『優秀な国があるらしい』



女後輩「なんかぁ、最近、ツイッター見てたらぁ、『政府批判ばかりしないで、国民が一致団結する事が大事』みたいなぁ、そんな内容のものを見つけたんですよぉ」

男「ああ、何かそんなん俺も見た覚えがあるなぁ」

女後輩「私ぃ、これ、ホントそうだと思うんですよぉ。批判ばっかりでやんなってきててぇ」

男「いや、批判するところはしないとダメだろ」

女後輩「でもぉ、批判する人ってぇ、何も代案とか出してない人ばっかりじゃないですかぁ。私ぃ、そんな中でぇ安倍総理は頑張ってると思うんですよぉ。うちで踊ろうのコラボも好きですしぃ」

男「……マジで？」

女後輩「結局、日本は批判ばっかしてるから全然ダメなんですよぉ。政府の邪魔しちゃいけないんですってば」

男「ちょっと待って、それ本気の本気で言ってる？」

女後輩「もちろん本気の本気ですよぉ。だってぇ、私、Googleで調べて知ってるんですから。誰も政府を批判してなくてぇ、国民が一致団結しててぇ、マスコミも政府の対応をきちんと誉めててぇ、そのおかげで新型コロナが全然流行してない国を」

男「……どこ？」

女後輩「なんかぁ、北朝鮮って国です。未だに一人も感染者を出してないんですよぉ。ヤバくないですかぁ？」

男「あー……ガチでヤバイとこね……。誰も批判しなくなったら終わりってよくわかった」

女後輩「そうなんですよぉ、誰も批判しなくなったら、きっと感染者もすぐにいなくなってぇ、この騒ぎも終わるはずなんですよぉ」

『忖度（他人の気持ちをおしはかる事）』



女後輩「そういえばぁ、ちょっと前に『忖度』ってバズったじゃないですかぁ」

男「バズったかなぁ……？」

女後輩「でも、あれってぇ、私達も普段からやってますよね」

男「例えば？」

女後輩「私ぃ、猫飼ってるんですけどぉ、時々、前足でチョイチョイって触られる時があってぇ、それ見たら遊んで欲しいんだなって『忖度』してぇ、遊ぶんですよぉ」

男「猫に『忖度』するの、初めて聞いた」

女後輩「あとぉ、ご飯の器の前に座ってぇ、こっちをじっと見てる時があってぇ、その時はお腹が空いてるんだなって『忖度』してぇ、ご飯をあげるんですよぉ」

男「へー」

女後輩「だからぁ、猫好きの人はみんな猫様に『忖度』してるんですよぉ。猫様が安心して暮らせるように」

男「なるほどー」

女後輩「だからぁ、猫様はひたすら『忖度』してくれる飼い主が大好きでぇ、逆に飼い主が全然『忖度』してくれない場合はぁ、別の飼い主に変えようかって考えるらしいんですねぇ」

男「マジかー、それキツいなー」

女後輩「今、それを政府がやってるっぽいんですよねぇ。検察官の人事を変更出来るようにぃ、法律変えようとしてる真っ最中らしいですよぉ。ツイッターでそんなん見ました」

男「え？」

『国会議員様、あるいは猫様』



女後輩「国会議員ってぇ、私達の税金から給料が出てるんですよねぇ。あの人達を養ってるのって私達じゃないですかぁ」

男「お、おう」

女後輩「だけど、不思議と私達より偉いみたいなイメージあるじゃないですかぁ。センセイって呼ばれてますしぃ」

男「まあ、確かに……」

女後輩「それって、猫様によく似てると思うんですよぉ。実際、私なんか、お腹すいた猫様に毎朝ペシペシされてご飯を要求されますしぃ」

男「完全に召し使い」

女後輩「養ってあげてるのに、この仕打ちですよぉ。でも、飼おうと決めたのは私ですからぁ、それはしょうがないんですけどぉ」

男「まあな」

女後輩「だから、厳しい事を言われても仕方ないんですよぉ。CMでもあるじゃないですかぁ」

男「CM？」

女後輩「お前、俺の飼い主なら、俺以上に俺の事を管理しろ。悪い事をしたら叱れ。良い事をしたら誉めろ。忘れてくれるな、俺はお前次第でどんな風にでも変わるんだって」

男「そんな歌詞だったっけ？」

終わり