日野茜「近寄らないでください文香ちゃん!!!」鷺沢文香「!?!?!?」 (25)


~事務所~


塩見周子「うへぇ……暑い……」パタパタ

周子「でもマスク外せないし……まぁあたししかいないけど……」

ガチャ

日野茜「おはようございます!」

周子「おー、茜ちゃん。おつかれー」

茜「周子ちゃん!! お久しぶりです!!!」

周子「ねー、なかなか事務所にも来れなかったもんね」

茜「事務所、私も久しぶりに来ました!」

周子「あ、流石に茜ちゃんもマスクしてるんだ」

茜「はい! お隣、いいですか!」

周子「おっと茜ちゃん、それは”密”だよ」

茜「はっ! そ、そうでした……!」

周子「茜ちゃんは距離感が近いし、気を付けなきゃね? 今までは家にいたかもだけど、この先はだんだんお仕事も再開するから」

茜「はい! ……あれ?」ガサゴソ

周子「どしたん?」

茜「あ、いいえ! 水筒がなくて……忘れちゃったのかな……?」

周子「あー、ホントならシューコちゃんのお茶を飲ませてあげたいけど……」

茜「いえいえ! ちょっと自動販売機で買ってきます! 周子ちゃんは……」

周子「まだ余ってるから平気。ありがとね」

茜「では行ってきます! 荷物、見ておいていただけると!」

周子「いってら~」フリフリ

ガチャ

周子(マスク越しでも茜ちゃんは元気だねー)

周子(あたしもお茶飲も……)

「あ! 文香ちゃん!!! おはようございます!!!」

周子(うわ! びっくりした……廊下に文香ちゃんがいたんだね)ゴクゴク

「……--……--」

周子(ま、さすがにここからじゃ文香ちゃんの声は聞き取れないけど)ゴクゴク

「はい! お茶を買おうと!!!」

周子(ってか逆に茜ちゃんの声が聞こえすぎなんだよね……)ゴクゴク

「あ!!! 近寄らないでください文香ちゃん!!!!!」

周子「ブフゥーーーッッッ!!!!!!!!」



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周子「いや誤解しか招かないでしょその言い方!!!」

「」ドサッ

周子「ほら人間が倒れた音がした!!!」

「ふ、ふみかちゃーん!!!!!」

周子「ほれ見たことか!!!!!」ダダダ


~文香、救出~


周子「とりあえずソファに寝かせたけど……」

茜「ふ、文香ちゃん……!」オロオロ

周子(めっちゃ心配してるけど明らかに加害者だからね)

鷺沢文香「う、ううん……」

茜「文香ちゃん!」

周子「お、大丈夫ー?」

文香「……はっ……! こ、ここは……」

周子「事務所のソファだよ」

文香「事務所……? 記憶が……確か悪夢を……茜さんに拒絶されるという……うっ……」フラッ

周子(夢じゃないんだけど)


文香「お騒がせをいたしました……」

茜「大丈夫ですか文香ちゃん!」

文香「はい……やはり茜さんは優しいですね……」

周子「ウン、ソウダネ」

茜「それにしても、近づけないのはもどかしいですね……!」

文香「近づけない……? ああ、なるほど……」

周子「あー、そうなんだよね。さっきのは悪夢じゃなくて、茜ちゃんなりの気遣いというか……」

文香「いえ、私も、少し早とちりをしてしまったようで……」

周子「どういう流れだったの?」

文香「茜さんの髪に糸くずがついていて、取ろうとしたところまでは……」

周子「あー、なるほどね」

茜「す、すみません……!」

周子「でも茜ちゃん?」

茜「はい!」

周子「危ないのは近づいた上で話したりすることだから、近づくだけならそんなに問題はないんだよ? ほら、電車とかはそこまで感染場所にはなってないでしょ?」

茜「なるほど!!!」

文香「では茜さん、隣に座っても……?」

茜「もちろんです!」

周子(ま、どちらにしてもマスクしてれば大丈夫だとは思うけどね。……お茶飲も)ゴクゴク

文香「それでは、失礼して……茜さん、今日はどうして事務所に」ヨイショ

茜「文香ちゃん!!! 話しかけないでください!!!!!」

周子「ブフゥーーーッッッ!!!!!!!!」


文香「」ドサッ

茜「ふ、ふみかちゃーん!!!!!」

周子「天丼が早すぎるんだって!!!」

茜「ま、まさかウイルスに!?」

周子「んなわけないでしょ!!!」


文香「……はっ……! こ、ここは……」

周子「さっきも言った覚えあるけど、事務所のソファだよ」

文香「また悪夢を……」

茜「よ、よかったです……」

周子「とにかく、先に言っておくけど、マスクしてるんだから近づいたりちょっと話すくらいなら大丈夫だから!」

茜「は、はい!!!」

周子「体に触ったりするレベルの接触がなければ大丈夫! わかった!?」

茜「わかりました!!! 文香ちゃん!!! 触らないでください!!!!!」

周子「言い方ァ!!!」

文香「」ゴフッ!!!

周子「とうとう吐血!?」


周子「お願いだからオブラートに包んで!!!」

茜「ご、ごめんなさい! 文香ちゃんがウイルスになっちゃったら大変だと思って……!」

周子「このままじゃウイルスに罹る前に死んじゃうから!」

文香「うう……はっ……! こ、ここは……」

周子「ごめん、説明するのも面倒になってきた……」

文香「綺麗な川の向こうでちとせさんと加蓮さんが手を振っていました……」

周子「シャレにならないから止めて」


~~~~~~~~~~~~~~~


文香「ふぅ……」

周子「落ち着いた?」

茜「はい!!!」

周子「茜ちゃんには聞いてないし落ち着いてもない」

文香「すみません……ただでさえ家に篭りきりで体力が落ちていて……」

周子「文香ちゃんのことだから、本ばっかり読んでてご飯もちゃんと食べてないんじゃないのー?」

茜「それは良くないです! ご飯は大切ですよ!!!」

文香「い、いえ、自分としては食べているつもりなのですが……」

周子「じゃあ、昨日のお昼は?」

文香「塩を少し舐めました……」

周子「食事って言葉の意味、知ってる?」


周子「え、冗談でしょ?」

文香「で、ですが、流石に栄養面が不安だと思い、夜は塩だけではなく……」

周子「だけではなく?」

文香「味噌も舐めました」

周子「文香ちゃん、縄文人か何か?」


文香「しかし……1日中動かないとなると、塩ひとつまみでも十分で……」

周子「そんなシェフの隠し味みたいな分量の食事ある?」

茜「ダメですダメです!!! ちゃんと食べましょう文香ちゃん!!!」

周子「ちなみに茜ちゃん、昨日の朝ごはんは?」

茜「ハンバーガーです!!!」

周子「お昼は?」

茜「ラーメンチャーハンギョーザセット(980円)です!!!」

周子「値段は聞いてないけどね? 夜ごはんは?」

茜「牛丼とカツカレーのセットです!!!」

周子「どっちがメインなのかわかんないセットだ」

茜「おやつにおにぎり10個!!!」

周子「刃牙なの?」


文香「そのカロリーを使い切る強さ……憧れます……」

周子「文香ちゃんが憧れるにはハードすぎると思うけどなあ」

茜「朝からランニング→筋トレ→ご飯→ランニング→筋トレ→ご飯→ランニング→筋トレ→ご飯→ランニング……で1日が終わります!!!」

周子「アスリートでも特集組まれるレベルだよ」

文香「そうですね……茜さんのランニングと筋トレと食事を全て『読書』に置き替えていいなら……」

周子「ただの文香ちゃんじゃん」


周子「とにかく、ふたりとも自粛期間は逆方向に偏った生活をしてたみたいだけど、そろそろいつもの生活に戻らなきゃね?」

茜「わかりました……! 明日から塩を舐めて暮らします……」

周子「それは文香ちゃん以外1日で死んじゃうやつだからやめて」

文香「私も……朝からハンバーガーとチキンとコーラを……」

周子「そんな急にアメリカの肥満児みたいな食生活を?」


周子(発想が極端なんだよねふたりとも……あ)

周子「じゃあ、なるべくふたりで同じものを食べるようにすれば?」

茜「同じものを?」

周子「そ。そうすれば、茜ちゃんがたくさん食べようとすれば文香ちゃんは食べきれないし、文香ちゃんがちょっとのご飯で済ませようとしたら茜ちゃんがお腹ペコペコになっちゃうでしょ? 結果的に、お互いにちょうどいい量のご飯になるってわけ」

文香「し、しかし……いきなりそのような……」

茜「いいですね!!! 文香ちゃん! 毎日私(と同じ内容)のご飯を食べてくれますか!!!」ガシッ

文香「もちろんです……!」テレテレ

周子「提案しておいてアレだけど、ちょろっ」


文香「大丈夫です。式には周子さんもお呼びしますので……」

周子「ぜんぜん大丈夫じゃない」

茜「?」

文香「ともあれ、私のような……活発に外へ出るタイプではない者は、そこまで生活に変化はありませんが、茜さんは大変だったでしょう……」

茜「そうですね……やっぱりスポーツを見れなくなってしまったのは悲しかったです……」

周子「でも、最近ようやくお客さんを入れてやってるスポーツも増えてきたよね?」

茜「はい! よくロケや旅行のついでにスポーツ観戦などをすることがあったので、それがまたできればいいなって思います!」

周子「旅行もねー。なんかキャンペーンやるみたいだけど。なんだっけ? Go Toキャンペーン?」

茜「強盗キャンペーン!?!?!?」

周子「耳掃除してあげるからちょっとこっち来てくれる?」


茜「でも、大丈夫です!!! 私はウイルスなんかに負けませんよ!!!」

周子「うーん……それはちょっと危ない考えというか……」

茜「?」

周子「たとえば、茜ちゃんは強いから、病気になっても普通に動けるかもしれないでしょ?」

茜「はい!」

周子「でもそれだと、自分が病気だと気が付かないまま、他の人にうつしちゃうかもしれないわけだよ」

茜「はっ!!!」

文香「そうですね……私は免疫力のなさには自信があります……」

周子「自信持つとこじゃないけどね?」


周子「つまり、『自分が罹らないように』じゃなくて、『自分が罹ってるとして、他の人にうつさないように』って考えなきゃね」

茜「な、なるほど……!!!」

周子「でも文香ちゃんは、茜ちゃんからうつされて献身的に介護される方がよかったり……? なんてね♪」

文香「ふふっ、流石に私も、そこまででは……」

文香「……」

文香「……」

文香「……ないですよ」

周子「間があったね」


周子「っていうか、シューコちゃんはこの後レッスンだから来たんだけど、ふたりは? お仕事?」

茜「そろそろ来ても良さそうなので来ました!!!」

周子「不要不急ここに極まれり」

文香「茜さんが来ると聞いたので来ました……」

周子「こっちも不要不急だけど、それで第一声『近寄らないでください』は可哀想すぎる」

茜「あっ、わ、私も文香ちゃんに会えて嬉しかったです!!! 文香ちゃんに会えないと、ご飯もなかなか喉を通らなくて……!!!」

周子「さっきの食事量で???」

文香「私も、塩がなかなか喉を……」

周子「岩塩そのまま飲み込んでたりする?」


茜「でもやっぱり、直接お話しできるのはいいですね!」

周子「ま、テレビ通話とかはあったけど、対面で話すのとはやっぱり違うよね」

茜「はい! マイクが毎回壊れるので、お金が大変でした!!!」

周子「恵磨ちゃんも同じこと言ってそう」

文香「私は茜さんと通話するたびにイヤホンが壊れました……」

周子「すごい局所的に経済が回ってたんだね」

茜「3日連続で李衣菜ちゃんに『おすすめのマイクを教えてください!』って聞いてもイヤな顔ひとつしないで教えてくれました!!!」

周子「いい子~~~」


茜「未央ちゃんと藍子ちゃんとの会議は、もう参加した瞬間にミュートみたいなやつにされてしまって……」

周子「あの二人もイヤホン壊されたんだろうね」

文香「みゅーと……?」

周子「そして機械に明るくない人間が被害を受け続けていくと」

茜「今度、一緒に買いに行きましょうね! 私はマイク、文香ちゃんはイヤホン!」

文香「はい……!」

周子「流れるようにデートの約束するよね」


茜「では! そろそろ私は失礼します!!!」

周子(本当に顔を出しに来ただけなんだ……)

文香「私も失礼します……外界の空気は久方ぶりで……慣れていかなくてはいきませんね……」

周子「外に出るだけでリハビリみたいになるアイドル、すごい不安だね」

茜「また今度、みんなで一緒に出掛けましょう!」

文香「はい……楽しみにしています……」

周子「ふたりは本当に仲が良いよねぇ」

茜「何言ってるんですか!!! 周子ちゃんも一緒ですよ!」

周子「へ?」

文香「どこか行きたいところはありますか……?」

周子「いや……まあ、邪魔じゃないなら……ありがと」

茜「せっかくなので、京都に行きたいですね! 周子ちゃんに案内してほしいです!」

文香「楽しそうですね……」

周子「そうだねー。あたしは逆に、関東の観光地に行きたいけどね。ほら、日光とか、茜ちゃん、詳しいんじゃない?」

文香「茜さんの案内、私もとても惹かれます……」

茜「そ、そうですか!? で、では、自信ないですが……」

文香「楽しみですね……」

周子「とはいえ、この状況が落ち着くまでは我慢しなきゃね」

茜「はっ! そうですね!!! 文香ちゃん!!! (栃木に)絶対に来ないでください!!!!!」

文香「」ゴフッ!!!

周子「結局そういうオチかい!!!!!」



おわり





ありがとうございました。


直近の過去作


神谷奈緒「憎めない専務とクローネWeb会議」

櫻木真乃「ピーちゃんが迷子になっちゃった…」久川颯「Pちゃんが!?」

【モバマスSS】輝け!なおかれん!

橘ありす「催眠術師フレデリカ?」

緒方智絵里「みんなで占いっ!」白菊ほたる「朋さん誕生祭!」


などもよろしくお願いします



勢いとテンポ好き

おつおつ
安心する



あと、味噌は鎌倉時代の武士だよー

刃牙なの?で草

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