菊池真「女の子として見てほしい……」(44)

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     ────事務所────


 『運動の後にはやっぱりこれ!』チャーララー

P「おっ、真のCMだ」

真「……」

 『ワンプッシュで嫌なニオイをカット! これで男を磨けッ!』チャーララー

小鳥「このCMすっごい人気らしいですよ、これも真ちゃん効果ねっ」

真「……」

P「実際アイドルと接する俺だって、そういうことには気をつけないといけないですからね。
  俺ももってますよ、ほら」

小鳥「この真ちゃんの煽り文句もいいですよねー。〝これで男を磨けッ!〟
   だなんて──うっ、鼻血がっ……」ダラダラ

真「……」プルプル

春香・千早「ただい──」



 真「だーーーーーー!!!!」



P・小鳥「!?」ビクッ

真「ハァ……ハァ……」

春香「……真、どうしたの…?」

 ──────
  ───

真「もう! なんでみんなは、ボクを男の子にしたがるんだー!!」

P「お、落ち着け真っ、どうしたんだ突然?」

真「落ち着いてなんていられませんよっ! ボクだってもっと765プロのみんなみたいに、
  女の子っぽくキャピキャピーってなりたいんですよぉー……うぅ」ショボーン

P「言いたいことだけ言ったら大人しくなったな……」

千早「……そろそろ高槻さんの番組が始まるわ」タタタ─

小鳥「確かに、真ちゃん本人にとってはつらいことかもねぇ……。
   でもね、真ちゃんを求めている女性ならいくらでもいるのよ?
   かっこいい貴方をみんなが求めているのよッ!? 勿論 わ た し も!」ガシッ

真「ひ、ひぃ〜〜……!」

P「小鳥さんっ、真が怖がってますっ」

小鳥「あ……つい…」

真「うぅ……だってさっきのCM見ました? 見ましたよね!?」

P「あの、デオドラントスプレーのやつか?」

真「ボク、タンクトップでしかも、サイズが結構大きめだったんです!」

真「なかなか際どかったんですよ!? カメラマンさんは気にせず撮影続けるし……。
  プロデューサーはどう思います!? そもそも〝男を磨けッ!〟って、なんでボクが……」 

P「……うーん、やはり気にするよな、女の子なんだし」

真「気にしますよ……! ボクだって女の子なんですから……」

春香「あ、アハハっ…真は、やっぱり女の子みたく可愛くなりたいの?」

真「……春香は違うの?」

春香「……うーん、でも真みたいにかっこよくなりたいなーとか、
   思ったりもするよ?」

真「っ、ボクはみんなみたいになりた──」

社長「聞き給え諸君ッ! 新ドラマ『進●の巨人』の件なんだがね?
   なんとうちの菊池くんに、直々にオファーが入ったよ!」

P「ほ、本当ですかっ? すごいじゃないか真! やったなっ」

真「……配役は、誰ですか?」

社長「〝鎧の巨人〟君だ!」

真「」チーン

P「あ、とどめを……」

 ──────
  ───

真「」ズーン

小鳥「すっかり落ち込んじゃいましたね……」

P「確かに言われてみれば、最近はそういう仕事が増えてました……。
  出来ればあいつのためにも、もっと女の子らしい仕事を取ってきてやりたいんですけど…」

小鳥「無理じゃないですかね」

P「バッサリいきましたね……」

小鳥「真ちゃん、あのキャラで通ってますし……」

P「ですよね……やよいを『SAS●KE』に出すようなものですよ」

小鳥「あーそれはないですねー」

P「……ちょっと励ましてきます」タタタ─

P「春香、千早。お前らも来てくれ」

春香「あ、はいっ」 千早「今高槻さんの番組が…」

P「……」

P「やよいの番組はしっかり録画してあるだろ、ほらっ」

真「……」ズーン

P「真……真、聞こえるかー?」

真「……プロデューサー?」チラッ

P「みんなで考えよう、真が可愛くなれる方法を」

真「……えっ?」

春香「4人で考えればあっという間だよっ!」ニコッ

千早「……」ズーン

P「次はなんで千早が落ち込んでるんだよっ」

千早「高槻さん……」

真「……ふふっ、はっはは。そうですね……落ち込んでちゃ、何も始まらないですよね」

P「まぁ仕事の方はまだ、少し難しいかもしれないけどな」

春香「でも、普段のしぐさとか行動とかを変えていけば、
   この先の仕事も変わっていくと思うんだ。
   だから頑張ろ、真っ」

真「……うんっ!」ニコッ

──────
  ───

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   「よーし、今日の仕事は終わったな…」
   
    「プロデューサー、お疲れ様ですっ」
   
   「おお真、まだいたのか。もう時間も遅いぞ」
   
    「はい、だから……──」

    「──送って、くれませんか……?」

   と、ここでプロデューサーさんの服の袖をギュッと────!!

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    ──────

小鳥「ハァ……こんな感じのはどうでしょうか……?」ハァハァ

P「確かに、これはグッとくるものがありますね…」

真「えぇっ、恥ずかしいですよ。別にボク、一人で帰れますし…」

小鳥「真ちゃんっ。女の子は出来ることでも出来ないって、言うものよ? 
   それに、男性は女の子に頼られたいものなのよ。ねっ、プロデューサーさん」

P「全くもって、小鳥さんの言うとおりだ」

真「そんなものでしょうか……」

P「春香と千早も、なにかいい案はないか?」

千早「高槻さん、みたいなキャラはどうかしらっ」(ドン!

春香「や、やよい?」

P「やよいに似せるのは流石にちょっと……真、やってみて」

真「な、なんですその無茶ぶり!? ……う、うっうー。みんなでー?
  はい、ターッチっ。イェイ……」

春香「イェイ!」パンッ 千早「イェイ」パンッ 小鳥「イェイ!!」パンッ!

真「は、恥ずかしい……というかそれ依然に、ボクには似合いませんよっ…」

春香・千早「……」///

P「恥じらいがあるだけ、女の子らしいのかもな……と、言うよりは思春期か…」チラッ

小鳥「?」ピヨピヨ

春香「美希みたいに、プロデューサーさんにベタベタするとか?」

千早「それは春香もでしょ」

春香「ち、千早ちゃんっ……」カァッ…

真「ベタベタ……?」チラッ

P「……っ」

P(う、上目遣い……なかなか…)

P「で、でもさっ。美希みたいなのはやっぱりなんと言うか……、
  いくらなんでも真が恥ずかしいだろ?」

春香「そっかぁ……それな──」

真「…すよ……」ボソッ

春香「えっ?」

真「いい、ですよ? プロデューサーが、いいのなら……」

P「えっ、えぇ〜〜〜!?」

真「……ッ」モジモジ

小鳥「●REC……これから、真ちゃん女の子化計画が、幕を開けるのであったッ!」

P「なんですかそのモノローグ……」

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  ────翌日・事務所────


P「えっと今日は、美希のグラビアについていってそれから……」カタカタ

 カチャッ

真「おはよう、ございます……」

P「おはよう真、今日は早いな」カタカタ

真「……ッ」タタタ─

 ギュッ…

P「うぇっ!? ま、真……?」

真「早く──会いたかったです、プロデューサー」ギュゥ…

P「ちょ……仕事が、出来ないだろっ……」アセアセ

P(待て待てなんだこれ、こういう時はアイドル達の3サイズを数えて……)ドキドキ

真「もう、少しだけこのままが、いいです……」ギュゥ

P「うっ……ま、こと…」

P(7272727272727272────)

P「……美希を、真似たのか?」

真「……はい、改めて美希はすごいんだなーって思いました……。
  恥ずかしくて、爆発しちゃいそうですよ」

P「確かに、な。真はちゃんと女の子になれてるよ。実際、すごいドキドキする」

真「ぷ、プロデューサーのエッチ……!」パッ

P「ハハハッ、その調子で頑張れよ。誰だって元から乙女だったわけじゃないさ。
  誰かを真似て、人格ってものは出来ていくからな」

真「今の調子……ボクが前やったような女の子は、ダメなんですか?」

 ───きゃっぴぴぴーん☆キューティープリンセス、みんなのアイドル真ちゃんなりよー♪

P「ダメだ」

真「えぇ……まぁ、このまま行けってこと、ですよね…うん。
  っひひー、ボク、頑張りますよっ!」

P「……〝ボク〟ってのも、あれなんじゃないか?」

真「あっ……じゃあ──私、頑張りますっ」

P「」ドキッ

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  ────数日後・事務所────


P「」カタカタ

雪歩「プロデューサー……どうぞ、お茶ですぅトン

P「おっ、いつもサンキューな」ズズズー

雪歩「……ぷ、プロデューサーっ、真ちゃん…どうしちゃったんでしょうか……」

P「ん、なんのことだ雪歩」

雪歩「あ、いえ……最近、真ちゃん元気ないって言うか、その……」

P「……雪歩にとって、真はどういう存在なんだ? どうあってほしい?」

雪歩「え…やっぱり……かっこいい真ちゃんでいてほしいかなぁ……と」

P「じゃあ、もし真がそれを望んでなかったら──アイドルとしての面子を守るべきだと思うか、
  それとも自分のしたいことをするべきなのか……雪歩はどう思う?」

雪歩「それは……それはっ、もちろん真ちゃんの自由じゃないかなと思います。
   アイドルは楽しむ姿を見てもらうのが仕事、ですから」ニコッ

P「……おぉ、いいこと言うじゃないか雪歩」

雪歩「ぅ……スコップ取ってきますぅ~……!」タタタ─

P「え、雪歩ーーっ……」

P(楽しむ、か……真は、今の仕事を楽しんでいないのか? 
  理想と仕事を両立させられれば、ベストなんだけど……)

P(……社長に、掛け合ってみるか)

 ──────
  ───

社長「うむ……菊池くんのキャラ変更か」

P「はい、真自身〝かっこいい〟路線をあまり好んでいないらしくて……、
  あいつがやりたいことを、やらせてやりたいんです」

社長「……我が事務所のアイドル達は、他のアイドルよりも元気で、
   仕事を楽しんでいることが取り柄だと思っている」

社長「キミ、よく言ってくれた。菊池くんには、
   『これからは自分の思うように、楽しんでアイドル活動をするように』
   と伝えてくれ、ワッハッハッハッハ!」

P「……はいっ、ありがとうございます!」

それから季節が一つ過ぎて、
 真はいつしか──〝真王子〟と、呼ばれることはなくなっていた。

真美「まこちん髪伸びたね→」

亜美「わ→ホントだ! 髪サラサラ→」

真「ふっ、二人ともくすぐったいよー」

 チョット コラッ アハハ……

律子「でも本当に変わりましたねー、真。女の子らしくなったっていうか」

P「そう見えるなら、文句なしだ」

P「始めはキツかったけど、最近また立て直してきたからな。
  仕事も前と比べれば全然だけど、十分すぎるぐらいだ」

律子「〝真王子〟が、うまくいき過ぎてたんですねきっと……」

律子「──なんだか、事務所の雰囲気も変わりましたよね」

P「えっ、そうか?」

律子「プロデューサー、気付きませんでした? みんな少しだけ大人になりましたよ。
   子供っぽさが抜けたと言うか、みんな女に近づいたっていうか。これも真の影響なのかしら…」

P「女、ね……ハハハ」

伊織「ちょっと律子! そろそろ時間よ、亜美もあずさもほらッ!」

あずさ「あらあら〜もうそんな時間?」

亜美「はいはい→」

律子「ってもうこんな時間!? じゃあプロデューサー殿、行ってきます!」

P「おお、行ってこい」

亜美「じゃあね→真美、まこちん」

真美・真「「いってらっしゃーい」」

真「……あ、プロデューサー。そう言えば今日、私の仕事ありませんでしたっけ?」

P「え、ああ。今日は真と雪歩のファッション雑誌のグラビア、だな。
  ちなみに雪歩はその後、もう一つグラビア撮影がある」

雪歩「は、はいっ」

真「そうですか。雪歩、どんなお洋服かな?」

雪歩「そうだね。フリフリのとか、着てみたいかも」

真「それいいねー、あっはは」

P(平和だ、平和すぎて怖いくらいに)

   ────数ヶ月前────

P「真、本当にいいんだな?」

真「はい、もちろんですっ」

P「この書類が通ったら、お前は変わるんじゃない……、
  変わらなくなくちゃならないんだぞ」

真「もー、もったいぶらないで下さいよっ。
  どちらかは絶対に──捨てなくちゃいけないと思うんです」

P「……分かった」

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 ──────
  ───

P「……」ブーン

雪歩「真ちゃん、このお花可愛くない?」

真「ほんとだー、なんて名前なの?」

雪歩「ジンチョウゲって言って、すごいいい香りがするんだよー」

真「さすが雪歩だね。花の種類なんて私分からないよー……」ポリポリ

雪歩「この花のアクセ、二つ持ってるけど…、
   お揃いにしようよ真ちゃん、今度持ってくるね」

真「えっ、いいの!?」

雪歩「うんっ、もちろんだよ」ニコッ

真「ありがとう雪歩ーっ。ねぇプロデューサー、このお花可愛くないですかっ?」ズイッ

P「ぅわっと、落ち着け真っ。いま運転中…」ブーン

真「あ、すいません……」ショボーン

雪歩「ふ、ふふっ」クスクス

真「…雪歩ぉ、笑ったなぁ〜……?」

雪歩「ふふ、えっ──ふぇ!? ち、ちちょ真ちゃっ!?」ビクッ

真「こちょこちょこちょこ──」

雪歩「まこ、あはははははっ! く、くすぐたひひはふふッ!」ジタバタ

真「ほらほら謝らないと止まらないよー?」

 ヤッ チョッヤメッ…アハハ! シ、シンジャウー!!

P(すごい……楽しそうです…)ブーン

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  ─────撮影所──────

カメラマン「はーい、もう一枚」パシャッ

P「うん、順調だな」

響「プロデューサー!」

P「えっ、響? それに美希と貴音、どうしてここにっ?」

美希「ミキたちも違う所でグラビア撮影やってるのーっ」

響「今は自分達、休憩中なんだぞっ」

P「あっ、そういえばそうだったな」

美希「だから遊びにきたのハニー!」ダキッ

P「だぁっ! い、いきなり抱きつくな美希ッ!」

貴音「こら美希……プロデューサーも困っていますよ」

美希「ぶーっ」

P「ぶー、じゃない。まったく……」

響「雪歩と真のグラビアかー。二人とも可愛い格好してるなー」

貴音「ええ、とても麗しいです」

美希「可愛いけど。美希は、真くんはやっぱり前の方が良かったって思うな」

P「……そう、かもな」

貴音「それはそうとプロデューサー。少し、お耳に入れてほしいことが……」

P「ん、どうした貴音?」

貴音「はい、何やら嫌な気配がします。先程も、わたくし達を狙う輩が現れました」

P「な、なに!? こっちにそんな話は」

貴音「スタジオに入る前、車から降りたところに、所謂〝ちんぴら〟と呼ばれる者達が──」

響「──『君達アイドルでしょ?』とか言って、手を出してきたんだぞ」

P「そ、それで……」

美希「二人ともすっごい強かったの! 響も貴音もすごかったのー!」

響「沖縄の武術に敵うやつはいないさー」シュッ シュバッ─

P「倒しちゃった、のか…?」

貴音「正当防衛でした」ファサ…

P「おいおい、あんまり危ないことをしちゃだめだぞ。
  万が一何かあったら、どうするつもりだったんだ」

響「う、ごめんなさいだぞ……」ショボーン

貴音「しかし、あなた様も気をつけて下さいまし。まだ近くにいるやもしれません」

P「ああ、分かった。それよりお前ら、撮影はいいのか?」

響「げげっ!? もうこんな時間だぞ。美希、貴音、ダァッシューッ!」

美希「うわわぁ、ハニーじゃーねーなのー!」

貴音「それでは、失礼いたしますー」

 ダダダー

P「まったくあいつらも」ハァ…

P(でも、少し心配だな……俺も気をつけないと)

 ──────
  ───

カメラマン「は〜い、オーケーです。お疲れ様ー」

雪歩・真「「ありがとうございましたー!」」

真「っんー! いっぱい撮ったねー」

雪歩「うん、カメラマンさんも褒めてくれたし、真ちゃん可愛かったよ」

真「ほんとっ!? ありがとー雪歩ーっ!」ダキッ

雪歩「ちょ!? 真ちゃッ、苦しいー!」

P「お疲れ二人とも。雪歩はまたこれから撮影だけど、真も見に来るか?」

真「もちろんです、私もついて行きますっ」

P「よし、じゃあ行くぞ二人とも」

雪歩・真「「はいっ」」

 ──────
  ───

 パシャッ パシャシャッ

真「雪歩、綺麗ですね……」

P「そうだな。雑誌の巻頭カラーだから、セットもすごいし」

P「でも、真もその…──可愛くなったぞ?」

真「ぶっ!? なな、なんですかいきなりっ!?」ワタワタッ

P「しぃー、しぃー……!」

真「す、すいません……でも、
  プロデューサーがいきなり、変なこと言うから……」

P「可愛くなった、全然変なことじゃない」

真「……」///

真「プロデューサーがそういうなら、良かったの、かな…」ボソボソ

P「え、なんだって?」

真「──なんでもないですよーっだ!」

P「む、なんだよその言い方」

真「ほ〜ら、雪歩を見守りましょうっ」

P「……まったく」

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  ─────駐車場──────


雪歩「うぅ、緊張した…」トボトボ

真「お疲れ雪歩。ほら、奥の方座りなよ」

雪歩「ありがとう真ちゃん……ふぅ」

P「二人とも、飲み物何にする? 俺、買ってくるよ」

雪歩「ありがとうございますプロデューサー。じゃあ、午後ティーを」

真「私はマテ茶でお願いしますっ」ニコッ

P「了解、すぐ戻るよ」タタタ─

 この時、貴音の忠告を忘れていた俺は──何も考えずただ、
 いつものように、2人を置いて自販機に向かった。

 ──────
  ───

P「えっと、これと──」ピッ ガコンッ

P「──…これか、よしっ」ピッ ガコンッ


雪歩「きゃああああぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」


P「ッ!? ゆき──ッ!!」

 ────あなた様も気をつけて下さいまし。まだ近くにいるやもしれません

P「雪歩っ!!」ダッ─

 ──────
  ───

P「雪ッ──」

男1「ほらぁ、怖がらなくてもいいんだぜぇ?」

男2「おい、なんか来たぞ」

雪歩「ぷ、プロデューサー……真、ちゃんっ…」ガタガタ

男1「なんだてめぇは?」

P「萩原雪歩のプロデューサーだ。その子を放してくれ」

男3「あぁ? てめぇ今の状況分かってんのかおい」

男1「へへっ、雪歩ちゃ〜ん?」

雪歩「ひっ……!!」ビクッ

男2・3「「はっはははははッ!!」」

P「ぐっ……──ッ!」

P(そう言えば真、真はどこにッ…!?)

男2「よし、そろそろ──」

P「その子を、どうするつもりだ?」

男2「ぁ? 決まってんだろうが。アイドルの写真がいくらで売れると思ってんだよ」

男3「みなまで言うな男2、雪歩ちゃんが怖がっちゃうだろ?」

男3「なーに、ちょっとおたくのアイドルをお借りするだけだ。
   悪いようにはしねぇよ」

P「雪歩を、放せ……ッ」

男1「ひゃっははぁ!! 嫌って言ったらどうするんだよぉ?」

男2「おい、こんなところで時間くってる暇はねぇ。さっさとズラかるぞ」

P(どうしたら! こうなったら……頼む、真ッ──!!)

男3「そうだったな。じゃあなプロデューサー様、あば──」


 P「まことおおおおおおおおおーーーーッ!!!!」

男1・2・3「ッ!!」ビクッ

P「何してる! 雪歩がピンチの時に、お前は指を咥えて見てるのかッ!?」

P「こういう時に、王子様ってのは助けてくれるんじゃないのか!!」

男2「おい、黙ってろ!」バキッ

P「うっ!」

雪歩「プロッ…デュ──」

P「雪歩にとって王子様は──お前しか、いないんだぞッ!!」

男2「てめぇ!!」バキッ

雪歩「っ! プロデューサー…ッ」ジワッ


P「っ、それと俺は──お前はどんな時でも、ずっといつでも可愛いと、そう思ってるぞ!! 真ッ!!」


男1「なんだぁ? 気でもくるったか!」

男2「デカい声をあげても無駄だぞ、他に変な真似してみろ。この子はタダじゃおかねぇ」

男3「サツにチクッたらどうな──ホゲッ!?」ガンッ─ ドサッ

P「!!」

男2「な、なんだ!?」 男1「なんだお!?」


 「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!」ダッ─


男1「ぎゃっ!!」バキッ─ バタッ

 「──…はっ、はっ、はっ」

P「真ッ!」

雪歩「ま、真ちゃん…!」パァッ

真「ごめん雪歩、怖い想いをさせたね」

雪歩「ッ真ちゃん、怖かった、怖かったよぉ〜……」グズッ…

真「ボクがいるから、もう大丈夫だ」

男2「クソッ! もう一人いやがったのか! 
   男3の野郎、しっかり調べたんじゃねぇのか…!」

真「……」キッ

男2「女だからって、容赦はしねぇぜ!」コキ…コキ…

真「はぁ……! と、言いたいところだけど、真王子はこれでおしまい。
  あとは──」

 ファンファンファンファン──

男2「ゲッ……」

真「──おまわりさんに、任せよう」

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  ────夕方・事務所─────


小鳥「動かないで下さいよー?」

P「ホント、一時はどうなるかと思ったよイテテッ…」

律子「それは貴方の不注意が原因でしょ!? 
   なのに真に助けてもらってそれで警察沙汰になって、
   ちょっと聞いてるんですか本当にプロデューサー殿は──……」ガミガミ

P「」ショボーン

美希「アッハハ、ハニー怒られてるのー」

千早「下手したら大変なことになってたからよ」

亜美「りっちゃんもよくあんなに舌が回るよね→」

P「お前ら言いたいことだけ言いやがって。うぅー滲みる…」

伊織「竜宮のスケジュール伝えるときも、いつもこんな感じじゃないの」

春香「でも良かったよー、雪歩も無事だったし」

雪歩「真ちゃんの、おかげだよ」

やよい「本当に良かったですーっ」

響「そんなに自分は心配しなかったぞ、
  なんせ真には自分直伝の武術があるからなー」

貴音「まこと──良い判断でしたね、真」

真「警察に通報してて、少し遅くなっちゃったけど、雪歩が無事で本当によかった」

P「そう言えば、なんであの時雪歩と一緒じゃなかったんだ?」

真「お花を、摘みに……」

P「そうだったのか。いやはや、久々にドキドキしたよ…」

伊織「まったく、プロデューサー失格ね」

P「ハハハ、言われちゃったよ…」

真「……」


 真「わた──いや、ボクやっぱり、こっちの方が自分らしいのかも」


一同「えっ?」

亜美・真美「「ぼ、ぼくぅ〜!?」」

春香「真?」

P「……」

真「ボクのことを、可愛いって言ってくれる人もいる。
  それなら、みんなを守れる……王子様でも──」

雪歩・小鳥「「まこと様ぁー!!」」

真「う、ううわぁーーっ!?」

雪歩「真ちゃんっ、やっと戻ってくれたんだねー!」ダキッ

小鳥「ロン毛も男らしくていいッ、いいわよ真ちゃん…!」ズイッ

真「ちちょッ! 小鳥さんまでっ」

社長「よほぉー! 話は聞かせてもらったよー、これで凍結されていた、  
   ドラマ『進撃の●人』の件も再始動というわけだ!」

真「ってあの話まだあったんですか!?」

社長「頼むよ『鎧の巨人』くん! ハッハッハッハ!!」

真「ッ〜〜、やっぱり男の子扱いはいやだぁぁぁーーーー!!」

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  ────夜・屋上─────


P「なんだか、あっという間だったな」

真「はい、ボクの我がままにみんなをつき合わせて……本当に申し訳ないです」

P「ちょっと思春期の悩み話が、大きくなっただけだ。
  この数ヶ月で、何か分かったんだろ?」

真「何か……そうですね。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないです」

P「? なんだ、言葉を濁すじゃないか」

真「結局は……最初から分かってたことだったんです。
  それを再認識できた、そんな数ヶ月でした」

真「ボクのことを可愛いと思ってくれる人もいる……。
  ボクにだって、王子様はいたんですよ」

P「……そうか、よかったな真」

真「はいっ」ニコッ

P「……」

真「……──ッ」

真「ねぇ、王子様」

P「ん、なんだまk──って王子様ッ?」


 真「……いっひひー、なんでもありませんッ♪」 ニコッ





                             ─おわり─



ただ、菊池じゃなくて菊地な

<<41
小萌先生をずっと子萌先生と思ってた時並みの不覚。
まぁ、読んでくれてありがとう!

>>42 そして不覚にも安価まで間違えるという。



アイドル達のバストサイズと言いながら特定の一名のサイズだけだった件www

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