ヴィーネ「ガヴ、一緒に帰りましょう!」
ガヴ「ごめん、今日バイト」
ヴィーネ「ガヴ、一緒にかえ」
ガヴ「今日は試食部に出るから」
ヴィーネ「ガヴ、一緒に」
ガヴ「悪い。ダッシュで帰って、ラフィとゲームするから」
ヴィーネ「ガヴ・・・」
ガヴ「すまんす」
ヴィーネ「最近、ガヴが一緒に帰ってくれない・・・」
ヴィーネ(夕暮れの道をとぼとぼ一人で帰る)
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ヴィーネ(けしてガヴに避けられているわけではない)
ヴィーネ(何かしら用事があって私と帰れないだけだ)
ヴィーネ(ガヴが忙しいのはいいことだ)
ヴィーネ(部屋に閉じこもっていたガヴが、バイトをしたり、部活をしたりするなんて大きな進歩だ)
ヴィーネ(ラフィとゲームするのも悪いことじゃない)
ヴィーネ(一人でいいと思っていたガヴが他者と社会と関わろうとするのはいいことなのだ)
ヴィーネ(私はそれを否定しない)
ヴィーネ(でも、私との時間は減っていた)
ヴィーネ(いや、ご飯は作りに行くし、掃除もしにいく)
ヴィーネ(関わりが減っているわけではない)
ヴィーネ(けれど、それはいつも私からの行動で)
ヴィーネ(ガヴからの誘い、お願いではない)
ヴィーネ(そうだ、いつも私からだ)
ヴィーネ(海に行くのも、初詣も、ハロウィンもクリスマスも)
ヴィーネ(そう、誘うのはいつも私からなのだ)
ヴィーネ(なんだかんだでいつも付き合ってくれるので、嫌がっていないと思っていた)
ヴィーネ(けど、本当はうんざりしていて)
ヴィーネ(私のことなんか、面倒で、邪魔で、お節介で、)
ヴィーネ(必要ないのかもしれない)
ヴィーネ(・・・なんてね。そこまで深刻ではないだろう)
ヴィーネ(でも、なくても困らない。あったら便利だ)
ヴィーネ(どうせ、そんなもんなんだ、私は)
ヴィーネ「はぁ・・・」
ヴィーネ(大きくため息をつく)
ヴィーネ(ああ、ただガヴと話したいだけなんだ)
ヴィーネ(一緒に帰って、今日はあの授業が眠かったとか、つまらなかったとか)
ヴィーネ(あそこのクレープが美味しいとか、最近あのアニメが面白いとか)
ヴィーネ(他愛もないことを共有したいんだ)
ヴィーネ(そんな些細な物を知り合いたいぐらい)
ヴィーネ(どうしようもなく、ガヴのことが・・・好きなんだ)
ヴィーネ(そんな気持ちをガヴは知らない、知るはずもない)
-教室・放課後-
ヴィーネ(どんなに辛くても、一日はすぐ終わり、私は性懲りもなく繰り返す)
ヴィーネ(今日は違うかも。今日は答えてくれるかも)
ヴィーネ(そんな淡い希望を抱いて)
ヴィーネ「ガヴ、今日は一緒に・・・帰ろう?」
ガヴ「ごめん、今日は試食部に出る約束していて、な」
ヴィーネ(そして、希望は今日も打ち砕かれる)
ヴィーネ「そ、そう。じゃあ部活頑張ってね」
ヴィーネ(ガヴがじゃあなと言い、教室から出ていく)
ヴィーネ(変わらない。今日も私は繰り返す)
ヴィーネ(失望を抱いて、家に帰り、絶望に伏す)
サターニャ「ヴィネット、カラオケ行くわよ!」
ヴィーネ「へ?」
ヴィーネ(机でうなだれていた私に突然、サターニャが話しかけてきた)
サターニャ「そう、カラオケよ!私の美声に酔いしれるのよ」
ヴィーネ「ごめん、今日は気分じゃないかも」
サターニャ「むー」
ヴィーネ(じっと睨んでくる)
ヴィーネ(こっちが行く!というまでずっとこうしているのだろう)
ヴィーネ(良くも悪くも図々しい)
ヴィーネ(私とは違う)
ヴィーネ「・・・!」
ヴィーネ(そうか、私にはこの図々しさが足りないのではないか)
ヴィーネ(ガヴに一度断られたらすぐ折れてしまう)
ヴィーネ(逃げてしまう、諦めてしまう)
ヴィーネ(でも、)
サターニャ「えっ、ヴィネット、突然立ち上がって、えっ、廊下に出て行って」
ヴィーネ(廊下に出たら、遠くに歩いているガヴを見つけた)
ヴィーネ(図々しくていい。私も生意気でいい)
ヴィーネ「ガヴーーーーーー!!」
ガヴ「!!」
ヴィーネ(突然、名前を呼ばれたガヴが振り返り、驚いた顔で私を見る)
ヴィーネ「待っているから。図書室で待っているから。部活終わったら一緒に帰ろう!」
ガヴ「お、おう。わかった」
ヴィーネ(そう、これでいいんだ。図々しくていいんだ)
サターニャ「はは、私のことは無視…ヒトカラ行くか…」
-図書室-
ガヴ「待たせたな」
ヴィーネ「ううん、勉強していたから大丈夫よ」
ガヴ「うん、じゃあ帰ろうか」
ヴィーネ「うん、帰りましょう!」
ヴィーネ(久しぶりのガヴとの帰り道だった)
ガヴ「私も試食部でちょっと料理の練習しているんだ」
ヴィーネ「ガヴが料理?どうせお湯入れるだけでしょ?」
ガヴ「あー馬鹿にして!ヴィーネには食べさせてあげないからな!」
ヴィーネ「ごめんごめん、いつか大人になったら食べさせてね」
ガヴ「そんなにかからないから!」
ヴィーネ「ハハハ」
ヴィーネ(くだらない話でもとても楽しくて)
ヴィーネ(この時間が大切で愛おしくて、離したくなかった)
-教室・放課後-
ガヴ「今日はバイトだけど」
ヴィーネ「いいの。私も本屋に行きたいから途中まで一緒に帰りましょう!」
-別の日-
ガヴ「ラフィとゲームするんだけど」
ヴィーネ「私も後ろで見ていていい?ついでに料理もつくるわ!」
ガヴ「お前がそれでいいならいいけど・・・」
ヴィーネ(これでいい)
ヴィーネ(ガヴと一緒にいる時間は増えていて、楽しかった)
ヴィーネ(間違っていない。これが正解だ)
ヴィーネ(そう、思っていた)
-帰り道-
ヴィーネ「ここのコロッケ美味しいのよ。ちょっと買っていきましょう、ガヴ」
ガヴ「なあ、ヴィーネ」
ヴィーネ「えっ、何、ガヴ?」
ガヴ「お前、最近無理してない?」
ヴィーネ「え」
ヴィーネ(私が、無理? 無理ってどういうこと?)
ヴィーネ「全然。全然、無理していないよ」
ガヴ「わざわざ部活終わるまで待っていたりさ、興味ないゲームを後ろで見ていたりさ」
ガヴ「本屋に寄るのだって、だいぶ遠回りだろ」
ヴィーネ「そんなことないわよ。全部私がやりたくてやっていることだわ」
ガヴ「そう?私に構ってばかりで損していない?」
ヴィーネ「損?損って、ガヴにはそう見えるの?」
ヴィーネ「ガヴと一緒に帰るのが、話すのがマイナスなの?」
ガヴ「そんなことはないけどさ」
ヴィーネ「…迷惑なの?」
ガヴ「いや、迷惑じゃないけどさ。なんか悪いなって」
ヴィーネ(わかってない。ガヴは全然わかっていない)
ヴィーネ(私はガヴと話すのが何よりも楽しくて、大好きなのに)
ヴィーネ(それが損?ありえない。悪いはずがない)
ガヴ「もう止めよう」
ガヴ「わざわざ図書室で待ったり、私のバイト先まで付き合ったりしなくていいから」
ヴィーネ「だって、それじゃあガヴと話せない」
ガヴ「へ?私と。いや、私はいつでも教室にいるし、家にいるじゃん」
ヴィーネ「いるけど、いるけど、いないじゃん!いないの!」
ガヴ「どういうことだよ・・・」
ヴィーネ(伝わらない気持ちがもどかしくて)
ヴィーネ(気持ち悪くて、吐き気が止まらなくて)
ヴィーネ「だって、」
ヴィーネ(言葉を止めるダムが崩壊した)
ヴィーネ「だって、ガヴが構ってくれないだもの!」
ヴィーネ(吐き出した言葉は止まらない)
ヴィーネ「何処かに行くのも、誘うのはいつも私ばかり」
ヴィーネ「ガヴからお願いされたことあった?」
ヴィーネ「あー課題見せてとか、宿題教えてとか、そういうお願いはあったわね」
ヴィーネ「でも、それってただの便利屋でしかなくて、友達としてのお願いじゃないよね」
ヴィーネ「ほら、ないんだ」
ヴィーネ「だって、ガヴは私のことが嫌いなんでしょ?鬱陶しいんでしょ?」
ヴィーネ「だから、私にお願いしないし、私を必要としないし」
ヴィーネ「私と帰らない」
ガヴ「ヴィ、ヴィーネ、ちょっと待てよ」
ヴィーネ(ガヴが私の腕を掴む)
ヴィーネ「嫌、放して」
ガヴ「ちゃんと話聞け」
ヴィーネ(ガヴの顔を睨む)
ヴィーネ「嫌い、ガヴなんて大嫌い!!」
ヴィーネ(手の力が弱まる)
ヴィーネ(その隙に私は全力で走って逃げる)
ヴィーネ(後ろを振り返らない)
ヴィーネ(ただただ闇へと走る)
-ヴィーネ家-
ヴィーネ(…やってしまった)
ヴィーネ(ひとしきり泣き、涙も枯れた)
ヴィーネ(そんなつもりはなかった。ガヴを責めるつもりはなかった)
ヴィーネ(やってしまった)
ヴィーネ(もう戻れない。もう戻せない)
ヴィーネ(私はなんてことをしてしまったんだ)
ヴィーネ「嫌い、ガヴなんて大嫌い!!」
ヴィーネ(私の言葉に、ガヴは呆然とした顔をしていた)
ヴィーネ(彼女を傷つけてしまった)
ヴィーネ(いよいよこれで私も完全にお払い箱だ)
ヴィーネ(自分から用済みになってしまった。悪魔と化してしまった)
ヴィーネ(いや、遅かれ早かれこうなっていたんだ…)
ヴィーネ(ガヴには、無理していると思われていた。間違っていたんだ、不正解だった)
ヴィーネ(あぁ、世界滅びないかな…)
ヴィーネはむしろ我は強いタイプだと思ってた
ヴィーネ(次の日、学校を休んだ)
ヴィーネ(カーテンを閉めた真っ暗な部屋の隅に座り、ただただ暗闇を見つめる)
ヴィーネ(何もやる気が起きず、帰ってから何も口にしていない)
ヴィーネ(このまま滅ぶのを待つだけだった)
ピンポーンピンポーン
ヴィーネ(インターホンの音が聞こえる)
ヴィーネ(・・・うるさい)
ドンドンドンドン
ヴィーネ(ドアを叩く音に変わった)
ヴィーネ(ウルサイウルサイウルサイ)
ヴィーネ(ゆっくりと立ち上がる)
ヴィーネ(ノイズは止まない)
ガヴ「ヴィーネ、いるんだろ、ヴィーネ開けろよ」
ヴィーネ(ガヴの声が聞こえた)
ヴィーネ(何でガヴが?今は学校の時間だ)
ヴィーネ(いや、それより、あんなこといったのに何でガヴが?)
ガヴ「お前が開けないというなら、無理やり開けるからな?」
ヴィーネ(仕方がない。渋々ドアを開ける)
ガヴ「やっぱりいるじゃん」
ヴィーネ「何?」
ガヴ「ひどい顔しているな、寝てないの?」
ヴィーネ「ガヴには関係ない」
ガヴ「関係なくない」
ヴィーネ「・・・ふん」
ガヴ「ごめん、ヴィーネ」
ヴィーネ「何がよ」
ガヴ「私、ヴィーネのこと全然わかっていなかった」
ガヴ「お前に甘えていた」
ヴィーネ「…そう」
ガヴ「まぁ、なんだ、こんな所で立ち話もあれだから、何処か食べに行こう」
ガヴ「何も食べていないんだろ?」
ガヴ「ヴィーネ、私からのお願いだ。私とご飯食べに行こう」
ヴィーネ(ずるい)
ヴィーネ「…着替えるから10分待って」
ヴィーネ(ガヴからお願いされたら、断れるわけない)
ヴィーネ(あんな落ち込んでいたのに、チョロいな私…)
すみません、イベント行った勢いで書いたが、眠気には勝てないので続きは明日…。
行ったのか裏山
期待してる
期待7
悪魔と化したって元から悪魔じゃんかわいい
あとサターニャちゃんとばっちりかわいい
続き書きます。
-ファーストフード-
ヴィーネ「何も食べていない人をマッ〇に連れていくってどうなの…」
ガヴ「えっ、〇ックいいじゃん。ランチだとセット安いし」
ヴィーネ「久しぶりに食べるのが油物ってね…」
ガヴ「文句言うなよ、はい」
ヴィーネ(ガヴがポテトを掴み、差し出す)
ヴィーネ「え、何?」
ガヴ「ん」
ヴィーネ(食べろってこと?)
ヴィーネ(ガヴが私をじっと見る。あぁ、もうっ!)
パクッ
ガヴ「どうだ?」
ヴィーネ「…美味しいわよ」
ガヴ「じゃあ、はい」
ヴィーネ(次はハンバーガーを持ち、私の口元へ向ける)
ガヴ「あーん」
ヴィーネ(何なの、この状況!嫌いと言った相手に何でこんなことできるの!?)
ヴィーネ(こ、これは羞恥という名の罰なのね!そ、そうよ、ガヴは私を辱めることで罰しているのよ)
ヴィーネ(だから、これは仕方なく、仕方なくなんだからねっ!)
パクッ モグモグ
ヴィーネ(味なんてわからない)
ガヴ「のど乾いたろ、ほら」
ヴィーネ(そして、ガヴはドリンクを差し出し、ストローをこちらに向ける)
ヴィーネ「何なの!?」
ガヴ「えっ、コーラだよ」
ヴィーネ「そういうことじゃなくて」
ガヴ「どういうことだよ」
ヴィーネ(だって、それはさっきガヴが口つけた飲み物で)
ヴィーネ(それを私が飲んだら、か、間接き、キッスになるわけで)
ガヴ「ほら、早く飲めよ。ずっと持っているのもしんどいんだ」
ヴィーネ(そうか、もう世界は滅んでいたのか)
ヴィーネ(だから、これはきっと夢で、夢ならいいことがあってもいいか)
ゴクゴク
ヴィーネ(炭酸の刺激が広がる)
ヴィーネ(まぁ、夢じゃないんですよね…)
ヴィーネ(どうしてこんな状況に)
ヴィーネ(ガヴは平気な顔して、私の使ったストローで飲んでいる)
ヴィーネ「わけがわからない」
ガヴ「えっ」
ヴィーネ(思わず言葉に出ていたらしい)
ガヴ「えっ、だって、ヴィーネが甘えたいって」
ヴィーネ「い、いつ私がそんなこと言ったのよ!?」
ガヴ「その、ラフィガソウダッテ、ゴニョゴニョ」
ヴィーネ「えっ、何!?」
ガヴ「あーごめん、早とちりだった!さあ食べ終わったんだから何処か行こうぜ」
ヴィーネ「いいけど、何処に」
ガヴ「その、あの、えーっと、ユウエンチ?トショカン?、アードウシヨウ」
ヴィーネ(ガヴがぶつぶつ何か言っている)
ガヴ「そ、そう、水族館!水族館行きたいな、私!」
ヴィーネ(ガヴが何か変だ。いつもと違う)
ヴィーネ(でも、必死に私を誘おうとしているので無下にできない)
ヴィーネ「わかったわよ、行きましょう」
ヴィーネ(顔がぱーっと明るくなる)
ガヴ「うん、行こう。善は急げだ!」
ヴィーネ(ガヴが私の手を引っ張り、私を立ち上がらせる)
ヴィーネ(私はその手の温もりに思わず笑顔がこぼれていた)
-水族館-
ヴィーネ(マグロや、小さな魚たちが群れて泳ぐ水槽を二人でぼーっと眺める)
ヴィーネ(イルカショーもペンギンも、アシカも見た)
ヴィーネ(今日のガヴはこれが見たい!あれが見たい!とやたら積極的だった)
ヴィーネ(どう見ても可笑しかった)
ヴィーネ(いつものガヴじゃなかった)
ヴィーネ(そんな元気なガヴは長く続かず、今はエネルギーが切れたみたいだ)
ガヴ「なあ、ヴィーネ。この魚たち何考えて生きているんだろうな」
ヴィーネ「さあ、何も考えていないんじゃない」
ガヴ「何も考えてないのか、そりゃ楽だな、アハハ」
ヴィーネ「…ガヴ、無理してる?」
ガヴ「そんなこと、ない…って言いたいけど、わかっちゃうよな」
ヴィーネ「何で、無理するのよ?」
ガヴ「だって、ヴィーネに嫌われたくないから」
ヴィーネ「…!」
ガヴ「構ってほしいんだろ?構ってくれたら私のこと嫌いにならないんだろ?」
ヴィーネ「違う、あれは本心の言葉じゃなくて…」
ヴィーネ(ガヴは明るいフリをしていて)
ヴィーネ(やっぱり私の言葉に傷ついていて)
ヴィーネ(私が無理をさせてしまっていた)
ヴィーネ「ごめんなさい、ガヴ」
ガヴ「いや、謝るのは私の方だ」
ガヴ「私、ヴィーネといるのが当たり前で、いつもヴィーネから何でもしてくれて」
ガヴ「それに甘えていたんだ」
ヴィーネ「いや、私が好きでやっているだけだから」
ガヴ「それでもだ」
ガヴ「浮かれていたんだ。部活も楽しいし、バイトも慣れたし、新作ゲームも面白いし」
ガヴ「ヴィーネが寂しいのに気づかなかった」
ヴィーネ「何よ、どんだけ私って寂しがり屋なのよ」
ガヴ「私と帰れなくて寂しかったんだろ?」
ヴィーネ(その言葉を否定しない)
ガヴ「寂しくて、一人でカラオケに行ったり、一人で映画見たり」
ヴィーネ「う、ん?」
ガヴ「一人ラーメン、一人回転寿司」
ヴィーネ「え、なにそれ」
ガヴ「挙句の果てに一人焼肉に、一人海水浴」
ガヴ「そりゃ寂しくて、悲しくて、怒りたくもなるよな」
ガヴ「一人ぼっちは寂しいもんな」
ヴィーネ「ちょっと」
ヴィーネ(ガヴを睨む)
ガヴ「えっ、うん」
ヴィーネ「私がいつそんなことしたの?」
ガヴ「え、してないの?一人焼肉?」
ヴィーネ「しないわよ!!何が寂しくて一人で焼くの!?」
ガヴ「だって、ラフィが、ヴィーネさん、最近ガヴちゃんが構ってくれなくて、おひとりさまが加速しているって」
ガヴ「一人で泣きながらカラオケ行ったり、回転寿司行っているって」
ガヴ「だから、最近友達の多いガヴちゃんに嫉妬しているって」
ヴィーネ「だああ、あの悪魔!」
ヴィーネ「そんなことしてないわよ!私は一人ぼっちを謳歌していないわ」
ガヴ「じゃ、じゃあ、何でヴィーネは寂しいの?」
ガヴ「一人ぼっちで何かするのが嫌になったんじゃないの?」
ガヴ「だから、部活したり、バイトしたりで充実している私に嫉妬したんじゃないの?」
ガヴ「だから、嫌いって…」
ヴィーネ(わかっていない、ガヴはわかっていない)
ヴィーネ「そ、それは…」
ヴィーネ(でも、言葉にするのは難しくて、何と言ったらいいかわからなくて)
ヴィーネ「私の寂しいは、寂しいは…」
ヴィーネ(ガヴが私の言葉をじっと待っている)
ヴィーネ(その真剣なまなざしは可愛くて、愛おしくて)
ヴィーネ(それが誰かのものになるのが、寂しかったのだ)
ガヴ「!?」
ヴィーネ(ガヴに顔を近づけ、唇を合わせる)
ヴィーネ(時間にして数秒)
ヴィーネ(水槽の前で堂々と私は、)
ヴィーネ(ガヴにキスをしていた)
ヴィーネ「ど、どう、私の寂しいはこういうことよ」
ガヴ「・・・」
ヴィーネ(ガヴが目を大きく見開き、沈黙が流れるが、やがて彼女が口を開く)
ガヴ「…リップクリーム替えた?」
ヴィーネ「へ?」
ヴィーネ「え、何その感想?」
ヴィーネ「確かに最近リップクリーム買い換えたけど」
ヴィーネ「え、え、私、ファーストキスだよね?」
ヴィーネ(夢の中では何回かしたけど、もしかして夢じゃなかった?)
ガヴ「う、うん。そうだと思うけど」
ヴィーネ(そんなことはない、みたいだ)
ヴィーネ「な、なな、なんで私のリップクリームの味を知っているのよ!?」
ガヴ「あー悪い…たまに借りていたんだ。私、リップクリーム買ってもすぐ無くしちゃって」
ガヴ「だから学校でヴィーネのいないときに、ポーチから借りていた」
ヴィーネ「な、ななななな、なにしているのよ、ガヴ!!!」
ヴィーネ「だから、減りが早かったのね、ってそういうことじゃなくて」
ヴィーネ(私は気づかないうちに何度も間接キスをしていたの!?)
ヴィーネ(ガヴも私の使ったリップクリームを塗りたくって、何度も何度も、そう味を覚えるほど)
ヴィーネ「プシュー」
ガヴ「悪い、勝手に使っていたの悪かった」
ヴィーネ(自分でもわかるほど、顔が真っ赤だった)
ガヴ「まぁキスしといて、今更リップクリームで恥ずかしがるなよ」
ヴィーネ「そ、それとこれは別よ。別なんだから!!」
ガヴ「わかったから」
ヴィーネ「何がよ!?」
ガヴ「ヴィーネの気持ちはわかったから」
ヴィーネ「・・・」
ガヴ「とりあえず注目浴びてるからここから去らない?」
ヴィーネ「え?」
ヴィーネ(周りを見渡すと、職員さんや、幼稚園児や、老夫婦や、色んな人が大きな声で喋っていた私たちを見ていた)
ヴィーネ(…いい見世物だった)
ガヴ「さあ、お姫様逃げよう」
ヴィーネ(ガヴが私の手をぎゅっと握り、引っ張る)
ヴィーネ(そして、一緒に駆け出し、観客から遠ざかっていく)
ヴィーネ(…なぜか、観客たちは拍手をしていた)
ガヴ「もう寂しい思いはさせないから」
ヴィーネ(気づいたら走りながら、涙が零れながら、笑っていた)
ガヴ「明日も、明後日も一緒に帰ろう、ヴィーネ」
ヴィーネ「うん、大好きガヴ」
ヴィーネ(屋外へ出たからか、彼女の笑顔がやけに眩しかった)
-カラオケ-
サターニャ「98点!」
サターニャ「さすが悪魔的美声の持ち主ね、ガハハハッ」
サターニャ「って、誰も聞いてないしね」
サターニャ「…あぁ、ヒトカラ寂しいわ」
ラフィ「パチパチ、お上手でしたよ、サターニャさん」
サターニャ「ラフィエル!? えっ、いつの間に、ドア開いてないよね?」
ラフィ「サターニャさんのいるところ、私ありですよ!」
サターニャ「理由になってないわよ!」
ラフィ「さぁサターニャさん、魔女っ娘もの歌いましょ。最近、練習してましたよね?」
サターニャ「え、何で知って。ま、まあ仕方ないわ。この曲デュエットだからあんたも歌いなさい」
ラフィ「サターニャさんと一緒に歌えるなんて光栄です」
サターニャ「さあ悪魔的歌謡ショーの幕開けよ!」
ラフィ「イエーイ!」
終わりです。
リップクリームのくだりが書きたいがために、イベントの勢いで…力尽きながら書きました。
おつ
リップ間接いいね
最新話のネタもちょくちょくあって良かったよ
よかった!
いいね👍
乙
サターニャも救われてよかった
おつ!
良いガヴィーネだ…
ラフィサタもいい
乙
二人共かわいい
サタラフィも書いてくれていいのよ?
ありがとう…ありがとう…
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