明石「鎮守府のうらには天使が埋められている」 (43)

提督「いじめ…ねぇ」

明石「はい」

提督「まあ女所帯だしこっちが認識できないレベルのものがあっても驚かないけど…」

明石「そんなちょっとしたいたずらって程度のものじゃないみたいです。その子の話を聴くには」

提督「その子?」

明石「…すいません。この話が誰かに聞かれてないとも限らないので」

提督「でも、なんでわざわざ明石に相談したんだ?」

明石「わたしって直接戦闘に関わるわけじゃないですし、基本工房にこもってますから」

提督「中立で他人に漏らす心配もなく、2人だけになれる状況を作れるってことね…了解。明石はそのまま、通報した子の話とかを聞いてみて。俺は俺で探りを入れるけど望みは薄いだろうなぁ…」

明石「わかりました。今のこの話はどうします?」

提督「改修の話をしてたとでも吹いとけ…はぁ、なぜ転勤まであと二ヶ月前だってのにこんなことになるかね」

明石「大本営に行く前にキズはつけたくなかったですか?」

提督「まさか…そんな単純な話じゃないさ」


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提督「しかしなぁ…」

ワーキャー

提督「とてもじゃないがそんな雰囲気は見えん…もう少し明石から話を聞けばよかったか…?」

提督「まあ可能性としては…明石が『その子』って言ってたということは戦艦や空母ではないな。ってことは数の多い駆逐、日常的に出番の限られる軽巡…ウチではなぜか脳筋ばかりの重巡組は可能性は低めか…?」

提督「まだガキの駆逐っ子なら時期にボロが出るだろうし数が多いだけに首謀者も共犯も絞れない…まあ話聞くなら軽巡の…こう言うのとは無縁そうな…でも機微に敏いやつだな」

球磨「何の用クマ?」

提督「少し聞いておきたくてな。お前の発言で軽巡駆逐の立場が変わるかもってことだ」

球磨「それは…また穏やかじゃないクマ」

提督「まあそう構えるな。聞きたいことは一つだけでな…ここ最近お前の周りで変わったことや気づいたことはないか?」

球磨「…球磨が把握してるのは昨日また羽黒と加古が殴りあったことぐらいクマ」

提督「また面妖な組み合わせだな」

球磨「加古のプロテインを誰かが勝手に飲んだらしいクマ」

提督「なるほど分からん…まあそっちは勝手に解決するだろうな」

球磨「したクマ。長門が犯人だったクマ」

提督「もう捕まってるならなおさら出しゃばるわけにもいかん」

球磨「…多分提督が聞きたいことは球磨より天龍とかの方が詳しいクマ。なぜそっちに聞かないクマ?」

提督「…あいつは優しいが不器用すぎる。今回のようなことには向いてないだろう」

球磨「そうかクマ…」

提督「邪魔したな」

球磨「クマ~」

提督「球磨であれなら少なくとも軽巡ではないな」

明石「…ここでその話をして大丈夫ですか?」

提督「青葉に設えてもらった部屋だ。安心しろ」

明石「青葉さんに話したんですか!?」

提督「あいつはジャーヤリストとかいってパパラッチ紛いの事をしてるがそれでも馬鹿ではない。言いふらしていいことかどうかはわきまえてるよ」

明石「…それで、なぜ軽巡ではないと?」

提督「お前に相談してきたのは駆逐艦。それも主犯でも共犯でもなく第三者だ」

提督「理由としては二つ。球磨の態度とお前の言葉…まあ今の所持ってる情報がそれだけというだけだがそれで十分だ」

提督「球磨には軽巡全体の取りまとめを頼んでる。天龍と龍田には駆逐のお守りがあるからな」

明石「それで、球磨さんはなんと?」

提督「あらかじめ『軽巡駆逐の立場』と前置きをしたにもかかわらず話したのは重巡の話だった。これは言外に球磨が処理できる範囲内のことしか起きていないことを指している」

明石「それだけですか?それでは流石に…」

提督「今回俺が考えていた可能性はこれまた二つ。駆逐艦の集団いじめか、軽巡の個人的いじめ」

提督「さらに軽巡だった場合は被害者が木曾だと考えていた。球磨が妹の変化に気づかないわけがないだろう?」

明石「別に他の人の可能性だって…名取さんとか」

提督「名取が被害者なら本人でもない限り長良や五十鈴の方に話しに行く可能性が高い。そもそもお前に相談しに来ないだろうさ。それにその口ぶりだ。間違いない」

明石「その本人の可能性も」

提督「被害者の言葉ってのは想像以上に重みがある。俺に話をする前に青葉にでも証拠集めを頼んでるだろうさ。それくらいの行動力はあるだろう?俺に話をしたってことは扱いに困ったってことだ」

明石「…」

提督「イエスノーで答える必要はない…というのは今更か」

明石「…ですね。相談に来たのは」

提督「朝潮だろう?」

明石「えっ…」

青葉「失礼しますよ」

提督「お、早かったな」

青葉「そうですね…司令官のやな予感が当たってしまったので」

提督「やはりそうか…」

明石「やな予感…?」

提督「悪魔ってのは悪魔の顔をしてないから悪魔なんだよ」

~一ヶ月後~

球磨「クマー…戻ったクマ」

天龍「戻ったぞ…」

提督「どうだ?あれから」

球磨「今の所はギリギリ持ってるクマ…」

提督「そうか」

天龍「なあ、なんだよあれは」

提督「まだいうか…」

天龍「あれじゃいじめの対象が変わっただけじゃねえか!」

提督「そうだ。朝潮たちをいじめの対象にさせた」

球磨「球磨もあれに意味があるとは思えないクマ」

提督「そうだな。だが朝潮を処罰するだけでは意味がない。被害者の心の傷も癒えないまままた新たにいじめが起きるだけだ」

天龍「新たないじめが起きるって、現に今もそうじゃねえか!何が違うんだよ!」

提督「こちらが被害者を把握できる。生きるか死ぬかのこの地で大切な団結力を作らせることも出来る。敵意…悪意の矛先を操作しただけだ。かのアドルフ・ヒトラーのようにな」

球磨「最低だな…クマ」

提督「だが効率的だ。今までやってきたことのしっぺ返しも食らってる。事の重大さを理解するには十分だ」

球磨「それでも、あの子達はあのままだと自ら命を絶つクマ」

提督「そのためにお前らには被害者の監視をして貰ってるんだ」

天龍「ハッ、血迷いそうになったら止めろってか?」

提督「違う。その5歩手前で俺に教えろ」

天龍「…は?」

提督「最後の仕上げだ」

ー三週間後ー

天龍「おい!クソ野郎!」

提督「とうとう提督とすら呼ばれないのか」

天龍「どういう事だよ…あいつらが死んだってのは!」

球磨「説明するクマ!」

提督「わかっている…が、これは軽巡までで留めて欲しい。その上で軽巡全員に話して欲しいんだが…」

天龍「これが仕上げってんなら俺はてめえを殺す!」

提督「落ち着け。まず、あいつらは死んでいない。内地にある精神療養所で治療を受けさせに行った。終われば別の鎮守府か警備府あたりに再転属だ」

球磨「…どういうことクマ?憲兵の話では遺書があったと…それも朝潮の筆跡でクマ」

提督「俺があいつらに書かせた」

天龍「どういうことだ」

提督「謝罪の手紙って事でな。『私達は自らが犯した罪の重さを痛感し、この身をもって償うことにしました。本当に申し訳ありませんでした』だったかな」

球磨「まさしく遺書クマ」

提督「これから行くところは刑務所みたいなもんだと説明してこれを書かせたからな」

球磨「…それをどうするクマ?」

提督「遺書として駆逐艦どもに聞かせる」

球磨「…そういうことかクマ」

提督「ああ。しばらく遠征は出来ないな」

天龍「…チッ」

提督「さて、そろそろ俺も行くかな」

天龍「逃げんのかよ」

提督「タイムリミットだよ。安心しろ。次の提督は元精神科の医者だとよ」

球磨「…今まで球磨は提督のことを優秀で優しい人だと思ってたクマ」

提督「そうか。お眼鏡に叶わず申し訳ないな」

球磨「クソ提督…クマ」

少尉「お待ちしておりました。大佐」

提督「おお、待たせた。君も着任は来週だろう?」

大尉「はい。ですが引き継ぎのこともありますし」

提督「…そうか。わざわざすまないね」

大尉「いえ…」

提督「さ、行こう。少尉、車を出してくれ

少尉「はい…おや?あれは…」

提督「明石…」

明石「はあっ…はあっ…」

提督「どうした?何か伝え忘れでもあるのか?」

明石「このっ…」

パアンッ!

提督「…」

少尉「貴様、大佐に何をしている!」

提督「構わん」

少尉「ですが…」

提督「構わんと言っている」

少尉「は、はい…」

提督「行くぞ」

明石「あなたは…あなたはクソ野郎です!」

提督「…なあ」

大尉「なんでしょう」

提督「お前には俺がどう映る?」

大尉「…素晴らしいお人かと」

提督「世辞はいらん」

大尉「はあ…では、随分とお変わりになられたなと。随分と堅苦しくなられた」

提督「そうか?」

大尉「少なくとも二ヶ月前にお会いしたあなたは…この海軍を変えてくれる。そう予感させるような方でした」

提督「はは…買い被りだよ」

大尉「ですが今のあなたは、あのとき感じられたオーラのようなものが感じられない」

提督「もし…本当に君にそう見えたなら…それは私が自覚したからだろうね」

大尉「自覚ですか…?」

提督「ああ。自分が無能だとね」

提督「…あとは任せたよ」

大尉「…はい」

おわり

うーん?


少し解説がほしいけど、そういうのは野暮か?

これにておしまいです。朝潮提督の方々ごめんなさい。

いじめというデリケートなテーマをいかに陰鬱に、かつ残酷に伝えられるかを考えた結果こうなりました。色々梳いてます。

普段は艦娘たちにイチャイチャさせたり野球やらせたりしてます。真剣だったりふわふわだったりとこれとは全く逆の雰囲気なのでこれがダメでも良かったらチラ見だけしてってください。

では、また何か思いついたら



何を書きたかったのか判らなかったな
ある程度想像は出来るけど、それを固める素材が少なすぎる

いじめの主犯が朝潮で、それが提督にバレて「死亡扱い」でクビになったけど
その事で朝潮にいじめられてた娘が責任を感じて自殺したとか?

>>16
これをこれ以上広げる気もないので質問があれば答えますが梳いた部分は想像に任せてもいいと思ったところとだけとりあえず

>>18
いじめは何も生まないって事でしょうか…

>>20
いじめは何も産まない訳じゃない、少なくとも虐めてる側に取ってのストレス解消による、艦これで言ういわゆるキラ付けには役立つだろ
それに関する事は作中で提督もしっかり言ってるんだから、それを理解してる事になる
ならなんでわざわざ一番下策である戦力低下に繋がるような事を率先して行ったのか、これが判らない

何も産まない事をただ書きたいだけなら、提督にとにかくヒロイックな事をさせればいいだけだ、それでも同じ結果になる上にもっと悲惨な状況を演出出来る
提督が全部理解した上であえて一番ダメな方法を取った上でいじめは何も産まない~とか、何がしたいの?としか
大人しくオタク受けする頭空っぽの寒いギャグマンガのような話だけ書いてればいいのに

端折り過ぎ
いじめ云々言ってるけど何も伝わってこない

この提督そんな責められなきゃあかんか?
事件起こさずに転属で済ませてまたいじめが起こることを事前に防ぐ措置もしたんだぞ
理想だけふりかざして何も解決しないよりよっぽどましだと思う
偉そうに批判してる艦娘ははもっと上手く解決できるっていうのかよ

この三人は提督に汚れ役引き受けてもらって
自分達は綺麗なまま
これからも提督の悪口言い続けるんでしょうね

>>23
解決するのは艦娘の仕事じゃなくて提督の仕事
そして理想的に解決出来なかった、仕事をこなせなかったんだから提督は責められても仕方ないぞ

>>21
第三者の仲介なんかより報復は最も効果あるだろ

>>26
報復は報復し返される可能性もある
それに苛められてる側は被害妄想に囚われる傾向にあるから>>19が言ってるように報復によって虐めていた側が傷ついた事を「私が相談したからああなった、私が我慢してれば良かったのに」と負い目に感じることが多い

一番いいのは、苛められてる奴と虐めている奴らをそれぞれ違う場所に飛ばすこと
これだけだとネット環境を使っての報復活動が行う事が考えられるからネットすら使えない場所に送る事が望ましい
そして提督はそれが出来る立場に居て、恐らくそこまで理解しておきながらやってない
後に移動を命じられるなら、苛められてる対象を別の鎮守府に、朝潮だけを自分がほかの鎮守府に連れていくって事も出来たはず
軽巡達には再発防止と他の駆逐艦勢のフォローを任せればある程度波風を建てずに上手く事を運ぶことも出来た

まぁそれでも再発はするだろうけど

>>27
報復、遺書の二段構えが無いと再発防止の抑止力にはならんだろ
いわば見せしめ的な側面もあるんだっての

ダメだねこれは
つまらん

>>28
それならそんなに面倒な事しなくても朝潮と苛められてた艦娘を皆の目の前で解体処分すればいいだけなんだよなぁ
提督が悪者になるなら手の込んだ事しなくても恐怖と規律で縛ればいい、全て丸く収められないって理解してるなら尚更
どうせ戦力低下に繋がるならそれをしない理由はないもの

いじめられていた艦娘も解体するのか(困惑)
そんなことしたらもう無茶苦茶でクーデタや反乱を起こす艦娘続出でもはや手に負えなくなるんだよなあ
それに一々解体してたら戦力低下で本当に無能提督じゃねえか大本営からお叱りを受けるわ

>>31
悪いな、俺はイジメは苛められて側にも問題があるという思考なんだ
自分の意見も発信出来ない奴は上官のイエスマンにしかならない、軍人としてそんな無能な奴は必要ないだろ
第一、この程度でクーデターやら反乱起こすなら起こせばいい、軍人としての最低限の思考すら出来ない壊れた鉄くずなんて、深海棲艦に寄生されてるとかなんか理由付けられて付近の鎮守府に掃討されるだけだわ

ただそうなると世論が面倒くさいから、提督は苛められてる奴を別の鎮守府に移した上で朝潮含め主犯格だけを引っ張って行けと言ってるんだよ
わざわざ鎮守府から引っ張ってくる提督のお気に入りって偉大な看板があれば虐めている側である朝潮は自尊心を満たせるし、元が居なくなれば新提督と軽巡達にアフターケアを任せれば充分イジメを無くす事が出来る

まぁそもそもイジメを発生させる原因を取り除かないと意味無いけど

つまり朝潮型はごみくずということか

いじめは大きな抑止力がないと絶対に起こりうるぞ
よく実験で金魚の中でいじめが起こってその原因となる個体を取り除いてもまた別の個体でいじめが起こるって結果が出てるじゃない
だからその原因となる艦娘隔離しても無駄だし艦娘掃討ばっかしてヘイト集めるのは艦娘しか倒せない深海棲艦という存在がいる限り悪手としか言えない
わざわざ艦娘を兵器としてではなく人間に近い扱いとして扱ってるって事は艦娘を強制的に洗脳する術を人間側は持っていないって事だろうからそういう立ち位置での艦娘との関係悪化は一番危惧する事だろうに

普通に面白くないって書き込もうとしたけど長文感想ズが気持ち悪過ぎてワロタ、でも言ってることは概ね同意

とにかく説明不足のクソSS状態なので、こういうの書くならもっと掘り下げて頑張って欲しい
題材自体は珍しいし面白いのにこうもざっくりあらすじみたいな駄文並べられても読んでる側からしたら疑問しか無い
感想としては寝る前にくだらんもん読んじまったなあって感じ

投稿する前に、他人が見てちゃんとSSの内容が相手に伝わるか考えてから投稿した方がいい。

これはテーマとか想像の余地を残すとか以前の問題。
まず何が書きたかったかを整理してどんな話かちゃんと伝わるように書かないと。

>>34
幸運な事に金魚と違って艦娘には理性と思考する脳があるからな
軍隊としての規律や正義感を持ち出して洗脳するのは日本軍は長けてるから、暴力や規範や処罰と言った権力を行使さえすれば抑止力足り得るんだ

第一艦娘は本気で暴れたら云々なんて言うなら、そもそも大本営や鎮守府なんて必要ないよね
艦娘が人間を家畜として飼育してあげる世界の誕生でしかない
そもそも制御出来ない兵器なんて危なくて使えるもんじゃない、感情に訴えないとまともに戦って貰えないなら監督官としての提督なんて必要ない
最初から媚へつらって靴舐めてお願い申し上げてるっての

>>37
制御出来るなら尚更人間扱いしなくても洗脳して完全に機械のように運用すれば良いだけじゃん
そうすれば今回みたいないじめという人間関係の縺れは生じないんだし

>>37
そろそろ玩具にされてる事に気付こうな
全部単発だろ?IDコロコロしてる奴に構っても労力の無駄だぞ

テーマとか対象をちゃんと以前に
単純に純粋に話がつまらんと、なんというか、困る。

テーマが~とか読者に想像の余地を~とか言ってる作品って駄作が多いよね
これはタダだからまだいいけど、金出して駄作つかまされたらたまらないわ

>>41
だってそんなの、普通言わなくても入れるもの
わざわざ言う必要がない

登場人物も作者も、いじめというものを他人事のようにしてる気がする

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年11月10日 (木) 21:45:48   ID: UA0zb_0T

いじめの現場の裏側を描いたのかな。でも情報が少ないから突然終わったという印象を受けたよ、少しは現場も描写してくれたらね。

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