バーゼ「あお!流れ星だよ!」 あお「え、あ!願い事しなくちゃ!」 (5)

 



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あお「えーと!えーと!」

バーゼ「あー、流れ星終わっちゃった」

あお「ううう、折角のチャンスだったのに……」

轟雷「あお、何がチャンスだったのですか?」

あお「うん、願い事のチャンスだよ」

轟雷「願い事?」

あお「流れ星が消えないうちに願い事を三回唱えると、それが叶うって言い伝えがあるの」

轟雷「ほう、そんな言い伝えが……」

バーゼ「まあ、流れ星が消えるまでに三回唱えるなんて絶対無理なんだけどね~」

あお「まあねえ、私も何度か流れ星見てるけど、願い事三回唱えられたことなんてないし」

轟雷「あおには、そこまでして叶えたい願いがあるのですか……」

轟雷「あお、その願いを私に言ってみてください!」

あお「へ?」

轟雷「もしかしたら、私にも何か手伝えることがあるかもしれません!」

あお「ええ~、無理だと思うんだけどなぁ……」

バーゼ「駄目もとで言っちゃえ言っちゃえ~!」

あお「んんー、最近ね、お父さんとお母さんに会えてないから、夏休みくらいは一緒に過ごしたいなって」

轟雷「ご両親と……」

バーゼ「あおの両親って、海外赴任なんだっけ~?」

あお「うん、えーと、日程通りだと確か、今は太平洋の上で船旅って感じかな」

轟雷「……」

7月20日 午前2時16分


残されたのは私だけになった。

最後まで抵抗していた船長も、もう居ない。


私は、五番倉庫の中で座り込んでいる。

体が冷える。

恐らく、船内の暖房機能が死んでしまっているのだろう。


入口の外からは、音がする。

カリカリ、カリカリと、何かが引っかく音が。

中に入ってこようとする音が、聞こえる。


もう希望は何も残っていない。

どうして。

どうして、こんな事になってしまったのだろう。


あの時、船長の意見を聞かなければ、こんな事にはならなかったのだろうか。

そうだ、あの時、全員で武装して対処していれば、こんな事には……。


ああ、けれども、もう遅い。

全てはもう遅いのだ。

奴等は解放されてしまった。

箱の中から、解き放たれてしまった。


私は、思い返す。

あの時の出来事を。


そうだ、全ては船内に物資を運び込んだ時から始まった。

7月15日 午後17時04分


荷物係「船内への物資搬入完了しました~」

船長「はい、ご苦労さま、荷物の状態はどう?」

荷物係「異常はないですね」

荷物係「梱包状態も正常ですし、傷がついてる様子もありません」

荷物係「ただ……」

船長「ただ?」

荷物係「コンテナが、一つ多いんです」

船長「多い……とは?」

荷物係「文字通りの意味です、リストにないコンテナが一つだけ存在します」

荷物係「まあ、多分配送元のミスだと思うますけど……」

船長「いえ、配送元にミスはありえないわ」

船長「あの荷物がここに来るまでに何十もの検査が行われてるのよ」

船長「そこには数だけじゃなくて重量的な検査もあったはずよ」

船長「それを潜り抜けてここまで来たって言うことは……」

荷物係「……誰かが、故意にこのコンテナを紛れ込ませたって事ですか?」

船長「可能性としては十分有り得ることよ」

荷物係「考えすぎだと思いますが……どうします、開けて確認します?」

船長「嫌よ、私の船の中でそんなワケの判らない物を開けるのは」

船長「……そうね、五番倉庫が空だったでしょう、あそこに入れておきましょう」

船長「仮に荷物が爆発物だったとしても、あそこなら被害を最小限に抑えられるわ」

荷物係「はーい」

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