【境界のRINNE】『腐った幽霊』 (26)

〇公園(夕方)

 【それは ある日の放課後――】

 【ミホちゃんリカちゃんと 学校の近くの公園に 寄り道していた時のことでした。】

 女「ハァ~……」

 【その女の霊は ベンチにひとり佇んで やたらとため息をついていました。】

 リカ「今日は誰もいないから静かだね。」

 女「ハァ……」

 ミホ「この公園、いつもは運動部の人たちが騒がしいもんね。」

 女「ハァ……」

 桜(うるさい。)

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〇三界高校・教室(朝)

 桜「おはよう六道くん。」

 りんね「真宮桜。」

 【次の日 六道くんに相談することにしました。】

 りんね「なに。公園のベンチに女の霊?」

 桜「うん。やたらとため息をついてる霊がいたよ。」

 りんね「わかった。放課後にさっそく浄霊に向かおう。」

 桜「ありがとう六道くん。」

〇公園(夕方)

 りんね「……なるほど。この女が問題の霊か、真宮桜。」

 桜「うん。」

 六文「いったい何が未練で成仏できないんですかね。」

 十文字「ああ。まずはそれを聞かねばならんな。」

 りんね「なぜおまえもここにいるんだ、十文字。」

 十文字「話は聞いた。絶対におまえと真宮さんを二人きりにはさせん!」

 六文「ぼくもいますけど。」

 女「……あの日、私はこのベンチに座っていました……」

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          |::::::::::::::::::::::::::| ≫子ミ :::::|\|  ≫子ミ\:::::::::厂[
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            \ト、::::|\{  V:::::ソ        V:::::ソ  /f^}/       桜(いきなり語り出した。)
               \八 (|        ,           j/)/::/
               人ハ                  ムイ::く
                    {:::::人      _ _      人::::::::}
                ∨::::::::>、          イ \::::::人_
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 女「この公園はすぐ近くに高校があるから、運動部の男子たちがちょくちょく走りに来ます。」

 女「だから私は、よくこのベンチに座って彼らを眺めていました。」

 桜「ふうん。」

 六文「ああ。その男子たちの中に気になる男子がいたんですね。」

 女「いいえ。」

 六文「えっ、違うんですか?」

 りんね「じゃあ一体なぜそんなことを?」

 女「……実は……」

 女「実は私、BLが好きなんです。」

 りんね「……ん?」

 桜「あ、あの……今なんて言いました?」

 女「だから、実は私、BLが好きなんです。」

_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> BLとは 男同士の同性愛のことである。 <
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 りんね(……何だこいつ!? 唐突に何をカミングアウトしてるんだ!?)

 女「男子たちが集団で走っているのを見ると興奮するんです。」

 桜「興奮……?」

 十文字「それは、もしかすると……。」

 女「ええ。なんというか、妄想がはかどるっていうか……。」

 りんね「ああ……。」

 六文「腐った人だったんですね。」

_人人人人人人人人人人人人_
> 腐った人だったのだ。 <
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 女「来る日も来る日も、私は男子たちをベンチに座って観察した。」

 女「汗だくになりながら仲間と濃密な時間を共有する男子たち! いつしか彼らの間に友情以上のものが芽生える!」

 女「ここに座って観察し続けていれば、そんな決定的なシーンがいつかは見られると思ったの。」

 一同「……」

 女「そして真夏のある日、私は熱中症でぶっ倒れて死んだ。」

 六文「何というか……。」

 りんね「いろいろとお気の毒です。」

 桜「本当にお気の毒だよ。」

 女「ハァ……」

 女「わあっ。」パァッ

 六文「あ、いきなり笑顔になった。」

 りんね「何だ!? いったい何が起こったと言うんだ!?(後ろを振り向く)」

 野球部員たち「えっほ、えっほ……」

 桜「あれは……」

 りんね「ランニング中の野球部員たち。」

 六文「なるほど、あれを見たから笑顔になったんですか。」

 女「ああ! あの先頭から四番目と五番目の男子! そそるわ!」

 女「間違いないわ。あの子は受けの顔つきね。ふふふ……。」

 十文字「……」

 六文「りんね様。こいつ、思っていた以上にやばい奴ですよ。」

 りんね「ああ。やばい奴だな。」

 十文字「真宮さん、今回はもう関わらずに帰ったほうがいい。ここにいて汚染されたら大変だ。」

 桜「うん、そうする。ごめんね六道くん、私もう帰るね。」

 りんね「ああ……なんか変なのに巻き込んでしまってすまない、真宮桜。」

 桜「ううん。いつもの事だから。」

 りんね「……それで? 結局、何が未練なんです?」

 女「一度でいいから、この目でホモセックスを見てみたい!」

 りんね「……」

 十文字「……」

 六文「……」

 りんね「よし、強制浄霊だな。(死神の鎌を構える)」

 六文「そうですね。」

 女「きゃああ~っ!!」

 ちゃりーん(鎌を避けた際に硬貨を落とす)

 六文「あ~っ!? 五百円玉!?」

 女「あっ、このあいだ男子ウォッチングしていたときに拾ったお金が……。」

 りんね「ひ、拾った!? 五百円玉もの大金をか!?」

 女「あ。もし願いを叶えてくれるのなら、あげてもいいですよ。」

 りんね「なにっ!? ほ、本当か!?」

 女「ええ。今までにここで拾ったお金を全て。」

 りんね「な……なんだと!? 今までに拾ったお金を全て!?」

 六文「ということは、さっきの五百円玉のほかにもお金を拾ったことがあるんですね!?」

 女「ええ。」

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.:.:..:.:..:.:..:.:..::.   ヽ-‐‐ゝ''¨≦ニニニニ/: : : : : : : : : : : : : : ニ: : : : : : :.     |      i| /ニソ       りんね「その大金が、おれのものに!?」

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          ヽ    .:.:..:.:..:.:..:.:.マ7¨          l: : : :   }    三二二二二二二ニ‐
            ',   : : : : : : : : ヽ          ノ : :    .}    |三二二二二二二二二
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 りんね「うーむ……。」

 十文字「どうした六道? 何を黙り込んでいるんだ?」

 十文字「ええい、きさまがやらんのならおれがやる! くらえ! 聖灰……」

 りんね「待て。(十文字を鎌で殴る)」

 みし……

 十文字「おっ、おい! 何のつもりだ六道!?」

 りんね「なあ十文字。おれたちで願いを叶えてやろうじゃないか。」

 十文字「な、なに……!?」

 十文字「それはつまり、おれときさまのホモセックスをこの霊に見せるということか……!?」

 りんね「ああ。そうだ。」

 十文字「じょ、冗談ではない! なぜ、おれがきさまなどと……」

 りんね「他に相手がいないんだから仕方あるまい。」

 六文「でも、本気なんですかりんね様?」

 りんね「本気なはずがないだろう。誰が十文字などに掘らせたりするものか。」

 十文字「なんで当然のようにおれが掘る側なんだ。」

 六文「じゃあ、りんね様が十文字を掘るつもりなんですか?」

 りんね「六文。誰が本当にホモセックスすると言った。」

 十文字「……何?」

 六文「しないんですか?」

 りんね「十文字、六文。いいか、よく聞け。」ぼそぼそ

 りんね「この黄泉の羽織を着れば、おれは十文字の身体をすり抜けることが可能だ。つまり……。」

 十文字「ああ、なるほど……。」

 六文「さすがりんね様! 着衣プレイしてるように見せかけて、お金をまんまと頂く作戦ですね!」

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> りんねの黄泉の羽織は 着た者を幽体化させる高級品なのだ。 <
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 りんね「やるふりだけで500円以上もの大金がもらえるんだ。やらない手はないだろう。」

 十文字「ううむ……。そんなはした金など別に欲しくはないが、それであの女が満足して成仏できるというのなら、協力してやってもいいか……。」

 六文「決まりですね!」

 りんね「よし。おれに付いてこい、BL霊! おれとこいつのホモセックスを見せてやる!」

 女「ああ、ついに本物のホモセックスが見られるのね!」どきどき

〇廃屋となった高校クラブ棟・りんねの家(夕方)

 りんね「どうだ十文字!?」腰フリフリ

 十文字「ああーっ! いいーっ! いいぞぉ六道ーっ!(演技)」

 女「ああ……これが夢にまで見た本物のホモセックスなのね……!」

 六文「もうそろそろ成仏できそうですか?」

 女「んー。もうちょいかなー。」

 りんね(くっ……これは想像以上にキツイ!)

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> 何もない空中で腰を振り続けるのは 腰への負担がやばいのだ。 <
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 りんね(だがおれは負けん! 耐えてみせるぞ!)

   ※ ※ ※

 桜「六道くん、いるかな?」

 桜「六道くーん、うちのママ(39)がしょうが焼きを作りすぎちゃったから、お裾分けに……」がちゃっ

 りんね「うおおーっ! どうだ十文字!?」腰フリフリ

 桜「えっ……」

 十文字「ああーっ! いいーっ! いいぞぉ六道ーっ!(演技)」

 れんげ「うっさいわね! さっきから一体何の騒ぎよ!?」がちゃっ

 十文字「おっほー! これはやばいぞ! 昇天しそうだーっ!」

 れんげ「えっ……!?」

 十文字「あっはー! いくいくいっくー!」

 桜「……」

 れんげ「……」

 六文「あ、桜さまとれんげ、いつの間に……。」

 十文字「な、何!?」

 りんね「ぬおっ!? ま、真宮桜!? れんげ!? いつからそこに!?」

 ばたん

 りんね「ああっ!? ま、まてっ、真宮桜!! これは誤解だーっ!!」

 十文字「真宮さん!? 違うんだよーっ!!」

 女「隠れて愛を育んでいた二人の関係は、こうして広く人の知るところに……。」

 女「なんてすばらしい展開なの! ああ、もう思い残すことはないわ……!」

 女「いいものを見せてもらいました、ありがとう……。」スッ……

 六文「あ、成仏するみたいですよ。」

 ちゃりんちゃりーん

 六文「わーい! 見てくださいりんね様! は、801円も落ちてきましたよ!」

 りんね「なぜだ……。おれは何も失っていないはずなのに、何か大きなものを失った気がする……。」

 十文字「真宮さん……おれたちのことを誤解していなければいいが……。」

〇路地(夕方)

 桜(はあ……。)

 桜(六道くんと翼くん……うっかりあの霊に汚染されちゃったんだ。)

 桜(腐った霊に汚染されないうちに帰るよう私に勧めておきながら、自分たちが……。)

 桜(猿も木から落ちるってやつなのかな。)

 桜(何も見なかったことにしてあげよう。)

_人人人人人人人人人人人人人人_
> 思いっきり誤解していた。 <
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〇三界高校・教室(翌朝)

 りんね「な、なあ、真宮桜。昨日のことだが……。」

 桜「心配しなくていいよ。あのことなら誰にも言わないから。」

 桜「私よりもれんげの口止めしたほうがいいと思うよ。」

 十文字「だからぁ! 違うんだよ真宮さーん!」

 りんね「真宮桜! 頼むから話を聞いてくれーっ!」

 れんげ「そこのBL野郎二人! うっさいわね!」

 ミホ・リカ「BL野郎二人!?」

 クラスメートたち「ひそひそ」

     完

 https://youtu.be/_Xm6UA-TwfU

修正

>>12
りんね「ひ、拾った!? 五百円玉もの大金をか!?」

りんね「ひ、拾った!? 500円もの大金をか!?」


>>16
りんね「やるふりだけで500円以上もの大金がもらえるんだ。やらない手はないだろう。」

りんね「やるふりだけで500円以上という大金がもらえるんだ。やらない手はないだろう。」

なかなか雰囲気が出ていたぞ、乙

りんね「沫悟くん。おれの体、いくらで買ってくれる?」

酷い内容なのに無駄に再現度高くてワロタww

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