葵（私はパンケーキが大好き）

葵（ふわふわの生地に生クリームやフルーツがたくさん乗った光景は想像するだけで興奮する）

葵（だけどパンケーキのお店、ここからだと少し遠い。流石に今から着替えて行くのは難しいわね）

葵（今夜はリンク・ヴレインズにも行く予定だし。最悪普通のホットケーキでも良いんだけど……）

葵「あっ、そういえば」

…………

葵（確か買い置きがあったはずなんだけど……）ﾄﾀﾞﾅｶﾞｻｺﾞｿ

葵「あった」


『北海道チーズ蒸しケーキ』


葵（最近ネットで見た。チーズ蒸しパンをオーブンで焼くととても美味しいらしい）

葵（蒸したパンを焼くという発想は正直なかった。無論これがパンケーキの代わりになるかは分からないけど）

葵「まあせっかくの機会だしちょっと作ってみましょうか。そんな難しいものでもなさそうだし」

…………

台所……

葵（えっと、まずはチーズ蒸しパンに切れ込みを入れる……こうする事で火が通りやすくサクサクに仕上がる、か）←アイフォンからネットでレシピ見てる

葵「縦向き（長い方）にして真ん中に大きく１本……横向きにして等間隔に３本くらい……」

葵（こんな感じでいいのかしら？　で、切れ込みの所にバターを挟むのね）

葵「…………」

葵「アローヘッド確認！　召喚条件はチーズ蒸しパン１個とバター少量！！」ｷﾘｯ

葵「…………」

葵「……何やってんだろう、私///」

葵（さて、後はオーブンで焼くだけ……本当にあっという間ね）

葵「……あれ？」

葵（幾つかレシピあるから見てみたけど、焼き時間がバラバラだわ）

葵（ああ、そうか。家によってオーブンの温度とか違いがあるものね）

葵（基本は４～５分みたいだけど……これは目視で判断した方が良さそうね）

葵「という訳で……私はチーズ蒸しパンをオーブンにセット！」←またちょっとデュエリスト入ってる

…………

葵「…………」ｼﾞｰ←オーブン覗いてる

葵「…………」ｼﾞｰ

葵「走る青春の～１ページ～最初は～真っ白から～♪」ｵﾃﾃﾌﾘﾌﾘ

葵「なんだか～ワクワクし～ちゃうね～♪」ｵｼﾘﾌﾘﾌﾘ

葵「…………」ｼﾞｰ

葵（本当にワクワクして来た）ﾜｸﾜｸ


※現在葵ちゃんはとてもテンションが高いです。

…………

チン♪

葵（うん、焦げ目も良い感じ。よくやったわ、私）

葵「飲み物は……牛乳で良いわね」

葵（後はこれに蜂蜜を掛けて食べるのね。何か凄く甘そうな気がする）

葵（でもやっぱり元はチーズ蒸しパンのせいか見た目がちょっと寂しいわね）

葵（私が食べたかったパンケーキにはほど遠いけど……まあ仕方ないわ）

葵（物は試しよ。何事も挑戦は大切な事だもの）

葵「いただきます」

葵「…………」

葵「…………」ﾊﾟｸｯ

葵「…………」ﾓｷｭﾓｷｭ

葵「！」ｶﾝｺｰﾝ☆

葵（何これ？　何これ！？）

葵（外はサクサク！　中はふわふわ！）

葵（予め仕込んでいたバターが生地に染み込んで、さらに蜂蜜も掛かって……）

葵（正直かなり甘いけど、それが逆に素晴らしい！）

葵（本当にこれチーズ蒸しパン？　とてもシンプルだけど美味しいパンケーキを食べているみたい！）

葵「ごくごくっ……ふぅ」

葵（飲み物は牛乳で正解だったわね。このチーズ蒸しパンには相性抜群だわ）

葵「はふはふ……」

葵「ごくごくっ……」

葵「はふはふ……」

葵「ごくごくっ……」

葵（熱々のチーズ蒸しパンを頬張り）

葵（それを冷たい牛乳で流し込む）

葵（まさにこれこそがコンボだわ。私の舌の上では今、夢と希望のサーキットが描かれている！！）

～～～葵ちゃんの脳内映像～～～

ぴょーん！

エビ頭の少年「俺はレベル４のモンスター２体でオーバーレイ！　２体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築！！」

エビ頭の少年「エクシーズ召喚！　現れろ、希望皇ホープ！！」

ホープ「ホオオオオォォプ！！！」

全裸の幽霊「これで勝利への方程式は全て揃った！」

エビ頭の少年「美味しさのかっとビングだ、葵ぃぃぃぃぃ！！！！！」


ドゴオオオオオオオオン！！！


～～～～～～～～～～～～～～～

葵（…………）

葵（……ああ）

葵（美味しさで、私の心はぶっとビング……）

葵（…………）

…………

葵の部屋……

葵「…………」ﾎｯｺﾘ←ベッドで横になってる

葵（美味しかった。思わずもう１個作って食べてしまった……流石にちょっと胸焼けしてるけど幸せ）

葵（そういえばアイス乗せても美味しいって書いてたわね。今度作る時はスーパーカップも買っておこう）

葵「それにしても何で私こんなに枕持ってるんだろう……ん？」

ウィィィン……！←アイフォンのバイブ音

葵（お兄様？）ﾋﾟｯ

晃『葵か？』

葵「こんばんは、お兄様。どうしたんです？　今日は会議があるのでは？」

晃『それが急に中止になってな。今日はもう帰る事になった』

葵「本当ですか！」ﾊﾟｧｧ

晃『それでだな……久々に２人で外で食事でもしないか？』

葵「お兄様とお食事……ええ！　勿論行きます！」

晃『実はもう予約もしてある。葵が好きなパンケーキの店をな』

葵「…………」

晃『ん？　どうした？　葵、パンケーキ好きだろう？』

葵「え、ええ！　大好きです！　楽しみにしてます、お兄様！！」

晃『ではすぐに戻る。私が帰って来るまで準備を済ませておけ』ﾋﾟｯ

葵「…………」

葵「…………」

葵「……うあーーーー」

＜おわり＞

読んでくれた人、ありがとうございました。

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