【艦これ】加賀さんとお餅つき (34)
ある日、鎮守府の所在するこの地方に雪が降り積もった。
鎮守府の外では加賀さんと電さんが雪掻きをしている。
加賀さんはクリスマスプレゼントであるピンクのモコモコしたコートと、これまたピンクの手袋を身に付けている。
電さんは支給品の紺色のコートと白の軍手であった。
そこへパラリと小雪がちらつく。
電「もう降らなくてもいいよ、早く止んでくれー!」
二人が懸命に雪掻きをしているのにはある理由があった。
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それは前日の夜のことである。
雪が降り続いていた。
鳳翔「この雪じゃ、明日の朝には銀世界でしょうね」
龍驤「雪の中じゃ餅つきはしたないな」
鳳翔「今年はこの自動餅つき機の出番ですね」
鳳翔さんと龍驤さんが厨房で会話している。
お手伝いに来ていた加賀さんと電さんもその話を聞いていた。
電「今年はお餅つきはしないのですか?」
龍驤「出来んこたないとは思うけどなー」
加賀「この様子だと結構雪が積もると思うの」
電「そうなのですか、毎年楽しみにしてたのですけど……」
電さんはすっかり悄気返ってしまった。
加賀さんはなんだか気の毒に思って、彼女にある提案をする。
それがこの雪掻きであった。
他の艦娘たちは寒いせいなのか二人の雪掻きなど露知らず、多くが布団の中に潜ったままであったが、
布団の誘惑に打ち勝った艦娘は、鎮守府の中から二人を見つけると、急いで着替えて外に飛び出してきた。
鬼怒「私も手伝うよ!」
谷風「後で雪だるま作ろうぜ!」
巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲「加賀 電 自販機デ オ汁粉 買ッテキタ」
電「皆さんありがとうなのです!」
加賀さんと電さんは疲れていたが、三人の加勢によりまた元気を取り戻した。
途中、鬼怒さんの変な歌や巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲さんののろけ話が鬱陶しかったりもしたが、
二人の時よりずっと進みが速かった。
そうして、皆が一生懸命雪掻きをしているところに息を切らしたサラトガさんがやって来た。
サラトガ「はぁ……はぁ……あなたたち……はぁ……疲れた……」
電「どうしたのですか?」
谷風「また嫌味でも言いに来たのかよ」
鬼怒「でも諸事情につき明石さんに人格を改造されたんじゃ?」
加賀「えぇ……そんなことになってたの……」
サラトガ「嫌味だなんてそんな……実は、見つけたんですよ倉庫に!」
そう、実は倉庫にコマツG40ブルドーザーが保管されていたのである!
谷風「でかした!」
その結果、雪掻きはあっさりと終わり、これで無事に餅つきが出来るようになった。
加賀「やりました」
鳳翔「まぁ……」
龍驤「こりゃまた驚きやで」
歓声が上がり、艦娘たちは大喜びである。
初雪「私はそうでもないけど」
しかし初雪さんはそうでもなかった。
長門「いや、みんな助かったよ。これで年始に餅飢饉に悩まされることもなくなる」
電さんは得意そうな顔をしていた。
電「これでお餅つきを始められるのです!」
加賀「そうね」
かくして鎮守府のお餅つき大会が始まった。
鳳翔「さあ、餅米が蒸し上がりましたよ!」
鳳翔さんが湯気が立ち上がる蒸し鍋を抱え、お湯で十分に暖まった臼にその中身を入れる。
すると辺りに餅米の美味しい香りが広がる。
龍驤「これやでこれ、この匂いや!」
伊19「おこわ食べたくなってくるのね」
実際この状態で食べても美味しいのだ。
というよりは、餅をつくためにも食べてちょうど美味しいぐらいに蒸さなくてはならない。
しかし、
鳳翔「まずはお餅からですよ」
ということなので、まずは餅つきである。
天龍「トップバッターはもちろんこの天r」
電「電なのです!」
天龍「俺もy」
利根「吾輩もやらせてもらうぞ!」
天龍「お」
伊勢「じゃあ、私もついちゃおうかな」
天龍「……ぐすん」
龍田「大丈夫よぉ、まだまだたくさんあるから」
鳳翔「まずは三人でついて、頃合いになったら私が合いの手をいれますからね」
この餅つきには海外勢も興味津々であった。
プリンツオイゲン「オモチー!」
アイオワ「合いの手って、途中でHey!とかFoo!とか言ったり?」
サラトガ「違うと思う……」
ペッタンペッタンとリズムよく餅をついていく。
臼の中の餅米は徐々に粒がなくなっていき、餅へと変わっていった。
電「えいっ」
利根「そりゃ」
伊勢「はいっ」
意外な三人組ではあったが、これまた意外にも息はピッタリである。
巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲「カツテ熊トらいおんトモ戦ッテイタ勇敢ナ犬、さもえどノ様!ソレハマサニさもえどノ様!」
加賀「いや、ただの餅つきよ……」
いつになくテンションの高い巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲さんである。
鬼怒「そもそもサモエドは熊ともライオンとも戦ってないし……ソリ犬だし」
巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲「ナ、ナンダッテー!?」
九七式飛行艇もアルファケンタウリまで吹っ飛ぶ衝撃を受けた巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲さんであったが、
それはともかくも、艦娘たちは餅つきを楽しんでいる。
しばらくして、龍驤さんが加賀さんの元へとやって来た。
龍驤「おーし、加賀!見せたれやお前の餅つきストっぷりを!」
加賀さんは、餅つきストって何よ、と思いつつも杵を取ろうとする。
龍驤「ちゃうちゃう、合いの手を頼むで」
加賀「あら、そっち?」
と臼の方を見るとリベッチオさんが杵を持っていた。
リベッチオ「よろしくね加賀さん!」
加賀「え、ええ……」
チラリと視線を横にやると、手に湿布を張った鳳翔さんと、半泣きで鳳翔さんを気遣う五月雨さんがいた。
加賀(大丈夫よ、いくらリベッチオさんと言えども別にどん臭いわけではないから)
リベッチオ「いくよー!」
加賀「……」
リベッチオさんが掛け声をかけるも、加賀さんの耳には入ってなかった。
リベッチオ「いくよー?」
加賀「えっ、ああ、どうぞ」
リベッチオ「それっ!」
と、リベッチオさんの杵が勢いよく降り下ろされる。
加賀さんの手の上に。
加賀「おうっ!?おうっ!おうっ!おうっ!おうっっ!!」
加賀さんが痛みでのたうち回る。
その様子を見てアイオワさんが、
アイオワ「Oh!やっぱり合いの手って掛け声を言うのね!Oh!Oh!」
と叫んだという。
リベッチオ「あー!いくよって言ったのに!」
龍驤「加賀、今のはなぁ……」
リベッチオ「大丈夫?」
加賀「頭に、き、っつぅ……ふぅー……」
龍驤「いや、怪我人にこういうこと言うのはなんやけど、今のはなぁ……明らかに加賀の注意不足やで」
もう年も明けるというのについてないなぁ、と思う加賀さんであった。
おしまい
おまけ:駆逐艦三人娘 史上最大の作戦
とある鎮守府に三人の駆逐艦がいた。
食堂。
高波「あ、あの……そこ高波の席……かも……」
天龍「あーん?」
高波「い、いえ……なんでもないかも……です……」
天龍「……?」
酒保。
潮「あ、あのその限定の」
伊勢「これくださーい」
間宮「はい、600円ね」
伊勢「どーもー」
潮「あ……私も同じのを……」
間宮「あら、ごめんなさい、今ので売り切れちゃって……」
潮「そうですか……」
そして浴場。
磯波「……」ゴシゴシ
足柄「ごめんこれ借りるわね~」ヒョイ
磯波「あ、それは……自分で買った……」
足柄「ん?なあに?」
磯波「いえ……別に……どうぞ……」
伊19「あ!これいいやつなの!」
鈴谷「本当、高いヤツじゃん!」
足柄「へー、そうなの」
伊19「ちょっと使わせてー!」
鈴谷「ごめん、私もいいー?」
足柄「あー、磯波ちゃん?」
磯波「え……ど、どうぞ……」
潮の部屋。
ハァ…
高波「天龍さん、ちょっと怖いかも……」
潮「もっと声が大きく出せればなぁ……」
磯波「気が強くなりたいよね……」
高波「イライラで大声を出したくなるかも!」
潮「どうぞ」
高波「すぅっ……ぁ~~~~~!」
磯波「気は済んだ?」
高波「ちょっとだけ……」
潮「このままでいいのかなぁ……」
磯波「でも怖いもん」
高波「強くならなきゃ……ダメかも……」
潮「でも、どうやって……」
高波「うーん……」
磯波「まずは見た目から……とか?」
潮「怖い人の見た目を真似る……みたいな」
高波「それいいかも!」
磯波「怖い人って、天龍さんとか……」
潮「麻耶さんはどうかな……」
高波「加賀さんかも!」
磯波「その三人かな」
潮「でも服はどうするの?」
磯波「私が作るよ、こういうの得意だもん」
後日...
ざわ……ざわ……
磯波(天龍の服)「これ、完璧な作戦だよきっと!」
潮(麻耶の服)「うん!みんなもなんだか怖がってるみたい!」
高波(加賀の服)「これでもうバカにされない、かも!」
天龍「へっへへ、おい見ろよあれ、へへ……///」
龍田「あらぁ、天龍ちゃん人気者ねぇ~」
麻耶「お、おい、なんだよアレ、おい……」
鳥海「知らない……」
加賀「照れますね」
赤城「しかし大胆なファンね」
磯波「これはもう恐れるものは何もないよね!」
潮「うん!」
高波「しばらくはこれで行くかも!」
しかし、そう簡単には事は進まないのであった。
龍田「あらぁちっちゃな天龍ちゃんねぇ」
磯波「お、おう!龍田か!」
龍田「……」キュン
磯波「う……ごごごごめんなさーーい!!」
龍田「ああ、行っちゃった……」(´・ω・`)
潮「けっ!クソが!」
曙「ごめんなさい潮ぉ!あたしが悪かったから早く元に戻ってぇ!」
漣「もう変な事言わないからぁ!」
朧「うぅ……ぐすっ……」
潮「え、えっと……」ダラダラ
高波「ふんふふ~ん♪」
加賀「あの」
高波「ひっ!」
加賀「やめてもらえるかしら」
高波「えっ……?」
加賀「そういう格好されると、困るのだけれど(照れくさいし)」
高波「す、すみませんでした……」ウルウル
加賀「いや怒ってるわけじゃ」
高波「ごめんなさい……ごめんなさい……」ポロポロ
加賀「あうぅ……」
潮「ダメだよ、この作戦……」
磯波「むしろ目をつけられるかもしれない……」
高波「うぅ……加賀さんすっごく怒ってたかも……」
磯波「龍田さんも……」
潮「みんなに心配させちゃった……」
高波「悔しさで物に当たりたくなった、かも!」
潮「どうぞ」
高波「えいっ!」ポフン
磯波「気は済んだ?」
高波「うん、ちょっとは……」
潮「……それじゃあ、強い人と仲がいいアピールは?」
磯波「そんなので大丈夫かなぁ」
高波「きっと、バカにされることはなくなるかも!」
武蔵「それで、私たちか」
妙高「まあ別に構いませんが」
霞「気になることがあるわね」
磯波「気になること?」
武蔵「大した事じゃない」
妙高「ただ、そーいう目で見られていたのねってだけですね」
霞「そうね、あんたらが私たちの事どう思ってるかよーくわかったわ」
潮「な、なんか怒って……」
高波「かも……」
武蔵「そうだ、そのひしゃげた根性を叩き直した方が手っ取り早いんじゃないか?」
妙高「そうですね、それがよさそう」
霞「覚悟なさいよ!」
磯波「あ!アレなんだ!?」
武蔵「?」
妙高「えっ?」
霞「なによ?」
シーン…
武蔵「なにもない……ぞ……」
妙高「逃げられましたね」
霞「そんな堂々とトンズラする度胸があるなら……はぁ」
磯波「はぁ……ふぅ……」
潮「ふぃー……ありがとう磯波ちゃん助かった……」
高波「ひぃ……ふひぃ……」
磯波「まさか、こんな事になるなんて」
潮「うーん……」
磯波「……私たちがいかに怒っているかを知って貰えばいいんだよね」
高波「それなら!秋雲ちゃんがいいかも!」
秋雲「ええ?別にいいけどさ」
高波「ありがとうかも!」
秋雲「ただ、こっちでちょいと脚色を加えさせてもらうよ」
高波「怒ってる事が伝わればそれでいいかも」
…
秋雲「出来たぜ!傑作だよこれは!」
高波「どれどれ……」
磯波「うわ!えっちい!それも女の子同士で!」
高波「しかも、これって私たち……」
潮「こんなのダメだよ!」
秋雲「なんだい、脚色を加えるって」
潮「ダメだよ!!」
秋雲「でも」
潮「ダメったらダメーーーーっ!!!」
秋雲「わ、わかったよう」
高波「まあこれは高波が没収しとくかも」
秋雲「えっ?」
磯波「え?」
潮「えぇ?」
磯波「秋雲ちゃんに頼んだのは間違いだったかもね」
潮「うん……」
高波「ふぅ……お待たせかも」
磯波「遅かったね」
潮「何してたの?」
高波「別に……」
磯波「……もっとこう、ド派手にやらなきゃダメなんだと思う」
潮「ド派手に?」
磯波「うん、例えば………………ぎ、銀行強盗とか」
高波「また突飛なことを言い出したかも」
潮「それは犯罪だよ」
磯波「でも、こんなドアマットみたいに他人に踏ん付けられる人生はごめんだよ」
潮「そうだけど……」
磯波「一発逆転ホームランを、打たなきゃ!打たなきゃ、一発逆転ホームランを!」
潮「ええ……」
磯波「失敗しても、『うわ、こいつらヤベーよ、ヤベーよぉ!』ってなるから、きっと今までみたく見下げられることもなくなるはず!」
潮「状況は悪化していくばかりだね」
高波「でも……それしか道は無いって言うんだったら、やる、やるよ」
磯波「よし!」
潮「いやもっと他に道はあると思うんだけど……」
後日、『深海銀行』
レ級「くくく……愚かな人間ども、金利がちょっと高いだけですぐ貯金しおるわ!」
ヲ級「これコピー取っといて」
レ級「あ、はい」
ガシャーン!!
ドンドン!!
磯波(マスク着用)「静かにせい!!銀行強盗や!!」
潮(マスク着用)(な、なんでこんなにノリノリなの~~!)ヒソヒソ
高波(マスク着用)(……この間、SteamでPAYDAY2買ってたかも)ボソボソ
磯波「誰も傷つけるつもりはあらへん!さっさと銭を出せい!!」
ドンドン!!
ワーキャー!
磯波「死にたないなら、かしこならんとな……!」
レ級「やばいよやばいよ~~~~!!銀行強盗だよぉ~~~~!!」
ヲ級「ヲ、ヲち着け!私たちは深海棲艦!戦艦水鬼さまに指示を仰g」
戦艦水鬼「ひぃ~~すぐにお支払い致します~~~~!!」
ヲ級「だめだこりゃ」
レ級「どうしよ~~~ヲ級!ヲ級!?ヲ級どうしよ~~~!!」
ヲ級「うるさい!どうするってバカ、命知らずどもと戦うんだよ!」
ジャキ
ヲ級「ヲい貴様ら!私たちは深海棲艦だ!強盗できるもんならやってみな!」
磯波「!?」
潮「深海棲艦!?」
高波「深海棲艦がこんなところで何やってるかも!」
ヲ級「そりゃあお前、人間どもから金を騙し取って……ハッ!」
戦艦水鬼「おバカ、だから素直に従おうとしてたのに……」
ヲ級「ももも、申し訳ございません!」
磯波「深海棲艦となりゃあ、話は別や!死にさらせや!!」
ドドドドドド
アビャーーー!!!
………
……
…
提督「なんと、この三人が深海棲艦の前線秘密基地を壊滅させたんだ!すごい!」
ワー
ヤルネエヤルネエ
パチパチパチ
磯波「えへへ……///」
潮(本当は銀行強盗のつもりだったけど……)
高波(まぁ、結果オーライ、かも?)
かくして、三人は以前のように蔑ろにされたりとかなんかそういう事は無くなったという。
チャンチャン♪
Warthunderで日本陸軍が仮実装されたらしいからみんな乗れ!バンドルも買え!
これまでの加賀さんのお話
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【艦これ】加賀さんと走る - SSまとめ速報
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【艦これ】加賀さんのチョッキ
【艦これ】加賀さんのチョッキ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1481795519/)
乙
やっぱり加賀さんの人だったか
加賀さんが誰からクリスマスプレゼントをもらったのか気になる
乙
おもろい
巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲さんがいる、100点
乙なのです
乙!
このSSまとめへのコメント
スレタイですぐにピンときました!
毎回楽しく拝見しております。
今回は赤城さんがいませんでしたね。
しかしながら、、、
祝!巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲復活!
前作はいなくて寂しかったです。
ドアマットみたいな人生でツボったwwwwww