真姫「きっかけ」(14)
「スクールアイドルを始めたきっかけですか?」
「学校が廃校になるのを止めたくてーっていうのではなく」
「どうしてスクールアイドルだったのか、ですか」
「A-RISEを見たから、ですね」
「実は私、スクールアイドルのこと全然知らなかったんです。A-RISEのことも、本当に知らなくて」
「学校が廃校になる! どうしよう! ってなってるときに、妹が持ってたUTXのパンフレットを見つけちゃって」
「それで色々あったんですけど、初めてA-RISEのことを知ったんです。それで、スクールアイドルってどんなものなんだろうって」
「早起きしてUTXまで行ったんです。学校に行く前に」
「凄い衝撃でした。歌も、ダンスも凄く上手で、なにより楽しそうで」
「これだ! って思ったんです。これをやりたい! これならいけそうな気がする! って」
「だから、スクールアイドルを選んだんです。あとは……」
「……」
「……あとは、そうですね。これ、まだ誰にもいったことがなくて。恥ずかしいから内緒話、で大丈夫ですか?」
「……はい、じゃあ記事にはしないってことで」
「実はもうひとつあるんです。スクールアイドルを選んだのはさっきの通りなんですけど」
「スクールアイドルをやろう! っていったとき、断られちゃったんですよね。軽率に始めるものじゃないって」
「たしかにそうだなーって。いけると思ったんだけどなぁって。そんな風に、振り出しに戻りかけたんです。それで、どうしようかなーって屋上で考えてたら」
「歌が聴こえてきたんです。ピアノの音と一緒に」
「気になって音楽室に行ったら、また凄い衝撃を受けちゃって」
「凄い子がいたんです。ピアノも歌もとっても上手で、歌う姿が楽しそうで、キラキラしてて。私、いてもたってもいられなくて」
「それで、一人でもやろう! 頑張ろう! って思ったんです」
「だから、私がスクーアイドルになれたのは——」
にこ「いや、これ絶対載せてもらった方が美味しいでしょ」
希「でも穂乃果ちゃんは内緒話いうてるしなぁ」
にこ「録音した音声の書き起こしを私たちが見てる時点で意味ないでしょ」
希「それはそうやけど……」
真姫「……なにやってるのよ」
希「真姫ちゃん」
にこ「この間雑誌の取材があったでしょ。ラブライブ本戦出場グループへの。それの確認」
真姫「ああ……」
真姫「で、なにか問題があったの?」
希「問題っていうか……」
にこ「見ればわかるわ」
……………………
真姫「……ふぅん」
にこ「うわ」
希「めっちゃニヤニヤしてる」
真姫「してないわよ」
希「鏡持ってこよか?」
真姫「……それで、載せるの?」
希「どうしよかって話やね」
にこ「載せた方が話題にはなると思うわ。どうせみんな似たり寄ったりの内容なんだし」
希「穂乃果ちゃんは内緒にしたいっぽいけど」
真姫「……なんで恥ずかしがってるんだか。今更じゃない?」
希「誰にもいったことがないから、とか」
にこ「あるわよね、そういうの。別に秘密にしたいわけじゃなかったけど言い出せなくなるやつ」
希「真姫ちゃんはどう思う?」
真姫「なんで私に振るのよ」
希「言及されてるから?」
真姫「載せちゃっていいんじゃない」
にこ「あっさりいうわねー」
真姫「それで話題作れるならやるべきでしょう? 正直私も恥ずかしいんだから」
にこ「ま、それもそうね。じゃあ、載せてもらいましょうか」
希「……あ、そだ。真姫ちゃんもなにか書けば?」
真姫「はぁ?」
希「だってこれ私信みたいなもんやん」
にこ「たしかに。そっちの方が面白そうね」
真姫「えぇ……。なに書けっていうのよ」
希「なんでもええやん?」
真姫「……なら」
……………………
希「なんでもいいとはいったけど……」
にこ「よくこんなの書けるわね」
真姫「書けって言ったのあなたたちじゃない!」
希「もっと無難に書くと思って」
真姫「ならそういう風に書き直すわよ」
にこ「はい残念もう送っちゃいましたー」
真姫「……穂乃果にはにこちゃんが面白がってやったって言っておくから」
にこ「告げ口は卑怯でしょ!
「だから、私がスクールアイドルになれたのはあの時のピアノと歌のお陰なんです」
私がスクールアイドルになれたのは、あなたのおかげよ ——あなたのピアニストより
おしまい
乙
やっぱほのまきは運命の出会いだわ
乙
面白かった
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