・まえがき
ユッコとPがゴタゴタしたり、えっちしたりする話です。
約37000文字。
※※
「プロデューサーって、もしかして私のことが好きなのでは……?」
「そうだな、好きだな」
「ぴゃっ!?」
私が、休日朝一番に事務所で見た担当プロデューサーは、デスクのパソコンで何かを作業しながら、
けっこう眠そうな目つきと顔色をしていた。昨晩、大人組の誰かの遅い仕事に付き添ったのか。
休日、といっても私たち学生が春休みなだけで、プロデューサーはお仕事だったらしい。
そして学生アイドルにとっても、学校が休みな時こそお仕事だ。
私もレッスンが……なんだか朝早くに目が覚めたので、予定より早く事務所に来たわけだけど。
「もしかして……プロデューサー、テレパスに目覚めたんですかっ」
「違う。ユッコが声に出していたのが聞こえただけ。
なんでも……『プロデューサーって、もしかして私のことが好きなのでは……?』……とか」
「おぉ、乙女の独り言を盗み聞きなんて、さいきっくセクハレーションですよっ」
「セクハラのハラは“harassment”だ。“halation”ではないんだな」
私が口をとがらせたり頬をふくらませると、
ようやくプロデューサーはモニタから私に目を向けてくれる。
……スーパーでパックされてる魚みたいな目。
「ムムムーン! いけませんプロデューサー、目が濁ってますっ。落ち窪んでますっ」
「昨日、広告屋さんとのお付き合いで、遅くまで。3月だから、送別会も兼ねてて、雰囲気で飲んでしまった。
飲んでしまったんだが、俺は酒に酔ったまま寝ると寝付きが悪い体質なんだ。
それで軽く朝を食って、あとは抜けるまで仕事でもして時間をつぶそうかと」
「そんな状態でお仕事できるんですか? 休みましょうよ」
「そりゃ書類や資料の清書とか、チェック作業とかはできたものじゃないが……。
企画のネタだしとか、徹夜明けの変なテンションだと、ふだんは出ない考えが出ることがあるんだ」
じゃあ、さっきの『好きだな』ってのも、ふだん出ない言葉が出たのかな。
「そう? 俺はふだんからユッコのこと好きだって言葉や態度に表してたつもりだったんだが」
「のぉおあああっ!? 今度こそプロデューサーはテレパスを!」
「いや、今のはユッコの顔に書いてあった」
私はプロデューサーの顔を見つめ返した。
さっきパソコンを見たときは、スーパーでパックされてる魚みたいな目だったけれど、
いま私を見る目は、若狭小浜で水揚げされたあたりの目にはなってるかな?
私のさいきっくのおかげだったらいいな。
「じゃ、じゃあ、私のどんなところが、好きですか……?」
「そうだな……例えば、愛嬌」
「えへへ、愛嬌ですかー。そうですね、男は度胸、女は愛嬌……。
も、もうちょっと具体的だと嬉しいかなーって」
私だって、アイドルになるって予知夢を見て、その勢いでオーディションを受けちゃうぐらい、
今までの人生で「かわいい」とか褒められたことがあるんだけどなぁ。もちろんアイドルになってからも。
でも、プロデューサーからそう言われると、ちょっと違う。
嬉しいと思いつつ、ムズムズして座りの悪い感じもある。相反するフィーリングが混ざってる。
「まぁ……ユッコぐらい愛嬌に溢れてるのも、アイドル業界を探せば、チラホラはいるか」
「喜んでいいのかよくないのか困る褒め方をしますねぇ……」
プロデューサーはアイドルの子たちを、自分の事務所はもちろん、他の事務所の子もたくさん見ている。
そういう口から「愛嬌がある」って褒められるのは、そりゃちょっと違うかもしれない。
「あとは、自分がアイドルとしてどう活動していくか、しっかり考えてるところ。頼もしいと思う」
「か、かんがえて? たのもしい?」
私は耳を疑った。しっかり考えてる? 頼もしい? ……私が?
「俺、ユッコとオーディションで初めて会った時『サイキックアイドルってなんです?』って聞いたと思う」
「……たぶん、そうですね。正直、プロデューサーからは、事あるごとに、そう聞かれてるので、
別の場面と記憶がごっちゃになってるかもしれませんけど」
私のプロデューサーは、サイキックアイドル・堀裕子を担当して、その路線で活動させているのに、
サイキックに対しては、ファンよりよほど眉に唾をつけてかかってくる。
「そうそう。俺はユッコに手を変え品を変え、しつこく、しつーこくサイキックアイドルについて聞いてる。
サイキックアイドルってユッコより前は、ちゃんと売れた人いないから……
まさか、いまどき清田益章の真似をさせるわけにはいかないし」
「きよたますあき?」
「どうしても気になるんならスマホで調べなさい。その程度でじゅうぶん。
昔の流行りだから、ユッコのお父さんお母さんのほうが俺より詳しいと思う」
私はプロデューサーの『しっかり考えてるところ。頼もしいと思う』の言葉の追及に戻ることにした。
「じゃあ、サイキックアイドルに話を戻すが……
キャラにしろ、パフォーマンスにしろ、今までにないものは、手探りで作り上げていくしかない。
だから俺の考えが、ユッコのイメージがズレすぎてないか、絶えず確認しなきゃならない」
それは思い当たるふしがイヤというほどあった。
私も、嬉しいことにサイキックアイドルとして名前が売れてきて、
残念なことに私のことをインチキとかバカにしてきたり疑ってきたりする人の声もちょっと増えてきた。
けれど、そういう人よりも、誰よりも、何度も「サイキックって何?」とプロデューサーは問いかけてくる。
テレパスが使えれば早いのにな、と思うぐらい。
……もしテレパスで済んじゃったら、今みたいなやり取りがなくなっちゃうのかな。それは……。
「ユッコは俺の質問に……ときどき答えられなかったりブレたりはあるけど、一度もごまかしてない。
ちゃんと自分で考えてる。だから、俺が仕事を持ってきても、ユッコは責任を持って引き受けることができる」
「……いやいや、自分のことですよ? 当たり前じゃありませんか」
プロデューサーは表情も声音も真剣そのものだった。
なんだか、オーディションで初めて会った時を思い出す。あの時のプロデューサー、正直いって怖かった。
私はすごく緊張しちゃって、スプーン曲げどころか、スプーンを握ってるだけが精一杯だった。
「その当たり前をサボりっぱなしの人がいっぱいいるんだ。大人にさえ。少なくとも、芸能界とその周りには。
あんた俺のお客さん気取りか? って言いたくなる。言わないけど。
その考えなしに漬け込んで余分に儲けさせてもらうこともあるから……
それに比べたら、ユッコは頼もしいよ。比べるのが失礼なぐらい」
そんなプロデューサーが……え、え?
愛嬌があると言われたときより、嬉しさとムズムズが両方ともふくらむ。
「でも、私……ちゃんと考えてる、なんて褒められたこと、ないです。それこそ、親にだって」
「はぁ? それはいけない。俺がお父さんお母さんへ『褒めてあげてください』って言っておく」
プロデューサーがガチャガチャとパソコンのキーボードを叩く。
まさか、私の親にメールでも打ってるんじゃないでしょうね……?
「ぷ、プロデューサーって、お酒の後の寝付きが悪くてお悩みなんですよねっ」
「そうだな……ふぁあぁ……あぁ、すまん」
プロデューサーはあくびを噛み殺しながら、眠気を払うように首をぶんぶんと振った。
「私、さいきっく催眠術の訓練もしてるんですっ。ちょっと試してみませんか?
うまくいけば、プロデューサーもスヤスヤと……」
「……本当に寝てしまうかもしれないぞ?」
「だから、寝かせてあげようって言ってるんですー!」
私は、オフィスチェアよりは寝やすそうなソファにプロデューサーを引っ張って座らせ、
プロデューサーの瞳をじっと見つめながら、視線がかち合う真ん中に右手人差し指を立てた。
……爪、もっと丁寧にヤスリをかけておけばよかったかな。
「いいですか……? 私の人差し指の爪先をじっと見て、目の焦点を合わせてくださいね。
この人差し指の先を、私がゆーっくり前後に動かします。
あなたの方から見ると、近づいたり、遠ざかったり……しますからね」
プロデューサーは、また新鮮じゃない魚の目に戻りつつあった。好都合だった。
もしこれがギラギラしてる瞳だったら、私は目を反らしちゃったかも知れない。
「前後に往復するたびに、10、9、8……と、私がカウントダウンします。
数字が一つずつ減っていくたびに、あなたの体からとろとろと力が抜けていって、
意識も緊張がほぐれてリラックスしていって……私がゼロと言ったら、あなたは夢の世界」
すっごく疲れているはずなのに、プロデューサーは私のサイキックトレーニングにつき合ってくれる。
さっき『好きだな』って言ったの、本当なのかな。
「カウントダウンを、はじめますよ……10、9、8……」
でも、それは……らぶ? らいく?
「7、6,5、4……」
こんなに近くで見つめ合ってるのに、プロデューサーの内心は透視できない。
「3、2、1……」
そうなると、見つめ続けるのが照れくさくなって、自分で動かしてる指先に視線を逃がす。
「……ぜろっ」
プロデューサーの目蓋は、すっかり落ちていた。
※※
「あ、あの……プロデューサー……プロデューサー……?」
私はプロデューサーに声をかけた……といっても、蚊の鳴くような声しか出なかった。
「ほ、ホントに、寝ちゃったんですか……? さいきっく催眠術、まだ、うまくいったこと無いんですけど……」
もし寝ているとしたら、起こすのは悪い。毛布でもかけてあげないと。
でも、私を気遣って、寝たふりをしてくれているとか……それは、ちょっと。
子供扱いされてるようでイヤ。さっきは私を大人より立派って褒めてくれたのに。
「寝たふりじゃないですよね……? 寝たふりだっていうなら……なら……」
プロデューサーの顔に近づくと、汗と、整髪料か制汗剤みたいなミントっぽい香料の匂いがする。
たぶん「お付き合い」が終わった疲れで、事務所でシャワーを浴びるまでの気力がなかったけど、
なんとか顔を洗って歯を磨いてヒゲを剃って髪を整えて……まではした、という具合かな。
「アイドルとプロデューサーがしちゃいけないような……きす、キスとか、しちゃいますからね……?」
自分で口走って、どきどきする。
プロデューサーが何か口元をもごもごさせて、危うく叫びそうになる。
あなたが夢の世界にいるとしたら、私とキスしたいって、思いますか?
もしそうだとしたら、私は……。
「……って、そんな、顔を近づけちゃったから、変な気分になっちゃったじゃないですか……っ。
プロデューサー……いま、私の、堀裕子の言葉が、聞こえてますか……?」
プロデューサーは、今すぐリップクリームを塗ってあげようかどうか迷うぐらいカサついたくちびるを、
ふらふら、うろうろと開けたり閉めたりした。声は聞こえなかった。
私が聞き取れなかっただけかもしれない。それを見ている私の心臓の音がとてもうるさかったから。
でも、くちびるの動きは、かろうじて読めた。
むかし、読心術と読唇術を間違えて勉強したのが役に立った……『聞こえてる』って、読めた。
「いま……いまから私と話すことは、ぜんぶ、夢の中の出来事です……いいですね?」
『はい』って、プロデューサーのくちびるが返してくれる。催眠術師ってこんな気分なんだろうか。
月刊モノリスで読んだメスメルやシャルコーの名前が(名前しか思い出せないけど)浮かぶ。
あと、プロデューサーが『催眠なら、せめてこっちも勉強してくれ』と貸してくれた、
ミルトン・エリクソンの本も思い浮かぶけど、そっちとは重ならなかった。
確かエリクソンの催眠はかけられてる人の意識がはっきりしたままだから。
いま、プロデューサーと会話ができるなら……聞いたら、答えてくれるかな。
私のこと、好きですか? って。それも、もっと詳しく……。
「なにか、堀裕子さんに聞きたいことは、ありますか?」
……私は日和った。
自分の気持ちもゴチャゴチャしてるのに、プロデューサーに聞いてどうするんだって。
でも、でも、でも……聞きたい。知りたい。怖いけど。たぶん、シラフじゃ聞けない。
まぁ、夢だし、都合が悪ければ、なかったことに……ズルい、私、ズルい。
『しあわせ……アイドル……なって……たのしい……?』
断片的なくちびるの動きを、必死で拾う。しあわせ? たのしい? ……アイドルに、なって?
「……幸せ、って……あ、あははっ……あぅ……」
心臓とか、ノドとか、肺とか、まとめてぎゅうっと締め付けられる。目頭あたりじわじわキちゃう。
プロデューサーのそばに顔を寄せるためにソファに寄りかかってたけど、そこから転げ落ちそうになる。
もしかして、プロデューサーが私に『サイキックアイドルって何』っていつも聞くのは……
本当は、『ユッコはアイドルやってて楽しいか? 幸せか?』って聞きたいのかな……?
聞けないよね、そりゃ。
プロデューサーは、そんな聞かれたほうを困らせる質問、軽はずみに投げられる人じゃない。
こんなこと聞かれて『楽しくない、不幸です……』なんて、私じゃなくてもアイドルの立場じゃ言えない。
でも、私が引きずり出しちゃった。
「たのしい、ですっ。しあわせ、です……前は、考えもしなかったぐらい……しあわせ、ですっ」
手足を踏ん張りながら、お腹の底から絞り出して、かろうじて言葉を……。
プロデューサーのくちびるに近づいて歯磨きクリームの匂いがしたんで、
自分が残り少ない歯磨きクリームを絞り出すためにぎゅうぎゅう圧迫されてるチューブになった気がした。
言ったのは本当のことだった。口にするのは苦労したけど、本心だった。
私は、プロデューサーの問いがいつでも真剣だから、いつだって答えるときも真剣だった。
『なにが……いちばん……たのしかった……?』
だから、こう続けられても、なんとか答えられた。
「最初の、ソロステージ……私の、最初の曲……披露したとき、です」
サイキックアイドル・堀裕子の……私のためのステージ。
私のための音、詞、振り付け、衣装、メイク、照明、PA……あと、集まってくれたファンのみんな。
私の一挙手一投足に合わせて、サイリュームを振ったり、合いの手を入れてくれたり、
まるで、みんなの気持ちが、世界が一つになったみたいだった。
はじめてスプーンを曲げられたときと同じくらいか、もしかするとそれよりも……。
夢のようであっという間に終わっちゃって、名残惜しくって、いろいろこみ上げて泣いちゃって、
メイク崩れてぐしゃぐしゃの顔だったのに、プロデューサーがすごく嬉しそうな顔で褒めてくれて……
「あ、あの……プロデューサーは、私に、何か、してほしいことは、ありますか……?」
……私は、プロデューサーが私に何を求めているか、に話を戻した。
らぶか、らいくか、直接に問い詰める質問じゃないけど、でも答えを聞いたらきっとお察しの問い。
『おもいだして……ときどき……そのときの……きもち……』
……私は部屋を立ち去った。それが、あの時の私の限界だった。
立ち去る前、気力を振り絞って、毛布を探して、プロデューサーにかけてあげた。
本当に、それがせいいっぱい。
わかりますよ。私だって。なんとなく、ですけど……。
とってもがっかりした。同じくらい安心もした。
すごく、ズルいこと、シちゃった。
※※
「夢でもし逢えたら、素敵なことね……♪
プロデューサーが頑張ってくれたら、私もいつかカバーできますかね……?
ということで……エスパーユッコ、あなたの夢に参上ですっ」
「んん……ぅううぅ……んうぅ……」
暑い。その日の仮眠室は、なんだか寝苦しかった。
俺は深夜・早朝の仕事に付き添って、すごく眠いはずなのに、眠りに落ちたような落ちてないような。
暑い暑い。ゴールデンウィークが終わって間もないあたり、まだ夏には早いはずだが、
おかしな太陽が頑張って、外はまぶしく汗ばむ陽気。それに仮眠室の空調がついていけてないらしかった。
誰か仮眠室に入ってきて「うわ暑っ」ってなって、設定温度を下げてくれたらいいなぁ。
「む、無視しちゃイヤです、プロデューサーぁ……。
いつもはちゃんと返事してくれるのに、夢の中だと、つれないんですね……」
担当アイドル・堀裕子の声が聞こえる。なんでお前が事務所の仮眠室にいるんだ。眠けりゃ寮で寝なさい。
というか、近い。ユッコが寝転がってる? べったりだ……べったり?
暑いのは、もしかしてユッコのせいか?
「ユッコが夢で逢えたら、か……あんなしっとりした曲、あと20年はかかるだろうなぁ」
「あと20年経ったら……私、今のプロデューサーより年上じゃないですか」
「たぶんそんぐらいかかるよ、ありゃあ……みんなバカみたいにカバーしてるけど、
吉田さんや鈴木さんと比べられるってこと分かってるのかなぁ……」
(に、にじゅうねんも経っちゃったら……もし経っても、プロデューサーは、私のこと……)
いきなり……立体音響だか骨伝導スピーカーみたいな、とにかくまともじゃない声の入り方がする。
「何か言ったか? ……ユッコ?」
ユッコの顔が、見える。横に寝転がってる俺のすぐそばで、額を突き合わせるように添い寝。
なのにさっきの一瞬、ユッコの声が、俺の後頭部のあたりに流れ込んできた。
……それはそれとして、俺の枕の上に並んでて、ユッコの髪はくしゃくしゃ。
「そんな寝方じゃポニテが傷んでしまう……」
「ゆ、夢だからだいじょうぶですっ。プロデューサーは心配ご無用っ!」
視点をずらす。ユッコは、クリーム色のふわふわした薄いオフショルダーなセーターと、
その下には黒のホルターネックなキャミソールをあわせていた。確かユッコのお気に入りの私服だ。
だとすれば下はたぶんフリルショートパンツだった。
一瞬マイクロミニと誤解させギョっとさせかねない丈で、でもショーパンだから下着は見せません……
だとしても、ずいぶん大胆に脚を出してるやつ。ユッコなのにあざといボトムスなのでよく覚えている。
「ムムムーン! ユッコなのにあざとい、ってどういうことですか!?」
「だってお前は愛嬌で殴るアイドルだから……色気は出してもいいけど、アクセントで……」
ユッコは頬をふくらませた。指でつつきたくなるぐらい可愛い。
「……オトコのヒトは……いや、プロデューサーは、肌、出てたほうがいいんですよね……」
「オトコゴコロは、そんな安直じゃないぞ……オンナゴコロよりは安直かもしれんが……」
「セクシーギルティのとき、早苗さんに色仕掛けされるたびに鼻の下伸ばしてたの、私、見てましたよ?」
……あぁ、モーレツ★世直しギルティ! かぁ。あれはなぁ……。
今思うと、早苗の趣味が入りすぎてる。あいつに任せすぎた。ユッコ担当として反省してる。
ユッコ基準なら、まだサマプリとかゼッケンズのがマッチしてた。
「……ゼッケンズの打ち上げで、愛梨さんが、胸の谷間から絶対☆特権☆券を出す時だって、
プロデューサー、ガン見してましたよ……」
「オトコってそういうもんだ」
それはしょうがないだろう。
「プロデューサーっ、オトコゴコロが安直じゃないってさっき言ったばかりじゃないですか!」
(わ、わたしのおっぱいじゃ……だめ、ですかね?
愛梨さんの、明らかに86以上ありますし……カップいくつなんだろ……?)
ユッコの声が二重に聞こえる。
目の前から聞こえてくるのと、後頭部あたりから聞こえてくるのが、同時に覆いかぶさってくる。
「まったく、プロデューサーったら、胸とかお尻とか、見過ぎですっ。
目が行ってしまう気持ちはわからないでもないですけど……」
(それとも、私なら……うなじとか、脚かな? 浴衣を着たときとか、彩きっく☆織姫になったとき……)
まただ。まるでユッコが二人に分身して、前後から俺に話しかけてきてるみたいだ。
そういえば分身サイキックってあるのか? サイキックというより忍術な気がするが……。
「ユッコ……ちょっと、その、多重音声みたいなので同時に喋るの、止めてくれないか……?
ちょっと、俺、頭が混乱してしまう……ただでさえ寝起きなのに……」
「多重音声?」
目の前のユッコは不思議そうな顔をしていた。
ユッコには、声が一つしか聞こえていないのだろうか。
「……まぁ、夢の中ですからね。何が起きても、おかしくはありませんか……」
「夢?」
夢を見ていて、それが夢の中だと自覚できる。明晰夢というやつか。
はじめて見た。いや、忘れてるだけで初めてじゃないかも知れない。
「そうですよ? これは、夢なんです。プロデューサーが、眠っている間に見ている風景……。
だから、プロデューサーが何をしても……」
(だから、私が何をしても……)
ユッコが俺の片手――俺は左肩を下にして横寝していたので、右手――をとって、
なんと、ユッコ自身の胸の膨らみに押し付けてきた。
ユッコの細い指、振りほどこうと思えばすぐ解ける拘束。
ふわふわとしたアウター。キャミソールはよくわからない。
その向こうの、ブラのカップのざらつき、ワイヤーの硬さはなんとなく感じる。
さらにその奥の、柔らかいのに弾むような反発も併せ持つ、胸の……
「何をしたっていいんですよ、プロデューサー」
(何をされたっていいんです、プロデューサー)
夢、で……担当アイドルの、それも、ユッコ――まだ16歳かそこらの――の、胸を、揉まされてる?
「んぁああっ……ぷろでゅーさーの、ゆび、ぃっ……服越し、なのに、こえ、でちゃう……」
(くすぐったい……恥ずかしい……でも、もっと、シてほしい……っ)
あ、指に力が。揉んでしまった。柔らかい。
手のひらを押し付けると、片手で片方の乳が収まるかどうかという、ちょうどいい感じ。
まるで俺のためにあつらえてくれたような。早苗や愛梨じゃこうはいくまい。
「ふ、ふふっ……プロデューサーも、起きてる時は、立場があって……
こーゆーこと、したくても、できないんですか?」
(夢の中だと、オトコのヒトは、こんななんだ……さ、さきゅばすって……こういうことなのかな……?)
サキュバス? 何を言ってるんだユッコは。
「そ、そうです! 今のユッコは、さいきっくサキュバス!
あなたの夢にテレポートして、いやらしい……え、えっちな願い事も、叶えちゃいますっ!」
(つかささんが『福井ではサキュバスが人気って、本当かよ?』って言ってて、
それで調べてるの見てたらピンとキたんですが……さきゅばすって、これでいいんでしょうか……?)
福井ではサキュバスが人気? そりゃユッコと、確かつかさ社長も地元は福井だけど。
「ま、まぁ、早苗さんとか愛梨さんにデレデレしてるプロデューサーなら……シてほしいに決まってます!」
(夢の中でそういうコトをすれば、プロデューサーも私をそういう風に意識して……)
また頭がくらくらする。おかしくなりそうだ。
前のユッコの声はキンキンと突き刺さって入ってきて、後ろのユッコの声はとろとろ忍び込んで入ってくる。
「プロデューサーは、私にもサイキックセクハレーションしたこと、ありますもんねっ」
(あれ? それって、私が、プロデューサーに、そう意識してほしいってことでもある……?)
うるさい。頼む。口を閉じてくれ。おかしくなる。止めてくれなきゃ、その口を塞ぐぞ。
手……あっ、右手はユッコの胸を揉んでて、左手は右手が邪魔で……ええい、めんどくさいっ。
「ふぇ、プロデュー……さ、ぁっ――んぷっ!? んむぅうっ、んんんーっ!」
(く、くちびるっ!? くちびるとくちびるで……きす、キスっ、され、て……
プロデューサーにっ、奪われちゃってるっ、私の、ファーストキスっ)
かしましい口を塞いでやる。
ユッコは最初はびくびくして、粘膜や皮膚越しにも驚愕と緊張がこっちまで伝わってきたが、
くちびるを重ね、ちゅぷちゅぷと軽く吸い立ててると、理解してきたのか、
甘酸っぱい涎や、ふぅふぅとくすぐったい鼻息を溢れさせる。
前のキスなんて忘れてしまっているせいか、まるで夢じゃないみたいにリアルだ。
「やぁあ、ひゃむっ……らあっ、ぁああっ、んあっ、れる、ひうんっ」
(きす、しながら、あたま、まで……プロデューサーに、なで、あ、あっ……!)
ユッコの口を塞いでやったはずだが、口封じできたのは前のユッコだけらしく、
後ろのユッコは前のユッコの沈黙をカバーするようにうるさくなる。
まぁ、方向が片方だけになって、だいぶ耐えられるようになったが。
(ちゅう、ちゅうって……されながら、あたま、なでられると……溶けちゃいそう……っ。
どきどきして、止まらなくって……ううっ、鼻息とか、かかっちゃってないかなぁ……?)
かかってるぞユッコ。おかげでほっぺたがくすぐったい。
(……プロデューサー、女の人のおっぱいとか脚とかいやらしい目で見ちゃうくせに、
最初に自分から行くときは、くちびるなんだ……少女趣味?)
安直なオトコゴコロで少女趣味はいかんのか?
(ぴぃっ!? い、いま、べろ、入ってきて――わ、私、オトナになっちゃうっ)
「ん、んーっ! んぷは……っ、あ、あぁ……っ」
俺の舌先でユッコのくちびるの間にちょっと割り込んでやろうとしたが、
瞬間、口内から肩や腰のあたりまでびくびくと怯えるように震えたので、手控えした。
いつの間にか、ユッコが横寝のままの俺にぴったり体をくっつけてきていたのに気づく。
「はぁ、はぁ、あ、あぅうっ……あぅうぅっ……」
「……フレンチ・キスは、早かったか」
ユッコは涙目になっていた。そういえば、ファーストキスなんだったっけ?
夢の中とは言え、可愛いあいつをこんな乱暴な扱いしてしまった。罪悪感が湧かなくもない。
「ふれんち・きす……って、奏さんとフレデリカさんのあれじゃなくて、その、オトナの……」
(きす、キス、終わっちゃったよぉ……こんなに近くなのに、寂しくって、切なくてっ)
ユッコは涙を隠すように、俺の首だか肩のあたりに顔を埋めて、頬をくっつけてきた。
しかし、かすかに雫がこっちの肌を伝う感触とか、ひっくひっくと不自然に乱れる呼吸でバレバレだった。
(……あなたが、忘れないでって言ってくれた……初ステージの喜び、幸せと……
キスの気持ちいいのは、似てる気がする。同じかも知れないし、違うかも知れない)
初ステージは、キスの味と似てる?
そんな、プロデューサーとしてコテコテにクッサい台詞、ユッコに言ったことあったかな。
酒で酔っ払った勢いとか。いや、ありえない。ユッコは未成年だから、いっしょに酒は飲んだことがない。
アイドルと飲むとあとが怖いのは、早苗や心や友紀にさんざん教えられて、もう懲り懲りなんだ。
「ん、うぅうっ、ひぅう……へ、へんですねーっ。かなしくないのに、なみだ、がっ」
(そう言ってもらってから……あなたの顔を見て、声を聞いて、そのたびに、思い出すんです……。
何度も、何度も……最初のステージが終わって、ハケて、裏であなたが褒めてくれた時の……
頭がしゅわしゅわして、胸がどきどきして、足元がふらふらしちゃうのが……)
後ろのユッコが注ぎ込んでくる恨みがましい声……だけじゃ足りない、とばかりに、
前のユッコは腕を締め付けるほどキツく抱きしめてきて、肩だか背中だかに爪を立ててくる。
(……あの催眠術、私にもかかっちゃったんですか?
私も、あなたと同じように、人差し指のさきっぽ動かすのを見ちゃってたから……。
それとも、私の勘違い? 前に歌ったみたいに、嬉しくなって、勘違いをしただけなの?)
後ろのユッコは悠長なつぶやき。こいつ、いまさら何言ってるんだ。
オトコの寝床に潜り込んで、オンナのおっぱい揉ませて。
くちびるどころかあごがべとべとになるまでキスして。
越えたらダメな一線、一線、境界線――とうに越えてるだろうが。
「あっく……っ、ひう、プロデューサーぁ、あ、あぁ……っ」
「これが夢だと言うなら……いいさ。醒めるまで、好き勝手させてもらう」
夢の中だというのに、ユッコは俺の宣言で、背筋や肩あたりをびくりとこわばらせる。
ずいぶん初々しいサキュバスがいたもんだ。
(プロデューサーが、私にシたいこと……もっと、先まで、教え、おしえ、られちゃう……っ)
不思議なことに、前のユッコの頭をまた何度か撫でてやると、
後ろのユッコのカチコチになっていた声音までが、しなしなと柔らかくなっていった。
「あぁあっうううっ……っ! や、ぁ、プロデューサーぁあっ……!」
俺はユッコに背中を向けさせ、肩甲骨と背骨のあたりを俺に預けさせる姿勢にしたあと、
両手をユッコの胸に添えつつ、自分の首を傾げ、ユッコのホルターネックの結び目をくちびると歯でほどいた。
そのときの感触がよほどユッコの感覚に響いたのか、じっとり暑い仮眠室に、
ユッコの声とは思えないほど細くて甘い声が、ミストのように舞い上がってチラチラ落ちる。
(う、ぅううっ……うなじとか、髪の毛とか、そんなことされたら……
髪を結ぶたびに、プロデューサーを思い出しちゃいそう……)
俺が口でホルターネックをほどいたのは、手をユッコのバストから離すのが惜しい……
というさもしい理由だったが、後ろのユッコのつぶやきのせいで、
ユッコの胸に向いてた意識が、半分ぐらいユッコのうなじと髪の生え際に流出した。
「ユッコは……セクシーというより、色っぽい、だろうな」
「ち、違うんですか、せくしーと、いろっぽいって……?」
(わ、わぁっ、プロデューサーが、私の匂いすーはー嗅いでるっ!? あ、汗臭くないのかな……)
すぅ、すぅとこれ見よがしにユッコの匂いを吸い込む。
甘いけれど爽やかさも孕むJKらしい体臭。
胸に添えてるだけの手や、こっちの胸板にあたってるだけの肩甲骨を通して、
ユッコがぷるぷるしてしまっているのがわかる。
「セクシーよりも、もっと奥ゆかしく、おしとやかに……だけど、オトコの目を奪い、首根っこを抑えてしまう。
ユッコは、それができるよ。させてみせる。もっと、そういうユッコも見たい」
「……おだてないで、くださいぃ……本気に、しちゃいますから……。
私、奥ゆかしいとか、おしとやかなんて、言われたこと……」
(そ、その『見たい』って、プロデューサーとして……ですか? それとも……)
後ろのユッコは、前のユッコより率直なタチらしい。まるで本音を代弁してくれているみたいだ。
まぁ、ユッコの本音は、夢の中でなくったって、4分の1ぐらいは察せているつもりだが。
「プロデューサーとしても、一人のオトコとしても、だ。
ユッコは、可愛いけど、可愛いだけじゃないから。でも、困ったな」
「な、何が……」
「プロデューサーとしては、色っぽいユッコをみんなに見せつけてやりたいけど、
オトコとしては、色っぽいユッコをみんなから隠して独り占めしてやりたい」
「ひ、ひとりじめぇ……っ、ぅうっ、きゅううぅうっ……」
ユッコの表情は見えなかったが、ユッコの耳は暗闇でも間違えようのないほど真っ赤に染まっていた。
(え、独り占め……独占!? わ、私っ、プロデューサーに、絶対特権を許しちゃう……?)
血行が良くなったおかげか、ユッコの匂いの甘さが強まる。まるで発情してるみたいだ。
さすがは夢、なんでもありだな。俺はユッコが発情したところなんて想像したことさえないのに。
(え、ひゃああっ、ふ、ふくが、ぷろでゅーさー、ぁあっ)
ユッコの反応で大いに勇気づけられた――というか、煽られた――俺は、
クリーム色のセーターと黒いキャミソールをズラして、ユッコの下着に包まれた胸を露出させる。
(服、脱がされちゃって……ブラ、いちばん可愛いのにしたんだけど、だいじょうぶかな……
あ、プロデューサーからじゃ、もしかして見えない……? ぁ、残念……)
ブラは見えないし、どんなブラだろうが現在のユッコそのものに比べたらオマケになってしまうだろうが、
プロデューサーとして担当アイドルの努力は可能な限り褒めてやりたい。
それも、察した瞬間に、だ。
「気合い入れて吟味してくれたのなら、そーっと脱がしたほうがいいか。
それとも、外すところを見せてくれても、俺は嬉しいが。ユッコはどっちがいい?」
「は、ひゅっ!? しょ、しょんなの、どっちも恥ずかし……うぅうぅ……っ」
(ぶ、ブラの、アンダーのとこ、なぞらないでぇっ……どきどきシちゃってるの、筒抜けに……)
後ろのユッコの言う通り、アンダーバストのあたりを指先でなぞると、
左胸どころか、下手すると右胸まで心臓が拍動するのが伝わってくるんじゃないか……という勢い。
俺が察したことを、何をどうしたのか、ユッコも察したらしい。
「なな、なにしてるんですか……? それ、ホック後ろですから、そこじゃ、外せないですって……っ」
(心臓、ばくばくして、苦しいぐらいの……私が、期待して、興奮してるって、バレちゃう……っ)
俺は、指先をユッコの肌から極力離さないようにしながら、手をブラのホックまで移動させる。
「……ユッコを独り占めしたいほうの気持ちが、強くなってきた」
「と、とうぜんですっ! こんなの、みんなには見せたら、私、死んじゃう……っ」
(どうして、ぇ……サマプリのビキニのときほど肌も出してないし、ずっと暗いのに……)
ユッコの疑問はもっともだ。露出度で言えばあっちのがよほど高い。
でも、ユッコも俺も、明らかに今のほうが興奮している。なぜだろう。
強いて言えば、ビキニ姿になるのは、撮影だったり泳ぐためだったりって認識が俺やユッコにあるように、
ベッドで二人きりで下着姿になるのは、セックスのためって認識がある……認識の差じゃないかと思う。
ホックを慎重に外す。ユッコの細い肩に食い込んでいた肩紐が緩む。
「ぁ、あっ」
(外され、ちゃった)
ユッコのうなじの横から見るに、ユッコの胸は重力に逆らって、2つのお椀型の膨らみを描いている。
いつか『さいきっくたまご肌で何でも跳ね返しますっ』とか言ってたが、
きめ細かい肌と、それをしっとりと覆う汗があまりにも艶めかしい。
もし俺が今うなじに顔を埋めていなかったら、絶対にその胸へ吸い付いて、
何度跳ね返されてもまた挑みかかってしまうだろう。
「綺麗だよ、ユッコ」
「み、見えてるんですか――う、ぁあっ……」
(か、顔近い――いや、キスのときのが近かったけど――目ぇつむってないから、
こんな近くで、目で、プロデューサーに、見て、見られてっ)
ブラの拘束が解けたおかげか、ユッコの荒い呼吸で、胸の曲線が小さく上下する様がちゃんと目視できる。
昔、乙女の胸といったら沫雪にたとえるのが決まり文句だったらしいが、
それがしっくり納得できるほど儚く見える。ふだんはすごく活発なユッコなのに。
「ユッコ……さ、触ってもだいじょうぶか?」
俺まで思わず声が震えてしまう。
「さ、触りたいんですか……さ、触られちゃったら、あ、あっ……その、あの……うぅー……っ。
その……っ! いま、プロデューサーに触られちゃったら、私のどきどきでサイキックパワーが暴走して……」
(さわりたいんですよね、プロデューサー……? それなら、さわって、さわってぇっ!)
どっちだよユッコ。どうせ夢なら、きっぱり「触って欲しいですっ」って背中を押してくれればいいのに。
……だめ、だめぇって言うのを触らせてもらうのも、心惹かれるのは確かだが。
うわ。性犯罪者の感覚だこれ――ユッコはJKだからすでに俺は犯罪――ええい、これは夢だ、夢っ。
夢で、半分触ってほしいというのなら、俺はそれに甘えさせてもらう。
「ユッコ、触るからな」
「じゃ、じゃあ、そのっ、カウントダウンしてくださいっ! そうしてくれたら、心の準備、できます……」
(あ、わああぁああっ、言っちゃった――プロデューサーが、私の、おっぱい、さ、さわ、わわわっ)
「……わかった。じゃあ、10、9、8……って数えて、ゼロで触るから。もちろん、そっと、優しく」
「あぁあっ、ありがとうございますっ」
こんな理由でお礼を言われるなんて、きっと空前絶後だ。
「10、9、8……」
(あ、これ……またカウントダウンしたせいで……また、戻れなくなっちゃうんじゃ……?)
カウントダウンしたら戻れなくなっちゃう、ってなんのことだろう……『また』って?
「7、6、5……」
確かに、カウントダウンを始めると、なんだか途中で止めにくくなる気分にはなるけれども。
「4、3、2、1……」
(ふぁ、あぅ、わぁあっ――むね、むねっ――おっぱいにっ……きちゃい、ますっ)
前のユッコは肩を震わせたまま、後ろのユッコは気が早い。
「ゼロっ」
触る、というより、自分の手をブラのカップの代わりにして覆ってあげる……
という感覚で、ユッコのバストを下側から触れる。
「あ、あ……っ、あ、あっ!」
ユッコの胸は、想像したよりももう一段弾力が強く、俺の指をむにむにと跳ね返してくる。
温かさは、ちょっと湧かしすぎたお風呂のお湯かと思うほどで、じわじわと俺の手に熱が伝染する。
(だ、めぇ――手つき、優し――のに……ぎゅうって……心臓まで――ぇ――えっ)
後ろのユッコは、前のユッコの肌よりずっと熱くなっているらしく、
声が沸騰してぼこぼこ泡立って、切羽詰まった音程にノイズがふつふつ横切っていく。
「柔らかいなぁ……ユッコの、おっぱい。ぎゅって、したくなる……」
「んくっ、くう、ぅう――だ、だめですよぉっ!? そっと、そぉっと……ですからねっ。
エスパーユッコの……乙女の肌は、デリケートなんですからぁ……」
前のユッコはそう言いつつ、自分の手を俺の手の上から重ねてぎゅうっとしてきた。
体は、もっと強く、とせがんでるジェスチャーだ。
(プロデューサーの――ゆび、指ぃ……触りた――さきっぽでも、手のひらでも、ぜんぶ――)
でも、後ろのほうは、すでに感覚が飽和しているようだ。これ以上強くするのは……。
「ユッコは、優しくされるのが好きなんだな。覚えておく」
「ふ、ふふふっ……プロデューサーは、オトナですけど、乙女の扱いは、私に分があるようですねっ」
(おぼえて――おくってっ、また――これから――されて、どんどん――私の――覚え、られっ――)
覚えるってどういうことなんだろう。
まさか、俺が夢の中のユッコに愛撫したのを現実のユッコが覚えているわけがなかろうし、
下手すると夢から覚めた俺自身でさえ忘れているのかも知れないのに。
そう思うと、ちょっとこの胸の触り方は遠慮しいしいだな。もったいない。
「……でも、今の俺は、もうちょっといじめてやりたいなぁ」
(――ふぇ、え――いじ、め――っ)
ユッコは首筋や背中や呼吸やらを怯えてるようにぷるぷる震えさせながら、
しかし手は離したら許さないとばかりに力を込めて俺を抑える。
むしろ俺の手がおっぱいに食い込んで痛いんじゃないか? と心配になるぐらい。
「ふへ、ぇ……ぷっぷろでゅーさーって、悪いオトコのヒトだったんですねぇ……?
花も恥じらう可憐なエスパーユッコの、お、お、おっぱい、いじめたい、なんて……」
「そうだよ。オトコはみんな悪いやつだよ」
……さすがに「オトコはみんな悪いやつ」は言い過ぎだろうけど、
まぁ「悪いやつ」予備軍が多数派だから、そいつらからむしりとるアイドルとプロデューサーは儲かるんだ。
ユッコみたいな美少女視点なら「オトコはみんな悪いやつ」でちょうどいいんじゃないかな。
(い、いじめるって、どんな――私、どんなに――され――っ)
指先と手のひらがエゴイズムを勝手に暴露していく。
(つねって――ねじって、きゅうって――くいくいって……こわれちゃいそうな、ぐらい――っ)
知ってか知らずか、後ろのユッコがそれを煽る。
「歯ぁ食いしばったほうがいいかも知れない。舌を噛んだら痛いから」
「……な、なにをするつもりですか、もー……プロデューサー、そんなひどいこと、しないですよね……?」
(だめ、だめぇ……したいって、手で、そんな――言われたら――されたいって、私、も――)
指がユッコのバストの下半分から、そろそろと上に。
「ああぁぅうっ、うぁ……!? お、おっぱい、されえっ、ふあ、ああっ……!」
(ぁああっ、つつつーってやるのもだめぇっ――さ、さきっぽ、こーふんしてるの、わかっ――)
きゅっと締まった小さくこわばった突起は、ほころぶ前のつぼみを思わせる。
「ユッコが興奮してくれてるのは、わかってるから」
期待に勃起した乳首を軽くつまんでやろうとすると、
思いのほか、みっちみちに張り詰めていて、指の腹が熱く、ぱんぱんの弾力で跳ね返される。
子供扱いしないでください、と背伸びしているようだった。
「はぁ――ぁ、ああぁっ! はぁあっおぉおぉおっ……!」
(ち、ちくびぃ! さきっぽだめぇ――びりびりって、キて、ぇ――へんなの、かわいくないこえ、でちゃ――)
ユッコは刺激が強いのか、俺の体に肩甲骨や腰や太腿をどしどし押し付けたり、
手足をもぞもぞさせて仮眠室のシーツをくっしゃくしゃにする。
立ち上がって見下ろしたら、さぞユッコの曲線美はびくびくしているだろう。
「可愛いぞ、ユッコ」
「え、ぇええっ!? そんな、プロデューサー、からかわ、ないで……っ」
(ちくび、ちょっとしかされてないのに……私、体、ぜんぶ――あ、あっ……)
「また、やるから……それっ」
「んんぁぉおっ!? んぁあぉ、ふぁあんっ! や、ぁ――だめなの、でひゃ、ぁあっ!」
もし他人が見たとしたら、今の乱れたユッコは、ふだんのユッコより可愛くないかもしれないが。
「俺の手で感じてもらうと、ユッコがもっと可愛くて、仕方がないんだ」
「……ほ、ほんとう、ですか……? それなら、まぁ……えへ、へへっ……」
(ちっちくび、また、きゅって、して、してほし――でも、だめっ、だめに、なっちゃ――から――)
前のユッコは、さっき『はぁあっおぉおぉおっ』とか、
雄欲をあんまりにもあけすけに掻き立てる喘ぎを漏らしてしまったのを気にしているらしい。
それでいて後ろのユッコは、声を茹だらせて乳首いじめをねだってくる。
ユッコは乳首をこりっこりに勃起したままなので、たぶん後ろのユッコが、体の本音に近いだろう。
指先でユッコの勃起乳首を軽くこねつつ、手のひらや手首で乳房の膨らみを圧迫して楽しむ。
「もぁああっ!? ぷ、ぷろでゅーさー、そんな、むね、あちこちぃ、したらぁ……!」
「いや、でも、かわいいから……」
「ああぅうっ……! も、もうー……かわいい子にいじわるなんて、子供みたいですっ。
私じゃなかったら、幻滅され、て――んきゅぅうううっ!?」
(ちくびぃ、おっぱいもぉおおっ、あつくて――ひっ、い、いく――いっちゃうっ、
こんなの、しらないの――す、すごいの、すっごいの、キちゃう……っ!?)
乳首とおっぱいをこねるだけで絶頂とは景気のいい話だった。
ユッコがあらかじめ自分で慰めて開発してたのかも。イクの初めてじゃなさそうな反応だし。
あのユッコが、ねぇ。夢でもここまでは望めまい。
「あぁああぁあっ! む、むねぇ、おっぱい……さきっぽも、され、てっ、
ずっと、され、や、ぁあ、だ、め、い、いく、いくいく……うう、っあ、ああぅ、はあぁぅううっ……!」
(こ、こんな、あ……お、ぼえ、させ、れ、え……お、オカしく、な――ぁあ、あ、あっあっ……)
ユッコは、甘ったるい汗を肌へ濃厚にまといながら、
俺に乳房を解放されてからも、しばらくは体をよじってうめき続けた。
前後のユッコの嬌声は、いつの間にか重なってユニゾンになっていた。
「ふぇ……へ、へぅう……ぷ、ぷろでゅーさー……えすぱーゆっこで、こーふんしてるみたい、ですね……?」
ユッコの痴態を間近で散々見せつけられ、嬌声と柔らかさと体温と匂いも浴びせられ、
俺のペニスはすっかり勃起して――あ、うっかりユッコのお尻あたりにあててしまっていた。
面白いので、勃起をぐいっとユッコの尻肉に押し付けてみる……胸よりも、さらにしなやかで弾力が強い感じ。
「ひゃあうっ!? い、いま、わざと押し付けましたぁ!?」
「確かにユッコのおかげで興奮した……が、よく気づいたなぁ?」
「そ、それは……お、乙女の保健体育で勉強したんですっ!」
(さきゅばすの勉強のときに読んだ漫画と同じだ……カタく、なっちゃってるの、わかる……)
おい待て。乙女の保健体育って、まさかエロ漫画じゃないだろうな?
「勃起して、おっきくなっちゃったら……おさまらないんですよねっ。
狙い通り……い、いやいや、しょうがないですねー?
プロデューサーにはお世話になってることですし……こっここは、エスパーユッコにお任せを――」
(――あ、あっ!? そんな――なんで、や、やらぁっ……どうして……)
後ろのユッコが、いきなり悲痛な叫びをぶっ放してきて、
俺は頭の中がグワングワンするほど。思わず目を閉じてしまう。
「――あ、だめっ、え……どうしてぇ……っ!? もう、少し、なのに……ううぅぅうぅ……っ!」
頭が、頭が……殴られたみたいに、宙に投げ飛ばされたみたいに、
三半規管がいかれて、吐き気がして、意識が引っ剥がされる――
――さん、プロデューサーさんっ。
あれ。誰の、声? ユッコ、じゃない、よな――えっ?
――プロデューサーさんっ、プロデューサーさんっ。
「――プロデューサーさんっ、起きてくださいっ。聞こえてますか? プロデューサーさんっ」
「のわぁあっ!?」
肩のあたりを強く揺さぶられた――と思ったら、仮眠室。
電気がついている。目蓋越しなのに感じられるほど明るい。クソ暑い。誰だ?
「だいじょうぶですか? プロデューサーさん、汗だくになってますよ」
「え、あ……ち、ちひろさん、ですか?」
目を開けると、事務所で俺のアシスタント業務をしてくれる千川ちひろさんが、
心配そうな顔でこちらをのぞきこんでいた。
豪奢なほど太い三編みが、俺の鎖骨と胸板あたりに触れてるらしく、くすぐったい。
「仮眠室の空調が調子悪いので、業者さんを呼んで見てもらうところだったんです。
それで、到着されましたので……お休みのところ、申し訳ないんですけど」
「そ、そうですか。確かに、暑いですね。俺、寝汗で汗だくになっちゃったみたいです」
「だ……脱水になってたら心配ですから、お水を持ってきます。安静にしててくださいね」
ちひろさんは、心なしか顔を赤らめて、パンプスをかつかつ鳴らして遠ざかる。
……見ると、俺はガチガチに勃起してて、掛け物と服でテントを張ってた。
もしかして、これ見てしまったせいで、気まずくなってちひろさんは……。
「……ユッコ、は?」
ユッコの少女らしい甘ったるい体臭はするのに、どうもそれは残り香らしく、姿は見えない。
錯覚だろうか。あれはすべて俺の妄想だったのだろうか。ユッコはどこへ消えた?
まさか自分だけテレポーテーションしたわけでもあるまい。
「まさか、な……」
ちひろさんのパンプスが聞こえてきたので、俺は慌てて勃起を隠し、
寝乱れた衣服を整える作業に追われた。
※※
「ユッコ、もしかして体調が悪いのか?」
「ふぇっ!? ど、どーですかねぇ……」
ある日、秋に向けた食レポの収録後、私はプロデューサーに心配そうな声をかけられてしまった。
「私、風邪は引いたことがないんですけどっ……な、夏バテ? ですかねぇ……」
嘘はついてないと思う。放映が秋ということで、収録は夏。
秋の温かい食べ物を夏に食べるとなると、正直しんどいところはあった。
「こんど岩牡蠣でもおごってやろうか?」
「プロデューサー、あれ、けっこうお値打ちものですよ」
若狭の岩牡蠣。懐かしい。プロデューサー、私がホームシックにでもなったと思ったのかな。
まぁ岩牡蠣は栄養満点、夏バテにも効果てきめんだから、そういう意味かもしれないけど。
「俺も、ほーんのちょびっとでいいから、テレパシーが使えたらな。
そしたら、ユッコのことも、今より多少はわかってやれるのに」
それとも、もっと違う原因で、私の調子が悪いと……?
「ムムムーン! テレパシー、そんなカンタンじゃないですっ。
私だって、長い鍛錬を経て……それでも、うまくいかないのに」
「それもそうだな。エスパーの道は険し、か」
もしプロデューサーが、テレパシーを使えるようになったとしたら……。
「わ、私を気にしてくれるのは……あなたが、私担当の、プロデューサーだから……?」
今の私の、ごちゃごちゃ、ざわざわした、自分でもよくわからない気持ちを、見通してくれちゃうのかな。
「プロデューサーでなかったとしたら……なかったとしても気にかけるとは思うが、
こうやって小うるさく口を出すのは、プロデューサーだから、だろうなぁ」
私の心中がグラグラするのを知ってか知らずか、プロデューサーの答えはどうとでもとれるもの。
「プロデューサーは、担当アイドルにメシを食わせてもらってるから……まぁ仮に儲けを出してなくても、
他人様の娘さんを預かっているわけだし、楽しく元気にやっていけるかどうかの責任を持つもんだ。
そのせいで『あんた私の親のつもり?』ってうるさく思われることもあるぐらいだ」
プロデューサー……ねぇ、そんな、殊勝なおことばも、いいんですけど。
あの時――夢、ってことになってるとはいえ――鼻息荒くしながら、私のおっぱい揉んでましたよね?
「……プロデューサーは、今の私が、楽しく、元気にやっていけてないように、見えたんですね」
「そんな気はした。杞憂なら、いいんだが」
別の女の人相手でも、私と同じように……例えば、愛梨さんが、ベッドに潜り込んできて、
あのおっきなおっぱい揉ませてくれたとしたら、プロデューサーは、そのまま……
「……いっやぁ、困りましたねー! いくらこのエスパーユッコがサイキック美少女アイドルっ☆
と言っても、元気を取られてしまったら、魅力が半減ですーっ」
プロデューサー……プロデューサー。
あなたのとって、私との……あ、あれ、は……やっぱり、ただの夢としか……。
って、夢だと思われてなかったら、ソレはソレで困るんだけど。
※※
「東京って田舎と違って、いろーんな建物があるなぁって思ったんですけど、
……二人っきりになれる場所って、なかなか見つからないんですね」
ユッコは、上京に伴って転入した高校の校舎で、俺を先導して廊下を歩く。
制服姿だ。ブレザー、ブラウス、プリーツスカート。さっきまで歩いてた外が暑かったからか、
第1ボタンがめいっぱい開けられて、ゆるゆるのネクタイと合わせてひらひらしそうだ。
「ユッコの田舎は知らないが、ふつうは俺みたいな部外者が、高校の校舎なんか入れんぞ。
このご時世じゃ、卒業生だってアポ無しだと門前払い食らうところもある」
ユッコの高校は、うちの事務所が大口のスポンサーになってるところなので、
地方から上京してこっちの寮を使うアイドルを、それなりの人数で受け入れてもらっている。
その伝手があって、かつ今が夏休み中……で、事務方が暇だったおかげか、
何日か前に届け出をしておく程度の手間で、俺はこうしてユッコと一緒に校舎内を歩けている。
「……だから、個人面談とかは、だいたい事務所の会議室のちっちゃいので済ませるんだ」
「個人面談って、お茶飲んでお菓子食べるだけじゃないですか」
ユッコの言ったとおり、東京では成人男性とJKアイドルが安心して二人っきりになれる空間などほぼない。
まして、アイドルが今のユッコのように制服姿では、おちおち街中も並んで歩けない。
うっかりしてると職務質問を食らう。
「事務所では……なんもなければ、お茶飲んでお菓子食べるだけになるんだよ」
けれど担当アイドルと込み入った話が必要になるケースもある……ので、うちの事務所では、
定期的に小さな会議室(というより面談室)を使った個人面談を行っている。
「だって、何かあったヒトだけが個人面談してちゃ、誰に何かがあった……って丸わかりになってしまう」
「なるほど……気が付きませんでした。悩み事には不慣れなもので」
ユッコは、相談したい悩みがあると告げてきた。
でも、事務所じゃイヤだと続けた。
「ところで、超能力同好会の部室って、俺は足を踏み入れてもいいのか?」
「だいじょうぶですっ。活動内容は超能力の研究のほかに、人助けも入ってますから」
「から……って、理由になっていない気がするが」
「わ、私がプロデューサーに助けてもらうってことで、その」
「……信じるぞ、ユッコ」
「きょ、きょうは活動がお休みで、誰も来なくて、私の会員特権で……鍵も、いちおうかかりますし……」
「……本当?」
ユッコの上履きが立てる足音が、少し高くなる。
(誰も来ない予定なのは本当だけど……鍵は、こっそり持ち出して……)
「……電気は、つけないほうがいいな。夕立の雨雲でも出ない限り、つけなくても暗くない……よな?
学校の校舎だから、夏の晴れの真っ昼間にぜんぜん光の入らない部屋なんてないだろうし」
「そ、そんなに時間とってくれたんですか?」
「んー、ユッコに関して言えば、昼のダンスレッスンを夕方にずらしてるから、2時間ぐらいは」
(2時間……ご、ご休憩って感じがしますね……)
背後からユッコがとんでもないつぶやきをぶっ放してきた。
が、ユッコは相変わらずの足取りで俺を先導している。
また、前後からのユッコ多重音声か。
しばらくぶりに見る夢だが、これをされると、どうも後頭部やうなじがゾクゾクときて据わりが悪くなる。
オカルトじみているし、ユッコの声でなければ一切ご遠慮願いたい現象だった。
「あ、あれですっ! あの『第3教材室』ってかかってる――」
「超能力同好会の部室じゃないのか?」
「私が転入してから結成したんで、そこはちょっと……でもっ」
横開きの戸まで歩くと、一応「超能力同好会」の手作りポスターが張ってあった。
新入会員の勧誘で制作したものを使いまわしているらしい。
ユッコが先割れスプーンを握りしめている写真が、けっこう目立つ位置に載っている。
アイドルの商売道具なんだから、肖像を大盤振る舞いしないでほしいのだが、まぁ、この程度なら……。
「さ、さっ、プロデューサー、早く入ってください」
ユッコがディンプルシリンダーのキーを引き抜いてドアを開き、俺を引っ張り込んでくる。
テンキーとかセンサーとか電子式じゃなくって、物理式でよかった。
電子式だと入退場の履歴でバレバレだから。それでは困る。
(プロデューサーと、二人きり……ここなら、誰も邪魔が入らない……)
つまり俺は、ここでユッコとバレバレでは困ることをする……
きっとただの悩み相談では終わらない……という予感をすでに抱いていた。
「プロデューサーがこの部屋にいるって……なんだか、現実感がないですねっ」
夢にしては現実感があるけどな、と思う。
入り口すぐそばのパネルで空調をつけると、もわもわと籠もった暑気が徐々に退いていく。
部屋の真ん中を見れば、会議用の机とパイプ椅子。壁際には小さめの古びた薄型モニター。
同じく壁際を占領する横棚には、月刊モノリスなどの雑誌、ほかに箱入りのダウザー、ペンデュラム、
未開封のトランプが何束か。知恵の輪、砂時計、水晶玉……シガーボックス、フープ、ディアボロ……
「超能力同好会って、ジャグリングやマジックも入ってるんだ」
「レナさんを見習って、テクニックも頑張って磨いてますのでっ!」
(そこ含めないと、専用の部屋をぶんどれるほどの人数、集まらなくって……)
寄り合い世帯か。いやに世知辛い夢だった。
電気を着けないと、廊下側・入口付近はさすがに薄暗い。
俺とユッコは、肌にじりじり来るほど強い日差しが差し込む窓際に、どちらともなく歩み寄った。
夏休みだからか、昼間なのにグラウンドから遠吠えのような長く尾を引く叫びが聞こえてくる。
学校の運動部が、汗みずくの泥だらけで練習しているんだろう。耳に入るだけで体感温度が上がりそうだ。
野太い音声の主には、ユッコの学友も混じっているかも知れない。
が、ユッコはこの部屋の外など、太陽以外はどこ吹く風のようだった。
(だ、誰もいない教室の、窓際で、好きな人と……少女漫画とか、写真集の撮影みたい)
リアルJKでもそう都合よく遭遇するシチュエーションではないらしかった。
夏休み中で、ユッコのように工作でもしない限りは。
窓からの太陽光線は、耐震補強の筋交いか、窓枠の造作かなにかで、いくつかに断ち割られて、
ユッコと俺を横から半身に照らしていた。照らされていない部分を見て気づいたが、
こっちを見上げてくるユッコは、ぽわぽわと頬や首筋を紅潮させていた。
「い、今からのことは、その……夢、ですから、ね……?」
まだ夢じゃなかったのか?
それとも「悩み事を言うけど夢の中だと思ってくれ」という意味か。
よくある「これは独り言なんだけど」とか「友達の話なんだけど」って言い回しと同じに扱えばいいのか。
「急がなくてもいいんだぞ。俺が言うのも何だが、まぁ、座ってからだって……。
言ったとおり、時間はそこそこ取ってるから」
「い、いや、座るの……待ってください」
(……ただのおしゃべりだけだったら、時間はじゅうぶんだったんですけど、ね)
前後のユッコが、それぞれ意味深な響きで俺を取り巻いたかと思うと、それが一気に迫ってくる。
「私……プロデューサーと、えっちなこと、したいなぁって……」
(前みたいに、キスして、いっぱいして、それからおっぱいきゅうってしてもらいたいしっ、
プロデューサーにも気持ちよくなってもらいたいしっ、あと……ちゃんと、私のはじめて、もらって――)
言うが早いか、ユッコは俺の肩と首に腕を引っ掛けて、背伸びして、くちびるを奪ってきた。
歯がカチカチって鳴ってしまってユッコが動揺する気配がしたので、軽く身をかがめて、
ユッコの肩を抱き返し支えてやった。
(え、へへっ……私から、キス、しちゃったぁ、しちゃったよぉ……っ)
そのままユッコを食らい付くして俺と一つにしてしまいたい。無茶苦茶な衝動が降って湧く。
ユッコの細い肩や腰をキツく引き寄せて、おまけにキスしたままユッコの口中へ舌を突っ込んで、
細かい溝の入った歯のエナメルや、じゅるじゅると呻く舌や、硬いけどどこか脆そうな口蓋を可愛がった。
(お、おとなの、きす、きしゅっ……なか、まで……す、ご、ぉ――)
ユッコがぐらぐらと腰砕けになるまで、俺は陵辱じみたそれを止められなかった。
手や舌を緩めたら、こんなに近くにいるユッコが、またたく間に沫雪のように溶けるか、
あるいはテレポーテーションでパッと消え去ってしまう……なんてパラノイアに憑かれていた。
「こ、このぐらいなら、私でも咥え、られますかね……えへへ」
(サキュバスの漫画みたいに、私の顔より大きかったらどうしよう……って思ってたけど、よかったぁ……)
「そりゃあ、本来は下の口に突っ込むものだから。バカでかかったらケガさせてしまう」
腰砕けになったユッコを、しばらく背中を撫でて落ち着かせてやると、
『こんどは、私がプロデューサーを気持ちよくする番ですっ! ほらっ、椅子もありますからっ』
と、パイプ椅子に座らせられ、ベルトとスラックスをくつろげる羽目になる。
俺のペニスは、ユッコとのキス――もとい口舌でのセックス――で、挿入には十分な勃起具合だった。
「というか、フェラやるんなら咥えるより先に舌で舐めるのが先だろうし、
舌で舐めるより先に手で擦って慣れてからだと思うが」
「えっ、そうなんですか?」
風俗嬢やAV女優のような玄人、あるいは特定のパートナーとある程度セックスしてる人ならともかく、
どちらでもないはずのJKアイドルなユッコが当然のようにフェラなんかしてきたら、
いくら夢でも、俺は肝をつぶしてこの頼りないパイプ椅子から転げ落ちていたかもしれない。
「それも、乙女の保健体育か? ……あまり、アテにしないように」
「ふぇ、ふぇ……ふぇらちおのこととか、プロデューサーは知ってるんですか!?」
(もしかして、もう他の女の人と経験があるとか……まさか、アイドルの誰かに)
「……俺は、アイドルの誰かにコレいじらせるプロデューサーと思われてるのか……?」
ユッコが泣きそうな顔しやがる。けど泣きたいのは俺の方だ。
「じゃ、じゃあ……今までのは、過ぎたこととして見逃しますけど……
これからは、こういうことするの私だけって、約束、できます……?」
(本当は、見逃したくないけど、話が進まないし……)
どんな約束だ。勝手に人の夢に上がりこんでくるくせに。
サキュバスどころか押しかけ女房だ。
「約束は、してもいいが……『これからは』って言うと」
「言うと……なんです?」
約束の方はサクッと覚悟が決まった。
どうせ夢の中にまで上がりこんでくる女はユッコだけだし。ただ……
「……これから『も』ユッコとこういうことするって意味にとれるんだが」
「さいしょはっ、かるくっ、いきますからねーっ」
(ええい、ままよっ)
前後のユッコは勢いの良い掛け声とともにペニスに迫ってきたか、
キスの時の教訓を覚えていたのか、歯が当たらないようくちびるを丸めてくれていた。
「ふぇぷっ、ふぁ、あ、んぷっ……れりゅ、んぅうっ……っ」
ユッコのフェラは、最初の一口二口はゲホゲホとむせていたが、
そのうちアイスキャンディーを舐めるような具合のやり方を掴んできた。
キスより明らかに飲み込みが早い。これは乙女の保健体育の予習範囲だった、と俺は信じることにした。
(うぇええ……にがくて、しょっぱくて、まずい……)
前のユッコが、舌とくちびるで先走りをぴちゃぴちゃさせながら、後ろのユッコが悶える。
美味しく感じるわけないよなぁ。ユッコがサキュバスでもない限りは。
俺はユッコの頭を撫でてやりながら、
「ユッコ……気持ちいい、ぞ……」
だからもう止めてもいい、って意味の言葉と目線を投げたつもりだったんだが、
丸く大きくくりくりした目でこっちを見上げるユッコは、それをどうとったのか、
「ふぇ、えへへ……そう、ですか……? じゃあ、もっと、して……」
ユッコはくちびるを軽くすぼめると、裏筋と鈴口のところに、
まるでくちびる同士のキスのような表情でくちづけしてくる。
「は、ぁあ、ぉおっ!?」
不意打ちに倒錯的なシチュに襲われ、変な声が出てしまう。
(私……プロデューサーのおちんちんと、キス、しちゃってる……
びくってして、こんなプロデューサーの声も、聞いたことない……私だけ、かな……?)
「あ、あぁう、ユッコ、それ、えっ」
(ぷろでゅーさー、おちんちんに、こーやってちゅーされるの、すきなのかな?
軽いほうが、いいの? ……なんだか、私も、これ、すきに、なっちゃう……)
刺激は、軽く吸い付くぐらい。赤ん坊が母乳を吸うより生易しいだろう。
しかし、
(すき、すきっ……おいしくないのも、すきに、なっちゃう、ぷろでゅーさーの……っ)
フェラチオしながら後頭部に向かって甘い声で囁いてくる――そんなレベルはもう超えてる。
(プロデューサーは、キスが好きで……おちんちんにキスされるのも、好きなんだ……)
ユッコの囁きが、頭蓋骨の中で反響というか乱反射というか、
とにかく言ったり来たりするまま頭の中から離れなくなる。
俺は脳ミソ犯されてるんじゃないか? こんな責めがあるか。人間業じゃない。
(すきっ、すきっ、ぷろでゅーさーだいすきっ、ぷろでゅーさーのおちんちんも……たぶん、だいすきっ)
「ユッコ、もういい、やめっ――でる、出てしまう、からっ」
俺は、ペニスにちゅうちゅうとバードキスしてくれているだけのユッコに哀願していた。
エロ漫画を鵜呑みにするほど性知識に乏しいJK相手にこの有様。
自分が情けなかったがそれにさえ興奮した。
「ぷふぁあ……? で、出るって、なんです? せーし、ですかぁ?」
「出たら、まずいから……とめてっ、止めてくれ」
「……でも、気持ちいいーって、顔、してますよ? それに、おちんちんも……。
んふふ……っ、んぢゅ、ちゅぷ、ちゅうぅううううっ」
なんでこんなときだけ聞き分けが悪いんだっ。
(プロデューサー、気持ちよくって、気持ちよすぎて、顔もくしゃくしゃにして、
おちんちんも手足もがくがくさせて、私のキスで、おちんちん我慢できないんだ……うれしいっ)
俺にとってはもう目の前のユッコが完全にサキュバスだった。
(きすで、せーし、だしてぇっ……ぷろでゅーさーのあかちゃんのもと、だして、のませてぇっ)
そうだ、サキュバスじゃなかったら、精子を飲むとか言い出すはずが、はずが――
「あ、あ――ユッコ、で、でるっ」
「ふぁ、は、ぁ――んぷっ、じゅぅうーっ」
後ろのユッコも何か言ってた気がするが、聞こえない。
ユッコのとどめの口内搾精に飲まれる。すべて。精子どころか、意識さえも。
「んぷ、ぶぉっ、ぇええっ、おうえぇッ……!! んぐっ……お、あおおぉっ、お、おっっぅ……」
(あ、あぅうっ、ぷろでゅーさー、の、ぉおっ、キて、わらひも、なんか、キ、キちゃうぅうっ)
たぶん、俺が意識を飛ばしていたのは、一瞬か、長くても1分ぐらいだと思う。
「んぢゅ、ぶ……ちゅ……んぐうぅ……うぇ、ぇええう……っ」
気がつくと、ユッコは俺が口中にぶっ放してしまった精液で口周りや鼻までべとべとにして、
ぼろぼろ泣きながら、俺の太腿やパイプ椅子の座面に落ちた白濁液を舐め取っていた。
「お、おい、やめろ……汚いからっ! ほら、顔を拭け!」
俺は混濁した意識に鞭打って、下ろしたスラックスのポケットから、
半ば手探りでよたよたとハンカチを引っ張り出し、ユッコの頬や口にあてる。
「……ぁは、ぁあっ……ぷろでゅーさーの、におい、じわじわキてますぅ……」
しまった。これ、外回りのときの汗拭きで使ってたやつだ……。
「ぇぅうっ、う、ううっ……せーし、おいしいってのも、ウソ、だったんですね……」
「そうだよ。オトコだってまずいと思ってるぐらいだ。だから、吐き出して。ほら、こっちっ」
今度はカバンからポケットティッシュを引きずり出して、
包装をめちゃくちゃに千切って何枚か持って手のひらに広げ、ユッコに吐き出すよううながしたが、
「ん、んぐぅっ――こくっ、ンン……んくっ、ぷふ、ぅ……がふっ、けふっ……
ご、ごちそうさまでしたぁ、ぷろでゅーさーぁ……っ」
ユッコはわざわざ首をそらして、ノドが蠕動するのを見せつけるように、飲み下しやがった。
「きたなくって、まーずいほど、いいじゃないですかぁ……?」
(私以外、だーれも、飲めないで、飲まないで、飲もうと思わないような……ねぇ)
ユッコの口を拭おうとして差し出した俺の手は、凍りついてしまって、
そのままユッコの両手に捕らえられた。
「ぷろでゅーさーのせい、ですよ……? あなたのせいで……私、おかしくなっちゃったんです」
なるほど、ユッコは自分で言う通り、おかしかった。
自分の通っている高校の一室・超能力同好会の部室に、担当プロデューサーの俺を連れ込んでいるし。
ユッコの声が途切れると、壁や扉の向こうのグラウンドから、ジリジリと揚げ物でもしているような蝉の声と、
部活にいそしんでるらしき男子高校生の野太い叫びが、遥か遠く聞こえる。
「あなたの姿を見て、あなたの声を聞いて、あなたの匂いを嗅いで、あなたの肌に触れて、
どきどきして、ずーっと、ゆめみたいに、しあわせにしてくれるから……
でも、それ以外のときは、ずーっと、私を、くるしくさせるの……っ」
キスをせがんで、勃起ペニスにフェラチオして、射精させて、
その精液を飲み下したり、こぼしたものを啜っているし。
「だから……だから……プロデューサー、さんっ。せきにん、とってぇ……」
今は腰より少し低いテーブルの天板に上半身をべったりともたせ掛け、
こちらにぷりぷりと丸く引き締まった尻を向けて、自分からプリーツスカートをまくりあげ、
糸を引いたり透けたりするほどべちゃべちゃに濡れた下着も太腿に引っ掛けて、
「……ユッコのおまんこに、おちんちんつっこんで、ユッコのはじめて、もらってくださいっ」
マンコなんか下着以上の大惨事で、指一本入るかどうかの細いスリットも、
ちらちらと薄い陰毛も、泡がくっついてるほど恥ずかしげもなく濡らして、
ケツをくいくいと左右に振ってペニス突っ込んでぇ……って、ねだってくるし。
これが俺の見ている夢だというなら……俺の頭の中からこんな光景が湧き出てきたとなると、
もうユッコの顔をまともに見られない。俺はあいつをこんな目で見てしまっているんだ。
担当プロデューサーを務める自信がヘナヘナと萎れる。
その自信を奪って養分としたように、ペニスは勃起具合を増す。
「ユッコ、お前、あの……セクシーとか色っぽいって次元じゃない……すけべすぎる……」
「……えへへ、私で、こーふん、シちゃいました……?」
(プロデューサー、ぷろでゅーさーっ、誰よりも、ですか? ほかの誰より、私が――っ)
あぁ、もう、いいか。
毒を食らわば皿まで、って言うし。
「入れる、力を抜けよ」
「はいっ!」
ユッコのヒップとか、花びらのように均整の取れたすぼまりのアヌスとか、
いやらしいよだれでべとべとのマンコが、きゅっと引き締まった。
「逆だよ。力んでる。ほらユッコ、リラックス、リラックス……」
「は、はぁい……ええと、りらっくす、りらっくす……」
(うぅ、うぅうぅ……せつない、よぉ……)
……ふだんのユッコをちょっと思い出してしまった。
突っ走ってる欲情に罪悪感が追いすがってくる。
どっちだって俺を止めてくれるどころか焚きつけるばかりだったが。
「……そうだ。カウントダウン、いるか?」
「も、もーっ……そんなの、いらないっ、いらないですから……はやく、くださいっ!」
(おっぱいのときの、おぼえててくれたんだ……ぷろでゅーさーが、また、戻れなくシてくれる……っ)
ああ、ユッコも、戻れないって分かってるらしい。
むしろ、俺よりユッコのほうが先に分かってたんじゃないか。
あーあ……。
(せつなくて、くるしいのに……うれしくって、しあわせで、たまらない、です……っ)
ユッコの、輪郭はふっくらした曲線なくせに、触れてみるととても細く感じる腰をホールドして、
俺はペニスを、切っ先から、徐々にユッコの中へ押し入らせていく。
「あ、ぅぁあっ、はぁっ、あぉお、おおぉおっ……!」
(い、いたぁ、あ――ふぇえ、またっ――らめぇえっ、へ、へんなこえ、でひゃ、は、ぁ――)
前後のユッコの声は、どっちもビリビリ引き攣れながら、
今度はぐちゃぐちゃに絡まった糸玉のように、乱れつつ一つになっていった。
「は、ぁ、アっ……ぁ……ぉ……ぉ……っ」
処女血の鉄臭い匂いは、最初の方にちょっとだけ俺の鼻を責め苛んだあと、
ユッコの汗と愛液と、失禁の小水の中へ薄れていった。その中には俺の先走りもたぶん混じってた。
この上もなく大切にされるべきアイドルの純潔の散り様としては、冒涜的な淫らさにまみれていた。
「ぅ、ぅぅ、ひぅ、ぅうっ……あ、ン……ぁ…あぁ……っ」
ユッコは、上の口だけは静かだった。
レッスンで鍛えられみちみちに張り詰めているはずの尻肉が、波打ってしまうほどの勢いで突き入れても、
あ、あっ……ぐらいの、吐息混じりのつぶやきと、テーブルの天板をはぁはぁと曇らせるぐらい。
(お、おまんこ、すきっ、すきぃいっ――おくも、いりぐちも――ぜんぶ、ぷろでゅーさーに、されて、ぇっ)
逆に、後ろのユッコはたいそううるさい。エロ漫画――もとい、乙女の保健体育で覚えてしまったのか、
ペニスをねじこまれた仕返しとばかりに、俺の理性を刈り取る語彙と声音で殴ってくる。
「が、学校で……ほかのみんなが、部活とかしてるのに……
わ、わたしっ、ぷろでゅーさーと、えっち、しちゃって……え、へへ、だめ、です、ね――んんぁあっ!」
(ぜったい、絶対特権どころじゃないコト、シちゃって……だ、めぇ……こ、これぇ、キモチイイのっ、
ヘンタイみたい――やっ、ちがっ、これ、あっ、こんなの味わったら、私――だ、め……っ)
ユッコのナカは、温かくて、ぐちゅぐちゅと濡れまくっていて、それなのにこっちを縛り付けるようにきつい。
みんなの気持ちを一つにして――とか歌ってるユッコが、
みんなに見せちゃいけない心中では独占欲を叫びまくってる。
それも奥をこつこつと細かく連打すると、マンコをいじめられる悲鳴の中にバラバラに消えていく。
今度はマンコが狂おしく粘膜を振り絞ってくる。
(あ、やぁあっ……恥ずかし、い――いやらしい、音、おとっ、とめられない……っ)
ぶぴゅ、ぎゅぽ、じゅ、ぱっ……声帯のない代わりか、これがマンコから鳴るのかという勢いの水音。
ユッコの膣内は強烈な締め付けをかましてくる――先にフェラで出してなかったらとても持たない――一方で、
膣奥の弱いところにあたると、変な痙攣でもしてしまうのか、ほんの少し膣口とペニスに隙間ができて、
それでいわゆるマン屁を出してしまうらしい。
(や、やらぁ――おまんこ、だめっ、ぷろでゅーさーに、ひかれ、ちゃ――)
どうやらサキュバス漫画にマン屁は載ってなかったようで、ユッコは激しい羞恥とともに、
なんとしてもペニスを捉え直そうと、膣壁も、その周りの筋肉――尻も腰も太腿も、たぶん腹も――必死で、
まるで下半身全体でバキュームフェラしてくるような風情だ。
ちょうど尻エクボの凹んでる感じが、ひょっとこみたいに吸い付いてるフェラの頬みたいで……。
(んんきゅううっ!? そんな、お、おくっ、がしって、つかまれて――にげられ、ない……っ)
俺のペニスも手も腕も足腰も、ユッコの求めに応じて、がっしりとマンコの奥を保持し、狙いを定める。
ぶぴゅぶぴゅ、じゅぼじゅぼと淫らな台詞の末にペニスを捉え直してくれると、
マンコの奥底のユッコの弱点をいじめやすくなる。
「ぁ、ああ、っ――ぉ、お、くう、ぁ、あっ」
(そ、こぉ――し、しきゅうっ、あたって、あかちゃんの、キ、キちゃ、あ――っ)
子宮らしい。弱点なのか。そもそも、子宮って神経が通ってたか? オトコの保健体育の範囲外だ。
まぁ、仮にユッコのそれに神経が通ってても、オトコには一生わかってやれない感覚だが……。
「うあ、あ、んぅう……あ、あああ、アア……っ!」
俺がマンコの奥を中心に、ときどき浅いところも慣らすようにペニスで刺激していくと、
ユッコの中で犯されている感覚がだんだんマンコ以外にも溢れ出し波及しているのか、
次第に、下半身だけじゃなく背中や肩ものけぞらせたり突っ張ってうつ伏せたり、
テーブルをがたがたびたんびたんさせるようになる。ちらっとだけ罪悪感が出てくる。
「あ、んァあぅう……あ、あ……ぷ、ぷろでゅーさー……? あ、あっ――」
(わたしの、なか、おく、ささったまま、とめられ……なに、されちゃうのかな……?)
ユッコの腰骨あたりに添えてた手を、ユッコの肩あたりに添えて、ぐいと引き上げる。
首をこちらへ振り向かせ、ねじらせて、後ろからくちびるを奪う。
立ったまま、支点が減って不安定さがまして、そのぶんユッコの体をきつく抱きしめる。
(またキス、きしゅっ、カラダ……らんぼうに、ひねり上げられてるのに、ほぐされてるっ、
アツいのっ、通されてぇ、受け入れろって――うけいれちゃう、
ぷろでゅーさーのためのわたしに、されちゃうぅっ……)
少女の中に、神様が愛嬌と活力を詰め込めるだけ詰め込んで造ったようなユッコが、
俺の腕の中で、身を捩らせながら退廃にずぶずぶ沈んでいく。
ユッコのその変化が肌で感じられると、ペニスに来る痛いほどの締め付けも快楽に変換されてしまう。
「ひぁあっ……アアアッ、イヤッ、りゃ、めえ……っ!! ンあ、ッアっ、アッあァぁぁ……」
(え、へへぇ、ぷろでゅーさーのための、わたし……? わたし、わたし……あははっ、
いままで、わたしのために、さいきっくあいどるのために、ぷろでゅーすしてくれたあなたが……)
後ろのユッコのつぶやきのせいか、キスしてて目を閉じているせいか、
瞼の裏に今まで見てきたユッコの姿が、走馬灯のようにくるくる回る。
死の代わりに絶頂と射精が寸前まで迫っていて、もう避けられないんだな、と思った。
勢いに任せて、ペニスを往復させたまま、ついに跳ねる。
どびゅるっ、びゅる、びゅく――ユッコを離さないよう、腰砕けになって倒れないよう両手両足に気を張る。
「へあっ!? な、ナカぁ、アアッ、あぇっ、あっあっ、あっ、あァああ……っ!」
(ぎゅうーって、シてもらいながら、ナカまで、ぷろでゅーさーに……わたしっ……!)
射精したら、俺の心中までユッコに流れ込んでやしないだろうか。サキュバスは精液を吸い取るもんだが、
ユッコが“phychic”なんて形容詞を冠したせいか、こっちは精神機能まで吸い取られてる気がする。
「ほあ、あっ、ア……はあぁぅう、あ、ふぅー、はぁ、ハー、はああぁ、あぅうっ……」
そうやって射精のあとに意識を手放していくのは、ペニスを打ち込んで射精するときの衝動よりも、
ひょっとすると抗いがたい心地がした。
訂正>>23
× phychic
○ psychic
「――ゅーさーっ、プロデューサーっ、起きて、起きてくださいっ」
「ふぁ、ま、ぁあぁあっ……ゆ、ユッコ……?」
「もうっ、だらしないですよプロデューサー、よだれなんか垂らしてしまってー」
ユッコの声――笑い声だ。ずいぶんご機嫌な響き。
「ほらーっ、ほっぺたに、ワイシャツのあとまで……とりあえず、よだれを拭いてあげますから……」
「す、すまないユッコ……ん、んん……?」
ユッコがポケットティッシュで俺の口元をぬぐってくれる。
おいおい、俺はお子様ランチを食べこぼした子どもか……?
「……あれ、ここ、どこだ……」
「私の学校ですよ? ここは超能力同好会のサイキックトレーニングルームっ!
……って、プロデューサーがここにくるのは初めてでしたね、確か」
空調はそれなりに効いていた。でも、太陽は未だ暑苦しかった。
校庭から漏れ聞こえてくる、アブラゼミや運動部らしき男子高校生の声も暑苦しかった。
「あれ、ユッコ……俺に、相談があったんじゃ」
「……プロデューサーの寝顔を見てるうちに、忘れちゃいましたっ。
じーっくり見て、サイキックメモリーに焼き付けましたよー!」
ユッコの顔は、ぽわぽわと紅潮していたが、なぜかシャツのボタンをきっちり留めて、
ネクタイもきりりと凛々しいほどに整った結び目。ユッコ、そんなきっちりした着方してたか……。
「どうしたんですか? 私の顔に、何か……あんまり見つめると、サイキック出しちゃいますよ!?」
ユッコは俺の目を塞いできた。肩どうしがくっつくほど近い。
例の、甘いけれど爽やかさも孕む桃みたいな匂いに包まれる。
「俺も、テレパスが、使えりゃなぁ」
「プロデューサーなら……私といっしょにトレーニングすれば、いつか使えますよ、きっと!」
でも、こんなに近いのに、もうひとりのユッコの声は何も聞こえない。
夢みたいに、上手くは行かないか……バカバカしい。
「……あ、いっけね、事務所――時間が、ああっ」
「どうしたんですか?」
「ユッコを事務所に送ってやらんと、もうちょっとしたらダンスレッスンで――」
「――だんすれっすん?」
ユッコは、なぜか頑なに俺から三歩下がる位置をキープして歩いた。
なんだ? この、ユッコ基準でも珍しいほどの挙動不審は……と突っ込みたくなったが、
相談を持ちかけられたのに居眠りかましたばかりの立場では何も言えなかった。
「私が先に歩いてると、プロデューサーさんを置いてっちゃうかもしれないですからっ。
それとも……三歩下がってオトコを立てる……なんて、お嫁さんを意識しちゃったとか……?
あ、プロデューサーさんもあまり早く歩いちゃダメです、お疲れのようですので」
※※
――あ、プロデューサーさん。青木で……じゃ、通じませんね。トレーナーの三女の明(めい)です。
ユッコちゃん、昼間にいっしょにいたそうですけど……調子、どうでした?
「体は健康そうでした。ただ……最近、落ち込むというか、気にかかることがあるかもしれません。
俺の力が及ばず、具体的な悩みは聞けていない状態です」
――実は……ダンスレッスンがかなり硬くてつらそうだったんで、
独断で体の負担の軽いメニューに差し替えちゃったんです。でも、メンタルのほうで……?
「……堀が、ご心配かけまして、すみません」
――そんな申し訳無さそうにしないでくださいよ、これもトレーナーのお仕事ですから。
言われてみると、どこか上の空だったかも……私も、気をつけてみます。
「何かお気づきの点があれば、ご連絡いただけますとありがたいです。
こちらも、ご面倒をおかけすると思いますが、どうかお願いいたします」
――ユッコちゃんと、あのプロデューサーさんに限って……まさか、ね。
※※
「プロデューサー、これを見てくださいっ! ……どうです? 太古から伝わるぱわーを感じませんか?」
「これは……バウムクーヘン? バウムクーヘンって、丸くなくても焼けるんだなぁ」
プロデューサーと二人きりの面談室で、私は実家から送ってもらった丸岡屋のバウムクーヘンを取り出した。
普通のバウムクーヘンと同じように生地を多層にして焼き上げているんだけれど、
変わっているのは、なんと輪型じゃなく長方形になっているところだ。
「ふっふっふ……福井県といえば、だいなそー! 恐竜ですよっ。
福井の小学生はみーんな恐竜博物館に社会科見学で行って英才教育されるんです。もちろん私も!」
なんでも、バウムクーヘンを焼く芯棒がいきなり壊れてしまって、
生地がもったいないからと四角い型に入れて焼いて売ってたら、福井の地層のなんだかにそっくり!
ってことで、恐竜の骨の焼入れをいれて発掘気分まで味わえるお菓子なんだとか。
プロデューサーとの個人面談まであと何日か数え始めた時、私はこのお菓子を持ち込むことに決めた。
恐竜は人並みに好き。芯棒が偶然に壊れて生まれた、っていう由来は特別に好き。
そういう……せれんでぃっぷ? なところ、さいきっくと似た匂いを感じるから。
「見掛け倒しじゃないですよ。味もほろほろ優しい甘さで美味しいんですっ」
……福井でほかのだと、羽二重餅とか、五月ヶ瀬とか、渋いお菓子ばっかりで、それだと、ねぇ。
贈答品というか手土産というか、かしこまった雰囲気が出ちゃうから。
ただ、私のそういう趣向や、生地を一層一層と手間暇かけて焼き上げられたバウムクーヘンも、
プロデューサーにとっては上の空のようだった。
「じーっ」
「じーっ……て、口で擬音を言うやつがいるか」
「おいしいですか?」
「おいしい。気を抜くとパクパク食べすぎてしまいそうだ。
ふつうより、甘さが丸いと言うか、マイルドというか。三温糖でも使ってるのかな?」
「ぶぶーっ。惜しいですね。三温糖どころか……ええぇと、その、阿波の和三盆らしいです!」
バウムクーヘンの味が伝わっていようがいまいが、私は心地よかった。
作ってくれた人には申し訳ないけど……。
だって、その原因は明らかに、目の前にいる私だから。
「ふふっ、良かったです。プロデューサー、最近いつもお疲れ気味のようなので。
エスパーユッコとティーブレイクして、ぜひぜひ英気を養ってください」
夏休みのアレから、プロデューサーは私と二人きりになると、
ちょっとずつ私をどろどろとした熱っぽい目線で見てくれるようになった。
他のアイドルの手前、気づかれないよう努めているようですが、エスパーユッコにはお見通し。
前は私だけがドキマギしてたんだけどね。今やプロデューサーも仲間。
こうなると私たちの間だけで熱いテレパシーが伝わってるみたい。
視線が一瞬かぶるだけでふわふわした気分になっちゃう。
今だって、事務所じゃなかったら……密室で、二人きりだし……。
「……そういえば、夏あたりに俺が聞きそびれた悩みって……どう?」
「どう? って……プロデューサーは、どうだと思います?」
プロデューサーの目を、じーって見つめてあげる。
自分から聞いた手前、プロデューサーからは目をそらせない。だから私は見放題。
「目は口ほどに物を言う、って言いますから。私の目、じーっと見てたら、伝わっちゃうかも……」
私が『夢』の中で散々“仲良く”したのが、起きてるときにも侵食してるのか、
プロデューサーの虹彩や目の周りは、理性と欲望の間で引き攣れそうに震えていた。
たぶんそれ、私も先に味わっていた気持ちですよ、あなたをそばで感じるたびに。
ホントにテレパスみたい。ホントのサイキッカーになったみたい。
絶対特権として他のアイドルやクラスメイトに見せびらかしたくなるぐらいの繋がり。
……だったんだけど。
「少しはユッコのことを分かってやれてたつもりだったんだが、やっぱり……」
プロデューサーは、辛そうな、痛ましげな顔と声で、淡々と私へ重大な告白をした。
「ユッコの担当プロデューサー、別の人に変わってもらおうかと思ってる」
私とプロデューサーの火照った絆は、いきなり切り落とされた。
※
「……ふぇ? プロデューサーが、私の担当じゃなくなる……え、え?
いやな冗談ですねー。じゃあ、誰がアイドル・エスパーユッコをプロデュースしてくれるんですか?」
担当交代とか悪い冗談だと思った。私にとってプロデューサーはこの人しかいなかった。
エスパーアイドルのことを本気で考えてくれたの、私の次はこの人だったもん。
だから「プロデューサー」なんて紛らわしい呼び方を続けてる。わざと。わざとだよ?
この事務所だけでもほかにプロデューサーという立場の人はいっぱいいるから、
紛らわしいよ、止めなさいって言われても、訂正しない。ずっと続けてるとみんな諦めてくれる。
私のバカっぽいキャラが幸いしたのかも知れない……複雑だなぁ。
「そいつは心配しなくてもいいと思う。こんなことになって手前味噌だが、
俺がユッコに、エスパーについて散々ツメたからか、だいぶ軸がしっかりしてきた。
そろそろ他の人のプロデュースでも、ブレないぐらい成長したと思う」
プロデューサーは、なんかそれらしい響きのことを言ってるけど、
私に分かったのは、それがウソということだけ。
あなたは私のことをそんなに分かってるはずがない。
私が『アイドルやってて楽しいか? 幸せか?』なんてことさえ、聞かなきゃわからなかったくせに。
「……はぁ? それって、じゃあ……なんです? まさかとは、思いますけど」
プロデューサーが私に『イメージがズレすぎてないか、絶えず確認しなきゃ』ってやってたのは……。
私を、そうやって、あなたから……卒業? させるためだったんですか?」
「そうだな」
「ウソですね。さいきっくなんかなくてもわかります」
プロデューサーは、私に意地悪なほどツメてきた時と比べると、だいぶ鈍くなってた。
私のことをわからないと言ったそばから、私の軸がしっかりしてきた……なんて言って、明らかな後付。
「……楽しく元気にやっていけるかどうかの責任を持つ、なんて言ってくれたあなたが、
こんなお粗末な説明なんて、私でもおかしくて笑っちゃいますよ」
私は自分の椅子を立って、プロデューサーが座ってる方へ掴みかかるように迫った。
プロデューサーが担当を降りてまで私を遠ざける理由は、きっと別にある。
「ユッコ、突然のことで、説明不足で、納得行かないのは……わかる。悪いのは、俺であって――」
「――その『説明不足』の原因に、私、心当たりがありますよ?」
「ゆ、ユッコ……!?」
「……と言ったら、どうですか」
あのプロデューサーが、こんな重大なこと私に説明するのに言いよどむ原因なんてそうそうないはずだし、
私の記憶の範囲では、それにあたりそうな原因なんて一つしかなかった。
「……私で、えっちなこと考えちゃうから、私と、えっちなことシたいって思っちゃうから、ですよね」
プロデューサーの目と、体温と……あと、固くなっている一部の器官は、
言葉よりもずっとハッキリと、私の尋問に答えを返してくれていた。
「……図星、ですかっ。ふふっ、そーですか。そーですかっ」
「ユッコ……その、あの……」
やった……やった! 私、プロデューサーの近くの女の人――アイドルも含めて――の中で……
「……ユッコに、そんなこと言わせて、本当に申し訳ない……」
「つまりプロデューサーからだと、私が一番オンナとして魅力的に見えたって、おかしくなっちゃうぐらい!」
「あ、あぁ……まぁ、そう、そうなんだが……」
「ですよね! ねっ!」
……最初のソロステージで最初の曲を披露した時とは明らかに違うけれど、
それに負けないぐらい嬉しくて、うっかりするとぴょんぴょん跳ね回ってしまいそう。
ふふ……ここまでトリコにしてしまったら、もう絶対特権を主張してもいいでしょう。
わたさないわ! 絶対! 絶対! 絶対! 絶対! 絶対に!
あの人の瞳には、透き間無く、わたしだけ……なーんて。
……あれ?
「ちょっと待って欲しいんですけど」
「待ってほしいのは俺の方なんだが」
「なんで私とえっちなことシたいって思っちゃうと、あなたは私の担当を止めちゃうんですか?
だって、プロデューサー、私以外の……アイドルの人とかも、えっちな目で見てますよねぇ」
「ユッコは特別だ……あんまりにも、我慢するのがしんどすぎて、夢にまで出てきて、頭がおかしくなるかと……」
えへへ……『ユッコは特別だ』なんて照れちゃう……えっ。
「あの……『夢にまで出てきて』って」
「……言葉通りだよ」
「夢でもし逢えたら~♪ ……なんて」
「夢だけで済まなくなりそうだから困ってるんだ……」
それって。
それって、めっちゃくちゃ私のせいじゃないですかぁー!?
「……」
「……ユッコ」
「あの、プロデューサー……私のえっちな夢を見なく……ほとんど見なくなる方法が、一つあります」
「……え、ほとんど?」
……まったく見なくて済む、とは……い、言えない、けど。
プロデューサーに『ときどき……そのときの……きもち』を思い出させるぐらいなら許してくれるよね?
だってそれは、プロデューサーが私に願ったことと同じ……同じ、はずっ。
「あなたが、おひとつ、このユッコにご約束いただければ済みます。
もし私が、あなたの担当アイドルとして……持ち歌どおりに、世界をひとつにして、愛と驚きで満たせたら」
それを実現する日がいつになるかはわからないけど、
それを目指す日々の楽しさと幸せは、あなたが忘れないようときどき思い出させてくれるから。
だから、きっとだいじょうぶ。
「その時は、そのぶんの責任を持って、私がずっと楽しく元気でいられるように……
あなたの夢も現実も、ぜんぶ私にくださいっ」
……言い方が格好つけすぎだったせいか、内容が唐突だったせいか、
はたまた私の至近距離の色気にクラクラしてたのか、プロデューサーはしばらくポカーンとしてた。
えっちな夢を見せないようにするから、そばでアイドルしたいです……なんて。
やっぱり私、サキュバスって柄じゃないなぁ。
……現実じゃできないことができるといっても、夢だけじゃ寂しいし。
うん、堀裕子……さいきっくサキュバスは卒業します!
だから、あらためて……末永くよろしくおねがいしますよ、プロデューサーっ。
(おしまい)
・あとがき
福井県でサキュバスが人気というのは、Komifloの2020年4月7日Twitter発表です。
本当だったら面白いなと思いました。
ご高覧いただきありがとうございました。
お 待 た せ
https://i.imgur.com/4kQYa0F.jpg
https://i.imgur.com/51wayNT.jpg
眼鏡と恐竜と東尋坊しかない県
蟹や米は北海道や新潟がいて二番手以下になるのよね
おつ
乙
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