暁「変ね。何度推理しても司令官のプリンを盗んだ犯人が私になるわ」 (64)

提督「てーててーててーててってー♪」

ガチャ

提督「あれ?」

提督「!!」

提督「な、なんてこった」

提督「ない! ないぞ!」

提督「いったい誰が!」

提督「俺のプリンを盗みやがったんだー!」


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「ふっふっふ。お困りのようね」

提督「こ、この声は!?」

「誰かが呼んでる声がする。謎が呼んでる声がする」

提督「まさか!?」

「宇宙の果てまで知り尽くし、昨日は間宮でウニ尽くし」

提督「Hey Yo!」

「解いた事件は数知れず、トリック謎解きなんのその」

提督「Oh yeah!」

「水平線の果てにさえ、解けない謎なぞどこにもない!」

提督「Let’s go!」

「ご存知レディの名探偵! 暁よ!」

提督「暁!」

暁「さあ、状況を教えてくれるかしら司令官?」

提督「ああ、実はだな……」

(……)

暁「なるほど。司令官が冷蔵庫に大事にとっておいたプリンがなくなっていたと」

提督「そうだ。朝見たときはあったのに」

暁「……これは不可能犯罪ね」

提督「え? そうなの?」

暁「よく考えてみてよ。冷蔵庫には鍵がかかってるでしょ?」

提督「ああ。つまみ食いがひどかったからな」

暁「つまり、冷蔵庫の中は完全な密室となっていたわけよ」

提督「……そうか!」

暁「そうよ! この事件は密室で行われていたのよ!」

提督「な、なんてこった。まさに不可能犯罪だ。このまま事件は迷宮入りしてしまうのか……」

暁「落ち着いて司令官」

暁「シャーロックホームズ曰く、不可能なものを取り除いていったら残ったそれが真実となる」

提督「どういうこと?」

暁「司令官。冷蔵庫の鍵は一つしかないの?」

提督「いや、俺が持ってるのともう一個ある。いつも秘書艦に渡してるやつが」

暁「……そういうことね。方程式は解けたわ」

提督「どういうことだ説明してくれ!」

暁「鍵を持っているのは二人。そのうち一人は被害者。ならもう一人が犯人よ!」

提督「なんだって!」

暁「ちなみに今日の秘書官は誰?」

提督「暁だけど」

暁「そうだったわね」

暁「冷蔵庫を開けられるのは司令官と秘書艦よ。ここまではいいわね?」

提督「ああ」

暁「そして司令官は犯人じゃないから取り除くわ。そして残ったのは……」

暁(あれ? 私だ)

提督「犯人は誰なんだ?」

暁「落ち着いて司令官。行き詰ったときは視点を変えてみるの」

提督「どういうことだ!?」

暁「これを難しい言葉でコペルニクス的転回というわ」

提督「説明してくれ!」

暁「つまり、犯人を捜すのではなくてプリンを探すのよ」

提督「なるほど! プリンのゴミを探すわけだな!」

暁「急に物分りがよくなったわね」

暁「響君!」

響「おそばに」シュタ

暁「プリンのゴミを見つけてきてちょうだい」

響「そういわれると思ってすでに準備してある」

暁「さすがね。これはどこにあったの?」

響「暁型の部屋のゴミ箱さ」

暁「ふむふむ、なるほど。つまり犯人は暁型の誰かということね」

提督「ふむ」

暁「……そしてこんなゴミ一つからでもわかることはいろいろあるわ」

提督「???」

暁「このプリンの裏を見て?」

提督「こ、これはプッチンするのを失敗している!!」

暁「そう。つまりこのプリンを盗んだ人はおっちょこちょいでドジだと考えられるわ」

提督「なんて鋭い洞察力なんだ……」

暁「そうなると響と雷は外れる。電は今日は遠征に行ってたからこれも除外」

暁「つまり、残ったのは―」

暁(あれ? 私だ)

提督「くそっ! 犯人はいったい誰なんだ? 見当もつかねえ!」

暁「落ち着いて司令官。焦ったら駄目」

提督「ああ、すまねえ」

暁「こんな時は発想を逆転してみるの」

提督「逆転?」

暁「難しい言葉でパラダイムシフトと言うわ」

提督「なるほど」

暁「つまり誰がプリンを食べたかではなくて、プリンを食べたのは誰か? と考えるの」

提督「??」

暁「もし司令官がプリンをこっそり食べるとしたらどうやって食べる?」

提督「そりゃあ部屋に持ち帰ってこっそり……はっ!」

暁「そうよ。おそらく犯人は部屋に持ち帰ったはずよ」

暁「そのときに誰かに見られている可能性もあるわ」

提督「か、考えもしなかった」

暁「響君!」

響「そういうだろうと思って、すでに聞き込みは終わってるよ」

暁「さすがね。結果はどう?」

響「ああ、プリンを持った怪しい人物をみたと言う報告が何件かあがっている」

暁「うん! きっとその人が犯人ね!」

響「報告によると、その人物は黒の長髪で帽子を被っていてセーラー服を着ていたそうだ」

暁「……!! 私の脳裏にはある人物が浮かび上がってきたわ」

提督「そ、それは一体?」

暁「黒の長髪で帽子を被っていて、セーラー服。それに当てはまる人はわが鎮守府に一人しかいないわ!」

暁「それは―」

暁(あれ? 私だ)

提督「教えてくれ! 暁! その人物を!」

暁「落ち着いて司令官。法学の世界にはこんな言葉があるわ」

提督「??」

暁「『疑わしきは被告人の利益に』」

提督「!!」

暁「私はもう犯人の目星はついている。でも証拠もないのに犯人扱いなんて駄目よ」

提督「お、俺が間違っていた。ごめんよ。ごめんよお」グスグス

暁「いいのよ。間違いは誰にでもあるわ」

暁「ほら、司令官。私のプリンを半分あげるわ」

提督「いいのか?」

暁「うん。一緒に食べましょ? ちょっとプッチン失敗しちゃったけど」

提督「ありがてえ。ありがてえ」ポロポロ

暁「これを食べて明日も頑張りましょ。ね?」

提督「天使や。天使がおる」

暁(かくして、謎の密室プリン消失事件は収束を向かえた)

暁(プリンを盗んだ犯人は誰だったんだろう?)

暁(それは誰にもわからない。私は知ってるけど)

暁(私に解けない謎はない)

暁(そう、なぜなら私は名探偵。暁なんだからっ!)

第一話・完

提督「てーててーててーててー♪」

ガラッ

提督「あれ?」

提督「!!」

提督「な、なんてこった」

提督「ない! ないぞ!」

提督「確かにここに入れといたはずなのに!」

提督「誰が! 俺のエロ本を盗みやがったんだ!」

「ふっふっふ、お困りのようね」

提督「こ、この声は!?」

「天が呼んでる声がする。私を呼んでる声がする」

提督「まさか!?」

「その知性は海より深く、間宮の甘味は何より旨く」

提督「YO! YO!」

「ちっちゃくたって頭脳は大人、完全犯罪なんのその」

提督「Year! Year!」

「三千世界の彼方にも、解けない謎なぞどこにもない!」

提督「BURN!」

「ご存知レディな名探偵! 暁よ!」

提督「暁!」

暁「さあ、状況を教えてくれるかしら司令官?」

提督「ああ」

(……)

暁「なるほど、いつの間にか三段目の引き出しの中にあった司令官のエッチな本が無くなっていたと」

提督「そうだ。とても悲しい」

暁「……これは完全犯罪ね」

提督「まじで?」

暁「そうよ。よく考えてみて。司令官は職務中大体机に座っているでしょ?」

提督「そうか! つまり犯人は司令室の鍵を持っているやつ! 俺を除いたら秘書艦ってことか!」

暁「なんで急に物分りがよくなるの?」

暁「そう。司令官は職務中は大体隙がない。じゃあ職務外に犯行が行われたと見て間違いないわ」

提督「なんてこったい」

暁「そしていつも司令室に鍵をかけているのは司令官か秘書艦」

提督「鍵を持っているのもその二人だけだな」

暁「ちなみに昨日の秘書艦は?」

提督「暁だけど」

暁「そうだったわね」

暁「鍵を持っているのは二人。そして司令官は犯人じゃないから除くわ」

暁「つまり犯人は―」

暁(あれ? 私だ)

暁「落ち着いて司令官」

提督「何も言ってねえよ」

暁「別の方向からアプローチを仕掛けてみましょう」

提督「別の方向?」

暁「国を全うするを上と為し。何も馬鹿正直に犯人を捜す必要はないわ」

提督「つまりどういうことだ?」

暁「このまま待つの。そうすれば答えが出るわ」

提督「……」

暁「……」

提督「……」

暁「……」

提督「なあ」

暁「なに?」

提督「いつまでたっても何も起こる様子がないんだけど」

暁「なるほど。答えが出たわね」

提督「?」

暁「つまり犯人は自らの意思でエッチな本を持って帰ったのよ。勘違いで持って帰ったら真っ赤になって怒鳴り込んでくるはずだからね」

提督「な、なんだってー!」

暁「ここまでの情報で犯人像をプロファイリングしてみるわね」

提督「うん」

暁「犯人は、司令室に自由に出入りできる、エッチな本を持って帰るくらいエッチなことに興味がある」

提督「犯人はかなりのむっつりスケベだな」

暁「そうね。そして司令官のことを熟知している」

提督「どういうこと?」

暁「司令官はエッチな本を探すときはどうする? まずベットの下とかを調べない?」

提督「ああ」

暁「見て。ベッドの下のダミーの本には見向きもしてないわ」

提督「!!」

暁「つまりダミーの本を見破り、軍事機密っぽくカモフラージュされたエッチな本を持ち出した。これは司令官のことを相当よく知っていないとできない芸当よ」

提督「たしかに……」

暁「犯人は司令官のことを熟知している。犯人はかなり司令官に近しい人間と見て間違いないわね」

提督「ああ」

暁「そしてエッチなことに興味津々」

提督「そうなるな」

暁「最後に司令室を自由に出入りできる。これは司令官にかなり信頼されているということね」

提督「くそっ。こんな形で信頼を裏切られるとはな!」

暁「さあ、ここまで言えば分かるわよね。つまり犯人は―」

暁(あれ? 私になるじゃない)

提督「さっぱりわかんねえ!」

暁「弱気になっちゃ駄目。司令官」

提督「ああ、すまない。いつも暁に助けられてばかりだな」

暁「気にしないで。それより次の作戦に移りましょう」

提督「さすがだな! もう次の作戦を考えているのか!」

暁「当然よ」

暁「家宅捜索しましょう」

提督「なんで?」

暁「犯人はかなりのむっつりスケベよ。もって帰ったエッチな本を捨てるとは思えないわ」

提督「そうか! つまり犯人の部屋にはまだエロ本があるということか!」

暁「そうよ。暁型の部屋をのぞいたすべての部屋を捜索しましょう!」

提督「おう!」

暁「響君!」

響「おそばに」シュタ

暁「この鎮守府の全ての部屋を……」

響「もうすでに全ての部屋を調べてある。鍵がかかっていた部屋はピッキングして開けて調べた」

暁「さすがね。結果はどう?」

響「どこにもなかった」

提督「……どこにもなかった?」

暁「おかしいわね」

提督「くそっ! どうすりゃいいんだ! お手上げだ!」

暁「いや、まだ探してないところがあるわ」

提督「どこだ?」

暁「司令室よ」

提督「俺の部屋? さすがにないんじゃないか?」

暁「サイコロジカル・ミスディレクションっていう言葉を知っているかしら?」

提督「心理的トリックのこと?」

暁「そうよ。ここにある筈がないという場所にこそ真実が隠されているものよ」

提督「ほーん」

暁「私が犯人だったらそうするわ。ここにあるに違いないわ!」

提督「そういわれたらそんな気がしてきた!」

暁「探してみましょ!」

提督「おう」

(……)

暁「ないわね」

提督「ねえじゃねえか」

暁「おかしいわね。私が犯人だったら絶対に心理的トリックを使うわ」

提督「確かに。俺が犯人でもそうする」

暁「あ、そういえば最初に真っ先に捜索対象からはずした部屋があったわね」

提督「そうだっけ?」

暁「あれは、たしか私たちの部屋ね」

提督「ああ、そういやそうだったな」

暁「……! わかったわ! 真っ先に私たちの部屋を対象から外そうといった人が犯人よ!」

提督「なんだと!?」

暁「語るに落ちるとはこのことね! あの時妙なことを言ったあの人! 私はよーく覚えているわ!」

暁「つまり、犯人は―」

暁(あれ? 私になるわね)

提督「誰だ!? 誰だ!? 誰だ!?」

暁「刑法39条1項」

提督「は?」

暁「心神喪失者の行為は罰しない」

提督「犯人が精神を患っているとでもいうのか? そんなやつはこの鎮守府にはいないと思うけど」

暁「本当にそう? 誰かと会話してて違和感を感じたことはない?」

提督「……そういえばあいつら。俺が触ってもないのに触ったと言い張ったり、自分が遠征から帰ってきたのにまるで人事だったり……。まさか!?」

暁「ええ。間違いないわ。ガンザー症候群よ」

提督「……!! そうだった。すっかり忘れていたけど俺たちは戦争をしていたんだ。精神を病む子が出てきてもおかしくない」

暁「そうよ。これは戦争の闇が引き起こした悲しい事件。惻隠の情を持って許してあげましょ?」

提督「俺は、俺はなんてことを……。年端もいかない子を戦いに巻き込むなんて」

暁「いいのよ。司令官はがんばっているわ」

提督「あかつきぃ」グスグス

暁「よしよし。私はたとえ司令官が巨乳好きでも気にしないわ」ナデナデ

提督「面目ねえ。面目ねえ」ポロポロ

暁「明日からも頑張りましょ? ね?」

提督「女神や、女神がおる」

暁(かくして、謎の密室エッチな本消失事件は収束を向かえた)

暁(エッチな本を盗んだ犯人は誰だったんだろう?)

暁(それは誰にもわからない。私は知ってるけど)

暁(私に解けない謎はない)

暁(そう、なぜなら私は名探偵。暁なんだからっ!)

第2話・完

提督「てーんててててーんてーんてーんてーんてーん♪」

ガチャ

提督「あれ?」

提督「な、なんてこった」

提督「ない!」

提督「ない!」

提督「確かにここに入れたはずなのに!」

提督「馬鹿な!」

提督「誰が! ここに入れといた指輪を盗みやがったんだ!」

「ふっふっふ。お困りのようね」

提督「こ、この声は!?」

「謎が私を呼んでいる。解けと私を呼んでいる」

提督「まさか!?」

「真実導くその頭脳、間宮のメニューでひと苦悩」

提督「Hey! Come on!」

「快刀乱麻な名探偵、不可能犯罪なんのその」

提督「Check it out!」

「天地開闢の時以来、解けない謎なぞ一つもない!」

提督「It’s a Rock’n Roll!」

「ご存知レディで名探偵! 暁よ!」

提督「暁!」

暁「さあ司令官。状況を聞かせてくれるかしら?」

提督「実はな……」

(……)

暁「なるほど。事件現場の部屋には鍵がかかっていた上、部屋の中にある金庫には鍵がかかっていた。その上金庫の中に入ってた箱には鍵がかかっていて、箱の中に入ってた指輪にも鍵がかかっていた」

提督「そうだ。そしておかしなことに指紋も足跡も何も残っていない。証拠らしい証拠はゼロだ」

暁「さらに司令官が部屋を留守にしていたのはたったの3分程度……か」

提督「ああ」

暁「なるほど。正に不可能犯罪ね。実に面白いわ」

提督「さあ。これをどう解き明かす?」

暁「西洋の哲学者デカルトはあらゆるものを疑ってかかったわ。そしてどんなに疑っても今疑っている自分は絶対であるという真理にたどり着いたのよ」

提督「???」

暁「つまり前提を疑うのよ! この世に絶対なんてものはないわ!」

提督「なんと!」

暁「例えば司令官。部屋に鍵がかかっていたというけれど本当かしら?」

提督「ああ、たしかにかけた」

暁「本当に?」ジー

提督「うーん、かけたと思う」

暁「じゃあ金庫に鍵がかかっていたというのは?」

提督「いやーどうだっけな」

暁「箱に鍵はかかってた?」

提督「そういえばかけてない気がしてきた」

暁「指輪は?」

提督「かけてない! 間違いなくかけてないぞ!」

暁「……答えが出たわ。つまり鍵なんて最初からかかってなかったのよ!」

提督「天才か」

暁「ところで司令官はイギリス経験論をご存知かしら?」

提督「ヒュームの?」

暁「そうよ。あらゆる観念は全て経験から来たものに過ぎないという考え方よ」

提督「それで?」

暁「司令官はどうして指紋や足跡が残っていないのがおかしいと思ったの?」

提督「そりゃあ誰かが入ってきたら足跡が残るし、触ったら指紋が残るだろ」

暁「それは全て司令官の経験に由来した思い込みに過ぎないのよ!」

提督「なにい!?」

暁「たまたまこれまではそうだったかもしれない。でも今回もそうとは限らないわ!」

提督「目からうろこだよちくしょう!」

暁「つまり、指紋や足跡が残っていなくてもなにもおかしくないのよ!」

提督「天才じゃったか!」

暁「哲学者レヴィナスは自分がいなくなっても問題なく動く世界に恐怖したわ。そしてその恐怖をイリヤと名付けた」

提督「そうか! つまり俺が3分だと思っていたとしても他人からみるとそうとは限らない!」

暁「そういうことよ!」

提督「やはり、天才か」

暁「これで全ての問題は片付いたわね」

提督「ちょっと整理してみよう」

暁「そうね。犯人は鍵もかかってない部屋に忍び込み、金庫を開けた」

提督「もちろん鍵はかかっていない」

暁「少しもたついたかもしれないわね。でも関係ないわ」

提督「なにせ時間は充分あった。俺は3分だと思ってたけど」

暁「そのとき色々なところにベタベタ触ったかも」

提督「でも指紋がつかないから問題ない」

暁「そして悠々と箱の中にある指輪を持っていった」

提督「もちろん鍵はかかってない」

暁「以上!」

提督「す、すごい。不可能犯罪をここまで華麗に解き明かすなんて」

暁「当然よ!」エッヘン

提督「でもこれだと犯人の範囲が広がり過ぎない? 要は誰でも可能だったってことだろ?」

暁「こんなときは、響君!」

響「おそばに」シュタ

暁「あれ? 響指輪なんてしてたっけ?」

響「拾ったんだ」

暁「ふーん。それよりも!」

響「すでにこの鎮守府のみんなのアリバイは調べてある。結果怪しい人物はいなかった」

暁「なるほど」

提督「仮にも軍人だし基本みんな集団行動してるからな」

暁「……!! ちょっとまって。基本ということは例外も存在するということ。つまり犯人はそれに属さない人間。つまり秘書艦よ!」

提督「な、なんて鋭い着眼点なんだ!」

暁「司令官! 今日の秘書艦は誰?」

提督「暁だけど」

暁「そうだったわね」

暁「ついにこの不可能犯罪を解き明かしたわ」

提督「言ってくれ暁。お前の口から犯人の名前を」

暁「ええ、犯人は秘書艦。そして今日秘書艦だったのはー」

暁(あれ? 私になる)

暁「わからない……」

提督「くそっ! あとちょっと! あとちょっとなのに!」

暁「心配しないで司令官。私はまだ諦めていないわ!」

提督「すばらしい!」

提督「しかしもう手がかりは残ってないぞ」

暁「こんなときは、動機から考えてみましょう」

提督「よし! 任せた!」

暁「恐らく犯人は司令官のことが好きで好きでたまらない。だから指輪を盗んだのよ」

提督「なるほど。自分が選ばれるかもって期待と誰かが選ばれるかもって不安でどうしようもなかったんだな」

暁「そしていつも司令官と一緒にいる人ね。部屋の中を荒らされた形跡はなかった」

提督「ふむふむ。俺が指輪を金庫に入れてるのを知っている人か」

暁「さらに犯人は司令官と少しでも一緒にいたいと思っているはずよ! 指輪がなくなっても根本的な解決にはならない! でも再調達している間は一緒にいられるわ!」

提督「ほうほう。もしも自分じゃない誰かを選んだとしてもそれでも少しでも一緒にいたいと思う乙女心か」

暁「つまり犯人は司令官のことが大好きで、いつも一緒にいて、少しでも長くその時間が続けばいいと思っている子……ってことね!」

提督「そんな恐ろしいやつがこの鎮守府にいるのか……?」

暁「ええ! つまり犯人は……」

暁(あれ?)

暁(司令官のことが大好きで、いつも一緒にいて)

暁(少しでも長くその時間が続けばいいと思っている子)

暁(つまり犯人は)

暁(……私になる)

暁「あれー?」

提督「どうしたの?」

暁「うーん。おかしいわね」

提督「犯人は誰なんだ?」

暁「い、いやまだわからないわ。次を模索してみましょう」

提督「おう」

暁「機械あれば機事あり。機事あれば機心あり」

提督「は?」

暁「なぜ犯人は指輪を盗んだのか。もうすこし動機について広く考えてみましょう」

提督「広く?」

暁「ええ。さっきまでのは蓋然性の話よ。今からは可能性の話」

提督「???」

暁「これまではありそうな話。これからするのはありえそうな話よ」

提督「あーそういうことね」

暁「犯人は司令官と結婚したいと思っていたんじゃないかしら? ケッコンカッコカリじゃなくてね」

提督「そうなの?」

暁「だから司令官の用意したケッコン指輪を盗んだ。便利な道具に頼ってるうちに機心が芽生えてはたまらない」

提督「なんてこった。全て俺のためだったのか」

暁「それもあるけど、たぶんそれを口実に結婚を避けられるのが嫌だったんでしょうね」

提督「……まじかよ」

暁「犯人はきっと司令官と一生一緒にいたいと思ってる。そう思わない?」

提督「そうかなあ」

暁「……犯人は多分とってもレディでとっても素敵な子ね。でしょ?」

提督「そんな気がしてきた」

暁「つまり犯人は司令官と結婚したいと思っていて、司令官と一生一緒にいたいと思っている、とってもレディな子ね!」

提督「そ、そんなクレイジーサイコヘテロが俺の鎮守府に……?」

暁「つまり! 犯人は!」

暁「……」

暁「やっぱり」

暁「私になる……」

提督「え?」

暁「駄目よ司令官。どう推理しても犯人は私になっちゃう」グスッ

提督「暁……」

暁「ごめんなさい。どうやら指輪を盗んだのは私みたい」グスグス

提督「……」

暁「ごめんなさい。ごめんなさい」ポロポロ

提督「泣くな暁。いいんだよ。もともとそのつもりだったしな」

暁「え?」

提督「あの指輪は暁にあげるつもりだったんだ。結婚しよう暁」

暁「ほ、ほんとに? うそじゃない?」

提督「ああ、ほんとさ」

暁「ありがと司令官。ずっと一緒にいようね?」ギュ

提督「……もちろんだ」ギュ

暁(かくして、謎の指輪消失事件は収束を向かえた)

暁(結局、司令官の指輪を盗んだ犯人は私だった)

暁(指輪はどこにいったのかは不明のままだ。ほんとにどこいったんだろ)

暁(私に解けない謎はない)

暁(そう、なぜなら私は名探偵。暁なんだからっ!)



こういうの好きよ



あれ?私だ
じゃねぇよwwww

おつ
響ェ……

おもろかった

おつ
大変面白い

提督「年!年!」

姉の茶番劇に付き合ってくれるクールな妹がいる優しい世界

乙です。
ちゃっかり上限突破してる次女がいますね……。

面白かった。
続編希望

響が暁のために空回りしまくるパターンもみたい

ピッキングは伏線かよwwwwww

スレタイで変な笑い声出たわ

お昼にこのスレ見つけた。
カレー噴いちまったじゃねえかどうしてくれんだコラ

おつおつ
面白かったよ

あれ?私だ・・・でどうしてもふくww

ワロッタ

暁はちょっとおバカなぐらいが可愛い

かなり考察が進められてるみたいだけどスレ主の見解とか誰が犯人かとかの設定はあるのかな?

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