モバP「大人ならば誰でも」 (63)

アイドルマスターシンデレラガールズのSSスレです。
ゆっくり投下ですのでご了承ください。

 今日のバイトの上がりまであと5分。今出て行ったお客さんが最後。商品の詰まった棚の並ぶ、決して広くはない店内が、途端にもの寂しく感じられる。

 普通だったら早く時間が過ぎればいいと思うのだけれど、今日は、そうじゃなかった。

 今日もというべきか。

 あの常連さんが来ていないのだ。

 ある時期から、足が遠のいているのは、薄々察していた。

 宅配での注文は増えていたから、余計にいぶかしんだ。

 アイドルだったと知って、媒体を通じて彼女の声に姿に接するようになって、事情と符号した。


 僕のバイトしているこの店の紅茶は、高い――紅茶に限った話ではないけれど。

 とにかくこの、手のひら大の缶ひとつで、僕の2時間分の時給に相当する。

 それを来る人来る人、話のついでのように幾つも買ってゆく。

 定番と、お気に入りと、新作があったらとりあえずそれもという感覚で。

 紅茶ひとつとっても、住む次元の違いが如実に現れるんだなと痛感した。

 そう考えたら、僕みたいな学生バイトがおいそれと声をかけてよい相手じゃないのは明らかだった。

 僕自身は客単価の高い店でバイトしてるだけで、大層な家柄なんかないし。
  
 わきまえているつもりだった。

 問題は――向こうから、話しかけてきたこと。




 あれはとても美味しかった、

 この間のそれはお客様に褒めていただいた、

 今度はどれにしようかしら。


 他愛もない話ばかり。それでも、僕に分不相応な期待を抱かせるには十分すぎるくらいだった。

 歳は同じか、ひとつふたつ向こうが上か。

 上品で包容力に溢れた表情、腰まで伸びた栗色の三つ編み、落ち着いていて心に染み渡るような声。

 紅茶とお菓子だけ食べて生きているんじゃないかっていうくらい、甘さで満たされた雰囲気。

 憧れ、という感情では、もう片付けられなかった。

 するとどうしても、考えてしまう。

 彼氏は(本人はこんな言い方しないだろう)いるのかな、なんて。

 これまでの素振りから、そんな様子はなかった。

 もしかしたら付き合った経験もないのかもしれない。いかにもお嬢様の女学校なんてお似合いだし。
  
 わきまえているつもりだけど――もし、そうだとしたら?


 外はもう暗い。駆け込みのお客なんて普通は願い下げだ。

 でも、それでも――僕は店のロゴの入ったすりガラス向こうの夜を、じっと見続けていた。










「んあぁっ、あむんっ、んちゅっ、はふ……Pさぁん、あっ、あっ!」

 







「かはっ、あうあっ、ああっ、あっ、あああ…………っ!!!」

 堪えようとして、抑えきれなかった絶頂の余波が喉から振り絞られました。

 事務所で二人きりの、深夜のお茶会。

 窓の外は遠い世界――畢竟、どちらともなく、求め合うに至りました。

 私はソファの上で仰け反り――数秒して、くたりと、背中が座面に落ちました。

雪乃(あ、ああ……まだ、ビクビク、痙攣してる……っ)

「……おっと、気をつけてな。テーブルの上、カップも瓶も、お湯もそのままなんだから」

 甘い囁きでいくらか我に返り、わななく手足を、どうにか落ち着かせようとします。

雪乃「ふはっ、はぁ、はぁ、はー、は……ぁ」

 涙の滲んだ目が、徐々に焦点を合わせて、あなたの顔と繋がります。

 爛々と光る目は、獰猛に剥いた犬歯は、普段の優しいソレとはかけ離れた様子。
 
 でも私は、歓喜の怖気を奔らせます。

 男女の機微すら知らなかった私が、初めて添い遂げたいと思った殿方。

 幾重もの理性と深謀遠慮に満ちたその方が、今、本能のままに、私を求めてくださっている。

 お部屋まで、寝所まで我慢することができずに、私を求めている。

 アイドルとして、あなたに仕立て上げられた私の『女』が、今、あなたへ自家中毒のように作用して、私を貪ってくださっている。

 嬉しくて仕方ありませんでした。

「雪乃……」

 その昏い歓喜のさなかに、接吻が降りました。私は、蕩けた舌をせいいっぱい広げて、あなたに仕えます。

雪乃「あむっ、ふちゅっ、ありゅっん、んっん、んちゅっんっんっん……っ」

 鼻腔を満たす濃密なブランデーの香りは、紅茶の香り付けというお題目から逸脱して、故意の媚薬と成り果てたものでした。

 神経が、ふやかされて、蝕まれてゆきます。

雪乃「あふっ、ふふあっ、あっ、ああっ、んあっ、あっ、あああ……ぁ」 

 二人分の重みが、ソファへ圧し掛かりました。

 来客用のソレは、横たわるにはやや硬い。

雪乃「ふー、ふー、ふー、ふ……ぅ」

 ですから私は、右と左の乳房を押し開きました。

雪乃「ぷは、あぁ……いらして、ココに……ぃ」

 そうして逞しいカラダを、この身の脂を使い、褥のように収めます。

「はは……すごい、胸だな。爪も沈み込んじゃうぞ」

雪乃「はふっ、ん……やぁっ、んはぁつ、うあぁ、やぁ、いじわる、ですわ……ああ、あむ……ぁ!」

 私に覆いかぶさると同時、少し筋張った指が、私の胸を引き絞るように揉みし抱きました。

雪乃「やぁ、らめ、んんっ、引っ掻いちゃ、だめれしゅ……はむ、はんっ」

 私の抗議は、くちづけで蔑ろにされました。 

雪乃「はふっ、あふっ、んあっ、あっ、しゅきっ、好きれすっ、はんっ、あん……っ!!」

 口吻も、指も、乳房も、お腹の奥も――ぜんぶ、あなたに乱暴されている。私が生まれてきた意味が、そこにありました。

雪乃「はんっ、んあっ、あうっ、あっ、あっはぁ……あっんっあっ、あ」

 ひととき落ち着いていた腰の律動が再開されます。私のおなかの奥を、舐るように、執拗に、塗り込めます。

 もう何度も達した私の身体はすっかり弛緩してしまい、ずぶずぶと、咥え込むことでせいいっぱいでした。 

 そんな私を組み敷きながら、Pさんは嬲るような視線を向けてきます。

「……ひとりで、気持ちよくなっちゃってるんだろ? しょうがないお嬢様だな、雪乃は……はは、まるで糠床に突っ込んでるみたいだな。ひとりでよがっちゃって……」

雪乃「はひゃっ、あんっ、ふあっ、ああっ、あっあっあっ」

 嗜虐に満ちた声音と腰遣いで、不出来な私は責められました。

 でも、当然のお叱りです。まだ硬さを失っていないそれは、本当は、私が絶頂へお導きしなければならないもの。だというのに、

雪乃「あんっ、しゅみませ、んあっ! あっ、あっ、あっ、らめ、えあっ、ふあっ、はぁ…………ん」

 私は愛する方を満足させることもできず、逆に自分ひとりでぐずぐずと愛液を滴らせ、底なしに悦んでいるのだから。

雪乃(ああっ、ごめんなさい、ごめんなさい……でも、でも……ぉ!)

 このまま、だらしなく喘ぐほかないこの身体の不甲斐なさを諦めつつも、泥の様な快楽に浸ろうとしたとき、

雪乃「……はひっ、か……っ」


 しばし、Pさんの動きが止まり……気配が変わりました。 

 何か――何か、思いついたかのような、間。


 そして、




 こぽこぽこぽ……

 ――ぴちゃんっ、ぴちゃ、ぴちゃ


雪乃「は……ぇ?」

 その音は、一方は、最早聞きなれたものでした。お湯をカップに注ぐ音。

 またもうひとつのほうは、先程聞いたばかりでしたから、分かりました。

 ティーバッグをお湯に浸す音。

雪乃(どう、して……?)

 呆けかけていた意識がわずかに冷え、私を組み敷いているPさんに視線をやって、その指先にぶら下がる。ぽたぽたと雫の垂れるティーバッグを見止めて、

 紐先でくるくると回る、茶葉の入った台形の袋を眺めて――――理解させられました。



 じゅ――――――ぁ……っ、



 右胸の突起に、熱を滴らせるティーバッグが、焼印のように置かれるのを見ました。
 

雪乃「かはッ……あ゛ァ!!」 


 止める間もなくそれは為され、私は生まれてはじめてとなる発音の声を上げました。

 ――じゅうう…………っ

雪乃「ら、りゃめ――ぇあ゛!!!」

 尾てい骨から首筋まで奔る刺激。

 意思と無関係に身体が反り上がります。

雪乃「あかはっ、あうっ、んあっ!! ああ、ああ、ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 ティーバッグがその身を折り曲げ、熱量がじゅうと染み出し、幾筋もの流れとなって乳房を滴り落ちます。

雪乃「あ゛、ア゛、あ、ああ……ッ?!」

 驚愕の余りソファから跳ね上がったらしく、私のカラダはPさんのもう片方の手で、強く押さえつけられていました。

「ぐ……、締め付けすごっ、雪乃……熱めの風呂と同じくらいだよ。そこまで熱くないはずだ」

雪乃「あふぇ、はぇ、えぁ? は、はあっ、んあっ、ああ、はぁ…………っ!!!」

 理解の外に穿たれた感覚で、反射的に涙が溢れ。私の視界は海底のように淀みます。でも、Pさんの満ち足りた様子だけははっきりと分かりました。

 それは――

「今の――よかったみたいだな、雪乃」

雪乃「はっ、はぁっ、ふふあっ、あふぁ――?」

 私すら知らない私を見つけた時の顔。


雪乃「そ、しょんなこと……ぉ」


 ――ちゃぽん、


雪乃「……ッら、りゃめぇ……!」

 私は恐怖します。心の臓が早鐘のように打ち鳴ります。

 怖い、怖い。

 
 怖いのに、どうして、Pさんとくっついたところが、ばくばくと震えているの。 

雪乃(だめ、だめですっ、もういっかいされたら、もういっかい、教えられちゃったら、私、わた……っ!!)

雪乃「だめれすゅ、もうらめっ、や、ふぁぁぁ……!!」

 懇願とは裏腹に、私の目は――左胸に釘付けとなり、今までになく期待で硬く尖ったその先端に、茶葉がかざされるところまでを見ました。

 Pさんが、今までで一番硬く、大きくなるのを、ぎちぎちに埋め込まれた私のナカが感じました。

 恐怖と、それを上回る何かへの期待が限界まで高められ、破裂寸前まで昂らされ、


 ――じゅあぁぁ…………っ
   

          「ンああぁっ!!!!!
       
                               ふああっ! アかはっ、っあっアアっ!!!
 

               
                 イヤイやっ、ンあっああああああア゛ッ!!!!!!!!!!!!」  



 ●REC




 私は自分が、喉の奥から泣き叫び、狭いソファの上で四肢を痙攣させ、その後くたりと人形のように動かなくなったことを――後になって知りました。

 画面の中の私は、許容範囲を超えた絶頂で気絶したその後も、唇を吸われ、乱暴に胸をまさぐられ、太ももを押し開かれ、反応のないカラダに幾度も精を注がれていました。

 私は、ほとんど覚えておりません。

 ただ――頽廃した悦びが、微温湯の様にこの身に染込んで――もう戻れないのですねと、私は呟きました。

 リードを持たない手であくびを隠しながら、いつもの散歩コースを辿る。

 もともとねーちゃんが飼う飼う言って飼った犬なのに、いつのまにか朝の散歩はもっぱらオレの当番になっていた。

 まあ早起きは辛いが、オレ自身犬は嫌いじゃない。


「おっ、少年! おはよーっ、ほらわんこも! 『おっはよー』」


 ――ちょっとした楽しみもできていたから。


 オレより年上だとは思った。

 でも表情や仕草、飼い犬に対する様子は正直幼くて、高校生のオレと同じくらいじゃないかと感じることもあった。
 
 親しみやすい雰囲気で、何より美人で――オレは、毎朝文句も言わずに早起きするようになった。散歩の時の格好に気を遣うようになった。
 
 そうやって緊張半分期待半分で朝を向かえ、だいたいいつも同じ地点で、すれ違う。すれ違って、挨拶するだけ。

 あの人は立ち止まらず、オレが来た道を颯爽と歩き去ってゆく。

 その後姿を、オレは立ち止まって見つめている。しばらくして、うちの犬が足元で鼻を鳴らして、我に返る。毎度のことだった。

 あの人は、オレ以外の人にも同じことをしているのだろう。当然だ。だって、ただの挨拶だ。

 オレだって、犬の散歩中にすれ違うほかの飼い主には、会釈くらいする。それと同じだ。

 それと同じなのに、モヤモヤが胸に残るのは、オレのわがままだと、わかっている。

 分かっているからこそ、オレはその人を呼び止めることができなかった。 
 
 それとは裏腹に、近づきたいと――知りたい、知ってもらいたいという思いは、日に日に強くなって行った。



 しばらくして、オレは彼女が、水木さんがアイドルになったことを知った。やっぱり年上ってことも。
 
 いつもの時間に公園に現れなくなったのはその頃だった。

 むやみに散歩の時間を引き延ばして、遅刻ぎりぎりになったりして、そのうち、あきらめた。


 その後、本当に久しぶりに、水木さんと出くわしたことがある。早朝のサングラスはなんだか不自然で、目を引いた。そして、わんこと呼ばれていたあの犬を連れていて確信した。

 油断しまくりでうろたえていたオレの前で、彼女は立ち止まった。そして少しばつが悪そうに挨拶してくれた。

 目にクマが出来てサングラス取れなくてごめんねといっていたけど、有名人だし、こっそり散歩したいってのもあるんだろう。

 そんな彼女がオレのことを覚えていてくれたみたいで、それだけでオレは天にも昇る気持ちだった。

 熱にうかされたようにして、オレはとうとう水木さんに言った。 

「いつも見てます。アイドル、がんばってください」

 水木さんはありがとうと言って、微笑んでくれた。サングラス越しでも、その表情の柔らかさが分かった。 

 そして、じゃあねと言って、再び歩き出した。


――りんりん、りんりん、


 遠ざかってゆく後ろ姿、そのうなじに黒い首飾りがあるのが、辛うじて分かった。

 そのきれいな背中をいつまでもオレは見ていた。うちの犬がオレの周りをうろうろしても、ずっとそうしていた。



 



 





「わんっ、わふぁ……ぁんっ! あむっ、んみゅっ、はうっ、んあっんむっんっ…………っ」







 口に指を三本も突っ込まれて、長くもない舌を無理やり引き出される。

 あえぎと一緒に洩れたよだれが糸を伸ばして、枕に染みを作る。


聖來「あへぁっ、むあっうあっ、あひゅっ、んっぅくぅあ、んあっ! あっ! あ゛!」


 さっきまで淑女だったアタシは、いま、メスのわんこみたいに後ろから腰を打ち付けられていた。

 でももう、四つんばいも続けられないくらい全身ガクガクで――呆気なく、自分で垂らしたよだれの水溜りに、どちゃっと顔から崩れ落ちた。


 
 背中の開いたドレス、踊るに踊れない髪のセット、触れたら壊れそうなグラス、背伸びより高いヒール。

 パーティー会場での立ち振る舞いにも慣れてきた。かつてはPさんが付きっ切りだったけどね。

 今では、アタシはディレクターや共演者その他諸々の人に挨拶したり、挨拶されたりしながら、あちこちでお客さんと談笑するPさんを観察する余裕も出来ていた。

 Pさんはホールの反対側で、いつものようににこやかにお客さんを応対していた。

 きっと今、あの立派そうな人から次のお仕事を引き出そうとしているのだろう。

 大変だなーなんて思っていると――、一瞬で、視線をつなげられた。この広い会場で、最初からアタシの位置が分かっていたみたいに。

 そのことが、とてもうれしかった。わんこみたいに尻尾があったらぶんぶん振っていただろな。

 ほおっておかれて寂しいなんていうオトナ気ないキモチは、多分伝わってしまって、後でいじられちゃうだろう。くやしいけど仕方ないね。 
 
 そして、Pさんの意図を理解したアタシはできるだけ何気ない風で出席者とテーブルをすり抜け、彼らに歩み寄った。


 もう話はまとまり掛けていた。

 アタシの仕事は、最後に、小奇麗に自己紹介することだけだった。



 許容量の半分ぐらいのアルコールでパーティをこなした後、Pさんのお部屋で、二人だけの二次会。それがお決まりだった。

 気兼ねなく酔って、泥酔の一歩手前で――Pさんとアタシは、プロデューサーとアイドルという関係から解き放たれる。

 背中の開いたドレス、踊るに踊れない髪のセット、触れたら壊れそうなグラス、背伸びより高いヒール――どれもわんこにはいらないもの。

 必要なのは、飼い主からの首輪だけ。


 



 
 ぱぢゅっ、ぱぢゅっ、ぱぢゅんっ、じゅぱんっ!!


聖來「あひっ、んむっ、むうっ、んんっ、ン、ンッ~~ッ!!」

聖來(や、つ、つよすぎ……ぃ!!)


 枕に突っ伏したアタシは篭った嬌声を上げ続ける。

 アタシの胸に這い回るPさんの指は、まるで自分のモノって言わんばかりに好き勝手。

 それは腰から下も同じで、先っぽから根元までPさんの形になっちゃった穴を、無遠慮に出したり挿入れたりしている。


――ずぽぷちゅっ!!

聖來「んふぁっ!! あふっ、んっんっあん……ん」 

聖來(ふ、深……ぁ!! Pさんの、おへそまで、来てる……ぅ!!)


 アタシの手首くらいあるソレが、膣肉を掻き分けてその身を埋め込む。

 窮屈で息が詰まっていたところに、遠慮なしの腰が送り込まれた。



聖來「ぉっ、んあっ、や、き、キツ……やあっあっあっんっ!!!」

 ぐじゅっ、じゅぷっ、じゅぽっ、ぷちゃっ!!

聖來「んふぁっ、あむっ!! んんぅ!! ふぅぅ…………っ!!」

聖來(やっあ、音、すご……っ、ナカ、ぐっちゃぐちゃにされてるっ!!)


 ずぷずぶと水気と空気の混じった音が、お腹のナカで何度も下品に鳴る。

 そのたびに、じゅくりと、じわりと、愛液がトロトロに染み出してくる。


聖來「ふっ、んんあんっ、んっ、んっ、んっ、んむッ、ふ――――ッゥッ!!!!」

 アタシは堪え切れない快感から逃げようとして、触れたシーツを掻き毟る。
 
 でもそんな抵抗を楽しむみたいにして、Pさんはぐいぐいと体重を掛けて腰を押し付けてくる。

 狭いベッドの上で、逃げ場はなかった。




聖來(あっだめだめっコレもうだめっあっあっうあっあああっ)

 ぐじゅっ、ぐじゅぷ…………ぅ!!

聖來「ほえっ、う、うあああっ、ああっ、ああ、んうああああ………………ぅ!!!」

 
 
 最後はオトナの体重で子宮を圧し潰され、呆気なくイかされた。


 同時にPさんも果てて、直接どぷどぷとせーえきを流し込まれる。

 ガクガクガクガクと腰から背中、首までケーレンが伝わる。


 ――りんりん、りんりん、


聖來「ふあ、ぅ、うあっ、あっ、アッ……!!」

聖來(おまんこ、ケーレンして、火花が、びりびりっ、散ってるよぉ……!!)


 ちょっと残っていた理性は真っ白に燃え落ちた。

 篭った悲鳴がアタシの鼓膜に帰ってきて、自分がまたイかされたことを知った。

 息苦しかった。


聖來「あぷ……うふぇ……、ふえ、ふー、ふー、ふぁ、はぁ、は…………ぁ」


 涎まみれの枕の上で顔を横に向け、窒息を免れる。数時間年ぶりの呼吸のように、荒い息を繰り返す。

 でも、そのあたりで、アタシはPさんのが、ぜんぜん萎んでないことに気付く。

 ぐじゅぐじゅに溶けたおまんこのなかで、なおもムクムクと鎌首をもたげていることに、愕然とする。


聖來(あ、アア……!! おナカ、いっぱい詰められて、はち切れそう……っ!!)


 そして、アタシの首に繋がっていたリードが曳かれる。


――りんりん、りんりん、




聖來「は、はひ……んあ、ふ、あ……っ!!」

 アタシは――、

聖來(……アタシは、わんこ)

 ――ガクガク震える前足に、なけなしの力を込めて、カラダを起こそうとする。涎まみれの口で、はみ出した舌で、ぜーぜー息が吐き出される。

 腰をひねると、ずるりと、アタシのナカからPさんが抜ける。

聖來(ん……ぬけ、……ちゃったぁ?)

 とたんに、アタシがからっぽになってしまった気がして――

聖來(やだ……ヤダ、寂しい、さみしいよぉ……!! 挿入れて、いれて……ぇ!!)

 スキマは、埋めてもらわないといけなかった。


 アタシはごろんとねっころがった。

――りんりん、りんりん、
 
 お腹を見せて、前足後ろ足を広げて――わんこが、何でも言うこと聞くっていう、ふくじゅーの態度。

 種付けされたせーえきがお尻の穴を伝って、ぽちゃりとベッドに落ちた。


聖來「わん、わん……わ、ぁん」

聖來(いれて、抱きしめて、ナカ、いっぱいいっぱいにしてぇ……っ!!)


●REC


 わんこはしゃべれない。

 だから吠えて、態度でおねだりする。


聖來「わんっ、わん……っ!! きゃうっ、ほぁうあう……ぅぅ!!!」

聖來(き………たァ………………!) 


 腰からはじまり、全身までゾクゾク震える。

 もういっかい、おなかいっぱいにおちんちんをねじ込まれて、アタシは涎を飛ばしてきゃんきゃん吠えた。 

 いつまでたっても夜鳴きしちゃうアタシは、今夜もいっぱいしつけされちゃうだろう。

 ふと、アタシのわんこのことを思い出した。一瞬だけ、朝の散歩の心配をした。


聖來「いきゃっ、ん、ひいっ、いィっ、やあっうあっアッアッアッあ――!!」


 それもすぐに塗り潰される。


――――どぷっ、ぶびゅくっ、びゅ、くっ、びゅっ!!


 お腹の中に吐き出されるその大半が、掻き出すこともできないくらい奥まで滴り落ちていった。


聖來「――ッあっ!! ああっ!!!! んあっ、あっ! あっ、ああぁ…………ぁ!!」


 南国の月明りが差し込むベッドで、私達は絡み合っていた。

 叩き付けるようなピストン運動に、為す術もなくイかされ続け――動きが止まった瞬間、じわぁっ、と、ナカが熱くなるのを感じた。

 
 とぷとぷっ、とぷっ、どぴゅっ、びゅっ、びゅく……ぅ、

久美子「あ、あ――、あつっ、あついっ、ナカ、れてるっ、よぉ……らめぇ、りゃめ、えええぇ……っ!!」


 腰を擦りつけながらダメって言うなんて、支離滅裂なことは自分でも分かっていた。でも止められなかった。

 頭がオーバーヒートして、何も考えられなくなったみたいだった。

 絶対にダメなことが分かっていて、でも私は、快感にあらがえなかった。


久美子「あ、は、ふぁ、うぁ――――、はっ、ハアッ、ハア…………ッ!!」


 ぴゅう、と、ヴィラに海からの隙間風が通い、お香の煙が鼻先をかすめた。


 ――ドクン ッ

              
                         
 たったそれだけで身体中の血管が膨張し、神経が逆立った。               
         
 潮騒が狂想曲を啼かせた。


 七色の太陽が眼前に焼き付いた。

 接吻はマリブの原液。

 そして触れた傍から性感帯が咲いた。 
 

――――――――――――――――――――――――――――――――



 バーベキュー風の夕食を終えて、バーでオレンジのカクテルを飲んで、ビーチからヴィラへ戻ってきた時――部屋の感じが昼と違うことには気が付いていた。

 白いベッドに散らされたトロピカルフラワー、ローテーブルに載ったサービスのシャンパン、影絵の浮かぶ間接照明――非日常の気分をこれでもかと擽ってきた。

 でも一番気になったのは、匂いだった。

 食事に出かけるまでは、夏を思わせるような爽やかな薫り――パンフレットには、『レモングラスの香りで貴方をお出迎え』なんて書いてあったっけ。


 今焚きしめられていたお香は、なんていうか――ドロリと、質量があるんじゃないかっていうくらい、甘くて、濃厚な匂い。

 熟れ過ぎた果実、そのイメージの、無限の延長線上。

 ――嗅いだ瞬間、腰が抜けそうだった。 

 鼻から、喉を通って、脳に届いて、全身を巡るような。

 心臓の鼓動を速めるような、血が沸くような、頭に血が上るような。

 そして血が、お腹に溜まるような、そんな感じだった。


――ど、くん……ッ 


 疼いた。


久美子(あ……コレ、そう、よね)


 私は、直感した。

 こんや私は、Pさんとセックスする。


 今日一日中、ほとんど期待はしていた。

 朝の待ち合わせ、ノースリーブの肩を見せた時。

 昼、撮影が一段落して、ビキニで眠っていたところを起こされた時。

 夜、酔いの回った互いが互いの目を見つめた時。

 
 それが今、確信に変わった。

 Pさんのマンションでも私の寮の部屋でもない、初めて来た場所で、私は抱かれちゃうんだ。

久美子「あ……あはは……、そうだ、私、スパに」

 そう考えだしたら、もう自分で自分を抑えることができなくなりそうで――でも、なんとか、私は最低限の身だしなみをと思って、


「……久美子っ」

 ――ガバッ


久美子「行……きゃぁっ?!」

 気が付いたら私はベッドの上で、けだもののような目をしたPさんに圧し掛かられていた。

 魅入られているその時、もう一度、煙を巻いた潮風が、二人の間を揺らいだ。

 そこから先は――後から知った。



●REC

15:26 


「ん…あら、いつも間にか寝ちゃってた? 南国のさざ波の音は優しいわね。耳を傾けているうちに、自然に眠りに誘われて…」

「こうしてリラックスするのも、キレイになるための秘訣かな」 


「ビキニは…はずかしくないわ。見せても平気なように、磨いてきたつもり」

「日焼け止め、塗ってくれるの?ふふっ、残念ながら、もう塗ったわ」


「あんっ、もう、少しはしゃぎすwヘ√レv-wwヘ√レv-wwヘ√レv-wヘ√レv-wヘwヘ√レv-wwヘ√レv-√レv-wwヘ√レv-レv-wヘwヘ√レv-wwヘ√レv-√レv-wwヘ√レv-


 


●REC

21:32

 
 ずぶ濡れのクッション。

 瞳孔まで分かるくらい目を見開き、ぼろぼろと涙を流しながら、種付けの感触を覚えこまされている。 

 ぐぽ……どぷ、どぶー、びゅっ、びゅぅっ、びゅ……ぶびゅく……ぅ

「あみゅ、んあっ、あっ、あ”っ、あああっ!! ナカ、また熱い、のぉっ!!!」






●REC

22:59


 立ち込める煙。
 
 ベッドごと揺れるようなピストン運動に責め立てられ、舌がはみ出て、涎をだらだらながしながら懇願する。

 ぐじゅっじゅぽっぶちゅっくちゅっぷちくちゅつちゅきゅつゅ

「はへっ、ふぇ、ひゃら、やだぁっ!! おまんこぉ、これ以上したりゃっ、こわれりゅっ、うっあっんあっあっああああ”ぁ!!」


●REC

0:12


 窓の外、光る夜の海。

 さっきまでおまんこに突き刺さっていた、愛液と精液でベトベトのおちんちんを、唇から、喉の奥まで往復させられている。

 膝立ちになった私は、苦しいはずなのに、脳みそごと蕩けさせられているかのよう。ピアノに捧げてきた十本の指は、全てPさんに奉仕するために使われている。

 にちゃっ、くちゅっれろっ、れるぉえろっ、んむ……むちゃっ、

「あえ、ふへぇっ、んむっ、あむっんっんっん……ん?! んん”っ!! ん……ゃは……うぁ!!」


●REC

0:15

 ――とぷりっ、

 ガムみたいな精液が、舌の上に吐き出される。

 たっぷり十秒見せつけて、口を閉じる。





●REC

0:25


 カメラが自撮りになっている。腰を送り込まれるごとに手ぶれしている。

 いつの間にか、撮影の時のビキニを着ている。薄紫のそれは、次の瞬間には引きちぎられた。きっとお昼の時からそうしたかったんだろう。

 たぶん、グラビアを見た男の人は皆そうなのかもしれない。でも、それをしていいのは、Pさんだけ。

 その通りの形の日焼け跡が出来ちゃったカラダに お土産に買ったはずのヴァージンオイルを擦り込まれる。汗まみれの胸を、腋を、臍を、内腿を、しごきあげるように手が這う。

 にちょ、ねちょっつゅ、ぱちゃっ、ぺちゃ――食べ物の咀嚼みたいに汚い音。

「あはっ、フぁッ、んっ、んっ、ん~!! やっ、んあぉ、ぁっ、アンっ!!」

 匂い立つ香油で愛撫され、摩擦が熱を帯びて、全身が沸騰したように熱くなる。 

 白濁液の漏れるおまんこの中まで塗りたくられて――また、一直線に貫かれる、私。

 カメラが落っこちる、悲鳴だけが聞こえる。


 ぐぽ……ぐちゅうっっ!!

「あっ、ま、待…………っいあああアァ!!」


 ねとっ、ぬとっ、ぬとゅぬちゅむちゅ、とちゅっ、とちゅんっ! とちゅんっ、つちゅっぷちゅっくちゅっづちゅっ!!!

「ほあっ、あっ、ふっ、はっ、あはっ、はふっ、う……うやぁっ!! やあっあっあっあっあっあっアッアッアッアッアッ!!!!!!」


 めちゃくちゃになってゆくシーツ。カメラはまた、Pさんが撮っている。

 気が付けば、なぜかパスポートが置かれている。

 涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔の横に、取り澄ました証明写真がある。

 
 もうこの人に一生逆らえない。

 瞬間、膣奥に先端がびっちりと押しつけられ、子宮がくちゃっと潰れた。


 どびゅっ、ぶぴゅるっ、びゅくぅ!!

「んあっ!! ああ”っ、やっ、あっあッああああああああああああぁ!!!!」


 こってりした精液が子宮に搾り落とされてゆく。

 層になって、私を孕まそうと押し寄せて、入り切れない分も、もう子宮の壁に染み込んだんじゃないかっていうくらい、熱を帯びて私の胎内に居座る。 




●REC

1:44


 アップになった接合部。

 亀頭がじっくり引き抜かれ――ばくばく痙攣する、おまんこの肉。

 シーツに零れる精愛液のカクテルは、たったのひとすくい。

 あとは全部、子宮に植え付けられてしまった。
 








久美子「あ、うあ、あ…………」

 そして――今、私の寮の部屋で、ビデオを二人で見ている。

 あの時何があったのか――二人とも、よく、覚えていなかったから。



――くちゅっ、


 興奮したPさんの手が私のカラダをまさぐる。

 呼吸が荒い。


久美子「あ……や、やぁ、Pさん、だめ、ほんとに、デキちゃ……んむっ、あん……っ」


 それで終わるわけがないのも、分かってた。

 だって私は弱みを握られて、一生この人に逆らえないから。


●REC




 久しぶりに帰ってきたあの人のもとへ、我先にと駆け寄ってゆく子供たち。

 僕もその中に混じりたかったけれど、そんなわけにもいかず、保護者よろしく後ろのほうで腕なんか組んで突っ立っていた。

 でも誰よりも、彼女の帰りを待ち望んでいたのは僕だったに違いない。

 子供たちの歓待に、一人ひとり肩を抱き、頬を撫でていた彼女は、しかし不意にこちらに顔を向けて、小さく手を振ってきた。
 
 僕は、動揺した。ひねた態度は散り散りになって、嬉しくなってしまった。そしてそれは隠しきれなかったと思う。



 それから一時間後、ようやく解放された彼女と、互いにお久しぶりですと言い合った。
 
 教会の庭を巡りながら、僕は彼女との記憶を、ひとつひとつ辿っていた。

 高校の、「地域の人と触れ合う」なんてお決まりの単元で、僕は小さな聖歌隊を率いた彼女を知った。

 伴奏のオルガンの音色は、彼女自身の歌声の様に美しかった。

 クラスの他数十名に向けた、社交辞令でもおかしくない「ボランティアを募っている」という言葉を真に受けた。

 それまでは足を向けたこともない、古ぼけた教会におっかなびっくり近づいて、でも扉を開ける勇気がなく庭で立ち往生している僕の後ろから、その人は声をかけてくれた。

 振り返ったときの感情は今も言い表せられない。


 キリスト教徒でもなく、かといって仏教徒でもない僕には、誰かの役に立ちたいなんて立派な考えはなかった。

 僕はただ、この人の役に立ちたいと思った――それは建前。

 役に立てなくても、あの人のそばにいたいと思った。

 突き詰めたら、教会のことなんてどうでもよかったのかもしれない、我ながらクズだった。

 そんな奴はあの人に相応しくない。分かってる。

 それでも。

 
 教会を立て直すために別の仕事を探すと言い出した時、僕は止めようとした。

 露骨な言い方をすれば――彼女に会えないなら、この教会に用はなかった。

 でもここは、ほかならぬ彼女が愛している場所だ――守らなくちゃいけなかった。

 僕はただのボランティアでしかなく、教会の運営に口をはさむ資格はなく、校則を破ってバイトするような勇気もなかった。

 だから、僕は彼女を見送った。


 そして彼女はなぜかアイドルになっていた。

 彼女が有名になり、出身であるここにも取材が来たりして、相当の金額が送金されてきて、教会は立ち直る目処が付き、それでも、彼女は今日まで帰ってこなかった。


「――、――――――――、――――――――」
 
 彼女はまだ、アイドルを続けるらしかった。

 小さな肩、すっと伸びた首筋、ほっそりした腿、そして白い胸元――誰にも触れられることなく慎重に隠されていたそれらを、僕はテレビ画面で食い入るように見つめた。 

 今、目の前の修道服の下にそれがある――生唾が出てきて、必死に堪えた。


 硬い生地が縁取る輪郭、襞(ひだ)――その漆黒が、記憶のものより尚深い気がした。


「――――――――――――――――、――――――――?」
 

 何か問われたようだった。見惚れていた僕は、本心を隠して、曖昧な笑みを浮かべた。






「ああ……っ、だめですっ、あ、あっ、あ…………ぁ、あなた――――」




 また、私の最奥で精が解き放たれたのを感じました。

 P様の体内から、どくん、どくんと、欲望が吐き出され、その間私は、両手両足を、その逞しい背中に巻き付けていました。

 杯を満たすように、種が胎内へ流し込まれます。

 熱量を身体から身体へ移されている実感が、私を満たしてゆきます。

 こぽ、こぽ、脈動に合わせて白濁が注がれるたび、神経が沸騰したようにじわりと熱くなり、私は多幸感で意識を失いそうになりました。

 同じく絶頂に脊髄を震わせ、荒い息を吐いていたP様の口が、耐える私の唇を食みました。


クラリス「ふぁ……?! あむんちゅ、んむ……ぅ!」

 ぴちゃっ、むちゅっ、れろっ、ぷちゅっ、


 供にした赤ワインの香が、接吻を通して鼻腔を擽りました。

 たったそれだけで、私は肩から痙攣し、忍耐も甲斐なく達しました。


クラリス「んふあっ、んあっ、あっんっ、ふあ、っあっんん…………ァァ!!」
 

 躊躇いも悔みもすべて押し流れました。

 視界が点滅し、手足に込めた力も抜け出て、

 ――そうして、全身が弛緩し、ひとかけらも抵抗も消えうせたのか。 

 また深く、襞を押し分け、剛直が私の中心に沈み込みました。

 ずぶ、ずぶと、肉を掻いて、剛直が杭の様に私の中心を突き進み、ほぐし、溶かしてゆきます。 

 もう二度と、抜けることがないのではというほど。

 今放った種を、必ず、私と結ばせようとしているのかと思うほど。 

 ――その妄想が更に私を追い立てました。

 絶頂覚めやらぬまま、縋るように、口づけました。

クラリス「――あ、あー、あっ、んあちゅっ、れろむちゅっ、ぷふ……ぁ」 



――――――――――――――――――――――――――――――――




 許されぬ恋と自覚しておりました。

 全ての切っ掛けも、血の様に赤い葡萄酒でした。

 私から口付けたことも覚えています。

 欲するままに求め、求められるままに与えました。





 貴方と同じベッドの上で朝を迎え、私はきっと青い顔をしていました。

 甘美なる夢から醒め、押し寄せたのは、姦淫を犯したという自覚。

 もはや、誰の前に立つにも私は相応しくない。

 そんな私に、貴方は、自分が手篭めにしたのだと、そう仰いました。

 初めからそのつもりで私を泥酔させ、禁忌と知りながら、無理矢理貞操を奪ったのだと、露悪的に語りました。

 言外に、私に罪はないとでも言いたいかのようでした。

 だからどうしたというのでしょう。

 私はそれが嘘だと知っています。

 ブローチを外し、編んだ髪を解き、頬を撫でた手の慈しみは、身体が、心が覚えています。

 花嫁衣装を着せたあの日と同じ、優しい所作。

 全ての瞬間で――破瓜の痛みさえ――私は貴方の愛を感じ、幸福でした。

 だからこそ、私は絶望したのです。

 貴方が見出した私の偶像を、私自らが貴方を誘惑して、汚させてしまったこと。

 挙句、貴方に、そのような嘘を吐かせてしまったこと。

 でも、その嘘に縋らなければ、嘘で固めなければ結ばれぬ想いだと分かっていること。

 懺悔など生温い、贖罪しようのない、成就。


 私は卑怯でした。

 後悔無き時はありません。

 私は、皆を裏切っています。

 表向きは、シスターであり、アイドル。奉仕者であり、偶像。


 私たちは、何事もなく振舞います。

 そしてその演技は、閉め切った部屋で二人、夜杯を酌み交わすことで、破られます。

 神の血を用いた、正気を失い合うための儀式。

 芳醇な香りに惑わされ、間違いがあっても仕方がないと赦し合うため。


 酒精を嚥下しながら――実のところ、私はこの上なく冷静でした。

 色欲に塗れてゆく私を、何処か遠いところから、もう一人の私の目で観察していました。

 

クラリス「あく、んあっ、ああ、まだ、イッ、Pさまぁっ! あっ、うあっ、ああ”………ぅ!!」

 しちゅっ、くちゅっ、ぷちゅっ、ぶちゅっ、くじゅっちゅっちゅく……ぅ、
 

 子宮口から溢れた精液を仕込み直すように、執拗に最奥への挿入が繰り返されます。

 私は際限無く愛液を垂れ流し、口から泡を飛ばし、背筋を震わせていました。

 思考は極彩色に塗り潰されまともに働かず。

 されど、心の奥底で、歓喜していました。

 いよいよ私が、致命的なまでに、貴方のものにされる時が来たのかと、肌で肉で血で感じました。


クラリス「らめっ、あっ、やっあっふあっやあああっ!! あっ、奥っ、ひぐっ、いひ……ぃ!」

 ずちょぐつゅ、ぷちゅっ、ぬちゅぬちゅづちゅずちゅずちゅずちゅ!!

 
 全身も絶えず愛撫され、私の弱いところを次々と見つけられて、楽器の様に鳴かせられます。

 官能のたび、全身の汗腺が開き、血がどっと巡る心地がします。

 最近、胸もお尻も肉付いてきたのは、P様の愛撫に感応しているためなのかもしれません。殊に修道服が窮屈で、擦れる度、敏感になる身体を持て余していました。

 ここまで淫蕩に堕ち切った私を知って、貴方は、私を抱きながら、失望しているでしょうか。

 それとも、それが貴方を悦ばせるのなら――私は進んで、罪を重ねましょう。

 罰の覚悟はとうに出来ています。

 
クラリス「はくっ、うみゅっ、んあっ、んっ、んっ!! んんん……ぁんっ!!」


 腰の円運動を続けたまま、貴方は、私の下腹に、ぴん、と中指を突き立てました。

 皮一枚隔てて、ナカに埋め込まれた剛直が、存在を主張している場所。



クラリス「ん、ぁ、あは――――う、はっ、ハッ、ハアッ、ふぁッ………!!」


 これから起こることを想像し、私は肺の奥まで息を吸い、引き攣けを起こさんばかりに――昂りました。

 
 指が、爪が掛けられたのは、臍の下の赤い傷跡。 

 『これまでの繰り返し』で蚯蚓腫れになった、掌大の十字傷。



 子宮を模したようなその紋様に、角ばった爪があてられ、


     がりっ、がりっ、がりッ、ガリッ――


クラリス「あかッ、んあっ、ふあっ、あっ、アッ、うあぁぁぁ……ァ!!!」


●REC



 横一文字に――また深く裂傷を刻みました。

 着替えでも、シャワーを浴びても――目にするたびに、この身体は貴方のものだと思い知らされる刻淫。

 余りにも的確な、逆十字。
 
 この傷痕を、一生抱えて生きていかなければならないのです。呪いの様に、契約の様に。


 ジリジリと燻ぶるような疼痛が、今の私には心地よかった。



 

 共同作業

 私は、縦の線に爪を立てました、                そして





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