男「最近娘の様子がおかしい…」(24)
男「やぁ、久しぶりだな。屋台のおっちゃん」
「おぉ! 男か。あの頃と比べて大きくなったなぁ」
男「そりゃ10 年も経てば変わるさ」
「よっしゃ、それじゃあ、今日は俺っちの奢りだ! たんと食え!」
男「サンキューおっちゃん! あ、後で連れが来るんだけどいいかな?」
「かまやしねぇ、かまやしねぇ。二人でも三人でも連れて来いってんだ」
男「恩に着るぜ!」
漢「よ、男」
男「お、来たか漢。まぁ座れよ」
漢「では遠慮なく。あ、オヤジ、つくね頼む」
「あいよ」
漢「で、優男は?」
男「ちょっとばかし遅れるとよ。おっちゃん、ビール二つ頼む」
「おっしゃ。ほらよ、お二人さん」
男「ありがとさん」
漢「すまないな」
男「んじゃ、かんぱーい!」ゴクゴク
男「ぷはーっ! くぅ、うめぇ!」
漢「それで、わざわざ俺を呼び出した理由は何だ?」グビッ
男「…………」
男「実はさ、相談に乗って欲しいんだ」
漢「相談? 俺にとはまた珍しいことだな」
男「硬派のくせに俺たちの中で誰よりもモテて、しかも美人な嫁さん貰って一番に結婚して、元気な子供を授かったお前だから相談できるんだ。あとリア充爆発しろ」
漢「……お前は本当に相談する気があるのか?」
男「いや、そりゃさ。俺もいい嫁さんもらって可愛い娘も授かってさ…、あ、写真見る? これがもう滅茶苦茶かわいくてさー」
漢「いいからとっとと本題に戻れ」
男「まぁ、時間が経てば娘も成長するわけだ」
漢「そうだな」グビッ
男「するとだ、可愛い娘も遂には反抗期を迎えるんだ…」
男「この前もさ、娘が何かしてたから『なにしてるんだい』って聞いたんだ」
男「そしたらさ、そしたらさ……。うおおおおん!!」
漢「落ち着け、男」
男「だってさぁ! だってさぁ! 娘ってば『な、何でもない!』って隠すんだぜぇ!」
漢「娘ちゃんはいくつだったっけか?」
男「今年で9歳だよ、うおおおおん!」
漢「そのぐらいになれば隠し事の一つや二つはあるだろうに」
男「娘には隠し事はして欲しくないんだよぉ!」
漢(面倒臭ぇ……)
「へい、つくねお待ち」
漢「ああ、ありがとう」
男「娘ぇぇぇ! うおおおおん!」
優男「やっほー、二人とも久しぶりー」
漢「む、来たか」
優男「なんか男がもう出来上がっちゃってるみたいだけど?」
漢「疲れていたんだろうよ。一杯で酔った」
優男「なるほどねぇ」
男「優男ぉ! 俺の話を聞けぇぇぇ!」
優男「やだよーん♪」
男「げふぅ!?」
漢「哀れな……」
優男「それで、何がどうなったの? わざわざ僕を呼び出したんだからそれなりに面白い話を聞かせてもらいたいけど」
漢「娘ちゃんが反抗期、以上」グビッ
優男「そういうことね」
男「娘ぇ……、グスン。君はもう俺の手の届かないところへ行ってしまうんだね……」
優男「そんな結婚するわけでもないし、大袈裟だねぇ」
男「何を言うか優男! こういうのを放って置いたら不良になるんだ!」
漢「極端な発想だと言わざるを得ないが…」
男「馬鹿野郎! お前の娘の少女ちゃんが非行するところを考えてみやがれ!」
漢「む……。確かに非行は良くないが…」
優男「そんなすぐに家出とかするわけでもないでしょ、常識的に考えてさ」
優男「あ、おじさん。僕にもビールと大根くれるかな?」
「あいよ。大根はちょっと待ってくれぃ。今作ってっからよ」
優男「はいはーい。で、具体的に何やったの、娘ちゃんは? タバコ? 酒?」
男「うちの娘がそんなことするか!!」
漢「隠し事されたんだと」グビッ
優男「そんな騒ぐことでもないじゃん…」
男「じゃあ、自分の子供に隠し事された時の気持ちを考えてみやがれ、漢!」
漢「何故俺にふるのか…」
漢「まぁ、あまりいい気はしないな…。だが、少女に限ってそんなことは…」
漢「いや…、そういえばこの前からあいつもこそこそ何かをやっていたような……」
男「ほれ見ろ! 心配になるだろうが」
漢「正直男に言われるのは癪だが……、むぅ……」グビッ
「あい、大根お待ち」
優男「わーい。ありがと」
漢「くっ……。少女、お前は一体何を……!?」グビッ
男「娘ぇ……」ゴクゴクッ
優男「ありゃ、漢まで落ちちゃったよ」
優男「おじさーん、ビールの追加二つ貰える?」
「おう、待ってな」
優男「ありがとう。っていうか二人ともさ、そこまで心配するわけでもないと思うけどなぁ」
優男(そういえばもうじきあの時期だしなぁ)
男「うるせぇ! お前なんか子供に『お父さん、大嫌い!』って言われちまえ!」
優男「それかなり心にダメージくるよ!?」
男「くそーっ! 今日はもうとことん飲んでやる! 娘なんか知ったことかぁ!」
漢「お仕置きはお尻ペンペン…、いや、拳骨か…」
優男「とりあえず、漢はお仕置き考えるのやめた方がいいんじゃないかな」
男「おら、飲め漢!」ガッ!
漢「…………!?」グビグビ
優男「ワオ! 酔っ払い超怖い」
男「ガハハハハ! 宴だこの野郎!」
漢「……不覚」チーン
優男「あーあ、沈んじゃったよ」
結局、ハイペースで飲み続けた男に付き合わされた僕らは、朝日が登るまで飲まされ続けたのだった。
優男「いちち…。うぅ、二日酔いって最悪だなぁ」
優男「ごめんねぇ、おじさん。こんなに騒いじゃってさ」
「ま、いいってことよ。お前さんらのストレス解消になったなら、幸いさ」
優男「うわ、おじさんマジイケメン」
漢「くっ……。頭が痛い…。今はいつだ、優男?」
優男「んぅ? もう日が登ってるよ」
漢「む、もうそんな時間か…」
優男「とりあえず男を起こして解散しよっか」
漢「そうだな。おい、起きろ男」ガスッ!
男「んが? あり、ここはどこだ? 今いつ?」
漢「ボケかましてないでとっとと起きろ。もう朝だぞ」
男「うぇ…。もうそんな時間かよ……。気持ち悪ぃ…」
漢「自業自得だ。ほら、立てるか?」
男「ああ、何とか」
優男「それじゃ、お開きってことでいいよね、男?」
男「まぁ、こんな時間になればな……」
男「付き合わせちまって悪かったな、二人とも」
漢「全くだ。二日酔いになるなんて久しぶりだぞ」
優男「また何かあったら相談にのるよーん」
男「んじゃ、解散しますか。おっちゃん、ここに代金置いとくぜ」
「気をつけて帰れよ、三人とも」
ミスったorz
というわけで直し。
優男「それじゃ、お開きってことでいいよね、男?」
男「まぁ、こんな時間になればな……」
男「付き合わせちまって悪かったな、二人とも」
漢「全くだ。二日酔いになるなんて久しぶりだぞ」
優男「また何かあったら相談にのるよーん」
男「んじゃ、解散しますか。おっちゃん、サンキューな」
「気をつけて帰れよ、三人とも」
帰り道
男「はぁ、結局何の解決にもならなかったよな…」トボトボ
男「しかも、歩いてたらもう昼だし」
男「ひとまず、愚痴を聞いてもらえただけでもよしとするか…」
男「ただいまー」
嫁「あ、男。もう、今いつだと思ってるんですか? もうお昼ですよ?」
男「ごめんごめん。飲んでたらそのまま寝ちゃったみたいでさ」
嫁「まったく…。これからは遅くなるなら遅くなるで連絡くらいしてくださいな」
嫁「娘も遅くまであなたの帰りを待ってたんですよ」
男「そりゃ悪いことしたなぁ…。また謝っとかなきゃ」
嫁「それはそうと、今日は何の日か覚えてますか?」
男「今日? 何かあったかな?」
嫁「ふふっ。分からないなら分からないでいいですよ。……その方がサプライズ感もありますし」
男「…………?」
嫁「さ、居間で娘が待ってますよ」
男「娘が?」
男「娘、いるのか?」
娘「あ、お父さん、おかえりなさい!」
男「うん、ただいま」
男「それで、お父さんに何か用があるんだって?」
娘「うん!」
娘「えーとね…」モジモジ
男(なにこれ、超可愛いんですけど)
娘「はい! お父さんにプレゼント!」バッ!
男「へ? プレゼント?」
娘「あのね、あのね。今日はお父さんの日でしょ? だから、お父さんにプレゼント!」
男「俺の日……?」
嫁「あらあら、本当に思い出せないんですか? 今日は父の日でしょう?」
男「…………!?」
男「じゃ、じゃあ、娘が隠し事してたのも……」
嫁「見つからないようにって必死だったんですよ。ねぇ、娘」
娘「ねー!」
男「くぅ…‼ 俺はなんて幸せ者なんだ…! 娘ぇ!」
娘「やーん、お父さんお酒くさいよー」
娘「早く開けてよお父さん!」
男「もちろんだ」グスッ
男「さて、中身は何かなー?」
娘「なにかなー?」
嫁「何かなー?」
男「…こ、これは……!」
かたたたたき券
娘「疲れてるお父さんに肩たたき券なのー」
娘「5枚あるから使ってほしいのー」
男「うぅ……」ジワ…
男(肩たたき券かー。そういえば俺もあげたっけかなぁ、父さんと母さんに)
男(たが一つ多いのも微笑ましいなぁ……)
男「ありがとな、娘」
娘「うん、これからもお仕事頑張って欲しいのー!」
娘「お父さんファイトなのー!」
終わり
ここまで読んでくださった方ありがとうございました。
皆さんもお父さんは大切にしてくださいね。
帰って来た時に一言「おかえり」って言うだけでも大分違いますよ。
こんなssでも、誰かの役に立てるとしたらそれはとっても嬉しいなって、思ってしまうのでした。
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