相葉「Pさん、耳掃除してもいいかな?」 (26)
事務所のドアを開ける
夕美「あ、Pさん!今日も1日お疲れ様でした!」
「ん?ああ、お疲れ様。今日は仕事場から直帰じゃなかったのか?」
時刻は午後7時を回ろうとしている。今日は事務員は体調不良ということで欠勤しており、代わりに送り迎えの必要なアイドルを自宅へ送って来たところなのだが、帰ってみるとなぜか事務所には夕美が残っていた。
夕美「収録のあとそのまま家へ帰るつもりだったんだけど、事務所に鞄置き忘れちゃってて。」
「そういうことか。最近はすぐ寒くなるし早めに帰るんだぞ。ちひろさんがいないから今日は早めに事務所閉めちゃうしな。」
夕美「そういやちひろさん朝来たときも居なかったね、どうしたの?」
「調子が悪いらしく今日は休むって言ってたよ。普段は2人で分担して送迎してたけど、いざ一人で送迎するとなるとうちのアイドルも以前と比べかなり人数が増えたから大変だったよ。」
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夕美「へ~、あっ、もしよければ今日は家まで私もPさんに久々に送って貰いたいな!家の方向大体一緒だしいいよね?」
「別にかまわんぞ。でも送っていく前にもう少しだけ事務所でやらないといけない仕事があるから少し遅くなるぞ?」
夕美「それじゃあ私は事務所のお花の手入れをしておくね。」
「いつも悪いな」
夕美「いいよいいよ、最近は輝子ちゃんも興味を持ってくれたみたいで一緒によくやってるの!」
「茸好きだとは知ってたが他の植物にも関心があるのか。彼女はいつも机の下で何やら栽培してて事務所内の友好関係が心配だったが、その調子なら問題なさそうだな。よし、俺も急いで終わらせるか!」
時計を見るともう8時30分を過ぎていた。
しまったな、夕美を送らないといけないのに仕事に集中してしまっていた
「夕美ー、遅れてスマン。エンジン付けて先に車内をあっためておくからそろそろ準備をしといてくれ。」
夕美「ねぇねぇPさん!」
「どうした?」
夕美「さっきの番組のコーナーで紹介した耳かきセット、せっかくなんでって頂いたんだけど、
よかったらPさんの耳掃除してみてもいい?」
「おいおい、担当アイドルにそんなことさせられないよ、それにあまり帰るのが遅くなると親御さんが心配するだろ。」
夕美「さっき連絡しておいたから大丈夫だよ!それにうちのお母さん、タクシーで帰るときはいつも『早く帰ってきなさいよ』って急かすのにPさんの車で帰るって言ったら『そう、わかったわ』だって。Pさんなんだか凄く信頼されてるみたいだよ。」
「信頼されてるのはうれしいが担当アイドルにそんなことさせられないよ。」
夕美「いいからいいから。番組で紹介されてたやり方凄く気持ちよさそうだったし実験台だと思って。ほら、横になって」
畳部屋まで夕美にひっぱられ、なすがまま膝枕を受け入れてしまった。誰もいないとはいっても見つかればただではすまない現状に体が硬くなる。
いくら信頼されてるからってこの状況で夕美は恥ずかしくないのだろうか?
そう思って夕美の方を見上げると、耳まで真っ赤に顔を染めていた。
・・・たぶんプロの人の実演でも見たのだろう。乗せるまではこれほど恥ずかしいとは思わなかったのだろうな。
しかし、ここで止めてしまっても今後ギクシャクしてしまうかもしれない。
そう思って腹をくくり、すっと近くにあった座布団を2つ折にして枕代わりにし、右耳を上に向けてもう一度寝転んだ。
「膝枕だと足が痛いだろうからこれで頼むよ。」
夕美「う、うん。ちょっと待ってね!」
うつむいていたままだった夕美だが、ハッと我に返った様子で道具の取り出しに戻った。
豆球のついた薄暗い部屋の中、カチャカチャと言った音だけが響き渡る。
「それじゃあまずは耳の外回りをティッシュで拭くね」
サーーー、サッサッサッ。サーーー、サッサッサッ。サーーー、サッサッサッ
耳の淵を一回り、二周り、と何度かなぞっていく、
シュッシュシュッ、ぎゅー
耳の裏側を丁寧にこする。たまに加わる圧が心地よく、今にも眠ってしまいそうだ。
ぎゅー、ぎゅっぎゅっぎゅ、サッサッ
「耳の裏側が少し汚れてるね、ここらへんは洗い忘れる人も居るらしいから気をつけたほうがいいって言ってたよ。」
「それじゃあ次は耳かきで奥から掃除していくね。動いちゃダメだよ?」
・・・耳かき棒が慎重に奥へと入っていく。
カリッカリッカリッコリッパリパリッ、スーーーー・・・
たまっていた大きな耳垢が剥がされ、匙で外へと運ばれていく感覚が伝わってくる
カリッパリッカリッパリッ、スーーーーー・・・
カリッパリッカリッパリッ、スーーーーー・・・
たくさんの耳垢が匙の上へと剥がれ落ち、そして運ばれていくのが音だけでもわかる。そういえば耳かきなんてしばらくしてなかったかもしれないなぁ。
カリッカリッゴソッ!スーーーー・・・・
ゴソゴソッ、スーーーーー、ザッザッスーーーーー・・・・
「すごくたまってたよ、たまには掃除しないとこんなにためちゃってたらいつか詰まっちゃうよ。」
「見える部分の身だしなみは気を使っていたんだがな。耳の中はあまりいじらないほうがいいってよく言うしあまり意識して無かったな。次からは気をつけることにするよ。」
ある程度奥が終わると今度は入り口付近にたまっている垢を取り出す
ズズズズ、ザッザッザ、
半円を描くように耳の中を横に掻いていき、かき集めた垢を先ほどより少し強めに擦りながら外に掻き出す
ズズズズ、ザッザッザ。ズズズズ、ザッザッザ。
手前の垢を一通り取り出した後は今度は反対側を掻き出す
ズズズズ、ザッザッザ。ズズズズ、ザッザッザ。
一通り淵の掃除を終えると最後に何度か一回転を繰り返して、痒みが残っているところをやさしく掻いていく
ズズズズズズズズ、ザッザッ
ズズズズズズズズ、ザッザッ
「麺棒に専用の液を付けて浮かした汚れをとるね。」
キュポン!ピチョンピチョン
液体の入ったボトルが開く。新品だったせいか小切れの良い音が部屋の中に響く。
耳へ意識が集中しているためちょっとした音ですら心地がよい。
サーーーッ、サーーーッ、サーーーッ、
麺棒が通った後の部分で次から次へと液体と空気が触れ合っていき、そして爽快感が頭の中を駆け巡る。
サーーーッ、サーーーッ、サーーーッ、
サーーーッ、サーーーッ、サーーーッ、
一通りこすり終わると、今度は乾いた麺棒でもう一度なぞっていく
スッスススッスッ・・・
スーーーーーースススッ
「それじゃあ最後に、外回りに落ちちゃった汚れをもう一度ティッシュでふき取って終わりね」
サッサッサッサッサッサッサ
小気味良い手つきで奥から出てきた小さな垢をふき取っていく
サッサッサッサッサッサッサ
サッサッサッサッサッサッサ
シュッシュッシュ
夕美「はい、おしまい」
「ありがとう、思った以上に気持ちよかったよ。危うく寝てしまいそうだったよ、それじゃあ
夕美「次は反対側ね」
「」
正直なところ、あと少しで寝てしまいそうだったので、このまま気づかれる事なく帰る準備へと入りたかった。
反対の耳までされてる間、果たして睡魔は見逃してくれるだろうか。
ー――――ー――――
ー――――
・・・・・Pさん、Pさん、寝ちゃった?・・・・・・・・・・・・
フーーーーーーーー
不意に耳元に暖かい風が流れてきて意識が視界へとはっきりと戻ってきた
「ん?すまない、寝てしまってたのか、もしかして大分寝てた?」
夕美「そうでもないよ、ちょうど今左耳の掃除も終わったところ。」
「そうか、今日はありがとうな夕美。それじゃあ帰りの準備しようか。」
夕美「最近は仕事が増えちゃって一緒にいる機会も減ったしね、たまにはこういうのもいいよね、Pさんがよければまたしてあげるよ?」
「やっぱり人に耳を見られるのは恥ずかしいかな。けど確かに、凄く気持ちよかったし2人だけの時があればしてもらおうかな。それとも、俺が今度は夕美にしてあげようか?」
夕美「え、私は別にいいよいいよ!そんなの恥ずかしいし!」
2人の笑い声だけが部屋の中に反響する。そしてパタンと扉が閉じたあとも、今度は冬空の中にその談笑はしばらく続いてゆくのであった。
終わり
相葉ちゃんのSSがまったく無いので頑張って初投稿してみた
三船さんのSSに影響されて書いてみたけど、お花好きなキャラなら癒し路線でも行けると思うんだ
ボイス待ってます
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