エレン「俺が鈍感だという風潮」
エレン「俺が鈍感だという風潮」 - SSまとめ速報
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クリスタ「私が女神って風潮?」
クリスタ「私が女神って風潮?」 - SSまとめ速報
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ジャン「俺が死に急ぎ野郎の引き立て役という風潮だと?」
ジャン「俺が死に急ぎ野郎の引き立て役という風潮だと?」 - SSまとめ速報
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の続きです
あらすじ
エレンがコニー、サシャと仲良くなった
クリスタとユミルの仲が少し深まった
ジャンじゃん
注意点
なぜか毎回説教臭い
では投下
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371309562
エレン「きゅーう!」
コニー・サシャ「きゅーう!」
エレン「じゅーう!」
コニー・サシャ「じゅーう!」
アルミン(ここは休憩室兼食堂です。そして、彼らは今、逆立ち腕立てをしています)
アルミン(なぜか? それはまだ僕にもわかりません)
アルミン(ただ、彼らの傍にあるチェスが関係している事は明らかでしょう)
風潮の人だ期待
時は遡り、教官室
キース「馬鹿を治したい?」
コニー「はい!」
エレン「よい方法はありませんか?」
サシャ「よろしくお願いします!」
キース「欠点を克服しようとする姿勢は認めよう。だが、どうして自分たちで解決しようとしない」
エレン「親しい者たちに尋ねて試行錯誤してみたのですが、あまり成果が得られなかったのです」
エレン「そこで、アルレルト訓練兵がある考えを口にしました」
キース「教官である、私の意見も取り入れる、か?」
コニー「はい!」
サシャ「よろしくお願いします!」
キース「……しかし、気になる事がある」
エレン「なにがでしょう?」
キース「イェーガー。貴様の座学の成績は悪くなかったはずだ。いや、むしろ上位に入るほどの好成績だと報告を受けている」
キース「その二人はまだわかるが、何故貴様もここにいる?」
エレン「わけがありまして、二人と行動を共にしております。故に、自分も同じ事をするために同行している次第です」
キース「そのわけとやらは私に言えないのか?」
エレン「いえ、隠しているわけではありませんので、お伝えしてもよろしいですよ」
キース「ならば教えて貰おう」
エレン「はっ! スプリンガー訓練兵は大変敏感なため、鈍感な自分と同じ生活する事で体質の変化を狙っているのです」
コニー「はい!」
サシャ「よろしくお願いします!」
キース「……」
エレン「……? どうかされましたか?」
キース「……よくわからんが、なんらかの考えがあっての事だと受け取ろう」
風潮シリーズきた!
キース「訓練に支障が出ず、規則を守っているのであれば、あとは自由だ。好きにしろ」
エレン「ありがとうございます」
コニー「はい!」
サシャ「よろしくお願いします!」
キース「しかし、馬鹿を治すか……」
エレン「ご無理を言って申し訳ありません」
キース「構わん。……そうだな、ゲームで頭を柔軟にしてみるのはどうだ?」
エレン「ゲーム、ですか?」
キース「チェスはやった事があるか?」
エレン「いえ、自分はありません」
コニー「はい!」
サシャ「よろしくお願いします!」
エレン「二人もないそうです」
キース「……先程から、若干頭を抱えたくなっているが、その事は後にしよう」
サシャとコニーが考えること放棄してるw
キース「チェスはあくまでゲームだが、戦略の勉強になる。非常に頭を使う遊びだからな」
キース「それだけで頭が良くなるわけではないが、余っている脳を稼働させるには向いているだろう」
エレン「なるほど。チェスの一式は食堂に何セットかありますので、丁度よさそうです」
エレン「ご意見、ありがとうございました。夕食も済んで人も少ないでしょうから、早速やってみようと思います」
キース「それがいいだろう。……ところでだ」
エレン「なんでしょう?」
キース「そこ二人が、同じ言葉しか口にしない理由はわかるか?」
エレン「アルレルト訓練兵の助言を実行しているからです」
キース「念のために、アルレルトがどんな助言をしたのか、言ってみろ」
エレン「『コニーは、はい、サシャは、お願いします、とだけ言ってればいいから。余計な事を言うと、話がこじれちゃうからね』との事です」
キース「そうか……」
コニー(なんで教官は憐れんだ目で俺とサシャを見てるんだ?)
サシャ(チェスって食べられる物でしたっけ?)
エレン「では、これで自分たちは失礼します」
キース「なんらかの形で成果が出るように努めよ」
エレン「はっ!」
コニー「はい!」
サシャ「お願いします!」
キース「……」
わろた
食堂
エレン「えっと確か……あったあった」
コニー「チェスってやつ、見つかったのか?」
エレン「これだ」
サシャ「やっぱり、食糧じゃなかったんですね……」
エレン「当たり前だろ」
コニー「白黒の升目が描いてある板と、なんだこれ?」
エレン「駒ってやつだな。それを板に並べて、一対一で遊ぶゲームがチェスだ」
サシャ「エレンはチェスの事、詳しいんですか?」
エレン「アルミンから話は聞いてる程度。よかった、遊び方の本もある」
その通りなのがwww
エレン「やる前に、駒の名前とか、ルールとか覚えるぞ」
コニー「へー、これがポーンって言うのか」
サシャ「こっちはナイトで、これがビショップですね」
エレン「で、これがルーク、これがクイーン。そんでもって、キングだ」
コニー「六種類だけならすぐ覚えられるな」
サシャ「そうですね」
エレン「んじゃ、これはなんだかわかるか?」
コニー「ルーク!」
サシャ「ナイト!」
コニー「あれ? ルークじゃねぇのか?」
サシャ「ナイトですよね、エレン」
エレン「サシャが正解だな」
コニー「なんだ、それがナイトか」
エレン「間違えた罰として、逆立ち腕立て十回な」
コニー「そんなの聞いてねぇぞ!」
サシャ「ププッ、頑張って下さいね、コニー」
エレン「なに言ってんだ? 俺らもするぞ」
サシャ「……えっ?」
エレン「連帯責任だ。ほれ、よっと」
コニー「仕方ねぇな。はっ」
サシャ「わかりましたよぉ、ほいっと」
エレン「みんな逆立ちしたな。んじゃ、いーち!」
コニー・サシャ「いーち!」
エレン「にーい!」
コニー・サシャ「にーい!」
アルミン「……三人はなにやってるのかな?」
エレン「おう、アルミンとミカサか。ちょっとこれが終わるまで待っててくれ。さーん!」
コニー・サシャ「さーん!」
ミカサ「アルミン、私も逆立ち腕立てをやりたい。ただ、アルミンはどう思う?」
アルミン「三人は訓練服のままだけど、ミカサはもう着替えててスカート穿いてるからね。止めておこうか」
ミカサ「やっぱり……。今回は見送ろう。けど、次から参加するために着替えて来る」
アルミン「うん、まぁ、そこは好きにしたらいいよ」
ミカサ「すぐに戻る」
アルミン「走って転ばないようにね」
エレン「じゅーう!」
コニー・サシャ「じゅーう!」
エレン「よし、終わり」
コニー「腕だけじゃなくて、バランス保つために全身の筋肉を使うからしんどいよな」
サシャ「コニー、もう間違えないで下さいよ」
コニー「わかってるって」
アルミン「もういいかな?」
エレン「いいぞ」
アルミン「このチェスって、この部屋の隅に置いてあったやつだよね?」
エレン「あぁ。教官が、チェスをすれば頭が柔軟になる的な事を言ってな」
アルミン(……本当に教官に相談したんだ、エレンたち。夕食時に話したばかりなのに、三人の行動力は本当にすごいや)
アルミン(まぁ、知ってたけど)
アルミン「それで、なんで逆立ち腕立て伏せを?」
エレン「覚えられなかった罰だ。コニーがナイトの事をルークって言ってな」
コニー「悪かったよ。今度は間違えねぇ」
エレン「責めてるわけじゃねぇから、気にすんな。じゃあ、一から覚え直すぞ」
コニー・サシャ「おー!」
アルミン「あっ、ちょっと待って。えっと確かここに……あった」
エレン「手持ち式の簡易黒板なんて持って来て、どうするんだ?」
アルミン「こういうのがあった方が覚えやすいんだよ。自分たちで書いた方がいいだろうけど、紙は有限だからね」
コニー「それになにを書くんだ?」
アルミン「えっとね——」
ミカサ「着替えてきた」
エレン「おかえり」
ミカサ「ただいま」
エレン「なんで着替えたんだ?」
ミカサ「私もエレンたちと同じ事をするため」
エレン「そっか」
ミカサ「うん」
サシャ「話の続きをお願いします、アルミン」
ミカサ「中断させてしまった? ごめんなさい、アルミン」
アルミン「いいよ、ミカサにも教える事だからね」
アルミン「じゃあ、話し始めるよ。ポーンがあるよね?」
コニー「あるな」
アルミン「下手で悪いけど、黒板にポーンの絵を書くね」
エレン「十分上手いぞ」
アルミン「ありがとう、エレン。で、今度は形の特徴をあげてみようか」
コニー「頭が丸い!」
サシャ「コニーみたいですね」
エレン「本当だな」
コニー「俺はポーンだったのか……」
アルミン「ちょっと違うけど、その特徴を、描いたポーンの横に書き加えるね」
エレン「そうか。明確な特徴を覚えたら、名前の区別もつき易いって事だな」
アルミン「そういう事。別にポーンをコニーって呼んでも差支えはないけどね」
エレン「なら、ナイトはジャンだな」
コニー「馬面だからか?」
サシャ「馬面だからですね」
アルミン「なら、ナイトの絵を描いて、ジャン、っと。まぁ、こんな感じで覚えて行こうか」
エレン「わかった」
ミカサ「キングはエレン」
エレン「なんでだ? 俺は王様じゃないぞ」
ミカサ「この意見は譲れない」
エレン「? まぁいいけど」
コニー「いいなぁ、キング」
サシャ「羨ましいです」
アルミン(先が読めてしまったけど、余計な事は口にしないよ)
ミカサ「そして私がクイーン」
アルミン(予想通りです、どうもありがとう)
エレン「ミカサも女王様じゃないだろ?」
ミカサ「気にしたらダメ」
エレン「そう言われたら、逆に気になるな」
アルミン(一応、フォローしてあげようかな)
アルミン「詳しい事は後で説明するけど、クイーンは一番強い駒なんだ。だから、現状、総合成績一位のミカサで丁度いいと思うよ」
ミカサ「流石アルミン、よくわかってる」
確かにミカサはクイーンだな・・・色々な意味で
アルミン「加えて、クイーンがミカサなら、自然とキングがエレンになるんじゃないかな?」
エレン「俺とミカサは夫婦じゃないぞ」
アルミン「でも、家族だよね?」
エレン「納得した」
コニー「家族なら仕方ねぇな」
サシャ「はい。キングはエレンに譲ります」
ミカサ「アルミン。私はアルミンが親友である事を心より誇りに思う」
アルミン「言葉の裏に隠された意味は至極単純な下心でも、そう言われて嬉しいよ」
きんにクイーン?
サシャ「塔みたいなのと三番目に大きな駒は、私とアルミンになりますね。どっちがいいですか?」
アルミン「僕の方が身長は低いから、塔の方でいいよ」
サシャ「では、私がこちらのビショップですね」
アルミン「今までの事を簡易黒板に書いてみると、こんな感じになるね」
コニー「俺がポーンで、ジャンがナイトか」
サシャ「私がビショップで、アルミンがルークです」
エレン「そんでもって、俺がキングで、ミカサがクイーンだな」
ミカサ(私とエレンが添い遂げた……)
アルミン(ミカサがなにを考えているのか、手に取るようにわかってしまう……)
アルミン「じゃあ、黒板を一度隠して問題だよ。この駒の名前は?」
コニー「俺!」
アルミン「えっ、あっ、うん。そうだけど、駒の名前は違うよね?」
エレン「なに言ってんだ? コニーはコニーだろ? ど忘れしたのか?」
サシャ「アルミンも物忘れがあるんですね」
コニー「ひでぇな。俺はコニー・スプリンガーだぞ。もう忘れんなよ」
アルミン(教え方を間違えちゃったかな。……まっ、いいか)
アルミン「うん、そうだったね。うっかりしてたよ、ごめん」
エレン「アルミンは謝ったし、許してやってくれよ、コニー」
ミカサ「私からも謝ろう」
コニー「いいぞ。俺は心が広い男だからな」
アルミン「ありがとう。じゃあ、次はこの駒」
サシャ「ミカサです!」
アルミン「あってるよ。次はこれ」
ミカサ「エレン」
アルミン「流石の即答だね。順番的に、次はエレンに答えて貰おうか。これは?」
エレン「サシャだな」
アルミン「正解。そしてこれが僕で、こっちがジャン。みんな、駒の名前は大丈夫そうだね」
コニー「完璧だぜ」
サシャ「問題ありません」
エレン「だな」
ミカサ「エレンと同意見」
アルミン「じゃあ、駒の動かし方とルールを順に説明するね」
説明中
アルミン「コニーはこんな感じで進むからね」
コニー「俺は前にしか動けないのか? 一番奥にぶつかったら身動きが取れねぇぞ」
アルミン「そうだね。だから、コニーだけは昇格出来るんだよ」
コニー「昇格?」
アルミン「うん。最終列に到達したら、ミカサ、ジャン、サシャ、僕のどれかに駒を交換するんだ」
コニー「俺はいなくなるのか……」
アルミン「ドンマイ」
説明中
サシャ「私は同じ色のマスしか踏めないんですね」
アルミン「駒の特性上、そうなるね」
サシャ「残念です。でも、いつの日か、黒ばかり踏んでいる私が白の上に立つ事も……」
アルミン「絶対にないよ」
ひでぇw
説明中
アルミン「と、ジャンがこの位置なら、エレンは負けてしまうね」
エレン「俺がジャン相手に手も足も出せず……」
ミカサ「そのために私がいる。何人もエレンに触れる事は許さない」
アルミン「見方次第じゃ、全員でエレンを守るゲームだからね。ただ、リアルですると危ないから、止めようか」
ミカサ「気を付ける」
エレン「?」
説明後
アルミン「まぁ、説明はこんな感じだね。みんな、覚えられたようでよかったよ」
エレン「腕がプルプルする……」
サシャ「コニーが何十回も間違えるから……」
ミカサ「五百回以上、逆立ち腕立て伏せをした」
コニー「ごめん……」
エレン「二人共、あまりコニーを責めるなよ。俺だって何回かは間違えちゃったしな」
サシャ「そう言われると、私も間違えていましたね。ごめんなさい、コニー」
ミカサ「悪かった。エレンの腕が小鹿の脚のように震えているのを見て、冷静じゃいられなかった」
アルミン「仲直りできたようだね。良かったよ。じゃあ、今日はそろそろ休もうか」
エレン「明日も普通に訓練はあるからな」
サシャ「寝て体力を回復します!」
コニー「じゃあ、また明日な」
ミカサ「お休み」
エレン「おう」
翌日(訓練後)
エレン「さて、昨日の続きをするぞ」
愉快な仲間たち「おー!」
クリスタ「おー!」
ユミル「なんで私まで……」
クリスタ「ほら、ユミルも」
ユミル「……おー」
アルミン「今日はクリスタとユミルも参加するんだね」
クリスタ「だって、楽しそうだもん」
ミカサ「二人は、チェスの事をどこまで知っているの?」
ユミル「普通に対戦するくらいなら、支障はねぇよ」
クリスタ「私も同じくらいかな」
アルミン「普通とはちょっと違うけど、二人ならすぐ覚えられるよ」
クリスタ「? どういう事?」
アルミン「すぐにわかるよ。みんな、昨日はルールを覚えたし、実際にやってみようか」
コニー「サシャ、勝負だ!」
サシャ「受けて立ちましょう!」
エレン「俺はミカサとやるか」
ミカサ「喜んで」
アルミン「クリスタとユミルは、最初見学してて。僕が説明するから」
ユミル「特殊ルールでも作ったのかよ」
アルミン「ルールは一緒なんだけどね」
コニー「いけっ、俺!」
サシャ「私のコニーは強いですよ!」
ユミル「は? なんでポーンをコニーって呼んでんだ?」
エレン「うーん。ここはジャンを進めるか」
ミカサ「そのジャンは、私の私が削ぐ」
エレン「げっ。ミカサの行動範囲内だったのかよ……」
クリスタ「クイーンはミカサで、ジャンがナイト?」
アルミン「エレンと愉快な仲間たちに駒の名前が変わったんだ。ちなみに、僕はルークで、サシャがビショップ、そしてエレンがキングだよ」
クリスタ「いいなぁ。どうせなら、私も駒に名前を付けて欲しかったな」
ユミル「そうか?」
クリスタ「だって、仲間外れっぽいから……」
アルミン「そうだなぁ……なら、ジャンを解雇にして、クリスタをナイトにしよう」
クリスタ「いいの? ありがとう!」
アルミン(至近距離で浴びるクリスタの笑顔……もう死んでもいいや)
クリスタ「どうかしたの?」
アルミン「な、なんでもないよ! みんな、ちょっと中断して僕の話を聞いて」
エレン「なんだ?」
アルミン「この駒、ジャンって呼んでたけど、クリスタに変えようか」
コニー「なんでだよ。ジャンで馴染んじゃったぞ」
サシャ「ですね。もうジャンの顔にしか見えませんし」
アルミン「いや、僕たちは大事な事を忘れていたんだ。訓練兵の中で、馬術が一番上手い人は誰かをね」
エレン「はっ! クリスタだ!」
アルミン「その通りだよ」
サシャ「不思議とジャンではなくて、クリスタに見えて来ました」
コニー「俺もだ」
アルミン「問題なさそうだね。じゃあ、続きを始めていいよ」
ジャン…(´;ω;`)
クリスタ「無理を言ってごめんね」
アルミン「そんな事ないよ。ほら」
エレン「早速だけど、ミカサのクリスタは貰うぞ」
ミカサ「クリスタを倒したエレンの私は、私のアルミンが削ぐ」
エレン「しまった!」
アルミン「ね? もう馴染んだよ」
ユミル(言葉だけ聞くと、かなりややこしいけどな。いや、クリスタの名前が入る前からか)
クリスタ「うん。ありがとう、アルミン」
アルミン「どういたしまして」
クリスタ「でも、ジャンに悪い事しちゃったな……」
アルミン「ジャンは僕らが勝手に名付けたから、むしろ知られる前に変わって良かったよ。本人は絶対に怒るだろうし」
クリスタ「そうなの?」
アルミン「うん」
クリスタ「なら、少し安心した」
ユミル「普通と違うのは、駒の名前だけだろ? じゃあ、私らもやるぞ、クリスタ」
クリスタ「いいよ」
エレン「あっ、ユミルはアルミンと組んでくれ」
ユミル「なんでだよ」
ミカサ「いいから」
アルミン(僕が告白したって勘違いは、いい加減忘れて欲しいなぁ。いくら説明しても、聞いてくれないし……)
クリスタ「私が余っちゃうよ……」
エレン「なら、俺と一緒に考えてくれ。ミカサ、強いんだよ」
クリスタ「うん、わかった」
ユミル「……仕方ねぇ。おい、やるぞ」
アルミン「う、うん」
アルミン(まぁ、所詮チェスだし、気楽にやろうかな)
ユミル「最近の前の幼馴染どもは何考えてんだ? 事ある毎にクリスタと離れさせやがって」
アルミン(ユミルの愚痴を聞きながら……)
ミス
×ユミル「最近の前の〜
○ユミル「最近、お前の〜
チェスを始めて数日後
エレン「くっそー! またサシャに負けた!」
コニー「負け犬ハウスへいらっしゃい」
クリスタ「次は私だよ、サシャ」
サシャ「クリスタもリベンジですか? いいでしょう。相手になります」
ミカサ「エレン、次は私と——」
エレン「やだよ。今度はコニーとやる約束してるし」
ミカサ「……」
コニー「エレン、今日こそどっちが強いかはっきりさせようぜ」
エレン「望むところだ」
ミカサ「……」
ジャン「ミ、ミカサ、暇なら俺が相手を……」
ミカサ「……わかった」
ジャン「ほ、本当か!?」
ミカサ「機嫌が悪い。ので、瞬殺する」
ジャン「……え?」
マルコ(ドンマイ、ジャン)
アルミン「意外だったよ。まさか、サシャがクリスタよりも強くなるなんて。チェック」
ユミル「クリスタは、思考が単純な馬鹿と紛れもない馬鹿とは、違った意味で馬鹿だからな」
ユミル「その点、芋女は奇抜な手で攻めて来るから、私でも時々危うくなる……くそ、この手しかない」
アルミン「勘って恐ろしいよね。僕も、サシャとやって何度も驚かされたよ。チェック」
ユミル「……参りました」
アルミン「うん。八手前のサシャが惜しかったと思うよ。あそこはクリスタを動かすべきだったかもね」
ユミル「余裕だな、腹立たしい」
アルミン「こういう戦いで負けると、僕のアイデンティティがなくなるからね。死に物狂いだよ」
ユミル「よく言う」
キース「やってるようだな」
アルミン「きょ、教官!?」
一同「!?」
キース「立たなくてもいい。楽にしていろ」
アルミン「どのようなご用件でしょうか?」
キース「一部の訓練兵の間でチェスが流行っていると聞いた。だから少し様子を見に来ただけだ」
エレン「教官!」
キース「なんだ?」
エレン「恐れながら、お願いがあります」
キース「言ってみろ」
エレン「はっ。ぜひとも自分と勝負して頂きたいのですが」
アルミン(流石エレン。怖いもの知らずだ)
ジャン(馬鹿だろあいつ……あっ、最近は本気で馬鹿になってたな)
キース「ほう。私とか」
エレン「はい。聞けば、教官もチェスを嗜んでおられるとの事ですので」
キース「よかろう。相手をしてやる。だが、手加減はせんぞ」
エレン「そのような事は望みません。全力でのお相手を宜しくお願いします」
キース「後悔はさせん」
エレン「ありがとうございます!」
コニー「イェーガー訓練兵の後は、自分もお願いします!」
サシャ「私もよろしいですか?」
クリスタ「その……わ、私も!」
ユミル(クリスタもやるのか!?)
キース「順に相手をしてやる」
三人「ありがとうございます!」
キース「イェーガー。始めるぞ」
エレン「はっ!」
数分後
エレン「……参りました」
キース「攻撃が単調、視野が狭く、守備まで頭が回っていない。蓄えられているはずの知識も、無駄になったな」
キース「更に、自陣の駒が減ると感情的になり、無理な攻めを仕掛ける。そんな事は、愚の骨頂だ」
キース「ここ数日、貴様はなにをしていた? 駒でお手玉でもしていたのか?」
エレン「言葉もありません……」
キース「全てのレベルが低い。一から出直せ」
エレン「はっ。鍛えて直し、再度挑みたいと思います!」
コニー「次は自分です」
キース「貴様が一番の心配の種だ。少しは出来るようになったのか、実際に体験して判断してやる。こい」
コニー「はっ!」
数分後
コニー「参りました」
キース「全然なっていない。イェーガーと同等か、それ以下だ」
コニー「その通りです……」
キース「貴様も一から出直せ」
コニー「はい」
キース「……しかし、貴様とこうしてチェスをする日が来るとは思ってもいなかった。その点は評価しよう」
コニー「教官……」
キース「この調子で励め。真面目にやっていれば、いずれ座学にも成果は出るだろう。怠るな」
コニー「はい!」
サシャ「今度は私のお相手、お願いします」
キース「座れ」
サシャ「はっ!」
十数分後
サシャ「参りました」
キース「予想外だったぞ、ブラウス。貴様があそこまで私を追い詰めるとはな」
サシャ「? 私が教官を追い詰めていたのですか?」
キース「……まさかとは思うが、適当に駒を動かしていたのではないだろうな」
サシャ「す、すみません! 定石はまだ覚えておりませんので、ほとんど勘で……」
キース「まぁいい。その勘の鋭さが貴様の持ち味だ。しかし、だからと言って基礎を疎かにしていいわけではない」
サシャ「はい……」
キース「基礎を固めれば、より一層、貴様の勘が有効なものとなる。どんな状況下でも、考える事を放棄するな。わかったか」
サシャ「はっ!」
クリスタ「こ、今度は私のお相手を……」
キース「レンズか。いいだろう。始めるぞ」
クリスタ「よろしくお願いします!」
十分前後
クリスタ「参りました……」
キース「貴様の実力はブラウス以下だ。駒の動かし方から察するに、前の三人よりも慣れているようだがな」
クリスタ「齧る程度ですが、以前、少しだけ」
キース「やはりそうか。しかし、駒を捨てる事に躊躇いがあり過ぎる。余計な動きばかりで、結局周りも道連れだ」
クリスタ「……」
キース「これが戦場であれば、貴様の迷いで、大勢の仲間も巨人に食われていただろうな」
クリスタ「申し訳、ありません……」
キース「レンズ。貴様は優しいのだろうが、今のままではただの偽善だ。切り捨てる事の大切さを知れ」
クリスタ「……はい」
キース「——万が一」
クリスタ「?」
キース「万が一だ。貴様が本当の優しさを得た時、クリスタ・レンズは大きく成長しているだろう」
キース「兵士としても、一人の人間としても」
クリスタ「もっと……もっと私は立派な人間になれるよう、努力します。ご指導、ありがとうございます!」
キース「期待している」
クリスタ「はい!」
ミカサ「……」
キース「次は貴様か、アッカーマン」
ミカサ「お手合わせ、お願いします」
ミカサ(このハゲは、エレンだけいい点を口にせず、ただ貶していた)
ミカサ(許さない。全力で削ぎ潰す)
アルミン(向上心の塊のエレンには、なにも言う必要がなかっただけだよ、って言いそびれちゃった……)
アルミン(エレンは放っておいても力を身に付けるからね。もっと言えば、エレンはそれだけ教官に信頼されてるって事なんだよ、ミカサ)
キース「いい目をしている。少しは楽しませて貰おう」
数十分後
ミカサ「くっ……ま、参りました」
キース「流石、と言っておこう。たかが数日で、ここまでやるとはな」
ミカサ(負けてしまった……。エレン、ごめんなさい)
キース「素人の域はすでに軽く超えている。しかし、詰めが甘い」
キース「私が隠していた罠に最後の最後で引っ掛かったのが、いい証拠だ」
ミカサ「不覚でした。今度は完全に削ぎ落せるよう、努めます」
キース(削ぎ落す?)
キース「そ、そうか。とにかく、貴様は多くの経験を積め。体験した一つ一つが血肉となる」
ミカサ「わかりました」
風潮シリーズ面白いよな
流石のミカサやでぇ…
アルミン(みんなはやらないの?)
ジャン(ミカサの仇は取ってやりたい。けど、勝てるわけないだろ。ダメ出しされて終わりだ。だから俺はパス)
ユミル(同感)
マルコ(僕はやってみたいけど、実力不足は明白だからね。今は止めておくよ)
アルミン(そっか。なら、僕がやらせて貰うね)
アルミン「教官。自分ともお願いします」
キース「アルレルトか……わかった。座れ」
アルミン「はっ」
ユミル(アルミンか。こいつは面白そうなカードだ)
ジャン(どっちが勝つと思う?)
エレン(アルミンに決まってんだろ)
ジャン(俺は教官だ。アルミンが負けたら、百回まわって犬の遠吠えしろよ)
エレン(アルミンが負けるわけねぇ。覚悟しとけ、言いだしっぺ)
ジャン(お前がな)
ミカサ(私はアルミン)
コニー(じゃあ、俺もアルミン)
クリスタ(私もアルミンを応援する!)
サシャ(うーん……私は教官が勝つと思いますね)
エレン(なんだよ、サシャも仲間を応援しないのか?)
サシャ(アルミンを応援はしますけど、勝つのは教官のような気がしましてね)
マルコ(僕も教官が勝つと思うな)
ユミル(教官に一票)
エレン(仲間を信じられねぇやつらは、あとで遠吠えしろよ)
クリスタ(罰ゲームはなくてもいいと思うけどね)
ミカサ(みんな、静かに。始まる)
十数分後
アルミン「……」
キース「……」
アルミン「……」
キース「……」
アルミン「チェックです」
キース「これでどうだ?」
アルミン「やはり、簡単には行きませんね」
キース「当然だ」
コニー(……なぁ、あれってチェスなのか? なにやってんのかさっぱりわからねぇんだけど、それって俺が馬鹿なせいじゃねぇよな?)
エレン(俺もよくわからねぇ。なんで、あんなとこに置いてた教官のサシャが、あんなに有効活用されるんだ?)
サシャ(アルミンもですよ。変なところにあったアルミンのクリスタが、一気に教官のエレンを射程圏内に入れましたし)
ジャン(相変わらず、アホみたいな会話してるな、お前ら。駒の名前くらい、ちゃんと覚えろよ)
エレン(うるせぇぞ、元ナイト)
コニー(クビになった分際で偉そうだな、元ナイト)
サシャ(クリスタに地位を奪われたからって、僻まないで下さい、元ナイト)
ジャン(……俺は今、貶されたのか?)
マルコ(さあ? そうなんじゃないかな?)
キース「参りました」
が想像できる
更に数十分後
アルミン「……」
キース「……」
エレン(二人共、長考が増えて来たな)
ミカサ(一手でもミスをした方が負ける。だから慎重にもなる)
エレン(ミカサはどっちが優勢なのか、わかるか?)
ミカサ(状況から察すると、アルミンの方がほんの僅かな差で優勢……だと思う)
エレン(曖昧だな)
ユミル(正直なとこ、もう私やミカサでもどっちが勝つかわからねぇ。それくらい高度な勝負をしてんだよ)
エレン(そうなのか……)
アルミン「……っ!」
エレン(ん? アルミンが一瞬表情を変えたぞ)
ジャン(勝負ありって事だ)
マルコ(みたいだね)
キース「まだ続けるか?」
アルミン「……いえ、自分の負けです。参りました」
エレン「どうして止めるんだよ、アルミン。まだ俺は囲まれてすらいないだろ?」
キース(俺? イェーガーはなんの話をしているんだ?)
アルミン「今はね。あと、十六手先で、僕は詰みだよ」
コニー「そうなのか?」
サシャ「私に聞かれても、答えられるわけないじゃないですか」
キース「アルレルト、貴様の頭脳には心底驚かされる」
キース「短期間で今ほどの実力とはな。チェスに関しては、末恐ろしささえ覚えた」
アルミン「いえ、負けは負けです。自分の実力が不足していた証拠」
キース「謙遜する事はない。昔、ピクシスとやっていた時を彷彿させられたほどだ」
ジャン「ピクシス……もしかして、ドット・ピクシス司令官の事でしょうか?」
キース「そうだ。今のところ、やつには負け越しているがな」
マルコ「教官はピクシス司令官とお知り合いだったのですね」
キース「これでも私は、調査兵団の団長を任されていた身だ。それなりに繋がりはある」
エレン「……」
ジャン「調査兵団団長……噂では聞いていましたが、やはりそうでしたか」
キース「……少々余計な事を口にしてしまったな。もう私に挑む者がいなければ、終わりにするが?」
マルコ「自分はまだ教官の足元にも及びません。ですが、納得出来るようになれば、挑みたいと思っております。よろしいでしょうか?」
キース「構わん。その時を待っておこう。他の者もな。では、私は行くぞ」
エレン「あ、あの!」
キース「なんだ?」
エレン「自分は、団長だった頃の教官を見た事があります!」
キース「……」
エレン「……自分はウォールマリアが壊される前から、調査兵団に憧れていました」
エレン「超大型巨人が現れた日も、アッカーマン訓練兵と、帰還した教官たちを眺めていました」
キース「要領を得んな。なにが言いたい?」
エレン「その……もし、もしもですが、あの日、民衆の前で頭を下げなければいけない状況を作った事を——」
エレン「いえ、団長であった事を少しでも悔いているのでしたら、知っていて欲しい事があります」
キース「……」
エレン「自分は、教官のあの姿を尊敬しております!」
エレン「心が折れかけて、教官自身、感情を抑え切れなかっただけかもしれません」
エレン「ですが、罵られようとも、物を投げられようとも、責任を誰かに押し付けず、一人で負った教官は凄いと思います」
エレン「えっと、自分でも何言ってるか、よくわからなくなってきましたけど……少なくとも一人は団長であった教官に憧れ続けています!」
キース「……そうか」
エレン「は、はい」
キース「エレン・イェーガー」
エレン「はい」
キース「……感謝する」
エレン「……はい!」
キース「私は教官室に戻る。明日の訓練の支障がない程度で、お前たちも切り上げておけ」
エレン「ご指導、ありがとうございました!」
一同「ありがとうございました!」
教官室
キース「憧れ続けている、か……」
キース(ただでさえ、民衆の支持率が低かった調査兵団の信用を、更に下げたこの私を……)
キース「全く、目が眩むほど真っ直ぐな眼差しを向けられるとはな」
キース「……エレン・イェーガー。決して、お前を私のような無能にはしない」
キース「イェーガーだけではない。訓練兵、全てが立派に戦えるよう、育てて見せる」
キース「それが私に出来る、無二の礼だ」
キース「……」
キース「……」
キース「……外から聞こえた遠吠えは、今回だけ見逃してやる、イェーガー、アッカーマン、スプリンガー、そしてレンズ」
将棋はある程度できるんだけど
チェスはなんか容量つかめないんだよなあ…コマの動きが違うだけなのに
翌日(朝食時)
エレン「あれ? こんなのあったか?」
コニー「どうしたんだ?」
エレン「いやな、ちらっとチェスの方見たら、こんな本があってな」
サシャ「中級者用、上級者用、それに超上級者用のチェスの本がそれぞれ一冊ずつですか」
ミカサ「かなり詳しく書かれている。最初からあった、薄い本とは比べ物にならない」
アルミン(教官の、だろうなぁ。ほんと、人は見かけによらないよね。こんな風にさり気なく気を遣ってくれるんだから)
アルミン「じゃあ、今度はその本を使って、みんなで勉強してみようか」
エレン「わからないところがあったら教えてくれよ」
アルミン「色々覚えて、教官に一度は勝たないとね」
エレン「当然だ。訓練兵であるうちに、一勝以上してみせるからな!」
アルミン(きっと、教官にとって最高の恩返しになると思うよ、エレン)
頑張れベルトルさん!
ライナー「……」
アニ「……」
ベルトルト「……」
ライナー「チェック」
アニ「……参りました」
ベルトルト「……」
ライナー「これでまた勝ち数が並んだな」
アニ「私が二連勝すればいいだけ」
ベルトルト(みんなと一緒にやりたいからって始めたのに、二人で熱中してどうするんだよ……)
終わり
キース教官を書こうと思って、最初はアームズのキースシリーズ的な感じでやってたけど、オチが思い浮かばず断念
キース・バイオレットの教官(女)を想像して、僕は微笑んだ
お疲れさまでした
おつ
毎回楽しい話をありがとう
乙
乙
キース・ブルーが一番好きだった
乙
乙
教官がおなくなりになる前に
エレン勝てるんかいな
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