相葉夕美「夏空の庭に咲く」 (34)
モバマスの相葉夕美ちゃんのSSです。
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『本日の花火大会、プレイベントのゲストでご登場頂いたのは、相葉夕美さんでしたー』
夕美「ありがとうございました! みなさん、今日の花火、楽しんでくださいね♪」
――――――
―――
P「夕美、お疲れ様」
夕美「あっ、Pさん。ありがとう♪ ステージ大丈夫だった?」
P「完璧、完璧。 夕美は安定してるから冷や冷やしなくて助かるよ」
夕美「良かったっ。お客さんがみんな暖かかったおかげかな」
P「花についてのMCも結構受けてたなぁ」
夕美「えへへっ。花火大会に合わせて調べてきたからねっ」
P「それにしても、花火大会だから花のアイドル呼ぶってちょっと安直すぎるような」
夕美「細かいことは気にしないっ♪ それに……」
P「それに?」
夕美「Pさんと2人っきりで地方に来れる機会なんて、なかなかないよっ」
P「ホントはあんまり良くないんだけど」
夕美「Pさんの地元なんだよね? やっぱり土地に詳しい人がいないと!」
P「いや、大学がこっちだったってだけなんだ。まぁ、ちひろさんにも同じように言いくるめられたよ」
夕美「ちひろさんのおかげで、今日だけは私がPさんを独り占めだね♪」
P「……」
夕美「あの……なにか反応は……」
P「夕美さーん、顔が赤いぞー」
夕美「そういうことは指摘しちゃダメっ。もうっ、恥ずかしいなぁー!」
夕美「それで、Pさん♪ このあとはっ?」
P「このあとは……」
夕美「……」ドキドキ
P「お仕事が終わったので、花火を見に行きます!」
夕美「わーいっ!」
P「ということで着替えておいで。 荷物預けて、外で待ってるから」
夕美「はーい! ふふっ。Pさん、絶対にびっくりさせちゃうからね♪」タッ
P「ん? あっ、行っちゃった……」
◇
夕美「Pさんっ。おま…た…せ…」
P「おう、お疲れ様。……夕美?」
夕美「あのPさんが浴衣になってる!?」
P「流石にスーツはキツイなぁって」
夕美「シックな感じで、ちょっと大人っぽくていいねっ♪」
P「ありがとう、夕美も新しい浴衣似合ってるよ」
夕美「あっ、気づいてくれて嬉しいな♪ オレンジ色と水色のおニューの浴衣だよっ」
P「また花柄なんだな……ひまわり?」
夕美「正解っ! って流石に簡単だよね。じゃあ、花言葉はなんでしょうっ?」
P「愛しいあなただけを見つめています」ジーー
夕美「あの……Pさん、本当に見つめながら言われると……」テレテレ
P「よし、じゃあ行くか」プイッ
夕美「あっ。また、からかって!」
――――――
―――
P「とりあえず腹ごしらえしつつ、会場の方に向かおう」
夕美「花火は川の方でやるんだよね?」
P「そうそう、出店はこのへんに並んでるから、買っていくのがいいかな」
夕美「こんなにいっぱいあると、いろいろ目移りしちゃうよねっ」
P「悩んじゃうんだよなぁ。夕美、何がいい?」
夕美「えっ。うーんと、えーっと……あっ、あれはなに?」
P「あぁ。ぽっぽ焼きだな」
夕美「ぽっぽ焼き?」
P「多分この辺にしかないんじゃないんかな。なんていうんだろう……黒糖蒸しパン?」
夕美「ちょっと気になるかもっ。おいしそうだね♪」
P「じゃあ、買っていこうか。俺も久しぶりに食べたいな」
夕美「Pさんの思い出の味だったりするの?」
P「そうかも。わりと、どこでも売ってるんだけどね。お祭りでよく食べてた気がする」
夕美「ふふっ。こうやってPさんの思い出に触れられるって素敵だねっ」
P「なんか、そう言われると恥ずかしいな」
夕美「いい機会だからね! もっとPさんのこと、教えてほしいな♪」
P「そんなに面白くないと思うんだけどなぁ。よし、あとは焼きそばと……」
夕美「かき氷とラムネとかどうかなっ!」
P「よくばりさんだな」
夕美「えへへ、なんかこの2つがないと夏祭りって感じがしなくて」
P「かき氷、何味にする?」
夕美「イチゴっ!」
P「はーい。じゃあ、俺はブルーハワイにしようかな」
夕美「確か、味は一緒なんだよね」
P「まぁ、こういうのは気分だからな。お祭りだし、夕美がいるなら、なんだって美味しいもんだ」
夕美「はうっ」
P「?」
夕美「な、なんでもないっ」
夕美(き、今日の私、弱すぎないかなっ)
夕美(もうっ、最近こんなのばかりーっ。今日こそ、今日こそ、私からっ)
◇
ザワザワ
夕美「ものすごくたくさん人がいるね」
P「結構有名な花火大会だからなぁ」
夕美「こんなに人がいたら、席とか取っておかないとダメじゃないの?」
P「そこはわたくしにお任せあれ」
夕美「Pさんの魔法かなっ?」
P「夕美のステージのお礼に、有料席を取ってもらいました」
夕美「それ、私が頑張った分だよっ!」
P「まぁまぁ」
夕美「Pさんは、ここの花火見たことあるんだよね?」
P「おう、大学の時になー」
夕美(あっ、その時の彼女さんと来たの……かな?)
P「……サークルの男だけで来たよ」
夕美「えっ?」
P「夕美は分かりやすいなぁ」
夕美「えっ、えっ。そんな顔してた!?」
P「してた、してた」
夕美「ちょっと……顔見ないでくれると嬉しいかも」プイッ
P「あはははは」
夕美「もーっ。有料席……あっ、ここだね!」
P「ふぅ。花火が始まるまでもうちょっとあるかな」
夕美「じゃあ、とりあえず買ったもの、食べちゃおっか。かき氷、溶けちゃってるよ」
P「あんまり急いで食べると……」
夕美「頭キーンってしちゃったっ」
P「ほれ」
夕美「つ、冷たっ。 ど、どうしてかき氷の器を頭に当てたの?」
P「冷やすと頭痛が収まるんだってさ、どう?」
夕美「ホントだー、治った! Pさんのおかげだね♪」
P「夕美、舌真っ赤になってる」ベー
夕美「Pさんも真っ青だよ」ベー
P「あははは、2人して何やってるんだろうな」
夕美「えへへ」
P「ぽっぽ焼きもどうぞ」
夕美「なんだろう……優しい味がするねっ」
P「あー、確かに。たまーに食べたくなるくらいのもんだな」
夕美「これがPさん思い出の味かぁ」
P「あの、そんなに強調されると申し訳なくなるんだけど」
夕美「いっぱいからかってきたお返しだよっ!」
P「そんなニコニコしながら言われても可愛いだけだぞ」
夕美「うぅぅ」
――――――
―――
『ただいまより、花火大会を開始いたします』
パチパチパチ
ひゅるひゅるひゅる――どん、どーんっ。
P「おぉ」
夕美「わぁっ」
P「始まったな」
夕美「始まったね♪ やっぱり花火、素敵だなぁ」
P「夜空を庭にして、本当に花が咲いてるみたいだな」
夕美「えへへ。じゃあ、あれはダリアでしょ、それからあっちはガーベラかなぁ」
P「おっ。今度はコスモスかな」
夕美「紫陽花かもっ」
P「確かに。赤、青、紫と来たら、それっぽいね」
ひゅるひゅるひゅる――どーんっ、ぱらぱらぱら。
夕美「ねぇ、Pさんっ。花火の名前がついたお花もあるんだよっ」
P「墨田の花火とかだっけ? なんかあべこべだよな」
夕美「えへへ、大正解! Pさんもお花に詳しくなってきてるね♪」
P「そりゃ、担当アイドルが隙あらば花の話してくるから……」
夕美「め、迷惑だった?」
P「いや、花の話の時の夕美は目がキラキラしてるからな。見てて飽きないよ」
夕美「なんかあんまり嬉しくないよっ!」
P「じゃあ、花の話をしてる夕美は可愛い」
夕美「そ、それは……もうっ、照れちゃうよ……」
――――――
―――
ひゅるひゅるひゅる――どーんっ。
夕美「……」
P「……」
夕美(あ……、あれ。やっぱりこういう雰囲気ってドキドキする……)
夕美(落ち着けーっ、落ち着け―っ! せっかくのチャンスなんだからっ)
夕美(そう! 次の一発が上がったら、さりげなくPさんの手を握るよっ)
ひゅるひゅるひゅる――どーんっ。
夕美(よしっ! い、いくよっ。ぱっ……ぱっ……)
夕美(わーっ。ダメ、なんかすごい恥ずかしいっ)
夕美(次、次こそっ)アワアワ
P「おーい、夕美ー?」
――――――
―――
夕美(ああああぁ、もう10発目だよ……。)
夕美(つっ、次、花火が上がったらぎゅってするの、するんだからっ)
『――続いて、正三尺玉が打ち上がります。みなさま、ご注意ください』
P「おっ。夕美ー、でかいのくるぞー」
夕美「……えっ、Pさん、な――」
――どぉんっ。
夕美「ひゃっ」ギュッ
P「おっと。そんなにびっくりした?」
夕美「いっ、今の何だったの?」
P「正三尺玉って言って、ちょっと大きい花火なんだよ。ほら、もう一発来るぞ」
――どぉんっ。
夕美「わぁっ。空一杯に広がるんだね♪ それにすごい音、びっくりしちゃった」
P「『ひゃっ』とか反応が可愛いなぁ」
夕美「もうっ、もうっ」
P「あと、夕美?」
夕美「ん? どうしたの?」
P「そんなにくっつかれると暑いんだけど……」
夕美「うわあああっ。ご、ごめんなさいっ」パッ
夕美(あああああ、勢いで離しちゃった……)
P(めっちゃいい匂いした)
◇
ひゅるひゅるひゅる――どぉんっ。
P「なぁ、夕美」
夕美「うん?」
P「さっき花火をさ、たくさんの花で例えたよな」
夕美「うん」
P「夕美だったら、花火にどんな花言葉をつける?」
夕美「うーんと……あっ、Pさんだったらっ?」
P「え。夕美のを聞いてから考えようと思ったのに。
そうだなぁ、『君の横顔』とかどうでしょう。」
夕美「素敵だけど……なんでそんなに雰囲気出して言うの?」
P「私は花火を見ている君の横顔につい見とれてしまうのです」
夕美「Pさん、からかってるでしょ!」
P「はい」
夕美「ぷいっ」
P「ごめん、ごめん」
夕美「……Pさんは、私にもちゃんと見とれてくれる?」
P「えっ」
夕美「えっとね、私の思う花火の花言葉は……」
―どぉんっ。
夕美「あなたと見れて嬉しいっ!」ニコッ
P「……」
夕美「ねぇ、どうかな?」
P「……いいんじゃないかな」
夕美「やったー」
P(……息が止まるかと思った、無自覚クリティカル怖い)
――――――
―――
夕美「もうそろそろ、花火もおしまいかな?」
P「いや、最後に大きなやつが残ってるんだ」
夕美「大きなの?」
P「おう、これを夕美に見てほしかったんだ」
『ただいまよりフェニックス花火、カウントダウン開始でございます』
P「来た! あの辺り、よーく見といてな」
夕美「う、うんっ」
『ごー、よん、さん』
P「にー」
夕美「いちっ」
―どぉんっ。どぉんっ。どぉんっ。どぉんっ。
夕美「わあっ――」
夕美(音楽に合わせて、花火がいっぱい打ち上がって)
夕美(目の前が全部、全部、花火!!)
夕美(自分の目に入り切らないくらい花火が広がってるっ)
夕美「Pさんっ!すごい、すごいねっ! 夜空にこんなにいっぱいっ」ユサユサ
P「こ、こらこら、ちょっと落ち着いて……」
夕美「あっちこっちで打ち上がって、夜空一面のお花畑みたいっ」
ギュッ
P「よしよし、花火は逃げないから」
夕美「あっ、うん……」
―どぉんっ。どぉんっ。どぉんっ。どぉんっ。
P「……」
夕美「……」ギュー
P「夕美、痛い」
夕美「嬉しくって、つい。手、熱いね……」
P「夏だからな」
夕美「Pさん、顔、赤いよっ」
P「花火のせいかな」
夕美「私も赤くなってる? 顔熱くなってきちゃったよ」
P「……」
夕美「でも、今のドキドキしてる気持ち……私は好きだよ。Pさんも同じ気持ちだといいなっ」
P「同じものを見て、感じてるから、きっと同じ気持ちなんじゃないか」
夕美「えへへ。確かにっ!」
P「夕美とこの花火が見れて嬉しいよ」
夕美「私もPさんとこの花火が見れて嬉しいっ」
P「一緒だな」
夕美「だねっ」
―どぉんっ。どぉんっ。どぉんっ。どぉんっ。
夕美「花火も、音楽もなんか訴えかけてるみたい」
P「ぐっとくるだろ」
夕美「なんか泣いちゃいそう。心が震える感じ!」
P「祈りの花火だからな、伝えたい気持ちがあるんだろう」
夕美「伝えたい気持ち……」
P「花火をきっかけにして、色んな人の気持ちがつまってるんじゃないかな。
ここまで圧倒されると、上手く表現できないんだけどさ」
夕美「言わぬが花って言うけど……。やっぱり伝えたいよね、気持ちは……」
P「確かにそうだけど、どした?」
夕美「ううん、なんでもないよっ」
夕美(こんなに顔が緩んじゃうの、私だけじゃないよね? Pさん)
夕美(私にもいつか伝えたい気持ち、あるよっ)
―どぉんっ。どぉんっ。どぉんっ。どぉんっ。
夕美「きれいだったね」
P「うん」
夕美「こんなの見せて貰っちゃったら、絶対に忘れられないよ」
P「うん」
夕美「Pさんに大きな思い出の花、咲かせてもらっちゃった」
P「それは良かった」
夕美「私とPさんだけのお花だからね♪ 大切にして欲しいなっ」
◇
『――以上で、本日の花火大会を終了いたします』
P「終わっちゃったか」
夕美「はぁーっ。すごかったねっ! 私、あんなにいっぱいの花火なんて初めてみたよ♪」
P「喜んでくれたなら、この仕事取ってきたかいがあるよ」
夕美「もちろん! 夏もPさんとの大切な季節になったかも♪」
P「春、夏ときて、全部の季節を制覇しそうだな」
夕美「えへへ。秋も、冬も一緒に楽しんでくれる?」
P「善処します」
夕美「返事が雑だよっ。もうちょっと気持ち込めて欲しいなっ」
P「さて……気合入れていくか」
夕美「えっ。どうしたの?」
P「こっから宿に帰るまでが花火大会です」
――――――
―――
夕美「うわぁ。すごい人混みだねっ」
P「毎年こうなんだよ……宿までなんとか戻らないとだよな」
夕美「これ、駅まで続いてるの?」
P「うん、まさに人の川って感じだ」
夕美「じゃあ、泳いでいかないとだね……」
P「ということで、はい」
夕美「?」
P「このまま行くと確実にはぐれるからな、手つなごう」
夕美「う、うん」ギュッ
夕美(今日ずっとPさんからだ)
夕美(私からいくと上手くいかないのに……)
夕美(……ずるいなぁ)
P「しばらく人混みの中を歩くけど、大丈夫そう?」
夕美「うん……。ねぇ、Pさん」
P「どうした?」
夕美「花火、あんなに綺麗だったのに、終わっちゃって、消えちゃったんだって思うと寂しいね」
P「さっきまであんなにはしゃいでたのに」
夕美「こ、こういうのは急に来るのっ」
夕美(それに落ち着いたら、いやでも意識しちゃうよ)
P「そうしたら、また来年も一緒に来よう。消えちゃうからこそまた今度もって思えるんじゃないかな」
夕美「えっ、Pさん、私でいいの……?」
P「夕美と一緒だと楽しいからな。……もちろんお仕事でだぞ?」
夕美「わぁっ。いい、それでもいいよっ! 来年、絶対に一緒に来ようねっ」
P「あははは、しっとりなイメージが一瞬でどこかへ行ったな」
夕美「だって、だって……」ギュー
P「夕美、手が痛い、痛い」
夕美「えへへ。Pさん、この手を離さないでねっ」
P「もちろん。ぶつからないように気をつけろよー」
夕美(また来年もあのステージに立って、また一緒に花火が見たいな)
夕美(同じ気持ちでいてくれることが嬉しくて、嬉しくて)
夕美「……言わぬが花じゃダメだよね」
夕美(2人っきりの時間も、もうすぐ終わっちゃう)
夕美(気持ち伝えるために何かしなくちゃっ、あっ、でも何したらいいんだろうっ)
◇
P「やっと宿まで戻ってこれた……花火はすごいんだけどな、これはしんどい」
夕美「……」
P「夕美?」
夕美(あああああ、何にも思いつかなった……)
夕美「あ、えっと、その……これからPさんのお部屋行ってもいい?」
P「えっ」
夕美(や、やっちゃったああ……でも、もう引き返せないよっ)
夕美「だから、その……もうちょっと一緒にいたいなって」
夕美「その、もう子どもじゃないから夜更かしだってできるし!」
夕美「今日のステージの反省会もしてないし!!」
P「ゆ、夕美、ちょっと落ち着いて」
夕美「Pさんにこんなに近づけたの初めてだから嬉しくって」
P「う、うん」
夕美「それにね……私、もう1個だけ、花火の花言葉、思いついたよ」
夕美「『口実』ってのはどうかなっ」
P「……」
夕美「……」ドキドキ
P「しょうがないなぁ……こっちおいで」
夕美「やったっ」
バタン
おしまい。
このSSは、夕美ちゃんと新潟の長岡花火をダイマしています。
夕美ちゃんかわいい、やったぜ。
乙です。
夕美ちゃんと藍子はパッションの良心。
可愛い。
素晴らしい!
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