Pにかまってほしい春香さんのSSです
春香「かまってください」P「やだ」春香「なんで」
春香「かまってください!」P「かまわん」春香「どっち!?」
のつづきですが、読まなくても大丈夫です……たぶん
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………………………… ◇ …………………………
春香(最近はお仕事がキツキツのみっちみちのぱっつんぱっつんで、事務所に寄る暇がなかったんですけど……)
春香(今日はとっても久しぶりの事務所です!)
春香『おはようございますっ!』
貴音『おや、春香。おはようございます』
春香『わあ貴音さん、お久しぶりです。貴音さんだけですか?』
貴音『ええ、そうです』
春香『そうですか……』
貴音『? ……ああ』
貴音『プロデューサーなら、先ほど美希を連れて現場に向かわれてしまいました。惜しかったですね、春香』
春香『え、ええっ!? わた、私はそんなつもりは……』
貴音『傷心の春香にはこちらを』
春香『いやあの……これ何ですか?』
貴音『あの方からのお土産です。何でも、ばにらくりーむのわっふるたい焼きというものらしいですが……一人一つです。春香もどうぞ』
春香『わーい、いただきます』
貴音『それと春香、このお土産の番を任せてもよろしいですか?』
春香『はい、任せてください。貴音さんもお仕事ですか?』
貴音『いえ、私は……おかわりを買いに出ようかと。お店の所在を教えて頂きましたので』
………………………… ◇ …………………………
春香「……」テクテク
………………………… ◇ …………………………
ガチャッ
春香『ごめん、お待たせ!』
真『春香、お疲れ』
美希『何かあったんでしょ? 収録大丈夫だった?』
春香『うん、機材トラブルだったんだけど、すぐ借りられたから……。今、どこまで?』
美希『Bパートの振りをやろうと思ってたところ』
真『ちょうど休憩しててさ』
春香『そうなの?』
美希『そうなの。ついさっきまでハニーが来てて、一緒にお喋りしてたの』
春香『えっ』
真『時間ができたからって……ほらこれ、差し入れ持ってきてくれたんだ』
美希『あとちょっと早かったら春香も会えたのにね』
春香『えー……』
真『春香も食べる? ゼリーのお菓子だよ』
春香『うん……』
………………………… ◇ …………………………
春香「……」テクテク
………………………… ◇ …………………………
春香『お疲れさまです』
小鳥『あら、春香ちゃん。お疲れさま。こんな遅くにどうしたの?』
春香『いえ、誰か残っているかなーって……』
小鳥『プロデューサーさんとか?』
春香『はい……えっ!? や、そのっ、プロ、別にプロデューサーさんだけじゃなくて』
小鳥『ふふっ。でも残念ね、プロデューサーさん、さっき美希ちゃんと帰ったばかりなのよ』
春香『あ……そうなんですか』
小鳥『何か用事だった? 渡したいものがあるなら、明日の朝でよければ、渡しておくけど』
春香『大丈夫です、ほんとに、誰でも、その……』
春香『小鳥さん、これ、差し入れです。よかったら』
小鳥『あら、私がもらっていいの? ありがとう、春香ちゃん』
春香『余ったら、冷蔵庫に入れておいてください』
小鳥『そうするわ』
春香『じゃあ、小鳥さん、遅くまでありがとうございます。お先に失礼しますね』
小鳥『ええ、気をつけて帰ってね』
春香『はい』
春香『……』
………………………… ◇ …………………………
春香「……」テクテク
春香「話したいなあ……」
春香「……」ガチャ
P「……」
春香「あっ!」
P「え?」
P「あ、春香、おかえり」
春香「はい! 現場帰りの天海春香です!」
P「そういう格好だな」
春香「えへへっ」
P「?」
春香「プロデューサーさんだぁ」
P「違うよ」
春香「えっ」
P「ウソだよ」
春香「なんでウソついたんですか」
P「春香の顔見たらつい。で、どうした?」
春香「何観てるんですか?」
P「これ? 美希のこの間のトークライブの映像」
春香「美希の?」
P「ああ。春香も見てみろ。頑張ってるぞー美希」
春香「……」
P「一緒にやった他社の子が新人さんでさ、緊張して若干たどたどしかったんだけど」
P「美希が上手くフォローしてあげてて、ちゃんと相手も立つように場が回って……いやあ、感心したよ」
P「ちょっと前までトークは綱渡りだったのに、もう貫禄ついてきたし。さすが美希って感じだな」
春香「……っ」
P「美希の話じゃ……、春香? 食い過ぎたリスみたいな顔してどうした」
春香「……私だって」
P「ん?」
春香「……」
P「……」
春香「……」
P「……」
春香「……なんでもありません」
P「そうか?」
春香「はい」
P「なんでもありませんって顔じゃないなあ」
春香「なんでもないですっ。プロデューサーさん」
P「フグ」
春香「フグでもないです! あの、アレ……今お願いしても、いいですか?」
P「一発芸? いいぞ」
春香「違います」
P「なんだ」
春香「やりたかったんですか?」
P「そんなに。でも、春香がアイドル芸人としての高みを目指して日々努力しているんだから、プロデューサーの俺も」
春香「ちょっと! 聞き捨てならない言葉が聞こえました!」
P「失礼しました。自分ごときが天海さんのプロデューサーを名乗るなんておこがましかったですよね」
春香「ち、違いますそこじゃないです!」
P「アイドル芸人、イヤだったか?」
春香「その質問が心外です」
P「春香ほどの人材は、そういないと思うけどなあ」
春香「普通のアイドルとしてだったら、嬉しかったです」
P「そんな感じそんな感じ」
春香「心にもなさそう……」
P「でもまあ実際、春香にはすごく魅力的なところがいっぱいあるよ」
春香「本当ですか? たとえば、ど、どんなところが……」
P「リアクション芸」
春香「……んんーっ!」
P「そういうところだよ」
春香「ふんだ! いいですよーだ、勝手に始めちゃいますから!」
春香「プロデューサーさん、かまっ」
P「いいよ」
春香「はやい!」
春香「あの、今さらですけど、美希の映像観てたんじゃ……?」
P「そうだけど」
春香「お仕事ですよね?」
P「いや、別に……時間潰しに観てたようなものだし、この映像リピートしてるから、もう5回は観たし」
春香「……そうですか」ムッスー
P「だからその顔何なんだって」
春香「……気にしないでください」
P「ハコフグ」
春香「違います」
P「ハルカフグ」
春香「聞いたことないです」
P「河豚」
春香「あっ悪口っぽい」
P「ハルカブタ」
春香「なんですかーそれ。余計なものつけないでくださーい」
P「ブタ」
春香「そっちじゃなくて!」
春香「それにプロデューサーさん、仮にも女の子に向かって、ブタはどうかと思います!」
P「仮じゃないだろ……ああそうだ春香、この前着てたイノシシの衣装、よく似合ってたぞ」
春香「どうして今言ったんですか!?」
P「で? 春香さんは何にむくれてるのかな」
春香「……」
P「……春香、ここ座って」
春香「小鳥さんの席ですよ」
P「今日は社長と一緒に外に出てるから大丈夫だ。はい、ハルカフグの由来は?」
春香「……」
春香「……プロデューサーさんが」
P「俺が?」
春香「最近、その……あ、プロデューサーさんは何にも悪くないんですけど」
P「……」
春香「……美希と、よく、あの」
P「うん」
春香「…………美希の話ばっかりするから……なんだかずるいなーって、思っちゃって」
P「……」
春香「……」
P「そんなこと、美希にも言われたな」
春香「え?」
P「春香の話ばっかりなのー、って、つい最近怒られたんだ」
春香「……」
P「亜美と真美と小鳥さんにも言われたよ。俺、そんなに春香の話してるつもりなかったんだけどな」
春香「……」
春香「……」
P「……」
春香「………………」
P「今度はなんだ」
春香「へっ?」
P「ナマケモノみたいな顔してたぞ」
春香「わ、私そんな顔してました?」
P「へろんへろん笑ってた」
春香「うぅ……う、ウソついてませんか?」
P「はあ? ウソじゃないぞ。だいたい、俺が春香にウソついたことがあるかって」
春香「ついさっきウソついた人が何か言ってる!」
春香「それに、エイプリルフールだって、3回も私にウソつきましたよね」
P「全部信じたよな」
春香「だって……」
P「『雪歩の掘った穴から埋蔵金が出てきた』」
春香「う」
P「『響がアミメキリンを飼い始めた』」
春香「……」
P「『貴音の髪は一定時間太陽の光を浴びると金色に変わる』……正直、バレバレのウソのつもりだったんだが」
春香「最初は私だって疑いました! でも、プロデューサーさんが言うことだから……そうなのかなって」
P「バカリボン」
春香「バカリボン!?」
P「春香は可愛いな」
春香「ごまかされませんよ!」
春香「そんなふうにひどいことばかり言ってると、いつか女の子に嫌われちゃいますよ」
P「そうか。それは困るな」
春香「そうです。だからその代わりに、もっといっぱい、いーっぱい、褒めてくださいね」
P「この前のイノシシの衣装」
春香「それはもういいですから!」
P「えー……あと何だ……?」
春香「私そんなに褒めるところないですか!?」
P「逆にどこ褒められたいんだ」
春香「へっ? あ、そ、そうですね……えと、あっ、今日の私の格好、どうですか?」
P「んー」
春香「……」
P「春香っぽい」
春香「……それ、褒めてます?」
P「……」
春香「何とか言ってくださいよぉ!」
P「褒めてる褒めてる」
春香「気のない返事!」
P「なあ。美希に、周りの子も引き立てながらMCやるコツを教えてやったらしいじゃないか。美希が感謝してたぞ」
春香「きゅっ、急に?」
P「えらいな春香」
春香「ぜ、全然そんな……」
P「褒めてやるから頭出せ」
春香「それはそこはかとなくイヤ~な予感が……」
P「ほれ、早く」
春香「はい」
P「よーしよしよし」グシャシャシャ!
春香「ああーっ予想通り!」
P「よし」ワシャッ
春香「何がよしなんですか! 私の髪の毛返してください!」
P「奪ってはねーよ」
春香「直して」
P「しょうがないな」
春香「しょうがないなはおかしいと思いません!?」
P「もっとこっち来い」
春香「ん……」
P「……」スッスッ
春香「……」
P「……」スーッ
春香「……プロデューサーさん」
P「うん?」
春香「櫛持ち歩いてるんですか?」
P「ああ……そうか、春香は知らないか。昔、うちが貧乏事務所だった頃の話なんだけどな?」
P「貧乏だから、仕事入ってもスタイリストを頼めないときが結構あったんだ」
P「そういうとき、アイドルたちに自分でやってもらうか、俺が代わりをすることもあって……その名残で、今でも持ってるのさ、なんとなく」
春香「……765プロに入るの、プロデューサーさんより私の方が先でしたよね」
P「……」スッスッ
春香「……」
P「春香って髪染めたいって思ったことあるのか」
春香「あっ、いま話逸らしました?」
P「逸らしてない」
春香「逸らしましたー。ウソつきー、プロデューサーさんの負けー」
P「……」グシャシャシャシャシャ!
春香「きゃー!」
夫婦
P「はい、直ったぞ」
春香「ありがとうございます」
P「どういたしまして」
春香「なんで私、お礼言ってるんだろう……」
P「春香さ」
春香「はい」
P「髪にアメついてたんだけど」
春香「またすぐそういう……リボンですよ」
P「ほら」
春香「……えっ? 本当、えっ!? ウソ、ホントだ!?」
P「その言い方面白いな」
春香「こ、これ、私についてたんですか!? えー……誰かのイタズラかなあ……」
P「まあウソだけどな。これそこのお菓子箱の」
春香「っ」ポコ!
P「いてっ」
春香「もうプロデューサーさんの言うことは信じません!」
P「マジか」
春香「信じてあげませんから」
P「マジか……」
春香「……」
P「可愛い」
春香「……」
P「可愛いぞ春香ー」
春香「……」
P「皆と一緒で楽しそうにしてる春香も、ステージの上でかっこよく決めてる春香も、なんか知らないけど拗ねてる春香も、とっても魅力的な女の子だぞー」
春香「っ」
P「でも残念だな、これだけ褒めても信じてもらえないのか。いやあ残念」
P「まだまだあるけどなー、派手にコケたあと恥ずかしそうに笑ってる春香も、やよいや真美にお姉さんしてる春香も」
春香「な、なーんて! やっぱり取り消します! プロデューサーさんの言うこと、全部信じます!」
P「……」
春香「どうして急に黙っちゃうんですか!?」
P「……」
春香「……」
P「……」
春香「プロデューサーさん……続けてくださいよう」
P「……」
春香「……」
P「……」
春香「さ、さっきみたいなこと、もっと言ってください……」
P「フグ」
春香「そこまで戻らなくていいのに!」
P「……」
春香「……」
P「……」
春香「……んー」
P「……」
春香「……んー!」ユサユサ
P「うるさいな……赤ん坊か」
春香「赤ちゃんでいいので、褒めてください」
P「さっき言ったの聞いてたろ」
春香「いいえ」
P「春香もウソつきの仲間入りだな」
春香「ドラマの台詞みたいですね」
P「わかったわかった、褒めてやるから頭出せ」
春香「どうせまた、ぐしゃぐしゃーってするんですよね」
P「しないよ」
春香「本当ですか? プロデューサーさん、私にすぐウソつくから怪しいなあ」
P「あっそう。ふーん。そういうこと言うんだ」
春香「誰の真似ですか?」
P「美希のライブ観よっと」
春香「ああっ! ごめんなさい! もっとかまってください!」
P「ついでに竜宮小町の新曲PVも見るかな。律子張り切ってたし、楽しみだ」
春香「プロデューサーさん~!」
P「ならば頭を出せ」
春香「くっ……」
春香「命じーられたのつーよーく、あー……そこに跪いて……」
P「……」
春香「……」
P「……」
春香「……あの」
P「春香、そのままで」
春香「はい」
P「実はこの前、舞台のスタッフさんと話す機会があって、そこで春香のこと色々聞いてきた。春香褒められてたぞ。現場を明るくしてくれる子だって」
春香「……」
P「先月末のインタビュー記事もよかった。共演者さんたちのことたくさん話してて、楽しそうで……春香らしいのが良いと思った」
春香「……」
P「最近、春香と会ってなかったから、なかなか言えなくてな。お疲れさま。よく頑張ってて、えらいぞ。これからも期待してるけど、ちゃんと息抜きもしろよ」
春香「……っ」
P「以上」
春香「……」
P「……」
春香「……」
P「……」
春香「……プロデューサーさんは、不意打ちばっかり……」
P「ん?」
春香「ここはぐしゃぐしゃするところだと思います……」
P「褒めろって言ったり、褒めるなって言ったり、何なんだ」
春香「私が頭出した意味ないじゃないですか……」
P「いや、まあ……春香の顔見て褒めようと思うと、恥ずかしいっつーかなんつーか」
春香「え?」
P「……」
春香「プロデューサーさん」
P「……」
春香「プロデューサーさん、照れてるんですか?」
P「……」
春香「プロ」
P「バカリボン」
春香「あっ、また言った!」
P「天海さん」
春香「それは一番傷つきます!」
P「調子に乗るなよ。たかが春香褒めるだけのことで照れないよ」
春香「言われ方がひどい!?」
P「春香こそ、耳赤いぞ」
春香「あ……ええと……」
春香「……それは、あのう……えへへ、……嬉しくて」
春香「いつも見ていてくれて、ありがとうございます、プロデューサーさん」ニコ
P「……」
春香「プロデューサーさん?」
P「いや、別に」グシャグシャッ
春香「なんで!?」
P「してほしいみたいだったから」
春香「曲解ですよ! 曲解!」
―――
――
―
―――ソファの裏
真美「……」
亜美「……」
美希「……」
真美「……」
亜美「……」
美希「ミキもあんな風にハニーとお喋りしたいの。春香ずるくない?」
真美「ここはこらえどころなのだぜおにぎりミキ之助」
亜美「邪魔しちまっちゃあ、女が廃るってもんよ」
美希「誰がおにぎりミキ之助なの」
真美「ヌふン」
美希「自分で言って自分で笑うの、どうかと思うな」
亜美「はー……どうしよーね」
美希「終わるまで待ってるしかないんじゃないかな」
真美「そーだね。UNOやる?」
亜美「やる」
美希「やるの」
―
――
―――
P「そういえば春香」
春香「はい」
P「この前のスコーン、春香が作ってきてくれたんだってな」
春香「えっ?」
P「小鳥さんに聞いたよ。フルーツ色々入ってたやつ」
P「美味しかったよ」
春香「あっ、えっと、はい、よ、よかったです」
P「また作ってきてくれよ」
春香「はい、もちろん!」
春香「じゃあ、作ってきたら、そのときは」
P「いいよ」
春香「はやい!」
おわり
お付き合いいただきありがとうございました。
おわりです。
乙、また浮かんだら書いて
おつおつよかった
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