モバP「未来のお嫁さん?」響子「はい!」 (88)

初投稿です、よろしくお願いします。


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~346プロ 第1芸能課~
社長「P君 少しいいかね?」

P「あっ社長 お疲れ様です。いかがなされましたか」

社長「最近どうかね、プロデューサー業務は慣れてきたかい?」

P「はい!まだ見習いですけど、なんとかやっていけています」

社長「そうかそうか!君は入社時から頑張り屋だったからね。調子がよさそうで私も嬉しいよ」

社長「実はな、今日は君に頼みごとがあって来たんだ」

P「頼みごと…ですか?」

社長「うむ シンデレラプロジェクトのことは知っているかな?」

P「はい。たしか新しく新設されたアイドル部門が始めた企画ですよね。個性的なアイドルの発掘・育成を目標としているとか…」

社長「ああ、君も知っている通り我がプロダクションは老舗でありながら常に新しい流行を取り入れることを信条としている。今最も盛んなのはアイドル業界だ」

社長「日高舞から始まり、765プロや961プロなど様々なプロダクションが多くのトップアイドルを輩出している。アイドル事業が最も活発なのだよ」

P「世間は常に新しいアイドルを求めている… だから社長はシンデレラプロジェクトを企画したのですよね」

社長「そうだ。私が君にする頼み事というのはそのプロジェクトに所属するアイドルの女の子をスカウトし、プロデュースすることなのだよ」

P「スカウト…プロデュース… 僕がですか!?」

社長「既に何人ものプロデューサーがこのプロジェクトに参加している…君にもその一端を担ってもらいたい」

P「…」

P(シンデレラプロジェクト…新たなアイドル時代の誕生に立ち会うことが出来るのか… 僕が)

社長「どうかね、引き受けてくれるか?」

P「…社長 僕は小さかった頃からプロデューサーに憧れていたんです。舞台で輝くアイドル達をかげながら支え続けるという仕事に」

社長「…」

P「やります。やらせてください!僕の…僕自身の手で新たなトップアイドルを生み出したいです!その為なら何でもやります!」

社長「ん? 今何でもするって言ったかい?」

P「勿論です!男に二言はありません!!」

社長「よく言った!!それでこそ私の見出した男だ!」

P「社長!!!」

社長「それでは1週間以内にトップアイドルの卵を見つけてくれたまえ」

P「はい!!……え?」

社長「P君!君には期待しているよ~はっはっはっはっ」

P「1週間……1週間!?ちょっ ちょっと待ってくださいよ社長!? 無理ですよ!! 社長~!!」

支援

社長のお願いに二つ返事で応えてしまった僕はアイドルの卵をスカウトするため、日本のあらゆる場所を探し回ることになった。トップアイドルの原石はどこにいるのかわからない、自分の足で探し回るしかないのだ。
目についた女の子に片っ端から話しかけた結果、時には無視され、またある時には新手のナンパと勘違いされ、警察に取り押さえられたりとそれはもう散々な目にあった。

P「まだ何も出来ていないのにもう6日もたってしまった…」

P「もう見つけた同僚もいるって言うし、僕この仕事向いていないのかなあ…ん?」

男の子「うわーん 痛いよ~」

P「君!大丈夫か!?」ダッ

男の子「ひっく ひっく」

P「怪我をみせてもらうよ、転んで膝を擦りむいたのか…これくらいの傷なら…」

P(先日、使った消毒液と絆創膏があったはずだ)

P「少し沁みるが我慢するんだぞ」

男の子「う~しみる~」ポロポロ

P「こらこら、男ならこんなことで泣いてちゃだめだぞ。男の涙はカッコ悪いぞ」

男の子「カッコ ひっく 悪い?」

P「おう 強い男はな、どんなときでも笑顔なんだぞ。お兄さんみたいにな」にやっ

男の子「…変な顔」

P「へ、変!?」ガビーン

男の子「ははは」

P(良かった、笑ってくれた)

P「よし!手当終わり!」

男の子「ありがとう!お兄ちゃん」

P「おう、また走って転ぶんじゃないぞ~」

男の子「うんっ、わかった~」タッタッ

P「…まったく」

P(コンビニで傷薬買った時は無駄な出費だと思ったけど、買ってて良かったな)

P「さ~てと、おなかすいたし何か食べに行くかな」すたすた

P(まだ時間はあるんだ、へこんでなんかいられないよな!)

??「…」

~とある一軒家~
長男「母さん~姉ちゃん~ごはんまだ~?」

三女「まだー?」

次男「まだー!」

長女「あと少しでできるからもうちょっとだけ待ってね~」

次女「あんた達!お姉ちゃん達が今急いで作ってるんだから静かに待ってなさい!!ごめんね、お姉ちゃん、お母さん」

長女「ううん、元はといえば私の帰りが遅くなってお母さんのお手伝いが出来なかったせいだから。」

母「なに言ってるのよ~いつも手伝ってもらっているんだから時間なんか気にせず遊んできて良かったのよ」

次女「そうだよ!私だっているんだから!最近は料理も少しはできるようになってきたんだよ」

長女「ううん、大丈夫!私がしたくてやっていることだから!」

長女(それに、本当はもっと早く帰れるはずだったし…)

~回想~
長女「5時か~ちょっと遅くなっちゃったな…」タッタッ

長女(みんなおなかすかせているだろうし早く帰らないと…あっ!)

男の子「いたっ!!」ズッテーン!

男の子「うわーん 痛いよ~」

長女「大変!転んで怪我しちゃってる、手当しない 男性「君!大丈夫か!?」と?」


男性「怪我をみせてもらうよ、転んで膝を擦りむいたのか…これくらいの傷なら…」

長女(わぁ、あの男の人、すごく手慣れている…お医者さんかな?でもスーツ着てるし…う~ん)

男性「少し沁みるが我慢するんだぞ」

男の子「う~しみる~」ポロポロ

男性「こらこら、男ならこんなことで泣いてちゃだめだぞ。男の涙はカッコ悪いぞ」

男の子「カッコ ひっく 悪い?」

男性「おう、強い男はな、どんなときでも笑顔なんだぞ。お兄さんみたいにな」にやっ

男の子「…変な顔」

男性「へ、変!?」ガビーン

長女(…ふふっ)

男性「よし!手当終わり!」

男の子「ありがとう!お兄ちゃん」

男性「おう、また走って転ぶんじゃないぞ~」

男の子「うんっ、わかった~」タッタッ

長女(すごい…さっきまであんなに泣いてたのにもう元気になってる…)

男性「さ~てと、おなかすいたし何か食べに行くかな」すたすた

長女「…」

長女「優しそうな人だったなあ…ってああっ!急いでたんだった!!」ダッ

長女(でもこんな田舎にスーツ姿の若い男の人がなにしていたんだろう?)

~回想終わり とある一軒家~
全員「「「「「「いただきま~す」」」」」」

長男「やっとごはんだ~」むしゃむしゃ

次男「だー!」

三女「えへへ」

次女「しっかり噛んでたべるのよ!」

長女「ふふふ 美味しく召し上がれ♪」

母「パパ、もう少しで家に着くって」

長女「それじゃあパパの分も用意しておかないとね」

次男「そういえばさ~ここ最近不審者が出没しているって話、みんな知ってる?」

次女「あ~そういえばそんな話もあったわね。なんでも通学途中の女の子にプロデューサーを名乗るスーツ姿の変質者が「君、アイドルにならない?楽しい思い出になるよ?」って声をかけてるみたいよ。」

長女(スーツ姿…?)

三女「プロデューサー?いいなあ、私アイドルになりたい!私の学校にも来ないかなあ」

次女「何言っているの!!こんな田舎にアイドル事務所のプロデューサーが来るわけないじゃない!きっと危ないやつに違いないわ!」

三女「ええー、そうかなあ」

長男「でも本物だったらすごいよな~姉ちゃん可愛いし、明日あたりにスカウトされるかもよ?」

母「そうねえ、年齢的にも申し分ないし、その可能性もあるかもね」

長女「わ、私!?あ、アイドルかあ…」

長男「おっ、意外と乗り気?」

アイドルに対する憧れが全くないといえば嘘になります。テレビで自分とさほど変わらない年の子が歌っているのを見るととても眩しく感じます。でも自分がその舞台に立つ姿は想像したこともなかったです。

長女「プロデューサー…かあ、どんな人なんだろう」

父「ただいまー」ガチャ

母「あっ、パパ帰って来たわね、お帰りなさ~い」

パパが帰ってきたところで、私の中のふわふわした思考は断ち切られることになりました。

~翌日 学校にて~
友達「ねえねえ!!例のウワサ聞いた?」

響子「ウワサ?もしかしてアイドルの子を勧誘して回っているっていうプロデューサーのこと?」

友達「そうそう!素敵よね~大都会からはるばるとやって来たプロデューサー(王子様)!彼はごくごく平凡な女の子である私を見つめてこう言った…「僕は君に会うために生きてきたのかもしれない…」な~んちゃって、なんちゃって~ ふふふ、ロマンチックだわあ」デヘヘ

長女「と、友ちゃん…」

友達「想像してみなよ!自分がスカウトされる姿を!!」

長女「ええ!?う~ん」

長女「………………………」

長女「ちょっ、ちょっといいかも//」

友達「でしょお~」

先生「ほら~席につけ授業はじめるぞ」ガラガラ

~学校帰り~
長女「学校帰りにスーパーでこの量はちょっと買いすぎだったかなあ」フラフラ

長女「でも安くお肉が買えて良かった!今日も美味しい料理作らないと♪ …ん?あ、あの人…!」

男性「…」

長女(昨日の男の人だ!仕事帰りなのかな?…少し話しかけてみようかな?)

長女「あっ、あのっ、こんにち」スカッ

長女(両手が塞がってて受け身が…!)

長女「ど、どいてくださいいい~」

男性「へ!?」

~同時刻~
P「はあ、結局見つからなかったか…アイドルの卵」

P(社長…すいません、僕の力が及ばないばかりに…)

P「…東京に戻るか」

??「ど、どいてくださいいい~」

P「へ!?」

P(お、女の子!?)

女の子「きゃっ」ドーン

P「あいたっ」ゴンッ

P(あたたた、受け止めきれなかったか…ん?)ムニュ

目を開けると、ピンク色のリボンで髪の毛をサイドテールに結んだ高校生くらいの女の子が僕の上に覆い被さる形で倒れていた。

P(こ、この子…か、かわいい)ドキッ

女の子「う、ううん…ん? きゃあっ!す、すいません//」バッ

P「あっ、い、いやこちらこそ受け止めきれなくて。 すまなかった(柔らかくて最高でしたっ!)」

女の子「こんなところで転ぶなんて、気が抜けてる証拠ですね、えへへ… って、ああー!今晩の食材が~!」

P「お、落ち着いて。一緒に拾ってあげるから」

女の子「うう、すみません…」

女の子「本っ当にごめんなさい!!いきなりぶつかったあげく、拾い物の手伝いまでしていただいて…」

P「いいよいいよ、お互い怪我がなくて良かったよ」

女の子「私の家、7人家族なんです。だからお夕飯の食材もたくさん買わないといけないんです」

P「7人家族!?すごいな」

女の子「はいっ、みんな大切な家族なんです!」ニッコリ

P「!?」

P(な、なんて素敵な笑顔なんだろう…)

P「ティンときた」ボソッ

女の子「はい?」

P「い、いやなんでもな 女の子「あっ、あの!本当にありがとうございました!その、よろしければ是非お礼をさせてください!!」

P「お、お礼?そんな大したことしたつもりは…」

女の子「転びそうな私を助けようとしてくれたり、一緒に拾い物してくれたりしたじゃないですか!」グイグイ

P「いや、結局一緒に倒れてしまっ 女の子「だとしてもです!!」あっはい。」

P(す、すごく積極的な子だな)

女の子「わ、私なんだってします!お願いします!!」

P「…なんでも?」

女の子「はいっ」

P「本当に?」

女の子「はいっ!」

P「それじゃあ」スッ

女の子「名刺?」

P「アイドルに興味ありませんか?」

女の子「アイ、ドル…私が、ですか?そんな…私の取り柄って家事が少し上手いってところだけですよ?」

P「最初に見た時はかわいい女の子だな~としか思ってなかったんだ。でも君が家族のことを話す時の笑顔をみた時、確信したんだ…この子はたくさんの人達に幸せを届けられるアイドルになれるって!」

女の子「か、かわいい?//」

P「ああっ!プロデューサーとして…一人の男として君がステージの上で輝く姿を見届けさせてほしい!!」

女の子「!?」

女の子(まっすぐで綺麗な目をしている…この人なら私を…)

P「ど、どうかな?」

女の子「…私、お姉ちゃんだからしっかりするようにって言われてきて…。でも、私、本当はあんまりしっかりしてないんです。」

P「僕がずっと支えてみせる」

女の子「けっ、結構抜けてるところも…あるんです、よ?」

P「ドジっ子は大好きだ」

女の子「つ~~~、得意料理は肉じゃがですよっ///」

P「大好物だ」

女の子「こんな私でも、うまく出来たら褒めてもらえて、笑ってもらえるなら…。アイドルになりたいです!!!」

P「ああっ! 僕が君を導いてみせる!!」

P「僕の名前はP 。ふたりでトップアイドルを目指そう!!」

響子「五十嵐響子15歳です!趣味はお料理、洗濯、掃除…家事全般ですねっ!Pさん…いえ、プロデューサーさん!これからよろしくお願いします!!」

ちょろ過ぎて心配になるレベル

~五十嵐家~
P「娘さんを僕にください!」

父「」

母「まあ!」

長男「おお~」

次女「!?」

三女「キャー!」

次男「まじで!?」

響子「プ、プロデューサーさん!?」

五十嵐さんをスカウトした俺は五十嵐家にアイドルとして活動を行うための許可を貰いに行っていた。
彼女は間違いなくトップアイドルになり得る原石だ。絶対に認めてもらわないと!

母「響子に年上彼氏がいたなんて!どうして教えてくれなかったのよ~」

長男「姉ちゃんやるぅ!!」

P「か、彼氏?…あっ、違います違います! 僕はこういう者です」スッ

母「あっ、これはどうもご丁寧にありがとうございます。え~なになに、346プロ 第1芸能課所属 シンデレラプロジェクト企画担当…芸能事務所のプロデューサーさんですか!」

P「はい、この度は響子さんを我が社のアイドルにすべく、挨拶に伺った次第です」

次女「プロデューサー?じゃああなたがここ最近話題になっていた変質者?」ジロジロ

P「へ、変質者!?僕が!?」ガビーン

次男「うん、近頃芸能事務所のプロデューサーを名乗る不審者が出没しているって話だよ」

P「そ、そうだったのか…本当なのに」ズーン

長男「でも、名刺見る限りだと本物みたいだぞ。346プロって結構有名な事務所じゃないか?」

三女「すご~い!本物のプロデューサーなんだ!」

P「まだ見習いですけどね」タハハ

母「そうなんですか~ ちょっとあなた!いつまで呆けているつもり?しっかりなさい!」

父「あ、ああ。それでこの男はどこの不届きものだ?」

母「あなた!失礼よ!不届きものじゃなくてプロデューサーさんよ。響子をスカウトしに来たんですって」

父「プロデューサー?こんなド田舎にどうしてスカウトしに来ているんだ?」ジトー

P「あはは…それはですね…」

それから、僕は346プロで新たなプロジェクトが企画されたこと、自分がスカウトのために各地を転々としていて気づけば鳥取にまで来ていたこと、五十嵐さんと知り合った経緯を説明した。
最初こそどこの馬の骨か分からない男の姿に五十嵐さんの父親や次女さんは警戒していた。だけど僕がアイドルのプロデューサーという職業を誇りに思っていること、五十嵐さんを最後までしっかり責任を持ってプロデュースすること、何より五十嵐さんが自分の意思をしっかりと言葉で伝えると五十嵐さんがアイドルになることを認めてくれた。
最終的に五十嵐家は全員、僕のこと受け入れてくれていた。

P「これでアイドルに関する要件は終わりです。ありがとうございました。」

響子「プロデューサーさん!折角の機会なんですから一緒にご飯を食べていってください!」

P「え、でもご家族にご迷惑がかかるんじゃないか?」

響子「そんなことないですよ!プロデューサーさんにはまだ助けてもらったお礼、受けてもらっていないですからっ」

P「へ?アイドルの話、受けてくれたじゃないか」

響子「それとこれは話が別ですっ」

母「そうですよ。是非食べていってください」

父「P君、大切な娘を任せるんだ。君自身のことが知りたい。少し話していこうじゃないか」

次女「私も気になるわ、プロデューサーってどんな仕事しているの?」

三女「私も~」

長男「P兄貴は今から俺たちと遊ぶんだよ!なっP兄貴!」

次男「そうだそうだー!」

P「ははは それじゃあしばらくお邪魔しますね」

響子「はいっ、ゆっくりしていってくださいね!」

母「ふふ♪ 家族が増えたみたいで嬉しいわ」

~駅~
P「わざわざ駅まで見送りに来てくれてすまないな」

響子「いえいえ、これから長いお付き合いになるんですから当然ですよっ」

P「ははは ありがとな」

アイドルのスカウト結果の報告を今日中にしなければならないらしく、プロデューサーさんは駅に来ていました。私はお見送りです。

響子「忙しいのに長い間引き留めちゃってごめんなさい」

P「とんでもない!すごく楽しかった。ここ数日ずっと歩き回ってたからリラックスできたよ。夕食も美味しかったしね」

響子「お父さんったらアルコールが入ったら話が長くって…弟たちも迷惑かけませんでしたか?」

P「そんなことないさ。よくしてくれたよ。いい家族をもったな」

響子「えへへ、自慢の家族です」ニコニコ

P「…うん。やっぱり素敵な笑顔だな」ボソッ

響子「?なにか言いましたか?」

P「いや、なんでもないよ」

P「夜道は危険だ。気を付けて家に帰るんだよ」

響子「歩いて3分だから大丈夫ですよ!プロデューサーさんの方こそ気をつけて東京に戻ってくださいね」

P「はは ありがとな」

P「…これから二人で頑張っていこうな」

響子「はいっ」

それからは怒涛の毎日でした。東京へ行くための荷造りをしたり、高校へ転入届を提出しにいったりしました。
先生は驚いていたけど笑って応援してくれました。
どこから話が漏れたのかクラスのみんなにも私がアイドルになるって知られていたのはびっくりしたなあ。

出発前日には友ちゃんを筆頭にみんながお別れ会を開いてくれて、最後にはたくさんの応援メッセージが書かれた色紙を渡されました。
みんなの暖かい気持ちに触れて思わず泣いてしまったのは内緒ですっ。
夜には家族が私のためにパーティーを開いてくれました。
お母さんと次女ちゃんが用意してくれたいつもよりちょっと豪華な食卓、お父さんの激励の言葉、弟妹たちからのプレゼント、また泣いてしまいました。今日の私は泣き虫さんですね!
そして、遂に出発の日が訪れました…

~出発日 空港~
父「忘れ物はないか?ハンカチは持ったか?チケットは?あとそれから…」

お父さん、私より慌てて…家族の大黒柱なんだから落ち着いて!

長男「俺も母さんの手伝いするからさ…その…姉ちゃんもがんばれよ」

うんっ 長男としてみんなを支えてあげてね!

次女「家のことは私達に任せて、お姉ちゃんはアイドル頑張ってね!お姉ちゃんに負けないくらい料理上手になってみせるから!」

ふふっ わたしだって負けないからね

次男「姉ちゃんファイト―!!」

はいっ お姉ちゃん頑張っちゃいますよー

三女「お姉ちゃん!私が教えた魅惑テクニックでプロデューサーさんを落としてね!」

プ、プロデューサーさんとはそういう関係じゃありません!!…ありませんったら!

母「響子、私達はずっとあなたの味方よ。でもたまには声を聴かせてね。約束よ?」

お母さん…ありがとう!絶対に電話にするよ。約束!

響子「みんな見送りしてくれてありがとう!私、行ってくるよ!」

五十嵐響子。アイドル目指して頑張りますっ!!

~346プロ 第1芸能課~
P「いよいよ今日かあ」

鳥取を出発し、急いで東京に戻った僕は事務所で待っていた社長に五十嵐さんをスカウトしたことを伝えた。
期限ギリギリだったのにも関わらず、社長は笑顔で僕を出迎えてくれた。
君なら必ず成し遂げてみせると信じていたと言われた時には感動して思わず泣きそうになった。
シンデレラプロジェクトに参加してスカウトをしに行った他の第1芸能課のプロデューサー達も無事帰ってきたそうだ。
それから数日、五十嵐さんが正式にプロダクションに所属するための準備をしていた。
そして遂に今日は五十嵐さんが東京に来る日だ。

ちひろ「たしか五十嵐響子ちゃんでしたよね。プロデューサーさんがスカウトした子の名前。なんでも鳥取まで行ってスカウトしてきたとか」

蛍光グリーンの事務服を着たこの女性は俺が346プロに入社した時からアシスタントとして支え続けてくれている千川ちひろさんだ。とても優しく、頼りがいのある人だ。

P「はい。明るくて家族思いな素敵な女の子ですよ。なかなかスカウトが上手くいかなくて落ち込んでいたんですけど、最後の最後で彼女に出会うことができましたから…それだけでもうあちこちを歩き回ったかいがあったというものですよ」

ちひろ「でもプロデューサーさんにそこまで想われているなんて、ちょっと妬けますね」クスッ

P「ち、ちひろさん!からかわないでくださいよ~」

ちひろ「ふふっ、ごめんなさい。プロデューサーさんをからかうと面白くて」

ちひろ「今日は響子ちゃんに東京を案内する予定でしたね。」

P「ええ、まず女子寮に手荷物を置いてからですけど色々見て回ろうと考えています」

ちひろ「遠く離れたところから都会に来て心細いでしょうからPさんが責任をもってしっかりエスコートしてあげてくださいね」

P「はいっ!」

ちひろ「たしか響子ちゃんの乗った飛行機はあと1時間後に東京に到着でしたね」

P「そうですね。道が混雑して遅れるのは困りますし、そろそろ空港に行こうと思います」ガタッ

ちひろ「それがいいと思いますよ。事故に合わないよう気を付けて運転してくださいね」

P「ありがとうございます。それじゃあ行ってきます!」ガチャ

ちひろ「はい、いってらっしゃい」

ちひろ「…いつも頑張っているなあPさん」

社長「彼がいなくなって寂しいかい?」

ちひろ「少しだけですけd って社長!何言っているんですか!!」

社長「いやいや、そんな取り残された子犬みたいな顔しているのを見るとつい」

社長「愛しの彼が他の女性とデート…私のアプローチには見向きもしないのに!みたいな」

ちひろ「プ、プロデューサーさんさんとはそういう関係じゃありません!私はアシスタントです!ア・シ・ス・タ・ン・ト!」ぷんすか

社長「はっはっは すまんすまん」すたすた

ちひろ「…」

ちひろ「鈍感なプロデューサーが気づくわけないじゃないですか」ボソッ

~空港~
響子「うわぁ、人がたくさん!」

初めての飛行機にわくわくしながら搭乗して1時間ちょっと、遂に東京に着きました!
普段見上げていた空に浮かんでいた雲の上を飛んできたと思うと何だか不思議な気分になります。

響子「ええっと プロデューサーさんとの待ち合わせ場所はっと…」

P「お~い、五十嵐さ~ん」ぶんぶん

響子「あ!プロデューサーさん!」タッタッ

P「久しぶり。ってまだ1週間しかたってないか」タハハ

響子「1週間もですよ!毎日どきどきわくわくして中々眠れなかったんですから。」オヒサシブリデス!

P「ははは アイドルを始めればそれ以上のワクワクが待ってるさ」

P「こんなところで立ち話するのもなんだし、早速移動しようか。今日はいろいろ案内したいところがあるんだ」

響子「おお~楽しみです♪早く行きましょうっ」

~車の中~
響子「最初はどこから行く予定なんですか?プロデューサーさん」

P「まずこれから住むことになる女子寮に向かうよ。引っ越し作業はもう終わっているらしいからとりあえず手荷物だけを置きにね」

響子「なるほど~」

P「今日1日、結構忙しいけど大丈夫か?」

響子「大丈夫ですよっ 伊達に一家のお姉ちゃんしていたわけじゃありませんから!」

P「ははは 頼もしいな」

~女子寮前~
P「ここが女子寮だよ」

響子「おお~綺麗な建物ですね」

P「シンデレラプロジェクトのために新築された寮だからな。出来立てホヤホヤってやつさ」

響子「ということはアイドルの先輩たちも住んでいるんですよね」

P「入居人はまだ少ないけどね」

響子「な、なんだか緊張してきました」

P「みんないい子達だから大丈夫だよ。きっと歓迎してくれる。さ、行こうか」

響子「は、はいっ」

~女子寮~
??「あっ こんにちは!Pさん」

P「こんにちは、相葉さん。今日も元気そうだな。」

花のような笑顔で俺たちを迎えてくれたのは346プロ所属の新人アイドル、相葉夕美だ。
彼女は花が大好きな18歳の女の子で同僚のプロデューサーが公園でスカウトしてきたらしい。部屋の模様替えを一新したいという理由で先日この女子寮に引っ越してきたそうだ。

夕美「え~と、あなたは…あっ!もしかして今日女子寮に来る予定の新しいアイドルの子?」

響子「はっ、はじめまして!今日からこの女子寮でお世話になる五十嵐響子ですっ。しゅ、趣味は家事全般です!よろしくお願いしますっ」

夕美「うんっ、はじめまして!私の名前は相葉夕美だよ。趣味はガーデニングかなっ。これからよろしくね!」

響子「はいっ 夕美先輩!」

夕美「夕美でいいよっ。でもうれしいな。私もまだアイドルになったばかりだから右も左もわからなくて…えへへ仲良くしてね」

響子「こちらこそ!」

二人とも仲良くなれそうだな。よかったよかった。

P「玄関口にいたってことはもしかして出かけるところだったのか?」

夕美「うんっ少し買い出しに行こうと思ってたんだ~ ね、志希ちゃん♪…あれっ、いない!?さっきまでいたのに!」

P「一ノ瀬さん…また失踪したのか…買い出しって今晩の“アレ”のだよな?」

夕美「うん…でも平気だよっ。少し足りなかったものを買いに行くだけだから!」

P「そうか…悪いな、任せちゃって」

夕美「全然大丈夫だよ~みんな今日を楽しみにしていたんだから!」

P「ああ、ありがとう。一ノ瀬さんを見かけたら相葉さんは買い物に行ったって伝えておくよ」

夕美「よろしくね。それじゃあ響子ちゃん、また後でっ」ぱたぱた

響子「はいっ いってらっしゃい!」

??「」コソコソ

響子「優しそうな人だったなあ… ??「ツンツン♪」へ?」クルッ

??「ばあっ!」ガバッ

響子「きゃあ!」

??「クンカクンカ…う~ん女の子のいい匂い♪」

響子「え?え?」あせあせ

P「一ノ瀬さん!?いつからそこに!?」

響子に抱き着いてクンカクンカしているのは同じく346プロ所属のアイドル、一ノ瀬志希だ。
彼女も相葉さんと同じ18歳の女の子でまた別の同僚のプロデューサーが街でスカウトしたそうだ。(というか勝手に付いてきていたらしい)
失踪癖があるらしく、あいつもよくぼやいていたっけ…

志希「う~ん10分くらい前からかな~」パッ

P「ずっと隠れていたのか…」

志希「どうも~ 一ノ瀬志希だよー。趣味は観察・アヤシイ実験かなあ~。よろしくね~♪」

響子「ええと、私の名前は五十嵐響子ですっ。趣味は家事全般です!よろしくお願いします!」

志希「うんうん、知ってる~ 鳥取出身なんだよね~」

P「あれ、なんで知ってるんだ?」

志希「そりゃあしきちゃんはギフテッドだからね~」

P「はぁ…相葉さんが君のこと、探していたぞ」

志希「ダイジョブ、ダイジョブ~今から追いかけるからさー」

P「場所はわかるのか?」

志希「モチロン!わかるよー!夕美ちゃんのライラックな残り香を辿っていけばあっという間さ~」

響子「おお~アイドルってすごい…」

志希「にゃはは~♪それほどでもあるかな~」

P「アイドルは関係ないと思うぞ…」

志希「いいスメルもいっぱい嗅げたしそろそろ行くね~二人とも、バ~イ♪」とことこ

響子「ま、またねー!」

響子「志希ちゃん…かあ 面白い人ですねっ」

P「ホント、退屈しないな。此処は…」

P「ここが五十嵐さんの部屋だよ」

響子「うわー!」

志希ちゃんと別れた後、プロデューサーさんに部屋まで案内してもらいました。
一人暮らしをするには十分な広さで、日当たりもよく、居心地のよさそうな部屋でした。
ベランダがあるので洗濯物もしっかり干せそうです。キッチンも広めなスペースに設計されているのでお料理もはかどりそう

響子「素敵な場所ですね!」

P「周囲のインフラも充実してるし、事務所も近い。結構いい立地していると思うよ。」

手荷物として持ってきたキャリーバックを置き、中から必要最低限の物だけを取り出して準備完了!

P「それじゃあ行こうか」

響子「行きましょうっ」


それから私とプロデューサーは色々なところを見て回りました。
生活用品を揃えるのに便利なスーパーや転入先の学校、バスや電車の乗り場などなど。
街には鳥取とは比較にならないほど多くの建物が立ち並び、たくさんの人が行き交っていて自分が大都会にやって来たことを強く実感できました。
そして…

~346プロ前~
P「さあ、着いた。ここが346プロだよ」

響子「大きな建物ですね…」

P「中はいろいろな部署に分かれていてね、僕と五十嵐さんはアイドル部門の第1芸能課所属になるよ。」

響子「第1芸能課…ですか?」

P「ああ、アイドル部門には複数の課があってね、相葉さんや一ノ瀬さんも第1芸能課所属だよ。だから今後、事務所で顔を合わせることも多いだろうね」

響子「そうだったんですか」

P「新設されたばかりだからどの課もまだ所属アイドルは少ないけどね」

P「さ、行こうか」

響子「よ、よ~し。気合入れていきますよ~」ブルブル

P「緊張しないでっていうのは無理な話かもしれないけど、心配はしなくていいからね。社長もアシスタントさんも優しいひとだから。それに…」

響子「それに…?」

P「言ったろ?僕がずっと支えるって。二人一緒なら恐いものなんてないさ!」

響子「! はいっ♪」

~346プロ 第1芸能課~
P「ただいま戻りました!」

響子「し、失礼しますっ」

ちひろ「おかえりなさい、プロデューサーさん。それと、響子ちゃんですね。ようこそ、第1芸能課へ!」

社長「彼女が響子くんか…ほうほう」そわそわ

響子「五十嵐響子です!今日から346プロダクションでお世話になりますっよろしくお願いします♪」

ちひろ「こちらこそ。よろしくお願いしますね」

社長「明るくて結構結構!よくやったぞ!Pくんっ」そわそわ

ちひろ「社長、少し落ち着いてください。響子ちゃんやプロデューサーさんもお疲れでしょう、ソファにでも座ってくつろいでいてください。今お茶を出しますから。」

P「ありがとうございます。ちひろさん」

響子「お気遣いありがとうございますっ。」



社長「さて、そろそろ落ち着いた頃だろう。始めようか」

ちひろさんに出してもらったお茶を飲み終えた私とプロデューサーさんはソファに座り、テーブルを挟んで同じくソファに座っている社長と向き合っていました。
社長は私の目をしっかりと見据え、さっきまでの温厚さは消え、威厳のある声で語り始めました。

社長「世はまさにアイドル時代。あらゆるプロダクションからアイドルが生まれてきた。そんな時代の流れに我が346プロも遅れてはならない。そこで私は新たにアイドル部門を作り、シンデレラプロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトによって、新たな時代を象徴するシンデレラを誕生させる!これが私の願い…いや、民衆の望みなのだ」

社長「トップアイドルへの道は楽しいことばかりではない…辛く、厳しいこともあるだろう。五十嵐響子くん、君にはその“覚悟”があるかい?」

響子「あります」

社長「ほう、即答かね。その心は?」

響子「私は…家事が少し上手いだけの普通の女の子です。今でも自分がスカウトされたのが信じられないくらいです」

社長「…」

響子「でも私は独りじゃありません。応援してくれる家族や友達、そしてなりより…こんな私をずっと支えてくれるって約束してくれた“人”がいるんです」

P(響子…)

ちひろ(…)

響子「だから私っ、みんなに笑顔を届ける素敵なアイドルになりたいです!」

くん、素晴らしい子を見つけたな」

P「社長…!」

社長「響子くんっ!!!」

響子「はいっ!」

社長「本日より君は我が346プロダクションの一員だ!これからよろしく頼むよ~」

響子「あ、ありがとうございます!」

社長「さあ、新たなアイドルの誕生だっ!!」

346プロのアイドルとして正式に所属となった私は今、プロデューサーさんに女子寮まで送ってもらっていました。

~車の中~
P「よく頑張ったな。いろいろあって疲れただろう」

響子「はい、もうおなかペコペコですよ~」

P「はは まあこれで五十嵐さんは正式にアイドルとして認められたってわけだ」

響子「アイドルかあ」

P「まだ実感はないか?」

響子「はい…なんだかまだ夢の中でフワフワしているみたいで」

P「まあアイドルとしての実感はおのずと湧いてくるものさ。まだ始まったばかりだしね」

響子「そうなんでしょうか?」

P「ああ、っと女子寮に着いたぞ」

~女子寮前~
響子「今日は本当にありがとうございました!」

P「こちらこそ。響子も1日よく頑張ったな」

響子「プロデューサーさんももうお帰りですか?」

P「いや、もう少しだけ事務所に用があってな。それが終わってからかな」

響子「そうなんですか…無理しないでくださいね」

P「大丈夫大丈夫、響子も体に気をつけるんだよ。明日から忙しくなるぞ~」

P「今日はお疲れ様。みんなが寮で待ってるよ」

響子「? お疲れさまでした!」

~女子寮~
夕美「あっ響子ちゃん!おかえりっ」

志希「にゃはは~おつかれ~」

響子「夕美さんに志希ちゃん!?これは!」

プロデューサーさんと別れ、女子寮に入ると夕美さんと志希ちゃんがたくさんのごちそうやデザートを用意して待ってくれていた。

夕美「ふふっ、驚いたかな?今夜は響子ちゃん歓迎パーティーだよっ」

志希「うんうん♪新しいオトモダチ誕生の記念日だからねー。しきちゃんも準備頑張っちゃったゾ~」

響子「二人とも…ありがとう!」

夕美「えへへっ、どういたしまして!結構上手くできたと思うから食べて食べて!」

志希「夕美ちゃん夕美ちゃん もう食べていいよねいいよね!もうおなかがペコペコだよ~」そわそわそわ

夕美「ちゃんと手を洗ってからだよ」

志希「やったぜ。」

それから、3人で歓迎パーティーを楽しみました。2人が用意してくれたごちそうはとても美味しかったです!
夕美ちゃんいわく、胃袋を掴むことこそ勝利の近道だそうです。私も負けていられませんねっ。
プロデューサーさんも一緒に食べられたらよかったのになあ

~346プロ 第1芸能課~
P「ふぃ~こんなものかな」

仕事が一区切りつき、パソコンのキーボードから手を放す。五十嵐さんを寮まで送ってから事務所に戻り、3時間ほど経過していた。

夕美P「よっ、終わったようだな」

P「おう、そっちもお疲れ」

夕美P「たしか今日新しく入ってきた子…響子ちゃんだったか。寮で歓迎会しているらしいじゃないか。夕美ちゃんに聞いたぞ~Pがしようって提案したんだろ?」

P「ああ、遠いところから単身で東京まで来て心細いと思ってな。相葉さんと一ノ瀬さんならきっとすぐ仲良くなれそうだろ?」

夕美P「せっかくならお前も参加すればよかったのに。今日の分のノルマ、もう終わらせていたんだろう?」

P「他のプロデューサーやちひろさんが頑張っているのに、俺だけが仕事しないわけにはいかないよ」

夕美P「まったく…まじめなやつだなあ。響子ちゃんってどんな子なんだ?」

P「明るくて、優しい女の子さ。表情の一つ一つがとっても素敵なんだ。ステージの上に立つのが今から楽しみだよ」

夕美P「ぞっこんだなあ」

P「そっちも人のこと言えないだろう」

夕美P「勿論!アイドルのプロデューサーっていうのは自分の担当が世界で一番かわいいって思っているものさ。担当が成長していく姿に目が離せない」

夕美P「お前もそうだろ?志希P」

志希P「俺の場合、別の意味で目が離せないよ…相手側の顔合わせの時間3分前に失踪した時はどうしようと思ったことか」きりきり

夕美P「ええっと…なんかすまん」

P「大変そうだな…」

夕美P「ま、まあ!何はともあれ、これから忙しくなるぞ。今はひとりだけど、俺たちの担当アイドルも増えていくだろうからな」

志希P「別の部署から新しい人員が転属してくるって話もあるしな」

P「そうだったのか?知らなかった…」

志希P「ふっふっふっ 情報を制するものこそ、戦いを制するものさ」メガネクイッ

夕美P「いつも志希ちゃんに振り回されているやつがよく言うぜ~」

志希P「なんだとー!!」

ギャーギャー ワーワー 

ちひろ「夕美Pさんに志希Pさん!静かにしてください、何時だと思っているんですか!!」

夕美P、志希P「「すいませんでした」」

P「ははは…」

P(そうだ…五十嵐さんだけじゃなくて、僕にとってもここからがスタートなんだ)

P「頑張らないとな…」ボソッ

私が東京に来た次の日からアイドル候補生として、目まぐるしく日々が過ぎていきました。
新しい高校での学校生活、宣材写真の撮影、トレーナーさんによるボーカル・ビジュアル・ダンスレッスン、お世話になる人たちへの挨拶回りなどなど。
とっても忙しくて大変だったけど充実した毎日でした。
そして、遂に私のアイドルとしてのデビューの日が訪れました。

~デビュー当日 舞台袖~
響子「もうすぐライブ…集中集中…」そわそわ そわそわ

P「お~い、五十嵐さん。調子はどうだー」ガチャ

響子「ぷ、プロデューサーさん」そわそわそわそわ

P「うおっ、五十嵐さん。落ち着いて」

響子「す、すいません。今日の為に今までいっぱい頑張ってきましたけど…私にとって、初めてのライブだから…本当に観に来てくれる方、いるんでしょうか」

P「五十嵐さん…」

響子「ううん、お客さんで席が埋まったとして、私、みなさんを満足させることができるんでしょうか?」

響子「たくさんの人が会場の準備をしてくれて、プロデューサーさんには素敵な歌や衣装まで用意してもらったのに、もし、うまくできなかったら、どうしようって、不安で不安でたまらなくなってしまって…」ガタガタ

P「…」

P「実は、五十嵐さんに渡したいものがあるんだ」

響子「これは…手紙?」

手紙を開くとそこには短くもたくさんの想いが込められた家族からのメッセージが綴られていました。

(遂にアイドルとしてデビューするそうじゃないか、でも肩に力をいれたらだめだぞ。一生懸命歌えばきっと上手くいくさ by父)

(響子姉ちゃんもうデビューするんだって!?凄いな!頑張れよ! by長男)

(お姉ちゃんなら絶対成功するよ。だって世界で一番かわいいお姉ちゃんだもん! 次女より)

(デビューおめでとー!!!わたし、学校の友達に自慢しちゃった!!目指せ最強のお姉ちゃんアイドルだよっ 三女より)

(デビューすげーな!ねえちゃん CDでたらいっぱいきくよ by次男)

(デビューおめでとう。今からライブ本番かしら。心配しなくても大丈夫、貴方は私の自慢の娘よ。家族みんなが貴方を応援してるわ。ママより)

響子「み、みんな…ぐすっ」

P「遠く離れていても、ちゃんと五十嵐さんのことを想っている人がいるんだ。五十嵐さんなら絶対大丈夫さ。それに…」スッ

響子「ぷ、プロデューサーさん///?」

P「僕がずっとそばで見てるよ。だから五十嵐さんはひとりじゃない」なでなで

響子「!」ドキッ

P「そろそろ時間だな…いっておいで五十嵐さん」スッ

響子「…響子」

P「へ?」

響子「響子って呼んでください。そうしたら、きっと頑張れると思うんです」

P「え、え~と」あせあせ

響子「ダメ…ですか?」

P「うっ、わ、わかったよ」ドキッ

P「いっておいで、き、響子」

響子「はいっ!!行ってきますっ、プロデューサーさん!!!」ダッ

P「…あの上目遣いは反則だろぉ」ドキドキ

響子が出ていった途端、会場が割れんばかりの歓声が舞台袖まで届いてきた。衣装に身を包み、最高の笑顔で誰よりもステージの上で輝く姿はまさしく…シンデレラのようだった

響子「会場のみなさ~ん!はじめましてっ、五十嵐響子です!今日は私のデビューライブに来てくれてありがとうございます!!一生懸命歌いますので、応援よろしくお願いしまーす!!!」

終わり

以上で終わりです。今まで読み専だったので、自分でssを書くのは新鮮で楽しかったです。ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございました!

69の一行目の文は

社長「Pくん、素晴らしい子を見つけたな」

です。投稿ミスをしてしまい申し訳ありませんでした。

次はアホ毛がかわいいあの子をメインにしたSSを書いてみたいです。もし見かけた時はよろしくお願いします!

乙がんばれ

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