前作
成宮由愛「私の絵……」高森藍子「私の写真」
読んでなくても大丈夫だと思いますが、一応続いています。
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カフェ
藍子「ミルクティーください」
由愛「えと……、ココア。お願いします」
店員「かしこまりました」
藍子「……最近、うんと暖かくなりましたねー」
由愛「はい。でも、たまに風が冷たい日があって、難しいです」
藍子「そうですねー。どの服着ようかなって迷っちゃいますよね」
由愛「それもあるんですけど……、私、外で絵を描くことが多いので、どうしても寒くなっちゃって……」
藍子「確かにじっとしてると寒くなっちゃいますもんね。由愛ちゃんって冬はどうしてるんですか?」
由愛「冬は、建物の中で描くことが多いです。本に載ってる絵だったり、インターネットで検索した画像を描いてます」
藍子「やっぱり寒いとあんまり外行かないんですね」
由愛「……たまに、外で描くんですけど、どうしても寒いので長くはいられないです」
藍子「写真だったらすぐ撮れるので気にならないんですけど」
由愛「こればかりは……、しょうがないです」
藍子「そうですよね」
店員「お待たせしました」
藍子「あ、ありがとうございます」
由愛「……藍子さんって、冬でも散歩するんですか?」
藍子「はい、しますよー」
由愛「寒さとかは気にならないんですか?」
藍子「もちろん気になりますね。だから家の近所だったり、カフェに避難したりってあんまり長時間はお散歩しないですけど」
由愛「寒くても……お散歩はするんですね」
藍子「日課、みたいなものですから」
由愛「……そうなんだ」
藍子「やっぱり動くと体も温かくなりますし、冬はやめようって思わないんです」
由愛「すごい、です」
藍子「そんなことないですよー。ただしたくてしているので」
由愛「………………」
藍子「……ん。そういえば」
由愛「……?」
藍子「由愛ちゃんが描いた絵、見せてもらっても良いですか?」
由愛「あ……。そういえば、そのためにカフェへ来たんでした……」
藍子「すっかり忘れてましたね」
由愛「……はい、これです。他にも描いたのはあるんですけど、そのスケッチブックが……ちゃんとした絵です」
藍子「ありがとうございますっ。中、見ますね」
由愛「はい……」
藍子「んー。どれも綺麗な絵ですねー」
由愛「あ、ありがとうございます」
藍子「森林とか、街並みがこう綺麗に描かれてると実際に行ってみたくなります」
由愛「だいたい、私が歩いて行ける場所の絵なので……藍子さんも今度行ってみますか?」
藍子「ぜひっ。こうやって由愛ちゃんの色々な絵を見てると素敵なところなんだなって思います」
由愛「えへへ。藍子さんも気に入ってくれると嬉しい……です」
藍子「そうすると……。今度は逆になりますね」
由愛「……逆?」
藍子「前に行った公園を由愛ちゃんが気に入ってくれたので」
由愛「あ……。そうですね。今度は、私が描いた絵の場所に行きますか?」
藍子「そうしてみたいです。今見た中だとこの湖の絵が素敵で気になりますっ」
由愛「あ……。その絵……」
藍子「どうかしましたか?」
由愛「その絵、実はどこで描いたか……覚えてないんです。そんなに大きな湖って、近場で見た記憶がないし……」
藍子「んー?じゃあ由愛ちゃんのオリジナル作品とかかな?」
由愛「……違います。私、いろいろな絵を描きますけど、そのスケッチブックは……風景画用なんです」
藍子「そうなんですねー。だとしたら、どこか旅行に出掛けた時に描いたとか?」
由愛「かもしれません。……でも、旅行の場合だと、あんまり描く時間ないかも……?」
藍子「私だったらカメラのシャッターを押すだけなんだけど、水彩画だと準備とかありますもんね」
由愛「はい。……あと、旅行先で描いた絵なら忘れないと思う……」
藍子「それもそう、かな。もし思い出したら教えてください。すぐに行ける場所だったら行ってみたいですっ」
由愛「わかりました……。じゃあ、今度は藍子さんの写真……見たいです」
藍子「いいですよー。はい、どうぞっ」
由愛「……たくさん、ありますね」
藍子「はい。猫さんを撮ったり、面白い雲の形を撮ったり、いいなーって思ったものばかりですけど」
由愛「はい……。この猫の写真、すごく可愛いです」
藍子「ありがとうございますっ。可愛くてついつい撮っちゃうんですよね。たぶんアルバム一つ猫さんの写真で完成しちゃうかも」
由愛「そんなに……。藍子さんって、猫が好きなんですか?」
藍子「んー。動物は何でも好きかなー?でも、お散歩してると猫さんと会うことが多いから、やっぱり猫さんも好きです」
由愛「写真の猫って、だいたい野良猫何ですか?」
藍子「はいっ。カメラを持ってお散歩してるとよく会いますからね。自然と写真もたくさん撮っちゃうんですっ」
由愛「これが、本当のお散歩カメラ……?」
藍子「ふふっ、私の曲ですね。そういえば実際に歌詞のとおりにお散歩したこともあるんですよ」
由愛「そうなんだ……。楽しそう……」
藍子「はいっ。普段私がしていたことが曲になって、その曲を私がなぞって行動するっていうのもおかしな話ですけどね」
由愛「藍子さん。お散歩、飽きないんですか……?」
藍子「んー。足が疲れることはあっても、飽きることはない、かな」
由愛「……すごい」
藍子「いやいや、全然すごくないよ。だって、同じ道でも毎日違うから」
由愛「毎日、違う?」
藍子「うん。例えば、同じ道でも猫さんがいる日やいない日、晴れの日と雨の日でも見える景色が違ってくるんです」
由愛「……あ」
藍子「由愛ちゃんも絵を描いてて思ったことない?」
由愛「……あります。もうすぐ花が咲きそうなときとか、毎日でも通って描きたくなります」
藍子「これって、日本には四季があるからだと思うんです。春の景色、夏の景色、秋の景色、冬の景色。季節ごとに見える景色も変わりますし、季節の変化も楽しめるから!」
由愛「……私の絵も、藍子さんの写真も、同じ……ですね」
藍子「由愛ちゃんの絵ほど上手に撮れているかわからないけど、どっちも芸術ですから」
由愛「……意外な共通点、ですね」
藍子「んー。意外でもないような?」
由愛「……ふふっ」
藍子「……ふふっ」
由愛「それに、藍子さんの写真もすごく良いものばかりです」
藍子「そう思ってくれると、嬉しいですね」
由愛「同じ場所で撮った写真でも、角度が変わると遠くの景色も変わって」
藍子「そうなんです。猫さんとか、動物を撮る場合は難しいんですけど、建物とか動かないものはちょっと考えて撮ってます」
由愛「やっぱり、こだわりってありますよね」
藍子「はいっ」
由愛「ふふっ。……あ」
藍子「ん?どうしました?」
由愛「この……。写真に写ってるこの建物って……」
藍子「んー?遠くて小さいですけど、教会みたいな、チャペルみたいな建物かな」
由愛「この写真の建物と、この湖の絵にあるこの建物……」
藍子「あー。似てますね」
由愛「……似てるだけかも、しれないけど」
藍子「……同じものかもしれませんね。由愛ちゃん、この場所行ってみたいですか?」
由愛「……はい」
藍子「そうですかー。この場所はですね……」
由愛「………………」
藍子「……実は、私もどこで撮ったか覚えてないんですっ」
由愛「……え」
藍子「都内のどこかっていうのはわかるんだけど……。どこだったかなー?」
由愛「……ふふっ」
藍子「由愛ちゃん?」
由愛「あ、すみません。……つい、おかしくて」
藍子「おかしい……?」
由愛「はい。私たち……やっぱり似てるなって思ったんです」
藍子「似てる……」
由愛「絵と写真で、同じものを写して。……それが、どこだったか忘れているんです」
藍子「ふふっ。確かにそうかも」
由愛「藍子さん」
藍子「うん」
由愛「あの……。一緒にこの場所、探しませんか?」
藍子「もちろんいいですよ。湖も、そこから見えている教会も、きっと素敵な場所ですからっ」
由愛「私と藍子さんで、お散歩。……ですね」
藍子「お散歩して、いろんな景色を見ながら湖も探しましょうか」
由愛「はい。……ふふっ」
藍子「ふふっ。楽しみですね」
由愛「はいっ」
終わりです。
この二人、まったりしてていいですね。
読んでくださってありがとうございました。
乙
ほんわかした
おつー
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