【諸注意】
・これはニューダンガンロンパV3の二次創作SSです
・一部原作ネタバレを含みます。また、原作とは異なる表現もあります
・キャラ崩壊等。また、キャラの出番に大幅な偏りがあります(特に女子)
・時系列は紅鮭団の最終日前辺り
・とても短い。構成もガタガタなので雰囲気で楽しんで貰えると幸いです
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1506992783
……皆はこんな話を知っているかい?
ある男がハイキングに出かけた。その道すがら、男は沼の近くで、雷に撃たれて死んでしまうんだ
不幸な事に、その男は沼に落ちてしまったんだけど……不思議な事に、雷と沼の泥が科学変異を起こして……
新しい『男』が誕生したんだヨ
その男は先程死んだ男と全く一緒……容姿から癖、記憶に至るまでが、死んだ男と同じ生命体なんだ
その男は死んだ男の姿で家に戻り、死んだ男の本を読み、死んだ男の職場に出勤していく……
……さて、この『男』は本当に先程死んだ男と同じと呼べるだろうか?
この思考実験は、そんな自分のアイデンティティに問いかける命題なんだヨ……
真宮寺「これが沼男……スワンプマンだヨ。勉強になったかい?」
天海「なるほど……勉強になったっす」
最原「うん……真宮寺君って、民俗学だけじゃなくて、哲学にも詳しいんだね」
真宮寺「クククッ……哲学とは人間の心理に迫る学問だからネ。僕としても興味深いんだヨ」
キーボ「……あの、その実験は無意味なのでは? そもそも原始レベルで同一だとしても……」
キーボ「本来その男性が死んでいるならば、それは蘇生ではありません。考えるだけ非合理的です」
王馬「キー坊はバックアップデータが簡単に作れるからそんな酷い事が言えるんだよ……」
キーボ「ありません! ボクは唯一無二の存在……皆さんと同じです!」
王馬「型さえあれば幾らでも増やせる鉄屑とオレ達を一緒にするなよ!」
キーボ「王馬クン!!!」
星「やれやれ……また騒がしくなったな」
天海「ははっ……まあいいんじゃないっすか?」
赤松「……あれ? 皆どうしたの?」
最原「あ、赤松さん」
真宮寺「たまには男子だけで遊ぼうって提案されてネ。今は僕が思考実験について話してたんだヨ」
真宮寺「赤松さんも聞いていくかい? 僕は歓迎するけど」
赤松「うーん……遠慮するよ。早く戻らないといけないしね」
百田「そっちも大変そうだな……手伝った方がいいか?」
赤松「大丈夫! 茶柱さんや東条さんもいるし、平気平気!」
天海「ここにいる、ゴン太くんを除いた俺達より強そうっすからね……」
キーボ「ええ。ボク達が行くよりも、彼女達に任せた方が賢明でしょう」
王馬「身体を分解すれば部品が取れるだけのロボットより役立つもんね!」
キーボ「ちょっと! ボクを粗悪なジャンクボックスと思わないでください!」
キーボ「ボクのパーツはそこらの機械なんかよりも断然高性能です! 見くびらないでくださいよ!」
百田「それは自慢になんねーだろ……」
ゴン太「………………………………」
赤松「あれ? ゴン太君大丈夫? 顔色が悪いけど……」
ゴン太「うぅ……っ! ゴメン! ゴン太バカだから、真宮寺君の話がよく解らないよ……!」
ゴン太「ねぇ、死んじゃった男の人はどうなったの!? 生き返ったんじゃないならどこにいったの!?」
星「ゴン太……あんまり気にすんな。あくまで話の中だけだ」
ゴン太「えっと……なら、その男の人は本当は死んでないんだね?」
最原「いや、そうじゃなくて……」
王馬「えーっとねー。オレがわかりやすく説明すると、百田ちゃんが雷に撃たれて……」
百田「なんで例えが俺なんだよ!?」
ゴン太「えっ!? 百田くんが死んじゃったの!?」
百田「死んでねーよ! 俺を誰だと思ってるんだ?」
百田「宇宙に轟く百田解斗だぜ? その程度で死んでたまるかよ!」
王馬「で、雷に撃たれた百田ちゃんが、沼に落ちちゃったってワケ!」
ゴン太「えっ!? 百田くんが沼に落ちたの!?」
ゴン太「大変だよ! 皆、早く助けにいかないと!」
百田「落ちてねーよ! てか落ちたらここにいる俺は誰だよ!?」
王馬「そう! これがスワンプマンなんだよ!」
百田「嘘つくんじゃねーよ! 全然違うだろ!?」
天海「……収集つかないっすね、これ」
赤松「あ、あはは……」
ゴン太「うぅ……解らないよ……何が本当の百田くんなの?」
真宮寺「それを確かめるのが、この思考実験の目的だからネ……」
真宮寺「でも、思考実験には答えなんて無いし……好きな答えでいいんじゃないかなァ……」
真宮寺「ククク……! 同じ問いでも人によって様々な答えが出るなんて、本当に面白いよネ……!」
最原「何を以て自分とするか……難しい問題だね」
星「フン。こんなろくでもねー俺に、そんな大層な命題なんかあるわけねー……」
天海「ははっ、誰も自分が自分だなんて証明出来ないっすからね」
キーボ「そうでしょうか? 先程も言いましたが、ボクには考えるだけ無駄だと思います」
キーボ「ボクをボク足らしめているのは経験です。仮にボクと同機種の存在が表れたとしても……」
キーボ「ボクの持つ経験の差は、そう容易く覆せるものではないと思います」
王馬「はいはい。ロボットらしい人間味の無い冷たい答えだねー」
キーボ「王馬クン……そろそろ我慢の限界ですよ? ここから出たら然るべき機関に訴えますからね」
王馬「にしし……外に出たとしても、オレの組織力で揉み消せるもんねー!」
キーボ「またそんな嘘を……外にそんな組織が無いことは、当然皆さん知っていますよ?」
天海「………………………………」
天海「……すみません。少し席を外させて貰うっす」
赤松「……天海君、気分でも悪いの?」
天海「いや、あんまり気にしないでくださいっす……それじゃ」
最原「天海君……」
王馬「あーあ、キー坊のせいで天海ちゃんが機嫌悪くなっちゃったよ……」
キーボ「えっ、ボクのせいですか?」
王馬「当たり前だろ! 記憶の無い天海ちゃんに、経験こそが自分を証明出来るなんて……」
王馬「天海ちゃんじゃ自分が自分だって証明出来ないって言っているようなもんじゃないか!」
キーボ「べ、別にボクはそんなつもりで言ったわけじゃ……!」
王馬「じゃあどんなつもりで言ったんだよこの鉄屑! バラして壊して晒してやろうか!?」
百田「もう止めろ! こんな事で喧嘩してんじゃねえよ!」
王馬「にしし、まあそう言うなら許してあげるよ! 嘘だけどね!」
ゴン太「ゴン太、せっかく呼ばれたのに何の役にも立てないなんて……これじゃ紳士失格だよ……!」
真宮寺「……ネェ、さっきからずっと気になっていたんだけどサァ……」
真宮寺「この男子だけの集まりって、誰が考えたんだい? どうやら皆呼ばれたから来たみたいだけど」
最原「ああ、それは僕だよ」
百田「終一がか? らしくねぇな。ハルマキも呼べばよかったんじゃねーか?」
王馬「女子も色々あるんだよ。なー、ゴン太!」
ゴン太「えっ!? ゴン太本当に何も解らないよ!?」
最原「ははは………………」
天海「何を以て自分とするか。っすか……」
天海「正直、小難しい話はあんまり好きじゃねーっすけど……引っ掛かるっすね。どうにも」
夢野「……んあっ!? あ、天海!?」
天海「こんにちはっす、夢野さん。その驚き方は幾ら何でも酷くねーっすか?」
夢野「い、いやその……驚いた訳では無いわい。ただちょっと間が悪かったと言うか……」
天海「……? そう言えば、その手に持っているのは何なんすか?」
夢野「き、気にするでないわ! お主に目に見えるもの全てが砲丸に変わる魔法をかけるぞ!?」
天海「地味に嫌な魔法っすね……」
天海「ま、そんな事は気にしないんで。俺に見せてください」
夢野「ん、んあぁ……! これはダメなのじゃ……!」
天海「いいからいいから、それじゃ……」
茶柱「キエエイ! 天海さん、婦女暴行を現行犯逮捕ですよっ!」
夢野「転子よ! 丁度いい時に!」
茶柱「はい! 不詳転子、夢野さんが危機に晒される事を避けるため、日がな一日見守ってました!」
茶柱「ある時は地面に伏せ、ある時は物陰に隠れ、ある時はクローゼットの中で待機してました!」
夢野「キショイわ! ちょびっと感謝して損したわい!」
茶柱「さて、天海さん。辞世の句くらいは詠ませて差し上げますが?」
天海「冤罪っすよ……俺は夢野さんが隠した物が気になっただけっす」
茶柱「男死が気になる物といえば、卑猥な物と相場は決まっています!」
茶柱「……まさか!? 夢野さんのアレを欲しかったんですか!?」
天海「アレってなんなんっすか……」
夢野「んあー……もういいわい。首から手を離してやらんか、転子」
夢野「ウチも少し驚き過ぎた。だから天海の首を折るのは止めい」
茶柱「仕方ありませんね……」
天海「ははっ、三途の川まで旅行してきた気分っす」
天海「……そうだ。二人に聞いてみたい事があるんっすけど、いいっすか?」
夢野「なんじゃ? めんどい事で無ければ構わんぞ」
茶柱「転子は男死の質問に答えるつもりはありません!」
天海「ははっ、まあ単なる世間話みたいなもんっすから……」
天海「もし、自分を象徴するものを一つ挙げろって言われたら……二人は何を挙げるっすか?」
夢野「んあ? なんじゃ、そんな事で良いのか?」
夢野「ウチは当然魔法じゃ……まさか、お主もウチの魔法を疑うのか?」
天海「いや……ははは」
茶柱「転子は当然ネオ合気道です!」
天海「茶柱さんも答えてくれるんすね。ありがとうございます」
茶柱「……で、何でこんな事を聞くんですか? 男死特有の痛い妄想ですか?」
夢野「んあ? 何故ウチを見る」
天海(……ここで夢野さんはどうなんだって言うと投げられそうっすね)
天海「ま、そうかも知れないっすね。忘れてくださいっす」
茶柱「……ちょっと待ってください。一方的に話かけてきて、忘れろだなんて……」
茶柱「それは傲慢ではありませんか? 転子は説明を要求します!」
天海「そうっすかね? それじゃ、せっかくなので聞いていってください」
天海「……ま、本当につまらない話なんっすけどね」
~説明中~
茶柱「……はぁ? つまり、真宮寺さんの話を真に受けたって事ですか?」
茶柱「本当に下らない話でしたね! 時間の無駄でした!」
天海「ははは……だから言ったじゃないっすか。つまらない話だって」
天海「ところで、結局その手に持っているものって……」
夢野「んあ!? これはじゃな、ええっとその……」
夢野「そ、そうじゃ! 天海よ、白銀がお主を探しとったぞ!」
天海「白銀さんが……?」
夢野「う、うむ、早く行けぃ! どうせ研究教室におるじゃろうからな!」
天海「わかったっす。それじゃ」
天海(……結局聞きそびれたっすね)
天海「やっぱり研究教室にいたっすね。お待たせしてすみませんっす」
白銀「……? 天海君? どうかした?」
天海「いや、白銀さんが俺を呼んでるって夢野さんが」
白銀「うーん……別に呼んでないけど……」
天海「どうやら夢野さんのその場しのぎの出任せだったっすね……俺は皆の所に戻るっす」
白銀「あ、折角なんだし少しお茶していかない? わたし、こう見えて地味に得意なんだよね」
天海「そうなんっすか? なら有り難くご馳走になるっすよ」
白銀「……はい! ノンアルコールカクテルだけど、いいかな?」
天海「手慣れてるっすね。流石っす」
白銀「地味に色々やってるからね……こういうお店での接客とかは慣れっこだよ」
天海「へぇ……見かけによらないっすね」
白銀「ふふふ……わたし、眼鏡を取ると化けるからね……」
白銀「ところで……もしかして何か困った事があったりしてない?」
白銀「わたしでよければ、地味に相談に乗るけど……」
天海「……参ったっすね。そんなに不安そうな顔してたっすか?」
白銀「うん」
白銀「なるほど……それは地味に難しい質問だね」
白銀「コスプレも一種の自己に投影する行為だけど、だからって私が私じゃなくなる訳じゃないし……」
白銀「だとすると、やっぱりキーボ君の言う通りなのかもしれないね」
天海「そういうもんっすかね……」
白銀「でも、だからって天海君が天海君じゃないとは思わないよ?」
白銀「どれだけキャラの姿を完全再現してもその頭の中まで真似出来ないし……」
白銀「どう行動するか。っていうのも、結局はシナリオライターの一存だから、あまり当てにならないしね」
白銀「でも、だからこそキャラを完全に再現する事こそが超高校級のコスプレイヤーとしての使命なんだよ!」
白銀「リアルにどれだけ近づけさせるかが究極のリアルフィクションで、わたしの腕の見せ所なのであって……」
白銀「……って、ごめんね……つい熱くなっちゃった」
天海「いや……聞いていて楽しかったんで大丈夫っすよ」
天海「ははは……俺ってなんなんすかね、何も無いなら俺のいる意味なんて無いと同じっすよ」
白銀「それは違うよ! って、これは赤松さんか最原君の言うべき台詞かな?」
白銀「ほら、トゥルーエンドよりビターエンドがいい場合もあるし……っと、わかるかな?」
白銀「とにかく、天海君は天海君でいいんだよ。私は地味にそう思うな」
天海「……ありがとうございます」
最原「あ、お帰り天海君」
天海「お待たせしました……って」
天海「凄いっすね……俺が離れてから一時間くらいしか経っていないのに」
東条「メイドだもの。皆からの依頼なら喜んで引き受けるわ」
入間「ま、天才のオレ様にかかればな。これくらい楽勝だぜ!」
夢野「お主は見ていただけじゃろ!」
キーボ「ですが、これだけ豪華な食事もボクだけは楽しめないのが残念です」
王馬「あれ? 心無いロボットの癖に、もしかして共感して欲しかったの?」
キーボ「王馬クン! どうしてキミは最後までボクを馬鹿にするんですか!?」
春川「うるさい」
アンジー「主は言いました……『今日くらいは無礼講でいいだろ』と」
キーボ「……今日くらい?」
王馬「にしし、夜長ちゃんの神様は優しいよねー! 今からでも入信していいのかな?」
アンジー「もっちもちー! 今からならポイント五割増しだよ? とってもお得だぞー!」
入間「何と交換すりゃいいんだよ!」
赤松「え、えっと……それじゃあ、今夜がこの才囚学園で過ごす最後の日になるので……」
赤松「皆が友達になれた事を記念して、パーティーを行いたいと思います!」
夢野「ウチの特別な変化魔法を見せてやるわ、この魔導杖を鳩に変えるぞ!」
天海「ああ、それってマジックの小道具だったんすね」
夢野「魔法じゃ!魔法じゃ魔法じゃ魔法じゃ魔法じゃ魔法じゃ!!!」
星「フン、ここから出ても俺には死刑が待っているけどな……」
百田「……もし、ここから出たらお前に会いに行ってやる」
百田「そうしたら……俺と勝負しろ! 忘れんじゃねーぞ!」
星「……考えといてやるよ」
白銀「天海君天海君、少しプレゼントがあるんだけど……」
天海「え、俺に? なんっすか?」
白銀「……えいっ!」
天海「わっ……!何なんっすか!?」
白銀「それじゃあ地味に期待しててね。天海君も私達と一緒に過ごした仲だもんね」
白銀(……明日の朝には効果が出るかな~?)
天海「……何だったんすかね?」
天海「……………………」
最原「……あ、天海君。ここにいたんだね」
最原「昨日は楽しかったね……なんだか、ここから出るのが名残惜しい位だよ」
最原「……そう言えば、結局天海君の才能はわからなかったね」
天海「……最原君、その話なんっすけど」
天海「実は……思い出したんすよ! 俺の本当の才能を……!」
最原「……えっ!? 本当!?」
天海「はい。俺の、本当の才能は―――」
【終結】
終わりです。裏であればいいなあ的な話なのでオチなんてありません
天海君はネタ含めて大好きです。いつかまた主役で何かを書きたいですね
天海君の誕生日を記念して書かせていただきました。依頼出してきます
乙
最初の真宮寺のくだりでホラーなんかと勘違いしたけど面白かった
おつー
仲良さそうで和んだわ
あげ
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