男「今の人って、みーんないつでもどこでもスマホいじってるよな」
友人「まぁな」
男「俺だって、家でも外でも、下手すりゃ寝ながらいじってることもあるもん」
友人「風呂場でいじる奴すらいるらしいぜ」
男「マジかー」
友人「マジマジ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1511789018
男「よし、決めた!」
友人「何を?」
男「俺、一日だけ全くスマホにさわらない生活をしてみようと思う!」
友人「一日だけかよ」
男「目標に無理があると続かないからな」
友人「あ~……でもたしかに、一日だけでもかなりキツイかも」
男「明日は休日だし、さっそくやってみるよ」
友人「頑張れよ」
~ 自宅 ~
男「……ん」ムクッ
男(やべえ、ずいぶん朝寝坊しちゃったな)
男(あ、そうか……スマホのアラーム切ってたからな)
男「とりあえず、どこか出かけるか」
男(今日はスマホ使わないって決めたけど、万が一の時のために携帯だけはするようにしよう)
~ 駅 ~
男「たまにはどこか、めったに行かない駅に行ってみるか」
男(えぇ~と、時刻表をスマホで調べ……)スッ
男(って危ない危ない! いきなり禁を破るとこだった!)
男「おー、着いた着いた」
男「ちょうど昼飯時だし、どこか入ろうかな」
男(ハズレを引くのは勘弁だから、さっそく口コミサイトを……)スッ
男(ってまたかよぉ!)
男(スマホには頼らず、自分の勘だけで入る店を決めるんだ!)
~ ラーメン屋 ~
男「味噌ラーメン」
店員「あいよー!」
男「……」
男「……」
男「……」ソワソワ
男(ヒマだな……)
男(いつもなら待ってる間、ずっとスマホいじってるから退屈しないけど)
男(スマホを使わないとこうも時間を持て余すとは……)
男「あぁ~、うまかった」スタスタ
通行人A「おい、このニュース見たかよ! 俳優の○○が書類送検だって!」
通行人B「マジで?」
男(おおっ、気になるニュースだ!)
男(うう……ニュースサイトを見たい!)
男(掲示板でこのニュースがどう語られてるか知りたい……!)
男(ああ~……スマホいじりたい)
男(あのサイト見たい……あの情報検索したい……暇潰しにゲームしたい……)
インターネット… 検索機能… 動画… 画像… 音楽… 地図… ゲーム…
LINE… 電子書籍… カメラ… 辞書… 天気… 買い物… 財布代わり…
男(こうして考えると、スマホは誘惑のかたまりだな!)
~ 自宅 ~
男「ふぅ~……」
男(どうにか一日スマホを使わずに済んだぞ)
男(ところで今何時だ? スマホで……)
男「あぶねええええええええ! 最後の最後でやっちまうとこだった!」
――
――――
友人「一日スマホなし生活はどうだった?」
男「予想以上にキツかった」
男「普段、自分がいかにスマホに頼り切ってるかってのがよく分かったよ」
男「ちょっとしたことでいじりたくなるもん」
友人「だよな、よくやり遂げたもんだよ」
男「だからこれからも、連絡とかを除いてなるべくスマホを使わないようにするよ」
男「多分すぐ挫折するだろうけど」
友人「そうやって意識するだけでも違うだろ。偉いよ、お前は」
一週間後――
友人「どうだ?」
男「まだ続いてるよ。本当に必要な連絡の時以外は、スマホ使わなくなった」
友人「なにか効果はあったか?」
男「まず……自分に自信がついたな。スマホに頼らなくなったから」
男「あと、スマホやらないと当然目も疲れないし、やることないから夜更かしもしなくなったな」
友人「偉いなぁ、俺もちょっとやってみたけど半日でギブだった」
~ 自宅 ~
男(スマホは使わないから、インターネットする時はパソコンで……)カタカタ
男「ってこれじゃ意味ないじゃねえかぁ!」
男「よし、決めた! パソコンも使うのやめよう!」
男「あと……元々そこまで見てなかったけど、テレビもやめよう」
男「情報はなるべく新聞で仕入れるんだ!」
友人「おーっす」
男「おう」
友人「なんかだいぶ健康的になったな」
男「ああ、スマホ、パソコン、テレビをやめたからな」
友人「パソコンやテレビまでやめたのか!」
男「おかげで目がすっきりして、前みたいにしょっちゅう目薬さすこともなくなったよ」
友人「ふぅ~、最近はすっかり寒くなったな~」
男「ああ、家じゃいつも毛布にくるまってるよ」
友人「え? お前んち、たしかストーブあっただろ?」
男「ああ、今はもう冷暖房に頼るのもやめたんだ」
友人「へ? どうして?」
男「なんていうか、ああいうのはズルなような気がしてさ。やっぱり気候をそのまま受け入れないと」
友人「へ、へえ~……」
友人(あいつんちの近く通りがかったけど、電気ついてないな……留守か)
ガチャッ
男「あれ、奇遇だな」
友人「いたのか! 電気ついてないから、てっきり留守かと……」
男「電気を使うのをやめたんだ」
友人「電気を!?」
男「おかげで日が沈んだら寝るしかないから、すっかり健康さ!」
友人「久しぶり~……ってなんだその服!?」
男「俺手作りの服さ。似合うか?」
友人「あ、ああ」
友人(布と葉っぱを組み合わせた、いかにも手作りって感じの服だ……)
男「店で衣服を買うって、なんか違う気がしてな。服は自分で作ることにしたんだ」
男「よかったら、お前の分も作ってやろうか?」
友人「いやいや! 俺は店の服でいいや! ハ、ハハハ……」
男「そうか」
男「お、これは食える雑草だ!」ブチブチッ
友人「お前なにしてんだ……!?」
男「飲食店に入ったり、店で売ってるものを食べるのはやめにしたんだ」
男「これからは食料は自然から調達!」ムシャムシャ
友人「いや、いくら食える雑草っていっても、生でいくのかよ……せめて煮るとか」
男「火は怖いからな!」
男「うん、うまい!」
友人(あいつがアパートから消えたのは、それからすぐのことだった)
友人(もちろん、いくら電話しても繋がらない)
友人(きっとあいつは自分の住居も、現代的な建物には頼らないことにしたのだろう)
友人(一体どこにいっちまったのやら……)
――――――
――――
――
友人(それからしばらくして――)
友人(スマホをいじってたら、こんなニュース動画を目の当たりにした)
『猿とも人ともつかない全裸の生物が、山中で飛びまわってる姿が目撃され……』
『ウホホッ! ウホホホッ! ウーホーッ!』
友人(あいつ、ついに野生化したのか……)
友人(だけど、動画に登場するあいつの顔は、どこか幸せそうで羨ましかった)
― 終 ―
人類のあるべき姿に戻れたようだな
おつおつ
断捨離…最後は理性も捨てて…乙
このスレタイからこんな結末になるとは思わなかったw
乙
草食べてて草
なぜ先祖返り
よかった
雑草食べるまではまだ人間性を保っているが火を怖がってる点から野生化の片鱗が表れて居ることが分かる
乙
面白かった
乙
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