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────事務所────
『運動の後にはやっぱりこれ!』チャーララー
P「おっ、真のCMだ」
真「……」
『ワンプッシュで嫌なニオイをカット! これで男を磨けッ!』チャーララー
小鳥「このCMすっごい人気らしいですよ、これも真ちゃん効果ねっ」
真「……」
P「実際アイドルと接する俺だって、そういうことには気をつけないといけないですからね。
俺ももってますよ、ほら」
小鳥「この真ちゃんの煽り文句もいいですよねー。〝これで男を磨けッ!〟
だなんて──うっ、鼻血がっ……」ダラダラ
真「……」プルプル
春香・千早「ただい──」
真「だーーーーーー!!!!」
P・小鳥「!?」ビクッ
真「ハァ……ハァ……」
春香「……真、どうしたの…?」
──────
───
真「もう! なんでみんなは、ボクを男の子にしたがるんだー!!」
P「お、落ち着け真っ、どうしたんだ突然?」
真「落ち着いてなんていられませんよっ! ボクだってもっと765プロのみんなみたいに、
女の子っぽくキャピキャピーってなりたいんですよぉー……うぅ」ショボーン
P「言いたいことだけ言ったら大人しくなったな……」
千早「……そろそろ高槻さんの番組が始まるわ」タタタ─
小鳥「確かに、真ちゃん本人にとってはつらいことかもねぇ……。
でもね、真ちゃんを求めている女性ならいくらでもいるのよ?
かっこいい貴方をみんなが求めているのよッ!? 勿論 わ た し も!」ガシッ
真「ひ、ひぃ〜〜……!」
P「小鳥さんっ、真が怖がってますっ」
小鳥「あ……つい…」
真「うぅ……だってさっきのCM見ました? 見ましたよね!?」
P「あの、デオドラントスプレーのやつか?」
真「ボク、タンクトップでしかも、サイズが結構大きめだったんです!」
真「なかなか際どかったんですよ!? カメラマンさんは気にせず撮影続けるし……。
プロデューサーはどう思います!? そもそも〝男を磨けッ!〟って、なんでボクが……」
P「……うーん、やはり気にするよな、女の子なんだし」
真「気にしますよ……! ボクだって女の子なんですから……」
春香「あ、アハハっ…真は、やっぱり女の子みたく可愛くなりたいの?」
真「……春香は違うの?」
春香「……うーん、でも真みたいにかっこよくなりたいなーとか、
思ったりもするよ?」
真「っ、ボクはみんなみたいになりた──」
社長「聞き給え諸君ッ! 新ドラマ『進●の巨人』の件なんだがね?
なんとうちの菊池くんに、直々にオファーが入ったよ!」
P「ほ、本当ですかっ? すごいじゃないか真! やったなっ」
真「……配役は、誰ですか?」
社長「〝鎧の巨人〟君だ!」
真「」チーン
P「あ、とどめを……」
──────
───
真「」ズーン
小鳥「すっかり落ち込んじゃいましたね……」
P「確かに言われてみれば、最近はそういう仕事が増えてました……。
出来ればあいつのためにも、もっと女の子らしい仕事を取ってきてやりたいんですけど…」
小鳥「無理じゃないですかね」
P「バッサリいきましたね……」
小鳥「真ちゃん、あのキャラで通ってますし……」
P「ですよね……やよいを『SAS●KE』に出すようなものですよ」
小鳥「あーそれはないですねー」
P「……ちょっと励ましてきます」タタタ─
P「春香、千早。お前らも来てくれ」
春香「あ、はいっ」 千早「今高槻さんの番組が…」
P「……」
P「やよいの番組はしっかり録画してあるだろ、ほらっ」
真「……」ズーン
P「真……真、聞こえるかー?」
真「……プロデューサー?」チラッ
P「みんなで考えよう、真が可愛くなれる方法を」
真「……えっ?」
春香「4人で考えればあっという間だよっ!」ニコッ
千早「……」ズーン
P「次はなんで千早が落ち込んでるんだよっ」
千早「高槻さん……」
真「……ふふっ、はっはは。そうですね……落ち込んでちゃ、何も始まらないですよね」
P「まぁ仕事の方はまだ、少し難しいかもしれないけどな」
春香「でも、普段のしぐさとか行動とかを変えていけば、
この先の仕事も変わっていくと思うんだ。
だから頑張ろ、真っ」
真「……うんっ!」ニコッ
──────
───
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「よーし、今日の仕事は終わったな…」
「プロデューサー、お疲れ様ですっ」
「おお真、まだいたのか。もう時間も遅いぞ」
「はい、だから……──」
「──送って、くれませんか……?」
と、ここでプロデューサーさんの服の袖をギュッと────!!
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小鳥「ハァ……こんな感じのはどうでしょうか……?」ハァハァ
P「確かに、これはグッとくるものがありますね…」
真「えぇっ、恥ずかしいですよ。別にボク、一人で帰れますし…」
小鳥「真ちゃんっ。女の子は出来ることでも出来ないって、言うものよ?
それに、男性は女の子に頼られたいものなのよ。ねっ、プロデューサーさん」
P「全くもって、小鳥さんの言うとおりだ」
真「そんなものでしょうか……」
P「春香と千早も、なにかいい案はないか?」
千早「高槻さん、みたいなキャラはどうかしらっ」(ドン!
春香「や、やよい?」
P「やよいに似せるのは流石にちょっと……真、やってみて」
真「な、なんですその無茶ぶり!? ……う、うっうー。みんなでー?
はい、ターッチっ。イェイ……」
春香「イェイ!」パンッ 千早「イェイ」パンッ 小鳥「イェイ!!」パンッ!
真「は、恥ずかしい……というかそれ依然に、ボクには似合いませんよっ…」
春香・千早「……」///
P「恥じらいがあるだけ、女の子らしいのかもな……と、言うよりは思春期か…」チラッ
小鳥「?」ピヨピヨ
春香「美希みたいに、プロデューサーさんにベタベタするとか?」
千早「それは春香もでしょ」
春香「ち、千早ちゃんっ……」カァッ…
真「ベタベタ……?」チラッ
P「……っ」
P(う、上目遣い……なかなか…)
P「で、でもさっ。美希みたいなのはやっぱりなんと言うか……、
いくらなんでも真が恥ずかしいだろ?」
春香「そっかぁ……それな──」
真「…すよ……」ボソッ
春香「えっ?」
真「いい、ですよ? プロデューサーが、いいのなら……」
P「えっ、えぇ〜〜〜!?」
真「……ッ」モジモジ
小鳥「●REC……これから、真ちゃん女の子化計画が、幕を開けるのであったッ!」
P「なんですかそのモノローグ……」
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────翌日・事務所────
P「えっと今日は、美希のグラビアについていってそれから……」カタカタ
カチャッ
真「おはよう、ございます……」
P「おはよう真、今日は早いな」カタカタ
真「……ッ」タタタ─
ギュッ…
P「うぇっ!? ま、真……?」
真「早く──会いたかったです、プロデューサー」ギュゥ…
P「ちょ……仕事が、出来ないだろっ……」アセアセ
P(待て待てなんだこれ、こういう時はアイドル達の3サイズを数えて……)ドキドキ
真「もう、少しだけこのままが、いいです……」ギュゥ
P「うっ……ま、こと…」
P(7272727272727272────)
P「……美希を、真似たのか?」
真「……はい、改めて美希はすごいんだなーって思いました……。
恥ずかしくて、爆発しちゃいそうですよ」
P「確かに、な。真はちゃんと女の子になれてるよ。実際、すごいドキドキする」
真「ぷ、プロデューサーのエッチ……!」パッ
P「ハハハッ、その調子で頑張れよ。誰だって元から乙女だったわけじゃないさ。
誰かを真似て、人格ってものは出来ていくからな」
真「今の調子……ボクが前やったような女の子は、ダメなんですか?」
───きゃっぴぴぴーん☆キューティープリンセス、みんなのアイドル真ちゃんなりよー♪
P「ダメだ」
真「えぇ……まぁ、このまま行けってこと、ですよね…うん。
っひひー、ボク、頑張りますよっ!」
P「……〝ボク〟ってのも、あれなんじゃないか?」
真「あっ……じゃあ──私、頑張りますっ」
P「」ドキッ
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────数日後・事務所────
P「」カタカタ
雪歩「プロデューサー……どうぞ、お茶ですぅトン
P「おっ、いつもサンキューな」ズズズー
雪歩「……ぷ、プロデューサーっ、真ちゃん…どうしちゃったんでしょうか……」
P「ん、なんのことだ雪歩」
雪歩「あ、いえ……最近、真ちゃん元気ないって言うか、その……」
P「……雪歩にとって、真はどういう存在なんだ? どうあってほしい?」
雪歩「え…やっぱり……かっこいい真ちゃんでいてほしいかなぁ……と」
P「じゃあ、もし真がそれを望んでなかったら──アイドルとしての面子を守るべきだと思うか、
それとも自分のしたいことをするべきなのか……雪歩はどう思う?」
雪歩「それは……それはっ、もちろん真ちゃんの自由じゃないかなと思います。
アイドルは楽しむ姿を見てもらうのが仕事、ですから」ニコッ
P「……おぉ、いいこと言うじゃないか雪歩」
雪歩「ぅ……スコップ取ってきますぅ~……!」タタタ─
P「え、雪歩ーーっ……」
P(楽しむ、か……真は、今の仕事を楽しんでいないのか?
理想と仕事を両立させられれば、ベストなんだけど……)
P(……社長に、掛け合ってみるか)
──────
───
社長「うむ……菊池くんのキャラ変更か」
P「はい、真自身〝かっこいい〟路線をあまり好んでいないらしくて……、
あいつがやりたいことを、やらせてやりたいんです」
社長「……我が事務所のアイドル達は、他のアイドルよりも元気で、
仕事を楽しんでいることが取り柄だと思っている」
社長「キミ、よく言ってくれた。菊池くんには、
『これからは自分の思うように、楽しんでアイドル活動をするように』
と伝えてくれ、ワッハッハッハッハ!」
P「……はいっ、ありがとうございます!」
それから季節が一つ過ぎて、
真はいつしか──〝真王子〟と、呼ばれることはなくなっていた。
真美「まこちん髪伸びたね→」
亜美「わ→ホントだ! 髪サラサラ→」
真「ふっ、二人ともくすぐったいよー」
チョット コラッ アハハ……
律子「でも本当に変わりましたねー、真。女の子らしくなったっていうか」
P「そう見えるなら、文句なしだ」
P「始めはキツかったけど、最近また立て直してきたからな。
仕事も前と比べれば全然だけど、十分すぎるぐらいだ」
律子「〝真王子〟が、うまくいき過ぎてたんですねきっと……」
律子「──なんだか、事務所の雰囲気も変わりましたよね」
P「えっ、そうか?」
律子「プロデューサー、気付きませんでした? みんな少しだけ大人になりましたよ。
子供っぽさが抜けたと言うか、みんな女に近づいたっていうか。これも真の影響なのかしら…」
P「女、ね……ハハハ」
伊織「ちょっと律子! そろそろ時間よ、亜美もあずさもほらッ!」
あずさ「あらあら〜もうそんな時間?」
亜美「はいはい→」
律子「ってもうこんな時間!? じゃあプロデューサー殿、行ってきます!」
P「おお、行ってこい」
亜美「じゃあね→真美、まこちん」
真美・真「「いってらっしゃーい」」
真「……あ、プロデューサー。そう言えば今日、私の仕事ありませんでしたっけ?」
P「え、ああ。今日は真と雪歩のファッション雑誌のグラビア、だな。
ちなみに雪歩はその後、もう一つグラビア撮影がある」
雪歩「は、はいっ」
真「そうですか。雪歩、どんなお洋服かな?」
雪歩「そうだね。フリフリのとか、着てみたいかも」
真「それいいねー、あっはは」
P(平和だ、平和すぎて怖いくらいに)
────数ヶ月前────
P「真、本当にいいんだな?」
真「はい、もちろんですっ」
P「この書類が通ったら、お前は変わるんじゃない……、
変わらなくなくちゃならないんだぞ」
真「もー、もったいぶらないで下さいよっ。
どちらかは絶対に──捨てなくちゃいけないと思うんです」
P「……分かった」
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──────
───
P「……」ブーン
雪歩「真ちゃん、このお花可愛くない?」
真「ほんとだー、なんて名前なの?」
雪歩「ジンチョウゲって言って、すごいいい香りがするんだよー」
真「さすが雪歩だね。花の種類なんて私分からないよー……」ポリポリ
雪歩「この花のアクセ、二つ持ってるけど…、
お揃いにしようよ真ちゃん、今度持ってくるね」
真「えっ、いいの!?」
雪歩「うんっ、もちろんだよ」ニコッ
真「ありがとう雪歩ーっ。ねぇプロデューサー、このお花可愛くないですかっ?」ズイッ
P「ぅわっと、落ち着け真っ。いま運転中…」ブーン
真「あ、すいません……」ショボーン
雪歩「ふ、ふふっ」クスクス
真「…雪歩ぉ、笑ったなぁ〜……?」
雪歩「ふふ、えっ──ふぇ!? ち、ちちょ真ちゃっ!?」ビクッ
真「こちょこちょこちょこ──」
雪歩「まこ、あはははははっ! く、くすぐたひひはふふッ!」ジタバタ
真「ほらほら謝らないと止まらないよー?」
ヤッ チョッヤメッ…アハハ! シ、シンジャウー!!
P(すごい……楽しそうです…)ブーン
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─────撮影所──────
カメラマン「はーい、もう一枚」パシャッ
P「うん、順調だな」
響「プロデューサー!」
P「えっ、響? それに美希と貴音、どうしてここにっ?」
美希「ミキたちも違う所でグラビア撮影やってるのーっ」
響「今は自分達、休憩中なんだぞっ」
P「あっ、そういえばそうだったな」
美希「だから遊びにきたのハニー!」ダキッ
P「だぁっ! い、いきなり抱きつくな美希ッ!」
貴音「こら美希……プロデューサーも困っていますよ」
美希「ぶーっ」
P「ぶー、じゃない。まったく……」
響「雪歩と真のグラビアかー。二人とも可愛い格好してるなー」
貴音「ええ、とても麗しいです」
美希「可愛いけど。美希は、真くんはやっぱり前の方が良かったって思うな」
P「……そう、かもな」
貴音「それはそうとプロデューサー。少し、お耳に入れてほしいことが……」
P「ん、どうした貴音?」
貴音「はい、何やら嫌な気配がします。先程も、わたくし達を狙う輩が現れました」
P「な、なに!? こっちにそんな話は」
貴音「スタジオに入る前、車から降りたところに、所謂〝ちんぴら〟と呼ばれる者達が──」
響「──『君達アイドルでしょ?』とか言って、手を出してきたんだぞ」
P「そ、それで……」
美希「二人ともすっごい強かったの! 響も貴音もすごかったのー!」
響「沖縄の武術に敵うやつはいないさー」シュッ シュバッ─
P「倒しちゃった、のか…?」
貴音「正当防衛でした」ファサ…
P「おいおい、あんまり危ないことをしちゃだめだぞ。
万が一何かあったら、どうするつもりだったんだ」
響「う、ごめんなさいだぞ……」ショボーン
貴音「しかし、あなた様も気をつけて下さいまし。まだ近くにいるやもしれません」
P「ああ、分かった。それよりお前ら、撮影はいいのか?」
響「げげっ!? もうこんな時間だぞ。美希、貴音、ダァッシューッ!」
美希「うわわぁ、ハニーじゃーねーなのー!」
貴音「それでは、失礼いたしますー」
ダダダー
P「まったくあいつらも」ハァ…
P(でも、少し心配だな……俺も気をつけないと)
──────
───
カメラマン「は〜い、オーケーです。お疲れ様ー」
雪歩・真「「ありがとうございましたー!」」
真「っんー! いっぱい撮ったねー」
雪歩「うん、カメラマンさんも褒めてくれたし、真ちゃん可愛かったよ」
真「ほんとっ!? ありがとー雪歩ーっ!」ダキッ
雪歩「ちょ!? 真ちゃッ、苦しいー!」
P「お疲れ二人とも。雪歩はまたこれから撮影だけど、真も見に来るか?」
真「もちろんです、私もついて行きますっ」
P「よし、じゃあ行くぞ二人とも」
雪歩・真「「はいっ」」
──────
───
パシャッ パシャシャッ
真「雪歩、綺麗ですね……」
P「そうだな。雑誌の巻頭カラーだから、セットもすごいし」
P「でも、真もその…──可愛くなったぞ?」
真「ぶっ!? なな、なんですかいきなりっ!?」ワタワタッ
P「しぃー、しぃー……!」
真「す、すいません……でも、
プロデューサーがいきなり、変なこと言うから……」
P「可愛くなった、全然変なことじゃない」
真「……」///
真「プロデューサーがそういうなら、良かったの、かな…」ボソボソ
P「え、なんだって?」
真「──なんでもないですよーっだ!」
P「む、なんだよその言い方」
真「ほ〜ら、雪歩を見守りましょうっ」
P「……まったく」
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─────駐車場──────
雪歩「うぅ、緊張した…」トボトボ
真「お疲れ雪歩。ほら、奥の方座りなよ」
雪歩「ありがとう真ちゃん……ふぅ」
P「二人とも、飲み物何にする? 俺、買ってくるよ」
雪歩「ありがとうございますプロデューサー。じゃあ、午後ティーを」
真「私はマテ茶でお願いしますっ」ニコッ
P「了解、すぐ戻るよ」タタタ─
この時、貴音の忠告を忘れていた俺は──何も考えずただ、
いつものように、2人を置いて自販機に向かった。
──────
───
P「えっと、これと──」ピッ ガコンッ
P「──…これか、よしっ」ピッ ガコンッ
雪歩「きゃああああぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」
P「ッ!? ゆき──ッ!!」
────あなた様も気をつけて下さいまし。まだ近くにいるやもしれません
P「雪歩っ!!」ダッ─
──────
───
P「雪ッ──」
男1「ほらぁ、怖がらなくてもいいんだぜぇ?」
男2「おい、なんか来たぞ」
雪歩「ぷ、プロデューサー……真、ちゃんっ…」ガタガタ
男1「なんだてめぇは?」
P「萩原雪歩のプロデューサーだ。その子を放してくれ」
男3「あぁ? てめぇ今の状況分かってんのかおい」
男1「へへっ、雪歩ちゃ〜ん?」
雪歩「ひっ……!!」ビクッ
男2・3「「はっはははははッ!!」」
P「ぐっ……──ッ!」
P(そう言えば真、真はどこにッ…!?)
男2「よし、そろそろ──」
P「その子を、どうするつもりだ?」
男2「ぁ? 決まってんだろうが。アイドルの写真がいくらで売れると思ってんだよ」
男3「みなまで言うな男2、雪歩ちゃんが怖がっちゃうだろ?」
男3「なーに、ちょっとおたくのアイドルをお借りするだけだ。
悪いようにはしねぇよ」
P「雪歩を、放せ……ッ」
男1「ひゃっははぁ!! 嫌って言ったらどうするんだよぉ?」
男2「おい、こんなところで時間くってる暇はねぇ。さっさとズラかるぞ」
P(どうしたら! こうなったら……頼む、真ッ──!!)
男3「そうだったな。じゃあなプロデューサー様、あば──」
P「まことおおおおおおおおおーーーーッ!!!!」
男1・2・3「ッ!!」ビクッ
P「何してる! 雪歩がピンチの時に、お前は指を咥えて見てるのかッ!?」
P「こういう時に、王子様ってのは助けてくれるんじゃないのか!!」
男2「おい、黙ってろ!」バキッ
P「うっ!」
雪歩「プロッ…デュ──」
P「雪歩にとって王子様は──お前しか、いないんだぞッ!!」
男2「てめぇ!!」バキッ
雪歩「っ! プロデューサー…ッ」ジワッ
P「っ、それと俺は──お前はどんな時でも、ずっといつでも可愛いと、そう思ってるぞ!! 真ッ!!」
男1「なんだぁ? 気でもくるったか!」
男2「デカい声をあげても無駄だぞ、他に変な真似してみろ。この子はタダじゃおかねぇ」
男3「サツにチクッたらどうな──ホゲッ!?」ガンッ─ ドサッ
P「!!」
男2「な、なんだ!?」 男1「なんだお!?」
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!」ダッ─
男1「ぎゃっ!!」バキッ─ バタッ
「──…はっ、はっ、はっ」
P「真ッ!」
雪歩「ま、真ちゃん…!」パァッ
真「ごめん雪歩、怖い想いをさせたね」
雪歩「ッ真ちゃん、怖かった、怖かったよぉ〜……」グズッ…
真「ボクがいるから、もう大丈夫だ」
男2「クソッ! もう一人いやがったのか!
男3の野郎、しっかり調べたんじゃねぇのか…!」
真「……」キッ
男2「女だからって、容赦はしねぇぜ!」コキ…コキ…
真「はぁ……! と、言いたいところだけど、真王子はこれでおしまい。
あとは──」
ファンファンファンファン──
男2「ゲッ……」
真「──おまわりさんに、任せよう」
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────夕方・事務所─────
小鳥「動かないで下さいよー?」
P「ホント、一時はどうなるかと思ったよイテテッ…」
律子「それは貴方の不注意が原因でしょ!?
なのに真に助けてもらってそれで警察沙汰になって、
ちょっと聞いてるんですか本当にプロデューサー殿は──……」ガミガミ
P「」ショボーン
美希「アッハハ、ハニー怒られてるのー」
千早「下手したら大変なことになってたからよ」
亜美「りっちゃんもよくあんなに舌が回るよね→」
P「お前ら言いたいことだけ言いやがって。うぅー滲みる…」
伊織「竜宮のスケジュール伝えるときも、いつもこんな感じじゃないの」
春香「でも良かったよー、雪歩も無事だったし」
雪歩「真ちゃんの、おかげだよ」
やよい「本当に良かったですーっ」
響「そんなに自分は心配しなかったぞ、
なんせ真には自分直伝の武術があるからなー」
貴音「まこと──良い判断でしたね、真」
真「警察に通報してて、少し遅くなっちゃったけど、雪歩が無事で本当によかった」
P「そう言えば、なんであの時雪歩と一緒じゃなかったんだ?」
真「お花を、摘みに……」
P「そうだったのか。いやはや、久々にドキドキしたよ…」
伊織「まったく、プロデューサー失格ね」
P「ハハハ、言われちゃったよ…」
真「……」
真「わた──いや、ボクやっぱり、こっちの方が自分らしいのかも」
一同「えっ?」
亜美・真美「「ぼ、ぼくぅ〜!?」」
春香「真?」
P「……」
真「ボクのことを、可愛いって言ってくれる人もいる。
それなら、みんなを守れる……王子様でも──」
雪歩・小鳥「「まこと様ぁー!!」」
真「う、ううわぁーーっ!?」
雪歩「真ちゃんっ、やっと戻ってくれたんだねー!」ダキッ
小鳥「ロン毛も男らしくていいッ、いいわよ真ちゃん…!」ズイッ
真「ちちょッ! 小鳥さんまでっ」
社長「よほぉー! 話は聞かせてもらったよー、これで凍結されていた、
ドラマ『進撃の●人』の件も再始動というわけだ!」
真「ってあの話まだあったんですか!?」
社長「頼むよ『鎧の巨人』くん! ハッハッハッハ!!」
真「ッ〜〜、やっぱり男の子扱いはいやだぁぁぁーーーー!!」
────────────────────
────夜・屋上─────
P「なんだか、あっという間だったな」
真「はい、ボクの我がままにみんなをつき合わせて……本当に申し訳ないです」
P「ちょっと思春期の悩み話が、大きくなっただけだ。
この数ヶ月で、何か分かったんだろ?」
真「何か……そうですね。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないです」
P「? なんだ、言葉を濁すじゃないか」
真「結局は……最初から分かってたことだったんです。
それを再認識できた、そんな数ヶ月でした」
真「ボクのことを可愛いと思ってくれる人もいる……。
ボクにだって、王子様はいたんですよ」
P「……そうか、よかったな真」
真「はいっ」ニコッ
P「……」
真「……──ッ」
真「ねぇ、王子様」
P「ん、なんだまk──って王子様ッ?」
真「……いっひひー、なんでもありませんッ♪」 ニコッ
─おわり─
<<41
小萌先生をずっと子萌先生と思ってた時並みの不覚。
まぁ、読んでくれてありがとう!
>>42 そして不覚にも安価まで間違えるという。
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