モバP「大人ならば誰でも」 (63)

アイドルマスターシンデレラガールズのSSスレです。
ゆっくり投下ですのでご了承ください。

 今日のバイトの上がりまであと5分。今出て行ったお客さんが最後。商品の詰まった棚の並ぶ、決して広くはない店内が、途端にもの寂しく感じられる。

 普通だったら早く時間が過ぎればいいと思うのだけれど、今日は、そうじゃなかった。

 今日もというべきか。

 あの常連さんが来ていないのだ。

 ある時期から、足が遠のいているのは、薄々察していた。

 宅配での注文は増えていたから、余計にいぶかしんだ。

 アイドルだったと知って、媒体を通じて彼女の声に姿に接するようになって、事情と符号した。


 僕のバイトしているこの店の紅茶は、高い――紅茶に限った話ではないけれど。

 とにかくこの、手のひら大の缶ひとつで、僕の2時間分の時給に相当する。

 それを来る人来る人、話のついでのように幾つも買ってゆく。

 定番と、お気に入りと、新作があったらとりあえずそれもという感覚で。

 紅茶ひとつとっても、住む次元の違いが如実に現れるんだなと痛感した。

 そう考えたら、僕みたいな学生バイトがおいそれと声をかけてよい相手じゃないのは明らかだった。

 僕自身は客単価の高い店でバイトしてるだけで、大層な家柄なんかないし。
  
 わきまえているつもりだった。

 問題は――向こうから、話しかけてきたこと。




 あれはとても美味しかった、

 この間のそれはお客様に褒めていただいた、

 今度はどれにしようかしら。


 他愛もない話ばかり。それでも、僕に分不相応な期待を抱かせるには十分すぎるくらいだった。

 歳は同じか、ひとつふたつ向こうが上か。

 上品で包容力に溢れた表情、腰まで伸びた栗色の三つ編み、落ち着いていて心に染み渡るような声。

 紅茶とお菓子だけ食べて生きているんじゃないかっていうくらい、甘さで満たされた雰囲気。

 憧れ、という感情では、もう片付けられなかった。

 するとどうしても、考えてしまう。

 彼氏は(本人はこんな言い方しないだろう)いるのかな、なんて。

 これまでの素振りから、そんな様子はなかった。

 もしかしたら付き合った経験もないのかもしれない。いかにもお嬢様の女学校なんてお似合いだし。
  
 わきまえているつもりだけど――もし、そうだとしたら?


 外はもう暗い。駆け込みのお客なんて普通は願い下げだ。

 でも、それでも――僕は店のロゴの入ったすりガラス向こうの夜を、じっと見続けていた。










「んあぁっ、あむんっ、んちゅっ、はふ……Pさぁん、あっ、あっ!」

 







「かはっ、あうあっ、ああっ、あっ、あああ…………っ!!!」

 堪えようとして、抑えきれなかった絶頂の余波が喉から振り絞られました。

 事務所で二人きりの、深夜のお茶会。

 窓の外は遠い世界――畢竟、どちらともなく、求め合うに至りました。

 私はソファの上で仰け反り――数秒して、くたりと、背中が座面に落ちました。

雪乃(あ、ああ……まだ、ビクビク、痙攣してる……っ)

「……おっと、気をつけてな。テーブルの上、カップも瓶も、お湯もそのままなんだから」

 甘い囁きでいくらか我に返り、わななく手足を、どうにか落ち着かせようとします。

雪乃「ふはっ、はぁ、はぁ、はー、は……ぁ」

 涙の滲んだ目が、徐々に焦点を合わせて、あなたの顔と繋がります。

 爛々と光る目は、獰猛に剥いた犬歯は、普段の優しいソレとはかけ離れた様子。
 
 でも私は、歓喜の怖気を奔らせます。

 男女の機微すら知らなかった私が、初めて添い遂げたいと思った殿方。

 幾重もの理性と深謀遠慮に満ちたその方が、今、本能のままに、私を求めてくださっている。

 お部屋まで、寝所まで我慢することができずに、私を求めている。

 アイドルとして、あなたに仕立て上げられた私の『女』が、今、あなたへ自家中毒のように作用して、私を貪ってくださっている。

 嬉しくて仕方ありませんでした。

「雪乃……」

 その昏い歓喜のさなかに、接吻が降りました。私は、蕩けた舌をせいいっぱい広げて、あなたに仕えます。

雪乃「あむっ、ふちゅっ、ありゅっん、んっん、んちゅっんっんっん……っ」

 鼻腔を満たす濃密なブランデーの香りは、紅茶の香り付けというお題目から逸脱して、故意の媚薬と成り果てたものでした。

 神経が、ふやかされて、蝕まれてゆきます。

雪乃「あふっ、ふふあっ、あっ、ああっ、んあっ、あっ、あああ……ぁ」 

 二人分の重みが、ソファへ圧し掛かりました。

 来客用のソレは、横たわるにはやや硬い。

雪乃「ふー、ふー、ふー、ふ……ぅ」

 ですから私は、右と左の乳房を押し開きました。

雪乃「ぷは、あぁ……いらして、ココに……ぃ」

 そうして逞しいカラダを、この身の脂を使い、褥のように収めます。

「はは……すごい、胸だな。爪も沈み込んじゃうぞ」

雪乃「はふっ、ん……やぁっ、んはぁつ、うあぁ、やぁ、いじわる、ですわ……ああ、あむ……ぁ!」

 私に覆いかぶさると同時、少し筋張った指が、私の胸を引き絞るように揉みし抱きました。

雪乃「やぁ、らめ、んんっ、引っ掻いちゃ、だめれしゅ……はむ、はんっ」

 私の抗議は、くちづけで蔑ろにされました。 

雪乃「はふっ、あふっ、んあっ、あっ、しゅきっ、好きれすっ、はんっ、あん……っ!!」

 口吻も、指も、乳房も、お腹の奥も――ぜんぶ、あなたに乱暴されている。私が生まれてきた意味が、そこにありました。

雪乃「はんっ、んあっ、あうっ、あっ、あっはぁ……あっんっあっ、あ」

 ひととき落ち着いていた腰の律動が再開されます。私のおなかの奥を、舐るように、執拗に、塗り込めます。

 もう何度も達した私の身体はすっかり弛緩してしまい、ずぶずぶと、咥え込むことでせいいっぱいでした。 

 そんな私を組み敷きながら、Pさんは嬲るような視線を向けてきます。

「……ひとりで、気持ちよくなっちゃってるんだろ? しょうがないお嬢様だな、雪乃は……はは、まるで糠床に突っ込んでるみたいだな。ひとりでよがっちゃって……」

雪乃「はひゃっ、あんっ、ふあっ、ああっ、あっあっあっ」

 嗜虐に満ちた声音と腰遣いで、不出来な私は責められました。

 でも、当然のお叱りです。まだ硬さを失っていないそれは、本当は、私が絶頂へお導きしなければならないもの。だというのに、

雪乃「あんっ、しゅみませ、んあっ! あっ、あっ、あっ、らめ、えあっ、ふあっ、はぁ…………ん」

 私は愛する方を満足させることもできず、逆に自分ひとりでぐずぐずと愛液を滴らせ、底なしに悦んでいるのだから。

雪乃(ああっ、ごめんなさい、ごめんなさい……でも、でも……ぉ!)

 このまま、だらしなく喘ぐほかないこの身体の不甲斐なさを諦めつつも、泥の様な快楽に浸ろうとしたとき、

雪乃「……はひっ、か……っ」


 しばし、Pさんの動きが止まり……気配が変わりました。 

 何か――何か、思いついたかのような、間。


 そして、




 こぽこぽこぽ……

 ――ぴちゃんっ、ぴちゃ、ぴちゃ


雪乃「は……ぇ?」

 その音は、一方は、最早聞きなれたものでした。お湯をカップに注ぐ音。

 またもうひとつのほうは、先程聞いたばかりでしたから、分かりました。

 ティーバッグをお湯に浸す音。

雪乃(どう、して……?)

 呆けかけていた意識がわずかに冷え、私を組み敷いているPさんに視線をやって、その指先にぶら下がる。ぽたぽたと雫の垂れるティーバッグを見止めて、

 紐先でくるくると回る、茶葉の入った台形の袋を眺めて――――理解させられました。



 じゅ――――――ぁ……っ、



 右胸の突起に、熱を滴らせるティーバッグが、焼印のように置かれるのを見ました。
 

雪乃「かはッ……あ゛ァ!!」 


 止める間もなくそれは為され、私は生まれてはじめてとなる発音の声を上げました。

 ――じゅうう…………っ

雪乃「ら、りゃめ――ぇあ゛!!!」

 尾てい骨から首筋まで奔る刺激。

 意思と無関係に身体が反り上がります。

雪乃「あかはっ、あうっ、んあっ!! ああ、ああ、ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 ティーバッグがその身を折り曲げ、熱量がじゅうと染み出し、幾筋もの流れとなって乳房を滴り落ちます。

雪乃「あ゛、ア゛、あ、ああ……ッ?!」

 驚愕の余りソファから跳ね上がったらしく、私のカラダはPさんのもう片方の手で、強く押さえつけられていました。

「ぐ……、締め付けすごっ、雪乃……熱めの風呂と同じくらいだよ。そこまで熱くないはずだ」

雪乃「あふぇ、はぇ、えぁ? は、はあっ、んあっ、ああ、はぁ…………っ!!!」

 理解の外に穿たれた感覚で、反射的に涙が溢れ。私の視界は海底のように淀みます。でも、Pさんの満ち足りた様子だけははっきりと分かりました。

 それは――

「今の――よかったみたいだな、雪乃」

雪乃「はっ、はぁっ、ふふあっ、あふぁ――?」

 私すら知らない私を見つけた時の顔。


雪乃「そ、しょんなこと……ぉ」


 ――ちゃぽん、


雪乃「……ッら、りゃめぇ……!」

 私は恐怖します。心の臓が早鐘のように打ち鳴ります。

 怖い、怖い。

 
 怖いのに、どうして、Pさんとくっついたところが、ばくばくと震えているの。 

雪乃(だめ、だめですっ、もういっかいされたら、もういっかい、教えられちゃったら、私、わた……っ!!)

雪乃「だめれすゅ、もうらめっ、や、ふぁぁぁ……!!」

 懇願とは裏腹に、私の目は――左胸に釘付けとなり、今までになく期待で硬く尖ったその先端に、茶葉がかざされるところまでを見ました。

 Pさんが、今までで一番硬く、大きくなるのを、ぎちぎちに埋め込まれた私のナカが感じました。

 恐怖と、それを上回る何かへの期待が限界まで高められ、破裂寸前まで昂らされ、


 ――じゅあぁぁ…………っ
   

          「ンああぁっ!!!!!
       
                               ふああっ! アかはっ、っあっアアっ!!!
 

               
                 イヤイやっ、ンあっああああああア゛ッ!!!!!!!!!!!!」  



 ●REC




 私は自分が、喉の奥から泣き叫び、狭いソファの上で四肢を痙攣させ、その後くたりと人形のように動かなくなったことを――後になって知りました。

 画面の中の私は、許容範囲を超えた絶頂で気絶したその後も、唇を吸われ、乱暴に胸をまさぐられ、太ももを押し開かれ、反応のないカラダに幾度も精を注がれていました。

 私は、ほとんど覚えておりません。

 ただ――頽廃した悦びが、微温湯の様にこの身に染込んで――もう戻れないのですねと、私は呟きました。

貴方様でございましたか
期待させていだだきます

モモンガかな?

 リードを持たない手であくびを隠しながら、いつもの散歩コースを辿る。

 もともとねーちゃんが飼う飼う言って飼った犬なのに、いつのまにか朝の散歩はもっぱらオレの当番になっていた。

 まあ早起きは辛いが、オレ自身犬は嫌いじゃない。


「おっ、少年! おはよーっ、ほらわんこも! 『おっはよー』」


 ――ちょっとした楽しみもできていたから。


 オレより年上だとは思った。

 でも表情や仕草、飼い犬に対する様子は正直幼くて、高校生のオレと同じくらいじゃないかと感じることもあった。
 
 親しみやすい雰囲気で、何より美人で――オレは、毎朝文句も言わずに早起きするようになった。散歩の時の格好に気を遣うようになった。
 
 そうやって緊張半分期待半分で朝を向かえ、だいたいいつも同じ地点で、すれ違う。すれ違って、挨拶するだけ。

 あの人は立ち止まらず、オレが来た道を颯爽と歩き去ってゆく。

 その後姿を、オレは立ち止まって見つめている。しばらくして、うちの犬が足元で鼻を鳴らして、我に返る。毎度のことだった。

 あの人は、オレ以外の人にも同じことをしているのだろう。当然だ。だって、ただの挨拶だ。

 オレだって、犬の散歩中にすれ違うほかの飼い主には、会釈くらいする。それと同じだ。

 それと同じなのに、モヤモヤが胸に残るのは、オレのわがままだと、わかっている。

 分かっているからこそ、オレはその人を呼び止めることができなかった。 
 
 それとは裏腹に、近づきたいと――知りたい、知ってもらいたいという思いは、日に日に強くなって行った。



 しばらくして、オレは彼女が、水木さんがアイドルになったことを知った。やっぱり年上ってことも。
 
 いつもの時間に公園に現れなくなったのはその頃だった。

 むやみに散歩の時間を引き延ばして、遅刻ぎりぎりになったりして、そのうち、あきらめた。


 その後、本当に久しぶりに、水木さんと出くわしたことがある。早朝のサングラスはなんだか不自然で、目を引いた。そして、わんこと呼ばれていたあの犬を連れていて確信した。

 油断しまくりでうろたえていたオレの前で、彼女は立ち止まった。そして少しばつが悪そうに挨拶してくれた。

 目にクマが出来てサングラス取れなくてごめんねといっていたけど、有名人だし、こっそり散歩したいってのもあるんだろう。

 そんな彼女がオレのことを覚えていてくれたみたいで、それだけでオレは天にも昇る気持ちだった。

 熱にうかされたようにして、オレはとうとう水木さんに言った。 

「いつも見てます。アイドル、がんばってください」

 水木さんはありがとうと言って、微笑んでくれた。サングラス越しでも、その表情の柔らかさが分かった。 

 そして、じゃあねと言って、再び歩き出した。


――りんりん、りんりん、


 遠ざかってゆく後ろ姿、そのうなじに黒い首飾りがあるのが、辛うじて分かった。

 そのきれいな背中をいつまでもオレは見ていた。うちの犬がオレの周りをうろうろしても、ずっとそうしていた。



 



 





「わんっ、わふぁ……ぁんっ! あむっ、んみゅっ、はうっ、んあっんむっんっ…………っ」







 口に指を三本も突っ込まれて、長くもない舌を無理やり引き出される。

 あえぎと一緒に洩れたよだれが糸を伸ばして、枕に染みを作る。


聖來「あへぁっ、むあっうあっ、あひゅっ、んっぅくぅあ、んあっ! あっ! あ゛!」


 さっきまで淑女だったアタシは、いま、メスのわんこみたいに後ろから腰を打ち付けられていた。

 でももう、四つんばいも続けられないくらい全身ガクガクで――呆気なく、自分で垂らしたよだれの水溜りに、どちゃっと顔から崩れ落ちた。


 
 背中の開いたドレス、踊るに踊れない髪のセット、触れたら壊れそうなグラス、背伸びより高いヒール。

 パーティー会場での立ち振る舞いにも慣れてきた。かつてはPさんが付きっ切りだったけどね。

 今では、アタシはディレクターや共演者その他諸々の人に挨拶したり、挨拶されたりしながら、あちこちでお客さんと談笑するPさんを観察する余裕も出来ていた。

 Pさんはホールの反対側で、いつものようににこやかにお客さんを応対していた。

 きっと今、あの立派そうな人から次のお仕事を引き出そうとしているのだろう。

 大変だなーなんて思っていると――、一瞬で、視線をつなげられた。この広い会場で、最初からアタシの位置が分かっていたみたいに。

 そのことが、とてもうれしかった。わんこみたいに尻尾があったらぶんぶん振っていただろな。

 ほおっておかれて寂しいなんていうオトナ気ないキモチは、多分伝わってしまって、後でいじられちゃうだろう。くやしいけど仕方ないね。 
 
 そして、Pさんの意図を理解したアタシはできるだけ何気ない風で出席者とテーブルをすり抜け、彼らに歩み寄った。


 もう話はまとまり掛けていた。

 アタシの仕事は、最後に、小奇麗に自己紹介することだけだった。



 許容量の半分ぐらいのアルコールでパーティをこなした後、Pさんのお部屋で、二人だけの二次会。それがお決まりだった。

 気兼ねなく酔って、泥酔の一歩手前で――Pさんとアタシは、プロデューサーとアイドルという関係から解き放たれる。

 背中の開いたドレス、踊るに踊れない髪のセット、触れたら壊れそうなグラス、背伸びより高いヒール――どれもわんこにはいらないもの。

 必要なのは、飼い主からの首輪だけ。


 



 
 ぱぢゅっ、ぱぢゅっ、ぱぢゅんっ、じゅぱんっ!!


聖來「あひっ、んむっ、むうっ、んんっ、ン、ンッ~~ッ!!」

聖來(や、つ、つよすぎ……ぃ!!)


 枕に突っ伏したアタシは篭った嬌声を上げ続ける。

 アタシの胸に這い回るPさんの指は、まるで自分のモノって言わんばかりに好き勝手。

 それは腰から下も同じで、先っぽから根元までPさんの形になっちゃった穴を、無遠慮に出したり挿入れたりしている。


――ずぽぷちゅっ!!

聖來「んふぁっ!! あふっ、んっんっあん……ん」 

聖來(ふ、深……ぁ!! Pさんの、おへそまで、来てる……ぅ!!)


 アタシの手首くらいあるソレが、膣肉を掻き分けてその身を埋め込む。

 窮屈で息が詰まっていたところに、遠慮なしの腰が送り込まれた。



聖來「ぉっ、んあっ、や、き、キツ……やあっあっあっんっ!!!」

 ぐじゅっ、じゅぷっ、じゅぽっ、ぷちゃっ!!

聖來「んふぁっ、あむっ!! んんぅ!! ふぅぅ…………っ!!」

聖來(やっあ、音、すご……っ、ナカ、ぐっちゃぐちゃにされてるっ!!)


 ずぷずぶと水気と空気の混じった音が、お腹のナカで何度も下品に鳴る。

 そのたびに、じゅくりと、じわりと、愛液がトロトロに染み出してくる。


聖來「ふっ、んんあんっ、んっ、んっ、んっ、んむッ、ふ――――ッゥッ!!!!」

 アタシは堪え切れない快感から逃げようとして、触れたシーツを掻き毟る。
 
 でもそんな抵抗を楽しむみたいにして、Pさんはぐいぐいと体重を掛けて腰を押し付けてくる。

 狭いベッドの上で、逃げ場はなかった。




聖來(あっだめだめっコレもうだめっあっあっうあっあああっ)

 ぐじゅっ、ぐじゅぷ…………ぅ!!

聖來「ほえっ、う、うあああっ、ああっ、ああ、んうああああ………………ぅ!!!」

 
 
 最後はオトナの体重で子宮を圧し潰され、呆気なくイかされた。


 同時にPさんも果てて、直接どぷどぷとせーえきを流し込まれる。

 ガクガクガクガクと腰から背中、首までケーレンが伝わる。


 ――りんりん、りんりん、


聖來「ふあ、ぅ、うあっ、あっ、アッ……!!」

聖來(おまんこ、ケーレンして、火花が、びりびりっ、散ってるよぉ……!!)


 ちょっと残っていた理性は真っ白に燃え落ちた。

 篭った悲鳴がアタシの鼓膜に帰ってきて、自分がまたイかされたことを知った。

 息苦しかった。


聖來「あぷ……うふぇ……、ふえ、ふー、ふー、ふぁ、はぁ、は…………ぁ」


 涎まみれの枕の上で顔を横に向け、窒息を免れる。数時間年ぶりの呼吸のように、荒い息を繰り返す。

 でも、そのあたりで、アタシはPさんのが、ぜんぜん萎んでないことに気付く。

 ぐじゅぐじゅに溶けたおまんこのなかで、なおもムクムクと鎌首をもたげていることに、愕然とする。


聖來(あ、アア……!! おナカ、いっぱい詰められて、はち切れそう……っ!!)


 そして、アタシの首に繋がっていたリードが曳かれる。


――りんりん、りんりん、




聖來「は、はひ……んあ、ふ、あ……っ!!」

 アタシは――、

聖來(……アタシは、わんこ)

 ――ガクガク震える前足に、なけなしの力を込めて、カラダを起こそうとする。涎まみれの口で、はみ出した舌で、ぜーぜー息が吐き出される。

 腰をひねると、ずるりと、アタシのナカからPさんが抜ける。

聖來(ん……ぬけ、……ちゃったぁ?)

 とたんに、アタシがからっぽになってしまった気がして――

聖來(やだ……ヤダ、寂しい、さみしいよぉ……!! 挿入れて、いれて……ぇ!!)

 スキマは、埋めてもらわないといけなかった。


 アタシはごろんとねっころがった。

――りんりん、りんりん、
 
 お腹を見せて、前足後ろ足を広げて――わんこが、何でも言うこと聞くっていう、ふくじゅーの態度。

 種付けされたせーえきがお尻の穴を伝って、ぽちゃりとベッドに落ちた。


聖來「わん、わん……わ、ぁん」

聖來(いれて、抱きしめて、ナカ、いっぱいいっぱいにしてぇ……っ!!)


●REC


 わんこはしゃべれない。

 だから吠えて、態度でおねだりする。


聖來「わんっ、わん……っ!! きゃうっ、ほぁうあう……ぅぅ!!!」

聖來(き………たァ………………!) 


 腰からはじまり、全身までゾクゾク震える。

 もういっかい、おなかいっぱいにおちんちんをねじ込まれて、アタシは涎を飛ばしてきゃんきゃん吠えた。 

 いつまでたっても夜鳴きしちゃうアタシは、今夜もいっぱいしつけされちゃうだろう。

 ふと、アタシのわんこのことを思い出した。一瞬だけ、朝の散歩の心配をした。


聖來「いきゃっ、ん、ひいっ、いィっ、やあっうあっアッアッアッあ――!!」


 それもすぐに塗り潰される。


――――どぷっ、ぶびゅくっ、びゅ、くっ、びゅっ!!


 お腹の中に吐き出されるその大半が、掻き出すこともできないくらい奥まで滴り落ちていった。


聖來「――ッあっ!! ああっ!!!! んあっ、あっ! あっ、ああぁ…………ぁ!!」

せーらさんはエロス

 多くの習い事がそうであるように、ある日、よそ行きを着た親に連れられて行った先がピアノの先生の家で、今日からよろしくお願いしますなんて勝手にお願いされて、僕はピアノを始めた。

 もちろん、すんなりいくはずもなかった。 

 そもそもやりたいと思ったこともない習い事だし、友達と遊びたいし、ピアノやってるなんて言ったらオマエおんなみたいだななんて囃されるし。

 ふざけんなって感じだった。

 ――で、週に一度のレッスンで、教えられたことの半分もできない自分に嫌気がさして、泣き喚いたことも一度や二度じゃなかった。

 帰ってきた僕の様子を見た親はどういうわけか必ず事情を察して、その度先生に謝りに行き、先生も特に気にした風もなく、次またがんばろうねなんて言ってくれて。

 そうやって嫌々通い出して――どれくらいの頃だろう。 

 いつも通りロクに練習もせず、ため息つきながら先生の家のインターフォンを押すと、家の奥からドタドタ音がしたかと思えば、制服姿のお姉さんが出てきた。

 先生によく似ていたけど、先生じゃなかった。

「あれー? 今日はお母さん出かけてるって、連絡いってなかったのかな……?」

 先生の家にお姉さんがいることはなんとなく知っていた。

 でも、小学校低学年の僕からすれば、高校生のお姉さんなんてヘタな大人より雲の上の存在で、これまでのレッスンじゃ居合わせることもなかったから、面識もなくて。

 僕は怖くなって、どうしたらいいか分からなくなって、口を金魚みたいにぱくぱくさせるだけになった。 

 そんな僕が手に持っているテキストを見て、お姉さんは少し悩んだようにしてから、言った。

「――じゃあ、今日は私が教えてあげよっか!」

 驚きのあまり頭が回らなくなった僕の腕を、きれいな手が取った。


 初歩の初歩の練習曲が、お姉さんの指にかかると、鳥の様に活き活きと羽ばたき、雨だれの様に物悲しく紡がれた。

 細い爪が黒鍵と白鍵の線上を交錯し、奏でながら踊っていた。

 お姉さんは先生と同じくらいピアノが上手で、百倍くらい手厳しかったけれど――同じくらい、優しかった。

 
 現金な話だけど、その日以来、僕は真面目に練習するようになった。

 別に先生が嫌いだったわけじゃない。ただ――この家で僕が下手なピアノを弾いたり、駄々をこねているのがお姉さんに伝わるのが、この上なく恥ずかしかった。
 
 お姉さんからのレッスンはあれ一回きりだった。でも、その後も家の中で鉢合わせたら、上手になったねと言ってくれたりして、それが何よりの励みになった。
 
 いつか――いつか頼もうと、緊張で汗びっしょりになりながら連弾の楽譜を買ったこともある。

 結局、切り出すことはなかったけれど。



 あれから5年か、6年か。

 僕のピアノはまあ年数なりに上達し、今度初めて、関東地区のコンクールで演奏することが決まった。

 お姉さんは――久美子さんは、たまに実家に帰ってくるらしい。アイドルになってからはまだ、僕は会えていないけれど。

 だから先生に伝言をお願いした。発表会の日付と場所、曲目。

 忙しいのは分かっているけれど、でも。今なら――少しくらいは、聴かせられるものになったんだと、伝えたかった。

 あの頃の久美子さんと同じくらい歳の僕。









「あっ、んあっ、てぇ、手っ、握って……んんっ、しゅきっ、Pさんすゅきぃ! いあっあっあっあああぁ!!」








 南国の月明りが差し込むベッドで、私達は絡み合っていた。

 叩き付けるようなピストン運動に、為す術もなくイかされ続け――動きが止まった瞬間、じわぁっ、と、ナカが熱くなるのを感じた。

 
 とぷとぷっ、とぷっ、どぴゅっ、びゅっ、びゅく……ぅ、

久美子「あ、あ――、あつっ、あついっ、ナカ、れてるっ、よぉ……らめぇ、りゃめ、えええぇ……っ!!」


 腰を擦りつけながらダメって言うなんて、支離滅裂なことは自分でも分かっていた。でも止められなかった。

 頭がオーバーヒートして、何も考えられなくなったみたいだった。

 絶対にダメなことが分かっていて、でも私は、快感にあらがえなかった。


久美子「あ、は、ふぁ、うぁ――――、はっ、ハアッ、ハア…………ッ!!」


 ぴゅう、と、ヴィラに海からの隙間風が通い、お香の煙が鼻先をかすめた。


 ――ドクン ッ

              
                         
 たったそれだけで身体中の血管が膨張し、神経が逆立った。               
         
 潮騒が狂想曲を啼かせた。


 七色の太陽が眼前に焼き付いた。

 接吻はマリブの原液。

 そして触れた傍から性感帯が咲いた。 
 

――――――――――――――――――――――――――――――――



 バーベキュー風の夕食を終えて、バーでオレンジのカクテルを飲んで、ビーチからヴィラへ戻ってきた時――部屋の感じが昼と違うことには気が付いていた。

 白いベッドに散らされたトロピカルフラワー、ローテーブルに載ったサービスのシャンパン、影絵の浮かぶ間接照明――非日常の気分をこれでもかと擽ってきた。

 でも一番気になったのは、匂いだった。

 食事に出かけるまでは、夏を思わせるような爽やかな薫り――パンフレットには、『レモングラスの香りで貴方をお出迎え』なんて書いてあったっけ。


 今焚きしめられていたお香は、なんていうか――ドロリと、質量があるんじゃないかっていうくらい、甘くて、濃厚な匂い。

 熟れ過ぎた果実、そのイメージの、無限の延長線上。

 ――嗅いだ瞬間、腰が抜けそうだった。 

 鼻から、喉を通って、脳に届いて、全身を巡るような。

 心臓の鼓動を速めるような、血が沸くような、頭に血が上るような。

 そして血が、お腹に溜まるような、そんな感じだった。


――ど、くん……ッ 


 疼いた。


久美子(あ……コレ、そう、よね)


 私は、直感した。

 こんや私は、Pさんとセックスする。


 今日一日中、ほとんど期待はしていた。

 朝の待ち合わせ、ノースリーブの肩を見せた時。

 昼、撮影が一段落して、ビキニで眠っていたところを起こされた時。

 夜、酔いの回った互いが互いの目を見つめた時。

 
 それが今、確信に変わった。

 Pさんのマンションでも私の寮の部屋でもない、初めて来た場所で、私は抱かれちゃうんだ。

久美子「あ……あはは……、そうだ、私、スパに」

 そう考えだしたら、もう自分で自分を抑えることができなくなりそうで――でも、なんとか、私は最低限の身だしなみをと思って、


「……久美子っ」

 ――ガバッ


久美子「行……きゃぁっ?!」

 気が付いたら私はベッドの上で、けだもののような目をしたPさんに圧し掛かられていた。

 魅入られているその時、もう一度、煙を巻いた潮風が、二人の間を揺らいだ。

 そこから先は――後から知った。



●REC

15:26 


「ん…あら、いつも間にか寝ちゃってた? 南国のさざ波の音は優しいわね。耳を傾けているうちに、自然に眠りに誘われて…」

「こうしてリラックスするのも、キレイになるための秘訣かな」 


「ビキニは…はずかしくないわ。見せても平気なように、磨いてきたつもり」

「日焼け止め、塗ってくれるの?ふふっ、残念ながら、もう塗ったわ」


「あんっ、もう、少しはしゃぎすwヘ√レv-wwヘ√レv-wwヘ√レv-wヘ√レv-wヘwヘ√レv-wwヘ√レv-√レv-wwヘ√レv-レv-wヘwヘ√レv-wwヘ√レv-√レv-wwヘ√レv-


 


●REC

21:32

 
 ずぶ濡れのクッション。

 瞳孔まで分かるくらい目を見開き、ぼろぼろと涙を流しながら、種付けの感触を覚えこまされている。 

 ぐぽ……どぷ、どぶー、びゅっ、びゅぅっ、びゅ……ぶびゅく……ぅ

「あみゅ、んあっ、あっ、あ”っ、あああっ!! ナカ、また熱い、のぉっ!!!」






●REC

22:59


 立ち込める煙。
 
 ベッドごと揺れるようなピストン運動に責め立てられ、舌がはみ出て、涎をだらだらながしながら懇願する。

 ぐじゅっじゅぽっぶちゅっくちゅっぷちくちゅつちゅきゅつゅ

「はへっ、ふぇ、ひゃら、やだぁっ!! おまんこぉ、これ以上したりゃっ、こわれりゅっ、うっあっんあっあっああああ”ぁ!!」


●REC

0:12


 窓の外、光る夜の海。

 さっきまでおまんこに突き刺さっていた、愛液と精液でベトベトのおちんちんを、唇から、喉の奥まで往復させられている。

 膝立ちになった私は、苦しいはずなのに、脳みそごと蕩けさせられているかのよう。ピアノに捧げてきた十本の指は、全てPさんに奉仕するために使われている。

 にちゃっ、くちゅっれろっ、れるぉえろっ、んむ……むちゃっ、

「あえ、ふへぇっ、んむっ、あむっんっんっん……ん?! んん”っ!! ん……ゃは……うぁ!!」


●REC

0:15

 ――とぷりっ、

 ガムみたいな精液が、舌の上に吐き出される。

 たっぷり十秒見せつけて、口を閉じる。





●REC

0:25


 カメラが自撮りになっている。腰を送り込まれるごとに手ぶれしている。

 いつの間にか、撮影の時のビキニを着ている。薄紫のそれは、次の瞬間には引きちぎられた。きっとお昼の時からそうしたかったんだろう。

 たぶん、グラビアを見た男の人は皆そうなのかもしれない。でも、それをしていいのは、Pさんだけ。

 その通りの形の日焼け跡が出来ちゃったカラダに お土産に買ったはずのヴァージンオイルを擦り込まれる。汗まみれの胸を、腋を、臍を、内腿を、しごきあげるように手が這う。

 にちょ、ねちょっつゅ、ぱちゃっ、ぺちゃ――食べ物の咀嚼みたいに汚い音。

「あはっ、フぁッ、んっ、んっ、ん~!! やっ、んあぉ、ぁっ、アンっ!!」

 匂い立つ香油で愛撫され、摩擦が熱を帯びて、全身が沸騰したように熱くなる。 

 白濁液の漏れるおまんこの中まで塗りたくられて――また、一直線に貫かれる、私。

 カメラが落っこちる、悲鳴だけが聞こえる。


 ぐぽ……ぐちゅうっっ!!

「あっ、ま、待…………っいあああアァ!!」


 ねとっ、ぬとっ、ぬとゅぬちゅむちゅ、とちゅっ、とちゅんっ! とちゅんっ、つちゅっぷちゅっくちゅっづちゅっ!!!

「ほあっ、あっ、ふっ、はっ、あはっ、はふっ、う……うやぁっ!! やあっあっあっあっあっあっアッアッアッアッアッ!!!!!!」


 めちゃくちゃになってゆくシーツ。カメラはまた、Pさんが撮っている。

 気が付けば、なぜかパスポートが置かれている。

 涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔の横に、取り澄ました証明写真がある。

 
 もうこの人に一生逆らえない。

 瞬間、膣奥に先端がびっちりと押しつけられ、子宮がくちゃっと潰れた。


 どびゅっ、ぶぴゅるっ、びゅくぅ!!

「んあっ!! ああ”っ、やっ、あっあッああああああああああああぁ!!!!」


 こってりした精液が子宮に搾り落とされてゆく。

 層になって、私を孕まそうと押し寄せて、入り切れない分も、もう子宮の壁に染み込んだんじゃないかっていうくらい、熱を帯びて私の胎内に居座る。 




●REC

1:44


 アップになった接合部。

 亀頭がじっくり引き抜かれ――ばくばく痙攣する、おまんこの肉。

 シーツに零れる精愛液のカクテルは、たったのひとすくい。

 あとは全部、子宮に植え付けられてしまった。
 








久美子「あ、うあ、あ…………」

 そして――今、私の寮の部屋で、ビデオを二人で見ている。

 あの時何があったのか――二人とも、よく、覚えていなかったから。



――くちゅっ、


 興奮したPさんの手が私のカラダをまさぐる。

 呼吸が荒い。


久美子「あ……や、やぁ、Pさん、だめ、ほんとに、デキちゃ……んむっ、あん……っ」


 それで終わるわけがないのも、分かってた。

 だって私は弱みを握られて、一生この人に逆らえないから。


●REC




はよ

学生時代同じマンションに住んでたクラスメイトの女子も、今こんな感じなのかなぁ

 久しぶりに帰ってきたあの人のもとへ、我先にと駆け寄ってゆく子供たち。

 僕もその中に混じりたかったけれど、そんなわけにもいかず、保護者よろしく後ろのほうで腕なんか組んで突っ立っていた。

 でも誰よりも、彼女の帰りを待ち望んでいたのは僕だったに違いない。

 子供たちの歓待に、一人ひとり肩を抱き、頬を撫でていた彼女は、しかし不意にこちらに顔を向けて、小さく手を振ってきた。
 
 僕は、動揺した。ひねた態度は散り散りになって、嬉しくなってしまった。そしてそれは隠しきれなかったと思う。



 それから一時間後、ようやく解放された彼女と、互いにお久しぶりですと言い合った。
 
 教会の庭を巡りながら、僕は彼女との記憶を、ひとつひとつ辿っていた。

 高校の、「地域の人と触れ合う」なんてお決まりの単元で、僕は小さな聖歌隊を率いた彼女を知った。

 伴奏のオルガンの音色は、彼女自身の歌声の様に美しかった。

 クラスの他数十名に向けた、社交辞令でもおかしくない「ボランティアを募っている」という言葉を真に受けた。

 それまでは足を向けたこともない、古ぼけた教会におっかなびっくり近づいて、でも扉を開ける勇気がなく庭で立ち往生している僕の後ろから、その人は声をかけてくれた。

 振り返ったときの感情は今も言い表せられない。


 キリスト教徒でもなく、かといって仏教徒でもない僕には、誰かの役に立ちたいなんて立派な考えはなかった。

 僕はただ、この人の役に立ちたいと思った――それは建前。

 役に立てなくても、あの人のそばにいたいと思った。

 突き詰めたら、教会のことなんてどうでもよかったのかもしれない、我ながらクズだった。

 そんな奴はあの人に相応しくない。分かってる。

 それでも。

 
 教会を立て直すために別の仕事を探すと言い出した時、僕は止めようとした。

 露骨な言い方をすれば――彼女に会えないなら、この教会に用はなかった。

 でもここは、ほかならぬ彼女が愛している場所だ――守らなくちゃいけなかった。

 僕はただのボランティアでしかなく、教会の運営に口をはさむ資格はなく、校則を破ってバイトするような勇気もなかった。

 だから、僕は彼女を見送った。


 そして彼女はなぜかアイドルになっていた。

 彼女が有名になり、出身であるここにも取材が来たりして、相当の金額が送金されてきて、教会は立ち直る目処が付き、それでも、彼女は今日まで帰ってこなかった。


「――、――――――――、――――――――」
 
 彼女はまだ、アイドルを続けるらしかった。

 小さな肩、すっと伸びた首筋、ほっそりした腿、そして白い胸元――誰にも触れられることなく慎重に隠されていたそれらを、僕はテレビ画面で食い入るように見つめた。 

 今、目の前の修道服の下にそれがある――生唾が出てきて、必死に堪えた。


 硬い生地が縁取る輪郭、襞(ひだ)――その漆黒が、記憶のものより尚深い気がした。


「――――――――――――――――、――――――――?」
 

 何か問われたようだった。見惚れていた僕は、本心を隠して、曖昧な笑みを浮かべた。






「ああ……っ、だめですっ、あ、あっ、あ…………ぁ、あなた――――」




 また、私の最奥で精が解き放たれたのを感じました。

 P様の体内から、どくん、どくんと、欲望が吐き出され、その間私は、両手両足を、その逞しい背中に巻き付けていました。

 杯を満たすように、種が胎内へ流し込まれます。

 熱量を身体から身体へ移されている実感が、私を満たしてゆきます。

 こぽ、こぽ、脈動に合わせて白濁が注がれるたび、神経が沸騰したようにじわりと熱くなり、私は多幸感で意識を失いそうになりました。

 同じく絶頂に脊髄を震わせ、荒い息を吐いていたP様の口が、耐える私の唇を食みました。


クラリス「ふぁ……?! あむんちゅ、んむ……ぅ!」

 ぴちゃっ、むちゅっ、れろっ、ぷちゅっ、


 供にした赤ワインの香が、接吻を通して鼻腔を擽りました。

 たったそれだけで、私は肩から痙攣し、忍耐も甲斐なく達しました。


クラリス「んふあっ、んあっ、あっんっ、ふあ、っあっんん…………ァァ!!」
 

 躊躇いも悔みもすべて押し流れました。

 視界が点滅し、手足に込めた力も抜け出て、

 ――そうして、全身が弛緩し、ひとかけらも抵抗も消えうせたのか。 

 また深く、襞を押し分け、剛直が私の中心に沈み込みました。

 ずぶ、ずぶと、肉を掻いて、剛直が杭の様に私の中心を突き進み、ほぐし、溶かしてゆきます。 

 もう二度と、抜けることがないのではというほど。

 今放った種を、必ず、私と結ばせようとしているのかと思うほど。 

 ――その妄想が更に私を追い立てました。

 絶頂覚めやらぬまま、縋るように、口づけました。

クラリス「――あ、あー、あっ、んあちゅっ、れろむちゅっ、ぷふ……ぁ」 



――――――――――――――――――――――――――――――――




 許されぬ恋と自覚しておりました。

 全ての切っ掛けも、血の様に赤い葡萄酒でした。

 私から口付けたことも覚えています。

 欲するままに求め、求められるままに与えました。





 貴方と同じベッドの上で朝を迎え、私はきっと青い顔をしていました。

 甘美なる夢から醒め、押し寄せたのは、姦淫を犯したという自覚。

 もはや、誰の前に立つにも私は相応しくない。

 そんな私に、貴方は、自分が手篭めにしたのだと、そう仰いました。

 初めからそのつもりで私を泥酔させ、禁忌と知りながら、無理矢理貞操を奪ったのだと、露悪的に語りました。

 言外に、私に罪はないとでも言いたいかのようでした。

 だからどうしたというのでしょう。

 私はそれが嘘だと知っています。

 ブローチを外し、編んだ髪を解き、頬を撫でた手の慈しみは、身体が、心が覚えています。

 花嫁衣装を着せたあの日と同じ、優しい所作。

 全ての瞬間で――破瓜の痛みさえ――私は貴方の愛を感じ、幸福でした。

 だからこそ、私は絶望したのです。

 貴方が見出した私の偶像を、私自らが貴方を誘惑して、汚させてしまったこと。

 挙句、貴方に、そのような嘘を吐かせてしまったこと。

 でも、その嘘に縋らなければ、嘘で固めなければ結ばれぬ想いだと分かっていること。

 懺悔など生温い、贖罪しようのない、成就。


 私は卑怯でした。

 後悔無き時はありません。

 私は、皆を裏切っています。

 表向きは、シスターであり、アイドル。奉仕者であり、偶像。


 私たちは、何事もなく振舞います。

 そしてその演技は、閉め切った部屋で二人、夜杯を酌み交わすことで、破られます。

 神の血を用いた、正気を失い合うための儀式。

 芳醇な香りに惑わされ、間違いがあっても仕方がないと赦し合うため。


 酒精を嚥下しながら――実のところ、私はこの上なく冷静でした。

 色欲に塗れてゆく私を、何処か遠いところから、もう一人の私の目で観察していました。

 

クラリス「あく、んあっ、ああ、まだ、イッ、Pさまぁっ! あっ、うあっ、ああ”………ぅ!!」

 しちゅっ、くちゅっ、ぷちゅっ、ぶちゅっ、くじゅっちゅっちゅく……ぅ、
 

 子宮口から溢れた精液を仕込み直すように、執拗に最奥への挿入が繰り返されます。

 私は際限無く愛液を垂れ流し、口から泡を飛ばし、背筋を震わせていました。

 思考は極彩色に塗り潰されまともに働かず。

 されど、心の奥底で、歓喜していました。

 いよいよ私が、致命的なまでに、貴方のものにされる時が来たのかと、肌で肉で血で感じました。


クラリス「らめっ、あっ、やっあっふあっやあああっ!! あっ、奥っ、ひぐっ、いひ……ぃ!」

 ずちょぐつゅ、ぷちゅっ、ぬちゅぬちゅづちゅずちゅずちゅずちゅ!!

 
 全身も絶えず愛撫され、私の弱いところを次々と見つけられて、楽器の様に鳴かせられます。

 官能のたび、全身の汗腺が開き、血がどっと巡る心地がします。

 最近、胸もお尻も肉付いてきたのは、P様の愛撫に感応しているためなのかもしれません。殊に修道服が窮屈で、擦れる度、敏感になる身体を持て余していました。

 ここまで淫蕩に堕ち切った私を知って、貴方は、私を抱きながら、失望しているでしょうか。

 それとも、それが貴方を悦ばせるのなら――私は進んで、罪を重ねましょう。

 罰の覚悟はとうに出来ています。

 
クラリス「はくっ、うみゅっ、んあっ、んっ、んっ!! んんん……ぁんっ!!」


 腰の円運動を続けたまま、貴方は、私の下腹に、ぴん、と中指を突き立てました。

 皮一枚隔てて、ナカに埋め込まれた剛直が、存在を主張している場所。



クラリス「ん、ぁ、あは――――う、はっ、ハッ、ハアッ、ふぁッ………!!」


 これから起こることを想像し、私は肺の奥まで息を吸い、引き攣けを起こさんばかりに――昂りました。

 
 指が、爪が掛けられたのは、臍の下の赤い傷跡。 

 『これまでの繰り返し』で蚯蚓腫れになった、掌大の十字傷。



 子宮を模したようなその紋様に、角ばった爪があてられ、


     がりっ、がりっ、がりッ、ガリッ――


クラリス「あかッ、んあっ、ふあっ、あっ、アッ、うあぁぁぁ……ァ!!!」


●REC



 横一文字に――また深く裂傷を刻みました。

 着替えでも、シャワーを浴びても――目にするたびに、この身体は貴方のものだと思い知らされる刻淫。

 余りにも的確な、逆十字。
 
 この傷痕を、一生抱えて生きていかなければならないのです。呪いの様に、契約の様に。


 ジリジリと燻ぶるような疼痛が、今の私には心地よかった。



 

 共同作業

 私は、縦の線に爪を立てました、                そして





あーちんぽイライラしてきた!(シコシコシコ

 鷹富士茄子という子がいた。

 本当に何でもできる子で、見た目も良くて家柄も立派で挙句に性格まで申し分がなかった。

 同世代で彼女のことを知らない奴はいなかった。

 同世代じゃない人からは、それ以上の評価だった。
 
 神様の生まれ変わりだと真顔で言う人もいた。少なくとも正月には――役職のことはよく知らないが――それに近い役目で行事の大役を担っていた。

 雑草まみれの農道で、九十度近く腰の曲がった爺婆がいきなり手を合わせだして、何かと思えば遠くに鷹富士の背中があったりする。遠くは意外と見えるもんなのか、それとも、姿以外のものが見えたのか、知る由もないけれど。

 極めつけは、この田舎町に降りてくる幸運は、全て彼女からもたらされているものだという冗談のような話。

 時代遅れの思考だ。

 しかしそれを笑い飛ばせないエピソードは枚挙にいとまがなかったし、何度かは目の当たりにした。
 
 そんな鷹富士は、誰からも慕われながら、誰にも属していなかった。

 常に鷹富士は当たり前の様にどこかに位置していた。彼女の存在は特に言及されることもなく、どこにでも自然な光景として収まっていた。

 誰も鷹富士を引き入れたり、殊更に輪に加えようとしたり、個人的な関係を迫ろうとする奴はいなかったように思う。
 
 畏れ多い――口には出さないが、そのような感覚がきっと皆の中にあったのだと思う。
 
 だけど、俺は、たぶん最初から鷹富士のことを異性として意識していた。

 自分だけなのだろうかと不思議に思うくらいだった。

 中学途中で引っ越してきたよそ者だから、というのもあるかもしれない。そして、年度途中の編入ということもあり、何もかも手探りの時、一番最初に声を掛けてくれたのは鷹富士だった。

 それからはまるで、お墨付きを得たから、とでも言うかのように、交友関係が広がっていった。そして自分が最初に接した相手が、どういう存在かを知った。

 だけど俺の中では、鷹富士は最初の友達であって――神様みたいにありがたかったとしても――神様なんかじゃなかった。

 数年かけて、高校生になって、次第に次第に積み重なった想いは、高校3年の冬、決心するに至った。元旦、受験の運だめしのために引いたお御籤で、『恋愛運 大吉』と出たのが切っ掛けだった。

 そして、ついに鷹富士に想いを伝えようと思ったその日の朝――遅めに登校した俺は、小汚い靴箱の奥に真白い封筒を見つけた。注意深く、慎重に置かれたものだと、直感した。

 転校してきたばかりの頃よく話をした、高校は同じだけど別のクラスの女子だった。

 その子が好きだった時もある。だけど鷹富士のこともあり、告白する覚悟までを持てないまま、いつのまにかしずまった気持ちだった。


 その日、俺は鷹富士の姿を見かけなかった。

 全部の授業の終わりまで俺は上の空で、机の中に隠した手は、ひたすら、カサついた便箋を開いたり閉じたりしていた。


 放課後、指定されていた公園で、真っ暗闇にオレンジの街灯が浮かぶ中、思いのたけを伝えられた。

 二人の吐息は、別々のペースで夜空に散っていた。

 恥ずかしさでマフラーに顔を隠し、泣きそうな笑いそうな声で告げられる想いは、埋没していた俺のかつての気持ちをすくい上げ、優しく揺さぶった。

 この子を好きだったころの記憶が洗われてゆき、どうして今まで忘れていたのだろうと自問した。

 この子にここまで言わせてしまっていることを自責した。

 俺は最後の告白に答えた。

 他の答えはありえなかった。

 
 

 今も、彼女との交際は続いている。まだまだ先の話だが、このまま結婚まで、という予感もある。

 ただ――今は地元からいなくなってしまった鷹富士のことを、たまに思い出す。

 あの時、俺が彼女の告白を断り、鷹富士へ告白をしていたら、どうなっていただろう。


 どうあがいても、鷹富士が俺の隣にいるところは想像できなかった。


 きっと皆が不幸になったのだろう――そこまで考えて、俺は無意味な仮定を振り払った。

 鷹富士に、その周辺に不幸は似つかわしくない。それが、必然だったのだろう。

 そしてぼんやりと――鷹富士の幸せには、俺という要素は必要なかったんだなという結論に至る。

 微かな痛みを覚える。俺は、鷹富士の歩む道から丁寧に取り除かれた小石だったのだろう。

 鷹富士は皆を幸せにして――じゃあ誰が、鷹富士を幸せにする。

 その心配をする資格すらなくて――俺はただ、与えられた幸福を、甘受する。






 





「あ、あっ! りゃめ、ナカ、らめれしゅ、っん!! デキちゃっ、んあっあっうあぁ、あッ、いっ、イク……あ……っああ……ぁ!!」












「んくっ、ん、む…………ぅ、こくん、こく…………っ」

 唇を冷やし、舌を焼き、喉を焦がす、特級酒の芳醇な香り。するすると、熱を持った液体が器官を伝い、お腹の奥まで落ちてゆく奇妙な感覚。

「んく、ん……ぷは……ぁ」

 杯の中身が空になり、口の中が空になり。やっと吸えた空気は、畳の匂いにもあってやけに冷たく感じます。

「はあ、はぁ、ふぁ、ふー、ふぅ……」

 お膝は崩れ、二呼吸、三呼吸をようやく口でこなしていました。

「はっはっはっ、あんまり無理しなくてもいいんだぞ?」

 愉快そうな声に揺さぶられ、なんとか意識を保ちます。でも頭の中は重心をずらされたみたいにぐらぐらし、項垂れそうな身体を、畳に両手をついて支えなければなりませんでした。

 ぼやけた目をこすると、目の前には寝巻姿で片膝をついたプロデューサーさんが、酩酊している私を面白がって眺めていました。

 二人の間には、トランプが散らばっています。

「それにしても、珍しいこともあるもんだなぁ。茄子に勝てたっていうか、勝ち越してるなんて」
 
 能天気な、心底意外そうな声。これまでもプロデューサーさんは、私の部屋にやってきては、私を甘やかすつもりでしょっちゅうトランプやすごろくの遊びを仕掛けてきたのです。

「そ……そうれす、ねぇ~」

 調子を合わせて私は笑います。でも、きっと、目は笑えていませんでした。私は混乱していました。

「ふぅ、ふー、あぁ、熱いですねぇ……ぱたぱた~」


 どうして勝てない。

 どうして、勝たない?


 これまでは違いました。望む望まないにかかわらず、殊(こと)運の絡むゲームにおいて、私は負けたことがありませんでした。

「ああ、でもぉ、こんなにおいしいお酒、いっぱいおかわりしてるから、それはそれで、ふぅ、幸運、かもしれません~」

 昔から『そう』だったんです。今日も『そう』だと、疑いもしませんでした。

 その、私の前提とも言うべきものが唐突に消えかかっていることは、想像以上に私を動揺させていました。

 浅ましいものです――この世界は運だけではないとしたり顔で言いながら、いざ足元が危うくなると、掌を返して慌てふためいている。だけど、律することができませんでした。

 そんな私の様子を察したのか、プロデューサーさんは膝に置いていた手を挙げて、切り出しました。

「ああ、なるほどな……ふむ、それじゃあ茄子、そろそろお終いにしよっか。これ以上飲めないだろ?」

「……だけ」

「ん?」

「あといっかい……、もういっかいだけぇ、ふー、はー、ふぅ……」

 何度かの問答がありました。私はのらりくらりと、しかし執拗に再戦を迫りました。お酒のせいもあるかもしれません、私はきっと、ムキになっていました。

 だって、幸運がなければ、プロデューサーさんを幸せにできない。彼を幸せにできなければ、私は見放されてしまうかもしれない。

 私は、運だけが取り柄だから。幸運にも結ばれた縁だから、その運が失せれば、ほどけてしまう。そんな気がして。

「…………どうしても?」

「えへへ~、こー見えて、負けず嫌いなんですよぉ?」

 アイドルとして見られていなかった頃を思い出します。私は印象が薄いのか、名前を覚えてもらうのも苦労しました。そしてある程度の立場を得た今――あの頃に戻ってしまうのがどうしようもなく怖かった。

「プロデューサーさんが勝ったらぁ……なんでも言うこと、ききますからぁ」

 だから、そんな言葉がするりと零れました。

「……へぇ、じゃあ、賭けよっか」

「いいれすよぉ~、いくらにしますかぁ?」

「百億」

「……はぇ?」

 呆気にとられた私の前で、プロデューサーさんはテーブルからメモ帳とペンを手繰り寄せると、さらさらと書き付けて、寄越しました。ぼやける目を凝らして見ました。誓約書でした。 

 あとは私の名前を記入(い)れるだけでした。

 馬鹿馬鹿しい、そう思いました。ペンをひったくり殴り書きながら(それでも私の方がいくらか上手でした)、いくらプロデューサーさんでもいたずらが過ぎる、と、自分のことを棚に上げてぷんぷん怒りました。






 遊びですよね? そう言おうと身を乗り出した私を強く抱きよせました。

 とうとう役にならなかった私の手札が散らばります。

 お酒臭い、ぞっとする声で告げられました。払えないのなら、そのカラダで払え、と。



 もう、私の優しいプロデューサーさんはいませんでした。それは女の子をお金儲けの道具にする、悪い大人の顔でした。
 


 舌舐め擦りは、どちらが舌(シタ)のでしょう。




●REC


 二回目の精を胎内に吐き出された時には、私はもう、何度達したかわかりませんでした。

「ふあっ、あんっ、やっあっアッアッんあっうああぁ!!!」

 私は戦慄しました。弱みを握られている相手との交わりが、ここまで神経を苛むものなのかと。 

 犯され、嬲られ、辱められ、食い物にされているという実感が、涙となって私の頬を伝います。

 お洋服は――Pさんに買っていただいたものでしたが――無残に引きちぎられ、お布団の外に投げ出されていました。

 下着は、ぼろ切れの様になったままカラダに引っ掛かっていて、それが尚更、強姦じみた交わいを演出していました。

 そのくせ、カラダは快楽に屈して、相手の望むように反応しました。入口を擦られるたび肌が焼け付き、最奥を抉られるたびに内臓に電流が走りました。

 思うままに鳴かされていることが悔しくて、抑えようとするのですが、叶いません。

「んむっ、ん、んんんん……んあっ、いやあっ、あっあっあああっ、はゃいっ、いあっアアアッ!!!」

 彼は私以上に、私のカラダを知り尽くしていました。

 何処が好(ヨ)くて、如何すれば善(ヨ)いか、自分で作った人形の様に。

「ほら、さっきから自分ばっかりイッてないで……次はお馬さんだ、そら、跨って尻を振れ」 

 腰から砕けそうになるカラダを無理矢理押し上げられ、Pさんに跨る格好にさせられます。

 汗が全身から流れ落ち、接合部は、まだ温かい精液と愛液が泡立って、二人の陰毛に半透明な巣を作りました。

 おへそのあたりまでPさんのがぎゅうぎゅうづめにされて、こみ上げてくる快楽で窒息しそうになります。

「ほら、いっちに、いっちにっ……腹踊りだ、茄子、得意だろ?」

 私のおっぱいを、自分のものだと言わんばかりに鷲掴みにして、Pさんは好き勝手に爪を食い込ませます。

「あっ、あっ、も、もうっ、ゆるして……Pさ、あ……!」 

 にじゅっ、ぶじゅっ、ぐちゅっ、じゅっちゅづっちゅずっちゅぶっちゅぶちゅっ、

 けしかけられた私は、死に物狂いで腰をくねらせました。
 
 お腹の中にミミズでも飼っているような心地で、Pさんのおちんちんをずりずりと咥え込みました。

 ずちょっ、ぐぷっ! 

「はあっ、あぅ!!」

 どんどん、奥まで、挿し込まれていって、

 ずちゅっぶちゅっつちゅっくちゅっ、

 声のオクターブが高くなって、

「やあっあっらめっイっあひ…っ!」

 と……つん!!

「イ……ひッ?!」

 一瞬、目の前で火花が散りました。
 
 これまでのどれとも違う触感でした。

 ついに、下がり切った子宮を先端がノックしたのです。もうカラダは、交尾する動物と同じで、妊娠する気でいるようでした。肉襞が蠕動して突起をしごきあげ、精液を受け取る準備を終えました。

 それはPさんも分かった様子でした。Pさんは獰猛に笑いました。あとはこの雌を潰すだけだと確信した表情でした。

「ひ、やっ、あっ、らめっ、Pさ……んんっ!!」

 一かけらの理性で逃げ場を探した私は――がっちりと腰をつかまれたことで、そんなものはないことを悟りました。


●REC


 染み出した先走りを塗り付けるように、ねっとりと奥を擦って、


 とちゅん……とちゅんっ、

「だめりゃめっ、あっ、あ……ッ!!」


 だけど突き上げは、容赦なく加速してゆきます。

 ヘタに動いたせいで、余計、悦楽が腰をまぜっかえしました。



 とちゅんとちゅんっ、とつゅんっ、とちゅっ!!

「あひぃっ、いあっ、あくっうあっあっあっあっあああっ!!」



 快楽の暴力から少しでも生き延びようと、私はPさんの胸に倒れ込みました。汗まみれの二人の身体がにちゃにちゃとこすれ合います。

「そろそろ、いくぞっ、茄子……また、中で出すから、受け止めろっ!」

「はひっ、い、イきましゅっ!! カコっ、カラダで、払いますぅ!! あっ! あふっ!!」

 せめてもの反撃に、喘ぎ声から絶叫に変わりつつある唇で、Pさんの口を貪ります。

 じゅぱっ、むちゅっ、ちゅぱっ、んちゅっ、くちゅ……、

「あむっ、んっ、ふあっ、はう……っ!!」

 結局、それがとどめでした、

「んちゅっ、むぅあっちゅっ、あえろっ、れろっ、ん、ん、ん~~~~~~~~ッ!!!!」

 どぷっ!!

「あ!!」

 どびゅっ、ぶぴゅっ、くぴゅっぶちゅっ!!
 
「ああっ、あっ、アッ、ナカっ!! キてましゅっ、キてりゅっ、うっああっ!!!!」

 最後の理性を溶かす種付けが、噴水の様に子宮の天井を叩きました。

 散々まき散らされたせーえきで内壁が爛れてゆくのが分かりました。

 とろ、とろ……ぉ、

「あっ、デきて、るっ!! あかちゃんっ、れきっ、ちゃうっ!! あ、む……」

 際限のないような絶頂が押しては引き、全身が引き攣って、Pさんのカラダの上で、私は果てました。


●REC


「はは、これでおしまいか? こんなんじゃいつまでヤッても借金は返せないぞ?」

「あうっ、は、うっ! んっ、や、りゃめぇ、らめぇ……や、ん! あっ……」

 白濁で溢れかえるそこをぐちゃぐちゃと指で掻きまわしながら、耳元でPさんがささやきました。



「あーあ、きっと茄子は、一生俺の奴隷だな」



 私は、朧な意識の片隅で理解しました。なぜ今日、勝負に負け続けたのかを。

 私にとってのしあわせが何なのかを。



「ふ……ぅ、ほら、茄子、子宝、安産の祈願だな……」

「はひ……んちゅぅ………えへ、えへへ…………カコ、孕みますからぁ……Pさんの、あかちゃん……」

「茄子はどれくらい赤ちゃんほしい?」

「ねー、うし、とら、うー……いっぱい、いっぱぁい……っ」


茄子さん最高

茄子さんが居て一夫多妻許してくれたら何人増えても幸福でいれる気がする

美世さんも来たらいいな

>「ねー、うし、とら、うー……いっぱい、いっぱぁい……っ」
少なくとも12人は確定か…

茄子さんなら正月営業終わってから孕ませれば来年の正月営業までに出産できるからいけるいける

>>50
一月以上前に収録とかもあるから11月下旬には仕込んでおかないと危ないかも

 恥ずかしながら、修学旅行の自由行動中に班の人間とはぐれて迷子になったことがある。

 団体行動するよう口をすっぱくして注意されていただろうに、どうしてそんなことになったかは、今となってはよく覚えていない。

 似たような往来に同じような土産物屋が立ち並び、軒先が切れ目なく道の両側から伸びて、その下に観光客がひしめいている。そしてめいめい全員が好き勝手に喋り呟き喚き囁き、乾いた足音と衣擦れがその二乗で一帯を飛び交っている。

 しかし人ごみの中に同級生や先生の姿は見つけられず、ここがうちの学校関係者の行動圏から遠く離れていることを察する。

 かといって路地を覗くと一転、寒気を覚えるほど静かでうす暗く、間違いなく地元の人間しか使わない使えない道だと考えるしかなく、よってその先に集合場所はないだろうと思い至る。
 
 そして俺は携帯を持ち合わせていなかった。まあその頃は持っている奴のほうがまれだったけれど。

 後は旅行のしおりに載っている落書きみたいな地図と、百戦錬磨の土産物屋の人間に頼るしかない。その予想される面倒にうんざりしていたところ―― 

「おーっ? あっちにもなんかあるなー」

 俺の目の前をよく通る声が先行し、その後からスキップ気味の歩きで横切る、うちの学校の制服姿があった。そいつは別のクラスの女子――名前は並木だった。

 俺は直接の付き合いはないが、結構可愛いしノリもいいってわけで評判の女子。

 頭にはなぜか帽子がのっかっていた。多分おしゃれなんだろうが、制服に被るにはあまりにもミスマッチな代物だった。道中で買ったのかもしれない。

 そして、並木は独りだった。ひとりで、人ごみの中をすいすい進んでいった。友達がいない、ってキャラじゃないだろうに、どうしたもんだろう。

(って、ぼんやりしてる場合じゃない!)

 ここで彼女まで見失ってしまったら本当に迷子になってしまう。接点の有無なんて気にしている場合じゃない。俺は下手くそに人を掻き分けて並木の背中に追いすがった。

「な、なあ!」

「ん?」


 並木は道路標識みたいに一本足で立ち止まった。

 そこからくるりと軽やかに振り返る。


 往来の端から端まで、灰色の川の様に人だかりがずっと伸びているその喧騒のど真ん中で、すべてが一瞬道を譲った。


「お! うちの学校の人だ! どしたのひとりで?」  

 ほとんど無意識のうちに、なんとか返事する。

「あ、ええと……班の奴見失っちゃったんだよ」

「ホント? いやー、私も実は班の人とはぐれちゃってるんだよねー、色々目うつりしてたらいつの間にか。あははー」

「俺も同じだ。ついでに言うと迷ってる。集合場所は分かるか?」

「うん! あ、でも、説明だけじゃ心配だなぁ。私はまだ見たいところあるし……うーん」

「…………まあ俺はここで待ってても」

「じゃ、私と一緒に行こ?」

「え?」

 必死に会話をつないでいると、話がとんでもないところに到着した。評判の並木と? これまでほとんど関わりのない俺が?

「だいじょぶだいじょぶ! ちゃんと最後は集合場所に案内するし、時間には間に合うようにするし、それに……絶対楽しいから!! ほらほらはやくー!」

 踵を返し、並木はずんずん歩きだす。俺は突然の事態に戸惑いながら必死に付いてゆく。



 結果からいえば俺たちは間に合わず、二人揃ってしこたま怒られた。男女というのもあっただろう。

 らしくもない目立ちかたをした俺は、旅行の間中それをネタにされ続け、後の学校生活でも侮蔑と好奇と一握りの尊敬を受け続けた。

 ――で、その後並木とは、なんと何もなかった。

 時たま顔を合わせたら手を振り合うくらいだが、まあそれでも今となっては十分な栄誉だろう。

 なんでこんなことを思い出したかというと、先日彼女が旅行番組のレポーターとして、あの修学旅行で行ったところを訪れていたからだ。


「――私も、修学旅行で来たことあるんですよ! で、集合時間に間に合わなくて、怒られちゃって……」


 そんな風に彼女がいうと、ああ、確かにあの時間は存在したんだなと、胸にこみ上げてくるものがあった。

 今度、同窓会でも開いてみようかな。今は携帯もあるし、連絡はどうにでもなるから。










「っも、もおっ、んもぉ……っ!! だ、めぇ……っひうっんあっあっあっアアッ!! ああッ!!」







「なんてゆーか、ひどかったね……」

「……ああ」

 館外に出た私たちは、百年ぶりに外の空気を吸ったような心地で振り返る。


 ――――秘○館


 




「あっはっはっは、それにしてもひどかったねー! お昼の!」

「ああ、まったくだ」

 旅番組のレポートを終えた私たちは、せっかくだからお宿に泊まって帰ることにしたんだ。

 Pさんは、特に私の仕事の時はそういう風に計画してくれてるみたい。

 で、ゆっくり温泉に浸かって、豪勢な晩御飯にお酒も入ってテンションは最高潮!

 だから私は、改めてさっきのことを話題に出す。素面じゃとてもできないような話。

「珍しく Pさんが『一度行ってみたいところがある』っていうから期待してみれば……」 

 二人きりになってようやく、面白がれる。もちろんアイドルとしての立場があるし、気恥かしかったのも確かだから。

 でもPさんは真面目な顔で言った。うん、絶対ウソの表情だ。

「いやな、ネタとして選んだんだが想像を絶していて、芽衣子に軽蔑されないかと冷や冷やしたが……楽しんでくれたようでなによりだ」

「む、私ひとり楽しんだって? Pさんだってけっこう楽しんでたでしょう?」 

「んん? いや俺は始終呆れてたぞ、うん……ああでも、芽衣子が真っ赤になりながらまじまじ見詰めたりちょっとニヤニヤ我慢してるのは、見ていて楽しかったな」

「ええー? 私こそドン引きしてたよ! Pさんが一番ヘンタイなのにいい子ぶっちゃだめだよ!」

「いや芽衣子が」 

「Pさんが!」

 Pさんはあくまでも意地を張るつもりみたいだった。そこで私はPさんをやっつけちゃおうと思って立ち上がった。

「よ、っとっとっと……」

「おいおい大丈夫か?」

 少しよろめきながら、心配した風なPさんの隣にどっかりと腰を下ろした。鍋と熱燗であったまった二人の肌は、浴衣越しに触れるだけでも汗ばむみたいだった。

「芽衣子、お行儀が悪いぞ」

 足を崩した私に、いまさらな注意をするPさん。これまで私にしてきたことを思い出せと言いたくなる。

 その充血した眼は、私の顔に向けているふりをしてうなじを見たり、裾から零れる内腿やふくらはぎを何度も盗み見ていた。そして、その視線には温度と湿度を感じた。

 あと少しで、Pさんの強がりに無理が来ると確信した私は、とっくりとお猪口を引き寄せる。

「んー? なんのことかなー。まあまあ、もっと飲もうよ」 

 二人のお猪口に手酌して、ゆっくりと袖を持ち上げる。

「……んくっ、ん」

 熱いアルコールが唇から喉、喉からお腹に流れていって、身体が一本の管であることを思い出す。 

「む……あむ……っ」

 その火照ったカラダをちょっとよじると、湿った浴衣がはだけて、たわむ。胸元に入り込む空気が少し冷たい。

(……きっとPさんから見たら、もうちょっとでさきっぽが見えそう、て感じのハズ)

 すると効果てき面、 私が注いだ熱燗に口をつけるよりも先に、生唾を飲み込む音が聞こえて――にゅっと手が伸びてくる。

「――芽衣子」

 耳元で囁かれた生暖かい低音に、ゾクっと神経が震えて、少し、ほんの少し、染みる。

 でも、

「……むー!」

 私を掻き抱こうと伸ばしてきた手をばしっと撥ね退ける。きょとんとしたPさんに、お猪口から口を離して告げる。

「だーめっ、Pさんが一番面白がってたって認めなきゃ、だめだからぁ!」

 そのままぷいっ、と顔を背ける。くっつけていたカラダを、座布団ごとお尻いっこぶん遠ざける。

 でもこれはガマン比べ。その証拠にもう、私は体温が恋しくて溜まらなくなっちゃう。

(うぅ~、はやくコーサンしてくれたらなぁ……)

 そう思ってまたお酒でごまかそうとすると、

 ――ぎゅうっ、


「はいはい、俺の負け、俺が一番楽しんでましたよー」

「ふへぇ……むぅー、なんかテキトーじゃないっ? そんなんじゃあ、ゆゆしてあげな……はぁむっ、んちゅっ……んむっ」

 なんか勝った気がしない! ずるい!

●REC

 くちゅっ、つちゅっ、ぷちゅ……、くぱぁ

「あ、そ、それ、つかうんだね……すごいカタチ……あ、やぁ、でんき、消してよぉ……あっ、やらぁ、んぁ…………ふあ……ッ!!」

 ○宝館のお土産売り場で買っていたブツブツのコンドームを見せつけられ、息を呑んでしまう。お昼からずっと、私で試すつもりでいたんだって想像したら、結局この人の思い通りにされちゃうんだって――嬉しいような怖いような。

「ああ……おっき、い……!! あ、はっ、あっ、ふっ、んあっ、やっ、あ……ああっ……イイっ」



●REC

 ぱんっ、ぱちゅんっ、ぱんっ、ぱんっ、

「ふんむむっ、ふぁ、うあっ、おむっ、んっふぁんっ、むちゅあっ、ぢゅぱっ、あえろっ、んアっ!!!」

 もうぐちょぐちょになったお布団の上に四つん這いになって、バックで責められる。口には、これもお土産で買っていたエメラルドグリーンのバイブを咥えさせられて、いっぱいのPさんにれいぷされているような気分になる。

「ふおむっ、んっ、ん…………ぷはぁう!! あっ、はっ、ちょっちょ、ちょっとやすませ……ふぁああ!! あっ、ほあっ、むんンン!!」 




●REC

「はーっ、はーっ、ふぁっ、はー。ハッ、ハッ、あっ、ふー…………ぁ」 

 大の字に横たわった私を、Pさんがハンディカムでずっと撮っている。それを止められる体力はもう残っていないし、もう、いまさらだと思う。

 汗まみれのお腹の上には、さっきまで私を責め立てていたゴムがびろびろになって三つ並べてある。ブツブツの形違いがふたつ、バナナの匂いがするのがひとつ、中にせーえきを込められたそれらは、私の喘ぎといっしょに上下している。 

 Pさんのはまだまだがっちがちになっていて、今夜も私は、気を失うまでされちゃうんだろう。

 Pさんはコンドームを選んでいる。

「ひ、ふぅ……っ、……………………っ」

 おもちゃで私をおもちゃにして遊んでいる。 
  
「…………て」


「なんだ? 芽衣子」

 喘ぎ喘ぎ私は抗議する。

「それ、だめ……つかっちゃやらぁ、しょ、そのままぁ。イれてぇ…………!!」

 Pさんは笑う。結局男の人に勝てない私を可愛がるように笑う。


「なんだ、ナカにほしいのか?」

 私は何度もうなずく。


「じゃあ……ちょっと自分で広げてみて」

 よく意味が分からないまま、私は手を伸ばす。そしたらシてくれるっていうなら、なんだってしちゃう。

 く……ぱぁ、

「ふぁ……」

 浅く指を入れただけで達しそうになる。ふちを広げただけで、奥までぐずぐずにほぐれているのが分かる。

「そのまま広げとけよー」

「はぁ、ふぁ。はぁ、あ…………?」

 頭に何個もハテナマークを浮かべたまま、私は従う。Pさんの手が、お腹の上に乗っかっている使用済みのゴムをひとつ摘む。ナマコか何かみたいに見える。ゴムの内側でPさんの精子が、ぐるぐる泡立っている。

 Pさんの手が、そっと私の手に添えられる。


 ●REC


 広げてあるソコに、コンドームのくちが宛がわれる。

「――――――――っ?!」

 ――ぐぐっ、ぼとっ、
 

 

「ああ、あ、ううあ。あ――――――――」


 畑に種をまくように、ご飯に醤油を垂らすように、スポイトでマウスに注射するように、二滴、三滴、精液が吸い込まれてゆく。

 少し冷えたそれはダマになって、私の中で歪に存在を主張する。


 ――とぷん、


 ひとつめを搾り切ったPさんは、そのゴミを私の胸に乗せる。


「あとふたつだからな――その後でハメてやる」


「ああ、あ、あ、あ――――――――――――――――」

 
 その冷たい声に私は引き攣けを起こしそうになる。

 この人は私を何処へ連れてゆこうとしているのだろう。

 頭ががんがんする。

 ふたつめ、みっつめ――おまんこにせーえきがほじゅうされているあいだ、そんなことをかんがえる。

 あさになったらいつものやさしいPさんにもどるのかな。

 もどってほしいのかどうかも、もうわからない。
 

 ●REC


「それじゃ、イくぞ――」

「あ、あっ、ふあっ、あああっあっあっあぁああぁぁ!!!!!」


 それも、最後にホンモノがきて、ぜんぶ、どうでもよくなった。

 

これでおしまいです。
時間がかかってしまいすみませんでした。
ありがとうございました。

ええぞええぞ

乙です

ゴムから直接注入するの最高でした

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom