【ゆるゆり】赤座家の七不思議 (92)


(ごらく部部室)


結衣「え?」

京子「あ、あかりの家が?」

ちなつ「オバケ屋敷かも知れない?」

あかり「うん・・・」



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結衣「な、なんで?」

ちなつ「何かあったの?」

あかり「それがね・・・」



其の一 数を数える女の霊


あかり「この前、夜中にふと目が覚めたら」

あかり「真っ暗な部屋の中に、髪の長い女の人が立ってたの・・・」

結衣「ほ、本当に?」

ちなつ「うわ、怖・・・」

京子「ね、寝ぼけてお母さんとかを見間違えたんじゃないの?」



あかり「ううん、違うの。だって・・・」

あかり「頭に、あれをつけてたのが見えたんだ」

結衣「あれ・・・?」



あかり「幽霊の絵とかにある、白い三角の布が頭に・・・」

結衣「ま、マジで・・・?」

ちなつ「ほ、本物よ!それ本物の幽霊よ!」

あかり「うん。こう、頭を覆う感じで・・・」

京子(・・・ん?)



京子(頭を覆う・・・?白い三角の布?)

京子(パンツ頭に被ってるみたいにも思えるけど・・・?)

京子(・・・もしや)



京子「・・・あのさ、あかり」

あかり「ん?なに?」



京子「その三角の布ってさ、何か模様みたいなのついてなかった・・・?」

あかり「模様?んー、暗かったし怖くてあんまりよく見なかったんたけど」

あかり「逆さになったカニさん?みたいなのがチラッと見えたかなぁ」

結衣「逆さになったカニ・・・?」

ちなつ「そ、それ、血がべったりとついてたんだよ!」



京子(カニ・・・)

京子(・・・以前、あかりの姉さんの部屋をちょっとだけ覗いた時に)

京子(あかりの、カニさんパンツが中にあったよな・・・)

京子(ってことは、その女の人って・・・)



京子(あかりの姉さんだぁぁーーー!)

ちなつ「それでそれで?どうなったの?」

結衣「うん。つ、続きは?」

あかり「うん。えっとね」



京子(何をやってんですか何をー?夜中にパンツ被ってあかりの部屋でー!?

あかり「それからあかり、怖くてお布団被っちゃったんだけど」

あかり「声が、聞こえて来たんだ・・・」

結衣「ど、どんな?」



あかり「ささやくような声で、一まぁい・・・二まぁい・・・って」

結衣「ひぃぃ!?」

ちなつ「こ、怖っ!」

京子(あかりのパンツの枚数数えてる!?)



あかり「それで、最後に・・・」

あかり「1枚、たりなぁいって・・・」

結衣「そ、それ聞いたことある!」

ちなつ「番町皿屋敷よ!」

京子(その1枚って、頭に被ってるヤツじゃないの・・・)



結衣「い、いや怖いよあかり」

ちなつ「あ、あかりちゃん、肩とか重かったりしない?」

あかり「うん、大丈夫」

どうせまたあかあかでしょ
つまんないよ



あかり「それからこの前、こんな事も・・・」

ちなつ「ど、どんな?」


其の二 ポルターガイスト


あかり「よく、外から帰って来たときに何となく部屋の物が動いてる気がするんだけれど」

結衣「マジで・・・?」

ちなつ「あ、あるねそういう事」



あかり「それで、この前外から帰ってきた時あかりの使ってるシャーペンとか」

あかり「お洋服とかが、部屋の中に散らばってたの・・・」

結衣「へ、へえ・・・?」

ちなつ「あ、空き巣でも入ったの・・・?」



あかり「ううん、その日はお姉ちゃんがずっと家に居たから」

あかり「泥棒さんじゃないと思うけど・・・。何も取られてなかったし」

結衣「そ、そうだよなぁ」

ちなつ「そ、そうね。お姉さんが家に居るなら空き巣なんて入らないもんね」

京子(お姉さん、ちゃんと片付けましょうよ・・・?)



あかり「あとね、散らばってた服の腋がちょっと破けてたりして」

あかり「ひとりでに動いてたみたいな感じがするの」

ちなつ「そ、それきっと、あかりちゃんが居ない間に部屋で色んなものが踊り狂ってるんだよ」

あかり「そ、そうなのかなぁ?」

結衣「そ、それは怖いな」

京子(踊り狂ってたのは、多分あかりの服を着たお姉さんだろなぁ・・・)



あかり「あの服、お気に入りだったんだけどなぁ」

ちなつ「そうやって、物がひとりでに動くのってポルターガイストって言うらしいよ」

あかり「ちなつちゃん、詳しいんだね」



ちなつ「それからそれから?他にはないの?」

結衣「ちなつちゃんって、こういう話好きなんだ・・・」

あかり「んー、あとはね・・・そうだ」


其の三 赤い穴


あかり「この前壁にね、小さい穴が開いてるのに気がついたんだ」

結衣「穴・・・?」

ちなつ「それで?それで?」



あかり「でね、向こうがわに何か見えるかなと思って」

あかり「覗いてみたんだ」

ちなつ「ど、どうなったの?」



あかり「そうしたら、穴の向こう側が真っ赤だったんだ・・・」

結衣「真っ赤・・・?」



あかり「変だよね?隣はお姉ちゃんの部屋のはずなのに」

あかり「見えたのは、真っ赤な色だけで・・・」

京子「・・・あの、あかりさん」



あかり「なに?」

京子「あかりのお姉さんって、瞳はどんな色してんの?」



あかり「お姉ちゃんの?」

あかり「赤だけど・・・どうかしたの?」

京子(ガッツリ、覗かれてるー!)



京子(おはようからお休みまで、暮らしを見つめるお姉さーん!)

京子(ダメですよー、家族と言えどもプライベートをのぞき見ちゃ・・・)

結衣「な、何か変な世界につながる穴だったりしてね、それ」

あかり「もー、怖いこと言わないでよ結衣ちゃん」

ちなつ「あ、けどそういうのありそう!」



ちなつ「その穴の向こうは、恐ろしい化け物の住む世界が広がっていて・・・」

あかり「ち、ちなつちゃんやめてよー」

京子(ちなつちゃん、ある意味大正解だそれ)



ちなつ「ねぇねぇ、他には?」

結衣「ま、まだ何かあるの・・・?」

あかり「んー、あとはね・・・」


其の四 消える物体


あかり「時々、あかりの使ってるハシとかコップが消えたりするんだ」

結衣「え・・・」

ちなつ「ま、まぁお母さんとかが間違って割っちゃったりとかなんじゃないの?」

京子「た、ただのカン違いじゃない?」



あかり「そうかも知れないけれど、変なんだよね・・・」

結衣「な、何が?」

あかり「無くしたと思ってたコップとかが、いつの間にか出てきたりするんだ」

ちなつ「ふ、ふぅん・・・?」



あかり「それも、ちょっと欠けてた所が直ってたりとか」

あかり「まるで新品みたいになって出てくるの」

結衣「新品みたいに?」

ちなつ「よ、良かったじゃない?」

京子(すり換えてるー!?)



京子(お姉さん、すり換えて何に使ってるんですか何にー?あかりのコップをー!)

あかり「けど、やっぱり何か怖いよぉ」

結衣「ま、まぁ確かにな」

ちなつ「不思議な事もあるんだね」

京子「あ、ああ、不気味だよね・・・色々と」



ちなつ「でも、今のはちょっとパンチが足りないよー」

ちなつ「もっと、ガッツリ怖いのはないの?」

結衣「ちなつちゃん、ホントに好きなんだねこういう話・・・」

あかり「んー、あとはね・・・そうそう」

あかり「これは、あかりじゃなくてお姉ちゃんに起こったことなんだけど・・・」


其の五 ドッペルゲンガー


あかり「この前、家にちょっと早く帰った時にね」

あかり「居間から、お姉ちゃんが楽しそうに話してる声が聞こえてきたんだ」

結衣「お姉さんの?」

あかり「うん」



ちなつ「お客さんでも来てたんじゃないの?」

あかり「あかりもそう思って、部屋に行こうとしたんだけど」

あかり「こんな会話が聞こえてきて・・・」

結衣「どんな?」



あかり「あらやだあかりったら、お姉ちゃんも大好きよ、とか」

あかり「どこが?そうねー、ぜーんぶよ、とか」

あかり「お姉ちゃん、まるであかりと会話してるみたいだったの」

ちなつ「へ、へぇ・・・?」



あかり「それで、気になって恐る恐る居間に入ったらね、
お姉ちゃんがビックリしたような顔をして」

あかり「え?あかり?・・・じゃあこっちのあかりは?って」

結衣「え?」

ちなつ「ど、どういう事・・・?」



あかり「うん、お姉ちゃん居間であかりと一緒にソファに座って
ずっとお喋りしてたんだって」

あかり「けれど、本物のあかりが居間に入ってきたから一瞬目を離して」

あかり「また隣を見たら、一緒に座ってたほうのあかりが消えちゃってたんだって」

ちなつ「そ、それドッペルゲンガーってヤツよ!うわ、こわぁー・・・」

結衣「あ、あかりの家って呪われてるんじゃ・・・?」

京子(妄想のあかりと一人で会話してたんだな?それで、咄嗟に誤魔化したと・・・)



あかり「もう、お姉ちゃん怖い怖いってうろたえちゃって」

結衣「そ、それはそうだろな」

ちなつ「こ、こっちのあかりちゃんは消えないよね・・・?」

あかり「もう!ちなつちゃん!」

京子(お姉さんが1番怖いよ)



あかり「けれど、怖いことだけじゃないよ」

あかり「いい事もあるんだ」

ちなつ「え?いい事?」

結衣「どんな?」


其の六 言霊


あかり「例えばね」

あかり「家に居る時ふと呟いたりする事が、不思議と適ったりするんだ」

結衣「へぇー・・・」

ちなつ「えー、いいなぁ羨ましい」

京子「呟く?」



あかり「うん。例えばハンバーグが食べたいなって呟いたりすると」

あかり「夕飯がハンバーグになったり」

結衣「ふーん。偶然じゃない?」



あかり「あと、映画が見たいなって呟いたら」

あかり「お姉ちゃんが偶然チケット貰ってきたりね」

ちなつ「へー・・・」



あかり「それと、お風呂入ったときにシャンプーが切れてて」

あかり「シャンプーがないーって思わず呟いたら」

あかり「たまたまお姉ちゃんが持ってきてくれたり」

ちなつ「それ、お姉さんが気が利く人なだけじゃない?」



あかり「ううん。だってトイレでトイレットペーパーが無くなってて」

あかり「困ったなって呟いたらたまたま偶然お姉ちゃんが持ってきてくれたし」

結衣「へぇー。まぁ、確かに普通そんな偶然って続かないもんね」

ちなつ「あ、それ言霊ってヤツだよ!」

京子(盗聴器だぁーーーー!)



京子(風呂・・・。トイレ・・・。あちこちに盗聴器が仕掛けられてる・・・)ゴクリ・・・

あかり「言霊?」

ちなつ「そう。願いを込めた言葉には魂が篭るんだよ」



ちなつ「だから今度、お金10万円拾えますようにって呟いてみたら適うかもねー」

結衣「あ、いいねーそれ」アハハ

あかり「もー、そんなの適うわけないよー」

京子(いや、あの姉さんの事ならたぶん・・・)



ちなつ「それからそれから?もっとないの?」

あかり「うーん、あとは・・・。あっ、そうだ」


其の七 開かずの間


あかり「怖い話しでよく、開かずの間っていうのがあるでしょ?」

結衣「ああ、あるね」

ちなつ「あるある!決して開けてはいけないっていう部屋の事でしょ?」

京子(も、もしかして)



ちなつ開けたり覗いたりしたら、恐ろしい祟りがあるっていうアレでしょ」

あかり「うん」

京子(アレか・・・あの部屋か)



あかり「あかりの家にもね、それがあるんだ」

結衣「へ、へぇ・・・?」

ちなつ「あ、あかりちゃんの家に・・・?」

あかり「うん。お姉ちゃんの部屋なんだけどね」

結衣「お姉さんの・・・?」

京子(お姉さんの、あの部屋かー・・・)



あかり「んー、あかりが小学校4年くらいの時からかなぁ」

あかり「それから、家族の誰も入れてくれないの」

結衣「へぇー・・・?」

ちなつ「なんで?」

京子(あの部屋は誰にも見せられないよなぁ・・・あかりの写真なんかが壁一面に)



あかり「それがね」

あかり「家族と言えども、プライベートは守られるべきだから、
絶対勝手に部屋には入っちゃダメって」

結衣「ふぅーん・・・」

ちなつ「まぁ、お姉さんのいう事も最もだけど」

京子(お姉さんが言いますかそれ!?)



あかり「だから、お姉ちゃんの部屋のこと
わが家の開かずの間だねーって、みんなで笑ってるんだ」

結衣「へぇー・・・」

ちなつ「そうなの」



結衣「・・・それで?」

あかり「え?」



あかり「これでお終いだよ?」

結衣「何だ、全然怖くないじゃん」アハハ

ちなつ「もう、オチが弱すぎよーあかりちゃん」

京子(ある意味、その部屋の話が一番怖いんだよ?)



結衣「いやー、けど今までの話の中だと幽霊の話が1番怖いな」

ちなつ「そうですねー。ドッペルゲンガーも怖かったですけれど」

ちなつ「京子センパイはどの話が怖かったですか?」

京子「えーぅと・・・。開かずの間の話かな・・・」ハハ・・・



ちなつ「そうなんですか?どうして?」

京子「あ、い、いや別に?」

あかり「変な京子ちゃん」



結衣「それより、もっと他にないの?」

ちなつ「そう。存在感のない少女の話とか」

あかり「も、もう!ちなつちゃん!」

アハハハ・・・

京子(みんな、何も知らないからそう笑ってられるんだよ・・・)

―――
――


(夜、京子の部屋)



ヒュー・・・ガタガタ・・・


京子(今日は、風が強いな・・・)



京子(・・・それにしても、今日のあかりの話)

京子(怖すぎる・・・お姉さんがだけど)

京子(あかりの姉さんの素行が周りにバレたら、とんでもない事になるな・・・)ハハ・・・



京子(・・・そう言えば、うかつに開かずの間の話が一番怖いなんて言っちゃったけど)

京子(あかりが鈍感で、良かった・・・)

京子(あかりのお姉さんの部屋を覗いた事があるなんてバレたら)

京子(何されるか、わかったモンじゃない)



京子(・・・けど、待てよ)


京子(もし、あかりが今日の事をお姉さんにしゃべったら・・・?)



京子(そして、私がうっかり開かずの間の話が一番怖いなんて言った事を)



京子(お姉さんが、知ったら・・・?)





京子(・・・もしかしたら)


京子(私がお姉さんの部屋を覗いた事があるってことに、カンづくかも知れない・・・)



京子(・・・)

京子(・・・なぁーんて、考えすぎか)



京子(今日あった事を、あかりがお姉さんに話さなければそれまでだし)

京子(話したとしても、私のうっかり言った一言なんて、忘れてる可能性のが高いだろー)

京子(・・・それに)



京子(私の何気なく言った、たった一言をお姉さんが知ったとしても)

京子(それで、全てを察するなんてことは)

京子(まさかいくら何でも、そこまでカンが鋭いはずは・・・)


ガタン!

京子「ひっ!?」


ガタン・・・コツン・・・コツ・・・

京子「な、なぁんだ・・・」



京子「ただの、風が窓を揺らす音か・・・」

京子「・・・落ち着け、神経が過敏になっているだけだ」




京子「そろそろ、寝てしまおう」



ヒュー・・・ガタン・・・コツン・・・コツ・・・




京子「・・・」



京子「・・・窓が、音をたてている」



京子「外から、窓を叩いているような音を」



京子「いやまさか、いくら何でも住所を探り当てて私を見つけられはしない」

京子「お姉さんが、窓を押し破って入ってくるわけがない」


ガタン・・・ガタ・・・ガタ・・・


京子「・・・」


京子「・・・いや、そんな!」


京子「あの手は、何だ!」



京子「・・・」

京子「あ・・・」



京子「ああ!窓に!窓に!」


終わり


オマケ:赤座家での会話


あかり「今日ね、うちであった変な事の話をみんなにしたんだ」

あかね「あら、どんな話?」



あかり「んー、夜中に頭に白い三角の布をスッポリ被った女の人が居た話とか」

あかり「あと、壁に変な穴が開いてて向こうに赤い色が見えた話しとか」

あかり「そう言えば、前にそんな事があったって言ってたわね」ニコニコ



あかり「あ、けどね、京子ちゃんがちょっと変わってて」

あかね「どんな風に?」



あかり「みんなは、女の人の霊の話しが1番怖いって言ってたんだけど」

あかり「京子ちゃんは、お姉ちゃんの部屋が開かずの間って呼ばれてるのが1番怖いんだって」

あかね「へぇー、そうなの」



あかね「・・・ところであかり」

あかり「ん?」



あかね「京子ちゃん、何か色々質問してこなかった?」

あかり「京子ちゃんが?んー、そう言えば・・・」

あかり「女の人の霊の頭の布に、何か模様が無かったとか」

あかね「あらそう」ニコニコ



あかり「あとね、壁の穴の話の時に」

あかり「お姉ちゃんが、どんな瞳の色かって聞いて来たよ」

あかね「あらあら」ニコニコ



あかね「・・・それであかり」

あかね「他には、どんな話を・・・?」

あかり「えーと、あとはね」



あかり「物が良くなくなる話しとか、あかりの分身がいた話とか」

あかり「お風呂とかで言った事が適った話とか・・・」

あかね「あらあら、あかりったら」ニコニコ



あかね「うふふ・・・」






「うふふ・・・」






「うふふ」



本当に終わり

以上です
読んでくれた方、ありがとうございました。



幽霊はこわいなぁ(白目

幽霊よりも怖い…

ヒエッ  乙

> 京子「ああ!窓に!窓に!」
あかねさんはクトゥルフ的な何かだった!?

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