ナメクジ「キミは一生砂糖水を売って過ごすのかね?」 (5)

カブトムシ「うるせーな、ナメクジの分際で!」

ナメクジ「なぜ、そんなくだらん砂糖水に固執する?」

カブトムシ「樹液を分けてやれば、みんながオレ様に感謝する! 敬うようになる! 色んな場面で融通が利くのよ!」

ナメクジ「マウンティングのためか……ますますもってくだらん。私の新事業の方が遥かに面白い」

カブトムシ「ナメクジ如きに何ができるんだよ」

ナメクジ「私の友人にサザエがいてね。今も文通をしたりするのだが、彼から提案されたのだよ」

ナメクジ「森の樹液しか知らない昆虫に、海水の塩辛さを教えたいと……」

カブトムシ「海水だってぇ? なんだそりゃ」

ナメクジ「フッ……やはり食いついたか……。キミには昆虫達に集まってもらうよう、呼びかけてほしい。営業のプロフェッショナル・カブトムシ君……」

カブトムシ「面倒くせぇが、コイツに賭けてみっか……」

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ナメクジ「ぐぎゃあああああああッ!!!!」

ナメクジ「い、い、いだいいいいいぎいいいいいッ!!!」

ナメクジ「あッハッ! ゲェエエェ……アァアアアアァァァアア!!!! バババッ!!!」

サザエ「あれ~おかしいなぁ……なんで……」

カブトムシ「結局こうなりやがった……だからナメクジは嫌いなんだ。身の丈に合わないことを考えなしに始めやがる」

カブトムシ「それも、これだけの人を巻き込んで!」

ナメクジ「ヒューッ……ヒューッ……」

ゲジゲジ「グロッ! 身体溶けてるし……」

ダンゴムシ「この殿方は、一体何がしたかったのですか?」

クモ「塩水の販売促進活動らしいけど……これじゃ塩水なんか、到底売れるはずないの……」

ウデムシ「ボクらは大丈夫でも、マイナスイメージついちゃったからね。立派なボツ案だよ。やっぱキミら昆虫には、樹液が合ってる」

カブトムシ「そうか……やっぱそうだよな!」

ナメクジ「う、うぐぅ……」

孔子「……というわけで、あなたはナメクジのようになってはいけませんよ。それをしたらどうなるか、結果をよく考えてから行動しなさい。分かりましたね?」

青年「なるほど……発言には責任が伴うのですね」

子貢「以上で、孔子先生の体験授業を終了致します」

青年「徳の高い授業でした……しかし未熟者の私には理解できませんでした。失礼します……」

孔子「待ちなさい、甘露屋」

青年「は、はい」

孔子「あなたは、一生砂糖水を売って過ごすつもりですか?」

青年「え……」

孔子「私と一緒に、世界を変えてみないか?」

鈍色の曇天が青く晴れ渡り、一陣の涼風が吹き抜けた。

青年「先生……!」

彼の名は孟軻。後に孟子として性善説を唱える男である!

完!

乙でした
てっきり「ほらくま学校を卒業した三人」みたいな話かと

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