たこ「ふふんふんふん、俺は偉いぞ。だから国道の真ん中を堂々と歩くぞ」

人間「邪魔なたこだな。でも仕方ないか。徐行するしか」

たこ「うむ。人間は俺の為に尽くせよ」

このたこっ

・　・　・　・　・

～民家～

たこ「おい人間、この家には宝石のひとつも無いのか！」

ｶﾞﾗｶﾞﾗ ｶﾞｼｬｰﾝ

女「お、おやめくだされ！」

娘「うわーん」

たこ「ちっ、下等生物が…興ざめしたわい。俺を不快にさせた罪…その娘に払ってもらおうか！」

ｼｭﾙﾙﾙ

娘「いやっ…たこさんの足が！？」

たこ「俺の足には吸盤がある…とっくにご存じなんだろう？」

娘「し、知らねぇ～！」

ｷﾞｭｯ

娘「ひぎぃ」

たこ「ゆっくり締め上げてやろう…なぁに、運が良ければ内蔵破裂で済むだろうさ」

ｷﾞｼｯｷﾞｼｯ

娘「ひ、ひぎぃ…」

女「お、おやめくだされ！」

たこ「止めぬ、止める理由が無い。下等な人間の言う事など…俺の耳には入らぬわ！」

娘（耳ってどこにあるねん）

たこ「おい貴様、何だその眼は…」

娘「！」

たこ「何だその眼は…何だその娘はと言っている！！」

ｷﾞｼｯ ﾁｭﾎﾟﾝﾁｭﾎﾟﾝ

娘「ひぎぃ…吸盤が…私の皮膚に…」

たこ「そぉい！」

ﾊﾞﾘﾊﾞﾘﾊﾞﾘ!

娘「ひぎぃ！」

女「きゅ、吸盤が皮膚ごと肉を！？」

やさしい…やさしい？

ﾌﾞｼｭｯ

娘「ち…血…」

ｶﾞｸｶﾞｸ

娘「いてえよ～！」

ﾌﾞﾜﾝ ﾌﾞﾜﾝ

娘「いてえよ～いてえよ～！！」

女「む、娘は…血を見ると理性を失うのよ！その姿！まさにハート様！」

娘「いてえよ～！！」

たこ「こ、こら暴れるな雑種！俺は…俺は高貴なたこなんだぞ！貴様ごときに…」

ﾌﾞﾁｨ

たこ「…あ？」

娘「いてえよ～！！」

ﾌﾞﾁﾌﾞﾁﾌﾞﾁｨ

たこ「ひぎぃやぁぁぁぁ！お、俺の足が引きちぎれ…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛！わああああ！」

娘「いてえよ～！！」

女「こ、このままで娘が暴れ続けたら…体力を使い果たし死んでしまうに違いない！」

ﾇｷﾞｯ

女「母である私が…救わねば！」

ﾁﾁ ﾌﾞﾙﾙﾝ

女「オラがやらなきゃ誰がやる！」

ﾌﾞﾙﾙﾝ ﾌﾞﾙﾙﾝ

たこ「な、なんだこの音…振動は…？」

女「ンフフフフ…これぞ巨乳真拳奥義…」

【ワールドエンド・パインド】

女「ですわよ」

たこ（語尾おかしい）

ﾌﾞﾙﾙﾝ ﾌﾞﾙﾙﾝ

女「ンフフフフ…この乳振動…右乳の振動を！左乳で！さらに増幅させる！」

ﾌﾞﾙﾙﾝ ﾌﾞﾙﾙﾝ

女「さらにそれを再び右乳で増幅！さらに左乳で増幅！」

ﾌﾞﾙﾙﾝ ﾌﾞﾙﾙﾝ

女「増幅！増幅！増幅ゥゥゥ！」

ﾌﾞﾙﾙﾝ ﾊﾞｯｼｬｧｧｧｧ!

たこ「大地が割れ…いや、これは…これは！まるでこれは！」

ﾊﾞｯｼｬｧｧｧｧ!

たこ「空間だ…空間が…割れている…」

女「空が割れる…炎が舞う…」
ﾊﾞｯｼｬｧｧｧｧ!

娘「！」

女「娘…私の愛しい娘…貴方を止めるには…もう、こうするしかないの…！」

ﾊﾞｯｼｬｧｧｧｧ!
ｽﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞ!

娘「ヒギィアアアアア！」

たこ「く、空間ごと娘を！？」

女「ごめんね娘…」

娘「ぐ、う…お、おかア…さン…」

たこ「正気に戻った…のか…？」

娘「さ、さすがお母さんの巨乳真拳…左が全身やられてしまったわ…」

たこ「…」

たこ（空間ごと体をえぐられたんだ…もはや、この人間は…）

娘「お母さん…ありがとう…私を止めてくれて…」

女「娘…」

娘「私…お母さんの子供でよかっ…ぐふっ…」

女「娘！」

娘「さよな…ぐふっ…」

女「娘！」

娘「…」

娘「ぐふっ…」

女「娘ー！」

ﾊﾞﾀﾘ

娘「…」

たこ（とうとう息絶えたか…）

ﾑｸｯ　ｷｮﾛｷｮﾛ

娘「…」

娘「ぐふっ…」

ﾊﾞﾀﾘ

たこ（死んだか？）

娘「…」

たこ（死んだな）

娘「…」

ﾑｸｯ　ｷｮﾛｷｮﾛ

娘「…」

娘「ぐふっ…」

この感じ……またお前か

ﾊﾞﾀﾘ

女「む、娘…」

ﾀﾞﾀﾞｯ

女「あぁ…わたすの可愛い娘…どうして…どうしてこんな事になった…どうして！どうして！」

ｷｯ

女「それもこれも！あんたみたいな軟体生物が来たから！」

たこ「おやおや…下等生物が何を言い出すかと思えば…そこのそれが死んだのは運命…俺が今日ここに来ようが来まいが死ぬ定めだったのだ…そこで転がっている！肉の塊はな！」

女「っ！」

ﾌﾟｯﾂﾝ

女「貴っっ様ぁぁぁぁぁ！」

ﾊﾞｼｭｩｩｩ!

女「許さない…貴様は私を！私の家族を！侮辱した！その報い…たこ焼きになって償ってもらう！」

ﾌﾞﾙﾙﾝ ﾌﾞﾙﾙﾝ

ﾌﾟｼｬｧｧｧ
ﾎﾞﾜｧｯ

たこ「！」

たこ「右乳から水…左乳から炎が…！？」

女「重なり…混ざって…そのまま…爆ぜよ！」

ｼﾞｭﾜｧｧｧｧｧ

たこ「水蒸気…しまっ…」

ﾊﾞｼｭｩｩｩ!

女「右乳から水…左乳から炎…それらがなんやかんやで水蒸気爆発を引き起こす！」

ﾆﾔﾘ

女「これが巨乳真拳究極奥義…」

【死に至る蒸気風呂（ﾍﾙ･ｻｳﾅ）】

ｼﾞｭﾜｧｧｧｧｧ…
ﾎｯｶｧ…

たこ「ぐぬっ…ああっ…」

女「ほぅら、ほどよい湯で加減…」

ﾃｸﾃｸ

女「どぉれ、お味を拝見…」

ﾌﾞﾁｨ

たこ「ひぎィ！」

女「あら痛かったかしら？包丁も無いので我慢してねぇ…さて」

ﾓｸﾞ ﾓﾁｭﾓﾁｭ

女「うふふ、いい塩加減ね」

【Ｅ・shiokagen】

たこ「げ、外道～！生きたまま足を引きちぎるなど！貴様ぁぁぁ！腐れ外道がぁぁぁ！」

女「外道…？それは貴方でしょう？私の可愛い娘を奪った…貴方でしょう…」

ﾌﾞﾁｨ ﾌﾞﾁｨ ﾌﾞﾁｨ

たこ「ひぎぎぎぎぎィ！」

女「うふふ、こぉんなに沢山…たこ焼きがいくつ出来るかしらね…」

たこ「えぇと、残りの足が６本…１本あたり10個のたこ焼きができるとして…」

ｺﾞｸﾘ

女「60…個…60個もの…たこ焼き…」

ｶﾞｸｶﾞｸ ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

女「60個のたこ焼きィィィ…！！？？」

ﾌﾞﾙﾙﾙ ﾁｮﾛ…

女「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛！」

ｼﾞｮﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞ!
ｼｯｷﾝ! ｼｯｷﾝ! ｼｯｷﾝ! ｼｯｷﾝ!

女「あっ…はぁぁぁぁん…」

ﾄﾛｫﾝ…

たこ「クックック…アンモニア…」

女「あ…ぅあ…」

たこ「途方もないたこ焼き量に意識が朦朧としたか…無理もない…常人には耐えられぬ情報量…故に発狂、失禁…そしてその先は…避けられぬ死…どう足掻いても死…無慈悲に死…」

たこ「人間にしてはよくやったが…所詮こやつも下等生物、か」

ｸﾈｸﾈ

たこ「せめてもの情けに…俺の足で穏やかに眠らせてやろう…」

ｼｭﾙﾙﾙ
ﾋﾟﾀﾘ

たこ「俺の足の吸盤は一度吸い付いたら離れない…そしてあらゆるものを吸い尽くす…その生命力すらも！」

ｷｭｷｭｷｭ
ｼｭﾎﾟｰｰｰﾝ

たこ「干し椎茸みたいにカラッカラになるまで生命力を吸い尽くしてやる！」

ｼｭﾎﾟｰｰｰﾝ

たこ「んほぉぉぉ！この人間しゅごぃぃぃ！しゅんごい生命力にゃのおるりゅう゛う゛う゛う゛う゛！」

ｼｭﾎﾟｰｰｰﾝ

たこ「たこの体…耐えきれないにょるぉぉぉぉぉぉらめぇぇぇぇぇぇ！」

ｼｭﾎﾟｰｰｰﾝ

たこ「こんな…こんな生命力…ココロオドっちゃうにょるぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉエンジョーイ！」

娘「！」

ﾑｸﾘ

女「！」

ﾊﾞｻｧｯ

娘「エンジョーイ！」

女「イッジョーイ！」

たこ「エンジョーイ！」

娘・女・たこ「「「イッジョーイ！」」」

・　・　・　・　・

こうして三人はココロオドり続けた。

やがて
女は寿命が尽き老衰で果てた。
娘は汗をかきすぎ脱水で果てた。
その亡骸を丁重に弔った、一匹の
一匹のやさしいたこが
いたと、いう…

【完】