姫君は魔王に見初められ、魔王城へと連れ去られてしまった。
しかし、それから半年ほどで勇者とその仲間達に救い出され、生まれ故郷に無事帰ることができたのである。
姫「ああ……私、帰ってこられたのね、この国に!」
王「おお姫よ、よく戻ってきてくれた」
姫「お父様!」
姫は父である国王の胸に飛び込んだ。
王「怖かっただろう、もう安心だ」
王「勇者よ、よくぞ姫を救い出してくれた」
王「長旅で疲れておるだろう。今日はゆっくり休み、明日に再び城に参るがよい」
勇者「は」
国民は姫と勇者の帰還を祝福し、祭りの準備を進めた。
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翌日
執事「陛下、勇者様がいらっしゃいました」
王「うむ、通せ」
姫(勇者……ああ、今日も素敵だわ)
姫(整った顔立ち、鍛え抜かれた肉体、勇敢な心)
姫(子供の頃からかっこよかったけれど、あんなに立派に成長するなんて)
王「勇者よ、なんでも望みを叶えようぞ」
勇者には既に金銀財宝が与えられることが約束されている。
国王は、それとは別に勇者の望みを叶えようとしているのだ。
地位も、役職も、勇者は欲しいものを思いのまま手にすることができる。
姫(勇者は一体何を望むのかしら)
勇者「私に与えられる財宝を、福祉に充てていただきたいのです」
勇者「貧しい民が苦しみに喘いでいる様を、私は嫌というほど目にしました」
王「おお、なんと清らかな心をもっておるのだ……」
王「わかった。望みどおりにしよう」
姫(勇者……やっぱり、私、彼が好き)
王「……ところで勇者よ。わしから1つお願いがあるのだが」
王「この姫を……どうかもらってやってはくれぬか」
姫「お、お父様!?」
王「どうやらお主を好いているようでな」
勇者「……僭越ながら」
勇者「私は、仲間である魔法使いと将来を誓っております故」
姫「え……」
王「……そうか。ならば忘れてくれ」
姫(そう……だったんだ……)
夕時
姫「ごめんなさい、呼び出したりして」
勇者「いえ」
姫「……覚えてる? このお庭で、一緒にお花を見て、いっぱい遊んで……」
姫「結婚の約束をしたこと」
勇者「はい」
勇者「我が祖先は剣の腕を買われ王家の近衛に抜擢されましたが、元は平民」
勇者「私と姫様が結ばれるなど、あってはならないこと」
勇者「私はまだ幼く、姫様との身分の差もわきまえておりませんでした」
姫「そうね、あれはあくまで子供の約束だった」
姫「でも、私……あの頃も、今も、あなたことが好き」
勇者「……申し訳ございません」
姫「今はもう、魔法使いのことだけを愛してるのね」
勇者「はい」
姫「…………」
夜
姫「……はあ」
姫(お父様に慰めてもらおう)カツカツ
姫(? お父様の部屋の中から、話し声が聞こえる)
王「困ったものだ」
王「これから、姫をどう扱えばいいのやら」
執事「……良い嫁ぎ先が見つかるといいのですが」
姫「……?」
王「仮に姫を取り戻すことができたとしても、まともな結婚は無理であろうことはわかっていた」
王「勇者が姫と結婚してくれたならば、全て丸く収まったのだが」
執事「貴族達は皆『魔王に傷物にされた姫様との結婚などごめんだ』などと……」
執事「嘆かわしいことです」
姫「……!?」
姫「お父様!」
王「姫!?」
姫「私、傷物になんてされていないわ!」
姫「ただ閉じ込められて、着飾らせられて、まるでお人形のように観賞されていただけだもの」
王「いくらおまえがそう言っていても、猜疑心の強い貴族共は誰も信じないのだよ」
姫「そんな……じゃあ、私……これから一体どうすれば……」
王「男に攫われた女は、助けられても後ろ指をさされてしまう運命なのだ」
王「我が娘よ、可哀想に……」
姫「なら助けなければよかったじゃない!」
王「魔族の巣窟で、おまえが怖い思いをしていると思うと、助けずにはいられなかったのだ」
王「……大丈夫だ。もう命の危険はない。父がおまえを守ってやる」
姫「大丈夫じゃ……ないじゃない……」
姫(一国の姫が、どこにも嫁げないなんて国の威信に関わるわ)
姫(お父様だっていつまで生きておられるかわからない)
姫(勇者にもフラれて、私……私……!)
姫「…………」
姫(勇者は、こうなることを知っていたのかしら……?)
姫は駆け出した。勇者の屋敷に向かって。
貴族1「姫様、良かったよな、助かってさ」
貴族2「でも勇者は魔法使いにお熱だそうだぞ。姫様と相思相愛に見えたんだがなあ」
貴族1「おまえ姫様に憧れてただろ。今ならチャンスだぞ」
貴族2「いやー流石に魔王のお手付きはちょっと」
姫「…………」
「考えることを知らない平民共は素直に喜んでるみたいだな」
姫(どうして……?)
「穢れた姫君なんていない方が国のためなのにな」
姫(昔は……昔はみんな、私を愛してくれていたのに)
「だからって、助けなかったら国の体裁が悪くなる。陛下も大変だな」
姫(この国の愛の象徴として、みんな私を褒め称えて、笑顔を向けてくれたのに)
「非処女の姫さんと結婚しようとする物好きなんているのかねえ」
姫(今の私は、もう……望まれていないの?)
姫「はあ、はあ」
姫(勇者……!)
魔法使い「ねえ勇者、あんたお姫様のこと好きだったんでしょ?」
魔法使い「あれで良かったの?」
勇者「ああ」
魔法使い「お姫様だって期待してたみたいじゃない、あんたとの将来を」
魔法使い「魔王城からの帰り道でだって、お姫様はいつもあんたを見つめてた」
魔法使い「どうしてあたしなんかに心変わりしたのよ」
勇者「初恋は実らないもんだよ」
魔法使い「……」
勇者「姫様が魔王に好き放題されてると思ったら……姫様への憧れが汚れていくのを感じちゃってさ」
勇者「姫様は魔王に何もされてないことは魔王の発言からわかったけど」
勇者「その時には、俺はもうおまえに本気になってたし」
魔法使い「そう」
魔法使い「……あんたに来客みたいよ」
姫「…………」
姫は雨に濡れている。
勇者「……姫様」
姫「ねえ、勇者……知ってる? 私、もう、愛されてないの」
姫「私なんていない方がいいんですって」
姫「勇者……あなたは、わかってたの?」
勇者「……そうなるかもしれないことは、想像がついていました」
姫「……そうなんだ」
姫「ねえ、どうして私を助けたの? 勇者様」
勇者「……この国のためです」
勇者「あなたがいない間、国王陛下はひどく心を痛めておられました」
勇者「政がままならなくなるほどだったのです」
勇者「あなたを助けないわけにはいきませんでした」
勇者「国民達も、国の愛と美、平和の象徴であったあなたを魔族に奪われ、絶望し」
勇者「国の、特にこの町の生産力が大きく低下してしまったのです」
姫「そんな理由で助けたって、どうせすぐに国民も私に失望するわ」
姫「もう嫁がなきゃいけない年頃なのに、結婚できないまま、私は汚いんだって認識だけが広まったら……」
姫「この国中が私を忌み嫌うようになる」
勇者「…………きっと、いい相手が見つかります。私も探します」
姫「私を振った癖に無責任なこと言わないで!!」
勇者「…………」
姫「あはっあはははは……あなたが私と結婚してくれたら良かったのに!!」
勇者「魔法使い……どうしよう」
魔法使い「あたしに聞かないでよ。あんたのせいでしょ」
勇者「ええーだって……仕方ないだろ……」
姫「……もういい」
姫「さよなら、勇者様」
姫「あなたはいいよね、これからもみんなから愛され続けるんだもの」
姫「はははは……あはは……」
姫「ははははははははははははははははははははははははは」
姫「ははははははははははははははははははははははははは」
姫「ははははははははははははははははははははははははは」
姫「ははははははははははははははははははははははははは」
姫「ははははははははははははははははははははははははは」
姫(助からなきゃよかった)
姫(こんな目に遭うなら、魔王に飼われていた方が、よっぽどマシだったわ)
姫(いっそ、身を投げてしまおうかしら)
姫(いいえ、ただ死んでも、私がいない方が都合の良い連中が喜ぶだけ)
姫(それに、お父様を悲しませたくない)
姫「…………」
姫(そうだわ、私が『汚れていること』をみんなが忘れてしまうほど、)
姫(衝撃的な事実を新しく作り出せばいいんだわ!)
その日を境に、姫は行方を晦ませた。
王「姫よ……一体何処に……」
執事「姫様を疎ましく思った他の王族が暗殺したとの噂が立っております」
王「くう……」
数ヶ月経ったある日、謁見の間の扉が荒々しく開かれた。
王「お、お主は」
姫♂「お父様、ただいま戻りました」
姫♂「身も心も男になって参りました。もう、私が穢れた女であったことを気にする者などいないでしょう」
秘境の秘術により男となった元姫は、馬鹿にしてくれやがった男共の恋人をすべて誑し込み、そして勇者の妻となった魔法使いをも寝取って幸せに国を統治しました。
微妙END
自殺エンドの予定を無理矢理ハッピーにしたらゴミになったわクソ
処女厨王国
もっと頑張れ
ナハトさんが話してた童話のパクリ
幸せではないと思った
ハッピーエンドでない上に内容もお粗末な塵
勇者が姫と結婚して魔法使いを妾にすれば丸く収まる
ハッピー風エンド
姫は復讐を成し遂げたんだから、まぁ良い終わり方じゃね
作者の頭がハッピーエンド
泣き寝入りするよりはいいエンドだと思う
だがもう少しがんばれ
乙
お湯を被って貴族どもも寝取れ
まあ人死にが出るよか良いオチだと思う
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