八幡「雪ノ下にグロマンガを読ませてみた」 (135)



・試験作品
・紹介されるマンガのネタバレあり
・キャラ崩壊注意


短いですがどうぞ



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413652879



八幡「なあ雪ノ下、お前ってマンガ読んだことある?」



【奉仕部の部室にて比企谷八幡と雪ノ下雪乃が二人で本を読んでいると、珍しく八幡から雪ノ下に声をかけた】

【由比ヶ浜結衣は部室にはいない。もし今ここに彼女がいれば、これから起こる悲劇が避けられたろうに】



雪乃「失礼ね。少しくらいはあるわよ。漫画で読破シリーズとか、あと由比ヶ浜さんに勧められた『君に届け』も全部読んだわ」

八幡「そんだけ? 他に無いの?」

雪乃「姉さんから勧められたものはあるけれど、タイトルからして怪しかったものもあったから読んでいないわ。『DEATH NOTE』なんて見え見え過ぎて姉さんに呆れたものだわ」

八幡(いや、たぶん陽乃さんはマジメに雪ノ下のことを考えて、おすすめしていたんだと思う)



【『DEATH NOTE』と言えば有名な頭脳戦マンガだ。読んでいれば雪乃は気に入っていただろう】



雪乃「そういう比企谷くんはどんなマンガを読むのかしら?」




八幡「主にジャンプやマガジンを読んでるが……、今気に入ってるのは『神さまの言うとおり』か」



【もしここでもっとまともなマンガを紹介しておけば……、と後々になって八幡は後悔する】

【そしてもし『進撃の巨人』や『家庭教師ヒットマンREBORN!』を紹介していたら、果たして雪乃は腐女子になっていたのかもしれない】



雪乃「どんなマンガかしら?」

八幡(デスノでさえ倦厭するってなると、デスゲームだってことは言わない方がいいかもな)

八幡「神さまや神の子の出題するゲームをクリアしようとするマンガだ。出題されるゲームは理不尽に見えて突破口が隠されていたりして、見ごたえあるぞ」

八幡「例えば目隠しすなとりとかな。そこから色々なルールが付随して面白いゲームになってるわけ」

雪乃「……そうね。比企谷くんが気に入っているからどんなものかと身構えたけれど、聞いた限りではまともみたいね」

八幡「俺が気に入ってるってだけでマンガ作品まで貶めるなよ。つか、今度実写映画化されるからな。PV見てみろよ」

八幡(PVを見さえすれば俺に騙されたことにも気づくだろう。あのビー玉だらけのPVなら、恐怖も半減するだろうし)




【しかしそんな八幡の甘い考えは大きく外れることとなる】

【翌日、奉仕部で八幡を待っていたのは、目に隈を作った雪乃だった】



八幡「おーっす」

雪乃「おはよう、比企谷くん」ドヨーーーーーーン↓↓

八幡「お、おう……。どうした雪ノ下?」

雪乃「うふふ――――。比企谷くん、私に言わなければいけないことがあるはずよね? ああそれと、土下座してくれるかしら」

八幡「もしかしてお前……、PV見ないで読んだのか? 昨日の今日だぞ。行動早すぎるだろ。いくら全5巻だからって思い切り過ぎだ」

雪乃「ええ。しかも第2部まで大人買いしてしまったわ。第1部1巻のあらすじで安心してしまった昨日の私を一緒に並べたい気分ね。……いいえ、想像でも私を比企谷くんの隣に並べるのは我慢ならないわ」



【第1部2巻のあらすじなら「殺人ビーム」や「踏み潰す」など分かりやすいヒントがあったし、映画放映前というだけあって本屋でも血塗れのポスターを垣間見る機会はあったはずだ】

【しかし「八幡からのおすすめ」ということで雪乃は判断が甘くなった】





雪乃「ネーミングセンスが酷くないかしら。あと丑三がやらし過ぎるわ」

八幡「なにげに全部読んでるのか……」

雪乃「比企谷くん、今度こそはまともなマンガを紹介しなさい。二度目はないわよ」

八幡「つっても俺、少女マンガは詳しくないぞ」

雪乃「別に少年マンガでも構わないわ」



【ここで雪乃の違和感に気付けばいいものの、八幡は気付くことなくまた間違いを犯す】



八幡「……じゃあ『金色のガッシュ!』。それか『魔人探偵脳噛ネウロ』」

八幡(『ONE PIECE』や『BLEACH』は完結してない上長すぎるしな。完結して文庫版出てる作品を教えとくか)




【そして数日後。また雪乃は目に隈を作っていた】



八幡「今度はどうした?」

雪乃「――――――ネウロの犯人が豹変した貌が、トラウマになったわ」

八幡「ああ、なるほど」

雪乃「比企谷くん、マンガって大体ああいうものなのかしら?」

八幡「まあ感情表現を大袈裟に書くのも技法の一つだからな。ギャグにもなるし、読者にキャラの心情を分かりやすく伝えられるからな」

雪乃「そう…………」

八幡(これは俺の読んでるマンガが偏ってるのもあるからなあ。とはいえ面白いマンガって大抵人の生き死にを描いてるし、どうしたもんか)

雪乃「確かに読んでいて面白いと思うことはあったわ。というよりもう一度読みたいまであるわね」

八幡「え? 雪ノ下、もしかしてハマったのか?」

雪乃「そういうことになるわね。もう少し他のマンガにも手を出してみようかしら。比企谷くん、おすすめはある?」

八幡「ここで俺に聞くのかよ。由比ヶ浜に聞けよ。あいつならもっと平和なマンガ知ってるだろ」




雪乃「由比ヶ浜さんはあまり読まないと言っていたわ。というより近くの人間でマンガを読んでいるのなんて、あなたか平塚先生しかいないのよ。それに私はまだ読み始めたばかりで、何を読んでいいのか分からない状態だから、少ないながらも指針があった方がいい」

八幡「じゃあ………………『BLACK LAGOON』か『未来日記』」

雪乃「参考にしておくわ」

八幡(なんかヤバイことになってる気がするんだが)



【もはや手遅れである。ここから雪乃が部室に『ベルセルク』を持ち込むようになるまで、大して時間はかからなかった】

【それを見た八幡はたいそう顔を青くさせることになる。もっとも完全に自業自得なのだが】




雪乃「…………」クスッ

結衣「ねえヒッキー、ゆきのん何読んでるの?」



【最近雪乃が持ち込んでくるマンガのおどろおどろしい雰囲気を感じ取り、結衣は雪乃から距離を取って座るようになった】

【今では八幡のすぐ隣に座るようになった。その点で見れば結衣は結果オーライな立ち位置にいると言えよう】



八幡「さあ、何だろうな」

八幡(マンガ版の『Fate/Zero』なんて学校に持ってくんじゃねえよ!! しかも3巻! なんであいつ笑ってられんの!?)




【どうやら雪乃はマンガのグロ描写に目覚めてしまったらしい】

【ホラー映画は無理でもホラー漫画なら大丈夫。雪乃はそういうタイプだったようだ】



結衣「ねえ、ヒッキー…………」

八幡「なんだ?」

結衣「ゆきのんに『新世界より』ってマンガをおすすめされたんだけど」

八幡「絶対読むな!!」

雪乃(え、そこまで酷い内容だったかしら?)






短いですけど、試験作なのでこれだけしか話を考えていません。

作者の別作品
やはり俺では青春学園ドラマは成立しない - SSまとめ速報
(ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1412099162/)

せっかくなので安価取ります
↓1~3で知ってるマンガがあればゆきのんに読ませます



(安価下で)
これってグロマンガじゃないとダメ?

ハカイジュウ
あと、勾玉ドットコム?だったと思うんだけど、タイトルうる覚え

>>12
別にグロじゃなくてもいいですよ

>>15
もしかしてマガイヒドットコムですか?


採用は「ジョジョ」と「ハカイジュウ」です
投下は明日以降にします

安価外も魅力的な作品が多すぎる

あと「嘘喰い」や「魔法少女オブ・ジ・エンド」も読ませたい

魔法少女サイト、ガールメイキル、スイッチウィッチ、ブラッディマンデー、ミスミソウ、冷たい熱帯魚、アイアムアヒーロー、アポカリプスの砦、彼岸島、BTOOOM!、怨み屋本舗、四丁目の夕日

パッと思い浮かんだのはこのくらいかなぁ。
《新世界より》はなかなか良かった。また読みたくなったよ。

皆グロマンガ好きすぎぃ!! だがそれがいい!

スイッチウィッチを推す>>27とは上手い酒が飲めると思う


「ジョジョ」だけ先に投下しておきます



 八幡と結衣は既に下校し、部室には雪乃と平塚静しかいない。

 平塚静は雪乃が変化していることに気付いていたが、どうもマイナスな変化に見えて今まで問いかけるのを躊躇っていた

 しかし今日、平塚静は思い切って問いかけることにした。それが深淵を覗くような行為だと分かっていながら――――



静「……なあ雪ノ下、最近目の隈が目立ってきているが何か悩み事でもあるのか?」

雪乃「何も問題ありません。むしろいつもより調子がいいと思います」

静「とてもそうには見えないのだが……。それに比企谷や由比ヶ浜もお前を避けているように見えるし、何かあったんじゃないか?」

雪乃「そう言われても、最近だとジョジョを全部読んだことしか思いつきませんが」

静「……………………」




静「待て、雪ノ下、今なんて?」

雪乃「ジョジョは昨日ちょうど読み終えたんです。おかげで今日は気分がいいんです」

静「雪ノ下がジョジョだと!!? おい一体何があった!!」




静「そりゃあ目に隈くらいできるさ! あの量を読み切ったのか!?」

雪乃「1日約1部読むのはさすがに堪えましたが、読めば時間を忘れるくらい没頭できたので大したことはありませんね」



 ちなみに雪乃は文庫版ではなくコミック版で全部揃えた強者である



静「ということは、1週間で全部読んだのか?」

雪乃「そうなりますね。とても面白かったので今は比企谷くんと由比ヶ浜さんに貸しています」

静「…………まあ、ジョジョは人を選ばないくらい面白いからな」

静(それでもあの二人が可哀想に思える。私ですら読むのに1ヶ月はかかったというのに)




静「それにしてもジョジョか……。そうだ雪ノ下、好きなスタンドの話をしよう。私はスタープラチナとザ・ワールドだな」

雪乃「私は――――メタリカとチューブラー・ベルズが気に入りました」

静「ファッ!?」



 メタリカ→相手の体の鉄分を鉄製品に変え、肉を破りながら飛び出させる。

 チューブラー・ベルズ→釘などをバルーン動物に変化させ、相手の体内に入り込み、内側から破裂させる。

 どちらも防御不能で殺傷能力の高いグロ攻撃である。



静(どうしたんだ雪ノ下!? いつものお前ならエコーズとかゴールド・エクスペリエンスとか、作中で成長するスタンドを選ぶだろうに!)




静「あー。一応聞くが、どうしてその二つなんだ?」

雪乃「と言われても、一番印象に残ったスタンドだったので」



 それを見ている時の雪ノ下の顔は、見る者を惑わすほどの笑顔なのだから始末に負えない。




静(雪ノ下が怖がりなのは知っているが、しかしそれでは好きなスタンドに選ばないはずなのに……?)

静「……じゃあ好きなキャラは? 私は徐倫だな」

静(決してプロポーズされたのが羨ましいなんて理由じゃないからな! ……ただ登場当初の徐倫の事情に感情移入してしまって、気が付いたら気に入っていたんだ。後『ヒモ』の能力も気に入っていたりする)

雪乃「私はカーズが好きです」

静「それは私に対する当てつけか!?」



 雪乃はただ、『勝てばよかろうなのだァァァァッ!!』という台詞が気に入っているだけなのだが。

 平塚静は究極生命体の『SEX:必要なし』の部分が気に入らないらしい。


短いですけれど、これで終わりなんです

>>43で「新しいパンツをはいたばかり正月元旦の朝のよーによォ~~~~~~~~ッ」
という台詞を入れてもよかったような

……まあさすがにそれは自重します

ネウロと一緒に薦められたガッシュはどうなったんだ

>>48
「どうぶつの国」の方が良かったんですが、それだと文庫版がないので……

でもまあガッシュも、清麿がリオウにボロボロにされるシーンとかバリーの角が喰われるシーンとか
肉体欠損なんかのグロシーンは多いと思います

雪乃が読んだ感想は「主人公側に敵の魔物が集まり過ぎてる気がするけど、大丈夫かしら?」です

それよりエロマンガを読ませてよ

魔法少女オブ・ジ・エンドが出てないとか…

>>73
>>23をスルーしないでください

それでは夜遅くですが「ハカイジュウ」の話を投下していきます



陽乃「おじゃましまーす。雪乃ちゃんの家に来るのは1ヶ月ぶりくらい? 最近変わったこととかないよね?」



 陽乃は雪乃の周りの人間から雪乃が変化していることを把握している。しかし誰もどんな変化か説明してくれないので、陽乃自身が直接確かめるべく雪乃の自宅に押し入ることにした。

 八幡も平塚静も頑なに口を閉じ語ろうとしないので、さすがの陽乃もきな臭い雰囲気を感じている。

 もっともマンガを読み始めたのは知っているが、聞かされたタイトルが比較的まともなタイトルばかりだった。そのせいでマンガも原因の一つかも、くらいしか考えが及んでいなかった。


雪乃「何もないわ。今も買ってきたばかりのマンガを読んでいただけだし」

陽乃(やっぱりマンガか。静ちゃんからジョジョを読んでいるって聞いたけど、それだけで雪乃ちゃんが変わるわけ――――――)



 部屋に入って陽乃の目に入ったのは、テーブルの上に乗った『ハカイジュウ』の表紙。

 醜悪な蟲の絵を見て、陽乃は全ての状況を察した。




陽乃「…………………………」

雪乃「ああ、姉さんは読まない方がいいと思うわ。理解できないから」

陽乃「念の為に聞くけど、あのマンガ雪乃ちゃんのじゃないよね? 間違って買ってきたとか、比企谷くんに押し付けられたとか、本来女の子の部屋にあったら駄目なもののはずだよ?」

雪乃「姉さん――」

陽乃「雪乃ちゃん――」

雪乃「人の趣味を否定するのは良くないわ」

陽乃「雪乃ちゃんが壊れたぁ!!」



 確かにこんな表紙のマンガを肯定している時点で、かつての雪ノ下雪乃とは別人と言えなくもない。




陽乃「え? え? 雪乃ちゃんに何が起きたの? こんな地球の裏側で売ってそうなマンガがどうして雪乃ちゃんの手元に!?」



 さすがの雪ノ下陽乃でも、雪乃のこの豹変は想定外で許容範囲外だったらしい。

 持ち前の鉄面皮が外れかけ、陽乃は感情を剥き出しにする。



雪乃「理解されようとは思っていなかったけれど……」

雪乃(こうも否定されると嫌な気分になるわね)

陽乃「とにかく、この本はすぐ売りに行って。雪乃ちゃんはこういうのを読んじゃ駄目だからね!」

雪乃「……そういう台詞は、山田悠介や横溝正史を読んでいた当時小学生の私に言って欲しかったのに」

陽乃「あぁ、そういえば読んでたね。…………でもそれって屁理屈だから!」



 ドグマグを読んでいた櫃内様刻よりはマシだと思うが、それでも「リング」や「リアル鬼ごっこ」を読む小学生も嫌すぎる。




 興味半分嫌悪感四分の三で陽乃は机の上の「ハカイジュウ」1巻を手に取る。許容できない分の恐怖は雪乃への愛で抑え込んだ。

 パラパラとページを捲り、黒い蟲が現れるところ、人間の頭を喰われるところ、穴の中の巨大な目玉のシーンを流し見る。



陽乃「うん」



 内容の確認を終えたマンガを机に戻し、陽乃は言った。



陽乃「雪乃ちゃん。そこに正座」



 そこから数十分に渡り、姉による妹へのガチ説教が始まった。持てるだけの怒りを言葉に込めて、陽乃は雪乃を脅した。

 もう金輪際、こんな本は読まないようにと。何回も何回も言い直させた。

 気持ちは分かる。年頃の娘が例えば『ゴキブリが大量に登場するマンガ』を持っていたら、娘が大事な母親はカンカンに怒るはずだ。




陽乃「じゃあね……、雪乃ちゃん…………。今度来た時……その本が残ってたら、ただじゃおかないからね…………」



 叫びすぎて若干お疲れの様子の陽乃。喉の調子が少し悪くなったし、『姉の威厳』を大分消費してしまった気がする。

 もっとも雪乃はそんな陽乃を見て、いつもの仕返しができたと内心楽しんでいるのだった。



雪乃「分かっているわよ、姉さん」



 タクシーで帰る姉を目の前で見送り、部屋に戻ると、読んでいる途中だった件のマンガが目に入る。



雪乃「……………………」

雪乃(読むな、と言われると読みたくなってしまうものね)




 そしてめでたく「ハカイジュウ」は雪乃のコレクションの仲間入りを果たし、また姉妹喧嘩の発端になるのだが、それは別の話である。


これで安価のお題も終わりです

とりあえず「魔法少女オブ・ジ・エンド」を読ませるのは確定しているんですが、
(作者の趣味です)

他の話が思いついていないので、↑から適当に選ぶか安価を取るか悩んでいます


>>68
「ベルセルク」や「Fate/Zero」の時点でR-18Gです


安価取るかどうかはまた明日考えることにします。さすがに眠いので



「魔法少女オブ・ジ・エンド」の話を投下していきます

雪乃に「まじかる~」って言わせられなくてゴメンナサイ!



 雪ノ下雪乃の朝は土曜日でも早い。休日でも学校がある日と同じ時間に起きる。
 しかし今日に限りいつもと同じ時間に起きていたら、今この時間に間に合っていなかった。雪乃は体調リズムが崩れるのも構わず、早くに起きて開店直後の本屋に足を運んでいた。



雪乃(――新刊はまだ並ばないのかしら? どうして開店前に並べておかないの。ここの店員は物臭ね)



 サングラスと帽子を着用し、厚手のコートを羽織り、一見地味に見えてミステリアスな雰囲気を醸す美少女が、他の本を読みながらマンガコーナーをチラチラ見ている光景がそこにはあった。
 というか、グロマンガに目覚めた雪乃だった。



雪乃(他の人に見つかる可能性を極限まで少なくするためにこんな朝早く来ているのに、居る時間が長くなったら何の意味もないわ!)



 緊張の余り、体から変な汗が出ている雪乃。開店から十数分経って目当ての新刊が本棚に並べられるのを確認すると、思わず溜め息を漏らす。
 店員が新刊コーナーから離れて、真っ先に雪乃は新刊コーナーに歩み寄り、一目で新刊を手に取り早足で会計を済ませる。
 この無駄にグロマンガに熱を入れる姿が、最近の雪乃のデフォルトとなっている。



雪乃(これでよし。ではこれから図書館に行ってこの『魔法少女オブ・ジ・エンド 6巻』を読みましょうか。家で読んでいたらいつ姉さんが来るか分からないもの)



 陽乃の方も休日やマンガの発売日になると、雪乃の部屋を訪ねるようになっていた。その日には決まって完璧超人姉妹による頭脳戦が始まる。
 ある時はネカフェで隠れ過ごし、またある時は八幡の家で読んでいたのを見つかり、その被害のほとんどが八幡に押し付けられたこともある。
 今日も幾重に亘る策謀のやり取りの末、雪乃は姉の目を盗み自分のマンションから抜け出すことに成功した。
 ただし――――陽乃には見つからなくとも、別の人間に見つかってしまうのだった。




いろは「雪ノ下先輩~!」

雪乃「!?」

いろは「おはようございます。休日のこんな朝早くに会うなんて、珍しいこともあるんですね」

雪乃「そ、そうね……。おはよう一色さん」



 雪乃にとっては全くもって有難くない偶然だった。
 しかも見つかった相手が雪乃のグロ趣味を知らなくて、八幡や結衣と共通の友人である一色いろはなのが、尚のこと悪い。
 これでもし今日本屋に来ていることを人づてもしくは直接陽乃に伝わってしまえば、また説教を受ける羽目になる。なんとしてもそのような事態は避けたい。



いろは「それにしても何でこんな時間に隠れるように本屋に来ているんですか? 雪ノ下先輩らしくないですよ?」

雪乃「私らしくないという言い方は失礼ね。どうしても読みたい本があったから、買ってこの休日で読み込もうと思っていただけよ」



 自分でもよくここまで上手い言い訳ができたものだと、雪乃は心の中で恐怖していた。
 とはいえ後はよくあるタイトル、例えば湊かなえの作品でも出しておけば、ドラマの話に持っていって意識を逸らせる。そう思い内心ほくそ笑んだ。
 ――――しかしそうはいかなかった。



いろは「え~、本を買うだけならそんな変装しないですよね? と、いうことは……その本を買っているところを他の人に見られたくなかったから…………まさか!?」

雪乃「っ!」ビクッ



 グロマンガを買っているのがバレてしまうのか。雪乃は体を震わせるが、事態は思わぬ方向に向かう。



いろは「もしかして、もうバレンタインの用意をしているんですか!?」

雪乃「えっ……?」




雪乃「いや、あの……、これはそういうものじゃ……」



 正直、雪乃はいろはの言葉を肯定していいのか否定していいのかも分からなかった。
 どうすべきか考える間もなく、いろははどんどん雪乃を圧していった。



いろは「雪ノ下先輩も隅に置けませんね。こんなに早くからチョコの用意をしているなんて。渡す相手は――もちろん比企谷先輩ですか。クールに見えて情熱的な方だったんですね」

雪乃「ねえ、一色さん……」

いろは「先輩、私負けませんからね」



 こうしちゃいられない! といろはは最後まで雪乃の言葉に耳を傾けようとせず、そのままのテンションで本屋に駆け込んでいった。
 雪乃には追いかける気力も、どうしていろはがここにいるのか尋ねる気概もなかった。



雪乃「これで……よかったのかしら? ――いいえ、一色さんにまで私の趣味を見せるわけにもいかないし、これでよかったのよ。ええ」



 とはいえこれで、結衣だけではなく八幡やいろはにまで豪勢な手作りチョコを用意しなければならなくなったことを考えると、雪乃は頭を痛くするのだった。




いろは「確か、この辺に――――――あった。これだ」



 雪乃が本屋から去った後、いろはは料理本コーナーではなくマンガコーナーに足を運んでいた。
 いろはの手には『魔法少女オブ・ジ・エンド 2巻』が握られていた。



いろは「げぇ……、こんな女の子がよだれ垂らしてる表紙のマンガ買ってたんですか。生徒会の買い物に遅れるの覚悟で見に来たというのに…………見損ないました」



 実は雪乃が怪しい風貌で歩いているのを見かけ、心配になったいろはは予定を無視して雪乃を付けていたという、涙ぐましいエピソードがあった。
 そんな心配をよそに雪乃がマンガを、よりにもよってゲテモノを買っているのを見て、いろはは心底幻滅していた。






 もちろん後日、このことは陽乃の耳に届き、めでたく雪乃は『まじかる~』されたのだった。






これで終わりです

私の力量では、陽乃さんに「まじかる~」と言わせるだけで精一杯だった……っ



では次回の「なるたる」の話で、このスレは終了となります

最後までお付き合いお願いします


雪乃と陽乃さんにオリジナル魔法少女を考えてもらう話もありましたが、
それこそ作者の考えた魔法少女を二人に喋らせてるだけになりますし

何より原作以上にグロそうな魔法少女なんてそう簡単に思いつきません

せいぜい「吸血ノミを大量に放つ魔法少女」くらいしか思いつきません

では最後の話をこれより投下します

ちなみに投下が遅れた理由の半分は、作者がついこの前まで「なるたる」を読んでなかったからだったり





 いつもの奉仕部。もはや雪ノ下の目の隈が定着し、誰も違和感を覚えなくなったある日の放課後。

 結衣はすぐ隣に座る八幡に耳打ちをする。



結衣「ねえヒッキー、今日のゆきのんって一段とアレじゃない?」ヒソヒソ

八幡「アレってなんだよアレって。かくかくじかじかで分かるのはフィクションの中だけだぞ。つか顔近いぞ、誘ってんのか」ヒソヒソ

結衣「誘ってるとか、ヒッキーきもい!」

結衣「…………そうじゃなくて、ゆきのんの目」ヒソヒソ

八幡「目? いつも通り隈作ってるだけじゃねえか」ヒソヒソ



 言われて八幡は雪乃を見る。雪乃は自分の入れた紅茶を飲んでいるだけで特に変わり映えがない。何の本も読んでいない雪乃がこれほど安心感をもたらすのか、と八幡は密かに思う。

 しかし雪乃の目をよく見ると、今まで見てきた中で一番酷い状態だった。相手の心を打ち抜くような鋭い眼光は見る影もなく、今の雪乃の眼差しはヘドロのようにどんよりとしたものだった。

 例えるなら、ワシとドブネズミくらい違っている。




八幡「まあ、雪ノ下の目がどんどんヤバくなっていってるのは前からだし……」ヒソヒソ

雪乃「二人とも、言いたいことがあるなら直接言ってくれないかしら」

結衣「え!? いや、えーっと……。ううん、なんでもないよ」

雪乃「どうも最近、由比ヶ浜さんと距離を感じるわね。どうしても言いたくないの?」

結衣「ゆきのん………………………………言っても、怒らないよね?」

雪乃「ええ、もちろん」



 八幡は結衣の台詞を勝手に予想し、雪乃も自分が動揺するとは考えられないと、二人とも油断しきっている。

 地雷を踏み抜くことに定評がある結衣は、またも的確に爆弾発言をかまして空気を凍らせる。






結衣「――――――今日のゆきのん、ヒッキーよりも目が腐ってると思う」



 ……それを言っちゃあ、おしまいだよ。








雪乃「……………………」

八幡「……………………」

結衣「……………………」



 雪乃はカップに残った紅茶を飲み干し、カップを置いて、鞄から本を取り出し読み始める。



雪乃「ふっ…………」ズーーーーン



 開いた本に顔を伏せ、雪乃は心の底から落ち込んだ。

 ブックカバーに隠れて八幡と結衣には本の中身が見えていないが、ちなみにその本のタイトルは「隣の家の少女」である。



雪乃「いつまでも目を逸らし続けることはできないと思っていたけれど、せいぜい比企谷くんと同レベルだと侮っていたわ……。もう私は、比企谷くん以上に腐っていたのね……」ズーーーーーーン

結衣「ご、ごめん! あたし言い過ぎちゃった!」

雪乃「いいえ、由比ヶ浜さんは悪くないわ。悪いのはこうなると分かっていてあの本を読み続けた私なのよ」

八幡「おい、今度は何読んだんだよ?」

雪乃「『なるたる』よ。あのカタルシスと、キャラが理不尽に迫害されていくところがとても共感できたわ」

八幡「お前それ絶対家に持ってくるんじゃねえぞ!!? 小町がトラウマになってるから!!」



 なんで当時の鬼ッ頭(キッズ)ステーションはあのアニメを放映したんだろうね。




結衣「え、ゆきのんヒッキーの家にマンガを持っていくの?」

八幡「ああ……。俺の部屋の本棚はもれなくグロマンガの避難場所になっててな。陽乃さんと雪ノ下で売ったり追加したりでとんでもなくカオスになってる。最近は二人が来ると、俺と小町は小町の部屋で肩寄せあってるぞ」

結衣「ってことは、ゆきのんと陽乃さんはよくヒッキーの家に行ってるの?」

八幡「週に一回は俺の部屋で喧嘩してるんだが、どうにかしてくれないか由比ヶ浜?」

結衣「ごめん無理」



 以前奉仕部に陽乃が突入してくることもあったので、結衣にも陽乃が怒る姿がありありと思い浮かぶ。

 感情を剥き出しにして、幾多の語彙を持って表現されるその怒りは見る者のSAN値を大幅に削る。



八幡「雪ノ下。言うのがとんでもなく遅いかもしれないが、そろそろ元のお前に戻れ。自分でも駄目だと思ってるならなおさらだ」

雪乃「そうね――――――」




雪乃「では『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』を読んで、かつての私を思い出しましょう」

八幡「それでいいのか!?」

結衣「それでいいんだ!?」



 当たり前のことだが、この小説は比企谷八幡の一人称で描かれている。

 その後、雪ノ下の目がさらに腐ってしまうことは語るまでもないだろう。


これにてこのスレは終わりです

試験作ながら、同じ趣味を共有できて作者自身も楽しむことができました

年末にpixivにリョナの鐘を打ちに行こうと思うので、その時また会いましょう



あとまとめサイトさん方、ここで紹介された本はどれもいい本ばかりなので、

なるべくなら全部載せてくれないでしょうか



このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月19日 (日) 15:21:22   ID: B2qWyXUT

孤高の人、モンタージュ、僕は麻里のなか、空が灰色だから、この辺りがハートフルストーリーだからオススメ

2 :  SS好きの774さん   2014年10月26日 (日) 08:41:43   ID: 3-8I5FNb

なるたる読ませい
ただグロいだけじゃなく読み終わった後の胸くそ感がたまらん

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