうもどうも……うわほんとだウマッ。なんですかこのタレ!?」
楓「実はここ昔から鰻屋さんをやってまして。夜メニューの焼き鳥にもタレを流用してるんです」
ちひろ「なるほど秘伝のタレが焼き鳥にも……! ん~、おいしいっ」
P「そういえばさっきの、未成年の子達のお酒予想ですけど……茄子さんはアレですね」
茄子「はい?」
P「いや、ほんとに20歳なりたてなのかなぁって。ぶっちゃけ100年前から飲み慣れてますって感じするけど」
茄子「あら、そんなことありませんよー」
楓「何を言ってるんですかプロデューサー。茄子ちゃんはピチピチのハタチですよ?」
茄子「うふふ、年少者でーす♪」
P「くっ、かわいい……」
ちひろ「ハタチ……ハタチかぁ。私その時何してたっけ…………」
ちひろ「…………まあどうでもいっか。あ、このつくねおいしー♪」
楓「ちょっと焦げ目がついてるのがまたニクいですねぇ♪」
◆◆◆◆
―― 四軒目
P「ほー、これが鯨の刺身」
ちひろ「どれどれ……ん~っ、おいしい!」
茄子「にんにく醤油が利いてますよね~。ほんとにお魚じゃなくてお肉って感じ♪」
P「うん、竜田揚げもうまい。衣サクサク、身はホクホクで……この練りからしの存在感がまたいいですね」
楓「これもおいしいんですよ」スッ
ちひろ「あら煮込み」
P「大将の傍の大鍋で煮込まれてた奴か……う、うまい!!」
楓「でしょう? 煮込みしか無い、鯨屋で~♪ っていうのご存知ありません?」
P「あ、ビートたけしの歌の舞台ってここだったのか」
茄子「そうそう、確かこう続くんですよね。夢を語った~チューハイの~♪」
楓「泡にはじけた、約束は~……灯りの消えた、浅草の~……♪」
茄子「コタツ一つの~、アパートでぇ……♪」
ちひろ「楓ちゃん茄子ちゃん、歌姫さんちょっとちょっとちょっと」
楓・茄子「はい?」
オオー…
ちひろ「他のお客さんが聞き惚れちゃってますから、美声の大安売りはここらへんで……」
楓「あら、失礼しました♪」
パチパチパチ
◆◆◆◆
―― 五軒目
ちひろ「おでんはふはふ」
P「ちくわぶうまし」
ちひろ「あぁ、みてくださいよほら、このおみせカラオケ機がありますよぅ」
P「わぁい」
楓「さけがのめるのめるぞー♪ さけがのめるぞー♪(美声)」
茄子「うふふ~♪ いい感じにゆるゆるになってきました~♪」
◆◆◆◆
―― 夜道
ちひろ「ぐふっ」ドサッ
P「ちひろさーん!?」
ちひろ「私はもうだめです……世界がぐるぐる回ってます……」
楓「あ、見て見て茄子ちゃん。街が踊ってますよー♪」フワフワ
茄子「あらほんと、さかさまになってますね~♪」プカプカ
P「しっかりして下さい! ちひろさんが先に逝ったら俺はどうすればいいんだ!(あの二人を)」
ちひろ「最後に……私の頼みを聞いてください……」
P「俺にできることならなんでも……!」
ちひろ「領収書の管理はしっかり……」
P「はい……!」
ちひろ「書類は種類別で決めた場所への保管を徹底……」
P「はい!」
ちひろ「納税は欠かさず……イベントは必ず走り……」
ちひろ「天井も厭わずガチャを回し……ドリンクは都度まとめ買いし……フェスにも負けず、限定にも負けず……」
P「あんた実は余裕あるだろ」
ちひろ「ちぃっ」
楓「それにしても、もうどこもお開きムードですね」
茄子「あ、それでしたらうちに来ます? たまには宅飲みなんてのも♪」プカプカ
ちひろ「茄子ちゃん、逆さま逆さま」
P「そんなこと言ったってどこにお宅があるかわかんないんだから」
茄子「あはは、すぐですよすぐ。本当にすぐ~」フヨフヨ
楓「茄子ちゃん茄子ちゃん、ぱんつ見えちゃいますよ」
P「でもなぁ……ちひろさんと楓さんだけならまだしも、おっさんが一人混ざって女性のお宅にお邪魔するのはマズいんじゃ」
茄子「ん~……駄目ですか?」
P「駄目っていうか、色んな都合で良くはないっていうか……」
茄子「いたいけな年下アイドルのお願いでも、ですか……?」ウワメヅカイ
P「ンッッ…………」
楓「まあまあいいじゃないですか。かわいい茄子ちゃんのお願いなんですから」
茄子「そーだそーだー! かわいい茄子ちゃんのお願いですよ~っ」
P「クッ、ここぞとばかりに年少者の立場を利用しおる……!」
茄子「それにほら、本当にすぐなんです。はいっ」ガチャ
P「ん? 今開けたのそこらの雑居ビルの非常口じゃなかった? なんで向こうに立派なお座敷が広がってんの?」
ちひろ「わぁ~茄子ちゃんのおうちはビルに繋がってたんですね~」
茄子「実はそうなんですよ~。核シェルターとも宇宙船のエアロックとも繋がってますよ♪ どうぞどうぞ~♪」
P「………………まあいっか!!」(酔っ払いの決断)
◆◆◆◆
―― 鷹富士宅 大座敷
茄子「はいっ、着ーきまーした~っ♪」
P(あれ? どうやって移動したんだっけ?)
ちひろ「ふへー」グテーン
茄子「ちょっと待っててくださいね。おつまみ用意してきますから」
楓「あ、お手伝いしましょうか」
P「ああお構いなく……いやすいませんもうズンドコなんとかみたいなのは勘弁して頂ければ」
茄子「ご心配なく~。はいどうぞ、自家製のスモークハムくらいしかありませんけど……」
P「はやいそしてうまい」モグモグ
楓「茄子ちゃん、ぬっぺふほふのお肉なんてよく買えましたねぇ」
P「それ聞かなかったことにした方がいいやつ?」
楓「まあまあご一献……」トクトク
ちひろ「どうもどうもぉ」
茄子「そういえば、この間も話したんですけど」
P「はい?」
茄子「Pさんって私達だけには丁寧語なんですよね~。それってやっぱり崩せませんか?」
P「ぬ」
ちひろ「あーなんか線引きとしてはハタチ以上か以下かみたいな話です?」
茄子「そうそう。でもそれじゃ、たとえばイヴちゃんやフレデリカちゃんみたいなほぼ成人な子はどうなのかな~っていうのを前ちょっと」
P「半年以上前の話でしょそれ!」
(※鷹富士茄子「現在、未来、茄子ですよ~」鷹富士茄子「現在、未来、茄子ですよ~」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526315837/) より)
楓「確かに、考えてみれば気になりますね」
P「いや、でも、それはもうそういうもんだし……第一そっちだって丁寧口調じゃないですか! お互い様だ! 人のこと言えない! はい論破!」
茄子「そういえば」
楓「あ、じゃあ崩します? 喋り方」
P「えっフットワーク軽ッ」
楓「そういうのツイッターで流行ってましたしね」
P「息をするようにメタ発言するのやめてください」
楓「まあそう言わずに……それとも、Pさんはこんな私とお話するの、いや?」
P「ウッッ」
ちひろ「シームレスに切り替わった!」
茄子「よっ、千両役者~!」
P「いやいやちょっとちょっと、楓さんね……」
楓「楓って呼んでくれないの?」
P「ヌッッッ」
茄子「おほん、それでは私も……はぁ~いPく~ん? いじわるしないで素直になろうね~♡」
P「ちょ、お二人ともね、それ以上はアレだから。冗談きついってマジで」
楓「あ、そういうこと言うんだ。……ねえ、こっち見て?」ミギミミ
茄子「うふふっ、顔真っ赤~。かわいい♡」ヒダリミミ
P「あぁあぁあぁぁあぁぁ」
P「ち、ちひろさん、助け」
ちひろ「ああ、お構いなく~」ジー
P「なに動画撮影してんの!?」
ちひろ「なんか有効な証拠になるかな~と思って」
P「何のだよ!!」
楓「動画記録も残したことだし、この辺にしておきましょうか♪」パッ
茄子「またして欲しくなったらいつでも言ってくださいね~♡」サッ
P「心臓に悪すぎる」ゼェハァ
〇
~しばらくして~
P「ふぃ~……なんだか異様に落ち着きますねこの座敷」チビチビ
楓「本当に。居心地がいいですねぇ」クピクピ
茄子「ふふっ、気に入っていただけて嬉しいです♪ あ、そういえば~……」
P「はい?」
茄子「Pさんってご結婚は考えていらっしゃらないんですか?」
P「ブフォッ!! ゴホゴホ!!」
ちひろ「あ、咳き込んだ」
P「茄子さんはさぁ! 隙あらば爆弾落とさないと気が済まない人!?」ゲホゴホ
茄子「だって気になるじゃないですか?」ジー
P「イノセントな目やめて! 無いですよ何も、なんも考えてない、仕事が恋人!」
ちひろ「出たテンプレ回答」
P「他に何と言えっつーんじゃ!」
楓「とはいっても、そろそろいい歳ですもんね」
P「お互い様でしょそんなの。ぶっちゃけ俺は楓さんが一番心配ですよ」
楓「あら、でしたら貰って下さいますか?」
P「言っていい冗談と悪い冗談があるぞトップアイドルゥ!」
楓「♪」グビー
ちひろ「だめですよー楓ちゃん、こんなスチャラカと一緒になったら毎日毎晩どこ飛んでかれるかわかんないんだから」
ちひろ「ある日突然この世はでっかい宝島! とかなんとか言って七つのボールとか集めに行くような男ですよこの人」クピピー
P「職場の同僚にどんなイメージ抱いてんだ。俺は普通だっての」
ちひろ「京都で化け狐に天ぷらにされかけた人がなんか言ってるー」ブーブー
P「大体ちひろさんはどうなんですか。いい相手いるんです?」
ちひろ「あっそれセクハラですよ。うわー引くわー職場の同僚のそういうとこほじくるとか」
P「ブーメランでかすぎかよ」
ちひろ「ええ…………まあ…………なんもありませんけど」
P「そっか………………」
ちひろ「…………今度一緒に婚活パーティー行ってみます?」
P「えぇ~? あれってほんとに意味あんのかなぁ」
茄子「プロデューサーが婚活パーティーに行ったなんてみんなに知れたら大変ですよ~?」
楓「事務所にコンカツション(激動)が走りますね、ふふっ」
ちひろ「あ~そうかこの人そうなんだ。けーっ幸せ者め。いいですよ私一人で寂しく行きますよ、ぷー」
P「何がぷーだ何が。ていうか俺はプロデューサーであって、アイドルをそういう目ではですね」
楓「よっ、理性の鬼♪」
茄子「アイドル馬鹿~♪」
ちひろ「そんなこと言って、将来みんなに見放されてたって知りませんからねー」グビビー
P「将来……」グビグビ
〇
P「…………ん? 何時だっけ今、終電は……?」ベロベロ
茄子「お気になさらず~。時間はどうにでもなりますから~」
楓「それにしても、ずいぶん長くお邪魔しちゃってますね」
茄子「いいんですよぉ。あっ、そうだ! お風呂いかがですか?」パッ
楓「まあ♪」
ちひろ「お風呂? 沸いてるんですか?」
茄子「結構自慢なんですよ~。四、五人は一気に入れる檜風呂で」
楓「何故か温泉が引かれてあるんですよね。実は期待してました♪」
ちひろ「えっうっそほんとですかそれ、私も入っていいです?」
茄子「もちろん~♪」
P「あんたらここに男一人いること知ってる?」
茄子「プロデューサーもいかがですか? お背中お流ししますよ~」
P「そういうことじゃなく! ええい! いいからとっとと入ってきなさい!」
〇
~更にしばらくして~
ちひろ「ふーさっぱりさっぱり……。ふふっ、浴衣もあるなんて」ホコホコ
P「」
ちひろ「なんでツタンカーメンみたいなポーズで寝そべってるんですか」
P「俺なりの精神統一です」
ちひろ「赤ら顔の成人男性がそうしてるの相当怪しいですよ」
P「余計なお世話だ。二人は?」ムクリ
ちひろ「もう少し入ってるみたいです。日本酒持ち込んでたし」
P「のぼせたりしないのかな……いやあの二人に限ってそれは無いか……」
マアイッパイドウゾ アッドウモ …
ちひろ「……」クピクピ
P「……」ゴクゴク
ちひろ「今日も大変でしたねぇ」
P「まったくで。まあ毎日そうですけど、みんなの為ですから」
ちひろ「みんなも頑張ってくれてますからねぇ。もうこっちが遅れちゃいそう」
P「うちのアイドル達も立派になりましたよ。いつも元気付けられる。あいつらの顔を見るのが毎日楽しみです」
ちひろ「確かに。……ところで私はどうなんです? いつもあなたを陰から支える健気で可愛い千川ちひろは? 『て』から始まる?」
P「天敵」
ちひろ「よーしわかった表に出なさい天敵のなんたるかを教えてやりますよ」
P「あぁん? やんのかおぉん?」
ちひろ「はぁん?」
P「ほぉん?」
“!?”
ちひろ「…………茶番はこの変にして。もう一杯どうぞ」トクトク
P「あっこりゃどうもへへへ……」トクトク
クピクピ ゴクゴク
……
ちひろ「それで?」
P「はい?」
ちひろ「あるんでしょ何か。お酒入れて、こういう席でもなきゃ言えないこと」
P「……そういう顔してました?」
ちひろ「してないつもりだったんですか?」
P「……いや、まあ」
P「…………う~ん」
P「………………大したことじゃないっすよ」
ちひろ「はいちっひの相談室閉鎖まであと5秒でーすよーんさーんにーいいーち」
P「早い早い早い! 言いますよもう! なんなんだこの人!」
P「――まあ、ぶっちゃけたまに不安にはなるんですよね」
ちひろ「不安?」
P「業界のこととか、今後の仕事とかもまああるけど、もうちょっと別のトンデモなとこ」
P「直近で言えば京都であったみたいなことです」
ちひろ「ああ……」
P「正直あれはギリギリだった。みんなが頑張ってくれたからなんとかなったけど、どっからどう見ても俺の手に余る案件でした」
P「運というか博打というか、どっかでボタンが掛け違えば無事帰れたかもわからない。しかもそうなった場合、被害は俺一人じゃない」
P「そういうことを何度か繰り返して、みんなのおかげで危ない橋も渡れてきたけど、今後を考えると……こう」
ちひろ「…………」
P「『最悪の場合』はやっぱりどうしても考えます。結局俺はただのおっさんであって、あいつらよりちょっと長く生きてるだけでしかない」
P「だから……なんというか。大人? として、こう。これからもみんなを守っていけるのか……みたいなことをちょっと」
ちひろ「………………」
P「…………という話です。うわ何語ってんだろ俺。いやこれアレですから、酔ってるやつだから、あんま気にしないでも――」
ちひろ「はぁ~~~~……」
P「あの」
ちひろ「ちょっと失礼」ガシッ
P「えっそれ俺のグラス」
ちひろ「んぐっんぐっんぐっんぐっんぐっんぐっんぐっんぐっんぐっ」
P「うわぁ一気!!」
ダンッ!!
ちひろ「ば~~~~~~~っっかじゃないですか!?」
P「ハルパゴスッ!?」
ちひろ「またそうやって一人で背負い込む。それも大人の責任って奴ですか? それとも男のプライドみたいな? そんなのはワンちゃんにでも食べさせればいいんですよ!」
ちひろ「大体もう答え出てるじゃないですか。あなた一人じゃ手に余る! みんな頑張ったからなんとかなった! はいこれ! お仕事も珍事件もぜーんぶこれ! これまでもこれからも、それでオールOKでしょーに!」
P「いやしかし、いざって時の責任の所在という奴が」
ちひろ「そうなったら一緒に切腹でもなんでも付き合ってあげますよ! 私が言いたいのは、今からそれを気にして変に足踏みするのが馬鹿馬鹿しいってこと!」
ちひろ「言っときますけどね、みんなお互いのことほんとにめちゃくちゃ信頼してるんですよ。あなたのことも。だからここまで来れたんじゃないですか!」
ちひろ「とっくにPさん一人が大人として守る守らないって話じゃないの。あの子達だって子供じゃないでしょう。お互いに信頼して、頼って助け合ってそれで回ってるんです!」
ちひろ「だからあなたは、細かいこと気にしないでどーんとしててください。あなたがそうしてるからこそみんな思いっきり前に進めるんですよ!」
P「…………ちひろさ」
ちひろ「返事はハイかイエス!!」
P「イエスマム!!!」ビクーッ
ちひろ「…………はい以上。ちっひの相談室おーしまい」カラン
P「……酔ってますね」
ちひろ「しらふで言えるもんですか」
P「……ありがとうございます」
ちひろ「……ま、事務処理ならしますんで私が」
P「ウッス」
ちひろ「誰かさんのせいで二人分のカバーするのにも慣れちゃったし」
P「ウッス(小声)」
ちひろ「でももうちょっと事務所にいて下さい。一人で机に向かってるの、これでも結構寂しいんですよ」
P「善処します」
ちひろ「…………」
P「…………」
ちひろ「もう一杯どぞ」トクトクトク
P「ウッスいただきます」グビグビグビ
〇
―― 廊下
茄子「……済みましたか~?」ホカホカ
楓「そうみたいですね」ツヤツヤ
茄子「ふふふ。今日セッティングしたのって、あれが狙いなんでしょう?」
楓「……あら、バレちゃってました?」
ニシテモノミスギジャナイッスカ マダマダイケマスヨナニイッテルンデスカウップ チヒロサーン!?
楓「お酒が入ると、代わりに出てくる本音というものもありますから……」
茄子「違うものも出かかってますね~」
ハァ…ハァ…セーフ マジカンベンシテクダサイヨ
楓「では、そろそろ討ち入りということで……」
茄子「おっ、いっちゃいますか~?」
ガララッ!
楓「まだまだ夜はこれからですよ~っ♪」
茄子「いえーいっ♪」
P「ウワーッ帰ってきた!?」
楓「まあまあPさんまあまあまあまあ」トクトクトクトク
P「この期に及んで新しい一升瓶を開ける暴挙!!」
ちひろ「ええいっ、こうなったらとことんまで付き合っちゃいますわーい!!」
茄子「その意気です~っ!」パチパチパチ
P「くそう! ほんっとにしょうがない人達だな!」
ちひろ「何言ってるんですか、一番仕方のない人が!」
楓「仕方なしは叱ったらないけませーんっ♪」イェーイ
茄子(……と三人とも言い合うのを、仕方ないなぁと思う私なのでした♪)
◆◆◆◆
―― 翌日 事務所
P「」ゲッソリ
美穂「あわわわわ……」
P「あ、頭が、頭が痛い……」ガンガン
ちひろ「き、昨日はなんだか、すごく失礼なことを言ってしまった気がしなくもなくも……すみません……」ズキズキ
P「いえいえそんなこちらこそ……」ウップ
ちひろ「今日ってそのアレのコレはどういうそれでしたっけ……」
P「あのそれはここのこういうあれがこれでこう……」
美穂「あ、あの、どんな飲み会だったんですか?」
P「……」
P「猛獣の檻に投げ込まれた生肉…………」
美穂「ひょええええ……!」
ちひろ「私は猛獣じゃありませーん……」グッタリ
楓「楽しいお食事でしたねぇ♪」
茄子「次はいつにしましょうか~」
P「なんでピンピンしてるのこの人達……」
ちひろ「う~……なんだか恥ずかしいこと覚えられてる気がする~……」
楓「美穂ちゃんもいつか、一緒にお酒が飲めるといいですね?」
美穂「わっ私ですか!? うぅ、大人になったら飲めるかなぁ」
P(強い気がする……)
ちひろ(きっと強くなる……)
茄子(将来が楽しみですねぇ~♪)
美穂「ぽこ?」
~オワリ~
おしまいです。特にオチは無いです。
お付き合いありがとうございました。
おつ
酒が飲めるぞー!
乙でした
美穂は球磨焼酎とか気付いたら一瓶空けてそうw
とりあえずビールが店員の手間をかけさせないため、ってよく言われてますけど
サーバーを使う店だと、一杯ずつ注がなきゃならないんで一気に来られると逆に大変な事に
乙
>>ビール
昔は樽の親玉からダバーッだったからなぁ
あれ、栓が壊れると辺り一面酔っ払いができますからねぇ
>>39
大瓶と人数分グラス、ってのが正しいよな大人数宴会では
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