勇者見習い「今日は洗礼の日。」 (53)
勇者見習い「へへっ、今日ボクは勇者に……!」
勇者見習い「このエーリル初の英雄になるぞ!」
~エーリル~
エーリルとは、主人公勇者見習いの住む村。
村の名前の通り、エールと呼ばれる神を特に
信奉している。また、その教会本部がある。
~洗礼の日~
洗礼の日とは、旅立ちの許可が出る年齢に
なった時、エール教会本部で神の洗礼を受け
その旅立ちを祝福され、冒険に出れる習わし。
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意気揚々と教会へ歩くボクに村人が近づいてきた。
村人A「よっ、今日で見習いも卒業か~?」
勇者見習い「まだまだ、だけど今日を区切りにするよ。」
村人A「まぁ、無事祝福を受けれるよう祈っとくわ。」
勇者見習い「! あ、ありがとう(そう願いたいな……)」
その会話を聞いてか、また別の村人が近づいてくる。
村人B「は~、今日でお別れか? 早かったなぁ。」
勇者見習い「でも、また戻ってくるよ……え、英雄になって」
村人B「え? なんだって? ……冗談だ、一人前になるまで頑張れよ!」
勇者見習い「そうだね、今日は特別な日になりそう――」
ドゴォォオンッ!
突如、凄まじい衝撃と轟音が周囲に鳴り響く。
「「「!!!!」」」
村人A「!! な、なんだ今のデカい音!?」
村人B「! 村の外だ! そう離れてないぞ!」
村人C「……ま、まさか魔物が!?」
勇者見習い「! そんな……いや」グッ
勇者見習い「(そうだ、ボクは勇者になるんだ)」
勇者見習い「(こんなところで、足踏みなんか出来ない!)」
ダッ!
村人「! あ、おい! 待て、どこに――」
ボクは、その静止を振り切り衝撃と爆音の方向へ駆ける。
勇者見習い「はぁ、はぁ……ふぅ」
勇者見習い「む、村の外れ、森の方まで来ちゃったけど……」
勇者見習い「(煙が上がってる、この辺りのはず)」キョロキョロ
ガサッ……バッ!
勇者見習い「!」サッ
スライムが現れた!
勇者見習い「?(……)」ガサゴソ
勇者見習い「……あっ!(しまった、家に忘れ)」
スライムの攻撃! 体当たり!
勇者見習いはダメージを受けた。
勇者見習い「くっ……まだだ!」
勇者見習い「(なにか武器になりそうなのは……)」
パキッ
勇者見習い「!」
スライムの攻撃! 体当た――
勇者見習いは咄嗟に棒切れを拾い
その勢いのまま、スライムに突き刺した!
スライム「」ガクッ
スライムを倒した!
勇者見習いは経験値を得た。
レベルが上がった!(1→2)
勇者見習い「よ、よかったぁ。」ホッ
勇者見習い「(よし、戻って探すぞ……)」
トコトコ……
そして、捜索に戻るや否や小岩の傍に蹲っている
人影を発見する。あの轟音の影響か、人影の周囲は
地形が変動した跡があったため、すぐに気づけた。
???「……」
勇者見習い「! だ、大丈夫ですかっ!」
なりふり構わず、大声で呼び掛ける。
???「んっ……あら?」パチ
勇者見習い「っ! 大丈夫でしたか……!」
???「貴方は……?」ジィ
勇者見習い「! あ、ええっと、ボクは……」
改めて見ると、ボクを見つめる赤い瞳の持ち主は
大きく映える青いリボンに、背まで掛かる薄緑色の髪。
青を基調としたメイド服のような衣装を着こなした――
……少女だった。
少女「……うふふっ、貴方こそ大丈夫かしら?」
続きは後日書き込みます。
>>12
その言葉を最後に…
楽しみにしてる乙
勇者見習い「!」ドキッ
勇者見習い「ゆ、勇者……を目指してる見習い、です。」
少女「そう……ここは、どこなのか分かるかしら?」
勇者見習い「ええっと、エーリルの村外れの森で」
少女「(エーリル……そんなところまで……)」クスッ
勇者見習い「あ、あの、よければボクの家まで案内しますよ。」
少女「あら……貴方、私を誘ってらっしゃるの?」
勇者見習い「?」キョトン
少女「……いいえ、なんでもないわ。うふふっ……」
勇者見習い「は、はい。こっちです。」スタスタ
少女「……」ジィ、トコトコ
~エーリル~
勇者見習い「! つきました!」ピタッ
――シーン……
勇者見習い「……?」クルッ
勇者見習い「あ、あれ? (どこに……?)」キョロ
村人「おーい! 無事だったか! 無茶しやがって。」
勇者見習い「! あっ……その、ごめんなさい。」
村人「いいさ。なんともねぇみたいで、よかったな。」
村人「ま、多少騒ぎになったが、村も無事だ……っ!」
村人「おい! 今日は洗礼の日じゃないか!」
勇者見習い「!! そ、そうだった……急がないと!」
タッタッタッ――
~教会本部~
勇者見習い「はぁ、はぁ、はぁ……しっ、司祭様!」バッ
司祭「……ギリギリじゃったぞ。」フゥ
勇者見習い「す、すみません……村で騒ぎがあって……」
司祭「そのようじゃな、此度は大目に見るとしようかの」ゴホン
司祭「執り行うゆえ、この洗礼の祭壇に立つがよい。」
勇者見習い「はいっ! ありがとうございます!」
司祭「~~神よ~~エール~~……」ブツブツ
勇者見習い「(ここまで、道中色々あったけど……)」
勇者見習い「(まず、洗礼を受けないと旅立てないよ)」
勇者見習い「(それに、エール様を見れる唯一の機会だ)」
司祭「~~……む?」
……
…
勇者見習い「? し、司祭様?」
司祭「え、エール様が降臨せぬことなど……いや、しかし」
勇者見習い「えっ……え!? そ、そんな、なんで……」
司祭「分からぬ……が、エール様は人智の及ばぬもの。」
司祭「前例はない、しかし……祝福に現れんとなれば」
司祭「致し方あるまい、その身で旅立つ他ないじゃろう。」
勇者見習い「!?」ガーーン
勇者見習い「? あ、あぁ……――」フラッ
司祭「き、気を確かに保つのじゃぞ……」
――
―
その後、家に戻るまでの帰路は朧気なままで……その事実は
あまりに大きく、ボクが受けたショックは計り知れなかった。
続きは後日書き込みます。
あぁ少女がエールってやつの仮の姿なんだね
やめたれや
~勇者見習いの家~
ガチャリ……
勇者見習い「はぁ……」トボトボ
少女「……遅かったですわね。」
勇者見習い「……」
少女「……?」
勇者見習い「!?」ビクッ
勇者見習い「あ、あのっ! なんでここに……」
少女「あら、貴方が案内してくれたのでしょう?」
勇者見習い「そう……でした?」
勇者見習い「ええっと……(どうしよう)」
少女「うふふっ、それで何かありましたの?」
勇者見習い「えっ……話すと長いですけど……――」
……今日の出来事を大まかに話した。
勇者見習い「~~という訳です。」
少女「そう、もう旅立つのですね……」
勇者見習い「一応、準備は事前に済ませたし」
少女「……で、祝福を受けないまま、いくのですか。」
勇者見習い「……っ!」グサッ
勇者見習い「えっ、英雄になるのに必ずって訳じゃ」
勇者見習い「勇者には、日々修行すればいずれは……」ハァ
少女「そうですか……それでは、貴方がよろしければ」
少女「その旅に、一緒に連れていって頂けますか?」
勇者見習い「! ボクと……な、仲間に?」
少女「ええ、その通りですわ。」
勇者見習い「(洗礼を受けずに、一人で行くのも……)」
勇者見習い「(正直、不安だったし……助かったぁ)」ホッ
勇者見習い「ぜ、ぜひっ、よろしくお願いします!」
少女「うふふっ……貴方、素直でよろしくてよ。」クスッ
少女「先に村の入口で、お待ちしてますわ。」
勇者見習い「はい!」
――
―
~エーリルの村付近~
……タッタッタッ
勇者見習い「ご、ごめんなさい、待たせちゃって……」
少女「それより……貴方、お名前なんて仰るの?」
勇者見習い「あっ、その、名乗るのが遅れましたけど」
勇者見習い「ハイン、って言います。」
少女「ハイン……うふふっ、素敵ですわね……」
少女「ハイン、そうお呼びしてよろしいですか?」
ハイン「はっ、はい。なんでも大丈夫です!」
少女「私は、アリス。お見知りおきを……」
ハイン「! あ、アリス……さん。」
アリス「うふふっ、アリスで構いませんわ。」
アリス「それと、堅苦しい言葉はつまらない……」ジィ
ハイン「……っ! あ、アリス……よ、よろしく。」
アリス「ええ。では……共に征きましょう。」
――ハインとアリスの数奇な運命が幕を開ける……
―
続きは後日書き込みます。 色んなレスありがとうございます。
乙
~道中~
スタスタ、トコトコ……
アリス「うふふっ、ハイン。」
ハイン「なんです……(あっ、敬語はダメか)」ンン゛
ハイン「な、なに?」
アリス「基本、私は戦闘を手助けしませんわ。」
ハイン「え、ええっ!?」
アリス「はぁ……勇者を目指してらっしゃるのに」
アリス「貴方自身が成長しないと意味がありませんわよ。」クスッ
ハイン「うっ。それは、そうだけど……」
アリス「……」
アリス「そうですわね、強くなるための修行程度でしたら」
アリス「ささやかながら、お手伝い致しますわ。」
ハイン「! そっか、ありがとうっ!」
アリス「うふふっ……では、進みましょう。」
……
ガサガサ……
ハイン「!」ピクッ
物音と共に、目の前から魔物が近づいてくる!
おおなめくじが現れた!
……だが、おおなめくじはまだこちらに気づいていない!
ハイン「来た! (……よし、剣を抜いて)」サッ
ハイン「いくぞっ!」ブンッ
構えた剣をおおなめくじに振り下ろす!
しかし、不意を突いたが粘液の身体で弾かれた!
ハイン「! (け、剣が通らない……)」
おおなめくじは、溶解液を吐き出した!
ハインは、身構えていたため溶解液を咄嗟に回避する!
ハイン「(……くらえば、致命傷だ……けど遅い)」
ハイン「(なにか弱点は、なめくじ、なめく……!)」
ハイン「そうだ、確かアレが……」ゴソゴソ
おおなめくじは、ねっとりとこちらの様子を見ている……
なんと、ハインは持参した鞄から塩の入った瓶を取り出した!
ハイン「こ、これでもくらえっ!」バッバッ
おおなめくじ「!!」シオシォ……
ハイン「うおぉ、まだだっ!」バババ
おおなめくじ「」ピクピクッ
おおなめくじは、見る見る内に縮んでいく!
……おおなめくじを倒した!
ハインは経験値を得た! レベルが上がった!(2→3)
アリス「貴方、面白いですわ……うふふっ。」クスクス
ハイン「っ……み、見てたの……」カアァ
ハインは恥ずかしさの余り、赤面し俯いている!
彼女は面白おかしさの余り、微笑んでいた……うふふっ
ハイン「~~い、いこう!」スタスタスタッ
――
―
>>41 訂正
アリス「貴方、面白いですわ……うふふっ。」クスクス
の行上に
ハイン「はぁっ、はぁ……倒せ、た。」を入れ忘れました泣
~野営地~
ハイン「今日は、この辺りで休もうと思うけど大丈夫?」フゥ
アリス「ええ……よろしくてよ。」
ハイン「え~っと……」キョロキョロ
ハイン「ちょっと準備するから待っててね。」テキパキ
そう言うと、周辺を見回しおもむろに鞄から簡易テントの
ようなものを取り出し、手慣れた動作で設営し始めた!
アリス「……」ジィ
ハイン「こんなとこかな、材料は持って来たのが……」
アリス「ハイン。」
ハイン「ん?」
アリス「貴方、見ていて飽きないわ……うふふっ。」クスッ
ハイン「? ど、どうも……(こういうの好きなのかな?)」
……
…
ハイン「あっ、お待たせ……」
ハイン「あ、アリスの口に合うかどうか……」コトン
アリス「……これはなんていうのかしら?」
ハイン「えっ? 食べたことない? これはね」
ハイン「ホットドッグっていう、手軽に食べれるパンだよ。」
ハイン「挟んであるお肉に、色んな調味料を振りかけるんだ。」
アリス「そう。」スッ……アァ
アリス「」ハムッ……モグモグ
ハイン「そう、すると……おい、しく……」チラチラ
彼女が丁寧な手つきでそれをつかみ、その小さな口に自分の
作ったものを入れていく様子に、なぜか釘づけになっていた。
アリス「」ゴクン
ハイン「……」ゴクッ
アリス「……?」
アリス「うふふっ……」ニヤァ
ハイン「! (あっ、目が合った)」バッ
アリス「……そうね、悪くないと思うわ。」
ハイン「う、うん……よかったよ(バレてないみたい)」ホッ
アリス「お礼に後で稽古、つけてあげる……」
ハイン「! あ、ありがとっ(やった……!)」
……
…
~ハインとアリスの修行~
アリス「今、貴方に扱える技は……」
ハイン「……っ」ワクワク
アリス「そうですわね……構えなさい。」
ハイン「わ、分かった。」チャキ
……言われるがまま、棒切れを持って対峙する。
アリス「」ダッ、グワッ
ほぼ同時のタイミングで、突進し拳を振り上げて来た。
ハイン「わっ!」ブンッ
アリス「」サッ、バッ!
ハイン「えっ、え?」ピタッ
彼女は体勢を落とし、それを躱すと同時に懐へ潜り込む!
そして、勢いよく拳を突き上げるが、先の首元で止めた。
ハイン「(こ、このままだと、やられてた……!)」
アリス「ハイン。」
アリス「剣は、ただ振るだけでは当たらないわ……」
ハイン「……!」
アリス「この技は、相手の隙をつき真っすぐ首を取る」
アリス「魔剣首斬り。かつて、魔界を恐怖に陥れたと云われる」
アリス「死体に首なし、首切り屋ザンシュの技……」
ハイン「ひぇっ……! (ま、魔剣だって!?)」
ハイン「く、首斬り……(こ、怖すぎるっ……けど!)」
ハイン「っ(凄かった……ボクだって習得出来れば!)」グッ
アリス「修行あるのみですよ……うふふっ――」
……そうして、彼女に教わった技の修行に時間を忘れて
打ち込み、気づけば睡魔に襲われた後、一夜が明けた――
続きは後日書き込みます。見てくれる方がいると嬉しいです。
見てるぞ
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