・もしもウーさんとトールが仲よかったら。そんな二人が駄弁ってるだけ
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1485667013
1杯目:ちょい違う。
【~船の墓場:ウートガルザロキの部屋】
トール「邪魔するぜー」
ウート「おう。そこのソファ座れよ」
トール「ん。…はー…つっかれた」ボフッ
ウート「任務お疲れ。どうだったよ?」コポポポポ...
トール「んーまぁボチボチだな」
ウート「なんだっけ?一人で戦艦20隻とやり合ったんだっけか?」
トール「そ。オティヌスの野郎も無茶言いやがって」
ウート「いやでもさすがは”戦争代理人”様だな」
ウート「結構いい経験値稼ぎになったんじゃね?」
トール「うんにゃ。前々からアレぐらいなら殺れたし、雑魚艦隊なんざと殺りあってもそんなに面白くねぇよ」
トール「力を存分に振るえるのは楽しいけど」
ウート「まあお前ぐらい戦えるヤツだったらそうなのかもな」
ウート「コーヒーあと5分くらいだから」
トール「んー」
トール「んー」
トール「…」クンクン
ウート「~♪」
トール「インドネシア系の豆か」
ウート「よくわかったな」ヘラヘラ
トール「なーお前もわかんねぇ?喧嘩の楽しさとか」
ウート「全く理解出来ねえわけじゃあねえよ?積極的に楽しみにはいかないだけさ」
トール「お前完全インドア派だもんな」ウダ-
ウート「インテリっつってくんねえ?体よりも頭の方を動かすのが好きってだけだって」
トール「どう違うんだよ」
ウート「頭脳労働をするか、単に部屋の中から出ないだけってのは類似してるだけの別モンだろ」
トール「一緒でいいだろ面倒クセェ」グダグダ
ウート「つーかアレじゃね?『インテリ』の方が響きが良くね?」
トール「まーなー」
トール「こう、スマートなブレイン持ってる感じだよな」
ウート「お前それルー語になってるからな?」
トール「マジで?」
コポポポ………
2杯目:外見と中身
ウート「お待たせ。こっちの綺麗な方のカップがお前のな」
トール「どう違うんだよ。どっちでも一緒だろ?」
ウート「バカおまっ、違うだろ?器が全然ちげーだろ?お前これコペハーだぞ?」
トール「なんだよコペハーって」
ウート「コペンハーゲン。カップ1つで五万六千円とかするヤツ」
トール「は?たっか!オイオイ大事なのは外面じゃなくて中身だろ?男もコーヒーもよぉ」
ウート「何言ってんだ外見も中身も伴ってるから魅力的になるもんだろうがよ」
トール「…そーゆーもんか?」
ウート「そーゆーモンだろ?」
ウート「つーかお前は逆に影で『トールって、”外見は”いいのにね。外見は』ってグレムリンガールズで言われてっからな?」
トール「へー…なんかショックだな」
トール「でもお前も『ウートガルザロキは軽い見た目がダメだよ。ダメなんだよね』ってグレムリンガールズで言われてたぞ」
ウート「へー…なんかショックだわ」
ウートトール「「まあ言ってたのはシギンだけど」」
ウートトール「「あ、やっぱりアイツか」」
ウート「…ハッピーアイスクリームだな?二回も」ヘラヘラ
トール「何それ」
ウート「ん?同時に同じ事言う事」
トール「でもよ、なんでそんな話題になったんだろうな?」
ウート「んー?ヘルが『グレムリンで彼氏作るなら誰がいいか』ーってシギンの”助言”をもらいに行ったらしいぜ」
トール「へーなんでそんな事知ってんだよ?」
ウート「俺の交友関係は浅く広く、人の口に戸は立てられない、とだけ」ヘラッ
トール「俺、お前だけは敵に回したくねぇな」
ウート「…ちなみにお前は何で俺がシギンに言われてるって知ってたの?」
トール「任務から帰ってきた時にたまたまヘルに言ってるとこ見たんだよ」
ウート「ふーん?」
トール「なんか妙に必死だったけどありゃなんだろうな?」
ウート「……、…さあな」
3杯目:おかしい仲間
トール「ん?そういや今お前が使ってるカップ、コペンハーゲンじゃなくてマグカップじゃねぇか」
ウート「俺はマグカップ派だから」キリッ
トール「ふーん?高いヤツ?」
ウート「んー…まあ二万くらい」
トール「たっか!」
ウート「商品棚で一目見た時に惚れてさあ」
トール「そーかい」
トール「…美味いな。コーヒー」ズズ...
ウート「恐悦至極の至りでございます」
ウート「クッキーあっけど食う?」
トール「ん」
ガサガサ…
トール「…なんかさ、わざわざこういう大皿に布の下敷き敷いてクッキー出されると『いいとこの家のヤツ』って感じだよな」
ウート「品があっていいだろ?」
トール「男っぽくねぇ」
ウート「やかましい」
トール「いいとこの坊ちゃんちに遊びに行った時のおばちゃんって感じだな」
ウート「あー…」
ウート「あ、でもそういやロキじいとかベルシんとこで茶を飲んだ時もこんな感じの出されたぜ?」
トール「何お前あいつらとも交流あんの」
ウート「まあな。結構仲良くしてもらってるよ」
トール「はーん…なあ、俺はお前とぐらいしか仲良くねぇんだけどヤバイか?」
ウート「え?別にいいんじゃね?元よりお前単独任務多いし戦闘とか体鍛えるのって自分との戦いなワケじゃん?」
ウート「それ考えたら『コミュ力無いから友達少ない』とかじゃねえわけだし?」
トール「そうかね?」
ウート「ああ。それに無理して仲良くする必要はねえよ。グレムリンメンバーも中々の付き合い辛いクセモノだらけな奴等だしな」
ウート「多分、相ッッ当、許容範囲広くて何でも許せる人間じゃねえとあいつらと付き合うのとかマジ無理じゃね?って思うわ」
トール「そんなにか?」
ウート「ああ。つーか元より俺らって『自分じゃ絶対に叶えられない望みを叶えてもらう為に』ってだけで違法魔術結社に所属してんだぜ?」
ウート「俺やお前みたいに1つの指向性を持った魔術を極めたヤツらや、学園都市屈指のイカレた科学者で魔術師なベルシ、」
ウート「科学でも魔術でもねえ力持ってて、『全部私のおかげでしょ?』で『上手く使えば世界は私の思いのまま!』なシギンとか」
ウート「…そんな断片的な情報聞いただけでも『絶対そいつらまともじゃねえ』って思うだろ?」
トール「すげぇ納得したわ」ウン
ウート「つーか俺に言わせればお前だってまともじゃねえからな?」
トール「えぇ?俺は割と普通だろ」
ウート「普通の奴は単独で戦艦20隻とやりあえないし、リアル『俺より強い奴に逢いに行く』思考なんかしねえし、」
ウート「あとお前さあ、さっきから俺が話してる間ずっと足だけで筋トレしてるよな?」
トール「こういう時間の時にも強くなる努力を怠らないだけだって」
4杯目:普通とは
ウート「お前さあ…自分が友人との会話を楽しんでる時にふとそいつの足元見たら片足だけでずっと空気椅子しててプルプルしてるのとか見たらどう思うよ?」
トール「『努力家だなぁ~!コイツ強いかな?手合わせしてみてぇな!』」
トール「って思う」
ウート「うん、だからな?普通の人はそんな事考えねえから」
トール「え~そうか?」
ウート「そうだよ」
トール「んー…なぁ、たまに思うんだけどよ」
ウート「何?」
トール「”普通”ってなんだ?」
ウート「…そりゃ哲学的な話か?それとも今使った言葉のニュアンスか?」
トール「どっちもだけどどっちかっていうと前者の方」
ウート「ふうん?」
トール「たまにさ、会話の中で『普通そんな事しないよ』とか」
トール「『お前常識的に考えろよ!』とかあるだろ?」
ウート「あるな」
トール「けどよ、それっておかしいと思わないか?」
トール「例えばさ、家とか室内に土足で入るのって世界的に見たらよくある事だろ?」
ウート「まあ大半はな」
トール「でもそれ、日本でやったらすげぇブチ切れられるだろ」
ウート「ああ…俺も初めてやった時のアレは超ビビったな…」
トール「だろ」
ウート「あのベルシですらも『畳ぞ!?ウート!?おまっ、ちょっ、畳ぞ!?』って超キレてたもんな…」
トール「え?あのベルシが?」ゴクリ
ウート「あの時はマジヤバかった」
トール「あー、その気になる話は今度改めて聞くけどよ…で、あとさ、俺は目玉焼きにかけるのはケチャップなんだけど」
ウート「うん」
トール「それを話してみたらシギンには『え?普通はマヨネーズ。マヨネーズだよね?』って小首を傾げられて」
トール「ベルシは『醤油一択だ』、マリアンは『ソーs…だよねー!醤油だよねー!』」
ウート「ん?うん」
トール「 つまり、常識とか普遍性ってのはその国とか業界、地域性とか育ってきた環境や価値観で異なるわけだろ」
トール「結局、『普通に考えろよ』とか『常識的に考えて』って」
トール「そいつの『自分の世界の常識』だけでそれを語るわけだろ」
トール「けどそれは『そいつの世界の常識』なのであって『俺の世界の常識』とか『その地域で見た時、周囲にいる人間の世界の常識』とは差異があるわけだろ」
トール「全てを総合的、統計的に見た時の『この場合はこうした方がいい』が”普通”なんだとは思うんだけどよ」
トール「でもやっぱり変だよな?それって結局『俺の世界の常識で俺が満足する答えで返せ』って言ってるって事だろ?」
ウート「…」
トール「そんなのわかるわけないって思わないか?」
ウート「…」
トール「だってよ、そいつの常識はそいつの頭の中にしかない訳だから」
トール「頭の中を覗ける能力でもない限りわかるわけないだろ」
トール「『お前の言う”普通”や常識の基準や内容ってなんだよ?』って思う」
ウート「…」
ウート「まあ…なんつーか、」
ウート「お前も一般社会で生きて行くには辛い性格してるよな」
トール「そうか?」
ウート「ああ。まあ、でもさ」
ウート「いいんじゃね?お前のそういう考えもさ」
ウート「『普通』『常識的に』って言って可能性を封殺しちまうよりもさ、」
ウート「常識破りをする事でやりたいことを思いっきりやったり、良くなったりする可能性を追求するっていうか」
ウート「時には誰かに迷惑をかける結果になってしまったとしても、もっと自由に生きていいと思うぜ?」
トール「だろ?でも今まで一度も理解された事なかったんだよな」
ウート「…そっか」
トール「”生きる”のって大変だよな」
ウート「そうだよな。わかる。”生きる”のは大変だ」
5杯目:”力”を振るう者の狂気。
トール「あ、もうコーヒーねぇや」
ウート「お代わりいる?」
トール「ん。くれー」
ウート「おけおけ。ちょい待ちー」
トール「…」
ウート「…」コポポポ
トール「あーあ。オティヌスももっとデカイ喧嘩か、踏み台にできるぐらいの丁度いい敵とかに俺をぶつけてくれねぇかなぁ」
ウート「お前はそればっかだな」クックックッ
トール「でも感謝はしてんだよな」
ウート「へえ?」
トール「戦って戦って戦って強くなる生き方って難しいだろ」
ウート「裏ボクシングとかみたいなアングラ格闘場とかじゃダメなのか?」
トール「ダメ。俺は魔術とか反則な技とかルール無用なバーリトゥードで敵を倒したいんだよ」
トール「こう、戦争とかに行った時に万の軍勢をいっぺんに薙ぎ倒す時の爽快感とかさ、もう、えも言われぬっていうか」
トール「単純な格闘もいいけど遠距離中距離と戦いたいわけよ」
トール「んで、オティヌスはそういう舞台を俺に安定供給してくれるからさ」
ウート「なるほどね」
トール「…なぁウート」
ウート「ん?」
トール「ちょっとマジな相談なんだけど」
ウート「おうどした?」
トール「お前は俺が暴力を振るう快楽に呑まれる…あるいはもう既に呑まれてるって思うか?」
ウート「…気にしてんの?」
トール「ちょっとな」
トール「だってよ、それこそ”普通じゃない”だろ。俺みたいな生き方してる奴」
トール「傭兵だってもう少し大人しいだろ。殺し屋とか裏稼業の奴等だってさ」
トール「けどよ、俺は…やりすぎっていうか」
トール「この生き方に後悔はしてないし、やめるつもりもねぇけど」
トール「たまにちょっと自分が怖くなる時があるっつーか」
トール「ほら…剣があったら斬りたくなる。銃があったら撃ちたくなる。爆弾があったら爆発させたくなる」
トール「歌が上手ければ歌いたい。腕自慢なら試す。頭がいいなら使って生きる」
トール「どんなモノでも”力”があったら使いたくなるだろ」
トール「で、もし。もし俺がこの生き方の過程、あるいはその果てに最強になったとして」
トール「俺はその力をどう振るうんだろうなって考えたらちょっとな」
ウート「…」
トール「俺が戦うのは『強くなりたいから』。その過程で助けられそうな奴がいたら助けるぐらいの善性はあるけど」
トール「でもそこ止まりだ。俺は決して良いやつじゃない」
トール「幻想殺しみたいな奴じゃない。俺は善人じゃない」
トール「それにぶっちゃけた話、人を殴るのも壊すのも快感なんだよ」
トール「武術を学んだ人間ならわかると思うけどよ、敵を、相手を倒した時とか」
トール「征服欲満たされたりとか優越感あったりとか…自分の生物的な価値の確認が出来たりとか」
トール「…あーもうはっきり言う。人をボコボコ殴って叩き潰すの超楽しい」
トール「…まぁこういう話するとドン引きされるからウートぐらいにしか話さねぇけど」
ウート「…」
ウート(否定してほしいわけね。『そうじゃない』って)
トール「どう思う?」
ウート「…、…そうだな、はっきり言うが」
ウート「しょーじき、俺は全然心配要らないと思うね」
トール「なんでだ?」
ウート「まず、お前はちゃんと善悪の判断ができる人間って俺は知ってる」
ウート「次に、あのオティヌスのそばにいる以上は力を振るわれる方の気持ちもお前はわかってるはず」
ウート「それから…そうだな、俺がお前の事信じてるから」
トール「ウート…」
ウート「お前はそんな事しない。俺のダチはそんな事しねえ」
オレ
ウート「俺がずっとお前の事信じてるから…お前、友達を裏切るなよ?」
トール「ウート…」
トール「なんかそれちょっと気持ち悪い」オエ
ウート「よっしゃ歯ァ食いしばれ」ニッコリ!
6杯目:”本物”と”偽物”
ウート「つーかな、身も蓋もない事を言わせてもらうが」
ウート「その手の考え方ってのはモラトリアム真っ盛りな思春期特有の思考回路だからな?」
ウート「具体的な解決策を言えば『考えるな』。」
ウート「いいか?『未来の自分がどうするか?』なんて自分自身にも誰にも答えられない事なんだから考えるだけムダなんだよ」
トール「…そっか…そーだよな」
ウート「そうそ。だろ?気にすんな」
トール「あ、もう一杯もらっていいか?」
ウート「いいけど…お前飲み過ぎじゃね?そろそろ気持ち悪くなってくる頃じゃね?」
トール「心配すんなよ。もうそんな時期はとうに超えた」
ウート「クソやべえな大丈夫かお前」
ウート「ほらよ」つ
トール「あんがと」
トール「…」
ウート「ん?どした?」
トール「やー俺基本ブラックで飲むだろ?」
ウート「だな」
トール「たまにはミルク入れてみよっかなーって」
ウート「ああ、入れれば?」
トール「んー」
トール「…」トポポポ
ウート「…」
トール「よく考えたらミルクって栄養素豊富だし本当は入れた方がいいよな」
ウート「あー…まあ?」
トール「ブラックで飲んでると体に悪い感じがするし」
ウート「…」
トール「ミルク入ってたら帳消しになる感じするだろ?感じだけ」
ウート「…」
トール「?」
ウート「なぁトール」
トール「なんだよウート」
ウート「チューブ式のさ、ワサビとかあるだろ」
トール「? ああ、あるな?なんだよ突然」
ウート「今お前が使ったコレもそうなんだけどさ、喫茶店とかの席に置いてあるフレッシュミルクってあるだろ?」
トール「ん?ああ」
ウート「あとはカニカマとか」
トール「なんの話だよ?」
ウート「実は今列挙したヤツはさ、全部”偽物食品”って言って本物じゃねえんだよね」
トール「は?偽物?カニカマはわかるけど他のも偽物なのか?」
ウート「イエス。チューブワサビの場合はさ、基本的に白い西洋わさび(ホースラデッシュって名前のヤツ)を緑色に着色して、香料とか酸味料に澱粉を混ぜた物が多くて」
ウート「実はアレ、本当のワサビを使ってねえんだよね」
トール「へー!」
ウート「ついでに実は本物のワサビよりずっと辛いんだってよ」
トール「へー!」
ウート「で、件のフレッシュミルクの場合は植物油を添加物で白くしてミルク風味にしてるだけなんだわ」
ウート「だからフレッシュミルクはミルクでも乳製品でもねえんだよね」
ウート「ぶっちゃけアレただの油」
トール「」
ウート「つまりたまにいる『私ぃ~ミルク入れなきゃコーヒー飲めないのぉ~』とか言う奴はサラダ油をコーヒーにドパドパ入れて飲んでるようなもんで」
トール「マジで!?怖ェエェ!!」
ウート「あーね、作ってる側に騙す意図はねえけど、消費者側が勝手に勘違いしちまうんだよな」
トール「へー…お前コレもう入れちまったじゃねぇかよ」
ウート「それはもう諦めてサラダ油入りコーヒー飲んでくださいなって」
トール「サラダ油言うんじゃねぇよチクショウ!美味いけど!」ズズズ
ウート「そりゃよかった」ヘラヘラ
トール「あークソ!じゃあ本物くれよ!本物のミルク!」
ウート「悪いけど今ウチにねえんだわ」
トール「んだよぉー…偽物なんて嫌いだっての」
ウート「…」ピクッ
トール「やっぱり俺はブラックだな。もう浮気しねぇ」
ウート「トール」
トール「あん?」
ウート「…お前さ、”本物”と”偽物”はどっちが価値があると思う?」
トール「なんだよいきなり」
ウート「いいだろ?ちょっとした価値観の話だって」
トール「んー…まぁ、”本物”じゃねぇの?」
トール「偽物は結局偽物で、本物にはなれねぇじゃん」
トール「人間やっぱり何でも本物がいいに決まってるわけだし」
トール「希少価値って言えばいいか?レアだよレア」
トール「偽物よりもレアなんだから本物の方が価値があるんじゃねぇの?」
ウート「そっか」
トール「…『お前はどう思うんだ?』って聞いて欲しそうだな」ニヤニヤ
ウート「御名答」ニヤッ
トール「で?お前はどう思うんだ?」
ウート「俺?」
ウート「俺のメイン戦術の術式が幻術ってのもあるけどさ」
ウート「俺は『”本物”と”偽物”、どっちの方が価値があるか?』という質問をされたとしたら」
ウート「『決まってるだろ?圧倒的に”偽物”だ』って答える」
トール「へぇ?なんでだよ?」
ウート「単純にさ、本物と偽物はどちらが役に立ってるか考えてみろよ」
ウート「ほら、さっき挙げたカニカマとかだってそうだろ?」
ウート「”本物”であるカニはそりゃあ当然美味いし、皆が食べたいって思うけど」
ウート「単純にカニは高くて中々食えねえじゃん」
ウート「実はカニの奴は大半の人間を幸せにしてねえんだよ」
ウート「それに比べてカニカマはどうだ?」
ウート「ちょっとした妥協と思い込みでカニ食ってる気分になれるわけだし」
ウート「安価で基本的には誰でも簡単に手に入れられる」
ウート「誰でもカニの美味しさのような物をたくさん楽しめるわけじゃん」
ウート「一人の人間の味わう幸せの量自体は少なくとも、たくさんの人間がそれを手に入れられるなら」
ウート「それって総合的な幸せの量としてはカニカマの方がカニよりもたくさんの人を幸せにするって事だろ?」
トール「…」
トール(そう…か?)
ウート「チューブワサビもフレッシュミルクもそうだろ?」
ウート「ミルクなんて衛生管理面倒クセェもんなんて軽々しく席に置いとけねえし、ワサビは扱い辛い」
ウート「けど偽物を使うことによって本物なんかよりずっと人を幸せにしてんじゃん」
トール「…そうかもな?」
ウート「つーかさ、別に食い物じゃなくてもそうじゃね?」
ウート「例えば好きな人だとか、漫画の中のキャラに公式でこうなって欲しいだとかアイドルとか美術品だとか…『言って欲しい言葉』とか」
ウート「そういう”本物”は色んな壁があって大抵手に入らねえじゃん」
ウート「”本物”は何人かだけの極少数の掴み取れる奴だけが幸せになれる」
ウート「わかるだろ?『何人かだけ』だ。”本物”は結局、基本的に大半の人の心を救ってくれねえだろ」
ウート「本物は手に入れられたら満足度100%だけど、手に入れられなきゃ0%だ」
ウート「けど偽物ならさ、100%とは言えねえけど65%~75%ぐらいは満たされる気がするだろ?」
トール「…それは人と物によるんじゃねぇの?」
ウート「かもな。けど一切手に入らなくて0%よりずっとマシだろ」
ウート「俺が言いてえのは」
ウート「『本物よりも偽物の方が沢山の人の心救えるから価値あんじゃね?』って思うって事」
トール「ふーん?」
ウート「どうよ?俺のこの私見聞いたら”偽物”と”本物”、どっちが価値があるかって言ったら”偽物”の方になんじゃね?」ヘラヘラ
トール「…そうだな、」
トール「…要はアレか、フレッシュミルクはヒトの心救えるって事で俺は今救われたって事か?」
ウート「チッ、テメちっげえよバカお前何聞いてたんだ殺すぞこのクソ野郎」
ウート「俺の迸る熱いパトスをちゃんと受け止めろよ!」
トール「だって面倒クセェし正直興味ゼロだし」
ウート「だぁあああ!!!ムカツク!!こいつスゲームカツクぅう!!」
ウート「感じろよ!俺の”偽物”に対する美学とか愛とかそれを仕事にする心意気とかをよお!」
トール「あーうん。感じた感じた。ビンビンだったな」
ウート「その言い方やめろ!スゲー腹ただしいわ!」
トール「へいへい…ん?」
時計「結構遅い時間でごわす」
トール「あ、んじゃまー俺そろそろ帰るわ」ガタッ
ウート「ん?おう。もうこんな時間だったんだな」
トール「ん。疲れたし帰って寝るわ」
ウート「ういうい。気をつけて帰れよ」
トール「すぐそこだろ」ケラケラ
ウート「足滑らしたり他のアブねーメンバーに襲撃されるかもしれねえだろ」
トール「あーハイハイ。気をつけるわ」
ウート「土産にクッキーの残り持ってくか?」
トール「あー、じゃあ貰っとく」
ウート「実は手作りなんだよね」
トール「へーマジで?なんかちょっとキモいな」
ウート「いやウソだけど」
トール「嘘かよ」
ウート「じゃあな。今度は酒でも飲もうぜ」
トール「そうだな」
・・・・・。
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7杯目:『さて、どうでしょう?』
【デンマーク:イーエスコウ城付近】
トール「…」パチッ
トール(…っと、居眠りしちまってたな)
トール「…」
トール「イチチ…血まみれじゃねぇか」
トール(まぁそりゃそうか。列車突撃云々とかオティヌスの『弩』とかあったもんな)
トール(オティヌスは…最後バラバラになっちまったけど)
トール(上条ちゃんのメンタルは無事かね?結構キツイぜありゃ)
トール(…そのうち体治してから様子見に行ってやるか)
トール「…」
トール「あー痛て。コレあちこち折れてんじゃねぇの」
トール「はー…寒ィ…」
トール「あったかくて美味いコーヒー飲みてぇな…」
トール「…」
トール「…そーいや、叩きのめしたグレムリンメンバーの中にアイツ居なかったな」
トール(バゲージシティでシギンと一緒に行方不明っつってたし…)
トール「…アイツ、やっぱあん時に死んじまってたのかな」
トール(もうあの美味いコーヒーが飲めないのは残念だな)
『誰が死んでるって?逆に今死にそうなのってお前じゃね?』
トール「!?」バッ
トール「んだよ…誰も居ねぇじゃねぇか」
トール(空耳、か?)
トール「…」
トール「…『”本物”と”偽物”、どっちの方が価値があるか?』、か」フッ
トール「なぁ…俺にはやっぱり”本物”の方が価値あると思うぜ、ウート」
『そうかよ』
終わりる。総合スレやらウートスレだと長すぎるから立ててみた。
依頼出してきまーす
おつおつ
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません