メイド「聞いてるっすよ。パンに肉挟んで持ってきて欲しいんでしょ？」

伯爵「ああ、そうだ。なるべく早く頼むぞ」

メイド「肉と言えば、大豆は畑の肉って言われてるんす」

伯爵「そ、そうか」

メイド「そして納豆ってのは大豆でできてるんす」

伯爵「そうだな。でも私が食べたいのは肉をパンで挟んだやつだ。納豆じゃない」

メイド「卵入れます？」ﾈﾘﾈﾘ

伯爵「だから納豆は要らないって言ってるだろ！」

友人「さっきから何の話をしてるんだい？　……納豆？」

伯爵「このメイドの出身のソウルフードだ。糸の引いた豆をライスに乗っけて食べるんだそうだ」

友人「い、糸の引いた豆を……？！」

メイド「あ、違うんす！　別に腐ってるわけじゃなくて……。ちょっと何誤解招くような言い方してんすか！」

伯爵「誤解も何も、腐ってるだろ」

メイド「腐ってないっすよ、ほら」

友人「臭っ！　シット……！」

ビールの酒粕パンに塗って食ってる連中が言えたことか

発酵させる系の食べ物はそれこそ腐るほどあるしなぁ

マーマイト食おうぜ

メイド「とりあえず一度食べたら分かるっす。今ご飯用意しますんで」

伯爵「要らん。とにかく肉をパンにはさんで持ってこい。きっとすごく美味いと思うんだ」

友人「確かにそれ、すごくいいアイディアのような気がする。片手で食べられる料理なんて今まで無かったからね」

伯爵「そうだろう？　きっとこの食べ方は大人気になるぞ。そうなった暁には私の名前をとってサンドウィッチと名付けよう」

メイド「自分の名前が食べ物になるなんて嫌じゃないすか？　サンドウィッチ食べてゲロ吐いたとか言われたらヘコみません？」

伯爵「い、いいだろ別に！　私だって何かで名を残したいんだ」

メイド「まぁ別にいいんすけどね……。ちょっと待っててください」

１０分後


メイド「お待ちどおさま」ﾄﾞﾝ

友人「……」

伯爵「……なんだこれは？」

メイド「試しにご飯と納豆をのりで巻いてみたっす。とんがり帽子みたいでかわいいっす」

友人「た、確かに片手で食べられそうだが……」

メイド「命名、『サンドウィッチ』」

伯爵「やめろ！　こんなのサンドウィッチじゃない！」

メイド「いや、どう見てもサンドウィッチっすね。名前が残ってお父様も天国でお喜びっすよ」

友人「これが……サンドウィッチ……」ｺﾞｸﾘ

伯爵「違う！　おい、これはお前が勝手に作ったんだからお前の名前をつけろ！」

メイド「えー私の名前っすか？　……じゃあ今日からこれは『加藤真希』っすね」





――後の、納豆巻きである。

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その発想はなかった

乙

乙
この読み切りギャグマンガみたいなノリ好き

乙
思いっきり笑った