道明寺歌鈴「幸せなこの一瞬を大切に」 (17)
道明寺歌鈴ちゃんのSSです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1496473299
朝、カーテンの隙間から差し込む陽射しが眩しくて目が覚めます。寝ぼけながらも感じるのは幸せな温もりです。
私に抱きついて寝息を立てているのはお付き合いさせていただいている恋人であり、私をアイドルとしてプロデュースしてくれているプロデューサーさんです。
おそらく夢を見ているのでしょう。幸せそうな顔をして眠っています。
プロデューサーさんを起こさないようにと首だけを動かして時計を確認すると、時計の針は6時を少し過ぎたところを指していました。
起きるのにはまだ早く、そもそも起きようと思ってもプロデューサーさんがしっかりと抱きしめてきているので起きあがろうにも起きあがれません。
仕方がないので諦めてぼうっとプロデューサーさんの寝顔を眺めます。
朝早い静かな空間で音を立てるのは時計の針が規則的に時を刻む音とプロデューサーさんの寝息だけです。
パジャマを隔てて感じるのはプロデューサーさんの体温。
プロデューサーさんの香りがふわっと彼の髪の毛から漂ってきて私の鼻を擽ります。じっとプロデューサーさんを眺めると、とある悪戯心が湧いてきました。
なので私はぺろりとプロデューサーさんの頬を舌で舐めました。
少し暑くなってきたからか、はたまた私とこうして抱き合っているからなのか、少ししょっぱい汗の味がしました。今、私は五感全てでプロデューサーさんを感じているのだと思うと笑みがこぼれます。
するとプロデューサーさんが小さく呻きながら私を抱きしめる力を強めてきました。
私は抱きしめていた手でプロデューサーさんの頭をそっと撫でると、彼は嬉しそうな顔になりながら再び寝息を立て始めました。
まさか起きているのでしょうか、と不安になりましたが、もし起きていてもこうしていられるのならまあいいかな、という気持ちにもなります。
不思議だな、と思います。プロデューサーさんにスカウトされて、二人でがむしゃらに走ってきて。
初めてのライブが成功した時は喜びあって、時には意見が合わずに喧嘩もしたり、笑いあったり。
目指す先へはまだまだ長いけれど、こうして同じ時間を共有する関係になって、二人でベッドの中で抱き合っていて。
凄く幸せです。決して強いなんて言えない私には有り余るくらいの幸福感。
幸せな気持ちになればなるほど、比例するように不安も増してきます。
怖くなります。いつか避けられない別れが来てしまうのが。それがいつ訪れるのか分からないけれど、きっと迎えることになる。
心の奥底で渦巻く恐怖心から逃れるように、プロデューサーさんをぎゅっと力強く抱きしめます。
プロデューサーさんの温もりと確かな鼓動が伝わってきます。そのせいでまた失うことが怖くなって。もっと強く抱きしめて。そんなこと何度も繰り返す堂々廻り。
暫くして、私はプロデューサーさんを抱きしめるのをやめました。
射し込んでいた陽射しはいつの間にか雲に覆われ遮られていました。部屋に響く時計の針の音が不気味に感じられます。温かいはずなのに寒気に襲われます。
「歌鈴」
プロデューサーさんの声がします。私の頬にプロデューサーさんの手が添えられます。プロデューサーさんの顔が近付いてきました。湧き上がる恐怖と不安に包まれていた私を連れ出してくれる、どんなものよりも安心できる笑顔。
私とプロデューサーさんの唇が重なり、暫くした後に離れます。
「大丈夫だから」
そう言うと笑って私を抱きしめてくれます。さっきまでとは違って、今度は私がプロデューサーさんにしっかりと抱きつく形になりました。そっとプロデューサーさんの背中に手を伸ばします。
とても、温かかったです。ずっと、このまま永遠に続けばいいのに、なんて思いました。叶わないことを知りながら。
そこでようやく気付きました。だからプロデューサーさんは笑っているんだと。
顔をあげてプロデューサーさんの顔を見つめま、そして笑いあいます。
この時間を、この瞬間を大切にするために。
「プロデューサーさん、おはようございます。その、だ、大好きでしゅっ」
「大好きだよ、歌鈴。おはよう」
以上です。
読んでくださりありがとうございました。
飛鳥のことが嫌いなのかと言われましたが、
『 二宮飛鳥「無数の流星と小さな勇気と」
二宮飛鳥「無数の流星と小さな勇気と」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495561331/) 』
こういうSSを書くくらいには飛鳥が大好きです。
気にしすぎ
乙
トリップつけないの?
なんでこのテの作者様はSSスレをチャットにするのか
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